小線源療法用装置およびこれらの使用方法
小線源療法を対象組織領域に対して供給するための装置は、伸張体であって、近接端部と、組織経路への導入に適した寸法を有し、かつ放射線源を収容するための経路を含む複数の細長部材を有する遠位端部とを有するものを備える。細長部材は、折りたたみ形状と展開形状との間で可動である。使用時において、組織の中に経路が形成され、細長部材が折りたたみ形状を有する状態で、細長部材を担持する伸張体が対象位置まで経路を通って前進させられる。細長部材は、対象位置において展開形状にされ、例えば経路に沿って1つ以上の放射線源を導入するなどして、放射線が対象組織を治療するために供給される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して人あるいは哺乳類の体に対して小線源療法を実施するための装置、方法およびシステムに関し、より具体的には、例えば乳房組織および/または体腔などの組織内に対して小線源療法治療を実施するための展開可能な装置およびこのような装置を用いた小線源療法を実施するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小線源療法とは、放射線治療の一種であって、例えば乳房あるいは前立腺の癌などの悪性腫瘍を治療するために用いられるものである。一般的に、小線源療法においては、放射線源を直接対象組織に配置するものであるが、この対象組織は、腫瘍および/または窩洞または空腔を取り囲む組織を含み、これらの窩洞または空腔は、(例えば腫瘍を摘出することによって形成された窩洞または空腔である場合には)癌細胞を含む可能性がある。
【0003】
小線源療法は、多くの場合、2つの種類に、すなわち高線量率(HDR)と低線量率(LDR)小線源療法に分類されるものである。HDR小線源療法においては、対象組織に対して短い時間、例えば数秒から数分に亘って高レベル放射線源が、多くの場合には予め埋没されたカテーテルを介して設置される。これに対して、LDR小線源療法においては、より長い、時には不定である時間に亘って低レベル放射線源が設置される。
【0004】
いずれの形の小線源療法にも利点はある。例えば、HDR小線源療法においては、より短い線量供給時間において供給される高い照射レベルが可能となる。一方、LDR小線源療法においては、より低レベルな放射線源が用いられる。LDR放射線源におけるエネルギー場によって、例えば腫瘍、腺および窩洞または空腔の回りにおけるその他の組織などである対象組織に対して測定的および局所的である線量を供給することが可能となる。しかしながら、その後エネルギー場は衰えるため、付近における健康な組織に対する過度な照射を防止することが可能である。
【0005】
部分的にはLDR放射線源の低活動性に起因するものであるが、LDR小線源療法は、複数の利点を奏する。例えば、医療従事者にとって、LDR小線源療法における予防措置は、HDR小線源療法における予防措置に比べると幾分厳しくないものであってもいい。また、HDR小線源療法に比してLDR小線源療法には(例えば線量率効果など)放射線生物学上の利点があるため、治療中に通常組織をより良く救うことなどが可能となる。さらに、LDR小線源療法においては、移植期間が比較的長くなるため、照射治療の過程において医療機関を訪ねる回数が少ないのに対し、HDR小線源療法において、患者は通常供給される放射線の分割回数毎に医療機関に戻る必要があるが、この分割回数は、乳房に対する小線源療法において一般的には8〜10回となる。
【0006】
LDR小線源療法において用いられる一般的な放射線源は、例えばパラジウム(Pd)−103、ヨウ素(I)−125、金(Au)−198およびイリジウム(Ir)−192などの放射性同位元素を含むものである。同位元素のサイズや形状は異なる場合があるものの、通常の適用例(例えば前立腺の小線源療法など)においては、円錐形カプセル状の標準サイズであって、例えば直径0.8mmおよび長さ4.5mmである、おおよそ米粒ぐらいのサイズを有するものとして準備されるものであり、多くの場合は「シード」と称される。
【0007】
LDRシードは、多くの場合ガイドテンプレートを用いて針を介して供給される。ガイドテンプレートは、孔のマトリクスを有し、この孔によって針の縦方向における進行が案内され、針が対象組織に対して正しく位置づけられる。一旦針が対象組織に対して正しく位置決めされると、シードが各針の縦方向軸に沿って打ち込まれ、その後針を引き抜くことが可能となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
効果的ではあるが、現在の小線源療法の実施方法には、潜在的な欠点がある。例えば、LDRシードは、対象組織の内部において留置されたままで浮遊状態にあることが通常であるため、移動しやすい。さらに一旦移植されると、一般的にはLDRシードの取り出しあるいは再配置ができないとされている。さらに、LDR小線源療法においては、シード移植の前および移植中においても注意深く線量分布計算とシードマッピングを実施することが必要となる。このような計算とマッピングによって、対象組織量に対する効果的な放射線の供給を可能としながら、(例えば前立腺小線源療法においては尿道および直腸などの)周辺の健康な組織に対する照射を最低限に抑える。しかしながら、このような線量計算やシードマッピング技術は、効果的ではあるが、例えばそれぞれの臨床医によってシードの位置決め精度において潜在的に重大なばらつきが存在するなど、問題がある場合がある。
【0009】
従来のLDR小線源療法技術におけるさらに別の問題としては、このような技術の多くは、移植時において、放射性シードを個々に取り扱うことを必要とすることが多いということがあり、多くの場合、多大なる時間を要する。さらに、従来のLDR供給針は、一般的にシードを直線的に(比較的直線的な線に沿って)供給するものに限定される。したがって、所望の療法プロフィールを得るために、多くの場合には、(例えば前立腺の小線源療法において通常であるように、およそ50〜100シードを含む)数多くの移植をする必要があり、同時に潜在的に複雑な線量分布およびマッピング技術および設備が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、概して小線源療法を局所的な対象組織領域に対して供給するための装置および方法に関するものである。本発明は、身体におけるほとんど全ての領域に対して有益であるものの、とりわけ本発明は、乳房腫瘍あるいは腫瘍摘出手術による窩洞など、乳房組織の治療において特に有利である。例えば、本発明は、ネオアジュバント治療と切除後治療の療法における局所的な放射源の挿入および除去のために用いることが可能である。
【0011】
本発明の例示的な実施例は、小線源療法用手段および装置に関するものである。これらの手段および装置は、小線源療法治療を(例えば乳房組織領域などの)対象領域に対して施すことが可能である。別の実施例は、小線源療法用手段を対象領域に対して供給することに関するものである。小線源療法を対象領域に対して供給するためのシステムおよび方法も提供されるものである。
【0012】
一実施例において、小線源療法治療装置が提供されている。この装置は、伸張体であって、近接端部と組織を通る経路への導入に適した寸法を有する遠位端部とを有するものを備える。複数の細長部材が遠位端部に設けられ、これら部材に沿って放射線源を収容するための経路を有する。これら細長部材は組織経路を対象位置まで導入するための折りたたみ形状から展開形状へと可動とすることが可能である。対象位置に対して放射線を照射するための経路に沿って放射線源を導入可能とすることもできる。
【0013】
別の実施例において、身体の内部における組織の小線源療法治療のための方法が提案されている。この方法は、窩洞に隣接する対象位置に対して組織を通る経路を形成するステップと、複数の細長部材を担持する伸張体を、上記細長部材が折りたたみ形状にある状態で、上記経路を通って上記対象位置内へ前進させるステップとを有するものである。上記対象位置において上記細長部材を中心軸から離して配置するように上記細長部材を展開形状にさせる。これによって、隣接する上記細長部材の少なくとも一部の間で上記対象位置における(例えば上記窩洞を取り囲む)組織が延伸する。上記対象位置へ放射線を供給して上記対象位置における組織を治療する。
【0014】
上記概要は、本発明の全ての実施例あるいは全ての実施方法を描写することを意図していない。むしろ、本発明のより完全な理解は、以下における詳細な説明と特許請求の範囲を添付図面を鑑みつつ参照することにより明確となって理解されるものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、図面を参照しつつ、詳述されるものである。
【0016】
以下の例示的な実施例の詳細な説明において、実施例の一部をなすものであり、本発明が実施され得る特別の実施例が例示的に示されているものである添付図面を参照する。なお、本発明の範囲から逸脱することなく別の実施例を用いたり構造上の変更を加えたりすることが可能であることは理解され得る。
【0017】
一般的には、本発明は小線源療法用装置および方法とに関連するものである。例えば、一実施例において、1つあるいはそれ以上の治療要素(例えば放射源など)を対象組織領域に対して供給するためのシステムが提供されている。一旦供給されると、放射源を直ちに除去することも(例えばHDRへの適用の場合)あるいは所定の期間、そのまま、例えば移植することによって残すことも可能である(例えばLDRへの適用の場合)。いずれの場合においても放射源は、所定の療法プロフィールに従って対象組織領域に対して治療を施すことが可能である。
【0018】
ある実施例においては、LDR放射源を移植し、人体あるいは対象組織に対して固定することにより放射源の対象組織に対する移動を防止するか実質的に制限するようにすることが可能である。従来のLDR小線源療法とは異なり、本明細書に記載される装置と方法は、予め準備された、例えばシードなどの放射線源パッケージを用いて留置治療の役割を果たしながら、小線源療法が完了した場合には放射源を容易に除去することを可能にする。
【0019】
本明細書において使用される「放射源」「放射線源」とは、放射線量を供給すべく操作可能なほとんど全ての治療要素を含み得る。例えば、この放射源は、1つあるいはそれ以上の放射性シードあるいは1つあるいはそれ以上のLDRまたはHDRワイヤ要素(例えばイリジウムワイヤなど)であり得る。
【0020】
本明細書において使用される「移植可能な」という用語は、手段が体内に挿入され、その後、例えば1時間以上、好ましくは数時間以上、さらには数日以上を含む長期間に亘って周辺組織内に比較的固定的あるいは静的な位置に保持され得ることを示すものである。
【0021】
さらに、本明細書において使用される「対象組織」「対象組織領域」「対象領域」および「対象組織量」とは、放射線治療の利益を享受することが知られている人間(あるいはその他哺乳類の)体のほとんど全ての部分を含むものである。例えば、このような対象組織領域とは、腫瘍あるいは病巣そのもの、腫瘍の近傍あるいは周辺にある組織、あるいは腫瘍の切除によって形成された窩洞領域(例えば、乳房の腫瘍摘出後の窩洞に関わる周辺組織または窩洞など)であり得る。
【0022】
なお、本明細書においては主にLDR小線源療法に関して記載されるものの、本明細書に記載される装置と方法とは、後述されるように(例えばHDRカテーテルなど)HDR小線源療法にも用いられ得るものである。さらに、本明細書においては小線源療法に関して記載されるものの、これら装置と方法は、治療を施す要素を取り外し可能に移植することによって利益を得るその他の治療レジメンにも適用し得るものである。
【0023】
簡潔にするため、本明細書に記載されるこれら装置と方法は、乳がんの治療のために用いられる。しかしながら、この特定の適用は、限定的なものではない。すなわち、当業者であれば、本明細書に記載されるシステム、装置および方法が、小線源療法によって利益を得るあらゆる種類のがんに適用され得ることが容易に理解できる。
【0024】
このような導入部分を経て、図面を参照すると、図1において体の対象組織領域に対して小線源療法を施すための例示的なキットまたは装置100が示されている。この装置100は、細長い、柔軟性を有し、取り外し可能な形で移植可能な小線源療法治療手段102(以下、「小線源療法用手段102」とも称する)であって、治療供給部分104と細長い、柔軟性を有する尾部106とを有するものを備え得る。後述するように、この尾部106によって治療完了時に手段102を除去することが可能になる。それ以外の後述される、例えばロッキング部材も装置100に含まれ得る。
【0025】
本明細書において使用される「柔軟性を有する」という用語は、高度に曲げやすい要素を指すものであり、例えば大幅且つ容易にたわみ、曲げおよび/または捻ることができ、破損あるいは永久変形しないような要素などである。
【0026】
治療供給部分104は、治療要素のためのキャリア容器を構成し、例えば放射性シード108などの放射源であって、互いと治療供給部分104に対して固定される。1つあるいはそれ以上のスペーサ110を選択的に各シード108の間に設けて所望するシード分離を得ることが可能である。
【0027】
これらシード108は、現在知られているあるいは後に発現した、あらゆる条件を満たす放射線源から製造することが可能である(例えば放射性パラジウム、ヨウ素、セシウムあるいはイリジウムなど)。典型的には、所望する治療供給レジメンに対応するように無数のシード108が設けられ、治療供給部分104の長さに沿って正確に位置づけられる。これらシード108は、同一の放射線強度を有してもよいし、一容器における1つ以上のシード108が互いとは異なる放射線強度を有してもよい。いくつかの適用例において、1つ以上のシード108を異なる長さのスペーサによって分離することによって所望する線量効果を得ることが可能である。本明細書においては放射線源がシード108として記載されているものの、放射線源は、放射線ワイヤ(例えばイリジウムワイヤなど)の連続フィラメント(または無数の不連続セグメント)などの別の形状を有することが可能である。
【0028】
いくつかの実施例において、小線源療法用手段102は、図面に置いてチューブあるいはチューブ部材112として図示されている、柔軟性を有するケーシングあるいはケーシング部材を有する場合があり、このケーシングの中においてシード108および任意であるスペーサ110がしっかりと保持されている。いくつかの実施例において、このケーシングは、非溶解性、柔軟性および熱収縮性を有するチューブ材からなる。本明細書において使用される「熱収縮性を有するチューブ」とは、各種プラスティックチューブなどのチューブであって、後に実施される熱照射によってチューブが収縮することによってチューブがシード108をしっかりと定位置に保持することが可能となるようなものを指す。例示的な熱収縮性を有する素材には、ポリエステル、フッ素化ポリマーおよびポリオレフィンなどが含まれる。
【0029】
あらゆるチューブの寸法が想定され得るものの、一実施例において、チューブ112は、約1mmの初期内径と約0.05mmの壁厚を有し得る。一旦加熱されると、チューブ112は、(制約を受けない場合)約0.3mm〜0.6mmの範囲にある外径を有するようになるまで収縮する。
【0030】
本明細書において、ケーシングは原則として管形状を有するものであるとして記載されるが、別の実施例においてケーシングは、個々のシード108をケーシングおよび互いに対して効果的に固定するのに適したあらゆる形状を有し得る。
【0031】
一旦、シード108と任意のスペーサ110がチューブ112内に位置づけられると、チューブも熱照射によって収縮させることによって、チューブ112をシード108の周りに収縮させることが可能である。尾部106は、ケーシング(チューブ112)の例えば延長部分などの一体部分であって、シード108を越えて延伸する部分から形成され得る。尾部106の直径を小さくするために、尾部をも熱処理する(収縮させる)ことが可能である。(後述される)その他の実施例において、例えば治療供給部分に別個のフィラメント尾部を取り付けたものなどの二部構造の小線源療法用手段を用いることが可能である。
【0032】
特定の形状に関係なく、本明細書に記載される小線源療法用手段102は、シード108間の適切なスペーシングを可能にするだけではなく、その後のシードの識別および除去を容易にするものである。さらに、シードは治療供給部分104によって画定される容器内において収容されているため、シードを個々に取り扱う必要がなく、よって移植の前および移植時における貯蔵および取扱いが容易となる。
【0033】
ケーシング(チューブ112)および尾部106を含む手段102の構成要素は、非溶解性素材からなることが好ましい。本明細書において使用される「非溶解性」という用語は、移植期間において実質的に劣化あるいはその他の形で破損することがない、あらゆる素材を指すものとする。
【0034】
小線源療法用装置100は、さらにカテーテルまたは針114を有する場合がある。ここでは針114として図示されているものの、本発明の範囲から逸脱することなく、後述されるようなカニューレなど、いかなる種類のカテーテルまたはチューブ部材を用いてもよい。針114は、図1において示されるように、治療手段102がその中を通ることが可能である十分な寸法を有する管腔115を画定する。いくつかの実施例において、針114は、近接端部においてさらにハブ116を有し、例えば針の操作および/または治療手段102の挿入を援助する。針114の遠位端部は、後述されるように体を穿刺することができる尖った先端117を形成することが可能である。針114は、あらゆる適切な生体適合性のある素材からなり得る。針は、例えばステンレス鋼、チタンあるいはニッケル・チタン合金などの金属からなり得る。また、針は、フッ素化ポリマーなどのプラスティック製の(図示されない)取り外し可能な外装を有する場合がある。
【0035】
図2A〜2Eは、図1の小線源療法用装置100を使用するための例示的な方法を説明する図である。一旦、体200内における対象組織領域202(例えば腫瘍あるいは腫瘍窩洞)が正確に決定されると、図2Aの矢印203によって示されるように針114が体内200へ所定の深さまで挿入される。針114および/または対象組織領域202の相対的な位置は、例えば超音波、CTスキャンまたは定位的X線など、あらゆる方法によって決定され得る。さらに、例えば後述するような針ガイドテンプレートあるいはその他の技術を用いて針114を調整することも可能である。
【0036】
次に、小線源療法用手段102を図2Bの矢印205によって示されるように、針114の管腔115内に挿入し、治療供給部分104を図2Cに示される対象組織領域202に対して所定の深さに達するまで配置することが可能である。治療手段102のおおよその挿入深さを決定するための一助として、尾部106に測量区分118を設けることが可能である。例えばX線、超音波などのその他の位置確認技術を用いてもよい。あるいは、治療手段102が少なくとも部分的に針114の管腔115に装着された状態において針114を挿入することも可能である。
【0037】
一旦、治療手段102が所定の深さに位置づけられると、針114を図2Dにおいて示される方向207に向かって体内から抜きながら、手段102の治療供給部分104を体内200の所望の位置に留置させることが可能である。尾部106は、図2Eに示すように体外200に延伸するほど十分な長さを有することが好ましい。すなわち、尾部106は、針114によって形成された穿刺孔を通って外部に延伸することが可能である。一実施例において、尾部106は十分なコラム強さを有するため、針114を引き抜く際に尾部106を保持することによって治療供給部分104を所望の位置に保持することが可能である。
【0038】
治療供給部分104の移動を防止するために、ロッキング部材120を治療供給手段102の尾部106に対して圧着あるいはその他の方法で取り付けて体200における当該穿刺孔に直接隣接するようにすることが可能である。このロッキング部材120は、治療供給部分104の対象組織領域202に対する位置を保持する一助となる。あらゆるロッキング部材を用いることが可能であるが、一実施例においては可鍛性を有する、帽子またはU字形のロックであって、このロックをクリップアプライヤーあるいは類似の道具を用いて尾部に対して容易且つしっかりと圧着できるものを使用する。例示的なロッキング部材120の拡大図が図27において示されている。
【0039】
説明のために、図2A〜2Eにおいては、1つの治療供給手段102のみが図示されている。しかしながら、実地においては、複数の手段を用いて対象組織領域202に対して適切な線量を供給することが可能である。実際の手段102の数は、病巣のサイズ、放射線源の放射性レベル、およびその他の臓器/傷つきやすい組織(例えば皮膚、胸壁など)への接近度など、その他のパラメータに応じて異なる場合がある。しかしながら、例示的な治療手段102のアレイにおいては、おおよそ5〜25の範囲における数の手段が予定される。
【0040】
図2Fにおいて、特に乳がんの治療においてさらに別の効果を奏し得る、図2A〜2Eにおける治療手段102の変形例が図示されている。この実施例において、手段102にあらゆる点で類似する治療手段152が提供されている。しかしながら、この手段152は、治療供給部分154の第1の端部から延伸する第1の尾部と第2の端部から延伸する第2の尾部との両方を有することが可能であり、すなわちこの手段は、治療供給部分154の各端部において1つの尾部156を備えることが可能である。移植時において、針114は、体、例えば乳房200を完全に貫通して一方の尾部156が乳房200の反対側から出るように延伸することが可能である。こうして、ロッキング部材120を対象組織領域202における2箇所に固定することによって、治療供給部分154の対象組織領域202に対する移動を防止する、あるいは実質的に制限することが可能となる。
【0041】
その直径が2mmあるいはそれ以上である従来の小線源療法用カテーテルとは異なり、治療手段102は、治療供給部分104において約1mm以下、また尾部106においてはさらに小さいものである得る。この構造によって、手段102が比較的小さく柔軟性を有するものとなり、よって患者にとって目障りでなくなる。実際、尾部106の寸法および柔軟性は、従来の縫合線に類似するものであってもよい。その結果、尾部106の固定は、数多くの方法によって実施され得、例えば尾部を周辺の体の輪郭に沿って折り曲げ、端部同士を結んだり、さらに/あるいは図2Eおよび26における救急絆2600によって代表されるよう、端部を粘着テープを用いて固定したりすることが可能となる。
【0042】
図3Aは、図1の治療手段102の拡大図である。この図において明確に示されているように、この治療手段102は、治療供給部分104と尾部106を備え得る。前述のとおり、治療供給部分104は、1つ、あるいは好ましくはそれ以上のスペーサ110によって分離されて例えば熱収縮性を有するチューブ112などのケーシング内に入れられた放射性シード108を含むものである。尾部106は、シード108を囲まないチューブ112の部分によって形成され得る。いくつかの実施例において、チューブ112の絶縁保護特性によって十分なシードのスペーシングを確保することが可能であるため、スペーサ110の必要性がなくなる。図3Bは、図3Aの線3B−3Bに沿ったシード108およびチューブ112を通る断面図を示している。
【0043】
図4A〜4Bにおいて、別の実施例における治療手段402が示されている。この手段402は、あらゆる点において上述の手段102と類似している。例えば、図4Aにおいて示されるように、手段402は、治療供給部分404と尾部406を有し得る。例えば熱収縮性を有するチューブ412などのケーシングを用いてシード108と任意のスペーサ110を包み込み、さらには尾部406を形成する。しかしながら、図3A〜3Bにおける実施例とは異なり、チューブ412は、放射線吸収部分414であって、治療供給部分404の円周の一部に沿って配置された、例えば物質またはライナーであるものを有し得る(図4Bを参照のこと)。この放射線吸収部分414は、放射線減衰素材を含み得、この放射線吸収部分414によってブロックされていない組織とは対照的に、放射線吸収部分414によってブロックされている組織に対する放射線照射をこの素材によって低減することが可能となる。特定の実施例に限られるものではないが、この放射線吸収部分は、チューブ412の一部に対して塗布されるあるいはその中に含浸される物質(例えばタングステン、ニッケル・チタン合金、ステンレス鋼など)によって形成され得る。あるいは、放射線吸収部分は、チューブ412内にあるいはチューブの一部に対して固定されるライナーによって形成され得る。図4Bは、図4Aの線4B−4Bに沿ったシード108およびチューブ412を通る断面図を示している。
【0044】
本明細書において使用される「放射線透過性」という用語は、装置または手段の透過性を有すると認識された部分が「放射線吸収性」を有すると認識された部分に比してより放射性を透過させやすいということのみを示すものである。
【0045】
図5A〜5Bは、さらに別の実施例における治療手段502を示すものである。この手段502は、あらゆる点において上述の手段102と類似している。例えば、図5Aにおいて示されるように、手段502は、治療供給部分504と尾部506を有し得る。例えば熱収縮性を有するチューブ512などのケーシングを用いてシード108と任意のスペーサ110を包み込み、さらには尾部506を形成する。しかしながら、前述の実施例とは異なり、この治療手段502は、例えば平らあるいは円形断面を有するアンカーワイヤ514などのアンカー部材であって、治療供給部分504の少なくとも一部に沿って延伸するものを備えることが可能である。アンカー部材514は、治療供給部分の一方あるいは両方の端部から突出し、折り曲げるかその他の形に形成することによって1つ以上のフック、返しあるいはその他のアンカー516を構成する。
【0046】
治療供給部分504が移植時に針114(図1を参照のこと)から外へ出る場合、これらアンカー516が周辺組織を広げて係止することによって治療手段502の近隣面への移動を防止する一助となる。治療供給部分504の各端部において1つのみのアンカーが示されているものの、他の実施例においては一方あるいは両方の端部において複数のアンカーを設け、例えば回転やねじれあるいは遠位移動などの移動にさらに抗うことが可能である。図5Bは、図5Aの線5B−5Bに沿ったシード108およびチューブ512を通る断面図を示している。
【0047】
所望する放射線量が供給された後、治療手段102(あるいは本明細書に記載された、例えば手段402や502などのその他の治療手段)をあらゆる方法で除去することが可能である。例えば、手段102を除去するには、最初に(例えば図2Eにおける救急絆2600など)の包帯およびロッキング部材120を取り外し、その後体外200に延伸する一方の尾部106に対して引っ張り力を付与すればよい。あるいは、例えば定位ワイヤを用いた切除に類似した方法など、公知である方法で腫瘍202の除去手術を実施する前あるいはその最中に手段102を除去することが可能である。
【0048】
治療手段102が、例えば手段502におけるアンカー516(図5A)などの内部保持要素を備える場合、図5Cに示されるような除去用カテーテル550を使用することが可能である。除去用カテーテル550は、本明細書に記載される供給カニューレおよび例えば針114などの針とあらゆる点で類似している。カテーテル550は、尾部106を越えて通り抜けて治療供給部分104を取り囲むまで前進される。例えば、除去用カテーテル550の遠位端部が例えば図5Aにおける遠位アンカー516などの遠位保持要素に係止するところまで前進させられる。さらに除去用カテーテル550を前進させることによって、アンカーを十分に折り曲げ、治療供給部分を図5Cの破線で表すように除去用カテーテル内に滑り込ませることが可能となる。その後、手段502と除去用カテーテル550とを一体として体内から除去することが可能となる。
【0049】
本明細書に記載される全ての方法において、小線源療法用手段を移植したままにできる期間は、所望の治療レジメンによって異なる。いかなる固定の期間に縛られることを望まないものの、1時間を越えて8週間ぐらいに亘る移植が治療のために予定されるものである。しかしながら、乳房の小線源療法においては、1日から数週間に亘る範囲で例えば4日から10日などの移植期間の可能性の方が高い。さらに、例えば手段102など、手段の構造によっては、移植後、ある範囲の時間枠に亘って除去される場合もある。このようなケースは、恒久的な設置に比べて、典型的には従来のLDR小線源療法と従来のHDR小線源療法における短い照射時間とに付随するものである。その結果、中間レベルの放射線源と、さらに従来の低レベルおよび後述するように高レベル源とを本明細書に記載される方法および装置とともに用いることが可能である。
【0050】
図6において、別の実施例における小線源療法用キットまたは装置600が示されている。図1における装置100とは異なり、この装置600は、数ある中でも、少なくとも1つの取り外し可能に移植可能な小線源療法治療手段(小線源療法用手段602)、プッシャーまたはプッシャー部材620、例えばカニューレまたはカニューレ部材630などのカテーテルおよび尖栓塞子640を備え得る。
【0051】
ここでも治療手段602は、治療供給部分604と除去用部分または尾部606とを有し得る。治療供給部分604は、1つ以上のシード108と任意のスペーサ110を有し得る。シード108は、前述のチューブ112にあらゆる点において類似する、例えば熱収縮性を有するチューブまたはチューブ部材612などのケーシング内に入れられていてもよい。
【0052】
しかしながら、本実施例における尾部606は、例えば非溶解性の外科用縫合糸614などの細長いフィラメントまたはワイヤであって、治療供給部分604に対して連結されるかその他の方法で取り付けられるものから形成される。この縫合糸614を治療供給部分604に対して取り付けるあらゆる方法があるものの、一実施例においては縫合糸に結び目616を作る。この結び目616は、チューブ612が治療供給部分604に対して熱収縮される際に捉えることが可能である。別の実施例において、縫合糸614は、直接治療供給部分604の周りにおいて結びつけるか別の方法で取り付けられる。しかしながら、このような縫合糸の取り付け方法は単に例示的であって、縫合糸614を治療供給部分604に対して取り付けるあらゆる方法が可能である。縫合糸614および前述の尾部606は、例えばポリプロピレン、ポリエステルまたはポリアミドなどの非溶解性素材からなり得る。
【0053】
プッシャー部材620は、図6および7において示されるように、治療手段602がその中を通る管腔を有し得る。プッシャー部材は、治療手段602の取り付けおよび固定の一助となるように、近接端部において例えばルアーハブなどの縫合糸ロッキング手段622を備える。このロッキング手段622は、後述するように縫合糸614をプッシャー620に対して固定することが可能である。ここではルアーハブとして説明されているものの、このロッキング手段622は、公知であるあらゆる摩擦手段または締付手段であり得る。例えば、ロッキング手段は、縫合糸614を挟むために選択的に圧縮され得るOリングであってもよい。
【0054】
カニューレ部材630も、図6において示されるように、プッシャー部材620がその中を通る管腔を有し得る。カニューレ部材630は、その近接端部においてルアーハブ632を備え、後述するように尖栓塞子640またはプッシャー部材620のいずれかがカニューレ部材の管腔を通って滑り込んだ場合、このルアーハブによってカニューレ部材が尖栓塞子またはプッシャー部材に対して固定される。
【0055】
尖栓塞子640は、近接端部においてハブ642を有するハンドル部分と、遠位端部において体内組織を穿刺するために使用される尖端644を有し得る。ハンドル部分によって、栓塞子640を容易に操作することが可能となる。栓塞子640の外径は、図6において示されるように栓塞子がカニューレ部材630の管腔内に収まるような寸法を有する。
【0056】
装置600の構成要素は、あらゆる適した生体適合性を有する素材を用いて製造し得る。例えば、カニューレ部材630、プッシャー部材620および尖栓塞子640は、例えばステンレス鋼またはチタンなどの金属、プラスティックあるいは複合材料からなり得る。
【0057】
図7は、使用前に組み立てられ得る装置600を示す図である。尖栓塞子640をカニューレ630内に挿入し、栓塞子の遠位尖端644が図示するようにカニューレ630の遠位端部から外に突出するようにする。前述のように治療供給部分604と縫合糸614とを含む治療手段602は、プッシャー部材620内に入れられ、治療供給部分604がプッシャー部材の遠位端部から延伸し、縫合糸614がプッシャー部材の近接端部におけるハブ622から延伸するようにする。縫合糸614をプッシャー部材620の近接端部から引っ張って、治療供給部分604が図示されるようにプッシャー部材620の遠位端部あるいはその近傍になるようにする。その後、ロッキング手段622を係止させて縫合糸614を保持し、よって治療供給部分604をプッシャー部材620に対する定位置に保持する。
【0058】
図8A〜8Eは、小線源療法を、例えば乳房200など、人体の一部に対して供給するためのシステム600を利用するための例示的な方法を説明するものである。一旦、例えば腫瘍または腫瘍窩洞などの対象組織領域202が特定されると、カニューレ630と尖栓塞子640の組み合わせ(図7を参照のこと)は、図8Aにおける矢印802によって示されるように対象組織領域202内へと前進される。カニューレ630の遠位端部が所望の深さに達すると、図8Bにおいて示すように尖栓塞子640をカニューレの近接端部を通って除去し(方向804へと移動させ)ながらカニューレ630を留置する。
【0059】
その後、プッシャー部材620と治療手段602の組み合わせ(図7を参照のこと)を図8Cに示すようにカニューレ630の近接端部内に方向806へと挿入する。プッシャー部材620と治療手段602は、治療部分604が例えばカニューレ630の遠位端部あるいはその近傍などの所望の位置になるまで挿入され得る。治療部分604の位置決めは、例えば定位X線、超音波またはCTなどの画像ガイダンスによって支援され得る。
【0060】
一旦、治療部分604が位置決めされると、カニューレ630を後退(方向808へと移動)させ、図8Dにおいて示すように治療部分604を対象組織領域202にさらす。その後、ロッキング手段622を解除して、図8Eにおいて示すようにプッシャー部材620とカニューレ630を体内200から完全に引き抜く(方向810へと移動させる)。治療供給部分604は、対象組織領域202に移植されたまま、縫合糸614が体外へと延伸する。
【0061】
以上のステップは、各小線源療法用手段602を配置するために繰り返すことが可能であるが、後述するように複数の手段を実質的に同時に一つのグループとして移植することも可能である。
【0062】
図示されていないものの、例えば図2Eおよび27において示されるようなロッキング部材120などのロッキング部材を用いて、治療手段602、例えばその尾部606を一方あるいは両方(図2Fを参照のこと)の端部に対して固定することが可能である。あるいは、治療手段602は、例えば図5に置いて示されるようなアンカー516などの固定要素を有する場合がある。さらに、治療手段602を単に尾部606を折り曲げて乳房200に対して接着することによっても固定することが可能である(図2Eおよび26を参照のこと)。
【0063】
所望の放射線量が供給された後、例えば尾部606などの除去部材や除去用カニューレなどの除去用部材を使用するなどして、治療供給手段102を既に述べたあらゆる方法を用いて除去することが可能である。
【0064】
図9Aは、図6〜7における治療手段602の拡大図である。この図において明確に見受けられるように、この治療手段602は、治療供給部分604と尾部606とを有し得る。治療供給部分604は、例えば熱収縮性を有するチューブ612などのケーシング内にしっかりと保持されている1つあるいは好ましくはそれ以上の放射性シード108を有する。尾部606は、縫合糸614によって形成され得る。縫合糸614の結び目616は、熱収縮性を有するチューブ612によって治療供給部分604に対して固定され得る。スペーサ110を使用するものとして図示されているが、いくつかの実施例においてはスペーサは不要であり、例えばチューブ612などのケーシングの絶縁特性があれば適切なシード108のスペーシングと格納とを確保するのに十分である場合がある。図9Bは、図9Aの線9B−9Bに沿ったシード108とチューブ612の断面図である。
【0065】
図10A〜10Bは、別の実施例による治療手段1002の図である。この手段1002は、前述の手段602にあらゆる点で類似している。例えば、この手段1002は、治療供給部分1004と尾部1006とを有し得る。例えば熱収縮性を有するチューブ1012などのケーシングを用いて、シード108と任意のスペーサ110を包み込むことが可能である。手段602同様、尾部1006は、縫合糸614によって構成され、その結び目616が治療供給部分1004に対して熱収縮可能であり得る。しかしながら、図9A〜9Bの手段602とは異なり、チューブ1012は、少なくとも治療供給部分1004の円周上における一部に沿って設けられた放射線吸収部分1014を有し得る(図10Bを参照のこと)。チューブ1012と一体的にあるいは別個に形成され得る放射線吸収部分1014は、放射線吸収部分によってブロックされた組織に対する放射線照射を制限することが可能である。図10Bは、図10Aの線10B−10Bに沿ったシード108とチューブ1012の断面図である。
【0066】
図11A〜11Bは、さらに別の実施例による治療手段1102の図である。この手段1102は、前述の手段602にあらゆる点で類似している。例えば、この手段1102は、治療供給部分1104と尾部1106とを有し得る。例えば熱収縮性を有するチューブ1112などのケーシングを用いて、シード108と任意のスペーサ110を包み込むことが可能である。図5Aおよび5Bにおいて示される実施例同様、治療手段1102は、例えばアンカーワイヤ1114などのアンカー部材を有し、このアンカー部材が治療供給部分1104の少なくとも一部に沿って延伸して一方あるいは両方の端部から突出している。このアンカーワイヤ1114は、一方あるいは両方の端部において折り曲げられてアンカー1116を形成する。治療供給部分1104がカニューレ630の外に出ると(図8Dを参照のこと)、アンカー1116が延伸して周辺組織を捉えることによって治療手段1102の移動を防止する一助となる。図11Bは、図11Aの線11B−11Bに沿ったシード108とチューブ1112の断面図である。
【0067】
なお、本明細書に記載されるさまざまな発明の構成要素は、詳述されたあらゆる方法およびシステムの間で交換可能に使用され得るものである。例えば、手段102、152、402、502、602、1002および1102は、本発明の範囲から逸脱することなく、図2A〜2E、2Fおよび図8A〜8Eにおいて詳述された方法とともに用いられ得るものである。
【0068】
上述の実施例においては、主に収縮によってフィットされたチューブ(例えば図9Aのチューブ612など)によって形成される治療供給部分(例えば図1の部分104または図6の部分604など)を用いるものである。しかしながら、治療供給部分の別の実施例は、別の支持部材を有する場合がある。このような支持部材は、治療供給部分を支持するいかなる要素であってもよく、例えばステンレス鋼または超弾性ニッケル・チタン合金などの一片の要素などであり得る。さらに、シード108を部分的に支持するために、支持部材の要素によって治療供給部分を放射線透過部分と放射線吸収部分とに分離することが可能である。すなわち、要素がシードの少なくとも一部分を包み込むことによって、周辺組織に対する放射をある程度減衰あるいは遮蔽することが可能である。その結果、シード108に対向する支持部材側の組織は、シード側の組織よりも低い放射線量を受けるようになる。支持部材は、例えば熱収縮性を有するチューブ112または612などのケーシングによって包まれ得る。
【0069】
例えば、図12Aおよび12Bには、治療手段1202であって、尾部1206と、複数のシード108と直線状の支持部材1210を有する治療供給部分1204を有するものが示されている(図12Aを参照のこと)。この支持部材1210は、例えばアーチ形などの曲線状断面を有し得る(図12Bを参照のこと)。あるいは、(図示されないが)比較的平らな断面図を有することも可能である。別の実施例においては、例えばV字形など、あらゆる断面形状が用いられる。さらに支持部材1210は、図12Aにおいて示されるシャベル型先端を含む各種先端形状を有し得る。支持部材の1210の少なくとも一部は、前述のとおり、例えば熱収縮性を有するチューブ1212などのケーシング内に包み込まれていてもよい。
【0070】
