小害虫捕獲器と捕獲袋
【課題】安全，衛生的，かつ安価に飛翔している小バエを捕獲でき，全ての床面移動式掃除機の吸引管へ容易に着脱でき，捕獲した小バエが逃げ出さない、または、捕獲すると同時にコバエを殺すことができる捕獲袋と小害虫捕獲器を提供する．
【解決手段】通気性を有する捕獲袋５と，径の１次微分が負であり，外周で捕獲袋５を真空掃除機吸引菅の内周との間に挟んで支持する固定管１からなり，また、固定管１の通気出口に出口管２，さらに固定管１の通気入口に、径の１次微分が負、かつ２次微分が正の吸引導入部３を有し，また，吸引導入部３の切り欠かれた所に伸縮性捕獲袋を係止するための係止爪が形成される等の特徴をもつ小害虫捕獲器と、重ね合わせた可撓性メッシュから製作され、吸引されたコバエが圧死する捕獲袋とそれを用いた小害虫捕獲器を構成する．
【解決手段】通気性を有する捕獲袋５と，径の１次微分が負であり，外周で捕獲袋５を真空掃除機吸引菅の内周との間に挟んで支持する固定管１からなり，また、固定管１の通気出口に出口管２，さらに固定管１の通気入口に、径の１次微分が負、かつ２次微分が正の吸引導入部３を有し，また，吸引導入部３の切り欠かれた所に伸縮性捕獲袋を係止するための係止爪が形成される等の特徴をもつ小害虫捕獲器と、重ね合わせた可撓性メッシュから製作され、吸引されたコバエが圧死する捕獲袋とそれを用いた小害虫捕獲器を構成する．
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、コバエや蚊等の小害虫、特にキッチン回りで発生するコバエの駆除方法のうち、これを吸引捕獲または吸引圧殺して駆除する捕獲器と捕獲袋に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
春から夏にかけ気温が高くなると流しの三角コーナーやゴミ箱等にショウジョウバエやノミバエ等のコバエが発生し、これを駆除するのに手をやいているというのが現状である。
【０００３】
コバエを駆除するために薬剤を散布する方法があるが、薬剤には人体に有害な成分も含まれており、これを人やペットが吸入したり食品や食器にかかることは好ましくない。また、コバエが一般のハエ用スプレーで駆除できないということは、多くの人が経験していることである。また、効力のあるコバエ専用スプレーは特に高価である。
【０００４】
薬剤散布する方法の他には、粘着テープや誘引剤を練り込んだ粘着材を設置し、コバエを捕獲する方法がある。これらは据え置いて使用でき、ある程度捕獲出来るが、流し台の三角コーナーで発生している全てのコバエを誘引、駆除することはできない。また、ゴミ箱内に発生したコバエを駆除することもできない。また、前記誘引粘着材は比較的高価であるとともに、１シーズンに何回か取り替える必要がある。
【０００５】
また、前記粘着テープや前記誘引粘着材による駆除法は、捕獲されたコバエがテープや容器内に蓄積され、視覚的な面からも非衛生的である。さらに、前記誘引剤が屋外より新たなコバエを引き寄せることもある。
【０００６】
三角コーナーやゴミ箱内で発生しているコバエを安価な方法で確実に駆除できることは有益である。
【０００７】
これまで提示されたコバエを吸引捕獲する装置に特許文献１が、また、蝿や蚊を吸引捕獲する装置に特許文献２がある。特許文献１は真空掃除機の吸引管の先端に「捕獲筒」と呼ばれる半球状の吸引器具をつけたもの、特許文献２は先端に向けて拡開・開口した「本体」とテーパ状の「管部」と「係止突起」及び「網状袋」を有するものである。
【０００８】
特許文献１の捕獲器は捕獲されたコバエが生きており十分な駆除がなされず不衛生であり、また、捕獲されたコバエを掃除機内に閉じ込める手段も示されていない。
【０００９】
特許文献２は、特許文献１の前記捕獲筒に前記網状袋を取り付け、テーパ状の前記管部によって掃除機の吸引管に取り付けられるようにしたものとみなされるが、これには以下に述べるような解決すべき点がある。
【００１０】
（Ｐ１）前記管部は段階的に径が小さくなっており、市販されている床面移動式掃除機が有する様々な径の吸引管に着脱することはできない。また、掃除機吸引管の断面が斜めになり、切り口が楕円であるものも同様である。
【００１１】
（Ｐ２）市販の水切り袋を前記網状袋として用いており、前記網状袋は素材の面積が大きく、また、入口にゴムが付いているので、コストが高い。
【００１２】
（Ｐ３）前記水切り袋の口の径は掃除機の吸引管の径よりかなり大きく、だぶついた前記水切り袋の入口部を複数の係止突起へ係止するには手間がかかる。また、径の小さい専用の網状袋を用いた場合、前記本体の径の大きい入口を越せるように前記網状袋の入口を広げなければならず、装着しにくい。
【００１３】
（Ｐ４）前記係止突起は図から鋭利な金属等をインサート成形したものと解されるが、製作にコストがかかるとともに、前記本体より突出した前記係止突起は使用者にとり危険なものである。
【００１４】
（Ｐ５）前記管部が拡開して前記網状袋の開きが大きいため、また、吸引終了後、前記網状袋を前記係止突起から外し、拡開した前記管部より取り外すのに時間がかかるため、掃除機のスイッチを切って前記網状袋を取り出す際に捕獲した害虫が容易に逃げ出す。
【００１５】
以上挙げたものの他に、ゴキブリ等を吸引捕獲する目的で掃除機の吸引管に取り付ける害虫捕獲器が数多く示されているが、これらは捕獲用の袋の他に何らかの付属物がついており、使い捨てで用いられるこれらの袋のコストが高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００１６】
