説明

小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法

【課題】ゼオライト薄膜製造、或いは活性剤の負荷に用いるキャリアに使用することができる小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法の提供。
【解決手段】以下のステップを含み、(a)シリコンソース、フッ素イオンソース、テトラエチルアンモニウムイオンソースと徐イオン水を、特定組成のモル比で混合し、反応混合物を形成し、(b)結晶粒の大きさが< 5μmのオールシリコンβゼオライトが形成されるまで、該反応混合物に結晶化反応を起こさせ、(c)該各オールシリコンβゼオライトを回収し、本発明の方法を利用すれば、短時間内に小結晶粒オールシリコンβゼオライト結晶を合成可能で、しかもその生産効率は9割以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はβゼオライトの合成方法に関し、特に小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1967年、βゼオライトは伝統的な水熱法を利用し、初めて合成された。βゼオライトの特徴は、3次元の12サーキュラーチャンネル構造を備え、その独特の構造と良好な熱安定性により、βゼオライトは、アルカンフラグメンテーション、異性化、環化、アルキル化、水素化フラグメンテーション等の面で、優良な性質を示し、工業上高い注目を集める合成材料である。
【0003】
βゼオライトの大部分は、ヘテロ触媒反応に応用される。ヘテロ触媒反応は、触媒表面において、反応物が吸着、拡散、化学反応、脱着等の一連の過程を経て完成される。ヘテロ触媒反応は、界面位置において発生するため、活性化反応の性能は、触媒の表面構造と直接的な関連がある。結晶粒の大きさが生じる表面積効果により、粒が小さくなればなるほど、より大きな表面積となる。βゼオライトは、マクロポーラス構造と高い総表面積を備えるため、触媒に使用されると、触媒活性に対する選択性及び反応性に、独特の影響を及ぼす。さらに、超低酸性触媒は、最近ますます重要視されているため、ハイシリカとオールシリコンβゼオライトの合成方法に関して、多くの研究がなされている。
【0004】
一般のハイシリカとオールシリコンβゼオライトは、テトラエトキシシラン(tetraethylorthosilicate, TEOS)を二酸化シリコン(SiO2)のシリコンソースとし、有機テンプレート剤を使用し、室温(15〜30°C)で老化後、さらに高温で結晶化し生成する。混合液の老化を行う(すなわち、ソル−ゲル反応を行なう)過程で、主にシロキサン基の無機溶液(テトラエトキシシラン )により加水分解を行い、水酸化シリコン基(Si-OH)を生じる。水酸化シリコン基は、さらにそれぞれ他の水酸化シリコン基、或いはシロキサン基 (Si-OR)と縮合反応を行い、Si-O-Siのボンドを形成する。室温でのSi(OR)4の加水分解反応は非常にゆっくりであるため、通常は数日を費やし完成される。よって、加水分解縮合反応全体において、酸或いはアルカリ活性剤 (例えば、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド)を利用し、反応の進行を加速することができる。
【0005】
ハイシリカとオールシリコンβゼオライトに関して、特許文献1は、ピクリングの方式を利用し、シリコン/アルミニウム比が4000以上のβゼオライト結晶材料を生成する方法を掲示している。但し、その結晶度はわずかに80%で、多くの構造上の欠陥を生じ、すべての応用に使用可能という訳ではない。
さらに、特許文献2が掲示する方法は、オールシリコンβゼオライト結晶材料合成に、有機テンプレート剤として、4,4'-トリメチルエネビス(N-ベンジルピペリディン) (4,4'-trimethylenebis(N-benzylpiperidine))を使用するが、この材料は比較的特殊で、簡単、廉価には手に入らないため、商業化実現の面では、困難がある。
特許文献3と別の文献[D.P. Serrano等(Microporous and Mesoporous Materials,46 (2001),35-46 )]が掲示する方法では、F-イオンの存在下で、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(tetraethylammonium hydroxide, TEAOH)を有機テンプレート剤として利用し、さらに、テトラエトキシシランを二酸化シリコンのシリコンソースとして使用し、オールシリコンβゼオライトを生成することができる。しかし、その特許説明書或いは文献内容が含む、合成配合及び条件により作り出されるβゼオライトの、大部分の結晶粒の大きさは、10μm以上で、一部だけが5μm前後で、しかも、結晶粒の大きさの分布が平均していない。もし、その特許説明書或いは文献中の合成条件を利用し、また他の二酸化シリコンのシリコンソースにより、解離が容易なテトラエトキシシランの代用とするなら、室温下での老化時間は短くなり過ぎ、オールシリコンβゼオライトは生成されにくい。良好な結晶を生成するためには、通常室温での老化には、7日以上を要する。しかも、これら特許説明書或いは文献中に掲示する合成方法は、一般実験室での小量調整にのみ適用し(テトラエトキシシランを二酸化シリコンのシリコンソースとする状況下で)、もし用量を10倍以上にしたなら、βゼオライトの結晶度と平均粒度は、大幅に低下してしまう。
【0006】
Camblor氏等(Chem. Commun., (1996), 2365)は、フッ化水素酸を添加することで、アルミニウム或いはチタン元素を欠いた状態で、オールシリコンβゼオライトの合成に成功した。現在、フッ化水素酸の添加は、シリコンを含む分子の自発的な成核を誘発する重要原理で、既に公知である。しかし、Camblor氏等は、現在までに、それが合成したオールシリコンβゼオライト結晶粒の大きさに対して、明確な記述と検討を行なって来なかった。Corma氏等の実験に基づけば、室温下で行なう老化の重点は、テトラエトキシシラン の加水分解派生物であるエタノールを徐々に揮発させる必要がある。にもかかわらず、その相関文献には、室温下での混合液老化において、どれくらいの時間をかければ、テトラエトキシシラン上のエタノールが完全に揮発するのか、について述べられておらず、分析データにより、エタノールが既に完全に揮発したとの証明もない。しかし、この点は非常に重要である。なぜならエタノールは、オールシリコンβゼオライトの結晶化を阻害し、時間を引き延ばすからであり、さらに、室温下での混合液老化に時間がかかればかかるほど、エタノール残留の量はより少なくなり、βゼオライト結晶生成の時間もより短くなる。この点に関して、Corma氏等の特許及び文献上には、全く記載がない。
【0007】
特許文献4中で、掲示するβゼオライトは、種結晶をβゼオライト合成のステップ中に用いることができる。しかし、該方法はアルミニウムを含むβゼオライトを、種結晶として利用し、ハイシリカアルミニウム比のβゼオライトを合成するもので、合成時間を短縮する。
【0008】
従来の技術のほとんどは、テトラエトキシシランをβゼオライト結晶の二酸化シリコンのシリコンソースとして利用している。なぜなら、解離が容易であるためで、Corma氏等の特許上の例はすべて、テトラエトキシシランを使用しており、関連するオールシリコンβゼオライト合成の文献も、テトラエトキシシランを主として使用している。いくつかの文献だけが、シリカ・フューム或いは二酸化シリコンソルを二酸化シリコンのシリコンソースとして使用しているが、その結果はすべて芳しくなく、反応に15日以上かかっている。しかも、生成されたβゼオライト結晶はやはり、大きな粒状である。この他、テトラエトキシシランは毒性を備え、しかも価格が高く、老化時にはエタノール揮発の問題があり、生産効率が低い等の問題があるため、工業実用性の面では不適当な二酸化シリコンのシリコンソースである。
【0009】
一般に、ゼオライト結晶粒を小さく製造することができれば、触媒圧迫成型時の成功は容易である。しかも、触媒化学反応時には、分子の拡散速度が速いために、ゼオライト表面積は大きくなり、活性は増加し、反応効率が良くなり、しかも、使用寿命を延長することができる。よって、小結晶粒ゼオライトの生成は、工業実用における重要な目標である。
商用触媒の多くは、ゼオライト結晶粒をより小さくと求めており、しかも、従来の技術はすべて、短時間内でオールシリコンβゼオライトを合成することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,310,534号明細書
【特許文献2】米国特許第5,554,356号明細書
【特許文献3】世界特許第97/33830号明細書
【特許文献4】マドリード特許第P9501552号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、約1から4日以内に(従来の技術では皆、10日以上必要)、大量に、しかも結晶粒の大きさの平均が5μm以下のオールシリコンβゼオライト結晶を合成することができ、さらに中には0.5μmにも達する小結晶粒オールシリコンβゼオライトを合成可能な合成方法を提供することである。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は下記の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法を提供する。小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法は、以下のステップを含み、
(a)二酸化シリコン(SiO2)シリコンソース、フッ素イオン(F-)ソース、テトラエチルアンモニウムイオン(TEA+)ソースと徐イオン水(H2O)を混合し、反応混合物を形成し、
