説明

小形直動案内ユニット

【課題】この小形直動案内ユニットは,ケーシングに形成した外側凹溝にリターン路を形成するパイプ部材を配設し,パイプ部材を支持するカバーをエンドキャップ本体と一体構造に構成し,全体的にスライダをコンパクトでシンプルに構成してコストの低減を図る。
【解決手段】スライダ2は,上部21から垂下した袖部22に外側凹溝19を形成したケーシング3,方向転換路が形成された一対のエンドキャップ4,ケーシング3の袖部22の外側面24に配設された一対のパイプ部材7,及びパイプ部材7を抱き込んで支持するためエンドキャップ本体5に一体構造に構成されたカバーを構成するカバー部8を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,長尺な軌道レール及び該軌道レール上に転動体を介して相対移動するスライダから構成された小形直動案内ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年,小形直動案内ユニットは,半導体製造装置,工作機械,産業ロボット等における直線往復運動機構等の各種装置の摺動部への適用が拡大している。各種装置については,省エネであって,装置そのものの構造をシンプルにして低コストであると共に,ランニングコストや設備維持コストを削減することが要望されており,それに伴って各種装置に組み込まれる小形直動案内ユニットについても,現状の性能を維持しつつ,益々,構造がコンパクトでシンプルにして低コストであると共に,潤滑油のメンテナンスフリーが求められるようになっている。
【0003】
本出願人は,直動案内ユニットとして,方向転換路とリターン路とを接続管部で連通したものを先に開発して特許出願した。該直動案内ユニットは,転動体であるボールの循環を滑らかにする構造に構成すると共に,潤滑油を長期にわたって転動体に供給可能なメンテナンスフリーの構造に構成されており,多孔質構造の焼結樹脂部材で形成したリターン路部材と方向転換路とを接続管部で連通してスムーズな循環路を形成し,潤滑油のメンテナンスフリーを可能にした。また,スライダは,ケーシングの挿通孔の両端部を除いた部分に嵌挿されてリターン路を形成するリターン路部材,方向転換路の内周部と該内周部に続くリターン路の端部を形成する接続管部の内側部分とを有するスペーサ駒部を備えたスペーサ,及び方向転換路の外周部と該外周部に続くリターン路の端部を形成する接続管部の外側部分を備えたエンドキャップから構成されている(例えば,引用文献1参照)。
【0004】
また,リニアガイド装置として,ベアリング本体の両側面に凹溝を形成し,該凹溝を閉鎖部材で閉鎖してボール戻り穴を形成したものが知られている。該リニアガイド装置において,ボール戻り穴は,ベアリング本体の外側面に長手方向にその全長にわたって形成した凹溝を閉鎖するのに十分な幅及びベアリング本体の長さ以上の長さを有する閉鎖部材で凹溝を閉鎖して構成されている。上記閉鎖部材は,その端部がエンドキャップで支持されているものである(例えば,引用文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−90338号公報
【特許文献2】実開昭61−85716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら,本出願人に係る特許出願である引用文献1に開示された直動案内ユニットでは,文献1の図1〜図5に示すように,スライダにおけるケーシングに挿通孔を切削加工し,その挿通孔にリターン路を形成するリターン路部材を挿通して配置する構造であり,ケーシングへの孔加工を高精度に行う必要があり,金属製のケーシングへの加工が困難であり,加工コストがかかってしまい,構造がコンパクトでシンプルにして低コストであることへの課題があった。
【0007】
また,引用文献2に開示されたリニアガイド装置は,リターン路において転動体へ潤滑剤を供給するという潤滑剤のメンテナンスフリーという技術的思想を全く有しておらず,しかも,各構成部品の配設位置を相互に高精度に合致させてボールを滑らかに循環させるには如何すればよいかの課題があった。
【0008】
本願発明は,小形直動案内ユニットに関し,本出願人に係る先の特許出願である特願2010−190719の技術的思想を基礎にして派生した発明であり,更に引き続き本出願人に係る先の特許出願である特願2011−148577の直動案内ユニットと同様な技術的思想を更に発展させた一連の発明であり,特に,小形の直動案内ユニットでは,益々のコストダウンが要望されている現状にあるので,如何にすればコストダウンが可能な構造になるかの課題を解決したものである。即ち,本願発明は,小形の直動案内ユニットにあって,スライダにおけるリターン路を形成するパイプ部又はパイプ部材を抱持するカバーをエンドキャップに一体構造又はシンプルな別体に構成し,より組立し易くすると共に,転動体であるボールを滑らかに循環させて潤滑剤のメンテナンスフリーを達成しつつコストダウンを図ろうとするものである。
【0009】