【特許文献１】実用新案第３０２０３２６号
【特許文献２】特許第３７３４９３０号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１７】
本発明は以上のような問題点を解決するため、（１）安全で、（２）衛生的、（３）安価な方法で飛翔している全てのコバエの駆除が可能で、（４）市販の全ての床面移動式掃除機の吸引管に装着可能で、（５）捕獲用の袋が安価で、（６）着脱が容易、（７）係止突起が安全であり、（８）前記捕獲用の袋を取り外す際に捕獲したコバエが逃げ出さない小害虫捕獲器を、さらに、（９）捕獲すると同時にコバエを物理的に殺すことができる捕獲袋とそれを用いた小害虫捕獲器を提供することにある。
【発明を解決するための手段】
【００１８】
以上の状況を鑑み、本発明は、通気性を有する捕獲袋と、中央に通気孔を有し前期通気孔の通気入口から通気出口に向かう径の１次微分が負であり、外周で前記捕獲袋を真空掃除機の吸引菅の内周との間に挟んで支持する固定管からなり、前記固定管の径の２次微分が負であり、また、前記固定管の前記通気出口に、径の１次微分が零、または径の１次微分が負かつ２次微分が零である出口管を有し、また、前記固定管の前記通気入口に、径の１次微分が負、かつ径の２次微分が正または零の吸引導入部を有する小害虫捕獲器で、前記吸引導入部の一つまたは複数の切り欠かれた所に伸縮性を有する網からなる捕獲袋の上部を係止するための係止爪が形成された小害虫捕獲器、さらに、重ね合わせた可撓性メッシュから縁を接合して製作され、吸引された小害虫が圧殺される捕獲袋と、その捕獲袋を用いた小害虫捕獲器を提供する。
【００１９】
前記固定管、前記出口管または前記吸引導入部の径の微分は、通気方向長さを独立変数、径の長さを従属変数とした微分で定義する。
【００２０】
前記固定管の径の１次微分が負であると、径は単調減少、即ち徐々に小さくなる。
【００２１】
前記固定管の径の２次微分が負であると、前記固定管の外形は丸みをおびて徐々に先細りとなる。
【００２２】
前記出口管の径の１次微分が零であると、径は一定の大きさをもつ。
【００２３】
前記出口管の径の１次微分が負かつ２次微分が零であると、前記出口管の外形は先細りの円錐面をなす。
【００２４】
前記吸引導入部の径の１次微分が負かつ２次微分が正であると、前記吸引導入部の外形はラッパの吹き出し口状の形をなす。
【００２５】
前記係止爪は、前記吸引導入部の一部を切り欠いて形成される。通常、樹脂射出成形時に一体となって形成され、前記吸引導入部と同様の曲率を有している。
【００２６】
最初の捕獲袋は、ポリエステル繊維等をストッキング編機で円筒状に編んだ網から製作される袋で伸縮性を有する。以下、この捕獲袋を伸縮性捕獲袋と呼ぶ。前記伸縮性捕獲袋の底はやや絞ってある方が好ましい。これはキッチンで用いられるストッキングタイプの水切り袋と同様のものであるが、それと比べ入口部にゴムがなく、かつ径が小さい。
【００２７】
次の捕獲袋は、重ね合わせた可撓性メッシュから縁を接合して製作され、吸引された小害虫が圧殺される捕獲袋である。前記可撓性メッシュは、樹脂メッシュ、ワイヤーメッシュなどの可撓性を有するメッシュで、前記捕獲袋は、通常、安価な樹脂メッシュを用いて製作されるが、ワイヤーメッシュでも製作できる。
【００２８】
以下、樹脂メッシュを用いた捕獲袋を樹脂メッシュ製捕獲袋と呼ぶ。前記樹脂メッシュ製捕獲袋は、通常２枚の樹脂メッシュ断片を重ね合わせ、前記側面縁２箇所と前記底１箇所を溶着して製作される。また、１枚の樹脂メッシュを折り返して、側面縁１か所と底１か所を溶着して製作することもできるが、圧殺の効果は弱まる。また、底のないものも製作できるが、一度に圧殺できるコバエ数が少なくなる。樹脂メッシュの素材としては、溶融温度が比較的低く、ある程度剛性がある高密度ポリエチレンが望ましい。
【００２９】
次に、本発明の小害虫捕獲器の使用法と前記樹脂メッシュ製捕獲袋の機能について説明する。
【００３０】
（Ｕ１）前記伸縮性捕獲袋または前記樹脂メッシュ製捕獲袋に前記固定管を入れる。前記伸縮性捕獲袋を用いる場合、前記固定管の掃除機吸引管への密着度が低かったり、掃除機の吸引力が強い場合は、前記伸縮性捕獲袋が掃除機に吸い込まれるので、前記伸縮性捕獲袋の上部を前記係止爪に係止させる。その際、前記伸縮性捕獲袋の上部を親指で前記固定管、前記係止爪、及び前記吸引導入部の外側に押しつけながら上へ滑らし、指で摘んで前記係止爪に係止、装着する。前記樹脂メッシュ製捕獲袋の場合は、捕獲袋自体がある程度形態を保持する力があり、また、吸引力によって前記固定管が前記樹脂メッシュ製捕獲袋を圧迫するので、係止する必要はない。
【００３１】
（Ｕ２）前記伸縮性捕獲袋または前記樹脂メッシュ製捕獲袋が装着された前記固定管を前記掃除機吸引管に装着して掃除機のスイッチを入れ、コバエを吸引捕獲ないし圧殺する。
【００３２】
（Ｕ３）掃除機のスイッチを切り、前記固定管と前記伸縮性捕獲袋または前記樹脂メッシュ製捕獲袋を取り出す。
【００３３】
（Ｕ４ａ）前記伸縮性捕獲袋の場合は、これを前記固定管から外して、古新聞や古雑誌等の間に挟んでコバエを圧死させた後廃棄する。
【００３４】
