小物入れ
【課題】開き状態または閉じ状態にあるリッドをプッシュすると、リッドのロック解除が行われバネ力によってリッドが閉じ状態または開き状態に切り替わる構造であっても、リッドの開け操作または閉じ操作の操作性を向上させた小物入れを提供すること。
【解決手段】小物入れ1は、開口12を有する中空状のボックス10と、開口12を開閉可能にボックス10に対して組み付けられているリッド20とを備えている。そして、開き状態にあるリッド20をプッシュすると、リッド20のロック解除が行われバネ36a力によってリッド20が閉じ状態に切り替わるように構成されている。これらリッド20とボックス10との間には、開け操作しているときのリッド20に作用するバネ36a力の向きがリッド20を閉じる方向からリッド20を開ける方向に切り替わるガイド機構16、26bが設けられている。
【解決手段】小物入れ1は、開口12を有する中空状のボックス10と、開口12を開閉可能にボックス10に対して組み付けられているリッド20とを備えている。そして、開き状態にあるリッド20をプッシュすると、リッド20のロック解除が行われバネ36a力によってリッド20が閉じ状態に切り替わるように構成されている。これらリッド20とボックス10との間には、開け操作しているときのリッド20に作用するバネ36a力の向きがリッド20を閉じる方向からリッド20を開ける方向に切り替わるガイド機構16、26bが設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小物入れに関し、詳しくは、開き状態または閉じ状態にあるリッドをプッシュすると、リッドのロック解除が行われバネ力によってリッドが閉じ状態または開き状態に切り替わる小物入れに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の内部に設けられている小物入れには、そのボックスに形成されている開口を開閉するリッドがボックスに組み付けられている。このように組み付けられているリッドを開けるとボックスを使用状態にでき、開けたリッドを閉じるとボックスを収納状態にできる。ここで、下記特許文献1には、プッシュオープン機構を介してリッドがボックスに組み付けられている技術が開示されている。これにより、リッドをプッシュすると、バネ力によってリッドを閉じることができるため、リッドの閉じ操作を簡便にできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−210173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、リッドの閉じ操作はバネ力によって行われているが、リッドの開け操作は手動で行われていた。この開け操作は、バネ力に抗したものであるため、操作性が悪い(操作荷重が重い)という問題が発生していた。
【0005】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、開き状態または閉じ状態にあるリッドをプッシュすると、リッドのロック解除が行われバネ力によってリッドが閉じ状態または開き状態に切り替わる構造であっても、リッドの開け操作または閉じ操作の操作性を向上させた小物入れを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、開口を有する中空状のボックスと、開口を開閉可能にボックスに対して組み付けられているリッドと、を備えており、開き状態にあるリッドをプッシュすると、リッドのロック解除が行われバネ力によってリッドが閉じ状態に切り替わる小物入れであって、リッドとボックスとの間には、開け操作しているときのリッドに作用するバネ力の向きがリッドを閉じる方向からリッドを開ける方向に切り替わるガイド機構が設けられていることを特徴とする構成である。
この構成によれば、従来技術と同様に、開け状態にあるリッドをプッシュすると、バネ力によってリッドを閉じることができるため、リッドの閉じ操作を簡便にできる。これと逆に、閉じ状態にあるリッドを押し込んで、リッドを開け操作するときでも、従来技術とは異なり、リッドが閉じ状態から開き状態に切り替わる途中位置以降において、リッドを押し込む力を必要とすることなく、バネ力によってリッドを開けることができる。したがって、リッドの開け操作の操作性を向上させることができる。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、開口を有する中空状のボックスと、開口を開閉可能にボックスに対して組み付けられているリッドと、を備えており、閉じ状態にあるリッドをプッシュすると、リッドのロック解除が行われバネ力によってリッドが開き状態に切り替わる小物入れであって、リッドとボックスとの間には、閉じ操作しているときのリッドに作用するバネ力の向きがリッドを開ける方向からリッドを閉じる方向に切り替わるガイド機構が設けられていることを特徴とする構成である。
この構成でも、請求項1と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施例1の小物入れを車両内部に適用した斜視図であり、リッドの閉じた状態を示している。
【図2】図2は、図1のリッドが開いた状態を示している。
【図3】図3は、図1の小物入れの分解斜視図である。
【図4】図4は、図1のリッドの動きを示す模式図であり、リッドが閉じた状態を示している。
【図5】図5は、図4のリッドを開けている状態を示している。
【図6】図6は、図5のリッドをさらに開けている状態を示している。
【図7】図7は、図6のリッドをさらに開けている状態を示している。
【図8】図8は、図7のリッドをさらに開けている状態を示している。
【図9】図9は、図8のリッドが開き状態に保持された状態を示している。
【図10】図10は、図9のリッドを閉じている状態を示している。
【図11】図11は、本発明の実施例2の小物入れの分解斜視図である。
【図12】図12は、図11のリッドの動きを示す模式図であり、リッドが閉じた状態を示している。
【図13】図13は、図12のリッドを開けている状態を示している。
【図14】図14は、図13のリッドをさらに開けている状態を示している。