(b) 結晶粒の大きさが< 5μmのオールシリコンβゼオライトが形成されるまで、該反応混合物に結晶化反応を起こさせ、
(c)該各オールシリコンβゼオライトを回収し、結晶化反応前の該反応混合物のpH値は6から9の間で、結晶化反応完成後のpHは6から8の間で、該反応混合物の組成モル比範囲は、F-/ SiO2= 0.33〜3.0
TEA+/ SiO2 = 0.3〜1.0
H2O/SiO2 = 1.5〜6.0
F-/ TEA+ = 1.1〜3.0で、
本発明小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法は、ステップ(c)の後に、さらにオールシリコンβゼオライト結晶粒に対してか焼を行うステップを含み、
本発明は、酸性が極めて低く、しかも結晶粒が小さいオールシリコンβゼオライトに対して、快速の合成方法を提供し、極めて高い実用性を備え、本発明の合成方法を利用すれば、短時間内(約1から4日以内)に、粒が5μm以下のオールシリコンβゼオライトを大量に調整可能で、これによりオールシリコンβゼオライト合成の生産効率を向上させ、エネルギー消費を減少させ、こうして製造コストを大幅に引き下げることができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法は、以下のステップを含み、
(a)二酸化シリコン(SiO2)シリコンソース、フッ素イオン(F-)ソース、テトラエチルアンモニウムイオン(TEA+)ソースと徐イオン水(H2O)を混合し、反応混合物を形成し、該反応混合物の組成モル比範囲は、以下の通りで、
F-/ SiO2= 0.33〜3.0
TEA+/ SiO2 = 0.3〜1.0
H2O/SiO2 = 1.5〜6.0
F-/ TEA+ = 1.1〜3.0
(b)オールシリコンβゼオライト結晶が形成されるまで、該反応混合物に結晶化反応を起こさせ、
(c)該各オールシリコンβゼオライト結晶を回収し、
結晶化反応前の該反応混合物のpH値は6から9の間で、結晶化反応完成後のpH値は6から8の間であることを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法としている。
請求項2の発明は、請求項1記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記各オールシリコンβゼオライト結晶の結晶粒の大きさが< 5μmであることを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法としている。
請求項3の発明は、請求項1記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記ステップ(a)中で混合を行う温度は30から90°Cの間であることを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法としている。
請求項4の発明は、請求項1記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記ステップ(a)中で混合を行う温度は40から80°Cの間であることを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法としている。
請求項5の発明は、請求項1記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記在ステップ(a)中の該反応混合物の組成モル比範囲は、
F-/ SiO2= 0.55〜3.0
TEA+/ SiO2 = 0.3〜0.50
H2O/SiO2 = 1.5〜6.0であることを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法としている。
請求項6の発明は、請求項1記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記在ステップ(a)中において、該二酸化シリコン(SiO2)シリコンソース、該フッ素イオン(F-)ソース、徐イオン水(H2O)は先ず混合を行い、次に該テトラエチルアンモニウムイオン(TEA+)ソースと温度40から80°Cにおいて混合を行い、該反応混合物の組成モル比範囲は、
F-/ SiO2= 0.44〜1.8
TEA+/ SiO2 = 0.4〜0.9
H2O/SiO2 = 1.5〜4.0
F-/ TEA+ = 1.1〜2.0であることを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法としている。
請求項7の発明は、請求項1記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記在ステップ(a)中において、該二酸化シリコン(SiO2)シリコンソース、該テトラエチルアンモニウムイオン(TEA+)ソース、徐イオン水(H2O)は温度40から80°Cにおいて先ず混合を行い、次に該フッ素イオン(F-)ソースと混合を行い、該反応混合物の組成モル比範囲は、
F-/ SiO2= 0.55〜2.0
TEA+/ SiO2 = 0.5〜1.0
H2O/SiO2 = 2.0〜4.0
F-/ TEA+ = 1.1〜2.0であることを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法としている。
請求項8の発明は、請求項1或いは請求項6或いは請求項7記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記ステップ(b)では、温度100から190°Cの間及び0から800 rpmの撹拌において、該反応混合物に結晶化反応を起こさせることを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法としている。
請求項9の発明は、請求項1或いは請求項6或いは請求項7記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記ステップ(b)では、温度100から190°Cの間及び300から600 rpmの撹拌において、該反応混合物に結晶化反応を起こさせることを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法としている。
請求項10の発明は、請求項1或いは請求項6或いは請求項7記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記ステップ(c)の後にはさらに、オールシリコンβゼオライト結晶粒に対してか焼を行うステップを含むことを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法としている。
請求項11の発明は、請求項10記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記対オールシリコンβゼオライト結晶粒のか焼は、温度350 から 900°Cの空気環境下で行なうことを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法としている。
請求項12の発明は、請求項11記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記か焼完成後のオールシリコンβゼオライトを、水中に浸した時のpH値は4以下であることを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法としている。
請求項13の発明は、請求項1或いは請求項6或いは請求項7記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記二酸化シリコン(SiO2)シリコンソースは、テトラエトキシシラン 、シリコンゲル液、シリカ・フューム、シリカ、非晶質二酸化シリコンにより組成するグループから選択することを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法としている。
請求項14の発明は、請求項1或いは請求項6或いは請求項7記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記在ステップ(a)中の該反応混合物中に、結晶促進剤を加えることを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法としている。
請求項15の発明は、請求項14記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記結晶促進剤は、βゼオライト、モルデナイトとメタリックソルトにより組成するグループから選択することを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法としている。
請求項16の発明は、請求項1或いは請求項6或いは請求項7記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記各オールシリコンβゼオライト結晶は、ゼオライト薄膜製造、或いは活性剤のキャリアとして適用可能で、
不飽和鍵を備える、或いは官能基を備える炭化水素化合物の水素化反応、アルカンの脱水素反応、炭化水素化合物の酸化反応、炭化水素類と官能基を備える炭化水素化合物の軽度水素化フラグメンテーション反応、アルケン炭化水素重合反応に応用可能であることを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、酸性が極めて低く、しかも結晶粒が小さいオールシリコンβゼオライトに対して、快速の合成方法を提供し、極めて高い実用性を備える。さらに本発明の合成方法を利用すれば、短時間内(約1から4日以内)に、粒が5μm以下のオールシリコンβゼオライトを大量に調整可能で、これによりオールシリコンβゼオライト合成の生産効率を向上させ、エネルギー消費を減少させ、こうして製造コストを大幅に引き下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】比較例1のオールシリコンβゼオライトのX線回折図である。