（Ｕ４ｂ）前記樹脂メッシュ製捕獲袋の場合、最も好ましい形態は側面縁２箇所と底１箇所を溶着して形成され、前記底付近の樹脂メッシュ面に垂直な間隔は前記底に近づくにつれ狭くなる。掃除機の吸引力によって前記底方向へ向かったコバエは、２枚の前記樹脂メッシュの間に挟まれ瞬時に圧死する。また、吸引されるコバエの数が多く、死骸が前記底に貯留され、前記樹脂メッシュの挟む力が無くなった場合も、掃除機の吸引力が強い場合はコバエが前記固定管で速度を増した気流によって貯留した死骸に激突する。その際、コバエは運動方向の転換がなされないまま、持っている運動量エネルギーの全てを反力の力積として受け死亡する。丁度、車の正面衝突が一番被害が大きいのと力学的に相似な所があるが、本件の場合は、個体自身の持つ運動エネルギーに加え気流の圧力があるので、より強い撃力となる。
【００３５】
掃除機の吸い込み仕事率が２６０Ｗと６００Ｗの場合、吸引されたコバエは前記底付近で全て圧死した。吸い込み仕事率８０Ｗでも殆どが圧死したが、１０％ほど生きて動けないものも観察された。もしコバエが生きた状態で捕えられ、廃棄する際に前記樹脂メッシュ製捕獲袋の入口部へ向かった場合は、前記底を鉛直上方に向けてやると昆虫の負の走地性からコバエは自ら前記底方向へ移動するので容易に捕獲できる。その後、古新聞やチラシなどで圧殺する。実際の掃除機の最高吸い込み仕事率が８０Ｗということはないので、問題はない。
【発明の効果】
【００３６】
本発明の前記小害虫捕獲器、及び前記樹脂メッシュ製捕獲袋は以下の効果を有する。
【００３７】
（１）人体に無害で安全である。薬剤を使わないので、人体やペットに無害で食器や食品への悪影響も全く無い。
【００３８】
（２）衛生的である。コバエは捕獲後直ちに圧死、廃棄されるので、前記粘着テープや前記誘引粘着材のようにコバエの死骸を放置することが無い。また、特許文献１のように掃除機内に生きたまま残存することも無い。
【００３９】
（３）前記粘着テープ、前記誘引粘着剤は、飛翔している全てのコバエを駆除することはできないが、本発明の小害虫捕獲器は、飛翔している全てのコバエの駆除が可能である。
【００４０】
（４）また、初期価格は前記誘引粘着剤や前記コバエ専用スプレーよりも安価で、ランニングコストもはるかに低い。
【００４１】
（５）前記特許文献２の解決すべき点（Ｐ１）に比べ、市販の全ての床面移動式掃除機の吸引管に着脱できる。本発明の前記固定管は、径の２次微分が負の、外形が緩やかに丸みを帯びた形状であり、前記掃除機吸引管で最も頻度の多いものとの嵌合が最適となるように設計されている。前記固定管の外面最小径は前記掃除機吸引管の内面最小径よりも小さく設計される。前記掃除機吸引管には、サイクロン式等に径がかなり小さいものもあり、前記掃除機吸引管の径が小さく、前記固定管が前記掃除機吸引管に十分に保持されない場合でも、前記出口管が前記掃除機吸引管の内部で支えとなって、脱落を防ぐ。また、前記掃除機吸引管の断面が斜めになり、切り口が楕円形の場合も同様である。なお、掃除機のスイッチを入れると、前記固定管は吸引力によってより確実に装着される。
【００４２】
（６）前記特許文献２の解決すべき点（Ｐ２）に比べ、前記伸縮性捕獲袋が安価である。前記伸縮性捕獲袋に使用される網の面積は、前記水切り袋のそれの１／２以下であり、また、前記水切り袋は入口にゴムが装着してある。また、これまで提示された害虫捕獲用の袋は、何らかの付属物がついていたが、本発明の前記伸縮性捕獲袋は付属物が一切無く、これらに比べ安価である。また、前記樹脂メッシュ製捕獲袋も洗った後、再利用可能なので、経済的である。
【００４３】
（７）前記特許文献２の解決すべき点（Ｐ３）に比べ、前記伸縮性捕獲袋の着脱が容易である。本発明の前記係止爪は、前記吸引導入部の切り欠かれた所に、前記吸引導入部と同様の曲率で樹脂射出成形されており、前記伸縮性捕獲袋は、前記使用法（Ｕ１）のように容易に係止、装着でき、取り外しも容易である。また、前記樹脂メッシュ製捕獲袋は、前記固定管を差し込むだけであり、着脱がさらに容易である。
【００４４】
（８）前記特許文献２の解決すべき点（Ｐ４）に比べ、前記係止爪が安全である。特許文献２の前記係止突起は金属が突出しているが、前記係止爪は、前記吸引導入部の切り欠かれた所に同様の曲率で樹脂射出成形されるため、安全である。なお、前記樹脂メッシュ製捕獲袋は、自身で形状をある程度保持できるので、前記係止爪は必要はない。
【００４５】
（９）前記特許文献２の解決すべき点（Ｐ５）に比べ、吸引終了後、捕獲したコバエが逃げ出さない。前記伸縮性捕獲袋は、コバエが前記固定管または前記出口管によって前記捕獲袋の奥まで導かれ、さらに前記捕獲袋の絞られた下部付近に絡まるため、また、前記捕獲袋を前記固定管から容易に取り外せるため、捕獲したコバエが逃げ出さない。また、前記樹脂メッシュ製捕獲袋は、前述したように吸引されたコバエが瞬時に圧死または激突死する。その際、前記固定管は気流を絞って高速化し、コバエの圧死または激突死の効果を高める。なお、コバエが生きたまま捕獲され前記入口部へ向かった場合も、前記樹脂メッシュ製捕獲袋の向きを変えることで簡単に捕獲でき、コバエの圧死と廃棄が容易である。
【図面の簡単な説明】
【００４６】
【図１】本発明の固定管１、出口管２、吸引導入部３、及び樹脂メッシュ製捕獲袋５を示す斜視図である。
【図２】前記固定管１、前記出口管２、前記吸引導入部３の（ａ）平面図と（ｂ）立面図である。
【図３】樹脂メッシュ断片５ａを示す図である。
【図４】係止爪１４を有する本発明の固定管１１、出口管１２、吸引導入部１３の（ａ）平面図、（ｂ）縦断面図、及び（ｃ）側面図である。
