説明

小腸における活性成分の放出を制御した経口投与用の医薬品製剤およびその製造方法

活性成分の放出を制御した内層と、その上に配された胃液耐性の被覆層とを備え、その内層が少なくとも2つの拡散層から形成され、拡散する活性成分に対するその拡散層の浸透性が内側から外側に向けて減少することを特徴とする活性成分担体と、少なくとも1つの活性成分とをベースとした小腸における活性成分の放出を制御した経口投与用の医薬品製剤、およびその製造方法が記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、少なくとも1つの活性成分を備え、かつ活性成分の放出を制御した内層と、その上に配された胃液耐性の被覆層とを備える活性成分担体をベースとした、小腸における活性成分の放出を制御した経口投与用の医薬品製剤、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
小腸における活性成分の放出を制御した経口投与用の医薬品製剤は、すでに開示されている。
【0003】
特許文献1は、上にフルオキセチン層が被覆され、次に分離層、その上に腸溶性の層が被覆された中性のコアを含み、任意で表面処理層を備える腸溶性のフルオキセチンペレットを記載している。この場合、腸溶性の層は、活性成分が変化しないまま患者の胃を通過し、活性成分が胃を出て小腸に入ったときにだけ溶解することを確実にする働きをする。
【0004】
特許文献2は、少なくとも二重の被覆層を有する粒子形状の活性成分製剤を備える、胃腸管における活性成分の、改良された放出のための吸飲可能な錠剤に関し、この錠剤の外側の被覆層は、唾液に耐性があるが胃溶性であり、内側の被覆層は、水系媒体における分解には実質的に耐性があるが、拡散による活性成分の持続的な放出を許容する。さらなる実施形態において二重の被覆層を有する粒子は、唾液に耐性があるが胃溶性である外側の被覆層と、胃液耐性であるが小腸において可溶性である内側の被覆層とを含む。
【0005】
特許文献3は、1つ以上の活性医薬品成分を含むコアおよびこのコアを包む被覆層を有し、この被覆層は、2つ以上の腸溶性の被覆物質の組み合わせを含み、少なくとも2つの腸溶性の被覆物質が、このようにして、pHに応じて活性成分の放出プロファイルの制御を行うために異なるpH値で溶解する医薬品製剤を開示している。この構造は、小腸を通過した後に活性成分の大部分がまだ医薬品製剤の中に存在し、失われることを抑止する働きをする。
【0006】
しかしながら、従来の小腸における活性成分の放出を制御した経口投与用の医薬品製剤が、完全に満足できないものであるということは明らかである。それは、活性成分が小腸で放出されるとき、初期段階において、活性成分の放出の大幅な上昇が起こり、これに対して血中濃度が高くなり、多くの場合、副作用の確率および強度の上昇を引き起こすからである。本願明細書において後ほど言及する活性物質については、これは、例えば、特に口内乾燥症、調節機能障害、胃腸障害、または中枢神経作用に関連する。これは、活性成分の全体用量を1日に1回だけしか投与しない場合に、特に不都合である。例えば抗コリン作用薬の経口投与の後、血漿プロファイルにおいて、個体間で大きな差が発生することが、更に観察できる。
【0007】
反対に、特許文献3の教示によって想定される、異なるpH値で異なる溶解度を有する腸溶性物質の使用は、一方で物質の選択に制限を、他方で、pH変動がある場合に、活性成分の不均一な放出をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第19823940A1号明細書
【特許文献2】欧州特許第0941070B1号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0142035A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本願発明の目的は、小腸における活性成分の放出を制御した、活性成分の経口投与用の、冒頭で示した種類の医薬品製剤であって、従来の製剤とは異なり、活性成分の放出において小さい初期上昇を示し、したがって活性成分の低い初期血漿ピークを示すが、続いて、低いが均一な活性成分の血漿濃度を確実にし、したがって、特に活性成分の全体用量を1日に1度だけしか投与しない場合に、副作用の低い確率および強度、ならびに血漿プロファイルの個体間の小さい差をもたらす医薬品製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これは、米国の薬局方に準拠した放出の生体外試験において、活性成分の放出速度が60分間で75%以上の場合の、提供される製剤を用いて実現した。したがって、1日に必要な用量を1回の投与で問題なく確保することができる。
【0011】
驚くべきことに、この目的は、拡散する活性成分に対する浸透性が内側から外側に向けて減少し、かつ、さらに胃液耐性の被覆層をその上に備え、活性成分と少なくとも2つの拡散層からなる活性成分の放出を制御するための内層を備える活性成分担体を提供することによって実現することができる。
【0012】
本願発明は、したがって、主請求項に係る医薬品製剤およびその使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】時間の関数として活性成分の放出の割合をプロットした図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本願発明は、したがって、少なくとも1つの活性成分と、活性成分の放出を制御する内層と、その上に配された胃液耐性の被覆層とを備える活性成分担体をベースとし、その内層は、少なくとも2つの拡散層から形成され、拡散する活性成分に対するその拡散層の浸透性が内側から外側に向けて減少することを特徴とする、小腸における活性成分の放出を制御した経口投与用の医薬品製剤に関する。
【0015】
この少なくとも2つの拡散層を備える内層の形成によって、小腸に活性成分の標的化された放出をもたらすことができ、したがって、この種類の従来の製品と比較して、低い初期の活性成分の放出率を実現することができ、適切に低いが十分な血中濃度を保って1回の服用における活性成分の1日分の用量の投与において、血漿プロファイルの個体間の小さい差をもたらし、したがって、副作用の確率および強度の低下をもたらす。
【0016】
