説明

小型電気機器

【課題】モータを内蔵するハウジングを細く且つ短くする。
【解決手段】二つ割の筒状ハウジング11,12内にモータ2を収納している小型電気機器である。軸方向と直交する方向に分割されているハウジング11,12はモータ2の一端側と他端側の少なくとも2カ所以上の外周面にそれぞれリング6,7が装着されて、これらリング6,7によって二つ割ハウジング11,12が結合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は小型電気機器、殊に小径筒状のハウジング内にモータを内蔵している小型電気機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鼻毛カッターや眉毛カッター、電動歯ブラシといった円筒状モータを小径筒状のハウジング内に内蔵している小型電気機器では、軸方向と直交する方向に二つ割としたハウジング内にモータを納めた後、二つ割ハウジングを結合している。この結合は、二つ割ハウジングの一方に設けたフックを他方に係止することで行ったり、ビス止めで行っているが、この場合、ハウジング内面とモータ外周面との間にフック止めのための空間やビス挿通部を設けることになるために、モータ外径に比してハウジング外径が大きくなりがちであり、しかもハウジング内面とモータ外周面との間に隙間があれば、モータの共鳴音が発生して騒音が大きくなるという問題も有している。もちろん、モータ部分を避けてフックやビス挿通部を設ければ、ハウジング外径を小さく抑えることができるものの、ハウジングの軸方向全長を長くしなくてはならなくなる。
【0003】
加えるに、フックを用いたものでは衝撃でフックが外れることがないようにフック強度を高くする関係上、ハウジングを分解することが困難であり、また手間がかかるという問題も有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−62447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、モータを内蔵するハウジングを細く且つ短くすることができる小型電気機器を提供すること及び分解組立が容易である小型電気機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、二つ割の筒状ハウジング内にモータを収納している小型電気機器であって、軸方向と直交する方向に分割されている上記ハウジングは上記モータの一端側と他端側の少なくとも2カ所以上の外周面にそれぞれリングが装着されて、これらリングによって二つ割ハウジングが結合されていることに特徴を有している。
【0007】
上記ハウジングの軸方向端部にはそれぞれバヨネット結合によって他部材が装着されており、これら他部材によって上記リングの抜け止め固定がなされていることが好ましい。
【0008】
また、上記モータ外周面が上記ハウジング内周面に隙間なく接していることが好ましい。
【0009】
上記リングのうちの少なくとも一つは外観上のアクセントを兼ねる化粧リングとなっているのも好ましい。
【0010】
さらには、上記リングのうちの一つのリングの外周上に上記ハウジングの軸方向にスライド自在なスイッチハンドルが配されているとともに、上記ハウジングの外周にハウジングの軸方向に着脱自在に装着されるキャップを備えており、上記キャップはハウジングへの装着時にその端縁で上記スイッチハンドルを押圧してスイッチハンドルをオフ位置に保持するものを好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、二つ割のハウジングをフックやビス止めなどを利用して結合するものに比して、簡単に且つ確実に結合することができるものであり、また、フックやビス止めのための空間をハウジング内部に設ける必要がないためにモータ外径にしてハウジング外径を小さく抑えることができるとともに、軸方向寸法も短くすることができる。しかもリングを外すだけでハウジングを分割できるために分解も容易でメンテナンス性も良好である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は縦断面図である。
【図2】同上の分解斜視図である。
【図3】同上のハウジング組立手順を示す斜視図である。
【図4】(a)は同上のモータ付近の部分縦断面図、(b)は同上のモータ部分の横断面図である。
【図5】同上のスイッチ付近の部分縦断面図である。
【図6】同上のキャップを装着した状態を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施の形態の一例に基づいて詳述すると、図示例の電気機器は鼻毛カッターであって、細長い円筒状のモータ2を内蔵する円筒状のハウジング1の一端に刃ブロック5が配されている。そしてハウジング1の軸方向一端側には図6に示すように有底筒状のキャップ3が着脱自在に被せられ、ハウジング1の軸方向他端側には有底筒状の電池室カバー4が被せられる。
【0014】
上記ハウジング1は、その軸方向と直交する方向に分割された二つ割のものとして形成されており、一方のハウジング11は電池収納部13を有する分だけ他方のハウジング12より長くなっている。そして両ハウジング11,12間には、前記モータ2のほかに、図2に示すように、プリント基板87、モータ2の両極とプリント基板87との間をつなぐ金具91,93、電池収納部13に収納される電池の両極とプリント基板87との間をつなぐ金具90,92、そして接点ばね86を備えたスライド板85等が収納される。図中85は電池収納室13に配されるクッション材、96は電池の方向性が記されたシール、97は電池接触ばねである。
【0015】
上記ハウジング11,12で構成されるハウジング1の一端に装着される刃ブロック5は、外刃51を備えた外刃フレーム50と、内刃53を備えた内刃フレーム5とからなるもので、内刃フレーム52は上記モータ2の出力軸に継ぎ手21を介して連結される。外刃フレーム50はその内面に設けられている突起55を、ハウジング1の一端外周面に形成されている係合溝17にバヨネット結合されることでハウジング1に連結される。
【0016】