【図５】前記固定管１１に伸縮性捕獲袋６を装着する際の説明図である。
【図６】前記樹脂メッシュ製捕獲袋５を用いた場合の本発明の小害虫捕獲器を掃除機吸引管７に装着した状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【００４７】
以下、図面を用いて本発明の小害虫捕獲器、及び樹脂メッシュ製捕獲袋の実施の形態を説明する。
【００４８】
初めに樹脂メッシュ製捕獲袋を用いた場合について説明する。掃除機への装着は極めて容易で、固定管１、出口管２、吸引導入部３からなる管路を樹脂メッシュ製捕獲袋５に入れ（図１）、掃除機吸引管７に差し込むだけである（図６）。前記固定管１は、径の２次微分が負の緩やかに丸みをおびた形状をしている（図２）。現行調査では、市販されている床面移動式掃除機の有する吸引管の内径は４０〜４２ｍｍがほとんどで、小さいもので３２ｍｍほどである。前記固定管１の最大径部１ａの径は、前記床面移動式掃除機の吸引管の最大内径に合わせて形成される（図２）。前記固定管１は、緩やかに丸みをおびているので、最大頻度の掃除機吸引管に最も取り付けやすい。前記固定管１には、抜きテーパを有する出口管２と２次微分が正の吸引導入部３が連接して形成されている（図２）。前記掃除機吸引管７の径が細い場合や、切り口が楕円形になっている場合、前記出口管２が掃除機吸引管の内部で支えとなって、前記固定管１が脱落しにくくなる。また、図示してないが、射出成形品を取り出すためのノックアウトピン用の小さな円柱状突起を前記吸引導入部３上に設けても良い。
【００４９】
樹脂メッシュの素材は、例えば、４１メッシュ、線径２１２μｍ、目開４０７μｍの高密度ポリエチレンで、これを用いた樹脂メッシュ製捕獲袋の掃除機吸引力ごとのコバエの圧殺効果は先に述べた通りである。なお、前記樹脂メッシュは、袋状にした場合、形態が比較的保持されやすく、前記固定管１と前記掃除機吸引管７の間に挟み込むだけで十分固定できる。
【００５０】
前記樹脂メッシュ製捕獲袋５は２枚の樹脂メッシュ断片５ａの断片縁５ａ１と５ａ２、及び断片底５ａ３を溶着して製造できる（図３）。５ａ４は溶着しろを示す。前記断片縁５ａ１は直線から構成され、変化点５ａ５でやや傾きを変える。これは袋の長さを長くしてコバエをより奥の方へ導くとともに圧殺の効果を高める。また、前記断片底５ａ３の幅が大きくなり捕獲圧殺できるコバエの数が多くなる。前記変化点５ａ５は前記出口管２を過ぎた付近に設けられる。
【００５１】
次に、伸縮性捕獲袋の装着について説明する。固定管１１に連接して形成された吸引導入部１３の切り欠かれた所には係止爪１４が形成されている（図４）。伸縮性捕獲袋６を前記固定管１１に装着する際は、前記係止爪１４の下部１１ａ２付近にて親指で前記伸縮性捕獲袋６の上部６ａを抑えながら上へ滑らせ（図４、図５）、前記係止爪１４の上方で前記上部６ａを摘んでやや内側に倒すと容易に係止させることができる（図５）。なお、前記吸引導入部１３は、前記伸縮性捕獲袋６のせり上がりを抑え、前記伸縮性捕獲袋６は前記固定管１１から外れることなく、容易かつ確実に装着される。前記伸縮性捕獲袋６は、長さが前記固定管１１と出口管１２を合わせた長さＬの約１．５〜１．８倍あるとともに（図４）、下部が絞ってあり、吸引されたコバエは前記伸縮性捕獲袋６の奥まで到達して袋に絡まるので、掃除機のスイッチを切って前記伸縮性捕獲袋６を取り外す際も逃げ出すことはない。
【００５２】
前記吸引導入部３と１３は、径の２次微分が正、即ちらっぱの吹き出し口状をしており、（１）前記伸縮性捕獲袋６の取り付けを補完する他、（２）広角度での吸引ができるとともに、（３）前記固定管１または１１の強度を増す役割もある。また、（４）想定より大きい径の掃除機吸引管に対しても装着が可能となる。
【００５３】
以上のように、本発明の小害虫捕獲器は、市販の全ての床面移動式掃除機に適用でき、安全、衛生的、安価、簡便に、飛翔している全てのコバエを、捕獲、圧死、及び廃棄することができる。特に樹脂メッシュ製捕獲袋を用いた小害虫捕獲器は、吸引捕獲した瞬間にコバエを圧殺または激突死させることができる。
【符号の説明】
【００５４】
１、１１…固定管、１ａ…最大径部、２、１２…出口管、３、１３…吸引導入部、１４…係止爪、５…樹脂メッシュ製捕獲袋、５ａ…樹脂メッシュ断片、５ａ１、５ａ２…断片縁、５ａ３…断片底、５ａ４…溶着しろ、５ａ５…変化点、６…伸縮性捕獲袋、６ａ…上部、７…掃除機吸引管。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、コバエや蚊等の小害虫、特にキッチン回りで発生するコバエの駆除方法のうち、これを吸引捕獲または吸引圧殺して駆除する捕獲器と捕獲袋に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
春から夏にかけ気温が高くなると流しの三角コーナーやゴミ箱等にショウジョウバエやノミバエ等のコバエが発生し、これを駆除するのに手をやいているというのが現状である。
【０００３】
コバエを駆除するために薬剤を散布する方法があるが、薬剤には人体に有害な成分も含まれており、これを人やペットが吸入したり食品や食器にかかることは好ましくない。また、コバエが一般のハエ用スプレーで駆除できないということは、多くの人が経験していることである。また、効力のあるコバエ専用スプレーは特に高価である。
【０００４】