【図15】図15は、図14のリッドをさらに開けている状態を示している。
【図16】図16は、図15のリッドをさらに開けている状態を示している。
【図17】図17は、図16のリッドが開き状態に保持された状態を示している。
【図18】図18は、図17のリッドを閉じている状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。
(実施例1)
まず、本発明の実施例1の小物入れ1を、図1〜10を参照して説明する。なお、以下の説明にあたって、上、下、前、後、左、右とは、上述した図に記載した、上、下、前、後、左、右の方向、すなわち、車両を基準にしたときの上、下、前、後、左、右の方向を示している。このことは、後述する実施例2においても同様である。
【0010】
小物入れ1は、主として、ボックス10と、リッド20とから構成されており、図1〜2に示すように、車両の内部のセンタークラスター2とコンソールボックス3とをつなぐセンターコンソール4の中空4aに組み付けられている。以下に、図3〜4を参照して、ボックス10とリッド20とを個別に説明していく。
【0011】
はじめに、ボックス10から説明していく。ボックス10は、その内部に小物を入れることができるように中空状に形成された箱部材である。このボックス10の上面の手前側(後側)には、その内部と外部とを連通させる略矩形状の開口12が形成されている。また、ボックス10の上面の両縁には、リッド20の左右の縁22、22をそれぞれ挟み込むガイド14、14が形成されている。また、ボックス10の上面の奥側(前側)には、リッド20のスライダ26に組み付けられているローラ26bを案内する略三角形状のガイド溝16が形成されている。
【0012】
ここで、ガイド溝16について詳述すると、このガイド溝16は、第1の辺16a、第2の辺16b、第3の辺16cから形成されている。これら3辺16a、16b、16cのうち、第1の辺16aと第2の辺16bとは、開け操作したときのリッド20のスライダ26に組み付けられているローラ26bを案内するように形成されており、第3の辺16cは、閉じ操作したときのリッド20のスライダ26に組み付けられているローラ26bを案内するように形成されている。
【0013】
なお、第1の辺16aと第2の辺16bとは、リッド20の開け操作に伴ってスライドするスライダ26のスライド方向が後述するスパイラルスプリング36aの付勢力に抗する方向から付勢力に準ずる方向へ切り替わるように形成されている。また、第1の辺16aと第3の辺16cとの交わる部位の近傍には、ローラ26bが第3の辺16cから第1の辺16aに入ることを許容し、ローラ26bが第1の辺16aから第3の辺16cに入ることを規制する弁16dがばね(図示しない)を介して組み付けられている。
【0014】
また、ボックス10の上面の奥側(前側)には、リッド20の下面に形成されているハートカム20aに係合可能なピン18aを有するシャフト18が枢着されている。ボックス10は、このように構成されている。
【0015】
次に、リッド20を説明する。リッド20は、ボックス10の開口12を覆い可能に略矩形に形成された蓋部材である。このリッド20の左右の縁22、22は、既に説明したように、ボックス10のガイド14、14に挟み込み可能に形成されている。これにより、リッド20をスライドさせて開口12を開け閉めできる。
【0016】
また、このリッド20の上面には、その幅方向に沿ってスライド可能なスライダ26が組み付けられている。このスライダ26には、後述するアクチュエータ30の小歯車34に噛み合うラック26aが形成されている。また、このスライダ26には、既に説明したように、ボックス10のガイド溝16に案内されるローラ26bが組み付けられている。このローラ26bと上述したガイド溝16とが、特許請求の範囲に記載の「ガイド機構」に相当する。
【0017】
また、このリッド20の上面の手前側(後側)には、リッド20を押し込み可能な押当部20bが形成されている。また、このリッド20の下面には、既に説明したように、ボックス10のシャフト18のピン18aを係合可能な公知のハートカム20aが形成されている。
【0018】
また、このリッド20の下面には、アクチュエータ30が組み付けられている。ここで、アクチュエータ30について詳述すると、このアクチュエータ30は、そのベースを成すケース32と、このケース32に枢着された小歯車34と、このケース32に枢着され小歯車34に噛み合う大歯車36とから構成されている。なお、この小歯車34は、ダンパ34aを介して枢着されている。これにより、後述するスパイラルスプリング36aの復元力によってリッド20を閉じるとき、この閉じ動作をゆっくりしたものにできる。したがって、小物入れ1に高級感を出せる。
【0019】
また、この大歯車36は、スパイラルスプリング36aを介して枢着されている。このスパイラルスプリング36aは、リッド20が閉じ状態から開き状態になるにつれて、スライダ26と小歯車34と大歯車36とを介して撓んでいくように設定されている。また、このリッド20の上面には、組み付けたスライダ26に異物の噛み込みを防止するカバー28がビスBにより留められている。リッド20は、このように構成されている。
【0020】
続いて、図1〜2、4〜10を参照して、上述したボックス10と、リッド20とから構成されている小物入れ1の動作を説明する。この説明にあたって、図1、4に示すように、リッド20が閉じ状態(リッド20がボックス10の開口12を閉じた状態)にあるときから説明していく。このリッド20が閉じ状態にあるとき、リッド20のスライダ26に組み付けられているローラ26bは、ガイド溝16の待避部16eに位置している。この待避部16eとは、第1の辺16aと第3の辺16cとが交差する位置(以下、「第1の角位置A」と記す)から第1の辺16aの延長線上の位置のことである。
【0021】
まず、図1、4に示す状態から、作業者は、閉じ状態にあるリッド20の押当部20bを自身の指で押し込んでいく。すると、図5に示すように、リッド20が前側にスライドしていくため、ボックス10の開口12が開き始める。このとき、リッド20のスライダ26に組み付けられているローラ26bはガイド溝16の第1の辺16aを進んでいく。これにより、スライダ26もスライドしていくため、スライダ26のラック26aと小歯車34と大歯車36とを介してスパイラルスプリング36aが撓んでいく。
