説明

小顔シート剤

【課題】
顔のむくみを解消し、素人にも簡単に出来る顔の静脈マッサージ効果を有するリフティング小顔シート剤を提供する。
【解決手段】
伸縮性機能を有する不織布或いは織布上に水溶性高分子の粘着性を有する含水性膏体を展延したシートであって、膏体内に皮膚刺激性を有するトウガラシエキス、トウガラシチンキ、カプサイシン等のトウガラシ抽出物質とその類似合成物或いはショウキョウエキスから選択させる物質を含有し、顔の耳の位置から顎にかけての顔ラインを被覆する適宜の面積を有する人のフェースラインに対応した短冊状にカットしたものを耳の付け根から顎にそって引っ張り強度を付けながら貼付し、顔の静脈の血流を改善することによって顔のむくみを解消し、顔の張りを与えるリフティング効果を増加させる小顔シート剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頬の筋肉を弛緩させ肌に張りを与えるリフティング効果を有するリフティング小顔シート剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の美容領域では小顔に対する要求が大きく、その対策として顔のむくみを取ることが試みられてきた。むくみを解消するには顔のリンパの流れをよくすることが得策と考えられ、その手法はリンパマッサージとしてマッサージ師、美容師や美容界のエステティシャン等のテクニシャンによって実施されている。リンパマッサージの方法は顔のリンパを流すように、額から目じりに向けて、目じりから顎下に向けて、数回ずつさするようにマッサージし、次に顎下(顎下リンパ節)と首(鎖骨下リンパ節)をもむようにマッサージするのが一般的な方法である。
【0003】
従来のリンパマッサージは余分な水分や老廃物をリンパ液にのせて排出する効果があるといわれている。それによって顔がすっきりと引き締まり、代謝も良くなりむくみが取れて肌がきれいになると考えられていた。このリンパマッサージは一般の人にはリンパ節の位置やリンパ管の流れが把握できないために専門の知識を有するマッサージ師や美容師、エステティシャン等の専門技術と知識と経験をもった人達に任せることが主流であった。又、自己流のマッサージは肌を強く引っ張りすぎたり、強く擦ってしまうことが多く、そのことが原因でかえってたるみやシワを助長したり、肌に負担をかけることによって色素沈着によるシミの発生といった肌トラブルにつながる危険性が指摘されている。
【0004】
最近になってむくみを解消するには、顔のリンパの流れよりも静脈の流れを改善することがむくみの解消の得策であることが臨床的に明らかになった。心臓から押し出された血液は動脈によって全身に酸素や栄養素等のエネルギーを送り届ける。動脈は先に行くほど細くなり、末端では非常に細い末梢血管になり、血液中の酸素や栄養分、水分などはこの毛細血管から染み出すように出て組織に分配される。又、組織で不要になった老廃物や水分を回収するのも毛細血管である静脈である。むくみの原因となる水分や老廃物は静脈が全体の80%を回収し、残りの20%をリンパ系が回収するといわれている。
なお、首筋、頬、顎と皮膚の皺や弛みを強制的にリフティングするストレッチテープ(比較例3)は、特許文献1等に示されるように既に提案されているが、静脈の流れを良くするものではないので、直ぐに元の状態に戻ってしまい根本的な解決には至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3111862号公報
【特許文献2】特開2004−313277号公報
【特許文献3】実開昭60−116918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明者は、むくみの原因となる顔の水分や老廃物を効率的に安全に、しかも素人でも出来るようにするには、如何なる手段を用いるべきかという点について考察した。頭頸部外科領域で首から顔にかけての手術において、リンパ節を取った後にリンパ管を縛った患者の顔にむくみは無く、首の太い静脈を縛った患者の顔には非常なむくみが確認された数多くの実施例から、むくみの解消にはリンパ管よりも静脈が重要な役割をしているとの認識を持った。実際にむくみの原因である水分や老廃物は静脈が全体の約80%を回収し、リンパ系が回収するのは約20%であることが臨床的に明確になっている。
【0007】