図12Aにおける支持部材1210は、おおむね直線的であるものの、他に例えばある程度の湾曲を有するなど、曲線状の支持部材を用いることも可能である。例えば、図13Aにおいて曲線状の支持部材1310を有する治療供給部分1304を有する治療手段1302が示されており、この曲線状の支持部材が治療部分1304にアーチ形あるいはその他の曲線状の形状を付与する。支持部材1310は、弛緩状態において曲線状であるように形成されていてもよく、あるいは曲線状の移植が可能であるように単に十分な柔軟性を有するものであってもよい。図12A〜12Bの支持部材1210のように、支持部材1310は、例えば平ら、(図13Bに示されるような)曲線状あるいはV字形など、あらゆる断面形状を有し得る。支持部材1310の少なくとも一部は、前述のケーシング同様、例えば熱収縮性を有するチューブ1312などのケーシング内に包み込まれていてもよい。図13Bは、図13Aの線13B−13Bに沿った断面図である。
【0071】
本明細書では図示されていないものの、これら支持部材は、任意ではあるが、1つ以上のスロットを例えば中心線沿いに有することによってシードを少なくとも部分的にスロット内に入れることが可能である。その結果、本明細書に記載されている支持されていない治療供給部分に比べて高い剛性を可能にする治療供給部分を得ながら、支持部材の両側における組織に対して確実に放射線治療を実施することが可能となる。
【0072】
図14A〜14Bは、治療供給部分1404の別の例示的な実施例を示すものである。この実施例において、治療供給部分は、例えばチューブ1412などのカテーテルまたはケーシングであって1つ以上の管腔を有するものを含むものである。第1または主管腔1408は、(図示されない)シードを収容し、第2の管腔1414は、チューブ1412の長手方向長さに沿って延伸する減衰または遮蔽要素1416を有し得る。その結果、チューブ1412は、放射線透過部分(要素1416によってブロックされていない部分)と放射線吸収部分(要素1416によって遮蔽されている部分)とを有する。一実施例において、チューブ1412は、プラスティック(例えばフッ素重合体)と(例えばステンレス鋼、金など)一連の上質金属などの減衰素材とともに共押出成形することによって得られる。別の実施例において、減衰素材は、例えばタングステン粉末などの減衰素材を加えたポリマーの共押出体であり得る。チューブ1412は、熱収縮性を有しても有しなくてもよい。汎用性を鑑みて、遮蔽要素1416は、直線状でも曲線の予備形状を有するものであってもよい。図14Bは、図14Aの線14B−14Bに沿った断面図である。
【0073】
図15は、治療手段1502と例えばカニューレ1501などのカテーテルを有する、例示的な小線源療法用装置1500を示す部分図であって、この手段1502は、曲線状の治療供給部分1504と尾部1506を備える。例えばプッシャー部材と尖栓塞子など、このシステムにおけるその他の構成要素は、単に明確さ故、図示が省略されている。曲線状の治療供給部分1504は、例えば図13Aの支持部材1310などの曲線状の支持部材によって構成され得る。カニューレ1501は、十分な管腔直径を有することによって、曲線状の治療供給部分1504が輸送時に直線形状に拘束される場合にこの曲線状の治療供給部分を収容できるようにすることが好ましい。あるいは、カニューレ1501は曲線形状における治療供給部分1504を収容する寸法を有してもよい。さらに別の実施例において、治療供給部分1504は概して直線状でありながら柔軟性を有し、治療供給部分を供給するために用いられるカニューレ1501が曲線状であり得る。
【0074】
(例えば曲線状など)非直線状のカテーテルを用い、本明細書に記載される小線源療法用手段を直線状のカテーテルではアクセスできない領域や位置へと供給および/または配置することも可能である。例えば、図16A〜16Eは、例えば図1の手段102などの小線源療法用手段を非直線状軸に沿って移植するのに用いられる例示的な装置1650と方法とを示すものである。図16Aは、例えば針1652などの第1のカテーテル部材、例えば柔軟性を有するカテーテル1656などの第2のカテーテル部材および小線源療法用手段102を有する装置1650を示すものである。針1652は、針の遠位端部あるいはその近傍において軸外開口部1654を有する。針1652を方向1651に向かって体内200に挿入し、針の遠位端部が図16Aに示すように対象組織領域202を越えた位置に位置するようにする。その後、針1652を介して柔軟性を有するカテーテル1656を(方向1653に)挿入し、カテーテル1656の遠位端部1667が図16Bにおいて示されるように、針1652の開口部1654から角度1661において突出するようにする。すなわち、カテーテル1656の軸は、針1652の軸に対して交差するか、別の形で非平行である。
【0075】
軸間の角度1661は異なってもよいが、約0度から約90度(0〜90°)、さらに好ましくは約5度から約35度(5〜35°)の範囲における角度が想到される。
【0076】
その後、手段102を図16Cに示すようにカテーテル1656を通るように(方向1655へ)通し、手段102の治療供給部分がカテーテル1656の遠位端部1667あるいはその近傍に位置づけられるようにする。
【0077】
この点において、図16Dにおいて示されるように、カテーテル1656をわずかに(方向1669へ)引き出すことによって手段102の治療供給部分をむき出しにする。その後、針1652とカテーテル1656を図16Eに示すように体内200から一緒に(方向1671へ)引き出すことが可能となる。こうして手段102が非直線状軸上に移植され、他の実施例に関連して上述したように手段の尾部106が体外へと延伸する(図2A〜2Eを参照のこと)。
【0078】
手段102を非直線状軸に沿って移植できるということは、多くの適用例において有利であり得る。例えば、対象組織領域202が乳房病変あるいは乳房における腫瘍摘出後窩洞である場合、非直線状手段102によってより集中的な放射が可能となる。さらに、非直線状である位置決めによって、体内における障害物の周りへの移植が可能となる。例えば、前立腺小線源療法においては、この領域202は恥骨弓であり得、その周りに臨床医が放射線源を配置することが考えられる。手段102との関連において前述したように、図16A〜16Eの非直線状配置を個々の放射線源を移植するのに用いてもよい。
【0079】
非直線状配置装置および技術のさらに別の実施例において、図16A〜16Eの針1652に代えて図16Fおよび16Gにおいて示される、より螺旋形状の針1675を使用することが可能である。実際の針の寸法は、対象組織量によって左右されるものの、約3cmの螺旋直径を有する針が想到される。針1675は、コルクスクリューがコルク内に挿入される場合とほとんど同じ形で体内200に前進され得る。すなわち、針1675を方向1678へと回転することにより、尖端1676が図16Fにおいて示されるように体内200へと突き抜ける。図16Gは、完全に挿入された状態の針1675を示している。(図示されない)柔軟性を有するカテーテルと(同様に図示されない)治療手段とが、図16A〜16Eを参照しつつ説明したカテーテル1656および手段102とほとんど同じ方法で針1675を通過する。その針1675は除去(「ねじって抜く」)されるも、螺旋形状の治療手段を(図示されない)対象組織領域202の周りに留置する。
【0080】
例えば軸外、曲線あるいは螺旋など、非直線状である治療供給部分を使用する場合、所定の対象組織領域を治療するのに必要とされる治療手段の総数は、治療部分が対象組織の形状に一致する結果、潜在的に低減することが可能となる。例えば、曲線状の供給部分の場合、複数の手段を対象組織領域の周りに沿って曲がるように配置され、効果的に放射線を中央領域に集中させることが可能となる。その結果、対象組織領域外における線量照射が低くなり、対象組織内における線量被覆率を潜在的に向上させ得る。螺旋状の治療供給部分の場合、十分な長さを有するたった1つの治療手段が対象組織領域の周りあるいは領域内を螺旋状(例えば螺旋を描くよう)に移動することによって適切な治療を施すことが可能となる。
【0081】
図17A〜17Bは、あらゆる点において図6の装置600に類似している装置1600を図示するものである。例えば、この装置は、シード108を含む治療供給部分1604と、縫合糸1614によって形成される尾部とを有する治療手段1602を備え得る。この縫合糸1614は、プッシャー部材1620を通り抜け、プッシャー部材1620と供給手段1602の組み合わせをカニューレ1630内に配置することが可能である。しかしながら、カニューレ630とは異なり、このカニューレ1630は切り欠き1634を有することが可能であり、図17Bにおいてより明白に示されているように、例えばこのカニューレは、カニューレの長さの少なくとも一部に亘ってC字形の断面を有することが可能である。ここでは直線状に描かれているものの、このカニューレ1630は曲線状であってもよい。この切り欠き形状によって、例えば皮膚、胸壁、肝臓または心臓などのある種の周辺組織/臓器が移植時に保護される。図17Bは、図17Aの線17B−17Bに沿った断面であって、治療供給手段1602も同様に破線で図示されている。
【0082】
本明細書に記載される任意の手段を移植する際に、患者は例えば図18において示されるように、例えば胸を覆うブラジャーあるいは帯1900などの防護ガーメントを任意で着用することが可能である。このブラジャー/ガーメント1900は、あらゆる点において、例えばハイマンによる米国特許第3,968,803号、ファルニオによる第5,152,741号およびジョンストーンによる第5,538,502号において詳述されるガーメントに類似するものであってもよい。例えば、このようなガーメントは、例えば肩ストラップ1904などの固定具を介して固定される部分的な被覆物であって、乳房の一部(あるいは対象組織領域を取り囲むその他の領域)を覆うものであってもよい。しかしながら、布部分1906に加え、この帯1900は、例えば鉛、ステンレス鋼あるいはタングステンなどの放射線減衰素材1902からなるライナーを有する場合がある。このようなガーメントによって遮蔽の度合いが高くなり、より広い患者の運動性が確保されるとともに、例えばシード108などの内在する放射線源は、患者への移植前においては適切な位置に保持される。ガーメント1900は、別個に設けられても例えばキット100などの小線源療法用キットの一部として設けられてもよい。
【0083】
上記においては主にLDR小線源療法との関連において説明したが、本明細書に記載される装置および/または方法は、HDRへの適用も可能である。例えば、図14A〜14Bのチューブ1412は、HDR治療においては遮蔽された供給用カテーテルとして使用され得、例えばチューブ1412を体内に配し、より小径である従来のHDR源(例えば後負荷HDRケーブル)などを主管腔1408内を通過させることが可能である。カテーテルの壁内の減衰要素1416(例えばおよそ10時から2時の範囲で延伸する円周部分に沿っている)は、放射線に対して弱い領域の放射線照射を減衰するのに対し、チューブ1412の遮蔽されていない部分(およそ2時から10時の範囲で延伸する円周部分に沿っている)は対象組織への照射を許可するものである。
【0084】
さらに、例えばHDR放射線源を例えば図17Aおよび17Bにおけるカニューレ1630などのカテーテルを通って通過させることが可能であり、それによってHDR放射線源が例えば切り欠き1634などのカニューレ1630の形状によって部分的に周辺組織から遮蔽される。
【0085】
図19A〜19CにおいてHDR遮蔽カテーテルがバルーンタイプの小線源療法治療手段1800に内蔵されている様子が示されている。この手段1800は、ウィリアムズらによる米国特許第5,913,813号において開示される手段と類似するものであり得る。例えば、この手段は、近接端部と遠位端部とを含むカテーテル軸1814を有する小線源療法用カテーテルアセンブリ1802を備える。空気注入式のバルーン1806が、近接端部と遠位端部との間におけるカテーテル軸1814に対して連結され得る。空気注入用管腔1830が空気注入式バルーン1806と近接端部との間でカテーテル軸1814に沿って延伸してバルーンへの空気注入を可能にする。さらに線量供給管腔1804(図19Bを参照のこと)も設けられ、近接端部から遠位端部に向かってカテーテル軸1814に沿って延伸していてもよい(例えば空気注入式バルーン1806と近接端部との間で延伸していてもよい。)
【0086】
使用時において、カテーテル軸1814の遠位端部は、例えば乳房200の腫瘍摘出後窩洞1808などの窩洞内に配置され、バルーン1806に空気が注入される。その後(図示しない)放射線源を線量供給管腔1804内を通って通過させ、例えば空気注入式バルーン1806によって囲まれた部分などに沿うなどして、カテーテル軸の線量供給部分に沿って放射線を供給する。放射線吸収部分(例えば図19Cにおいて明確に示されているアーチ形部材1811)をカテーテル軸1814の線量供給部分に亘って組み入れることによって、線量供給部分における所定の部分のみ、例えば窓部1817のみが比較的放射線透過性を有してもよい。その結果、手段1800は、例えば皮膚または胸壁に近い部分など、選択的な領域の放射線照射を減衰させることが可能でありながら、放射線吸収部分1811によってブロックされていない対象組織に対してより高い放射線レベルを供給することが可能となる。本明細書においては放射線吸収部分は、カテーテル軸1814の一部に沿って延伸する別個の部材1811として説明されているものの、他の実施例においては放射線吸収部分をカテーテル軸1814そのものに組み込む場合がある(例えば図14A〜14Bのチューブ142など、本明細書の異なる場面で記載した各種カテーテル)。
【0087】
いくつかの実施例において、さらに手段1800は、通孔システムであって、1つ以上の通孔1810がバルーン1806の外面の少なくとも一部の周りに配置されるものを有する。これら通孔1810によって窩洞1808内の空気や液体がバルーン1806が広がるにつれて抜けることが可能となる。カテーテル軸1814と関連する1つ以上のベント管腔1812(図19Bに示されるもの)が、カテーテル軸1814の近接端部と1つ以上の通孔1810の間を延伸することが可能である。これら通孔1810は、1つ以上のベント管腔1812と連通することによって、バルーンが広がる間およびその後、カテーテル軸1814の近接端部から空気および液体が体外に流れることを可能とする。
【0088】
いくつかの実施例において、外部ベント1810とベント管腔1812とは、バルーン1806とカテーテル軸1814とに取り付けられた個々のチューブ片1816によって形成される。バルーン1806の近傍において、このチューブ1816には孔が開けられて外部ベント1810を形成する。カテーテル軸1814に近接するチューブ1816の部分には、孔が設けられていても設けられていなくてもよい。チューブ1816は、あらゆる生体適合性を有する素材から形成され得るものであり、例えばシリコンチューブである場合があり、その素材がバルーン1806およびカテーテル軸1814に対して取り付けられたり、あるいはその素材に対してバルーンやカテーテルが形成されたりするようなものであり得る。
【0089】
図20〜22において、LDR小線源療法用手段と前述したような関連する放射線源とを例えば乳房における腫瘍摘出後の窩洞の周辺における領域など、対象組織に対して移植するための例示的なシステム1700を示す図である。図示される実施例において、システムは、図20において示されるような所定の数とパターン(アレイ)の開口部1704を有するカテーテルまたは針案内テンプレート1702とを有するものである。このテンプレート1702は、図面においてはベース部分1722によって概略的に示される定位テーブル1720と平行移動部分1724とを連結することによって、調整可能なカテーテルまたは針案内装置の一部を形成する(部分1722と1724は、図20において展開図として示されている)。定位テーブル1720は、例えば患者用台などの患者を積載あるいは治療するための台1730に対して連結あるいは取り付けられているのが好ましい。
【0090】
テンプレート1702は、治療台1730における開口部1732に隣接するように配置された第1の圧縮部材1726に対して連結あるいはその他の方法で関連付けられる。対向する第2の圧縮部材1728が開口部1732の反対側に配置されていてもよい。圧縮部材1726および1728は、任意である一連の圧縮プレート1727(1枚のプレート1727のみが図示されている)に対して約90度(90°)で配置することが可能である。
【0091】
片方あるいは両方の圧縮部材1726,1728は、図21において示すように、テンプレート1702のパターンと同様の孔パターンを有し、あるいはその他の方法において少なくとも針/カニューレ(例えば図1の針114など)の通過を可能にするものである。
【0092】
使用時において、患者は治療台1730の上に、例えば患者の頭が方向1731に向くようにして横たわり、乳房200が治療台1730の開口部1732を通るようにする。その後、任意の圧縮プレート1727を用いて乳房200を固定することが可能である。
【0093】
一旦、乳房200が固定されると、定位テーブル1720がテンプレート1702が取り付けられた状態で配置され、平行移動部分1724を移動して圧縮部材1726および1728が乳房200に接触するようにする。定位テーブル1720とそれに伴う針案内テンプレート1702の位置は、例えばX線、超音波およびCTスキャンなどを含む各種画像技術を用いて対象組織領域202の位置へと整列される。いくつかの実施例において、乳房200の下方に配置される、例えば側面からの超音波装置1739などの画像手段によって与えられる入力に基づいてテンプレート1702を対象組織領域に対して整列することが可能である。
【0094】
テンプレート1702が対象組織領域202に対して整列され、乳房200に当てて配置されると、1つ以上の針114が開口部1704内に挿入される。乳房病変の治療において、針114は、図21において示されるように完全に乳房200を貫通するように挿入される。あるいは、その他の癌の治療においては、各針114の長さを変えることによって各開口部1704において正しい深さまで貫通することを確保することも可能であるし、単に各針114の挿入深さを変えてもよい。
【0095】
システム1700のある種の実施例は、第1の圧縮部材1726と関連づけられるガーゼ付絆創膏部材1750および/または第2の圧縮部材1728と関連付けられるガーゼ付絆創膏部材1752を任意で有する場合がある。好ましくは、これら絆創膏部材1750および1752が各圧縮部材と乳房200との間に配置される。絆創膏部材1750および1752は、例えば第1の面1754と第2の面1756の各面において接着用テープを有し、おおよそテンプレート1702の開口部1704に相当する(図示されない)開口部を有する。あるいは、絆創膏部材1750および1752を針の挿入時に針114によって穿刺されてもよい。圧縮部材1726および1728が乳房200に対して押圧されると、絆創膏部材1750および1752が乳房200に接着して針114によって形成される穿刺孔のための包帯材となる。
【0096】
一旦、針114が挿入されると、本明細書に記載されて図示される各種方法にしたがって、例えば手段102または602などの本明細書に記載される小線源療法用手段が挿入されて針114を除去する。例えば、本明細書に記載されて図2Aから2Eおよび2F(または8A〜8E)に図示される方法にしたがって小線源療法用手段102(または手段602)を挿入して針114(またはカニューレ630)を除去することが可能である。
【0097】
針114が除去されると、テンプレート1702と接触プレート1726および1728を乳房200から取り外すことが可能であり、絆創膏部材1750および1752をそれぞれの第1の接着面1754によって乳房に貼付した状態に残す。その後、尾部106を例えば図2Eおよび27において図示されるような部材120などのロッキング部材を用いて固定することが可能である。
【0098】
その後、(図示されない)ライナーを各絆創膏部材1750および1752の各第2の接着面1756から除去することが可能となる。一旦、第2の接着面1756が露出されると、柔軟性を有する尾部106は、第2の接着面に対して折り曲げられて第2の接着面に対して接着される。第2の(図示されない)片面接着部材が、各絆創膏部材1780および1752の上に貼付されて尾部を固定し、第2の接着面側に露出するすべての接着面を覆うことが可能である。その結果、柔軟性を有する尾部を乳房の輪郭に対して折り曲げて固定することができる。
【0099】
いくつかの実施例において、テンプレート1702の開口部1704を、図22において示すように例えば病巣の寸法など、特定の対象組織量に応じてグループ分けすることが可能である。例えば、小さな正方形の5孔パターン1740を小さな対象組織領域(例えば直径1cmまでの領域など)に使用し、より大きな9孔パターン1742をより大きな対象組織領域(例えば直径2cmまでの領域など)に使用する。さらに大きな13孔パターンをさらに大きな対象組織領域のために使用することが可能である(例えば直径3cmまでの領域など)。
【0100】
テンプレート1702の中心孔を対象組織領域の中心に合わせることにより、テンプレートは、予め定められた目標量に基づいて、標準的な数のシード、例えば特定の数の治療手段102を示すようにしてもよい。これによって通常は従来の小線源療法の方法に伴う複雑な線量マッピング計算の必要を簡素化あるいは場合によっては省略することが可能となる。
【0101】
なお、これらパターン1740、1742および1744は、例示的なものに過ぎない。別の実施例において、これらパターンは、あらゆる形状のパターンにおいてあらゆる数の開口部1704を有することが可能であり、例えば5〜50のカテーテルを有する円形のアレイであってもよい。さらにこれらテンプレートは、1つ以上の直径を有するカテーテルまたは針を有することが可能である(例えば10、15および20mm直径など)。さらに、3つのパターンを有するように図示されているものの、本発明の範囲から逸脱することなく、あらゆる数のパターンを有するテンプレートが可能である。
【0102】
図23および24において小線源療法用手段を移植するための別のシステムが図示されている。図23には、前述のシステム1700と類似しているシステム2300が図示されている。例えば、システム2300は、例えば(図示されない)患者用の台などの治療台に対して固定される定位テーブル2320を有する。テーブル2320は、ベース部分2322と平行移動部分2324とを有する。システム2300は、第1あるいは近接した圧縮部材2326と第2あるいは遠位の圧縮部材2328とを有する。一方あるいは両方の圧縮部材2326および2328が互いに対して、さらに/あるいはベース部分2322に対して例えばスライドレール2329に沿って可動である。
【0103】
しかしながら、システム1700とは異なり、システム2300はカテーテルまたは針カートリッジ収容部分2340を備え、予め定められたアレイに配置された複数の針114を有するアセンブリ済みの針カートリッジ2342を収容することが可能である。針カートリッジ2342は図24において展開図として示されている。カートリッジ2342は、第1のホルダー2344と第2のホルダー2346を有する(図24において第2のホルダー2346は示されていない)。ホルダー2344および2346は、孔2348を有し、挿入時に複数の針114を所望する、予め定められたアレイに保持して案内する。針114がハブ116を有する場合、ホルダー2346における孔2348は、ホルダー2344における孔2348よりも大きくしてハブ116の通過を可能する(図23を参照のこと)。
【0104】
システム2300の稼働中において、定位テーブル2320をシステム1700との関連において上述したように整列させる。一旦、整列させた後、圧縮部材2326および2328を用いて乳房200を固定する。個々の対象組織領域202の量に応じて、特定のカートリッジ2342が選択され、対応する数のカテーテル、例えば針114と予め組み合わせられる。例えば、図24におけるカートリッジは、5カテーテル形状のものである。しかしながら、他のカートリッジにおいてカテーテルの数はこれより多くても少なくてもよい(例えば9カテーテル構造および13カテーテル構造など)。ホルダー2344および2346ならびにカテーテル114を含むカートリッジ2342は、その後、カートリッジ収容部分2340内に搭載される。ホルダー2344および2346の部分は、カートリッジ収容部分2340の1つ以上の内面に接触するように設計されていることにより、カートリッジ2342が挿入された場合にはカートリッジ収容部分と整列するようにする。
【0105】
一旦、カートリッジ2342が搭載されると、各針114を個々に手動で(ホルダー2344と一致する孔パターンを有する)近接圧縮プレート2326、乳房200および遠位圧縮部材2328を通って前進させることが可能である。中央の針114は、最初に前進させ、他の針を前進させる前に対象組織領域202内におけるその針の位置を確認(または再配置)することが可能である。例えば図1の手段102などの小線源療法用手段は、その後図2A〜2Eにおいて示されるように針114の中に入れる。あるいは、手段102をカートリッジ2342内に予め設置することが可能である。
【0106】
手段102が完全に挿入されると、例えば図1の尾部106に類似した尾部の遠位端部が遠位圧縮部材2328に対して一時的に固定される。この時点において、針114を乳房200から抜いて除去し、究極的にはカートリッジローダー2340から引き抜くことが可能である。その後、近接圧縮部材2326を取り外して近接尾部を、例えば上述されて図2Eおよび27において図示されるロッキング手段120などを用いて乳房に固定する。そして遠位圧縮部材2328を取り外し、遠位尾部を同様に乳房200に対して固定する。
【0107】
図25A〜25Dにおいて、小線源療法用手段を対象組織領域に挿入するためのさらに別のシステムおよび方法が図示されている。図25Aにおいて、前述のシステム1700および2300に多くの点において類似するシステム2500が示されている。例えば、システム2500は、(図示されない)定位テーブルに対してカテーテルまたは針カートリッジ収容部分2540が連結されているものを有する。定位テーブルは、(これも図示されない)治療台に対して連結されていることが好ましい。システム2500は、カテーテルまたは針カートリッジ2542を備える。針カートリッジは2542は、例えば5、9あるいは13針アレイなど、複数の針2514を備え、これらの針は、第1のプランジャー部材2550に対しておおむね固定的および直角に取り付けられる。本実施例において、針2514の近接端部が第1のプランジャー部材2550に対して固定(例えば圧入、杭打ち、接着など)されるため、針はハブを有しなくてもよい。
【0108】
カートリッジ2542は、さらに第1または近接圧縮部材2526(この部材が針案内テンプレートを構成し得る)、第2のプランジャー部材2552および任意である裏当てプレート2554を有する。別の実施例において、この裏当てプレート2554は、カートリッジ収容部分2540の一部であり得る。本明細書において前述したシステムと同様、システム2500は、第2または遠位の圧縮部材2528を有し、乳房200の固定を補助する。
【0109】
稼働中において、定位テーブルを整列して針カートリッジ収容部分2540の中心が対象組織領域220に対して中心となるようにする。その後、カートリッジ2542をカートリッジ収容部分2540に搭載し、乳房が第1および第2の圧縮部材2526および2528によって固定される。例えば図1の手段102などの小線源療法用手段は、予めカートリッジ2542の針2514内に搭載されていてもよい。その後、第1のプランジャー部材2550を乳房200に近づける。針2514が第1のプランジャー部材2550に固定的に連結されているため、針2514は、予め定められた平行なアレイで同時に乳房200の対象組織領域に向かって前進される。第1のプランジャー部材2550は、カートリッジ収容部分2540のスロットまたは表面2561に沿うタブ2560を有することによって、第1のプランジャー部材2550は、カートリッジの外から手動あるいは自動で前進される。
【0110】
第1のプランジャー2550が図25Bにおいて示されるように完全に前進されると、第2のプランジャー部材2552を乳房200に向かって前進させる。第2のプランジャー2552に対して小線源療法用手段102の近接尾部106が取り外し可能に固定されている。したがって、第2のプランジャー部材2552を前進させることによって、1つ以上の小線源療法用手段102を定位置に配置して遠位尾部106が図25Cにおいて示されるように針2514の遠位端部から外に出ているようにしてもよい。
【0111】
これら遠位尾部106を遠位圧縮部材2528に対して一時的に固定することによって小線源療法用手段102を定位置に固定する。一旦、遠位尾部106が固定されると、近接尾部106を第2のプランジャー部材2552から取り外し、第1および第2のプランジャー部材2550および2552を図25Dにおいて示されるように退避させる。同様にカートリッジ収容部分2540も退避させて近接尾部106を(例えばロッキング部材120)など、既に本明細書に記載した方法によって固定することが可能である。その後、遠位尾部106を遠位圧縮部材2528から切り離して後者である遠位圧縮部材を取り外すことが可能である。そして、遠位尾部106を乳房200に対して固定する。
【0112】
したがって、システム2500は、二次元アレイによって複数の小線源療法用手段を体内に同時に移植する装置を提供するものである。さらに、本明細書に記載されるシステムによって、カテーテルの二次元アレイを対象組織領域に対して同時に前進させて1つ以上の放射線源をアレイの少なくとも1つのカテーテルを通して供給または移植する。一旦、放射線源が移植されると、カテーテルアレイのカテーテルを対象組織領域から順次または同時に除去することが可能である。
【0113】
本明細書に記載される手段において、例えばシード108などの各放射線源は、同一手段内におけるその他のシードと実質的に同じ放射性レベルを有し得る。しかしながら、本明細書に記載されるいずれの実施例においても、同一の小線源療法用手段において異なる放射性レベルを有するシードを用いて小線源療法を変化させることが可能である。換言すれば、手段において第1の放射線源(例えば第1のシード)は、第1の放射性レベル(例えばおよそ5ミリキュリー)を有するのに対し、同一手段における第2の放射線源(例えば第2のシード)は、第1の放射線レベルよりも低い第2の放射線レベル(例えばおよそ1ミリキュリー)を有することが可能である。同様に、複数手段が設けられる適用例において、或る所与の手段内における各シードは、同一の放射線レベルでありながら、アレイ内における異なる手段は、異なる放射線レベルのシードを含むものであってもよい。
【0114】
前述のとおり、いくつかの実施例においては、尾部106が図26において示されるように接着パッドまたは絆創膏2600を用いて乳房に対して固定される。したがって、絆創膏は、ロッキング部材120とともにあるいはこれに代えて用いることが可能である。
【0115】
医療従事者が遠位および/または近接尾部106を固定する際の一助となるため、圧縮部材2526、2528をおおむね図27において図示されるように構成することが可能である。例えば、尾部106が通過するプレート(例えばプレート2528)における開口部2570は、ロッキング部材120を皮膚に対して保持するための凹部2572を有し得る。その結果、圧縮プレート2528が取り外されると、ロッキング部材120は、既に尾部106の上に装着されている。その後、医療従事者は、ロッキング部材120をすばやく、例えば変形可能部分2576に沿って圧着することができる。
【0116】
本明細書に記載される手段および装置の多くが直線的な配置に関するものであるが、放射線源を腫瘍あるいは腫瘍摘出後の窩洞内により複雑な形状において配置することがより有利である場合がある。例えば、図16A〜16Gを参照しながら上述したように、非直線状形状において手段を移植することが可能である。直線ではなく曲線である形状によって、対象組織に対する適合性がより高くなる(例えば、腫瘍摘出後の窩洞の曲線体積を取り囲む組織に対する適合性がよくなる)。
【0117】
さらに、本明細書に記載される別の実施例における装置、手段およびシステムにおいて、小線源療法用手段の移植は第1または折りたたまれた、例えば実質的に直線状の形状において実施され、例えば腫瘍摘出後の窩洞などの対象組織領域内に一旦配置された後、外部からの働きかけによって第2または展開した、例えば曲線状の形状を有するようにすることが可能である。別の言い方をすれば、このような実施例においては、例えば乳房などの体内における対象組織領域内に挿入される小線源療法治療装置が提供されるものであって、これら装置は、前述のような1つ、好ましくはそれ以上の放射線源(例えば手段102などを参照のこと)を有する1つ以上の小線源療法用手段を有するものである。小線源療法用手段は、概して線状形状において対象組織領域に対して挿入される。しかしながら、この小線源療法用手段は、その後に形を変えて例えば以下に詳述されるような曲線状の放射線源アレイを形成するものであってもよい。
【0118】
このような装置および手段は、唯一の最小限のサイズを有する切開部からの移植を可能にしながら、その後、現場で展開することによって、対象組織(例えば腫瘍摘出後の窩洞を取り囲む組織領域など)の曲線形状に対して形状的により適合する線量供給領域を可能にする。加えて、展開された形状によって第1の折りたたまれた形状に比べてより広いアレイが提供され、そのアレイから放射線源がそれぞれ自身の線量を供給することになる。
【0119】
さらに、本明細書に記載されるように現場において展開可能な装置、手段およびシステムは、放射線源を腫瘍摘出後の窩洞における特定の位置内への固定を一層優れたものにする。固定は、移植された放射線源とその周りにおける対象組織との間で実質的に固定された構造を提供するという点で有益である。その後、患者が活動したい際に放射線源の(対象組織に対する)移動を最小限にすることによって、小線源療法照射は、移植前の線量計画レジメンにより綿密に沿うことが可能となる。
【0120】
このような展開可能な装置の一実施例は、図28A〜28Dにおいて拡張するかご形の装置2800として概略的に示されている。一般的に、腔内装置2800は、治療供給部分2800aであって、患者の体内における対象位置、例えば腫瘍または乳房あるいは別の身体構造200内における窩洞などにおいて展開され得るものと、尾部2800bであって、例えば治療供給部分2800aから延伸することによってこの尾部2800bが身体構造200から突出するものを有する。図28A〜28Dにおいて示されているように、治療供給部分2800aは、例えば組織管を通って対象位置へと導入するための折りたたまれた形状と、以下において詳述されるように、例えば対象位置2802において三次元の経路アレイを提供するための展開形状との間で可動である。
【0121】
任意ではあるが、装置2800は、シースまたはその他の(図示されない)カバーを有し、このカバーが例えば展開するまで治療供給部分2800aを覆うことが可能である。これに加えあるいはこれに代えて、例えばカテーテル、カニューレまたは針2804などの管状の供給手段を設けて装置2800を対象位置へと導入することが可能である。トロカールやその他の(図示されない)器具を針2804内に配置し、トロカールの(同様に図示されない)尖端が針2804の遠位端部2804aを越えて延伸するようにし、針2804の組織内への挿入を容易にし、例えば患者の皮膚から対象位置までの組織管路を形成する。トロカールは、管路を形成した後は除去することが可能であり、よってその後、装置2800が針2804内へと導入され得るようにする。
【0122】
あるいは、針2804は、(図示されない)尖った遠位先端を有することが可能である。この代替案において、トロカールを省略して、任意ではあるが、栓塞子あるいはその他の(図示されない)器具を最初に準備して、管腔を塞ぎつつ針2804を組織を通って前進させる。栓塞子を除去した後、装置2800を針2804内へと、例えば直接に又はシース若しくはその他の(図示されない)カバーによって担持されて導入する。
【0123】
また別の代替案において、装置2800は、例えば以下に説明されるようなその他の実施例同様、(図示されない)尖った遠位先端を有する場合がある。遠位先端は、針2804の遠位端部2804aを越えて延伸することによって、針2804と装置2800がともに組織を通って延伸した場合に管路を形成する。さらに別の代替案において、尖った遠位先端を有する装置2800は、直接組織を通るように前進させられて組織管路を形成するので針2804を省略することが可能となる。
【0124】
図28Aにおいて、切開部から体内に挿入された後の小線源療法用装置2800が示されている。この装置2800は、治療供給部分2800aが例えば腫瘍摘出後の窩洞2802など、中空である対象領域内に配置されるように位置づけされる。図28Aにおいて図示されるように、カテーテルまたは針2804が例えば乳房200などの体内組織を通って窩洞2802内へ挿入される。一旦、装置2800が定位置につくと、針2804を退避させるあるいは取り除くことができ、治療供給部分2800aが露出される。
【0125】
図示されるように、治療供給部分2800aは、複数の放射性小線源療法用手段を有するものであり、これら手段は、例えば柔軟性を有する細長部材2806であって近接および遠位端部2806a、2806bを有し、1つ以上の放射線源を担持する形状を有する。この装置2800は、ハブまたは外側本体部材2807を有し、この部材に対して細長部材2806の近接端部2806aが図28Bに示されるように固定される。細長部材2806の遠位端部2806bは、コア部材2810の遠位端部2808に対して固定あるいはその他の方法で保持される。図示されるように、このコア部材2810は、本体部材2807の中を延伸して、コア部材2810の近接端部2812が身体構造200に延伸するようにする。あるいは、(図示されない)ハンドルがコア部材2810の近位に連結されるかその他の方法で延伸していてもい。
【0126】
ハブおよびコア部材2810は、互いに対して軸方向に可動であることにより、治療供給部材2800aを展開、さらに/あるいは折りたたむことができる。例えば、コア部材2810の近接端部2812と本体部材2807とを、例えばコア部材2810を第1の(近接)方向2814に、さらに/あるいは本体部材2807を第2の(遠位)方向2816に変位するように操作することによって、細長部材2806を図28Cに示されるように窩洞2802の容量内において展開することが可能である。完全に展開されると、細長部材2806は、図28Dにおいて示されるように窩洞2802の壁に接触し、さらに/あるいは後述されるように窩洞2802の壁を取り囲む組織内に押し込むことが可能となる。
【0127】
図29A〜29Fにおいて現場において展開可能な小線源療法用装置2900の別の実施例が示されている。この装置は、前述の装置2800に多くの点で類似する。例えば、この装置2900は、例えば柔軟性を有する細長部材2906など、放射性小線源療法用手段の展開可能なかご部分を有する。各細長部材2906は、それらの遠位端部2906bにおいてハブ2909に対して連結し、それらの近接端部2906aにおいて本体部材2907に対して連結している。図29Aにおいて示されるように、本体部材2907の近接端部においてフランジ2914を設けることが可能である。同様にハブ2909に連結されているコア部材2910が本体部材2907を通り、フランジ2914を超えてボタンあるいは別のハンドル2912まで延伸する。
【0128】
細長部材2906は、それらの近接端部2906aにおいて、本体部材2907内で終端し得る。しかしながら、後述するように、その他の本体部材の実施例においては、フランジ2914の近接側から細長部材2906に形成された管腔に対してアクセスできるための通路が設けられる場合がある。
【0129】
この装置2900は、第1の折りたたまれた形状、すなわち細長部材2906がおおむね直線的であり、かつコア部材2910の中心軸に対して平行である(図29Bを参照のこと)形状から、第2の展開された形状、すなわち図29Aおよび29Cにおいて示されるように細長部材2906が曲線を有する形状へ可動である。例えば、展開された形状への移動は、フランジ2914とそれに伴って本体部材2907をボタン2912から離れるように(すなわち、遠位方向2916へと)移動させることによって得られる。同様に、装置2900は、フランジ2914をボタン2912に向かって(すなわち、近接方向2918へと)移動させることによって折りたたむことが可能である。
【0130】
なお、フランジ2914およびボタン2912に加えて別の作動手段を設けてもよい。例えば、コア部材2910と本体部材2907は、(図示されない)嵌合するネジを、例えば本体部材2907の内面と本体部材2907内のコア部材2910の外面とに設けることが可能である。ボタン2912を軸方向に移動させるのではなく、ボタン2912を第1の方向に回転させることによって本体部材2907を軸方向に、すなわち遠位方向にコア部材2910を超えて移動させて細長部材2906を展開した形状に展開させる。ボタン2912を第2の反対方向に回転させることによって細長部材2906を再び折りたたみ形状に戻すことが可能となる。