本願発明に係る好ましい実施形態において、活性成分の放出を制御する内層の少なくとも2つの拡散層は、小腸液に不溶のマトリックス物質から形成され、そのマトリックス物質の中には、拡散する活性成分に対する浸透性を制御しかつ小腸液に対して可溶性および/または膨潤性、および/または吸水性のポア形成剤が組み込まれる。これに関連し、拡散層は、同質もしくは異なる種類のマトリックス物質、および/または同質もしくは異なる種類の1つ以上のポア形成剤を備えることができる。
【0017】
したがって、本願発明によれば、拡散する活性成分に対する拡散層の浸透性は、マトリックス物質に存在するポア形成剤の性質、量、および/または粒径、および/または溶解度、および/または膨潤性、および/または吸水性を介して制御されることが好ましい。
【0018】
本願発明によれば、内層は、活性成分の放出を制御する内側および外側の拡散層を有し、ポア形成物質およびマトリックス物質が同質である場合、内側の拡散層におけるポア形成剤の粒径および/または濃度は、外側の拡散層よりも大きい。好ましい実施形態では、ポア形成剤が小腸液において可溶性を示す場合、内側の拡散層のポア形成剤の濃度と外側の拡散層のポア形成剤の濃度の比率は、20:1〜>1:1の範囲にあり、好ましくは、10:1〜1.1:1の範囲にある。
【0019】
拡散層のマトリックス物質は、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、セラック、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセテートフタレート、酢酸酪酸セルロース、メタクリル酸ブチル−メタクリル酸 2−ジメチルアミノエチル−メタクリル酸メチルコポリマー、アクリル酸エチル−メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー、アクリル酸エチル−メタクリル酸メチル−メタクリル酸トリメチルアンモニウムエチル塩化物コポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルプロピルセルロース、キトサン、キトサン酢酸、シリコーンエラストマーラテックス懸濁液、硬化ヒマシ油、ステアリン酸、グリセロールモノステアレート、グリセロールジステアレート、グリセロールジベヘナート、ステアリルアルコール、白ろう、黄ろう、硬化植物油、および微結晶ろう、からなる群から選択されることが好ましい。
【0020】
拡散層のポア形成剤のために選ばれる物質は、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールコポリマー、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー、架橋ポリビニルピロリドン、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、セルロース粉末、ショ糖、乳糖、マンニトール、ソルビトールおよびポリソルベートからなる群からの物質を含む。
【0021】
拡散層のマトリックス物質は、拡散層のマトリックス物質の特性を所望する態様に調整するために、必要に応じて、付加的に、可塑剤および粘着防止剤を備えてよい。拡散層のマトリックス物質は、可塑剤として、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、クエン酸トリエチル、トリアセチン、アセチルクエン酸トリブチル、ポリソルベート、2−ピロリドン、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸、ヒマシ油、および/または中鎖脂肪酸トリグリセリドを、粘着防止剤として、タルク、ステアリン酸およびその塩、脂肪アルコール、直鎖状脂肪酸および/または分枝脂肪酸を有するモノグリセリド、ジグリセリド、もしくはトリグリセリド、コロイド状二酸化ケイ素、沈降二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、カオリン、トウモロコシでんぷん、小麦でんぷん、米でんぷん、ジャガイモでんぷん、二酸化チタン、シリコーンエマルジョンならびに/またはVeegum(ケイ酸アルミニウムマグネシウム分散物)を備えることが好ましい。
【0022】
本願発明の医薬品製剤において存在する活性成分担体は、活性成分として、小腸を介して効果を確実にできる任意の活性医薬品成分、例えば、4−ジエチルアミノ−2−ブチニル α−フェニルシクロヘキサングリコネート塩酸塩、カラキーナンエチルジメチル(1−メチル−3,3−ジフェニルプロピル)アンモニウム、(+)−[R−2−[α−2−(ジイソプロピルアミノ)エチル]ベンジル]−p−クレゾール 酒石酸エステル、8−(シクロプロピルメチル)−6β,7β−エポキシ−3α−ヒドロキシ−1αH,5α)−(S)−トロパート臭化物、(1R,3r,5S)−3−[(ヒドロキシジフェニルアセチル)オキシ]スピロ[8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン−8,1’−ピロリジニウム]塩化物、(ビシクロヘキシル)−1−カルボン酸 2−ジエチルアミノエチル塩酸塩、ジフェニルプロポキシ酢酸 1−メチル−4−ピペリジル塩酸塩、(1S)−1−フェニル−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)カルボン酸(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル コハク酸塩、(S)−1−[2−(2,3−ジヒドロ−5−ベンゾフラニル)エチル]−α,α−ジフェニル−3−ピロリジンアセトアミド臭化水素酸塩、(8R)−3α−ヒドロキシ−5−イソプロピル−1αH,5αH−トロパニウム臭化物(±トロパート)、8−ブチル−6β,7β−エポキシ−3α−[(S)−3−ヒドロキシ−2−フェニルプロパノイルオキシ]トロパニウム臭化物、(+)−(S)−N−メチル−γ−(1−ナフチルオキシ)−2−チオフェンプロピルアミン、イソ酪酸 2−[(1R)−3−(ジイソプロピルアミノ)−1−フェニルプロピル]−4−(ヒドロキシメチル)フェニル、(2S)−シクロヘキシル(ヒドロキシ)フェニル酢酸 4−(ジエチルアミノ)−ブタ−2−イン−1−イル、エチルジメチル(1−メチル−3,3−ジフェニルプロピル)アンモニウム臭化物、2−ピペリジノエチル 3−メチル−4−オキソ−2−フェニル−4H−クロメン−8−カルボキシレート塩酸塩、ベンジル(2−クロロエチル)(1−メチル−2−フェノキシエチル)アミン塩酸塩および/またはこれらの活性成分の塩もしくは他の塩を含んでよい。
【0023】
