説明

小突起アレイの免疫化パッチおよび方法

抗原性作用物を含有する容器を有する小突起メンバーおよび哺乳動物(例えばヒト)に予防接種するためのそのようなメンバーの使用方法が開示される。小突起メンバーは、実質的に低下した皮膚反応とともに抗原性作用物(例えばワクチン抗原)を皮内に送達するために使用される。このことは、誘導量を送達し、その後、1回以上の続いてのブースター量を送達することによって達成される。誘導量はブースター量よりも相対的に大きい。この技術は、広範な種々の治療ワクチンのために広い応用性を有して有効性と使用の簡便性を改善する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、活性作用物送達システムおよび方法に関する。より具体的には、本発明は小突起アレイ(microprojection array))を介する抗原性作用物の経皮送達に関する。
【背景技術】
【0002】
抗原性作用物、例えばワクチンの送達または投与が、経口、経鼻、筋肉内(IM)、皮下(SC)および皮内(ID)を含む、種々の投与経路をとおして達成できることは周知である。さらに、投与経路がある種の免疫応答に強く影響できることもよく報告されている。参照、例えば、非特許文献1。
【0003】
多数の市販ワクチンはIMもしくはSC経路によって投与される。ほとんどすべての場合、それらは注射器と針を用いる慣用の注射によって投与されるが、ある場合には高速度の液体ジェット注入器がいくつか成功した。参照、例えば、非特許文献2。
【0004】
より慣用の投与経路の代替法として、皮膚の免疫器官としての機能を利用するID送達経路に置くことがますます興味を増しつつある。参照、例えば、非特許文献3、非特許文献4および非特許文献5。
【0005】
皮膚に侵入する病原体は、種々のメカニズムをとおして微生物を排除することができる高度に組織化し、かつ多様な分化した特定の細胞集団と対決させられる。表皮のランゲルハンス細胞(LC)は、生存している皮膚において見いだされる強力な抗原提示細胞である。リンパ球および皮膚マクロファージは皮膚中に浸透し、半連続的なネットワークを形成する。ケラチン細胞とランゲルハンス細胞は、免疫学的に活性のある化合物の多様なアレイを生成するために発現するか、または誘導することができる。共同してこれらの細胞は、生来および特殊な両免疫応答を最終的に制御する複雑な一連の事象を統合する。
【0006】
LCの正常な機能は、抗原を検出、捕捉、そして提示して侵入病原体に対する免疫応答を喚起することである。LCは、表皮の(epicutaneous)抗原を自己のものにし、局部の皮膚に流出しているリンパ節に運び、そして処理した抗原をT細胞に提示することによってこの機能を遂行する。免疫系における皮膚の役割の議論は、非特許文献6および非特許文献7に見い出すことができる。
【0007】
皮膚の免疫系の効力は、皮膚を標的とした予防接種戦略の成功と安全に寄与している。皮膚の乱切法による生の弱毒天然痘ワクチンを用いる予防接種は、致命的な疱瘡の地球規模の根絶へと成功裏に導いた。種々のワクチンの標準IM用量の1/5〜1/10を用いる皮内注射は、多くのワクチンによる免疫応答を誘導することに効果的であり、一方、低用量の狂犬病ワクチンは皮内適用のために商業的に認可された。
【0008】
これらの利点にもかかわらず、具体的に、ヒトの表皮および/または真皮中に抗原を送達するための実際的な、信頼できる、そして最小の侵入方法は、今なお開発下にある。皮内注射に対する重大な制約は、慣用の注射針の使用が、非常に高いレベルの目と手の調整および指の器用さを必要とすることである。したがって、針の不要なワクチン送達システムの開発における関心が増大しつつある。
【0009】
独立した研究室が、タンパク質およびDNAに基づく抗原を含む高分子に対して、針の不要な免疫化を例証した。Glennらは、未処置の皮膚に適用された、アジュバントと
混合された破傷風トキソイド、コレラ毒素を含有する溶液が、抗コレラ毒素抗体を誘導することができることを例証した。非特許文献8。
【0010】
Tangらは、さらに、ヒトのがん胎児性抗原をコードしているアデノウイルスベクターの局所投与が、抗原に特異的な抗体を誘導することを例証した。非特許文献9。また、Fanらは、B型肝炎表面抗原をコードしている裸のDNAの局所適用が、細胞性および体液性免疫応答を誘導できることを例証した。非特許文献10。
【0011】
したがって、経皮的送達は、その他には、皮下注射、静脈内注入または経口により送達されることを要する抗原性作用物を投与する方法にも備える。経皮的ワクチン送達はこれらの領域の両方において改良を与える。経口送達に比較した場合、経皮送達は、消化管の苛酷な環境を避け、胃腸の薬物代謝を回避し、初回の通過効果を低下し、そして消化および肝臓酵素による可能性のある失活を避ける。一方、消化管は経皮的投与の間ワクチンに支配されない。
【0012】
本明細書で使用されるような、用語「経皮的」は、皮膚の実質的切り込み(cut)もしくは侵入、例えば外科的ナイフによる切り込みまたは皮下針による皮膚の穿刺なしの、皮膚をとおして局部組織、特に真皮および表皮、または全身的循環系への抗原性作用物(例えば、ワクチンもしくは他の免疫学的に活性のある作用物)の送達を指す一般的用語である。経皮的な作用物送達は、受動的拡散による送達ならびに電気的(例えばイオン導入(iontophoresis))および超音波(例えば、ホノホレシス(phonophoresis))のような外部エネルギー源に基づく能動的送達を含む。
【0013】
受動的な経皮作用物送達システムは、これはより一般的であるが、典型的には、高濃度の活性作用物を含有する薬物容器(reservoir)を含む。容器は皮膚に接触するよう適用され、これが作用物を皮膚をとおし、患者の体組織もしくは血流中に拡散させる。
【0014】
当該技術分野において周知のように、経皮的な薬物流動(フルx)は、皮膚の状態、薬物分子の大きさと物理的/化学的性質、および皮膚を横断する濃度勾配に依存する。多くの薬物にとって皮膚の低い浸透性のために、受動的経皮送達は限られた適用法であった。この低い浸透性は、角質層、脂質二重層によって囲まれたケラチン繊維で満たされた平らな死細胞(すなわち、ケラチン細胞)からなる最も外側の皮膚層に主として因るものである。脂質二重層のこの高度に整った構造は、角質層に対して、特に、親水性で高分子量の薬物、およびタンパク質、裸のDNAおよびウイルスベクターのような巨大分子に対して相対的に浸透し難い特質を与える。結果的に、経皮送達は、一般に、限定された親水性をもつ低分子量化合物(<500ダルトン)の受動送達に限られていた。このことは一般に、免疫学的に有効量の抗原性作用物の送達を不可能にする。
【0015】
受動的な経皮拡散性作用物の流動を増大する1つの一般的方法は、作用物、皮膚の浸透促進剤、例えば化学的浸透促進剤、脱毛剤、吸蔵剤(occlusion)および巨大分子に対して浸透性を増大する水和技術によって皮膚を前処理するか、またはそれらを同時送達することを必要とする。しかしながら、これらの方法は、長い着用(wearing)時間なしには治療用量を送達することはできないであろうし、それらは相対的に非効率の送達手段である。さらにまた、化学的浸透促進剤の効果は無刺激な濃度に限定される。経皮的な流動を促進するこれらの方法の効力は、より大きいタンパク質のためには、主としてそれらのサイズによってまた限定されてきた。
【0016】
また、経皮的に送達される作用物の量を増進するためには、最も外側の皮膚層に機械的に侵入させるか、またはそれを破壊し、それによって皮膚中への経路を作成するするよう
開発された多くの技術およびシステムも存在している。そのような物理的な浸透促進法は、サンドペーパー研磨、テープ脱皮および二股(bifrucated)針を含む。これらの技術が浸透性を増加させるけれども、薬物の吸収に及ぼすそれらの効果の大きさを予測するのは困難である。レーザー切除、その他の物理的な浸透増進法は比較的再現性のある効果を提供するかもしれないが、それは現在は扱いにくく、かつ高価である。
【0017】
スカリファイアー(scarifier(乱切器))として既知である初期の予防接種デバイスは、一般に、適用領域の皮膚に適用され、そしてその領域を引っ掻くか、または小さい切り込みを作る複数の尖叉または針を含む。ワクチンは、皮膚に局所的に適用される(特許文献1に開示されるように)か、またはスカリファイアー尖叉に適用された濡れた液として適用される(特許文献2,3および4に開示されるように)。
【0018】
しかしながら、ワクチンのような活性作用物を送達するためにスカリファイアーを使用することの深刻な欠点は、経皮的な作用物の流動と得られる送達された用量を決定するのが困難なことである。また、穿刺をそらしたり抵抗する皮膚の弾力性で、変形し、かつ跳ね返る性質によって、ごく小さい穿刺エレメントは、しばしば皮膚に一様に侵入せず、そして/または皮膚への侵入において作用物の液状皮膜が拭い去られる。
【0019】
その上、皮膚の自己回復処理により、皮膚に作られた穿刺孔または間隙は、角質層から穿刺エレメントの除去後はに閉ざす傾向にある。したがって、皮膚の弾力性が、皮膚中へのこれらのエレメントの侵入に際してごく小さい穿刺エレメントに適用された活性作用物の液状皮膜を除去するように作用する。さらにまた、穿刺エレメントによって形成された極小間隙は、デバイスの除去後に急速に回復し、その結果、穿刺エレメントによって作成された通路をとおして液状の作用物溶液の通過を制約し、次にそのようなデバイスの経皮的流動を制約する。
【0020】
経皮的な作用物送達を増進するために、極小穿刺エレメントを用いる他のシステムおよび装置は、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、ならびに特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献19、特許文献20、特許文献21、特許文献22および特許文献23に開示されており、これらのすべては、完全に引用によって本明細書に組み入れられている。
【0021】
これらの先行技術システムは、皮膚の最外層(すなわち、角質層)を穿刺するように、種々の形式およびサイズの穿刺エレメントを用いる。これらの引用文献に開示されている穿刺エレメント、または小突起は、一般に、薄い、平らな部分、例えばパッドもしくはシートから垂直に伸びている。一般に、複数の小突起が、列状に配列されて経皮送達パッチを提供する。これらの若干のデバイスの穿刺エレメントは、顕著に小さく、あるものはわずか約25〜400ミクロンの小突起の長さとわずか約5〜50ミクロンの小突起の厚さを有する。これらの極小の穿刺/切り込みエレメントは、対応して、角質層中にそこを通して経皮的に作用物を送達するための小さい微小間隙/微小切り込みを作成する。
【0022】
したがって、小突起アレイのパッチ技術は、皮膚をとおして経皮的に送達することができる作用物の種類の数を増加するように開発されつつある。適用に際して、小突起は、皮膚(角質層)の移送バリヤーをとおす表面の通路(pathway)を作成して、親水性で巨大分子の送達を容易にする。小突起アレイを介して皮内に抗原性作用物(例えば、ワクチン抗原)を送達する場合、皮膚反応は、一次免疫後に最小であることが見い出された。それにもかかわらず、ブースター投与後の局部的発赤および浮腫を含む皮膚反応を最小にする必要性が残されている。
【0023】
したがって、本発明の目的は、小突起を用いて抗原性作用物を経皮的に送達することによって哺乳動物を予防接種する方法を提供することである。
【0024】
本発明のさらなる目的は、複数回の投与により抗原性作用物を経皮的に送達することである。
【0025】
本発明のなおその他の目的は、経皮的に送達される予防接種に対する皮膚反応を最小にすることである。
【特許文献1】米国特許第5,487,726号
【特許文献2】米国特許第4,453,926号
【特許文献3】米国特許第4,109,655号
【特許文献4】米国特許第3,136,314号
【特許文献5】米国特許第5,879,326号
【特許文献6】米国特許第3,814,097号
【特許文献7】米国特許第5,250,023号
【特許文献8】米国特許第3,964,482号
【特許文献9】米国特許再出願第25,637号
【特許文献10】WO96/37155
【特許文献11】WO96/37256
【特許文献12】WO96/17648
【特許文献13】WO97/03718
【特許文献14】WO98/11937
【特許文献15】WO98/00193
【特許文献16】WO97/48440
【特許文献17】WO97/48441
【特許文献18】WO97/48442
【特許文献19】WO98/00193
【特許文献20】WO99/64580
【特許文献21】WO98/28037
【特許文献22】WO98/29298
【特許文献23】WO98/29365
【非特許文献1】LeClerc,et.,“Antibody Response to a Foreign Epitope Expressed at the Surface of Recombinant Bcteria:Impactance of the Route of Immunization,”Vaccine,vol.7,pp.242−248(1989)
【非特許文献2】Parent du Chatelet,et al.,Vaccine,vol.15,pp.449−458(1997)
【非特許文献3】Tang,et al.,Nature,vol.388,pp.729−730(1997)
【非特許文献4】Fan,et al.,Nature Biotechnology,vol.17,pp.870−872(1999)
【非特許文献5】Bos,J.D.,ed.,Skin Immune System(SIS),Cutaneous Immunology and Clinical Immunodematology,CRC Press,pp.43−146(2ndEd.,1997)
【非特許文献6】Fichtelius,et al.,Int.Arch.Allergy,vol37,pp.607−620(1970)