この発明の目的は,上記課題を解決することであり,転動体であるボールが転走するリターン路を形成するのに,従来,ケーシングの袖部に挿通孔を形成することなく,ケーシングの袖部の外側を外側凹溝に形成して,その外側凹溝に沿ってリターン路が形成するパイプ部材を配設し,ケーシングの外側凹溝と共にパイプ部材を抱持するカバーをエンドキャップに設けることによって,ケーシングへの加工をシンプルに容易にし,各構成部品の配設位置を高精度に構成してスライダの組立を容易にし,全体的としてスライダを低コストに製作できるようにし,循環路でのボールの循環が滑らかに転走できるように構成した小形直動案内ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は,長手方向両側面にそれぞれ形成された第1軌道溝を備えた軌道レール,前記第1軌道溝に対向して形成された第2軌道溝を備え且つ前記軌道レールに跨架して相対移動するスライダ,並びに前記第1軌道溝と前記第2軌道溝との間に形成された軌道路,前記軌道路に沿って延びる前記スライダに設けられたリターン路,及び前記軌道路と前記リターン路とを接続する前記スライダに設けられた方向転換路から成る循環路を転走する複数の転動体であるボールを有することから成る小形直動案内ユニットにおいて,
前記スライダは,前記軌道レールの上面に対向した平板状の上部と該上部の両側から垂下してそれぞれ前記軌道レールの前記側面に沿って延び且つ内側に前記第2軌道溝が形成された袖部とから構成されているケーシング,前記ケーシングの両端面にそれぞれ固着され且つ前記方向転換路が形成された一対のエンドキャップ,前記ケーシングの前記袖部の両側面に前記長手方向に沿ってそれぞれ配設され且つ内径孔が前記リターン路に形成された円筒形状の一対のパイプ部材,及び前記パイプ部材を前記ケーシングの前記側面とで抱持するそれぞれの前記エンドキャップに設けられた一対のカバーから構成されていることを特徴とする小形直動案内ユニットに関する。
【0011】
また,この小形直動案内ユニットにおいて,前記ケーシングの前記袖部の前記両側面は,前記円筒形状の前記パイプ部材を前記第2軌道溝と平行に前記長手方向に沿って支持可能に前記パイプ部材の外周に沿った外側凹溝に形成されており,前記外側凹溝は,前記パイプ部材の前記外周に合致した前記長手方向に沿って延びる断面円弧形状の凹溝に形成された円弧部と,前記円弧部の上部と下部との両側にそれぞれ形成された逃げ部とで形成されており,前記外側凹溝の前記円弧部には前記パイプ部材の外周面が密接して配設され,前記上部の前記逃げ部は,前記円弧部から延びて水平方向に延びる部分が段差状の前記長手方向に延びる凹溝の凹部に形成されて前記パイプ部材の前記外周面との間に隙間が形成され,前記下部の前記逃げ部は,前記円弧部から延びて前記水平と予め決められた所定角度でなる接面で切下げた状態の前記長手方向に延びる凹溝の凹部に形成されて前記パイプ部材の前記外周面との間に隙間が形成されている。
【0012】
また,前記カバーは,前記円筒形状の前記パイプ部材の外周に当接して前記パイプ部材の前記外周の略半分を包み込むように断面円弧形状に前記長手方向に沿って凹溝に形成された内周部を備えており,前記カバーの外形が前記長手方向に延びる側面壁部と,前記側面壁部に続く前記長手方向に延びる下面壁部とで断面L字形状に形成されており,前記下面壁部の先端部は,前記ケーシングに形成された前記下部の前記逃げ部と前記パイプ部材との前記隙間に入り込んで前記パイプ部材を支持するための断面くさび形状の前記長手方向に延びる舌部に形成されている。
【0013】
また,前記エンドキャップは,前記ケーシングの前記端面に背面が当接し且つ前記背面の反対側端面に成る正面に一対の前記方向転換路の内周部が形成されたスペーサと,前記スペーサの前記正面に背面が当接し且つ前記方向転換路の前記内周部に対向して前記方向転換路の外周部がそれぞれ形成されたエンドキャップ本体とから構成されており,前記エンドキャップ本体に前記スペーサが合体した前記エンドキャップの背面には,前記パイプ部材の前記円筒形状に合致して前記リターン路の端部部分を形成する前記背面から突出した一対の円環部が設けられ,前記スペーサの前記背面には,前記方向転換路の前記内周部に連通して前記円環部を略半分に分割して成る前記背面から突出した一対の半円環部が形成され,及び前記エンドキャップ本体の前記背面には,前記方向転換路の前記外周部に連通して前記円環部を略半分に分割して成る前記背面から突出した一対の半円環部が形成されて成るものである。
【0014】
また,前記カバーの本体長さは,前記パイプ部材の長さと前記エンドキャップの前記円環部の2倍の長さを合計した長さであって,前記ケーシングの長さに対応して設定されて成る。更に,前記カバーは,前記側面壁部の長手方向に延びる側面が前記ケーシングの外側に露出する長手方向に延びる前記側面より内側に位置し,前記下面壁部の長手方向に延びる下面が前記ケーシングの下面より内側に位置しているものである。
【0015】
