説明

小型船舶

【課題】小型化した小型船舶の操作装置を提供する。
【解決手段】小型船舶は、動力源とコントローラとディスプレイ装置8とを備える。コントローラは、動力源を制御する。ディスプレイ装置は、コントローラと通信を行い、タッチパネル機能を有する。ディスプレイ装置は、小型船舶の移動を操作するためのソフトウェアキーを表示する。ソフトウェアキーは、方向キー91を含む。方向キー91は、小型船舶の横移動及び前後方向への移動を操作するためのキーであり、小型船舶の移動方向に対応した複数のキーを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
小型船舶には、小型船舶の移動を操作するための操作装置を備えているものがある。例えば、特許文献1に開示されている船舶は、ジョイスティックを備えている。ジョイスティックは、中立位置から傾倒操作可能なレバーを含む。レバーの操作に応じて推進ユニットおよび転舵ユニットが制御される。具体的には、レバーの操作方向に応じて推進力の方向が制御される。また、レバーの傾倒量に応じて推進力の大きさが制御される。オペレータは、離岸時および着岸時に、ジョイスティックを操作することにより、船舶の操作を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−140272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
小型船舶の通常の航走時には、オペレータは、ステアリングホイールおよびリモコンレバーを用いて船舶を操作する。従って、ジョイスティック等の離岸時および着岸時の操作装置は、通常航走時には使用されない。そのため、ジョイスティック等の操作装置はコンパクトなほうが、通常航走時に邪魔にならず好ましい。
【0005】
本発明の課題は、小型船舶の操作装置を小型化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る小型船舶は、動力源とコントローラとディスプレイ装置とを備える。コントローラは、動力源を制御する。ディスプレイ装置は、コントローラと通信を行い、タッチパネル機能を有する。ディスプレイ装置は、小型船舶の移動を操作するためのソフトウェアキーを表示する。
【0007】
本発明の第2の態様に係る小型船舶は、動力源とコントローラとを備える。コントローラは、動力源を制御する。コントローラは、タッチパネル機能を有する外部のモバイル端末と通信可能である。コントローラは、モバイル端末へのタッチパネル操作に基づいて小型船舶の移動を操作する。
【0008】
本発明の第3の態様に係る小型船舶は、動力源とコントローラとを備える。コントローラは、動力源を制御する。コントローラは、外部のモバイル端末と通信可能である。モバイル端末は、モバイル端末自身の傾きを検出する。コントローラは、モバイル端末の傾きに基づいて小型船舶の移動を操作する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の態様に係る小型船舶では、オペレータは、ディスプレイ装置に表示されたソフトウェアキーを操作することによって、小型船舶の移動を操作することができる。このため、従来のジョイスティック等の操作装置を用いずに、小型船舶の移動を操作することができる。これにより、小型船舶の操作装置を小型化することができる。
【0010】
本発明の第2の態様に係る小型船舶では、オペレータは、外部のモバイル端末のタッチパネル操作によって、小型船舶の移動を操作することができる。このため、従来のジョイスティック等の操作装置を用いずに、小型船舶の移動を操作することができる。これにより、小型船舶の操作装置を小型化することができる。さらに、小型船舶の操縦席以外の場所で、或いは、小型船舶の外から小型船舶の移動を操作することもできる。
【0011】
本発明の第3の態様に係る小型船舶では、オペレータは、外部のモバイル端末を傾けることによって、小型船舶の移動を操作することができる。このため、従来のジョイスティック等の操作装置を用いずに、小型船舶の移動を操作することができる。これにより、小型船舶の操作装置を小型化することができる。さらに、小型船舶の操縦席以外の場所で、或いは、小型船舶の外から小型船舶の移動を操作することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る小型船舶の斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る小型船舶の船舶推進機の側面図。
【図3】小型船舶の機器ネットワークシステムの構成を示す模式図。
【図4】ディスプレイ装置に表示される画面の一例を示す図。
【図5】ディスプレイ装置に表示される画面の一例を示す図。
【図6】障害物の監視画面を示す図。
【図7】陸上での小型船舶の搬送状態を示す側面図。
【図8】自動車のカーナビゲーション装置に表示される小型船舶の俯瞰画像を示す図。
【図9】ディスプレイ装置に表示されるソフトウェアキーを示す図。
【図10】小型船舶の操縦用のソフトウェアキーの一例を示す図。
【図11】小型船舶の操縦用のソフトウェアキーの他の例を示す図。
【図12】小型船舶の操縦用のソフトウェアキーのさらに他の例を示す図
【図13】ディスプレイ装置に表示されるモバイル端末の画面の一例を示す図。
【図14】ディスプレイ装置に表示されるモバイル端末の画面の他の例を示す図。
【図15】防水ケースの断面図。
【図16】盗難防止機能の構成を示す模式図。
【図17】ディスプレイ装置に表示される小型船舶のメンテナンス画面を示す図。
【図18】ディスプレイ装置に表示される小型船舶の設定画面を示す図。
【図19】ディスプレイ装置に表示される魚群探知画面を示す図。
【図20】ディスプレイ装置に表示されるレンタル管理画面を示す図。
【図21】スマートキーシステムを搭載した小型船舶の機器ネットワークシステムの構成を示す模式図。
【図22】本発明の第2実施形態に係る小型船舶の機器ネットワークシステムの構成を示す模式図。
【図23】本発明の他の実施形態に係る水ジェット推進機の構造を示す側面断面図。
【図24】本発明の他の実施形態に係るスポーツボートの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0014】
1.第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係る小型船舶1を示す斜視図である。小型船舶1は、船体2と、複数の船舶推進機3a−3cとを備える。本実施形態では、小型船舶1は、3つの船舶推進機(以下、「第1船舶推進機3a」と「第2船舶推進機3b」と「第3船舶推進機3c」呼ぶ)を備えている。第1船舶推進機3aと第2船舶推進機3bと第3船舶推進機3cとは、船体2の船尾に取り付けられる、いわゆる船外機である。第1船舶推進機3aと第2船舶推進機3bと第3船舶推進機3cとは、船体2の幅方向に並んで配置されている。具体的には、第1船舶推進機3aは、船尾の右舷に配置されている。第2船舶推進機3bは、船尾の左舷に配置されている。第3船舶推進機3cは、船尾の中央、すなわち、第1船舶推進機3aと第2船舶推進機3bとの間に配置されている。第1船舶推進機3aと第2船舶推進機3bと第3船舶推進機3cとは、それぞれ小型船舶1を推進させる推進力を発生させる。船体2は、操船席4を含む。操船席4には、ステアリング装置5と、リモコン装置6と、中央コントローラ7と、ディスプレイ装置8とが、配置されている。ステアリング装置5は、オペレータが小型船舶1の旋回方向を操作するための装置である。リモコン装置6は、オペレータが船速を調整するための装置である。また、リモコン装置6は、オペレータが小型船舶1の前進と後進とを切り替えるための装置である。中央コントローラ7は、小型船舶1に搭載された複数の機器を統合制御する。ディスプレイ装置8は、操船席4の前方など操船席4から見えやすい位置に配置されている。ディスプレイ装置8は、中央コントローラ7と通信を行い、小型船舶1の情報を表示する。機器ステアリング装置5、リモコン装置6、中央コントローラ7、ディスプレイ装置8については、後に詳細に説明する。
【0015】
図2は、第1船舶推進機3aの側面図である。以下、第1船舶推進機3aの構造について説明するが、第2船舶推進機3b及び第3船舶推進機3cの構造も第1船舶推進機3aの構造と同様である。第1船舶推進機3aは、カバー部材11aと、エンジン12aと、プロペラ13aと、動力伝達機構14aと、ブラケット15aを有する。カバー部材11aは、エンジン12aと動力伝達機構14aとを収容している。エンジン12aは、第1船舶推進機3aの上部に配置されている。エンジン12aは、小型船舶1を推進させる動力を発生させる動力源の一例である。プロペラ13aは、第1船舶推進機3aの下部に配置されている。プロペラ13aは、エンジン12aからの駆動力により回転駆動される。動力伝達機構14aは、エンジン12aからの駆動力をプロペラ13aに伝達する。動力伝達機構14aは、ドライブシャフト16aと、プロペラシャフト17aと、シフト機構18aとを含む。ドライブシャフト16aは、上下方向に沿って配置される。