【非特許文献7】Sauder,J.,Invest.Dermatol,vol.95,pp.105−107(1990)
【非特許文献8】Glenn,et al.,Nature,vol.391,p.851(1998)
【非特許文献9】Tang,et al.,Nature,vol.388,pp.729−730(1997)
【非特許文献10】Fan,et al.,Nature Biotechnolgy,vol.17,pp.870−872(1999)
【発明の開示】
【0026】
上記目的ならびに以下に記述され、明らかになるであろうそれらにしたがって、本発明による抗原性作用物、例えばワクチンを経皮的に送達するための送達メンバー(member)または免疫化パッチは、小突起アレイおよび少なくとも1種の抗原性作用物を受け入れるように適合された容器を含む。小突起アレイは、皮膚の最外層(すなわち、角質層)をとおして切り込み、皮膚の下側の表皮および/または真皮中に侵入するように適合される複数の皮膚に穿刺する小突起を含有する。好ましくは、小突起は、毛細血管床に達し、かつ有意な出血を惹起するほど深く穿刺しない。
【0027】
本発明の1つの実施態様では、送達メンバーは、少なくとも約10個の小突起/cm、より好ましくは、少なくとも約200〜2000個の小突起/cmの範囲における小突起密度を有する。他の実施態様では、送達メンバーは単一の小突起を含有する。
【0028】
1つの実施態様では、送達メンバーは、ステンレススチール、チタン、ニッケル・チタン合金または類似する生体適合性材料から構築される。
【0029】
別の実施態様では、送達メンバーは、非伝導性材料、例えばポリマーから構築される。あるいはまた、送達メンバーは、非伝導性材料、例えばParylene(R)によりコーティングされてもよい。
【0030】
本発明の1つの実施態様によれば、宿主または哺乳動物に抗原性作用物を送達する(すなわち、予防接種)方法は、少なくとも2種の経皮送達メンバーを有する送達システムであって、各経皮送達メンバーが、角質層に穿刺するように形造られた複数の小突起(またはそのアレイ)および抗原性作用物を受け入れるように適合された容器を有し、容器は哺乳動物に抗原性作用物を伝達する関係に置かれ、誘導量の抗原性作用物を第1の経皮送達メンバーにより送達し、そして少なくとも約7日後にブースター量の抗原性作用物を第2の経皮送達メンバーにより送達し、ブースター量が誘導量の約50重量%までである、送達システムを提供することを含む。
【0031】
本発明の少なくとも1つの実施態様では、容器は、小突起とは離れているがそれに伝達する位置に置かれる送達メンバーの領域を含有する。他の実施態様では、容器は、送達メンバー上、好ましくは、小突起上に処置される生体適合性コーティングを含有する。なお他の実施態様では、容器は、本システムが、さらに、固形媒質と協同するよう適合される水和媒質を含む固形媒質を含有する。
【0032】
本発明によれば、比較的大用量の抗原性作用物が、第1の送達メンバーを介して最初の適用段階において皮内に送達され、その後、1回以上の比較的小用量の抗原性作用物が1回以上の続いての適用段階において第2の送達メンバーを介して皮内に送達される。典型的には、続いての適用段階で送達される抗原性作用物の量は、第1の適用段階で送達された量の約50重量%未満である。
【0033】
本発明の1つの実施態様によれば、実質的に同じサイズと構造の小突起アレイを有する2種の送達メンバーを含んでなる送達システムは、2段階法において利用される。第1の
用量投与では、小突起アレイは、1回以上の続いての用量投与における接触時間に比較してより長い時間、哺乳動物との皮膚穿刺接触において放置される。この方式では、第1の小突起アレイは、続いての投与よりも大用量の抗原性作用物を送達する。
【0034】
好ましくは、第1の用量の抗原性作用物を送達する場合、小突起は、宿主もしくは哺乳動物(例えば、ヒトの患者)の皮膚に、少なくとも約0.5時間、より好ましくは、少なくとも約1時間、なおより好ましくは、1〜24時間の間、皮膚穿刺関係において維持される。続いての1回以上の用量の抗原性作用物を送達する場合、小突起は、好ましくは、1時間未満、より好ましくは、0.25時間未満の間、皮膚と皮膚穿刺関係において維持される。
【0035】
本発明の第2の実施態様によれば、患者に適用される第1の小突起アレイは、続いて適用される小突起アレイに比較して、より多数の小突起、より効果的な皮膚接触面積および/または容器中に、より高濃度の抗原性作用物を有する。この方法では、第1に適用される小突起アレイは、続いて適用される小突起アレイよりも比較的高用量の抗原性作用物を送達する。
【0036】
好ましくは、第1の送達メンバーの適用と第2の送達メンバーの適用との間の時間は、少なくとも7日、より好ましくは、少なくとも14日、なおより好ましくは、少なくとも約21日である。しかしながら、最初の適用と続いてのブースター適用との間の時間が、送達される特定の抗原性作用物ならびに患者の年齢(例えば、子供もしくは成人)によって大いに変わり得ることを、当業者は評価することができる。
【0037】
さらにまた、第1の適用と1回以上の続いてのブースター適用における抗原性作用物の相対的な量もまた、特定の抗原性作用物およびその推奨される用量、ならびに患者の年齢に大きく依存するであろう。
【0038】
本発明によれば、抗原性作用物は、タンパク質に基づくワクチン、多糖に基づくワクチンおよび核酸に基づくワクチンを含むワクチン、ウイルスおよび細菌を含んでもよい。
【0039】
抗原性作用物を含有する本発明の実行において有用な市販のワクチンは、限定されるものではないが、フルワクチン、ライム病ワクチン、狂犬病ワクチン、麻疹ワクチン、おたふくかぜワクチン、水痘ワクチン、痘瘡ワクチン、肝炎ワクチン、百日咳ワクチンおよびジフテリアワクチンを含む。
【0040】
他の適当な抗原性作用物は、限定されるものではないが、タンパク質、多糖複合体、オリゴ糖およびリポタンパク質を含む。これらのサブユニットワクチンは、ボルデテラ・ペルタッシス(Bordetella pertussis)(組み換えPT accince−無細胞)、クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)(精製、組み換え体)、コリネバクテリウム・ジフテリエ(Corynebacterium diphtheriae)(精製、組み換え体)、サイトメガロウイルス(糖タンパク質サブユニット)、A群連鎖球菌(streptococcus)(糖タンパク質サブユニット、破傷風トキソイドとの複合糖質A群多糖、トキシング(toxing)サブユニット担体に結合したMタンパク質/ペプチド、Mタンパク質、多価タイプ−特異エピトープ、システインプロテアーゼ、C5aペプチダーゼ)、B型肝炎ウイルス(組み換えPreS1,Pre−S2,S,組み換えコアタンパク質)、C型肝炎ウイルス(組み換え体−表面タンパク質およびエピトープを発現した)、ヒトパピローマウイルス(キャプシドタンパク質、TA−GN組み換えタンパク質L2およびE7[HPV−6由来]、HPV−11由来MEDI−501組み換えVLPL1、4価組み換えBLPL1[HPV−6由来]、HPV−11、HPV−16およびHPV−18、LAMP−E7[HPV
−16由来])、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)(精製細菌表面タンパク質)、ナイセリア・メニンギチデス(Neisseria meningitides)(破傷風トキソイドとの複合糖質)、シュードモナス・エルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)(合成ペプチド)、風疹ウイルス(合成ペプチド)、肺炎双球菌(Streptococcus pneumoniae)(髄膜炎菌B OMPと複合した複合糖質[1,4,5,6B,9N,14,18C,19V,23F]、CRM197と複合した複合糖質[4,6B,9V,14,18C,19F,23F]、CRM1970と複合した複合糖質[1,4,5,6B,9V,14,18C,19F,23F])、トレポネマ・パリダム(Treponema pallidum)(表面リポタンパク質)、水痘帯状疱疹(Varicella zoster)ウイルス(サブユニット、糖タンパク質)およびビブリオ・コレラエ(Vibrio cholerae)(複合体リポ多糖)を含む。
核酸を含んでなるワクチンは、限定されるものではないが、一本鎖および二本鎖核酸、例えば、スーパーコイルプラスミドDNA;線状プラスミドDNA;コスミド;細菌人工染色体(BAC);酵母人工染色体(YAC);哺乳動物人工染色体;およびRNA分子、例えば、mRNAを含む。核酸のサイズは数千キロベースまでであってもよい。さらに、本発明のある実施態様では、核酸はタンパク質性作用物と結合されていても、または1種以上の化学的改変体、例えばホスホロチオン酸(phosphorothioate)部分を含んでもよい。コードする核酸の配列は、免疫応答が望まれる抗原の配列を含有する。さらに、DNAの場合には、プロモーターおよびポリアデニル化配列もまたワクチン構築物中に組み入れられる。コードできる抗原は、感染性疾患、病原体のすべての抗原成分、ならびにがん抗原を含む。かくして、核酸は、例えば感染性疾患、がん、アレルギー、自己免疫および炎症性疾患の分野における応用を見い出す。
【0041】
ワクチン抗原とともにワクチンを含有してもよい適当な免疫応答増強アジュバントは、リン酸アルミニウムゲル;水酸化アルミニウム;藻類グルカン:β−グルカン;コレラ毒素Bサブユニット;CRL1005:x=8とy=205の平均値をもつABAブロックポリマー;γ−インシュリン;直鎖状(非分枝)β−D(2−>1)ポリフルクトフラノキシル−α−D−グルコース;ゲルブアジュバント;N−アセチルグルコサミン−(β−1−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミン(GMDP)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド(DDA)、亜鉛L−プロリン塩錯体(Zn−Pro−8);イミキモド(1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン;ImmTherTM:N−アセチルグルコアミニル−N−アセチルムラミル−L−Ala−D−isoGlu−L−Ala−グリセロールジパルミテート;MTP−PEリポソーム:C5910819PNa−3HO(MTP);ムラメチド(Murametide):Nac−Mur−L−Ala−D−Gln−OCH;Pleuran:β−グルカン;QS−21;S−28463:4−アミノ−a,a−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノール;sclavoペプチド:VQGEESNDK・HCl(IL−1β 163−171ペプチド);およびスレオニル−MDP(TermurtideTM):N−アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン、およびインターロイキン18、IL−2,IL−12,IL−15を含む。アジュバントはまたDNAオリゴヌクレオチド、例えば、CpG含有オリゴヌクレオチドを含む。さらに、IL−18、IL−2,IL−12,IL−15、IL−4、IL−10、γ−インターフェロンのような免疫調節リンホカイン、ならびにNFκB調節伝達タンパク質をコードしている核酸配列が使用されてもよい。
【0042】
全ウイルスまたは全細菌は、限定されるものではないが、弱化ウイルスもしくは死滅ウイルス、例えば、サイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス、風疹ウイルスおよび水痘帯状疱疹ウイルス、弱化もしくは死滅細菌、例えば、ボルデテラ・ペルタッシス、クロストリジウム・テタニ、コリネバクテリウム・
ジフテリエ、A群連鎖球菌、レジオネラ・ニューモフィラ、ナイセリア・メニンギチデス、シュードモナス・エルギノサ、肺炎双球菌、トレポネマ・パリダム、およびビブリオ・コレラエ、およびそれらの混合物を含む。
【0043】
本発明の若干の実施態様では、送達システムはさらにヒドロゲルを含む。容器が小突起と離れて置かれる前記実施態様において、抗原性作用物は、好ましくは、ヒドロゲルにおいて製剤化される。その他の実施態様では、ヒドロゲルは抗原性作用物を含有せず、したがって、水和媒質として機能する。
【0044】
ヒドロゲルは、好ましくは、巨大分子ポリマーネットワークを有する水に基づくヒドロゲルを含む。本発明の好適な実施態様では、ポリマーネットワークは、限定されるものではないが、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)およびプルロニックを含む。
【0045】
ヒドロゲルおよびその調合物は、好ましくは、双性イオン性、両性イオン性、陽イオン性、陰イオン性または非イオン性であってもよい1種の界面活性剤を含む。適当な界面活性剤は、限定されるものではないが、ナトリウムラウロアンホアセテート、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、塩化ベンズアルコニウム、ポリソルベート、例えばツイーン20およびツイーン80、他のソルビタン誘導体、例えばラウリン酸ソルビタン、およびアルコキシル化アルコール、例えばラウレス−4を含む。
【0046】
本発明のさらなる実施態様では、ヒドロゲル調合物は、両親媒性を有するポリマー材料もしくはポリマーを含み、これらは、限定されるものではないが、セルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)もしくはエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、ならびにプルロニックを含む。
【0047】
