説明

小型膀胱尾部を備えている尿管ステント

【課題】患者の不快感、および腎臓へ向かって上流へ尿が逆流することを回避する。
【解決手段】尿管ステント使用時にほぼ腎臓内に位置決めされるように管状セグメントの上方領域から遠位に延びているコイル状端部領域と、管状セグメントの下方領域から尿を受けるように、および輸尿表面に沿って尿を運ぶように管状セグメントの下方領域から移行するにつれて小さい外直径ヘテーパしており、管状セグメントの下方領域の外部表面から、薄い可撓性の尾部の輸尿表面への連続的な移行部を含み、外部輸尿表面を有する、ほぼ直線状の薄い可撓性の細長い尾部、を含んでいる、尿の流れを補助する尿管ステント。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は尿管ステントに関する。
【背景技術】
【0002】
尿管ステントは尿管に障害または傷がある患者において、腎臓から膀胱への排尿を助けるため、あるいは各種の外科処置において尿管の完全性を保護するために使用される。具体的にいうと、ステントは腎臓から膀胱への尿の流れを阻害する尿路障害(尿路結石または尿路腫瘍など)を処置または回避するために使用される。重大な障害の場合には、尿が腎臓へ逆流し、腎機能を脅かすこともある。
【0003】
尿管ステントは尿管の内視鏡検査後にも使用される。
尿管ステントは通常管状であり、2つの対向端部、すなわち腎臓側(上流)端部と膀胱側(下流)端部とで終端している。両端部はピグテールまたはJ形に巻かれて、たとえば、生理学的運動によってステントが上下に移行することを防止している。腎臓側コイルはステントを腎臓の腎盂内に保持し、ステントが尿管内を下方へ移動するのを防止するように設計されている。膀胱側コイルは膀胱内におかれ、ステントが腎臓へ向かって上方へ移動するのを防止するように設計されている。膀胱側コイルはステントの取出し除去を助けるのにも使用される。
【0004】
尿管ステント、特に膀胱近傍および膀胱内の尿管中に配置された部分は尿中の血液、継続的な排尿感、有痛排尿困難、膀胱内の圧力が腎臓へ伝えられた場合のステントへの尿の逆流(たとえば、空になった場合の)に伴う脇腹の痛みを含め悪影響を及ぼすことがある。簡単に言えば、ステントは患者に大きな不快感や、重大な医学的問題を引き起こしたりすることがある。図10はステントのない人間の尿路系の略図で、腎盂、腎臓、尿管、および膀胱へ開いている尿管口を示している。図11は典型的な2重J型ステント10を示しており、これは尿路系内におかれ、腎臓(腎盂)から膀胱への尿の流れを補助する細いチューブ12を含んでいる。図12は定置された従来技術の内在尿管ステント10を示す。このようなステントは通常生物学的適合性プラスチック、コーテッド・プラスチック、またはシリコーン材料で作られている。チューブ12は通常サイズが4〜8fr.(円周mm)であり、その全長にわたって複数個の小孔を有している。各端部14および16に予め形成されているコイル状形状はその運動を尿路系に制限するように設計されている。それによりコイル状形状は希望する位置に保持される。ステントの上端(腎臓側端部)14は挿入方法(たとえば、ガイドワイヤを使用する)に応じて閉鎖されているか、テーパが付けられている。管状ステントは尿管口18aを貫通し、膀胱中へ延び、固定口18aが開き、これにより逆流の可能性が高くなる。明確とするため、オリフィス18bから膀胱20内へ入っている尿管は示されていない。単繊維糸22を通常膀胱内視鏡を使用せずに取り外すためにステントの膀胱側端部に取り付けることができる。
【0005】
特許文献1(「’933号特許」)は各端部に、移動および逸脱を防止するために設けられているらせん状コイルを有する尿管ステントを開示している。
【特許文献1】米国特許第4531933号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
患者の不快感、および腎臓へ向かって上流へ尿が逆流することを回避する尿管ステントの設計を発見した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
尿管に沿ったすべての(実施の形態によっては、何らかの)尿の流れを収納し、これを容易なものとするのに管状構造に依存するのではなく、本発明は細長い外部輸尿表面を有する細長く薄い可撓性の尾部部材を特徴としている。尿は構造体の外部表面に沿い、その表面と尿管の内壁の間を流れる。本発明を特定の機構に限定することなく、尿が外部輸尿表面上についたまま、これに沿って流れると思われる。尿管の下端(膀胱側)および膀胱自体にできるだけ小さい異物を使用すると、患者の不快感が軽減される。通常、外部輸尿表面は膀胱の近傍の尿管の少なくとも一部に沿い、尿管/膀胱接合部を横切り、ここから膀胱内への尿管の開口を通って延びているような寸法および構成とされている。
【0008】
ステントの長さのほとんどまたは全部がこのような外表面によって、流れを補助するが、より一般的には、ステントには上部尿管の大部分に沿って尿を搬送するための細長い上部管状セグメントも含んでいる。上部管状セグメントはその下端で、上述の外部輸尿表面を有している細長い尾部と接続している。上部管状セグメントは、a)少なくとも第1の開口を有している上方領域、b)膀胱外の尿管内に位置決めされる少なくとも第2の開口を有している下方領域、c)第1の開口を第2の開口へ接続している中央内腔を含んでいる。細長い尾部は、細い可撓性尾部部材ないしフィラメントであって、膀胱外の1点において管状セグメントの下方領域から延びていて、管状セグメントの第2の開口から尿を受け取り、管状セグメントの下方領域から、尿管/膀胱接合部を横切り、膀胱中へ尿管に沿って尿を搬送する。通常、ただし、これに限定されることなく、管状セグメントの上方領域は腎臓腔内に収まるような構成および寸法となっている。
【0009】