【0022】
そのため、この図5に示す状態では、スライダ26は、そのスライドが戻る方向に付勢されている。この図5において、矢印がスライダ26に作用する付勢力(撓んだスパイラルスプリング36aの復元力)を示している。したがって、この図5に示す状態では、この付勢力より大きな押し込み力が必要となっている。
【0023】
この図5に示す状態から、作業者は、さらに、リッド20の押当部20bを押し込んでいき、リッド20のスライダ26に組み付けられているローラ26bが第1の辺16aと第2の辺16bとが交差する位置(以下、「第2の角位置B」と記す)に到達すると(図6参照)、スライダ26に作用する付勢力が押し込んだリッド20を戻す方向から押し込む方向に切り替わる。
【0024】
そのため、以降において、作業者によるリッド20の押当部20bの押し込みを解除しても、スライダ26に作用する付勢力によって、リッド20のスライダ26に組み付けられているローラ26bはガイド溝16の第2の辺16bを進んでいく(図7参照)。この図7に示す状態では、スライダ26は、そのスライドが戻る方向に付勢されている。この図7において、矢印がスライダ26に作用する付勢力を示している。したがって、この図7に示す状態では、作業者の押し込み力を要することなく、さらに、リッド20を前側へスライドできる。
【0025】
やがて、リッド20のスライダ26に組み付けられているローラ26bが第2の辺16bと第3の辺16cとが交差する位置(以下、「第3の角位置C」と記す)に到達すると、ボックス10のシャフト18のピン18aがリッド20のハートカム20aの第1の溝20a1に嵌り込む(図8参照)。
【0026】
この図8に示す状態でも、未だ、スライダ26には付勢力が作用しているため、リッド20のスライダ26に組み付けられているローラ26bはガイド溝16の第3の辺16cを進んでいく。すなわち、リッド20が開いた状態から閉じ始める。すると、ボックス10のシャフト18のピン18aがリッド20のハートカム20aの係合溝20a3に嵌り込む(図2、9参照)。これにより、リッド20が開いた状態で保持されるため、ボックス10を使用状態にできる。
【0027】
この図2、9に示す状態から、リッド20の押当部20bをプッシュすると、ボックス10のシャフト18のピン18aのリッド20のハートカム20aの係合溝20a3に対する嵌り込みが解消する。すると、未だ、スライダ26には付勢力が作用しているため、リッド20のスライダ26に組み付けられているローラ26bはガイド溝16の第3の辺16cを進んでいく。すなわち、リッド20が開いた状態から閉じ始める。これらの記載が、特許請求の範囲に記載の「開き状態にあるリッドをプッシュすると、リッドのロック解除が行われバネ力によってリッドが閉じ状態に切り替わる」に相当する。
【0028】
やがて、リッド20のスライダ26に組み付けられているローラ26bが弁16dを押し込むため、この押し込みによって、リッド20のスライダ26に組み付けられているローラ26bは第1の角位置Aを経由して待避部16eへ戻される。このように戻されると、リッド20も閉じ状態へ戻されることとなる。このようにして、従来技術と同様に、リッド20を開けるとボックス10を使用状態にでき、開けたリッド20を閉じるとボックス10を収納状態にできる。
【0029】
本発明の実施例1に係る小物入れ1は、上述したように構成されている。この構成によれば、リッド20を開けるとボックス10を使用状態にでき、開けたリッド20を閉じるとボックス10を収納状態にできる。このとき、従来技術と同様に、開け状態にあるリッド20をプッシュすると、撓んだスパイラルスプリング36aの復元力によってリッド20を閉じることができるため、リッド20の閉じ操作を簡便にできる。これと逆に、閉じ状態にあるリッド20を押し込んで、リッド20を開け操作するときでも、従来技術とは異なり、リッド20が閉じ状態から開き状態に切り替わる途中位置(第2の角位置B)以降において、リッド20を押し込む力を必要とすることなく、撓んだスパイラルスプリング36aの復元力によってリッド20を開けることができる。したがって、リッド20の開け操作の操作性を向上させることができる。
【0030】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2の小物入れ101を、図11〜18を参照して説明する。この実施例2は、既に説明した実施例1と比較すると、リッド20に作用するバネ力をスパイラルスプリング36aからトーションばね136aに代えた形態である。以下の説明にあたって、実施例1と同一部材には、図面において同一符号を付すことで、重複する説明は省略することとする。
【0031】
図11に示すように、実施例2の小物入れ101も、実施例1の小物入れ1と同様に、主として、ボックス10と、リッド20とから構成されている。
【0032】
ボックス10の上面の奥側(前側)には、リッド20のドラム126に組み付けられているローラ26bを案内する略三角形状のガイド溝16が形成されている。このガイド溝16は、図11からも明らかなように、ボックス10の上面に直に形成されることなく、この上面に形成されている半円面110aに形成されている。
【0033】
一方、リッド20の下面には、外周面にローラ26bが組み付けられているドラム126がトーションばね136bを介して枢着されている。このトーションばね136は、リッド20に作用するバネ力が、実施例1のスパイラルスプリング36aと同様となるように、リッド20とドラム126との間に掛け留められている。
【0034】
続いて、図12〜18を参照して、上述したボックス10と、リッド20とから構成されている小物入れ101の動作を説明する。この説明にあたって、図12(A)に示すように、リッド20が閉じ状態(リッド20がボックス10の開口12を閉じた状態)にあるときから説明していく。このリッド20が閉じ状態にあるとき、リッド20のドラム126に組み付けられているローラ26bは、ガイド溝16の待避部16eに位置している。
