説明

小物部品の供給装置

【課題】省スペースで設置できて、迅速に適正姿勢の小物部品を供給でき、さらに、選別する小物部品の寸法形状が変更されても、容易に対処可能な小物部品の供給装置の提供。
【解決手段】供給装置1は、適正姿勢のナットN1を供給シュート90を経て供給可能に構成されて、ナットを貯留するバケット10と、バケット10内のナットを押し上げるリフト機構部20と、リフト機構部で押し上げられたナットを供給シュート側に搬送可能とする搬送部50と、を備える。搬送部は、適正姿勢のナットを供給シュート側へ搬送し、不適正姿勢のナットをバケット10内に戻す選別部60を配設させる。バケットは、上方に長方形の開口10aを有した略直方体形状とする。搬送部は、供給シュート側にナットを搬送するベルトコンベヤ51を備え、選別部60が、ベルトコンベヤのナットを直線状に搬送する上面52aの上方に、取替可能に取付座6aに取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バケット内に貯留したナットやボルト等の小物部品の内、適正姿勢の小物部品を供給シュートを経て溶接機等へ供給する小物部品の供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナット等の供給装置では、ボール状のバケットを振動させ、バケットに貯留したナットをバケットの円筒状の周壁の螺旋状の搬送路を登らせ、例えば、ナットの溶接用突起を下面側に配置させた状態の所定姿勢のナットだけを、選別部で選別して、供給シュート側に搬送するように、構成されていた(例えば、特許文献1参照)。この選別部は、ナットの寸法形状の変更に対応できるように、バケットの曲面状の周壁に対して、取替え可能に構成されていた。
【0003】
また、従来のこの種の供給装置では、多数の小物部品としてのボルトを貯留する直方体形状のバケットと、バケットの底壁側からバケットの側壁の上端側に小物部品を押し上げるように昇降可能なリフト機構部と、側壁の上端側に配置されて、リフト機構部で押し上げられたボルトを供給シュート側に搬送可能とする搬送部と、を備えて構成されるものもあった(例えば、特許文献2参照)。この搬送部は、振動させてボルトを搬送する振動フィーダから構成されるとともに、搬送するボルトの内、適正姿勢のボルトを供給シュート側へ搬送し、不適正姿勢のボルトをバケット内に戻す選別部を、振動フィーダの上方に配設させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−240791号公報
【特許文献2】特開平11−59870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の特許文献1に記載の供給装置では、小物部品としてのナットを貯留するバケットが、ボール状としており、その直径寸法分、幅寸法と奥行き寸法とを必要とすることから、省スペースで設置する点に課題があった。また、選別部が、選別するナットの寸法形状の変更に対処できるように、取替え可能としていても、ナットを搬送する搬送路がボール状のバケットの曲率に対応した曲線状としており、選別してバケット側に戻す等の選別片の設計に手間がかかること自体は解消できない。また、バケットの直径寸法が異なれば、複数種類の選別部が準備されていても、取付不能となって、対応できない。
【0006】
また、従来の特許文献2に記載の供給装置では、バケットを直方体形状としており、工場のコーナ部付近に配置し易く、省スペースで設置できるものの、搬送路が振動フィーダから構成されており、迅速に選別して小物部品を供給シュートに供給する点に課題があった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するもので、省スペースで設置できるとともに、迅速に適正姿勢の小物部品を供給でき、さらに、選別する小物部品の寸法形状が変更されても、容易に対処可能な小物部品の供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
<請求項1の説明>
本発明に係る小物部品の供給装置は、適正姿勢の小物部品を供給シュートを経て供給可能に構成されて、
多数の前記小物部品を貯留するバケットと、該バケットの底壁側から前記バケットの側壁の上端側に前記小物部品を押し上げるリフト機構部と、前記側壁の上端側に配置されて、前記リフト機構部で押し上げられた前記小物部品を前記供給シュート側に搬送可能とする搬送部と、を備え、
前記搬送部が、搬送する前記小物部品の内、適正姿勢の前記小物部品を供給シュート側へ搬送し、不適正姿勢の前記小物部品を前記バケット内に戻す選別部を配設させて構成される小物部品の供給装置であって、
前記バケットが、上方に長方形の開口を有した略直方体形状とし、
前記搬送部が、前記側壁の上端側に配置されて前記供給シュート側に前記小物部品を搬送するベルトコンベヤを備えて構成されるとともに、
前記選別部が、前記ベルトコンベヤにおける前記小物部品を直線状に搬送する上面側の上方に、取り外し可能に配設され、かつ、
前記選別部を取り付けた取付部位が、前記小物部品から変更された小物部品について、適正姿勢のものを供給シュート側へ搬送し、不適正姿勢のものを前記バケット内に戻すように、前記選別部と別の第2の選別部を取付可能に構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る小物部品の供給装置は、パケットが上方を長方形に開口させた略直方体形状として、バケットが上方から見て長方形としており、工場のコーナ部側にバケットの隅部を向けるように配置させて設置すれば、ボール状のバケットをコーナ部付近に配置させる場合に比べて、コーナ部側に嵌めるように設置できて、省スペースで設置できる。
【0010】
また、選別部が、ベルトコンベヤの小物部品を直線状に搬送する上面側の上方に配置される構成であって、選別部を、曲線状でなく、直線状として設置できることから、選別する小物部品の寸法形状が変更されても、その小物部品の外形形状に対応させて、不適正姿勢の小物部品をバケット側に戻したり、適正姿勢の小物部品を供給シュート側に通過させるための第2の選別部の選別片の形状を、ベルトコンベヤの搬送方向に沿って直線状に展開して、設計すればよく、従来のようなボール状のナットフィーダの曲面状の選別部に比べて、熟練者でなくとも、容易に対処して、設計できる。
【0011】
そして、取付時も、取付部位を利用して、選別部をベルトコンベヤの直線状の部位の上方に、取り付けるだけでよく、簡単に、取り替えて、対応する選別部を搬送部に配置させることができる。
【0012】
さらに、選別部が直線状であり、ベルトコンベヤの搬送する直線状の長さが、取付部位を利用して選別部を設置できる寸法さえあれば、直方体形状のバケットの大きさが変更されても、支障なく、変更した小物部品に対応する選別部を取付部位に取り付けて使用することができる。
【0013】
