説明

小麦粉を使用せず、米糠を代替えにするケーキおよびその製造方法

【課題】 本発明は、たとえ小麦粉にアレルギーを有する者であっても食することができる、米糠を使用する米糠のケーキを提供する。
【解決手段】 米糠を篩にかけて、澱粉を含む米糠粉・卵・食用油脂・砂糖・膨張剤を混合、撹拌した生地を作成し、オーブンで焼き上げる。小麦粉を使用せず、米糠を代替えにすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はケーキの製造法に関し、小麦アレルギー症状を起こすことのない、米糠を使用するケーキに関する。
【背景技術】
【0002】
ケーキの生地の基本的な組成は、鶏卵、砂糖、小麦粉である。しかし、この方法により小麦アレルギーを有する者は食することができなかった。そこで、小麦粉をいっさい使用しないで焼き菓子を得る方法が、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
この方法によると小麦胚芽、ふすま、米ぬかを油脂と共に混合した生地である。しかも過去には小麦粉を使用せずに米糠を代替えとしたケーキを簡単に作る例は知られていない。
【0004】
米糠を食品に加工、調理しやすい食材に加工して、食用に提供することを得る方法が、例えば特許文献2に開示されている。
【0005】
この方法によると米糠を水中沈殿選別法で異物除去が行われている。また、製造過程には専門の技術が必要とされ、家庭で作ることは困難である。また、米糠のケーキの実施例がないため、小麦粉を使用せず、ケーキを作ることも困難である。
【0006】
米糠の主な成分は、イノシトール、フィチン酸、フェルラ酸、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、食物繊維、ナイアシン、脂質、鉄分、リン、ニコチン酸、カルシウムである。また、米糠に含まれるγ−オリザノールに、2型糖尿病、炎症およびアルコール性肝障害を予防・改善する作用があると東京海洋大学・潮助教授らのグループが明らかにした。米糠には広範な生活習慣病の予防法への展開が期待できる成分が含まれている。
【特許文献1】 特開平9−262058
【特許文献2】 特開2004−321146
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、たとえ小麦にアレルギーを有する者であっても食することができる、米糠を使用するケーキを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の小麦粉を使わない米糠のケーキの生地調整は、米糠を篩にかけて果皮の除去を行い、澱粉を含む米糠粉に選別する第一工程と、前記第一工程で作成した米糠粉に卵・食用油脂・砂糖・膨張剤を混合・撹拌するケーキ生地作成の第二工程とに別れる。
第一工程で選別された米糠粉は、炒り糠にする。炒ることによって米糠の悪臭の元となる酵素の働きを止め、香ばしい風味が得られる。焼成工程はオーブン温度175度〜190度、焼成時間20分〜30分間焼成を行うことによって、作られる。この米糠のケーキは小麦粉を使用せず、米糠を代替えにすることを特徴とする。このようにして、製造される米糠のケーキは、小麦粉が入っていないため、小麦アレルギーを有するものであっても食することができるケーキである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、たとえ小麦にアレルギーを有する者であっても食することができる。また、米糠を使って、軟らかくキメの細かいケーキを提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の態様を説明する。
本発明の米糠のケーキの材料は、米糠・卵・食用油脂・砂糖・膨張剤を混合・撹拌してケーキ生地を作る。このとき、生地には小麦粉の代替えに、玄米を精米する際にでる米糠を、篩にかけて果皮の除去を行い、澱粉を含む米糠粉を使用する。また、胚芽精米によって精米された胚芽を含まない米糠も、同様に、篩にかけて果皮の除去を行い、澱粉を含む米糠粉を使用する。米糠は玄米を、精米する際に、でる胚芽を含めた果皮と種皮と澱粉層から成る。米糠には、豊富な栄養と広範な生活習慣病の予防法への、展開が期待できる、成分が含まれている。精米は食糧庁が理論上、白米と定めている精米換算率(精米歩合)が91%である。なお、精米換算率94%未満の範囲で良好な状態に焼成が可能である。精米換算率94%以上になると、米糠粉が、澱粉を含む比率が低くなるため、食感が悪くなる。米糠粉の澱粉は、焼成工程で、熱を加えられることによって、粘度を増して、生地の骨格を全体的に強化させて焼き上がることが得られる。