【0035】
なお、図12(B)は、図12(A)のリッド20のスライド位置に対応するガイド溝16とローラ26bとの位置関係を示す平面模式図である。また、図12(C)は、図12(A)のリッド20のスライド位置に対応するガイド溝16とローラ26bとの位置関係を示す正面模式図である。これらのことは、図13〜18においても同様である。
【0036】
まず、図12に示す状態から、作業者は、閉じ状態にあるリッド20の押当部20bを自身の指で押し込んでいく。すると、図13に示すように、リッド20が前側にスライドしていくため、ボックス10の開口12が開き始める。このとき、リッド20のドラム126に組み付けられているローラ26bはガイド溝16の第1の辺16aを進んでいく。これにより、ドラム126も回転していくため、トーションばね136aが撓んでいく。
【0037】
そのため、この図13に示す状態では、ドラム126は、その回転が戻る方向に付勢されている。この図13において、矢印がドラム126に作用する付勢力(撓んだトーションばね136aの復元力)を示している。したがって、この図13に示す状態では、この付勢力より大きな押し込み力が必要となっている。
【0038】
この図13に示す状態から、作業者は、さらに、リッド20の押当部20bを押し込んでいき、リッド20のドラム126に組み付けられているローラ26bが第2の角位置Bに到達すると(図14参照)、ドラム126に作用する付勢力が押し込んだリッド20を戻す方向から押し込む方向に切り替わる。
【0039】
そのため、以降において、作業者によるリッド20の押当部20bの押し込みを解除しても、ドラム126に作用する付勢力によって、リッド20のドラム126に組み付けられているローラ26bはガイド溝16の第2の辺16bを進んでいく(図15参照)。この図15に示す状態では、ドラム126は、その回転が戻る方向に付勢されている。この図15において、矢印がドラム126に作用する付勢力を示している。したがって、この図15に示す状態では、作業者の押し込み力を要することなく、さらに、リッド20を前側へスライドできる。
【0040】
やがて、リッド20のドラム126に組み付けられているローラ26bが第3の角位置Cに到達すると、ボックス10のシャフト18のピン18aがリッド20のハートカム20aの第1の溝20a1に嵌り込む(図16参照)。
【0041】
この図16に示す状態でも、未だ、ドラム126には付勢力が作用しているため、リッド20のドラム126に組み付けられているローラ26bはガイド溝16の第3の辺16cを進んでいく。すなわち、リッド20が開いた状態から閉じ始める。すると、ボックス10のシャフト18のピン18aがリッド20のハートカム20aの係合溝20a3に嵌り込む(図17参照)。これにより、リッド20が開いた状態で保持されるため、ボックス10を使用状態にできる。
【0042】
この図17に示す状態から、リッド20の押当部20bをプッシュすると、ボックス10のシャフト18のピン18aのリッド20のハートカム20aの係合溝20a3に対する嵌り込みが解消する。すると、未だ、ドラム126には付勢力が作用しているため、リッド20のドラム126に組み付けられているローラ26bはガイド溝16の第3の辺16cを進んでいく。すなわち、リッド20が開いた状態から閉じ始める。
【0043】
やがて、リッド20のドラム126に組み付けられているローラ26bが弁16dを押し込むため、この押し込みによって、リッド20のドラム126に組み付けられているローラ26bは第1の角位置Aを経由して待避部16eへ戻される。このように戻されると、リッド20も閉じ状態へ戻されることとなる。このようにして、従来技術と同様に、リッド20を開けるとボックス10を使用状態にでき、開けたリッド20を閉じるとボックス10を収納状態にできる。
【0044】
本発明の実施例2に係る小物入れ101は、上述したように構成されている。この構成によれば、スパイラルスプリング36aからトーションばね136aに代えても、実施例1の小物入れ1と同様の作用効果を得ることができる。
【0045】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
各実施例では、ハートカム20aによってリッド20が開き状態に保持される形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、ハートカム20aによってリッド20が閉じ状態に保持される形態でも構わない。この場合でも、各実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
また、各実施例では、ボックス10にガイド溝16が形成され、リッド20にローラ26bが組み付けられる形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、ボックス10にローラ26bが組み付けられ、リッド20にガイド溝16が形成されても構わない。この場合でも、各実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 小物入れ(実施例1)
10 ボックス
12 開口
16 ガイド溝
20 リッド
26b ローラ
101 小物入れ(実施例2)
【技術分野】
【0001】
本発明は、小物入れに関し、詳しくは、開き状態または閉じ状態にあるリッドをプッシュすると、リッドのロック解除が行われバネ力によってリッドが閉じ状態または開き状態に切り替わる小物入れに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の内部に設けられている小物入れには、そのボックスに形成されている開口を開閉するリッドがボックスに組み付けられている。このように組み付けられているリッドを開けるとボックスを使用状態にでき、開けたリッドを閉じるとボックスを収納状態にできる。ここで、下記特許文献1には、プッシュオープン機構を介してリッドがボックスに組み付けられている技術が開示されている。これにより、リッドをプッシュすると、バネ力によってリッドを閉じることができるため、リッドの閉じ操作を簡便にできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−210173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、リッドの閉じ操作はバネ力によって行われているが、リッドの開け操作は手動で行われていた。この開け操作は、バネ力に抗したものであるため、操作性が悪い(操作荷重が重い)という問題が発生していた。