また,前記カバーは,前記エンドキャップ本体の前記半円環部に一端部が合体して前記エンドキャップ本体に一体構造のカバー部として形成されており,前記カバー部の先端部には係止凸部が形成されており,前記係止凸部は,対向する前記エンドキャップ本体の前記半円環部の外周から内部に延びて形成された係止凹部に嵌入して,前記カバー部が前記ケーシングを介在して互いに対向する前記エンドキャップ本体間に配設されている。或いは,前記カバーは,前記ケーシングを介在して互いに対向する前記エンドキャップ本体間に配設されたカバー部材として形成されており,前記カバー部材の両端部には係止凸部が形成されており,前記係止凸部は,対向する前記エンドキャップ本体の前記半円環部の外周から内部に延びて形成された係止凹部にそれぞれ嵌入して前記エンドキャップ本体間に配設されているものである。
【0016】
また,前記パイプ部材は,多孔質構造に形成されており,前記多孔質構造の多孔部に含浸された潤滑剤は,前記リターン路を通る前記ボールの押圧によって滲出して前記ボールに供給されて成る。また,前記ケーシングに形成された前記外側凹溝は,前記ケーシングに形成された前記第2軌道溝の研削加工と同チャックで研削加工されており,前記軌道溝に対して予め決められた位置関係になっている。更に,前記ケーシングに形成された前記外側凹溝による前記パイプ部材の抱き込み量が前記パイプ部材の直径の25%以上に設定されている。
【発明の効果】
【0017】
この発明による小形直動案内ユニットは,上記のように構成したので,従来のようにケーシングの袖部にリターン路を形成するスリーブを嵌挿する挿通孔の孔加工を行う必要がなく,ケーシングの袖部の両側面にリターン路を形成するパイプ部材を配設する外側凹溝を長手方向に沿って加工するのみであり,加工が容易で加工コストが低減できる。特に,ケーシングに形成した外側凹溝は,研削加工可能に形成されており,ケーシングに形成した軌道路を構成する軌道溝(第2軌道溝)と同チャック状態で加工可能になるので,高精度な位置設定が可能になっており,外側凹溝に沿ってパイプ部材を当接させて配設し,該パイプ部材を外側からエンドキャップに設けたカバーによりしっかりと包持することができ,パイプ部材に形成されたリターン路の位置をバラツキが小さい位置に容易に確定でき,各構成部品による組立誤差が小さくなり,循環路を転動体のボールが滑らかに転走可能になっている。また,外側凹溝には,断面円弧形状に研削加工し易いように,上部及び下部に逃げ部を設けており,その下部の逃げ部へカバーの断面くさび形状に形成された長手方向に延びる舌部を侵入させ,その舌部がケーシングとパイプ部材との間に密着して嵌入するので,カバーがパイプ部材をより確実に抱え込み支持することができるものになっている。
【0018】
更に,エンドキャップと一体構造又は係止可能な構造に構成されたカバーは,パイプ部材の外周の半分程度を抱え込み可能に断面L字形状に形成され,パイプ部材をしっかりと支持できるものになっている。この小形直動案内ユニットでは,カバーは,エンドキャップのエンドキャップ本体の一方の半円環部に一体成形又は接合により一体構造にカバー部として構成すれば,スペーサをエンドキャップ本体と合体したエンドキャップを順番にケーシングの端面に組み付ければ,カバー部が外側凹溝に配設したパイプ部材を抱え込む状態に組み込むことができ,スライダを容易に組み立てることができる。また,エンドキャップのすいく部とケーシングの軌道溝との位置合せが容易であり,摺動調子の調整をする必要が無くなる。上記カバー部に構成することによって,部品点数を少なく構成でき,エンドキャップ本体を同一形状の一対に構成すればよく,エンドキャップ自体はケーシングを介在して対状態に配設するので,一種類のエンドキャップでよく,取り扱い易い構造に構成されている。しかも,この小形直動案内ユニットは,ケーシングの外側凹溝とカバーとの間に潤滑剤を含浸保持できる多孔質部材から成るパイプ部材を配設するだけで,潤滑剤のメンテナンスフリーを達成できるものになっている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明による小形直動案内ユニットの一実施例を示す斜視図である。
【図2】図1の小形直動案内ユニットを分解して示す分解斜視図である。
【図3】図1の小形直動案内ユニットのA−A位置における垂直面のA−A断面を示す断面図である。
【図4】図3の小形直動案内ユニットのB部分を拡大して示す部分拡大図である。
【図5】図3の小形直動案内ユニットのC−C位置における水平面で断面した一実施例の一部分である転動体の循環路を示す断面図である。
【図6】図1の小形直動案内ユニットにおけるケーシングを示す正面図である。
【図7】図6のケーシングを示す側面図である。
【図8】図1の小形直動案内ユニットにおけるエンドキャップを構成するエンドキャップ本体を示す背面図である。
【図9】図8のエンドキャップ本体のD−D位置で断面したエンドキャップ本体を示す断面図である。
【図10】図1の小形直動案内ユニットにおけるエンドキャップ本体を示す正面図である。
【図11】図10のエンドキャップ本体を示す下面図である。
【図12】図1の小形直動案内ユニットにおけるスペーサを示す正面図である。
【図13】図12のスペーサを示す側面図である。
【図14】図12のスペーサを示す下面図である。
【図15】図14のスペーサをE矢視で見た背面の一部分を拡大して示す背面図である。
【図16】図2の小形直動案内ユニットに配設されたパイプ部材を示す正面図である。
