説明

小胞モノアミン輸送体2のベンゾキノリン阻害剤

本発明は、小胞モノアミン輸送体2(VMAT2)の新規ベンゾキノリン阻害剤、その薬学的組成物、およびその使用方法に関する。


(I)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年9月18日に出願の米国仮出願第61/097,896号の優先権の利益を主張し、その開示は、その全体が本明細書に記述されるかのように、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に開示されるのは、新規のベンゾキノリン化合物、それから作製される薬学的組成物であり、慢性多動性運動障害の治療のための、被験体の小胞モノアミン輸送体2(VMAT2)活性を阻害するための方法もまた提供される。
【背景技術】
【0003】
テトラベナジン(Nitoman、Xenazine、Ro1−9569)、1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−9,10−ジメトキシ−3−(2−メチルプロピル)−2H−ベンゾ[a]キノリンは、小胞モノアミン輸送体2(VMAT2)阻害剤である。テトラベナジンは、一般的にハンチントン病の治療のために処方される(Savani et al.,Neurology 2007,68(10),797、およびKenney et al.,Expert Review of Neurotherapeutics 2006 6(1)7−17)。
【化1】

テトラベナジン
【0004】
生体内において、テトラベナジンは、その還元型である、3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−1,3,4,6,7,11b−ヘキサヒドロ−2H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2−オールへと迅速かつ広範に代謝され、次いで、VMAT2に特異的に結合する(Zhang et al.,AAPS Journal,2006,8(4),E682−692)。さらなる代謝経路には、メトキシ基のO−脱メチル化、ならびにイソブチル基の水酸化が伴われる(Schwartz et al.,Biochem.Pharmacol.,1966,15,645−655)。テトラベナジンの投与に関連した有害作用には、神経弛緩薬性悪性症候群、眠気、疲労、神経過敏、不安、不眠症、激越、錯乱、起立性低血圧症、吐き気、眩暈、鬱病、およびパーキンソン症が含まれる。
【0005】
重水素速度論的同位体効果
治療剤等の外来の基質を削除するために、動物の体は、シトクロムP450酵素(CYP)、エステラーゼ、プロテアーゼ、リダクターゼ、デヒドロゲナーゼおよびモノアミンオキシダーゼ等の種々の酵素を発現して、それらの外来基質と反応し、腎排出のために、より極性の中間体または代謝物に変換する。かかる代謝反応はたびたび、炭素−酸素(C−O)−結合または炭素−炭素(C−C)π−結合のいずれか一方への、炭素−水素(C−H)−結合の酸化が含まれる。結果として得られた代謝物は、生理学的条件下で、安定であるか、または不安定であり、親化合物と比べて、実質的に異なる薬物動態学的、薬力学的、および急性および長期毒性特性を有し得る。ほとんどの薬物では、このような酸化は一般的に迅速であり、最終的に、複数回投与または高い一日用量の投与をもたらす。
【0006】
活性化エネルギーと反応の速度の間の関係は、アレニウスの式、k=Ae−Eact/RTによって定量され得る。アレニウスの式は、所与の温度において、化学的反応の速度が指数関数的に活性化エネルギー(Eact)依存することを提示する。
【0007】
反応における遷移状態は、本来の結合がその制限まで伸長する反応経路にそった、短命の状態である。定義によって、反応に対する活性化エネルギーEactは、その反応の遷移状態に達するために必要なエネルギーである。一旦遷移状態に達したならば、分子が本来の反応物に戻る、または新規の結合を形成して反応生成物を生成し得る。触媒は、遷移状態をもたらす活性化エネルギーを低下させることによって、反応工程を促進する。酵素は、生物学的触媒の例である。
【0008】
炭素−水素結合力は、結合の基底状態振動エネルギーの絶対値に直接比例する。この振動エネルギーは、その結合を形成する原子の質量に依存し、かつ結合を形成する1つまたは両方の原子の質量が増加するにつれて増加する。重水素(D)は、プロチウム(H)の二倍の質量であり、C−D結合は、相当するC−H結合よりも強い。C−H結合が、化学的反応における速度決定段階(すなわちもっとも高い遷移状態エネルギーをもつ段階)の間に破壊される場合、そのプロチウムを重水素に置換することによって、反応速度の減少が引き起こされ得る。本現象は、重水素速度論的同位体効果(DKIE)と呼ばれる。DKIEの大きさは、C−H結合が破壊される所与の反応の速度とプロチウムが重水素に置換される同一の反応の速度との間の比として表現され得る。DKIEは、約1(同位体効果なし)〜50以上等の、非常に大きな数字の範囲であり得る。水素を三重水素で置換すると、重水素よりもまたさらに強い結合となり、非常に大きな同位体効果が得られる。
【0009】
重水素(HまたはD)は、プロチウム(H)の約二倍の質量(H)を有する水素の安定な、非放射性同位体であり、最も一般的な水素の同位体である。酸化重水素(DOまたは「重水」)は、HOのように見え、かつHOのような味がするが、異なる物理的特性をもつ。
【0010】
純粋なDOが齧歯類に与えられた場合、簡単に吸収される。毒性を誘導するのに必要な重水素の量は非常に高い。体内の水の0%〜15%がDOによって置換された場合、動物は健康であるが、対照(未処理)群と同様の速さで体重を増加することはできない。約15%〜約20%の体内の水がDOによって置換された場合、動物が興奮しやすくなる。約20%〜25%の体内の水がDOによって置換された場合、動物は刺激した時に、頻繁にけいれんを起こすようになるほど興奮する。皮膚病変、脚および鼻口部における潰瘍、および尾の壊死が発生する。これらの動物はまた、非常に攻撃的になる。約30%の体内の水がDOに置換された場合、これらの動物は食べることを拒絶し、昏睡状態になる。これらの動物の体重は激しく減少し、その代謝速度は通常よりも非常に低下し、約30〜約35%のDOの置換にて、死亡する。DOのために以前の体重の30%以上減少しない限り、効果は可逆的である。研究によってまた、DOの利用が、癌細胞の増殖を遅延させ、特定の抗腫瘍剤の細胞傷害性を増強可能であることも示されている。
【0011】
薬物動態(PK)、薬力学(PD)および毒性特性を改善するために、医薬品の重水素化が、いくつかのクラスの薬物ですでに示されている。例えば、DKIEを利用して、塩化トリフルオロアセチル等の反応種の生成をおそらく制限することによって、ハロタンの肝毒性を減少させた。しかしながら、本方法は、すべての薬物クラスに適用可能であるわけではない。例えば、重水素取り込みは、代謝スイッチングを導き得る。代謝スイッチングは、異種物が、一時的に結合し、化学反応(例えば酸化)の前に、種々の立体配座にて再結合する場合に生じる。代謝スイッチングは、多くの第I相酵素における比較的大きなサイズの結合ポケットと、多くの代謝反応の混乱した特性によって可能となる。代謝スイッチングは、異なる割合の公知の代謝物、ならびに全く新規の代謝物を導き得る。この新規代謝プロファイルは、程度の差はあるが毒性を与え得る。このような欠陥は、明らかでなく、任意の薬物クラスに関して先験的に予測可能ではない。
【0012】
テトラベナジンは、VMAT2阻害剤である。テトラベナジンの炭素−水素結合は、天然に存在する分布の水素同位元素、特にHすなわちプロチウム(約99.9844%)、Hすなわち重水素(約0.0156%),およびHすなわちトリチウム(1018プロチウム原子当たり約0.5個から67個までのトリチウム原子)を含有する。重水素の取込みのレベルが増大されると、自然に生じるレベルの重水素を有するテトラベナジンと比較して、このようなシクロオキシゲナーゼ阻害剤の薬物動態学的、薬理学的および/またはテトラベナジンの毒素学的プロファイルに影響を及ぼす可能性がある、検出可能な重水素速度論的同位体効果(DKIE)を生じ得る。
【0013】
我々の研究所でなされた発見に基づいて、ならびに文献を考慮して、テトラベナジンは、ヒトにおいてイソブチル基およびメトキシ基で、代謝される。現在のアプローチは、これらの部位で代謝を防ぐ可能性を有する。分子上の他の部位はまた、変換を受け、未知の薬理学/毒物学を有する代謝物をもたらし得る。これらの代謝物の生成を制限することは、このような薬物の投与の危険を減らす可能性があり、投与量を増大、および/または効力を増大することを可能とし得る。これらの変換のすべては、多型的に発現した酵素を介して生じ得、患者間の変動を悪化し得る。さらに、いくつかの疾患は、被験体が24時間体制または長期間で投薬される場合、最善に治療される。すべての前述の理由のため、長期の半減期を伴う薬物はより大きな効力およびコスト削減をもたらし得る。種々の重水素化パターンは、多剤併用が計画的であってもなくても、a)不要な代謝物を減少または排除するために、b)親薬剤の半減期を増大するために、c)所望の効果を達成するために必要とされる投与量を減らすために、d)所望の効果を達成するために必要とされる用量の量を減少するために、e)いずれかが形成された場合、活性代謝物の形成を増大するために、f)特定の組織での有害な代謝物の生成を減少するため、および/または(g)多剤併用のためにいっそう有効な薬剤および/または安全な薬剤を作製するために、使用し得る。重水素化アプローチは、テトラベナジンの代謝を遅らせ、患者間の変動を減衰させる強力な可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
新規化合物および薬学的組成物、VMAT2を阻害することが認められた特定の新規化合物および薬学的組成物は、本明細書に開示される化合物の投与による患者のVMAT2媒介性疾患の治療のための方法を含む、化合物の合成および使用の方法と共に発見された。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のある実施形態において、化合物は、構造式I
【化2】