通常、細長い尾部部材は少なくとも1本(より好ましくは、少なくとも2本)の糸フィラメントを含んでいる。2本以上のフィラメントは少なくとも1つのフィラメント・ループに構成することができ、また尾部はループしていないフィラメントを含んでおらず、尾部にほつれた端部がないようになっていることが有利である。ループは単一のフィラメントの端部を接合することによって作成でき、この場合、フィラメント・ループは個々のフィラメント端部の接合部を含んでおり、この接合部は通常尾部が細長い管状セグメントに接合している箇所に配置される。尾部は、尿管中への尾部全体の移動を効果的に防止するに十分な長さであり、かつ尾部はその外径が管状セグメントの外径よりも小さいことが好ましい。
【0010】
管状ステント・セグメントは尿管を通しての挿入時の折れ曲がりを回避するのに十分な剛性があり、典型的な手順によって挿入される。一方、尾部は管状セグメントに比較してきわめて撓みやすく(柔らかく)、また不快感を避けるために管状セグメントよりもはるかに小さい外径を有している。きわめて薄い構造であるが、尿を搬送するものであり、尾部が薄ければ薄いほど、撓みやすければ撓みやすいほど、患者を不快とすることが少なくなる。これに対し、尾部(およびステントのほかの部分とのその接続部)は十分な強さを有していて、膀胱内に尾部を位置させ、尾部を引き寄せることによってステントを腎臓および尿管から取り出せることができるものでなければならない。尾部の大きさの詳細を以下で検討する。補強材料(たとえば、以下で説明するような縫合糸)を使用すると、より細い尾部を使用できるとともに、膀胱内で尾部を探し出し、かつステントを取り出す機能が提供される。尾部は縫合糸でよく、縫合糸には外皮の形成を避けるためにコーティングを施すことができる。
【0011】
尾部の外部輸尿表面は凸面状(断面が円形または楕円形)であっても、凹面状であっても、平坦であってもよい。尾部フィラメントには縦溝をつけることができる。尾部は尿管上方への移動を制御するための正確に形成されたアンカ・セグメントを含んでいてもよいが、必ず必要というものではない。尾部は中実(solid)であっても、中空であってもよく、中空の場合であっても、かなりの量の尿をその内部で搬送するようには設計されていない。尾部にテーパをつけてもかまわない。
【0012】
管状セグメントの上方領域は腎臓腔内へ配置するのに合うように設計された部分を有しており、この部分は大直径部および/または直線側面およびコーナを有している。ステントは細長い尾部部材の下端に取り付けられる抽出糸を含んでいることができる。
ステントを作成するためには、尾部を管状セグメントと一体的に成形したり、あるいは別に作成し、管状セグメントの下方領域の膀胱側端部から腎臓へ向かう箇所で管状セグメントの膀胱側端部に取り付けたりすることができる。特定の実施の形態の1つにおいて、尾部は管状セグメントの膀胱側端部領域の膀胱側端部にまたは近くに取り付けられる。ステントは尾部を管状セグメントに固定する縫合糸を含んでいてもよく、また縫合糸を尾部に組み込んで、尾部に強度を与え、尾部をステントの取り出しに使用することもできる。
【0013】
尾部が中空の管腔を含んでいる場合、縫合糸をその管腔の内部へ配置することができる。縫合糸を管状セグメントの膀胱側端部領域の1点で管状セグメントに取り付けることができ、また取付け点から膀胱側端部領域の開口を通して管状セグメントの中央管腔へ延ばし、そこから中空の尾部へ延ばすことができる。あるいは、管状セグメントの少なくとも膀胱側端部が主輸尿管腔と縫合糸を収納する膀胱側管腔という2つの管腔を含んでいて、縫合糸に外皮が形成されないようにする。
【0014】
管状セグメントの外径にテーパをつけて、下方領域へ近づくにしたがって外形が小さくなるようにすることができる。管状セグメントの下方領域は、たとえば、その長さの軸方向に沿って、あるいはその円周に放射状に、あるいはその他のパターンで位置決めされた複数の開口を含んでいることもできる。さらに、ステントの管状セグメントの外径は上方領域へ近づくにつれて小さくなっていくことができる。換言すると、最大直径が障害部位にあって、被治療組織に十分に大きい内径を促進することができ、管状セグメントの外径は最大直径のその部分から広範囲の支持構造を必要としない正規の尿管の部分まで遠ざかるにつれて小さくなることができる。通常、管状セグメントの上方領域の外径は膀胱側端部の外径よりも大きくなる。上方領域は複数の開口(入口)を含んでいることができる。
他の実施の形態において、細長い外部輸尿表面は、腎臓から膀胱まで延びている連続した表面であり、たとえば、腎臓から膀胱へ延びている中実部材の外表面である。
【0015】
本発明の他の態様は、(a)管状セグメントの腎臓側端部を腎盂内に位置決めし、(b)細長い可撓性部材を膀胱内に位置決めすることによって、尿管ステント(上述の)を患者の体内へ導入する方法を特徴とする。
【0016】
本発明のさらに他の態様は、上述の尿管ステントを製造する方法を特徴とする。この方法は(a)管状のポリマ・プリフォームを設け、(b)ポリマ・プリフォームから細長い管状ステント・セグメントを形成し、(c)患者の膀胱へ向かって位置決めされるように設計された管状セグメントの端部領域に尾部部材を設けることを含んでいる。
【0017】
以下で詳細に説明するように、ステントはポリマ・フォームをマンドリルに押し付けて、所望の3次元形状(コイルなど)を作成することにより、管状のポリマ・フォームから製造できる。細長い管状部材を上述のように縫合糸を使用して管状部材の一端に取付けることができる。構成体および/または標準の接着剤を溶融させるため熱処理を使用してもよい。あるいは、管状部材および細長い部材が一体構成のステントを構成する。
【0018】