活性成分は、単位用量ごとに、1〜250mgの量で活性成分担体の上に存在することが好ましく、日用量に応じた量で存在することが好ましい。さらに、活性成分は、活性成分担体を被覆する被覆物という形で存在することができ、この被覆物は、所望する態様で活性成分の放出を制御するために、活性成分の他に結合剤と、必要に応じて粘着防止剤および/または緩衝物質とを、必要に応じて付加的に備えてよい。
【0024】
活性成分担体は、中性のペレット、および/または結晶性物質、および/または粒状の担体物質もしくは押出担体物質という形状であることが好ましく、0.1〜3.0mmの粒径を有することが有利であり、0.2〜2.0mmの粒径を有することが好ましい。
【0025】
このような活性成分担体は、市販されており、担体物質として、例えば、糖類、でんぷん、微結晶性セルロース、第二リン酸カルシウム、塩化ナトリウム、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、ショ糖、乳糖、ソルビトール、マンニトール、セルロース、リン酸水素カルシウム、クエン酸ナトリウム、リン酸三カルシウム、トウモロコシでんぷん、小麦でんぷん、ジャガイモでんぷん、米でんぷん、および/またはその混合物を挙げることができる。
【0026】
本願発明の有利な実施形態において、活性成分を備える活性成分担体は、単位用量ごとに1〜250mgの活性成分、有利には5〜100mgの活性成分、より好ましくは20〜60mgの活性成分、10〜500重量部の担体物質、1〜100重量部の結合剤、1〜100重量部の粘着防止剤、および1〜100重量部の緩衝物質を含む。
【0027】
活性成分を備える活性成分担体の結合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸ブチル−メタクリル酸(2−ジメチルアミノエチル)−メタクリル酸メチルコポリマー、アクリル酸エチル−メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー、アクリル酸メチル−メタクリル酸メチル−メタクリル酸コポリマー、アクリル酸エチル−メタクリル酸メチル−メタクリル酸トリメチルアンモニウムエチル塩化物コポリマー、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー、ポリエチレングリコール、ゼラチン、トウモロコシでんぷん、小麦でんぷん、米でんぷん、およびジャガイモでんぷん、ならびにその混合物、からなる群から選択することができる。
【0028】
活性成分を備える活性成分担体は、粘着防止剤として、タルク、ステアリン酸およびその塩、直鎖脂肪酸および/または分枝脂肪酸を有するモノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリド、脂肪アルコール、コロイド状二酸化ケイ素、沈降二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、硬化ヒマシ油およびマクロゴール(ポリエチレングリコール)、ならびにその混合物、を含んでよい。
【0029】
活性成分を備える活性成分担体の、腸領域において起こりうるpH変化を防ぐために用いることができる緩衝物質は、水酸化ナトリウム、クエン酸、酒石酸、リン酸、アスコルビン酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、およびそれらの薬理学的に許容できる塩、ならびにその混合物である。
【0030】
活性成分の放出を制御するために内層の上に配される胃液耐性の被覆層は、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、セラック、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセテートフタレート、酢酸酪酸セルロース、メタクリル酸ブチル−メタクリル酸 2−ジメチルアミノエチル−メタクリル酸メチルコポリマー、アクリル酸エチル−メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー、メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、アクリル酸メチル−メタクリル酸メチル−メタクリル酸コポリマー、アクリル酸エチル−メタクリル酸メチル−メタクリル酸 トリメチルアミノエチル塩化物コポリマー、および/またはその混合物、からなる群から形成されることが好ましい。
【0031】
活性成分担体が直接口内の唾液に接触する活性成分担体の服用の1つの形態において、pH条件によって、胃液耐性の層は溶けることができ、活性成分はそこに放出される。これを防ぐために、本願発明によれば、活性成分、拡散層、および必要に応じて胃液耐性の被覆層を備えている活性成分担体に、好ましくは、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、セラック、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセテートフタレート、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールコポリマー、酢酸酪酸セルロース、メタクリル酸ブチル−メタクリル酸 2−ジメチルアミノエチル−メタクリル酸メチルコポリマー、アクリル酸エチル−メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー、メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、アクリル酸メチル−メタクリル酸メチル−メタクリル酸コポリマー、アクリル酸エチル−メタクリル酸メチル−メタクリル酸トリメチルアミノエチル塩化物コポリマー、および/またはその混合物、から形成される唾液耐性の外層を備えることが好ましい。
【0032】
唾液耐性の外層は、必要に応じて、着香物質、香味剤、および/または甘味料を備えることができる。
【0033】
本願発明の更なる好ましい実施形態では、活性成分、拡散層、胃液耐性の被覆層、および、必要に応じて唾液耐性の外層を備えている活性成分担体は、従来の賦形剤を使用して錠剤に圧縮されるか、ゼラチン、セルロース、でんぷん、もしくはでんぷん誘導体でできているカプセル剤で包まれるか、あるいは、懸濁液もしくは懸濁ゲルを調製するための液体、もしくは半固体、もしくは固体の製剤という形状にある。
【0034】