【図2】比較例1のオールシリコンβゼオライトのSEM図である。
【図3】実施例5のオールシリコンβゼオライトのX線回折図である。
【図4】実施例5のオールシリコンβゼオライトのSEM図である。
【図5】実施例8のオールシリコンβゼオライトのSEM図である。
【図6】実施例10のオールシリコンβゼオライトのSEM図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法以下のステップを含む。
(a)二酸化シリコン(SiO2)シリコンソース、フッ素イオン(F-)ソース、テトラエチルアンモニウムイオン(TEA+)ソースと徐イオン水(H2O)とを混合(老化反応)し、反応混合物を形成する。
(b)結晶粒の大きさが< 5μmのオールシリコンβゼオライトが形成されるまで、反応混合物に結晶化反応を起こさせる。
(c)各オールシリコンβゼオライトを回収する。
(d)温度が350から900°Cの空気環境中で、オールシリコンβゼオライト結晶粒に対してか焼を行い、ゼオライト結晶粒内部の有機テンプレート剤を除去する。結晶化反応前の反応混合物のpHは6から9の間で、結晶化反応完成後のpH値は6から8の間である。か焼後のオールシリコンβゼオライトを水中に浸した時のpH値は4以下である。また、ステップ (a)中の反応混合物の組成モル比範囲は、以下の通りである。
F-/ SiO2= 0.33〜3.0
TEA+/ SiO2 = 0.3〜1.0
H2O/SiO2 = 1.5〜6.0
F-/ TEA+ = 1.1〜3.0
もし、TEA+/ SiO2 < 0.50であれば、F-/ SiO2= 0.55〜3.0であることが望ましい。
【0017】
一実施例中において、上記ステップ(a)中では、二酸化シリコン(SiO2)シリコンソース、該フッ素イオン(F-)ソース、徐イオン水(H2O)は、先ず室温下で混合を行い、次にテトラエチルアンモニウムイオン(TEA+)ソースと、温度40から80°Cにおいて混合を行う。
反応混合物の組成モル比範囲は、以下の通りであることが望ましい。
F-/ SiO2= 0.44〜1.8
TEA+/ SiO2 = 0.4〜0.9
H2O/SiO2 = 1.5〜4.0
F-/ TEA+ = 1.1〜2.0
【0018】
別の一実施例中において、上記ステップ(a)中では、二酸化シリコン(SiO2)シリコンソース、テトラエチルアンモニウムイオン(TEA+)ソース、徐イオン水(H2O)は温度40から80°Cにおいて先ず混合を行い、次に該フッ素イオン(F-)ソースと混合を行う。
該反応混合物の組成モル比範囲は、以下の通りであることが望ましい。
F-/ SiO2= 0.55〜2.0
TEA+/ SiO2 = 0.5〜1.0
H2O/SiO2 = 2.0〜4.0
F-/ TEA+ = 1.1〜2.0
フッ化水素酸とテトラエチルアンモニウムヒドロキシドを二酸化シリコンのシリコンソースに加える順序に制限はないが、フッ化水素酸を先に、二酸化シリコンのシリコンソースに加えることが望ましい。
【0019】
本発明の合成方法を採用すれば、非晶質二酸化シリコンとコロイド状二酸化シリコンのどちらをシリコンソースとして使用しても、短時間(約1から4日以内)内に小結晶粒 (<5μm) のオールシリコンβゼオライトをスムーズに合成することができる。
本発明において、小結晶粒 (<5μm) オールシリコンβゼオライトを合成するカギは、水量の多寡、反応混合物の組成モル比、老化温度、回転速度、時間の制御である。
【0020】
ソル-ゲル過程において、水は2種の異なる役割を演じる。初期の加水分解過程では、水は反応物としての役割を演じ、水量の多寡は、加水分解反応の速度に影響を及ぼす。後続の縮合過程中では、水は生成物の役割を演じ、同様に水量の多寡は、縮合反応の進行に影響を及ぼす。おおよそ、水量の増加は加水分解反応の進行を助け、水が過多であれば反応システム中のシラン含量を希釈し、縮合反応の発生に不利であるため、ゲル化時間を拡大させる。
高水量のシステム中では、加水分解反応は比較的完全であるため、加熱処理過程においては、まだ反応していないヒドロキシルを継続反応させ、高度縮合の大顆粒を生成することができる。よって、以前のテトラエチルシロキサンをシリコンソースとして採用する報導は、エタノールが揮発するか否かにのみ焦点を当てており、水の効果については論じていない。実は、水こそが結晶化の最大変数なのである。水量が多過ぎれば、テトラエチルシロキサンの加水分解反応は、より完全となるが、エタノール派生物の揮発が不完全であれば、βゼオライトの結晶は容易でなく、結晶反応を完成させ、βゼオライト結晶を生じさせるのに、10日或いは20日以上を要する。しかも、水量が多過ぎれば、βゼオライト粒を大きくしてしまう。
【0021】
H2O/SiO2 < 7である時、結結晶粒は10μm以下となる。
H2O/SiO2< 6である時、結結晶粒は5μm以下となる。
H2O/SiO2< 5である時、結結晶粒は3μm以下となる。
H2O/SiO2 < 4.0である時、結結晶粒は1μm以下となる。
以上は大体の規則に過ぎず、他の条件を組み合わせて制御する必要がある。
【0022】
この他、フッ素イオンは、オールシリコンβゼオライト合成において、最重要素因である。フッ素イオンが存在しない中で、短時間以内にオールシリコンβゼオライトを合成できた例は、現在のところまだない。従来の技術中では、TEA+ : F- = 1 : 1の比率で使用している。本発明は、TEA+ / F- <1であれば、短時間内で、小結晶粒のオールシリコンβゼオライトを合成可能であると発見した。過量のフッ化水素酸は、粒を小さくするばかりか、反応の速度を加速することができる。
【0023】
テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAOH)の減量は、結晶化にかかる時間及び小結晶粒形成には不利である。靜態合成において、短時間内に小結晶粒のβゼオライトを生成するためには、TEAOH/SiO2は0.54以上である必要がある。しかし、撹拌合成は、TEAOH/SiO2 = 0.3まで低下させることができるが、同時にHF/SiO2は0.7以上でなければ小結晶粒を合成することはできない。しかも、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドが少なければ少ないほど、加えるフッ化水素酸の量は多くなり、比較的長い合成時間が必要となる。この他、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド量の原料の面では、老化前に、フッ化水素酸を先にテトラエチルアンモニウムヒドロキシドに加え、二酸化シリコンのシリコンソースに加える方が、フッ化水素酸を後に加えるより、小結晶粒βゼオライトを形成し易い。
【0024】
上記ステップ(a)の老化温度は30から90°Cで、40から80°Cが最適で、これにより老化速度を速め、すなわちエタノールの揮発を速め、オールシリコンβゼオライトの合成を助ける。但し、もしテトラエトキシシランをシリコンソースとして使用するなら、揮発損失の問題があるため、温度は40℃を超えないことが望ましい。しかし、Corma氏等の特許方法は、主に解離が容易なテトラエトキシシランをシリコンソースとして採用するため、エタノール残留の問題があり、エタノールはオールシリコンβゼオライトの結晶化にかかる時間を引き延ばしてしまう。よって、オールシリコンβゼオライトの合成時間も長くなってしまう。
【0025】
上記ステップ(b)は100から190°Cで、最適温度140から180°Cで、反応混合物に結晶化反応を起こさせる。結晶化反応は0から800 rpmで、200から600 rpmの撹拌で行なうことが望ましい。
本発明は、高回転速度の撹拌方式合成は、オールシリコンβゼオライト結晶の縮小化に有利であることを発見した。もし、Corma氏等の特許記載の、合成時の撹拌速度1分間に60回転に基づけば、合成で得られるゼオライト結結晶粒は、小さくなってもおらず、結晶粒の大きさの分布は非常に不均一である。よって、撹拌の速度が1分間に200回転以上であれば、小結晶粒で、かつ粒が均一なβゼオライトの合成に有利である。
【0026】
本発明の二酸化シリコンのシリコンソースは、テトラエトキシシラン 、シリコンゲル液、シリカ・フューム、シリカ或いは非晶質二酸化シリコンで、シリコンゲル液或いはシリカ・フュームが最適である。オールシリコンβゼオライトの合成と他の合成の異なる点は、結晶前は固体の状態で、非常に特殊の反応である点で、すなわち工業大量合成においては、それが面倒な点である。なぜなら固態原料はソフトであるため、実際に合成可能な量は、液態を用いて行う合成量より非常に少なくなるからである。フッ化水素酸を加えることで、二酸化シリコンの溶解度が低くなるため、二酸化シリコン原料は、固態で存在する。もし、固態合成を液態或いはゲル態合成に変えることができれば、工業プロセスに対して多くの問題を解決することができる。本発明では、先ず二酸化シリコンのシリコンソース(例えば、二酸化シリコンソルなど)とフッ化水素酸を一緒にし、若干時間の撹拌後に、さらにテトラエチルアンモニウムヒドロキシドを加え、老化反応を行ない、得られた流動性を備えるゲル体を、直接オートクレーブ(autoclave)中に入れ、結晶化反応を行なう。この方式は、小結晶粒のβゼオライトを合成することができ、同時にプロセスを簡略化することができる。この液態合成の方式において、使用する反応釜の容積は、固態合成の方式でのものよりかなり小さく、そのプロセスの温度制御も、より安定している。本発明は、価廉で、比較的解離しにくい二酸化シリコンソル或いはシリカ・フュームを合成原料として使用するが、本発明の合成方法は、その加水分解が容易でない点を克服可能で、さらに約1から4日以内に(従来の技術では皆、10日以上必要)、大量かつ結晶粒の大きさの平均が5μm以下のオールシリコンβゼオライト結晶を合成することができる。