(I)
またはその塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグであって、式中、
〜R27は、独立して水素および重水素より成る群から選択され、
〜R27のうちの少なくとも1つが重水素である。
【0016】
ある実施形態において、式Iは、単一のエナンチオマー、(+)エナンチオマーおよび(−)エナンチオマーの混合物、重量で約90%以上の(−)エナンチオマーおよび重量で約10%以下の(+)エナンチオマーの混合物、重量で約90%以上の(+)エナンチオマーおよび重量で約10%以下の(−)エナンチオマーの混合物、個々のジアステレオマー、またはそのジアステレオマーの混合物を含み得る。
【発明の効果】
【0017】
本明細書に開示される特定の化合物は、有用なVMAT2阻害活性を有し得、かつVMAT2が積極的な役割を果たす疾患の治療または予防において使用され得る。したがって、ある実施形態はまた、薬学的に許容される担体と共に本明細書に開示される1つもしくは複数の化合物を含む薬学的組成物、ならびにそれらの化合物および組成物の使用および製造の方法を提供する。ある実施形態は、VMAT2を阻害する方法を提供する。他の実施形態は、VMAT2媒介性疾患の治療を必要とする患者のVMAT2媒介性疾患の治療のための方法を提供し、治療有効量の本発明による化合物または組成物を該患者に投与することを含む。VMAT2の阻害によって軽減される疾患の予防または治療のための薬剤の製造における使用のため、本明細書に開示される特定の化合物の使用もまた提供される。
【0018】
本明細書に開示される化合物はまた、炭素の代わりに13Cまたは14C、硫黄の代わりに33S、34S、または36S、窒素の代わりに15N、および酸素の代わりに17Oまたは18Oを含む、他の元素の代わりのあまり見られない同位体も含有し得るが、これらに限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ある実施形態において、本明細書に開示される化合物のすべてのC−D結合がDOまたはDHOとして代謝および放出されるとし、本明細書に開示される化合物を、約0.000005%DOまたは約0.00001%DHOまで患者に暴露し得る。ある実施形態において、動物において毒性を発生させると見られるDOのレベルは、本明細書に開示される重水素濃縮化合物の投与に起因する暴露の最大制限よりも非常に大きい。したがって、ある実施形態において、本明細書に開示される重水素濃縮化合物は、薬物代謝の際のDOまたはDHOの形成のために、さらなる毒性を引き起こすはずがない。
【0020】
実施形態において、本明細書に開示される重水素化化合物は、実質的に最大認容用量を増加させ、毒性を減少させ、半減期(T1/2)を増加させ、最小効果用量(MED)の最大血漿濃度(Cmax)を低下させ、効果的な用量を低下させ、したがって非機能関連毒性を減少させ、および/または薬物間の相互作用の可能性を低下させつつ、相当する非同位体濃縮分子の有益な態様を維持する。
【0021】
本明細書記載されるすべての発行物および参考文献は、それら全体を参照することにより本明細書に明示的に組み込まれる。しかしながら、組み込まれた発行物または参考文献の両方で見られるいかなる類似または同一の語句、および本文書で明確に記載または定義される語句に関しても、本文書で明確に記載されるそれら語句の定義または意味は、あらゆる点で優先するものとする。
【0022】
本明細書で使用される以下の用語は、示唆された意味を含む。
【0023】
単数形(「a」、「an」、および「the」)は、特に複数形が示されない限り、複数形を指してよい。
【0024】
本明細書で使用される「約」という用語は、誤差範囲内で変数として値を表示することによって修飾する数値を認定することを意図する。データの図表または表において示される平均値の標準偏差等の特定の誤差範囲が記載されていない場合、「約」という用語は、有効数字を考慮し、記載された値および四捨五入によりその数値に含まれる範囲を包含する範囲を意味することを理解されたい。
【0025】
値の範囲が開示される場合、ならびにnおよびnが数字である表記法「n...〜n」または「n〜n」が使用される場合、次いで、この表記法は、別途特定されない限り、数字自体およびそれら間の範囲を含むことを意図すると理解されたい。この範囲は、始めと終わりの値を含み、かつそれら間で総合的つまり連続的で有り得る。
【0026】
「重水素濃縮」という用語は、水素の代わりの、分子内の該部分での重水素の取り込みの割合を指す。例えば、所与の位置での1%の重水素濃度が、所与の試料中の分子の1%が、特定の位置で重水素を含有することを意味する。天然に存在する重水素の分布は、約0.0156%であるので、非濃縮開始材料を使用して合成した化合物中の、任意の位置での重水素濃縮は、約0.0156%である。重水素濃縮は、質量分析および核磁気共鳴スペクトロスコピーを含む、当業者に公知の従来の解析方法を使用して決定可能である。
【0027】
分子中のR〜R27等の所与の位置を説明するために使用される場合、「重水素である」という用語は、または分子構造の図において所与の位置を示すためにしようされる場合、記号「D」は、特定の位置が、天然に存在する重水素の分布を超える重水素で濃縮されていることを意味する。一実施形態において、重水素濃縮は、特定の位置での重水素の約1%以上、別の実施形態において、約5%以上、別の実施形態において、約10%以上、別の実施形態において、約20%以上、別の実施形態において、約50%以上、別の実施形態において、約70%以上、別の実施形態において、約80%以上、別の実施形態において、約90%以上、または別の実施形態において、約98%以上である。
【0028】
「同位体濃縮」という用語は、より一般的な元素の同位体のかわりに、分子中の所与の位置における、より一般的でない元素の同位体の取り込みの割合を指す。
【0029】
「非同位体的に濃縮した」という用語は、種々の同位体の割合が、天然に存在する割合と実質的に同一である分子を指す。
【0030】
本明細書に開示される化合物に、不斉中心が存在する。これらの中心は、キラル炭素原子周囲の置換基の配座に依存して、記号「R」または「S」により命名される。本発明は、ジアステレオマー、エナンチオマー、およびエピマー形態、ならびにD−異性体およびL−異性体、およびそれらの混合物を含むすべての立体異性体を包含することを理解されたい。化合物の個々の立体異性体は、キラル中心を含有する商業的に入手可能である開始材料から合成的に調整し得、またはエナンチオマー生成物の混合物の調製と続くジアステレオマーの混合物への変換等の分離、それに続く分離または再結晶、クロマトグラフ技術、キラルカラムクロマトグラフにおけるエナンチオマーの直接分離、もしくは当技術分野において既知の他の任意の適切な方法においても調製し得る。特定の立体化学の開始化合物は、いずれも商業的に入手可能、または当技術分野では既知の技術により作製および分離し得る。加えて、本明細書に開示される化合物は、幾何学的同位体として存在し得る。本発明は、すべてのcis、trans、syn、anti、entgegen(E)、およびzusammen(Z)異性体、ならびにそれらの適切な混合物を含む。加えて、化合物は、互変体として存在し得、すべての互変体異性体は、本発明によって提供される。加えて、本明細書に開示される化合物は、非溶媒和物中ならびに溶媒和物形態中に、水、エタノール、等の薬学的に許容される溶媒と共に存在し得る。概して、溶媒和物形態は、非溶媒和物形態と等価であると考慮される。
【0031】
「結合」という用語は、2つの原子間での共有結合、または原子が結合により結合した時、さらに大きな構造の一部であると考慮される2つの部分を指す。結合は、別途特定されない限り、単一結合、二重結合、または三重結合で有り得る。分子の図における2つの原子間の破線は、付加の結合が、該位置で、存在または不在であり得ることを示唆する。
【0032】
「疾患」、「症候群」および「状態」(病状等)というすべての用語がヒトまたは動物の体または正常な機能を損なうその部分のうちの1つの異常な状態を反映し、特徴的な兆候および症状を典型的に現すので、本明細書に使用される「疾患」という用語は、一般的に同義語であることが意図され、「疾患」、「症候群」および「状態」(病状等)と同義的に使用される。
【0033】
「治療する」、「治療すること」、および「治療」という用語は、疾患または疾患に関連した1つもしくは複数の症状を軽減する、もしくは抑止すること、または疾患それ自体の原因を軽減すること、もしくは根絶すること、を含むことを意味する。本明細書で使用される疾患の「治療」の言及は、予防を含むことを意図する。「予防する」、「予防すること」、および「予防」という用語は、疾患の開始ならびに/または疾患の付帯症状を遅延させるまたは排除する、被験体が疾患を罹患することを防ぐ、または疾患を罹患する被験体のリスクを減少させる、方法を指す。
【0034】
「治療有効量」という用語は、投与したときに、治療している疾患の1つもしくは複数の症状の発症を予防するため、またはある程度軽減するために十分な化合物の量を指す。「治療有効量」という用語はまた、研究者、獣医、医者または臨床家によって追求されている細胞、組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を誘引するために十分な化合物の量を指す。
【0035】
「被験体」という用語は、霊長類(例えば、ヒト、サル、チンパンジー、ゴリラ等)、齧歯類(例えば、ラット、マウス、アレチネズミ、ハムスター、フェレット等)、ウサギ科、ブタ科(例えば、ブタ、ミニブタ)、ウマ科、イヌ科、ネコ科等が挙げられるが、これらに限定されない、動物を指す。「被験体」および「患者(患者)」という用語は、例えば、ヒト患者等の、哺乳動物被験体に関連して、本明細書で同義的に使用される。
【0036】
「併用療法」という用語は、本開示において説明される治療疾患の治療のために2つ以上の治療剤の投与を意味する。かかる投与は、定率の活性成分を有する単一のカプセル、またはそれぞれの活性成分のための複数の別々のカプセル等の実質的に同時の様式でのこれら治療薬を同時に投与することを包含する。加えて、かかる投与はまた、同時の様式でのそれぞれの種類の治療剤の使用を包含する。いずれの場合でも、該治療法は、本明細書において説明される疾患の治療において、薬物の組み合わせの有益効果を提供し得る。
【0037】
「慢性多動性運動障害」という用語は、「強迫性」、「律動性」、または「常動性」とさまざまに称される、非目的性、反復性、運動能異常性によって特徴付けられる疾患を指す。ヒトにおいて、慢性多動性運動障害は、心因性(例えば、チック)、特発性(例えば、トゥレット症候群特発性およびパーキンソン病)、遺伝的(例えば、舞踏特性のハンチントン病)、感染性(例えば、シデナム舞踏病)、または遅発性ジスキネジア、薬剤誘発性で有り得る。他に言及しない限り、「慢性多動性運動障害」は、心因性、特発性、遺伝的、および薬剤誘発性運動障害のすべてを指し、かつ含む。
【0038】
「常動性」という用語は、複雑な一連の運動として、反復して見られるわずかな変動を伴う、またはあまり一般的ではない繰り返し動作を指す。
【0039】
「VMAT2」という用語は、小胞モノアミン輸送体2、モノアミン−特に、ドーパミン、ノルエピネフリン、セロトニン、およびヒスタミン等の神経伝達物質−を細胞サイトゾルからシナプス小胞中へ輸送するために作用する膜内在性タンパク質を指す。
【0040】
「VMAT2媒介性疾患」という用語は、異常なVMAT2活性により特徴付けられる疾患を指す。VMAT2媒介性疾患は、VMAT2を調節することによって完全にまたは部分的に媒介され得る。特に、VMAT2媒介性疾患は、VMAT2の阻害が基礎疾患に対していくらかの効果をもたらす疾患、例えば、VMAT2阻害剤の投与が、治療される患者の少なくとも何人かにいくらかの改善をもたらす疾患である。
【0041】
「VMAT2阻害剤」、「VMAT2を阻害する」、または「VMAT2の阻害」という用語は、VMAT2の機能を変化させる、本明細書に開示される化合物の能力を指す。VMAT2阻害剤は、阻害剤およびVMAT2間での可逆的または不可逆的な共有結合を形成すること、または非共有結合複合体の形成により、VMAT2の活性を遮断または減少し得る。かかる阻害は、特定の細胞型においてのみ現れ得る、または特定の生物学的事象を条件とし得る。「VMAT2阻害剤」、「VMAT2を阻害」、または「VMAT2の阻害」という用語はまた、複合体がVMAT2および天然基質との間で形成する可能性を減少することによりVMAT2の機能を変化させることを指す。
【0042】
「治療上許容される」という用語は、毒性、炎症、アレルギー性応答、免疫原生なしに、患者の組織に接触することにおける利用のために好適であり、適切な利益/リスク比に見合い、および目的とした使用に効果的なそれらの化合物(または塩、プロドラッグ、互変体、両性イオン形態、等)を指す。
【0043】
「薬学的に許容される担体」、「薬学的に許容される賦形剤」、または「生理学的に許容される賦形剤」という用語は、液体または固体充填剤、希釈液、賦形剤、溶媒またはカプセル化材料のような、薬学的に許容される材料、組成物、またはビヒクルを指す。各成分は、薬学的製剤の他の成分と適合可能であることに関して、「薬学的に許容される」ものでなければならない。過剰な毒性、炎症、アレルギー性応答、免疫原性、または他の問題または合併症なしに、適切な利益/リスク比に見合い、ヒトおよび動物の組織または器官に接触することにおける利用のために適していなければならない。Remington: The Science and Practice of Pharmacy 21st Edition、Lippincott Williams&Wilkins: Philadelphia,PA,2005、Handbook of Pharmaceutical Excipients 5th Edition、Rowe et al.,Eds.,The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association: 2005、およびHandbook of Pharmaceutical Additives,3rd Edition;Ash and Ash Eds.,Gower Publishing Company: 2007、Pharmaceutical Preformulation and Formulation,Gibson Ed.,CRC Press LLC: Boca Raton,FL,2004)。
【0044】
「活性成分」、「活性化合物」、および「活性基質」という用語は、疾患の1つもしくは複数の症状を治療するため、予防するため、または軽減するために、被験体に、単独で、または1つもしくは複数の薬学的に許容される賦形剤または担体と併用して、投与する化合物を指す。
【0045】
「薬物」、「治療剤」、および「化学療法剤」という用語は、疾患の1つもしくは複数の症状を治療するため、予防するため、または軽減するために、被験体に投与する、化合物またはその薬学的組成物を指す。
【0046】
「放出制御賦形剤(放出制御賦形剤)」という用語は、その第一の機能が、従来の速効放出剤形と比較して、剤形からの活性基質の放出の期間、または位置を改変することである、賦形剤を指す。
【0047】
「非放出制御賦形剤」という用語は、その第一の機能が、従来の速効放出剤形と比較して、剤形からの活性基質の放出の期間または場所を改変することを含まない、賦形剤を指す。
【0048】
「プロドラッグ」という用語は、本明細書に開示される化合物の機能的誘導体を指し、それは生体内で簡単に親化合物に変換可能である。プロドラッグはしばしば、一部の例において、親化合物よりも投与するのが簡単であり得るので、有用である。これらは、例えば、親化合物がバイオアベイラブルではない一方で、経口投与によってバイオアベイラブルであり得る。プロドラッグはまた、親化合物に比べて、薬学的組成物中での可溶性が増強され得る。プロドラッグは、酵素処理および代謝加水分解を含む、種々の機構によって、親薬物に変換され得る。Harper,Progress in Drug Research 1962,4,221−294、Morozowich et al.in“Design of Biopharmaceutical Properties through Prodrugs and Analogs,”Roche Ed.,APHA Acad.Pharm.Sci.1977、“Bioreversible Carriers in Drug in Drug Design,Theory and Application,”Roche Ed.,APHA Acad.Pharm.Sci.1987、“Design of Prodrugs,”Bundgaard,Elsevier,1985、Wang et al.,Curr.Pharm.Design 1999,5,265−287、Pauletti et al.,Adv.Drug.Delivery Rev.1997,27,235−256、Mizen et al.,Pharm.Biotech.1998,11,345−365、Gaignault et al.,Pract.Med.Chem.1996,671−696、Asgharnejad in“Transport Processes in Pharmaceutical Systems,”Amidon et al.,Ed.,Marcell Dekker,185−218,2000、Balant et al.,Eur.J.Drug Metab.Pharmacokinet.1990,15,143−53、Balimane and Sinko,Adv.Drug Delivery Rev.1999,39,183−209、Browne,Clin.Neuropharmacol.1997,20,1−12、Bundgaard,Arch.Pharm.Chem.1979,86,1−39、Bundgaard,Controlled Drug Delivery 1987,17,179−96、Bundgaard,Adv.Drug Delivery Rev.1992,8,1−38、Fleisher et al.,Adv.Drug Delivery Rev.1996,19,115−130、Fleisher et al.,Methods Enzymol.1985,112,360−381、Farquhar et al.J.Pharm.Sci.1983,72,324−325、Freeman et al.,J.Chem.Soc.,Chem.,Commun.1991,875−877、Friis and Bundgaard,Eur.J.Pharm.Sci.1996,4,49−59、Gangwar et al.,Des.Biopharm.Prop.Prodrugs Analogues,1977,409−421、Nathwani and Wood,Drugs 1993,45,866−94、Sinhababu and Thakker,Adv.Drug Delivery Rev.1996,19,241−273、Stella et al.,Drugs 1985,29,455−73、Tan et al.,Adv.Drug Delivery Rev.1999,39,117−151、Taylor,Adv.Drug Delivery Rev.1996,19,131−148、Valentino and Borchardt,Drug Discovery Today 1997,2,148−155、Wiebe and Knaus,Adv.Drug Delivery Rev.1999,39,63−80、Waller et al.,Br.J.Clin.Pharmac.1989,28,497−507を参照されたい。