本願発明の医薬品製剤は、例えば市販されているペレットという形の活性成分担体を、例えば、活性成分、結合剤、粘着防止剤、必要に応じて緩衝物質を含む溶液または懸濁液で被覆し、次に、続けてこのようにして得られた中間体に、拡散する活性成分に対する浸透性が内側から外側に向けて減少する少なくとも2つの拡散層を備え、胃液耐性の被覆層で被覆し、必要に応じて唾液耐性の外層を備える方法などの、それ自体が公知の方法を使用して製造することができる。
【0035】
本願発明によれば、拡散する活性成分に対する浸透性が内側から外側に向けて減少する少なくとも2つの拡散層を備えた内層を介して活性成分の放出を制御することは、他の公知の製剤と比べて、活性成分の放出において小さな上昇が起こり、したがって所望の活性成分の低い血中濃度が得られるというという驚くべき利点を有し、そして、活性成分放出の特性は、混合物という形で異なる拡散特性を有する2つの物質を備える1つの層の代わりに拡散の浸透性が異なる2つの層で被覆することによって、米国特許出願公開第2004/0142035A1号明細書の教示と比べて、驚くべきほどにより好ましいことが明らかになった。
【0036】
この実際の違いについては、次の実施例および比較例によって詳細を説明する。
【0037】
本願発明の医薬品製剤として2つの剤形が可能であり、好ましい:
1.活性成分、拡散層、胃液耐性の被覆層、および必要に応じて唾液耐性の外層を備える活性成分担体を充填したカプセル剤。
2.活性成分、拡散層、胃液耐性の被覆層、および、必要に応じて唾液耐性の外層を備える活性成分担体を、従来の賦形剤を使用して、圧縮することによって得られた錠剤。
【0038】
錠剤は、小腸における活性成分の所望の放出の機能を損なうことなく、割ることができてよく、液体と一緒に飲み込むか、小さい適切な食べ物と一緒に摂取するか、他に舐めるかまたは口の中で分解することができるものでもよい。なぜなら、これらの服用の形態によって、錠剤は、個々の活性成分担体または凝塊形成した活性成分担体へと分解し、このそれぞれの活性成分担体は、活性成分、拡散層、および胃液耐性層を備え、したがって、所望の活性成分の放出プロファイルを確実にするからである。
【0039】
医薬品製剤の服用の形態における唾液耐性の外層の存在は、口内のpHの状態に起因する、胃液耐性層の機能損失をもたらすことはないため、活性成分は口内では放出せず、目的どおり小腸だけで放出する。
【実施例】
【0040】
(実施例1)製剤番号:050046/2
(用量単位当たりの活性成分として、45mgの活性成分含有量で(1R,3r,5S)−3−[(ヒドロキシジフェニルアセチル)オキシ]スピロ[8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン−8,1’−ピロリジニウム]塩化物を有する、ペレットという形状の本願発明に係る医薬品製剤)
【0041】
活性成分を備える活性成分担体を製造する成分を、以下の表1に列挙した。
【0042】
【表1】

【0043】
※(1R,3r,5S)−3−[(ヒドロキシジフェニルアセチル)オキシ]スピロ[8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン−8,1’−ピロリジニウム]塩化物
【0044】
中性のペレットは、粒径が0.1〜3.0mmの範囲にある糖類−でんぷんペレットである。活性成分、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびマクロゴール6000を水に溶解し、その溶液にタルクを懸濁した。この懸濁液を、流動床造粒機内で活性成分担体の上に連続的に噴霧し、30℃〜80℃の流入空気温度で同時に乾燥した。
【0045】
次に、このようにして活性成分を備えた活性成分担体を、以下の表2の成分を使用して、拡散層1で被覆した。
【0046】
【表2】

【0047】
拡散層1は、活性成分を備え表1に示された成分を使用して得られた活性成分担体に、マトリックス物質としてのポリ酢酸ビニルと、ポア形成剤としてのポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールコポリマーと、可塑剤としてのプロピレングリコールと、粘着防止剤としてのタルクとの水系懸濁液を噴霧することで製造した。
【0048】
次に、以下の表3に示される成分を使用して拡散層2で被覆した。
【0049】
【表3】

【0050】
活性成分と拡散層1とを備え、表2に示される成分を使用して得られた活性成分ペレットに、マトリックス物質としてのポリ酢酸ビニルと、ポア形成剤としてのポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールコポリマーと、可塑剤としてのプロピレングリコールと、粘着防止剤としてのタルクとの水系懸濁液を噴霧した。明らかであるように、拡散層2を形成する物質は、少量のポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールコポリマーのポア形成剤を含み、したがって、拡散する活性成分(1R,3r,5S)−3−[(ヒドロキシジフェニルアセチル)オキシ]スピロ[8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン−8,1’−ピロリジニウム]塩化物に対して低い浸透性を有する拡散層をもたらす。
【0051】
次に、このようにして2つの拡散層を備えた活性成分担体に、以下の表4に示された処方を使用して胃液耐性被覆物を備えた。
【0052】
【表4】

次に、マトリックス物質としてのメタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマーと、可塑剤としてのプロピレングリコールと、結合剤としてのカルボキシメチルセルロースナトリウムと、粘着防止剤としてのタルクとの水系懸濁液を拡散層1および拡散層2の両方を備えた活性成分ペレットに、連続的に噴霧し、35℃〜80℃の流入空気温度で同時に乾燥することで、拡散層1および拡散層2の両方を用いて得られた活性成分ペレットに、前述の表4に示された処方を使用して胃液耐性被覆層を備え、活性成分を備える活性成分ペレットという形状の本願発明の医薬品製剤を得た。
【0053】
(実施例2)(比較例) 製剤番号:050047
比較のために、同じ成分および同じ量比を使用するが、しかし本願発明の拡散層1および拡散層2の成分を別々の層ではなく単一の拡散層に含む、活性成分を備える活性成分担体を製造した。
【0054】
