説明

小型走行玩具システム

【課題】小型の走行玩具でありながら、ローラーの形状に対応して走行態様を変えることができる、画期的な小型の走行玩具システムを提案すること。
【解決手段】走行玩具1と、該走行玩具1を発射するための発射装置2とから構成し、上記走行玩具1は、底面に凹部13を形成し、該凹部13にはローラー12を着脱可能に配置し、走行玩具1は上記ローラー12の回転力で走行するとともに、上記ローラー12を回転時に上記走行玩具1の走行態様に変化を与えるように形成し、上記発射装置2は、上記走行玩具1の後面に当接し、トリガーボタン5の操作で装置本体4から突出し、上記走行玩具1を前方に弾き出す弾き部材3を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型走行玩具システム、詳しくは発射装置で発射される小型の走行玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、小型の物品を発射して遊ぶ玩具としては、球体を発射する発射玩具が本出願人から提案され、実用に供されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この発射玩具は、球体を胴体部の前面に形成された発射口から押し込むようにして胴体部に配置された弾性を有する一対の弾き片間に装填し、この弾き片の後方に前後に移動可能に配置された押し出し部材を押し操作することによって、弾き片を押し広げながら球体を押し出し、弾き片の先端から押し出された瞬間に弾き片の弾性復元力で球体を発射口から前方に発射することができるものであった。
【特許文献1】実開平6−58999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする問題点は、上述の玩具は発射する対象が球体であるため、標的を狙ったり、対戦相手と球体を撃ち合ってバトルをしたりするなどの遊びに最適であったが、発射する物体が球体であるため、発射後の物体の状態には変化がなく面白さに欠ける点であった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決し、小型の走行玩具でありながら、ローラーの形状に対応して走行態様を変えることができる、画期的な小型の走行玩具システムを提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本発明に係る小型走行玩具システムは、走行玩具と、該走行玩具を発射するための発射装置とから構成された、以下の要件を備えることを特徴とする。
(イ)上記走行玩具は、底面に凹部を形成し、該凹部にはローラーを着脱可能に配置し、走行玩具は上記ローラーの回転力で走行すること
(ロ)上記ローラーは、回転時に上記走行玩具の走行態様に変化を与えるように形成されていること
(ハ)上記発射装置は、上記走行玩具の後面に当接し、トリガーボタンの操作で装置本体から突出し、上記走行玩具を前方に弾き出す弾き部材を備えたこと
【0007】
なお、前記発射装置をノック式の筆記具で構成し、前記弾き部材を筆記具のノック軸で構成し、発射装置を走行玩具の発射に供しないときには筆記具として使用できるようにしてもよい。
【0008】
また、前記走行玩具は、底面の前部には走行面に常時接地する擬似車輪を形成し、該走行玩具は上記擬似車輪と前記ローラーとで走行面に接地し、擬似車輪とローラーとで走行するようにしてもよい。
【0009】
そして、前記発射装置は武器玩具を発射する武器玩具発射装置を着脱可能に備え、走行玩具を発射させるだけではなく他の走行玩具などの標的を撃つことができるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、走行玩具は底部に形成された凹部にローラーを着脱可能に配置し、このローラーは走行玩具の走行態様に変化を与えるように形成されているので、発射装置で発射した走行玩具はローラーを入れ替えることにより様々な走行態様で走行させることができ、シンプルな構造でありながら走行玩具の変化に富んだ走行を楽しむことができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、発射装置をノック式の筆記具で構成し、係合部材を筆記具のノック軸で構成したので、発射装置を走行玩具の発射に供しないときには筆記具として使用することができ、遊びと実用