説明

小部屋、小部屋内の配置構成、及び前記配置構成を作るための方法

本発明は、動物のための小部屋(10)であって、前記小部屋(10)が開放側(12)と、動物の頭に向いた反対端とを有し、開放側(12)を通って動物が小部屋(10)に入るようになっている。小部屋(10)は、小部屋(10)内で動物を長手方向に位置させるための胸部ボード(13)と、小部屋床(14)上に配置されたマットレス(16)とを含む。マットレス(16)の一つの側と胸部ボード(13)の一つの側は、マットレス(16)と胸部ボード(13)の両方を小部屋床(14)に固定する長い異形材(25)によって小部屋床(14)に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物のための小部屋、小部屋内の配置構成、及び前記配置構成を作るための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動物が自由に周囲を動くことができる家畜小屋は良く知られており、世界中のあらゆる場所で頻繁に使用されている。家畜小屋では、一頭の動物を収容するのに十分な大きさの小部屋が家畜小屋内に配置されている。小部屋は、動物が横になったり休息したりすることができる領域として同時に一頭の動物によって使用される。家畜小屋内の小部屋を規定するための一つの配置構成はUS6230658B1に開示されている。動物、例えば雌牛は通常、頭が内側に位置されるように小部屋内に前方に動くことによって小部屋に入り、動物の後部は小部屋の入口の方に位置される。動物を小部屋内の長手方向に正しく位置させるために、胸部ボードが小部屋床上に配置される。動物が床に横たわるとき、胸部ボードは動物の胸に接触するか又はその近くに位置され、動物が小部屋内の遠くで横たわらないことを確実にする。動物の正確な位置決めは、動物からの尿及び排便が小部屋の外側の意図した領域に至ることを確実にするために重要である。
【0003】
家畜小屋内の床は通常、コンクリートから作られ、それは硬く、冷たい日には動物が休息するには極めて不快である。快適な環境にいる雌牛ほど多くの乳を生成することは証明されている。それゆえ、小部屋の床は、床に横たわったときに冷たい感触を減らすため、そして動物に対してより快適な環境を与えるために、動物マットレスによってカバーされることが多い。小部屋の床上に使用するために様々なタイプの動物マットレスがEP0684760B1に開示されている。
【0004】
しかしながら、既知の胸部ボード及びマットレスは適切な方法で小部屋の床に装着することに時間がかかる。それゆえ、本発明の目的は、装着することが極めて容易な配置構成を提供することである。
【発明の概要】
【0005】
上述の問題は、独立請求項1及び9に規定された本発明の小部屋及び配置構成によって解決される。さらに、独立請求項15に規定された本発明の配置構成を装着するための方法である。
【0006】
本発明の小部屋は、動物が小部屋に入るときに通る開放側と、動物の頭に向いた反対端とを有する。小部屋は、小部屋内で動物を長手方向に位置させるための胸部ボードと、小部屋床上に配置されたマットレスとを含む。マットレスの一つの頭端と胸部ボードの一つの長手方向縁は、マットレスと胸部ボードの両方を床に固定する床に固定された長い異形材によって小部屋床に固定されている。
【0007】
胸部ボード及びマットレスの装着は、長い異形材が胸部ボードとマットレスの一つの側を固定するために使用されるのでかなり容易にされる。コンクリートの床に固定されなければならないボルトの数はそれによってかなり減少される。さらに、本発明は、マットレスと胸部ボードを並んで小部屋床上に正確に位置決めすることを提供する。別の利点は、胸部ボードの上部表面、長い異形材及び動物マットレスが実質的に滑らかであることであり、それは小部屋内で休息する動物にとって良いことである。この配置構成はまた、清浄することが難しい領域を少なくするので小部屋の清浄を容易にする。
【0008】
本発明の例示的実施形態では、異形材、マットレスの固定された側及び胸部ボードは、小部屋の実質的に全幅を横切って延びる。この配置構成は、小部屋内のマットレスと胸部ボードの実質的に全部の側に沿ってマットレス及び胸部ボードの信頼性のある固定を確実にする。
【0009】
例示的実施形態では、胸部ボードの断面形状は実質的に三角形であり、床に対してもたれている。フランジ又は多数の個別の突起が、胸部ボードの実質的に全長さに沿って床に隣接する胸部ボードから延びる。
【0010】