【0027】
本発明は、Corma氏等文献上の条件に基づき、テトラエチルシロキサンを、シリカ・フューム或いは二酸化シリコンソルに換え、22日間の靜態合成を行なったが、一切のβゼオライト結晶の出現を確認することができなかった。何度繰り返し行っても、その結果は同様であった。結晶時間をさらに延ばした(30日以上)ところ、石英(quartz)が生成された。これにより、Corma氏等文献上の条件を利用した場合の、最良の二酸化シリコンのシリコンソースは、解離が容易であるため、やはりテトラエチルシロキサンであることが証明された。
【0028】
また、本発明のフッ素イオンソースは、フッ素化水素などである。
本発明のテトラエチルアンモニウムイオンソースは、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどである。
この他、本発明はpHが、ソル-ゲル法により合成された産物に非常に大きな影響を及ぼし、産物の外観、光学性質、結晶粒の大きさに影響を与えるばかりか、反応速度にも非常に大きく影響することを発見した。酸性システム中において、シロキサンの加水分解速度は速くなり、縮合速度は緩慢となり、結晶粒が小さい、網状構造が容易に形成される。アルカリ性システム中では、シロキサンの加水分解速度は緩慢で、縮合速度は速く、しかも、アルカリ性の環境中では、二酸化シリコンの溶解度は比較的大きいため、結晶粒が大きく、粒状の産物が形成される。マイナスイオンと有機プラスイオンのソースは、合成時のpH値に影響を及ぼす。本発明結晶後の反応釜内の下層に出現した固体のpH値は5〜6で、上層液体のpH値は8〜9である。
【0029】
別に、本発明はステップ(a)中の反応混合物中に、結晶促進剤を加え、オールシリコンβゼオライトの生成を促進する。結晶促進剤βは、ゼオライト、モルデナイト或いはメタリックソルトなどである。
本発明により合成する小結晶粒オールシリコンβゼオライトは、ゼオライト薄膜製造、或いは活性剤の負荷に用いるキャリアに使用することができる。さらに、不飽和鍵を備える、或いは官能基を備える炭化水素化合物の水素化反応、アルカンの脱水素反応、炭化水素化合物の酸化反応、炭化水素類と官能基を備える炭化水素化合物の軽度水素化フラグメンテーション反応、アルケン炭化水素重合反応に応用可能である。
【0030】
本発明の合成方法を利用すれば、約1から4日以内に(従来の技術では皆、10日以上必要)粒が5μm以下のオールシリコンβゼオライトを多量に合成することができる。よって、オールシリコンβゼオライト合成の生産効率を向上させ、エネルギー消費を減少させ、製造コストを大幅に引き下げることができる。
【0031】
以下の実施例は、本発明の技術手段を説明するに過ぎず、本発明の技術範囲に制限を加えるものではない。
[比較例1]
この比較例のオールシリコンβゼオライトの合成は、文献[Microporous and Mesoporous Materials 46, (2001), 35-46]の方法に基づき、一点の修正を加えたものである。
先ず、41.67gのテトラエトキシシラン (TEOS 98%純度)と46.28gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド (TEAOH 35%、Aldrich社、ナトリウム<2 ppm、ポタジウム <0.5 ppm)をポリプロピレンビーカー中に入れ、室温 (30℃) で72時間の撹拌を維持する。次に、3.45gの濃フッ化水素酸 (48% HF)をゆっくりと溶液中に加え、均一に撹拌すると、最後にこの混合物は白色固体となる。この白色混合物の組成のモル比は以下の通りである。
SiO2/Al2O3 =∞
TEA+/ SiO2 =0.55
H2O/ SiO2 =7.6
F-/ SiO2 =0.6
次に、混合物をステンレス反応釜中(内部にテフロン(登録商標)加工を備える瓶)に入れ、140℃まで加熱し、靜態合成を行い、7.5日後に冷卻すると、反応釜内産物中の固体が下面にあり、淡褐色の液体が上面にある状態となる (下層固体のpHは6〜7で、上層液体のpHは 8〜9)。続いて、ろ過、120℃乾燥、550℃で乾燥空気を通し8時間のか焼を行う。XRD図中最強の回折峰 (22.5o, 2θ)の強度を、そのβゼオライト固体産物の結晶度が100 % (本発明XRD結晶度の標準品とする。図1参照)であるとし、その結晶粒の大きさは、スキャナー式電子顕微鏡(SEM)により分析したところ、およそ20〜30μm(図2参照)であった。
【0032】
[比較例2]
比較例1の合成方法に基づき、6.12gのシリカ・フューム (fumed silica、結晶粒の大きさ=0.0007μm、表面積= 390 m2/g、Sigma社)と、22.74gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド (TEAOH 35%、Aldrich)、7.08gの徐イオン水を、ポリプロピレンビーカー中に入れ、30℃で加熱し撹拌を1日維持する。次に、2.27gの濃フッ化水素酸 (48% HF)を溶液中に加え、均一に撹拌すると、最後に、この混合物は白色固体となる。この混合物の組成は以下の通りである。
SiO2/Al2O3 =∞
TEA+/ SiO2 =0.53
H2O/ SiO2 =10.6
F-/ SiO2 =0.53
次に、混合物を反応釜(内部にテフロン(登録商標)加工を施す瓶)に入れ、140℃まで加熱し、靜態合成を行い、9〜22日間の内、数回サンプルを取り冷卻する。続いて、ろ過、乾燥、500℃で8時間のか焼を行なう。得られた固体産物は、そのXRD図中からは、一切のβゼオライト結晶の生成が確認されない。
【0033】
[比較例3]
比較例1の合成方法に基づき、先ず、19.81gのシリカ (Silicic acid,Aldrich) と76.09gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド (TEAOH 35%、Aldrich)をガラスの平底ビーカー中に入れ、40℃で3日間回流させる。次に、6.36gの濃フッ化水素酸 (48% HF)を溶液中に加え、均一に撹拌すると、最後にこの混合物は白色固体となる。その組成は、以下の通りである。
SiO2/Al2O3 =∞
TEA+/ SiO2 =0.55
H2O/ SiO2 =9.09
F-/ SiO2 =0.46
次に、混合物を反応釜(内部にテフロン(登録商標)加工を施す瓶)中に入れ、140℃まで加熱し、靜態合成を行い、10日間の反応後に冷卻した。産物の結果及び処理ステップは、実施例1と同様である。XRD図からは、βゼオライト固体産物の相対結晶度は84%であることが分かり、SEM図中では、それらは皆、双錐型大結晶 (< 20μm)で、不定形 (amorphous)粉末を伴うことが見て取れる。つまり、反応が完全ではないことを示している。
【0034】
[比較例4]
この比較例は、Corma氏等の WO97/33830特許文献中の関連があるオールシリコンβゼオライトの合成方法の条件を參考とする。ただ、テトラエトキシシランをシリコンゲルに換え、しかも、室温での老化時間を延長する。74.4gのシリコンゲル液 (Colloidal silica 40%, LudoxAS- 40)と115.4gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド (TEAOH 35%、Aldrich)を、ポリプロピレンビーカー中に入れ、室温 (32℃)下で7日間撹拌する。次に、11.95gの濃フッ化水素酸 (48% HF)を溶液中に加え、均一に撹拌すると、最後にこの混合物は白色固体となる。その組成は以下の通りである。
SiO2/Al2O3 =∞
TEA+/ SiO2 =0.55
H2O/ SiO2 =7.2
F-/ SiO2 =0.55
次に、混合物を反応釜(内部にテフロン(登録商標)加工を施す瓶)中に入れ、140℃まで加熱する。加熱中に、反応釜の撹拌速度を60 回転/分に維持する。反応3日後に冷卻する。産物結果と処理ステップは実施例1と同様である。XRD分析から得られるβゼオライト固体産物の相対結晶度は84 %で、SEMは、それらは結晶粒の大きさが非常にばらばらで、生成された結晶の大部分は10μmであることを示している。
【0035】
[比較例5]
この比較例は、Corma氏の特許文献中の関連があるオールシリコンβゼオライトの合成方法の条件を参考とするが、老化時間を延長する。先ず、81.8gのテトラエトキシシラン (98%) と88.6gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド (TEAOH 35%、Aldrich)をポリプロピレンビーカー中に入れ、室温 (30℃) で撹拌を68時間行なう。さらに、8.85gの濃フッ化水素酸 (HF 48%)を溶液中に加え、均一に撹拌すると、最後にこの混合物は白色固体となる。その組成は、以下の通りである。
SiO2/Al2O3 =∞
TEA+/ SiO2 =0.547
H2O/ SiO2 =5.59
F-/ SiO2 =0.552
次に、混合物を反応釜(内部にテフロン(登録商標)加工を施す瓶)中に入れ、140℃まで加熱し、加熱中に、撹拌回転速度を60 回転/分に維持する。反応70時間後に冷卻する。産物結果と処理ステップは実施例1と同様である。XRD分折により得られたβゼオライト固体産物の相対結晶度は89 % (標準品との比較)で、それらの大部分は10〜20μmで、しかも、結晶粒の大きさに非常に大きなばらつきがあることを、SEMは示している。
【0036】
以下の実施例1から実施例13では、本発明二酸化シリコンのシリコンソースとテトラエチルアンモニウムヒドロキシドとの混合を先ず行い、次にフッ化水素酸と混合を行なう合成方法について説明する。