尿管/膀胱接合部を通り、膀胱にいたる尿の流れを助けるために比較的細く可撓性の細長い部材を使用すると、逆流および刺激を減らし、これにより尿管ステントに付随する患者の不快感および医療問題を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の他の特徴および利点は好ましい実施の形態についての以下の説明、ならびに請求の範囲から明らかとなろう。
【0020】
図1において、尿管ステント100はコイル状端部140を直線状端部領域120へ接続する細長い管状本体130を含んでいる。管状本体130は腎盂から尿管を通って、膀胱の上流部まで延びているように設計されている。尾部110は直線状端部領域120に取り付けられ、尿管に沿い、尿管/膀胱接合部を通過し、膀胱中へ延びている。
細長い管状本体130の2つの対向する端部領域120および140は、図1に示されている。コイル状端部領域140は、腎臓の腎盂内に配置されるように設計されている。説明のため、コイル状端部領域140はピグテールらせんコイルとして示されているが、ステントを腎臓内に定置する任意の形状でよい。コイル状端部領域140は管状本体の壁部に沿って配置された数個の開口125を含んでおり、これらの開口は各種の幾何学的形態(たとえば、軸方向、円周方向、らせん状)で配置できる。腎臓側端部領域と膀胱側端部領域の間の領域を含め、管状セグメント全体は他の開口を含んでいてもよい。
【0021】
管状ステント・セグメントの膀胱側端部領域120は膀胱の上流の尿管内で終わるように設計されている。以下での説明のため、腎臓内に収容されるステント100の端部領域を腎臓側端部と呼び、膀胱側のステント100の反対側端部を膀胱側端部という。
図2は図1のステント100の断面図である。図2において、細長い管状本体130は内径および外径を有する環状壁250を有している。管状本体130の外径はチューブの長さの大部分にわたりほぼ一様であっても、比較的短い領域の大径部(治療過程で管腔内の流れを実質的に制限する危険がある治療部位)から一般に小径の領域へテーパがついていてもよい。厳密な構成は治療する尿管障害によって左右される。ステントによって利益が得られる多くの種類の手順のうちのほんの一つとして、体内腎盂切開−−狭窄部で尿管に穿孔する切開により尿管腎接合部(UPJ)障害を治療する処置がある。これらおよびその他の処置において、ステントは治療過程中に尿管管腔を開いたままとしておいて、結果として生じる被治療組織の内径を適切なものとする。障害部における管状セグメントの部分は適切な内径を有する治癒組織の成長を支持するのに十分な大きさである。尿管の他の部分(たとえば、外科的治療が行われない部分)において、管状セグメントの外径ははるかに小さくてよいが、その内径はガイドワイヤを通すのに適切なものである。たとえば、管状セグメントの膀胱側端部領域の外径は通常2Fr.〜12Fr.である。管状本体130の外径が尿管腎接合部障害部においてもっとも大きいが、各端部に近づくにつれてテーパし始めることが好ましい。あるいは、上部尿管障害のある患者の場合には、管状部材130の上部(腎臓側)部分で直径を一様とし、下部(膀胱側)部分だけでテーパするようにする。
【0022】
管状部材130は腎臓側端部領域140から膀胱側端部領域120へ延びる中央管腔ないし通路260を画定する。管腔260の内径はガイドワイヤを通すのに十分なものである。管状本体130はその壁部250を貫通して延びていて、腎臓から中央管腔260への尿の流れを容易とする開口125、および中央管腔260から出る流れを容易とする開口127も有していることができる。
【0023】
図3において、細長い管状本体130の外径は膀胱側端部領域120の近くでテーパしている。膀胱側端部領域120の外径はできるだけ小さくされるとともに、ガイドワイヤを通す機能を維持する。細長い管状本体130は膀胱側端部領域120においてほぼ直線状である(ただし、必須ではない)。すなわち、外力がかかっていない場合、コイル状となったり、屈曲したりしない。尾部110が単一フィラメントである場合、管状ステント・セグメントの膀胱側端部領域120のもっとも細い部分よりも、通常細くなっている。あるいは、各々がそれ自体で管状ステント・セグメントの膀胱側端部領域よりもはるかに細い複数のフィラメントで尾部を構成するのが望ましいこともある。全体として、このようなマルチフィラメント尾部の有効直径は大きくなり、付加的な容積を与えるとともに、快適度を維持する。尾部110は領域120の端部またはその近傍に取り付けられ、その取付け部から膀胱中へ延びている。尾部110は中実であっても、中空であってもよい。形状は一般に円筒状であるか、あるいは縦溝をつけたり、凹面状(クォータームーン)とすることができ、他の形状とすることもできる。
【0024】
尾部は尿管の内径(通常、2〜5mm)よりもはるかに細く、これがそこから延びている管状セグメントの外径よりも太くはない外径を有していることができる。たとえば、尾部の直径は10Fr.未満で、縫合糸と同じ位の細さ(約0.5Fr.)である。尾部の直径は2Fr.と4Fr.の間であることが好ましい。尾部110の長さは1cmないし100cmであることが好ましい。実施の形態の1つにおいて、尾部はその少なくとも一部が膀胱内にあり、尾部全体が尿管中へ上方に移動できなくするのに効果的なものであるのに十分な長さである。長さは1cmないし40cmであることが好ましい。尾部110は可撓性であり、力がかかった場合に、屈曲できるが、力を除去した場合に、ほぼ直線状になるような記憶も持っている。
【0025】
尾部110およびチューブ130を含むステント100は単一ユニットでよい。それ故、尾部110を他の取付け手段なしに、膀胱側端部領域120から延びる一体片とすることができる。あるいは、尾部110を物理的または機械的方法によって、細長いチューブ130または膀胱側端部領域120に固定することができる。
【0026】
たとえば、図4Aにおいて、縫合糸415を開口418から管状部材へ挿入し、管状部材430の管腔417に糸止めすることができる。図4Bにおいて、尾部410は縫合糸415がその内部管腔412に糸止めされている中空部材である。