更に解剖学的に検証した結果、顔は左右対称にネット状の静脈で包まれていて輪郭部分には首へと続く太い静脈が左右同じように走っていることがわかった。そこで顔全体にめぐらされた静脈を手の指や手平で軽くマッサージすること、特に顔の輪郭にそって耳周りに存在する耳珠、耳垂、マンディブラーノッチの3点を中心にマッサージすることによって期待どおり顔のむくみを解消することができた。
【0008】
本発明者は、従来の問題点に鑑み、この知見を基にして、顔のむくみを解消して美しい小顔を形成するためにいかに安全に効率よく、しかも素人にも簡単に出来る顔の静脈マッサージ効果を有するリフティング小顔シート剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、この発明に係るリフティング小顔シート剤は、次のとおりのものである。
すなわち、カルボキシメチルセルロースNa等の水溶性高分子を主体に構成された含水性の膏体内に皮膚刺激剤としてウガラシエキス、トウガラシチンキ、カプサイシン等の唐辛子抽出物とその類似合成物、ショウキョウエキスから適宜選択されるものを各々含有するものである。
さらに、アロマ成分としてローズマリー、カモミール、ラベンダー、バジル、レモンバーム、収斂作用を有する茶エキス、カフェイン、有機酸(クエン酸、タンニン酸、酒石酸、乳酸)、アルミニウム及び亜鉛の金属塩、エタノール、更に天然の保湿成分であるコメヌカ醗酵エキス、褐藻エキス、加水分解シルク液、セリシンから適宜選択されるものを各々含有するものである。
【0010】
これらを含有することにより、皮膚刺激剤は皮膚の知覚神経の末梢を刺激することによって皮膚血流を改善し、更に軸索反射によって周辺部位の血流も改善することによって静脈を含む顔全体の血流を改善し、顔のむくみを解消するものである。
また、アロマ成分は香りとなって鼻粘膜を介して大脳辺縁系や視床下部に作用して精神的なストレスを解消することによって自律神経を安定させ、ホルモンバランスを整え、収縮した顔の筋肉の収縮を緩和する(弛緩させる)ことによってシワやタルミを取ることになる。収斂剤は、顔の皮膚と筋肉を直接引き締めることによって小顔のラインをリフトアップする。天然の保湿成分は乾燥した皮膚に潤いを与え、皮膚組織の柔軟性を高めることによって小顔ラインの形成を補助する。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係るリフティング小顔シート剤においては、水溶性高分子を主体とした含水性膏体を伸縮性の不織布又は織布に所定で一定の厚さ、例えば、一定の重量:0.05〜0.3g/cm×cmに展延した後に、顔の耳の位置から顎にかけての顔ラインを被覆する程度の大きさの面積を基準とした短冊形にカットした粘着性を有するシート剤である。本剤を顔の耳の上の付け根の位置から顎にかけてのフェースラインに沿ってシートを軽度に延ばした状態で貼付すると膏体内に含有する水分が貼付部を冷却し、皮膚及び直下の筋肉の温度を軽度に低下させる。
その結果、局所の血管に温度差をつけることによって静脈の流れが改善される。 局所の冷却が末梢神経を刺激し、中枢神経を介して逆に血管を拡張して局所の温度を上げる作用が体の防御機能として展開される。
次にシート剤に処方された皮膚刺激剤(トウガラシエキス、トウガラシチンキ、カプサイシン等の抽出物とその類似合成物、ショウキョウエキス)が末梢神経を刺激して温熱感とともに局所の血流を改善する。
【0012】
すなわち、頬等の皮膚は、カルボキシメチルセルロースNa等の大量の水分を含有した水溶性高分子によって冷却され、その後に皮膚刺激剤(トウガラシエキス、トウガラシチンキ、カプサイシン等の抽出物とその類似合成物、ショウキョウエキス)が末梢神経を刺激して温熱感を与えるという経時変化により静脈の血行を改善し、頬等の局所の血流を改善して、組織で不要になった老廃物や水分を回収し促進させる。
このように、この局所刺激が中枢神経に伝達される途中で塾索反射によって局所近傍の血管を拡張し、顔全体の血流を改善する。又、シート剤を顔に貼付すると体温でシート剤が温められ、シート剤裏面から支持体(不織布或いは織布)を通して膏体中のアロマ成分(ローズマリー、カモミール、ラベンダー、バジル、レモンバーム)が揮散し、気体となったアロマ成分が鼻粘膜を介して大脳辺縁系や視床下部を安定させることによって精神的なストレスを解消する結果、筋肉の収縮を緩和し、筋肉をリラックスさせることによってシワとタルミを解消する。このことがフェースラインの改善と小顔の形成を補助する。