本発明のその他の実施態様では、ヒドロゲル調合物は、少なくとも1種の通路(pathway)の開存性(patency)モジュレーターを含有し、これらは、限定されるものではないが、浸透剤(例えば塩化ナトリウム)、双性イオン化合物(例えばアミノ酸)、および抗炎症剤、例えば、ベタメタソン21−リン酸二ナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−リン酸二ナトリウム、ヒドロコルタメート塩酸塩、ヒドロコーチゾン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニソロン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニソロン21−コハク酸ナトリウム塩、パラメタソンリン酸二ナトリウム塩およびプレドニソロン21−コハク酸ナトリウム塩、および抗凝固剤、例えばクエン酸、クエン酸塩(例えばクエン酸ナトリウム)、デキストラン硫酸ナトリウム、およびEDTAを含有してもよい。
【0048】
本発明のなおその他の実施態様では、ヒドロゲル調合物は、少なくとも1種の血管収縮薬を含有し、これらは、限定されるものではないが、エピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、アミデフリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレッシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレッシン、オキシメタゾ
リン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレッシンおよびキシロメタゾリン、およびそれらの混合物を含有してもよい。
【0049】
先に指摘したように、本発明の若干の実施態様では、容器は、送達システムの少なくとも1種の小突起メンバー上に処置された固形コーティングを含有する。固形コーティングを作成するために小突起メンバーに適用されたコーティング調合物は、生体適合性の担体中に溶解されても、または担体中に懸濁されてもよい、そこに含有される少なくとも1種の抗原性作用物、好ましくは、ワクチンを有する水性および非水性調合物を含有してもよい。
【0050】
本発明の1つの実施態様では、コーティング調合物は可溶化剤/錯化剤を含有し、これらは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、グルコシル−α−シクロデキストリン、マルトシル−α−シクロデキストリン、グルコシル−β−シクロデキストリン、マルトシル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−α−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、およびスルホブチルエーテル−γ−シクロデキストリンを含んでもよい。もっとも好適な可溶化剤/錯化剤は、β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンである。
【0051】
本発明の1つの実施態様では、コーティング調合物は少なくとも1種の界面活性剤を含有し、これらは、双性イオン性、両性イオン性、陽イオン性、陰イオン性または非イオン性であってもよい。適当な界面活性剤の例は、ナトリウムラウロアンホアセテート、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、塩化ベンズアルコニウム、ポリソルベート、例えばツイーン20およびツイーン80、他のソルビタン誘導体、例えばラウリン酸ソルビタン、およびアルコキシル化アルコール、例えばラウレス−4を含む。
【0052】
本発明の1つの実施態様では、界面活性剤の濃度は、コーティング調合物の約0.001〜2wt.%の範囲である。
【0053】
本発明のさらなる実施態様では、コーティング調合物は、両親媒性を有する少なくとも1種のポリマー材料もしくはポリマーを含み、これらは、限定されるものではないが、セルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)もしくはエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、ならびにプルロニックを含んでもよい。
【0054】
本発明の1つの実施態様では、両親媒性を呈するポリマーの濃度は、好ましくは、コーティング調合物の約0.01〜20wt.%の範囲である。
【0055】
その他の実施態様では、コーティング調合物は、次の群:ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物、および類似のポリマー、から選ばれる親水性ポリマーを含む。
【0056】
本発明の好適な実施態様では、コーティング調合物中の親水性ポリマーの濃度は、約0.01〜20wt.%の範囲である。
【0057】
本発明のその他の実施態様では、コーティング調合物は生体適合性担体を含有し、これらは、限定されるものではないが、ヒトアルブミン、生物工学的に作成されたヒトアルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサンポリサルフェート、ポリアミノ酸、スクロース、トレハロース、メレジトース、ラフィノースおよびスタキオースを含んでもよい。
【0058】
好ましくは、コーティング調合物中の生体適合性担体の濃度は、約2〜70wt.%の範囲、より好ましくはコーティング調合物の約5〜50wt.%範囲である。
【0059】
さらなる実施態様では、コーティング調合物は安定化剤を含有し、これらは限定されるものではないが、非還元糖、多糖化、還元もしくはDNアーゼ阻害剤を含んでもよい。
【0060】
その他の実施態様では、コーティング調合物は血管収縮薬を含有し、これらは、限定されるものではないが、アミデフリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレッシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレッシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレッシン、キシロメタゾリン、およびそれらの混合物を含んでもよい。もっとも好適な血管収縮薬は、エピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリンおよびキシロメタゾリンである。
【0061】
使用される場合、血管収縮薬の濃度は、好ましくは、コーティングの約0.1wt.%〜10wt.%範囲である。
【0062】
本発明のなおその他の実施態様では、コーティング調合物は、少なくとも1種の「通路の開存性モジュレーター」を含有し、これらは、限定されるものではないが、浸透剤(例えば塩化ナトリウム)、双性イオン化合物(例えばアミノ酸)、および抗炎症剤、例えば、ベタメタソン21−リン酸二ナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−リン酸二ナトリウム、ヒドロコルタメート塩酸塩、ヒドロコーチゾン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニソロン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニソロン21−コハク酸ナトリウム塩、パラメタソンリン酸二ナトリウム塩およびプレドニソロン21−コハク酸ナトリウム塩、および抗凝固剤、例えばクエン酸、クエン酸塩(例えばクエン酸ナトリウム)、デキストラン硫酸ナトリウム、アスピリンおよびEDTAを含有してもよい。
【0063】
本発明のその他の実施態様では、コーティング調合物は少なくとも1種の抗酸化剤を含有し、これらは、金属イオン封鎖剤、例えばクエン酸ナトリウム、クエン酸、EDTA(エチレン−ジニトリロ−四酢酸)または遊離基捕捉剤、例えばアスコルビン酸、メチオニン、アスコルビン酸ナトリウム、および類するものであってもよい。現在、好適な抗酸化剤はEDTAおよびメチオニンを含む。
【0064】
本発明のある実施態様では、コーティング調合物の粘度は低揮発度対イオンを添加することによって増進される。1つの実施態様では、作用物は調合物pHにおいて正電荷を有し、そして粘度を増進する対イオンは、少なくとも2つの酸性pKaを有する酸を含む。適当な酸は、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、酒石酸、アジピン酸、シトラコン酸、フ
マール酸、グルタル酸、イタコン酸、メグルトール、メサコン酸、コハク酸、シトラリンゴ酸(citramalic acid)、タルトロン酸、クエン酸、トリカルバリル酸、エチレンジアミン四酢酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、炭酸、硫酸およびリン酸を含む。
【0065】
その他の好適な実施態様は、作用物は調合物pHにおいて正電荷を有し、そして対イオンの少なくとも1種は少なくとも2つの酸性pKaを有する酸である、対イオンの粘度増進混合物に対向される。他の対イオンは1つ以上のpKaを有する酸である。適当な酸の例は、塩化水素酸、臭化水素酸、、硝酸、硫酸、マレイン酸、リン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸、フマール酸、酢酸、プロピオン酸、ペンタン酸,炭酸、マロン酸、アジピン酸、シトラコン酸、レブリン酸、グルタル酸、イタコン酸、メグルトール、メサコン酸、シトラリンゴ酸、クエン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、トリカルバリル酸およびエチレンジアミン四酢酸を含む。
【0066】
一般に、本発明の特記される実施態様では、対イオンの量は、抗原性作用物の電荷を中和しなければならない。そのような実施態様では、対イオンもしくは対イオンの混合物は、調合物のpHにおいて作用物に存在する電荷を中和するのに必要な量で存在する。対イオン(遊離酸もしくは塩として)の過剰量が、pHを調節し、かつ十分な緩衝能力を与えるために調合物に添加されてもよい。
【0067】
その他の好適な実施態様は、作用物は正電荷を有し、そして対イオンは、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、塩化水素酸、グリコール酸および酢酸の群から選ばれる対イオンの粘度増進混合物である。好ましくは、対イオンは調合物に添加されて、約20〜200cpの範囲の粘度を達成する。
【0068】
好適な実施態様では、粘度増進対イオンは、低揮発度弱酸のような酸性対イオンである。低揮発度弱酸対イオンは、少なくとも1つの酸性pKaおよび約50℃以上の融点またはPatmにおいて約170℃以上の沸点を表す。そのような酸の例は、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸およびフマール酸を含む。
【0069】
その他の好適な実施態様では、対イオンは強酸である。強酸は少なくとも1つの約2未満のpKaを表すとして定義できる。そのような酸の例は、塩化水素酸、臭化水素酸、硝酸、スルホン酸、硫酸、マレイン酸、リン酸、ベンゼンスルホン酸およびメタンスルホン酸を含む。
【0070】
その他の好適な実施態様は、対イオンの少なくとも1種が強酸であり、そして対イオンの少なくとも1種が低揮発度弱酸である、対イオンの混合物に対向される。
【0071】
その他の好適な実施態様は、対イオンの少なくとも1種が強酸であり、そして対イオンの少なくとも1種が高い揮発度を有する弱酸である、対イオンの混合物に対向される。揮発性弱酸対イオンは、少なくとも1つの約2以上のpKaおよび約50℃未満の融点またはPatmにおいて約170℃未満の沸点を表す。そのような酸の例は、酢酸、プロピオン酸、ペンタン酸およびそれに類する酸を含む。
【0072】
好ましくは、酸性対イオンは、調合物のpHにおいて抗原性作用物に存在する正電荷を中和するのに必要な量で存在する。対イオン(遊離酸もしくは塩として)の過剰量が、pHを調節し、かつ十分な緩衝能力を与えるために調合物に添加されてもよい。
【0073】
本発明のなお他の実施態様では、具体的には、抗原性作用物が負電荷を有する場合、コーティング調合物はさらに低揮発度塩基性対イオンを含有する。
【0074】
好適な実施態様では、コーティング調合物は低揮発度の弱塩基対イオンを含有する。低揮発度弱塩基は、少なくとも1つの塩基性pKaおよび約50℃以上の融点またはPatmにおいて約170℃以上の沸点を表す。そのような塩基の例は、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、メチルグルカミンおよびグルコサミンを含む。
【0075】
その他の実施態様では、低揮発度対イオンは、少なくとも1つの酸性pKaおよび少なくとも2つの塩基性pKaを示す塩基性双性イオンを含有し、この場合、塩基性pKaの数が酸性pKaの数を超える。そのような化合物の例はヒスチジン、リジンおよびアルギニンを含む。
【0076】
なお他の実施態様では、低揮発度対イオンは、少なくとも1つの約12以上のpKaを表す強塩基を含有する。そのような塩基の例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムおよび水酸化マグネシウムを含む。
【0077】
他の好適な実施態様は、強塩基および低揮発度をもつ弱塩基を含有する塩基性対イオンの混合物を含有する。あるいはまた、適当な対イオンは強塩基および高揮発度の弱塩基を含む。高揮発度塩基は、少なくとも1つの約12未満の塩基性pKaおよび約50℃未満の融点またはPatmにおいて約170℃未満の沸点を表す。そのような塩基の例は、アンモニアおよびモルホリンを含む。
【0078】
好ましくは、塩基性対イオンは、調合物のpHにおいて抗原性作用物に存在する負電荷を中和するのに必要な量で存在する。対イオン(遊離塩基もしくは塩として)の過剰量が、pHを調節し、かつ十分な緩衝能力を与えるために調合物に添加されてもよい。
発明の詳細な記述
