説明

小規模発電設備

【課題】蒸気エネルギーから回転力を得る小型の蒸気タービンなどの小型流体機械と発電機とが連結軸によって連結され、発電を行う小規模発電設備において、系統負荷から前記発電機を解列させたときに前記小型流体機械及び前記発電機が過回転速度になることを防止すること。
【解決手段】系統負荷から発電機を解列させたときに、連結軸に対して摩擦により制動力を得るようにした過回転防止機械式制動装置を備える。また、発電機を解列させたときに、連結軸に質量を付加するようにした過回転防止質量付加式制動装置を備える。また、発電機を解列させたときに、連結軸に対して電磁誘導作用により制動力を得るようにした過回転防止電気式制動装置を備える。また、発電機を解列させたときに、小型流体機械の出口側圧力を高めて入口側と該出口側との圧力差を小さくするようにした過回転防止制動装置を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気エネルギーから回転力を得る小型の蒸気タービン,スクリュエキスパンダなどの小型流体機械と発電機とが連結軸によって連結され、500kW規模程度以下の発電を行う小規模発電設備において、系統負荷から前記発電機を解列させたときに前記小型流体機械及び前記発電機が過回転速度になることを防止することができるようにした、小規模発電設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば食品工場では、小型貫流ボイラで生成された蒸気を蒸気釜などの蒸気利用施設で利用する前に利用して、500kW規模程度以下の発電を行う小規模発電設備を備えているものがある。図6は従来の小規模発電設備の構成説明図である。
【0003】
図6において、101は蒸気によって駆動され、蒸気エネルギーから回転力を得る小型流体機械としてのラジアル形の小型蒸気タービン、104はブロア,ポンプ等の動力負荷装置105が連結された動力負荷装置付き発電機である。この小型蒸気タービン101と動力負荷装置付き発電機104とは、連結軸102によって連結されている。この小型蒸気タービン101、動力負荷装置付き発電機104及び連結軸102により、小規模発電設備が構成されている。
【0004】
11は、小型貫流ボイラ(図示省略)で生成された蒸気を過熱する蒸気過熱器(図示省略)と前記小型蒸気タービン101の入口側とを連絡する上流側配管路である。この上流側配管路11には、上流側配管路11を完全に遮断するための非常遮断弁12と、上流側配管路11に流れる過熱蒸気の流量を調整するための調整弁13とが設けられている。14は、小型蒸気タービン101の出口側と蒸気利用施設(蒸気釜など)19とを連絡する下流側配管路である。下流側配管路14には、小型蒸気タービン101の出口圧力(背圧)を保持するための制御弁15が設けられている。
【0005】
そして、前記小型蒸気タービン101に過熱蒸気が導入されて小型蒸気タービン101が所定回転数で駆動されると、それに伴って前記動力負荷装置付き発電機104が駆動して発電が行われる。また、これとともに、小型蒸気タービン101からの排気蒸気が蒸気利用施設19へ導入されるようになっている。
【0006】
なお、16は、仕切り弁17及び減圧弁18が設けられたバイパス配管路である。バイパス配管路16は、前記蒸気過熱器からの蒸気が小型蒸気タービン101を迂回して蒸気利用施設19へ導入されるように構成されている。小型蒸気タービン101が故障などの理由で利用できない場合、通常閉鎖状態にあるバイパス配管路**が開放されて、前記蒸気過熱器からの過熱蒸気を蒸気利用施設19で利用できるようになっている。
【0007】
前記従来の小規模発電設備では、事故などによって系統負荷(工場,事業所等における設備に電力を供給する自家用電力系統)から動力負荷装置付き発電機104を解列させたとき(切り離したとき)、上流側配管路11の非常遮断弁12を閉じて小型蒸気タービン101に対する過熱蒸気の供給を急ぎ停止するようにしている。この場合、動力負荷装置付き発電機104の回転軸にはブロア,ポンプ等の動力負荷装置105が連結されており、これらが負荷として存在していることから、小型蒸気タービン101及び動力負荷装置付き発電機104が短時間過回転速度となるという過回転現象が発生するようなことはなかった。
【0008】