薬剤散布する方法の他には、粘着テープや誘引剤を練り込んだ粘着材を設置し、コバエを捕獲する方法がある。これらは据え置いて使用でき、ある程度捕獲出来るが、流し台の三角コーナーで発生している全てのコバエを誘引、駆除することはできない。また、ゴミ箱内に発生したコバエを駆除することもできない。また、前記誘引粘着材は比較的高価であるとともに、１シーズンに何回か取り替える必要がある。
【０００５】
また、前記粘着テープや前記誘引粘着材による駆除法は、捕獲されたコバエがテープや容器内に蓄積され、視覚的な面からも非衛生的である。さらに、前記誘引剤が屋外より新たなコバエを引き寄せることもある。
【０００６】
三角コーナーやゴミ箱内で発生しているコバエを安価な方法で確実に駆除できることは有益である。
【０００７】
これまで提示されたコバエを吸引捕獲する装置に特許文献１が、また、蝿や蚊を吸引捕獲する装置に特許文献２がある。特許文献１は真空掃除機の吸引管の先端に「捕獲筒」と呼ばれる半球状の吸引器具をつけたもの、特許文献２は先端に向けて拡開・開口した「本体」とテーパ状の「管部」と「係止突起」及び「網状袋」を有するものである。
【０００８】
特許文献１の捕獲器は捕獲されたコバエが生きており十分な駆除がなされず不衛生であり、また、捕獲されたコバエを掃除機内に閉じ込める手段も示されていない。
【０００９】
特許文献２は、特許文献１の前記捕獲筒に前記網状袋を取り付け、テーパ状の前記管部によって掃除機の吸引管に取り付けられるようにしたものとみなされるが、これには以下に述べるような解決すべき点がある。
【００１０】
（Ｐ１）前記管部は段階的に径が小さくなっており、市販されている床面移動式掃除機が有する様々な径の吸引管に着脱することはできない。また、掃除機吸引管の断面が斜めになり、切り口が楕円であるものも同様である。
【００１１】
（Ｐ２）市販の水切り袋を前記網状袋として用いており、前記網状袋は素材の面積が大きく、また、入口にゴムが付いているので、コストが高い。
【００１２】
（Ｐ３）前記水切り袋の口の径は掃除機の吸引管の径よりかなり大きく、だぶついた前記水切り袋の入口部を複数の係止突起へ係止するには手間がかかる。また、径の小さい専用の網状袋を用いた場合、前記本体の径の大きい入口を越せるように前記網状袋の入口を広げなければならず、装着しにくい。
【００１３】
（Ｐ４）前記係止突起は図から鋭利な金属等をインサート成形したものと解されるが、製作にコストがかかるとともに、前記本体より突出した前記係止突起は使用者にとり危険なものである。
【００１４】
（Ｐ５）前記管部が拡開して前記網状袋の開きが大きいため、また、吸引終了後、前記網状袋を前記係止突起から外し、拡開した前記管部より取り外すのに時間がかかるため、掃除機のスイッチを切って前記網状袋を取り出す際に捕獲した害虫が容易に逃げ出す。
【００１５】
以上挙げたものの他に、ゴキブリ等を吸引捕獲する目的で掃除機の吸引管に取り付ける害虫捕獲器が数多く示されているが、これらは捕獲用の袋の他に何らかの付属物がついており、使い捨てで用いられるこれらの袋のコストが高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００１６】
【特許文献１】実用新案第３０２０３２６号
【特許文献２】特許第３７３４９３０号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１７】
本発明は以上のような問題点を解決するため、（１）安全で、（２）衛生的、（３）安価な方法で飛翔している全てのコバエの駆除が可能で、（４）市販の全ての床面移動式掃除機の吸引管に装着可能で、（５）捕獲用の袋が安価で、（６）着脱が容易、（７）係止突起が安全であり、（８）前記捕獲用の袋を取り外す際に捕獲したコバエが逃げ出さない小害虫捕獲器を、さらに、（９）捕獲すると同時にコバエを物理的に殺すことができる捕獲袋とそれを用いた小害虫捕獲器を提供することにある。
【発明を解決するための手段】
【００１８】
以上の状況を鑑み、本発明は、通気性を有する捕獲袋と、中央に通気孔を有し前期通気孔の通気入口から通気出口に向かう径の１次微分が負であり、外周で前記捕獲袋を真空掃除機の吸引菅の内周との間に挟んで支持する固定管からなり、前記固定管の径の２次微分が負であり、また、前記固定管の前記通気出口に、径の１次微分が零、または径の１次微分が負かつ２次微分が零である出口管を有し、また、前記固定管の前記通気入口に、径の１次微分が負、かつ径の２次微分が正または零の吸引導入部を有する小害虫捕獲器で、前記吸引導入部の一つまたは複数の切り欠かれた所に伸縮性を有する網からなる捕獲袋の上部を係止するための係止爪が形成された小害虫捕獲器、さらに、重ね合わせた可撓性メッシュから縁を接合して製作され、吸引された小害虫が圧殺される捕獲袋と、その捕獲袋を用いた小害虫捕獲器を提供する。
【００１９】
前記固定管、前記出口管または前記吸引導入部の径の微分は、通気方向長さを独立変数、径の長さを従属変数とした微分で定義する。
【００２０】
前記固定管の径の１次微分が負であると、径は単調減少、即ち徐々に小さくなる。
【００２１】
前記固定管の径の２次微分が負であると、前記固定管の外形は丸みをおびて徐々に先細りとなる。
【００２２】
前記出口管の径の１次微分が零であると、径は一定の大きさをもつ。
【００２３】
前記出口管の径の１次微分が負かつ２次微分が零であると、前記出口管の外形は先細りの円錐面をなす。
【００２４】