本発明を詳細に記述する前に、この発明が、もちろんそれ自体変わってもよい具体的に例示される材料、方法または構造に限定されないことを理解すべきである。かくして、本明細書に記述されるものと類似または等価の多くの材料および方法が本発明の実行において使用できるけれども、好適な材料および方法が本明細書で記述される。
【0079】
また、本明細書で使用される技術は本発明の特定の実施態様のみを記述する目的のためにあり、限定されることを意図するものではない。
【0080】
外に定義されなければ、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は、本発明が関係する当業者によって普通に理解されるものと同じ意味を有する。
【0081】
さらに、本明細書に引用されるすべての出版物、特許および特許出願は、前出もしくは後出にかかわらず、完全に引用によってここに組み入れられている。
【0082】
最後に、本明細書および添付される請求項に使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、内容が明らかに別に指示しない限り、複数指示物を含む。かくして、例えば、「抗原性作用物」に関しては2種以上のそのような作用物を含み;「小突起」に関しては2種以上のそのような小突起を含む、等々。
【0083】
定義
用語「皮内の(intradermal)」、「皮内の(intracutaneous)」、「皮内に(intradermally))」、「皮内に(intracuta
neously)」、「経皮的(transdermal)」、「経皮的(transcutaneous)」、「経皮的に(transdermally)」および「経皮的に(transcutaneously)」は、抗原性作用物が、皮膚中に、そして/または皮膚をとおして表皮層および/または皮膚の下層の真皮層中に送達されることを意味すると本明細書では互換性をもって使用される。
【0084】
本明細書で使用されるような用語「経皮的流動(フルx)」は経皮的送達の速度を意味する。
【0085】
用語「抗原性作用物」および「ワクチン」は、本明細書では互換性をもって使用され、そして免疫学的に活性な作用物もしくは作用物、例えば抗原を含有する物質もしくは混合物の組成物を指し、これは免疫学的に有効な量において投与された場合、有益な免疫応答を惹起することができる。かくして、用語「抗原性作用物」および「ワクチン」は、限定されるものではないが、タンパク質に基づくワクチン、多糖に基づくワクチン、核酸に基づくワクチン、ウイルスおよび細菌を含む。
【0086】
本発明において使用できる適当な抗原性作用物は、限定されるものではないが、タンパク質、多糖複合体、オリゴ糖およびリポタンパク質の形態における抗原を含む。これらのサブユニットワクチンは、ボルデテラ・ペルタッシス(組み換えPT accince−無細胞)、クロストリジウム・テタニ(精製、組み換え体)、コリネバクテリウム・ジフテリエ(精製、組み換え体)、サイトメガロウイルス(糖タンパク質サブユニット)、A群連鎖球菌(streptococcus)(糖タンパク質サブユニット、破傷風トキソイドとの複合糖質A群多糖、トキシング(toxing)サブユニット担体に結合したMタンパク質/ペプチド、Mタンパク質、多価タイプ−特異エピトープ、システインプロテアーゼ、C5aペプチダーゼ)、B型肝炎ウイルス(組み換えPreS1,Pre−S2,S,組み換えコアタンパク質)、C型肝炎ウイルス(組み換え体−表面タンパク質およびエピトープを発現した)、ヒトパピローマウイルス(キャプシドタンパク質、TA−GN組み換えタンパク質L2およびE7[HPV−6由来]、HPV−11由来MEDI−501組み換えVLPL1、4価組み換えBLPL1[HPV−6由来]、HPV−11、HPV−16およびHPV−18、LAMP−E7[HPV−16由来])、レジオネラ・ニューモフィラ(精製細菌表面タンパク質)、ナイセリア・メニンギチデス(破傷風トキソイドとの複合糖質)、シュードモナス・エルギノサ(合成ペプチド)、風疹ウイルス(合成ペプチド)、肺炎双球菌(髄膜炎菌B OMPと複合した複合糖質[1,4,5,6B,9N,14,18C,19V,23F]、CRM197と複合した複合糖質[4,6B,9V,14,18C,19F,23F]、CRM1970と複合した複合糖質[1,4,5,6B,9V,14,18C,19F,23F])、トレポネマ・パリダム(表面リポタンパク質)、水痘帯状疱疹ウイルス(サブユニット、糖タンパク質)およびビブリオ・コレラエ(複合体リポ多糖)を含む。
【0087】
また、限定されるものではないが、フルワクチン、ライム病ワクチン、狂犬病ワクチン、麻疹ワクチン、おたふくかぜワクチン、水痘ワクチン、痘瘡ワクチン、肝炎ワクチン、百日咳ワクチンおよびジフテリアワクチンを含む、抗原性作用物を含有する多数の市販のワクチンが本発明により利用される。
【0088】
本発明の方法にしたがって送達できる核酸を含んでなるワクチンは、限定されるものではないが、一本鎖および二本鎖核酸、例えば、スーパーコイルプラスミドDNA;線状プラスミドDNA;コスミド;細菌人工染色体(BAC);酵母人工染色体(YAC);哺乳動物人工染色体;およびRNA分子、例えば、mRNAを含む。核酸のサイズは数千キロベースまでであってもよい。さらに、本発明のある実施態様では、核酸はタンパク質性作用物と結合されていても、または1種以上の化学的改変体、例えばホスホロチオン酸(
phosphorothioate)部分を含んでもよい。コードする核酸の配列は、免疫応答が望まれる抗原の配列を含有する。さらに、DNAの場合には、プロモーターおよびポリアデニル化配列もまたワクチン構築物中に組み入れられる。コードされていてもよい抗原は、感染性疾患、病原体のすべての抗原成分、ならびにがん抗原を含む。かくして、核酸は、例えば感染性疾患、がん、アレルギー、自己免疫および炎症性疾患の分野において応用を見い出す。
【0089】
ワクチン抗原とともにワクチンを含有してもよい適当な免疫応答増強アジュバントは、リン酸アルミニウムゲル;水酸化アルミニウム;藻類グルカン:β−グルカン;コレラ毒素Bサブユニット;CRL1005:x=8とy=205の平均値をもつABAブロックポリマー;γ−インシュリン;直鎖状(非分枝)β−D(2−>1)ポリフルクトフラノキシル−α−D−グルコース;ゲルブアジュバント;N−アセチルグルコサミン−(β−1−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミン(GMDP)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド(DDA)、亜鉛L−プロリン塩錯体(Zn−Pro−8);イミキモド(1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン;ImmTherTM:N−アセチルグルコアミニル−N−アセチルムラミル−L−Ala−D−isoGlu−L−Ala−グリセロールジパルミテート;MTP−PEリポソーム:C5910819PNa−3HO(MTP);ムラメチド:Nac−Mur−L−Ala−D−Gln−OCH;Pleuran:β−グルカン;QS−21;S−28463:4−アミノ−a,a−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノール;sclavoペプチド:VQGEESNDK・HCl(IL−1β 163−171ペプチド);およびスレオニル−MDP(TermurtideTM):N−アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン、およびインターロイキン18、IL−2,IL−12,IL−15を含む。アジュバントはまたDNAオリゴヌクレオチド、例えば、CpG含有オリゴヌクレオチドを含む。さらに、IL−18、IL−2,IL−12,IL−15、IL−4、IL−10、γ−インターフェロンのような免疫調節リンホカイン、ならびにNFκB調節伝達タンパク質をコードしている核酸配列が使用されてもよい。
【0090】
全ウイルスまたは全細菌は、限定されるものではないが、弱化ウイルスもしくは死滅ウイルス、例えば、サイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス、風疹ウイルスおよび水痘帯状疱疹ウイルス、弱化もしくは死滅細菌、例えば、ボルデテラ・ペルタッシス、クロストリジウム・テタニ、コリネバクテリウム・ジフテリエ、A群連鎖球菌、レジオネラ・ニューモフィラ、ナイセリア・メニンギチデス、シュードモナス・エルギノサ、肺炎双球菌、トレポネマ・パリダム、およびビブリオ・コレラエ、およびそれらの混合物を含む。
【0091】
特記されるワクチンは、遊離の塩基、酸、荷電もしくは無荷電の分子、分子複合体の成分または製薬学的に許容できる塩のような形態において存在してもよい。さらに、体pH、酵素などにおいて容易に加水分解される活性作用物の単純な誘導体(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)が使用されてもよい。
【0092】
1種以上の抗原性作用物が本発明の作用物源、容器および/またはコーティング中に組み入れられてもよく、そして用語「抗原性作用物」の使用は、2種以上のそのような作用物の使用を決して除外しないことを理解しなければならない。
【0093】
本明細書で使用されるように、用語「生物学的に有効な量」または「生物学的に有効な割合」は、抗原性作用物が免疫学的に活性な作用物であり、そして所望の免疫学的結果、しばしば有益な結果を刺激もしくは開始するのに必要な免疫学的に活性な作用物の量または割合を指すことを意味する。本発明のヒドロゲル調合物およびコーティングにおいて使
用される免疫学的に活性な作用物の量は、所望の免疫学的結果を達成するのに要する活性作用物の量を送達するのに必要なその量である。実際に、これは、送達される特定の免疫学的に活性な作用物、送達部位、および皮膚中への抗原性作用物もしくはワクチンの送達のための溶解および放出速度論に依存して広く変わるであろう。
【0094】
本明細書で使用されるように、用語「小突起」は、角質層をとおして生きている動物、特に哺乳動物、より具体的にはヒトの皮膚の下側の表皮、または表皮および真皮中に穿刺もしくは切り込むように適合された穿刺エレメントを指す。本発明の1つの実施態様では、小突起は、1000ミクロン未満の突起部の長さを有する。さらなる実施態様では、小突起は、500ミクロン未満、より好ましくは250ミクロン未満の突起部の長さを有する。小突起は、典型的には、約5〜50ミクロンの幅と厚さを有する。また、小突起は、約75〜500ミクロンの幅を有してもよい。小突起は、種々の形式、例えば。ニードル、中空ニードル、ブレード、ピン、パンチおよびそれらの組み合わせ物において形成されてもよい。それ自体、用語「小突起」「ミクロプロトルージョン(microprotrusion」、「ミクロブレード」および「ミクロニードル」は、前後を通じて互換性をもって使用される。
【0095】
本明細書で使用されるように、用語「送達メンバー」および「小突起メンバー」は、一般に、角質層を穿刺するように列に配列された複数の小突起を含んでなる小突起アレイを意味する。送達メンバーは、薄いシートから複数の小突起を刻み込んだり、型抜きし、そしてシートの平面から小突起を折り畳んだり、曲げることによって作成して、図1に示され、そしてTrautmanらの米国特許第6,083,196号に記述されるような形態を形成してもよく、これは引用によって完全に本明細書に組み入れられている。また、小突起メンバーは他の既知の方法、例えば、米国特許第6,050,988号に開示されるように、各帯びの端に沿って小突起を有する1個以上の帯びを形成することによって作成されてもよく、これは引用によって完全に本明細書に組み入れられている。他の小突起アレイおよび同アレイを作成する方法は、Godshallらの米国特許第5,879,326号およびKamenらの米国特許第5,983,136号に記述される。また、小突起アレイは、乾燥した薬物学的に活性な作用物の容器を保持する1本以上の中空の針を含んでなってもよい。
【0096】
本発明は、実質的に、宿主に抗原性作用物を送達する(すなわち予防接種)ための慣用の方法に伴われる不利益および欠点を減少または除去する。本明細書で詳細に検討されるように、本発明は、抗原性作用物を皮内に送達するための独特な2段階の皮内予防接種を提供する。2段階の皮内予防接種法は、実質的に、皮内の抗原適用が行われる皮膚部位における局所的皮膚反応(発赤および浮腫)を減少させる。
【0097】
各送達メンバーは、そこから伸びる複数の角質層に穿刺する小突起および送達されるべき抗原性作用物(例えば。ワクチン抗原)を含有する容器を有する小突起アレイを含む。容器は、皮膚部位への送達メンバーの適用後、穿刺する小突起によって角質層をとおして切り込まれた間隙に対して抗原性作用物を伝達する関係になるよう適合され、位置される。
【0098】
少なくとも1つの実施態様では、容器は、米国特許出願第60/514,433号および同第60/514,387号に例示され、記述されるように、小突起とは離れているが、それと連携して配置される送達メンバーの別個の領域を含有する;この開示は、引用によって完全に本明細書に組み入れられている。
【0099】
本発明の1つの実施態様では、容器は、小突起アレイの皮膚に接するかまたは皮膚と離れた側に重層された薄膜の形態における材料(例えば、ポリマーのゲル材料)を含有する
。このタイプの容器は、TheeuwesらのWO98/28037において開示されている;この開示は、引用によって完全に本明細書に組み入れられている。
【0100】
本発明のさらなる実施態様では、容器は、送達メンバー上、好ましくは、少なくとも1個のその小突起上、より好ましくは各小突起の穿刺チップ上に処置される生体適合性コーティングを含有する。典型的には、小突起は、約400ミクロン未満、より好ましくは約300ミクロン未満の深さへの皮膚侵入を可能にする長さを有する。皮膚の角質層を穿刺する際に、容器中に含有された抗原性作用物が予防接種療法のために皮膚中に放出される。
【0101】