【0131】
任意ではあるが、これらの実施例において、ボタンおよび/またはコア部材2910のうちフランジ2914を超える部分は、残りのコア部材2910(本体部材2907内でハブ2909まで延伸する部分)から取り外し可能にして、例えば移植後の装置2900の外形を縮小するようにすることが可能である。例えば、(図示されない)コア部材の取り外し可能部分とその他の部分は、例えば(同様に図示されない)ネジやその他の取り外し可能なコネクタなど、嵌合する雄/雌端部を有することが可能である。あるいは、バレルまたはその他の構造を細長部材2906の近接端部2906aに対して連結されている本体部材2907内に配置することによって、バレルの本体部材2907に対する軸方向移動が細長部材2906の展開および折りたたみ動作を生じさせることも可能である。
【0132】
別の選択肢において、コア部材2910(および/または作動手段)は、(図示されない)1つ以上のストッパを有して、例えば細長部材2906の展開を制限するなど、本体部材2907の動作を制限することが可能である。これらストッパは、展開形状の最大サイズを提供するものであっても、細長部材2906が展開して固定され得るさまざまなサイズを提供するものであってもよい。例えば、(図示されない)ラッチまたは戻り止めによって本体部材2907を可動にしながら、本体部材2907がコア部材2910に対して移動された位置に保持することが可能である。
【0133】
図29Bおよび29Cは、例えば乳房200などの身体構造における切開部から挿入した後の小線源療法用装置2900を示すものである。この装置2900を配置し、例えばハブ2908など、その遠位端部が腫瘍摘出後の窩洞2902内に位置されるようにすることが可能である。図示される実施例において、この装置2900は、既在の切開部から挿入される。しかしながら、前述のように、この装置2900は自身の切開部を形成することができるような要素(例えば尖った遠位先端など)を備えていてもよい。尖った遠位先端によって、装置2900の先端が窩洞の縁を越えて位置づけることによって、例えば展開された要素を窩洞内で最適な位置に位置づけることが可能となる。
【0134】
いくつかの実施例において、装置2900は、(図示されない)引き剥がし可能なシースを有し、細長部材2906に取扱いおよび/または移植時において覆うことが可能である。装置2900が図29Bにおいて示されるように位置づけられた後、シースを取り除いて(例えば体外に配置される引き剥がし帯および/またはシースに沿って延伸する、1つ以上の減弱シームまたは領域などを用いて)細長部材2906を露出させる。
【0135】
一旦、装置2900が例えば図29Bにおいて示されるように定位置につくと、医師はフランジ2914を体に向かって(遠位方向2916へ)変位させることが可能である。同様に、ボタン2912をフランジ2914から離れて近位に変位させることも可能である。この動作によって、細長部材2906が図29Cに示されるように窩洞2902の容量内において展開する。さらに展開されると、細長部材2906は、窩洞の壁に接触し、完全に展開されると、周辺組織に圧入することによって窩洞壁が部材2906間において互いに嵌合するように形を変更する(例えば後述される図32D〜32Gを参照のこと)。このように壁が嵌合または陥入することによって、装置2900が窩洞2902を取り囲む組織に対しておおよそ固定される。
【0136】
本明細書において使用されるように、「陥入」および「嵌合」という用語は、装置2900の1つ以上の部分または要素を窩洞2902から外に向かって窩洞2902の周りにおける組織内へと押圧することによって、これらの要素に隣接する組織が細長部材2906の間において自由に動き、折りたたまれ、さらには押し出されるようにする。例えば、図32D〜32Hにおいてこの概念が示されている。実質的に組織によって囲まれるのに加え、1つ以上の細長部材2906が周辺組織内へと穿通して、後述するように例えば細長部材2906が完全に組織によって囲まれるようになる。
【0137】
図29Dは、図29Cにおける線29D−29Dに沿って見た装置2900の横断面図である。この図において示されるように、細長部材2906は、管状部材であって、1つ以上の管腔、例えば第1の管腔2918および第2の管腔2920を備えるものであり得る。第1の管腔2918は、例えば本明細書の他の箇所において既に記載した手段102、152、402、502および602同様、小線源療法用手段を収容する寸法を有し得る。他方、第2の管腔2920は、(図示されない)補強部材を保持する形状を有し得る。この補強部材は、細長部材2906の正しい方向付けを保持する一助となり得、例えば管腔2918(よって小線源療法用手段も)が十分な剛性を有することによって周辺組織へ展開する際に細長部材がたわむことを防止し、さらに/あるいは細長部材2906が実質的に所定の形状に展開することを確保することの一助となり得る。
【0138】
図29Dにおいてその断面が丸く描かれているものの、第1および第2の管腔のうち一方あるいは両方が異なる形状を有し得る。例えば、図29Eにおいて代替部材2906’の横断面が示されており、この部材は、丸い第1の管腔2918’と長方形またはその他の横断面が細長い形状を有する第2の管腔2920’とを有する。長方形の断面を有する第2の管腔2920’は、(例えば長方形の断面を有するニチノールワイヤまたはベルトなどの)対応する形状の補強部材によって占領されると、展開中における細長部材2906の回転変位(およびその他の変形の形状)を低減することが可能である。例えば、主要寸法2920b’に比べてより小さい寸法2920a’の周りのモーメントが小さいため、細長部材2906’は、展開時において横方向、例えば隣接する細長部材に向かって、というよりも外側に向けて曲がりがちである。
【0139】
図29Dおよび29Eにおいて、部材2906が二重管腔チューブとして描かれているものの、細長部材2906は、一重管腔であって例えばポリマーまたはその他の柔軟性を有するチューブからなるものでもよい。ポリマーチューブは、曲線形状に展開され得るのに十分な柔軟性を有しながら、第2の補強部材を必要としないぐらい十分な剛性を有するものであってもよい。そのようなチューブは、高デュロメーター値ポリマーであって、例えばナイロン、ポリエーテル・エーテル・ケトンあるいはポリイミドなどから製造され得る。任意ではあるが、チューブの横断面の横断面形状を非円形(例えば台形、長方形など)にして手段が展開する際の曲げ方向を適正にし、さらには展開形状における要素の横方向の安定性を向上させることも可能である。さらに、チューブがチューブ壁内において補強要素(図示されないが、例えば平らなワイヤ編組)を有することによって改良されたねじり剛性および曲げ剛性を得ることが可能である。
【0140】
別の代替案において、細長部材2906は、近接端部および遠位端部2906a、2906bとの間に延伸する経路を形成するために別の要素を有し得る。例えば、細長部材は、後述するように(図示されない)溝または軌道を形成して1つ以上の(同様に図示されない)放射線源を収容することが可能である。これら要素とは、1つ以上の放射線源の、例えば細長部材に沿った軸方向移動などの移動を制限するその他の連動要素であり得る。したがって、本明細書において使用されるように、「経路」とは、1つ以上の放射線源を細長部材に沿って案内するための形状を有す、細長部材に設けられる、管腔、軌道、レールまたはその他の要素を含むものである。
【0141】
図29Fは、一実施例において形成され得るような、フランジ2914の近接側を示すものである。このフランジ2914は、部材2906の管腔2918および2920に対してアクセスできるような一連の開口部2922および2924を有する。例えば、開口部2922を各細長部材2906における管腔2918(図29Dを参照のこと)に対して本体部材2907を通って延伸する(図示されない)各管腔を介して連結し、開口部2924を管腔2920に対して連結することが可能である。その結果、本明細書の他の箇所に記載されているように、装置2900を対象位置に移植する前あるいはその後に(図示されない)小線源療法用手段と補強部材とを各管腔2918および2920内に挿入することが可能である。任意ではあるが、さらにフランジ2914に(図示されない)ロッキング部材またはリングを有し、小線源療法用手段と補強部材とのうち一方あるいは両方をフランジ2914に対して固定する。
【0142】
図示されないものの、フランジ2914は、インデックス(例えば時計のような連続した数字などの英数字記号など)を有し、フランジ2914の周囲における各開口部2922/2924を特定することが可能である。その結果、医師/癌専門医は、所望の線量計画にしたがってどの開口部2922が特定の小線源療法用手段を収容すべきなのかを、例えば装置2900を対象位置に導入する前あるいはその後に知ることが可能となる。例えば、その線量計画においては、低レベル手段(「1」の手段)を患者の皮膚に近接する領域に配置するものとする。対応する開口部2922/2924は、同じ番号(「1」)を有し得、あるいは違う形で特定の低レベル手段を収容すべき正しい開口部2922/2924を特定し得る。したがって、装置2900が対象位置において正しく位置づけられた状態(例えば細長部材「1」の低レベル経路が皮膚に向いた状態)において、低レベル手段を低レベル経路に沿って配置することによって皮膚を傷つけるリスクを軽減する。したがって、より高いレベルの小線源療法用手段を所望の線量計画にしたがってその他の特定の開口部に配置することが可能となる。
【0143】
線量計画は、現在の画像方法(例えばCTや超音波など)および市販されているHDRあるいはLDRへの適用の際に利用可能な線量計画ソフトを用いて実施することが可能である。線量計画処理のタイミングと一般的なシナリオは、臨床医/癌専門医の裁量による。しかしながら、このようなシナリオの一つにおいて、装置2900を対象組織領域に配置して細長部材2906を展開した形状に動かす。その後、(例えばCTなどの)画像を参照しながら、対象組織領域および細長部材2906の位置の両方の輪郭を描くことが可能となる。その後、線量計画を展開し、装置2900と細長部材2906の構成が調整された場合には必要に応じて変更することも可能となる。
【0144】
線量計画が最適化されると、(例えば小線源療法用手段などの)放射線源の特性が選択され(例えばLDRシード活性レベル、HDR滞留位置など)アクセス用開口部2922/2924を介して装置2900内に配置するために準備される。例えば、LDR小線源療法において、個々の容器またはその他の放射線源を各細長部材2906内へと同時にあるいは順次積載することによって、長時間に亘って対象位置に保持されるシードまたは放射線源の三次元アレイを構成する。これらシードは、線量計画に応じて、各容器の上で間隔をおいて設けられても異なる放射能強度を有してもよい。例えば、アレイの異なる部分におけるシードは、各細長部材2906に沿って異なる長さおよび/または間隔を有することも可能であるため、アレイは、実質的に例えば装置2900の中心軸に対して半径方向あるいは軸方向に非対称であり得る。あるいは、HDR小線源療法において、特定の照射時間に亘って細長部材2906の各経路に沿って個々の放射線源を順次位置づけられる。あるいは、1つ以上のHDR放射線源を同時に経路に沿って案内することも可能である。
【0145】
本明細書においては個々の要素を用いるものとして記載されているものの、装置2900の別の実施例において、細長部材2906は、遠位ハブ2909からフランジ2914に向かってさまざまに延伸してもよい。したがって、細長部材2906がそれぞれ遠位端部2906aからフランジ2914に延伸する1つ以上の管腔を画定し得る。その後、管腔は、自身の補強部材を内蔵する(図示されない)小線源療法用手段を収容してもよい(例えば本明細書の他の箇所に記載される手段1202を参照のこと。)。あるいは、細長部材2906に対して補強部材を、例えば管腔2920内に既に含有させるかその他の方法で細長部材2906に沿って固定させることが可能である。
【0146】
任意的にではあるが、補強部材は、本明細書の他の箇所に記載された別の実施例と同様、遮蔽効果を有することが可能である。例えば、おおよそ球体であるアレイまたは放射線源の場合、アレイの中心領域が、アレイの周辺領域と比べた場合、より大きな放射線照射を受けるものである。細長部材2906の内側領域に沿って設けられた遮蔽によって中心領域の過剰照射を減少させることが可能である。例えば、図32Fおよび32Gにおいてこの目的のために細長部材3106の内側領域に沿って延伸する補強/減衰部材が示されている。
【0147】
図30A〜30Cは、前述の装置2900にあらゆる点において類似した小線源療法用装置3000を示している。しかしながら、この装置3000は、例えば(図示されない)乳房など、身体あるいは組織構造を完全に貫通するように設計されている点において異なる。その結果、装置3000の遠位端部が装置2900の端部とはある程度変形させられてこの適用例に適合するようにされている。
【0148】
図30Aは、装置3000の側面図を示すものである。装置2900同様、この装置3000は、放射性および柔軟性を有する細長部材3006を有し、これら部材はその近接端部3006aにおいて本体部材3007に対して、また遠位端部3006bにおいてハブ3009に対して連結される。コア部材3010であって、一端においてボタン3012、他端において尖った遠位端部3011を有するものが、本体部材3007とハブ3009とを通って延伸し得る。尖った遠位端部3011によって装置3000が移植時に組織を貫通することが可能となる。装置2900とは異なり、コア部材3010はハブ3009に対して恒久的に固定されているものではない。むしろコア部材は、ハブ3009と本体部材3007とに対して摺動可能であり得る。任意ではあるが、コア部材3010、本体部材3007および/またはハブ3009は、1つ以上の(図示されない)コネクタを有し、コア部材3010を例えば移植時において取り外し可能に固定しながら移植後にはコア部材3010を取り外せるようにする。
【0149】
図30Bにおいて、第1の折りたたみ形状における装置3000の横断面図が示されている。この図において示されるように、細長部材3006は、管腔3018、3020(例えば図29Dにおいて示される管腔2918および2920と同様のもの)を備え、これら管腔は本体部材3007を通って延伸するか、本体部材3007を通って延伸する別個の管腔3022および3024と連通している。その結果、前述のような手段102、152、402、502および602などの小線源療法用手段を装置3000の移植前あるいは移植後に細長部材3006に通すことが可能となる。
【0150】
図30Cにおいて、第2の展開された形状における装置3000の横断面図が示されている。この形状は、例えばボタン3012およびフランジ3014あるいは本明細書に記載される他の実施例のように、例えば作動手段を用いてハブ3009と本体部材3007とを互いに対して変位させることによって得られる。
【0151】
使用時において、図30Bに示される折りたたみ形状にある場合、装置3000が、例えば(図示されない)乳房あるいはそれ以外の組織構造などの体内に挿入されて細長部材3006が(同様に図示されない)窩洞またはその他の対象位置に配置されるようにする。装置3000は、ハブ3009が乳房の反対(遠位)側から外に延伸するまで挿入される。コア部材3010の尖端3011を用いて移植時に窩洞の反対側にある組織内を貫通するようにしてもよい。任意ではあるが、一旦装置3000が完全に乳房を通過すると、コア部材3010を装置3000から、例えばコア部材3010を装置3000の近接端部から引き抜くことによって取り除くことが可能である。この時点において、医師は本体部材3007とハブ3009とをつかんでこれら両要素3007、3009を互いに向かって押すことが可能である。このようにすると、細長部材3006は半径方向外側に向かって窩洞壁まで、例えば図30Cに示される展開された形状にまで展開する。
【0152】
完全に展開されると、本体部材3007およびハブ3009は、体の例えば皮膚などに対してテープや縫合糸などによって固定される。あるいは、(図示されない)ロッキング部材を本体部材3007および/またはハブ3009を通るように挿入して両要素を互いに対して固定する(図示されないが、例えば長いプラスティック製のネジ付ボルトとナットなど)。また別の代替案において、本体部材3007および/またはハブ3009の動作は、例えば本体部材3007とハブ3009とを互いに固定する(図示されない)ラッチや戻り止めなどを用いて制限することが可能であるが、本明細書の他の箇所において記載されるように、本体部材3007および/またはハブ3009を移動させるように乗り越えられてもよい。
【0153】
(図示されない)小線源療法用手段は、装置3000が導入される際に細長部材3006に担持させてよいし、装置3000を小線源療法用手段を有しない状態で導入してもよい。移植時に装置3000が小線源療法用手段を含有しない場合、放射線腫瘍医あるいは同様の訓練を受けた臨床医が小線源療法用手段を細長部材3006に沿った管腔3022あるいはその他の経路を通して挿入する。あるいは、自動システムを用いて1つ以上の放射線源を経路に沿って供給してもよい。別の実施例において、小線源療法用手段を移植前に装置3000に対して予め搭載して細長部材3006によって取り外し可能にあるいは恒久的に担持させる。
【0154】
図31A〜31Fは、さらに別の実施例による、現場で展開可能な小線源療法治療装置3100を示す図である。この装置3100は、一連の放射性を有し、細長く、柔軟性を有する部材3106を備え、これら部材は、第1の(図31Aに図示される)、例えば直線的な形状から第2の(図31Bに図示される)、例えば曲線的な形状へと展開可能である。折りたたまれた形状において、これら部材3106は、例えば移植のための寸法を最小限とするために、装置3100に対して折りたたみ可能である(例えば、装置3100の中央における長手方向軸に対しておおよそ平行に)。しかしながら、図31Bに示される展開された形状において、細長部材3106の少なくとも一部は、例えば腫瘍摘出後の窩洞など(図32D〜32Gを参照のこと)、体の窩洞の外壁に向かってさらに/あるいはその内部へと半径方向に広がる。その結果、装置3100は、窩洞の周辺における組織内におおむね固定される。
【0155】
図示される実施例において、細長部材3106は、図31Bにおいて最もよく見受けられるように2つの異なるグループに構成され得る。第1または外側のグループは、符号3106aで特定される細長部材を有し、図31Bにおいて示されるように、アメリカンフットボール型または西瓜形の境界を形成する。第2または内側のグループは、符号3106bで特定される細長部材を有し、同様でありながらより小さい西瓜形を画定する。図示される実施例において、外側グループは、7つの個別の部材3106aを有し、内側グループは、3つの個別の部材3106bを有する。しかしながら、別の実施例においてはいずれかのグループにおける細長部材3106の数を変更することが可能である。細長部材3106aおよび3106bは、総称的にあるいはまとめて細長部材3106と称することが可能である。
【0156】
細長部材3106は、第1の(例えば近接)端部において本体部材3107に対して取り付けられる。しかしながら、細長部材3106aは、それぞれ第2の(例えば遠位)端部において遠位ハブ3109に取り付けられ得、部材3106bの遠位端部は、別のフローティングハブ3108に対して取り付けられ得る。
【0157】
装置3100は、さらにコア部材3110であって、遠位ハブ3109に取り付けられ、本体部材3107の近接側から外へと延伸するものを備える。コア部材3110は、遠位ハブ3109に固定されるものの、隙間を有しながら本体部材3107とフローティングハブ3108との両方における開口部を通るものであり得る。その結果、本体部材3107とフローティングハブ3108は、後述するようにコア部材3110に沿って摺動することが可能となる。コア部材3110は、引っ張り部材として機能し得る。その結果、コア部材は、おおむね剛性を有するものであるか、あるいは例えばケーブルや縫合糸のように引っ張り用のみの部材であり得る。
【0158】
各細長部材3106は、補強部材を有し得るが、図示される実施例においてこの補強部材は弾性を有する平らなワイヤ3112である。このワイヤ3112によって細長部材3106が所望の方向において(例えばねじれが生じることなく)拡張・収縮するようになる。このワイヤ3112は、さらに細長部材3106に対してある程度の全体性を付与することによって、例えば細長部材3106が十分な半径方向および横方向への安定性をもって窩洞壁内へと外側に広げられるようにする。いかなる特定の材料に縛られることも望まないものの、一実施例において、これらワイヤ3112は、強化ステンレス鋼あるいは例えばニチノールなどの形状記憶合金からなるものであってもよい。これらの材料によって装置3100が腫瘍摘出後の壁に陥入し、さらに/あるいは実質的に安定した形状を保つことが可能でありながら(図32D〜32Gを参照のこと)装置3100が治療終了後には展開前の形状に折りたたまれ得ることが可能となる。
【0159】
個々のチューブ3114を各平らなワイヤ3112に対して取り付けることが可能である。これらチューブ3114は、本明細書において既述されるように、例えば手段102、152、402、502などに類似した(図示されない)小線源療法用手段を収容するために開くことが可能である。あるいは、チューブ3114は、本明細書の他の箇所において詳述されるように、治療の間または治療前にチューブ3114に対して積載され得る、例えばシード108などの個々の放射線源とスペーサとを収容することが可能である。したがって、これらチューブ3114は、実際の小線源療法用手段の外面を形成し得る。これらチューブ3114は、放射線源あるいは予め取り付けられた小線源療法用手段などを保持し得る、あらゆる生体整合性を有する材料からなり得、例えばフッ素化エチレンプロピレン(FEP)などのフッ素重合体、ナイロンおよびポリウレタンなどから製造され得る。
【0160】
図31Cにおいて装置3100の側面図が示されており、図31Dには端面図が示されている。これら2つの図は、フランジ3111が形成されたあるいは取り付けられた本体部材3107の変形例を示すものである。この任意であるフランジ3111が医師が移植および/または除去処理を行う際に有利であるのは、コア部材3110を配置する際につかむことができる部分を設けてあるからである。
【0161】
図31Eは、折りたたまれた形状における装置3100をねじれた形で示す縦方向断面図である(横断面をねじることにより、この図は、通常では直線の横断面上に見える2つの細長部材3106aと2つの細長部材3106bの部分を示している)。この図において、コア部材3110の遠位ハブ3109への取り付けが明確に示されており、さらに平らなワイヤ3112の遠位ハブ3109、フローティングハブ3108および本体部材3107への固定も示されている。
【0162】
さらに図31Eは、遠位ハブ3109内に形成されたポケット3116を示すものである。このポケット3116によってストッパ面が形成されて装置3100が展開形状にある場合、フローティングハブ3108の軸方向への移動が制限される。ポケット3116として図示されるものの、他の実施例においてはフローティングハブ3108が単に遠位ハブ3109の平らな内面に接触するような構造であってもよい。
【0163】
図31Fは、図31Eに類似のねじれた形の縦方向断面図であり、装置3100は展開した状態にある。この図において示されるように、展開された形状は、本体部材3107を定位置に保持しながらコア部材3110の尾部に対して引張力を付与することによって得られる。このような引張力を付与することによって、遠位ハブ3109が本体部材3107に向かって移動する。この移動が生じると、細長部材3106aが図示されているように外側に向かってたわむ。一旦、フローティングハブ3108がポケット3116に接触すると、これら部材3106bも同様に外側に向かってたわみ始める。コア部材3110をさらに引っ張ると、細長部材3106aと3106bの両方が外側に向かって移動し始める。コア部材3110の本体部材3107に対する軸方向位置を変えることによって、数多くの展開後の直径を得ることが可能である。装置3100が所望の直径にまで展開したら、(図示されない)クランプあるいは類似の手段を本体部材3107のすぐ隣に圧着させ、コア部材3110が本体部材3107に対して摺動するのを防止することが可能である。
【0164】
装置3100を所望の直径に固定するための他の方法では、(図示されない)ネジ付ナットとボルトのアセンブリを用いることが可能である。例えば、本体部材3107を分割して(図示されない)従来の機械工のコレットのように外部に対してネジ止めすることが可能である。(図示されない)ナットをコレットの周りにネジ止めしてコア部材3110を保持するために締め付けることにより、装置3100を所望の拡大度に保持することが可能となる。あるいは、コア部材3110は、コア部材3110が本体部材3107から突出する領域に沿って設けられる(図示されない)一連の密集した孔またはポケットを有することが可能である。(図示されない)コッタピンなどを所望の孔またはポケットに配置して装置3100を所望の拡大度に保持することが可能である。
【0165】
図32A〜32Fにおいて、図31A〜31Fの装置3100を使用するための方法が図示されている。図32Aは、(例えば乳房200)などの体の一部であって、癌組織を除去することによって形成された窩洞(例えば腫瘍摘出後の窩洞202)が形成されたものを示す斜視図である。装置3100は、挿入されて折りたたまれた状態で示されている。装置3100は、既存の切開部、例えば腫瘍摘出時に使用された切開部などを介して、あるいは装置3100を供給するために新たに設けられた切開部を介して挿入され得る。図32Bおよび32Cは、乳房200の正面図および側面図を示すものであって、折りたたまれた装置3100が窩洞202内で定位置についた状態を示している。
【0166】
一旦、装置3100が所望の位置についた後、コア部材3110は、医師によって引っ張られる一方、本体部材3107は乳房の切開部に対して保持される。本体部材3107の長さは、皮膚から腫瘍摘出後の窩洞202までの距離に関わらず、皮膚の表面まで延伸するのに十分である。装置3100が展開すると、例えば図32D〜32Fにおいて示されるように、装置は窩洞202内で中心位置につきやすい。
【0167】
あるいは、細長部材が隣接する組織内を貫通する量が異なるため、装置3100が展開する際に装置3100が窩洞内で移動することも可能である。例えば、図32Hにおいて示されるように、皮膚に隣接する領域は、窩洞202の下にある組織に比べて細長部材3106によって貫通されがちではない。図32Hにおいて示されるように、細長部材3106は、十分小さいため、少なくとも一部の細長部材(例えば細長部材3106i、3106iiなど)は、窩洞202の周囲における組織内に切れ込み、裂き入りあるいは別の方法で貫通することによって、細長部材3106が隣接する組織内に貫通しない場合に比べてより深い組織まで放射線が供給されるようになる。このように細長部材3106が組織に貫通することが可能であり、場合によっては(例えば図32Hにおいて示されているように)隣接する組織によって円周状に取り囲まれ得るため、装置3100が組織内において放射性核種を効果的に配置することが可能となる。
【0168】
図32Dは、乳房200と窩洞202を斜視断面図に置いて示す図であって、ここでは装置3100が完全に展開した形状において示されている。この図において示されるように、細長部材3106aは、窩洞202の壁を越えて押圧することが可能であるため、部材3106aの周りの組織が陥入し、例えば壁組織3120の一部が細長部材3106aの間で流動し、押し出しあるいは内部に広がり、細長部材を実質的に取り囲む。一実施例において、壁組織3120は、最も外側の細長部材3106aから約0.7センチ内側に向かって半径方向に広がり得る。しかしながら、実際の陥入距離は、例えば装置の寸法や形状、窩洞の寸法や形状および組織特性など、複数の可変要素に基づいて変化し得る。細長部材3106bは、押し出された壁組織3120の最も内側の部分によって画定される直径内に留まることが好ましい。この図から見受けられるように、陥入によって装置3100が周辺組織に対して実質的に固定され、窩洞202が装置3100の形におおよそ一致するようになるまで窩洞を変形させる。
【0169】
一実施例において、(図示されない)真空システムを装置3100に対して連結することが可能である。この真空システムは、窩洞202に対して真空圧を付与することによって組織の陥入度を増加させる。このような真空システムは、移植の期間の全部あるいは一部に亘って活性化されたままにされてもいいし、例えばHDR治療などにおいては、治療後直ちに切断してもよい。
【0170】
さらに他の実施例において、細長部材3106aは、例えば高周波(RF)などによって伝導性を有するかその他の方法で励起され得る。このように展開後に細長部材3106aを活性化することによって、細長部材3106aが窩洞壁内に食い込み、それによって周辺組織に対してより深く貫通することが可能となり、さらに陥入の度合いを増加させることができる。
【0171】
図32Eは、移植されて完全に展開された装置3100の断面図を示すものである。内側に向かって広がる壁組織3120が、この図において明確に見受けられる。図32Fは、窩洞202の一部斜視断面図であって、細長部材3106が展開された形状で概略的に示されているものを示す。
【0172】
図32Gは、装置3100が展開された形状にある場合の窩洞202の横断面図を示すものである(さらに装置3100のうち一部の構造が明確さのために省略されている)。この図は、さらに、細長部材3106内に含まれる小線源療法用手段によって付与される、例示的な線量クラウドを示すものである。例えば、各細長部材3106aは、一般的には円3122によって表される線量クラウドをもたらすものであるのに対して、各細長部材3106bは、一般的には円3124によって表される、簡素化された線量クラウドをもたらし得る。これら円3122および3124は、特定の断面における有効な二次元のクラウド境界を表すものである、すなわち線量クラウドは、細長部材3106aの周りの外側層と細長部材3106bの周りの内側層の2つの放射層を形成する。各細長部材3106によって形成される実際のクラウドは、おおよそ曲線状の円筒形を有するものとなる。
【0173】
細長部材3106の各2層における全ての放射源の三次元的な蓄積効果は、窩洞202を直接取り囲む組織の容量に亘って延伸する治療線量クラウドシェルである。適切な線量マッピングと線量選択とによって、この三次元的な線量クラウドシェルは、典型的には適切な組織範囲に対して適切な治療線量の照射を実施する(例えば窩洞202の壁を越えて1cm以上など)。多くの放射線源の間質性のため、全ての放射性核種源が窩洞202内あるいはその縁付近に設けられた場合(例えばバルーンアプリケータまた腔内アプリケータなどで生じ得るようなケース)に得られるような過量効果のリスクが少ない状態で、所望する組織領域に対して治療線量を供給することが可能である。
【0174】
さらに、バルーンアプリケータとは異なり、個々の細長部材3106が周辺組織に対して局所的に個別であるラジアル力を付与することが可能である。バルーンアプリケータは、連続面を有するため、その面に沿って比較的連続的なラジアル力を隣接する窩洞面に対して付与する。これに対して、細長部材3106は、間欠的に設けられて間に空間があるため、各細長部材3106は、窩洞面に対して極めて局所的なラジアル力を付与することによって拡張時において細長部材内に組織が陥入するようになる。
【0175】
図32Hを参照するに、適用例によっては、1つ以上の細長部材3106aiv、3106avが、例えば患者の皮膚に隣接するなど、窩洞202に隣接する組織領域における比較的薄い領域に配置される。容器または均一な放射線強度を有するその他の放射線源が各細長部材3106内に導入されると、このような薄い組織領域または皮膚そのものを過剰照射または「焼いて」しまう危険性がある。そのため、線量計画において、細長部材3106aiv、3106av内に比較的低い放射線強度を有するような放射線源、あるいは1つ以上の「オフにされている」(すなわち一方あるいは両方の細長部材3106aiv、3106avの少なくとも一部に沿って放射線源間に非放射性スペーサが設けられている)シードを導入することが推奨される場合がある。
【0176】
任意ではあるが、線量計画において細長部材の内層から薄い領域に対して照射することを推奨する場合がある。例えば、図32Hにおいて示されるように、単一の細長部材3106biを細長部材3106aiv、3106avの間であってコア部材3110の中心軸により近い場所に配置して設けることが可能である。この単一の細長部材3106biの中に放射線源を導入して細長部材3106aiv、3106avを超えて薄い組織領域内へと照射する。したがって、細長部材の内層を設けて所望の線量計画にしたがって局所的な放射線供給をより高めることが可能である。
【0177】
図32D〜32Hにおいて示される実施例において、細長部材3106は、互いに対して(完全に展開された状態において)それぞれ(約3cmまでであり得る)最大直径において約1cmの間隔を有するように形成され得る。さらに、本明細書の他の箇所において記載されるように例えばシード108などの放射線源によって、ワイヤの周りにおける略1cmの治療線量クラウド(円3122および3124)を得ることが可能である。その結果、装置3100は、図32Gにおける円3122および3124によって表されるような全ての、あるいは実質的に全ての窩洞壁と周辺組織とに対して照射を実施することが可能となる。なお、装置3100とともに使用される放射線源は、低線量率の線源あるいは間欠的に供給される(例えばイリジウムまたはイッテルビウムなどの)高線量率の線源であり得る。
【0178】
小線源療法治療の終了後、この装置3100は折りたたみ形状に戻され、挿入切開部を介して装置3100を乳房200から除去することが可能である。
【0179】
図33A〜33Gは、さらに別の実施例による腔内小線源療法用装置3600を示すものである。この装置3600は、治療供給部分3604および外部部分、例えば尾部部分3606を有する小線源療法用手段3602を備える。
【0180】
図33Aにおいて示されるように、この治療供給部分3604は、変形可能な細長放射線源、例えばコイル部材3608によって形成され得る。このコイル部分3608は、細長コア部材3610の周りに巻きつけられた螺旋コイルを形成し得る。このコイル部材3608の少なくとも一端(例えば近接端部)がコア部材3610の周りを平行移動および/または回動する取付部材(例えばスリーブ3612など)に対して固定される。この構成によって、比較的小さな切開部を介して例えば(図示されない)腫瘍摘出後の窩洞などの対象領域へと挿入され得る薄型手段が可能になる。しかしながら、一旦定位置に着くと、コイル部材3608は展開して図33Bにおいて示されるように窩洞内で螺旋状の経路を形成する。手段3602を展開するには、移植後に体外に伸びるものであってもよいスリーブ3612がコア部材3608の周りを相対的に回転される。スリーブを一方向に相対回転させることによって、コイル部材3608が中央のコア部材3610から展開、すなわち離れるように移動する。スリーブ3612を反対方向に相対回転させることによって、コイル部材3608は同様にコア部材3610の周りに収縮される。拡張回転が大きければ大きいほど、腫瘍摘出後の窩洞壁に対して付与されるラジアル力は大きくなる。腫瘍摘出後の窩洞壁に対して付与される力が大きくなると、展開されたコイル部材3608が回転することによって乳房組織への陥入の度合いが高くなる。
【0181】
スリーブ3612の回転動作に加え、これらスリーブは、コア部材3610に対して軸方向に平行移動することも可能である。軸方向への平行移動によって展開形状におけるコイル部材3608の長さを調整することが可能である。コイル部材3608の軸方向長さと直径(そしてこれに伴って窩洞壁に対する展開力)を個々に調整することが可能であるため、この装置3600は、多種多様な腫瘍摘出後の窩洞のサイズおよび形状を治療するために使用され得る。
【0182】
図33Cは、部分的に展開された位置にある、手段3602の拡大図を示すものである。図33Dにおいてコイル部材3608の中央長手軸に対して垂直に見た(例えば、図33Cの線D−Dに沿った)放射性コイル部材3608の断面図を示しているのに対し、図33Eは、コイル部材3608の長手方向軸から見た断面図を示すものである。これらの図から明らかであるように、一実施例において、コイル部材3608は細長いチューブであって、スリーブ3612の間における細長チューブの中を延伸する第1の管腔3614と第2の管腔3616とを有するものであり得る。第1の管腔3614は、例えば一連の放射性シード108などの放射線源であって図33Eにおいて示されるように任意のスペーサ110によって互いにオフセットされているものを収容し得る。第2の管腔3616は、例えば成形ワイヤ3618などの成形および/または補強部材を有し得る。この成形ワイヤ3618は、コイル部材3608に対して剛性および耐ねじり性を付与するものである。図示される実施例において、成形ワイヤ3618(およびそれに伴って第2の管腔3616)は、図33Dにおいて示されるようにその断面が長方形である。この長方形状によって展開中の放射線源3608に対して所望される耐ねじり性が付与され、例えば展開中において第1の管腔3614がコア部材3610に対して外側に位置づけられるように保たれる。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、その他の形状を用いることが可能なのは当然である。
【0183】
コイル部材3608を形成する細長チューブは、さまざまな材料から製造され得る。例えば、一実施例においてこの細長チューブは、押し出し成形されたフッ素重合体あるいは部材2906との関連において以前に説明した材料と同様の熱可塑性プラスティックから成り得る。
【0184】
成形ワイヤ3618は、過度のねじれまたは恒久的な変形を生じさせずに螺旋状の展開物を収容することができる、あらゆる材料から形成され得る。成形ワイヤの例示的な材料は、例えばニチノールなどの形状記憶合金などである。
【0185】
使用時において、例えばコイル部材3608などの治療供給部分3604が装置3600の長手方向軸に沿って折りたたまれた状態において手段3602を例えば乳房200などの組織構造を通るように挿入することができる。コイル部材3608が図33Fにおいて示されるように腫瘍摘出後の窩洞3620内のおおむね中心になるまでコイル部材を挿入する。手段3602は、(例えば腫瘍摘出時に形成された切開部など)既存の切開部から挿入されてもよいし、例えば他の実施例との関連において説明したように(図示されない)中空針を介して配置されてもよい。一旦、手段3602が図33Fにおいて示されるようにおおむね定位置についた後、医師は、乳房200の両側から突出する形になったスリーブ3612を(例えばねじるさらに/あるいは軸方向に移動するように)操作して手段3602を展開させる。図33Gにおいて窩洞202内で完全に展開された場合の手段3602の形状を示すものである。例示的な実施例において、手段3602を展開して螺旋状のコイル部材3608が既述のように(例えば図32D〜32Gを参照のこと)窩洞壁内に押し込まれるようにして装置3600を周辺組織に対して固定する。
【0186】
手段3602を定位置に固定するために、医師は、体外に延伸するスリーブ3612を皮膚に対して折りたたんでこれらスリーブを例えばテープを用いて固定する。あるいは、ロッキング部材3622をコア部材3610の端部の上に滑らせることが可能である。各ロッキング部材3622は、コア部材3610とともに自身のスリーブ3612と摩擦によって係合することが可能である。スリーブ3612をコア部材3610に対して固定することによって、治療の過程において手段3602をおおむね定位置に保持することが可能となる。
【0187】
本明細書においては移植中において体外から突出し得る形の近接および/または遠位スリーブを使用するものとして描写されているものの、突出しないスリーブを用いる別の構成も可能である。この場合、例えば(図示されない)中空針などのツールがコア部材の上に挿入されてスリーブと機械的に係止されることによって、(体外から)所望する形でこれらスリーブをコア部材に対して操作することができる。
【0188】