【0016】
ドライブシャフト16aは、エンジン12aのクランクシャフト19aに連結されており、エンジン12aからの動力を伝達する。プロペラシャフト17aは、前後方向に沿って配置されている。プロペラシャフト17aは、シフト機構18aを介してドライブシャフト16aの下部に連結されている。プロペラシャフト17aは、ドライブシャフト16aからの駆動力をプロペラ13aに伝達する。
【0017】
シフト機構18aは、ドライブシャフト16aからプロペラシャフト17aへ伝達される動力の回転方向を切り換える。シフト機構18aは、ピニオンギア21aと前進用ギア22aと後進用ギア23aとドッグクラッチ24aとを有する。ピニオンギア21aは、ドライブシャフト16aに連結されている。ピニオンギア21aは、前進用ギア22a及び後進用ギア23aと噛み合っている。前進用ギア22aと後進用ギア23aとは、プロペラシャフト17aに対して相対回転可能に設けられている。ドッグクラッチ24aは、プロペラシャフト17aの軸線方向に沿って、前進位置と後進位置と中立位置とに移動可能に設けられている。中立位置は、前進位置と後進位置との間の位置である。ドッグクラッチ24aが前進位置に位置しているときには、ドライブシャフト16aの回転は、前進用ギア22aを介してプロペラシャフト17aに伝達される。これにより、船体2を前進させる方向にプロペラ13aが回転する。ドッグクラッチ24aが後進位置に位置しているときには、ドライブシャフト16aの回転が後進用ギア23aを介してプロペラシャフト17aに伝達される。これにより、船体2を後進させる方向にプロペラ13aが回転する。ドッグクラッチ24aが中立位置に位置する場合には、前進用ギア22aと後進用ギア23aとは、それぞれプロペラシャフト17aに対して相対回転可能となる。すなわち、ドライブシャフト16aからの回転は、プロペラシャフト17aには伝達されず、プロペラシャフト17aは空転可能となる。
【0018】
ブラケット15aは、第1船舶推進機3aを船体2に取り付けるための機構である。第1船舶推進機3aは、ブラケット15aを介して、船体2の船尾に着脱可能に固定される。第1船舶推進機3aは、ブラケット15aのチルト軸Ax1aを中心に回動可能に取り付けられる。チルト軸Ax1aは、船体2の幅方向に延びている。第1船舶推進機3aは、ブラケット15aの操舵軸Ax2aを中心に回動可能に取り付けられる。第1船舶推進機3aを操舵軸Ax2aまわりに回動させることによって、操舵角を変化させることができる。操舵角は、船体2の前後方向に延びる中心線に対して推進力の方向がなす角度である。また、第1船舶推進機3aをチルト軸Ax1aまわりに回動させることによって、第1船舶推進機3aのトリム角を変化させることができる。トリム角は、船体2に対する船舶推進機の取り付け角に相当する。
【0019】
図3は、小型船舶1に搭載された機器ネットワークシステムの構成を示す模式図である。機器ネットワークシステムは、上述した第1船舶推進機3aと、第2船舶推進機3bと、第3船舶推進機3cと、ステアリング装置5と、リモコン装置6と、中央コントローラ7と、ディスプレイ装置8とを含む。また、小型船舶1の機器ネットワークシステムは、第1付加機能システム9と、第2付加機能システム10とを含む。
【0020】
第1船舶推進機3aは、第1エンジンECU(electric control unit)31aと、第1スタータモータ32aと、第1燃料噴射装置33aと、第1スロットルアクチュエータ34aと、第1点火装置35aと、第1シフトアクチュエータ36aと、第1チルトトリムアクチュエータ37aと、第1操舵アクチュエータ38aと、を含む。
【0021】
第1スタータモータ32aは、エンジン12aを始動させる。第1燃料噴射装置33aは、エンジン12aの燃焼室に供給される燃料を噴射する。第1スロットルアクチュエータ34aは、エンジン12aのスロットル弁の開度を変更する。エンジン12aのスロットル弁の開度が変更されることにより、燃焼室へ送られる混合気の量が調整される。第1点火装置35aは、燃焼室内の燃料に点火する。第1シフトアクチュエータ36aは、上述したドッグクラッチ24aの位置を前進位置と後進位置と中立位置とに切り替える。第1チルトトリムアクチュエータ37aは、第1船舶推進機3aをブラケット15aのチルト軸Ax1aを中心に回動させる。これにより、第1船舶推進機3aのチルト角が変更される。第1操舵アクチュエータ38aは、第1船舶推進機3aをブラケット15aの操舵軸Ax2aを中心に回動させる。これにより、第1船舶推進機3aの操舵角が変更される。
【0022】
第1エンジンECU31aは、エンジン12aの制御プログラムを記憶している。第1エンジンECU31aは、ステアリング装置5及びリモコン装置6からの信号や、第1船舶推進機3aに搭載された各種のセンサ(図示せず)が検出した情報に基づいて、第1スタータモータ32aと、第1燃料噴射装置33aと、第1スロットルアクチュエータ34aと、第1点火装置35aと、第1シフトアクチュエータ36aと、第1チルトトリムアクチュエータ37aと、第1操舵アクチュエータ38aとの動作を制御する。第1エンジンECU31aは、中央コントローラ7と通信線を介して接続されている。例えば、第1エンジンECU31aは、中央コントローラ7とCAN(Controller Area Network)プロトコルを用いて通信を行う。
【0023】
第2船舶推進機3bは、第2エンジンECU31bと、第2スタータモータ32bと、第2燃料噴射装置33bと、第2スロットルアクチュエータ34bと、第2点火装置35bと、第2シフトアクチュエータ36bと、第2チルトトリムアクチュエータ37bと、第2操舵アクチュエータ38bとを含む。第3船舶推進機3cは、第3エンジンECU31cと、第3スタータモータ32cと、第3燃料噴射装置33cと、第3スロットルアクチュエータ34cと、第3点火装置35cと、第3シフトアクチュエータ36cと、第3チルトトリムアクチュエータ37cと、第3操舵アクチュエータ38cとを含む。第2船舶推進機3b及び第3船舶推進機3cのこれらの機器は、上述した第1船舶推進機3aの機器と同様の機能を有しているため、詳細な説明を省略する。なお、図3においては、第1船舶推進機3aと第2船舶推進機3bとにおいて互いに対応する機器には、同一の数字を有する符号を付している。同様に、第1船舶推進機3aと第3船舶推進機3cとにおいて互いに対応する機器には、同一の数字を有する符号を付している。
【0024】
リモコン装置6は、第1操作部材41aと第1操作位置センサ42aと第1PTT操作部材43aと第2操作部材41bと第2操作位置センサ42bと第2PTT操作部材43bとリモコンECU44とを含む。第1操作部材41aは、例えばレバーである。第1操作部材41aは、前後方向に傾倒可能である。第1操作位置センサ42aは、第1操作部材41aの操作位置を検出する。オペレータが、第1操作部材41aを操作すると、第1シフトアクチュエータ36aが駆動されることにより、第1船舶推進機3aのドッグクラッチ24aが第1操作部材41aの操作位置に応じたシフト位置に設定される。これにより、オペレータは、第1船舶推進機3aのプロペラ13aの回転方向を前進方向と後進方向とに切り替えることができる。また、第1船舶推進機3aの目標エンジン回転速度が第1操作部材41aの操作位置に応じた値に設定される。これにより、オペレータは、第1船舶推進機3aのプロペラ13aの回転速度を調整することができる。第1PTT操作部材43aは、例えばスイッチである。オペレータが、第1PTT操作部材43aを操作すると、第1チルトトリムアクチュエータ37aが駆動される。これによって、オペレータは、第1船舶推進機3aのトリム角を変更することができる。
【0025】
第2操作部材41bは、例えばレバーである。第2操作部材41bは、第1操作部材41aと左右に並んで配置されている。第2操作部材41bは、前後方向に傾倒可能である。第2操作位置センサ42bは、第2操作部材41bの操作位置を検出する。オペレータが、第2操作部材41bを操作すると、第2シフトアクチュエータ36bが駆動されることにより、第2船舶推進機3bのドッグクラッチが第2操作部材41bの操作位置に応じたシフト位置に設定される。これにより、オペレータは、第2船舶推進機3bのプロペラの回転方向を前進方向と後進方向とに切り替えることができる。また、第2船舶推進機3bの目標エンジン回転速度が第2操作部材41bの操作位置に応じた値に設定される。これにより、オペレータは、第2船舶推進機3bのプロペラの回転速度を調整することができる。第2PTT操作部材43bは、例えばスイッチである。オペレータが、第2PTT操作部材43bを操作すると、第2チルトトリムアクチュエータ37bが駆動される。これによって、オペレータは、第2船舶推進機3bのトリム角を変更することができる。