ここで図1を参照すれば、本発明による使用のための角質層に穿刺する小突起メンバー10の1つの実施態様が示される。図1は複数の小突起12を有するメンバー10の一部分を示す。小突起12は、開口部16を有するシート14から実質的に90°角で伸びている。メンバー10は、場合によっては、図3に示されるように、皮膚にシステム20を接着するために接着剤24を有する裏張り22に付着されてもよい。
【0102】
図1、2および3に示される小突起メンバー10の実施態様では、小突起12は、好ましくは、薄い金属シート14から複数の小突起12を刻み込んだり、型抜きし、そしてシートの平面から小突起を曲げることによって作成される。ステンレススチールおよびチタンのような金属が好適である。金属小突起メンバーおよびそれを作成する方法はTrautmanらの米国特許第6,083,196号;Zuck、米国特許第6,050,988号;およびDaddonaら,米国特許第6,091,975号に開示されている;これらの開示は引用によって完全に本明細書に組み入れられている。
【0103】
本発明により使用されてもよい他の小突起メンバーは、シリコンチップエッチング技術を用いてシリコンを刻み込むか、または刻み込まれた微小鋳型を用いてプラスティックを成形することによって形成される。シリコンおよびプラスティックの小突起メンバーは、Godshallらの米国特許第5,879,326号に開示されている;これの開示は引用によって本明細書に組み入れられている。
【0104】
本発明によれば、小突起メンバー10は、種々の金属、例えば、ステンレススチール、チタン、ニッケル・チタン合金または類似する生体適合性材料から製造されてもよい。好ましくは、小突起メンバー10はチタンから製造される。
【0105】
本発明によれば、小突起メンバー10は、また、非伝導性材料、例えばポリマーから構築されてもよい。あるいはまた、小突起メンバー10は、非伝導性材料、例えばParyleneによりコーティングされてもよい。
【0106】
本発明により使用されてもよい小突起メンバーは、限定されるものではないが、米国特許第6,083,196号、米国特許第6,050,988号および米国特許第6,091,975号に開示されているメンバーを含む;これらは引用によって完全に本明細書に組み入れられている。
【0107】
本発明により使用されてもよい他の小突起メンバーは、シリコンチップエッチング技術を用いてシリコンを刻み込むか、または刻み込まれた微小鋳型を用いてプラスティックを成形することによって形成されるメンバー、例えば、米国特許第5,879,326号に開示されているメンバーを含む;これは引用によって完全に本明細書に組み入れられている。
【0108】
本発明にしたがって送達されてもよい適当な抗原性作用物は、限定されるものではない
が、タンパク質に基づくワクチン、多糖に基づくワクチンおよび核酸に基づくワクチンを含むワクチン、ウイルスおよび細菌を含む。
【0109】
さらなる適当な抗原性作用物は、タンパク質、多糖複合体、オリゴ糖およびリポタンパク質の形態における抗原を含む。これらのサブユニットワクチンは、ボルデテラ・ペルタッシス(組み換えPT accince−無細胞)、クロストリジウム・テタニ(精製、組み換え体)、コリネバクテリウム・ジフテリエ(精製、組み換え体)、サイトメガロウイルス(糖タンパク質サブユニット)、A群連鎖球菌(糖タンパク質サブユニット、破傷風トキソイドとの複合糖質A群多糖、トキシング(toxing)サブユニット担体に結合したMタンパク質/ペプチド、Mタンパク質、多価タイプ−特異エピトープ、システインプロテアーゼ、C5aペプチダーゼ)、B型肝炎ウイルス(組み換えPreS1,Pre−S2,S,組み換えコアタンパク質)、C型肝炎ウイルス(組み換え体−表面タンパク質およびエピトープを発現した)、ヒトパピローマウイルス(キャプシドタンパク質、TA−GN組み換えタンパク質L2およびE7[HPV−6由来]、HPV−11由来MEDI−501組み換えVLPL1、4価組み換えBLPL1[HPV−6由来]、HPV−11、HPV−16およびHPV−18、LAMP−E7[HPV−16由来])、レジオネラ・ニューモフィラ(精製細菌表面タンパク質)、ナイセリア・メニンギチデス(破傷風トキソイドとの複合糖質)、シュードモナス・エルギノサ(合成ペプチド)、風疹ウイルス(合成ペプチド)、肺炎双球菌(髄膜炎菌B OMPと複合した複合糖質[1,4,5,6B,9N,14,18C,19V,23F]、CRM197と複合した複合糖質[4,6B,9V,14,18C,19F,23F]、CRM1970と複合した複合糖質[1,4,5,6B,9V,14,18C,19F,23F])、トレポネマ・パリダム(表面リポタンパク質)、水痘帯状疱疹ウイルス(サブユニット、糖タンパク質)およびビブリオ・コレラエ(複合体リポ多糖)を含む。
【0110】
抗原性作用物を含有するさらなる市販のワクチンは、限定されるものではないが、フルワクチン、ライム病ワクチン、狂犬病ワクチン、麻疹ワクチン、おたふくかぜワクチン、水痘ワクチン、痘瘡ワクチン、肝炎ワクチン、百日咳ワクチンおよびジフテリアワクチンを含む。
【0111】
核酸を含んでなるワクチンは、限定されるものではないが、一本鎖および二本鎖核酸、例えば、スーパーコイルプラスミドDNA;線状プラスミドDNA;コスミド;細菌人工染色体(BAC);酵母人工染色体(YAC);哺乳動物人工染色体;およびRNA分子、例えば、mRNAを含む。核酸のサイズは数千キロベースまでであってもよい。さらに、本発明のある実施態様では、核酸はタンパク質性作用物と結合されていても、または1種以上の化学的改変体、例えばホスホロチオン酸(phosphorothioate)部分を含んでもよい。コードする核酸の配列は、免疫応答が望まれる抗原の配列を含有する。さらに、DNAの場合には、プロモーターおよびポリアデニル化配列もまたワクチン構築物中に組み入れられる。コードされていてもよい抗原は、感染性疾患、病原体のすべての抗原成分、ならびにがん抗原を含む。かくして、核酸は、例えば感染性疾患、がん、アレルギー、自己免疫および炎症性疾患の分野において応用を見い出す。
【0112】
ワクチン抗原とともにワクチンを含有してもよい適当な免疫応答増強アジュバントは、リン酸アルミニウムゲル;水酸化アルミニウム;藻類グルカン:β−グルカン;コレラ毒素Bサブユニット;CRL1005:x=8とy=205の平均値をもつABAブロックポリマー;γ−インシュリン;直鎖状(非分枝)β−D(2−>1)ポリフルクトフラノキシル−α−D−グルコース;ゲルブアジュバント;N−アセチルグルコサミン−(β−1−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミン(GMDP)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド(DDA)、亜鉛L−プロリン塩錯体(Zn−Pro−8);イミキモド(1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]
キノリン−4−アミン;ImmTherTM:N−アセチルグルコアミニル−N−アセチルムラミル−L−Ala−D−isoGlu−L−Ala−グリセロールジパルミテート;MTP−PEリポソーム:C5910819PNa−3HO(MTP);ムラメチド(Murametide):Nac−Mur−L−Ala−D−Gln−OCH;Pleuran:β−グルカン;QS−21;S−28463:4−アミノ−a,a−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノール;sclavoペプチド:VQGEESNDK・HCl(IL−1β 163−171ペプチド);およびスレオニル−MDP(TermurtideTM):N−アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン、およびインターロイキン18、IL−2,IL−12,IL−15を含む。アジュバントはまたDNAオリゴヌクレオチド、例えば、CpG含有オリゴヌクレオチドを含む。さらに、IL−18、IL−2,IL−12,IL−15、IL−4、IL−10、γ−インターフェロンのような免疫調節リンホカイン、ならびにNFκB調節伝達タンパク質をコードしている核酸配列が使用されてもよい。他のアジュバントは、ヒート・ショックタンパク質(HSP);GTP−GDP;ロキソリビン,MPL(R);ムラパルミチン;およびTheramideTMを含む。アジュバントは好ましくは、非刺激性で非感作性である。
【0113】
全ウイルスまたは全細菌は、限定されるものではないが、弱化ウイルスもしくは死滅ウイルス、例えば、サイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス、風疹ウイルスおよび水痘帯状疱疹ウイルス、弱化もしくは死滅細菌、例えば、ボルデテラ・ペルタッシス、クロストリジウム・テタニ、コリネバクテリウム・ジフテリエ、A群連鎖球菌、レジオネラ・ニューモフィラ、ナイセリア・メニンギチデス、シュードモナス・エルギノサ、肺炎双球菌、トレポネマ・パリダム、およびビブリオ・コレラエ、およびそれらの混合物を含む。
【0114】
特記される抗原性作用物もしくはワクチンは、遊離の塩基、酸、荷電もしくは無荷電の分子、分子複合体の成分または製薬学的に許容できる塩のような形態において存在してもよい。さらに、体pH、酵素などにおいて容易に加水分解される活性作用物の単純な誘導体(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)が使用されてもよい。
【0115】
すでに指示されたように、1つの実施態様によって、送達される抗原性作用物はヒドロゲル調合物において含有されてもよい。特記される実施態様では、かくして送達メンバーは、ヒドロゲルおよびそれを受け入れるための手段(例えば、ゲルパック)を含み、例えば、2003年10月24日提出の同時係属米国特許出願第60/514,387号、2003年10月24日提出の同第60/514,433号、2003年10月31日提出の同第60/516,184号および2003年11月21日提出の同第60/524,062号に開示されており;これらは引用によって完全に本明細書に組み入れられている。
【0116】
先に指摘したように、本発明の少なくとも1つの実施態様では、ヒドロゲル調合物は少なくとも1種の抗原性作用物を含有する。本発明の別な実施態様では、ヒドロゲル調合物は抗原性作用物を含有せず、それ故、単に水和メカニズムである。
【0117】
本発明によれば、ヒドロゲル調合物が抗原性作用物を含有しない場合、抗原性作用物は前記のように小突起12の上にコーティングされるか、または2003年10月24日提出の特記される同時係属米国特許出願第60/514,387号に開示されるように、小突起アレイの皮膚側、またはアレイの上部表面において、同様に引用によって完全に本明細書に組み入れられているPCT公開WO98/28037に開示されるように固形薄膜中に含有されるかいずれかである。特記される同時係属出願において詳細に議論されるように、固形薄膜は、典型的には、抗原性作用物、ポリマー材料、例えばヒドロキシエチル
セルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)もしくはプルロニック、可塑剤、例えばグリセロール、プロピレングリコールもしくはポリエチレングリコール、界面活性剤、例えばツイーン20もしくはツイーン80、および揮発性溶剤、例えば水、イソプロパノールもしくはエタノールからなる液状調合物を注型することによって作成される。注型と続く溶剤の蒸発後に、固形薄膜が作成される。
【0118】
好ましくは、本発明のヒドロゲル調合物は、水に基づくヒドロゲルを含有する。ヒドロゲルは、それらの高い水含量と生体適合性のために好適な調合物である。
【0119】
当該技術分野において周知のように、ヒドロゲルは、水中で膨潤する巨大分子ポリマーネットワークである。適当なポリマーネットワークの例は、限定されるものではないが、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)およびプルロニック含む。もっとも好適なポリマー材料はセルロース誘導体である。特記されるポリマーは、異なる平均分子量を呈する種々の等級において得ることができ、したがって異なるレオロジー特性を示す。
【0120】
好ましくは、ポリマー材料の濃度は、ヒドロゲル調合物の約0.5〜40wt.%の範囲内である。
【0121】
本発明のヒドロゲル調合物は、好ましくは、調合物および小突起メンバー10および皮膚および場合によっては固形薄膜との間の最適な接触を確立するために重要である十分な湿潤特性を調合物が発揮することを、保証するのに十分な表面活性を有する。
【0122】
本発明によれば、十分な湿潤特性は、少なくとも1種の湿潤剤、例えば両親媒性を有する界面活性剤またはポリマーをヒドロゲル調合物に組み入れることによって達成される。場合によっては、また湿潤剤は固形薄膜中に組み入れられてもよい。
【0123】
本発明によれば、界面活性剤は、双性イオン性、両性イオン性、陽イオン性、陰イオン性または非イオン性であってもよい。適当な界面活性剤の例は、ナトリウムラウロアンホアセテート、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、塩化ベンズアルコニウム、ポリソルべート、例えばツイーン20およびツイーン80、他のソルビタン誘導体、例えばラウリン酸ソルビタン、およびアルコキシル化アルコール、例えばラウレス−4を含む。もっとも好適な界面活性剤はツイーン20、ツイーン80およびSDSを含む。
【0124】
両親媒性を有する適当なポリマー材料もしくはポリマーは、限定されるものではないが、セルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)もしくはエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、ならびにプルロニックを含む。
【0125】
好ましくは、界面活性剤の濃度は、ヒドロゲル調合物の約0.001〜2wt.%の範囲内である。両親媒性を示すポリマーの濃度は、好ましくは、ヒドロゲル調合物の約0.