【0005】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、開き状態または閉じ状態にあるリッドをプッシュすると、リッドのロック解除が行われバネ力によってリッドが閉じ状態または開き状態に切り替わる構造であっても、リッドの開け操作または閉じ操作の操作性を向上させた小物入れを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、開口を有する中空状のボックスと、開口を開閉可能にボックスに対して組み付けられているリッドと、を備えており、開き状態にあるリッドをプッシュすると、リッドのロック解除が行われバネ力によってリッドが閉じ状態に切り替わる小物入れであって、リッドとボックスとの間には、開け操作しているときのリッドに作用するバネ力の向きがリッドを閉じる方向からリッドを開ける方向に切り替わるガイド機構が設けられていることを特徴とする構成である。
この構成によれば、従来技術と同様に、開け状態にあるリッドをプッシュすると、バネ力によってリッドを閉じることができるため、リッドの閉じ操作を簡便にできる。これと逆に、閉じ状態にあるリッドを押し込んで、リッドを開け操作するときでも、従来技術とは異なり、リッドが閉じ状態から開き状態に切り替わる途中位置以降において、リッドを押し込む力を必要とすることなく、バネ力によってリッドを開けることができる。したがって、リッドの開け操作の操作性を向上させることができる。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、開口を有する中空状のボックスと、開口を開閉可能にボックスに対して組み付けられているリッドと、を備えており、閉じ状態にあるリッドをプッシュすると、リッドのロック解除が行われバネ力によってリッドが開き状態に切り替わる小物入れであって、リッドとボックスとの間には、閉じ操作しているときのリッドに作用するバネ力の向きがリッドを開ける方向からリッドを閉じる方向に切り替わるガイド機構が設けられていることを特徴とする構成である。
この構成でも、請求項1と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施例1の小物入れを車両内部に適用した斜視図であり、リッドの閉じた状態を示している。
【図2】図2は、図1のリッドが開いた状態を示している。
【図3】図3は、図1の小物入れの分解斜視図である。
【図4】図4は、図1のリッドの動きを示す模式図であり、リッドが閉じた状態を示している。
【図5】図5は、図4のリッドを開けている状態を示している。
【図6】図6は、図5のリッドをさらに開けている状態を示している。
【図7】図7は、図6のリッドをさらに開けている状態を示している。
【図8】図8は、図7のリッドをさらに開けている状態を示している。
【図9】図9は、図8のリッドが開き状態に保持された状態を示している。
【図10】図10は、図9のリッドを閉じている状態を示している。
【図11】図11は、本発明の実施例2の小物入れの分解斜視図である。
【図12】図12は、図11のリッドの動きを示す模式図であり、リッドが閉じた状態を示している。
【図13】図13は、図12のリッドを開けている状態を示している。
【図14】図14は、図13のリッドをさらに開けている状態を示している。
【図15】図15は、図14のリッドをさらに開けている状態を示している。
【図16】図16は、図15のリッドをさらに開けている状態を示している。
【図17】図17は、図16のリッドが開き状態に保持された状態を示している。
【図18】図18は、図17のリッドを閉じている状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。
(実施例1)
まず、本発明の実施例1の小物入れ1を、図1〜10を参照して説明する。なお、以下の説明にあたって、上、下、前、後、左、右とは、上述した図に記載した、上、下、前、後、左、右の方向、すなわち、車両を基準にしたときの上、下、前、後、左、右の方向を示している。このことは、後述する実施例2においても同様である。
【0010】
小物入れ1は、主として、ボックス10と、リッド20とから構成されており、図1〜2に示すように、車両の内部のセンタークラスター2とコンソールボックス3とをつなぐセンターコンソール4の中空4aに組み付けられている。以下に、図3〜4を参照して、ボックス10とリッド20とを個別に説明していく。
【0011】
はじめに、ボックス10から説明していく。ボックス10は、その内部に小物を入れることができるように中空状に形成された箱部材である。このボックス10の上面の手前側(後側)には、その内部と外部とを連通させる略矩形状の開口12が形成されている。また、ボックス10の上面の両縁には、リッド20の左右の縁22、22をそれぞれ挟み込むガイド14、14が形成されている。また、ボックス10の上面の奥側(前側)には、リッド20のスライダ26に組み付けられているローラ26bを案内する略三角形状のガイド溝16が形成されている。
【0012】
ここで、ガイド溝16について詳述すると、このガイド溝16は、第1の辺16a、第2の辺16b、第3の辺16cから形成されている。これら3辺16a、16b、16cのうち、第1の辺16aと第2の辺16bとは、開け操作したときのリッド20のスライダ26に組み付けられているローラ26bを案内するように形成されており、第3の辺16cは、閉じ操作したときのリッド20のスライダ26に組み付けられているローラ26bを案内するように形成されている。
【0013】