ところが、限られた蒸気エネルギー源から発電量をできるだけ増やすべく、小型蒸気タービンと、回転軸にブロア,ポンプ等の動力負荷装置が連結されていない発電機とが連結軸によって連結された構成の小規模発電設備の場合、系統負荷から前記発電機を解列させたとき、連結軸の回転数が急激に上昇して、小型蒸気タービン及び前記発電機が短時間過回転速度となるという短時間の過回転現象が発生することがあり(図5の矢印A参照)、これを防止して確実に小型蒸気タービン及び前記発電機の安全を図ることが必要とされる。
【0009】
【特許文献1】特開平6−193405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明の課題は、蒸気エネルギーから回転力を得る小型の蒸気タービン,スクリュエキスパンダなどの小型流体機械と発電機とが連結軸によって連結され、前記小型流体機械の駆動に伴って発電を行う小規模発電設備において、系統負荷から前記発電機を解列させたときに前記小型流体機械及び前記発電機が過回転速度になることを防止することができるようにした小規模発電設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。請求項1の発明は、蒸気によって駆動され、蒸気エネルギーから回転力を得る小型流体機械と、発電機とが連結軸によって連結され、前記小型流体機械の駆動に伴って発電を行う小規模発電設備において、系統負荷から前記発電機を解列させたときに、前記連結軸に対して摩擦により制動力を得ることで、前記小型流体機械及び前記発電機が過回転速度になることを防止する過回転防止機械式制動装置を備えていることを特徴とする小規模発電設備である。
【0012】
請求項2の発明は、蒸気によって駆動され、蒸気エネルギーから回転力を得る小型流体機械と、発電機とが連結軸によって連結され、前記小型流体機械の駆動に伴って発電を行う小規模発電設備において、系統負荷から前記発電機を解列させたときに、前記連結軸に質量を付加することで、前記小型流体機械及び前記発電機が過回転速度になることを防止する過回転防止質量付加式制動装置を備えていることを特徴とする小規模発電設備である。
【0013】
請求項3の発明は、蒸気によって駆動され、蒸気エネルギーから回転力を得る小型流体機械と、発電機とが連結軸によって連結され、前記小型流体機械の駆動に伴って発電を行う小規模発電設備において、系統負荷から前記発電機を解列させたときに、前記連結軸に対して電磁誘導作用により制動力を得ることで、前記小型流体機械及び前記発電機が過回転速度になることを防止する過回転防止電気式制動装置を備えていることを特徴とする小規模発電設備である。
【0014】
請求項4の発明は、蒸気によって駆動され、蒸気エネルギーから回転力を得る小型流体機械と、発電機とが連結軸によって連結され、前記小型流体機械の駆動に伴って発電を行う小規模発電設備において、系統負荷から前記発電機を解列させたときに、入口側の弁が閉じられた前記小型流体機械の出口側圧力を高めて入口側と該出口側との圧力差を小さくすることで、前記小型流体機械及び前記発電機が過回転速度になることを防止する過回転防止制動装置を備えていることを特徴とする小規模発電設備である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の小規模発電設備によると、蒸気によって駆動され、蒸気エネルギーから回転力を得る小型流体機械と、発電機とが連結軸によって連結され、前記小型流体機械の駆動に伴って発電を行う小規模発電設備において、系統負荷から前記発電機を解列させたときに、過回転防止機械式制動装置によって前記連結軸に対して摩擦により制動力を得るようにしたものであるから、前記小型流体機械及び前記発電機が過回転速度になることを防止することができる。したがって、系統負荷から前記発電機を解列させたときにも、確実に前記小型蒸気タービン及び前記発電機の安全を図ることができる。
【0016】
請求項2の小規模発電設備によると、蒸気によって駆動され、蒸気エネルギーから回転力を得る小型流体機械と、発電機とが連結軸によって連結され、前記小型流体機械の駆動に伴って発電を行う小規模発電設備において、系統負荷から前記発電機を解列させたときに、過回転防止質量付加式制動装置によって前記連結軸に質量を付加するようにしたものであるから、前記小型流体機械及び前記発電機が過回転速度になることを防止することができる。したがって、系統負荷から前記発電機を解列させたときにも、確実に前記小型蒸気タービン及び前記発電機の安全を図ることができる。
【0017】