この目的において、実施例1の表1に示された成分を使用して、活性成分(1R,3r,5S)−3−[(ヒドロキシジフェニルアセチル)オキシ]スピロ[8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン−8,1’−ピロリジニウム]塩化物を備えた活性成分担体を製造し、以下の表5に列挙した成分を使用して拡散層を備えた。
【0055】
【表5】

【0056】
次に、このようにして得られた、混合物として被覆された拡散層1+2を備えた活性成分ペレットに、実施例1の手順で、実施例1の表4に示した成分を使用して胃液耐性層を被覆し、以下の表6に示した組成の活性成分ペレットを得た。
【0057】
【表6】

【0058】
(実施例3)(比較例) 製剤番号:050046/1
さらなる比較例として、活性成分(1R,3r,5S)−3−[(ヒドロキシジフェニルアセチル)オキシ]スピロ[8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン−8,1’−ピロリジニウム]塩化物だけを備え、拡散層も胃液耐性層のどちらも含まない活性成分担体を、特に、実施例1の手順で、表1に示した成分を使用して調製し、以下の表7に示した組成の活性成分(1R,3r,5S)−3−[(ヒドロキシジフェニルアセチル)オキシ]スピロ[8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン−8,1’−ピロリジニウム]塩化物を備えた活性成分担体を得た。
【0059】
【表7】

【0060】
(実施例4)(比較例) 製剤番号:050048
この比較例は、活性成分(1R,3r,5S)−3−[(ヒドロキシジフェニルアセチル)オキシ]スピロ[8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン−8,1’−ピロリジニウム]塩化物を備え、1つの拡散層、特に本願発明の実施例1の拡散層1だけを備え、胃液耐性の被覆層を備える活性成分担体に関する。
【0061】
出発物質は、表1に示された成分を使用して、実施例1の手順で得られた活性成分を備える活性成分ペレットである。
【0062】
これらの活性成分担体は、実施例1において表2を参照して示した拡散層1を形成する成分および手順を使用して、拡散層1だけを備える。
【0063】
表4に示した成分を使用して、実施例1の手順による胃液耐性の被覆層を被覆して、以下の表8に示した組成の活性成分を積んだ活性成分ペレットを得た。
【0064】
【表8】

【0065】
(実施例5)(比較例) 製剤番号:050049
この比較例は、活性成分(1R,3r,5S)−3−[(ヒドロキシジフェニルアセチル)オキシ]スピロ[8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン−8,1’−ピロリジニウム]塩化物を備え、実施例1による本願発明の医薬品製剤の拡散層2だけを備え、胃液耐性の被覆層を備える活性成分担体に関する。
【0066】
この目的のための出発物質は、実施例1の表1に示した成分を使用して、そこに記載された手順によって製造した活性成分を備える活性成分担体である。
【0067】
以下の表9に示した成分を使用し、実施例1の表3に関連して示した手順を使用して、活性成分を備えたこれらの活性成分ペレットを拡散層2で被覆した。
【0068】
【表9】

【0069】
表4に示した成分を使用した、実施例1の手順による胃液耐性の被覆層を被覆して、拡散層2、および以下の表10に示した組成を有する活性成分ペレットを得た。
【0070】
【表10】

【0071】
(実施例6)
(上述の実施例1から実施例5で得られた活性成分ペレットからの、活性成分(1R,3r,5S)−3−[(ヒドロキシジフェニルアセチル)オキシ]スピロ[8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン−8,1’−ピロリジニウム]塩化物の体外放出の検討)
【0072】
時間の関数としての活性成分の放出を検討するために、胃液耐性被覆物を有する活性成分担体の放出を測定するための米国薬局方番号724方法Aを、以下のとおり使用した。
【0073】
(酸性段階)
装置:パドル撹拌器
回転の速度:毎分200回転
温度:37±0.5℃
溶媒:750mlの0.1Mの塩酸
【0074】
上述の実施例によって製造された活性成分ペレットの1用量を装置に導入し、容器の蓋をしめ、パドル撹拌器を2時間に渡り稼動させた。次に、活性成分(1R,3r,5S)−3−[(ヒドロキシジフェニルアセチル)オキシ]スピロ[8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン−8,1’−ピロリジニウム]塩化物を測定するために、試料を取った。
【0075】
(緩衝段階)
37±0.5℃で平衡化した250mlの0.20Mのリン酸ナトリウム溶液を、酸性段階(750mlの0.1Mの塩酸)に添加した。pHが6.8±0.05の値となるように、必要に応じて2Nの塩酸または2Nの水酸化ナトリウム溶液で調整した。装置を2時間に渡って稼動させ、その後、試料を15分後、30分後、45分後、60分後、75分後、90分後、105分後、120分後に取り、その中の活性成分をHPLCで測定した。
【0076】
(基準液)
0.1Nの塩酸中の0.045mg/mlの(1R,3r,5S)−3−[(ヒドロキシジフェニルアセチル)オキシ]スピロ[8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン−8,1’−ピロリジニウム]塩化物RS。
【0077】
(HPLCクロマトグラフィー条件)
クロマトグラフィーは、以下を使用して実施する:
− クロマトグラフィー用のオクタデシルシリルゲル(5μm)、特にNucleosil100−5C18を充填した、長さ0.125m、内径4mmのステンレス鋼のカラム;
− 2.202g/lのヘプタンスルホン酸ナトリウムと、0.4ml/lのトリエチルアミンを含み、pHが2.5になるように濃リン酸で調整された、65体積%の浄水と、35体積%のアセトニトリルの混合物を、移動相として使用した。
− 分光光度計(DAD210.10,400.100nm);検出器として、210nmに設定されたものを使用した;
− カラムの温度は、40℃に保った。
− 25μlの試料液体を注入し、クロマトグラフィーを約4.5分間にわたって実施した。
【0078】
溶解した(1R,3r,5S)−3−[(ヒドロキシジフェニルアセチル)オキシ]スピロ[8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン−8,1’−ピロリジニウム]塩化物の濃度を、次の式を用いて百分率で算出した:
Y=CR(W)・AT(W)・100/AR(W)・CT(W)
式中、
Y:溶解した活性成分(1R,3r,5S)−3−[(ヒドロキシジフェニルアセチル)オキシ]スピロ[8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン−8,1’−ピロリジニウム]塩化物(記載された含有量の%)
CT(W):試液中の活性成分の名目濃度(0.045mg/ml)
CR(W):基準液中の活性成分の濃度
AT(W):試液の活性成分ピークの面積
AR(W):基準液中の基準物質ピークの面積
【0079】
実施例1から実施例5の活性成分ペレットの本検討において得られた活性成分の放出の結果を、以下の表11にまとめた。
(PU040014W45錠剤MOF)
(被覆する拡散層が異なる活性成分ペレットおよび胃液耐性ペレット)
【0080】
【表11】

※(1R,3r,5S)−3−[(ヒドロキシジフェニルアセチル)オキシ]スピロ[8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン−8,1’−ピロリジニウム]塩化物
【0081】
上述の表11の結果は、以下の図1にグラフとして、特に時間の関数として活性成分の放出の割合をプロットすることによって示した。
【0082】
上記の図1から明らかであるように、本願発明の医薬品製剤(050046/2)は、活性成分の緩やかな上昇およびそれに続くほぼ連続的な放出を伴う体外での活性成分の放出のための本願発明に係る所望の最良の進行を示し、一方で、拡散層を有しない比較製剤(050046/1)、または、拡散層1または拡散層2のどちらかだけをそれぞれ有する製剤(050049および050048)、または単一の拡散層に、本願発明の拡散層1もしくは拡散層2の成分が存在する実施例2の活性成分ペレット(050047)は、グラフ中の曲線において急激な上昇を示し、したがって、好ましくない活性成分の急速な放出を示す。
【0083】
内層が、拡散する活性成分に対する浸透性が内側から外側に向けて減少する少なくとも2つの拡散層から形成される、本願発明の医薬品製剤が、単一の拡散層に本願発明の2つの拡散層を形成する成分と同じ成分が存在する実施例2の活性成分ペレットよりも、活性成分の放出の大幅に優れた進行を示すことは、驚くべきことと考えられる。この医薬品製剤はまた、本願発明の医薬品製剤が約20%の活性成分しか放出していない、わずか40分間で約95%を放出するため、最初に活性成分の好ましくない急速な放出を示す。
【0084】
したがって、本願発明の医薬品製剤は、活性成分(1R,3r,5S)−3−[(ヒドロキシジフェニルアセチル)オキシ]スピロ[8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン−8,1’−ピロリジニウム]塩化物を急速に放出する医薬品製品の1回の投与と比較して、血漿において活性成分の濃度の緩やかな上昇を起こし、血中濃度を全体的に低くすることを実現することができ、したがって、この種類の従来の製品の欠点を克服することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの活性成分と、
活性成分の放出を制御する内層と、
その上に配された胃液耐性層と、を備える活性成分担体をベースとした小腸における活性成分の放出を制御した経口投与用の医薬品製剤であって、
前記内層が、少なくとも2つの拡散層から形成され、
拡散する前記活性成分に対する前記拡散層の浸透性が内側から外側に向けて減少し、
前記拡散層は、小腸液に不溶のマトリックス物質から形成され、
前記マトリックス物質の中には、拡散する前記活性成分の浸透性を制御し、かつ小腸液に可溶性および/または膨潤性、および/または吸水性のポア形成剤が組み込まれていることを特徴とする、経口投与用の医薬品製剤。
【請求項2】
前記拡散層は、同質もしくは異なる種類の前記マトリックス物質を含むことを特徴とする、請求項1に記載の医薬品製剤。
【請求項3】
前記拡散層は、同質もしくは異なる種類の1つ以上のポア形成剤を含むことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の医薬品製剤。
【請求項4】
前記拡散する活性成分に対する前記拡散層の浸透性は、前記ポア形成剤の性質、量、および/または粒径、および/または溶解度、および/または膨潤性、および/または吸水性を介して制御されることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の医薬品製剤。
【請求項5】
前記活性成分の放出を制御する内層は、内側および外側の前記拡散層を含む、請求項4に記載の医薬品製剤。
【請求項6】
前記同質のポア形成物質の場合、前記内側の拡散層における前記ポア形成剤の粒径および/または濃度は、前記外側の拡散層よりも大きいことを特徴とする、請求項5に記載の医薬品製剤。
【請求項7】
前記小腸液において可溶性を示すポア形成剤の場合、前記内側の拡散層の前記ポア形成剤の濃度と前記外側の拡散層の前記ポア形成剤の濃度の比率は、20:1〜>1:1の範囲にあり、好ましくは、10:1〜1.1:1の範囲にあることを特徴とする、請求項6に記載の医薬品製剤。
【請求項8】
前記拡散層の前記マトリックス物質は、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、セラック、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセテートフタレート、酢酸酪酸セルロース、メタクリル酸ブチル−メタクリル酸 2−ジメチルアミノエチル−メタクリル酸メチルコポリマー、アクリル酸エチル−メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー、アクリル酸エチル−メタクリル酸メチル−メタクリル酸トリメチルアンモニウムエチル塩化物コポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルプロピルセルロース、キトサン、キトサン酢酸、シリコーンエラストマーラテックス懸濁液、硬化ヒマシ油、ステアリン酸、グリセロールモノステアレート、グリセロールジステアレート、グリセロールジベヘナート、ステアリルアルコール、白ろう、黄ろう、硬化植物油、および微結晶ろう、からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の医薬品製剤。
【請求項9】