さらに、搬送部で小物部品を搬送するものが、振動フィーダで無く、ベルトコンベヤであり、迅速に、小物部品を供給シュート側に搬送できる。そして、迅速に小物部品を供給シュート側に搬送できることから、常時、供給装置を作動させる必要は無く、供給先で、所定数の小物部品が必要になった時だけ、供給装置を作動させることもでき、作動音の発生時間を短くすることができて、騒音の発生を抑制できる。
【0014】
したがって、本発明に係る小物部品の供給装置では、省スペースで設置できるとともに、迅速に適正姿勢の小物部品を供給でき、さらに、選別する小物部品の寸法形状が変更されても、容易に対処することができる。
【0015】
<請求項2の説明>
本発明に係る小物部品の供給装置では、前記選別部が、前記ベルトコンベヤに対する取付位置を、前記ベルトコンベヤの前記小物部品を搬送する搬送方向と直交する方向に沿って調整可能として、前記取付部位に取り付けられる構成とすることが望ましい。
【0016】
このような構成では、選別する小物部品が、単に、略相似形とした寸法の大小の変更程度であれば、ベルトコンベヤの搬送方向と直交する方向に沿って、選別部の取付位置を変える簡単な調整を行なうだけで、極めて容易に対処することができる。
【0017】
さらにこの場合、選別部の少なくとも一部の選別片が、選別部での取付位置をベルトコンベヤの搬送方向と直交する方向に沿って調整可能に構成されれば、さらに好適となる。
【0018】
<請求項3の説明>
本発明に係る小物部品の供給装置では、前記リフト機構部は、
上面の高さを異ならせ、かつ、前記搬送部側を低くするように傾斜させた前記小物物品の受止面を上面に配置させた複数の棚部と、複数の前記棚部を保持して昇降させる複数の駆動機構と、を備えて構成するとともに、
前記駆動機構は、保持した複数の前記棚部の間に、他の前記駆動機構で保持される前記棚部を配置させる構成とし、かつ、隣接する前記棚部の下降時に、保持した前記棚部を上昇させて、上昇させた前記棚部の受止面上の前記小物部品を、隣接する前記棚部の受止面上に摺動させて移送するように、構成することが望ましい。
【0019】
このような構成では、下降時に低い側となる棚部を上昇させて、その棚部の受止面上の小物部品を隣接した棚部に移送する際、隣接した側の棚部を下降させ、その下降した棚部に対して、上昇させた棚部の小物部品を移送させている。換言すれば、棚部間で小物部品を移送する際、移送される側の棚部が、小物部品を受け止めるために、下降しており、一つずつの駆動機構の棚部を昇降させるストロークを小さくして、バケットの底壁側からベルトコンベヤまで小物部品を移送できる。
【0020】
すなわち、このような構成では、駆動機構の押上ストロークを小さくできて、駆動機構の高さ寸法を小さくでき、供給装置の上下方向の寸法をコンパクトにすることができる。
【0021】
ちなみに、従来の複数の高さを異ならせた棚部を昇降させる供給装置(例えば、特許文献2に記載の供給装置)では、昇降させる棚部間に固定した棚部を配置させており、固定した棚部まで、昇降させる棚部を上昇させる必要が生じ、上記の構成のように、移送される側の棚部を下降させていないことから、従来装置では、駆動機構の押上ストロークを、上記の構成の比べて、2倍分必要となっていた。
【0022】
そのため、上記のような構成では、バケットを平面視で長方形として、供給装置を省スペースで設置できることと相俟って、高さ寸法もコンパクトに構成でき、一層、省スペースとして供給装置を設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態の供給装置の平面図である。
【図2】実施形態の供給装置から選別部としての選別アタッチメントを取り外した状態の平面図である。
【図3】実施形態の供給装置の右側面図である。
【図4】実施形態の供給装置の正面図である。
【図5】実施形態の選別アタッチメントの平面図である。
【図6】実施形態の選別アタッチメントの左側面図である。
【図7】実施形態の選別アタッチメントの底面図である。
【図8】実施形態の選別部における第1選別手段でのナットの選別状態を説明する平面図と左側面図である。
【図9】実施形態の選別部における第2選別手段での適正姿勢のナットの選別状態を説明する平面図と断面図である。
【図10】実施形態の選別部における第2選別手段での不適正姿勢のナットの選別状態を説明する平面図と断面図である。
【図11】実施形態の選別部における第3選別手段でのナットの選別状態を説明する平面図と断面図である。
【図12】実施形態のリフト機構部の作動を説明する概略断面図である。
【図13】実施形態のリフト機構部の作動を説明する概略断面図であり、図12の後の状態を示す。
【図14】実施形態のリフト機構部の作動を説明する概略断面図であり、図13の後の状態を示す。
【図15】実施形態のリフト機構部の作動を説明する概略断面図であり、図14の後の状態を示す。
【図16】実施形態のリフト機構部の作動を説明する概略断面図であり、図15の後の状態を示す。
【図17】変更した小物部品を示すもので、形状変更されたフランジ付きナットを示す斜視図である。
【図18】フランジ付きナットを選別する選別アタッチメントを取り付けた状態の供給装置の部分拡大平面図である。
【図19】図18に示す選別アタッチメントの左側面図である。
【図20】図18に示す選別アタッチメントを使用した際の第1選別手段でのフランジ付きナットの選別状態を説明する平面図と左側面図である。
【図21】図18に示す選別アタッチメントを使用した際の第2選別手段での適正姿勢のフランジ付きナットの選別状態を説明する平面図と断面図である。
【図22】図18に示す選別アタッチメントを使用した際の第2選別手段での不適正姿勢のフランジ付きナットの選別状態を説明する平面図と断面図である。
【図23】図18に示す選別アタッチメントを使用した際の第3選別手段でのフランジ付きナットの選別状態を説明する平面図と断面図である。
【図24】寸法が変更されたナットに対応させるように、選別アタッチメントを調整した状態を説明する実施形態の供給装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、図1〜4に示す実施形態の供給装置1は、小物部品としてのナットN1(図1の拡大斜視図参照)を供給するもので、このナットN1は、実施形態の場合、図示しない溶接機で所定のワークに溶接されるものであり、そして、実施形態の供給装置1は、その溶接機のナットN1を保持するチャックへ、ナットN1を1個ずつエアの圧送により送り出す送り出し装置に対し、ナットN1を供給するものである。なお、この送り出し装置には、所定数のナットN1が整列されて貯留されているものの、数が少なくなってきた際に、実施形態の供給装置1が作動されて、適正姿勢のナットN1を所定数供給する。
【0025】