請求項3の小規模発電設備によると、蒸気によって駆動され、蒸気エネルギーから回転力を得る小型流体機械と、発電機とが連結軸によって連結され、前記小型流体機械の駆動に伴って発電を行う小規模発電設備において、系統負荷から前記発電機を解列させたときに、過回転防止電気式制動装置によって前記連結軸に対して電磁誘導作用により制動力を得るようにしたものであるから、前記小型流体機械及び前記発電機が過回転速度になることを防止することができる。したがって、系統負荷から前記発電機を解列させたときにも、確実に前記小型蒸気タービン及び前記発電機の安全を図ることができる。
【0018】
請求項4の小規模発電設備によると、蒸気によって駆動され、蒸気エネルギーから回転力を得る小型流体機械と、発電機とが連結軸によって連結され、前記小型流体機械の駆動に伴って発電を行う小規模発電設備において、系統負荷から前記発電機を解列させたときに、過回転防止制動装置によって前記小型流体機械の出口側圧力を高めて入口側と該出口側との圧力差を小さくするようにしたものであるから、前記小型流体機械及び前記発電機が過回転速度になることを防止することができる。したがって、系統負荷から前記発電機を解列させたときにも、確実に前記小型蒸気タービン及び前記発電機の安全を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は本発明の第1実施形態による小規模発電設備の構成説明図である。図1において、前記図6に示される小規模発電設備と同一部分には図6と同一の符号を付してある。
【0020】
図1において、101は蒸気によって駆動され、蒸気エネルギーから回転力を得る小型流体機械であって、本実施形態ではラジアル型の小型蒸気タービンである。103は系統負荷に電力を供給する発電機であり、発電機103に対して直接的に負荷となるブロア,ポンプ等の動力負荷装置は、発電機103の軸には連結されていない。102は小型蒸気タービン101と発電機103を連結する連結軸である。
【0021】
201は、連結軸102の長手方向中央部に固着された円板状のディスク盤(ブレーキディスク)であり、202は、ディスク盤を間にしてその両側に支持され、連結軸102と一体に回転するディスク盤201を両側から同時に挟み、その摩擦抵抗によって制動するための2枚のブレーキパッドである。2枚のブレーキパッド202は、図示しないピストンロッドによって進退されるようになっている。
【0022】
203は、油圧源(図示せず)、ポンプ206、アキュームレータ205及び弁204など有し、前記2枚のブレーキパッド202を進退させる前記ピストンロッドを作動させるための油圧回路である。207は、系統負荷から発電機103を解列させたときに油圧回路203の弁204に、ピストンロッドを前進させるための解列信号S1を与えるコントローラである。
【0023】
そして、前記ディスク盤201、前記ブレーキパッド202、前記油圧回路及び前記コントローラ207は、系統負荷から発電機103を解列させたときに、連結軸102に対して摩擦により制動力を得ることで、小型蒸気タービン101及び発電機103が過回転速度になることを防止する過回転防止機械式制動装置を構成している。本実施形態による小規模発電設備は、小型蒸気タービン101、発電機103、連結軸102及び前記過回転防止機械式制動装置により構成されている。
【0024】
次に、このように構成される小規模発電設備の動作を説明する。通常時、小型蒸気タービン101に過熱蒸気が導入されて小型蒸気タービン101が設定回転数(例えば3600回/分)で駆動され、それに伴って発電機103が駆動して発電が行われて、発電機103により電力が系統負荷に供給されるようになっている。
【0025】
そして、事故などが発生し解列を行う必要があると、コントローラ207は、系統負荷から発電機103を解列させるとともに、同時に、上流側配管路11の非常遮断弁12を閉じて小型蒸気タービン101に対する過熱蒸気の供給を停止し、かつ、油圧回路203の弁204に解列信号S1を与える。弁204に解列信号S1が与えられると、前記ピストンロッドが前進することにより、連結軸102と一体に回転しているディスク盤201が、2枚のブレーキパッド202によって両側から同時に挟み込まれ、その摩擦抵抗によって制動される。その結果、小型蒸気タービン101及び発電機103は、図5の矢印Bで示されるように、規定速度を超える過回転速度になることなく回転が減速されて停止される。
【0026】
このように、本実施形態の小規模発電設備によると、系統負荷から発電機103を解列させたときに、前記過回転防止機械式制動装置によって連結軸102に対して摩擦により制動力を得るようにしたものであるから、小型蒸気タービン101及び発電機103が過回転速度になることを防止することができる。したがって、系統負荷から発電機103を解列させたときにも、確実に小型蒸気タービン101及び発電機103の安全を図ることができる。