【0026】
第3船舶推進機3cの前後進の切替及び第3船舶推進機3cの目標エンジン回転速度は、第1操作部材41aと第2操作部材41bとの操作に従う。具体的には、第1操作部材41aと第2操作部材41bとの操作位置に対応したシフト位置が一致していれば、第3船舶推進機3cのドッグクラッチが、当該シフト位置に設定される。第3船舶推進機3cの目標エンジン回転速度は、第1船舶推進機3aの目標エンジン回転速度と第2船舶推進機3bの目標エンジン回転速度の平均値に設定される。第1操作部材41aと第2操作部材41bとの操作位置に対応するシフト位置が不一致であれば、第3船舶推進機3cのドッグクラッチは中立位置に設定される。この場合、第3船舶推進機3cの目標エンジン回転速度は、所定のアイドル回転速度に設定される。
【0027】
リモコンECU44は、中央コントローラ7と通信線を介して接続されている。例えば、リモコンECU44は、中央コントローラ7とアナログ信号により通信を行う。リモコンECU44は、第1操作位置センサ42aの検出信号および第2操作位置センサ42bの検出信号を中央コントローラ7に送信する。また、リモコンECU44は、第1PTT操作部材43a及び第2PTT操作部材43bからの操作信号を中央コントローラ7に送信する。
【0028】
ステアリング装置5は、ステアリング操作部材45と、ステアリング位置センサ46と、ステアリングECU47とを含む。ステアリング操作部材45は、例えばハンドルである。ステアリング位置センサ46は、ステアリング操作部材45の操作量すなわち操作角を検出する。オペレータがステアリング操作部材45を操作すると、第1操舵アクチュエータ38aと第2操舵アクチュエータ38bと第3操舵アクチュエータ38cとが駆動される。これにより、オペレータは、小型船舶1の進行方向を調整することができる。ステアリングECU47は、中央コントローラ7と通信線を介して接続されている。例えば、ステアリングECU47は、中央コントローラ7とアナログ信号により通信を行う。ステアリングECU47は、ステアリング位置センサ46の検出信号を中央コントローラ7に送信する。
【0029】
第1付加機能システム9は、ワイパー51、ブロアー52、ソナー53、ビルジポンプ54、トリムタブ55、サイドスラスタ56、船舶灯57、スピーカー58、及び、各種の計測機器59を含む。ワイパー51は、運転席の前方のフロントウィンドウに取り付けられている。ブロアー52は、エンジンルーム内の換気を行う。なお、ブロアー52は、第1〜第3船舶推進機3a−3cのそれぞれに備えられているが、図3においては1つのブロアー52のみを図示して他のブロアーは省略している。ソナー53は、船体2の周囲の水中に音波を発することにより、水中の物体の位置を測定する。ビルジポンプ54は、船底に溜まった水を外部に汲み出すポンプである。トリムタブ55は、プロペラ13aの回転によって生じる船体2の左右方向へのブレを抑える。トリムタブ55は、図示しないフィンと、フィンの向きを変更する駆動装置とを含む。なお、トリムタブ55は、第1〜第3船舶推進機3a−3cのそれぞれに備えられているが、図3においては1つのトリムタブ55のみを図示して他のトリムタブは省略している。サイドスラスタ56は、船体2を横方向に動かすための推進力を発生させる。サイドスラスタ56は、例えば、船首に設けられるバウスラスタと、船尾に設けられるスターンスラスタとを含む。サイドスラスタ56は、図示しないプロペラと、プロペラを駆動する駆動装置とを含む。船舶灯57は、例えば、マスト灯、船尾灯、停泊灯、航海灯を含む。スピーカー58は、船内に配置されており、音声を出力する。第1付加機能システム9のこれらの機器は、中央コントローラ7と通信線を介して接続されている。例えば、第1付加機能システム9の機器は、第1〜第3船舶推進機3a−3cのメーカーから提供される機器である。第1付加機能システム9の機器は、中央コントローラ7と第1〜第3エンジンECUとの間で行われる通信と同じ通信インターフェースによって、中央コントローラ7と通信を行う。例えば、第1付加機能システム9の機器は、中央コントローラ7とCANプロトコルを用いて通信を行う。或いは、第1付加機能システム9の機器は、中央コントローラ7とアナログ信号により通信を行ってもよい。また、第1付加機能システム9は、撮像装置60を含む。撮像装置60は、例えばカメラを含む。撮像装置60は、画像を撮影して、画像の電子データを生成する。なお、ここでいう「画像」とは、写真などの静止画を意味する。また、撮像装置60は、動画を撮影して、動画の電子データを生成する。なお、第1付加機能システム9は、上述した機器の他に、ホーン、船内の照明、船舶に設けられる生簀の中の水を入れ替えるための生簀ポンプなどを含んでもよい。
【0030】
第2付加機能システム10は、オートパイロット装置61、GNSS受信機62、無線機63(two-way radio)、及び、各種の計測機器64を含む。オートパイロット装置61は、設定された針路を保持するための装置である。オートパイロット装置61は、設定した方位から針路がずれると、小型船舶1の針路を修正するための指令信号を中央コントローラ7に送信する。中央コントローラ7は、オートパイロット装置61からの指令信号に基づいて、第1〜第3操舵アクチュエータ38a−38cなどの機器を制御する。これにより、小型船舶1の針路が自動的に修正される。
【0031】
GNSS受信機62は、GPSなどのGNSS(Global Navigation Satellite Systems)の受信機であり、小型船舶1の現在位置を計測する。無線機63は、例えば国際VHF無線(Marine VHF radio)機であり、所定周波数帯の電波を介して音声による通信を行う。各種の計測機器64は、方位計64a、船速計64b、風向・風速計64cなどの機器を含む。第2付加機能システム10の機器は、中央コントローラ7と通信線を介して接続されている。第2付加機能システム10の機器は、第1〜第3船舶推進機3a−3cのメーカーと異なるサードパーティ(the third party)製の機器である。従って、第2付加機能システム10の機器は、中央コントローラ7と第1〜第3エンジンECU31a−31cとの間で行われる通信と同じ通信インターフェースによって、中央コントローラ7と通信を行うとは限らない。第2付加機能システム10の機器の一部は、中央コントローラ7と第1〜第3エンジンECU31a−31cとの間で行われる通信と異なる通信インターフェースによって、中央コントローラ7と通信を行うことがありうる。例えば、第2付加機能システム10の機器は、中央コントローラ7とNMEA(National Marine Electronics Association)プロトコルにより通信を行う。或いは、第2付加機能システム10の機器は、第1付加機能システム9の機器と同様に、中央コントローラ7とCANプロトコルにより通信を行ってもよい。
【0032】
中央コントローラ7は、上述した小型船舶1に搭載された複数の機器と共に、小型船舶1内の機器ネットワークシステムを構成する。中央コントローラ7は、機器ネットワークシステムの中心的な役割を果たすネットワークホストとして機能する。中央コントローラ7は、CPUなどの演算装置71と、メモリ72と、記憶装置73と、出力装置74と、第1通信装置75と、第2通信装置76と、第3通信装置77とを含む。記憶装置73は、例えばハードディスク或いはフラッシュメモリなどの装置である。或いは、記憶装置73は、SDカードやUSBメモリなどの外部記録媒体を利用するものであってもよい。出力装置74は、ディスプレイ装置8に映像信号を出力する。なお、ディスプレイ装置8がスピーカーを内蔵している場合には、出力装置74は、映像信号と共に音声信号をディスプレイ装置8に出力してもよい。
【0033】