【0013】
シート剤に処方された収斂剤(茶エキス、カフェイン、有機酸、アルミニウム、亜鉛の金属塩、エタノール)は膏体内の水分によって膨らみ柔軟性が回復した皮膚を、伸縮性支持体の収縮力で引き伸ばされた状態で保持・固定する作用を発揮し、顔ラインのリフティングに作用する。保湿剤(コメヌカ醗酵エキス、褐藻エキス、加水分解シルク液、セリシン)はシート剤に含有された水分と同様に皮膚に潤いを与え、皮膚の伸縮性と柔軟性を高める。
このことによって、皮膚のリフティング効果を補助する。このようにシート剤の製剤的伸縮性機能、膏体内含有水分と保湿剤による皮膚の保湿性強化による皮膚組織の柔軟性と伸縮性の改善、皮膚刺激剤の皮膚刺激作用と軸索反射による血流改善作用、収斂剤による柔軟性と伸縮性が増した皮膚組織のリフティング作用、さらにアロマ成分のリラックス効果による筋肉の緊張緩和によるシワ、タルミの改善等の連鎖による総合作用によって効率的に顔のむくみを解消し、リフティングによる小顔形成が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1の小顔シート剤を使用した小顔効果の評価試験結果の表1の図
【図2】同使用でのリフティング効果の評価試験結果の表2の図
【図3】同使用でのむくみ解消効果の評価試験結果の表3の図
【図4】同使用での肌の透明感の評価試験結果の表4の図
【図5】同使用での肌の保湿性(しっとり感)の評価試験結果の表5の図
【図6】同使用でのリラックス効果の評価試験結果の表6の図
【図7】同使用での肌感覚の総合評価結果の表7の図である。
【図8】実施例2の小顔シート剤を使用した顔の皮膚表面温度の測定試験結果の表8の図
【図9】同使用でのリフティング効果試験結果の表9の図
【図10】同使用での被検体剥離後1時間における小顔効果の評価試験結果の表10の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施例1及び2の小顔シート剤について、その組成及び実験結果を説明する。
【実施例1】
【0016】
先ず、実施例1の小顔シート剤の膏体の組成を説明するが、実施例1の膏体組成は以下のように製剤した。
[実施例1の膏体組成]
カルボキシメチルセルロースNa・・・2.0w/w%
アクリル酸Naグラフトデンプン・・・1.0w/w%
ポリアクリル酸Na・・・・・・・・・3.0w/w%
グリセリン・・・・・・・・・・・・15.0w/w%
ジプロピレングリコール・・・・・・・5.0w/w%
イソステアリン酸ソルビタン・・・・・1.0w/w%
カルボキシビニルポリマー・・・・・・1.0w/w%
トウガラシエキス・・・・・・・・・・0.1w/w%
ショウキョウエキス・・・・・・・・・0.1w/w%
ローズマリー油・・・・・・・・・・・0.1w/w%
コメヌカ醗酵液・・・・・・・・・・・1.0w/w%
褐藻エキス・・・・・・・・・・・・・0.1w/w%
エタノール・・・・・・・・・・・・・1.0w/w%
茶葉エキス・・・・・・・・・・・・・0.1w/w%
カフェイン・・・・・・・・・・・・・0.1w/w%
酒石酸・・・・・・・・・・・・・・・0.5w/w%
メチルパラベン・・・・・・・・・・・0.2w/w%
精製水・・・・・・・・・・・・・・・適量
合計 100.0w/w%(重量%)
【0017】
この膏体組成において、冷却及び保湿機能を有する含水性膏体である水溶性高分子としては カルボキシメチルセルロースNaが約1.0〜3.0w/w%で好ましくは2.0w/w%、アクリル酸Naグラフトデンプンが約0.5〜2.0w/w%で好ましくは1.0w/w%、ポリアクリル酸Naが約2.0〜4.0w/w%で好ましくは3.0w/w%、カルボキシビニルポリマーが約0.5〜2.0w/w%で好ましくは1.0w/w%程度が適当である。
皮膚刺激性の物質として トウガラシエキスが約0.05〜0.15w/w%で好ましくは0.1w/w%、ショウキョウエキスが約0.05〜0.15w/w%で好ましくは0.1w/w%程度が適当である。
リラクゼーション効果を有する物質として、ローズマリー油が約0.05〜0.15w/w%で好ましくは0.1w/w%程度が適当である。