ナットN1は、図1、8〜11に示すように、四角ナットであり、四角柱状の本体B1の一端面Td側の四隅付近に溶接用突起Pが突設されている。そして、既述の送り出し装置に供給する際には、供給装置1は、上面側に溶接用突起Pを配置させた姿勢でナットN1を供給する。
【0026】
実施形態の供給装置1は、図1〜4,12に示すように、多数のナットN1を貯留するバケット10と、バケット10の底壁11側からバケット10の側壁15の上端側にナットN1を押し上げるリフト機構部20と、側壁15の上端側に配置されて、リフト機構部20で押し上げられたナットN1を供給シュート90側に搬送する搬送部50と、を備えて構成されている。搬送部50には、搬送するナットN1の内、適正姿勢となる上面側に溶接用突起Pを配置させたナットN1を供給シュート90側へ搬送し、それ以外の姿勢の不適正姿勢のナットN1をバケット10内に戻す選別部60が配設されている。
【0027】
バケット10や搬送部50は、支持フレーム2に支持されている。支持フレーム2は、略長方形板状の底板部3と支持板部4とを、四隅の脚部5によって連結しつつ、上下に配置させて構成されている。そして、支持板部4上に、所定の支持プレート6,7,8を立設させて、バケット10を保持している。
【0028】
バケット10は、図1,2,12に示すように、上方に長方形の開口10aを有した略直方体形状とし、中央側に傾斜した底壁11と、底壁11の外周縁で上方に延びる四角筒状の側壁15と、を備えて構成されている。底壁11は、前側傾斜部11a、側面側傾斜部11c、及び、戻り側傾斜部11dを備えて、相互の集合する部位が最も低く構成され、その部位から搬送部50側に延びる挿通孔13に、リフト機構部20における複数の棚部27,28,37,38が配置されている。
【0029】
なお、底壁11の最も低い位置には、棚部27が配置され、最も高い棚部38が、側壁15における搬送部50側の押上側部16に隣接して配設されている。押上側部16の内側から上端側には、最も高く押し上げられる棚部38から移送されるナットN1を、搬送部50のベルトコンベヤ51上に移送させるように上面18aを傾斜させた案内プレート18が配設されている。
【0030】
また、前側傾斜部11aには、バケット10内のナットN1がブリッジ状に固まらないように、撹拌板45を昇降させる貫通孔11bが形成されている。撹拌板45は、図3に示すように、支持板部4の下面に固定されたエアシリンダ46により昇降され、エアシリンダ46は、下方に延びるようにピストンロッド47を配設させている。ピストンロッド47の下端には、前後方向に延びる連結プレート48が固定され、連結プレート48に、撹拌板45に連結支持される連結ロッド49,49が連結されて、エアシリンダ46の作動により、ピストンロッド47、連結プレート48、及び、連結ロッド49を介在させて、撹拌板45が昇降する。
【0031】
さらに、四角筒形状の側壁15は、搬送部50側を押上側部16として構成されるととも、実施形態の場合、押上側部16は、支持プレート6自体から構成されている。そして、押上側部16の前後の縁には、選別部60を構成する選別アタッチメント61の取付部63をボルト6b止め等して取り外し可能に取り付ける取付部位としての取付座6aが、形成されている。
【0032】
リフト機構部20は、図1,3,4,12〜16に示すように、上面の高さを異ならせた複数の棚部27,28,37,38と、棚部27,28,37,38を保持して昇降させる複数の駆動機構21,31と、を備えて構成されている。各棚部27,28,37,38の上面は、ナットN1を受け止め可能な受止面27a,28a,37a,38aとしている。これらの受止面27a,28a,37a,38aは、搬送部50側を低くするように傾斜して、その傾斜は、受止面27a,28a,37a,38a相互が隣接した際に、搬送部50側となる右隣側の面上に、重力により、ナットN1を摺動させて移送可能な傾斜としている。
【0033】
そして、実施形態の場合、駆動機構21,31は、第1駆動機構21と第2駆動機構31として二つ使用されて、それぞれ、二枚ずつの棚部、すなわち、第1駆動機構21が第1内側棚部27と第1外側棚部28とを保持して昇降させるように構成され、第2駆動機構31が第2内側棚部37と第2外側棚部38とを保持して昇降させるように構成されている。
【0034】
第1駆動機構21と第2駆動機構31とは、図3,4,12に示すように、それぞれ、底板部3に固定される駆動源としてのエアシリンダ22,32と、エアシリンダ22,32のピストンロッド23,33に連結されるベースプレート24,34と、を備えて構成されている。そして、ベースプレート24には、第1内側棚部27と第1外側棚部28とにそれぞれ連結される二本ずつの第1内側ロッド25,25と第1外側ロッド26,26とが取り付けられ、ベースプレート34には、第2内側棚部37と第2外側棚部38とにそれぞれ連結される二本ずつの第2内側ロッド35,35と第2外側ロッド36,36とが取り付けられている。
【0035】
第1内側棚部27、第1外側棚部28、第2内側棚部37、及び、第2外側棚部38の配置は、バケット10の底壁11の中央側から、第1内側棚部27、第2内側棚部37、第1外側棚部28、及び、第2外側棚部38が順に配設されている。すなわち、第1駆動機構21により昇降される第1内側棚部27と第1外側棚部28との間に、第2内側棚部37が配設され、第2駆動機構31により昇降される第2内側棚部37と第2外側棚部38との間に、第1外側棚部28が配設されて、第2外側棚部38が、バケット10の押上側部16に設けた案内プレート18に隣接されるように、構成されている。
【0036】
第1駆動機構21では、第1内側棚部27が、下降時、図12,14,16に示すように、バケット10の底壁11の最も低い位置に配置され、上昇時、図13,15に示すように、受止面27aに載せたナットN1を下降済みの第2内側棚部37の受止面37a上に移送可能な位置まで、上昇するように構成されている。また、第1駆動機構21では、第1外側棚部28が、下降時、図12,14,16に示すように、その受止面28aを、上昇した第2駆動機構31の第2内側棚部37の受止面37a上からナットN1を移送可能な高さまで下降させ、上昇時、図13,15に示すように、その受止面28aを、その受止面28a上のナットN1を下降済みの第2外側棚部38の受止面38a上に移送可能な高さまで上昇させるように、構成されている。
【0037】
また、第2駆動機構31では、第2内側棚部37が、下降時、図13,15に示すように、その受止面37aを、上昇した第1駆動機構21の第1内側棚部27の受止面27a上からナットN1を移送可能な高さまで下降させ、上昇時、図12,14,16に示すように、その受止面37aを、その受止面37a上のナットN1を下降済みの第1外側棚部28の受止面28a上に移送可能な高さまで上昇させるように、構成されている。さらに、第2駆動機構31では、第2外側棚部38が、下降時、図13,15に示すように、その受止面38aを、上昇した第1駆動機構21の第1外側棚部28の受止面28a上からナットN1を移送可能な高さまで下降させ、上昇時、図12,14,16に示すように、その受止面38aを、その受止面38a上のナットN1を案内プレート18に移送可能な高さまで上昇させるように、構成されている。