なお、第1の辺16aと第2の辺16bとは、リッド20の開け操作に伴ってスライドするスライダ26のスライド方向が後述するスパイラルスプリング36aの付勢力に抗する方向から付勢力に準ずる方向へ切り替わるように形成されている。また、第1の辺16aと第3の辺16cとの交わる部位の近傍には、ローラ26bが第3の辺16cから第1の辺16aに入ることを許容し、ローラ26bが第1の辺16aから第3の辺16cに入ることを規制する弁16dがばね(図示しない)を介して組み付けられている。
【0014】
また、ボックス10の上面の奥側(前側)には、リッド20の下面に形成されているハートカム20aに係合可能なピン18aを有するシャフト18が枢着されている。ボックス10は、このように構成されている。
【0015】
次に、リッド20を説明する。リッド20は、ボックス10の開口12を覆い可能に略矩形に形成された蓋部材である。このリッド20の左右の縁22、22は、既に説明したように、ボックス10のガイド14、14に挟み込み可能に形成されている。これにより、リッド20をスライドさせて開口12を開け閉めできる。
【0016】
また、このリッド20の上面には、その幅方向に沿ってスライド可能なスライダ26が組み付けられている。このスライダ26には、後述するアクチュエータ30の小歯車34に噛み合うラック26aが形成されている。また、このスライダ26には、既に説明したように、ボックス10のガイド溝16に案内されるローラ26bが組み付けられている。このローラ26bと上述したガイド溝16とが、特許請求の範囲に記載の「ガイド機構」に相当する。
【0017】
また、このリッド20の上面の手前側(後側)には、リッド20を押し込み可能な押当部20bが形成されている。また、このリッド20の下面には、既に説明したように、ボックス10のシャフト18のピン18aを係合可能な公知のハートカム20aが形成されている。
【0018】
また、このリッド20の下面には、アクチュエータ30が組み付けられている。ここで、アクチュエータ30について詳述すると、このアクチュエータ30は、そのベースを成すケース32と、このケース32に枢着された小歯車34と、このケース32に枢着され小歯車34に噛み合う大歯車36とから構成されている。なお、この小歯車34は、ダンパ34aを介して枢着されている。これにより、後述するスパイラルスプリング36aの復元力によってリッド20を閉じるとき、この閉じ動作をゆっくりしたものにできる。したがって、小物入れ1に高級感を出せる。
【0019】
また、この大歯車36は、スパイラルスプリング36aを介して枢着されている。このスパイラルスプリング36aは、リッド20が閉じ状態から開き状態になるにつれて、スライダ26と小歯車34と大歯車36とを介して撓んでいくように設定されている。また、このリッド20の上面には、組み付けたスライダ26に異物の噛み込みを防止するカバー28がビスBにより留められている。リッド20は、このように構成されている。
【0020】
続いて、図1〜2、4〜10を参照して、上述したボックス10と、リッド20とから構成されている小物入れ1の動作を説明する。この説明にあたって、図1、4に示すように、リッド20が閉じ状態(リッド20がボックス10の開口12を閉じた状態)にあるときから説明していく。このリッド20が閉じ状態にあるとき、リッド20のスライダ26に組み付けられているローラ26bは、ガイド溝16の待避部16eに位置している。この待避部16eとは、第1の辺16aと第3の辺16cとが交差する位置(以下、「第1の角位置A」と記す)から第1の辺16aの延長線上の位置のことである。
【0021】
まず、図1、4に示す状態から、作業者は、閉じ状態にあるリッド20の押当部20bを自身の指で押し込んでいく。すると、図5に示すように、リッド20が前側にスライドしていくため、ボックス10の開口12が開き始める。このとき、リッド20のスライダ26に組み付けられているローラ26bはガイド溝16の第1の辺16aを進んでいく。これにより、スライダ26もスライドしていくため、スライダ26のラック26aと小歯車34と大歯車36とを介してスパイラルスプリング36aが撓んでいく。
【0022】
そのため、この図5に示す状態では、スライダ26は、そのスライドが戻る方向に付勢されている。この図5において、矢印がスライダ26に作用する付勢力(撓んだスパイラルスプリング36aの復元力)を示している。したがって、この図5に示す状態では、この付勢力より大きな押し込み力が必要となっている。
【0023】
この図5に示す状態から、作業者は、さらに、リッド20の押当部20bを押し込んでいき、リッド20のスライダ26に組み付けられているローラ26bが第1の辺16aと第2の辺16bとが交差する位置(以下、「第2の角位置B」と記す)に到達すると(図6参照)、スライダ26に作用する付勢力が押し込んだリッド20を戻す方向から押し込む方向に切り替わる。
【0024】
そのため、以降において、作業者によるリッド20の押当部20bの押し込みを解除しても、スライダ26に作用する付勢力によって、リッド20のスライダ26に組み付けられているローラ26bはガイド溝16の第2の辺16bを進んでいく(図7参照)。この図7に示す状態では、スライダ26は、そのスライドが戻る方向に付勢されている。この図7において、矢印がスライダ26に作用する付勢力を示している。したがって、この図7に示す状態では、作業者の押し込み力を要することなく、さらに、リッド20を前側へスライドできる。
【0025】
やがて、リッド20のスライダ26に組み付けられているローラ26bが第2の辺16bと第3の辺16cとが交差する位置(以下、「第3の角位置C」と記す)に到達すると、ボックス10のシャフト18のピン18aがリッド20のハートカム20aの第1の溝20a1に嵌り込む(図8参照)。
【0026】
この図8に示す状態でも、未だ、スライダ26には付勢力が作用しているため、リッド20のスライダ26に組み付けられているローラ26bはガイド溝16の第3の辺16cを進んでいく。すなわち、リッド20が開いた状態から閉じ始める。すると、ボックス10のシャフト18のピン18aがリッド20のハートカム20aの係合溝20a3に嵌り込む(図2、9参照)。これにより、リッド20が開いた状態で保持されるため、ボックス10を使用状態にできる。