【0027】
図5は他のステント510の略図である。ステントの腎臓側端部Aは事前形成記憶屈曲部を有しており、図示のようにコイル512となっている。腎臓側端部Aはより大きく、矩形度が高く、上方ならびに下方へのステントの移動を防止する助けとなっている。端部Aを閉鎖またはテーパつきとして、各種の挿入技法に適合するようにすることができる。ステントの上方セグメント(A−−B)では、直径、管腔サイズ、穿孔および材料は従来の通りである。管状ステント・セグメントの下端部514はBで終わっている。距離A−−Bは患者の解剖学的組織に応じて変化する。Bにおいて、ステントにはテーパがつけられている(または、直径が少なくとも滑らかで、一定である)。
【0028】
2本以上のモノフィラメント糸またはコーテッド糸(プラスチックまたはシリコーンの)516が管腔またはステント壁から出ている。これらの糸は尿管を部分的に充填するだけであり、できるだけ可撓性(柔らかい)があるものである。
【0029】
通常、これらは膀胱内に閉じ込められるような長さに切断されている。
腎盂内に置かれる上方セグメント512の部分(たとえば、ステントの腎臓側端部から点Aまでの)は広げられ、断面が大きく、しかも断面が楕円形または矩形になって上方ならびに下方へのステントの移動を防止する助けになっている。
【0030】
ステントの腎臓側端部を閉鎖および/またはテーパつきとして、希望する挿入技法に適合するようにすることができる。上方セグメント512は比較的剛性の材料(現在尿管ステントに使用されている材料)製であり、かつステントの動きを効果的に制限して、正規の生理学的活動時のカテーテルの近位ならびに遠位の移動を防止するように設計しなければならない(下方のプリフォーム部分が削除されているため必要とされる)。上方セグメントの直線部分の長さ(図5Aの点Aから点Bまで)は患者の大きさや解剖学的組織に応じて変化する。好ましい構成において、上方セグメントは適正に位置決めした場合、尿管を下方へ半分以上のところまで延ばしている。上方セグメントの最下端部(図5Aの点B)にはテーパをつけるか、傾斜させて、引き抜きを容易とする必要がある。それ以外では、上方セグメントは直径、材料および形状の点で典型的なステントである。
【0031】
下方セグメント(図5A、点Bないし点C)は2つ以上(たとえば、4つ)のモノフィラメント糸、プラスチック・コーテッド糸またはシリコーン・コーテッド糸(図5Bに断面を示す)からなっており、これらの糸は上方セグメント(図5A、点B)の下方端部の管腔ないし側壁から尿管513に沿って膀胱内へ延びている。これらの糸はきわめて可撓性が高いものであり、その直径は尿の流れの通路を維持するとともに、膀胱および尿管の炎症を大幅に低下させるように選択されている。尿管壁の変形を回避することによって、糸は尿管逆流も防止する。糸は膀胱(図5A、点C)に届くのに充分な長さであるが、排泄時に尿道へ洗い流されるほど長くはないようにすべきである。1本の糸518(または、ループ内の2本以上の糸)は尿道(図5A、点Bないし点D)から外部へ出て、引張って簡単に除去できる(膀胱内視鏡を必要としない)のに十分な長さであってもかまわない。
【0032】
これらの長い糸はステントの交換にも使用でき、その場合、第2のカテーテルがすでに定置されているカテーテルと交換される。この処置によれば、これらの長い糸は第2のカテーテルの中央管腔から挿入されている係蹄によって捕捉される。係蹄を使用して、第2のカテーテルを尿管中へ前進させた場合に管腔から糸を引き出す。次いでガイドワイヤを、第2のカテーテルの中央管腔から腎臓中へ(第1のカテーテルの管状本体外部で)挿入する。それから第1のステントを、糸を引張って除去し、ガイドワイヤを定位置に残し、標準的な技法を使用して新しいステントを配置する。
【0033】
図6Aないし図6Dは下方尿管517内を通る糸に考えられるいくつかの配列の他の断面図(図5Bと同じ位置で取った)である。複数の糸516(それぞれ2と4)が図6Aおよび図6Bに示されている。ほぼ同様なコンジットを単一フィラメントの縦溝付き断面(図6Cおよび図6D)によって達成することができる。図6Cおよび図6Dの形状は剛性を低減するのにも効果的であり、それ故、たとえば単一フィラメント構成において、膀胱側端部(すなわち、下方セグメント)における刺激性を低下させるのに効果的である。複数の糸には外科的操作性が良好であり、患者の快適度が高いという利点がある。
【0034】
さらに洗練したものを以下ならびに図7および図7Aで説明する。これはa)ステント全体または下方セグメントの個々の糸のいずれかの、上方セグメントの運動とは無関係な近位ないし上部ステント移動、b)流れを妨害するか、除去時に尿管障害または結節を引き起こす、尿管内での1本または複数本の糸のバンチング、c)複数本糸の実施の形態における異なる長さの糸を使用することによって生じる不快感および/または尿管を通っての排出の低下を扱ったものである。図7において、6F(F=フランス・サイズ=mmで表した円周)のステントが一般に、成人の尿管系に良好なサイズである。これは良好な排出を行うのに十分な大きさであり、しかも尿管の局部的な刺激や炎症を最小限とするのに十分な小ささである。この実施の形態において、上方セグメントに必要なものは、下方セグメントの設計を変更すると(以下の検討および図8参照)近位移動が阻害されるため、従来のサイズの単一のループだけである。上方セグメント(図7、点Aないし点C)は、挿入時に、ガイドワイヤを除去した後、プッシャ・チューブを除去しなければならないため、比較的硬い材料で構成される。このことは、コイル(図7、点Aないし点B、約2.5cm)が適切な抵抗をもたらさない場合に、ステントをずらしてしまうプッシャ・チューブの除去時に糸に若干の抗力が生じることを意味する。希望する挿入技法にもよるが(すなわち、以前に配置されたガイドワイヤに関して)、コイルをテーパつきとしても、あるいは閉鎖されたものとすることもできる。