【図17】図16のパイプ部材を示す側面図である。
【図18】この発明による小形直動案内ユニットの別の実施例を分解して示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この小形直動案内ユニットは,例えば,半導体製造装置,産業ロボット,工作機械等の各種装置の相対移動部に介在して部品,機器間の相対移動をスムーズに達成させるものである。以下,図面を参照して,この発明による小形直動案内ユニットの実施例について説明する。
【0021】
この小形直動案内ユニットは,図1に示すように,長手方向の両側面73に軌道溝16(第1軌道溝)が形成された断面矩形状で長手状の軌道レール1,及び軌道レール1に跨架して相対摺動自在なスライダ2から構成されている。この小形直動案内ユニットは,例えば,軌道レール1の幅が7mmで高さが5mmであって,スライダ2の幅が17mmで長さが23.5mm,及び軌道レール1の下面からスライダ2の上面49までの高さが8mmに形成されている。この小形直動案内ユニットは,図2〜図5,又は図18に示すように,スライダ2を構成するケーシング3の袖部22の外側に配設されたパイプ部材7,及びパイプ部材7を抱え込むように抱持するパイプ部材7のカバーを構成するカバー部8を配設したことを特徴としている。特に,この実施例では,カバーを構成するカバー部8は,スライダ2を構成するエンドキャップ4のエンドキャップ本体5に一体構造に構成されていることを特徴としている。
【0022】
図1〜図5を参照すると,この小形直動案内ユニットは,概して,軌道レール1,軌道溝16に対向して形成された軌道溝17(第2軌道溝)を備え且つ軌道レール1に跨架して相対移動するスライダ2,並びに軌道溝16と軌道溝17との間に形成された軌道路40,軌道路40に沿って延びるスライダ2に設けられたリターン路20,及び軌道路40とリターン路20とを接続するスライダ2に設けられた方向転換路15から成る循環路50を転走する複数の転動体であるボール29を有するものである。軌道レール1には,その上面には,他の基台やベースに固定するための取付け用孔18が複数形成されており,また,スライダ2を構成するケーシング3には,その上面49の取付基準面に他の機器をケーシング3に固定するための取付けねじ穴27が複数形成されている。また,スライダ2には,軌道路40に位置する転動体のボール29がスライダ2から脱落するのを防止するための保持バンド26,及びエンドキャップ4の端面の正面68にそれぞれ配設され且つ循環路50へ塵埃の侵入を防ぐためのリップ部を持つエンドシール9が設けられている。保持バンド26は,スライダ2の軌道レール1を相対摺動するのに応じて軌道レール1の逃げ溝39に長手方向に延びて相対摺動する。保持バンド26は,エンドキャップ4を構成するエンドキャップ本体5の正面68から側面に掛けて形成された保持バンド溝25に係止してスライダ2に固定されている。エンドキャップ本体5の正面68には,位置決め凸部59が設けられており,エンドシール9には,エンドキャップ本体5の位置決め凸部59に嵌合する凹部78が設けられ,エンドシール9がエンドキャップ4に対して位置決め固定されている。
【0023】
この小形直動案内ユニットにおいて,特に,スライダ2は,軌道レール1の上面に対向した平板状の上部21と上部21の幅方向両側から垂下して軌道レール1の側面73に沿ってそれぞれ延び且つ内側に軌道溝17が形成された袖部22とから成るケーシング3,ケーシング3の両端面48にそれぞれ固定され且つ方向転換路15が形成された一対のエンドキャップ4,ケーシング3の袖部22の両側面24に長手方向即ち摺動方向に延びてそれぞれ配設され且つ内径孔がリターン路20に形成された円筒形状の一対のパイプ部材7,及びパイプ部材7をケーシング3の側面24とで抱持するそれぞれのエンドキャップ4に設けられた一対のカバーを構成するカバー部8を備えていることを特徴としている。ケーシング3の袖部22の両側面である側面24は,図2〜図4,及び図6に示されるように,円筒形状のパイプ部材7を軌道溝17と平行に長手方向に沿って支持可能にパイプ部材7の外周面70に沿った外側凹溝19に形成されている。外側凹溝19は,パイプ部材7の外周に合致した長手方向に沿って延びる断面円弧形状の凹溝に形成された円弧部45と,円弧部45の上部に形成された長手方向に沿って延びる逃げ部33と,円弧部45の下部に形成された長手方向に沿って延びる逃げ部32とで構成されている。上部の逃げ部33は,円弧部45から延びて水平に成る部分が段差δで段差状の凹溝の凹部74に形成され,また,下部の逃げ部32は,円弧部45から延びて水平に対して予め決められた所定角度θでなる接面で切下げた状態の凹溝の凹部75に形成されている。
ここで,δ=0.05mmであり,θ=50°になっている。
また,外側凹溝19は,図4に示すように,深さh,即ち,パイプ部材7の抱き込み量hがパイプ部材7の直径をDとすると,h>0.25Dに構成されている。
【0024】