【0038】
なお、第1内側ロッド25、第1外側ロッド26、第2内側ロッド35、及び、第2外側ロッド36は、支持板部4の下方に配置されたガイドブロック40の案内孔41に、それぞれ上下動を案内されている。ガイドブロック40は、四隅から上方に延びて支持板部4に固定される支持ロッド39により、保持されている。
【0039】
また、撹拌板45は、第1駆動機構21の第1内側棚部27や第1外側棚部28と同期して、昇降するように構成されている。
【0040】
搬送部50は、図1〜3に示すように、側壁15の押上側部16の上端側の右側に隣接して配置され、供給シュート90側にナットN1を搬送するベルトコンベヤ51を備えて構成されている。ベルトコンベヤ51は、図3に示すように、支持プレート6に固定された従動ローラ53,53やテンションローラ54,54に巻き掛けられ、駆動モータ56に接続された駆動ローラ55によって、循環回転駆動される。そして、ベルトコンベヤ51は、押上側部16の上端側における直線状の上面を搬送路52として、ナットN1を搬送する。搬送路52は、図2に示すように、案内プレート18の傾斜した上面18aを上方に配置させているものの、その上面52aは、図9,10に示すように、バケット10の押上側部16の上端面16aより高くし、かつ、縁52bを押上側部16の外側面16bに摺動させるように構成されている。この縁52bは、実施形態の場合、上面52aの中央側より下方に下がるように段差を設けて構成されている。
【0041】
なお、リフト機構部20は、搬送路52の後端側に隣接されて、搬送路52の前後方向の長さ寸法の略1/3程度の長さ寸法として、搬送路52に比べて、短く構成されている。
【0042】
そして、選別部60は、図1〜4に示すように、ベルトコンベヤ51の直線状の搬送路52の上方に、取り外し可能な選別アタッチメント61を配設させて、構成されている。選別アタッチメント61は、前後方向に延びる長尺状で平板状とした取付基板部62と、取付基板部62の前後両端に配置される取付部63と、を備えて構成されている。取付部63,63は、取付孔63aを経てボルト63bを取付基板部62に螺着させることにより、取付基板部62に取り付けられている。そして、選別アタッチメント61は、支持プレート6の前後の取付座6aにそれぞれ取付部63をボルト6b止めして、支持プレート6に固定されて、搬送路52の上方に配設されている。前後の取付部63には、図6に示すように、それぞれ、ボルト6bを螺着させるねじ孔63cが配設されている。
【0043】
なお、取付部63は、ボルト63bを挿通させる取付孔63aを左右方向に延ばすように開口させており、取付基板部62の取付部63へのボルト63b止め時、取付部63に対して、取付基板部62の左右方向の配置位置を調整して取り付けることができるように構成されている。ちなみに、この位置調整により、後述するガイド壁部65等の押上側部16からの距離、換言すれば、ベルトコンベヤ51に対する搬送方向と直交する方向に沿う選別部60(選別アタッチメント61)の配置位置、を調整することが可能となる。
【0044】
取付基板部62の下面側には、図5〜7に示すように、下方に延び、かつ、前後方向に帯状に延びるガイド壁部65が形成されている。ガイド壁部65は、バケット10側の面をナットN1を摺動させるガイド面65a(66a,67a,68a,69a)として、後部側の搬送路52に沿って前方に略直線状に延びる第1直線部66と、第1直線部66からバケット10側へ曲線状に曲がって張り出す張出部67と、張出部67の前端付近で搬送路52と平行として前方に略直線状に延びる第2直線部68と、第2直線部68の前端付近から外側に曲線状に曲がる曲り部69と、を備えて構成されている。ガイド壁部65の下端65bは、取付基板部62が取付部63を利用して支持プレート6に取り付けられた際、図8〜11に示すように、搬送路52に当らず、かつ、搬送路52との間に、ナットN1の本体B1の厚さ寸法TB1(図9のB参照)より小さな隙間71を開けるように、構成されている。なお、ガイド壁部65は、実施形態の場合、ナットN1の幅寸法LN0(図8のB参照)より高い高さとしている。
【0045】
そして、第1直線部66の部位では、図1に示すように、押上側部16の上端面16aとの間に離隔距離SL1分を開けるように、構成されている。この離隔距離SL1は、案内プレート18の先縁18bとガイド面66aとの間に、少なくとも一個分のナットN1の端面Tu,Td側の全面を搬送路52に接触させることができるように設定されている。また、第1直線部66は、リフト機構部20より前方側に延びるように配設されている。なお、上記の離隔距離SL1は、ベルトコンベヤ51がナットN1を上面52aに載せて前方に搬送可能であれば、ナットN1の端面Tu,Td側の全面が上面52aに接触しない状態としてしていてもよい。
【0046】
張出部67は、図1,8に示すように、第1直線部66の前端付近からバケット10側に接近するように斜め前方へ緩やかに曲線状に張り出して、ガイド面67aが第2直線部68のガイド面68aに緩やかに連なるように配設されている。そして、張出部67の後端付近には、第1選別手段としての倒立除去選別片73が、固着されている。
【0047】
倒立除去選別片73は、図8に示すように、ナットN1の全体の厚さ寸法TN1より僅かに大きく、かつ、幅寸法LN0より小さな隙間74を、搬送路52との間に開けるようにして、搬送路52の前後方向の中間付近に配設され、前端73aをバケット10内に進入させるように、張出部67から斜め前方に離れる弧面状に形成されている。倒立除去選別片73は、上下方向の長さ寸法をナットN1の幅寸法LN0分程度としており、搬送路52上を搬送されるナットN1が、端面Td,Tuを搬送路52の上面52aに接触させず、側面SM側を上面52aに接触させた状態とした倒立状態で搬送されている場合、その不適正姿勢のナットN1をバケット10側のガイド面73bに摺動させつつ、バケット10内に落下させて戻すものである。なお、端面Td,Tuを搬送路52の上面52aに接触させたナットN1は、隙間74を通過して、第2直線部68側に搬送される。
【0048】
第2直線部68は、図1,9,10に示すように、第1直線部66の前端付近から延びる張出部67の前側に緩やかに連なって配設され、第2直線部68のガイド面68aと押上側部16の上端面16aとの間に離隔距離SL2分を開けるように、構成されている。この離隔距離SL2は、ナットN1の全体の幅寸法LN0と略等しくしている。そして、ガイド面68aと搬送路52の縁52b(詳しくは縁52bの段差)との離隔距離SLSが、ナットN1の片側分の溶接用突起P分の寸法を除いた幅寸法LN1と略等しくしている。