肌の引き締め効果を有する物質として、 エタノールが約0.5〜2.0w/w%で好ましくは1.0w/w%、茶葉エキスが約0.05〜0.15w/w%で好ましくは0.1w/w%、カフェインが約0.05〜0.15w/w%で好ましくは0.1w/w%、有機酸(クエン酸、タンニン酸、酒石酸、乳酸)である酒石酸が約0.4〜0.6w/w%で好ましくは0.5w/w%が適当である。
【0018】
天然由来の保湿成分として、コメヌカ醗酵液が約0.5〜2.0w/w%で好ましくは1.0w/w%、褐藻エキスが約0.05〜0.2w/w%で好ましくは0.1w/w%が適当である。
その他の保湿剤としては、グリセリンが約10.0〜20.0w/w%で好ましくは15.0w/w%、ジプロピレングリコールが約3.0〜6.0w/w%で好ましくは5.0w/w%、イソステアリン酸ソルビタンが約0.5〜2.0w/w%で好ましくは1.0w/w%であり、適量の精製水も保湿剤である。
なお、メチルパラベンの0.2w/w%は防腐剤であるので、作用効果には直接関係しない。
【0019】
実施例1の使用試験の条件は次のとおりである。
[実施例1:被検体]
上記処方によって製造された小顔シート製剤を、伸縮性機能を有する4.5cm×8.5cmの不織布(目付100g/m2,厚さ0.75mm,引張り強さ(N/50mm):縦≧30 横≧10,伸び率:縦≧70 横≧130)(或いは織布)上に、この膏体を3g(所定)を一定の重量:0.05〜0.3g/cm×cmに展延した。
[試験者]
40〜55歳の女性ボランティア5名。
[比較例1]
エステで行われるむくみ除去のマッサージを1分間処置。
[比較例2]
湯で軽く洗顔しただけの無処置。
【0020】
[試験方法]
上記5名の実施例1の被験者にお湯で軽く洗顔後、被検体(実施例1)2枚を左右1枚ずつを耳の上部の付け根近くから顎の顔ラインに沿って被検体を軽度に伸ばした状態で貼付した。被検体(実施例1)を貼付後、各被験者は室内にて安静な状態を保持させた。被検体は貼付3時間後に剥離し、剥離直後の(1)顔のリフティング効果(表2)、(2)むくみ(表3)、(3)肌の透明感(表4)、(4)保湿性(しっとり感)(表5)、(5)リラックス効果(表6)の5項目について下記のアンケート内容に従って被験者から個々の回答を得た。
被験者は3日間無処置の状態で日常生活を過ごした後、お湯で軽く洗顔した後3時間目(比較例2)に上記と同様な方法でアンケートを実施した。更に被験者は3日間無処置の状態で日常生活を過ごした後にお湯で洗顔後に指と手の平で顔全体を約1分間軽くマッサージした後3時間目(比較例1)に、上記と同様に3回目のアンケートに回答した。3回のアンケート前の洗顔は総て午前9時とし、アンケートは午後12時に一斉に実施した。又、被験者には試験毎に副作用の有無を記録してもらった。
【0021】
なお、小顔効果を判定する目的で各3段階((1)シート剤、(2)洗顔のみの無処置、(3)マッサージ)で写真(熱画像)を撮影し、被験者の熱画像(顔写真)の記録から写真上の顔の大きさ[縦:額から顎の先端 横:口元の左右ライン(左右のマンディブラーノッチを結ぶ線)]を測定後に、(縦の長さ)×(横の長さ)を算出して顔の面積比較指標とした。
上記の写真(熱画像)の測定機器は次のようなものを使用した。
[測定機器]:熱画像計測装置 型式LAIRD3(株式会社ニコン製)
性能:温度20〜2000℃ 41万画素 フィードタイム 1/60秒
ここで顔の面積から比較例2の無処置に対する小顔率を下記の計算式から算出した(表1)。なお、比較例1としてエステで行われるマッサージ(マッサージ1分間)によるむくみ除去とも比較した。
(式1)小顔率(%)=(無処置顔面積−シート剤顔面積)/無処置顔面積×100
試験最終日に各被験者について肌感覚の総合評価を(1)非常に良い、(2)良い、(3)やや良い、(4)普通、(5)悪いの5段階評価でアンケートを実施した。
【0022】
以下にアンケート評価項目と評価点を示す。
アンケート評価項目:
1)リフティング効果(表2)
(−):効果無し・・・0点
(±):ややある・・・1点
(+):ある・・・・・2点
(++):非常にある・・3点
(+++):極めてある ・4点
2)むくみ解消(表3)
(−):効果なし・・・0点
(±):やや改善・・・1点
(+):改善・・・・・2点
(++):非常に改善・・3点
(+++):極めて改善 ・4点
【0023】
3)肌の透明感(表4)
(−):変化無し・・・0点
(±):やや改善・・・1点
(+):改善・・・・・2点