とを兼ね備えた小型走行玩具システムを構築することができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、走行玩具は前部底面に形成された擬似車輪と、ローラーとで接地し、擬似前輪は走行面に常時接地しローラーは走行玩具の走行態様に変化を与えるように形成されているので、走行玩具は擬似車輪を支点にローラーの形状に合わせて動作態様が変化するので、小型で単純な構造でありながら走行玩具の走行を楽しむことができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、走行玩具を発射させるだけではなく他の走行玩具などの標的を撃つことができるので、遊びの幅を広げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
小型走行玩具システムを、走行玩具と、該走行玩具を発射するための発射装置とから構成し、上記走行玩具は、底面の前部には走行面に係合接地する擬似車輪を形成し、底面の後部には凹部を形成し、該凹部にはローラーを交換可能に配置し、走行玩具は上記擬似車輪と上記ローラーとで走行面に接地させ、上記ローラーは、回転時に上記走行玩具の走行態様に変化を与えるように形成するとともにし、上記発射装置は、上記走行玩具の後面に係合し、トリガーボタンの操作で装置本体から突出し、上記走行玩具を前方に弾き出す弾き部材を備えた。
【実施例1】
【0015】
図1(a)(b)は本発明に係る小型走行玩具システムの一例を示し、この小型走行玩具システムは小型の走行玩具1と、この走行玩具1を発射するための発射装置2とからなり、本実施例では上記発射装置2をノック式の筆記具で構成した。
【0016】
このノック式の筆記具2は、ノック部(弾き部材)3を図示しないスプリングに抗して筆記具本体(装置本体)4に押し込むと、図示しないトリガー部材に係止され、筆記具本体4に没入した状態が維持され、トリガーボタン5を押し操作するとトリガー部材によるノック部3の係止が解除されスプリングに付勢されてノック部3が筆記具本体4から勢いよく突出するとともに、ペン先6が筆記具本体4内に没入するようになっている公知の筆記具で構成されていればよい。
【0017】
なお、筆記具2を洋服のポケットなどに止めるクリップ7は、筆記具本体4を走行玩具の走行面に水平に置くことができるように平板な板状に形成されている。
【0018】
この発射装置2は、上記ノック部3に平面視略コ字状の係合板10が一体に形成されている。この係合板10は左右の側板10aと左右の側板10aを連結する発射板10bとで構成され、側板10aは走行玩具1を両側から保持し、発射板10bは走行玩具1の後面に当接させた状態で、ノック部3を筆記具本体4から突出させると走行玩具1を前方に確実に発射できるようになっている。
【0019】
走行玩具1は、図2に示すように、馬を模して形成され、底面の前部には走行面に常時接地する擬似車輪11が前足を模して形成され、底面の後部にはローラー12を収容する収容凹部13が形成され、走行玩具1は擬似車輪11とローラー12とが走行面に接地するようになっている。収容凹部13の両側壁にはローラー12の支持部15が形成されている。この支持部15はローラー12の支軸22を軸支する軸受16と、ローラー12を着脱するために軸受16に連設して形成されたスリット17とで構成されている。なお、支持部15の両側には軸受16の部分よりも高い位置までスリット18が形成されている。このスリット18は、支持部15にローラー12を着脱する際に支持部15が撓んで、着脱を容易にするためのものである。
【0020】
ローラー12は走行玩具1の走行の原動力となるとともに走行態様に変化を与えるもので、走行玩具1を発射の慣性で運ぶことができるように鉄や真鍮などの金属で形成されている。このローラー12は、走行玩具の走行態様に合わせて複数のローラー12が用意されている。このローラー12は車軸20の両側部には車輪部21が形成され、両側面には支軸22が形成されているもので、第1のローラー12aは、図3(a)、図4(b)に示すように、車輪部21は表面が滑らかな真円で、支軸22が車輪部21の中心に形成されているもので、発射時には走行玩具1は、図5(a)に示すように、前足11とローラー12aの車輪部21が等しく接地して、滑らかに直進するようになっている。
【0021】