[実施例1]
先ず、15.74gのシリカ (silicic acid,Sigma) と47.37gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド (TEAOH 35%、Aldrich)をガラスの平底ビーカー中に入れ、40℃で磁石を用い3日間撹拌後、さらに、5.8gの濃フッ化水素酸 (48% HF)を溶液中に加え、均一に撹拌すると、最後にこの混合物は白色固体となる。この混合物の組成は、以下の通りである。
SiO2/Al2O3 =∞
TEA+/ SiO2 =0.56
H2O/ SiO2 =4.6
F-/ SiO2 =0.69
次に、混合物を反応釜(内部に、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン,PTFE)加工を施す瓶)に入れ、140℃まで加熱し、靜態合成を行い、反応4.5日の後に冷卻したところ、反応釜内の産物中の固体が下面にあり、淡褐色の液体が上面にあることを発見した (下層固体のpHは6〜7で、上層液体のpHは 8〜9)。次に、ろ過、120℃乾燥、550℃で乾燥空気を通し8時間のか焼を行い、最後に、12.33gのβゼオライト固体産物を得ることができた。その生産効率は78.33%である。XRD図から分かるように、その相対結晶度は87 %で、SEM結晶粒の大きさは約5μmである。XRD結晶度の標準品として、比較例1のXRD図中の最強の回折峰(22.5o, 2θ)の強度を、βゼオライト固体産物の結晶度100 %とする (図1参照)。
【0037】
[実施例2]
先ず、40.8gのシリコンゲル液 (colloidal silica 30%、Ludox AS-30) と46.85gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド (TEAOH 35%、Aldrich)をガラスの平底ビーカー中に入れ、50℃で48時間の撹拌を行なう。さらに、9.0gの濃フッ化水素酸 (48% HF)を溶液中に加え、均一に撹拌すると、最後にこの混合物は白色固体となる。その組成は、以下の通りである。
SiO2/Al2O3 =∞
TEA+/ SiO2 =0.55
H2O/ SiO2 =3.2
F-/ SiO2 =0.60
次に、混合物を反応釜(内部にテフロン(登録商標)加工を施す瓶)に入れ、140℃まで加熱し、靜態合成を行い、反応4.5日の後に冷卻する。産物結果と処理ステップは実施例1と相同である。最後に得られたβゼオライト固体産物の重量は11.08gで、生産効率は88 % である。XRD図から分かるように、その相対結晶度は108 % (標準品との比較)で、SEM図は、それらが3μmの良好な結晶を非常に平均した状態で生成できていることを示している。
【0038】
[実施例3]
先ず、30gのシリコンゲル液 (colloidal silica 40%、Ludox AS-40) と49.3gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド (TEAOH 35%、Aldrich)をガラスの平底ビーカー中に入れ、90℃で磁石を用い12時間撹拌する。さらに、5.0gの濃フッ化水素酸 (48% HF)を溶液中に加え、均一に撹拌すると、最後にこの混合物は褐色固体となる。その組成は、以下の通りである。
SiO2/Al2O3 =∞
TEA+/ SiO2 =0.58
H2O/ SiO2 =2.6
F-/ SiO2 =0.6
次に、混合物を反応釜(内部にテフロン(登録商標)加工を施す瓶)中に入れ、140℃まで加熱し、靜態合成を行い、反応3日の後に冷卻し、さらにろ過、乾燥、500℃で8時間のか焼を行う。得られた固態産物は、そのXRD図からは一切の結晶の生成が認められない。よって、老化温度が高過ぎ、不良な結果を招いたことを示している。
【0039】
[実施例4]
先ず、50gのシリコンゲル液 (colloidal silica 30%,Ludox AS-30)と57.85gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド (TEAOH 35%、Aldrich)をポリプロピレンビーカー中に入れ、40℃で24時間撹拌する。さらに、7.3gの濃フッ化水素酸 (HF 48%)を溶液中に加え、均一に撹拌すると、最後この混合物は白色固体となる。その組成は、以下の通りである。
SiO2/Al2O3 =∞
TEA+/ SiO2 =0.56
H2O/ SiO2 =4.2
F-/ SiO2 =0.7
次に、混合物を反応釜(内部にテフロン(登録商標)加工を施す瓶)に入れ、140℃まで加熱し、靜態合成を行い、反応43 時間の後に冷卻する。産物結果と処理ステップは実施例1と相同である。XRD図は、そのβゼオライト固態産物の相対結晶度は83 %であることを示し、SEM図は、それらが5μmの良好な結晶を非常に平均した状態で生成できていることを示している。
【0040】
[実施例5]
先ず、51.6gのシリコンゲル液 (colloidal silica 30%、Ludox AS-30)と58.95gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAOH 35%、Aldrich)をポリプロピレンビーカー中に入れ、45℃で24時間撹拌する。さらに、7.0gの濃フッ化水素酸(48% HF)を溶液中に加え、均一に撹拌すると、最後にこの混合物は白色固体となる。その組成は、以下の通りである。
SiO2/Al2O3 =∞
TEA+/ SiO2 =0.54
H2O/ SiO2 =4.6
F-/ SiO2 =0.65
次に、混合物を反応釜(内部にテフロン(登録商標)加工を施す瓶)に入れ、160℃まで加熱し、靜態合成を行い、23時間の反応の後に冷卻する。産物結果と処理ステップは実施例1と相同である。最後に得られたそのβゼオライト固体産物重量は14.45 gで、生産効率は90%である。そのXRD図 (図3参照)から、その相対結晶度は100 %であることが分かり、SEM図 (図4参照)は、それらが5μmの良好な結晶を非常に平均した状態で生成できていることを示している。
【0041】
[実施例6]
先ず、61.1gのシリコンゲル液(colloidal silica 30%、 Ludox AS-30)と69.95gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド (TEAOH 35%、Aldrich)をポリプロピレンビーカー中に入れ、40℃で24時間撹拌する。さらに、9.0gの濃フッ化水素酸 (48% HF)を溶液中に加え、均一に撹拌すると、この混合物は白色固体となる。その組成は、以下の通りである。
SiO2/Al2O3 =∞
TEA+/ SiO2 =0.54
H2O/ SiO2 =4.2
F-/ SiO2 =0.71
次に、混合物を反応釜(内部にテフロン(登録商標)加工を施す瓶)に入れ、180℃まで加熱し、靜態合成を行い、16時間の反応を行なう。産物結果と処理ステップは、実施例1に相同である。XRD図から分かるように、βゼオライト固体産物の相対結晶度は107 %で、SEM図は、それらが5μmの良好な結晶を非常に平均した状態で生成できていることを示している。
【0042】
[実施例7]
先ず、15gのシリカ・フューム、58.05gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド、と50gの徐イオン水をポリプロピレンビーカー中に入れ、45℃で24時間撹拌する。さらに、9.0gの濃フッ化水素酸 (48% HF)を溶液中に加え、均一に撹拌すると、最後にこの混合物は白色固体となる。その組成は、以下の通りである。
SiO2/Al2O3 =∞
TEA+/ SiO2 =0.55
H2O/ SiO2 =3.6
F-/ SiO2 =0.61
次に、混合物を反応釜(内部にテフロン(登録商標)加工を施す瓶)に入れ、150℃まで加熱し、靜態合成を行い、反応46時間後に冷卻する。産物結果と処理ステップは実施例1と相同である。XRD図から、そのβゼオライト固体産物の相対結晶度が91 %であることが分かり、SEM図は、それらが1〜2μmの良好な結晶を非常に平均した状態で生成できていることを示している。
【0043】
[実施例8]
先ず、75.0gのシリコンゲル液 (colloidal silica 40%、Ludox AS-40) と116.8gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド (TEAOH 35%、Aldrich)をガラスの平底ビーカー中に入れ、45℃で24時間撹拌する。さらに、9.0gの濃フッ化水素酸 (48% HF)を溶液中に加え、均一に撹拌すると、最後にこの混合物は白色固体となる。その組成は、以下の通りである。
SiO2/Al2O3 =∞
TEA+/ SiO2 =0.55
H2O/ SiO2 =3.2
F-/ SiO2 =0.67
次に、混合物を反応釜(内部にテフロン(登録商標)加工を施す瓶)に入れ、150℃まで加熱し、加熱中は300回転/分の撹拌を維持する。反応3日の後に冷卻したところ、反応釜内の産物中の固体が下面にあり、淡褐色の液体が上面にあることを発見した (下層固体のpH値は 4から5で、上層液体のpH値は8〜9)。続いて、ろ過、乾燥、550℃で8時間か焼を行う。そのβゼオライト固体産物の重量は28.7gで、生産効率は95.7%である。XRD図から分かるように、その相対結晶度は84 %で、SEM図 (図5参照)は、それらが良好な不規則形結晶を生成し、結晶粒の大きさが約1μmであることを示している。
【0044】
[実施例9]