【0049】
そして、第2直線部68の前後方向の中間部位には、第2選別手段としての表裏選別片76が配設されている。表裏選別片76は、断面L字状とし、上部側の取付部77を取付基板部62にボルト77b止めさせて、取付部77の先端の屈曲部78から下方に延びる縦板部79を、第2直線部68と押上側部16との間に、配置させている。縦板部79の下端79aは、搬送路52の上面52aとの間の隙間80を、ナットN1の本体B1の厚さ寸法TB1より僅かに大きく、かつ、ナットN1の溶接用突起Pを含めた全体の厚さ寸法TN1より小さく設定されている。さらに、縦板部79の下端79aは、縦板部79の幅方向に沿って先細り状の三角断面としており、その稜線を搬送路52の搬送方向に沿わせている。そして、下端79aは、端面Td,Tu側を搬送路52の上面52aに配置させ、かつ、第2直線部68の部位のガイド面68aに側面SM側を摺動させて搬送されるナットN1の重心Gより、僅かにガイド面68a側に、配置されている。
【0050】
この表裏選別片76は、溶接用突起Pを上面側に配置させた状態の適正姿勢のナットN1が、側面SM側をガイド面68aに摺動させつつ搬送路52を搬送される際に、支障なく通過させる(図9参照)。しかし、溶接用突起Pを下面側に配置させた状態の不適正姿勢のナットN1が、側面SM側をガイド面68aに摺動させつつ搬送路52を搬送される場合には、図10に示すように、側面SMに下端79aが引っ掛る。
【0051】
そしてこの時、不適正姿勢のナットN1は、溶接用突起Pを下面側に配置させており、第2直線部68のガイド面68aとベルトコンベヤ51の搬送路52の縁52bとの離隔距離SLSが、ナットN1の片側分の溶接用突起Pを除いた幅寸法LN1と略等しく設定されており、搬送路52により搬送される不適正姿勢のナットN1は、溶接用突起Pを縁52bの溝に落下進入させつつ、バケット10側に下がるように傾斜し易くなって、搬送される。
【0052】
そのため、側面SMを表裏選別片76に係止された不適正姿勢のナットN1は、その重心Gが下端76aよりバケット10側に位置し、さらに、バケット10側に下がるように傾斜し易いため、搬送路52の前進移動により、図10のAの二点鎖線に示すように、上方から見て、時計回り方向等に回転し、搬送路52や押上側部16の上端面16aから外れて、バケット10側に落下するように戻ることとなる。
【0053】
なお、実施形態の場合、縦板部79の下端79aは、先細りの三角断面としているが、不適性姿勢のナットN1の重心Gから外れた側面SMを係止可能であれば、単に、矩形断面や半円形断面等の突起としていてもよい。
【0054】
また、表裏選別片76は、ボルト77bを挿通させる取付部77の取付孔77aが左右方向に延びて開口されており、取付部77の取付基板部62へのボルト77b止め時、縦板部79の下端79aにおける押上側部16の上端面16aからの距離、換言すれば、ベルトコンベヤ51に対する搬送方向と直交する方向に沿う表裏選別片76の下端79aの配置位置、を調整して、取付部77を取り付けることができるように構成されている。
【0055】
また、実施形態のベルトコンベヤ51では、縁52bに段差を付けて下げたものを例示したが、段差を設けないように構成してもよく、その場合は、ベルトコンベヤ51の上面52aから不適正姿勢のナットN1を落下させ易いように、ガイド面68aと押上側部16との離隔距離SL2を、ナットN1の片側分の溶接用突起Pを除いた幅寸法LN1と略等しく設定すればよい。
【0056】
そして、ガイド壁部65の曲り部69は、図11に示すように、ガイド面69aを第2直線部68のガイド面68aから緩やかに外方に円弧状に曲がって形成されて、ナットN1の内側案内壁部85を構成し、供給シュート90に接続される四角筒状の案内筒部88に連なっている。
【0057】
また、ガイド壁部65の前方には、図11に示すように、第3選別手段としての厚さ選別片(高さ選別片)82が、配設されている。厚さ選別片82は、曲り部69と略同じ曲率として、後端82bをバケット10内に臨ませ、前端82a側を案内筒部88に連なるナットN1の外側案内壁部86を形成するように構成されている。厚さ選別片82は、第2直線部68のガイド面68aと押上側部16との間の搬送路52の前方側に、下端82cから長方形状に凹んだ挿通用凹部83を配設させている。挿通用凹部83の上縁83aと搬送路52の上面52aとの隙間84は、ナットN1の本体B1の厚さ寸法TB1より僅かに大きく、ナットN1の溶接用突起Pを含めた全体の厚さ寸法TN1より僅かに小さく設定されている。この挿通用凹部83は、左縁83bを押上側部16の上端面16a付近に配置させ、右縁83cを第2直線部68のガイド面68aを越えた外側(右側)に配置させるように、左右方向に広く開口して配設されている。なお、挿通用凹部83を除いた厚さ選別片82の下端82cは、ガイド壁部65の下端65bと同様に、搬送路52の上面52a側から僅かに離れて配設されている。
【0058】
この厚さ選別片82は、上面側に溶接用突起Pを配置させた状態の適正姿勢のナットN1をガイド面82dに摺動させて、案内筒部88を経て、供給シュート90側に搬送する。そして、この厚さ選別片82は、ナットN1に溶接用突起Pが配設されていないものを、挿通用凹部83を通過させて、搬送路52の前端52cから所定の収納箱内に落下させて、排除することとなる。
【0059】
なお、ガイド壁部65の前端の内側案内壁部85や厚さ選別片82の前端82a側の外側案内壁部86は、図1,3,5〜7に示すように、搬送路52から離脱する位置で、下方に下がるように傾斜する四角筒状の案内筒部88となり、案内筒部88は、所定の送り出し装置にナットN1を供給可能な供給シュート90に連結されている。
【0060】
実施形態の供給装置1では、リフト機構部20の第1駆動機構21や第2駆動機構31のエアシリンダ22,32、撹拌板45の昇降用のエアシリンダ46、及び、ベルトコンベヤ51の駆動用の駆動モータ56が作動すれば、適正姿勢のナットN1を供給シュート90側に供給することができる。
【0061】
すなわち、リフト機構部20が作動されれば、エアシリンダ22,32の作動により、ピストンロッド23,33やベースプレート24,34、さらには、第1内側ロッド25、第1外側ロッド26、第2内側ロッド35、及び、第2外側ロッド36が昇降し、第1内側棚部27、第1外側棚部28、第2内側棚部37、及び、第2外側棚部38が昇降する。
【0062】
その際、まず、図12に示すように、第1内側棚部27がバケット10の底壁11の最下降位置に配置されていれば、バケット10の底壁11の傾斜により、受止面27a上に所定数のナットN1が載る。なお、この時、受止面27a上に載るナットN1は、搬送路52側に摺動しても、第2内側棚部37の側面37bに当って受止面27a上に留まることとなる。
【0063】