図34は、直前の図において示された手段3602と類似した小線源療法用手段3702における単一入り口点の変形例を示すものである。この実施例において、治療供給部分3704と単一の尾部3706とを有する小線源療法用手段3702が設けられている。この治療供給部分3704は、コイル部材3708として、(例えばコア部材3710の周りを螺旋状に巻きつけられた)前述のコイル部材3608と実質的に同様な構造を有するとしてものとして形成され得る。尾部3706も前述のスリーブ3612とあらゆる点において類似するスリーブ3712として形成され得る。例えば、放射線源3608の近接端部に対して連結され得るスリーブ部材3712は、コア部材3710の周りを摺動してさらに/あるいは回転するように操作され得る。
【0189】
手段3602とは異なり、コイル部材3708の遠位端部は、コア部材3710の遠位端部あるいはその付近に対して図34において示されるように直接的に取り付けられることによって、体外に設けられたコア部材3710の部分の操作が放射線源の遠位端部の移動を生じさせる。
【0190】
使用時において、手段3702は折りたたみ形状で体内(例えば乳房200)を通って挿入されることによって、治療供給部分3704(例えばコイル部材3708)が腫瘍摘出後の窩洞3620に位置づけられるようにする。手段3702は、(例えば腫瘍摘出時に形成された)既存の切開部を通って進入してもよいし、例えば別の実施例との関連において他の箇所において詳述したように(図示されない)針を通って位置づけられてもよい。一旦、手段3702が図34において示されるようにおおむね定位置についた後、医師は、いずれも乳房200の近接側から突出するスリーブ3712およびコア部材3710の両方を操作することが可能である。すなわち、(コイル部材3708の遠位端部に固定されている)コア部材3710を回転させながらスリーブ3712をコア部材3710の遠位端部に向かって軸方向に移動させると、コイル部分3708の中央部分をコア部材3710から離れるように展開させて展開形状にすることが可能である(ここでも再び手段3702は本明細書において既述のように組織内へと展開することが可能である。図32D〜32Fを参照のこと)。手段3702は、手段3602との関連において既述したのと同様の方法で展開形状において例えばロッキング部材3622などを用いて固定され得る。
【0191】
なお、装置3100が要素3106bの内側アレイと要素3106aの外側アレイとを含むのと同様に、装置3600/3700の代替的な実施例においては、外側コイル状部材3608と同時に(図示されない)内側コイル状部材を有してもよい。いずれの場合においても、これら二重層手段によって新たな放射のラジアル層の供給を可能にする。組織陥入と組み合わせた場合、これら二重層によって線量クラウドの複数のシェルまたは層を提供することによって所与の腫瘍摘出後の窩洞の周りにおいて湾曲した乳房組織のかなりの厚みを覆い隠すことが可能となる。
【0192】
本明細書に記載された装置は、単一の入り口点を介して、小線源療法用手段(あるいはその他の放射線源)が窩洞内の位置から窩洞を取り囲む組織に対して放射線を供給することを可能とする。さらに、本明細書に記載された腔内装置、方法およびシステムによって1つ以上の放射線源を窩洞を取り囲む対象組織に対して実質的に固定することが可能となる。周辺組織は、手段の周りに十分に陥入することによって、適切に固定することが可能となり、さらに/あるいは全移植期間に亘って腫瘍摘出後の窩洞に隣接する組織に対して所望する放射線量の進入が十分に深くなる。その結果、小線源療法治療の過程に亘って特定の組織に対して所望する線量供給を行うことが可能となる。さらに、(手段が周辺組織に対して移動することによって)意図されない組織に対する照射を最小限に抑えることが可能となる。
【0193】
本明細書において記載される小線源療法用手段は、(ネオアジュバントな)外科的切除の前に腫瘍内(および/またはその周辺に)移植することができ、その後、手術前あるいは手術中に取り出すことが可能である。このような治療によって、腫瘍を縮小あるいは破壊させることも可能である。別の実施例において、本明細書に記載される装置および方法は、腫瘍組織を外科的に取り除いた後に小線源療法を供給し、周辺組織を術後に治療することが可能である(乳房の腫瘍摘出後)。ある場合には、本明細書に記載されて図示された小線源療法用装置および方法によって、例えば腫瘍切除、全野外照射療法(EBRT)および化学療法などの従来の治療オプションの必要性が補完され又は軽減されることが可能であることが検討され得る。あるいは、本明細書に記載される方法は、例えば化学療法または外照射療法などの治療法あるいはその他の治療法に加えて補助的に実施され得る。
【0194】
本発明による治療によって、さらにHDR治療における、例えば高放射性、意図されない組織への照射、場合によってかさばって突出するカテーテルおよび/または患者が治療を受けるために何度も受診しないといけないことなど、いくつかの不利益を避けることが可能である。あるいは、本明細書に記載された装置および方法は、例えば公知であるHDR線量計画にしたがって手段の経路に沿って1つ以上のHDR源を供給するなどしてHDR治療を実施するために用いることが可能である。さらに別の例では、HDR放射線源(例えばヴァリアンメディカルシステムズ社によるイリジウムチップ付き後負荷ケーブルあるいは米国特許公開公報第2005/0061533A1に開示されるような小径X線源など)を本明細書に記載されるコア部材のうちいずれかを通って進入させ、拡張可能な手段が窩洞を開くことによって窩洞の周辺における組織に対して放射をより均一に供給させることを可能にすることが可能である。任意的ではあるが、コア部材が放射線源を遮蔽することによって放射線源の照射を周辺組織における所望の部分に対して向けることが可能となる。
【0195】
本明細書に記載される小線源療法用手段は、従来のHDRカテーテルに比べて実質的に柔軟であるため、直線的にも曲線的(例えば曲線状または螺旋状)にも配置され得る。このような柔軟性によって別の方法ではアクセス不可能と思われていた形状および配置における(例えばシードなどの)放射線源の移植が可能となる。
【0196】
さらに本発明による装置および方法によって、比較的少ない数のカテーテルを用いて所望の線量を得ることが可能となる。例えば、本明細書に記載される装置および方法によって、通常のHDR方法において典型的に使用されるよりも少ない対象毎のカテーテルを用いて所望の線量供給レベルを得ることが可能である。しかしながら、本明細書に記載される手段は、従来の画像方法(例えば定位固定X線、超音波、CTなど)を用いて移植することが可能である。
【0197】
本発明の装置および方法は、患者に対してさらに別の利点ももたらす。例えば、皮膚へのダメージおよび不快を軽減するが可能なのは、より小さくより柔軟なカテーテルを挿入するからである。さらに、小さく柔軟な尾部は一旦適切に位置づけされると短くトリミングすることが可能であるが、堅いHDRカテーテルとは異なり、折り曲げられて皮膚に対してテープ貼りすることも可能である。したがって、治療の過程に亘って患者の不快さは軽減され、潜在的な術後整複の向上を得ることが可能である。さらに、例えば本発明による装置および技術によって、例えばEBRTおよび化学療法などのその他の治療に比べて副作用が潜在的に軽減され、例えば現在のHDR小線源療法と比べて治療レジメンの経過において受診回数が減る可能性がある。
【0198】
さらに、本明細書に記載される小線源療法供給システムは、病巣サイズに基づいて標準的な線量照射を提供することが可能である。その結果、(例えば乳癌などの)ある種の癌によっては、大規模な線量演算およびマッピングシステムの必要性を軽減あるいは省略することが可能となる。
【0199】
小線源療法用装置および方法に関するさらなる情報は、本件の同時係属出願である、2003年9月9日出願の第10/658,518号、2005年10月31日出願の第60/731,879号および2005年11月10日出願の第60/735,532号から得ることが可能である。
【0200】
本発明の例示的な実施例について上述してきた。当業者であれば、本発明の範囲内において多くの実施例が考えられることを認識するであろう。本明細書に記載される各種要素および方法のその他の変形例、変更例および組み合わせは、当然実施され得るものでありながら本発明の範囲内にあるものである。例えば、本明細書に記載される治療手段のいずれもが同様に本明細書に記載される供給システムと方法と組み合わせることができる。したがって、本発明は、以下に記載する各請求項とその等価物によってのみ限定され得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1】一実施例における例示的な小線源療法用装置あるいはキットを示す図である。
【図2A】図1における小線源療法用装置を使用するための方法を説明する概略図である。
【図2B】図1における小線源療法用装置を使用するための方法を説明する概略図である。
【図2C】図1における小線源療法用装置を使用するための方法を説明する概略図である。
【図2D】図1における小線源療法用装置を使用するための方法を説明する概略図である。
【図2E】図1における小線源療法用装置を使用するための方法を説明する概略図である。
【図2F】別の実施例における小線源療法用装置を示す概略図である。
【図3A】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図3B】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図4A】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図4B】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図5A】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図5B】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図5C】例示的な取り外し方法を説明する、図5Aおよび5Bにおける小線源療法用手段の図である。
【図6】さらに別の実施例における小線源療法用装置またはキットの展開図である。
【図7】部分的に組み立てられた、図6における小線源療法用装置の図である。
【図8A】図6および7における小線源療法用装置の使用方法を説明する概略図である。
【図8B】図6および7における小線源療法用装置の使用方法を説明する概略図である。
【図8C】図6および7における小線源療法用装置の使用方法を説明する概略図である。
【図8D】図6および7における小線源療法用装置の使用方法を説明する概略図である。
【図8E】図6および7における小線源療法用装置の使用方法を説明する概略図である。
【図9A】別の実施例における小線源療法用装置の拡大部分図である。
【図9B】別の実施例における小線源療法用装置の拡大部分図である。
【図10A】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図10B】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図11A】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図11B】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図12A】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図12B】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図13A】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図13B】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図14A】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図14B】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図15】別の実施例における小線源療法用装置の概略図である。
【図16A】さまざまな実施例における、非直線状である小線源療法用装置および方法を説明する概略図であって、デュアル式軸外カテーテルアセンブリを示すものである。
【図16B】さまざまな実施例における、非直線状である小線源療法用装置および方法を説明する概略図であって、デュアル式軸外カテーテルアセンブリを示すものである。
【図16C】さまざまな実施例における、非直線状である小線源療法用装置および方法を説明する概略図であって、デュアル式軸外カテーテルアセンブリを示すものである。
【図16D】さまざまな実施例における、非直線状である小線源療法用装置および方法を説明する概略図であって、デュアル式軸外カテーテルアセンブリを示すものである。
【図16E】さまざまな実施例における、非直線状である小線源療法用装置および方法を説明する概略図であって、デュアル式軸外カテーテルアセンブリを示すものである。
【図16F】さまざまな実施例における、非直線状である小線源療法用装置および方法を説明する概略図であって、螺旋形状を有するカテーテルを示すものである。
【図16G】さまざまな実施例における、非直線状である小線源療法用装置および方法を説明する概略図であって、螺旋形状を有するカテーテルを示すものである。
【図17A】別の実施例における小線源療法用装置を示す図である。
【図17B】別の実施例における小線源療法用装置を示す図である。
【図18】一実施例における、例えばブラジャーなどの放射線減衰ガーメントを示す図である。
【図19A】一実施例における、例えばHDRカテーテルなどのバルーンカテーテルアセンブリの概略図である。
【図19B】一実施例における、例えばHDRカテーテルなどのバルーンカテーテルアセンブリの概略図である。
【図19C】一実施例における、例えばHDRカテーテルなどのバルーンカテーテルアセンブリの概略図である。
【図20】本書において説明される小線源療法の方法および装置とともに使用される供給または移植システムの例示的な実施例。
【図21】例えば図2A〜2Fおよび図8A〜8Eにおいて示される方法など、本書において説明される小線源療法の方法および装置とともに使用され得る、図20における供給システムの概略図である。
【図22】図21の供給システムとともに用いられる、例えば針などの例示的なカテーテルを案内するテンプレートを示す拡大図である。
【図23】本明細書に記載される小線源療法の方法および装置とともに用いられる別の供給あるいは移植システムを示す概略図である。
【図24】図23における供給システムにおける、例えばカートリッジなどの一部を示す展開図である。
【図25A】さらに別の実施例による供給または移植システムおよび方法を説明する概略図である。
【図25B】さらに別の実施例による供給または移植システムおよび方法を説明する概略図である。
【図25C】さらに別の実施例による供給または移植システムおよび方法を説明する概略図である。
【図25D】さらに別の実施例による供給または移植システムおよび方法を説明する概略図である。
【図26】本明細書に記載される小線源療法用手段が移植されて固定された後における、例えば女性の乳房などの人体の一部を示す図である。
【図27】図25A〜25Dにおける供給システムの一部を示す横断面図である。
【図28A】腔内小線源療法治療装置であって、図28Aは、例えば直線状に折りたたまれた形状のものを示す図である。
【図28B】腔内小線源療法治療装置であって、部分的に展開されたあるいは広げられた形状のものを示す図である。
【図28C】腔内小線源療法治療装置であって、部分的に展開されたあるいは広げられた形状のものを示す図である。
【図28D】腔内小線源療法治療装置であって、完全に広げられた形状のものを示す図である。
【図29A】腔内小線源療法治療装置であって、例えば曲線などの、展開されたあるいは広げられた形状にあるものを示す斜視図である。
【図29B】腔内小線源療法治療装置であって、例えば直線状に折りたたまれた形状にあり、腫瘍摘出後窩洞に設置されたものを示す断面図である。
【図29C】腔内小線源療法治療装置であって、窩洞内における部分的に広げられた形状にあるものを示す断面図である。
【図29D】腔内小線源療法治療装置を示すものであって、図29Cの線29D−29Dに沿った断面を示す図である。
【図29E】腔内小線源療法治療装置を示すものであって、図29Dにおける装置の一部分を示す別の部分断面図である。
【図29F】腔内小線源療法治療装置の一部分を示す斜視図である。
【図30A】さらに別の実施例における腔内小線源療法治療装置を示すものであって、例えば曲線などの、展開されたあるいは広げられた形状にあるものを示す側面図である。
【図30B】さらに別の実施例における腔内小線源療法治療装置を示すものであって、例えば直線状などの、折りたたまれた形状にあるものを示す断面図である。
【図30C】さらに別の実施例における腔内小線源療法治療装置を示すものであって、展開されたまたは広げられた形状にあるものを示す断面図である。
【図31A】さらに別の実施例における腔内あるいは曲線状小線源療法治療装置であって、例えば直線などの折りたたまれた形状にあるものを示す斜視図である。
【図31B】さらに別の実施例における腔内あるいは曲線状小線源療法治療装置であって、例えば曲線などの展開されたあるいは広げられた形状にあるものを示す斜視図である。
【図31C】さらに別の実施例における腔内あるいは曲線状小線源療法治療装置であって、折りたたまれた形状にあるものを示す側面図である。
【図31D】さらに別の実施例における腔内あるいは曲線状小線源療法治療装置であって、折りたたまれた形状にあるものを示す端面図である。
【図31E】さらに別の実施例における腔内あるいは曲線状小線源療法治療装置であって、折りたたまれた形状にあるものを示す断面図である。
【図31F】さらに別の実施例における腔内あるいは曲線状小線源療法治療装置を示すものであって、広げられた形状にあるものを示す断面図である。
【図32A】例えば乳房における腫瘍摘出後の窩洞など、人体内における窩洞に小線源療法を供給するために図31A〜31Fにおける装置を用いる例示的な方法を説明するものであって、折りたたまれて移植された装置を示す斜視図である。
【図32B】例えば乳房における腫瘍摘出後の窩洞など、人体内における窩洞に小線源療法を供給するために図31A〜31Fにおける装置を用いる例示的な方法を説明するものであって、移植されて折りたたまれた装置を示す正面図である。
【図32C】例えば乳房における腫瘍摘出後の窩洞など、人体内における窩洞に小線源療法を供給するために図31A〜31Fにおける装置を用いる例示的な方法を説明するものであって、移植されて折りたたまれた装置を示す側面図である。
【図32D】例えば乳房における腫瘍摘出後の窩洞など、人体内における窩洞に小線源療法を供給するために図31A〜31Fにおける装置を用いる例示的な方法を説明するものであって、広げられた形状の装置を含む乳房の斜視断面図である。
【図32E】例えば乳房における腫瘍摘出後の窩洞など、人体内における窩洞に小線源療法を供給するために図31A〜31Fにおける装置を用いる例示的な方法を説明するものであって、広げられた形状の装置を含む乳房の断面図である。
【図32F】例えば乳房における腫瘍摘出後の窩洞など、人体内における窩洞に小線源療法を供給するために図31A〜31Fにおける装置を用いる例示的な方法を説明するものであって、窩洞内において装置が広げられた状態を示す概略図である。
【図32G】例えば乳房における腫瘍摘出後の窩洞など、人体内における窩洞に小線源療法を供給するために図31A〜31Fにおける装置を用いる例示的な方法を説明するものであって、装置によって提供される例示的な放射被覆領域を示す概略断面図である。
【図32H】装置の細長部材が周辺組織に対して穿通する状態を示しながら、組織構造内における腫瘍摘出後の窩洞内において広げられた装置を示す横断面図である。
【図33A】さらに別の実施例における腔内小線源療法治療装置であって、折りたたまれた形状にあるものを示す側面図である。
【図33B】さらに別の実施例における腔内小線源療法治療装置であって、広げられた形状にあるものを示す斜視図である。
【図33C】さらに別の実施例における腔内小線源療法治療装置であって、広げられた形状にあるものを示す側面図である。
【図33D】さらに別の実施例における腔内小線源療法治療装置であって、図33Cの線22D−22Dに沿った横断面図である。
【図33E】さらに別の実施例における腔内小線源療法治療装置の別の断面図である。
【図33F】さらに別の実施例における腔内小線源療法治療装置であって、対象組織領域内に移植されて部分的に広げられたものを示す図である。
【図33G】さらに別の実施例における腔内小線源療法治療装置であって、対象組織領域内において完全に広げられたものを示す図である。
【図34】さらに別の実施例における小線源療法用装置であって、対象組織領域内において広げられた状態にあるものを示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して人あるいは哺乳類の体に対して小線源療法を実施するための装置、方法およびシステムに関し、より具体的には、例えば乳房組織および/または体腔などの組織内に対して小線源療法治療を実施するための展開可能な装置およびこのような装置を用いた小線源療法を実施するための方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小線源療法とは、放射線治療の一種であって、例えば乳房あるいは前立腺の癌などの悪性腫瘍を治療するために用いられるものである。一般的に、小線源療法においては、放射線源を直接対象組織に配置するものであるが、この対象組織は、腫瘍および/または窩洞または空腔を取り囲む組織を含み、これらの窩洞または空腔は、(例えば腫瘍を摘出することによって形成された窩洞または空腔である場合には)癌細胞を含む可能性がある。
【0003】
小線源療法は、多くの場合、2つの種類に、すなわち高線量率(HDR)と低線量率(LDR)小線源療法に分類されるものである。HDR小線源療法においては、対象組織に対して短い時間、例えば数秒から数分に亘って高レベル放射線源が、多くの場合には予め埋没されたカテーテルを介して設置される。これに対して、LDR小線源療法においては、より長い、時には不定である時間に亘って低レベル放射線源が設置される。
【0004】
いずれの形の小線源療法にも利点はある。例えば、HDR小線源療法においては、より短い線量供給時間において供給される高い照射レベルが可能となる。一方、LDR小線源療法においては、より低レベルな放射線源が用いられる。LDR放射線源におけるエネルギー場によって、例えば腫瘍、腺および窩洞または空腔の回りにおけるその他の組織などである対象組織に対して測定的および局所的である線量を供給することが可能となる。しかしながら、その後エネルギー場は衰えるため、付近における健康な組織に対する過度な照射を防止することが可能である。
【0005】
部分的にはLDR放射線源の低活動性に起因するものであるが、LDR小線源療法は、複数の利点を奏する。例えば、医療従事者にとって、LDR小線源療法における予防措置は、HDR小線源療法における予防措置に比べると幾分厳しくないものであってもいい。また、HDR小線源療法に比してLDR小線源療法には(例えば線量率効果など)放射線生物学上の利点があるため、治療中に通常組織をより良く救うことなどが可能となる。さらに、LDR小線源療法においては、移植期間が比較的長くなるため、照射治療の過程において医療機関を訪ねる回数が少ないのに対し、HDR小線源療法において、患者は通常供給される放射線の分割回数毎に医療機関に戻る必要があるが、この分割回数は、乳房に対する小線源療法において一般的には8〜10回となる。
【0006】
LDR小線源療法において用いられる一般的な放射線源は、例えばパラジウム(Pd)−103、ヨウ素(I)−125、金(Au)−198およびイリジウム(Ir)−192などの放射性同位元素を含むものである。同位元素のサイズや形状は異なる場合があるものの、通常の適用例(例えば前立腺の小線源療法など)においては、円錐形カプセル状の標準サイズであって、例えば直径0.8mmおよび長さ4.5mmである、おおよそ米粒ぐらいのサイズを有するものとして準備されるものであり、多くの場合は「シード」と称される。
【0007】
LDRシードは、多くの場合ガイドテンプレートを用いて針を介して供給される。ガイドテンプレートは、孔のマトリクスを有し、この孔によって針の縦方向における進行が案内され、針が対象組織に対して正しく位置づけられる。一旦針が対象組織に対して正しく位置決めされると、シードが各針の縦方向軸に沿って打ち込まれ、その後針を引き抜くことが可能となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
効果的ではあるが、現在の小線源療法の実施方法には、潜在的な欠点がある。例えば、LDRシードは、対象組織の内部において留置されたままで浮遊状態にあることが通常であるため、移動しやすい。さらに一旦移植されると、一般的にはLDRシードの取り出しあるいは再配置ができないとされている。さらに、LDR小線源療法においては、シード移植の前および移植中においても注意深く線量分布計算とシードマッピングを実施することが必要となる。このような計算とマッピングによって、対象組織量に対する効果的な放射線の供給を可能としながら、(例えば前立腺小線源療法においては尿道および直腸などの)周辺の健康な組織に対する照射を最低限に抑える。しかしながら、このような線量計算やシードマッピング技術は、効果的ではあるが、例えばそれぞれの臨床医によってシードの位置決め精度において潜在的に重大なばらつきが存在するなど、問題がある場合がある。
【0009】
従来のLDR小線源療法技術におけるさらに別の問題としては、このような技術の多くは、移植時において、放射性シードを個々に取り扱うことを必要とすることが多いということがあり、多くの場合、多大なる時間を要する。さらに、従来のLDR供給針は、一般的にシードを直線的に(比較的直線的な線に沿って)供給するものに限定される。したがって、所望の療法プロフィールを得るために、多くの場合には、(例えば前立腺の小線源療法において通常であるように、およそ50〜100シードを含む)数多くの移植をする必要があり、同時に潜在的に複雑な線量分布およびマッピング技術および設備が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、概して小線源療法を局所的な対象組織領域に対して供給するための装置および方法に関するものである。本発明は、身体におけるほとんど全ての領域に対して有益であるものの、とりわけ本発明は、乳房腫瘍あるいは腫瘍摘出手術による窩洞など、乳房組織の治療において特に有利である。例えば、本発明は、ネオアジュバント治療と切除後治療の療法における局所的な放射源の挿入および除去のために用いることが可能である。
【0011】
本発明の例示的な実施例は、小線源療法用手段および装置に関するものである。これらの手段および装置は、小線源療法治療を(例えば乳房組織領域などの)対象領域に対して施すことが可能である。別の実施例は、小線源療法用手段を対象領域に対して供給することに関するものである。小線源療法を対象領域に対して供給するためのシステムおよび方法も提供されるものである。
【0012】
一実施例において、小線源療法治療装置が提供されている。この装置は、伸張体であって、近接端部と組織を通る経路への導入に適した寸法を有する遠位端部とを有するものを備える。複数の細長部材が遠位端部に設けられ、これら部材に沿って放射線源を収容するための経路を有する。これら細長部材は組織経路を対象位置まで導入するための折りたたみ形状から展開形状へと可動とすることが可能である。対象位置に対して放射線を照射するための経路に沿って放射線源を導入可能とすることもできる。
【0013】
別の実施例において、身体の内部における組織の小線源療法治療のための方法が提案されている。この方法は、窩洞に隣接する対象位置に対して組織を通る経路を形成するステップと、複数の細長部材を担持する伸張体を、上記細長部材が折りたたみ形状にある状態で、上記経路を通って上記対象位置内へ前進させるステップとを有するものである。上記対象位置において上記細長部材を中心軸から離して配置するように上記細長部材を展開形状にさせる。これによって、隣接する上記細長部材の少なくとも一部の間で上記対象位置における(例えば上記窩洞を取り囲む)組織が延伸する。上記対象位置へ放射線を供給して上記対象位置における組織を治療する。
【0014】
上記概要は、本発明の全ての実施例あるいは全ての実施方法を描写することを意図していない。むしろ、本発明のより完全な理解は、以下における詳細な説明と特許請求の範囲を添付図面を鑑みつつ参照することにより明確となって理解されるものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、図面を参照しつつ、詳述されるものである。
【0016】
以下の例示的な実施例の詳細な説明において、実施例の一部をなすものであり、本発明が実施され得る特別の実施例が例示的に示されているものである添付図面を参照する。なお、本発明の範囲から逸脱することなく別の実施例を用いたり構造上の変更を加えたりすることが可能であることは理解され得る。
【0017】
一般的には、本発明は小線源療法用装置および方法とに関連するものである。例えば、一実施例において、1つあるいはそれ以上の治療要素(例えば放射源など)を対象組織領域に対して供給するためのシステムが提供されている。一旦供給されると、放射源を直ちに除去することも(例えばHDRへの適用の場合)あるいは所定の期間、そのまま、例えば移植することによって残すことも可能である(例えばLDRへの適用の場合)。いずれの場合においても放射源は、所定の療法プロフィールに従って対象組織領域に対して治療を施すことが可能である。
【0018】
ある実施例においては、LDR放射源を移植し、人体あるいは対象組織に対して固定することにより放射源の対象組織に対する移動を防止するか実質的に制限するようにすることが可能である。従来のLDR小線源療法とは異なり、本明細書に記載される装置と方法は、予め準備された、例えばシードなどの放射線源パッケージを用いて留置治療の役割を果たしながら、小線源療法が完了した場合には放射源を容易に除去することを可能にする。
【0019】
本明細書において使用される「放射源」「放射線源」とは、放射線量を供給すべく操作可能なほとんど全ての治療要素を含み得る。例えば、この放射源は、1つあるいはそれ以上の放射性シードあるいは1つあるいはそれ以上のLDRまたはHDRワイヤ要素(例えばイリジウムワイヤなど)であり得る。
【0020】
本明細書において使用される「移植可能な」という用語は、手段が体内に挿入され、その後、例えば1時間以上、好ましくは数時間以上、さらには数日以上を含む長期間に亘って周辺組織内に比較的固定的あるいは静的な位置に保持され得ることを示すものである。
【0021】
さらに、本明細書において使用される「対象組織」「対象組織領域」「対象領域」および「対象組織量」とは、放射線治療の利益を享受することが知られている人間(あるいはその他哺乳類の)体のほとんど全ての部分を含むものである。例えば、このような対象組織領域とは、腫瘍あるいは病巣そのもの、腫瘍の近傍あるいは周辺にある組織、あるいは腫瘍の切除によって形成された窩洞領域(例えば、乳房の腫瘍摘出後の窩洞に関わる周辺組織または窩洞など)であり得る。
【0022】
なお、本明細書においては主にLDR小線源療法に関して記載されるものの、本明細書に記載される装置と方法とは、後述されるように(例えばHDRカテーテルなど)HDR小線源療法にも用いられ得るものである。さらに、本明細書においては小線源療法に関して記載されるものの、これら装置と方法は、治療を施す要素を取り外し可能に移植することによって利益を得るその他の治療レジメンにも適用し得るものである。
【0023】
簡潔にするため、本明細書に記載されるこれら装置と方法は、乳がんの治療のために用いられる。しかしながら、この特定の適用は、限定的なものではない。すなわち、当業者であれば、本明細書に記載されるシステム、装置および方法が、小線源療法によって利益を得るあらゆる種類のがんに適用され得ることが容易に理解できる。
【0024】
このような導入部分を経て、図面を参照すると、図1において体の対象組織領域に対して小線源療法を施すための例示的なキットまたは装置100が示されている。この装置100は、細長い、柔軟性を有し、取り外し可能な形で移植可能な小線源療法治療手段102(以下、「小線源療法用手段102」とも称する)であって、治療供給部分104と細長い、柔軟性を有する尾部106とを有するものを備え得る。後述するように、この尾部106によって治療完了時に手段102を除去することが可能になる。それ以外の後述される、例えばロッキング部材も装置100に含まれ得る。
【0025】
本明細書において使用される「柔軟性を有する」という用語は、高度に曲げやすい要素を指すものであり、例えば大幅且つ容易にたわみ、曲げおよび/または捻ることができ、破損あるいは永久変形しないような要素などである。
【0026】
治療供給部分104は、治療要素のためのキャリア容器を構成し、例えば放射性シード108などの放射源であって、互いと治療供給部分104に対して固定される。1つあるいはそれ以上のスペーサ110を選択的に各シード108の間に設けて所望するシード分離を得ることが可能である。
【0027】
これらシード108は、現在知られているあるいは後に発現した、あらゆる条件を満たす放射線源から製造することが可能である(例えば放射性パラジウム、ヨウ素、セシウムあるいはイリジウムなど)。典型的には、所望する治療供給レジメンに対応するように無数のシード108が設けられ、治療供給部分104の長さに沿って正確に位置づけられる。これらシード108は、同一の放射線強度を有してもよいし、一容器における1つ以上のシード108が互いとは異なる放射線強度を有してもよい。いくつかの適用例において、1つ以上のシード108を異なる長さのスペーサによって分離することによって所望する線量効果を得ることが可能である。本明細書においては放射線源がシード108として記載されているものの、放射線源は、放射線ワイヤ(例えばイリジウムワイヤなど)の連続フィラメント(または無数の不連続セグメント)などの別の形状を有することが可能である。
【0028】
いくつかの実施例において、小線源療法用手段102は、図面に置いてチューブあるいはチューブ部材112として図示されている、柔軟性を有するケーシングあるいはケーシング部材を有する場合があり、このケーシングの中においてシード108および任意であるスペーサ110がしっかりと保持されている。いくつかの実施例において、このケーシングは、非溶解性、柔軟性および熱収縮性を有するチューブ材からなる。本明細書において使用される「熱収縮性を有するチューブ」とは、各種プラスティックチューブなどのチューブであって、後に実施される熱照射によってチューブが収縮することによってチューブがシード108をしっかりと定位置に保持することが可能となるようなものを指す。例示的な熱収縮性を有する素材には、ポリエステル、フッ素化ポリマーおよびポリオレフィンなどが含まれる。
【0029】
あらゆるチューブの寸法が想定され得るものの、一実施例において、チューブ112は、約1mmの初期内径と約0.05mmの壁厚を有し得る。一旦加熱されると、チューブ112は、(制約を受けない場合)約0.3mm〜0.6mmの範囲にある外径を有するようになるまで収縮する。
【0030】
本明細書において、ケーシングは原則として管形状を有するものであるとして記載されるが、別の実施例においてケーシングは、個々のシード108をケーシングおよび互いに対して効果的に固定するのに適したあらゆる形状を有し得る。
【0031】
一旦、シード108と任意のスペーサ110がチューブ112内に位置づけられると、チューブも熱照射によって収縮させることによって、チューブ112をシード108の周りに収縮させることが可能である。尾部106は、ケーシング(チューブ112)の例えば延長部分などの一体部分であって、シード108を越えて延伸する部分から形成され得る。尾部106の直径を小さくするために、尾部をも熱処理する(収縮させる)ことが可能である。(後述される)その他の実施例において、例えば治療供給部分に別個のフィラメント尾部を取り付けたものなどの二部構造の小線源療法用手段を用いることが可能である。
【0032】
特定の形状に関係なく、本明細書に記載される小線源療法用手段102は、シード108間の適切なスペーシングを可能にするだけではなく、その後のシードの識別および除去を容易にするものである。さらに、シードは治療供給部分104によって画定される容器内において収容されているため、シードを個々に取り扱う必要がなく、よって移植の前および移植時における貯蔵および取扱いが容易となる。
【0033】
ケーシング(チューブ112)および尾部106を含む手段102の構成要素は、非溶解性素材からなることが好ましい。本明細書において使用される「非溶解性」という用語は、移植期間において実質的に劣化あるいはその他の形で破損することがない、あらゆる素材を指すものとする。
【0034】
小線源療法用装置100は、さらにカテーテルまたは針114を有する場合がある。ここでは針114として図示されているものの、本発明の範囲から逸脱することなく、後述されるようなカニューレなど、いかなる種類のカテーテルまたはチューブ部材を用いてもよい。針114は、図1において示されるように、治療手段102がその中を通ることが可能である十分な寸法を有する管腔115を画定する。いくつかの実施例において、針114は、近接端部においてさらにハブ116を有し、例えば針の操作および/または治療手段102の挿入を援助する。針114の遠位端部は、後述されるように体を穿刺することができる尖った先端117を形成することが可能である。針114は、あらゆる適切な生体適合性のある素材からなり得る。針は、例えばステンレス鋼、チタンあるいはニッケル・チタン合金などの金属からなり得る。また、針は、フッ素化ポリマーなどのプラスティック製の(図示されない)取り外し可能な外装を有する場合がある。
【0035】
図2A〜2Eは、図1の小線源療法用装置100を使用するための例示的な方法を説明する図である。一旦、体200内における対象組織領域202(例えば腫瘍あるいは腫瘍窩洞)が正確に決定されると、図2Aの矢印203によって示されるように針114が体内200へ所定の深さまで挿入される。針114および/または対象組織領域202の相対的な位置は、例えば超音波、CTスキャンまたは定位的X線など、あらゆる方法によって決定され得る。さらに、例えば後述するような針ガイドテンプレートあるいはその他の技術を用いて針114を調整することも可能である。
【0036】
次に、小線源療法用手段102を図2Bの矢印205によって示されるように、針114の管腔115内に挿入し、治療供給部分104を図2Cに示される対象組織領域202に対して所定の深さに達するまで配置することが可能である。治療手段102のおおよその挿入深さを決定するための一助として、尾部106に測量区分118を設けることが可能である。例えばX線、超音波などのその他の位置確認技術を用いてもよい。あるいは、治療手段102が少なくとも部分的に針114の管腔115に装着された状態において針114を挿入することも可能である。
【0037】
一旦、治療手段102が所定の深さに位置づけられると、針114を図2Dにおいて示される方向207に向かって体内から抜きながら、手段102の治療供給部分104を体内200の所望の位置に留置させることが可能である。尾部106は、図2Eに示すように体外200に延伸するほど十分な長さを有することが好ましい。すなわち、尾部106は、針114によって形成された穿刺孔を通って外部に延伸することが可能である。一実施例において、尾部106は十分なコラム強さを有するため、針114を引き抜く際に尾部106を保持することによって治療供給部分104を所望の位置に保持することが可能である。
【0038】
治療供給部分104の移動を防止するために、ロッキング部材120を治療供給手段102の尾部106に対して圧着あるいはその他の方法で取り付けて体200における当該穿刺孔に直接隣接するようにすることが可能である。このロッキング部材120は、治療供給部分104の対象組織領域202に対する位置を保持する一助となる。あらゆるロッキング部材を用いることが可能であるが、一実施例においては可鍛性を有する、帽子またはU字形のロックであって、このロックをクリップアプライヤーあるいは類似の道具を用いて尾部に対して容易且つしっかりと圧着できるものを使用する。例示的なロッキング部材120の拡大図が図27において示されている。
【0039】
説明のために、図2A〜2Eにおいては、1つの治療供給手段102のみが図示されている。しかしながら、実地においては、複数の手段を用いて対象組織領域202に対して適切な線量を供給することが可能である。実際の手段102の数は、病巣のサイズ、放射線源の放射性レベル、およびその他の臓器/傷つきやすい組織(例えば皮膚、胸壁など)への接近度など、その他のパラメータに応じて異なる場合がある。しかしながら、例示的な治療手段102のアレイにおいては、おおよそ5〜25の範囲における数の手段が予定される。