さらなる例示的実施形態では、長い異形材は、異形材の全部の側に沿って延びる凹所を与えられた又はそれを形成する長手方向側を有する。
【0011】
胸部ボードのフランジ又は多数の個別の突起が、異形材の凹所内に嵌合され、第二のフランジ又は第二の多数の個別の突起が、胸部ボードの反対側に沿って床に隣接する胸部ボードから延びる。ねじ又はボルトのような少なくとも二つの固定手段は、胸部ボードの第二のフランジ又は第二の多数の個別の突起を床に固定し、第一のフランジ又は多数の個別の突起が凹所に保持されるように胸部ボードを固定する。この配置構成は、小部屋内で素早く装着される胸部ボードとマットレスの信頼性のある固定を提供する。さらに、この配置構成は、第二フランジ又は第二の多数の個別の突起を固定する固定手段だけが異形材から胸部ボードをはずすために除去されなければならないので、胸部ボードを容易に除去可能にする。
【0012】
この配置構成は、以下の工程を含む、独立請求項15に記載された方法に規定された様々な工程に従って装着される:
− ねじ又はボルトのような少なくとも二つの固定手段によって小部屋床に固定された異形材でマットレスの一つの側を小部屋床に固定する;
− 胸部ボードフランジ又は多数の個別の突起を異形材の凹所又は異形材によって形成された凹所に挿入する;そして
− 凹所に挿入されたフランジ又は多数の個別の突起が長い異形材との係合からはずれることができないように胸部ボードを小部屋床に固定する。
【0013】
小部屋床上に胸部ボード及びマットレスを装着するための本発明の方法は、マットレスと胸部ボードの両方を固定するために完了されなければならない様々な工程の数を減少させ、それは結果として装着コストを減少する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の例示的実施形態が添付図面に示される。
【図1】図1は、家畜小屋内に配置された多数の小部屋の概略的透視図を示す。
【図2】図2は、本発明による配置構成の概略側面図を示す。
【図3a】図3aは、胸部ボードの第一実施形態を示す。
【図3b】図3bは、胸部ボードの第二実施形態を示す。
【図4】図4は、長い異形材の様々な実施形態の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、家畜小屋(図示せず)内に配置される多数の小部屋10を開示する。小部屋は仕切りによって側部を境界付けられる。この場合において、仕切りは、小部屋10を分離する効果的な柵を与えるために湾曲された細長い管11である。各小部屋は一頭の動物によって使用されることを意図されており、動物は小部屋10の開放側12を介して小部屋に入る。胸部ボード13は床14上に配置され、動物が小部屋内の遠くに動くことを防止するために小部屋の全幅を横切って延びる。これは、動物からの尿及び排便が規則的に収集及び除去される小部屋10の外側の意図した領域15に至ることを確実にするために重要である。
【0016】
小部屋床14は通常、コンクリートから作られる。動物に対して快適性を高めるために、床14の休息領域はマットレス16によってカバーされる。
【0017】
図2では、本発明の一つの例示的実施形態の断面が開示される。断面は図1の円Aの配置を示す。マットレス16は、小部屋床14上に配置された詰物層20を含む。詰物層20は、詰物層20の上に配置された詰物カバー21によって意図した位置に保持される。詰物カバー21は、マットレス16の側で長い区域22(図1に示される)と床14の間の詰物カバーをクランプする長い区域22によって小部屋床14に固定されることができるように詰物層よりわずかに大きい。詰物カバー21は、詰物層を床14上の正確な位置に保持するために詰物層20上に延ばされる。
【0018】
実質的に三角形の断面を有する胸部ボード13は、床14に向かう側の一つでマットレス16の動物頭端に近い小部屋床16上に配置される。マットレス16に面する胸部ボードの縁23は、フランジ24、又は縁23から外方に延びる図3bに示された多数の個別の突起44を与えられる。
【0019】