第1通信装置75は、第1船舶推進機3aと第2船舶推進機3bと第3船舶推進機3cとステアリング装置5とリモコン装置6と第1付加機能システム9の機器と第2付加機能システム10の機器と通信を行うための装置である。第1通信装置75は、図示しない複数のポートを含む。複数のポートには、上述した第1〜第3エンジンECU31a−31c、ステアリングECU47、リモコンECU44、第1付加機能システム9の機器、第2付加機能システム10の機器からの通信線が接続される。第1通信装置75は、ゲートウェイ75aを含む。第2付加機能システム10の機器は、ゲートウェイ75aを介して、中央コントローラ7に接続される。第2通信装置76は、小型船舶1の機器ネットワークの外部にある機器と通信を行うための装置である。第2通信装置76は、例えば、Bluetooth或いは無線LANによる通信によって、外部の機器と通信を行う。外部の機器は、例えば、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末100である。第3通信装置77は、インターネットと接続するための装置である。第3通信装置77は、移動体通信の基地局200と通信を行う。例えば、第3通信装置77は、3G或いは4Gなどの移動体通信を利用して、インターネットに接続する。
【0034】
ディスプレイ装置8は、GUI(Graphical User Interface)によって小型船舶1の情報を表示する。ディスプレイ装置8は、中央コントローラ7に接続された機器の情報を表示する。ディスプレイ装置8は、例えば、液晶ディスプレイ、或いは、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどのディスプレイを含む。また、ディプレイ装置は、タッチパネル機能を有している。オペレータは、タッチパネル機能によって、ディスプレイ装置8の表示画面を切り替えることができる。また、オペレータは、タッチパネル機能によって、上述した機器の操作を行うことができる。図4及び図5は、ディスプレイ装置8に表示される画面の一例である。図4では、ディスプレイ装置8は、第1〜第3船舶推進機3a−3cのエンジン回転速度を示すアナログメータ81a−81cを表示している。また、図5では、ディスプレイ装置8は、第1〜第3船舶推進機3a−3cのエンジン回転速度を示すデジタルメータ82a−82cを表示している。以下、中央コントローラ7及びディスプレイ装置8に搭載される機能について詳細に説明する。
【0035】
(1)画像及び動画表示機能
ディスプレイ装置8は、上述した撮像装置60によって撮影された画像を表示する。また、ディスプレイ装置8は、撮像装置60によって撮影された動画を表示する。撮像装置60は、小型船舶1の後方の景色を動画として撮影する。ディスプレイ装置8は、撮像装置60によって撮影された動画をリアルタイムに表示する。これにより、オペレータは、例えばウェイクボード中の後方確認をディスプレイ装置8の画像によって行うことができる。また、撮像装置60は、小型船舶1の後方の景色を画像として撮影することもできる。ディスプレイ装置8は、撮像装置60によって撮影された画像を表示する。
【0036】
上記のように撮像装置60によって撮影された画像及び動画の電子データは、記憶装置73に保存される。これにより、ウェイクボードなど小型船舶1を使った遊びの様子を動画或いは画像によって記録することができる。また、中央コントローラ7は、記憶装置73に保存された電子データを、第2通信装置76を介して、外部のモバイル端末100に送信可能である。これにより、記憶装置73に保存された画像や動画をモバイル端末100を介して、SNS(Social Networking Service)、ブログ、或いは、動画共有サービスなどに容易にアップロードすることができる。
【0037】
また、撮像装置60は、小型船舶1の後方に限らず他の方向の景色を動画として撮影してもよい。ディスプレイ装置8は、撮像装置60によって撮影された動画をリアルタイムに表示する。この場合、オペレータは、操船席4からの視界が悪い方向の景色をディスプレイ装置8の画像によって確認することができる。これにより、小型船舶1の周囲の視認性を向上させることができる。また、撮像装置60は、小型船舶1の後方に限らず他の方向の景色を画像として撮影してもよい。
【0038】
さらに、中央コントローラ7は、撮像装置60によって撮影された画像又は動画を用いて、水上の障害物の監視を行う。中央コントローラ7は、撮像装置60によって撮影された画像又は動画の画像処理を行うことにより、障害物の有無を判定する。そして、中央コントローラ7は、障害物が存在すると判定したときには、オペレータに報知する。例えば、図6に示すように、中央コントローラ7は、ディスプレイ装置8に表示された画面83上において、障害物にマーク84を付することにより、オペレータへの報知を行う。或いは、スピーカー58から警告音が出力されることによって、オペレータへの報知が行われてもよい。
【0039】
上記のように、撮像装置60によって撮影された画像及び動画の電子データが、記憶装置73に保存されることにより、撮像装置60及び中央コントローラ7をドライブレコーダーとして利用することもできる。ドライブレコーダーは、万一の事故の発生時に、事故が発生した瞬間の映像を動画或いは画像によって記録する装置である。この場合、中央コントローラ7は、航行中にトリガーとなりうる情報が検出されたときに、撮像装置60によって撮影された動画又は画像を記録装置に保存する。トリガーとなりうる情報は、事故が発生したと想定できる情報であり、例えば、小型船舶1への衝撃が検出されることである。或いは、トリガーとなりうる情報は、ステアリング装置5やリモコン装置6の急操作であってもよい。
【0040】
(2)カーナビゲーション連動機能
図7に示すように、小型船舶1は、自動車300とトレーラ301とによって海岸や湖まで輸送され、スロープを使って小型船舶1を着水させることがある。この場合、オペレータは、目視によって小型船舶1の周囲の安全確認を実行する必要があるため、オペレータが単独で出航準備を行うことは困難である。
【0041】
そこで、本実施形態では、中央コントローラ7は、無線または有線による通信手段を用いて自動車300に搭載されたカーナビゲーション装置302と通信を行うことにより、撮像装置60によって撮影された画像又は動画をカーナビゲーション装置302に転送する。図8は、カーナビゲーション装置302に表示される画面303を示している。図8に示すように、中央コントローラ7は、撮像装置60によって撮影された小型船舶1の周囲の画像を合成して、小型船舶1を上方から見た俯瞰画像を合成する。中央コントローラ7は、俯瞰画像の電子データをカーナビゲーション装置302に転送する。これにより、オペレータは、着水作業時に、自動車300の運転席に居ながら小型船舶1の様子を確認することができる。なお、中央コントローラ7は、俯瞰画像ではなく、小型船舶1の周囲の画像、特に小型船舶1の後方の画像を自動車300のカーナビゲーション装置302に転送してもよい。
【0042】
(3)ソフトウェアキーによる機器の操作機能
ディスプレイ装置8のタッチパネル機能を利用することにより、機器の操作をディスプレイ装置8のタッチ操作によって行うことができる。具体的には、図9に示すように、ディスプレイ装置8は、ソフトウェアキーを表示する。例えば、オペレータは、ソフトウェアキーをタップすることにより、或いはドラッグすることにより、機器の操作を行うことができる。
【0043】
ソフトウェアキーは、メインスイッチ85と、第1始動/停止スイッチ86aと、第2始動/停止スイッチ86bと、第3始動/停止スイッチ86cとを含む。メインスイッチ85は、小型船舶1の機器ネットワークシステム全体の電源をオン/オフするためのスイッチである。第1始動/停止スイッチ86aは、第1船舶推進機3aのエンジン12aの始動と停止とを操作するためのスイッチである。第2始動/停止スイッチ86bは、第2船舶推進機3bのエンジンの始動と停止とを操作するためのスイッチである。第3始動/停止スイッチ86cは、第3船舶推進機3cのエンジンの始動と停止とを操作するためのスイッチである。
【0044】
また、ソフトウェアキーは、微速調整スイッチ87を含む。オペレータは、微速調整スイッチ87を操作することにより、エンジン回転速度の微調整を行うことができる。微速調整スイッチ87は、UPスイッチ87aとDOWNスイッチ87bとを含む。UPスイッチ87aが1回タップされるごとに、エンジン回転速度が、所定回転速度、上昇する。また、DOWNスイッチ87bが1回タップされるごとに、エンジン回転速度が、所定回転速度、低下する。
【0045】
また、ソフトウェアキーは、第1付加機能システム9の機器及び第2付加機能システム10の機器の操作スイッチを含む。例えば、ソフトウェアキーは、ビルジスイッチ88aと、ワイパースイッチ88bと、ブロアースイッチ88cとを含む。オペレータは、これらのスイッチを操作することにより、ビルジポンプ54、ワイパー51、ブロアー52などの機器のオン/オフを切り替えることができる。
【0046】
また、ソフトウェアキーは、モード切替スイッチ89を含む。モード切替スイッチ89は、表示モードを切り替えるスイッチである。オペレータは、モード切替スイッチ89を操作することにより、ディスプレイ装置8の表示画面を切り替えることができる。例えば、モード切替スイッチ89によって、他の機器の操作画面に切り替えることができる。
