説明

小型照準装置のスイッチ機構

【課題】 課題の原因となる上下動する操作棒を無くして、課題を解決する新規な小型照準装置のスイッチ機構を提供することを目的する。
【解決手段】 レンズホルダー4の回動軸9の直下位置空間に湾曲して構成したスイッチ操作板11を、その湾曲部外側を支点として揺動可能に支持し、該スイッチ操作板11の先端部12をスイッチボタン15上に臨ませて位置付け、照準装置本体2内に設けたバネ14によりスイッチ操作板11の先端部12をスイッチボタン15をON操作するよう押下してあり、一方、スイッチ操作板11の後端部16をレンズホルダー表面に接触させ、レンズホルダー表面の回動軸9からの距離による違いにより、レンズホルダー4の起立時に上記の通りスイッチボタン15をON操作し、レンズホルダー4の倒立時にレンズホルダー4の表面が上記スイッチ操作板11の後端部を押し下げ、スイッチ操作板11の先端部12をバネの弾力に抗して押し上げ、スイッチボタン15をOFF操作するようにしたことを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銃、小銃、特に小銃に使用して便利な通称ドットサイトと云われる小型照準装置のスイッチ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
銃、小銃等に装着して使用される照準装置はよく知られている。この公知の照準装置は、装置内に発光体を設け、この発光体から発行する光を装置内に設けたミラーレンズに投射し、このミラーレンズに現出する焦点光を照準点とするものである。発明者及び出願人はこの照準装置をより小型にするため、電源部と光源部とミラーレンズとからなる照準装置のミラーレンズを起立及び倒立可能として、倒立状態で格納可能に軸支してより小さくした小型照準装置を開発し、提案してある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−249339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公知の小型照準装置の光源部への通電のON,OFFは、上記特許文献1の図12、図13に示される通り、照準装置本体1内に上下動し得る操作棒36を設けてあり、一方、レンズホルダー14の基部に上記操作棒36と係合する切欠係止部37を設け、レンズミラー4及びレンズホルダー14が跳ね上げ起立したときに、この切欠係止部37が上記操作棒36と係合し、この操作棒36を押下するようにしてあり、この押下により板バネ34の接片35を押し上げ、電源部への通電をONにするようにしてある。
【0005】
上記公知の小型照準装置のスイッチ機構では、照準装置本体内に上下動し得る操作棒を設けてあるから、照準装置本体内に操作棒が上下動する垂直孔を設け、操作棒を垂直孔から上方に突出させる構造となっている。
この構造では、上記操作棒と垂直孔との間に塵埃がたまるという不都合があるという課題があり、また、操作棒を確実に押し下げるために、レンズミラー及びレンズホルダーの起立回動のためのバネを強くしなければならないという課題もあり、さらには、上記バネを強くしてレンズミラー及びレンズホルダーの起立回動を強くしてあるから、その起立回動の際レンズホルダーと操作棒とが当たる音が大きくなり、銃の操作者に不快感を与えるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の原因となる上下動する操作棒を無くして上記課題を解決する新規な小型照準装置のスイッチ機構を提供することを目的する。
そのために、本発明の小型照準装置のスイッチ機構は、レンズホルダーの回動軸の直下位置空間に湾曲して構成したスイッチ操作板を、その湾曲部外側を支点として揺動可能に支持し、該スイッチ操作板の先端部をスイッチボタン上に臨ませて位置付け、照準装置本体内に設けたバネによりスイッチ操作板の先端部をスイッチボタンをON操作するよう押下してあり、一方、スイッチ操作板の後端部をレンズホルダー表面に接触させ、レンズホルダー表面の回動軸からの距離による違いにより、レンズホルダーの起立時に上記の通りスイッチボタンをON操作し、レンズホルダーの倒立時にレンズホルダーの表面が上記スイッチ操作板の後端部を押し下げ、スイッチ操作板の先端部をバネの弾力に抗して押し上げ、スイッチボタンをOFF操作するようにしたことを特徴とするものである。