【0035】
図7の点Bから点Cまでは約12cmの長さを有していることができる。これは大腎盂内での上方セグメントのずれを防止するのに十分な長さであり、また尿管が総腸骨血管を横切る箇所よりも十分上方で終端するのに十分な短さである。腸骨血管において、尿管はかなり急に曲がっており、糸はこの箇所において自然な曲線により容易に追随する。この設計は従来の2重Jステントを長期間内在させておいた場合にこの領域でよく見られる炎症を軽減するはずである。
【0036】
上方および下方セグメントの図7の点Cにおける接合は重要である。この接合部を拡大して示す図7Aを参照されたい。点C(図7)において、1)糸が上方セグメントに、また互いに固定され(少なくとも約0.8mmの短い距離で)、これらの相互に対する向きを維持し(下端部の非対称性の維持のため)、2)糸が上方セグメントの管腔の邪魔にならず、標準的なガイドワイヤ(たとえば、0.035ガイドワイヤ)を簡単に通せるようにし、3)この領域における遷移直径が6Fの標準を厳密に保存して、この点が挿入に使用される器具全体にわたり、かつ尿管を通ってスムーズに両方向へ通過できるようにし、4)局部尿管障害の原因をなくし、5)プッシャ・チューブの衝合を効果的にするという目的を達成する態様で、糸が上方セグメントに取り付けられる。平均的なサイズの尿管の場合、ストリングが4本の下方セグメント(図7、点Cないし点E)に対する良好なストリングの開始端直径は0.020インチである。単純なモノフィラメント・ナイロン糸が簡単な解決策の候補となろうが、堅すぎることもある。もっと柔軟なシリコーンその他のコーティングを施したモノフィラメント糸またはウーブン糸が炎症の発生を最小限とするためには必要である。ただし、糸は十分な圧縮抵抗力があって、組織によって生じる圧力によって糸の内部空間が崩壊しないものでなければならない。軽い圧力のもとで間質空間を維持している糸(左)と、きわめて柔らかく、圧縮されて間質空間が少なくなり、栓となった糸(右)の断面が示されている図8Bを参照されたい。これらの糸には点B(図7)から20cm以下の点から始まるセンチメートル・マーキングを有しているため、機能的な尿管およびステント全体の長さを知ることができる。
【0037】
ステントを適切な解剖学的位置に置いたときに膀胱内におかれる下方セグメントの部分(図7、点Dないし点E)は快適度および機能の両方に関して重要である。近位移動を一方の対が他方の対よりも2cm長い糸の対の非対称の長さを使用することによって制御することができるので、これらの糸の融着接合部810は尿管口と長さが6mmの硬化領域815と角度(たとえば、〜90°)をなして交差する傾向がある(図8Aの詳細図参照)。
この実施の形態の理想的に嵌合したステントにおいては、糸の対は尿管口(図7、点D)から短い方820で1cm、長い方825で3cm出ている。しかしながら、この下方セグメントの構成は大きさの点でかなりの公差があるもので(尿管口を通っての糸の上方への移動を避けるような長さを有するように選択しなければならない固定されていない独立した糸とは異なる)、理想的な長さよりも1cm短かったり、2−3cm長かったりする長さを選んでも十分である。この構成を使用すると、糸は長さが3.5cmの連続ループ828を形成して、自由端が膀胱壁に接触することを防止したり、尿道から抜け出すのを防いだりするようになる。浮揚性の糸は感覚神経繊維のほとんどがある膀胱三角領域から浮かびあがるため、患者の快適度を高めることができる。典型的な小ゲージのフィラメント抽出糸830を、除去の際の適切な引張り点となる長い方830の糸の対に取り付けることができる。
【0038】
この実施の形態から、4−4.5Fの小径プッシャ・チューブを使用して、挿入を助ける。軟質percuflexが下方セグメントには最適に近いものであり、硬質ないし標準percuflexが上方セグメントに使用される。
膀胱側端部は器具を使用して簡単に挿入されるものでなければならず、またステントの近位移動を防止しなければならない。図7の設計はステントのもつれや移動を避けるものである。あるいは、たとえば、軟質percuflexは小さい半径(たとえば、直径0.020インチであっても)における極端な屈曲に対して良好な抵抗力を持っているため、上方および下方セグメントの間の接合部から延びている単純な連続ループ(図9参照)が上方への移動を防止するのに適切なものとなる。図9の設計には、除去の簡単さと快適さという利点に加えて、製造が比較的容易であり、かつ挿入が比較的簡単であるという利点もある。
【0039】
使用できる(無制限に)他の寸法としては、上部中空軸の12cmの直線部分、軟質percuflexの追加ループの12cm、14cmまたは16cmという長さがある。直径が0.020インチの材料の場合、2個または3個いずれかのループを使用して、合計4本または6本のストリングを与えることができる。0.040インチの材料の場合、1個または2個いずれかのループが推奨される。
【0040】
図9は腎臓側端部に単純なコイルを有している他の実施の形態を示す。下方端部は端部が下方端部と上方端部の間の接合部に融着された、ループしたストリング状の要素で構成されている。したがって、偶数個のストリング要素があり、自由端部はない。図9の円Eは膀胱に向かって開いている尿管の理想化された図である。図9には示されていないが、ループのもつれを防止し、ステントの取り扱いを改善するために、ループは膀胱側端部においてきわめて短い距離で融着されている。任意の従来の融着手段を使用することができる。任意選択で、非侵襲性除去ステント(すなわち、センサ内視鏡を必要としない)に使用されているものと同様な長いモノフィラメント・ナイロン・ループ・テールを使用してプッシャ・チューブの内側へループを予め配置しておくことにより、ループの編成を維持することができる。