【0049】
本明細書に開示される化合物は、治療上許容される塩として存在し得る。「治療上許容される塩」として本明細書に使用される用語は、本明細書に定義されるよう治療上許容される本明細書に開示される化合物の塩または両性イオン形態を表す。該塩は、化合物の最終単離および精製中、または別に適切な化合物を好適な酸または塩基と反応させることにより調整し得る。治療上許容される塩は、酸および基本的な付加塩を含む。塩の調製と選択に対するより完全な議論については、“Handbook of Pharmaceutical Salts,Properties,and Use,”Stah and Wermuth,Ed.,(Wiley−VCH and VHCA,Zurich,2002)およびBerge et al.,J.Pharm.Sci.1977,66,1−19を参照されたい。
【0050】
薬学的に許容される塩の調整における使用に対し好適な酸は、酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセタミド安息香酸、ホウ酸、(+)−カンフル酸、カンファースルホン酸、(+)−(1S)−カンフル−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1、2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプト酸、D−グルコン酸、D−グルクロン酸、L−グルタミン酸、α−オキソ−グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1、5−ジスルホン酸、l−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモン酸、過塩素酸、リン酸、L−ピログルタミン酸、サッカリン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸、および吉草酸を含むが、これらに限定されない。
【0051】
薬学的に許容される塩の調製のために好適な塩基としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化亜鉛、または水酸化ナトリウム等の無機塩基、L−アルギニン、ベンタミン、ベンザチン、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、2−(ジエチルアミノ)−エタノール、エタノールアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、イソプロピルアミン、N−メチル−グルカミン、ヒドラバミン、1H−イミダゾール、L−リシン、モルホリン、4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、メチルアミン、ピペリジン、ピペラジン、プロピルアミン、ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、ピリジン、キヌクリジン、キノリン、イソキノリン、第二級アミン類、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチル−D−グルカミン、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールおよびトロメタミンを含む第一級、第二級、第三級および第四級、脂肪族および芳香族アミン類等の有機塩基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
主題発明の化合物が未加工の化学薬品として投与可能で有り得ると同時に、それらはまた薬学的組成物として提示され得る。故に、本明細書で提供される薬学的組成物は、薬学的に許容される1つもしくは複数のその担体および任意で1つもしくは複数の他の治療成分と一緒に、1つもしくは複数の本明細書で開示される特定の化合物、または1つもしくは複数の薬学的に許容される塩、プロドラッグ、またはその溶媒和物を含む。適した製剤は、選択された投与経路に依存する。周知の技術、担体、および賦形剤のいずれも好適なものとして、かつ当技術分野において知られているものとして(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences)使用され得る。本明細書で開示される薬学的組成物は、当技術分野で既知のどんな方法でも、例えば、従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠形成(dragee−making)、研和、乳化、被包、補足または加圧工程の手段によっても製造され得る。該薬学的組成物はまた、遅延放出剤形、徐放剤形、長期放出剤形、持続放出剤形、徐放剤形、パルス放出剤形、制御放出剤形、加速放出剤形および高速放出剤形、標的化放出剤形、プログラムされた放出剤形、ならびに胃内貯留剤形等の改変放出剤形として製剤化し得る。これらの剤形は、当業者に公知である従来の方法および技術に従って調製可能である(Remington:The Science and Practice of Pharmacy、上記参照、Modified−Release Drug Deliver Technology,Rathbone et al.,Eds.,Drugs and the Pharmaceutical Science,Marcel Dekker,Inc.,New York,NY,2002、Vol.126)。
【0053】
該組成物は、大抵の好適な経路は、例えば、レシピエントの状態および障害に依存し得るが、経口、非経口(皮下、皮内、筋肉内、静脈内、関節内、および髄内を含む)、腹腔内、経粘膜的、経皮、直腸、および局所(皮膚、頬側、舌下、および眼内を含む)投与に好適であるものを含む。これらの組成物は、便宜に単位剤形として提示され得、および当薬学技術分野で既知のいずれの方法によっても調製され得る。典型的には、これら方法は、主題発明の化合物または薬学的に許容される塩、プロドラッグ、またはその溶媒和化合物(「活性成分」)を1つもしくは複数の付属成分を構成する担体と接触させるステップを含む。概して、これらの組成物は、一律または本質的に活性成分を、液体担体または精密に分裂された固形担体もしくは両方と接触させることによって調製し、および、もし必要であれば、その生成物を所望の製剤へと形づくる。
【0054】
本明細書で開示される経口投与に好適な化合物の製剤は、カプセル、カシェ剤、または錠剤等の別個の単位で提示され得、粉末または顆粒、溶液または水性液もしくは非水性液体における懸濁剤、または水中油液体乳濁液もしくは油中水液体乳濁液として、それぞれ所定の量の活性成分を含有する。該活性成分はまた、巨丸剤、舐剤、またはペースト剤としても提示され得る。
【0055】
経口的に使用され得る薬学的調製物は、錠剤、ゼラチン製プッシュフィット型(push−it)カプセル、ならびに軟性、ゼラチン製封カプセル、およびグリセロールまたはソルビトール等の可塑剤を含む。錠剤は、加圧または成形によって、任意で1つもしくは複数の付属成分と共に作製され得る。圧縮錠剤は、結合剤、不活性希釈剤、または潤滑剤、表面活性、または離散剤と任意で混合される粉末、または顆粒等の自由流動形態の活性成分を好適な機械において加圧することによって調製され得る。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を好適な機械において成形することにより作製し得る。これらの錠剤は、任意でコーティングまたはスコア化され得、かつ錠剤中の活性成分の緩徐放出または制御放出を提供するために調合され得る。経口投与の全ての製剤は、かかる投与に対し好適な薬用量でなければいけない。該プッシュフィット型(push−fit)カプセルは、乳糖等の賦形剤、澱粉等の結合剤、および/または滑石またはマグネシウムステアリン酸等の潤滑剤、および任意で、安定剤との混合物に活性成分を含み得る。軟カプセル中では、活性化合物は、脂肪油、液体パラフィン、または液体ポリエチレングリコール等の好適な液体に溶解または懸濁され得る。加えて、安定剤が、添加され得る。糖衣錠コアは、好適なコーティングが提供される。この目的のため、任意でアラビアゴム、滑石、ポリビニルピロリドン、カルボポルゲル、ポリエチレングリコール、および/またはチタンジオキシド、ラッカー溶液、および好適な有機溶剤または溶剤混合物を含有し得る濃縮糖溶液が使用され得る。染料または色素は、同定のため、または活性化合物用量の異なる組み合わせを特徴づけるために、錠剤または糖衣コーティングに添加され得る。
【0056】
これらの化合物は、注入による非経口投与、例えば、巨丸剤注入または持続点滴により、調合され得る。注入のための製剤は、添加保存料と共に単位剤形、例えば、アンプルまたは多投与量容器、で提示され得る。これらの組成物は、懸濁液、溶液、または油性もしくは水性媒体における乳濁液等の形態を取り得、かつ懸濁剤、安定化剤および/または離散剤等の調合剤(formulatory agent)を含有し得る。これらの製剤は、単位投与または多投与量容器中、例えば溶封したアンプルおよびバイアルで提示され得、かつ粉末形態または滅菌液体担体、例えば、生理食塩水または発熱原を含まない減菌水の使用直前の添加のみを必要とする真空の中で凍らせ乾かした状態内(凍結乾燥)で貯蔵され得る。即時注射液および懸濁液は、上記した種類の無菌粉末、顆粒、および錠剤から調製され得る。
【0057】
非経口投与の製剤は、抗酸化物質、緩衝液、静細菌剤、および製剤を対象とするレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る活性化合物の水性および非水性(油性)減菌注射液、ならびに懸濁化剤および増粘剤を含み得る水性および非水性無菌懸濁液を含む。好適な親油性溶剤または媒体は、ゴマ油のような脂肪油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリド等の合成脂肪酸エステル、またはリポソームを含む。水溶液注入懸濁液は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、またはデキストラン等の懸濁液の粘性を増加する物質を含有し得る。任意で、該懸濁剤はまた、高濃縮溶液の調製を可能にさせるため、化合物の溶解度を増加する好適な安定剤または薬剤を含有し得る。
【0058】
前述された製剤に加えて、化合物はまたデポー調製物としても調合され得る。かかる長期間作用製剤は、注入(例えば、皮下または筋肉内)もしくは筋肉内注射により、投与され得る。したがって、例えば、化合物は好適なポリマー、または疎水性物質(例えば、許容される油中の乳濁液として)またはイオン交換樹脂、もしくは難溶性誘導体、例えば難溶性塩として、調合され得る。
【0059】
頬側または舌下投与では、これらの組成物は、錠剤、薬用キャンディー、トローチ剤、または従来の様式で調合されたゲル形態を取り得る。かかる組成物は、味をつけた基剤中に、ショ糖およびアカシアまたはトラガント等の活性成分を含み得る。
【0060】
これらの化合物はまた、座薬または保持浣腸、例えば、カカオバター、ポリエチレングリコール、または他のグリセリド等に基づく従来の座薬を含有する、直腸組成物が調合され得る。
【0061】
本明細書で開示される特定の化合物は、局所的に投与され得、すなわち非全身性投与による。これは、本明細書で開示される化合物の表皮外部または頬側口腔への応用およびかかる化合物の耳、眼、および鼻への滴下を含み、よって化合物は有意には血流へ進入しない。対照的に、全身性投与は、経口、静脈内、腹腔内、および筋肉内投与を指す。
【0062】
局所投与に好適な製剤には、皮膚から炎症部位への浸透に好適である液体、または半液体調製物が含まれるが、その例として、例えばゲル、リニメント剤、ローション、クリーム、軟膏剤、またはペースト剤、および眼、耳、または鼻への投与に好適な点滴剤が挙げられる。
【0063】
吸入による投与に対し、化合物は、散布器、噴霧器加圧パック、またはエアゾールスプレーを送達する他の便宜的な方法から送達され得る。加圧パックは、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の好適な気体等の好適な噴霧剤を含み得る。加圧エアゾールの場合では、投薬単位は、計量された量を送達するため弁を提供することによって決定され得る。その代わりに、吸入または散布による投与に対し、本発明による該化合物は、乾燥粉末組成物、例えば化合物および乳糖または澱粉等の好適な粉末基の粉末混合の形態を取り得る。粉末組成物は、粉末が吸入器または散布器の補助で投与され得る単位剤形、例えば、カプセル、カートリッジ、ゼラチン、またはブリスター包装で提示され得る。
【0064】
好ましい単位投与製剤は、本明細書下記に記載される活性成分の有効量、またはその適切な画分を含有するものである。
【0065】
化合物は、経口的にまたは注入により、一日当たり0.1〜500mg/kgの用量で投与され得る。成人の用量範囲は、概して一日当たり5mg〜2gである。錠剤または別個の単位で提供される他の提示の形態は、例えば、5mg〜500mg、通常約10mg〜200mg、を含有する同様の単位の複数を、またはかかる薬用量で効果的な1つもしくは複数の化合物の量を便宜に含有し得る。
【0066】
単一の投薬形態を産生するため担体物質と併用され得る活性成分の量は、治療が行われるホスト、および特定の投与の様式により異なり得る。
【0067】
これらの化合物は、種々の様式により、例えば、経口的、局所的、または注入により投与され得る。患者へ投与される化合物の正確な量は、付き添い医師の責任と成り得る。どの特定の患者に対する具体的用量レベルも、用いられる具体的化合物の活性、年齢、体重、一般的健康、性別、食事、投与時間、投与経路、排泄速度、合剤、治療が行われる正確な疾患、および治療される疾患の重症度を含む種々の因子次第で有り得る。また、投与経路は疾患およびその重症度により異なり得る。
【0068】
患者の状態が改善されない場合には、本化合物の投与については医師の裁量で、患者の疾患の症状を改善する、そうでなければ制御または制限するために、慢性的に、すなわち長期間にわたって(患者の生命が存続している間中、等)投与してよい。
【0069】
患者の状態が改善される場合には、本化合物の投与については、医師の裁量で、連続して、またはある一定期間、一時停止してよい(すなわち、「休薬期間」)。
【0070】
患者の状態改善が起こった時点で、必要であれば維持量を投与する。その後、症状に応じて、投与の用量または頻度、もしくはその両方、を疾患が改善された状態が維持されるレベルまで減らすことができる。しかしながら、患者は、任意の症状の再発に際して、長期的に断続的な治療を必要となることがある。
【0071】
VMAT2媒介性疾患を治療するための方法を本明細書に開示し、それには、このような疾患に罹患する、または罹患すると疑われる被験体に、本明細書に開示される化合物または薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは治療有効量のそのプロドラッグを投与することを含む。
【0072】
VMAT2媒介性疾患は、慢性多動性運動障害、および/またはVMAT2阻害剤投与により、緩和され、軽減され、予防されるいずれの疾患も含むが、それらに限定されない。ある実施形態において、慢性多動性運動障害は、ハンチントン病である。
【0073】
ある実施形態において、VMAT2媒介性疾患を治療する方法は、(1)化合物、またはその代謝物の血漿レベルにおける、減少した個人間の変動、(2)化合物の平均血漿レベルの増加、または投与量単位当たりの化合物の少なくとも1つの代謝物の平均血漿レベルの減少、(3)被験体における、少なくとも1つのシトクロムP450もしくはモノアミン酸化酵素アイソフォームによる阻害、および/または代謝の減少、(4)少なくとも1つの、被験体において多型的に発現したシトクロムP450アイソフォームによる減少した代謝、(5)少なくとも1つの統計学的に有意な改善された疾患制御および/または疾患撲滅エンドポイント、(6)疾患の治療中改善された臨床効果、(7)主要な臨床的利益として異常な食事および肝臓パラメータの再発の防止、または減少もしくは出現の遅延、または(8)相当する非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、任意の診断の肝胆機能エンドポイントにおける、悪化の低減または排除、に影響を及ぼすために、本明細書に開示される化合物、または薬学的に許容される塩、溶媒和物、または治療有効量のそのプロドラッグを被験体に投与することを含む。
【0074】