第2のローラー12aは、図3(b)、図4(b)に示すように、車輪部21は表面が滑らかな真円で、支軸22が車輪部21の中心から外れた位置に形成されているもので、発射時には走行玩具1は、図5(b)に示すように、支軸22から車輪部21の表面までの距離が変わるので、走行時には前足11を中心に後部が上下に揺動しながら走行し、あたかも馬が走っているような状態を作り出すことができるようになっている。
【0022】
第3のローラー12cは、図3(c)、図4(c)に示すように、ローラー12の表面に凹凸が連続して形成されるとともに、支軸22が車輪部21の中心に形成されているもので、発射時には走行玩具1は、図5(c)に示すように、前足11とローラー12とが等しく接地し直進するが、凹凸が走行面に当たりながらローラー12が回転するので、走行玩具1は細かく振動しながら「ガー」音を連続して発生しながら走行するようになっている。
【0023】
第4のローラー12dは、図3(d)、図4(d)に示すように、車輪部21は側面視楕円状に形成され、支軸22から車輪部21の周面までの距離の変化が、第2のローラー12bよりも増えるので、発射時には走行玩具1は、図5(d)に示すように、後部を激しく上下動させて暴れ馬が走っているような状態にすることができるようになっている。
【0024】
第5のローラー12eは、図3(e)、図4(e)に示すように、2つの車輪部21が車軸20に対し左右にスライド可能に配置されているもので、2つの車輪部21を左右何れか一方に寄せたときには、寄せたほうにカーブを描いて走行し、左右に分離したときには、直進させることができるようになっている(図5(e)参照)。
【0025】
上記構成の走行玩具1を発射装置2で発射する場合は、ノック部3と一体の係合板10を押圧して、図示しないスプリングを圧縮した状態で、ノック部3を筆記具本体4に没入させ、図1(a)、図6(a)に示すように、走行玩具1の後端が発射板10bに当接するように係合板10に係合させる。次に、トリガーボタン5を押すとノック部3の係止が解除され、スプリングの弾発力で走行玩具1は、図1(b)、図6(b)に示すように、前方に勢いよく発射される。この時、走行玩具1はローラー12の形状によって、図5(a)〜(e)に示すように、様々な走行態様で走行させることができる。
【0026】
上述の走行玩具システムによれば、走行玩具1に任意のローラー12を取り付け、発射装置2で発射させれば、取り付けたローラー12の形状に応じて様々な走行態様を示し、小型の走行玩具でありながら、様々な走行態様を楽しむことができる。
【0027】
しかも、発射装置2をノック式の筆記具で構成することにより、走行玩具遊びをしないときには発射装置2を筆記具として使用することができ、勉強の合間には走行玩具1で遊ぶことができ、気分転換を図ることができる小型走行玩具システムを提供することができる。
【0028】
図7は、走行玩具1を馬に代えて戦車で構成したもので、馬の場合と同様に、底面の前部には走行面に係合接地する擬似車輪11が形成され、底面の後部にはローラー12を収容する収容凹部13が形成され、擬似車輪11とローラー12とが走行面に接地するようになっている。
【0029】
この走行玩具1は上述の発射装置2で、馬の場合と同様に発射すればよいが、戦車は砲筒から砲弾を発射するものなので、武器玩具発射装置30を発射装置2に装着しても構わない。この武器玩具発射装置30は、図7(a)、図8(a)、図9(a)に示すように、内部に鉤の手状に曲折した係止部材31を回動可能に収容した支持筒32の底部には一対の挟持片33が設けられ、支持筒32の上部には中空の支持軸34が前方に突出して形成され、上記係止部材31の先端に形成されたフック35は支持軸34に形成された開口部36から下方に突出し、係止部材31の後端は操作レバー37として支持筒32の背面に形成された開口部38から後方に突出している。
【0030】
上記係止部材31はスプリング40に付勢されて、図8(a)上で、支軸41を中心に反時計方向に回動し、フック35が常に支持軸34から突出するようになっている。
【0031】
この武器玩具発射装置30で発射される武器玩具42は、砲弾を模して後端が開口した筒状に形成されたもので、内部にはスプリング43が配設され、後部底面には係止穴44が形成され、図8(a)、図9(b)に示すように、支持軸34を武器玩具42に差し込むとフック35がスプリング43を圧縮した状態で係止穴44を係止し、武器玩具42を武器玩具発射装置30に取り付けた状態にすることができるようになっている。