(++):非常に改善・・3点
(+++):極めて改善 ・4点
4)肌の保湿性(表5)
(−):感じない・・・0点
(±):やや感じる・・1点
(+):感じる・・・・2点
(++):非常に感じる・3点
(+++):極度に感じる・4点
5)リラックス効果(表6)
(−):無し・・・・・ 0点
(±):ややあり・・・ 1点
(+):有り・・・・・ 2点
(++):非常に有り・・ 3点
(+++):極めて有り・・4点
【0024】
[試験結果]以上の試験結果を表1〜7に示して説明する。
[表1]の小顔効果の評価試験結果から判ることは、実測による小顔効果試験では5例の平均値として実施例1を使用した小顔シート剤は、洗顔のみコントロール(比較例1)に比較して実施例1の使用では顔面積が約5%縮小し、これに対して比較例1の1分間のマッサージでの縮小率は2.5%であり、約2倍の小顔効果が認められた。
[表2]での、所謂、頬の筋肉を弛緩させ肌に張りを与えるリフティング効果の評価試験では、実施例1を使用した小顔シート剤の評価点数が2.6点であり、これに対して比較例1のマッサージでの1.4点であり、約2倍の評価点数を得た。このように、洗顔のみの比較例2の無処置では全くリフティング効果は認められなかった。
[表3]のむくみ解消効果の評価試験で判ることは、実施例1を使用した小顔シート剤の評価点数が2.6点であり、これに対して比較例1のマッサージでは2点で、比較例2の無処置では0.4点であり、実施例1の小顔シート剤がマッサージに比較して優れた結果を示した。
【0025】
[表4]の肌の透明感の評価試験で判ることは、実施例1の小顔シート剤の評価点数は1.8点、マッサージでの0.8点、洗顔のみの無処置では0.2点であり、シート剤はマッサージと比較して約2倍強の評価点数であった。
[表5]の肌の保湿性(しっとり感)の評価試験で判ることは、実施例1を使用した小顔シート剤の評価点数は3.0点であり、これに対してマッサージでは0.4点、洗顔のみの無処置では0点であり、実施例1を使用した小顔シート剤が約7倍強の極めて高い評価点数を得た。
[表6]のリラックス効果の評価試験で判ることは、実施例1を使用した小顔シート剤は3.4点であり、これに対して比較例1のマッサージでは2点、洗顔のみの比較例2の無処置では0.4点であり、実施例1を使用した小顔シート剤がマッサージと比較して優位な約2倍近い評価点数を獲得した。
【0026】
以上の6項目((1)小顔の実測、(2)リフティング、(3)むくみ、(4)肌の透明感、(5)肌の保湿性、(6)リラックス効果)の総てにおいて実施例1を使用した小顔シート剤が、比較例2の無処置は勿論のこと、比較例1のマッサージと比較して優位な評価点数を得ており、特に肌の保湿性については製剤的な特徴が顕著に示された。
この試験を通して現われた副作用は比較例1のマッサージに5例中2例に軽度の一過性の発赤が確認されたが、実施例1を使用したの小顔シート剤と比較例2の洗顔のみの無処置には全く異常は認められなかった。
6項目の評価試験と副作用を総合した[表7]の肌感覚の総合評価の結果、比較例1のマッサージでは5例中1例が良い、1例がやや良いで、良い以上では20%であったが、実施例1を使用した小顔シート剤では5例中4例の80%が非常に良いと答え、良い以上では100%であった。これらの結果から実施例1を使用した小顔シート剤は従来のマッサージ(比較例1)に比較してリフティングによる小顔形成の観点からは、はるかに優れた製剤であると考えられる。
【0027】
上述した本発明の実施例1の小顔シート剤によれば、実施例1を使用した小顔シート剤を顔の耳の上の付け根の位置から顎にかけてのフェースラインに沿ってシートを軽度に延ばした状態で貼付すると、膏体内に含有する水分が貼付部を冷却し、皮膚及び直下の筋肉の温度を軽度に低下させ、その結果、局所の血管に温度差をつけることによって静脈の流れが改善され、局所の冷却が末梢神経を刺激し、中枢神経を介して逆に血管を拡張して局所の温度を上げる作用が体の防御機能として展開される。
その後に時間を経て水分が少なくなると、小顔シート剤に処方されたトウガラシエキス、トウガラシチンキ、カプサイシン等の抽出物とその類似合成物、ショウキョウエキスから適宜選択される皮膚刺激剤が末梢神経を刺激して温熱感とともに局所の血流を改善する。この結果、頬等の局所の血流を改善して、組織で不要になった老廃物や水分を回収する機能を促進させる。