【0027】
図2は本発明の第2実施形態による小規模発電設備の構成説明図である。図2において、前記図1に示される小規模発電設備と同一部分には図1と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0028】
図2において、301は連結軸102の長手方向中央部に一端が固着された複数(例えば3個)のばねであり、302は各ばね301の他端に固着された例えば鋼製の結合側回転子である。ばね301は結合側回転子302を連結軸102の側に引き寄せる方向に付勢している。
【0029】
303は、内部に前記結合側回転子302を回転可能に収容し、円環状をなす例えば鋼製のおもり体304を有する被結合側ドラムである。305は、支持台305に取り付けられ、被結合側ドラム303を回転可能に支承するドラム軸受である。また、307は支持台306上に固着され、回転する被結合側ドラム303を摺動可能に支承するすべり受け部材である。
【0030】
そして、連結軸102に固定された前記ばね301及び前記結合側回転子302、前記被結合側ドラム303、並びに、前記ドラム軸受305及び前記すべり受け部材307を有して前記被結合側ドラム303を支持する前記支持台306は、系統負荷から発電機103を解列させたときに、連結軸102に質量を付加することで、小型蒸気タービン101及び発電機103が過回転速度になることを防止する過回転防止質量付加式制動装置を構成している。本実施形態による小規模発電設備は、小型蒸気タービン101、発電機103、連結軸102及び前記過回転防止質量付加式制動装置により構成されている。
【0031】
次に、このように構成される小規模発電設備の動作を説明する。通常時、小型蒸気タービン101に過熱蒸気が導入されて小型蒸気タービン101が設定回転数で駆動され、それに伴って発電機103が駆動して発電が行われて、発電機103により電力が系統負荷に供給されるようになっている。このとき、結合側回転子302は連結軸102と一体に回転する一方、被結合側ドラム303は回転していない。
【0032】
そして、通常運転中に事故などが発生し系統負荷から発電機103が解列されると、上流側配管路11の非常遮断弁12を閉じて小型蒸気タービン101に対する過熱蒸気の供給を停止する。
【0033】
そして、解列に伴って連結軸102の回転数がその設定回転数より少しだけ増加すると、結合側回転子302がばね301の力に抗して被結合側ドラム303の側へ変位し、被結合側ドラム303のおもり体304にシュー部材(図示せず)を介して強固に当接する。これにより、結合側回転子302と被結合側ドラム303とが結合した状態で連結軸102と一体に回転し、連結軸102の質量が増加したのと同じ状態になることで連結軸102に対して制動力が作用する。その結果、小型蒸気タービン101及び発電機103は、過回転速度になることなく回転が減速されて停止される。
【0034】
このように、本実施形態の小規模発電設備によると、系統負荷から発電機103を解列させたときに、前記過回転防止質量付加式制動装置によって連結軸102に質量を付加するようにしたものであるから、小型蒸気タービン101及び発電機*が過回転速度になることを防止することができる。したがって、系統負荷から発電機103を解列させたときにも、確実に小型蒸気タービン101及び発電機103の安全を図ることができる。
【0035】
図3は本発明の第3実施形態による小規模発電設備の構成説明図である。図3において、前記図1に示される小規模発電設備と同一部分には図1と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0036】
図3において、401は、連結軸102の長手方向中央部に固定して装着されたモータ型かご形回転子である。402は、モータ型かご形回転子401の外側に配置された図示しない固定子鉄心に巻かれている固定子巻線である。この固定子巻線402には、所定周波数の交流電流を供給する交流電源(別系統の電源)405がコントローラ406からの解列信号S2によって閉じるスイッチ404を介して接続されている。
【0037】