【0040】
図2Fにおいて、特に乳がんの治療においてさらに別の効果を奏し得る、図2A〜2Eにおける治療手段102の変形例が図示されている。この実施例において、手段102にあらゆる点で類似する治療手段152が提供されている。しかしながら、この手段152は、治療供給部分154の第1の端部から延伸する第1の尾部と第2の端部から延伸する第2の尾部との両方を有することが可能であり、すなわちこの手段は、治療供給部分154の各端部において1つの尾部156を備えることが可能である。移植時において、針114は、体、例えば乳房200を完全に貫通して一方の尾部156が乳房200の反対側から出るように延伸することが可能である。こうして、ロッキング部材120を対象組織領域202における2箇所に固定することによって、治療供給部分154の対象組織領域202に対する移動を防止する、あるいは実質的に制限することが可能となる。
【0041】
その直径が2mmあるいはそれ以上である従来の小線源療法用カテーテルとは異なり、治療手段102は、治療供給部分104において約1mm以下、また尾部106においてはさらに小さいものである得る。この構造によって、手段102が比較的小さく柔軟性を有するものとなり、よって患者にとって目障りでなくなる。実際、尾部106の寸法および柔軟性は、従来の縫合線に類似するものであってもよい。その結果、尾部106の固定は、数多くの方法によって実施され得、例えば尾部を周辺の体の輪郭に沿って折り曲げ、端部同士を結んだり、さらに/あるいは図2Eおよび26における救急絆2600によって代表されるよう、端部を粘着テープを用いて固定したりすることが可能となる。
【0042】
図3Aは、図1の治療手段102の拡大図である。この図において明確に示されているように、この治療手段102は、治療供給部分104と尾部106を備え得る。前述のとおり、治療供給部分104は、1つ、あるいは好ましくはそれ以上のスペーサ110によって分離されて例えば熱収縮性を有するチューブ112などのケーシング内に入れられた放射性シード108を含むものである。尾部106は、シード108を囲まないチューブ112の部分によって形成され得る。いくつかの実施例において、チューブ112の絶縁保護特性によって十分なシードのスペーシングを確保することが可能であるため、スペーサ110の必要性がなくなる。図3Bは、図3Aの線3B−3Bに沿ったシード108およびチューブ112を通る断面図を示している。
【0043】
図4A〜4Bにおいて、別の実施例における治療手段402が示されている。この手段402は、あらゆる点において上述の手段102と類似している。例えば、図4Aにおいて示されるように、手段402は、治療供給部分404と尾部406を有し得る。例えば熱収縮性を有するチューブ412などのケーシングを用いてシード108と任意のスペーサ110を包み込み、さらには尾部406を形成する。しかしながら、図3A〜3Bにおける実施例とは異なり、チューブ412は、放射線吸収部分414であって、治療供給部分404の円周の一部に沿って配置された、例えば物質またはライナーであるものを有し得る(図4Bを参照のこと)。この放射線吸収部分414は、放射線減衰素材を含み得、この放射線吸収部分414によってブロックされていない組織とは対照的に、放射線吸収部分414によってブロックされている組織に対する放射線照射をこの素材によって低減することが可能となる。特定の実施例に限られるものではないが、この放射線吸収部分は、チューブ412の一部に対して塗布されるあるいはその中に含浸される物質(例えばタングステン、ニッケル・チタン合金、ステンレス鋼など)によって形成され得る。あるいは、放射線吸収部分は、チューブ412内にあるいはチューブの一部に対して固定されるライナーによって形成され得る。図4Bは、図4Aの線4B−4Bに沿ったシード108およびチューブ412を通る断面図を示している。
【0044】
本明細書において使用される「放射線透過性」という用語は、装置または手段の透過性を有すると認識された部分が「放射線吸収性」を有すると認識された部分に比してより放射性を透過させやすいということのみを示すものである。
【0045】
図5A〜5Bは、さらに別の実施例における治療手段502を示すものである。この手段502は、あらゆる点において上述の手段102と類似している。例えば、図5Aにおいて示されるように、手段502は、治療供給部分504と尾部506を有し得る。例えば熱収縮性を有するチューブ512などのケーシングを用いてシード108と任意のスペーサ110を包み込み、さらには尾部506を形成する。しかしながら、前述の実施例とは異なり、この治療手段502は、例えば平らあるいは円形断面を有するアンカーワイヤ514などのアンカー部材であって、治療供給部分504の少なくとも一部に沿って延伸するものを備えることが可能である。アンカー部材514は、治療供給部分の一方あるいは両方の端部から突出し、折り曲げるかその他の形に形成することによって1つ以上のフック、返しあるいはその他のアンカー516を構成する。
【0046】
治療供給部分504が移植時に針114(図1を参照のこと)から外へ出る場合、これらアンカー516が周辺組織を広げて係止することによって治療手段502の近隣面への移動を防止する一助となる。治療供給部分504の各端部において1つのみのアンカーが示されているものの、他の実施例においては一方あるいは両方の端部において複数のアンカーを設け、例えば回転やねじれあるいは遠位移動などの移動にさらに抗うことが可能である。図5Bは、図5Aの線5B−5Bに沿ったシード108およびチューブ512を通る断面図を示している。
【0047】
所望する放射線量が供給された後、治療手段102(あるいは本明細書に記載された、例えば手段402や502などのその他の治療手段)をあらゆる方法で除去することが可能である。例えば、手段102を除去するには、最初に(例えば図2Eにおける救急絆2600など)の包帯およびロッキング部材120を取り外し、その後体外200に延伸する一方の尾部106に対して引っ張り力を付与すればよい。あるいは、例えば定位ワイヤを用いた切除に類似した方法など、公知である方法で腫瘍202の除去手術を実施する前あるいはその最中に手段102を除去することが可能である。
【0048】
治療手段102が、例えば手段502におけるアンカー516(図5A)などの内部保持要素を備える場合、図5Cに示されるような除去用カテーテル550を使用することが可能である。除去用カテーテル550は、本明細書に記載される供給カニューレおよび例えば針114などの針とあらゆる点で類似している。カテーテル550は、尾部106を越えて通り抜けて治療供給部分104を取り囲むまで前進される。例えば、除去用カテーテル550の遠位端部が例えば図5Aにおける遠位アンカー516などの遠位保持要素に係止するところまで前進させられる。さらに除去用カテーテル550を前進させることによって、アンカーを十分に折り曲げ、治療供給部分を図5Cの破線で表すように除去用カテーテル内に滑り込ませることが可能となる。その後、手段502と除去用カテーテル550とを一体として体内から除去することが可能となる。
【0049】
本明細書に記載される全ての方法において、小線源療法用手段を移植したままにできる期間は、所望の治療レジメンによって異なる。いかなる固定の期間に縛られることを望まないものの、1時間を越えて8週間ぐらいに亘る移植が治療のために予定されるものである。しかしながら、乳房の小線源療法においては、1日から数週間に亘る範囲で例えば4日から10日などの移植期間の可能性の方が高い。さらに、例えば手段102など、手段の構造によっては、移植後、ある範囲の時間枠に亘って除去される場合もある。このようなケースは、恒久的な設置に比べて、典型的には従来のLDR小線源療法と従来のHDR小線源療法における短い照射時間とに付随するものである。その結果、中間レベルの放射線源と、さらに従来の低レベルおよび後述するように高レベル源とを本明細書に記載される方法および装置とともに用いることが可能である。
【0050】
図6において、別の実施例における小線源療法用キットまたは装置600が示されている。図1における装置100とは異なり、この装置600は、数ある中でも、少なくとも1つの取り外し可能に移植可能な小線源療法治療手段(小線源療法用手段602)、プッシャーまたはプッシャー部材620、例えばカニューレまたはカニューレ部材630などのカテーテルおよび尖栓塞子640を備え得る。
【0051】
ここでも治療手段602は、治療供給部分604と除去用部分または尾部606とを有し得る。治療供給部分604は、1つ以上のシード108と任意のスペーサ110を有し得る。シード108は、前述のチューブ112にあらゆる点において類似する、例えば熱収縮性を有するチューブまたはチューブ部材612などのケーシング内に入れられていてもよい。
【0052】
しかしながら、本実施例における尾部606は、例えば非溶解性の外科用縫合糸614などの細長いフィラメントまたはワイヤであって、治療供給部分604に対して連結されるかその他の方法で取り付けられるものから形成される。この縫合糸614を治療供給部分604に対して取り付けるあらゆる方法があるものの、一実施例においては縫合糸に結び目616を作る。この結び目616は、チューブ612が治療供給部分604に対して熱収縮される際に捉えることが可能である。別の実施例において、縫合糸614は、直接治療供給部分604の周りにおいて結びつけるか別の方法で取り付けられる。しかしながら、このような縫合糸の取り付け方法は単に例示的であって、縫合糸614を治療供給部分604に対して取り付けるあらゆる方法が可能である。縫合糸614および前述の尾部606は、例えばポリプロピレン、ポリエステルまたはポリアミドなどの非溶解性素材からなり得る。
【0053】
プッシャー部材620は、図6および7において示されるように、治療手段602がその中を通る管腔を有し得る。プッシャー部材は、治療手段602の取り付けおよび固定の一助となるように、近接端部において例えばルアーハブなどの縫合糸ロッキング手段622を備える。このロッキング手段622は、後述するように縫合糸614をプッシャー620に対して固定することが可能である。ここではルアーハブとして説明されているものの、このロッキング手段622は、公知であるあらゆる摩擦手段または締付手段であり得る。例えば、ロッキング手段は、縫合糸614を挟むために選択的に圧縮され得るOリングであってもよい。
【0054】
カニューレ部材630も、図6において示されるように、プッシャー部材620がその中を通る管腔を有し得る。カニューレ部材630は、その近接端部においてルアーハブ632を備え、後述するように尖栓塞子640またはプッシャー部材620のいずれかがカニューレ部材の管腔を通って滑り込んだ場合、このルアーハブによってカニューレ部材が尖栓塞子またはプッシャー部材に対して固定される。
【0055】
尖栓塞子640は、近接端部においてハブ642を有するハンドル部分と、遠位端部において体内組織を穿刺するために使用される尖端644を有し得る。ハンドル部分によって、栓塞子640を容易に操作することが可能となる。栓塞子640の外径は、図6において示されるように栓塞子がカニューレ部材630の管腔内に収まるような寸法を有する。
【0056】
装置600の構成要素は、あらゆる適した生体適合性を有する素材を用いて製造し得る。例えば、カニューレ部材630、プッシャー部材620および尖栓塞子640は、例えばステンレス鋼またはチタンなどの金属、プラスティックあるいは複合材料からなり得る。
【0057】
図7は、使用前に組み立てられ得る装置600を示す図である。尖栓塞子640をカニューレ630内に挿入し、栓塞子の遠位尖端644が図示するようにカニューレ630の遠位端部から外に突出するようにする。前述のように治療供給部分604と縫合糸614とを含む治療手段602は、プッシャー部材620内に入れられ、治療供給部分604がプッシャー部材の遠位端部から延伸し、縫合糸614がプッシャー部材の近接端部におけるハブ622から延伸するようにする。縫合糸614をプッシャー部材620の近接端部から引っ張って、治療供給部分604が図示されるようにプッシャー部材620の遠位端部あるいはその近傍になるようにする。その後、ロッキング手段622を係止させて縫合糸614を保持し、よって治療供給部分604をプッシャー部材620に対する定位置に保持する。
【0058】
図8A〜8Eは、小線源療法を、例えば乳房200など、人体の一部に対して供給するためのシステム600を利用するための例示的な方法を説明するものである。一旦、例えば腫瘍または腫瘍窩洞などの対象組織領域202が特定されると、カニューレ630と尖栓塞子640の組み合わせ(図7を参照のこと)は、図8Aにおける矢印802によって示されるように対象組織領域202内へと前進される。カニューレ630の遠位端部が所望の深さに達すると、図8Bにおいて示すように尖栓塞子640をカニューレの近接端部を通って除去し(方向804へと移動させ)ながらカニューレ630を留置する。
【0059】
その後、プッシャー部材620と治療手段602の組み合わせ(図7を参照のこと)を図8Cに示すようにカニューレ630の近接端部内に方向806へと挿入する。プッシャー部材620と治療手段602は、治療部分604が例えばカニューレ630の遠位端部あるいはその近傍などの所望の位置になるまで挿入され得る。治療部分604の位置決めは、例えば定位X線、超音波またはCTなどの画像ガイダンスによって支援され得る。
【0060】
一旦、治療部分604が位置決めされると、カニューレ630を後退(方向808へと移動)させ、図8Dにおいて示すように治療部分604を対象組織領域202にさらす。その後、ロッキング手段622を解除して、図8Eにおいて示すようにプッシャー部材620とカニューレ630を体内200から完全に引き抜く(方向810へと移動させる)。治療供給部分604は、対象組織領域202に移植されたまま、縫合糸614が体外へと延伸する。
【0061】
以上のステップは、各小線源療法用手段602を配置するために繰り返すことが可能であるが、後述するように複数の手段を実質的に同時に一つのグループとして移植することも可能である。
【0062】
図示されていないものの、例えば図2Eおよび27において示されるようなロッキング部材120などのロッキング部材を用いて、治療手段602、例えばその尾部606を一方あるいは両方(図2Fを参照のこと)の端部に対して固定することが可能である。あるいは、治療手段602は、例えば図5に置いて示されるようなアンカー516などの固定要素を有する場合がある。さらに、治療手段602を単に尾部606を折り曲げて乳房200に対して接着することによっても固定することが可能である(図2Eおよび26を参照のこと)。
【0063】
所望の放射線量が供給された後、例えば尾部606などの除去部材や除去用カニューレなどの除去用部材を使用するなどして、治療供給手段102を既に述べたあらゆる方法を用いて除去することが可能である。
【0064】
図9Aは、図6〜7における治療手段602の拡大図である。この図において明確に見受けられるように、この治療手段602は、治療供給部分604と尾部606とを有し得る。治療供給部分604は、例えば熱収縮性を有するチューブ612などのケーシング内にしっかりと保持されている1つあるいは好ましくはそれ以上の放射性シード108を有する。尾部606は、縫合糸614によって形成され得る。縫合糸614の結び目616は、熱収縮性を有するチューブ612によって治療供給部分604に対して固定され得る。スペーサ110を使用するものとして図示されているが、いくつかの実施例においてはスペーサは不要であり、例えばチューブ612などのケーシングの絶縁特性があれば適切なシード108のスペーシングと格納とを確保するのに十分である場合がある。図9Bは、図9Aの線9B−9Bに沿ったシード108とチューブ612の断面図である。
【0065】
図10A〜10Bは、別の実施例による治療手段1002の図である。この手段1002は、前述の手段602にあらゆる点で類似している。例えば、この手段1002は、治療供給部分1004と尾部1006とを有し得る。例えば熱収縮性を有するチューブ1012などのケーシングを用いて、シード108と任意のスペーサ110を包み込むことが可能である。手段602同様、尾部1006は、縫合糸614によって構成され、その結び目616が治療供給部分1004に対して熱収縮可能であり得る。しかしながら、図9A〜9Bの手段602とは異なり、チューブ1012は、少なくとも治療供給部分1004の円周上における一部に沿って設けられた放射線吸収部分1014を有し得る(図10Bを参照のこと)。チューブ1012と一体的にあるいは別個に形成され得る放射線吸収部分1014は、放射線吸収部分によってブロックされた組織に対する放射線照射を制限することが可能である。図10Bは、図10Aの線10B−10Bに沿ったシード108とチューブ1012の断面図である。
【0066】
図11A〜11Bは、さらに別の実施例による治療手段1102の図である。この手段1102は、前述の手段602にあらゆる点で類似している。例えば、この手段1102は、治療供給部分1104と尾部1106とを有し得る。例えば熱収縮性を有するチューブ1112などのケーシングを用いて、シード108と任意のスペーサ110を包み込むことが可能である。図5Aおよび5Bにおいて示される実施例同様、治療手段1102は、例えばアンカーワイヤ1114などのアンカー部材を有し、このアンカー部材が治療供給部分1104の少なくとも一部に沿って延伸して一方あるいは両方の端部から突出している。このアンカーワイヤ1114は、一方あるいは両方の端部において折り曲げられてアンカー1116を形成する。治療供給部分1104がカニューレ630の外に出ると(図8Dを参照のこと)、アンカー1116が延伸して周辺組織を捉えることによって治療手段1102の移動を防止する一助となる。図11Bは、図11Aの線11B−11Bに沿ったシード108とチューブ1112の断面図である。
【0067】
なお、本明細書に記載されるさまざまな発明の構成要素は、詳述されたあらゆる方法およびシステムの間で交換可能に使用され得るものである。例えば、手段102、152、402、502、602、1002および1102は、本発明の範囲から逸脱することなく、図2A〜2E、2Fおよび図8A〜8Eにおいて詳述された方法とともに用いられ得るものである。
【0068】
上述の実施例においては、主に収縮によってフィットされたチューブ(例えば図9Aのチューブ612など)によって形成される治療供給部分(例えば図1の部分104または図6の部分604など)を用いるものである。しかしながら、治療供給部分の別の実施例は、別の支持部材を有する場合がある。このような支持部材は、治療供給部分を支持するいかなる要素であってもよく、例えばステンレス鋼または超弾性ニッケル・チタン合金などの一片の要素などであり得る。さらに、シード108を部分的に支持するために、支持部材の要素によって治療供給部分を放射線透過部分と放射線吸収部分とに分離することが可能である。すなわち、要素がシードの少なくとも一部分を包み込むことによって、周辺組織に対する放射をある程度減衰あるいは遮蔽することが可能である。その結果、シード108に対向する支持部材側の組織は、シード側の組織よりも低い放射線量を受けるようになる。支持部材は、例えば熱収縮性を有するチューブ112または612などのケーシングによって包まれ得る。
【0069】
例えば、図12Aおよび12Bには、治療手段1202であって、尾部1206と、複数のシード108と直線状の支持部材1210を有する治療供給部分1204を有するものが示されている(図12Aを参照のこと)。この支持部材1210は、例えばアーチ形などの曲線状断面を有し得る(図12Bを参照のこと)。あるいは、(図示されないが)比較的平らな断面図を有することも可能である。別の実施例においては、例えばV字形など、あらゆる断面形状が用いられる。さらに支持部材1210は、図12Aにおいて示されるシャベル型先端を含む各種先端形状を有し得る。支持部材の1210の少なくとも一部は、前述のとおり、例えば熱収縮性を有するチューブ1212などのケーシング内に包み込まれていてもよい。
【0070】
図12Aにおける支持部材1210は、おおむね直線的であるものの、他に例えばある程度の湾曲を有するなど、曲線状の支持部材を用いることも可能である。例えば、図13Aにおいて曲線状の支持部材1310を有する治療供給部分1304を有する治療手段1302が示されており、この曲線状の支持部材が治療部分1304にアーチ形あるいはその他の曲線状の形状を付与する。支持部材1310は、弛緩状態において曲線状であるように形成されていてもよく、あるいは曲線状の移植が可能であるように単に十分な柔軟性を有するものであってもよい。図12A〜12Bの支持部材1210のように、支持部材1310は、例えば平ら、(図13Bに示されるような)曲線状あるいはV字形など、あらゆる断面形状を有し得る。支持部材1310の少なくとも一部は、前述のケーシング同様、例えば熱収縮性を有するチューブ1312などのケーシング内に包み込まれていてもよい。図13Bは、図13Aの線13B−13Bに沿った断面図である。
【0071】
本明細書では図示されていないものの、これら支持部材は、任意ではあるが、1つ以上のスロットを例えば中心線沿いに有することによってシードを少なくとも部分的にスロット内に入れることが可能である。その結果、本明細書に記載されている支持されていない治療供給部分に比べて高い剛性を可能にする治療供給部分を得ながら、支持部材の両側における組織に対して確実に放射線治療を実施することが可能となる。
【0072】
図14A〜14Bは、治療供給部分1404の別の例示的な実施例を示すものである。この実施例において、治療供給部分は、例えばチューブ1412などのカテーテルまたはケーシングであって1つ以上の管腔を有するものを含むものである。第1または主管腔1408は、(図示されない)シードを収容し、第2の管腔1414は、チューブ1412の長手方向長さに沿って延伸する減衰または遮蔽要素1416を有し得る。その結果、チューブ1412は、放射線透過部分(要素1416によってブロックされていない部分)と放射線吸収部分(要素1416によって遮蔽されている部分)とを有する。一実施例において、チューブ1412は、プラスティック(例えばフッ素重合体)と(例えばステンレス鋼、金など)一連の上質金属などの減衰素材とともに共押出成形することによって得られる。別の実施例において、減衰素材は、例えばタングステン粉末などの減衰素材を加えたポリマーの共押出体であり得る。チューブ1412は、熱収縮性を有しても有しなくてもよい。汎用性を鑑みて、遮蔽要素1416は、直線状でも曲線の予備形状を有するものであってもよい。図14Bは、図14Aの線14B−14Bに沿った断面図である。
【0073】
図15は、治療手段1502と例えばカニューレ1501などのカテーテルを有する、例示的な小線源療法用装置1500を示す部分図であって、この手段1502は、曲線状の治療供給部分1504と尾部1506を備える。例えばプッシャー部材と尖栓塞子など、このシステムにおけるその他の構成要素は、単に明確さ故、図示が省略されている。曲線状の治療供給部分1504は、例えば図13Aの支持部材1310などの曲線状の支持部材によって構成され得る。カニューレ1501は、十分な管腔直径を有することによって、曲線状の治療供給部分1504が輸送時に直線形状に拘束される場合にこの曲線状の治療供給部分を収容できるようにすることが好ましい。あるいは、カニューレ1501は曲線形状における治療供給部分1504を収容する寸法を有してもよい。さらに別の実施例において、治療供給部分1504は概して直線状でありながら柔軟性を有し、治療供給部分を供給するために用いられるカニューレ1501が曲線状であり得る。
【0074】
(例えば曲線状など)非直線状のカテーテルを用い、本明細書に記載される小線源療法用手段を直線状のカテーテルではアクセスできない領域や位置へと供給および/または配置することも可能である。例えば、図16A〜16Eは、例えば図1の手段102などの小線源療法用手段を非直線状軸に沿って移植するのに用いられる例示的な装置1650と方法とを示すものである。図16Aは、例えば針1652などの第1のカテーテル部材、例えば柔軟性を有するカテーテル1656などの第2のカテーテル部材および小線源療法用手段102を有する装置1650を示すものである。針1652は、針の遠位端部あるいはその近傍において軸外開口部1654を有する。針1652を方向1651に向かって体内200に挿入し、針の遠位端部が図16Aに示すように対象組織領域202を越えた位置に位置するようにする。その後、針1652を介して柔軟性を有するカテーテル1656を(方向1653に)挿入し、カテーテル1656の遠位端部1667が図16Bにおいて示されるように、針1652の開口部1654から角度1661において突出するようにする。すなわち、カテーテル1656の軸は、針1652の軸に対して交差するか、別の形で非平行である。
【0075】
軸間の角度1661は異なってもよいが、約0度から約90度(0〜90°)、さらに好ましくは約5度から約35度(5〜35°)の範囲における角度が想到される。
【0076】
その後、手段102を図16Cに示すようにカテーテル1656を通るように(方向1655へ)通し、手段102の治療供給部分がカテーテル1656の遠位端部1667あるいはその近傍に位置づけられるようにする。
【0077】
この点において、図16Dにおいて示されるように、カテーテル1656をわずかに(方向1669へ)引き出すことによって手段102の治療供給部分をむき出しにする。その後、針1652とカテーテル1656を図16Eに示すように体内200から一緒に(方向1671へ)引き出すことが可能となる。こうして手段102が非直線状軸上に移植され、他の実施例に関連して上述したように手段の尾部106が体外へと延伸する(図2A〜2Eを参照のこと)。
【0078】
手段102を非直線状軸に沿って移植できるということは、多くの適用例において有利であり得る。例えば、対象組織領域202が乳房病変あるいは乳房における腫瘍摘出後窩洞である場合、非直線状手段102によってより集中的な放射が可能となる。さらに、非直線状である位置決めによって、体内における障害物の周りへの移植が可能となる。例えば、前立腺小線源療法においては、この領域202は恥骨弓であり得、その周りに臨床医が放射線源を配置することが考えられる。手段102との関連において前述したように、図16A〜16Eの非直線状配置を個々の放射線源を移植するのに用いてもよい。
【0079】
非直線状配置装置および技術のさらに別の実施例において、図16A〜16Eの針1652に代えて図16Fおよび16Gにおいて示される、より螺旋形状の針1675を使用することが可能である。実際の針の寸法は、対象組織量によって左右されるものの、約3cmの螺旋直径を有する針が想到される。針1675は、コルクスクリューがコルク内に挿入される場合とほとんど同じ形で体内200に前進され得る。すなわち、針1675を方向1678へと回転することにより、尖端1676が図16Fにおいて示されるように体内200へと突き抜ける。図16Gは、完全に挿入された状態の針1675を示している。(図示されない)柔軟性を有するカテーテルと(同様に図示されない)治療手段とが、図16A〜16Eを参照しつつ説明したカテーテル1656および手段102とほとんど同じ方法で針1675を通過する。その針1675は除去(「ねじって抜く」)されるも、螺旋形状の治療手段を(図示されない)対象組織領域202の周りに留置する。
【0080】
例えば軸外、曲線あるいは螺旋など、非直線状である治療供給部分を使用する場合、所定の対象組織領域を治療するのに必要とされる治療手段の総数は、治療部分が対象組織の形状に一致する結果、潜在的に低減することが可能となる。例えば、曲線状の供給部分の場合、複数の手段を対象組織領域の周りに沿って曲がるように配置され、効果的に放射線を中央領域に集中させることが可能となる。その結果、対象組織領域外における線量照射が低くなり、対象組織内における線量被覆率を潜在的に向上させ得る。螺旋状の治療供給部分の場合、十分な長さを有するたった1つの治療手段が対象組織領域の周りあるいは領域内を螺旋状(例えば螺旋を描くよう)に移動することによって適切な治療を施すことが可能となる。
【0081】
図17A〜17Bは、あらゆる点において図6の装置600に類似している装置1600を図示するものである。例えば、この装置は、シード108を含む治療供給部分1604と、縫合糸1614によって形成される尾部とを有する治療手段1602を備え得る。この縫合糸1614は、プッシャー部材1620を通り抜け、プッシャー部材1620と供給手段1602の組み合わせをカニューレ1630内に配置することが可能である。しかしながら、カニューレ630とは異なり、このカニューレ1630は切り欠き1634を有することが可能であり、図17Bにおいてより明白に示されているように、例えばこのカニューレは、カニューレの長さの少なくとも一部に亘ってC字形の断面を有することが可能である。ここでは直線状に描かれているものの、このカニューレ1630は曲線状であってもよい。この切り欠き形状によって、例えば皮膚、胸壁、肝臓または心臓などのある種の周辺組織/臓器が移植時に保護される。図17Bは、図17Aの線17B−17Bに沿った断面であって、治療供給手段1602も同様に破線で図示されている。
【0082】
本明細書に記載される任意の手段を移植する際に、患者は例えば図18において示されるように、例えば胸を覆うブラジャーあるいは帯1900などの防護ガーメントを任意で着用することが可能である。このブラジャー/ガーメント1900は、あらゆる点において、例えばハイマンによる米国特許第3,968,803号、ファルニオによる第5,152,741号およびジョンストーンによる第5,538,502号において詳述されるガーメントに類似するものであってもよい。例えば、このようなガーメントは、例えば肩ストラップ1904などの固定具を介して固定される部分的な被覆物であって、乳房の一部(あるいは対象組織領域を取り囲むその他の領域)を覆うものであってもよい。しかしながら、布部分1906に加え、この帯1900は、例えば鉛、ステンレス鋼あるいはタングステンなどの放射線減衰素材1902からなるライナーを有する場合がある。このようなガーメントによって遮蔽の度合いが高くなり、より広い患者の運動性が確保されるとともに、例えばシード108などの内在する放射線源は、患者への移植前においては適切な位置に保持される。ガーメント1900は、別個に設けられても例えばキット100などの小線源療法用キットの一部として設けられてもよい。
【0083】
上記においては主にLDR小線源療法との関連において説明したが、本明細書に記載される装置および/または方法は、HDRへの適用も可能である。例えば、図14A〜14Bのチューブ1412は、HDR治療においては遮蔽された供給用カテーテルとして使用され得、例えばチューブ1412を体内に配し、より小径である従来のHDR源(例えば後負荷HDRケーブル)などを主管腔1408内を通過させることが可能である。カテーテルの壁内の減衰要素1416(例えばおよそ10時から2時の範囲で延伸する円周部分に沿っている)は、放射線に対して弱い領域の放射線照射を減衰するのに対し、チューブ1412の遮蔽されていない部分(およそ2時から10時の範囲で延伸する円周部分に沿っている)は対象組織への照射を許可するものである。
【0084】
さらに、例えばHDR放射線源を例えば図17Aおよび17Bにおけるカニューレ1630などのカテーテルを通って通過させることが可能であり、それによってHDR放射線源が例えば切り欠き1634などのカニューレ1630の形状によって部分的に周辺組織から遮蔽される。
【0085】
図19A〜19CにおいてHDR遮蔽カテーテルがバルーンタイプの小線源療法治療手段1800に内蔵されている様子が示されている。この手段1800は、ウィリアムズらによる米国特許第5,913,813号において開示される手段と類似するものであり得る。例えば、この手段は、近接端部と遠位端部とを含むカテーテル軸1814を有する小線源療法用カテーテルアセンブリ1802を備える。空気注入式のバルーン1806が、近接端部と遠位端部との間におけるカテーテル軸1814に対して連結され得る。空気注入用管腔1830が空気注入式バルーン1806と近接端部との間でカテーテル軸1814に沿って延伸してバルーンへの空気注入を可能にする。さらに線量供給管腔1804(図19Bを参照のこと)も設けられ、近接端部から遠位端部に向かってカテーテル軸1814に沿って延伸していてもよい(例えば空気注入式バルーン1806と近接端部との間で延伸していてもよい。)
【0086】
使用時において、カテーテル軸1814の遠位端部は、例えば乳房200の腫瘍摘出後窩洞1808などの窩洞内に配置され、バルーン1806に空気が注入される。その後(図示しない)放射線源を線量供給管腔1804内を通って通過させ、例えば空気注入式バルーン1806によって囲まれた部分などに沿うなどして、カテーテル軸の線量供給部分に沿って放射線を供給する。放射線吸収部分(例えば図19Cにおいて明確に示されているアーチ形部材1811)をカテーテル軸1814の線量供給部分に亘って組み入れることによって、線量供給部分における所定の部分のみ、例えば窓部1817のみが比較的放射線透過性を有してもよい。その結果、手段1800は、例えば皮膚または胸壁に近い部分など、選択的な領域の放射線照射を減衰させることが可能でありながら、放射線吸収部分1811によってブロックされていない対象組織に対してより高い放射線レベルを供給することが可能となる。本明細書においては放射線吸収部分は、カテーテル軸1814の一部に沿って延伸する別個の部材1811として説明されているものの、他の実施例においては放射線吸収部分をカテーテル軸1814そのものに組み込む場合がある(例えば図14A〜14Bのチューブ142など、本明細書の異なる場面で記載した各種カテーテル)。
【0087】
いくつかの実施例において、さらに手段1800は、通孔システムであって、1つ以上の通孔1810がバルーン1806の外面の少なくとも一部の周りに配置されるものを有する。これら通孔1810によって窩洞1808内の空気や液体がバルーン1806が広がるにつれて抜けることが可能となる。カテーテル軸1814と関連する1つ以上のベント管腔1812(図19Bに示されるもの)が、カテーテル軸1814の近接端部と1つ以上の通孔1810の間を延伸することが可能である。これら通孔1810は、1つ以上のベント管腔1812と連通することによって、バルーンが広がる間およびその後、カテーテル軸1814の近接端部から空気および液体が体外に流れることを可能とする。
【0088】
いくつかの実施例において、外部ベント1810とベント管腔1812とは、バルーン1806とカテーテル軸1814とに取り付けられた個々のチューブ片1816によって形成される。バルーン1806の近傍において、このチューブ1816には孔が開けられて外部ベント1810を形成する。カテーテル軸1814に近接するチューブ1816の部分には、孔が設けられていても設けられていなくてもよい。チューブ1816は、あらゆる生体適合性を有する素材から形成され得るものであり、例えばシリコンチューブである場合があり、その素材がバルーン1806およびカテーテル軸1814に対して取り付けられたり、あるいはその素材に対してバルーンやカテーテルが形成されたりするようなものであり得る。
【0089】
図20〜22において、LDR小線源療法用手段と前述したような関連する放射線源とを例えば乳房における腫瘍摘出後の窩洞の周辺における領域など、対象組織に対して移植するための例示的なシステム1700を示す図である。図示される実施例において、システムは、図20において示されるような所定の数とパターン(アレイ)の開口部1704を有するカテーテルまたは針案内テンプレート1702とを有するものである。このテンプレート1702は、図面においてはベース部分1722によって概略的に示される定位テーブル1720と平行移動部分1724とを連結することによって、調整可能なカテーテルまたは針案内装置の一部を形成する(部分1722と1724は、図20において展開図として示されている)。定位テーブル1720は、例えば患者用台などの患者を積載あるいは治療するための台1730に対して連結あるいは取り付けられているのが好ましい。
【0090】
テンプレート1702は、治療台1730における開口部1732に隣接するように配置された第1の圧縮部材1726に対して連結あるいはその他の方法で関連付けられる。対向する第2の圧縮部材1728が開口部1732の反対側に配置されていてもよい。圧縮部材1726および1728は、任意である一連の圧縮プレート1727(1枚のプレート1727のみが図示されている)に対して約90度(90°)で配置することが可能である。
【0091】
片方あるいは両方の圧縮部材1726,1728は、図21において示すように、テンプレート1702のパターンと同様の孔パターンを有し、あるいはその他の方法において少なくとも針/カニューレ(例えば図1の針114など)の通過を可能にするものである。
【0092】
使用時において、患者は治療台1730の上に、例えば患者の頭が方向1731に向くようにして横たわり、乳房200が治療台1730の開口部1732を通るようにする。その後、任意の圧縮プレート1727を用いて乳房200を固定することが可能である。
【0093】
一旦、乳房200が固定されると、定位テーブル1720がテンプレート1702が取り付けられた状態で配置され、平行移動部分1724を移動して圧縮部材1726および1728が乳房200に接触するようにする。定位テーブル1720とそれに伴う針案内テンプレート1702の位置は、例えばX線、超音波およびCTスキャンなどを含む各種画像技術を用いて対象組織領域202の位置へと整列される。いくつかの実施例において、乳房200の下方に配置される、例えば側面からの超音波装置1739などの画像手段によって与えられる入力に基づいてテンプレート1702を対象組織領域に対して整列することが可能である。
【0094】
テンプレート1702が対象組織領域202に対して整列され、乳房200に当てて配置されると、1つ以上の針114が開口部1704内に挿入される。乳房病変の治療において、針114は、図21において示されるように完全に乳房200を貫通するように挿入される。あるいは、その他の癌の治療においては、各針114の長さを変えることによって各開口部1704において正しい深さまで貫通することを確保することも可能であるし、単に各針114の挿入深さを変えてもよい。
【0095】
システム1700のある種の実施例は、第1の圧縮部材1726と関連づけられるガーゼ付絆創膏部材1750および/または第2の圧縮部材1728と関連付けられるガーゼ付絆創膏部材1752を任意で有する場合がある。好ましくは、これら絆創膏部材1750および1752が各圧縮部材と乳房200との間に配置される。絆創膏部材1750および1752は、例えば第1の面1754と第2の面1756の各面において接着用テープを有し、おおよそテンプレート1702の開口部1704に相当する(図示されない)開口部を有する。あるいは、絆創膏部材1750および1752を針の挿入時に針114によって穿刺されてもよい。圧縮部材1726および1728が乳房200に対して押圧されると、絆創膏部材1750および1752が乳房200に接着して針114によって形成される穿刺孔のための包帯材となる。
【0096】
一旦、針114が挿入されると、本明細書に記載されて図示される各種方法にしたがって、例えば手段102または602などの本明細書に記載される小線源療法用手段が挿入されて針114を除去する。例えば、本明細書に記載されて図2Aから2Eおよび2F(または8A〜8E)に図示される方法にしたがって小線源療法用手段102(または手段602)を挿入して針114(またはカニューレ630)を除去することが可能である。
【0097】
針114が除去されると、テンプレート1702と接触プレート1726および1728を乳房200から取り外すことが可能であり、絆創膏部材1750および1752をそれぞれの第1の接着面1754によって乳房に貼付した状態に残す。その後、尾部106を例えば図2Eおよび27において図示されるような部材120などのロッキング部材を用いて固定することが可能である。
【0098】
その後、(図示されない)ライナーを各絆創膏部材1750および1752の各第2の接着面1756から除去することが可能となる。一旦、第2の接着面1756が露出されると、柔軟性を有する尾部106は、第2の接着面に対して折り曲げられて第2の接着面に対して接着される。第2の(図示されない)片面接着部材が、各絆創膏部材1780および1752の上に貼付されて尾部を固定し、第2の接着面側に露出するすべての接着面を覆うことが可能である。その結果、柔軟性を有する尾部を乳房の輪郭に対して折り曲げて固定することができる。
【0099】
いくつかの実施例において、テンプレート1702の開口部1704を、図22において示すように例えば病巣の寸法など、特定の対象組織量に応じてグループ分けすることが可能である。例えば、小さな正方形の5孔パターン1740を小さな対象組織領域(例えば直径1cmまでの領域など)に使用し、より大きな9孔パターン1742をより大きな対象組織領域(例えば直径2cmまでの領域など)に使用する。さらに大きな13孔パターンをさらに大きな対象組織領域のために使用することが可能である(例えば直径3cmまでの領域など)。