このように、この局所刺激が中枢神経に伝達される途中で塾索反射によって局所近傍の血管を拡張し、顔全体の血流を改善する。
【0028】
更に、実施例1では、シート剤を顔に貼付すると体温でシート剤が温められ、シート剤裏面から支持体(不織布或いは織布)を通して膏体中のアロマ成分であるローズマリー、カモミール、ラベンダー、バジル、レモンバームから適宜選択させる成分が揮散し、気体となったアロマ成分が鼻粘膜を介して大脳辺縁系や視床下部を安定させることによって精神的なストレスを解消させる。その結果、筋肉の収縮を緩和し、筋肉をリラックスさせることによってシワとタルミを解消する。このことがフェースラインの改善と小顔の形成を補助する。
【0029】
また、実施例1の小顔シート剤に処方された茶エキス、カフェイン、有機酸、アルミニウム、亜鉛の金属塩、エタノールから適宜選択される収斂剤は膏体内の水分によって膨らみ柔軟性が回復した皮膚を、伸縮性支持体の収縮力で引き伸ばされた状態で保持・固定する作用を発揮し、顔ラインのリフティングに作用する。 また、コメヌカ醗酵エキス、褐藻エキス、加水分解シルク液、セリシン等から適宜選択させる自然由来の保湿剤はシート剤に含有された水分と同様に皮膚に潤いを与え、皮膚の伸縮性と柔軟性を高める。
このことによって、皮膚のリフティング効果を補助する。このようにシート剤の製剤的伸縮性機能、膏体内含有水分と保湿剤による皮膚の保湿性強化による皮膚組織の柔軟性と伸縮性の改善、皮膚刺激剤の皮膚刺激作用と軸索反射による血流改善作用、収斂剤による柔軟性と伸縮性が増した皮膚組織のリフティング作用、さらにアロマ成分のリラックス効果による筋肉の緊張緩和によるシワ、タルミの改善等の連鎖による総合作用によって効率的に顔のむくみを解消し、素人にも簡単に出来る顔の静脈マッサージ効果を有するリフティング小顔シート剤を使用することによって、リフティングによる小顔形成が達成される。
【実施例2】
【0030】
次に、実施例2の小顔シート剤の膏体の組成を説明するが、実施例2の膏体組成は以下のように製剤した。
[実施例2の膏体組成]
カルボキシメチルセルロースNa・・・・2.0w/w%
アクリル酸Naクラフトデンプン ・・ 1.0w/w%
ポリアクリル酸Na・・・・・・・・・・3.0w/w%
カルボキシビニルポリマー・・・・・・・1.0w/w%
グリセリン・・・・・・・・・・・・・15.0w/w%
ジプロピレングリコール・・・・・・・ 5.0w/w%
イソステアリン酸ソルビタン・・・・・ 1.0w/w%
トウガラシエキス・・・・・・・・・・・0.1w/w%
ショウキョウエキス・・・・・・・・・・0.1w/w%
メチルパラベン・・・・・・・・・・・・0.2w/w%
精製水・・・・・・・・・・・・・・・・適量
合計 100.0w/w%(重量%)
【0031】
この膏体組成において、冷却及び保湿機能を有する含水性膏体である水溶性高分子としては カルボキシメチルセルロースNaが約1.0〜3.0w/w%で好ましくは2.0w/w%、アクリル酸Naグラフトデンプンが約0.5〜2.0w/w%で好ましくは1.0w/w%、ポリアクリル酸Naが約2.0〜4.0w/w%で好ましくは3.0w/w%、カルボキシビニルポリマーが約0.5〜2.0w/w%で好ましくは1.0w/w%程度が適当である。
皮膚刺激性の物質として トウガラシエキスが約0.05〜0.15w/w%で好ましくは0.1w/w%、ショウキョウエキスが約0.05〜0.15w/w%で好ましくは0.1w/w%程度が適当である。
保湿剤として、グリセリンが約10.0〜20.0w/w%で好ましくは15.0w/w%、ジプロピレングリコールが約3.0〜6.0w/w%で好ましくは5.0w/w%、イソステアリン酸ソルビタンが約0.5〜2.0w/w%で好ましくは1.0w/w%であり、適量の精製水も保湿剤である。
すなわち、実施例1と比較すると、リラクゼーション効果を有する物質、肌の引き締め効果を有する物質、天然由来の保湿成分が調剤されていない。
なお、メチルパラベンの0.2w/w%は防腐剤であるので、作用効果には直接関係しない。
【0032】
実施例2の使用試験の条件は次のとおりである。
[実施例2:被検体]
上記処方によって製造された小顔シート製剤を、実施例1と同様な伸縮性機能を有する4.5cm×8.5cmの不織布(或いは織布)上に、この膏体を3g(所定)を一定の重量:0.05〜0.3g/cm×cmに展延した。