前記吸引導入部の径の１次微分が負かつ２次微分が正であると、前記吸引導入部の外形はラッパの吹き出し口状の形をなす。
【００２５】
前記係止爪は、前記吸引導入部の一部を切り欠いて形成される。通常、樹脂射出成形時に一体となって形成され、前記吸引導入部と同様の曲率を有している。
【００２６】
最初の捕獲袋は、ポリエステル繊維等をストッキング編機で円筒状に編んだ網から製作される袋で伸縮性を有する。以下、この捕獲袋を伸縮性捕獲袋と呼ぶ。前記伸縮性捕獲袋の底はやや絞ってある方が好ましい。これはキッチンで用いられるストッキングタイプの水切り袋と同様のものであるが、それと比べ入口部にゴムがなく、かつ径が小さい。
【００２７】
次の捕獲袋は、重ね合わせた可撓性メッシュから縁を接合して製作され、吸引された小害虫が圧殺される捕獲袋である。前記可撓性メッシュは、樹脂メッシュ、ワイヤーメッシュなどの可撓性を有するメッシュで、前記捕獲袋は、通常、安価な樹脂メッシュを用いて製作されるが、ワイヤーメッシュでも製作できる。
【００２８】
以下、樹脂メッシュを用いた捕獲袋を樹脂メッシュ製捕獲袋と呼ぶ。前記樹脂メッシュ製捕獲袋は、通常２枚の樹脂メッシュ断片を重ね合わせ、前記側面縁２箇所と前記底１箇所を溶着して製作される。また、１枚の樹脂メッシュを折り返して、側面縁１か所と底１か所を溶着して製作することもできるが、圧殺の効果は弱まる。また、底のないものも製作できるが、一度に圧殺できるコバエ数が少なくなる。樹脂メッシュの素材としては、溶融温度が比較的低く、ある程度剛性がある高密度ポリエチレンが望ましい。
【００２９】
次に、本発明の小害虫捕獲器の使用法と前記樹脂メッシュ製捕獲袋の機能について説明する。
【００３０】
（Ｕ１）前記伸縮性捕獲袋または前記樹脂メッシュ製捕獲袋に前記固定管を入れる。前記伸縮性捕獲袋を用いる場合、前記固定管の掃除機吸引管への密着度が低かったり、掃除機の吸引力が強い場合は、前記伸縮性捕獲袋が掃除機に吸い込まれるので、前記伸縮性捕獲袋の上部を前記係止爪に係止させる。その際、前記伸縮性捕獲袋の上部を親指で前記固定管、前記係止爪、及び前記吸引導入部の外側に押しつけながら上へ滑らし、指で摘んで前記係止爪に係止、装着する。前記樹脂メッシュ製捕獲袋の場合は、捕獲袋自体がある程度形態を保持する力があり、また、吸引力によって前記固定管が前記樹脂メッシュ製捕獲袋を圧迫するので、係止する必要はない。
【００３１】
（Ｕ２）前記伸縮性捕獲袋または前記樹脂メッシュ製捕獲袋が装着された前記固定管を前記掃除機吸引管に装着して掃除機のスイッチを入れ、コバエを吸引捕獲ないし圧殺する。
【００３２】
（Ｕ３）掃除機のスイッチを切り、前記固定管と前記伸縮性捕獲袋または前記樹脂メッシュ製捕獲袋を取り出す。
【００３３】
（Ｕ４ａ）前記伸縮性捕獲袋の場合は、これを前記固定管から外して、古新聞や古雑誌等の間に挟んでコバエを圧死させた後廃棄する。
【００３４】
（Ｕ４ｂ）前記樹脂メッシュ製捕獲袋の場合、最も好ましい形態は側面縁２箇所と底１箇所を溶着して形成され、前記底付近の樹脂メッシュ面に垂直な間隔は前記底に近づくにつれ狭くなる。掃除機の吸引力によって前記底方向へ向かったコバエは、２枚の前記樹脂メッシュの間に挟まれ瞬時に圧死する。また、吸引されるコバエの数が多く、死骸が前記底に貯留され、前記樹脂メッシュの挟む力が無くなった場合も、掃除機の吸引力が強い場合はコバエが前記固定管で速度を増した気流によって貯留した死骸に激突する。その際、コバエは運動方向の転換がなされないまま、持っている運動量エネルギーの全てを反力の力積として受け死亡する。丁度、車の正面衝突が一番被害が大きいのと力学的に相似な所があるが、本件の場合は、個体自身の持つ運動エネルギーに加え気流の圧力があるので、より強い撃力となる。
【００３５】
掃除機の吸い込み仕事率が２６０Ｗと６００Ｗの場合、吸引されたコバエは前記底付近で全て圧死した。吸い込み仕事率８０Ｗでも殆どが圧死したが、１０％ほど生きて動けないものも観察された。もしコバエが生きた状態で捕えられ、廃棄する際に前記樹脂メッシュ製捕獲袋の入口部へ向かった場合は、前記底を鉛直上方に向けてやると昆虫の負の走地性からコバエは自ら前記底方向へ移動するので容易に捕獲できる。その後、古新聞やチラシなどで圧殺する。実際の掃除機の最高吸い込み仕事率が８０Ｗということはないので、問題はない。
【発明の効果】
【００３６】
本発明の前記小害虫捕獲器、及び前記樹脂メッシュ製捕獲袋は以下の効果を有する。
【００３７】
（１）人体に無害で安全である。薬剤を使わないので、人体やペットに無害で食器や食品への悪影響も全く無い。
【００３８】
（２）衛生的である。コバエは捕獲後直ちに圧死、廃棄されるので、前記粘着テープや前記誘引粘着材のようにコバエの死骸を放置することが無い。また、特許文献１のように掃除機内に生きたまま残存することも無い。
【００３９】
（３）前記粘着テープ、前記誘引粘着剤は、飛翔している全てのコバエを駆除することはできないが、本発明の小害虫捕獲器は、飛翔している全てのコバエの駆除が可能である。
【００４０】
（４）また、初期価格は前記誘引粘着剤や前記コバエ専用スプレーよりも安価で、ランニングコストもはるかに低い。
【００４１】