ケーシング3の外側凹溝19は,下部及び上部に逃げ部32,33を設けたことによって,円弧部45の研削加工が可能になり,円弧部45を軌道溝17(第2軌道溝)と同時に,即ち同一チャッキング工程で加工することができ,円弧部45は,軌道溝17に対して高精度な位置に加工設定できると共に,円弧部45にパイプ部材7の外周がピッタリと合致することができるので,円弧部45でパイプ部材7をしっかりと支持できるものに成っている。パイプ部材7をケーシング3の外側凹溝19の円弧部45に当接して配設することによって,パイプ部材7に形成されたリターン路20の形成位置をバラツキなく容易に高精度に確定でき,各構成部品による組立誤差が小さくなり,循環路50を転動体であるボール29が滑らかに転走可能になっている。上記の「しっかり」との意図は,パイプ部材7の円筒形状である円形形状を崩すことなく,真円形状を保持し且つリターン路20を転走する転動体のボール29による押圧などの作用力も受け止め,結果的にボール29の循環に影響が無い状態にパイプ部材7を保持している状態をいうものとする。
【0025】
カバー部8は,図2〜図5,図8,図9,及び図18に示されるように,円筒形状のパイプ部材7の外周面における側面及び下面から当接してパイプ部材7の外周面の略半分を包み込むように,その本体60がパイプ部材7の外周面70に合致した断面円弧形状に長手方向に沿って凹溝に形成された内周面62に構成され,外形がケーシング3の外側に露出する長手方向に延びる側面24よりも僅かに凹んだ側面36を有する側面壁部34と,ケーシング3の下面61よりも僅かに凹んだ下面37を有する下面壁部35とで断面L字形状で長手方向に延びた形状に形成されている。更に,下面壁部35の先端部は,ケーシング3とパイプ部材7との隙間に成るケーシング3の下部の逃げ部32に入り込んでパイプ部材7を支持するための断面くさび形状の舌部23に形成されている。パイプ部材7の略外周全周は,カバー部8の内周面62とケーシング3の外側凹溝19の円弧部45とによって覆って包み込まれており,下面壁部35の先端部の舌部23がケーシング3とパイプ部材7との逃げ部32に入り込んで,且つ断面くさび形状に形成されているので,舌部23は,隙間の凹部75に喰い付いた状態に成り,カバー部8は,パイプ部材7を長手方向に沿ってしっかりと保持でき,ケーシング3の外側凹溝19とでパイプ部材7をしっかりと抱持するものに成っている。また,カバー部8は,断面L字形状で長手方向に延びた形状に形成されると共に,側面壁部34の上部が厚肉部38に形成され,厚肉部38の上面の斜面47がケーシング3の側面下部に形成された斜面46(傾斜角度θ1 )に入り込むように長手方向に沿って当接し,側面壁部34が変形し難い剛性のある構造に構成されており,パイプ部材7をしっかり支持可能に構成されている。
【0026】
この小形直動案内ユニットにおいて,エンドキャップ4は,図1,図2,及び図18に示すように,ケーシング3の端面48に配設されており,端面である背面67がケーシング3の端面48に当接し且つ背面67の反対側の端面になる正面66に一対の方向転換路15の内周部14が形成されたスペーサ6と,端面である背面54がスペーサ6の正面66に当接し且つ方向転換路15の内周部14に対向した方向転換路15の外周部13が形成されたエンドキャップ本体5とから構成されている。エンドキャップ4は,エンドキャップ本体5の当接面である背面54にスペーサ6の上部である端板部43を接して配設することによって構成されている。また,パイプ部材7は,ケーシング3の外側凹溝19に配設されて,パイプ部材7の両端面71がケーシング3の両端面48に固定されたエンドキャップ4が備えている円環部12間に位置して配設されている。即ち,エンドキャップ4の円環部12は,エンドキャップ本体5に設けられた一対の外側の半円環部10とスペーサ6に設けられた一対の内側の半円環部11とが合体して構成されており,半円環部10の端面の当接面51と半円環部11の端面の当接面52とは,パイプ部材7の端面71と当接状態になっている。言い換えれば,エンドキャップ4には,パイプ部材7の両端にそれぞれ当接してパイプ部材7に形成されたリターン路20と連通するリターン路20の端部分を形成するエンドキャップ4の背面54から突出した円環状突部である一対の円環部12が形成されている。円環部12は,断面がパイプ部材7の円筒形状と同一形状に形成され,円環部12の長さは,転動体であるボール29の直径の0.5〜1 倍に形成されている。また,エンドキャップ本体5の外側の半円環部10は,図8,図9,及び図11に示すように,方向転換路15の外周部13に連通してエンドキャップ本体5の背面54から突出して円環部12を略半分に分割した半円環状の外側部分を構成している。また,スペーサ6の内側の半円環部11は,図12〜図15に示すように,方向転換路15の内周部14に連通してスペーサ6の背面67から突出して円環部12を略半分に分割した半円環状の内側部分を構成している。また,エンドキャップ4には,エンドキャップ本体5の方向転換路15の外周部13とスペーサ6の方向転換路15の内周部14とが合体して方向転換路15が形成されると共に,方向転換路15に連通した円環部12が形成されることに成り,エンドキャップ4に円環部12を形成したことにより,転動体であるボール29は,方向転換路15の円弧状の転走からリターン路20の直線転走に一連に循環案内されることになるので,循環路50におけるボール29の滑らかな循環転走を実現している。