そして、連結軸102に固定された前記モータ型かご形回転子401、前記固定子鉄心(図示せず)、前記固定子巻線402、前記スイッチ404と前記交流電源405を有して前記固定子巻線402に電流を供給する磁界用電流回路403、及びコントローラ406は、系統負荷から発電機103を解列させたときに、連結軸102に対して電磁誘導作用により制動力を得ることで、小型蒸気タービン101及び発電機103が過回転速度になることを防止する過回転防止電気式制動装置を構成している。本実施形態による小規模発電設備は、小型蒸気タービン101、発電機103、連結軸102及び前記過回転防止電気式制動装置により構成されている。
【0038】
次に、このように構成される小規模発電設備の動作を説明する。通常時、小型蒸気タービン101に過熱蒸気が導入されて小型蒸気タービン101が設定回転数で駆動され、それに伴って発電機103が駆動して発電が行われて、発電機103により電力が系統負荷に供給されるようになっている。このとき、モータ型かご形回転子401は連結軸102と一体に回転するようになっている。
【0039】
そして、事故などが発生し解列を行う必要があると、コントローラ406は、系統負荷から発電機103を解列させるとともに、同時に、上流側配管路11の非常遮断弁12を閉じて小型蒸気タービン101に対する過熱蒸気の供給を停止し、かつ、磁界用電流回路403のスイッチ404に解列信号S2を与える。解列信号を受けてスイッチ404が閉じると、モータ型かご形回転子401の導体(巻線)に該モータ型かご形回転子401の回転を妨げる方向に電流が流れるように、固定子巻線402による回転磁界が形成されることにより、モータ型かご形回転子401に連結軸102の回転を妨げる反力が生じる。その結果、小型蒸気タービン101及び発電機103は、過回転速度になることなく回転が減速されて停止される。
【0040】
このように、本実施形態の小規模発電設備によると、系統負荷から発電機103を解列させたときに、前記過回転防止電気式制動装置によって連結軸102に対して電磁誘導作用により制動力を得るようにしたものであるから、小型蒸気タービン101及び発電機*が過回転速度になることを防止することができる。したがって、系統負荷から発電機103を解列させたときにも、確実に小型蒸気タービン101及び発電機103の安全を図ることができる。
【0041】
図4は本発明の第4実施形態による小規模発電設備の構成説明図である。図4において、前記図1に示される小規模発電設備と同一部分には図1と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0042】
図4において、501は、レギュレータ503及び弁504を有し、高圧の圧縮空気が蓄えられた空気圧源502と下流側配管路14の小型蒸気タービン101出口に近い部位とを連絡する高圧空気導入ラインである。505は、系統負荷から発電機103を解列させたときに、高圧空気導入ライン501の弁504にこれを開くための解列信号S3を与えるとともに、下流側配管路14の制御弁15にこれを閉じるための解列信号S4を与えるコントローラである。
【0043】
前記高圧空気導入ライン501及び前記コントローラ505は、系統負荷から発電機103を解列させたときに、小型蒸気タービン101の出口側圧力を高めて入口側と該出口側との圧力差を小さくすることで、小型蒸気タービン101及び発電機103が過回転速度になることを防止する過回転防止制動装置を構成している。本実施形態による小規模発電設備は、小型蒸気タービン101、発電機103、連結軸102及び前記過回転防止制動装置により構成されている。
【0044】
次に、このように構成される小規模発電設備の動作を説明する。通常時、小型蒸気タービン101に過熱蒸気が導入されて小型蒸気タービン101が設定回転数で駆動され、それに伴って発電機103が駆動して発電が行われて、発電機103により電力が系統負荷に供給されるようになっている。このとき、高圧空気導入ライン501の弁504は閉じられている。
【0045】
そして、事故などが発生し解列を行う必要があると、コントローラ505は、系統負荷から発電機103を解列させ、同時に、上流側配管路11の非常遮断弁12を閉じて小型蒸気タービン101に対する過熱蒸気の供給を停止し、かつ、高圧空気導入ライン501の弁504に解列信号S3を与えるとともに、下流側配管路14の制御弁15に解列信号S4を与える。すなわち、系統負荷から発電機103を解列させると、非常遮断弁12及び制御弁15が閉じ、高圧空気導入ライン501の弁504が開かれて、高圧空気が小型蒸気タービン101の出口側に導入される。これにより小型蒸気タービン101の入口側と出口側との圧力差が急激に小さくなって、小型蒸気タービン101に対して制動力が作用する。その結果、小型蒸気タービン101及び発電機103は、過回転速度になることなく回転が減速されて停止される。