その後、エアシリンダ22のピストンロッド23が上昇し、エアシリンダ32のピストンロッド33が下降すれば、図13に示すように、第1内側棚部27が上昇し、第2内側棚部37が下降して、受止面27a,37a相互が、搬送路52側を低く下げた状態として、連なり、受止面27a上のナットN1が受止面37a上に移送される。なお、この時、受止面37a上に載るナットN1は、搬送路52側に摺動しても、第1外側棚部28の側面28bに当って受止面37a上に留まることとなる。
【0064】
その後、エアシリンダ22のピストンロッド23が下降し、エアシリンダ32のピストンロッド33が上昇すれば、図14に示すように、第2内側棚部37が上昇し、第1外側棚部28が下降して、受止面37a,28a相互が、搬送路52側を低く下げた状態として、連なり、受止面37a上のナットN1が受止面28a上に移送される。なお、この時、受止面28a上に載るナットN1は、搬送路52側に摺動しても、第2外側棚部38の側面38bに当って受止面28a上に留まることとなる。また、この時、第1内側棚部27では、既述した図12に示すように、最下降位置に配置されることから、受止面27aに、底壁11に貯留されていたナットN1を載せる状態となる。
【0065】
そしてその後、エアシリンダ22のピストンロッド23が上昇し、エアシリンダ32のピストンロッド33が下降すれば、図15に示すように、第1外側棚部28が上昇し、第2外側棚部38が下降して、受止面28a,38a相互が、搬送路52側を低く下げた状態として、連なり、受止面28a上のナットN1が受止面38a上に移送される。なお、この時、受止面38a上に載るナットN1は、搬送路52側に摺動しても、案内プレート18の側面18cに当って受止面38a上に留まることとなる。また、この時、既述した図13に示すように、第1内側棚部27と第2内側棚部37とが受止面27a,37aを連ならせることから、受止面27aから受止面37aにナットN1を移送可能となる。
【0066】
ついで、エアシリンダ22のピストンロッド23が下降し、エアシリンダ32のピストンロッド33が上昇すれば、図16に示すように、第2外側棚部38が上昇して、受止面38aを、搬送路52側を低くした状態で、案内プレート18の上面18aより高くし、かつ、その上面18aに連ならせることから、受止面38a上のナットN1が上面18aを経て、搬送路52の上面52a側に移送される。なお、この時、既述した図14に示すように、第2内側棚部37と第1外側棚部28とが受止面37a,28a相互を連ならせることから、受止面37a上のナットN1を受止面28a上に移送可能となる。
【0067】
そして、ナットN1が、リフト機構部20の作動により、ベルトコンベヤ51の搬送路52上に移送されば、まず、搬送路52上を第1直線部66のガイド面66aから張出部67のガイド面67aを摺動して、第2直線部68のガイド面68aを摺動しようとする。その際、図8に示すように、第1選別手段としての倒立除去選別片73により、倒立状態とした不適正姿勢のナットN1がバケット10側に戻されるように落下する。
【0068】
さらに、倒立除去選別片73の下端側の隙間74を通過したナットN1が、第2選別手段としての表裏選別片76の部位を通過しようとする際、図9,10に示すように、溶接用突起Pを下面側に配置させた状態の不適正姿勢のナットN1では、表裏選別片76の下端79aに側面SMが係止されて、時計回り方向等に回転して、バケット10側に戻されるように落下する。
【0069】
その後、表裏選別片76の下端79a側の隙間80を通過したナットN1は、溶接用突起P自体が設けられていなければ、図11に示すように、第3選別手段としての厚さ選別片82の挿通用凹部83を通過して、搬送路52の前端52cから落下して排除され、適正に溶接用突起Pが設けられている適正姿勢のナットN1であれば、厚さ選別片82のガイド面82dを摺動し、外側案内壁部86と内側案内壁部85の間を通過して、案内筒部88を経て、供給シュート90側に移送されることとなる。
【0070】
そして、例えば、供給する小物部品を図17に示すフランジ付きナットN2に変更する場合には、図18,19に示す選別部60Aのように、フランジ付きナットN2に対応した選別アタッチメント61Aに変更して、取付座6a,6aに選別アタッチメント61Aを取り付ければよい。なお、このナットN2では、フランジFを下面側に配置させた状態を適正姿勢として、供給シュート90A側に供給する。
【0071】
そして、この選別アタッチメント61Aも、選別アタッチメント61と同様に、取付基板部62から下方に延びるガイド壁部65Aを備え、ガイド壁部65Aが、押上側部16からの離隔距離SL1を既述の選別アタッチメント61のものよりも大きくした第1直線部66A(図1,18参照)、曲面状の張出部67A、押上側部16からの離隔距離をナットN2の略一個分のフランジFの直径寸法LND(図17参照)分の離隔距離SL2とした第2直線部68A、及び、曲り部69Aを備えて構成されている。そして、張出部67A付近に、倒立状態のナットN2をバケット10側に戻す第1選別手段としての倒立除去選別片73Aが配設され、第2直線部68Aの部位に、第2選別手段としての表裏選別片76Aが配設され、さらに、曲り部69Aの前方付近に、第3選別手段としての厚さ選別片82Aが配設されている。
【0072】
倒立除去選別片73Aは、図20に示すように、ナットN2の全体の厚さ寸法TN2より僅かに大きく、かつ、直径寸法LNDより小さな隙間74を、搬送路52との間にあけるようにして、搬送路52の前後方向の中間付近に配設され、前端73aをバケット10内に進入させるように、張出部67Aから斜め前方に離れる弧面状に形成されている。倒立除去選別片73Aは、上下方向の長さ寸法をナットN2の直径寸法LNDの半分程度としており、搬送路52上を搬送されるナットN2が、端面Td,Tu側を搬送路52の上面52aに接触させず、フランジFの外周面RMを上面52aに接触させた状態とした倒立状態で搬送されている場合、その不適正姿勢のナットN2をバケット10側のガイド面73bに摺動させつつ、バケット10内に落下させて戻すものである。なお、端面Td,Tu側を搬送路52の上面52aに接触させたナットN2は、隙間74を通過して、第2直線部68A側に搬送される。
【0073】
第2直線部68Aは、図21,22に示すように、第1直線部66Aの前端付近から延びる張出部67Aの前側に緩やかに連なって配設され、第2直線部68Aのガイド面68aと押上側部16の上端面16aとの間に離隔距離SL2分を開けるように、構成されている。この離隔距離SL2は、既述したように、ナットN2の直径寸法LNDと略等しくしている。
【0074】