【0041】
尿管ステントの挿入および除去のための方法は当分野において周知である。一般に、ステントの配置は管状ステント・セグメントをガイドワイヤによって尿管中へ前進させることによって達成される。押込まれたカテーテルは管状セグメントを通って腎臓まで進むが、尾部は膀胱内に残される。剛性のさやなどの他の方法を使用して、ステントを位置決めすることができる。定置されたら、さやは除去することができる。
【0042】
ステントの管状部分は周知の技法にしたがってチューブを押出し成形することによって製造される。細長い尾部は従来の技法により別に製造し、たとえば、生物学的適合性の接着剤または熱を使用して、管状部分に取りつけることができる。あるいは、中空セグメントを作り出すのにピンを使用し、チューブと尾部を単一片として射出成形することによって、ステントを作製することができる。ステントは体内で使用される、ポリウレタンおよびポリエチレンを含むさまざまな生物学的適合性のポリマの任意のものから製造することができる。さらに他の実施の形態において、ステント全体が中実なものであって、尿がステントの外表面だけによって運ばれるようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】管状セグメントの中心部分を省いた、尿管ステントの側面図である。
【図2】図1の線2−2に沿った断面図である。
【図3】図1の尿管ステントの一部の拡大側面図である。
【図4A】図1のステントの他の実施の形態の図である
【図4B】図4Aの4B−4Bに沿って取った断面図である。
【図5A】適正位置で示した、本発明による他のステントの略図である。
【図5B】適正位置で示した、本発明による他のステントの略図である。
【図6A】図5によるステントの尾部の他の断面図である。
【図6B】図5によるステントの尾部の他の断面図である。
【図6C】図5によるステントの尾部の他の断面図である。
【図6D】図5によるステントの尾部の他の断面図である。
【図7】抽出糸を有する、本発明によるさらに他のステントの略図である。
【図7A】図7の一部の拡大図である。
【図8】定位置で示した図7のステントの略図である。
【図8A】尾部と抽出糸の間の接続の詳細図である。
【図8B】間隙空間における圧縮の効果を示す、異なる柔らかさの糸の断面図である。
【図9】ステントの他の実施の形態の図である。
【図10】腎盂、腎臓、尿管、および膀胱へ開いている尿管口を示す、ステントのない人間の尿路系の略図である。
【図11】人体外での従来技術の2重Jステントの図である。
【図12】定置した従来技術のJ型内在尿管ステントの図である。
【符号の説明】
【0044】
10 尿管ステント
12 チューブ
14 端部
16 端部
18a 尿管口
18b オリフィス
20 膀胱
100 尿管ステント
110 尾部
120 膀胱側端部領域
125 開口(入口)
127 開口(出口)
130 管状本体
140 コイル状端部領域
250 環状壁
260 通路
410 尾部
412 内部管腔
415 縫合糸
417 管腔
418 開口
512 上方セグメントコイル
514 下端部
516 糸
517 尿管
810 融着接合部
820 短い方の糸
825 長い方の糸
828 連続ループ
830 引張り点となる長い方の糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i. 少なくとも1つの第1の開口を含んでいる上方領域から、外部表面を有しかつ少なくとも1つの第2の開口を含んでいる下方領域へ延びている細長い管状セグメントと、前記下方領域は尿管ステント使用時に尿管内に位置決めされるに十分な長さを有し、前記管状セグメントはその中を通って延びる第1の開口を第2の開口に接続する管腔を画定している、
ii. 尿管ステント使用時にほぼ腎臓内に位置決めされるように管状セグメントの上方領域から遠位に延びているコイル状端部領域と、
iii. 管状セグメントの下方領域から尿を受けるように、および輸尿表面に沿って尿を運ぶように管状セグメントの下方領域から移行するにつれて小さい外直径ヘテーパしており、管状セグメントの下方領域の外部表面から、薄い可撓性の尾部の輸尿表面への連続的な移行部を含んでいる、外部輸尿表面を有する、ほぼ直線状の薄い可撓性の細長い尾部、
を含んでいる、尿の流れを補助する尿管ステント。
【請求項2】
尿管ステント使用時に、外部輸尿表面が尿管の少なくとも一部に沿って延び、尿管/膀胱接合部を横切り、かつ該接合部から尿管開口を通って膀胱内へ延びている請求項1に記載のステント。
【請求項3】
薄い可撓性の尾部が中実である請求項1に記載のステント。
【請求項4】
尾部の少なくとも一部が中空である請求項1に記載のステント。
【請求項5】
管状セグメントがその長さに沿って複数の開口を含んでいる請求項1に記載のステント。
【請求項6】
尾部の外部輸尿表面が連続的であり、かつ遮られていない請求項1に記載のステント。
【請求項7】
i. 少なくとも1つの第1の開口を含んでいる上方領域から、外部表面を有しかつ少なくとも1つの第2の開口を含んでいる下方領域へ延びている細長い管状セグメントと、前記下方領域は前記尿管ステントが尿管内に位置決めされるとき、尿管の半分以上に延びるように構成され、前記管状セグメントはその中を通って延びる第1の開口を第2の開口に接続する管腔を画定している、
ii. 尿管ステント使用時にほぼ腎臓内に位置決めされるように管状セグメントの上方領域から遠位に延びているコイル状端部領域と、
iii. 管状セグメントの下方領域から尿を受けるように、および輸尿表面に沿って尿を運ぶように管状セグメントの下方領域から移行するにつれて小さい外直径ヘテーパしており、管状セグメントの下方領域の外部表面から、薄い可携性の尾部の輸尿表面への連続的な移行部を含んでいる、外部輸尿表面を有する、ほぼ直線状の薄い可撓性の細長い尾部、