【0047】
なお、第1〜第3エンジンECU31a−31cが実行する制御モードを切り替えるための制御切替スイッチが表示されてもよい。例えば、制御切替スイッチは、NO-WAKE-MODEスイッチとクルーズコントロールスイッチとを含む。NO-WAKE-MODEは、予め定められたエンジン回転速度を維持して低速走行を行う制御である。中央コントローラ7は、NO-WAKE-MODEスイッチがオンされたときに、NO-WAKE-MODEを実行するように第1〜第3エンジンECU31a−31cに指令信号を送信する。クルーズコントロールは、クルーズコントロールスイッチが操作された時点での回転速度に、エンジン回転速度を保つ制御である。中央コントローラ7は、クルーズコントロールスイッチがオンされたときに、クルーズコントロールを実行するように第1〜第3エンジンECU31a−31cに指令信号を送信する。
【0048】
以上のように、機器の操作を行うためのスイッチが、ディスプレイ装置8にソフトウェアキーとして表示される。これにより、機械的なスイッチを省略することができるので、小型船舶1の部品点数を削減することができる。これにより、製造コストを削減することができる。また、プログラムの変更によってソフトウェアキーのデザインや数の変更が容易であるため、同一のハードウェアによって小型船舶1の仕様の違いに容易に対応することができる。さらに、機械的なスイッチと比べて、ソフトウェアキーは雨や航行中の水しぶきに晒されても、スイッチの劣化が無い。このため、操作機器の信頼性が向上する。
【0049】
(4)ソフトウェアキーによる小型船舶1の操縦機能
ディスプレイ装置8のタッチパネル機能を利用することにより、小型船舶1の操縦を行うことができる。具体的には、図10に示すように、ディスプレイ装置8は、ソフトウェアキーを表示する。ソフトウェアキーは、方向キー91を含む。方向キー91は、小型船舶1の横移動及び前後方向への移動を操作するためのキーであり、小型船舶1の移動方向に対応した複数のキーを含む。ここで、「小型船舶1の横移動」は、小型船舶1を左右方向に平行移動させることを意味しており、例えば接岸時などに利用される。図10において、方向キー91は、方向ボタンである。具体的には、方向ボタンは、左ボタン91Lと右ボタン91Rとを含む。オペレータが左ボタン91L又は右ボタン91Rを操作すると、中央コントローラ7は、小型船舶1が指定された方向に移動するように、サイドスラスタ56及び第1〜第3船舶推進機3cを制御する。また、ソフトウェアキーは、前ボタン91Fと後ボタン91Bとを含む。オペレータが前ボタン91F又は後ボタン91Bを操作すると、中央コントローラ7は、小型船舶1が指定された方向に移動するように、サイドスラスタ56及び第1〜第3船舶推進機3cを制御する。
【0050】
ソフトウェアキーは、旋回キー92を含む。旋回キー92は、小型船舶1をその場旋回(pivoting)させるためのキーである。図10において、旋回キー92は、旋回ボタンである。旋回ボタンは、右旋回ボタン92Rと左旋回ボタン92Lとを含む。右旋回ボタン92Rは、小型船舶1を右回りにその場旋回させるためのボタンである。左旋回ボタン92Lは、小型船舶1を左回りにその場旋回させるためのボタンである。オペレータが旋回ボタンを操作すると、中央コントローラ7は、小型船舶1が指定された方向にその場旋回するように、サイドスラスタ56及び第1〜第3船舶推進機3cを制御する。
【0051】
或いは、図11に示すように、上述した方向ボタン91L,91R,91F,91B及び旋回ボタン92L,92Rに代えて、小型船舶1を示す操作アイコン93が表示されてもよい。オペレータは、操作アイコン93をドラッグして左右にスライドさせることができる。これにより、中央コントローラ7は、操作アイコン93のスライド方向に対応する方向に小型船舶1が移動するように、サイドスラスタ56及び第1〜第3船舶推進機3cを制御する。また、オペレータは、操作アイコン93をドラッグして、右回り或いは左回りにその場旋回させることができる。これにより、中央コントローラ7は、操作アイコン93の旋回方向に対応する方向に小型船舶1がその場旋回するように、サイドスラスタ56及び第1〜第3船舶推進機3cを制御する。
【0052】
或いは、図12に示すように、上述した方向ボタン91L,91R,91F,91Bに代えて、方向レバー94が表示されてもよい。また、上述した旋回ボタン92L,92Rに代えて、旋回レバー95が表示されてもよい。方向レバー94及び旋回レバー95は、それぞれレバー状の操作アイコンである。オペレータは、方向レバー94をドラッグして、前後左右の各方向に移動させることができる。オペレータが方向レバー94を操作すると、中央コントローラ7は、方向レバー94によって指定された方向に小型船舶1が移動するように、サイドスラスタ56及び第1〜第3船舶推進機3cを制御する。また、オペレータは、旋回レバー95をドラッグして、右回り又は左回りに移動させることができる。オペレータが旋回レバー95を操作すると、中央コントローラ7は、旋回レバー95によって指定された方向に小型船舶1がその場旋回するように、サイドスラスタ56及び第1〜第3船舶推進機3cを制御する。
【0053】
従来の船舶では、上記のような小型船舶1の横移動及びその場旋回の操縦を行うためには、ジョイスティックなどの別途の操作装置が小型船舶1に搭載される必要があった。本実施形態に係る小型船舶1では、ディスプレイ装置8に表示されるソフトウェアキーによって、小型船舶1の横移動及びその場旋回を操作することができる。このため、別途の操作装置が不要であるため、製造コストを削減することができる。また、プログラムの変更によってソフトウェアキーのデザインや数の変更が容易であるため、同一のハードウェアによって小型船舶1の仕様の違いに容易に対応することができる。さらに、機械的なスイッチと比べて、ソフトウェアキーは雨や航行中の水しぶきに晒されても、スイッチの劣化が無い。このため、操作機器の信頼性が向上する。
【0054】
(5)外部機器との通信機能
上述したように、中央コントローラ7は、第2通信装置76を介して、外部のモバイル端末100と通信可能である。中央コントローラ7は、モバイル端末100と通信を行うことにより、モバイル端末100のディスプレイに表示される画面データを取得する。中央コントローラ7は、取得した画面データに基づいて、モバイル端末100のディスプレイと同じ画面をディスプレイ装置8に表示させる。従って、ディスプレイ装置8は、モバイル端末100で起動させたアプリケーションの画面を表示することができる。また、中央コントローラ7は、ディスプレイ装置8へのタッチ操作による指令信号をモバイル端末100に送信する。モバイル端末100は、中央コントローラ7からの指令信号に基づいてアプリケーションの制御を行う。これにより、オペレータは、ディスプレイ装置8によるタッチ操作によってモバイル端末100のアプリケーションを操作することができる。
【0055】
例えば、図13は、ディスプレイ装置8の表示画面を示している。図13に示すように、ディスプレイ装置8には、モバイル端末100のディスプレイと同じアプリケーションの一覧画面96aが表示されている。オペレータは、ディスプレイ装置8に表示されたアプリケーションのアイコンをタップすることにより、所望のアプリケーションを起動させることができる。例えば、図14は、音楽プレーヤーのアプリケーションが起動されたときの操作画面96bを示している。ディスプレイ装置8には、モバイル端末100のディスプレイと同じ、プレイリスト画面が表示されている。オペレータは、ディスプレイ装置8に表示されたリストの曲目をタップすることにより、聞きたい音楽を選択することができる。オペレータが、ディスプレイ装置8のタッチ操作によって曲目を選択すると、中央コントローラ7からモバイル端末100に指令信号が送信される。これにより、モバイル端末100は、選択された曲目を再生する。或いは、選択された曲目の音楽データがモバイル端末100から中央コントローラ7に送信され、小型船舶1のスピーカー58から音楽が出力されてもよい。また、ディスプレイ装置8は、音楽に限らず、モバイル端末100に保存された動画或いは画像を表示することができる。
【0056】
以上のように、本実施形態の小型船舶1では、中央コントローラ7が外部のモバイル端末100と通信を行うことができるので、外部のモバイル端末100を小型船舶1のネットワーク内に容易に組み込むことができる。これにより、モバイル端末100の機能を小型船舶1内で容易に使用することができる。また、水がかかりやすく大きく揺れる小型船舶1内では、モバイル端末100を操作することは容易ではないが、ディスプレイ装置8を介してモバイル端末100を容易に操作することができる。
【0057】