【0100】
テンプレート1702の中心孔を対象組織領域の中心に合わせることにより、テンプレートは、予め定められた目標量に基づいて、標準的な数のシード、例えば特定の数の治療手段102を示すようにしてもよい。これによって通常は従来の小線源療法の方法に伴う複雑な線量マッピング計算の必要を簡素化あるいは場合によっては省略することが可能となる。
【0101】
なお、これらパターン1740、1742および1744は、例示的なものに過ぎない。別の実施例において、これらパターンは、あらゆる形状のパターンにおいてあらゆる数の開口部1704を有することが可能であり、例えば5〜50のカテーテルを有する円形のアレイであってもよい。さらにこれらテンプレートは、1つ以上の直径を有するカテーテルまたは針を有することが可能である(例えば10、15および20mm直径など)。さらに、3つのパターンを有するように図示されているものの、本発明の範囲から逸脱することなく、あらゆる数のパターンを有するテンプレートが可能である。
【0102】
図23および24において小線源療法用手段を移植するための別のシステムが図示されている。図23には、前述のシステム1700と類似しているシステム2300が図示されている。例えば、システム2300は、例えば(図示されない)患者用の台などの治療台に対して固定される定位テーブル2320を有する。テーブル2320は、ベース部分2322と平行移動部分2324とを有する。システム2300は、第1あるいは近接した圧縮部材2326と第2あるいは遠位の圧縮部材2328とを有する。一方あるいは両方の圧縮部材2326および2328が互いに対して、さらに/あるいはベース部分2322に対して例えばスライドレール2329に沿って可動である。
【0103】
しかしながら、システム1700とは異なり、システム2300はカテーテルまたは針カートリッジ収容部分2340を備え、予め定められたアレイに配置された複数の針114を有するアセンブリ済みの針カートリッジ2342を収容することが可能である。針カートリッジ2342は図24において展開図として示されている。カートリッジ2342は、第1のホルダー2344と第2のホルダー2346を有する(図24において第2のホルダー2346は示されていない)。ホルダー2344および2346は、孔2348を有し、挿入時に複数の針114を所望する、予め定められたアレイに保持して案内する。針114がハブ116を有する場合、ホルダー2346における孔2348は、ホルダー2344における孔2348よりも大きくしてハブ116の通過を可能する(図23を参照のこと)。
【0104】
システム2300の稼働中において、定位テーブル2320をシステム1700との関連において上述したように整列させる。一旦、整列させた後、圧縮部材2326および2328を用いて乳房200を固定する。個々の対象組織領域202の量に応じて、特定のカートリッジ2342が選択され、対応する数のカテーテル、例えば針114と予め組み合わせられる。例えば、図24におけるカートリッジは、5カテーテル形状のものである。しかしながら、他のカートリッジにおいてカテーテルの数はこれより多くても少なくてもよい(例えば9カテーテル構造および13カテーテル構造など)。ホルダー2344および2346ならびにカテーテル114を含むカートリッジ2342は、その後、カートリッジ収容部分2340内に搭載される。ホルダー2344および2346の部分は、カートリッジ収容部分2340の1つ以上の内面に接触するように設計されていることにより、カートリッジ2342が挿入された場合にはカートリッジ収容部分と整列するようにする。
【0105】
一旦、カートリッジ2342が搭載されると、各針114を個々に手動で(ホルダー2344と一致する孔パターンを有する)近接圧縮プレート2326、乳房200および遠位圧縮部材2328を通って前進させることが可能である。中央の針114は、最初に前進させ、他の針を前進させる前に対象組織領域202内におけるその針の位置を確認(または再配置)することが可能である。例えば図1の手段102などの小線源療法用手段は、その後図2A〜2Eにおいて示されるように針114の中に入れる。あるいは、手段102をカートリッジ2342内に予め設置することが可能である。
【0106】
手段102が完全に挿入されると、例えば図1の尾部106に類似した尾部の遠位端部が遠位圧縮部材2328に対して一時的に固定される。この時点において、針114を乳房200から抜いて除去し、究極的にはカートリッジローダー2340から引き抜くことが可能である。その後、近接圧縮部材2326を取り外して近接尾部を、例えば上述されて図2Eおよび27において図示されるロッキング手段120などを用いて乳房に固定する。そして遠位圧縮部材2328を取り外し、遠位尾部を同様に乳房200に対して固定する。
【0107】
図25A〜25Dにおいて、小線源療法用手段を対象組織領域に挿入するためのさらに別のシステムおよび方法が図示されている。図25Aにおいて、前述のシステム1700および2300に多くの点において類似するシステム2500が示されている。例えば、システム2500は、(図示されない)定位テーブルに対してカテーテルまたは針カートリッジ収容部分2540が連結されているものを有する。定位テーブルは、(これも図示されない)治療台に対して連結されていることが好ましい。システム2500は、カテーテルまたは針カートリッジ2542を備える。針カートリッジは2542は、例えば5、9あるいは13針アレイなど、複数の針2514を備え、これらの針は、第1のプランジャー部材2550に対しておおむね固定的および直角に取り付けられる。本実施例において、針2514の近接端部が第1のプランジャー部材2550に対して固定(例えば圧入、杭打ち、接着など)されるため、針はハブを有しなくてもよい。
【0108】
カートリッジ2542は、さらに第1または近接圧縮部材2526(この部材が針案内テンプレートを構成し得る)、第2のプランジャー部材2552および任意である裏当てプレート2554を有する。別の実施例において、この裏当てプレート2554は、カートリッジ収容部分2540の一部であり得る。本明細書において前述したシステムと同様、システム2500は、第2または遠位の圧縮部材2528を有し、乳房200の固定を補助する。
【0109】
稼働中において、定位テーブルを整列して針カートリッジ収容部分2540の中心が対象組織領域220に対して中心となるようにする。その後、カートリッジ2542をカートリッジ収容部分2540に搭載し、乳房が第1および第2の圧縮部材2526および2528によって固定される。例えば図1の手段102などの小線源療法用手段は、予めカートリッジ2542の針2514内に搭載されていてもよい。その後、第1のプランジャー部材2550を乳房200に近づける。針2514が第1のプランジャー部材2550に固定的に連結されているため、針2514は、予め定められた平行なアレイで同時に乳房200の対象組織領域に向かって前進される。第1のプランジャー部材2550は、カートリッジ収容部分2540のスロットまたは表面2561に沿うタブ2560を有することによって、第1のプランジャー部材2550は、カートリッジの外から手動あるいは自動で前進される。
【0110】
第1のプランジャー2550が図25Bにおいて示されるように完全に前進されると、第2のプランジャー部材2552を乳房200に向かって前進させる。第2のプランジャー2552に対して小線源療法用手段102の近接尾部106が取り外し可能に固定されている。したがって、第2のプランジャー部材2552を前進させることによって、1つ以上の小線源療法用手段102を定位置に配置して遠位尾部106が図25Cにおいて示されるように針2514の遠位端部から外に出ているようにしてもよい。
【0111】
これら遠位尾部106を遠位圧縮部材2528に対して一時的に固定することによって小線源療法用手段102を定位置に固定する。一旦、遠位尾部106が固定されると、近接尾部106を第2のプランジャー部材2552から取り外し、第1および第2のプランジャー部材2550および2552を図25Dにおいて示されるように退避させる。同様にカートリッジ収容部分2540も退避させて近接尾部106を(例えばロッキング部材120)など、既に本明細書に記載した方法によって固定することが可能である。その後、遠位尾部106を遠位圧縮部材2528から切り離して後者である遠位圧縮部材を取り外すことが可能である。そして、遠位尾部106を乳房200に対して固定する。
【0112】
したがって、システム2500は、二次元アレイによって複数の小線源療法用手段を体内に同時に移植する装置を提供するものである。さらに、本明細書に記載されるシステムによって、カテーテルの二次元アレイを対象組織領域に対して同時に前進させて1つ以上の放射線源をアレイの少なくとも1つのカテーテルを通して供給または移植する。一旦、放射線源が移植されると、カテーテルアレイのカテーテルを対象組織領域から順次または同時に除去することが可能である。
【0113】
本明細書に記載される手段において、例えばシード108などの各放射線源は、同一手段内におけるその他のシードと実質的に同じ放射性レベルを有し得る。しかしながら、本明細書に記載されるいずれの実施例においても、同一の小線源療法用手段において異なる放射性レベルを有するシードを用いて小線源療法を変化させることが可能である。換言すれば、手段において第1の放射線源(例えば第1のシード)は、第1の放射性レベル(例えばおよそ5ミリキュリー)を有するのに対し、同一手段における第2の放射線源(例えば第2のシード)は、第1の放射線レベルよりも低い第2の放射線レベル(例えばおよそ1ミリキュリー)を有することが可能である。同様に、複数手段が設けられる適用例において、或る所与の手段内における各シードは、同一の放射線レベルでありながら、アレイ内における異なる手段は、異なる放射線レベルのシードを含むものであってもよい。
【0114】
前述のとおり、いくつかの実施例においては、尾部106が図26において示されるように接着パッドまたは絆創膏2600を用いて乳房に対して固定される。したがって、絆創膏は、ロッキング部材120とともにあるいはこれに代えて用いることが可能である。
【0115】
医療従事者が遠位および/または近接尾部106を固定する際の一助となるため、圧縮部材2526、2528をおおむね図27において図示されるように構成することが可能である。例えば、尾部106が通過するプレート(例えばプレート2528)における開口部2570は、ロッキング部材120を皮膚に対して保持するための凹部2572を有し得る。その結果、圧縮プレート2528が取り外されると、ロッキング部材120は、既に尾部106の上に装着されている。その後、医療従事者は、ロッキング部材120をすばやく、例えば変形可能部分2576に沿って圧着することができる。
【0116】
本明細書に記載される手段および装置の多くが直線的な配置に関するものであるが、放射線源を腫瘍あるいは腫瘍摘出後の窩洞内により複雑な形状において配置することがより有利である場合がある。例えば、図16A〜16Gを参照しながら上述したように、非直線状形状において手段を移植することが可能である。直線ではなく曲線である形状によって、対象組織に対する適合性がより高くなる(例えば、腫瘍摘出後の窩洞の曲線体積を取り囲む組織に対する適合性がよくなる)。
【0117】
さらに、本明細書に記載される別の実施例における装置、手段およびシステムにおいて、小線源療法用手段の移植は第1または折りたたまれた、例えば実質的に直線状の形状において実施され、例えば腫瘍摘出後の窩洞などの対象組織領域内に一旦配置された後、外部からの働きかけによって第2または展開した、例えば曲線状の形状を有するようにすることが可能である。別の言い方をすれば、このような実施例においては、例えば乳房などの体内における対象組織領域内に挿入される小線源療法治療装置が提供されるものであって、これら装置は、前述のような1つ、好ましくはそれ以上の放射線源(例えば手段102などを参照のこと)を有する1つ以上の小線源療法用手段を有するものである。小線源療法用手段は、概して線状形状において対象組織領域に対して挿入される。しかしながら、この小線源療法用手段は、その後に形を変えて例えば以下に詳述されるような曲線状の放射線源アレイを形成するものであってもよい。
【0118】
このような装置および手段は、唯一の最小限のサイズを有する切開部からの移植を可能にしながら、その後、現場で展開することによって、対象組織(例えば腫瘍摘出後の窩洞を取り囲む組織領域など)の曲線形状に対して形状的により適合する線量供給領域を可能にする。加えて、展開された形状によって第1の折りたたまれた形状に比べてより広いアレイが提供され、そのアレイから放射線源がそれぞれ自身の線量を供給することになる。
【0119】
さらに、本明細書に記載されるように現場において展開可能な装置、手段およびシステムは、放射線源を腫瘍摘出後の窩洞における特定の位置内への固定を一層優れたものにする。固定は、移植された放射線源とその周りにおける対象組織との間で実質的に固定された構造を提供するという点で有益である。その後、患者が活動したい際に放射線源の(対象組織に対する)移動を最小限にすることによって、小線源療法照射は、移植前の線量計画レジメンにより綿密に沿うことが可能となる。
【0120】
このような展開可能な装置の一実施例は、図28A〜28Dにおいて拡張するかご形の装置2800として概略的に示されている。一般的に、腔内装置2800は、治療供給部分2800aであって、患者の体内における対象位置、例えば腫瘍または乳房あるいは別の身体構造200内における窩洞などにおいて展開され得るものと、尾部2800bであって、例えば治療供給部分2800aから延伸することによってこの尾部2800bが身体構造200から突出するものを有する。図28A〜28Dにおいて示されているように、治療供給部分2800aは、例えば組織管を通って対象位置へと導入するための折りたたまれた形状と、以下において詳述されるように、例えば対象位置2802において三次元の経路アレイを提供するための展開形状との間で可動である。
【0121】
任意ではあるが、装置2800は、シースまたはその他の(図示されない)カバーを有し、このカバーが例えば展開するまで治療供給部分2800aを覆うことが可能である。これに加えあるいはこれに代えて、例えばカテーテル、カニューレまたは針2804などの管状の供給手段を設けて装置2800を対象位置へと導入することが可能である。トロカールやその他の(図示されない)器具を針2804内に配置し、トロカールの(同様に図示されない)尖端が針2804の遠位端部2804aを越えて延伸するようにし、針2804の組織内への挿入を容易にし、例えば患者の皮膚から対象位置までの組織管路を形成する。トロカールは、管路を形成した後は除去することが可能であり、よってその後、装置2800が針2804内へと導入され得るようにする。
【0122】
あるいは、針2804は、(図示されない)尖った遠位先端を有することが可能である。この代替案において、トロカールを省略して、任意ではあるが、栓塞子あるいはその他の(図示されない)器具を最初に準備して、管腔を塞ぎつつ針2804を組織を通って前進させる。栓塞子を除去した後、装置2800を針2804内へと、例えば直接に又はシース若しくはその他の(図示されない)カバーによって担持されて導入する。
【0123】
また別の代替案において、装置2800は、例えば以下に説明されるようなその他の実施例同様、(図示されない)尖った遠位先端を有する場合がある。遠位先端は、針2804の遠位端部2804aを越えて延伸することによって、針2804と装置2800がともに組織を通って延伸した場合に管路を形成する。さらに別の代替案において、尖った遠位先端を有する装置2800は、直接組織を通るように前進させられて組織管路を形成するので針2804を省略することが可能となる。
【0124】
図28Aにおいて、切開部から体内に挿入された後の小線源療法用装置2800が示されている。この装置2800は、治療供給部分2800aが例えば腫瘍摘出後の窩洞2802など、中空である対象領域内に配置されるように位置づけされる。図28Aにおいて図示されるように、カテーテルまたは針2804が例えば乳房200などの体内組織を通って窩洞2802内へ挿入される。一旦、装置2800が定位置につくと、針2804を退避させるあるいは取り除くことができ、治療供給部分2800aが露出される。
【0125】
図示されるように、治療供給部分2800aは、複数の放射性小線源療法用手段を有するものであり、これら手段は、例えば柔軟性を有する細長部材2806であって近接および遠位端部2806a、2806bを有し、1つ以上の放射線源を担持する形状を有する。この装置2800は、ハブまたは外側本体部材2807を有し、この部材に対して細長部材2806の近接端部2806aが図28Bに示されるように固定される。細長部材2806の遠位端部2806bは、コア部材2810の遠位端部2808に対して固定あるいはその他の方法で保持される。図示されるように、このコア部材2810は、本体部材2807の中を延伸して、コア部材2810の近接端部2812が身体構造200に延伸するようにする。あるいは、(図示されない)ハンドルがコア部材2810の近位に連結されるかその他の方法で延伸していてもい。
【0126】
ハブおよびコア部材2810は、互いに対して軸方向に可動であることにより、治療供給部材2800aを展開、さらに/あるいは折りたたむことができる。例えば、コア部材2810の近接端部2812と本体部材2807とを、例えばコア部材2810を第1の(近接)方向2814に、さらに/あるいは本体部材2807を第2の(遠位)方向2816に変位するように操作することによって、細長部材2806を図28Cに示されるように窩洞2802の容量内において展開することが可能である。完全に展開されると、細長部材2806は、図28Dにおいて示されるように窩洞2802の壁に接触し、さらに/あるいは後述されるように窩洞2802の壁を取り囲む組織内に押し込むことが可能となる。
【0127】
図29A〜29Fにおいて現場において展開可能な小線源療法用装置2900の別の実施例が示されている。この装置は、前述の装置2800に多くの点で類似する。例えば、この装置2900は、例えば柔軟性を有する細長部材2906など、放射性小線源療法用手段の展開可能なかご部分を有する。各細長部材2906は、それらの遠位端部2906bにおいてハブ2909に対して連結し、それらの近接端部2906aにおいて本体部材2907に対して連結している。図29Aにおいて示されるように、本体部材2907の近接端部においてフランジ2914を設けることが可能である。同様にハブ2909に連結されているコア部材2910が本体部材2907を通り、フランジ2914を超えてボタンあるいは別のハンドル2912まで延伸する。
【0128】
細長部材2906は、それらの近接端部2906aにおいて、本体部材2907内で終端し得る。しかしながら、後述するように、その他の本体部材の実施例においては、フランジ2914の近接側から細長部材2906に形成された管腔に対してアクセスできるための通路が設けられる場合がある。
【0129】
この装置2900は、第1の折りたたまれた形状、すなわち細長部材2906がおおむね直線的であり、かつコア部材2910の中心軸に対して平行である(図29Bを参照のこと)形状から、第2の展開された形状、すなわち図29Aおよび29Cにおいて示されるように細長部材2906が曲線を有する形状へ可動である。例えば、展開された形状への移動は、フランジ2914とそれに伴って本体部材2907をボタン2912から離れるように(すなわち、遠位方向2916へと)移動させることによって得られる。同様に、装置2900は、フランジ2914をボタン2912に向かって(すなわち、近接方向2918へと)移動させることによって折りたたむことが可能である。
【0130】
なお、フランジ2914およびボタン2912に加えて別の作動手段を設けてもよい。例えば、コア部材2910と本体部材2907は、(図示されない)嵌合するネジを、例えば本体部材2907の内面と本体部材2907内のコア部材2910の外面とに設けることが可能である。ボタン2912を軸方向に移動させるのではなく、ボタン2912を第1の方向に回転させることによって本体部材2907を軸方向に、すなわち遠位方向にコア部材2910を超えて移動させて細長部材2906を展開した形状に展開させる。ボタン2912を第2の反対方向に回転させることによって細長部材2906を再び折りたたみ形状に戻すことが可能となる。
【0131】
任意ではあるが、これらの実施例において、ボタンおよび/またはコア部材2910のうちフランジ2914を超える部分は、残りのコア部材2910(本体部材2907内でハブ2909まで延伸する部分)から取り外し可能にして、例えば移植後の装置2900の外形を縮小するようにすることが可能である。例えば、(図示されない)コア部材の取り外し可能部分とその他の部分は、例えば(同様に図示されない)ネジやその他の取り外し可能なコネクタなど、嵌合する雄/雌端部を有することが可能である。あるいは、バレルまたはその他の構造を細長部材2906の近接端部2906aに対して連結されている本体部材2907内に配置することによって、バレルの本体部材2907に対する軸方向移動が細長部材2906の展開および折りたたみ動作を生じさせることも可能である。
【0132】
別の選択肢において、コア部材2910(および/または作動手段)は、(図示されない)1つ以上のストッパを有して、例えば細長部材2906の展開を制限するなど、本体部材2907の動作を制限することが可能である。これらストッパは、展開形状の最大サイズを提供するものであっても、細長部材2906が展開して固定され得るさまざまなサイズを提供するものであってもよい。例えば、(図示されない)ラッチまたは戻り止めによって本体部材2907を可動にしながら、本体部材2907がコア部材2910に対して移動された位置に保持することが可能である。
【0133】
図29Bおよび29Cは、例えば乳房200などの身体構造における切開部から挿入した後の小線源療法用装置2900を示すものである。この装置2900を配置し、例えばハブ2908など、その遠位端部が腫瘍摘出後の窩洞2902内に位置されるようにすることが可能である。図示される実施例において、この装置2900は、既在の切開部から挿入される。しかしながら、前述のように、この装置2900は自身の切開部を形成することができるような要素(例えば尖った遠位先端など)を備えていてもよい。尖った遠位先端によって、装置2900の先端が窩洞の縁を越えて位置づけることによって、例えば展開された要素を窩洞内で最適な位置に位置づけることが可能となる。
【0134】
いくつかの実施例において、装置2900は、(図示されない)引き剥がし可能なシースを有し、細長部材2906に取扱いおよび/または移植時において覆うことが可能である。装置2900が図29Bにおいて示されるように位置づけられた後、シースを取り除いて(例えば体外に配置される引き剥がし帯および/またはシースに沿って延伸する、1つ以上の減弱シームまたは領域などを用いて)細長部材2906を露出させる。
【0135】
一旦、装置2900が例えば図29Bにおいて示されるように定位置につくと、医師はフランジ2914を体に向かって(遠位方向2916へ)変位させることが可能である。同様に、ボタン2912をフランジ2914から離れて近位に変位させることも可能である。この動作によって、細長部材2906が図29Cに示されるように窩洞2902の容量内において展開する。さらに展開されると、細長部材2906は、窩洞の壁に接触し、完全に展開されると、周辺組織に圧入することによって窩洞壁が部材2906間において互いに嵌合するように形を変更する(例えば後述される図32D〜32Gを参照のこと)。このように壁が嵌合または陥入することによって、装置2900が窩洞2902を取り囲む組織に対しておおよそ固定される。
【0136】
本明細書において使用されるように、「陥入」および「嵌合」という用語は、装置2900の1つ以上の部分または要素を窩洞2902から外に向かって窩洞2902の周りにおける組織内へと押圧することによって、これらの要素に隣接する組織が細長部材2906の間において自由に動き、折りたたまれ、さらには押し出されるようにする。例えば、図32D〜32Hにおいてこの概念が示されている。実質的に組織によって囲まれるのに加え、1つ以上の細長部材2906が周辺組織内へと穿通して、後述するように例えば細長部材2906が完全に組織によって囲まれるようになる。
【0137】
図29Dは、図29Cにおける線29D−29Dに沿って見た装置2900の横断面図である。この図において示されるように、細長部材2906は、管状部材であって、1つ以上の管腔、例えば第1の管腔2918および第2の管腔2920を備えるものであり得る。第1の管腔2918は、例えば本明細書の他の箇所において既に記載した手段102、152、402、502および602同様、小線源療法用手段を収容する寸法を有し得る。他方、第2の管腔2920は、(図示されない)補強部材を保持する形状を有し得る。この補強部材は、細長部材2906の正しい方向付けを保持する一助となり得、例えば管腔2918(よって小線源療法用手段も)が十分な剛性を有することによって周辺組織へ展開する際に細長部材がたわむことを防止し、さらに/あるいは細長部材2906が実質的に所定の形状に展開することを確保することの一助となり得る。
【0138】
図29Dにおいてその断面が丸く描かれているものの、第1および第2の管腔のうち一方あるいは両方が異なる形状を有し得る。例えば、図29Eにおいて代替部材2906’の横断面が示されており、この部材は、丸い第1の管腔2918’と長方形またはその他の横断面が細長い形状を有する第2の管腔2920’とを有する。長方形の断面を有する第2の管腔2920’は、(例えば長方形の断面を有するニチノールワイヤまたはベルトなどの)対応する形状の補強部材によって占領されると、展開中における細長部材2906の回転変位(およびその他の変形の形状)を低減することが可能である。例えば、主要寸法2920b’に比べてより小さい寸法2920a’の周りのモーメントが小さいため、細長部材2906’は、展開時において横方向、例えば隣接する細長部材に向かって、というよりも外側に向けて曲がりがちである。
【0139】
図29Dおよび29Eにおいて、部材2906が二重管腔チューブとして描かれているものの、細長部材2906は、一重管腔であって例えばポリマーまたはその他の柔軟性を有するチューブからなるものでもよい。ポリマーチューブは、曲線形状に展開され得るのに十分な柔軟性を有しながら、第2の補強部材を必要としないぐらい十分な剛性を有するものであってもよい。そのようなチューブは、高デュロメーター値ポリマーであって、例えばナイロン、ポリエーテル・エーテル・ケトンあるいはポリイミドなどから製造され得る。任意ではあるが、チューブの横断面の横断面形状を非円形(例えば台形、長方形など)にして手段が展開する際の曲げ方向を適正にし、さらには展開形状における要素の横方向の安定性を向上させることも可能である。さらに、チューブがチューブ壁内において補強要素(図示されないが、例えば平らなワイヤ編組)を有することによって改良されたねじり剛性および曲げ剛性を得ることが可能である。
【0140】
別の代替案において、細長部材2906は、近接端部および遠位端部2906a、2906bとの間に延伸する経路を形成するために別の要素を有し得る。例えば、細長部材は、後述するように(図示されない)溝または軌道を形成して1つ以上の(同様に図示されない)放射線源を収容することが可能である。これら要素とは、1つ以上の放射線源の、例えば細長部材に沿った軸方向移動などの移動を制限するその他の連動要素であり得る。したがって、本明細書において使用されるように、「経路」とは、1つ以上の放射線源を細長部材に沿って案内するための形状を有す、細長部材に設けられる、管腔、軌道、レールまたはその他の要素を含むものである。
【0141】
図29Fは、一実施例において形成され得るような、フランジ2914の近接側を示すものである。このフランジ2914は、部材2906の管腔2918および2920に対してアクセスできるような一連の開口部2922および2924を有する。例えば、開口部2922を各細長部材2906における管腔2918(図29Dを参照のこと)に対して本体部材2907を通って延伸する(図示されない)各管腔を介して連結し、開口部2924を管腔2920に対して連結することが可能である。その結果、本明細書の他の箇所に記載されているように、装置2900を対象位置に移植する前あるいはその後に(図示されない)小線源療法用手段と補強部材とを各管腔2918および2920内に挿入することが可能である。任意ではあるが、さらにフランジ2914に(図示されない)ロッキング部材またはリングを有し、小線源療法用手段と補強部材とのうち一方あるいは両方をフランジ2914に対して固定する。
【0142】
図示されないものの、フランジ2914は、インデックス(例えば時計のような連続した数字などの英数字記号など)を有し、フランジ2914の周囲における各開口部2922/2924を特定することが可能である。その結果、医師/癌専門医は、所望の線量計画にしたがってどの開口部2922が特定の小線源療法用手段を収容すべきなのかを、例えば装置2900を対象位置に導入する前あるいはその後に知ることが可能となる。例えば、その線量計画においては、低レベル手段(「1」の手段)を患者の皮膚に近接する領域に配置するものとする。対応する開口部2922/2924は、同じ番号(「1」)を有し得、あるいは違う形で特定の低レベル手段を収容すべき正しい開口部2922/2924を特定し得る。したがって、装置2900が対象位置において正しく位置づけられた状態(例えば細長部材「1」の低レベル経路が皮膚に向いた状態)において、低レベル手段を低レベル経路に沿って配置することによって皮膚を傷つけるリスクを軽減する。したがって、より高いレベルの小線源療法用手段を所望の線量計画にしたがってその他の特定の開口部に配置することが可能となる。
【0143】
線量計画は、現在の画像方法(例えばCTや超音波など)および市販されているHDRあるいはLDRへの適用の際に利用可能な線量計画ソフトを用いて実施することが可能である。線量計画処理のタイミングと一般的なシナリオは、臨床医/癌専門医の裁量による。しかしながら、このようなシナリオの一つにおいて、装置2900を対象組織領域に配置して細長部材2906を展開した形状に動かす。その後、(例えばCTなどの)画像を参照しながら、対象組織領域および細長部材2906の位置の両方の輪郭を描くことが可能となる。その後、線量計画を展開し、装置2900と細長部材2906の構成が調整された場合には必要に応じて変更することも可能となる。
【0144】
線量計画が最適化されると、(例えば小線源療法用手段などの)放射線源の特性が選択され(例えばLDRシード活性レベル、HDR滞留位置など)アクセス用開口部2922/2924を介して装置2900内に配置するために準備される。例えば、LDR小線源療法において、個々の容器またはその他の放射線源を各細長部材2906内へと同時にあるいは順次積載することによって、長時間に亘って対象位置に保持されるシードまたは放射線源の三次元アレイを構成する。これらシードは、線量計画に応じて、各容器の上で間隔をおいて設けられても異なる放射能強度を有してもよい。例えば、アレイの異なる部分におけるシードは、各細長部材2906に沿って異なる長さおよび/または間隔を有することも可能であるため、アレイは、実質的に例えば装置2900の中心軸に対して半径方向あるいは軸方向に非対称であり得る。あるいは、HDR小線源療法において、特定の照射時間に亘って細長部材2906の各経路に沿って個々の放射線源を順次位置づけられる。あるいは、1つ以上のHDR放射線源を同時に経路に沿って案内することも可能である。
【0145】
本明細書においては個々の要素を用いるものとして記載されているものの、装置2900の別の実施例において、細長部材2906は、遠位ハブ2909からフランジ2914に向かってさまざまに延伸してもよい。したがって、細長部材2906がそれぞれ遠位端部2906aからフランジ2914に延伸する1つ以上の管腔を画定し得る。その後、管腔は、自身の補強部材を内蔵する(図示されない)小線源療法用手段を収容してもよい(例えば本明細書の他の箇所に記載される手段1202を参照のこと。)。あるいは、細長部材2906に対して補強部材を、例えば管腔2920内に既に含有させるかその他の方法で細長部材2906に沿って固定させることが可能である。
【0146】
任意的にではあるが、補強部材は、本明細書の他の箇所に記載された別の実施例と同様、遮蔽効果を有することが可能である。例えば、おおよそ球体であるアレイまたは放射線源の場合、アレイの中心領域が、アレイの周辺領域と比べた場合、より大きな放射線照射を受けるものである。細長部材2906の内側領域に沿って設けられた遮蔽によって中心領域の過剰照射を減少させることが可能である。例えば、図32Fおよび32Gにおいてこの目的のために細長部材3106の内側領域に沿って延伸する補強/減衰部材が示されている。
【0147】
図30A〜30Cは、前述の装置2900にあらゆる点において類似した小線源療法用装置3000を示している。しかしながら、この装置3000は、例えば(図示されない)乳房など、身体あるいは組織構造を完全に貫通するように設計されている点において異なる。その結果、装置3000の遠位端部が装置2900の端部とはある程度変形させられてこの適用例に適合するようにされている。
【0148】
図30Aは、装置3000の側面図を示すものである。装置2900同様、この装置3000は、放射性および柔軟性を有する細長部材3006を有し、これら部材はその近接端部3006aにおいて本体部材3007に対して、また遠位端部3006bにおいてハブ3009に対して連結される。コア部材3010であって、一端においてボタン3012、他端において尖った遠位端部3011を有するものが、本体部材3007とハブ3009とを通って延伸し得る。尖った遠位端部3011によって装置3000が移植時に組織を貫通することが可能となる。装置2900とは異なり、コア部材3010はハブ3009に対して恒久的に固定されているものではない。むしろコア部材は、ハブ3009と本体部材3007とに対して摺動可能であり得る。任意ではあるが、コア部材3010、本体部材3007および/またはハブ3009は、1つ以上の(図示されない)コネクタを有し、コア部材3010を例えば移植時において取り外し可能に固定しながら移植後にはコア部材3010を取り外せるようにする。
【0149】
図30Bにおいて、第1の折りたたみ形状における装置3000の横断面図が示されている。この図において示されるように、細長部材3006は、管腔3018、3020(例えば図29Dにおいて示される管腔2918および2920と同様のもの)を備え、これら管腔は本体部材3007を通って延伸するか、本体部材3007を通って延伸する別個の管腔3022および3024と連通している。その結果、前述のような手段102、152、402、502および602などの小線源療法用手段を装置3000の移植前あるいは移植後に細長部材3006に通すことが可能となる。
【0150】
図30Cにおいて、第2の展開された形状における装置3000の横断面図が示されている。この形状は、例えばボタン3012およびフランジ3014あるいは本明細書に記載される他の実施例のように、例えば作動手段を用いてハブ3009と本体部材3007とを互いに対して変位させることによって得られる。
【0151】
使用時において、図30Bに示される折りたたみ形状にある場合、装置3000が、例えば(図示されない)乳房あるいはそれ以外の組織構造などの体内に挿入されて細長部材3006が(同様に図示されない)窩洞またはその他の対象位置に配置されるようにする。装置3000は、ハブ3009が乳房の反対(遠位)側から外に延伸するまで挿入される。コア部材3010の尖端3011を用いて移植時に窩洞の反対側にある組織内を貫通するようにしてもよい。任意ではあるが、一旦装置3000が完全に乳房を通過すると、コア部材3010を装置3000から、例えばコア部材3010を装置3000の近接端部から引き抜くことによって取り除くことが可能である。この時点において、医師は本体部材3007とハブ3009とをつかんでこれら両要素3007、3009を互いに向かって押すことが可能である。このようにすると、細長部材3006は半径方向外側に向かって窩洞壁まで、例えば図30Cに示される展開された形状にまで展開する。
【0152】
完全に展開されると、本体部材3007およびハブ3009は、体の例えば皮膚などに対してテープや縫合糸などによって固定される。あるいは、(図示されない)ロッキング部材を本体部材3007および/またはハブ3009を通るように挿入して両要素を互いに対して固定する(図示されないが、例えば長いプラスティック製のネジ付ボルトとナットなど)。また別の代替案において、本体部材3007および/またはハブ3009の動作は、例えば本体部材3007とハブ3009とを互いに固定する(図示されない)ラッチや戻り止めなどを用いて制限することが可能であるが、本明細書の他の箇所において記載されるように、本体部材3007および/またはハブ3009を移動させるように乗り越えられてもよい。
【0153】
(図示されない)小線源療法用手段は、装置3000が導入される際に細長部材3006に担持させてよいし、装置3000を小線源療法用手段を有しない状態で導入してもよい。移植時に装置3000が小線源療法用手段を含有しない場合、放射線腫瘍医あるいは同様の訓練を受けた臨床医が小線源療法用手段を細長部材3006に沿った管腔3022あるいはその他の経路を通して挿入する。あるいは、自動システムを用いて1つ以上の放射線源を経路に沿って供給してもよい。別の実施例において、小線源療法用手段を移植前に装置3000に対して予め搭載して細長部材3006によって取り外し可能にあるいは恒久的に担持させる。
【0154】
図31A〜31Fは、さらに別の実施例による、現場で展開可能な小線源療法治療装置3100を示す図である。この装置3100は、一連の放射性を有し、細長く、柔軟性を有する部材3106を備え、これら部材は、第1の(図31Aに図示される)、例えば直線的な形状から第2の(図31Bに図示される)、例えば曲線的な形状へと展開可能である。折りたたまれた形状において、これら部材3106は、例えば移植のための寸法を最小限とするために、装置3100に対して折りたたみ可能である(例えば、装置3100の中央における長手方向軸に対しておおよそ平行に)。しかしながら、図31Bに示される展開された形状において、細長部材3106の少なくとも一部は、例えば腫瘍摘出後の窩洞など(図32D〜32Gを参照のこと)、体の窩洞の外壁に向かってさらに/あるいはその内部へと半径方向に広がる。その結果、装置3100は、窩洞の周辺における組織内におおむね固定される。
【0155】
図示される実施例において、細長部材3106は、図31Bにおいて最もよく見受けられるように2つの異なるグループに構成され得る。第1または外側のグループは、符号3106aで特定される細長部材を有し、図31Bにおいて示されるように、アメリカンフットボール型または西瓜形の境界を形成する。第2または内側のグループは、符号3106bで特定される細長部材を有し、同様でありながらより小さい西瓜形を画定する。図示される実施例において、外側グループは、7つの個別の部材3106aを有し、内側グループは、3つの個別の部材3106bを有する。しかしながら、別の実施例においてはいずれかのグループにおける細長部材3106の数を変更することが可能である。細長部材3106aおよび3106bは、総称的にあるいはまとめて細長部材3106と称することが可能である。
【0156】
細長部材3106は、第1の(例えば近接)端部において本体部材3107に対して取り付けられる。しかしながら、細長部材3106aは、それぞれ第2の(例えば遠位)端部において遠位ハブ3109に取り付けられ得、部材3106bの遠位端部は、別のフローティングハブ3108に対して取り付けられ得る。
【0157】
装置3100は、さらにコア部材3110であって、遠位ハブ3109に取り付けられ、本体部材3107の近接側から外へと延伸するものを備える。コア部材3110は、遠位ハブ3109に固定されるものの、隙間を有しながら本体部材3107とフローティングハブ3108との両方における開口部を通るものであり得る。その結果、本体部材3107とフローティングハブ3108は、後述するようにコア部材3110に沿って摺動することが可能となる。コア部材3110は、引っ張り部材として機能し得る。その結果、コア部材は、おおむね剛性を有するものであるか、あるいは例えばケーブルや縫合糸のように引っ張り用のみの部材であり得る。
【0158】