【0027】
この図2、9に示す状態から、リッド20の押当部20bをプッシュすると、ボックス10のシャフト18のピン18aのリッド20のハートカム20aの係合溝20a3に対する嵌り込みが解消する。すると、未だ、スライダ26には付勢力が作用しているため、リッド20のスライダ26に組み付けられているローラ26bはガイド溝16の第3の辺16cを進んでいく。すなわち、リッド20が開いた状態から閉じ始める。これらの記載が、特許請求の範囲に記載の「開き状態にあるリッドをプッシュすると、リッドのロック解除が行われバネ力によってリッドが閉じ状態に切り替わる」に相当する。
【0028】
やがて、リッド20のスライダ26に組み付けられているローラ26bが弁16dを押し込むため、この押し込みによって、リッド20のスライダ26に組み付けられているローラ26bは第1の角位置Aを経由して待避部16eへ戻される。このように戻されると、リッド20も閉じ状態へ戻されることとなる。このようにして、従来技術と同様に、リッド20を開けるとボックス10を使用状態にでき、開けたリッド20を閉じるとボックス10を収納状態にできる。
【0029】
本発明の実施例1に係る小物入れ1は、上述したように構成されている。この構成によれば、リッド20を開けるとボックス10を使用状態にでき、開けたリッド20を閉じるとボックス10を収納状態にできる。このとき、従来技術と同様に、開け状態にあるリッド20をプッシュすると、撓んだスパイラルスプリング36aの復元力によってリッド20を閉じることができるため、リッド20の閉じ操作を簡便にできる。これと逆に、閉じ状態にあるリッド20を押し込んで、リッド20を開け操作するときでも、従来技術とは異なり、リッド20が閉じ状態から開き状態に切り替わる途中位置(第2の角位置B)以降において、リッド20を押し込む力を必要とすることなく、撓んだスパイラルスプリング36aの復元力によってリッド20を開けることができる。したがって、リッド20の開け操作の操作性を向上させることができる。
【0030】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2の小物入れ101を、図11〜18を参照して説明する。この実施例2は、既に説明した実施例1と比較すると、リッド20に作用するバネ力をスパイラルスプリング36aからトーションばね136aに代えた形態である。以下の説明にあたって、実施例1と同一部材には、図面において同一符号を付すことで、重複する説明は省略することとする。
【0031】
図11に示すように、実施例2の小物入れ101も、実施例1の小物入れ1と同様に、主として、ボックス10と、リッド20とから構成されている。
【0032】
ボックス10の上面の奥側(前側)には、リッド20のドラム126に組み付けられているローラ26bを案内する略三角形状のガイド溝16が形成されている。このガイド溝16は、図11からも明らかなように、ボックス10の上面に直に形成されることなく、この上面に形成されている半円面110aに形成されている。
【0033】
一方、リッド20の下面には、外周面にローラ26bが組み付けられているドラム126がトーションばね136bを介して枢着されている。このトーションばね136は、リッド20に作用するバネ力が、実施例1のスパイラルスプリング36aと同様となるように、リッド20とドラム126との間に掛け留められている。
【0034】
続いて、図12〜18を参照して、上述したボックス10と、リッド20とから構成されている小物入れ101の動作を説明する。この説明にあたって、図12(A)に示すように、リッド20が閉じ状態(リッド20がボックス10の開口12を閉じた状態)にあるときから説明していく。このリッド20が閉じ状態にあるとき、リッド20のドラム126に組み付けられているローラ26bは、ガイド溝16の待避部16eに位置している。
【0035】
なお、図12(B)は、図12(A)のリッド20のスライド位置に対応するガイド溝16とローラ26bとの位置関係を示す平面模式図である。また、図12(C)は、図12(A)のリッド20のスライド位置に対応するガイド溝16とローラ26bとの位置関係を示す正面模式図である。これらのことは、図13〜18においても同様である。
【0036】
まず、図12に示す状態から、作業者は、閉じ状態にあるリッド20の押当部20bを自身の指で押し込んでいく。すると、図13に示すように、リッド20が前側にスライドしていくため、ボックス10の開口12が開き始める。このとき、リッド20のドラム126に組み付けられているローラ26bはガイド溝16の第1の辺16aを進んでいく。これにより、ドラム126も回転していくため、トーションばね136aが撓んでいく。
【0037】
そのため、この図13に示す状態では、ドラム126は、その回転が戻る方向に付勢されている。この図13において、矢印がドラム126に作用する付勢力(撓んだトーションばね136aの復元力)を示している。したがって、この図13に示す状態では、この付勢力より大きな押し込み力が必要となっている。
【0038】
この図13に示す状態から、作業者は、さらに、リッド20の押当部20bを押し込んでいき、リッド20のドラム126に組み付けられているローラ26bが第2の角位置Bに到達すると(図14参照)、ドラム126に作用する付勢力が押し込んだリッド20を戻す方向から押し込む方向に切り替わる。
【0039】
そのため、以降において、作業者によるリッド20の押当部20bの押し込みを解除しても、ドラム126に作用する付勢力によって、リッド20のドラム126に組み付けられているローラ26bはガイド溝16の第2の辺16bを進んでいく(図15参照)。この図15に示す状態では、ドラム126は、その回転が戻る方向に付勢されている。この図15において、矢印がドラム126に作用する付勢力を示している。したがって、この図15に示す状態では、作業者の押し込み力を要することなく、さらに、リッド20を前側へスライドできる。
【0040】