[被験者]
40〜55歳の女性ボランティア5名。
[比較例2]
実施例1と同様に、湯で軽く洗顔しただけの無処置。
[比較例3(対照製剤)]
薬剤の添付が無い粘着機能のみ有するテープ剤を貼付した処置。
[測定機器]
実施例1と同じ熱画像計測装置、型式LAIRD3(株式会社ニコン製)
性能:温度20〜2000℃ 41万画素 フィードタイム 1/60秒
【0033】
[試験方法]
上記5名の被験者にお湯で軽く洗顔後の実施例2の被検体の2枚を左右1枚ずつを耳の上部付け近くから顎の顔ラインに沿って被検体を軽度に伸ばした状態で貼付した。実施例2の被検体を貼付後、各被験者は室内にて安静な状態を保持させた。被検体は3時間後に剥離し、3日間無処置の状態で日常生活を過ごした後、試験開始から7日目にお湯で軽く洗顔した後に対照製剤である比較例3のテープ剤を3時間貼付した。試験項目である皮膚の表面温度は試験開始前、被検体(実施例2)を剥離直後、剥離後1時間の3回にわたってサーモグラフィーで表示された画像から温度を記録した。対照製剤(実施例3)及び無処置(比較例2)の場合も同様に試験開始前と3時間後(薬剤剥離直後に相当と4時間後(薬剤剥離後1時間に相当)に熱画像から皮膚表面温度を記録した。
上記の皮膚表面温度測定時に各被験者に顔のリフティング効果を下記のアンケート項目に従って回答してもらった。
【0034】
以下にアンケート評価項目と評価点を示す。
アンケート評価項目:
6)リフティング効果(表8〜10)
(−):効果無し・・・0点
(±):ややある・・・1点
(+):ある・・・・・2点
(++):非常にある・・3点
(+++):極めてある ・4点
【0035】
[試験結果]以上の試験結果を表8〜10に示した。
[表8]の顔の皮膚表面温度は、熱画像より0.2℃単位で読み取ったものであるが、この顔の皮膚表面温度の測定試験結果から判ることは、実施例2を使用した小顔シート剤は、5例の平均で貼付前は頬の皮膚表面温度は30.7℃であったが貼付3時間後の剥離時には27.7℃となり、貼付前に比べて約3℃低下した。剥離後1時間では32℃となり剥離時より約4.3℃、貼付前に比べて約1.3℃高い皮膚表面温度を記録した。
これに対して比較例3(対照製剤)であるテープ剤は貼付前の頬の皮膚表面温度は30.8度であったが貼付3時間後の剥離時には31℃を記録し、貼付前に比較して約0.2℃高くなり、その1時間後では貼付前の皮膚表面温度に近い30.9℃を示した。洗顔のみの無処置(比較例1)では試験開始前から試験開始後3時間で30.7℃、4時間で30.9℃と一貫してほぼ同等の温度を示した。
【0036】
すなわち、皮膚表面温度が比較例2の無処置及び比較例3のテープ剤で試験開始から終了時まで殆ど変化が無かったのに対して、実施例2を使用した小顔シート剤が貼付後3時間で約3℃の皮膚表面温度の低下を示したのは、実施例2での小顔シート製剤中の水分による冷却効果であると考えられた。その後、実施例2での小顔シート剤剥離後1時間で剥離時より約4.3度高い温度を示したのは実施例2の小顔シート剤の水分の冷却作用が解除されたことに加えて、実施例2での小顔シート製から皮膚に分配、吸収されたトウガラシエキスによる皮膚組織に対する直接刺激作用と末梢神経作用が局所の血管を拡張して血流を改善したことが原因であると推察された。
【0037】
[表9]のリフティング効果試験ではアンケートの評価試験結果から判ることは、実施例2を使用した小顔シート剤の評点は剥離直後で2.6点、剥離後1時間で2.4点でほぼリフティング効果を維持した結果であった。これに対して対照製剤である比較例3の無製剤のテープ剤は剥離直後で1.6点、剥離後1時間で0.2点であり、時間的なリフティング効果の減少が認められた。比較例1の洗顔のみの無処置では総ての判定時間において0点であり、まったくリフティング効果は認められなかった。
【0038】
また、前述した顔の皮膚表面温度の測定試験[表8]の同時に、サーモグラフィーによる熱画像から写真上の顔の大きさ[縦:額から顎の先端 横:口元の左右ライン(左右のマンディブラーノッチを結ぶ線)]を測定後に(縦の長さ×横の長さ)を算出して顔の面積比較指標とした。又顔の面積から比較例1の無処置に対する小顔率を下記の計算式から算出し、[表10]にその結果を示す。
(式2)小顔率(%)=(無処置顔面積−被検体顔面積)/無処置顔面積×100