各細長部材3106は、補強部材を有し得るが、図示される実施例においてこの補強部材は弾性を有する平らなワイヤ3112である。このワイヤ3112によって細長部材3106が所望の方向において(例えばねじれが生じることなく)拡張・収縮するようになる。このワイヤ3112は、さらに細長部材3106に対してある程度の全体性を付与することによって、例えば細長部材3106が十分な半径方向および横方向への安定性をもって窩洞壁内へと外側に広げられるようにする。いかなる特定の材料に縛られることも望まないものの、一実施例において、これらワイヤ3112は、強化ステンレス鋼あるいは例えばニチノールなどの形状記憶合金からなるものであってもよい。これらの材料によって装置3100が腫瘍摘出後の壁に陥入し、さらに/あるいは実質的に安定した形状を保つことが可能でありながら(図32D〜32Gを参照のこと)装置3100が治療終了後には展開前の形状に折りたたまれ得ることが可能となる。
【0159】
個々のチューブ3114を各平らなワイヤ3112に対して取り付けることが可能である。これらチューブ3114は、本明細書において既述されるように、例えば手段102、152、402、502などに類似した(図示されない)小線源療法用手段を収容するために開くことが可能である。あるいは、チューブ3114は、本明細書の他の箇所において詳述されるように、治療の間または治療前にチューブ3114に対して積載され得る、例えばシード108などの個々の放射線源とスペーサとを収容することが可能である。したがって、これらチューブ3114は、実際の小線源療法用手段の外面を形成し得る。これらチューブ3114は、放射線源あるいは予め取り付けられた小線源療法用手段などを保持し得る、あらゆる生体整合性を有する材料からなり得、例えばフッ素化エチレンプロピレン(FEP)などのフッ素重合体、ナイロンおよびポリウレタンなどから製造され得る。
【0160】
図31Cにおいて装置3100の側面図が示されており、図31Dには端面図が示されている。これら2つの図は、フランジ3111が形成されたあるいは取り付けられた本体部材3107の変形例を示すものである。この任意であるフランジ3111が医師が移植および/または除去処理を行う際に有利であるのは、コア部材3110を配置する際につかむことができる部分を設けてあるからである。
【0161】
図31Eは、折りたたまれた形状における装置3100をねじれた形で示す縦方向断面図である(横断面をねじることにより、この図は、通常では直線の横断面上に見える2つの細長部材3106aと2つの細長部材3106bの部分を示している)。この図において、コア部材3110の遠位ハブ3109への取り付けが明確に示されており、さらに平らなワイヤ3112の遠位ハブ3109、フローティングハブ3108および本体部材3107への固定も示されている。
【0162】
さらに図31Eは、遠位ハブ3109内に形成されたポケット3116を示すものである。このポケット3116によってストッパ面が形成されて装置3100が展開形状にある場合、フローティングハブ3108の軸方向への移動が制限される。ポケット3116として図示されるものの、他の実施例においてはフローティングハブ3108が単に遠位ハブ3109の平らな内面に接触するような構造であってもよい。
【0163】
図31Fは、図31Eに類似のねじれた形の縦方向断面図であり、装置3100は展開した状態にある。この図において示されるように、展開された形状は、本体部材3107を定位置に保持しながらコア部材3110の尾部に対して引張力を付与することによって得られる。このような引張力を付与することによって、遠位ハブ3109が本体部材3107に向かって移動する。この移動が生じると、細長部材3106aが図示されているように外側に向かってたわむ。一旦、フローティングハブ3108がポケット3116に接触すると、これら部材3106bも同様に外側に向かってたわみ始める。コア部材3110をさらに引っ張ると、細長部材3106aと3106bの両方が外側に向かって移動し始める。コア部材3110の本体部材3107に対する軸方向位置を変えることによって、数多くの展開後の直径を得ることが可能である。装置3100が所望の直径にまで展開したら、(図示されない)クランプあるいは類似の手段を本体部材3107のすぐ隣に圧着させ、コア部材3110が本体部材3107に対して摺動するのを防止することが可能である。
【0164】
装置3100を所望の直径に固定するための他の方法では、(図示されない)ネジ付ナットとボルトのアセンブリを用いることが可能である。例えば、本体部材3107を分割して(図示されない)従来の機械工のコレットのように外部に対してネジ止めすることが可能である。(図示されない)ナットをコレットの周りにネジ止めしてコア部材3110を保持するために締め付けることにより、装置3100を所望の拡大度に保持することが可能となる。あるいは、コア部材3110は、コア部材3110が本体部材3107から突出する領域に沿って設けられる(図示されない)一連の密集した孔またはポケットを有することが可能である。(図示されない)コッタピンなどを所望の孔またはポケットに配置して装置3100を所望の拡大度に保持することが可能である。
【0165】
図32A〜32Fにおいて、図31A〜31Fの装置3100を使用するための方法が図示されている。図32Aは、(例えば乳房200)などの体の一部であって、癌組織を除去することによって形成された窩洞(例えば腫瘍摘出後の窩洞202)が形成されたものを示す斜視図である。装置3100は、挿入されて折りたたまれた状態で示されている。装置3100は、既存の切開部、例えば腫瘍摘出時に使用された切開部などを介して、あるいは装置3100を供給するために新たに設けられた切開部を介して挿入され得る。図32Bおよび32Cは、乳房200の正面図および側面図を示すものであって、折りたたまれた装置3100が窩洞202内で定位置についた状態を示している。
【0166】
一旦、装置3100が所望の位置についた後、コア部材3110は、医師によって引っ張られる一方、本体部材3107は乳房の切開部に対して保持される。本体部材3107の長さは、皮膚から腫瘍摘出後の窩洞202までの距離に関わらず、皮膚の表面まで延伸するのに十分である。装置3100が展開すると、例えば図32D〜32Fにおいて示されるように、装置は窩洞202内で中心位置につきやすい。
【0167】
あるいは、細長部材が隣接する組織内を貫通する量が異なるため、装置3100が展開する際に装置3100が窩洞内で移動することも可能である。例えば、図32Hにおいて示されるように、皮膚に隣接する領域は、窩洞202の下にある組織に比べて細長部材3106によって貫通されがちではない。図32Hにおいて示されるように、細長部材3106は、十分小さいため、少なくとも一部の細長部材(例えば細長部材3106i、3106iiなど)は、窩洞202の周囲における組織内に切れ込み、裂き入りあるいは別の方法で貫通することによって、細長部材3106が隣接する組織内に貫通しない場合に比べてより深い組織まで放射線が供給されるようになる。このように細長部材3106が組織に貫通することが可能であり、場合によっては(例えば図32Hにおいて示されているように)隣接する組織によって円周状に取り囲まれ得るため、装置3100が組織内において放射性核種を効果的に配置することが可能となる。
【0168】
図32Dは、乳房200と窩洞202を斜視断面図に置いて示す図であって、ここでは装置3100が完全に展開した形状において示されている。この図において示されるように、細長部材3106aは、窩洞202の壁を越えて押圧することが可能であるため、部材3106aの周りの組織が陥入し、例えば壁組織3120の一部が細長部材3106aの間で流動し、押し出しあるいは内部に広がり、細長部材を実質的に取り囲む。一実施例において、壁組織3120は、最も外側の細長部材3106aから約0.7センチ内側に向かって半径方向に広がり得る。しかしながら、実際の陥入距離は、例えば装置の寸法や形状、窩洞の寸法や形状および組織特性など、複数の可変要素に基づいて変化し得る。細長部材3106bは、押し出された壁組織3120の最も内側の部分によって画定される直径内に留まることが好ましい。この図から見受けられるように、陥入によって装置3100が周辺組織に対して実質的に固定され、窩洞202が装置3100の形におおよそ一致するようになるまで窩洞を変形させる。
【0169】
一実施例において、(図示されない)真空システムを装置3100に対して連結することが可能である。この真空システムは、窩洞202に対して真空圧を付与することによって組織の陥入度を増加させる。このような真空システムは、移植の期間の全部あるいは一部に亘って活性化されたままにされてもいいし、例えばHDR治療などにおいては、治療後直ちに切断してもよい。
【0170】
さらに他の実施例において、細長部材3106aは、例えば高周波(RF)などによって伝導性を有するかその他の方法で励起され得る。このように展開後に細長部材3106aを活性化することによって、細長部材3106aが窩洞壁内に食い込み、それによって周辺組織に対してより深く貫通することが可能となり、さらに陥入の度合いを増加させることができる。
【0171】
図32Eは、移植されて完全に展開された装置3100の断面図を示すものである。内側に向かって広がる壁組織3120が、この図において明確に見受けられる。図32Fは、窩洞202の一部斜視断面図であって、細長部材3106が展開された形状で概略的に示されているものを示す。
【0172】
図32Gは、装置3100が展開された形状にある場合の窩洞202の横断面図を示すものである(さらに装置3100のうち一部の構造が明確さのために省略されている)。この図は、さらに、細長部材3106内に含まれる小線源療法用手段によって付与される、例示的な線量クラウドを示すものである。例えば、各細長部材3106aは、一般的には円3122によって表される線量クラウドをもたらすものであるのに対して、各細長部材3106bは、一般的には円3124によって表される、簡素化された線量クラウドをもたらし得る。これら円3122および3124は、特定の断面における有効な二次元のクラウド境界を表すものである、すなわち線量クラウドは、細長部材3106aの周りの外側層と細長部材3106bの周りの内側層の2つの放射層を形成する。各細長部材3106によって形成される実際のクラウドは、おおよそ曲線状の円筒形を有するものとなる。
【0173】
細長部材3106の各2層における全ての放射源の三次元的な蓄積効果は、窩洞202を直接取り囲む組織の容量に亘って延伸する治療線量クラウドシェルである。適切な線量マッピングと線量選択とによって、この三次元的な線量クラウドシェルは、典型的には適切な組織範囲に対して適切な治療線量の照射を実施する(例えば窩洞202の壁を越えて1cm以上など)。多くの放射線源の間質性のため、全ての放射性核種源が窩洞202内あるいはその縁付近に設けられた場合(例えばバルーンアプリケータまた腔内アプリケータなどで生じ得るようなケース)に得られるような過量効果のリスクが少ない状態で、所望する組織領域に対して治療線量を供給することが可能である。
【0174】
さらに、バルーンアプリケータとは異なり、個々の細長部材3106が周辺組織に対して局所的に個別であるラジアル力を付与することが可能である。バルーンアプリケータは、連続面を有するため、その面に沿って比較的連続的なラジアル力を隣接する窩洞面に対して付与する。これに対して、細長部材3106は、間欠的に設けられて間に空間があるため、各細長部材3106は、窩洞面に対して極めて局所的なラジアル力を付与することによって拡張時において細長部材内に組織が陥入するようになる。
【0175】
図32Hを参照するに、適用例によっては、1つ以上の細長部材3106aiv、3106avが、例えば患者の皮膚に隣接するなど、窩洞202に隣接する組織領域における比較的薄い領域に配置される。容器または均一な放射線強度を有するその他の放射線源が各細長部材3106内に導入されると、このような薄い組織領域または皮膚そのものを過剰照射または「焼いて」しまう危険性がある。そのため、線量計画において、細長部材3106aiv、3106av内に比較的低い放射線強度を有するような放射線源、あるいは1つ以上の「オフにされている」(すなわち一方あるいは両方の細長部材3106aiv、3106avの少なくとも一部に沿って放射線源間に非放射性スペーサが設けられている)シードを導入することが推奨される場合がある。
【0176】
任意ではあるが、線量計画において細長部材の内層から薄い領域に対して照射することを推奨する場合がある。例えば、図32Hにおいて示されるように、単一の細長部材3106biを細長部材3106aiv、3106avの間であってコア部材3110の中心軸により近い場所に配置して設けることが可能である。この単一の細長部材3106biの中に放射線源を導入して細長部材3106aiv、3106avを超えて薄い組織領域内へと照射する。したがって、細長部材の内層を設けて所望の線量計画にしたがって局所的な放射線供給をより高めることが可能である。
【0177】
図32D〜32Hにおいて示される実施例において、細長部材3106は、互いに対して(完全に展開された状態において)それぞれ(約3cmまでであり得る)最大直径において約1cmの間隔を有するように形成され得る。さらに、本明細書の他の箇所において記載されるように例えばシード108などの放射線源によって、ワイヤの周りにおける略1cmの治療線量クラウド(円3122および3124)を得ることが可能である。その結果、装置3100は、図32Gにおける円3122および3124によって表されるような全ての、あるいは実質的に全ての窩洞壁と周辺組織とに対して照射を実施することが可能となる。なお、装置3100とともに使用される放射線源は、低線量率の線源あるいは間欠的に供給される(例えばイリジウムまたはイッテルビウムなどの)高線量率の線源であり得る。
【0178】
小線源療法治療の終了後、この装置3100は折りたたみ形状に戻され、挿入切開部を介して装置3100を乳房200から除去することが可能である。
【0179】
図33A〜33Gは、さらに別の実施例による腔内小線源療法用装置3600を示すものである。この装置3600は、治療供給部分3604および外部部分、例えば尾部部分3606を有する小線源療法用手段3602を備える。
【0180】
図33Aにおいて示されるように、この治療供給部分3604は、変形可能な細長放射線源、例えばコイル部材3608によって形成され得る。このコイル部分3608は、細長コア部材3610の周りに巻きつけられた螺旋コイルを形成し得る。このコイル部材3608の少なくとも一端(例えば近接端部)がコア部材3610の周りを平行移動および/または回動する取付部材(例えばスリーブ3612など)に対して固定される。この構成によって、比較的小さな切開部を介して例えば(図示されない)腫瘍摘出後の窩洞などの対象領域へと挿入され得る薄型手段が可能になる。しかしながら、一旦定位置に着くと、コイル部材3608は展開して図33Bにおいて示されるように窩洞内で螺旋状の経路を形成する。手段3602を展開するには、移植後に体外に伸びるものであってもよいスリーブ3612がコア部材3608の周りを相対的に回転される。スリーブを一方向に相対回転させることによって、コイル部材3608が中央のコア部材3610から展開、すなわち離れるように移動する。スリーブ3612を反対方向に相対回転させることによって、コイル部材3608は同様にコア部材3610の周りに収縮される。拡張回転が大きければ大きいほど、腫瘍摘出後の窩洞壁に対して付与されるラジアル力は大きくなる。腫瘍摘出後の窩洞壁に対して付与される力が大きくなると、展開されたコイル部材3608が回転することによって乳房組織への陥入の度合いが高くなる。
【0181】
スリーブ3612の回転動作に加え、これらスリーブは、コア部材3610に対して軸方向に平行移動することも可能である。軸方向への平行移動によって展開形状におけるコイル部材3608の長さを調整することが可能である。コイル部材3608の軸方向長さと直径(そしてこれに伴って窩洞壁に対する展開力)を個々に調整することが可能であるため、この装置3600は、多種多様な腫瘍摘出後の窩洞のサイズおよび形状を治療するために使用され得る。
【0182】
図33Cは、部分的に展開された位置にある、手段3602の拡大図を示すものである。図33Dにおいてコイル部材3608の中央長手軸に対して垂直に見た(例えば、図33Cの線D−Dに沿った)放射性コイル部材3608の断面図を示しているのに対し、図33Eは、コイル部材3608の長手方向軸から見た断面図を示すものである。これらの図から明らかであるように、一実施例において、コイル部材3608は細長いチューブであって、スリーブ3612の間における細長チューブの中を延伸する第1の管腔3614と第2の管腔3616とを有するものであり得る。第1の管腔3614は、例えば一連の放射性シード108などの放射線源であって図33Eにおいて示されるように任意のスペーサ110によって互いにオフセットされているものを収容し得る。第2の管腔3616は、例えば成形ワイヤ3618などの成形および/または補強部材を有し得る。この成形ワイヤ3618は、コイル部材3608に対して剛性および耐ねじり性を付与するものである。図示される実施例において、成形ワイヤ3618(およびそれに伴って第2の管腔3616)は、図33Dにおいて示されるようにその断面が長方形である。この長方形状によって展開中の放射線源3608に対して所望される耐ねじり性が付与され、例えば展開中において第1の管腔3614がコア部材3610に対して外側に位置づけられるように保たれる。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、その他の形状を用いることが可能なのは当然である。
【0183】
コイル部材3608を形成する細長チューブは、さまざまな材料から製造され得る。例えば、一実施例においてこの細長チューブは、押し出し成形されたフッ素重合体あるいは部材2906との関連において以前に説明した材料と同様の熱可塑性プラスティックから成り得る。
【0184】
成形ワイヤ3618は、過度のねじれまたは恒久的な変形を生じさせずに螺旋状の展開物を収容することができる、あらゆる材料から形成され得る。成形ワイヤの例示的な材料は、例えばニチノールなどの形状記憶合金などである。
【0185】
使用時において、例えばコイル部材3608などの治療供給部分3604が装置3600の長手方向軸に沿って折りたたまれた状態において手段3602を例えば乳房200などの組織構造を通るように挿入することができる。コイル部材3608が図33Fにおいて示されるように腫瘍摘出後の窩洞3620内のおおむね中心になるまでコイル部材を挿入する。手段3602は、(例えば腫瘍摘出時に形成された切開部など)既存の切開部から挿入されてもよいし、例えば他の実施例との関連において説明したように(図示されない)中空針を介して配置されてもよい。一旦、手段3602が図33Fにおいて示されるようにおおむね定位置についた後、医師は、乳房200の両側から突出する形になったスリーブ3612を(例えばねじるさらに/あるいは軸方向に移動するように)操作して手段3602を展開させる。図33Gにおいて窩洞202内で完全に展開された場合の手段3602の形状を示すものである。例示的な実施例において、手段3602を展開して螺旋状のコイル部材3608が既述のように(例えば図32D〜32Gを参照のこと)窩洞壁内に押し込まれるようにして装置3600を周辺組織に対して固定する。
【0186】
手段3602を定位置に固定するために、医師は、体外に延伸するスリーブ3612を皮膚に対して折りたたんでこれらスリーブを例えばテープを用いて固定する。あるいは、ロッキング部材3622をコア部材3610の端部の上に滑らせることが可能である。各ロッキング部材3622は、コア部材3610とともに自身のスリーブ3612と摩擦によって係合することが可能である。スリーブ3612をコア部材3610に対して固定することによって、治療の過程において手段3602をおおむね定位置に保持することが可能となる。
【0187】
本明細書においては移植中において体外から突出し得る形の近接および/または遠位スリーブを使用するものとして描写されているものの、突出しないスリーブを用いる別の構成も可能である。この場合、例えば(図示されない)中空針などのツールがコア部材の上に挿入されてスリーブと機械的に係止されることによって、(体外から)所望する形でこれらスリーブをコア部材に対して操作することができる。
【0188】
図34は、直前の図において示された手段3602と類似した小線源療法用手段3702における単一入り口点の変形例を示すものである。この実施例において、治療供給部分3704と単一の尾部3706とを有する小線源療法用手段3702が設けられている。この治療供給部分3704は、コイル部材3708として、(例えばコア部材3710の周りを螺旋状に巻きつけられた)前述のコイル部材3608と実質的に同様な構造を有するとしてものとして形成され得る。尾部3706も前述のスリーブ3612とあらゆる点において類似するスリーブ3712として形成され得る。例えば、放射線源3608の近接端部に対して連結され得るスリーブ部材3712は、コア部材3710の周りを摺動してさらに/あるいは回転するように操作され得る。
【0189】
手段3602とは異なり、コイル部材3708の遠位端部は、コア部材3710の遠位端部あるいはその付近に対して図34において示されるように直接的に取り付けられることによって、体外に設けられたコア部材3710の部分の操作が放射線源の遠位端部の移動を生じさせる。
【0190】
使用時において、手段3702は折りたたみ形状で体内(例えば乳房200)を通って挿入されることによって、治療供給部分3704(例えばコイル部材3708)が腫瘍摘出後の窩洞3620に位置づけられるようにする。手段3702は、(例えば腫瘍摘出時に形成された)既存の切開部を通って進入してもよいし、例えば別の実施例との関連において他の箇所において詳述したように(図示されない)針を通って位置づけられてもよい。一旦、手段3702が図34において示されるようにおおむね定位置についた後、医師は、いずれも乳房200の近接側から突出するスリーブ3712およびコア部材3710の両方を操作することが可能である。すなわち、(コイル部材3708の遠位端部に固定されている)コア部材3710を回転させながらスリーブ3712をコア部材3710の遠位端部に向かって軸方向に移動させると、コイル部分3708の中央部分をコア部材3710から離れるように展開させて展開形状にすることが可能である(ここでも再び手段3702は本明細書において既述のように組織内へと展開することが可能である。図32D〜32Fを参照のこと)。手段3702は、手段3602との関連において既述したのと同様の方法で展開形状において例えばロッキング部材3622などを用いて固定され得る。
【0191】
なお、装置3100が要素3106bの内側アレイと要素3106aの外側アレイとを含むのと同様に、装置3600/3700の代替的な実施例においては、外側コイル状部材3608と同時に(図示されない)内側コイル状部材を有してもよい。いずれの場合においても、これら二重層手段によって新たな放射のラジアル層の供給を可能にする。組織陥入と組み合わせた場合、これら二重層によって線量クラウドの複数のシェルまたは層を提供することによって所与の腫瘍摘出後の窩洞の周りにおいて湾曲した乳房組織のかなりの厚みを覆い隠すことが可能となる。
【0192】
本明細書に記載された装置は、単一の入り口点を介して、小線源療法用手段(あるいはその他の放射線源)が窩洞内の位置から窩洞を取り囲む組織に対して放射線を供給することを可能とする。さらに、本明細書に記載された腔内装置、方法およびシステムによって1つ以上の放射線源を窩洞を取り囲む対象組織に対して実質的に固定することが可能となる。周辺組織は、手段の周りに十分に陥入することによって、適切に固定することが可能となり、さらに/あるいは全移植期間に亘って腫瘍摘出後の窩洞に隣接する組織に対して所望する放射線量の進入が十分に深くなる。その結果、小線源療法治療の過程に亘って特定の組織に対して所望する線量供給を行うことが可能となる。さらに、(手段が周辺組織に対して移動することによって)意図されない組織に対する照射を最小限に抑えることが可能となる。
【0193】
本明細書において記載される小線源療法用手段は、(ネオアジュバントな)外科的切除の前に腫瘍内(および/またはその周辺に)移植することができ、その後、手術前あるいは手術中に取り出すことが可能である。このような治療によって、腫瘍を縮小あるいは破壊させることも可能である。別の実施例において、本明細書に記載される装置および方法は、腫瘍組織を外科的に取り除いた後に小線源療法を供給し、周辺組織を術後に治療することが可能である(乳房の腫瘍摘出後)。ある場合には、本明細書に記載されて図示された小線源療法用装置および方法によって、例えば腫瘍切除、全野外照射療法(EBRT)および化学療法などの従来の治療オプションの必要性が補完され又は軽減されることが可能であることが検討され得る。あるいは、本明細書に記載される方法は、例えば化学療法または外照射療法などの治療法あるいはその他の治療法に加えて補助的に実施され得る。
【0194】
本発明による治療によって、さらにHDR治療における、例えば高放射性、意図されない組織への照射、場合によってかさばって突出するカテーテルおよび/または患者が治療を受けるために何度も受診しないといけないことなど、いくつかの不利益を避けることが可能である。あるいは、本明細書に記載された装置および方法は、例えば公知であるHDR線量計画にしたがって手段の経路に沿って1つ以上のHDR源を供給するなどしてHDR治療を実施するために用いることが可能である。さらに別の例では、HDR放射線源(例えばヴァリアンメディカルシステムズ社によるイリジウムチップ付き後負荷ケーブルあるいは米国特許公開公報第2005/0061533A1に開示されるような小径X線源など)を本明細書に記載されるコア部材のうちいずれかを通って進入させ、拡張可能な手段が窩洞を開くことによって窩洞の周辺における組織に対して放射をより均一に供給させることを可能にすることが可能である。任意的ではあるが、コア部材が放射線源を遮蔽することによって放射線源の照射を周辺組織における所望の部分に対して向けることが可能となる。
【0195】
本明細書に記載される小線源療法用手段は、従来のHDRカテーテルに比べて実質的に柔軟であるため、直線的にも曲線的(例えば曲線状または螺旋状)にも配置され得る。このような柔軟性によって別の方法ではアクセス不可能と思われていた形状および配置における(例えばシードなどの)放射線源の移植が可能となる。
【0196】
さらに本発明による装置および方法によって、比較的少ない数のカテーテルを用いて所望の線量を得ることが可能となる。例えば、本明細書に記載される装置および方法によって、通常のHDR方法において典型的に使用されるよりも少ない対象毎のカテーテルを用いて所望の線量供給レベルを得ることが可能である。しかしながら、本明細書に記載される手段は、従来の画像方法(例えば定位固定X線、超音波、CTなど)を用いて移植することが可能である。
【0197】
本発明の装置および方法は、患者に対してさらに別の利点ももたらす。例えば、皮膚へのダメージおよび不快を軽減するが可能なのは、より小さくより柔軟なカテーテルを挿入するからである。さらに、小さく柔軟な尾部は一旦適切に位置づけされると短くトリミングすることが可能であるが、堅いHDRカテーテルとは異なり、折り曲げられて皮膚に対してテープ貼りすることも可能である。したがって、治療の過程に亘って患者の不快さは軽減され、潜在的な術後整複の向上を得ることが可能である。さらに、例えば本発明による装置および技術によって、例えばEBRTおよび化学療法などのその他の治療に比べて副作用が潜在的に軽減され、例えば現在のHDR小線源療法と比べて治療レジメンの経過において受診回数が減る可能性がある。
【0198】
さらに、本明細書に記載される小線源療法供給システムは、病巣サイズに基づいて標準的な線量照射を提供することが可能である。その結果、(例えば乳癌などの)ある種の癌によっては、大規模な線量演算およびマッピングシステムの必要性を軽減あるいは省略することが可能となる。
【0199】
小線源療法用装置および方法に関するさらなる情報は、本件の同時係属出願である、2003年9月9日出願の第10/658,518号、2005年10月31日出願の第60/731,879号および2005年11月10日出願の第60/735,532号から得ることが可能である。
【0200】
本発明の例示的な実施例について上述してきた。当業者であれば、本発明の範囲内において多くの実施例が考えられることを認識するであろう。本明細書に記載される各種要素および方法のその他の変形例、変更例および組み合わせは、当然実施され得るものでありながら本発明の範囲内にあるものである。例えば、本明細書に記載される治療手段のいずれもが同様に本明細書に記載される供給システムと方法と組み合わせることができる。したがって、本発明は、以下に記載する各請求項とその等価物によってのみ限定され得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1】一実施例における例示的な小線源療法用装置あるいはキットを示す図である。
【図2A】図1における小線源療法用装置を使用するための方法を説明する概略図である。
【図2B】図1における小線源療法用装置を使用するための方法を説明する概略図である。
【図2C】図1における小線源療法用装置を使用するための方法を説明する概略図である。
【図2D】図1における小線源療法用装置を使用するための方法を説明する概略図である。
【図2E】図1における小線源療法用装置を使用するための方法を説明する概略図である。
【図2F】別の実施例における小線源療法用装置を示す概略図である。
【図3A】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図3B】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図4A】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図4B】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図5A】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図5B】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図5C】例示的な取り外し方法を説明する、図5Aおよび5Bにおける小線源療法用手段の図である。
【図6】さらに別の実施例における小線源療法用装置またはキットの展開図である。
【図7】部分的に組み立てられた、図6における小線源療法用装置の図である。
【図8A】図6および7における小線源療法用装置の使用方法を説明する概略図である。
【図8B】図6および7における小線源療法用装置の使用方法を説明する概略図である。
【図8C】図6および7における小線源療法用装置の使用方法を説明する概略図である。
【図8D】図6および7における小線源療法用装置の使用方法を説明する概略図である。
【図8E】図6および7における小線源療法用装置の使用方法を説明する概略図である。
【図9A】別の実施例における小線源療法用装置の拡大部分図である。
【図9B】別の実施例における小線源療法用装置の拡大部分図である。
【図10A】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図10B】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図11A】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図11B】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図12A】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図12B】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図13A】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図13B】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図14A】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図14B】さらに別の実施例における小線源療法用手段の拡大部分図である。
【図15】別の実施例における小線源療法用装置の概略図である。
【図16A】さまざまな実施例における、非直線状である小線源療法用装置および方法を説明する概略図であって、デュアル式軸外カテーテルアセンブリを示すものである。
【図16B】さまざまな実施例における、非直線状である小線源療法用装置および方法を説明する概略図であって、デュアル式軸外カテーテルアセンブリを示すものである。
【図16C】さまざまな実施例における、非直線状である小線源療法用装置および方法を説明する概略図であって、デュアル式軸外カテーテルアセンブリを示すものである。
【図16D】さまざまな実施例における、非直線状である小線源療法用装置および方法を説明する概略図であって、デュアル式軸外カテーテルアセンブリを示すものである。
【図16E】さまざまな実施例における、非直線状である小線源療法用装置および方法を説明する概略図であって、デュアル式軸外カテーテルアセンブリを示すものである。
【図16F】さまざまな実施例における、非直線状である小線源療法用装置および方法を説明する概略図であって、螺旋形状を有するカテーテルを示すものである。
【図16G】さまざまな実施例における、非直線状である小線源療法用装置および方法を説明する概略図であって、螺旋形状を有するカテーテルを示すものである。
【図17A】別の実施例における小線源療法用装置を示す図である。
【図17B】別の実施例における小線源療法用装置を示す図である。
【図18】一実施例における、例えばブラジャーなどの放射線減衰ガーメントを示す図である。
【図19A】一実施例における、例えばHDRカテーテルなどのバルーンカテーテルアセンブリの概略図である。
【図19B】一実施例における、例えばHDRカテーテルなどのバルーンカテーテルアセンブリの概略図である。
【図19C】一実施例における、例えばHDRカテーテルなどのバルーンカテーテルアセンブリの概略図である。
【図20】本書において説明される小線源療法の方法および装置とともに使用される供給または移植システムの例示的な実施例。
【図21】例えば図2A〜2Fおよび図8A〜8Eにおいて示される方法など、本書において説明される小線源療法の方法および装置とともに使用され得る、図20における供給システムの概略図である。
【図22】図21の供給システムとともに用いられる、例えば針などの例示的なカテーテルを案内するテンプレートを示す拡大図である。
【図23】本明細書に記載される小線源療法の方法および装置とともに用いられる別の供給あるいは移植システムを示す概略図である。
【図24】図23における供給システムにおける、例えばカートリッジなどの一部を示す展開図である。
【図25A】さらに別の実施例による供給または移植システムおよび方法を説明する概略図である。
【図25B】さらに別の実施例による供給または移植システムおよび方法を説明する概略図である。
【図25C】さらに別の実施例による供給または移植システムおよび方法を説明する概略図である。
【図25D】さらに別の実施例による供給または移植システムおよび方法を説明する概略図である。
【図26】本明細書に記載される小線源療法用手段が移植されて固定された後における、例えば女性の乳房などの人体の一部を示す図である。
【図27】図25A〜25Dにおける供給システムの一部を示す横断面図である。
【図28A】腔内小線源療法治療装置であって、図28Aは、例えば直線状に折りたたまれた形状のものを示す図である。
【図28B】腔内小線源療法治療装置であって、部分的に展開されたあるいは広げられた形状のものを示す図である。
【図28C】腔内小線源療法治療装置であって、部分的に展開されたあるいは広げられた形状のものを示す図である。
【図28D】腔内小線源療法治療装置であって、完全に広げられた形状のものを示す図である。
【図29A】腔内小線源療法治療装置であって、例えば曲線などの、展開されたあるいは広げられた形状にあるものを示す斜視図である。
【図29B】腔内小線源療法治療装置であって、例えば直線状に折りたたまれた形状にあり、腫瘍摘出後窩洞に設置されたものを示す断面図である。
【図29C】腔内小線源療法治療装置であって、窩洞内における部分的に広げられた形状にあるものを示す断面図である。
【図29D】腔内小線源療法治療装置を示すものであって、図29Cの線29D−29Dに沿った断面を示す図である。
【図29E】腔内小線源療法治療装置を示すものであって、図29Dにおける装置の一部分を示す別の部分断面図である。
【図29F】腔内小線源療法治療装置の一部分を示す斜視図である。
【図30A】さらに別の実施例における腔内小線源療法治療装置を示すものであって、例えば曲線などの、展開されたあるいは広げられた形状にあるものを示す側面図である。
【図30B】さらに別の実施例における腔内小線源療法治療装置を示すものであって、例えば直線状などの、折りたたまれた形状にあるものを示す断面図である。
【図30C】さらに別の実施例における腔内小線源療法治療装置を示すものであって、展開されたまたは広げられた形状にあるものを示す断面図である。
【図31A】さらに別の実施例における腔内あるいは曲線状小線源療法治療装置であって、例えば直線などの折りたたまれた形状にあるものを示す斜視図である。
【図31B】さらに別の実施例における腔内あるいは曲線状小線源療法治療装置であって、例えば曲線などの展開されたあるいは広げられた形状にあるものを示す斜視図である。
【図31C】さらに別の実施例における腔内あるいは曲線状小線源療法治療装置であって、折りたたまれた形状にあるものを示す側面図である。
【図31D】さらに別の実施例における腔内あるいは曲線状小線源療法治療装置であって、折りたたまれた形状にあるものを示す端面図である。
【図31E】さらに別の実施例における腔内あるいは曲線状小線源療法治療装置であって、折りたたまれた形状にあるものを示す断面図である。
【図31F】さらに別の実施例における腔内あるいは曲線状小線源療法治療装置を示すものであって、広げられた形状にあるものを示す断面図である。
【図32A】例えば乳房における腫瘍摘出後の窩洞など、人体内における窩洞に小線源療法を供給するために図31A〜31Fにおける装置を用いる例示的な方法を説明するものであって、折りたたまれて移植された装置を示す斜視図である。
【図32B】例えば乳房における腫瘍摘出後の窩洞など、人体内における窩洞に小線源療法を供給するために図31A〜31Fにおける装置を用いる例示的な方法を説明するものであって、移植されて折りたたまれた装置を示す正面図である。
【図32C】例えば乳房における腫瘍摘出後の窩洞など、人体内における窩洞に小線源療法を供給するために図31A〜31Fにおける装置を用いる例示的な方法を説明するものであって、移植されて折りたたまれた装置を示す側面図である。
【図32D】例えば乳房における腫瘍摘出後の窩洞など、人体内における窩洞に小線源療法を供給するために図31A〜31Fにおける装置を用いる例示的な方法を説明するものであって、広げられた形状の装置を含む乳房の斜視断面図である。
【図32E】例えば乳房における腫瘍摘出後の窩洞など、人体内における窩洞に小線源療法を供給するために図31A〜31Fにおける装置を用いる例示的な方法を説明するものであって、広げられた形状の装置を含む乳房の断面図である。
【図32F】例えば乳房における腫瘍摘出後の窩洞など、人体内における窩洞に小線源療法を供給するために図31A〜31Fにおける装置を用いる例示的な方法を説明するものであって、窩洞内において装置が広げられた状態を示す概略図である。
【図32G】例えば乳房における腫瘍摘出後の窩洞など、人体内における窩洞に小線源療法を供給するために図31A〜31Fにおける装置を用いる例示的な方法を説明するものであって、装置によって提供される例示的な放射被覆領域を示す概略断面図である。
【図32H】装置の細長部材が周辺組織に対して穿通する状態を示しながら、組織構造内における腫瘍摘出後の窩洞内において広げられた装置を示す横断面図である。
【図33A】さらに別の実施例における腔内小線源療法治療装置であって、折りたたまれた形状にあるものを示す側面図である。
【図33B】さらに別の実施例における腔内小線源療法治療装置であって、広げられた形状にあるものを示す斜視図である。
【図33C】さらに別の実施例における腔内小線源療法治療装置であって、広げられた形状にあるものを示す側面図である。
【図33D】さらに別の実施例における腔内小線源療法治療装置であって、図33Cの線22D−22Dに沿った横断面図である。
【図33E】さらに別の実施例における腔内小線源療法治療装置の別の断面図である。
【図33F】さらに別の実施例における腔内小線源療法治療装置であって、対象組織領域内に移植されて部分的に広げられたものを示す図である。
【図33G】さらに別の実施例における腔内小線源療法治療装置であって、対象組織領域内において完全に広げられたものを示す図である。
【図34】さらに別の実施例における小線源療法用装置であって、対象組織領域内において広げられた状態にあるものを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内における窩洞を取り囲む組織を治療するための小線源療法治療装置であって、