【0007】
上記スイッチ操作板の先端部を湾曲したスイッチ操作板を僅かに折曲して構成してあるとよい。
また、上記スイッチ操作板の後端部を折り返し構成してあるとよい。
さらに、上記スイッチ操作板の中央湾曲部に透孔を形成し、小型照準装置本体に設けたビス用突起を該透孔内に位置付け、上記スイッチ操作板を安定して位置付けてあるとよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の小型照準装置のスイッチ機構は、レンズホルダーの回動軸の直下位置空間に湾曲して構成したスイッチ操作板を、その湾曲部外側を支点として揺動可能に支持し、該スイッチ操作板の先端部をスイッチボタン上に臨ませて位置付け、照準装置本体内に設けたバネによりスイッチ操作板の先端部をスイッチボタンをON操作するよう押下してあり、一方、スイッチ操作板の後端部をレンズホルダー表面に接触させ、レンズホルダー表面の回動軸からの距離による違いにより、レンズホルダーの起立時に上記の通りスイッチボタンをON操作し、レンズホルダーの倒立時にレンズホルダーの表面が上記スイッチ操作板の後端部を押し下げ、スイッチ操作板の先端部をバネの弾力に抗して押し上げ、スイッチボタンをOFF操作するようにしたことを特徴とするものであるから、照準装置本体の上面に上下する操作棒を案内する垂直孔等が生ずる隙間を設けることなく、従って塵埃がたまるようなことのない効果を有する。
また、ミラーレンズを起立するための回動軸に働かせるバネの力をそんなに強くすることがないから、レンズホルダーが起立作動する際にこのレンズホルダーが照準装置に当たる音が大きくなることもなく、操作者に不快感を与えることもないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ミラーレンズ及びレンズホルダーを倒立格納する小型照準装置の斜面図である。
【図2】ミラーレンズ及びレンズホルダーを起立した小型照準装置の斜面図である。
【図3】レンズホルダーを倒立格納する状態の本発明スイッチ機構を示す図である。
【図4】レンズホルダーを起立させた状態の本発明スイッチ機構を示す図である。
【図5】本発明スイッチ機構の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1及び図2に小型照準装置が示してあり、図1にミラーレンズ及びレンズホルダーを倒立格納している斜面図が示してあり、図2にミラーレンズ及びレンズホルダーを起立している使用状態の斜面図が示してある。
図中1が小型照準装置全体を示してあり、その躯体となる照準装置本体を符号2で示してある。この照準装置本体2にはミラーレンズ3及びレンズホルダー4を倒立して格納する窪み部5を設けてある。この窪み部5の後方に光源部6が設けてあり、その投光部7から起立したミラーレンズ3に向けて光源部6からの光を投射するようにしてある。この光源部6の後方に電源部8を設けてある。
【0011】
図3乃至図5に本発明のスイッチ機構を示してある。
レンズホルダー4が照準装置本体2に回動軸9に起立するためのバネ弾力を付与して軸支してあり、図3に示す倒立状態では照準装置本体2の窪み部5に格納されている。図4にはレンズホルダー4が起立した状態を示してある。
【0012】
レンズホルダー4の回動軸9の直下位置空間10に湾曲して構成したスイッチ操作板11を設けてある。上記直下位置空間10は電源部8からの通電を操作する配電基盤13上に設けられており、スイッチ操作板11をその湾曲部外側を支点として揺動可能に上記配電基盤13上に支持してある。
上記スイッチ操作板11の先端部12を図示する通り湾曲したスイッチ操作板11を僅かに折曲して平板状に構成してあり、この先端部12を配電基盤13上に設けたスイッチボタン15上に臨ませて位置付けてある。
【0013】