[表10]の被検体剥離後1時間における小顔効果の評価試験結果から判ることは、被検体剥離後1時間の顔面積の測定で実施例2を使用した小顔シート剤は比較例2の無処置に対して約6.7%の顔面積の縮小、つまり小顔化が認められ、比較例3の対照製剤であるテープ剤の0.8%に比較して約8倍の小顔効果が認められた。
【0039】
以上の結果から、実施例2を使用した小顔シート製剤は従来の物理的作用によるリフティング効果を期待した比較例3のテープ剤に比較して、より高くしかもより持続的なリフティング効果に裏付けられた小顔効果が期待できることが明確になった。
【0040】
以上詳述したように、本発明の実施例2によれば、実施例1と同様に、小顔シート剤を顔の耳の上の付け根の位置から顎にかけてのフェースラインに沿ってシートを軽度に延ばした状態で貼付すると、膏体内に含有する水分が貼付部を冷却し、皮膚及び直下の筋肉の温度を軽度に低下させ、その結果、局所の血管に温度差をつけることによって静脈の流れが改善され、局所の冷却が末梢神経を刺激し、中枢神経を介して逆に血管を拡張して局所の温度を上げる作用が体の防御機能として展開される。
その後に時間を経て水分が少なくなると、小顔シート剤に処方されたトウガラシエキス、トウガラシチンキ、カプサイシン等の抽出物とその類似合成物、ショウキョウエキスから皮膚刺激剤が末梢神経を刺激して温熱感とともに局所の血流を改善する。
この結果、頬等の局所の血流を改善して、組織で不要になった老廃物や水分を回収する機能を促進させる。この局所刺激が中枢神経に伝達される途中で塾索反射によって局所近傍の血管を拡張し、顔全体の血流を改善する。
このように、素人にも簡単に出来る顔の静脈マッサージ効果を有するリフティングの実施例2の小顔シート剤を使用することによって、リフティングによる小顔形成が達成される。
なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、上述の実施例1及び実施例2に限定されるものでないことは勿論である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性機能を有する不織布或いは織布上に水溶性高分子を主体として構成された粘着性を有する含水性膏体を所定の厚さに展延したシートであって、前記膏体内に皮膚刺激性を有するトウガラシエキス、トウガラシチンキ、カプサイシン等のトウガラシ抽出物質とその類似合成物或いはショウキョウエキスから選択させる物質を含有し、顔の耳の位置から顎にかけての顔ラインを被覆する適宜の面積を有する人のフェースラインに対応した短冊状にカットしたもので、耳の付け根から顎にそって引っ張り強度を付けながら貼付し、顔の静脈の血流を改善することによって顔のむくみを解消し、顔の張りを与えるリフティング効果を増加させることによって小顔にすることを特徴とする小顔シート剤。
【請求項2】
前記請求項1の小顔シート剤において、前記膏体内に鎮静作用によるリラクゼーション効果を有するローズマリー、カモミール、ラベンダー、バジル、レモンバーム等のアロマ成分を含有することを特徴とする請求項1に記載の小顔シート剤。
【請求項3】
前記請求項1の小顔シート剤において、前記膏体内に肌の引き締め効果を有する茶エキス、カフェイン、クエン酸、タンニン酸、酒石酸、乳酸、エタノール及びアルミニウム、亜鉛の金属塩から選択させる収斂剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の小顔シート剤。
【請求項4】
前記請求項1の小顔シート剤において、天然由来の保湿成分として前記膏体内にコメヌカ醗酵エキス、褐藻エキス、加水分解シルク液、セリシンから選択させる保湿成分を含有することを特徴とする請求項1に記載の小顔シート剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−162491(P2012−162491A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24465(P2011−24465)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(593095070)有限会社日本健康科学研究センター (12)
【出願人】(391034891)鈴木油脂工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】