なお、中央コントローラ7と外部のモバイル端末100との通信は、無線に限らず、有線を介して行われてもよい。例えば、中央コントローラ7と外部のモバイル端末100とがUSBなどの有線の通信インターフェースを介して接続されてもよい。
【0058】
(6)外部機器を用いた通話機能
中央コントローラ7は、第2通信装置76を介して、外部のハンズフリーフォン101,102(図3参照)と通信を行う。ハンズフリーフォン101,102は、それぞれマイクとイヤホンとを含む。中央コントローラ7は、複数のハンズフリーフォン101,102の間において音声データを中継する。これにより、航行中の船内において、風切音やエンジン音があっても、船内の乗員が互いに快適に会話することができる。
【0059】
(7)モバイル端末100の収納機能
図15に示すように、小型船舶1は、防水ケース97を備えている。防水ケース97は、モバイル端末100を内部に保管する。図1に示すように、防水ケース97は、操船席4の周囲に配置される。防水ケース97は、運転席から手の届く範囲に配置されることが好ましい。或いは、防水ケース97は、助手席から手の届く範囲に配置されてもよい。上述した第2通信装置76は、防水ケース97に収容されたモバイル端末100と安定して通信可能な位置に配置される。例えば、図15に示すように、第2通信装置76は、防水ケース97の下方に配置される。また、モバイル端末100と第2通信装置76との間には、充電器98が配置されている。充電器98は、ワイヤレスチャージ機能を有する。すなわち、充電器98は、無接点型の充電器であって、モバイル端末100を充電器98上に配置するだけで、モバイル端末100を充電することができる。防水ケース97は透明な素材で形成されている。これにより、防水ケース97の内部のモバイル端末100を外部から確認することができる。なお、小型船舶1に配置されている既存の小物入れを利用して、防水ケース97が配置されてもよい。防水ケース97が、取り外し可能になっていてもよい。第2通信装置76は有線による通信装置であって、モバイル端末100との接続部が防水ケース97の内部にのびていてもよい。充電器98は、有線による充電器であって、モバイル端末100と接続部がケース内部にのびていてもよい。
【0060】
(8)盗難防止機能
図16に示すように、小型船舶1のユーザーが持っているキー99は、GNSS受信機99aと、外部の通信ネットワークと通信を行うための通信装置99bとを含む。キー99のGNSS受信機99aが検出したキー99の現在位置情報は、外部の通信ネットワーク、例えばインターネットINを介して、小型船舶1の中央コントローラ7に送信される。この場合、通信装置99bは、基地局200と通信を行い、インターネットINに含まれる管理サーバー201にキー99の現在位置情報を送信する。中央コントローラ7は、管理サーバー201から基地局200を介してキー99の現在位置情報を受信する。中央コントローラ7は、小型船舶1のGNSS受信器62(図3参照)が検出した現在位置情報と、キー99のGNSS受信機99aが検出した現在位置情報とに基づいて、小型船舶1とキー99との間の距離を算出する。中央コントローラ7は、小型船舶1とキー99との間の距離が所定の閾値よりも大きいときには、小型船舶1の機能の少なくとも一部を制限する。例えば、中央コントローラ7は、第1〜第3船舶推進機3a−3cのエンジンを始動不能とする。或いは、中央コントローラ7は、第1〜第3船舶推進機3a−3cのエンジンの出力を通常の状態よりも低く規制してもよい。
【0061】
(9)メンテナンス機能
記憶装置73には、機器のメンテナンスを行うためのメンテナンスプログラムが保存されている。中央コントローラ7は、機器から受信する情報と、メンテナンスプログラムとに基づいて、機器のメンテナンスを行うことができる。ディスプレイ装置8は、小型船舶1のメンテナンスのための画面を表示可能である、メンテナンスプログラムは、例えば、機器の故障診断及び点検、及び、セッティングを行う。オペレータは、ディスプレイ装置8のタッチ操作によって、メンテナンスプログラムの操作を行うことができる。図17は、ディスプレイ装置8に表示される小型船舶1のメンテナンス画面66である。第1〜第3エンジンECU31a−31cには、第1〜第3船舶推進機3a−3cの各エンジンの運転記録が保存されている。エンジンの運転記録は、エンジンの総運転時間を含む。また、エンジンの運転記録は、エンジンに異常が発生したときのスロットル開度、吸気圧、エンジン回転速度などの情報を含む。メンテナンスプログラムは、エンジンの運転記録に基づいて、第1〜第3船舶推進機3a−3cの各エンジンの故障診断を行う。
【0062】
本実施形態の小型船舶1では、中央コントローラ7がメンテナンスプログラムを用いて機器のメンテナンスを行うことができる。このため、従来の船舶のように、メンテナンスプログラムがインストールされた別途のパソコンを第1〜第3船舶推進機3a−3cのそれぞれに接続しなくても、故障診断、点検、セッティングなどのメンテナンスを行うことができる。また、中央コントローラ7は、小型船舶1の機器ネットワークシステムの中心に位置するため、小型船舶1の機器ネットワークシステム全体の診断、点検、セッティングを容易に行うことができる。
【0063】
(10)初期設定及びカスタマイズ機能
記憶装置73には、機器の初期設定を行うための設定プログラムが保存されている。中央コントローラ7は、設定プログラムに基づいて、機器の初期設定を行うことができる。ディスプレイ装置8は、小型船舶1の初期設定のための画面を表示可能である、設定プログラムは、例えば、第1〜第3船舶推進機3a−3cの位置設定、船速計64bの0点補正、チルトリミッタの設定、イモビライザの認証リセットなどを行う。第1〜第3船舶推進機3a−3cの位置設定は、第1〜第3船舶推進機3a−3cのうちのどれが、右舷、左舷、中央の各位置に配置されているかを設定する。チルトリミッタの設定では、チルトアップ時の上限位置が設定される。図18は、チルトリミッタの設定画面67を示している。チルトリミッタの設定では、チルトアップ時の上限位置を設定する。例えば、小型船舶1が水中に浸った状態で保管されるときには、オペレータは、第1〜第3チルトトリムアクチュエータ37a−37cを操作して、上限位置まで第1〜第3船舶推進機3a−3cをチルトアップする。これにより、第1〜第3船舶推進機3a−3cのプロペラが水から引き上げられる。イモビライザの認証リセットは、後述するイモビライザ受信機65aのIDコードを初期化する手続である。オペレータは、ディスプレイ装置8のタッチ操作によって、設定プログラムの操作を行うことができる。
【0064】
従来の船舶では、上述したような機器の初期設定は、機器ごとに異なるツールを用いることによって行われている。本実施形態の小型船舶1では、中央コントローラ7によって機器の初期設定を行うことができる。このため、複数の機器の初期設定を中央コントローラ7によって統合的に行うことができる。これにより、オペレータは容易に機器の初期設定を行うことができる。また、設定プログラムを変更することにより、仕様の変更に容易に対応することができる。
【0065】
なお、設定プログラムを用いて機器の設定のカスタマイズが行われてもよい。例えば、第1〜第3船舶推進機3a−3cにおいて、船速とエンジンの出力トルクとの特性が、オペレータの好みに応じて設定されてもよい。例えば、漁船は、重い荷物を積んで航行することが多いため、漁船のオペレータは、低速度で大きなトルクが出力されることを好む。設定プログラムを用いて機器の設定のカスタマイズを行うことによって、オペレータの好みに応じた機器の設定を行うことができる。
【0066】
(11)イモビライザ機能
図3に示すように、小型船舶1は、イモビライザ受信機65aを備えている。イモビライザ受信機65aは、ディスプレイ装置8に配置されている。オペレータが所持するキーは、イモビライザ送信機65bを含む。イモビライザ受信機65aは、イモビライザ送信機65bに保存されているIDコードを受信する。中央コントローラ7は、イモビライザ送信機65bのIDコードが、中央コントローラ7に予め設定されたイモビライザ受信機65aのIDコードと一致しているか否かを判定する。中央コントローラ7は、イモビライザ送信機65bのIDコードが中央コントローラ7に設定されたIDコードと一致していないときには、第1〜第3船舶推進機3a−3cのエンジンを始動不能とする。中央コントローラ7は、イモビライザ送信機65bのIDコードが中央コントローラ7に設定されたIDコードと一致しているときには、第1〜第3船舶推進機3a−3cのエンジンを始動可能とする。
【0067】
本実施形態の小型船舶1では、イモビライザ受信機65aがディスプレイ装置8に配置される。従って、イモビライザ受信機65aは、操船席4から目に見える一定の場所に配置される。このため、イモビライザ受信機65aの受信感度及び受信距離を安定させることができる。