ある実施形態において、本明細書に開示される化合物、またはその代謝物の血漿レベルでの個人間の変動が減少し、本明細書に開示される化合物の平均血漿レベルが増大し、本明細書に開示される化合物の代謝物の平均血漿レベルが減少し、本明細書に開示される化合物によりシトクロムP450またはモノアミン酸化酵素アイソフォームの阻害が減少し、または本明細書に開示される化合物の代謝の少なくとも1つの多型的に発現したシトクロムP450アイソフォームが減少し、その減少は相当する非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合、約5%以上、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、または約50%以上である。
【0075】
本明細書に開示される化合物、またはその代謝物の血漿レベルは、Li et al.Rapid Communications in Mass Spectrometry 2005,19,1943−1950、Jindal,et al.,Journal of Chromatography,Biomedical Applications 1989,493(2),392−7、Schwartz,et al.,Biochemical Pharmacology 1966,15(5),645−55、Mehvar,et al.,Drug Metabolism and Disposition 1987,15(2),250−5、Roberts et al.,Journal of Chromatography,Biomedical Applications 1981,226(1),175−82、およびそれらの中に記載されるいずれの参考文献に記載される方法、またはそれから成されたいずれの改変を使用して測定することができる。
【0076】
哺乳動物被験体におけるシトクロムP450アイソフォームの例としては、CYP1A1、CYP1A2、CYP1B1、CYP2A6、CYP2A13、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C18、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP2G1、CYP2J2、CYP2R1、CYP2S1、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A5P1、CYP3A5P2、CYP3A7、CYP4A11、CYP4B1、CYP4F2、CYP4F3、CYP4F8、CYP4F11、CYP4F12、CYP4X1、CYP4Z1、CYP5A1、CYP7A1、CYP7B1、CYP8A1、CYP8B1、CYP11A1、CYP11B1、CYP11B2、CYP17、CYP19、CYP21、CYP24、CYP26A1、CYP26B1、CYP27A1、CYP27B1、CYP39、CYP46、およびCYP51、を含むが、それらに限定されない。
【0077】
哺乳動物被験体におけるモノアミン酸化酵素アイソフォームの例は、MAOおよびMAOを含むが、それらに限定されない。
【0078】
シトクロムP450アイソフォームの阻害は、Ko et al.(British Journal of Clinical Pharmacology,2000,49,343−351)の方法により測定される。 MAOアイソフォームの阻害は、Weyler et al.(J.Biol Chem.1985,260,13199−13207)の方法により測定される。MAOアイソフォームの阻害は、Uebelhack et al.(Pharmacopsychiatry,1998,31,187−192)の方法により測定される。
【0079】
哺乳動物被験体内に多型的に発現したシトクロムP450アイソフォームの例は、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6を含むが、それらに限定されない。
【0080】
肝ミクロソーム、シトクロムP450アイソフォーム、およびモノアミン酸化酵素アイソフォームの代謝活性は、本明細書に記載される方法により測定される。
【0081】
改善疾患制御および/または疾患撲滅エンドポイントの例、または改善された臨床効果は、統一ハンチントン病評価尺度(UHDRS)の舞踏病スコアにおけるベースラインからの変化を含むが、それらに限定されない。
【0082】
診断の肝胆機能エンドポイントの例は、アラニンアミノトランスフェラーゼ(「ALT」)、血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(「SGPT」)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(「AST」または「SGOT」)、ALT/AST比、血清アルドラーゼ、アルカリフォスファターゼ(「ALP」)、アンモニアレベル、ビリルビン、ガンマグルタミントランスペプチターゼ(「GGTP」、「γ−GTP」、または「GGT」)、ロイシンアミノペプチダーゼ(「LAP」)、肝生検、肝臓の超音波検査、肝臓核スキャン、5’−ヌクレオチダーゼ、および血液タンパク質を含むが、それらに限定されない。肝胆エンドポイントは、“Diagnostic and Laboratory Test Reference”,4th edition,Mosby,1999で定められる規定の正常レベルと比較される。これらのアッセイは、標準プロトコルに従って、認可を受けた研究室により実行される。
【0083】
ヒト治療に有用であることに加え、本明細書で開示される特定の化合物および製剤はまた、ペット動物、外国種動物、および哺乳類、齧歯動物等を含む家畜の獣医治療にも有用で有り得る。さらに好ましい動物として、ウマ、イヌ、およびネコを含む。
【0084】
併用療法
本明細書に開示される化合物はまた、VMAT2媒介性疾患の治療において、他の薬剤と組み合わせて使用、または併用され得る。または、例としてのみ、ここに記述される化合物の内の1つの治療有効性は、アジュバントの投与によって増強され得る(すなわち、それ自体で、アジュバントは、最小の治療的利益のみを示し得るが、別の治療剤との組み合わせで、患者に対する全体的治療利益が増強される)。
【0085】
このような他の薬剤、アジュバント、または薬物を、本明細書に開示される化合物と同時に、または連続して、その目的のために一般的に使用される経路によって、および量で投与してよい。本明細書に開示される化合物を、1つもしくは複数の他の薬物と同時に使用する場合、本明細書に開示される化合物に加えて、このような他の薬物を含有する薬学的組成物を利用してよいが、しかし必須ではない。
【0086】
ある実施形態において、本明細書に開示される化合物は、クロルプロマジン、レボメプロマジン、プロマジン、アセプロマジン、トリフルプロマジン、シアメマジン、クロルプロエタジン、ジキシラジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、チオプロパザート、トリフロペラジン、アセトフェナジン、チオプロペラジン、ブタペラジン、ペラジン、ペリシアジン、チオリダジン、メソリダジン、ピポチアジン、ハロペリドール、トリフルペリドール、メルペロン、モペロン、ピパンペロン、ブロムペリドール、ベンペリドール、ドロペリドール、フルアニソン、オキシペルチン、モリンドン、セルチンドール、ジプラシドン、フルペンチキソール、クロペンチキソール、クロルプロチキセン、チオチキセン、ズクロペンチキソール、フルスピリレン、ピモジド、ペンフルリドール、ロキサピン、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、テトラベナジン、スルピリド、スルトプリド、チアプリド、レモキシプリド、アミスルプリド、ベラリプリド、レボスルピリド、リチウム、プロチペンジル、リスペリドン、クロチアピン、モサプラミン、ゾテピン、プリピプラゾール(pripiprazole)、およびパリペリドンを含むが、これらに限定されない抗精神病薬の1つもしくは複数と併用し得る。
【0087】
ある実施形態において、本明細書に開示される化合物は、アルプラゾラム、アジナゾラム、ブロマゼパム、カマゼパム、クロバザム、クロナゼパム、クロチアゼパム、クロキサゾラム、ジアゼパム、ロフラゼプ酸エチル、エスタゾラム、フルジアゼパム、フルニトラゼパム、ハラゼパム、ケタゾラム、ロラゼパム、メダゼパム、デゾラム、ニトラゼパム、ノルダゼパム、オキサゼパム、クロラゼプ酸カリウム、ピナゼパム、プラゼパム、トフィソパム、トリアゾラム、テマゼパム、およびクロルジアゼポキシド、を含むが、これらに限定されないベンゾジアゼピン(「マイナートランキライザー」)の1つもしくは複数と併用され得る。
【0088】
ある実施形態において、本明細書に開示される化合物はオランザピンまたはピモジドと併用し得る。
【0089】
本明細書に開示される化合物はまた、抗レトロウイルス剤;CYP3A阻害剤;CYP3A誘発剤;プロテアーゼ阻害剤;アドレナリン作動薬;抗コリン;マスト細胞安定化剤;キサンチン;ロイコトリエン拮抗薬;グルココルチコイド治療;局所または全身麻酔薬;ナプロキセン等の非ステロイド性抗炎症剤(NSAID);アモキシシリン等の抗菌剤;アナセトラピブ等のコレステリルエステル輸送タンパク質(CETP)阻害剤;イソコナゾール等の抗真菌剤;ドロトレコギン−α等の敗血症治療;ヒドロコルチゾン等のステロイド系;ケタミン等の局所または全身麻酔薬;アトモキセチン等のノルエピネフリン再取り込み阻害剤(NRI);メチルフェニデート等のドーパミン再取り込み阻害剤(DARI);ミルナシプラン等のセロトニンノルエピネフリン再取り込み阻害剤(SNRI);ジアゼファム(diazepham)等の鎮静剤;ブプロピオン等のノルエピネフリンドーパミン再取り込み阻害剤(NDRI);ベンラファキシン等のセロトニンノルエピネフリンドーパミン再取り込み阻害剤(SNDRI);セレギリン等のモノアミン酸化酵素阻害剤;視床下部リン脂質;ホスホラミドン等のエンドセリン変換酵素(ECE)阻害剤;トラマドール等のオピオイド;イフェトロバン等のトロンボキサン受容体拮抗薬;カリウムチャネル開口薬;ヒルジン等のトロンビン阻害剤;視床下部リン脂質;PDGF活性修飾薬等の成長因子阻害剤;血小板活性化因子(PAF)拮抗薬;GPIIb/IIIa遮断薬(例えば、アブドキシマブ、エプチフィバチド、およびチロフィバン)、P2Y(AC)拮抗薬(例えば、クロピドグレル、チクロピジン、およびCS−747)、およびアスピリン等の抗血小板薬;ワルファリン等の抗凝血剤;エノキサパリン等の低分子量ヘパリン;第VIIa因子阻害剤および第Xa因子阻害剤;レニン阻害剤;中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤;オマパトリラトおよびゲモパトリラト等のバソペプチダーゼ(vasopepsidase)阻害剤(二重NEP−ACE阻害剤);プラバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン、NK−104(イタバスタチン、ニスバスタチン(nisvastatin)、またはニスバスタチン(nisbastatin)として公知である)、およびZD−4522(ロスバスタチン、またはアタバスタチン(atavastatin)またはビサスタチン(visastatin)として公知である)等のHMG CoA還元酵素阻害剤;スクアレン合成酵素阻害剤;フィブラート系薬剤;ケストラン(questran)等の胆汁酸封鎖剤;ナイアシン;ACAT阻害剤等の抗動脈硬化剤;MTP阻害剤;ベシル酸アムロジピン等のカルシウムチャネル遮断薬;カリウムチャンネル活性化剤;alpha−ムスカリン性薬物;カルベジロールおよびメトプロロール等のbeta−ムスカリン性薬物;抗不整脈薬;クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロチアジド、トリチオロメチアジド、ポリチアジド、ベンゾチラジド、エタクリン酸、トリクリナフェン(tricrynafen)、クロルタリドン、フロセニルド、ムソリミン(musolimine)、ブメタニド、トリアムテレン、アミロライド、およびスピロノラクトン等の利尿薬;組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、組換えtPA、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼ、ならびにアニソイル化(anisoylated)プラスミノーゲンストレプトキナーゼ活性化因子複合体(APSAC)等の血栓溶解剤;ビグアニド(例えば、メトホルミン)、グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース)、インシュリン、メグリチニド(meglitinides)(例えば、レパグリニド)、スルホニル尿素(例えば、グリメピリド、グリブリド、およびグリピジド)、チオゾリジンジオン(例えば、トログリタゾン、ロシグリタゾン、およびピオグリタゾン)、およびPPAR−ガンマ作動薬等の抗糖尿病治療薬;スピロノラクトンおよびエプレレノン成長ホルモン分泌促進物質等のミネラルコルチコイド受容体拮抗薬;PDE III阻害剤(例えば、シロスタゾール)およびPDE V阻害剤(例えば、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル)等のaP2阻害剤;ホスホジエステラーゼ阻害剤;タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤;抗炎症薬;メトトレキサート、FK506(タクロリムス、プログラフ(Prograf))、ミコフェノール酸モフェチル等の抗増殖性剤;化学治療剤;免疫抑制剤;抗癌剤および細胞毒性薬(例えば、窒素マスタード、アルキルスルホン酸、ニトロソ尿素、エチレンイミン、およびトリアゼン等のアルキル化剤);葉酸拮抗薬、プリンアナログ、およびピリジン(pyrridine)類似体抗代謝物;アントラサイクリン系薬剤、ブレオマイシン、マイトマイシン、ダクチノマイシン、およびプリカマイシン等の抗生物質;L−アスパラギナーゼ等の酵素;フェネシル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;グルココルチコイド(例えば、コルチゾン)、エストロゲン/抗エストロゲン、アンドロゲン/抗アンドロゲン、プロゲスチン、および黄体ホルモン放出ホルモン拮抗薬、および酢酸オクトレオチド等のホルモン剤;エクテイナシジン等の微小管かく乱剤;パシタキセル(pacitaxel)、ドセタキセル、およびエポチロAF等の微小管安定化剤;ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、およびタキサン等の直物由来生成物;およびトポイソメラーゼ阻害剤;プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;およびシクロスポリン;プレドニゾンおよびデキサメタゾン等のステロイド剤;アザチプリン(azathiprine)およびシクロホスファミド等の細胞障害性薬物;テニダップ等のTNF−alpha阻害剤;エタネルセプト、ラパマイシン、およびレフルニミド(leflunimide)等の抗TNF抗体または可溶性TNF受容体;ならびにセレコキシブおよびロフェコキシブ等のシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤;ならびに、ヒドロキシ尿素、プロカルバジン、ミトタン、ヘキサメチルメエラミン、金化合物、シスプラチン、サトラプラチン、およびカルボプラチン等の白金配位複合体等の種々の薬剤を含む他のクラスの化合物と併用して投与することも出来るが、これらに限定されない。
【0090】
したがって、別の態様において、ある実施形態は、VMAT2媒介性疾患の治療を必要とする被験体のVMAT2媒介性疾患の治療のための方法を提供し、被験体の該疾患を減少または予防するため、有効量の本明細書に開示される化合物を、該疾患の治療のため少なくとも1つの付加的薬剤と併用して、被験体に投与することを含む。関連する態様において、ある実施形態は、VMAT2媒介性疾患の治療のため、少なくとも1つの本明細書に開示される化合物と1つもしくは複数の付加的薬剤を組み合わせて含む、治療組成物を提供する。
【0091】
化合物を調製するための一般的な合成方法
水素同位体は、取り込み率が先に決定される、重水素化試薬を利用する合成技術によって、および/または、取り込み率が平衡条件により決定され、反応条件に依存して非常に変化し得る、交換技術によって、本明細書に開示される化合物内に導入可能である。トリチウムまたは重水素を直接、および特異的に、公知の同位体含量のトリチウム化または重水素化薬剤によって挿入する合成技術が、高いトリチウムまたは重水素の存在をもたらし得るが、しかし、要求される化学反応によって制限され得る。変換技術は、一方で、より低いトリチウムまたは重水素取り込みをもたらし、たびたび、同位体は分子上の多くの部位で分散する。
【0092】
本明細書に開示される化合物は、当業者に公知の方法およびその日常的改変によって、および/または本明細書の実施例の項目で記載されたものと同様の手順、およびその日常的改変、および/またはDaSilva et al.,Appl.Radiat.Isot.,1993,44(4),673−676、Popp et al.,J.Pharm.Sci.,1978,67(6),871−873、Ivanov et al.,Heterocycles 2001,55(8),1569−1572、米国特許第2,830,993号、米国特許第3,045,021号、国際公開第2007/130365号、国際公開第2008/058261号、ならびにそこで引用された参考文献で見出される手順、およびその日常的改変に従って調製することができる。本明細書に開示される化合物はまた、以下のスキームのいずれかに示されるように、およびその日常的改変により調製することもできる。
【0093】
以下のスキームは、本発明を実践するために使用され得る。水素として示されたどの位置も、任意で重水素と置換し得る。
スキームI
【化3】