【0027】
この小形直動案内ユニットにおいて,カバーを構成するカバー部8は,図1,図2,図5,図8,図9,図11,及び図18に示すように,パイプ部材7からパイプ部材7の両端に当接するエンドキャップ4の円環部12までを包み込む長さに形成され,エンドキャップ4間に渡って延びている。即ち,カバー部8の本体長さは,パイプ部材7の長さとエンドキャップ4の円環部12の2倍の長さを合計した長さであって,ケーシング3の長さに対応して設定されて構成されている。また,カバー部8は,エンドキャップ本体5の一方の半円環部10に一方の端部が合体した状態,即ち一体成形又は接合によりエンドキャップ本体5に一体構造のカバー部8として構成されており,他方の端部の先端にはケーシング3を介在して互いに対向するエンドキャップ本体5の他方の半円環部10の外周からエンドキャップ本体5の内部に延びて形成された係止凹部31に嵌入する係止凸部30が形成されて構成されている。また,この実施例では,カバー部8は,カバー部8が小さな構成部品であり,係止凸部30が大きくても1mmの大きさに成っている。従って,カバー部8の一方の端部をエンドキャップ本体5の一方の半円環部10に一体成形又は接合により一体構造に構成することによって,パイプ部材7をしっかりと支持可能に成っている。また,上記の構成は,エンドキャップ本体5の一方側にカバー部8が形成された状態になるので,カバー部8を有するエンドキャップ本体5を一対用いてそれぞれケーシング3の端面48に配設することによって,スライダ2が組み立てられ,一種類のエンドキャップ本体5でよく,部品共通化にもなり,部品点数も少なくなり,より組み立て易くなっている。また,カバー部8の端部に設けた係止凸部30は,図2,図8,及び図9に示すように,対向して配設されるエンドキャップ4にしっかりと安定して係着できるように可能な限りのスペースに大きく形成されて,一対で構成されている。
【0028】
また,パイプ部材7は,図2,図5,図16,及び図17に示すように,ストレートな円筒状のパイプ体に形成され,内径孔の通し孔がリターン路20に構成され,全体が潤滑剤含浸可能な多孔質構造の焼結樹脂から構成されている。パイプ部材7は,両端面71がエンドキャップ4の円環部12の端面51,52に当接状態に挟持され,エンドキャップ4の円環部12の内径孔のリターン路凸部65と連通してリターン路20の全長を構成している。具体的には,パイプ部材7は,超高分子量ポリエチレンなどの合成樹脂微粒子を加熱成形して多孔質構造に形成されたものになっており,それ自体が強度を有し,高精度で耐摩耗性にも優れ,潤滑剤による多孔構造の目詰まりも生じず,潤滑剤の吸収,保持,及び供給に優れている。パイプ部材7は,リターン路20を通るボール29の押圧を受けてもケーシング3の外側凹溝19とカバー部8とに支えられ,ボール29の押圧を受けた部分は容易に弾性変形して多孔質構造の多孔部に含浸された潤滑剤が滲出可能になってボール29に潤滑剤が塗布即ち供給されると同時に,弾性変形が戻る時等には,リターン路20に存在する余分の潤滑剤をパイプ部材7の壁面部の多孔部に吸収して,適量の潤滑剤を長期にわたってボール29に供給可能に構成されている。
【0029】
この小形直動案内ユニットにおいて,スペーサ6は,図12〜図15に示すように,ケーシング3の端面48に沿った平らな形状に形成され且つケーシング3の上部21の端面48に対向する端板部43,端板部43の両側からそれぞれ垂下した袖部44,及び袖部44の正面66にケーシング3の軌道溝17と連通する位置に方向転換路15の内周部14が形成された嵌合凸部69を備えており,更に,スペーサ6には,方向転換路15の内周部14に連通してリターン路20へと延びて背面67に回り込むように背面67から突出して形成されたリターン路凸部65となる円環部12の内側をそれぞれ構成する半円環部11が形成されている。スペーサ6は,袖部44間の内側にはケーシング3の軌道溝17に接続するように軌道路側64が溝状に形成されている。
【0030】
エンドキャップ本体5は,図8〜図11に示されるように,ケーシング3の端面48に沿った形状に形成され,ケーシング3の上部21の端面48に対向してスペーサ6の端板部43に当接する上部である連結部41,連結部41の両側からそれぞれ垂下した袖部42の背面部分にケーシング3の軌道溝17と連通する位置及びスペーサ6の方向転換路15の内周部14と合致する位置に方向転換路15の外周部13が形成された方向転換路凹部,並びに方向転換路15の外周部13に連通して背面54から突出して形成された外側に成る半円環部10から構成されている。エンドキャップ本体5の連結部41には,スライダ2を組み立てるためにボルト28を通すための通し孔である一対の取付け孔58が形成されると共に,エンドシール9の給油口に対向して給油口56,及び給油口56を方向転換路15へと連通する給油溝57が形成されている。また,エンドキャップ本体5の連結部41には,その背面54にスペーサ6の正面66が当接してスペーサ6の嵌合凸部69が嵌合する嵌合凹部55が形成されている。エンドキャップ本体5の袖部42には,方向転換路15と軌道路40との境界部においてボール29をスムーズに転走させるため軌道路40に臨むすくい爪53が形成されている。また,スペーサ6の端板部43には,スライダ2を組み立てるためにボルト28を通すため一対の通し孔である取付け孔63が形成されている。また,ケーシング3の端面48には,ボルト28を螺入する一対のねじ穴76が形成されている。ボルト28は,スペーサ6の取付け孔63,エンドキャップ本体5の取付け孔58及びエンドシール9の通し孔である取付け孔77に通されてケーシング3のねじ穴76に螺入されて,スペーサ6,エンドキャップ本体5,及びエンドシール9をケーシング3に固着する。