を含んでいる、尿の流れを補助する尿管ステント。
【請求項8】
尿管ステント使用時に、外部輸尿表面が尿管の少なくとも一部に沿って延び、尿管/膀胱接合部を横切り、かつ該接合部から尿管開口を通って膀胱内へ延びている請求項7に記載のステント。
【請求項9】
薄い可撓性の尾部が中実である請求項7に記載のステント。
【請求項10】
尾部の少なくとも一部が中空である請求項7に記載のステント。
【請求項11】
尾部の外部輸尿表面が連続的であり、かつ遮られていない請求項7に記載のステント。
【請求項12】
管腔を画定する管状体、患者の腎臓中に尿管ステントを保持するのを助けるように構成された保持構造及び基部に近い端部を含む末端領域、を含む尿管ステントであって、基部に近い領域は第1のループと第2のループを含み、第1のループと第2のループはそれぞれ末端領域の基部に近い端部から一体的に延びており、それぞれのループの少なくとも一部は患者の膀胱に位置決めされるように構成されている尿管ステント。
【請求項13】
第1のループが連続的で単一(unitary)である請求項12に記載の尿管ステント。
【請求項14】
第1のループの保持力が、尿管ステントを膀胱内に保持するのには不十分である、請求項12に記載の尿管ステント。
【請求項15】
第1のループの末端が、患者の尿管オリフィスから約3cm以上末端に延びている、請求項12に記載の尿管ステント。
【請求項16】
第1のループが末端領域より柔らかい、しなやかな部分を含む、請求項12に記載の尿管ステント。
【請求項17】
第1のループが、患者の尿管オリフィスによる圧力の作用によって圧縮されるようなしなやかな部分を含む、請求項12に記載の尿管ステント。
【請求項18】
第1のループが、尿の逆流を抑制するのに十分なように崩壊するしなやかな部分を含む、請求項12に記載の尿管ステント。
【請求項19】
第1のループが弾力性に富んでいて、ループによって画定される隙間空間に沿って排尿される、請求項12に記載の尿管ステント。
【請求項20】
第1のループと第2のループが両方とも連続的で単一である請求項12に記載の尿管ステント。
【請求項21】
末端領域が基部に近い領域よりも硬度が高い、請求項12に記載の尿管ステント。
【請求項22】
尿管ステントの硬度が、末端領域の末端部から、基部に近い領域の基部末端に向かって徐々に減少する、クレーム12に記載の尿管ステント。
【請求項23】
第1のループの長さが、少なくともその一部を挿管後、腎臓と膀胱の通常の動きを含め、膀胱内に維持するのに十分である、請求項12に記載の尿管ステント。
【請求項24】
第1のループが、膀胱を通してステントを抜管するのに十分な引っ張り強さをもつ、請求項12に記載の尿管ステント。
【請求項25】
すべすべしたコーティングを含む、請求項12に記載の尿管ステント。
【請求項26】
管状体に沿って配置された1つまたはそれ以上の開口を含む、請求項12に記載の尿管ステント。
【請求項27】
管腔を画定する管状体、患者の腎臓中に尿管ステントを保持するのを助けるように構成された保持構造及び基部に近い端部を含む末端領域、を含む尿管ステントであって、基部に近い領域は第1のループと第2のループを含み、第1のループと第2のループはそれぞれ末端領域から延びており、少なくとも一部は患者の膀胱内に位置決めされるように構成されており、末端領域と第1のループと第2のループは実質的に同じ材料から構成されている尿管ステント。
【請求項28】
第1のループが連続的で単一である請求項27に記載の尿管ステント。
【請求項29】
第1の末端を含む上方領域と尿管に位置決めされるように形成された実質的に直線状の下方領域を含む第1の部分と、第1の部分の下方領域から連続的に一体的に延びている第2の部分とを含む医療用器具であって、第2の部分が膀胱内に置くのに適した接合部を含むstiffenedエリアを画定する複数の細長い可撓性の尾部を含み、該接合部が膀胱の尿管オリフィスを分断して該医療用器具が移動しないようにするような、医療用器具。
【請求項30】
細長い可撓性の尾部が、少なくとも1つの長手方向(longitudinal)の通路をその表面に含む請求項29に記載の医療用器具。
【請求項31】
長手方向の通路が、各尾部の長さにそって連続的で分断されていない請求項30に記載の医療用器具。
【請求項32】
尾部が中実である請求項29に記載の医療用器具。
【請求項33】
第1の部分の上方領域と各尾部が外径をもち、各尾部の外径が第1の部分の上方領域の外径より小さい、請求項29に記載の医療用器具。
【請求項34】
尾部が少なくとも1つのフィラメント糸を含む請求項29に記載の医療用器具。
【請求項35】
尾部が複数のフィラメント糸を含む請求項34に記載の医療用器具。
【請求項36】
尾部が少なくとも2つのループフィラメントを含む請求項35に記載の医療用器具。
【請求項37】
尾部が少なくとも1つのループフィラメントを含む請求項34に記載の医療用器具。
【請求項38】
尾部がループになっていないフィラメントを含まないので、尾部が端からほどけてくることがない、請求項37の医療用器具。
【請求項39】
尾部が縦溝付き(fluted)フィラメントを含む請求項34に記載の医療用器具。
【請求項40】
下方領域が尿管の半分以上にわたって延びているように形成されている請求項29に記載の医療用器具。
【請求項41】
下方領域が通常の総腸骨血管と交差する点より上まで延びている請求項29に記載の医療用器具。
【請求項42】
実質的に直線状の下方領域が約12cmの長さである請求項29に記載の医療用器具。
【請求項43】
接合部が複数対の非対称の糸を含む請求項29に記載の医療用器具。
【請求項44】
尾部の接合部が融着されている請求項29に記載の医療用器具。
【請求項45】