【0046】
このように、本実施形態の小規模発電設備によると、系統負荷から発電機103を解列させたときに、前記過回転防止制動装置によって小型蒸気タービン101の出口側圧力を高めて入口側と該出口側との圧力差を小さくするようにしたものであるから、小型蒸気タービン101及び発電機103が過回転速度になることを防止することができ、系統負荷から発電機103を解列させたときにも、確実に小型蒸気タービン101及び発電機103の安全を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1実施形態による小規模発電設備の構成説明図である。
【図2】本発明の第2実施形態による小規模発電設備の構成説明図である。
【図3】本発明の第3実施形態による小規模発電設備の構成説明図である。
【図4】本発明の第4実施形態による小規模発電設備の構成説明図である。
【図5】解列時の過回転状態を説明するための図である。
【図6】従来の小規模発電設備の構成説明図である。
【符号の説明】
【0048】
11…上流側配管路
12…非常遮断弁
14…下流側配管路
15…制御弁
101…小型蒸気タービン、
102…連結軸
103…発電機
201…ディスク盤
202…ブレーキパッド、
203…油圧回路
204…弁
207…コントローラ
301…ばね
302…結合側回転子
303…被結合側ドラム
304…おもり体
306…支持台
406…コントローラ
401…モータ型かご形回転子
402…固定子巻線
405…交流電源
404…スイッチ
403…磁界用電流回路、
501…高圧空気導入ライン
502…空気圧源
504…弁
505…コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気によって駆動され、蒸気エネルギーから回転力を得る小型流体機械と、発電機とが連結軸によって連結され、前記小型流体機械の駆動に伴って発電を行う小規模発電設備において、系統負荷から前記発電機を解列させたときに、前記連結軸に対して摩擦により制動力を得ることで、前記小型流体機械及び前記発電機が過回転速度になることを防止する過回転防止機械式制動装置を備えていることを特徴とする小規模発電設備。
【請求項2】
蒸気によって駆動され、蒸気エネルギーから回転力を得る小型流体機械と、発電機とが連結軸によって連結され、前記小型流体機械の駆動に伴って発電を行う小規模発電設備において、系統負荷から前記発電機を解列させたときに、前記連結軸に質量を付加することで、前記小型流体機械及び前記発電機が過回転速度になることを防止する過回転防止質量付加式制動装置を備えていることを特徴とする小規模発電設備。
【請求項3】
蒸気によって駆動され、蒸気エネルギーから回転力を得る小型流体機械と、発電機とが連結軸によって連結され、前記小型流体機械の駆動に伴って発電を行う小規模発電設備において、系統負荷から前記発電機を解列させたときに、前記連結軸に対して電磁誘導作用により制動力を得ることで、前記小型流体機械及び前記発電機が過回転速度になることを防止する過回転防止電気式制動装置を備えていることを特徴とする小規模発電設備。
【請求項4】
蒸気によって駆動され、蒸気エネルギーから回転力を得る小型流体機械と、発電機とが連結軸によって連結され、前記小型流体機械の駆動に伴って発電を行う小規模発電設備において、系統負荷から前記発電機を解列させたときに、入口側の弁が閉じられた前記小型流体機械の出口側圧力を高めて入口側と該出口側との圧力差を小さくすることで、前記小型流体機械及び前記発電機が過回転速度になることを防止する過回転防止制動装置を備えていることを特徴とする小規模発電設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−101489(P2008−101489A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−282999(P2006−282999)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度、経済産業省、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託研究「エネルギー使用合理化技術戦略的開発/エネルギー使用合理化技術実用化開発/小型貫流ボイラ発電システムの実用化開発」、産業活性再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】