【0094】
化合物1を、ニトロエタン等の適切な溶媒中で、酢酸アンモニウム等の適切な酸の存在下において、化合物3を得るため高温で化合物2と反応させる。化合物3を、炭酸カリウム等の適切な塩基の存在下において、N,N−ジメチルホルムアミド等の適切な溶媒中で、化合物5を得るため高温で化合物4と反応させる。化合物5は、テトラヒドロフラン等の適切な溶媒中で、化合物6を得るため高温で、リチウムアルミニウム水素化物等の適切な還元試薬と反応させる。化合物6は、トリフルオロ酢酸等の適切な酸の存在下において、酢酸等の適切な溶媒中で、化合物8を得るため高温で、化合物7と反応させる。化合物9は、メタノール等の適切な溶媒中で、化合物12を得るため高温で、化合物10および化合物11と反応させる。化合物12は、酢酸エチル等の適切な溶媒中で、化合物14を得るため、化合物13と反応させる。化合物14は、エタノール等の適切な溶媒中で、式Iの化合物15を得るため高温で、化合物8と反応させる。
【0095】
適切な重水素化中間体を使用することによって、スキームIに示される合成手段に従い、重水素を合成的に異なる位置に組み込むことができる。例えば、1つもしくは複数のR〜Rの位置で重水素を導入するために、相当する重水素置換を有する化合物4を使用できる。1つもしくは複数のR〜Rの位置で重水素を導入するために、相当する重水素置換を有する化合物1を使用できる。1つもしくは複数のR10およびR12の位置で重水素を導入するために、アルミニウムリチウム重水素を使用できる。R11で重水素を導入するために、相当する重水素置換を有する化合物2を使用できる。1つもしくは複数のR13〜R14の位置で重水素を導入するために、相当する重水素置換を有する化合物10を使用できる。R15で重水素を導入するために、相当する重水素置換を有する化合物7を使用できる。1つもしくは複数のR16〜R27の位置で重水素を導入するために、相当する重水素置換を有する化合物9を使用できる。
スキームII
【化4】