【0068】
(12)障害物警告機能及び魚群探知機能
中央コントローラ7は、ソナー53からの信号に基づいて水深を検出する。また、中央コントローラ7は、ソナー53からの信号に基づいて水中の障害物の有無を判定する。ディスプレイ装置8は、ソナー53からの信号に基づいて水中の障害物の情報を表示する。中央コントローラ7は、水中の障害物を検出すると、警告をディスプレイ装置8に表示させる。
【0069】
また、中央コントローラ7は、ソナー53からの信号に基づいて、魚群情報をディスプレイ装置8に表示する。図19は、ディスプレイ装置8に表示される魚群探知機能の画面68aを示している。魚群探知機能の画面68aでは、小型船舶1の下方の水中での魚群の位置が魚群情報として表示される。さらに、図19に示すように、中央コントローラ7は、GNSS受信機62からの現在位置の検出信号に基づいて、ナビゲーション画面68bをディスプレイ装置8に表示する。ナビゲーション画面68bは、小型船舶1の現在位置を示す地図を含む。ディスプレイ装置8には、魚群探知機能とナビゲーション機能との操作ボタン68cがソフトウェアキーによって表示される。なお、図19では、魚群探知機能の画面68aとナビゲーション画面68bとが一体に表示されているが、別々に表示されてもよい。
【0070】
(13)レンタル管理機能
レンタルボート業者によって使用される小型船舶1では、中央コントローラ7にレンタル管理機能を搭載することができる。レンタル管理機能は、小型船舶1のレンタル管理情報をディスプレイ装置8に表示させる機能である。例えば、レンタル管理情報は、小型船舶1が使用した燃料使用量に関する情報と、小型船舶1のレンタル時間に関する情報とを含む。この場合、上述した第1付加機能システム9の機器は、燃料流量計59a(図3参照)を含む。中央コントローラ7は、燃料流量計59aが計測した燃料使用量に基づいて、小型船舶1が使用した燃料使用量に関する情報をディスプレイ装置8に表示させる。図20は、ディスプレイ装置8に表示されるレンタル管理画面69を示している。レンタル管理画面69は、レンタル管理情報を含む。レンタル管理情報は、燃料残量を示す情報69aと、レンタルの残り時間を示す情報69bとを含む。また、レンタル管理情報は、小型船舶1の位置情報69cを含む。小型船舶1の位置情報69cは、GNSS受信機62によって取得される。また、レンタル管理情報は、無線機63又はインターネットを介した通信により、レンタルボート業者の管理事務所のコンピューターに送信される。これにより、レンタル管理情報をレンタルボート業の円滑な運営に役立てることができる。また、小型船舶1のオペレータは、船舶無線又はインターネットを介して、管理事務所に連絡することができる。これにより、管理事務所は、小型船舶1のレンタル中にトラブルが発生したときに、迅速に対応することができる。
【0071】
(14)インターネット接続機能
中央コントローラ7は、インターネットに接続することができる。このため、中央コントローラ7は、インターネットを通じた各種の機能を実行することができる。例えば、中央コントローラ7は、メールの送受信、画像及び動画の送受信、或いは、TV電話の機能を有する。オペレータは、これらの機能により、他船のオペレータと容易にコミュニケーションを行うことができる。これにより、オペレータは、自船の様子、或いは、釣果の情報などをリアルタイムに他船のオペレータに発信することができる。また、オペレータは、音声に限らず映像によっても他船のオペレータとコミュニケーションを行うことができる。
【0072】
また、オペレータは、インターネットを介して、小型船舶1の製造会社や販売会社のサーバーから小型船舶1のマニュアルを中央コントローラ7にダウンロードすることができる。そして、オペレータは、ダウンロードしたマニュアルをディスプレイ装置8を用いて閲覧することができる。これにより、就航準備中や航行中にトラブルが発生したときに、オペレータは、マニュアルを容易に確認することができる。
【0073】
(15)スマートキー機能
上述したイモビライザ機能に代えてスマートキー機能が小型船舶1に搭載されてもよい。この場合、図21に示すように、機器は、スマートキーシステム70を含む。スマートキーシステム70は、小型船舶1に配置される受信機70aと、ポータブルの送信機70bとを含む。受信機70aは、上述したイモビライザ受信機65aと同様に、ディスプレイ装置8に配置されることが好ましい。中央コントローラ7は、受信機70aと送信機70bとの間の距離が所定の距離以下であるか否かを判定する。中央コントローラ7は、受信機70aと送信機70bとの間の距離が所定の距離以下であるときには、第1〜第3船舶推進機3a−3cのエンジンの始動を許可し、第1〜第3船舶推進機3a−3cのエンジンの始動スイッチ(図9の86a−86c参照)をディスプレイ装置8に表示させる。すなわち、オペレータが送信機70bを所持して小型船舶1の操船席4に近づくと、始動スイッチが自動的にディスプレイ装置8に表示される。オペレータは、キーを操作することなく、ディスプレイ装置8のタッチ操作によって、エンジンを始動させることができる。これにより、オペレータは、キーを取り出す手間を省くことができる。また、オペレータは、キーを差込み、回す操作を省くことができる。なお、メインスイッチ85(図9参照)も始動スイッチと共に表示される。このため、オペレータは、エンジンの始動を行わないときには、メインスイッチ85を操作することによって、手動で小型船舶1の機器ネットワークシステム全体の電源をオフにすることができる。なお、受信機70aと送信機70bとの距離が所定の距離以下になると、自動的にメインスイッチ85がオンになってもよい。これにより、オペレータによるメインスイッチ85のオン操作を省略することができる。
2.第2実施形態
図22は、本発明の第2実施形態に係る小型船舶1に搭載された機器ネットワークシステムの構成を示す模式図である。この機器ネットワークシステムは、中央コントロールユニット20を含む。中央コントロールユニット20は、第1実施形態の中央コントローラ7とディスプレイ装置8とが一体化された装置である。すなわち、中央コントロールユニット20は、中央コントローラ7とディスプレイ装置8とに共通の筐体を含む。中央コントローラ7とディスプレイ装置8とは共に、この筐体に収容されている。第2実施形態に係る小型船舶の他の構成は、第1実施形態に係る小型船舶1と同様であるため、説明を省略する。
【0074】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0075】
船舶推進機は、船外機に限らず、船内外機や水ジェット推進機であってもよい。図23は、水ジェット推進機400の構造を示す側面断面図である。水ジェット推進機400は、エンジンなどの動力源によって駆動され、小型船舶のまわりの水を吸い込んで噴射する。図23に示すように、水ジェット推進機400は、インペラシャフト401と、インペラ402と、ノズル403と、デフレクタ404と、リバースバケット405とを含む。インペラシャフト401の前部は、カップリング部406を介して図示しない動力源の出力軸に連結されている。インペラシャフト401の後部は、小型船舶の水吸引部407を通ってインペラハウジング408内に導出されている。インペラハウジング408は、水吸引部407の後部に接続されている。ノズル403は、インペラハウジング408の後方に配置されている。インペラ402は、インペラシャフト401の後部に取り付けられている。インペラ402は、インペラハウジング408の内部に配置されている。インペラ402は、インペラシャフト401とともに回転して、水吸引部407から水を吸引する。インペラ402は、吸引した水をノズル403から後方に噴射させる。デフレクタ404は、ノズル403の後方に配置されている。デフレクタ404は、ノズル403からの水の噴射方向を左右方向に転換するように構成されている。リバースバケット405は、デフレクタ404の後方に配置されている。リバースバケット405は、ノズル403およびデフレクタ404からの水の噴射方向を前方に転換可能に構成されている。
【0076】