先ず、30.35gのシリカ・フューム (fumed Silica)、119.64gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド (TEAOH 35%、Aldrich)、と154gの徐イオン水をポリプロピレンビーカー中に入れ、50℃で24時間撹拌する。さらに、14.8gの濃フッ化水素酸 (48% HF)を溶液中に加え、均一に撹拌すると、最後にこの混合物は白色固体となる。その組成は、以下の通りである。
SiO2/Al2O3 =∞
TEA+/ SiO2 =0.55
H2O/ SiO2 =3.8
F-/ SiO2 =0.7
次に、混合物を反応釜(内部にテフロン(登録商標)加工を施す瓶)に入れ、次に150℃まで加熱し、加熱中に、反応釜の撹拌速度を300回転/分に維持し、反応3日の後に冷卻する。産物結果と処理ステップ、実施例8と相同である。XRD図から分かるように、βゼオライト固体産物の相対結晶度は114 %で、SEM図は、それらが良好な方形結晶を生成し、大きさは約1μmであることを示している。
【0045】
[実施例10]
先ず、30.0gのシリカ・フューム (fumed silica)、115.4gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド (TEAOH 35%、Aldrich)、と151gの徐イオン水をポリプロピレンビーカー中に入れ、50℃で24時間撹拌する。次に、15.2gの濃フッ化水素酸 (48% HF)を溶液中に加え、均一に撹拌すると、最後にこの混合物は白色固体となる。その組成は、以下の通りである。
SiO2/Al2O3 =∞
TEA+/ SiO2 =0.55
H2O/ SiO2 =3.6
F-/ SiO2 =0.73
次に、混合物を反応釜(内部にテフロン(登録商標)加工を施す瓶)に入れ、150℃まで加熱し、加熱中に、反応釜の撹拌速度を650回転/分に維持し、反応3日後に冷卻する。産物結果と処理ステップは、実施例8と相同である。そのβゼオライト固体産物重量は28.38gで、生産効率は94.6%である。XRD図から分かるように、その相対結晶度は136 %で、SEM図 (図6参照)は、それらが良好な不規則形結晶を生成し、大部分は0.4〜1μmであることを示している。
【0046】
[実施例11]
先ず、30.1gのシリカ・フューム (fumed silica)、119.6gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド (TEAOH 35%、Aldrich)、と150gの徐イオン水をポリプロピレンビーカー中に入れ、60℃で24時間撹拌する。さらに、15.7gの濃フッ化水素酸 (48% HF)を溶液中に加え、均一に撹拌すると、最後にこの混合物は白色固体となる。その組成は、以下の通りである。
SiO2/Al2O3 =∞
TEA+/ SiO2 =0.56
H2O/ SiO2 =2.99
F-/ SiO2 =0.75
次に、混合物を反応釜(内部にテフロン(登録商標)加工を施す瓶)に入れ、150℃まで加熱し、加熱中に、反応釜を300回転に維持し、反応3日後に冷卻する。産物結果と処理ステップは、実施例8と相同でる。XRD図から分かるように、そのβゼオライトの相対結晶度は154%で、SEM図は、それらが良好な不規則形結晶を生成し、多数は0.8〜1.3μmであることを示している。
【0047】
[実施例12]
先ず、36.3gのシリカ・フューム (fumed silica)、139.8gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド (TEAOH 35%、Aldrich)、と152gの徐イオン水をポリプロピレンビーカー中に入れ、50℃で24時間撹拌する。さらに、15.3gの濃フッ化水素酸 (48% HF)を溶液中に加え、均一に撹拌すると、最後にこの混合物は白色固体となる。その組成は、以下の通りである。
SiO2/Al2O3 =∞
TEA+/ SiO2 =0.55
H2O/ SiO2 =6.46
F-/ SiO2 =0.8
次に、混合物を反応釜(内部にテフロン(登録商標)加工を施す瓶)に入れ、150℃まで加熱し、加熱中に、反応釜の撹拌回転速度を300 回転/分に維持し、反応72時間後に冷卻する。産物結果と処理ステップは、実施例8と相同である。XRD図から分かるように、βゼオライト固体産物の相対結晶度は100 % (標準品との比較)で、SEM図は、それらが良好な不規則形結晶を生成し、しかも、大部分は2〜5μmの非常にばらつきの大きい結晶であることを示している。
【0048】
[実施例13]
先ず、44.1gのシリコンゲル液 (colloidal silica 30%、Ludox AS-30)と32.47gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド (TEAOH 35%、Aldrich)をポリプロピレンビーカー中に入れ、45℃で24時間撹拌する。さらに、6.2gの濃フッ化水素酸 (48% HF)を溶液中に加え、均一に撹拌すると、最後にこの混合物は白色固体となる。その組成は、以下の通りである。
SiO2/Al2O3 =∞
TEA+/ SiO2 =0.38
H2O/ SiO2 =4.8
F-/ SiO2 =0.67
次に、混合物を反応釜(内部にテフロン(登録商標)加工を施す瓶)に入れ、150℃まで加熱し、靜態合成を行い、反応5日の後に冷卻する。産物結果と処理ステップは、実施例8と相同である。XRD図から分かるように、βゼオライト固体産物の相対結晶度は90%で、SEM図は、それらが良好な方形結晶を生成し、大きさは約20μmであることを示している。よって、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドの減量後に、もしフッ化水素酸の量が少なく、含水量を十分に減らしていなければ、結晶の縮小に不利であることが分かる。
【0049】
以下の実施例14から実施例19は、本発明の二酸化シリコンのシリコンソースとフッ化水素酸を先ず混合し、次に、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドと混合を行なう合成方法を説明するものである。
[実施例14]
先ず、77.59gのシリコンゲル液 (colloidal silica 40%、Ludox AS-40)をポリプロピレンビーカー中に加え、室温で撹拌する。さらに、17.5gの濃フッ化水素酸 (48% HF)をゆっくりと溶液中に加え、同時にこの混合物が白色のゲル体に変わるまで均一に撹拌する。続いて、127.7gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAOH 35%、Aldrich)を加え、均一に撹拌すると、乳白色の溶液に変わる。さらに、50℃で撹拌すると、24時間後に乳白色のゲル体溶液に転化する。このゲル体混合物の組成は、以下の通りである。
SiO2/Al2O3 =∞
TEA+/ SiO2 =0.58
H2O/ SiO2 =4.43
F-/ SiO2 =0.81
次に、混合物を反応釜(内部にテフロン(登録商標)加工を施す瓶)中に入れ、150℃まで加熱し、加熱中に、撹拌を300 回転/分に維持し、反応3日後に冷卻する。産物結果と処理ステップは、実施例8と相同である。XRD分析から分かるように、βゼオライト固体産物の相対結晶度は83 %で、SEM図は、それらが良好な不規則形結晶を生成し、しかも、大部分は1〜3μmであることを示している。
【0050】
[実施例15]
先ず、76gのシリコンゲル液 (colloidal silica 40%、Ludox AS-40)をポリプロピレンビーカー中に入れ、室温で撹拌する。さらに、21.86gの濃フッ化水素酸 (48% HF)をゆっくりと溶液中に加え、同時にこの混合物が白色のゲル体に変わるまで均一に撹拌する。続いて、176.8gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド (TEAOH 35%、Aldrich) を加え、均一に撹拌すると、乳白色の溶液に変わる。次に、56℃で24時間撹拌すると、乳白色のゲル体溶液に転化する。このゲル体混合物の組成は、以下の通りである。
SiO2/Al2O3 =∞
TEA+/ SiO2 =0.83
H2O/ SiO2 =3.47
F-/ SiO2 =1.04
次に、混合物を反応釜(内部にテフロン(登録商標)加工を施す瓶)中に入れ、150℃まで加熱し、加熱中に、撹拌を300 回転/分に維持し、反応2.5日後に冷卻する。産物結果と処理ステップは、実施例8と相同である。XRD分析から分かるように、βゼオライト固体産物の相対結晶度は78 %で、SEM図は、それらが皆良好な不規則形結晶を生成し、しかも、大部分は0.8〜1.5μmであることを示している。
【0051】
[実施例16]
先ず、146.6gのシリコンゲル液 (colloidal silica 40%、Ludox AS-40)をポリプロピレンビーカー中に入れ、室温で撹拌する。さらに、35gの濃フッ化水素酸 (48% HF)をゆっくりと溶液中に加え、同時にこの混合物が白色のゲル体に変わるまで均一に撹拌する。続いて、228.2gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド (TEAOH 35%、Aldrich)を加え、均一に撹拌すると、乳白色の溶液に変わる。さらに、60℃で24時間撹拌すると、乳白色のゲル体溶液に転化する。このゲル体混合物の組成は、以下の通りである。
SiO2/Al2O3 =∞
TEA+/ SiO2 =0.555
H2O/ SiO2 =2.59
F-/ SiO2 =0.86
次に、混合物を反応釜(内部にテフロン(登録商標)加工を施す瓶)中に入れ、150℃まで加熱し、加熱中に、撹拌を300 回転/分に維持し、反応2日後に冷卻する。産物結果と処理ステップは、実施例8と相同である。XRD分析から分かるように、βゼオライト固体産物の相対結晶度は86 %で、SEM図は、それらが皆良好な不規則形結晶を生成し、しかも、大多数は0.7〜1.7μmであることを示している。
【0052】