そして、第2直線部68Aの前後方向の中間部位には、第2選別手段としての表裏選別片76Aが配設されている。表裏選別片76Aは、取付基板部62に取り付けられる取付部77と、取付部77から屈曲部78を経て下方に延びる縦板部79と、を備えて構成され、縦板部79がバケット10側に張り出す曲面状に形成されている。そして、縦板部79の下端79a(表裏選別片76Aの突起)は、搬送路52の上面との隙間80を、ナットN2の溶接用突起Pを含めたフランジFの厚さ寸法TFより大きくし、かつ、フランジFを除いた本体B2の厚さ寸法(高さ寸法)TB2より小さくして、配設されている。そして、縦板部79の最もバケット10側に接近するガイド面79bと搬送路52の段差を設けた縁52bとの離隔距離SL3が、つぎのように設定されている。すなわち、適正姿勢のナットN2がフランジFの上方の本体B2をガイド面79bに摺動させても、搬送路52から重心Gが外れないが、不適正姿勢の溶接用突起Pを設けた端面Td側を上面側に配置させたナットN2が通過する際には、フランジFがガイド面79bを摺動し、その際には、重心Gが搬送路52の上面52a側から縁52b上にずれるように、設定されている。
【0075】
そのため、搬送路52で搬送されて表裏選別片76Aの部位に到達すれば、適正姿勢のナットN2は、図21に示すように、本体B2をガイド面79bに摺動させつつ通過する。しかし、不適正姿勢のナットN2では、図22に示すように、フランジFの外周面RMがガイド面79bと摺動して、重心Gが搬送路52から外れて滑り落ち、バケット10側に落下する。
【0076】
なお、この場合でも、ベルトコンベヤ51には、段差を設けた縁52bを設けないように構成してもよい。ちなみに、その場合は、ガイド面79bと押上側部16との離隔距離を、表裏選別片76Aを通過する際の既述の適正姿勢と不適正姿勢とのナットN2の重心Gのずれの差に対応させて、離隔距離SL3に設定すればよい。
【0077】
厚さ選別片82Aは、図23に示すように、その挿通用凹部83の上縁83aが、下方の搬送路52との間の隙間84を、ナットN2の溶接用突起Pの除いた厚さ寸法TB3より僅かに大きく、かつ、ナットN2の溶接用突起Pを含めた全体の厚さ寸法TN2より小さくしている。そのため、この厚さ選別片82Aの部位では、溶接用突起Pを配置させた状態の適正姿勢のナットN2はガイド面82dに摺動させて、案内筒部88Aを経て、供給シュート90A側に搬送される。一方、溶接用突起Pが配設されていないものは、挿通用凹部83を通過し、搬送路52の前端52cから所定の収納箱内に落下して、排除されることとなる。
【0078】
なお、この選別部60Aとしての選別アタッチメント61Aでは、案内筒部88Aと供給シュート90Aも、供給するナットN2に対応する開口形状としている。
【0079】
以上のように、実施形態の供給装置1では、フランジ付きナットN2を供給することとなっても、選別アタッチメント61を選別アタッチメント61Aに変更して、取付座6a,6aに取り付けるだけで円滑に対応できる。
【0080】
したがって、実施形態の供給装置1では、バケット10が上方の開口10aを長方形に開口させた略直方体形状として、バケット10が上方から見て長方形としており、工場のコーナ部側にバケット10の隅部を向けるように配置させて設置すれば、ボール状のバケットをコーナ部付近に配置させる場合に比べて、コーナ部側に嵌めるように設置できて、省スペースで設置できる。
【0081】
また、選別部60,60Aの選別アタッチメント61,61Aが、ベルトコンベヤ51の小物部品としてのナットN1,N2を直線状に搬送する上面52a側の上方に配置される構成であって、選別部60,60Aを、曲線状でなく、直線状として設置できることから、選別するナットN1,N2の寸法形状が変更されても、そのナットN1,N2の外形形状に対応させて、不適正姿勢のナットN1,N2をバケット10側に戻したり、適正姿勢のナットN1,N2を供給シュート90,90A側に通過させるための選別部60,60Aのガイド壁部65,65Aや選別片76,76A等の形状を、ベルトコンベヤ51の搬送方向に沿って直線状に展開して、設計すればよく、従来のようなボール状のナットフィーダの曲面状の選別部に比べて、熟練者でなくとも、容易に対処して、設計できる。
【0082】
そして、取付時も、選別部60,60Aの取付部63をベルトコンベヤ51の直線状の搬送路52の上方の取付部位としての取付座6a,6aに、ボルト6bを利用して取り付けるだけでよく、簡単に、取り替えて、対応する選別部60,60Aの選別アタッチメント61,61Aを搬送部50に配置させることができる。
【0083】
さらに、選別部60,60Aが直線状であり、ベルトコンベヤ51の搬送する直線状の長さが、取付座6a,6aを利用して選別部60,60Aを設置できる寸法さえあれば、直方体形状のバケット10の大きさが変更されても、支障なく、変更したナットN1,N2に対応する選別部60,60Aを取り付けて使用することができる。
【0084】
さらにまた、搬送部50でナットN1,N2を搬送するものが、振動フィーダで無く、ベルトコンベヤ51であり、迅速に、ナットN1,N2を供給シュート90,90A側に搬送できる。そして、迅速にナットN1,N2を供給シュート90,90A側に搬送できることから、常時、供給装置1を作動させる必要は無く、供給先で、所定数のナットN1,N2が必要になった時だけ、供給装置1を作動させることもでき、作動音の発生時間を短くすることができて、騒音の発生を抑制できる。
【0085】
したがって、実施形態の供給装置1では、省スペースで設置できるとともに、迅速に適正姿勢のナットN1,N2を供給でき、さらに、選別するナットN1,N2の寸法形状が変更されても、容易に対処することができる。
【0086】
また、実施形態の選別アタッチメント61では、ガイド壁部65を設けた取付基板部62が取付部63に対して、取付孔63aに挿入されるボルト63bの位置を左右にずらして、螺着させれば、ガイド壁部65の押上側部16からの離隔距離SL1、換言すれば、ベルトコンベヤ51に対する搬送方向と直交する方向に沿う配置位置(取付位置)、を調整できる。さらに、第2選別手段としての表裏選別片76の下端79aも、取付孔77aへ挿入させるボルト77bの配置位置、換言すれば、ベルトコンベヤ51に対する搬送方向と直交する方向に沿う取付位置、を変更して、ガイド壁部65の押上側部16からの離隔距離を調整できる。
【0087】
そのため、ナットN1より幅寸法LN0,LN1が大きく変更された形状の四角ナットN3を供給シュート90側に移送する場合には、図24に示すように、ガイド壁部65や表裏選別片76の押上側部16からの離隔距離を、ナットN3に対応させて調整して、選別アタッチメント61を取り付ければ、容易に、適正姿勢のナットN3を供給シュート90側に移送できる。すなわち、選別アタッチメント61が、曲線状でなく、直線状としており、各選別部60,60Aのバケット10側からの離隔距離、換言すれば、ベルトコンベヤ51に対する搬送方向と直交する方向に沿う各選別部60,60A(選別アタッチメント61,61A)の取付位置、を調整して配設する場合、搬送路52の搬送方向と単に直交する方向に直線的にずらすように、調整幅Cを設けて調整するだけで、容易に対処することができる。そのため、実施形態の供給装置1では、変更して供給するナットN1,N3が、僅かな寸法の変更であれば、同一の選別アタッチメント61を利用できて、きわめて容易に対処することも可能となる。