【0096】
化合物8は、水等の適切な溶媒中で、水酸化ナトリウム等の適切な塩基の存在下において、式Iの化合物15を得るため化合物16と反応させる。
【0097】
適切な重水素化中間体を使用することによって、スキームIIに示される合成手段によって、重水素を、合成的に異なる位置に組み込むことができる。例えば、1つもしくは複数のR〜R12およびR15の位置で重水素を導入するために、相当する重水素置換を有する化合物8を使用できる。R13〜R14およびR16〜R17、およびR19〜R27のうちの1つもしくは複数の位置で重水素を導入するために、相当する重水素置換を有する化合物16を使用することができる。R18で重水素を導入するために、酸化重水素を使用することができる。
【0098】
重水素はまた、当技術分野において既知のプロトン−重水素交換法を介して、選択的に、または非選択的に種々の位置に組み込むこともできる。
【0099】
本発明は、以下の実施例によってさらに例証される。全てのIUPAC名は、CambridgeSoftのChemDraw10.0を使用して生成した。
【実施例】
【0100】

実施例1
3−イソブチル−9,10−ビス(メチルアミノ)−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オン(テトラベナジン)
【化5】


ステップ1
【化6】

【0101】
6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン:酢酸/トリフルオロ酢酸(100mL)を2−(3,4−ジメトキシフェニル)エタンアミン(20g、110.38mmol、1.00等量)およびキサメチレンテトラミン(31g、221.11mmol、2.00等量)の溶液へ添加した。得られた溶液を、油浴で約5時間加熱還流した。水(100mL)を添加後、溶液をジクロロメタン(3×200mL)で抽出し、有機層を統合し、かつ無水硫酸ナトリウムで乾燥した。固体を、濾過により除去し、得られた濾液を、真空中で濃縮して、黄色の油(20g、収率=95%)として表題生成物を得た。LC−MS:m/z=192(MH)
ステップ2
【化7】