[実施例17]
先ず、130gのシリコンゲル液 (colloidal silica 40%、Ludox AS-40)をポリプロピレンビーカー中に入れ、室温で撹拌する。さらに、20.21gの濃フッ化水素酸 (48% HF)をゆっくりと溶液中に加え、同時にこの混合物が白色のゲル体に変わるまで均一に撹拌する。次に、204.6gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド (TEAOH 35%、Aldrich)を加え、均一に撹拌すると乳白色の溶液となる。さらに、60℃で48時間し、乳白色のゲル体溶液に転化する。このゲル体混合物の組成は、以下の通りである。
SiO2/Al2O3 =∞
TEA+/ SiO2 =0.56
H2O/ SiO2 =3.53
F-/ SiO2 =0.56
次に、混合物を反応釜(内部にテフロン(登録商標)加工を施す瓶)中に入れ、150℃まで加熱し、加熱中に、撹拌を320 回転/分に維持し、反応2日後に冷卻する。産物結果と処理ステップは、実施例8と相同である。XRD分析から分かるように、βゼオライト固体産物の相対結晶度は87 %で、SEM図は、それらが良好な不規則形結晶を生成し、しかも、大部分は0.8〜1.5μmであることを示している。
【0053】
[実施例18]
先ず、130.6gのシリコンゲル液 (colloidal silica 40%、 Ludox AS-40)をポリプロピレンビーカー中に入れ、室温で撹拌する。さらに、25.48gの濃フッ化水素酸 (48% HF)をゆっくりと溶液中に加え、同時にこの混合物が白色のゲル体に変わるまで均一に撹拌する。次に、183.0gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド (TEAOH 35%、Aldrich)を加え、均一に撹拌した後の乳白色の溶液を、60℃で24時間撹拌すると、乳白色のゲル体溶液に転化する。このゲル体混合物の組成は、以下の通りである。
SiO2/Al2O3 =∞
TEA+/ SiO2 =0.50
H2O/ SiO2 =2.77
F-/ SiO2 =0.7
次に、混合物を反応釜(内部にテフロン(登録商標)加工を施す瓶)中に入れ、150℃まで加熱し、加熱中に、撹拌を350 回転/分に維持し、反応2日後に冷卻する。産物結果と処理ステップは、実施例8と相同である。XRD分析から分かるように、βゼオライト固体産物の相対結晶度は92 %で、SEM図は、それらは良好な不規則形結晶を生成し、しかも、大部分は1〜2μmであることを示している。
【0054】
[実施例19]
先ず、130.0gのシリコンゲル液 (colloidal silica 40%、 Ludox AS-40)をポリプロピレンビーカー中に入れ、室温で撹拌する。さらに、19.95gの濃フッ化水素酸 (48% HF)をゆっくりと溶液中に加え、同時にこの混合物が白色のゲル体に変わるまで均一に撹拌する。次に、182.6gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド (TEAOH 35%、Aldrich)を加え、均一に撹拌後の乳白色の溶液を、さらに60℃で24時間撹拌すると、乳白色のゲル体溶液に転化する。このゲル体混合物の組成は、以下の通りである。
SiO2/Al2O3 =∞
TEA+/ SiO2 =0.50
H2O/ SiO2 =2.08
F-/ SiO2 =0.55
次に、混合物を反応釜(内部にテフロン(登録商標)加工を施す瓶)中に入れ、150℃まで加熱し、加熱中に、撹拌を350 回転/分に維持し、反応2日後に冷卻する。産物結果と処理ステップは、実施例8と相同である。XRD分析から分かるように、βゼオライト固体産物の相対結晶度は79%で、SEM図は、それらは良好な不規則形結晶を生成し、しかも、大部分は0.2〜0.8μm (一部は3〜7μm)であることを示している。よって、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドの減量後に、濃フッ化水素酸量が少なければ、結晶の縮小に不利であることが分かる。
【0055】
以下の実施例20から実施例22までは、本発明の二酸化シリコンのシリコンソースとテトラエチルアンモニウムヒドロキシドを先ず混合し、次にフッ化水素酸と混合し、アルミニウムを含むゼオライト種結晶を利用する合成方法を説明する。
[実施例20]
先ず、40.45gのシリコンゲル液 (colloidal silica 30%, Ludox AS-30)と46.9gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド (TEAOH 35%、Aldrich)をポリプロピレンビーカー中に入れ、数分間の撹拌後に、アルミニウムを含むβゼオライト(シリコン/アルミニウム=30)を2.46gを加え、50℃で20時間の磁石撹拌を行う。さらに、濃フッ化水素酸 (48% HF) 5.9gを溶液中に加えると、この混合物は、非常に密集したゲル体を生成する。その組成モル比は、以下の通りである。
TEA+/ SiO2 =0.55
H2O/ SiO2 =4.6
F-/ SiO2 =0.70
次に、混合物を反応釜(内部にテフロン(登録商標)加工を施す瓶)に入れ、140℃まで加熱し、靜態合成を行い、反応20時間の後に冷卻する。産物結果と処理ステップは、実施例8と相同である。XRD図から分かるように、βゼオライト固態産物の相対結晶度は75 %で、SEM図は、それらが皆、平均で0.2μmに近い良好な方形結晶を生成していることを示している。EDSから分かるように、固体表面にAlは存在せず、大部分のAlは結晶内部にあることを示している。
【0056】
[実施例21]
先ず、27.3gのシリコンゲル液 (colloidal silica 30%、Ludox AS-30) と26.55gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド (TEAOH 35%、Aldrich)をポリプロピレンビーカー中に入れ、数分間の撹拌後に、アルミニウムを含むβゼオライト(シリコン/アルミニウム=30)6.46gを加え、40℃で20時間の磁石撹拌を行う。さらに、濃フッ化水素酸 (48% HF) 3.4gを溶液中に加えると、この混合物は、非常に密集したゲル体を生成する。その組成モル比は、以下の通りである。
TEA+/ SiO2 =0.63
H2O/ SiO2 =4.8
F-/ SiO2 =0.82
次に、混合物を反応釜(内部にテフロン(登録商標)加工を施す瓶)に入れ、140℃まで加熱し、靜態合成を行い、反応20 時間の後に冷卻する。産物結果と処理ステップは、実施例8と相同である。XRD図から分かるように、βゼオライト固態産物の相対結晶度は71 %で、SEM図は、それらが皆平均で0.2 〜0.5μmに近い良好な方形結晶を生成していることを示している。但し、EDSから分かるように、固体表面には少なくないAlが存在し、アルミニウムを含む種シリコンが多過ぎる時、アルミニウムは結晶反応に参与し、転移することを示している。
【0057】
[実施例22]
先ず、30.8gのシリコンゲル液 (colloidal silica 40%、Ludox AS-40)と47.0gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド (TEAOH 35%、Aldrich)をポリプロピレンビーカー中に入れ、数分間の撹拌後に、6.0gのモルデナイト (Mordenite型、CBV-21A,Zeolyst社)(シリコン/アルミニウム比=20)を加え、40℃で20時間撹拌する。さらに、3.4gの濃フッ化水素酸 (48% HF)を溶液中に加えると、この混合物は、非常に密集したゲル体を生成する。その組成モル比は、以下の通りである。
TEA+/ SiO2 =0.54
H2O/ SiO2 =4.8
F-/ SiO2 =0.94
次に、混合物を反応釜(内部にテフロン(登録商標)加工を施す瓶)に入れ、150℃まで加熱し、靜態合成を行い、反応3日後に冷卻する。続いて、ろ過、乾燥、500℃で8時間のか焼を行なう。XRD図から分かるように、そのβゼオライト固態産物の相対結晶度は136 %で、EDSから分かるように、固体表面には少なくないAlが存在している。
【0058】
以下の実施例23と実施例24は、本発明の二酸化シリコンのシリコンソースとテトラエチルアンモニウムヒドロキシドを先ず混合し、次にフッ化水素酸と混合し、さらにメタリックソルトを加える合成方法を示している。
[実施例23]
先ず、90.55gのシリコンゲル液 (colloidal silica 40%、Ludox AS-40)、138.75gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド (TEAOH 35%、Aldrich) 、1.18gの酸化ジエチルすず [Sn(CH3COO)2]をポリプロピレンビーカー中に入れ、均一に撹拌すると、溶液は淡褐色を呈する。それを45℃で24時間撹拌し、さらに、25.22gの濃フッ化水素酸 (48% HF)を溶液中に加え、均一に撹拌すると、最後にこの混合物は淡褐色固体となる。その組成は、以下の通りである。
SiO2/Al2O3 =∞
TEA+/ SiO2 =0.546
H2O/ SiO2 =3.0
F-/ SiO2 =1.0
Sn/ SiO2 =0.0083
次に、混合物を反応釜(内部にテフロン(登録商標)加工を施す瓶)に入れ、150℃まで加熱し、加熱中に、反応釜の回転速度を300 回転/分に維持し、反応71時間後に冷卻する。産物結果と処理ステップは、実施例8と相同である。XRD図から分かるように、βゼオライト固体産物の相対結晶度は78 %で、SEM図は、それらが良好な不規則形結晶を生成し、しかも、大部分は1μm前後の結晶であることを示している。
【0059】
[実施例24]