5〜40wt.%の範囲内である。
【0126】
当業者によっては評価できるように、特記される湿潤剤は分離しても、また組み合わせても使用できる。
【0127】
本発明によれば、ヒドロゲル調合物は、引用によって完全に本明細書に組み入れられている2001年9月8日提出の同時係属米国特許出願第09/950,436号に開示されるそれらのような、少なくとも1種の通路の開存性モジュレーターまたは「抗癒合剤(anti−healing agent)」を含んでもよい。特記した同時係属出願において記述されるように、通路の開存性モジュレーターは、皮膚の自然癒合過程を防ぐか減少させ、それによって、小突起メンバー20による角質層に形成された通路もしくは微小間隙の閉鎖を防ぐ。そのような薬剤の例は、限定されるものではないが、浸透剤(例えば、塩化ナトリウム)および双性イオン化合物(例えば、アミノ酸)を含む。
【0128】
特記した同時係属出願において定義されるように、用語「通路の開存性モジュレーター(pathway patency modulator)」または「抗癒合剤(anti−healing agent)」は、さらに、抗炎症剤、例えばベタメタソン21−リン酸二ナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−リン酸二ナトリウム、ヒドロコルタメート塩酸塩、ヒドロコーチゾン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニソロン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニソロン21−コハク酸ナトリウム塩、パラメタソンリン酸二ナトリウム塩およびプレドニソロン21−コハク酸ナトリウム塩、および抗凝固剤、例えばクエン酸、クエン酸塩(例えばクエン酸ナトリウム)、デキストラン硫酸ナトリウム、およびEDTAを含む。
【0129】
ヒドロゲル調合物は、引用によって完全に本明細書に組み入れられている2003年9月29日提出の同時係属米国特許出願第10/674,626号および2003年10月24日提出の同第60/514号に開示されるそれらのような、少なくとも1種の血管収縮薬を含有してもよい。特記した同時係属出願において記述されるように、血管収縮薬は、小突起メンバーの適用中および適用後の出血を制御するために使用される。好適な血管収縮薬は、限定されるものではないが、アミデフリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレッシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレッシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレッシン、キシロメタゾリン、およびそれらの混合物を含む。もっとも好適な血管収縮薬は、エピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリンおよびキシロメタゾリンを含む。
【0130】
本発明によれば、ヒドロゲル調合物はまた、非水性溶媒、例えばエタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよび類するもの、染料、顔料、不活性賦形剤、浸透増進剤、添加物、および当該技術分野において既知の製薬学的生産物または経皮デバイスの他の慣用成分を含んでもよい。
【0131】
本発明のヒドロゲル調合物は、調合物がゲルパック中に含有され、適用過程においてその完全な状態を保持でき、そしてそれが小突起メンバーの開口部をとおし皮膚の通路中に流れるよう十分に流体であるような十分な粘度を発揮する。
【0132】
ニュートン性を表すヒドロゲル調合物では、ヒドロゲル調合物の粘度は、好ましくは、25℃における測定されて約2〜30ポアズ(P)の範囲内にある。せん断で薄くなる(
shear−thinning)ヒドロゲル調合物では、25℃で測定される粘度は、好ましくは、せん断速度それぞれ667/sおよび2667/sにおいて、1.5〜30Pまたは0.5〜10Pの範囲内である。ダイラタント調合物では、25℃で測定される粘度は、好ましくは、せん断速度667/sにおいて、1.5〜30Pの範囲内である。
本発明によれば、ヒドロゲル調合物が1種の前記抗原性作用物を含有する場合、作用物は過剰飽和または飽和以下の濃度において存在してもよい。送達システムに用いられる抗原性作用物の量は、抗原性作用物の治療学的に有効な量を送達して所望の結果を達成するのに必要な量である。実際には、これは、特定の抗原性作用物、送達部位、症状の重篤度および所望される治療効果に依存して広く変化するであろう。したがって、本発明の方法に組み入れられる抗原性作用物の治療学的に有効な量について一定の範囲を定めることは実際的ではない。
【0133】
本発明の1つの実施態様では、抗原性作用物の濃度は、ヒドロゲル調合物の少なくとも1〜40wt.%の範囲内にある。
【0134】
ここに図2を参照すれば、小突起12上に処置された固形コーティングの形態において抗原を含有する容器18を有する小突起12を有する小突起メンバー10が示される。本発明によれば、コーティング18は小突起12を部分的もしくは完全に覆ってもよい。
【0135】
コーティング18は、タンパク質抗原および場合によってはいずれか免疫応答増強アジュバントの揮発性液体の溶液もしくは懸濁液中に小突起12を浸漬することによって小突起12に適用することができる。液体溶液または懸濁液は約1〜20wt.%の抗原性作用物濃度を有しなければならない。揮発性液体は、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、エタノール、イソプロピルアルコールおよびそれらの混合液であってもよい。これらの中で、水がもっとも好適である。
【0136】
本発明によれば、コーティング18は種々の既知の方法によって小突起12に適用することができる。好ましくは、コーティング18は、皮膚に侵入する小突起メンバー10のそれらの部分または小突起12に適用されるだけである。
【0137】
抗原性作用物を含有する揮発性液体の溶液もしくは懸濁液は、浸漬、噴霧および/または他の既知の微量流体処置技術によって小突起アレイに適用されてもよい。好ましくは、皮膚組織中に侵入する小突起アレイのそれらの部分のみが、抗原性作用物によりコーティングされる。適当な小突起コーティングおよびそのようなコーティングを適用するのに有用な装置は、2001年10月26日提出の米国特許出願第10/045,842号、2002年3月15日提出の同第10/099,604号、および同第60/285,576号に開示されている;これらの開示は引用によって本明細書に組み入れられている。
【0138】
そこに開示されたコーティング方法および本明細書に開示されたコーティング組成物を使用すれば、代表的な金属(すなわちチタン)小突起アレイにおける皮膚穿刺小突起のチップ(tip、先端)のみを正確かつ均一にコーティングすることが可能である。1つのそのようなコーティング方法は浸漬コーティングを含む。浸漬コーティングは、コーティング溶液または調合液中に小突起を部分的または全体的に浸漬することによって小突起をコーティングする手段として記述することができる。部分浸漬技術の使用によって、小突起の先端のみにコーティングを限定することが可能である。
【0139】
さらなるコーティング法はローラーコーティング機構を用いるローラーコーティングを含み、同様に小突起の先端へのコーティングに限定する。ローラーコーティング法は、2002年3月15日提出の米国特許出願第10/099,604号に開示されていて、これは引用によって完全に本明細書に組み入れられている。前記出願において詳細に議論されているように、開示されたローラーコーティング法は、皮膚の穿刺中に小突起から容易には外されない平滑なコーティングを提供する。
【0140】
本発明によれば、小突起は、コーティングの容量を受入れ、そして/または増大するよう適合された手段、例えば、隙間(未掲載)、溝(未掲載)、表面の凹凸(未掲載)または類似の修飾を含み、この場合、この手段は、より大量のコーティングが処置できる増加した表面積を与える。
【0141】
本発明の範囲内で用いることができるその他のコーティング方法は噴霧コーティングを含む。本発明によれば、噴霧コーティングはコーティング組成物のエアゾル懸濁液の形成を含む。1つの実施態様では、約10〜200ピコリットルの小滴サイズをもつエアゾル懸濁液が小突起10上に噴霧され、次いで乾燥される。
【0142】
またパターン(pattern)コーティングが小突起12をコーティングするために使用されてもよい。パターンコーティングは、小突起表面上に沈積させる液体の位置を定めるための分配システムを用いて適用できる。沈積させる液体の量は、好ましくは、0.1〜20ナノリットル/小突起の範囲内である。適当な精密定量液体ディスペンサーは米国特許第5,916,524号;同第5,743,960号;同第5,741,554号および同第5,738,728号において開示されている;これらは引用によって完全に本明細書に組み入れられている。
【0143】
小突起のコーティング調合液または溶液は、また、既知のソレノイドバルブ・ディスペンサー、場合によっては流体運動手段および電気分野の使用により一般に制御される位置決定手段を使用するインクジェット技術を用いて適用されてもよい。印刷工業からの他の液体分配技術または当該技術分野において既知の類似の液体分配技術が、本発明のパターンコーティングを適用するために使用されてもよい。
【0144】
さらにまた、小突起チップのコーティングでは、小突起アレイの1cm当たり少なくとも0.2μg、より好ましくは、アレイの1cm当たり少なくとも2μgの抗原性作用物の付加が容易に達成できる。典型的な5cmアレイでは、これは、少なくとも1μg、好ましくは少なくとも10μgの抗原性作用物の付加に言い換えられ、ほとんどの予防接種のためには十分である。
【0145】
抗原性作用物の小突起チップのコーティングに関して、抗原性作用物送達効率(Edel)は非常に増進される;Edelは、予め定められた時間当たりコーティングから放出される抗原性作用物の重量パーセントとして定義される。本発明の抗原性作用物を含有する溶液もしくは懸濁液のチップコーティングでは、1時間に少なくとも30%、好ましくは15分間に少なくとも50%というEdelが達成できる。かくして、本発明は、当該技術分野において使用される慣用のマクロチン(macrotine)皮膚穿刺デバイスを超える有意な費用上の有益性を提供する。
【0146】
前述のように、本発明の1つの実施態様によれば、固形コーティングを形成するために小突起メンバー10に適用されるコーティング調合物は、そこに処置される少なくとも1種の抗原性作用物を有する水性および非水性調合物を含んでもよい。本発明によれば、抗原性作用物は生体適合性担体内に溶解されても、また担体内に懸濁されてもよい。
【0147】
本発明によれば、コーティング調合物は、好ましくは、少なくとも1種の湿潤剤、例えば両親媒性を有する界面活性剤およびまたはポリマーを含有する。界面活性剤は、双性イオン性、両性イオン性、陽イオン性、陰イオン性または非イオン性であってもよい。適当な界面活性剤は、ナトリウムラウロアンホアセテート、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS
)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、塩化ベンズアルコニウム、ポリソルべート、例えばツイーン20およびツイーン80、他のソルビタン誘導体、例えばラウリン酸ソルビタン、およびアルコキシル化アルコール、例えばラウレス−4を含む。もっとも好適な界面活性剤はツイーン20、ツイーン80およびSDSを含む。
【0148】
好ましくは、界面活性剤の濃度は、コーティング調合物の約0.001〜2wt.%の範囲内である。
【0149】
両親媒性を有する適当なポリマー材料もしくはポリマーは、限定されるものではないが、セルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)もしくはエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、ならびにプルロニックを含む。
【0150】
本発明の1つの実施態様では、両親媒性を示すポリマーの濃度は、好ましくは、コーティング調合物の約0.01〜20wt.%の範囲内である。
【0151】
当業者によって評価できるように、上記湿潤剤は分離されても組み合わされて使用されてもよい。
【0152】
本発明によれば、コーティング調合物は、親水性ポリマーをさらに含んでもよい。好ましくは、親水性ポリマーは、次の群:ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールおよびそれらの混合物、および類似のポリマーから選ばれる。当該技術分野において周知のように、前記ポリマーは粘度を増大させる。
【0153】
コーティング調合物中の親水性ポリマーの濃度は、好ましくは、約0.01〜20wt.%の範囲内である。
【0154】
本発明によれば、コーティング調合物は、引用によって完全に本明細書に組み入れられている2002年4月20日提出の同時係属米国特許出願第10/127,108号に開示されるそれらのような、生体適合性担体をさらに含んでもよい。適当な生体適合性担体は、ヒトアルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサンポリサルフェート、ポリアミノ酸、スクロース、トレハロース、メレジトース、ラフィノースおよびスタキオースを含む。
【0155】
コーティング調合物中の生体適合性担体の濃度は、好ましくは、約2〜70wt.%の範囲、より好ましくは、コーティング調合物の約5〜50wt.%範囲内である。
【0156】
コーティング調合物、それ故コーティングは、さらに血管収縮薬を含有してもよい。好適な血管収縮薬は、限定されるものではないが、アミデフリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレッシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレッシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレッシン、キシロメタゾリン、およびそれらの混合物を含む。もっとも好適な血管収縮薬は、エピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリンおよびキシロメタゾリンを含む。
【0157】
使用される場合、血管収縮薬の濃度は、好ましくは、コーティング調合物の約0.1wt.%〜10wt.%の範囲である。
【0158】