【0102】
3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチル−ヘキサン−2−オン:パラホルムアルデヒド(5.5g、183.33mmol、1.60等量)およびジメチルアミン塩酸塩(10g、122.70mmol、1.00等量)を、5−メチルヘキサン−2−オン(50g、437.83mmol、3.00等量)およびメタノール(30mL)の溶液へ添加した。得られた溶液を、約16時間加熱還流し、次いで、pHを水酸化ナトリウム(10%)で約8に調製した。エーテル(3×100mL)での標準的な抽出ワークアップにより、黄色の油(12g、収率=57%)として表題生成物を得た。
ステップ3
【化8】

【0103】
(2−アセチル−4−メチル−ペンチル)−トリメチル−ヨウ化アンモニウム:ヨードメタン(20g、140.94mmol、2.00等量)を、3−((ジメチルアミノ)メチル)−5−メチルヘキサン−2−オン(12g、70.05mmol、1.00等量)および酢酸エチル(50mL)の溶液へ滴加した。溶液を、外気温で約16時間撹拌し、得られた沈殿物を濾過により収集し、表題生成物(15g、収率=68%)を得た。

ステップ4
【化9】

【0104】
3−イソブチル−9,10−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オン:(2−アセチル−4−メチル−ペンチル)−トリメチル−ヨウ化アンモニウム(800mg、2.55mmol、1.00等量)を、6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン(100mg、2.62mmol、1.00等量)およびエタノール(10mL)の溶液へ添加した。得られた溶液を、約5時間加熱還流し、次いで、水(20mL)を添加した。ジクロロメタン(3×50mL)での標準的な抽出ワークアップ後、粗残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル(1:4))により精製し、白色の固体として表題化合物(300mg、収率=36%)を得た。1Η NMR(300MHz、CDCl)、δ6.63(s、1Η)、6.55(s、1Η)、3.89(s、3H)、3.83(s、3H)、3.55(s、1Η)、3.22−3.28(m、1Η)、2.94−3.14(m、4H)、2.31−2.65(m、4H)、1.73−1.81(t、1Η、J=11.4)、1.33−1.39(m、1Η)、0.996−1.067(t、1Η、J=10.5)、0.79−0.85(m、6H)LC−MS:m/z=318(MH)
【0105】
実施例2
3−イソブチル−9,10−d−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1Η−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オン(d−テトラベナジン)
【化10】


ステップ1
【化11】

【0106】
4−(2−ニトロビニル)ベンゼン−1,2−ジオール:酢酸アンモニウム(5.6g、72.73mmol、1.00等量)を、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド(10g、72.41mmol、1.00等量)およびニトロメタン(50mL)の溶液へ添加した。得られた混合物を、約16時間加熱還流し、次いで、真空中で濃縮した。得られた残渣を、次いで、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/石油エーテル(1:5))により精製し、黄色の油(8g、収率=61%)として、表題化合物を得た。

ステップ2
【化12】

【0107】
−(E)−1,2−ジメトキシ−4−(2−ニトロビニル)ベンゼン:d−ヨードメタン(4.3g、31mmol、1.10等量)を、(E)−4−(2−ニトロビニル)ベンゼン−1,2−ジオール(5g、28mmol、1.00等量)、ジメチルホルムアミド(50mL)、および炭酸カリウム(20g、140mmol、5.00等量)の溶液へ、滴加した。得られた懸濁液を、約50℃で、約16時間撹拌した。懸濁液を濾過し、その濾過ケークを酢酸エチルで洗浄し、その洗浄液を濾液と混合した。得られた混合物を、次いで、酢酸エチル(200×3mL)で抽出し、ブラインで洗浄した。その混合物を、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中で濃縮し、黄色の油(5g、収率=77%)として、表題生成物を得た。

ステップ3
【化13】

【0108】
2−(3,4−d−ジメトキシフェニル)エタンアミン:約0℃で、d−(E)−l,2−ジメトキシ−4−(2−ニトロビニル)ベンゼン(8g、44.17mmol、1.00等量)およびテトラヒドロフラン(20mL)の溶液を、水素化アルミニウムリチウム(1.6g、42.11mmol、1.00等量)およびテトラヒドロフラン(30mL)の溶液へ滴加した。得られた溶液を、約16時間加熱還流し、次いで、水(10mL)を添加した。濾過により固体を除去した後、その濾液を、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮し、黄色の固体(6g、収率=93%)として表題生成物を得た。LC−MS:m/z=188(MH)

ステップ4
【化14】

【0109】
6,7−d−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリン:実施例1の手順、ステップ1に従ったが、2−(3,4−ジメトキシフェニル)エタンアミンを2−(3,4−d−ジメトキシフェニル)エタンアミンに置換した。表題生成物を、黄色の油(20g、収率=95%)として単離した。

ステップ5
【化15】

【0110】
3−イソブチル−9.10−d−ジメトキシ−3,4,6,7−テトラヒドロ−1H−ピリド[2,1−a]イソキノリン−2(11bH)−オン:実施例1の手順、ステップ4に従ったが、6,7−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンを、6,7−d−ジメトキシ−3,4−ジヒドロイソキノリンに置換した。表題生成物を、白色の固体(300mg、収率=35%)として単離した。1H NMR(300MHz、CDCl)、δ6.63(s、1H)、6.55(s、1H)、3.55(s、1H)、3.22−3.28(m、1H)、2.94−3.14(m、4H)、2.31−2.65(m、4H)、1.73−1.81(t、1H、J=11.4)、1.33−1.39(m、1H)、0.99−1.06(t、1H、=10.5)、0.79−0.85(m、6H)LC−MS:m/z=326(MH)
【0111】
以下の化合物は、一般的に、上記で説明される方法を使用することによって作製し得る。これらの化合物が作製された場合、上記実施例で説明されるものと同様の活性を有し得る、と予想される。
【化16】


【化17】



【化18】



【化19】


【化20】


【化21】


【化22】


【化23】



【化24】


【化25】


【化26】

【0112】
本明細書に開示される化合物の代謝特性の変化は、それらの非同位体的に濃縮した類似体と比較した場合、以下のアッセイを使用することにより示し得る。上記で列挙された、未だ作製および/または試験されていない化合物が、1つもしくは複数のこれらのアッセイにより示されることによって、変化した代謝特性を有すると予測される。
【0113】
生物活性アッセイ
生体外肝ミクロソーム安定性アッセイ
肝ミクロソーム安定性アッセイを、NADPH発生系を用いて2%重炭酸ナトリウム(2.2mM NADPH、25.6mMグルコース6−リン酸、mL当たり6単位のグルコース6−リン酸脱水素酵素、および3.3mM塩化マグネシウム)中でmL当たり1mgの肝ミクロソームタンパク質で行った。試験化合物を、20%アセトミトリル‐水中の溶液として調製し、アッセイ混合液(最終アッセイ濃度が1mL当たり5マイクログラム)に添加し、37℃でインキュベートする。アッセイ中のアセトニトリルの最終濃度は、1%未満であるべきである。一定分量(50μL)を0、15、30、45、および60分で取出し、氷冷アセトニトリル(200μL)で希釈して、反応を停止させる。サンプルを、10分間、12,000RPMで遠心分離して、タンパク質を沈殿させる。上清を微量遠心管に移し、そして試験化合物の崩壊半減期のLC/MS/MS分析のために保存する。したがって、このアッセイで試験された、本明細書に開示される特定の重水素濃縮化合物を、非同位体的に濃縮した薬物と比較した場合、崩壊半減期が増大することが認められた。実施例1および2(テトラベナジンおよびd−テトラベナジン)の崩壊半減期を、表1に示す。

生体外ヒト肝ミクロソーム(HLM)安定性アッセイの結果
【表1】

【0114】
ヒトシトクロムP450酵素を用いた生体外代謝
シトクロムP450酵素を、バキュロウイルス発現系(BD Biosciences,San Jose,CA)を使用して、相当するヒトcDNAから発現させる。100ミリのモルリン酸カリウム(pH7.4)中の1ミリリットル当たり0.8ミリグラムのタンパク質、1.3ミリモルのNADP、3.3ミリモルのグルコース−6−リン酸、0.4U/mLのグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、3.3ミリモルの塩化マグネシウムおよび0.2ミリモルの式1の化合物、相当する非同位体的に濃縮した化合物、または標準物つまり対照物を、含有する0.25ミリリットルの反応混合物を、37℃で20分間インキュベートする。インキュベーションした後、適切な溶媒(例えば、アセトニトリル、20%トリクロロ酢酸、94%アセトニトリル/6%氷酢酸、70%過塩素酸、94%アセトニトリル/6%氷酢酸)の添加によってその反応を停止し、3分間遠心(10,000g)する。上清をHPLC/MS/MSによって解析する。
【表2】