【0031】
次に,図18を参照して,この発明による小形直動案内ユニットの別の実施例を説明する。第2実施例は,カバー部8の構成が異なる以外は,上記実施例と全く同一の小形直動案内ユニットである。第2実施例では,カバー部8が独立した構成部品に構成されたカバー部材72に構成されている。カバー部材72の両端部には,一対の係止凸部30がそれぞれ形成され,対向するエンドキャップ本体5に形成された係止凹部31に嵌入係着してエンドキャップ4間に支持された構造に構成されている。この状態からカバー部材72の一方の係止凸部30を対向するエンドキャップ本体5の係止凹部31に嵌入して半円環部10を含め接合固着して一体構造に構成すれば,上記第1実施例と全く同一の構造に構成されることに成る。更なる別の実施例としては,一対のカバー部材72のそれぞれにおいて,カバー部材72の両方の係止部をそれぞれ対向するエンドキャップ本体5の係止凹部31に嵌入して半円環部10を含め接合固着して一体構造に構成すれば,エンドキャップ4とカバー部材72とが一体構造と成る矩形枠状体に構成され,更に,カバー部材72でパイプ部材7を強固に支持することが可能に構成される。
【産業上の利用可能性】
【0032】
この発明による小形直動案内ユニットは,半導体製造装置,工作機械,各種組立装置,搬送機械,各種ロボット,精密機械,測定・検査装置,医療機器,マイクロマシーン等の各種装置における摺動部に組み込んで利用して好ましいものである。
【符号の説明】
【0033】
1 軌道レール
2 スライダ
3 ケーシング
4 エンドキャップ
5 エンドキャップ本体
6 スペーサ
7 パイプ部材
8 カバー部
10,11 半円環部
12 円環部
13 外周部
14 内周部
15 方向転換路
16 軌道溝(第1軌道溝)
17 軌道溝(第2軌道溝)
19 外側凹溝
20 リターン路
21 上部
22 袖部
23 舌部
24,36,73 側面
29 ボール(転動体)
30 係止凸部
31 係止凹部
32,33 逃げ部
34 側面壁部
35 下面壁部
37,61 下面
40 軌道路
45 円弧部
48,71 端面
50 循環路
54,67 背面
62 内周面
66,68 正面
72 カバー部材
74,75 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向両側面にそれぞれ形成された第1軌道溝を備えた軌道レール,前記第1軌道溝に対向して形成された第2軌道溝を備え且つ前記軌道レールに跨架して相対移動するスライダ,並びに前記第1軌道溝と前記第2軌道溝との間に形成された軌道路,前記軌道路に沿って延びる前記スライダに設けられたリターン路,及び前記軌道路と前記リターン路とを接続する前記スライダに設けられた方向転換路から成る循環路を転走する複数の転動体であるボールを有することから成る小形直動案内ユニットにおいて,
前記スライダは,前記軌道レールの上面に対向した平板状の上部と該上部の両側から垂下してそれぞれ前記軌道レールの前記側面に沿って延び且つ内側に前記第2軌道溝が形成された袖部とから構成されているケーシング,前記ケーシングの両端面にそれぞれ固着され且つ前記方向転換路が形成された一対のエンドキャップ,前記ケーシングの前記袖部の両側面に前記長手方向に沿ってそれぞれ配設され且つ内径孔が前記リターン路に形成された円筒形状の一対のパイプ部材,及び前記パイプ部材を前記ケーシングの前記側面とで抱持するそれぞれの前記エンドキャップに設けられた一対のカバーから構成されていることを特徴とする小形直動案内ユニット。
【請求項2】
前記ケーシングの前記袖部の前記両側面は,前記円筒形状の前記パイプ部材を前記第2軌道溝と平行に前記長手方向に沿って支持可能に前記パイプ部材の外周に沿った外側凹溝に形成されており,前記外側凹溝は,前記パイプ部材の前記外周に合致した前記長手方向に沿って延びる断面円弧形状の凹溝に形成された円弧部と,前記円弧部の上部と下部との両側にそれぞれ形成された逃げ部とで形成されており,前記外側凹溝の前記円弧部には前記パイプ部材の外周面が密接して配設され,前記上部の前記逃げ部は,前記円弧部から延びて水平方向に延びる部分が段差状の前記長手方向に延びる凹溝の凹部に形成されて前記パイプ部材の前記外周面との間に隙間が形成され,前記下部の前記逃げ部は,前記円弧部から延びて前記水平と予め決められた所定角度でなる接面で切下げた状態の前記長手方向に延びる凹溝の凹部に形成されて前記パイプ部材の前記外周面との間に隙間が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の小形直動案内ユニット。