【0032】
この武器玩具42を発射するにあたっては、図8(b)に示すように、レバー37を押し下げると、係止部材31は時計方向に回動し、フック35が上動するのでフック35による武器玩具42の係止が解除され、武器玩具42はスプリング43の弾発力で勢いよく武器玩具発射装置30から飛び出すように発射されるようになっている。
【0033】
上記構成の走行玩具システムによれば、ノック部3と一体の係合板10を押圧して、図示しないスプリングを圧縮した状態で、ノック部3を筆記具本体4に没入させ、図8(a)に示すように、走行玩具1の後端が発射板10bに当接するように係合板10に係合させるとともに、武器玩具42を支持軸34にフック35が係止穴44を係止するまで差し込む。
【0034】
次に、トリガーボタン5を押すとノック部3の係止が解除され、スプリングの弾発力で走行玩具1は、図8(b)に示すように、前方に勢いよく発射される。この時、走行玩具1は上述したようにローラー12の形状によって、様々な走行態様で走行させることができる。
【0035】
走行玩具1の発射とともに、レバー37を押し下げると、係止部材31による武器玩具2の係止が解除されるので、武器玩具42はスプリング43の弾発力で勢いよく前方に飛び出す。
【0036】
この時、前方に相手の走行玩具1´があり、この走行玩具1´に武器玩具42が命中するように発射装置2の向きを設定して武器玩具42を発射し、相手の走行玩具1´に武器玩具42が命中して、テーブルなどの遊戯面から落として遊ぶこともできる小型走行玩具システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】(a)(b)は本発明に係る小型走行玩具システムの一例を示す斜視図
【図2】走行玩具の構成を説明する底面側斜視図
【図3】(a)〜(e)はローラーの構造を説明する斜視図
【図4】(a)〜(e)はローラーの構造を説明する側面図及び平面図
【図5】(a)〜(e)は上記ローラーによる走行玩具の走行態様を説明する側面図及び平面図
【図6】(a)(b)は上記小型走行玩具システムの使用態様を説明する側面図
【図7】(a)(b)は上記小型走行玩具システムの他の例を説明する斜視図
【図8】(a)(b)は上記他の例の小型走行玩具システムの構造を説明する要部を切断した側面図
【図9】(a)(b)は武器玩具発射装置の構成を説明する底面側斜視図
【図10】上記他の例の小型走行玩具システムの使用態様を説明する側面図
【符号の説明】
【0038】
1 走行玩具
2 発射装置
3 弾き部材(ノック部)
4 装置本体(筆記具本体)
5 トリガーボタン
11 擬似車輪
12 ローラー
13 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行玩具と、該走行玩具を発射するための発射装置とから構成された、以下の要件を備えることを特徴とする小型走行玩具システム。
(イ)上記走行玩具は、底面に凹部を形成し、該凹部にはローラーを着脱可能に配置し、走行玩具は上記ローラーの回転力で走行すること
(ロ)上記ローラーは、回転時に上記走行玩具の走行態様に変化を与えるように形成されていること
(ハ)上記発射装置は、上記走行玩具の後面に当接し、トリガーボタンの操作で装置本体から突出し、上記走行玩具を前方に弾き出す弾き部材を備えたこと
【請求項2】
前記発射装置をノック式の筆記具で構成し、前記弾き部材を筆記具のノック軸で構成した、請求項1記載の小型走行玩具システム。
【請求項3】
前記走行玩具は、底面の前部には走行面に常時接地する擬似車輪を形成し、該走行玩具は上記擬似車輪と前記ローラーとで走行面に接地している、請求項1記載の小型走行玩具システム。
【請求項4】
前記発射装置は武器玩具を発射する武器玩具発射装置を着脱可能に備えた、請求項1又は2記載の小型走行玩具システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−181266(P2006−181266A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−380830(P2004−380830)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【Fターム(参考)】