やがて、リッド20のドラム126に組み付けられているローラ26bが第3の角位置Cに到達すると、ボックス10のシャフト18のピン18aがリッド20のハートカム20aの第1の溝20a1に嵌り込む(図16参照)。
【0041】
この図16に示す状態でも、未だ、ドラム126には付勢力が作用しているため、リッド20のドラム126に組み付けられているローラ26bはガイド溝16の第3の辺16cを進んでいく。すなわち、リッド20が開いた状態から閉じ始める。すると、ボックス10のシャフト18のピン18aがリッド20のハートカム20aの係合溝20a3に嵌り込む(図17参照)。これにより、リッド20が開いた状態で保持されるため、ボックス10を使用状態にできる。
【0042】
この図17に示す状態から、リッド20の押当部20bをプッシュすると、ボックス10のシャフト18のピン18aのリッド20のハートカム20aの係合溝20a3に対する嵌り込みが解消する。すると、未だ、ドラム126には付勢力が作用しているため、リッド20のドラム126に組み付けられているローラ26bはガイド溝16の第3の辺16cを進んでいく。すなわち、リッド20が開いた状態から閉じ始める。
【0043】
やがて、リッド20のドラム126に組み付けられているローラ26bが弁16dを押し込むため、この押し込みによって、リッド20のドラム126に組み付けられているローラ26bは第1の角位置Aを経由して待避部16eへ戻される。このように戻されると、リッド20も閉じ状態へ戻されることとなる。このようにして、従来技術と同様に、リッド20を開けるとボックス10を使用状態にでき、開けたリッド20を閉じるとボックス10を収納状態にできる。
【0044】
本発明の実施例2に係る小物入れ101は、上述したように構成されている。この構成によれば、スパイラルスプリング36aからトーションばね136aに代えても、実施例1の小物入れ1と同様の作用効果を得ることができる。
【0045】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
各実施例では、ハートカム20aによってリッド20が開き状態に保持される形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、ハートカム20aによってリッド20が閉じ状態に保持される形態でも構わない。この場合でも、各実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
また、各実施例では、ボックス10にガイド溝16が形成され、リッド20にローラ26bが組み付けられる形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、ボックス10にローラ26bが組み付けられ、リッド20にガイド溝16が形成されても構わない。この場合でも、各実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 小物入れ(実施例1)
10 ボックス
12 開口
16 ガイド溝
20 リッド
26b ローラ
101 小物入れ(実施例2)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する中空状のボックスと、前記開口を開閉可能に前記ボックスに対して組み付けられているリッドと、を備えており、開き状態にある前記リッドをプッシュすると、前記リッドのロック解除が行われバネ力によって前記リッドが閉じ状態に切り替わる小物入れであって、
前記リッドと前記ボックスとの間には、開け操作しているときの前記リッドに作用する前記バネ力の向きが前記リッドを閉じる方向から前記リッドを開ける方向に切り替わるガイド機構が設けられていることを特徴とする小物入れ。
【請求項2】
開口を有する中空状のボックスと、前記開口を開閉可能に前記ボックスに対して組み付けられているリッドと、を備えており、閉じ状態にある前記リッドをプッシュすると、前記リッドのロック解除が行われバネ力によって前記リッドが開き状態に切り替わる小物入れであって、
前記リッドと前記ボックスとの間には、閉じ操作しているときの前記リッドに作用する前記バネ力の向きが前記リッドを開ける方向から前記リッドを閉じる方向に切り替わるガイド機構が設けられていることを特徴とする小物入れ。
【請求項1】
開口を有する中空状のボックスと、前記開口を開閉可能に前記ボックスに対して組み付けられているリッドと、を備えており、開き状態にある前記リッドをプッシュすると、前記リッドのロック解除が行われバネ力によって前記リッドが閉じ状態に切り替わる小物入れであって、
前記リッドと前記ボックスとの間には、開け操作しているときの前記リッドに作用する前記バネ力の向きが前記リッドを閉じる方向から前記リッドを開ける方向に切り替わるガイド機構が設けられていることを特徴とする小物入れ。
【請求項2】
開口を有する中空状のボックスと、前記開口を開閉可能に前記ボックスに対して組み付けられているリッドと、を備えており、閉じ状態にある前記リッドをプッシュすると、前記リッドのロック解除が行われバネ力によって前記リッドが開き状態に切り替わる小物入れであって、
前記リッドと前記ボックスとの間には、閉じ操作しているときの前記リッドに作用する前記バネ力の向きが前記リッドを開ける方向から前記リッドを閉じる方向に切り替わるガイド機構が設けられていることを特徴とする小物入れ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−35529(P2013−35529A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175655(P2011−175655)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(309018445)明和工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(309018445)明和工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
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