【0088】
ちなみに、選別部60,60Aとしての選別アタッチメント61,61Aにおけるベルトコンベヤ51の上面52aからの高さは、取付基板62と取付部63,63との間に、予め取り外し可能なスペーサを嵌めておき、そのスペーサの厚さを調整可能としておけば、容易に変更可能となる。
【0089】
また、実施形態の供給装置1では、リフト機構部20が、上面の高さを異ならせ、かつ、搬送部50側を低くするように傾斜させた受止面27a,28a,37a,38aを上面に配置させた複数の棚部27,28,37,38と、複数の棚部27,28,37,38を保持して昇降させる複数の駆動機構21,31と、を備えて構成されている。そして、駆動機構21が保持した複数の棚部27,28の間に、駆動機構31で保持される棚部37を配置させ、かつ、駆動機構31が保持した複数の棚部37,38の間に、駆動機構21で保持される棚部28を配置させる構成とし、さらに、隣接する棚部37の下降時、例えば、図12,13に示すように、棚部27を上昇させて、上昇させた棚部27の受止面27a上のナットN1を、隣接する棚部37の受止面37a上に摺動させて移送するように、構成している。
【0090】
そのため、実施形態の供給装置1では、下降時に低い側となる棚部27を上昇させて、その棚部27の受止面27a上のナットN1を隣接した棚部37に移送する際、隣接した側の棚部37を下降させ、その下降した棚部37に対して、上昇させた棚部27のナットN1を移送させている。換言すれば、棚部間で小物部品を移送する際、移送される側の棚部が、ナットN1を受け止めるために、下降しており、一つずつの駆動機構21,31の棚部27,28,37,38を昇降させるストロークを小さくして、バケット10の底壁11側からベルトコンベヤ51までナットN1を移送できる。
【0091】
すなわち、このような構成では、駆動機構21,31の押上ストロークを小さくできて、駆動機構21,31の高さ寸法を小さくでき、供給装置1の上下方向の寸法をコンパクトにすることができる。
【0092】
ちなみに、従来の複数の高さを異ならせた棚部を昇降させる供給装置(例えば、特許文献2に記載の供給装置)では、昇降させる棚部間に固定した棚部を配置させており、固定した棚部まで、昇降させる棚部を上昇させる必要が生じ、上記の構成のように、移送される側の棚部を下降させていないことから、従来装置では、駆動機構の押上ストロークを、上記の構成の比べて、2倍分必要となっていた。
【0093】
そのため、上記のような構成では、バケット10を平面視で長方形として、供給装置1を省スペースで設置できることと相俟って、高さ寸法もコンパクトに構成でき、一層、省スペースとして供給装置1を設置することができる。
【0094】
なお、実施形態では、ワークWに溶接する小物部品をナットN1,N2,N3として説明したが、本発明の供給装置が供給する小物部品は、ナットばかりでなく、ボルト等としてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1…供給装置、6a…(取付部位)取付座、10…バケット、10a…開口、11…底壁、15…側壁、16…押上側部、20…リフト機構部、21…第1駆動機構、27…第1内側棚部、27a…受止面、28…第1外側棚部、28a…受止面、31…第2駆動機構、37…第2内側棚部、37a…受止面、38…第2外側棚部、38a…受止面、50…搬送部、51…ベルトコンベヤ、52…搬送路、52a…上面、60,60A…選別部(60A…第2の選別部)、61,61A…選別アタッチメント、73,73A…(第1選別手段)倒立除去選別片、76,76A…(第2選別手段)表裏選別片、82,82A…(第3選別手段)厚さ選別片、90,90A…供給シュート、N1,N2,N3…(小物部品)ナット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
適正姿勢の小物部品を供給シュートを経て供給可能に構成されて、
多数の前記小物部品を貯留するバケットと、該バケットの底壁側から前記バケットの側壁の上端側に前記小物部品を押し上げるリフト機構部と、前記側壁の上端側に配置されて、前記リフト機構部で押し上げられた前記小物部品を前記供給シュート側に搬送可能とする搬送部と、を備え、
前記搬送部が、搬送する前記小物部品の内、適正姿勢の前記小物部品を供給シュート側へ搬送し、不適正姿勢の前記小物部品を前記バケット内に戻す選別部を配設させて構成される小物部品の供給装置であって、
前記バケットが、上方に長方形の開口を有した略直方体形状とし、
前記搬送部が、前記側壁の上端側に配置されて前記供給シュート側に前記小物部品を搬送するベルトコンベヤを備えて構成されるとともに、
前記選別部が、前記ベルトコンベヤにおける前記小物部品を直線状に搬送する上面側の上方に、取り外し可能に配設され、かつ、
前記選別部を取り付けた取付部位が、前記小物部品から変更された小物部品について、適正姿勢のものを供給シュート側へ搬送し、不適正姿勢のものを前記バケット内に戻すように、前記選別部と別の第2の選別部を取付可能に構成されていることを特徴とする小物部品の供給装置。
【請求項2】
前記選別部が、前記ベルトコンベヤに対する取付位置を、前記ベルトコンベヤの前記小物部品を搬送する搬送方向と直交する方向に沿って調整可能として、前記取付部位に取り付けられる構成としていることを特徴とする請求項1に記載の小物部品の供給装置。
【請求項3】
前記リフト機構部が、
上面の高さを異ならせ、かつ、前記搬送部側を低くするように傾斜させた前記小物物品の受止面を上面に配置させた複数の棚部と、複数の前記棚部を保持して昇降させる複数の駆動機構と、を備えて構成されるとともに、
前記駆動機構が、保持した複数の前記棚部の間に、他の前記駆動機構で保持される前記棚部を配置させる構成とし、かつ、隣接する前記棚部の下降時に、保持した前記棚部を上昇させて、上昇させた前記棚部の受止面上の前記小物部品を、隣接する前記棚部の受止面上に摺動させて移送するように、構成されていることを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の小物部品の供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−71788(P2013−71788A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210053(P2011−210053)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(593038000)矢島技研株式会社 (13)
【Fターム(参考)】