前記拡散層の前記ポア形成剤は、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールコポリマー、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー、架橋ポリビニルピロリドン、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、セルロース粉末、ショ糖、乳糖、マンニトール、ソルビトールおよびポリソルベートからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の医薬品製剤。
【請求項10】
前記拡散層のマトリックス物質は、付加的に、可塑剤および粘着防止剤を含む、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の医薬品製剤。
【請求項11】
前記拡散層のマトリックス物質は、可塑剤として、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、クエン酸トリエチル、トリアセチン、アセチルクエン酸トリブチル、ポリソルベート、2−ピロリドン、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸、ヒマシ油、および/または中鎖脂肪酸トリグリセリドを、粘着防止剤として、タルク、ステアリン酸およびその塩、脂肪アルコール、直鎖状脂肪酸および/または分枝脂肪酸を有するモノグリセリド、ジグリセリド、もしくはトリグリセリド、コロイド状二酸化ケイ素、沈降二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、カオリン、トウモロコシでんぷん、小麦でんぷん、米でんぷん、ジャガイモでんぷん、二酸化チタン、シリコーンエマルジョンならびに/またはVeegum(ケイ酸アルミニウムマグネシウム分散物)を含むことを特徴とする、請求項10に記載の医薬品製剤。
【請求項12】
前記活性成分担体は、前記活性成分として、4−ジエチルアミノ−2−ブチニル α−フェニルシクロヘキサングリコネート塩酸塩、カラキーナンエチルジメチル(1−メチル−3,3−ジフェニルプロピル)アンモニウム、(+)−[R−2−[α−2−(ジイソプロピルアミノ)エチル]ベンジル]−p−クレゾール 酒石酸エステル、8−(シクロプロピルメチル)−6β,7β−エポキシ−3α−ヒドロキシ−1αH,5α)−(S)−トロパート臭化物、(1R,3r,5S)−3−[(ヒドロキシジフェニルアセチル)オキシ]スピロ[8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン−8,1’−ピロリジニウム]塩化物、(ビシクロヘキシル)−1−カルボン酸 2−ジエチルアミノエチル塩酸塩、ジフェニルプロポキシ酢酸 1−メチル−4−ピペリジル塩酸塩、(1S)−1−フェニル−3,4−ジヒドロイソキノリン−2(1H)カルボン酸(3R)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル コハク酸塩、(S)−1−[2−(2,3−ジヒドロ−5−ベンゾフラニル)エチル]−α,α−ジフェニル−3−ピロリジンアセトアミド臭化水素酸塩、(8R)−3α−ヒドロキシ−5−イソプロピル−1αH,5αH−トロパニウム臭化物(±トロパート)、8−ブチル−6β,7β−エポキシ−3α−[(S)−3−ヒドロキシ−2−フェニルプロパノイルオキシ]トロパニウム臭化物、(+)−(S)−N−メチル−γ−(1−ナフチルオキシ)−2−チオフェンプロピルアミン、イソ酪酸 2−[(1R)−3−(ジイソプロピルアミノ)−1−フェニルプロピル]−4−(ヒドロキシメチル)フェニル、(2S)−シクロヘキシル(ヒドロキシ)フェニル酢酸 4−(ジエチルアミノ)−ブタ−2−イン−1−イル、エチルジメチル(1−メチル−3,3−ジフェニルプロピル)アンモニウム臭化物、2−ピペリジノエチル 3−メチル−4−オキソ−2−フェニル−4H−クロメン−8−カルボキシレート塩酸塩、ベンジル(2−クロロエチル)(1−メチル−2−フェノキシエチル)アミン塩酸塩および/またはこれらの活性成分の塩もしくは他の塩を含むことを特徴とする、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の医薬品製剤。
【請求項13】
前記活性成分は、単位用量ごとに、1〜250mgの量で前記活性成分担体の上に存在することを特徴とする、請求項12に記載の医薬品製剤。
【請求項14】
前記活性成分は、前記活性成分担体を被覆する被覆物という形で存在することを特徴とする、請求項12または請求項13に記載の医薬品製剤。
【請求項15】
前記活性成分担体は、中性のペレット、および/または結晶性物質、および/または粒状の担体物質もしくは押出担体物質という形状であることを特徴とする、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の医薬品製剤。
【請求項16】
前記活性成分担体は、0.1〜3.0mmの粒径を有することを特徴とする、請求項15に記載の医薬品製剤。
【請求項17】
前記活性成分担体は、前記担体物質として、糖類、でんぷん、微結晶性セルロース、第二リン酸カルシウム、塩化ナトリウム、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、ショ糖、乳糖、ソルビトール、マンニトール、セルロース、リン酸水素カルシウム、クエン酸ナトリウム、リン酸三カルシウム、トウモロコシでんぷん、小麦でんぷん、ジャガイモでんぷん、米でんぷん、および/またはその混合物を含むことを特徴とする、請求項15または請求項16に記載の医薬品製剤。
【請求項18】
前記活性成分を備える前記活性成分担体は、前記活性成分の他に、表面に、結合剤と、必要に応じて粘着防止剤および/または緩衝物質とを、付加的に有することを特徴とする、請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の医薬品製剤。
【請求項19】
前記活性成分を備える前記活性成分担体は、単位用量ごとに1〜250mgの活性成分、10〜500重量部の前記担体物質、1〜100重量部の前記結合剤、1〜100重量部の前記粘着防止剤、および1〜100重量部の前記緩衝物質を含むことを特徴とする、請求項18に記載の医薬品製剤。
【請求項20】