小型船舶は、水ジェット推進機を備えたスポーツボート或いはPWC(Personal Water Craft)であってもよい。図24は、スポーツボート500の平面図である。スポーツボート500は、第1エンジン501aと、第1エンジンECU502aと、第1水ジェット推進機503aと、第2エンジン501bと、第2エンジンECU502bと、第2水ジェット推進機503bとを含む。第1水ジェット推進機503aは、第1エンジン501aによって駆動される。第1エンジンECU502aは、第1エンジン501aを制御する。第2水ジェット推進機503bは、第2エンジン501bによって駆動される。第2エンジンECU502bは、第2エンジン501bを制御する。第1、第2エンジン501a,501bと、第1、第2エンジンECU502a,502bとの構成は、上述した第1実施形態のエンジン12aと第1エンジンECU31aと概ね同様である。第1、第2水ジェット推進機503a,503bは、上述した水ジェット推進機400と同様の構成を有する。また、スポーツボート500は、運転席504と助手席505とを有する。運転席504の前方には、ステアリング操作部材506が配置されている。また、運転席504の側方には、リモコン装置507が配置されている。ステアリング操作部材506とリモコン装置507との構成は、上述した第1実施形態のステアリング操作部材45とリモコン装置6と概ね同様である。また、運転席504の前方には、ディスプレイ装置508と中央コントローラ509とが配置されている。中央コントローラ509は、スポーツボート500に搭載された機器を統合制御する。例えば、中央コントローラ509は、第1、第2エンジンECU502a,502bと通信を行い、第1エンジン501aと第2エンジン501bとを制御する。また、中央コントローラ509は、第1水ジェット推進機503aと第2水ジェット推進機503bとを制御する。ディスプレイ装置508は、中央コントローラ509と通信を行い、GUIによってスポーツボート500の情報を表示する。ディスプレイ装置508と中央コントローラ509との構成は、上述した第1実施形態のディスプレイ装置8と中央コントローラ7と概ね同様である。
【0077】
上記の実施形態では、小型船舶1に3つの船舶推進機3a−3cが備えられているが、船舶推進機の数は3つに限られない。2つ以下、或いは、4つ以上の船舶推進機が小型船舶に備えられてもよい。上記の実施形態では、動力源としてエンジンが用いられているが、電動モータが動力源として用いられてもよい。
【0078】
第1実施形態において、ディスプレイ装置8は、中央コントローラ7から取り外し可能であってもよい。この場合、ディスプレイ装置8は、無線LANあるいはBLUETOOTHなどの無線通信インターフェースによって中央コントローラ7と通信可能であることが好ましい。これにより、小型船舶1の外部から小型船舶1の機器を操作することができる。例えば、上述した「ソフトウェアキーによる小型船舶1の操縦機能」を利用することにより、オペレータは地上に居ながら、小型船舶1の操縦を行うことができる。或いは、オペレータは、小型船舶1内の操船席4以外の場所でも小型船舶1の操縦を行うことができる。
【0079】
上記の実施形態では、中央コントローラ7と機器とは通信線を介して接続されている。しかし、中央コントローラ7と機器とは無線によって接続されてもよい。例えば、中央コントローラ7と第1〜第3エンジンECU31a−31cとのそれぞれに無線通信インターフェース(例えば無線LAN)を設け、無線によりデータの送受信を行ってもよい。この場合、通信用ハーネスを省略することができるので、配線数を低減することができる。これにより、リギングを簡略化することができる。
【0080】
上記の実施形態では、各機器にコントローラが備えられており、中央コントローラ7は、各機器のコントローラと通信を行っている。しかし、中央コントローラ7が、各機器のコントローラを兼ねてもよい。例えば、中央コントローラ7が、リモコンECU44の機能を有してもよい。或いは、中央コントローラ7が、ステアリングECU47の機能を有してもよい。
【0081】
上記の実施形態では、中央コントローラ7が、ソナー53からの検出信号を利用した魚群探知機の機能を有しているが、ソナー53とは別の魚群探知機が搭載されてもよい。この場合、中央コントローラ7は、魚群探知機のコントローラと通信を行う。
【0082】
上記の実施形態では、中央コントローラ7は、第3通信装置77を介してインターネットに接続可能であるが、モバイル端末100を介してインターネットに接続可能であってもよい。例えば、中央コントローラ7は、モバイル端末100のデザリング機能を利用して、インターネットに接続してもよい。
【0083】
中央コントローラ7は、モバイル端末100のタッチパネルへの入力に基づいて小型船舶1の移動を操作してもよい。この場合、モバイル端末100は、上述した「ソフトウェアキーによる小型船舶1の操縦機能」と同様のソフトウェアキーを表示する。オペレータは、モバイル端末100の画面に表示されたソフトウェアキーを操作することによって、小型船舶1の移動を操作することができる。
【0084】
中央コントローラ7は、モバイル端末100の傾きに基づいて小型船舶1の移動を操作してもよい。モバイル端末100は、例えばジャイロセンサや加速度センサなどの傾き検出用のセンサを備えており、モバイル端末100自身の傾きを検出する。モバイル端末100は、モバイル端末100自身の傾きを示す信号を中央コントローラ7に送信する。中央コントローラ7は、モバイル端末100を傾けた方向と同じ方向に小型船舶1が移動するように、サイドスラスタ56及び第1〜第3船舶推進機3cなどの機器を制御する。例えば、モバイル端末100が前後左右の各方向に傾けられると、中央コントローラ7は、モバイル端末100を傾けた方向と同じ方向に小型船舶1が移動するように、サイドスラスタ56及び第1〜第3船舶推進機3cなどの機器を制御する。また、モバイル端末100が右回り或いは左回りに回転するように傾けられると、中央コントローラ7は、モバイル端末100の回転方向と同じ方向に小型船舶1がその場旋回するように、サイドスラスタ56及び第1〜第3船舶推進機3cなどの機器を制御する。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明によれば、小型船舶の操作装置を小型化することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 小型船舶
7 中央コントローラ
8 ディスプレイ装置
12a エンジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源と、
前記動力源を制御するコントローラと、
前記コントローラと通信を行い、タッチパネル機能を有し、小型船舶の移動を操作するためのソフトウェアキーを表示するディスプレイ装置と、
を備える小型船舶。
【請求項2】
前記ディスプレイ装置は、前記小型船舶の情報を表示可能である、
請求項1に記載の小型船舶。
【請求項3】
前記ソフトウェアキーは、前記小型船舶の横移動を操作するためのキーを含む、
請求項1又は2に記載の小型船舶。
【請求項4】
前記ソフトウェアキーは、前記小型船舶のその場旋回を操作するためのキーを含む、
請求項1又は2に記載の小型船舶。
【請求項5】
前記ソフトウェアキーは、前記小型船舶の移動方向に対応した複数のキーを含む、
請求項1から4のいずれかに記載の小型船舶。
【請求項6】
前記ソフトウェアキーは、小型船舶を示す操作アイコンを含み、
前記操作アイコンをスライドさせると、前記操作アイコンのスライド方向に対応する方向に小型船舶が移動する、
請求項1から4のいずれかに記載の小型船舶。
【請求項7】
前記ソフトウェアキーは、レバー状の操作アイコンを含み、
前記操作アイコンをスライドさせると、前記操作アイコンのスライド方向に対応する方向に小型船舶が移動する、
請求項1から4のいずれかに記載の小型船舶。
【請求項8】
前記ディスプレイ装置は、前記小型船舶に着脱可能に取り付けられ、
前記ディスプレイ装置は、少なくとも前記小型船舶から取り外されている状態において、前記コントローラと無線により通信を行う、
請求項1から7のいずれかに記載の小型船舶。
【請求項9】
動力源と、
前記動力源を制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、タッチパネル機能を有する外部のモバイル端末と通信可能であり、前記モバイル端末へのタッチパネル操作に基づいて小型船舶の移動を操作する、
小型船舶。
【請求項10】
動力源と、
前記動力源を制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、外部のモバイル端末と通信可能であり、
前記モバイル端末は、前記モバイル端末自身の傾きを検出し、
前記コントローラは、前記モバイル端末の傾きに基づいて小型船舶の移動を操作する、
小型船舶。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−103526(P2013−103526A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246689(P2011−246689)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)