説明

小規模建築物の基礎・地盤補強設計プログラム

【課題】地盤情報と予定建築物の基礎データを入力するだけで、構造計算書と基礎の最終図面まで出力できる基礎・地盤補強設計プログラムを提供する。
【解決手段】基礎データを入力するステップと、直接基礎の成立性を判定するステップと、直接基礎が成立すると判定した場合に、布基礎あるいはべた基礎の、基礎スラブ断面計算、基礎梁の断面計算を行うステップと、計算結果を出力するステップとより構成する。あるいは、直接基礎が成立しないと判定した場合に、複数の地盤補強工法を選択して、各地盤補強工法の設計値を算出するステップと、構造計算書として計算結果を出力するステップとで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小規模建築物の基礎・地盤補強設計プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から建築に関するプログラムは多数利用されているが、そのほとんどが部分的なものであり、基礎データの入力によって、基礎の最終図面まで出力できるものが見当たらなかった。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
上記のような課題を解決するために、本発明の小規模建築物の基礎・地盤補強設計プログラムは、地盤定数と建物仕様データを入力するステップと、直接基礎の成立性を判定するステップと、直接基礎が成立すると判定した場合に、布基礎あるいはべた基礎の、基礎スラブ断面計算、基礎梁の断面計算を行うステップと、直接基礎が成立しないと判定した場合に、複数の地盤補強工法のすべて、または一部を選択して、各地盤補強工法の設計値を算出するステップと、入力データから計算結果を構造計算書として出力するステップとより構成したことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0004】
本発明の小規模建築物の基礎・地盤補強設計プログラムは以上のように構成したので、地盤情報と予定建築物の基礎データを入力するだけで、基礎の最終図面と構造計算書までを短時間で出力できるという効果を達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
以下図面を参照にしながら本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0006】
<1>地盤のデータの入力。
建物を建築する予定の地盤の調査を行う。
地盤調査とは、例えばスウェーデン式サウンディング試験、標準貫入試験、コーン貫入試験、土質調査などである。
この地盤調査の結果の数値を、本発明のプログラムに入力する。
【0007】
<2>建物データの入力。
建築する予定の建物のデータを入力する。
例えば建築面積、延床面積、階数、平面図、節点座標などである。
また、基礎に作用する荷重条件を入力する。
荷重条件とは、屋根荷重、各階の床壁荷重などである。
【0008】
<3>地盤モデルの作成。
前ステップで行った地盤調査結果から、地盤の土の種類、各層の厚さ、地下水位、各層の地盤定数を決定する。
その際に、地層が整層地盤であるか、傾斜地盤であるかも検討条件となる。
土の種類とは例えば、砂、粘性土、腐植土、砂礫、盛土などに分類して指定する。
【0009】
<4>直接基礎の成立性の検討。
上記の数値から、許容鉛直支持力の計算を行う。
その結果、基礎の荷重度と許容支持力を比較して、直接基礎の成立性を判定する。
また沈下量を計算する。
その結果から、基礎の沈下量と許容沈下量を比較して、直接基礎の成立性を判定する。
こうして、直接基礎が成立する場合と、成立しない場合とが算出され、以降のステップは、成立する場合と成立しない場合とに分かれる。
【0010】
<5>基礎の計算。
直接基礎が成立すると判定した場合に、布基礎あるいはべた基礎の、基礎スラブ断面計算、基礎梁の断面計算を行う。
その結果、基礎スラブや基礎梁の厚さ、寸法、鉄筋量、配筋状態などが算出される。
【0011】
<6>計算結果の出力。
以上の計算結果を、数値として出力し、さらに図面として出力する。
これらの書類は施主、役所への提出計算書などとしてそのまま利用することができるようなレイアウトを採用する。
出力したデータは保存しておく。
【0012】
<7>地盤補強工法の設計。
直接基礎が成立しない、と判定した場合には地盤を補強するための地盤補強工法の施工が必要となる。
地盤補強工法としては、小口径杭を打設する工法、柱状に地盤を改良する工法、表層の地盤を改良する工法、あるいはRES−P工法などを採用することができる。
小口径杭の設計には、杭の鉛直支持力、水平支持力、沈下量を計算し、必要性能を満たすための杭の直径、材質、長さ、設置間隔の計算を行う。
こうして複数の地盤補強工法を選択して、各地盤補強工法の設計値を算出する。
その後に、経済性、その他の条件の比較を行って複数の工法から、その現場での最適な地盤補強工法を選択する。
そして選択した工法の各種の数値と、図面を構造計算書として出力して作業を完了する。
したがって出力した成果物をそのまま発注者や官庁へ提出することができ、設計者としてはきわめて使い勝手のよいものということができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のプログラムの概要の説明図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤定数と建物仕様データを入力するステップと、
直接基礎の成立性を判定するステップと、
直接基礎が成立すると判定した場合に、
布基礎あるいはべた基礎の、基礎スラブ断面計算、基礎梁の断面計算を行うステップと、
直接基礎が成立しないと判定した場合に、
複数の地盤補強工法のすべて、または一部を選択して、各地盤補強工法の設計値を算出するステップと、
入力データから計算結果までを構造計算書として出力するステップとより構成した、
小規模建築物の基礎・地盤補強設計プログラム。


【図1】
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【公開番号】特開2009−275347(P2009−275347A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124681(P2008−124681)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(598027847)株式会社設計室ソイル (15)
【Fターム(参考)】