ここにおいて、上記ハウジング1は、前述のように軸方向と直交する方向において分割されたハウジング11,12で構成されたものであるが、両ハウジング11,12の結合は、図3にも示すように、一対のリング6,7によってなされている。ハウジング1の大径部と同じ外径を有するリング6は、両ハウジング11,12の一端側のやや細くなっている部分に被せられるものであり、他方のリング7はモータ2の収納部と電池収納部13の間のやや細くなっている部分(ハウジング11の中程)で両ハウジング11,12に被せられる。
【0017】
そしてリング6は、ハウジング1及び外刃フレーム50と同色のものとして形成されており、ハウジング1の一端にバヨネット結合で連結された外刃フレーム50とハウジング1の大径部分との間に位置する。つまり、リング6はハウジング1への外刃フレーム50の装着により、抜け止め固定される。
【0018】
リング7も同様に電池カバー4とハウジング1の大径部分との間に位置し、さらにハウジング1外周面に設けた係合溝18に内面の突起(図示せず)をバヨネット結合させる電池カバー4によって抜け止め固定される。なお、リング7の外径はハウジング1の大径部の外径よりもやや大きい外径を持つとともに、電池カバー4とほぼ等しい外径を持つものとなっている。また、ハウジング1の一端側に刃ブロック5を覆うかたちで被せられるキャップ3も、リング7の外径とほぼ等しい外径を持つために、電池カバー4を装着するとともにキャップ3を被せた状態では、図6に示すように、キャップ3と電池カバー4とこの両者の間に露出するリング7とは軸方向において、ほぼ段差なく連続する外形を呈するものとなっている。また、リング7はハウジング1及びキャップ3並びに電池カバー4と異なる色に仕上げられており、このためにリング7は外観上、アクセントリング(化粧リング)としての機能も果たしている。
【0019】
また、ここではリング7の部分にスライド型のスイッチハンドル8を配している。リング7の外周面に設けた軸方向の溝70内に配されるスイッチハンドル8は、ハウジング1を貫通して前記スライド板85に連結される脚部80,80を備えたもので、その一部はハウジング1の外面に設けた凹部15に位置することで、キャップ3との干渉が防がれている。
【0020】
スイッチハンドル8をスライドさせれば、スイッチハンドル8と一体にスライドするスライド板85に設けた接点ばね86がプリント基板87のパターン上を摺動してモータ2への電流供給のオンオフを行う。
【0021】
なお、スイッチハンドル8におけるリング7の溝70内に位置する部分は、キャップ3が装着された時、キャップ7の端縁で押されることで、オフ位置に固定され、キャップ3を外さないことにはモータ2への給電を行うことができないものとなっている上に、スイッチハンドル8がオン位置にある状態でキャップ3を装着すれば、スイッチハンドル8はオフ位置に戻される。
【0022】
この小型電気機器では、前述のように二つ割のハウジング11,12で形成された円筒状のハウジング1は、モータ2と重ならない軸方向位置において被せられたリング6,7によってハウジング11,12の結合がなされており、ハウジング11,12の内面側には両者の結合のための部材やスペースを何ら必要としていない。このために、図4(b)に示すように、ハウジング1内周面がモータ2の外周面に隙間なく接するものとでき、ハウジング1の小径化に有効である上に、隙間がある場合に生じるモータ2の共鳴音の問題も無くすことができて、静音駆動の点で有利である。
【0023】
また、各リング6,7は、ハウジング1にバヨネット結合で装着される外刃フレーム50及び電池カバー4によって抜け止め固定されるものであり、リング6,7の抜け止めに別途部材を必要とせず、リング6,7が容易に外れてしまうということもない。しかも外刃フレーム50及び電池カバー4のハウジング1に対するバヨネット結合を解除すれば、リング6,7を容易に抜き取ってハウジング1を分解することができるために、そして、外刃フレーム50及び電池カバー4の着脱にも工具を必要としたりしないために、メンテナンスの点でも優れた構造を持つ。
【0024】
鼻毛カッターである場合を例に示したが、本発明はモータ2を細長いハウジング1内に収納する形態の小型電気機器であれば、どのような種類の電気機器にも適用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 ハウジング
2 モータ
3 キャップ
4 電池カバー
6 リング
7 リング
8 スイッチハンドル
11 ハウジング
12 ハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つ割の筒状ハウジング内にモータを収納している小型電気機器であって、軸方向と直交する方向に分割されている上記ハウジングは上記モータの一端側と他端側の少なくとも2カ所以上の外周面にそれぞれリングが装着されて、これらリングによって二つ割ハウジングが結合されていることを特徴とする小型電気機器。
【請求項2】
上記ハウジングの軸方向端部にはそれぞれバヨネット結合によって他部材が装着されているとともに、これら他部材によって上記リングの抜け止め固定がなされていることを特徴とする請求項1記載の小型電気機器。
【請求項3】
上記モータ外周面が上記ハウジング内周面に隙間なく接していることを特徴とする請求項1または2記載の小型電気機器。
【請求項4】
上記リングのうちの少なくとも一つは外観上のアクセントを兼ねる化粧リングとなっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の小型電気機器。
【請求項5】
上記リングのうちの一つのリングの外周上に上記ハウジングの軸方向にスライド自在なスイッチハンドルが配されているとともに、上記ハウジングの外周にハウジングの軸方向に着脱自在に装着されるキャップを備えており、上記キャップはハウジングへの装着時にその端縁で上記スイッチハンドルを押圧してスイッチハンドルをオフ位置に保持するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の小型電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−22342(P2013−22342A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161656(P2011−161656)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)