胸部ボード13に向かって配置されたマットレス16の側は、長い異形材25によって床14に固定される。異形材25は、床14と異形材25の間の詰物カバー21をクランプすることによって詰物カバー21を床14に固定している。異形材25は、少なくとも二つのねじ26とそれに必要とされるコンクリート栓30によって床14にねじ込まれる。しかしながら、異形材25はまた、ボルト又は他の好適な固定要素によって床14に固定されることができる。図2に開示された実施形態では、詰物カバー21は、詰物カバー21の縁が胸部ボード13の下に至るように異形材を越えて延びている。異形材25は、凹所27が床14の表面をカバーした詰物カバー21とマットレス16から離れて面する側上の異形材25との間に形成されるように造形される。異形材25に面する胸部ボード13の側上の突出するフランジ24は、凹所27内に嵌合され、胸部ボード13の他の縁33に沿った第二フランジ34は、少なくとも二つのねじ34と第二フランジ34を通って延びるそれに必要とされる栓35によって床14に固定される。胸部ボード13はそれによって簡単な方法で小部屋床14に固定される。なぜならば凹所27内に嵌合されたフランジ24は異形材25の脱係合から防止されるからである。
【0020】
床への胸部ボード13の第二のフランジ34の固定は、示されたねじ36の代わりに他の固定要素によってなされることができる。
【0021】
図3aでは、実質的に三角形の胸部ボードの一つの例示的実施形態が開示される。胸部ボード13は、縁23に沿って延びる長いフランジ24を与えられる。
【0022】
胸部ボード13の第二の例示的実施形態が図3bに示されている。この実施形態では、完全なフランジの代わりに縁23から延びる多数の個別の突起44がある。
【0023】
胸部ボードの第三の開示されていない例示的実施形態は、縁23を越えて突出しないように、胸部ボードの縁23の真下に配置されたフランジ又は多数の個別の突起を与えられることができる。凹所27に嵌合されるとき、胸部ボード13の縁23は異形材25の上に配置されるだろう。
【0024】
胸部ボードはまた、三角形とは異なる断面形状、例えば矩形又は他の好適な幾何学的形状を持つことができる。
【0025】
詰物層20及び詰物カバー21を含むマットレス16の代わりに、単一の層を含むマットが使用されることができる。マットは、異形材25によって床14にクランプされるか、又は異形材中のもしくは異形材によって生成された第二凹所37内に嵌合される。異形材25の断面の様々な実施形態が図4に示されている。異形材の全ての実施形態は、胸部ボードのフランジ24又は突起44が嵌合される凹所27を持つか又は生成する。
【0026】
異形材25は、小部屋10全体を実質的に横切って延びる。もし家畜小屋内に並んで配置された小部屋があるなら、異形材25は、異形材25の数、及び家畜小屋内の配置を装着するために完了されなければならない様々な工程を減少するために二つ以上の小部屋10を横切って延びることが好ましい。また、胸部ボード13は、二つ以上の小部屋を横切って延びてもよい。
【0027】
本発明は、記載された実施形態に限定されるべきではない。これらの実施形態は、添付請求項によって規定される発明の範囲内にある実施例として役立つにすぎないからである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物のための小部屋(10)であって、前記小部屋(10)が開放側(12)と、動物の頭に向いた反対端とを有し、開放側(12)を通って動物が小部屋(10)に入るようになっており、前記小部屋(10)が小部屋(10)内で動物を長手方向に位置させるための胸部ボード(13)と、小部屋床(14)上に配置されたマットレス(16)とを含むものにおいて、マットレス(16)の頭端と胸部ボード(13)の一つの側が、マットレス(16)と胸部ボード(13)の両方を小部屋床(14)に固定する長い異形材(25)によって小部屋床(14)に固定されていることを特徴とする小部屋(10)。
【請求項2】
長い異形材(25)、マットレス(16)の頭端、及び胸部ボード(13)が小部屋(10)の実質的に全幅を横切って延びていることを特徴とする請求項1に記載の小部屋(10)。
【請求項3】
長い異形材(25)がねじ(26)又はボルトのような固定手段によって小部屋床(14)に固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の小部屋(10)。
【請求項4】
胸部ボード(13)の断面形状が小部屋(14)に向かって配置された一つの側で実質的に三角形であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の小部屋(10)。
【請求項5】
フランジ(24)又は多数の個別の突起(44)が、小部屋床(14)に隣接する胸部ボードから胸部ボード(13)の一つの側に沿って延びていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の小部屋(10)。