（５）前記特許文献２の解決すべき点（Ｐ１）に比べ、市販の全ての床面移動式掃除機の吸引管に着脱できる。本発明の前記固定管は、径の２次微分が負の、外形が緩やかに丸みを帯びた形状であり、前記掃除機吸引管で最も頻度の多いものとの嵌合が最適となるように設計されている。前記固定管の外面最小径は前記掃除機吸引管の内面最小径よりも小さく設計される。前記掃除機吸引管には、サイクロン式等に径がかなり小さいものもあり、前記掃除機吸引管の径が小さく、前記固定管が前記掃除機吸引管に十分に保持されない場合でも、前記出口管が前記掃除機吸引管の内部で支えとなって、脱落を防ぐ。また、前記掃除機吸引管の断面が斜めになり、切り口が楕円形の場合も同様である。なお、掃除機のスイッチを入れると、前記固定管は吸引力によってより確実に装着される。
【００４２】
（６）前記特許文献２の解決すべき点（Ｐ２）に比べ、前記伸縮性捕獲袋が安価である。前記伸縮性捕獲袋に使用される網の面積は、前記水切り袋のそれの１／２以下であり、また、前記水切り袋は入口にゴムが装着してある。また、これまで提示された害虫捕獲用の袋は、何らかの付属物がついていたが、本発明の前記伸縮性捕獲袋は付属物が一切無く、これらに比べ安価である。また、前記樹脂メッシュ製捕獲袋も洗った後、再利用可能なので、経済的である。
【００４３】
（７）前記特許文献２の解決すべき点（Ｐ３）に比べ、前記伸縮性捕獲袋の着脱が容易である。本発明の前記係止爪は、前記吸引導入部の切り欠かれた所に、前記吸引導入部と同様の曲率で樹脂射出成形されており、前記伸縮性捕獲袋は、前記使用法（Ｕ１）のように容易に係止、装着でき、取り外しも容易である。また、前記樹脂メッシュ製捕獲袋は、前記固定管を差し込むだけであり、着脱がさらに容易である。
【００４４】
（８）前記特許文献２の解決すべき点（Ｐ４）に比べ、前記係止爪が安全である。特許文献２の前記係止突起は金属が突出しているが、前記係止爪は、前記吸引導入部の切り欠かれた所に同様の曲率で樹脂射出成形されるため、安全である。なお、前記樹脂メッシュ製捕獲袋は、自身で形状をある程度保持できるので、前記係止爪は必要はない。
【００４５】
（９）前記特許文献２の解決すべき点（Ｐ５）に比べ、吸引終了後、捕獲したコバエが逃げ出さない。前記伸縮性捕獲袋は、コバエが前記固定管または前記出口管によって前記捕獲袋の奥まで導かれ、さらに前記捕獲袋の絞られた下部付近に絡まるため、また、前記捕獲袋を前記固定管から容易に取り外せるため、捕獲したコバエが逃げ出さない。また、前記樹脂メッシュ製捕獲袋は、前述したように吸引されたコバエが瞬時に圧死または激突死する。その際、前記固定管は気流を絞って高速化し、コバエの圧死または激突死の効果を高める。なお、コバエが生きたまま捕獲され前記入口部へ向かった場合も、前記樹脂メッシュ製捕獲袋の向きを変えることで簡単に捕獲でき、コバエの圧死と廃棄が容易である。
【図面の簡単な説明】
【００４６】
【図１】本発明の固定管１、出口管２、吸引導入部３、及び樹脂メッシュ製捕獲袋５を示す斜視図である。
【図２】前記固定管１、前記出口管２、前記吸引導入部３の（ａ）平面図と（ｂ）立面図である。
【図３】樹脂メッシュ断片５ａを示す図である。
【図４】係止爪１４を有する本発明の固定管１１、出口管１２、吸引導入部１３の（ａ）平面図、（ｂ）縦断面図、及び（ｃ）側面図である。
【図５】前記固定管１１に伸縮性捕獲袋６を装着する際の説明図である。
【図６】前記樹脂メッシュ製捕獲袋５を用いた場合の本発明の小害虫捕獲器を掃除機吸引管７に装着した状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【００４７】
以下、図面を用いて本発明の小害虫捕獲器、及び樹脂メッシュ製捕獲袋の実施の形態を説明する。
【００４８】
初めに樹脂メッシュ製捕獲袋を用いた場合について説明する。掃除機への装着は極めて容易で、固定管１、出口管２、吸引導入部３からなる管路を樹脂メッシュ製捕獲袋５に入れ（図１）、掃除機吸引管７に差し込むだけである（図６）。前記固定管１は、径の２次微分が負の緩やかに丸みをおびた形状をしている（図２）。現行調査では、市販されている床面移動式掃除機の有する吸引管の内径は４０〜４２ｍｍがほとんどで、小さいもので３２ｍｍほどである。前記固定管１の最大径部１ａの径は、前記床面移動式掃除機の吸引管の最大内径に合わせて形成される（図２）。前記固定管１は、緩やかに丸みをおびているので、最大頻度の掃除機吸引管に最も取り付けやすい。前記固定管１には、抜きテーパを有する出口管２と２次微分が正の吸引導入部３が連接して形成されている（図２）。前記掃除機吸引管７の径が細い場合や、切り口が楕円形になっている場合、前記出口管２が掃除機吸引管の内部で支えとなって、前記固定管１が脱落しにくくなる。また、図示してないが、射出成形品を取り出すためのノックアウトピン用の小さな円柱状突起を前記吸引導入部３上に設けても良い。
【００４９】
樹脂メッシュの素材は、例えば、４１メッシュ、線径２１２μｍ、目開４０７μｍの高密度ポリエチレンで、これを用いた樹脂メッシュ製捕獲袋の掃除機吸引力ごとのコバエの圧殺効果は先に述べた通りである。なお、前記樹脂メッシュは、袋状にした場合、形態が比較的保持されやすく、前記固定管１と前記掃除機吸引管７の間に挟み込むだけで十分固定できる。
【００５０】
前記樹脂メッシュ製捕獲袋５は２枚の樹脂メッシュ断片５ａの断片縁５ａ１と５ａ２、及び断片底５ａ３を溶着して製造できる（図３）。５ａ４は溶着しろを示す。前記断片縁５ａ１は直線から構成され、変化点５ａ５でやや傾きを変える。これは袋の長さを長くしてコバエをより奥の方へ導くとともに圧殺の効果を高める。また、前記断片底５ａ３の幅が大きくなり捕獲圧殺できるコバエの数が多くなる。前記変化点５ａ５は前記出口管２を過ぎた付近に設けられる。