【請求項3】
前記カバーは,前記円筒形状の前記パイプ部材の外周に当接して前記パイプ部材の前記外周の略半分を包み込むように断面円弧形状に前記長手方向に沿って凹溝に形成された内周部を備えており,前記カバーの外形が前記長手方向に延びる側面壁部と,前記側面壁部に続く前記長手方向に延びる下面壁部とで断面L字形状に形成されており,前記下面壁部の先端部は,前記ケーシングに形成された前記下部の前記逃げ部と前記パイプ部材との前記隙間に入り込んで前記パイプ部材を支持するための断面くさび形状の前記長手方向に延びる舌部に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の小形直動案内ユニット。
【請求項4】
前記エンドキャップは,前記ケーシングの前記端面に背面が当接し且つ前記背面の反対側端面に成る正面に一対の前記方向転換路の内周部が形成されたスペーサと,前記スペーサの前記正面に背面が当接し且つ前記方向転換路の前記内周部に対向して前記方向転換路の外周部がそれぞれ形成されたエンドキャップ本体とから構成されており,前記エンドキャップ本体に前記スペーサが合体した前記エンドキャップの背面には,前記パイプ部材の前記円筒形状に合致して前記リターン路の端部部分を形成する前記背面から突出した一対の円環部が設けられ,前記スペーサの前記背面には,前記方向転換路の前記内周部に連通して前記円環部を略半分に分割して成る前記背面から突出した一対の半円環部が形成され,及び前記エンドキャップ本体の前記背面には,前記方向転換路の前記外周部に連通して前記円環部を略半分に分割して成る前記背面から突出した一対の半円環部が形成されて成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の小形直動案内ユニット。
【請求項5】
前記カバーの本体長さは,前記パイプ部材の長さと前記エンドキャップの前記円環部の2倍の長さを合計した長さであって,前記ケーシングの長さに対応して設定されて成ることを特徴とする請求項4に記載の小形直動案内ユニット。
【請求項6】
前記カバーは,前記側面壁部の長手方向に延びる側面が前記ケーシングの外側に露出する長手方向に延びる前記側面より内側に位置し,前記下面壁部の長手方向に延びる下面が前記ケーシングの下面より内側に位置していることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の小形直動案内ユニット。
【請求項7】
前記カバーは,前記エンドキャップ本体の前記半円環部に一端部が合体して前記エンドキャップ本体に一体構造のカバー部として形成されており,前記カバー部の先端部には係止凸部が形成されており,前記係止凸部は,対向する前記エンドキャップ本体の前記半円環部の外周から内部に延びて形成された係止凹部に嵌入して,前記カバー部が前記ケーシングを介在して互いに対向する前記エンドキャップ本体間に配設されていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の小形直動案内ユニット。
【請求項8】
前記カバーは,前記ケーシングを介在して互いに対向する前記エンドキャップ本体間に配設されたカバー部材として形成されており,前記カバー部材の両端部には係止凸部が形成されており,前記係止凸部は,対向する前記エンドキャップ本体の前記半円環部の外周から内部に延びて形成された係止凹部にそれぞれ嵌入して前記エンドキャップ本体間に配設されていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の小形直動案内ユニット。
【請求項9】
前記パイプ部材は,多孔質構造に形成されており,前記多孔質構造の多孔部に含浸された潤滑剤は,前記リターン路を通る前記ボールの押圧によって滲出して前記ボールに供給されて成ることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の小形直動案内ユニット。
【請求項10】
前記ケーシングに形成された前記外側凹溝は,前記ケーシングに形成された前記第2軌道溝の研削加工と同チャックで研削加工されており,前記軌道溝に対して予め決められた位置関係になっていることを特徴とする請求項2〜9のいずれか1項に記載の小形直動案内ユニット。
【請求項11】
前記ケーシングに形成された前記外側凹溝による前記パイプ部材の抱き込み量が前記パイプ部材の直径の25%以上に設定されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の小形直動案内ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−40674(P2013−40674A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179616(P2011−179616)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(000229335)日本トムソン株式会社 (96)
【Fターム(参考)】