上記スイッチボタン15の直上には、照準装置本体2内に埋め込んでバネ14を設けてあり、このバネ14の弾力によりスイッチ操作板11の先端部12を押し下げスイッチボタン15をON操作するようにしてある。
一方、スイッチ操作板11の後端部16は折り返し構成してあり、この後端部16をレンズホルダー4の表面に接触させ、レンズホルダー4の回動軸からの距離の違いにより、レンズホルダー4の起立時に上記の通りスイッチボタン15をON操作し(図4図示)、レンズホルダー4の倒立時にレンズホルダー4の表面が上記スイッチ操作板11の後端部16を押し下げ、スイッチ操作板11の先端部12をバネ14の弾圧力に抗して押し上げ、スイッチボタン15をOFF操作するようにしてある(図3図示)。
【0014】
上記スイッチ操作板11の中央湾曲部には透孔17を形成してあり、照準装置本体2に設けたビス用突起18を該透孔17内に位置付け、上記スイッチ操作板11を安定して位置付けしてある。
上記ビス用突起18及び照準装置本体2にはネジ孔19を設けてあり、対応する配電基盤13にはネジ透孔20を設け、ネジ21により配電基盤13を照準装置本体2に取り付けてある。
【0015】
図3に示す通り、レンズホルダー4が倒立して窪み部5に格納されている際は、スイッチ操作板11はその後端部16がレンズホルダー4の回動軸9から距離のある表面の個所で押し下げられ、スイッチ操作板11の先端部12がバネ14の弾力に抗して上動し、スイッチボタン15をOFF状態にしてある。
次いで、図4に示す通り、レンズホルダー4が起立した際は、スイッチ操作板11の後端部16がレンズホルダー4の回動軸9から近い表面の個所に接触し、スイッチ操作板11の先端部12がバネ14の弾力で押し下げられ、該先端部12がスイッチボタン15をON操作し、光源部6に通電する。
【符号の説明】
【0016】
1 小型照準装置
2 照準装置本体
3 ミラーレンズ
4 レンズホルダー
5 窪み部
6 光源部
7 投光部
8 電源部
9 回動軸
10 空間
11 スイッチ操作板
12 先端部
13 配電基盤
14 バネ
15 スイッチボタン
16 後端部
17 透孔
18 ビス用突起
19 ネジ孔
20 ネジ透孔
21 ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズホルダーの回動軸の直下位置空間に湾曲して構成したスイッチ操作板を、その湾曲部外側を支点として揺動可能に支持し、該スイッチ操作板の先端部をスイッチボタン上に臨ませて位置付け、照準装置本体内に設けたバネによりスイッチ操作板の先端部をスイッチボタンをON操作するよう押下してあり、一方、スイッチ操作板の後端部をレンズホルダー表面に接触させ、レンズホルダー表面の回動軸からの距離による違いにより、レンズホルダーの起立時に上記の通りスイッチボタンをON操作し、レンズホルダーの倒立時にレンズホルダーの表面が上記スイッチ操作板の後端部を押し下げ、スイッチ操作板の先端部をバネの弾力に抗して押し上げ、スイッチボタンをOFF操作するようにしたことを特徴とする小型照準装置のスイッチ機構。
【請求項2】
上記スイッチ操作板の先端部を湾曲したスイッチ操作板を僅かに折曲して構成してある上記請求項1に記載の小型照準装置のスイッチ機構。
【請求項3】
上記スイッチ操作板の後端部を折り返し構成してある上記請求項1または2に記載の小型照準装置のスイッチ機構。
【請求項4】
上記スイッチ操作板の中央湾曲部に透孔を形成し、小型照準装置本体に設けたビス用突起を該透孔内に位置付け、上記スイッチ操作板を安定して位置付けてある上記請求項1乃至3の何れかに記載の小型照準装置のスイッチ機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−229844(P2012−229844A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97736(P2011−97736)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(593043392)株式会社東京スコープ (5)
【Fターム(参考)】