【００５１】
次に、伸縮性捕獲袋の装着について説明する。固定管１１に連接して形成された吸引導入部１３の切り欠かれた所には係止爪１４が形成されている（図４）。伸縮性捕獲袋６を前記固定管１１に装着する際は、前記係止爪１４の下部１１ａ２付近にて親指で前記伸縮性捕獲袋６の上部６ａを抑えながら上へ滑らせ（図４、図５）、前記係止爪１４の上方で前記上部６ａを摘んでやや内側に倒すと容易に係止させることができる（図５）。なお、前記吸引導入部１３は、前記伸縮性捕獲袋６のせり上がりを抑え、前記伸縮性捕獲袋６は前記固定管１１から外れることなく、容易かつ確実に装着される。前記伸縮性捕獲袋６は、長さが前記固定管１１と出口管１２を合わせた長さＬの約１．５〜１．８倍あるとともに（図４）、下部が絞ってあり、吸引されたコバエは前記伸縮性捕獲袋６の奥まで到達して袋に絡まるので、掃除機のスイッチを切って前記伸縮性捕獲袋６を取り外す際も逃げ出すことはない。
【００５２】
前記吸引導入部３と１３は、径の２次微分が正、即ちらっぱの吹き出し口状をしており、（１）前記伸縮性捕獲袋６の取り付けを補完する他、（２）広角度での吸引ができるとともに、（３）前記固定管１または１１の強度を増す役割もある。また、（４）想定より大きい径の掃除機吸引管に対しても装着が可能となる。
【００５３】
以上のように、本発明の小害虫捕獲器は、市販の全ての床面移動式掃除機に適用でき、安全、衛生的、安価、簡便に、飛翔している全てのコバエを、捕獲、圧死、及び廃棄することができる。特に樹脂メッシュ製捕獲袋を用いた小害虫捕獲器は、吸引捕獲した瞬間にコバエを圧殺または激突死させることができる。
【符号の説明】
【００５４】
１、１１…固定管、１ａ…最大径部、２、１２…出口管、３、１３…吸引導入部、１４…係止爪、５…樹脂メッシュ製捕獲袋、５ａ…樹脂メッシュ断片、５ａ１、５ａ２…断片縁、５ａ３…断片底、５ａ４…溶着しろ、５ａ５…変化点、６…伸縮性捕獲袋、６ａ…上部、７…掃除機吸引管。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
通気性を有する捕獲袋と，中央に通気孔を有し前期通気孔の通気入口から通気出口に向かう径の１次微分が負であり，外周で前記捕獲袋を真空掃除機の吸引菅の内周との間に挟んで支持する固定管からなる小害虫捕獲器
【請求項２】
前記固定管の径の２次微分が負である請求項１記載の小害虫捕獲器
【請求項３】
前記固定管の前記通気出口に，径の１次微分が零，または径の１次微分が負かつ２次微分が零である出口管を有する請求項１または２記載の小害虫捕獲器
【請求項４】
前記固定管の前記通気入口に，径の１次微分が負，かつ径の２次微分が正または零の吸引導入部を有する請求項１から３いずれかに記載の小害虫捕獲器
【請求項５】
前記捕獲袋が伸縮性を有する網からなる請求項１から４いずれかに記載の小害虫捕獲器
【請求項６】
前記吸引導入部の一つまたは複数の切り欠かれた所に前記捕獲袋の上部を係止するための係止爪が形成された請求項５記載の小害虫捕獲器
【請求項７】
重ね合わせた可撓性メッシュから縁を接合して製作され、吸引された小害虫が圧殺される捕獲袋
【請求項８】
前記捕獲袋が請求項７記載の捕獲袋である請求項１から４いずれかに記載の小害虫捕獲器
【請求項１】
通気性を有する捕獲袋と，中央に通気孔を有し前期通気孔の通気入口から通気出口に向かう径の１次微分が負であり，外周で前記捕獲袋を真空掃除機の吸引菅の内周との間に挟んで支持する固定管からなる小害虫捕獲器
【請求項２】
前記固定管の径の２次微分が負である請求項１記載の小害虫捕獲器
【請求項３】
前記固定管の前記通気出口に，径の１次微分が零，または径の１次微分が負かつ２次微分が零である出口管を有する請求項１または２記載の小害虫捕獲器
【請求項４】
前記固定管の前記通気入口に，径の１次微分が負，かつ径の２次微分が正または零の吸引導入部を有する請求項１から３いずれかに記載の小害虫捕獲器
【請求項５】
前記捕獲袋が伸縮性を有する網からなる請求項１から４いずれかに記載の小害虫捕獲器
【請求項６】
前記吸引導入部の一つまたは複数の切り欠かれた所に前記捕獲袋の上部を係止するための係止爪が形成された請求項５記載の小害虫捕獲器
【請求項７】
重ね合わせた可撓性メッシュから縁を接合して製作され、吸引された小害虫が圧殺される捕獲袋
【請求項８】
前記捕獲袋が請求項７記載の捕獲袋である請求項１から４いずれかに記載の小害虫捕獲器
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２０１３−７８３１０（Ｐ２０１３−７８３１０Ａ）
【公開日】平成２５年５月２日（２０１３．５．２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１２−２２１６７５（Ｐ２０１２−２２１６７５）
【出願日】平成２４年９月１８日（２０１２．９．１８）
【出願人】（５０４３０２８６４）有限会社 中村医工研 (3)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２５年５月２日（２０１３．５．２）
【国際特許分類】
【出願日】平成２４年９月１８日（２０１２．９．１８）
【出願人】（５０４３０２８６４）有限会社 中村医工研 (3)
【Ｆターム（参考）】
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