【0115】
モノアミンオキシダーゼA阻害および酸化ターンオーバー
Weyler et al.,Journal of Biological Chemistry 1985,260,13199−13207により記載される方法を使用して、手順を実行し、その全体が参照することにより本明細書に組み込まれる。モノアミンオキシダーゼA活性は、4−ヒドロキシキノリンの形成を伴うキヌラミンの酸化の際に、314nmでの吸収の増加を監視することにより測定される。これらの測定は、30℃で、0.2%Triton−X−100(モノアミンオキシダーゼアッセイ緩衝液)に加えて、1mMキヌラミン、および所望の量の酵素を含有するpH7.2の50mMナトリウムリン酸緩衝液中、総量1mLで実行される。
【0116】
モノアミンオキシダーゼB阻害および酸化ターンオーバー
本手順は、Uebelhack et al.,Pharmacopsychiatry 1998,31(5),187−192に説明されるように実行し、その全体が参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0117】
HPLCによるテトラベナジンおよび活性代謝物の測定
本手順は、Roberts et al.,Journal of Chromatography,Biomedical Applications 1981,226(1),175−82に説明されるように実行し、その全体が参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0118】
ヒトおよびラットにおけるテトラベナジンおよびその主要な代謝物の薬物動態学的アッセイ
本手順は、Mehvar et al.,Drug Metabolism and Disposition 1987,15(2),250−5に説明されるように実行し、その全体が参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0119】
動物およびヒトにおけるテトラベナジン代謝物の検出
本手順は、Schwartz et al.,Biochemical Pharmacology 1966,15(5),645−55に説明されるように実行し、その全体が参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0120】
テトラベナジンの質量分析測定
本手順は、Jindal,et al.,Journal of Chromatography,Biomedical Applications 1989,493(2),392−7に説明されるように実行し、その全体が参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0121】
生体外放射性リガンド結合アッセイ
本手順は、Scherman et al.,Journal of Neurochemistry 1988,50(4),1131−36に説明されるように実行し、その全体が参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0122】
生体外放射性リガンド結合アッセイ
本手順は、Kilbourn et al.,Synapse 2002,43(3)188−194に説明されるように実行し、その全体が参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0123】
生体外放射性リガンド結合アッセイ
本手順は、Kilbourn et al.,European Journal of Pharmacology 1997,331(2−3)161−68に説明されるように実行し、その全体が参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0124】
Hヒスタミン輸送アッセイ
本手順は、Erickson et al.,Journal of Molecular Neuroscience 1995,6(4)277−87に説明されるように実行し、その全体が参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0125】
前述の明細書本文から、当業者は本発明の本質的特性を確認し得、かつその趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明を種々の用法および状態へ順応させるために本発明に種々の変化および修飾を作製し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式Iの化合物
【化1】

(I)
またはその塩であって、式中、
〜R27は、独立して水素および重水素より成る群から選択され、
〜R27のうちの少なくとも1つは重水素である、化合物またはその塩。
【請求項2】
〜R27のうちの少なくとも1つが、独立して約10%以上の重水素濃縮を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
〜R27のうちの少なくとも1つが、独立して約50%以上の重水素濃縮を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
〜R27のうちの少なくとも1つが、独立して約90%以上の重水素濃縮を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
〜R27のうちの少なくとも1つが、独立して約98%以上の重水素濃縮を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物は、
【化2】


【化3】


【化4】

【化5】


【化6】


【化7】

【化8】


【化9】


【化10】


【化11】


【化12】



より成る群から選択される構造式を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物は、
【化13】


【化14】

より成る群から選択される構造式を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
Dとして表されるそれぞれの位置が、約10%以上の重水素濃縮を有する、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
Dとして表されるそれぞれの位置が、約50%以上の重水素濃縮を有する、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
Dとして表されるそれぞれの位置が、約90%以上の重水素濃縮を有する、請求項7に記載の化合物。
【請求項11】
Dとして表されるそれぞれの位置が、約98%以上の重水素濃縮を有する、請求項7に記載の化合物。
【請求項12】
前記化合物は、構造式
【化15】

を有する、請求項7に記載の化合物。
【請求項13】
前記化合物は、構造式
【化16】

を有する、請求項7に記載の化合物。
【請求項14】
前記化合物は、構造式
【化17】

を有する、請求項7に記載の化合物。
【請求項15】
薬学的に許容される担体と共に、請求項1に記載される化合物を含む、薬学的組成物。
【請求項16】
請求項1に記載される治療有効量の化合物を被験体に投与することを含む、VMAT2−媒介性疾患の治療の方法。
【請求項17】
前記VMAT2−媒介性疾患が慢性多動性運動障害である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記慢性多動性運動障害がハンチントン病である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
付加的治療剤の投与をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記付加的治療剤が、オランザピンおよびピモジドより成る群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記付加的治療剤が、ベンゾジアゼピンおよび抗精神病薬より成る群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記ベンゾジアゼピンが、アルプラゾラム、アジナゾラム、ブロマゼパム、カマゼパム、クロバザム、クロナゼパム、クロチアゼパム、クロキサゾラム、ジアゼパム、ロフラゼプ酸エチル、エスタゾラム、フルジアゼパム、フルニトラゼパム、ハラゼパム、ケタゾラム、ロラゼパム、メダゼパム、デゾラム、ニトラゼパム、ノルダゼパム、オキサゼパム、クロラゼプ酸カリウム、ピナゼパム、プラゼパム、トフィソパム、トリアゾラム、テマゼパム、およびクロルジアゼポキシドより成る群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記抗精神病薬が、クロルプロマジン、レボメプロマジン、プロマジン、アセプロマジン、トリフルプロマジン、シアメマジン、クロルプロエタジン、ジキシラジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、チオプロパザート、トリフロペラジン、アセトフェナジン、チオプロペラジン、ブタペラジン、ペラジン、ペリシアジン、チオリダジン、メソリダジン、ピポチアジン、ハロペリドール、トリフルペリドール、メルペロン、モペロン、ピパンペロン、ブロムペリドール、ベンペリドール、ドロペリドール、フルアニソン、オキシペルチン、モリンドン、セルチンドール、ジプラシドン、フルペンチキソール、クロペンチキソール、クロルプロチキセン、チオチキセン、ズクロペンチキソール、フルスピリレン、ピモジド、ペンフルリドール、ロキサピン、クロザピン、オランザピン、クエチアピン、テトラベナジン、スルピリド、スルトプリド、チアプリド、レモキシプリド、アミスルプリド、ベラリプリド、レボスルピリド、リチウム、プロチペンジル、リスペリドン、クロチアピン、モサプラミン、ゾテピン、プリピラゾール(pripiprazole)、およびパリペリドンより成る群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
a.非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、前記化合物またはその代謝物の血漿レベルでの個人間の変動の減少、
b.非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの前記化合物の平均血漿レベルの増大、
c.非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの前記化合物の少なくとも1つの代謝物の平均血漿レベルの減少、
d.非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの前記化合物の少なくとも1つの代謝物の平均血漿レベルの増大、
e.非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの前記被験体の治療中の臨床効果の改善、
より成る群から選択される少なくとも1つの効果をさらにもたらす、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
a.非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、前記化合物またはその代謝物の血漿レベルでの個人間の変動の減少、
b.非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの前記化合物の平均血漿レベルの増大、
c.非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの前記化合物の少なくとも1つの代謝物の平均血漿レベルの減少、
d.非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの前記化合物の少なくとも1つの代謝物の平均血漿レベルの増大、
e.非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たりの前記被験体の治療中の臨床効果の改善、
より成る群から選択される少なくとも2つの効果をさらにもたらす、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記方法は、相当する非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、前記被験体において、少なくとも1つの多型的に発現したシトクロムP450アイソフォームにより、その投与量単位当たりの前記化合物の代謝の減少をもたらす、請求項16に記載の方法。
【請求項27】
前記シトクロムP450アイソフォームが、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6より成る群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記化合物は、非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、その投与量単位当たり、前記被験体中の少なくとも1つのシトクロムP450アイソフォームまたはモノアミン酸化酵素アイソフォームの阻害の減少により特徴付けられる、請求項16に記載の方法。
【請求項29】
前記シトクロムP450アイソフォームまたはモノアミン酸化酵素アイソフォームが、CYP1A1、CYP1A2、CYP1B1、CYP2A6、CYP2A13、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C18、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP2G1、CYP2J2、CYP2R1、CYP2S1、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A5P1、CYP3A5P2、CYP3A7、CYP4A11、CYP4B1、CYP4F2、CYP4F3、CYP4F8、CYP4F11、CYP4F12、CYP4X1、CYP4Z1、CYP5A1、CYP7A1、CYP7B1、CYP8A1、CYP8B1、CYP11A1、CYP11B1、CYP11B2、CYP17、CYP19、CYP21、CYP24、CYP26A1、CYP26B1、CYP27A1、CYP27B1、CYP39、CYP46、CYP51、MAO、およびMAOより成る群から選択される、請求項に記載の方法28。
【請求項30】
前記方法は、相当する非同位体的に濃縮した化合物と比較した場合に、診断の肝胆機能エンドポイントにおける悪化を低減する、請求項16に記載の方法。
【請求項31】
前記診断の肝胆機能エンドポイントは、アラニンアミノトランスフェラーゼ(「ALT」)、血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(「SGPT」)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(「AST」、「SGOT」)、ALT/AST比、血清アルドラーゼ、アルカリフォスファターゼ(「ALP」)、アンモニアレベル、ビリルビン、ガンマグルタミントランスペプチターゼ(「GGTP」、「γ−GTP」、「GGT」)、ロイシンアミノペプチダーゼ(「LAP」)、肝生検、肝臓の超音波検査、肝臓核スキャン、5’−ヌクレオチダーゼ、および血漿タンパク質より成る群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
薬剤として使用するための、請求項1に記載の化合物。
【請求項33】
VMAT2の阻害により軽減される疾患の予防または治療のための薬剤の製造における使用のための、請求項1に記載の化合物。

【公表番号】特表2012−503010(P2012−503010A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527995(P2011−527995)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/057480
【国際公開番号】WO2010/044981
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(508105728)オースペックス・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (17)
【氏名又は名称原語表記】AUSPEX PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】