近接端部および遠位端部を備える伸張体であって、組織を通る管路に導入されるための形状を有するものと、
上記遠位端部における複数の細長部材であって、放射線源を受け入れるための経路を有するものとを備え、これら細長部材は、組織管路を通って対象位置へ導入されるための折りたたみ形状から、上記対象位置において三次元的アレイの経路を提供するための展開形状へと移動可能であり、
上記対象位置に対して放射線を供給するための、上記経路に沿って導入可能な放射線源と、
を備える装置。
【請求項2】
上記細長部材が上記展開形状において間隔を空けられることによって、上記対象位置における組織が上記細長部材の間に陥入する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
上記細長部材の上記近接端部に連結されたハブをさらに備え、このハブは、上記伸張体に対して可動であることによって上記細長部材を上記折りたたみ形状から上記展開形状に移動させることが可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
上記伸張体は、コア部材であって、上記近接端部から上記遠位端部まで延伸し、かつ上記細長部材の上記遠位端部に対して連結されるものを有し、上記ハブは、上記細長部材の上記近接端部に対して連結される外側部材を有し、これら外側部材は、上記コア部材の周りを摺動可能に配置されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
上記外側部材は、上記細長部材の上記経路に連通する通路を有する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
上記ハブは、それぞれの上記経路と連通し、かつ上記経路に沿って上記放射線源を導入するための複数の開口部を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
上記ハブは、上記細長部材のそれぞれの上記経路を特定するための1つ以上のインデックスを有する、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
上記各細長部材は、補強部材であって、上記細長部材が折りたたまれた形状から展開された形状に移動された場合に上記細長部材を所望する方向に保持するためのものを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
上記放射線源は、放射性要素を収容する複数の容器であって、上記細長部材のそれぞれの上記経路に沿って導入され得るものを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
上記放射線源は、放射線生成手段であって、上記細長部材のそれぞれの上記経路に沿って順次挿入され得るものを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
上記放射線生成手段は、HDR放射線源である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
上記伸張体の上記遠位端部は、組織を貫通するために尖っている、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
上記細長部材は、上記展開形状において三次元アレイであって、上記放射線源が上記細長部材の中に導入された場合に複数の放射層を提供するものを構成する、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
上記細長部材は、第1セットおよび第2セットの細長部材を含み、上記第1セット細長部材は、上記伸張体の中心軸から間隔を空けられることによって、上記展開形状において上記第1セット細長部材がおおむね第1の最大直径を画定し、上記第2セット細長部材は、上記中心軸から間隔を空けられることによって、上記展開形状において上記第2セット細長部材がおおむね第1の最大直径よりも小さい第2の最大直径を画定する、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
上記第2セット細長部材は、上記中心軸を中心にして上記第1セット細長部材から角度をなしてオフセットされている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
上記第1セット細長部材は、上記展開形状においてアメリカンフットボール型、西瓜形およびおおむね球体型のうちいずれか1つの形状を画定するものであって、上記第2セット細長部材は、上記展開形状において上記第1セット細長部材よりも小さな形状を画定するものである、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
上記細長部材は、管状部材であって、上記経路を画定する管腔を有するものを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
体内における窩洞を取り囲む組織を治療するための小線源療法治療装置であって、
近接端部および遠位端部を備える伸張体であって、組織を通る管路に導入されるための形状を有するものと、
上記遠位端部における複数の管状部材であって、放射線源を受け入れるための管腔を有するものとを備え、これら管状部材は、組織管路を通って対象位置へ導入されるための折りたたみ形状から、上記対象位置において三次元的アレイの経路を提供するための展開形状へと移動可能であり、
複数の開口部であって、それぞれの管腔と連通して上記放射線源を上記管腔に挿入するものと、
上記管状部材の上記近接端部に連結されるハブとを備え、このハブは、上記伸張体に対して可動であることによって上記管状部材を上記折りたたみ形状から上記展開形状に移動させ得る、装置。
【請求項19】
作動手段であって、上記ハブを上記伸張体の上記遠位端部に対して移動させて上記管状部材を上記折りたたみ形状と上記展開形状との間で移動させるものをさらに備える、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
放射性要素を収容する複数の容器をさらに備え、これら容器は、上記管状部材のそれぞれの管腔内に挿入され得るものである、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
上記管状部材は、上記展開形状において間隔を空けられることによって、対象組織における組織が上記管状部材間に陥入する、請求項18に記載の装置。
【請求項22】
上記管状部材は、上記展開形状において三次元アレイであって、上記放射線源が上記管状部材の中に導入された場合に複数の放射層を提供するものを構成する、請求項18に記載の装置。
【請求項23】
上記管状部材は、第1セットおよび第2セットの管状部材を含み、上記第1セット管状部材は、上記伸張体の中心軸から間隔を空けられることによって、上記展開形状において上記第1セット管状部材がおおむね第1の最大直径を画定し、上記第2セット管状部材は、上記中心軸から間隔を空けられることによって、上記展開形状において上記第2セット管状部材がおおむね第1の最大直径よりも小さい第2の最大直径を画定する、請求項18に記載の装置。
【請求項24】
上記第2セット管状部材は、上記中心軸を中心にして上記第1セット管状部材から角度をなしてオフセットされている、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
第2のセットは、単一の管状部材からなる、請求項23に記載の装置。
【請求項26】
上記展開形状において、上記第2セット管状部材の1つの管状部材は、上記第1セット管状部材内の2つの隣接する管状部材の間に配置されてより上記中心軸に近い、請求項23に記載の装置。
【請求項27】
上記第1セット管状部材内の上記2つの隣接する管状部材のうち少なくとも一方は、これら2つの隣接する管状部材の間に配置される上記第2セット管状部材の上記管状部材よりも低い放射線強度を有する、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
上記第1セット管状部材内の上記2つの隣接する管状部材のうち少なくとも一方は、1つ以上の放射線源を有しない部分を備える、請求項26に記載の装置。
【請求項29】
体内における窩洞を取り囲む組織を治療するための小線源療法治療装置であって、
近接端部および遠位端部を備える伸張体であって、組織を通る管路に導入されるための形状を有するものと、
上記遠位端部における複数の細長部材であって、放射線源を受け入れるための経路を有するものとを備え、これら細長部材は、組織管路を通って対象位置へ導入されるための折りたたみ形状から、上記対象位置において三次元的アレイの経路を提供するための展開形状へ移動可能であり、これら細長部材は、上記展開形状において間隔を空けられることによって上記対象位置における組織が上記細長部材の間に陥入する、装置。
【請求項30】
放射線源であって、上記対象位置に対して放射線を供給するために上記経路に沿って導入可能であるものをさらに備える、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
体内における組織を治療するための小線源療法治療方法であって、
窩洞に隣接する対象位置に対して組織を通る経路を形成するステップと、
複数の細長部材を担持する伸張体を、上記細長部材が折りたたみ形状にある状態で、上記経路を通って上記対象位置内へ前進させるステップと、
上記対象位置において上記細長部材を中心軸から離して配置するように上記細長部材を展開形状にさせることによって、隣接する上記細長部材の少なくとも一部の間で上記窩洞を取り囲む組織が延伸するステップと、
上記対象位置へ放射線を供給して上記対象位置における組織を治療するステップと、
を備える方法。
【請求項32】
上記細長部材は、上記細長部材が上記展開形状にさせられた場合に上記伸張体を上記対象位置に固定する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
上記対象位置における組織は、上記細長部材が上記展開形状にさせられた場合に上記細長部材間に陥入する、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
上記細長部材は、上記細長部材が上記展開形状にさせられた場合に上記窩洞を取り囲む組織を外側に方向付ける、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
1つ以上の上記細長部材が上記窩洞を取り囲む組織内に延伸することによって、上記1つ以上の細長部材のうち少なくとも一部が実質的に組織によって取り囲まれる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
1つ以上の上記細長部材は、上記細長部材が上記展開形状にさせられた場合に上記窩洞を取り囲む組織内を貫通する、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
1つ以上の上記細長部材は、上記細長部材が上記展開形状にさせられた場合に上記窩洞を取り囲む組織内に切り込む、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
上記細長部材は1つ以上の放射性要素を収容し、上記伸張体を所定の期間に亘って上記対象位置に留置させることによって放射線が上記対象位置に対して供給され、これにより、上記組織が上記1つ以上の放射性要素によって放射された放射線に晒される、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
上記対象位置に対して放射線を供給するステップは、上記細長部材に沿って設けられた経路に沿って放射線源を導入するステップを有する、請求項31に記載の方法。
【請求項40】
上記放射線源は、HDR放射線源であって、上記細長部材の連続した経路に順次導入されるものである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
上記放射線源は、複数の容器であって、上記細長部材に沿って設けられたそれぞれの経路に沿って導入されるものを有する、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
上記細長部材は、複数の管状部材であって、それぞれの経路を画定する管腔を有するものを備え、放射線源を経路に沿って導入するステップは、容器をそれぞれの管腔に導入するステップを有する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
各容器は、複数の放射性シードであって、所定の線量計画に基づいて配置されるものを有し、これら容器は、上記それぞれの管腔内に導入されることによって、上記中心軸に対して実質的に非対称である三次元アレイを構成する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
上記容器は、シードを有し、これらシードは、上記三次元アレイにおける所定の位置において異なる放射線強度を有する、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
上記シードの上記放射線強度は、上記対象位置の1つ以上の領域に対して上記対象位置の1つ以上のその他の領域に対するよりも比較的低い放射線量を供給するように選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
上記1つ以上の領域は、体の皮膚に隣接する組織である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
上記1つ以上の領域は、上記三次元アレイの1つ以上の特定の経路に対応する、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
1つ以上の特定の経路は、放射性シードを有しない、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
上記伸張体は、尖った遠位先端を有し、上記経路は、上記伸張体が組織を通って上記対象位置へと前進される際に形成される、請求項31に記載の方法。
【請求項50】
上記対象位置に対して放射線を供給した後に上記細長部材を折りたたみ形状にするステップと、
上記伸張体を上記対象位置から除去するステップと、
をさらに有する、請求項31に記載の方法。
【請求項51】
組織を通って上記経路を形成するステップは、上記管状部材を組織を通って上記対象位置へ前進させるステップを有し、上記伸長体は、上記管状部材を通って前進される、請求項31に記載の方法。
【請求項52】
上記管状部材が組織を通って前進される際に、穿刺部材が上記管状部材内に配置され、この穿刺部材は、上記経路を形成するように組織内を貫通するための、上記管状部材を越えて延伸する尖った遠位先端を有し、この穿刺部材は、上記伸張体が上記管状部材を通って前進される前に除去される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
上記細長部材は、上記展開形状にさせられることによって、上記細長部材が上記窩洞を取り囲む組織に接触し、これによって組織が上記細長部材間に陥入するようになる、請求項31に記載の方法。
【請求項54】
上記細長部材は、複数の放射性要素を担持し、上記細長部材は、上記細長部材が上記展開形状にさせられる場合に、上記放射性要素を三次元アレイに配置する、請求項31に記載の方法。
【請求項55】
上記放射性要素は、上記展開形状において複数の放射層を形成する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
上記放射性要素は、この放射性要素によって画定された三次元アレイが上記対象位置における上記組織を治療するための所定の線量計画に対応するように上記細長部材に対して取り付けられる、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
上記対象位置に対して放射線を供給するステップは、
上記対象位置内における上記展開形状に基づいて線量計画を決定するステップと、
上記決定された線量計画にしたがって放射線を供給するステップと、
を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項58】
上記決定された線量計画にしたがって放射線を供給するステップは、上記細長部材の連続した経路に沿って順次HDR線源を導入するステップを有する、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
上記決定された線量計画にしたがって放射線を供給するステップは、上記細長部材に沿って設けられたそれぞれの経路に沿って複数の容器を導入するステップを有する、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
第1セットの細長部材が、上記窩洞に隣接する比較的薄い組織領域に向かって配置され、上記容器は上記第1セット細長部材に沿って導入される第1セットの容器を含み、上記第1セット容器は、その他の容器に比べて低い放射線強度を有する、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
上記展開形状において、上記第1セット細長部材は経路の外層を構成し、第2セットの細長部材が上記第1セット細長部材の下方に配置されることによって上記第2セット細長部材が経路の内層を構成する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
上記第1セットは一対の隣接する細長部材を含み、上記第2セットは、この一対の隣接する上記細長部材の間でより上記伸張体の中心軸に近いところに配置される1つの細長部材を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
体内における組織を治療するための小線源療法治療方法であって、
窩洞に隣接する対象位置に対して組織を通る経路を形成するステップと、
複数の細長部材を担持する伸張体を、上記細長部材が折りたたみ形状にある状態で、上記経路を通って上記対象位置内へ前進させるステップと、
上記対象位置において上記細長部材を中心軸から離して配置するように上記細長部材を展開形状にすることによって、上記細長部材が上記窩洞を取り囲む組織に対して局所的に個別であるラジアル力を付与するステップと、
上記対象位置へ放射線を供給して上記対象位置における組織を治療するステップと、
を備える方法。
【請求項64】
上記局所的に個別であるラジアル力は、1つ以上の上記細長部材を上記取り囲む組織内へ貫通させるのに十分である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
それぞれの細長部材の上記局所的なラジアル力は、互いに異なる、請求項63に記載の方法。
【請求項1】
体内における窩洞を取り囲む組織を治療するための小線源療法治療装置であって、
近接端部および遠位端部を備える伸張体であって、組織を通る管路に導入されるための形状を有するものと、
上記遠位端部における複数の細長部材であって、放射線源を受け入れるための経路を有するものとを備え、これら細長部材は、組織管路を通って対象位置へ導入されるための折りたたみ形状から、上記対象位置において三次元的アレイの経路を提供するための展開形状へと移動可能であり、
上記対象位置に対して放射線を供給するための、上記経路に沿って導入可能な放射線源と、
を備える装置。
【請求項2】
上記細長部材が上記展開形状において間隔を空けられることによって、上記対象位置における組織が上記細長部材の間に陥入する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
上記細長部材の上記近接端部に連結されたハブをさらに備え、このハブは、上記伸張体に対して可動であることによって上記細長部材を上記折りたたみ形状から上記展開形状に移動させることが可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
上記伸張体は、コア部材であって、上記近接端部から上記遠位端部まで延伸し、かつ上記細長部材の上記遠位端部に対して連結されるものを有し、上記ハブは、上記細長部材の上記近接端部に対して連結される外側部材を有し、これら外側部材は、上記コア部材の周りを摺動可能に配置されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
上記外側部材は、上記細長部材の上記経路に連通する通路を有する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
上記ハブは、それぞれの上記経路と連通し、かつ上記経路に沿って上記放射線源を導入するための複数の開口部を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
上記ハブは、上記細長部材のそれぞれの上記経路を特定するための1つ以上のインデックスを有する、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
上記各細長部材は、補強部材であって、上記細長部材が折りたたまれた形状から展開された形状に移動された場合に上記細長部材を所望する方向に保持するためのものを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
上記放射線源は、放射性要素を収容する複数の容器であって、上記細長部材のそれぞれの上記経路に沿って導入され得るものを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
上記放射線源は、放射線生成手段であって、上記細長部材のそれぞれの上記経路に沿って順次挿入され得るものを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
上記放射線生成手段は、HDR放射線源である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
上記伸張体の上記遠位端部は、組織を貫通するために尖っている、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
上記細長部材は、上記展開形状において三次元アレイであって、上記放射線源が上記細長部材の中に導入された場合に複数の放射層を提供するものを構成する、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
上記細長部材は、第1セットおよび第2セットの細長部材を含み、上記第1セット細長部材は、上記伸張体の中心軸から間隔を空けられることによって、上記展開形状において上記第1セット細長部材がおおむね第1の最大直径を画定し、上記第2セット細長部材は、上記中心軸から間隔を空けられることによって、上記展開形状において上記第2セット細長部材がおおむね第1の最大直径よりも小さい第2の最大直径を画定する、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
上記第2セット細長部材は、上記中心軸を中心にして上記第1セット細長部材から角度をなしてオフセットされている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
上記第1セット細長部材は、上記展開形状においてアメリカンフットボール型、西瓜形およびおおむね球体型のうちいずれか1つの形状を画定するものであって、上記第2セット細長部材は、上記展開形状において上記第1セット細長部材よりも小さな形状を画定するものである、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
上記細長部材は、管状部材であって、上記経路を画定する管腔を有するものを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
体内における窩洞を取り囲む組織を治療するための小線源療法治療装置であって、
近接端部および遠位端部を備える伸張体であって、組織を通る管路に導入されるための形状を有するものと、
上記遠位端部における複数の管状部材であって、放射線源を受け入れるための管腔を有するものとを備え、これら管状部材は、組織管路を通って対象位置へ導入されるための折りたたみ形状から、上記対象位置において三次元的アレイの経路を提供するための展開形状へと移動可能であり、
複数の開口部であって、それぞれの管腔と連通して上記放射線源を上記管腔に挿入するものと、
上記管状部材の上記近接端部に連結されるハブとを備え、このハブは、上記伸張体に対して可動であることによって上記管状部材を上記折りたたみ形状から上記展開形状に移動させ得る、装置。
【請求項19】
作動手段であって、上記ハブを上記伸張体の上記遠位端部に対して移動させて上記管状部材を上記折りたたみ形状と上記展開形状との間で移動させるものをさらに備える、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
放射性要素を収容する複数の容器をさらに備え、これら容器は、上記管状部材のそれぞれの管腔内に挿入され得るものである、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
上記管状部材は、上記展開形状において間隔を空けられることによって、対象組織における組織が上記管状部材間に陥入する、請求項18に記載の装置。
【請求項22】
上記管状部材は、上記展開形状において三次元アレイであって、上記放射線源が上記管状部材の中に導入された場合に複数の放射層を提供するものを構成する、請求項18に記載の装置。
【請求項23】
上記管状部材は、第1セットおよび第2セットの管状部材を含み、上記第1セット管状部材は、上記伸張体の中心軸から間隔を空けられることによって、上記展開形状において上記第1セット管状部材がおおむね第1の最大直径を画定し、上記第2セット管状部材は、上記中心軸から間隔を空けられることによって、上記展開形状において上記第2セット管状部材がおおむね第1の最大直径よりも小さい第2の最大直径を画定する、請求項18に記載の装置。
【請求項24】
上記第2セット管状部材は、上記中心軸を中心にして上記第1セット管状部材から角度をなしてオフセットされている、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
第2のセットは、単一の管状部材からなる、請求項23に記載の装置。
【請求項26】
上記展開形状において、上記第2セット管状部材の1つの管状部材は、上記第1セット管状部材内の2つの隣接する管状部材の間に配置されてより上記中心軸に近い、請求項23に記載の装置。
【請求項27】
上記第1セット管状部材内の上記2つの隣接する管状部材のうち少なくとも一方は、これら2つの隣接する管状部材の間に配置される上記第2セット管状部材の上記管状部材よりも低い放射線強度を有する、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
上記第1セット管状部材内の上記2つの隣接する管状部材のうち少なくとも一方は、1つ以上の放射線源を有しない部分を備える、請求項26に記載の装置。
【請求項29】
体内における窩洞を取り囲む組織を治療するための小線源療法治療装置であって、
近接端部および遠位端部を備える伸張体であって、組織を通る管路に導入されるための形状を有するものと、
上記遠位端部における複数の細長部材であって、放射線源を受け入れるための経路を有するものとを備え、これら細長部材は、組織管路を通って対象位置へ導入されるための折りたたみ形状から、上記対象位置において三次元的アレイの経路を提供するための展開形状へ移動可能であり、これら細長部材は、上記展開形状において間隔を空けられることによって上記対象位置における組織が上記細長部材の間に陥入する、装置。
【請求項30】
放射線源であって、上記対象位置に対して放射線を供給するために上記経路に沿って導入可能であるものをさらに備える、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
体内における組織を治療するための小線源療法治療方法であって、
窩洞に隣接する対象位置に対して組織を通る経路を形成するステップと、
複数の細長部材を担持する伸張体を、上記細長部材が折りたたみ形状にある状態で、上記経路を通って上記対象位置内へ前進させるステップと、
上記対象位置において上記細長部材を中心軸から離して配置するように上記細長部材を展開形状にさせることによって、隣接する上記細長部材の少なくとも一部の間で上記窩洞を取り囲む組織が延伸するステップと、
上記対象位置へ放射線を供給して上記対象位置における組織を治療するステップと、
を備える方法。
【請求項32】
上記細長部材は、上記細長部材が上記展開形状にさせられた場合に上記伸張体を上記対象位置に固定する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
上記対象位置における組織は、上記細長部材が上記展開形状にさせられた場合に上記細長部材間に陥入する、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
上記細長部材は、上記細長部材が上記展開形状にさせられた場合に上記窩洞を取り囲む組織を外側に方向付ける、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
1つ以上の上記細長部材が上記窩洞を取り囲む組織内に延伸することによって、上記1つ以上の細長部材のうち少なくとも一部が実質的に組織によって取り囲まれる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
1つ以上の上記細長部材は、上記細長部材が上記展開形状にさせられた場合に上記窩洞を取り囲む組織内を貫通する、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
1つ以上の上記細長部材は、上記細長部材が上記展開形状にさせられた場合に上記窩洞を取り囲む組織内に切り込む、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
上記細長部材は1つ以上の放射性要素を収容し、上記伸張体を所定の期間に亘って上記対象位置に留置させることによって放射線が上記対象位置に対して供給され、これにより、上記組織が上記1つ以上の放射性要素によって放射された放射線に晒される、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
上記対象位置に対して放射線を供給するステップは、上記細長部材に沿って設けられた経路に沿って放射線源を導入するステップを有する、請求項31に記載の方法。
【請求項40】
上記放射線源は、HDR放射線源であって、上記細長部材の連続した経路に順次導入されるものである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
上記放射線源は、複数の容器であって、上記細長部材に沿って設けられたそれぞれの経路に沿って導入されるものを有する、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
上記細長部材は、複数の管状部材であって、それぞれの経路を画定する管腔を有するものを備え、放射線源を経路に沿って導入するステップは、容器をそれぞれの管腔に導入するステップを有する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
各容器は、複数の放射性シードであって、所定の線量計画に基づいて配置されるものを有し、これら容器は、上記それぞれの管腔内に導入されることによって、上記中心軸に対して実質的に非対称である三次元アレイを構成する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
上記容器は、シードを有し、これらシードは、上記三次元アレイにおける所定の位置において異なる放射線強度を有する、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
上記シードの上記放射線強度は、上記対象位置の1つ以上の領域に対して上記対象位置の1つ以上のその他の領域に対するよりも比較的低い放射線量を供給するように選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
上記1つ以上の領域は、体の皮膚に隣接する組織である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
上記1つ以上の領域は、上記三次元アレイの1つ以上の特定の経路に対応する、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
1つ以上の特定の経路は、放射性シードを有しない、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
上記伸張体は、尖った遠位先端を有し、上記経路は、上記伸張体が組織を通って上記対象位置へと前進される際に形成される、請求項31に記載の方法。
【請求項50】
上記対象位置に対して放射線を供給した後に上記細長部材を折りたたみ形状にするステップと、
上記伸張体を上記対象位置から除去するステップと、
をさらに有する、請求項31に記載の方法。
【請求項51】
組織を通って上記経路を形成するステップは、上記管状部材を組織を通って上記対象位置へ前進させるステップを有し、上記伸長体は、上記管状部材を通って前進される、請求項31に記載の方法。
【請求項52】
上記管状部材が組織を通って前進される際に、穿刺部材が上記管状部材内に配置され、この穿刺部材は、上記経路を形成するように組織内を貫通するための、上記管状部材を越えて延伸する尖った遠位先端を有し、この穿刺部材は、上記伸張体が上記管状部材を通って前進される前に除去される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
上記細長部材は、上記展開形状にさせられることによって、上記細長部材が上記窩洞を取り囲む組織に接触し、これによって組織が上記細長部材間に陥入するようになる、請求項31に記載の方法。
【請求項54】
上記細長部材は、複数の放射性要素を担持し、上記細長部材は、上記細長部材が上記展開形状にさせられる場合に、上記放射性要素を三次元アレイに配置する、請求項31に記載の方法。
【請求項55】
上記放射性要素は、上記展開形状において複数の放射層を形成する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
上記放射性要素は、この放射性要素によって画定された三次元アレイが上記対象位置における上記組織を治療するための所定の線量計画に対応するように上記細長部材に対して取り付けられる、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
上記対象位置に対して放射線を供給するステップは、
上記対象位置内における上記展開形状に基づいて線量計画を決定するステップと、
上記決定された線量計画にしたがって放射線を供給するステップと、
を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項58】
上記決定された線量計画にしたがって放射線を供給するステップは、上記細長部材の連続した経路に沿って順次HDR線源を導入するステップを有する、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
上記決定された線量計画にしたがって放射線を供給するステップは、上記細長部材に沿って設けられたそれぞれの経路に沿って複数の容器を導入するステップを有する、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
第1セットの細長部材が、上記窩洞に隣接する比較的薄い組織領域に向かって配置され、上記容器は上記第1セット細長部材に沿って導入される第1セットの容器を含み、上記第1セット容器は、その他の容器に比べて低い放射線強度を有する、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
上記展開形状において、上記第1セット細長部材は経路の外層を構成し、第2セットの細長部材が上記第1セット細長部材の下方に配置されることによって上記第2セット細長部材が経路の内層を構成する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
上記第1セットは一対の隣接する細長部材を含み、上記第2セットは、この一対の隣接する上記細長部材の間でより上記伸張体の中心軸に近いところに配置される1つの細長部材を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
体内における組織を治療するための小線源療法治療方法であって、
窩洞に隣接する対象位置に対して組織を通る経路を形成するステップと、
複数の細長部材を担持する伸張体を、上記細長部材が折りたたみ形状にある状態で、上記経路を通って上記対象位置内へ前進させるステップと、
上記対象位置において上記細長部材を中心軸から離して配置するように上記細長部材を展開形状にすることによって、上記細長部材が上記窩洞を取り囲む組織に対して局所的に個別であるラジアル力を付与するステップと、
上記対象位置へ放射線を供給して上記対象位置における組織を治療するステップと、
を備える方法。
【請求項64】
上記局所的に個別であるラジアル力は、1つ以上の上記細長部材を上記取り囲む組織内へ貫通させるのに十分である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
それぞれの細長部材の上記局所的なラジアル力は、互いに異なる、請求項63に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図16F】
【図16G】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図25D】
【図26】
【図27】
【図28A】
【図28B】
【図28C】
【図28D】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図29D】
【図29E】
【図29F】
【図30A】
【図30B】
【図30C】
【図31A】
【図31B】
【図31C】
【図31D】
【図31E】
【図31F】
【図32A】
【図32B】
【図32C】
【図32D】
【図32E】
【図32F】
【図32G】
【図32H】
【図33A】
【図33B】
【図33C】
【図33D】
【図33E】
【図33F】
【図33G】
【図34】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図16F】
【図16G】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図25D】
【図26】
【図27】
【図28A】
【図28B】
【図28C】
【図28D】
【図29A】
【図29B】
【図29C】
【図29D】
【図29E】
【図29F】
【図30A】
【図30B】
【図30C】
【図31A】
【図31B】
【図31C】
【図31D】
【図31E】
【図31F】
【図32A】
【図32B】
【図32C】
【図32D】
【図32E】
【図32F】
【図32G】
【図32H】
【図33A】
【図33B】
【図33C】
【図33D】
【図33E】
【図33F】
【図33G】
【図34】
【公表番号】特表2009−515603(P2009−515603A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540315(P2008−540315)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/060581
【国際公開番号】WO2007/056714
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(502325339)バイオルーセント・インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】BIOLUCENT, INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/060581
【国際公開番号】WO2007/056714
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(502325339)バイオルーセント・インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】BIOLUCENT, INC.
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]