【請求項6】
長い異形材(25)が、異形材(25)に沿って延びる凹所(27)を与えられた又はそれを形成する長手方向側を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の小部屋(10)。
【請求項7】
フランジ(24)又は個別の突起(44)が、長い異形材の凹所(27)内に嵌合されることを特徴とする請求項6に記載の小部屋(10)。
【請求項8】
第二フランジ(34)又は多数の個別の突起が、小部屋床(14)に隣接する胸部ボードから胸部ボード(13)の反対側に沿って延びており、ねじ(36)又はボルトのような少なくとも二つの固定手段が、第二フランジ(34)又は胸部ボード(13)の個別の突起を小部屋床(14)に固定することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の小部屋(10)。
【請求項9】
動物のための小部屋(10)内の配置構成であって、前記小部屋(10)が開放側(12)と、動物の頭に向いた反対端とを有し、開放側(12)を通って動物が小部屋(10)に入るようになっており、前記配置構成が小部屋(10)内で動物を長手方向に位置させるための胸部ボード(13)を含むものにおいて、前記配置構成が、胸部ボード(13)の一つの側を小部屋(10)の床(14)に固定するための長い異形材(25)をさらに含み、長い異形材(25)が、マットレス(16)の頭端を小部屋の床(14)に固定するように配置されていることを特徴とする配置構成。
【請求項10】
配置構成が、マットレス(16)をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の配置構成。
【請求項11】
フランジ(24)又は多数の個別の突起(44)が、小部屋床(14)に隣接する胸部ボードから胸部ボード(13)の一つの側に沿って延びていることを特徴とする請求項9又は10に記載の配置構成。
【請求項12】
長い異形材(25)が、異形材(25)に沿って延びる凹所(27)を与えられた又はそれを形成する長手方向側を有することを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の配置構成。
【請求項13】
フランジ(24)又は個別の突起(44)が、長い異形材の凹所(27)内に嵌合されることを特徴とする請求項12に記載の配置構成。
【請求項14】
第二フランジ(34)又は多数の個別の突起が、小部屋床(14)に隣接する胸部ボードから胸部ボード(13)の反対側に沿って延びており、ねじ(36)又はボルトのような少なくとも二つの固定手段が、第二フランジ(34)又は胸部ボード(13)の個別の突起を小部屋床(14)に固定することを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の配置構成。
【請求項15】
マットレス(16)及び胸部ボード(13)を小部屋床(14)に装着するための方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする方法:
− ねじ(26)又はボルトのような少なくとも二つの固定手段によって小部屋床(14)に固定された異形材(25)でマットレス(16)の一つの側を小部屋床に固定する;
− 胸部ボードのフランジ(24)又は多数の個別の突起を異形材(25)の凹所(27)又は異形材(25)によって形成された凹所(27)に挿入する;そして
− 凹所(27)に挿入されたフランジ(24)又は多数の個別の突起(44)が長い異形材(25)との係合からはずれることができないように胸部ボード(13)を小部屋床(14)に固定する。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−537630(P2010−537630A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522863(P2010−522863)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【国際出願番号】PCT/SE2008/050955
【国際公開番号】WO2009/029030
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(500215931)デラヴァル ホルディング アーベー (13)
【Fターム(参考)】