先ず、87.8gのシリコンゲル液 (colloidal silica 40%、Ludox AS-40)、135.6gのテトラエチルアンモニウムヒドロキシド (TEAOH 35%、Aldrich)、0.346gの酸化ジエチルすず [Sn(CH3COO)2]、0.192gのPt(NH3)4(NO3)2をポリプロピレンビーカー中に入れ、均一に撹拌すると、溶液は淡褐色を呈する。さらに、60℃で24時間撹拌し、25.22gの濃フッ化水素酸 (48% HF)を溶液中に加え、均一に撹拌すると、最後にこの混合物は淡褐色固体となる。その組成モル比は、以下の通りである。
SiO2/Al2O3 =∞
TEA+/ SiO2 =0.55
H2O/ SiO2 =3.6
F-/ SiO2 =0.7
Sn/ SiO2 =0.0025
Pt/ SiO2 =0.00085
次に、混合物を反応釜(内部にテフロン(登録商標)加工を施す瓶)中に入れ、140℃まで加熱する。加熱中に、反応釜の撹拌速度を300 回転/分に維持し、反応72時間後に冷卻する。産物結果と処理ステップは、実施例8と相同である。XRD図から分かるように、βゼオライト固体産物の相対結晶度は74 %で、SEM図は、それらの大部分は2μm前後の結晶であることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法は、以下のステップを含み、
(a)二酸化シリコン(SiO2)シリコンソース、フッ素イオン(F-)ソース、テトラエチルアンモニウムイオン(TEA+)ソースと徐イオン水(H2O)を混合し、反応混合物を形成し、該反応混合物の組成モル比範囲は、以下の通りで、
F-/ SiO2= 0.33〜3.0
TEA+/ SiO2 = 0.3〜1.0
H2O/SiO2 = 1.5〜-6.0
F-/ TEA+ = 1.1〜3.0
(b)オールシリコンβゼオライト結晶が形成されるまで、該反応混合物に結晶化反応を起こさせ、
(c)該各オールシリコンβゼオライト結晶を回収し、
結晶化反応前の該反応混合物のpH値は6から9の間で、結晶化反応完成後のpH値は6から8の間であることを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法。
【請求項2】
請求項1記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記各オールシリコンβゼオライト結晶の結晶粒の大きさが< 5μmであることを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法。
【請求項3】
請求項1記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記ステップ(a)中で混合を行う温度は30から90°Cの間であることを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法。
【請求項4】
請求項1記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記ステップ(a)中で混合を行う温度は40から80°Cの間であることを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法。
【請求項5】
請求項1記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記在ステップ(a)中の該反応混合物の組成モル比範囲は、
F-/ SiO2= 0.55〜3.0
TEA+/ SiO2 = 0.3〜0.50
H2O/SiO2 = 1.5〜6.0であることを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法。
【請求項6】
請求項1記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記在ステップ(a)中において、該二酸化シリコン(SiO2)シリコンソース、該フッ素イオン(F-)ソース、徐イオン水(H2O)は先ず混合を行い、次に該テトラエチルアンモニウムイオン(TEA+)ソースと温度40から80°Cにおいて混合を行い、該反応混合物の組成モル比範囲は、
F-/ SiO2= 0.44〜1.8
TEA+/ SiO2 = 0.4〜0.9
H2O/SiO2 = 1.5〜4.0
F-/ TEA+ = 1.1〜2.0であることを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法。
【請求項7】
請求項1記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記在ステップ(a)中において、該二酸化シリコン(SiO2)シリコンソース、該テトラエチルアンモニウムイオン(TEA+)ソース、徐イオン水(H2O)は温度40から80°Cにおいて先ず混合を行い、次に該フッ素イオン(F-)ソースと混合を行い、該反応混合物の組成モル比範囲は、
F-/ SiO2= 0.55〜2.0
TEA+/ SiO2 = 0.5〜1.0
H2O/SiO2 = 2.0〜4.0
F-/ TEA+ = 1.1〜2.0であることを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法。
【請求項8】
請求項1或いは請求項6或いは請求項7記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記ステップ(b)では、温度100から190°Cの間及び0から800 rpmの撹拌において、該反応混合物に結晶化反応を起こさせることを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法。
【請求項9】
請求項1或いは請求項6或いは請求項7記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記ステップ(b)では、温度100から190°Cの間及び300から600 rpmの撹拌において、該反応混合物に結晶化反応を起こさせることを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法。
【請求項10】
請求項1或いは請求項6或いは請求項7記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記ステップ(c)の後にはさらに、オールシリコンβゼオライト結晶粒に対してか焼を行うステップを含むことを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法。
【請求項11】
請求項10記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記対オールシリコンβゼオライト結晶粒のか焼は、温度350 から 900°Cの空気環境下で行うことを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法。
【請求項12】
請求項11記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記か焼完成後のオールシリコンβゼオライトを、水中に浸した時のpH値は4以下であることを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法。
【請求項13】
請求項1或いは請求項6或いは請求項7記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記二酸化シリコン(SiO2)シリコンソースは、テトラエトキシシラン 、シリコンゲル液、シリカ・フューム、シリカ、非晶質二酸化シリコンにより組成するグループから選択することを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法。
【請求項14】
請求項1或いは請求項6或いは請求項7記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記在ステップ(a)中の該反応混合物中に、結晶促進剤を加えることを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法。
【請求項15】
請求項14記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記結晶促進剤は、βゼオライト、モルデナイトとメタリックソルトにより組成するグループから選択することを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法。
【請求項16】
請求項1或いは請求項6或いは請求項7記載の小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法において、前記各オールシリコンβゼオライト結晶は、ゼオライト薄膜製造、或いは活性剤のキャリアとして適用可能で、
不飽和鍵を備える、或いは官能基を備える炭化水素化合物の水素化反応、アルカンの脱水素反応、炭化水素化合物の酸化反応、炭化水素類と官能基を備える炭化水素化合物の軽度水素化フラグメンテーション反応、アルケン炭化水素重合反応に応用可能であることを特徴とする小結晶粒オールシリコンβゼオライトの合成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−241672(P2010−241672A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110773(P2009−110773)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(509124319)和益化學工業股▲ふん▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】