前記活性成分を備える前記活性成分担体の前記結合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸ブチル−メタクリル酸(2−ジメチルアミノエチル)−メタクリル酸メチルコポリマー、アクリル酸エチル−メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー、アクリル酸メチル−メタクリル酸メチル−メタクリル酸コポリマー、アクリル酸エチル−メタクリル酸メチル−メタクリル酸トリメチルアンモニウムエチル塩化物コポリマー、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー、ポリエチレングリコール、ゼラチン、トウモロコシでんぷん、小麦でんぷん、米でんぷん、およびジャガイモでんぷん、ならびにその混合物、からなる群から選択されることを特徴とする、請求項18または請求項19に記載の医薬品製剤。
【請求項21】
前記活性成分を備える前記活性成分担体の前記粘着防止剤は、タルク、ステアリン酸およびその塩、直鎖脂肪酸および/または分枝脂肪酸を有するモノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリド、脂肪アルコール、コロイド状二酸化ケイ素、沈降二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、硬化ヒマシ油およびマクロゴール(ポリエチレングリコール)、ならびにその混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項18から請求項20のいずれか1項に記載の医薬品製剤。
【請求項22】
前記活性成分を備える前記活性成分担体の前記緩衝物質は、水酸化ナトリウム、クエン酸、酒石酸、リン酸、アスコルビン酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、およびそれらの薬理学的に許容できる塩、ならびにその混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項18から請求項21のいずれか1項に記載の医薬品製剤。
【請求項23】
前記活性成分および前記拡散層を備える前記活性成分担体の上に配される前記胃液耐性の被覆層は、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、セラック、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセテートフタレート、酢酸酪酸セルロース、メタクリル酸ブチル−メタクリル酸 2−ジメチルアミノエチル−メタクリル酸メチルコポリマー、アクリル酸エチル−メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー、メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、アクリル酸メチル−メタクリル酸メチル−メタクリル酸コポリマー、アクリル酸エチル−メタクリル酸メチル−メタクリル酸 トリメチルアミノエチル塩化物コポリマー、および/またはその混合物、からなる群から形成されることを特徴とする、請求項1から請求項22のいずれか1項に記載の医薬品製剤。
【請求項24】
前記活性成分と、前記拡散層と、必要に応じて前記胃液耐性の被覆層とを備える前記活性成分担体が、唾液耐性の外層を備えることを特徴とする、請求項1から請求項23のいずれか1項に記載の医薬品製剤。
【請求項25】
前記活性成分と、前記拡散層と、必要に応じて前記胃液耐性の被覆層とを備える前記活性成分担体が、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、セラック、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセテートフタレート、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールコポリマー、酢酸酪酸セルロース、メタクリル酸ブチル−メタクリル酸 2−ジメチルアミノエチル−メタクリル酸メチルコポリマー、アクリル酸エチル−メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー、メタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、アクリル酸メチル−メタクリル酸メチル−メタクリル酸コポリマー、アクリル酸エチル−メタクリル酸メチル−メタクリル酸トリメチルアミノエチル塩化物コポリマー、および/またはその混合物、からなる群からの唾液耐性の外層を備えることを特徴とする、請求項24に記載の医薬品製剤。
【請求項26】
前記唾液耐性の外層は、着香物質、香味剤、および/または甘味料を含むことを特徴とする、請求項25に記載の医薬品製剤。
【請求項27】
前記活性成分、前記拡散層、前記胃液耐性の被覆層、および、必要に応じて前記唾液耐性の外層を備えている前記活性成分担体は、従来の賦形剤を使用して錠剤に圧縮されるか、ゼラチン、セルロース、でんぷん、もしくはでんぷん誘導体でできているカプセル剤で包まれるか、あるいは、懸濁液もしくは懸濁ゲルを調製するための液体、もしくは半固体もしくは固体の製剤という形状にあることを特徴とする、請求項1から請求項26のいずれか1項に記載の医薬品製剤。
【請求項28】
請求項1から請求項27のいずれか1項に記載の医薬品製剤の製造方法であって、それ自体が公知の方法を使用して、前記活性成分担体を前記活性成分、前記結合剤、前記粘着防止剤、必要に応じて緩衝物質を含む溶液または懸濁液で被覆し、次に、前記拡散する活性成分に対する浸透性が内側から外側に向けて減少する前記少なくとも2つの拡散層で続けて被覆し、前記胃液耐性の被覆層で被覆し、必要に応じて唾液耐性の外層を備えることを特徴とする、医薬品製剤の製造方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−542742(P2009−542742A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518762(P2009−518762)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005970
【国際公開番号】WO2008/006506
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(509010115)ドクター. アール. フレガー ヒェーミッシェ ファブリーク ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】