細長い第1の末端を含む上方領域と尿管に位置決めされるように形成された実質的に直線状の下方領域を含む第1の部分と、第1の部分の下方領域から連続的に一体的に延びている第2の部分とを含む医療用器具であって、第2の部分が複数の中実の細長い可撓性の尾部を含み、1つまたはそれ以上の尾部がテーパされているような、医療用器具。
【請求項46】
細長い可撓性の尾部が表面に、少なくとも1つの長手法工の通路を含む請求項45に記載の医療用器具。
【請求項47】
第1の部分の上方領域と各尾部が外径を持ち、各尾部の外径が第1の部分の上方領域の外径より小さい、請求項45に記載の医療用器具。
【請求項48】
尾部が少なくとも1つのフィラメント糸を含む請求項45に記載の医療用器具。
【請求項49】
尾部が複数のフィラメント糸を含む請求項48に記載の医療用器具。
【請求項50】
尾部が少なくとも2つのループフィラメントを含む請求項45に記載の医療用器具。
【請求項51】
尾部が縦溝付きフィラメントを含む請求項45に記載の医療用器具。
【請求項52】
尾部が少なくとも1つのループフィラメントを含む請求項45に記載の医療用器具。
【請求項53】
尾部がループになっていないフィラメントを含まないので、尾部が端からほどけてくることがない、請求項52に記載の医療用器具。
【請求項54】
管腔を画定する管状体と末端領域の基部に近い端にある開口とを含む末端領域、と第1と第2のループを含む基部領域とを含む尿管ステントであって、
開口は管腔と連通しており、末端領域は患者の腎臓に尿管ステントを保持するのを補助するように形成された末端保持構造を含み、
実質的に末端領域と同じ材質で形成されている第1と第2のループは、末端領域から延びており、患者の膀胱内に少なくとも部分的に位置決めされるように形成され、それぞれ第1の部分と第2の部分を持ち、第1の部分は末端領域の第1の位置から、第2の部分は末端領域の第2の位置から延びており、第1のループにかかわる第1の位置と第2の位置は軸を画定し、第2のループにかかわる第1の位置と第2の位置も軸を画定し、それらの軸は開口によって画定されるエリア内では交わることがない、
尿管ステント。
【請求項55】
第1のループ及び第2のループが連続的で単一である請求項54に記載の尿管ステント。
【請求項56】
第1の軸と第2の軸が平行である請求項54に記載の尿管ステント。
【請求項57】
保持構造がコイルである請求項54に記載の尿管ステント。
【請求項58】
第1のループ及び第2のループそれぞれが丸い断面を持つ、請求項54に記載の尿管ステント。
【請求項59】
第1のループ及び第2のループが融着されている請求項59に記載の尿管ステント。
【請求項60】
管腔を画定する管状体と末端領域の基部に近い端にある開口とを含む末端領域、と第1と第2のループを含む基部領域とを含む尿管ステントであって、
開口は管腔と連通しており、末端領域は患者の腎臓に尿管ステントを保持するのを補助するように形成された末端保持構造を含み、
実質的に末端領域と同じ材質で形成されている第1と第2のループは、末端領域から一体的に延びており、患者の膀胱内に少なくとも部分的に位置決めされるように形成され、第1のループは第1の部分と第2の部分を持ち、第1の部分は末端領域の第1の位置から、第2の部分は末端領域の第2の位置から延びており、第1のループにかかわる第1の位置と第2の位置は軸を画定し、第2のループにかかわる第1の位置と第2の位置も軸を画定し、それらの軸は開口によって画定されるエリア内では交わることがない
尿管ステント。
【請求項61】
第1の軸と第2の軸が平行である請求項60に記載の尿管ステント。
【請求項62】
第1のループ及び第2のループが連続的で単一である請求項60に記載の尿管ステント。
【請求項63】
末端領域、及び、第1のループと第2のループが外径を持ち、第1のループと第2のループの外径がそれぞれ末端領域の外径より小さい、請求項60の尿管ステント。
【請求項64】
管腔を画定する管状体と末端領域の基部に近い端にある開口とを含む末端領域、と第1と第2のループを含む基部領域とを含む尿管ステントであって、
開口は管腔と連通しており、末端領域は患者の腎臓に尿管ステントを保持するのを補助するように形成された末端保持構造を含み、
実質的に末端領域と同じ材質で形成されている第1と第2のループは、末端領域から一体的に延びており、患者の膀胱内に少なくとも部分的に位置決めされるように形成され、第1のループは第1の部分と第2の部分を持ち、第1の部分は末端領域の第1の位置から、第2の部分は末端領域の第2の位置から延びており、
開口の周辺(perimeter)の第1の部分と第2の部分は、第1のループの第1の部分にかかわる第1の位置と第1のループの第2の部分にかかわる第2の位置との間に位置するが、2つは同じものではなく、
第2のループの第1の部分と第2のループの第2の部分はそれぞれ開口の周辺の第1の部分から延びており、
第1のループにかかわる第1の位置と第2の位置は軸を画定し、第2のループにかかわる第1の位置と第2の位置も軸を画定し、それらの軸は開口によって画定されるエリア内では交わることがない、
尿管ステント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図7A】
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【図8】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−136216(P2007−136216A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−8121(P2007−8121)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【分割の表示】特願平9−518298の分割
【原出願日】平成8年11月6日(1996.11.6)
【出願人】(506419227)ボストン サイエンティフィック リミテッド (1)
【Fターム(参考)】