本発明のなおその他の実施態様では、コーティング調合物は、少なくとも1種の「通路の開存性モジュレーター」を含有する。適当な通路の開存性モジュレーターは、限定されるものではないが、浸透剤(例えば塩化ナトリウム)、双性イオン化合物(例えばアミノ酸)、および抗炎症剤、例えば、ベタメタソン21−リン酸二ナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−リン酸二ナトリウム、ヒドロコルタメート塩酸塩、ヒドロコーチゾン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニソロン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニソロン21−コハク酸ナトリウム塩、パラメタソンリン酸二ナトリウム塩およびプレドニソロン21−コハク酸ナトリウム塩、および抗凝固剤、例えばクエン酸、クエン酸塩(例えばクエン酸ナトリウム)、デキストラン硫酸ナトリウム、アスピリンおよびEDTAを含む。
【0159】
本発明によれば、コーティング調合物はまた、非水性溶媒、例えばエタノール、クロロホルム、エーテル、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよび類するもの、染料、顔料、不活性賦形剤、浸透増進剤、添加物、および当該技術分野において既知の製薬学的生産物または経皮デバイスの他の慣用成分を含んでもよい。
【0160】
本発明のある実施態様では、抗原性作用物を含有するコーティング調合物の粘度および安定性は低揮発度対イオンを添加することによって増進される。1つの実施態様では、作用物は調合物pHにおいて正電荷を有し、そして粘度を増進する対イオンは、少なくとも2つの酸性pKaを有する酸を含む。適当な酸は、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、酒石酸、アジピン酸、シトラコン酸、フマール酸、グルタル酸、イタコン酸、メグルトール、メサコン酸、コハク酸、シトラリンゴ酸(citramalic acid)、タルトロン酸、クエン酸、トリカルバリル酸、エチレンジアミン四酢酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、炭酸、硫酸およびリン酸を含む。
【0161】
その他の好適な実施態様は、作用物が調合物pHにおいて正電荷を有し、そして対イオンの少なくとも1種は少なくとも2つの酸性pKaを有する酸である、対イオンの粘度増進混合物に対向される。他の対イオンは1つ以上のpKaを有する酸である。適当な酸の例は、塩化水素酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、マレイン酸、リン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸、フマール酸、酢酸、プロピオン酸、ペンタン酸,炭酸、マロン酸、アジピン酸、シトラコン酸、レブリン酸、グルタル酸、イタコン酸、メグルトール、メサコン酸、シトラリンゴ酸、クエン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、トリカルバリル酸およびエチレンジアミン四酢酸を含む。
【0162】
一般に、本発明の特記される実施態様では、対イオンの量は、抗原性作用物の電荷を中和しなければならない。そのような実施態様では、対イオンもしくは対イオンの混合物は、調合物のpHにおいて作用物に存在する電荷を中和するのに必要な量で存在する。対イオン(遊離酸もしくは塩として)の過剰量が、pHを調節し、かつ十分な緩衝能力を与えるために調合物に添加されてもよい。
【0163】
1つの好適な実施態様では、作用物は正電荷を有し、そして対イオンは、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、塩化水素酸、グリコール酸および酢酸の群から選ばれる対イオンの粘度増進混合物である。好ましくは、対イオンは調合物に添加されて、約20〜200cpの範囲の粘度を達成する。
【0164】
好適な実施態様では、粘度増進対イオンは、低揮発度の弱酸のような酸性対イオンである。低揮発度弱酸対イオンは、少なくとも1つの酸性pKaおよび約50℃以上の融点またはPatmにおいて約170℃以上の沸点を表す。そのような酸の例は、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸およびフマール酸を含む。
【0165】
その他の好適な実施態様では、対イオンは強酸である。強酸は少なくとも1つの約2未満のpKaを表すとして定義できる。そのような酸の例は、塩化水素酸、臭化水素酸、硝酸、スルホン酸、硫酸、マレイン酸、リン酸、ベンゼンスルホン酸およびメタンスルホン酸を含む。
【0166】
その他の好適な実施態様は、対イオンの少なくとも1種が強酸であり、かつ対イオンの少なくとも1種が低揮発度弱酸である、対イオンの混合物に対向される。
【0167】
その他の好適な実施態様は、対イオンの少なくとも1種が強酸であり、かつ対イオンの少なくとも1種が高い揮発度を有する弱酸である、対イオンの混合物に対向される。揮発性弱酸対イオンは、少なくとも1つの約2以上のpKaおよび約50℃未満の融点またはPatmにおいて約170℃未満の沸点を表す。そのような酸の例は、酢酸、プロピオン酸、ペンタン酸およびそれに類する酸を含む。
【0168】
酸性対イオンは、調合物のpHにおいて作用物に存在する正電荷を中和するのに必要な量で存在する。対イオン(遊離酸もしくは塩として)の過剰量が、pHを調節し、かつ十分な緩衝能力を与えるために調合物に添加されてもよい。
【0169】
本発明のなお他の実施態様では、具体的には、抗原性作用物が負電荷を有する場合、コーティング調合物はさらに低揮発度塩基性対イオンを含有する。
【0170】
好適な実施態様では、コーティング調合物は低揮発度の弱塩基対イオンを含有する。低揮発度弱塩基は、少なくとも1つの塩基性pKaおよび約50℃以上の融点またはPatmにおいて約170℃以上の沸点を表す。そのような塩基の例は、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、メチルグルカミンおよびグルコサミンを含む。
【0171】
その他の実施態様では、低揮発度対イオンは、少なくとも1つの酸性pKaおよび少なくとも2つの塩基性pKaを表す塩基性双性イオンを含有し、この場合、塩基性pKaの数が酸性pKaの数を超える。そのような化合物の例はヒスチジン、リジンおよびアルギニンを含む。
【0172】
なお他の実施態様では、低揮発度対イオンは、少なくとも1つの約12以上のpKaを表す強塩基を含有する。そのような塩基の例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムおよび水酸化マグネシウムを含む。
【0173】
他の好適な実施態様は、強塩基および低揮発度をもつ弱塩基を含有する塩基性対イオンの混合物を含有する。あるいはまた、適当な対イオンは強塩基および高揮発度の弱塩基を含む。高揮発度塩基は、少なくとも1つの約12未満の塩基性pKaおよび約50℃未満の融点またはPatmにおいて約170℃未満の沸点を表す。そのような塩基の例は、アンモニアおよびモルホリンを含む。
【0174】
好ましくは、塩基性対イオンは、調合物のpHにおいて抗原性作用物に存在する負電荷を中和するのに必要な量で存在する。対イオン(遊離塩基もしくは塩として)の過剰量が
、pHを調節し、かつ十分な緩衝能力を与えるために調合物に添加されてもよい。
【0175】
低揮発度の対イオンの使用に関するさらなる議論は、2003年6月30日提出の米国特許出願第60/484,020号および2003年6月30日提出の同第60/484,020号において見いだされる;これらの開示は引用によって本明細書に完全に組み入れられている。
【0176】
本発明のその他の実施態様では、コーティング調合物は少なくとも1種のバッファーを含有する。適当なバッファーの例は、アスコルビン酸、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸、フマール酸、マレイン酸、リン酸、トリカルバリル酸、マロン酸、アジピン酸、シトラコン酸、グルタル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラリンゴ酸、ジメチロールプロピオン酸、チグリン酸、グリセリン酸、メタクリル酸、イソクロトン酸、b−ヒドロキシ酪酸、クロトン酸、アンゲリカ酸、ヒドラクリル酸(hydracrylic acid)、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはそれらの混合物を含む。
【0177】
本発明の1つの実施態様では、コーティング調合物は少なくとも1種の抗酸化剤を含有し、これらは、金属イオン封鎖剤、例えばクエン酸ナトリウム、クエン酸、EDTA(エチレン−ジニトリロ−四酢酸)または遊離基捕捉剤、例えばアスコルビン酸、メチオニン、アスコルビン酸ナトリウム、および類するものであってもよい。現在、好適な抗酸化剤はEDTAおよびメチオニンを含む。
【0178】
本発明の特記される実施態様では、抗酸化剤の濃度は、コーティング調合物の約0.01〜20wt.%も範囲内である。
【0179】
また、他の既知の調合物の添加物が、コーティング調合物の必須の溶解度と粘度特性および乾燥したコーティングの物理的に完全な状態に悪影響を及ぼさないかぎりコーティング調合物に添加されてもよい。
【0180】
好ましくは、コーティング調合物は、各小突起10を効果的にコーティングするために、約500センチポアズ未満でかつ3センチポアズを超える粘度を有する。より好ましくは、コーティング調合物は約3〜200センチポアズの範囲内の粘度を有する。
【0181】
本発明によれば、所望のコーティングの厚さは、シートの単位面積当たりの小突起の密度およびコーティング調合物の粘度と濃度ならびに選ばれるコーティング方法に依存する。好ましくは、コーティングの厚さは50ミクロン未満である。
【0182】
1つの実施態様では、コーティングの厚さは、小突起表面から測定されて25ミクロン未満、より好ましくは10ミクロン未満である。なおより好ましくは、コーティングの厚さは約1〜10ミクロンの範囲内である。
【0183】
すべての場合に、コーティングが適用された後、コーティング調合物は種々の手段によって小突起12上で乾燥される。本発明の好適な実施態様では、コーティングされたメンバーは、周囲の室条件下で乾燥される。しかしながら、小突起上でコーティング調合物を乾燥するために、種々の温度と湿度レベルが使用されてもよい。さらに、コーティングメンバーは、加熱、ライオファイル、凍結乾燥されるか、または類似の技術が使用されて、コーティングから水が除去されてもよい。
【0184】
小突起メンバー10は、2001年10月12日提出の同時係属の米国特許出願第09/976,762号において詳細に記述されているように、好ましくは、リテイナー・リ
ング(retainer ring)中に吊るされる(suspended);これは引用によって本明細書に完全に組み入れられている。リテイナー・リング中に小突起メンバー10を設置した後、小突起メンバー10は、2001年10月12日提出の同時係属の米国特許出願第09/976,798号に開示されているように、好ましくはインパクト・アプリケーター(impact applicator)を用いて患者の皮膚に適用される、これは引用によって本明細書に完全に組み入れられている。
【実施例1】
【0185】
この実施例は、比較的低用量によるブースター投与(boosting)が十分な免疫応答を与えつつ、皮膚応答を最小にするか否かを検討する。一般的治療プログラムは、一次免疫における大用量のワクチンの皮内投与と、それに続く比較的低用量のワクチンによる1回以上の皮内ブースター免疫からなる。
【0186】
実験は、80mgまでの卵アルブミンが1時間の適用時間にわたって送達されたことを例証した。大量(bolus)送達(5秒適用)は、約25mgの送達をもたらした。さらに、これらの実験は、卵アルブミンの送達がアレイ上の卵アルブミン量を調節することによって制御できることを例証した。
【0187】
これらの結果に基づき、2つの免疫化プログラムが皮膚応答を低下させるために効果的であった。最初のプログラムは、同一のコーティングした小突起アレイによる一次免疫の投与およびブースター投与を伴う。しかしながら、一次誘導免疫の間の着用(wearing)時間はブースター免疫の間の着用時間よりも長い。例えば、一次免疫投与は24時間位の長時間実施されてもよい。ブースター免疫投与は30分間位、好ましくは15分未満の長さである。これらの投与期間は一次免疫における大用量のワクチンの送達を達成する。続いて、比較的低用量のワクチンがブースター免疫において投与される。
【0188】
第2のプログラムは、異なる小突起アレイによる一次免疫の投与およびブースター投与を伴う。一次免疫化とブースター免疫化における着用時間は同一である。実際には、一次免疫は、最大用量のワクチンを送達するシステム、例えば、高い抗原濃度のコーティングを有する小突起アレイにより実施される。続いて、ブースター免疫は、比較的低用量のワクチンを送達するシステム、例えば、低い抗原濃度のコーティングを有する小突起アレイにより実施される。着用時間は30分位の長時間、好ましくは15分位の長さであってもよい。あるいはまた、小突起の密度または皮膚の接触面積を調節することが、また、ブースター免疫投与のために送達される抗原の量を効果的に低下できる。
【0189】
本発明の方法は、望ましくない皮膚反応を回避しつつ便利な皮内予防接種療法を可能にし、そして有効性を改善し、簡便性を与えるために、広範な種々の治療ワクチンの皮内送達に広く応用可能である。
【0190】
本発明の精神および範囲を逸脱することなく、当業者は本発明に種々の変更および改変を作成して種々の使用法および条件にそれを適合できる。それ自体、これらの変更および改変は、厳密に、正当に、次の請求項の等価の完全な範囲内にあり、かつ範囲内にあることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0191】
【図1】図1は、本発明にしたがう小突起アレイの部分遠近図である。
【図2】図2は、小突起上に固形抗原を含有するコーティングを有する小突起アレイの部分遠近図である。
【図3】図3は、本発明において有用な皮内抗原送達デバイスの横断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物に抗原性作用物を送達する方法であって、
送達メンバーの各々が、角質層に穿刺するように形造られた複数の小突起および該抗原性作用物の充填量を含有する容器を含有し、該送達メンバーが哺乳動物の皮膚部位に適用される時に、該容器が、哺乳動物に抗原性作用物を伝達する関係に置かれるよう適合されている、少なくとも2種の経皮送達メンバーを提供し;
誘導量の該抗原性作用物を、該少なくとも2種の経皮送達メンバーの第1によって送達し;
該誘導量の該抗原性作用物の該送達後少なくとも約7日目に、該誘導量の約50重量%までからなる第1のブースター量の該抗原性作用物を、該少なくとも2種の経皮送達メンバーの第2によって送達すること:
を含んでなる、方法。
【請求項2】
該誘導量の該抗原性作用物が少なくとも約10mgであり、そして該第1のブースター量の該抗原性作用物が約5mg以下である、請求項1の方法。
【請求項3】
該第1のブースター量の該抗原性作用物が、該誘導量の該抗原性作用物を送達する該段階後、少なくとも14日目に送達される、請求項1の方法。
【請求項4】
該抗原性作用物の該充填量が、該第1および第2の経皮送達メンバーにおいて実質的に同じであり、この場合、該誘導量の該抗原性作用物を送達する該段階が、該第1の経皮送達メンバーを第1の時間の間該哺乳動物と接触したままにすることを含み、そして該第1のブースター量の該抗原性作用物を送達する該段階が、該第2の経皮送達メンバーを第2の時間の間該哺乳動物と接触したままにすることを含み、そして該第1の時間の間が該第2の時間の間よりも長い、請求項1の方法。
【請求項5】
該第1の時間の間が少なくとも約0.5時間である、請求項4の方法。
【請求項6】
該第2の時間の間が約0.25時間未満である、請求項5の方法。
【請求項7】
該第1の経皮送達メンバーが、該第2の経皮送達メンバーの該抗原性作用物の充填量を超える該抗原性作用物の充填量を有する、請求項1の方法。
【請求項8】
該第1の経皮送達メンバーが、該第2の経皮送達メンバーと約同じ時間の間哺乳動物と皮膚に穿刺する接触のままにして置かれる、請求項7の方法。
【請求項9】
該第1のブースター量の該抗原性作用物を送達する該段階後少なくとも約7日目に第3の経皮送達メンバーによって第2のブースター量の該抗原性作用物を送達することを含む、請求項1の方法。
【請求項10】
該第1および第2の経皮送達メンバーが金属からなり、そして接着性裏張りを含む、請求項1の方法。
【請求項11】
該第1および第2の経皮送達メンバーが、5cm未満の皮膚接触面積にわたって皮膚に穿刺する、請求項1の方法。
【請求項12】
該抗原性作用物に対する局部的皮膚反応を実質的に低下させる段階をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項13】
該抗原性作用物が、タンパク質、多糖複合体、オリゴ糖、リポタンパク質、サブユニットワクチン、ボルデテラ・ペルタッシス(組み換えPT accince−無細胞)、クロストリジウム・テタニ(精製、組み換え体)、コリネバクテリウム・ジフテリエ(精製、組み換え体)、サイトメガロウイルス(糖タンパク質サブユニット)、A群連鎖球菌(糖タンパク質サブユニット、破傷風トキソイドとの複合糖質A群多糖、トキシング(toxing)サブユニット担体に結合したMタンパク質/ペプチド、Mタンパク質、多価タイプ−特異エピトープ、システインプロテアーゼ、C5aペプチダーゼ)、B型肝炎ウイルス(組み換えPreS1,Pre−S2,S,組み換えコアタンパク質)、C型肝炎ウイルス(組み換え体−表面タンパク質およびエピトープを発現した)、ヒトパピローマウイルス(キャプシドタンパク質、TA−GN組み換えタンパク質L2およびE7[HPV−6由来]、HPV−11由来MEDI−501組み換えVLPL1、4価組み換えBLPL1[HPV−6由来]、HPV−11、HPV−16およびHPV−18、LAMP−E7[HPV−16由来])、レジオネラ・ニューモフィラ(精製細菌表面タンパク質)、ナイセリア・メニンギチデス(破傷風トキソイドとの複合糖質)、シュードモナス・エルギノサ(合成ペプチド)、風疹ウイルス(合成ペプチド)、肺炎双球菌(髄膜炎菌B OMPと複合した複合糖質[1,4,5,6B,9N,14,18C,19V,23F]、CRM197と複合した複合糖質[4,6B,9V,14,18C,19F,23F]、CRM1970と複合した複合糖質[1,4,5,6B,9V,14,18C,19F,23F])、トレポネマ・パリダム(表面リポタンパク質)、水痘帯状疱疹ウイルス(サブユニット、糖タンパク質)、ビブリオ・コレラエ(複合体リポ多糖)、全ウイルス、細菌、弱化ウイルスもしくは死滅ウイルス、サイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス、風疹ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、弱化もしくは死滅細菌、ボルデテラ・ペルタッシス、クロストリジウム・テタニ、コリネバクテリウム・ジフテリエ、A群連鎖球菌、レジオネラ・ニューモフィラ、ナイセリア・メニンギチデス、シュードモナス・エルギノサ、肺炎双球菌、トレポネマ・パリダム、ビブリオ・コレラエ、フルワクチン、ライム病ワクチン、狂犬病ワクチン、麻疹ワクチン、おたふくかぜワクチン、水痘ワクチン、痘瘡ワクチン、肝炎ワクチン、百日咳ワクチン、ジフテリアワクチン、核酸、一本鎖および二本鎖核酸、スーパーコイルプラスミドDNA、線状プラスミドDNA、コスミド、細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)、哺乳動物人工染色体、およびRNA分子からなる群から選ばれる、請求項1の方法。
【請求項14】
容器が免疫学的に増強するアジュバントを含有する、請求項1の方法。
【請求項15】
該アジュバントが、リン酸アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム、藻類グルカン、β−グルカン、コレラ毒素Bサブユニット、CRL1005、x=8とy=205の平均値をもつABAブロックポリマー、γ−インシュリン、直鎖状(非分枝状)β−D(2−>1)ポリフルクトフラノキシル−α−D−グルコース、ゲルブアジュバント、N−アセチルグルコサミン−(β−1−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミン(GMDP)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド(DDA)、亜鉛L−プロリン塩錯体(Zn−Pro−8)、イミキモド(1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン、ImmTherTM、N−アセチルグルコアミニル−N−アセチルムラミル−L−Ala−D−isoGlu−L−Ala−グリセロジパルミテート、MTP−PEリポソーム、C5910819PNa−3HO(MTP)、ムラメチド、Nac−Mur−L−Ala−D−Gln−OCH、Pleuran、β−グルカン、QS−21、S−28463、4−アミノ−a,a−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノール、sclavoペプチド、VQGEESNDK・HCl(IL−1β 163−171ペプチド)、スレオニル−MDP(TermurtideTM)、N−アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン、インターロイキン18、IL−2,IL−12,IL−15、DNAオリ
ゴヌクレオチド、CpG含有オリゴヌクレオチド、γ−インターフェロン、NFκB調節伝達タンパク質、ヒート・ショックタンパク質(HSP)、GTP−GDP、ロキソリビン、MPL(R)、ムラパルミチンおよびTheramideTMからなる群から選ばれる、請求項14の方法。
【請求項16】
該容器がヒドロゲル調合物を含有する、請求項1の方法。
【請求項17】
該ヒドロゲル調合物が巨大分子ポリマーネットワークを含有する、請求項16の方法。
【請求項18】
該巨大分子ポリマーネットワークが、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)およびプルロニックからなる群から選ばれる、請求項17の方法。
【請求項19】
該容器が、該第1および第2の送達メンバーの少なくとも1つに処置されたコーティングを含有する、請求項1の方法。
【請求項20】
該コーティングが低揮発度の対イオンをさらに含有する、請求項19の方法。
【請求項21】
該低揮発度の対イオンが、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、酒石酸、アジピン酸、シトラコン酸、フマール酸、グルタル酸、イタコン酸、メグルトール、メサコン酸、コハク酸、シトラリンゴ酸(citramalic acid)、タルトロン酸、クエン酸、トリカルバリル酸、エチレンジアミン四酢酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、炭酸、硫酸、およびリン酸、およびそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項20の方法。
【請求項22】
該低揮発度の対イオンが、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、メチルグルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、リジン、アルギニン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、アンモニアおよびモルホリン、およびそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項20の方法。
【請求項23】
該容器が界面活性剤を含有する、請求項1の方法。
【請求項24】
該界面活性剤が、ナトリウムラウロアンホアセテート、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(TMAC)、塩化ベンズアルコニウム、ポリソルベート、例えばツイーン20およびツイーン80、ソルビタン誘導体、ラウリン酸ソルビタン、アルコキシル化アルコール、およびラウレス−4からなる群から選ばれる、請求項23の方法。
【請求項25】
該容器が両親媒性ポリマーを含有する、請求項1の方法。
【請求項26】
該両親媒性ポリマーが、セルロース誘導体、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、およびプルロニックからなる群から選ばれる、請求項25の方法。
【請求項27】
該容器が通路(pathway)の開存性(patency)モジュレーターを含有する、請求項1の方法。
【請求項28】
該通路の開存性モジュレーターが、浸透剤、塩化ナトリウム、双性イオン化合物、アミノ酸、抗炎症剤、ベタメタソン21−リン酸二ナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−リン酸二ナトリウム、ヒドロコルタメート塩酸塩、ヒドロコーチゾン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニソロン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニソロン21−コハク酸ナトリウム塩、パラメタソンリン酸二ナトリウム塩、プレドニソロン21−コハク酸ナトリウム塩、抗凝固剤、クエン酸、クエン酸塩、クエン酸ナトリウム)、デキストラン硫酸ナトリウム、およびEDTAからなる群から選ばれる、請求項27の方法。
【請求項29】
該容器が血管収縮薬を含有する、請求項1の方法。
【請求項30】
該血管収縮薬が、エピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、アミデフリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレッシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレッシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレッシンおよびキシロメタゾリンからなる群から選ばれる、請求項29の方法。
【請求項31】
該容器が抗酸化剤を含有する、請求項1の方法。
【請求項32】
該抗酸化剤が、クエン酸ナトリウム、クエン酸、エチレン−ジニトリロ−四酢酸(EDTA)、アスコルビン酸、メチオニン、およびアスコルビン酸ナトリウムからなる群から選ばれる、請求項31の方法。
【請求項33】
該容器が可溶化剤/錯化剤を含有する、請求項1の方法。
【請求項34】
該可溶化剤/錯化剤が、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、グルコシル−α−シクロデキストリン、マルトシル−α−シクロデキストリン、グルコシル−β−シクロデキストリン、マルトシル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−α−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル−γ−シクロデキストリンからなる群から選ばれる、請求項33の方法。
【請求項35】
該哺乳動物がヒトを含む、請求項1の方法。
【請求項36】
哺乳動物に予防接種する方法であって、
送達メンバーの各々が、角質層に穿刺するように形造られた少なくとも1個の小突起および抗原性作用物の充填量を有する容器を含有し、該容器が、該哺乳動物に抗原性作用物を伝達する関係に置かれている、少なくとも2種の経皮送達メンバーを提供し;
誘導量の該抗原性作用物を、該少なくとも2種の経皮送達メンバーの第1によって送達し;
その後少なくとも約7日目に、該誘導量の約50重量%までであるブースター量の該抗原性作用物を、該少なくとも2種の経皮送達メンバーの第2によって送達すること:
を含んでなる、方法。
【請求項37】
哺乳動物に予防接種する方法であって、
送達メンバーの各々が、角質層に穿刺するように形造られた少なくとも1個の小突起および抗原性作用物の充填量を有する容器を含有し、該容器が、該哺乳動物に抗原性作用物を伝達する関係に置かれている、少なくとも2種の経皮送達メンバーを提供し;
誘導量の該抗原性作用物を該少なくとも2種の経皮送達メンバーの第1によって送達し;該誘導量の約50重量%までであるブースター量の該抗原性作用物を、該少なくとも2種の経皮送達メンバーの第2によって送達すること:
を含んでなる、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−521092(P2007−521092A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518804(P2006−518804)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/021393
【国際公開番号】WO2005/002453
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】