米糠は小麦粉の代替として生地の主体となって焼き上がる働きをなす。
【0010】
本発明の米糠のケーキの生地には小麦粉の代替えに米糠を、篩にかけて果皮の除去を行い、澱粉を含む米糠粉を、炒り糠にする。炒ることによって、悪臭の元となる酵素の働きを止める。また、香ばしい風味を得る。この米糠と食用油脂・砂糖・膨張剤を素早く混合し、撹拌した卵を混合する。
なお、米糠を篩いにかける回数は、回数に関係なく製造は可能であるが、食感の改善のため、米糠を篩いにかける回数を、1回及び、複数回にしても混合・撹拌することができる。
【0011】
焼成工程はオーブン温度175度〜190度、焼成時間20分〜30分間の範囲で適当な条件を選択し行う。たとえば、オーブン温度175度で30分間、190度では20分間の範囲の条件で焼成する。
通常のケーキ生地の場合はオーブン温度160度〜170度と低温で焼成する。しかし、本発明の米糠のケーキは170度以下の低温で焼くと膨らみが悪く、ケーキの風合いが出ない。また、190度を越えるオーブン温度で焼成すると内層の米糠の構造完成の前に表面が焦げてしまう。
このようにして焼き上げた、米糠を代替えにしたケーキは小麦粉を使用したケーキの風合いを保持したケーキとなる。
【0012】
この米糠のケーキは小麦粉を使用していないので、小麦アレルギー症状を起こすことがなく、小麦にアレルギー症状を発症する者であっても賞味することができる。
また、生地を作成する生地作成工程において均一に各素材を混入すれば、バナナ、ラム酒などの味付けもできる。
【実施例】
【0013】
次に実施例により本発明の小麦粉を使用しない米糠ケーキの生地の製法を説明する。
(実施例1)プレーンタイプ米糠ケーキの材料配合(長さ20cm、幅8cm、深さ6cm焼き型サイズを一ヶ分)
1 卵 200g(41.0重量%)
2 米糠粉 110g(22.5重量%)
3 食用油脂 100g(20.5重量%)
たとえば、マーガリン
4 砂糖 72g(14.8重量%)
5 膨張剤 6g(1.2重量%)
たとえば、ベーキングパウダー
なお、配合の範囲は、素材各量の20%の範囲で良好な状態に焼成が可能である。
また、米糠は篩に1回かけると、元の米糠に対して、10%〜14%目減りするため、米糠は126g準備する。
【0014】
生地の作成
米糠を篩に1回、かけて果皮の除去を行い、澱粉を含む米糠粉を、炒り糠にする。
(第一工程)
この米糠と食用油脂・砂糖・膨張剤を素早く混合し、撹拌した卵を混合する。(第二工程)
この生地をオーブン温度180度で25分間焼成すると、膨張剤により生地が膨張し、軟らかくキメの細かいケーキが焼成できる。(焼成工程)
【0015】
(実施例2)黒糖タイプ米糠ケーキの材料配合(長さ20cm、幅8cm、深さ6cm焼き型サイズを一ヶ分)
1 卵 200g(41.0重量%)
2 米糠粉 110g(22.5重量%)
3 食用油脂 100g(20.5重量%)
たとえば、マーガリン
4 黒糖 72g(14.8重量%)
5 膨張剤 6g(1.2重量%)
たとえば、ベーキングパウダー
なお、米糠は篩に1回かけると、元の米糠に対して、10%〜14%目減りするため、米糠は126g準備する。
【0016】
生地の作成
実施例1と同様の方法で第一及び第二工程を行う。
実施例1と同様の方法で焼成工程を行って、黒糖風味のケーキを得る。
【0017】
(実施例3)ラム酒入りタイプ米糠ケーキの材料配合(長さ20cm、幅8cm、深さ6cm焼き型サイズを一ヶ分)
1 卵 150g(30.5重量%)
2 米糠 120g(24.4重量%)
3 食用油脂 115g(23.4重量%)
たとえば、マーガリン
4 砂糖 77g(15.6重量%)
5 ラム酒 25g(5.1重量%)
6 膨張剤 5g(1.0重量%)
たとえば、ベーキングパウダー
なお、米糠は篩に3回かけると、元の米糠に対して、14%〜18%目減りするため、米糠は142g準備する。
【0018】
生地の作成
米糠を篩に、3回かけて果皮の除去を行い、澱粉を含む米糠を、炒り糠にする。(第一工程)
この米糠と食用油脂・砂糖・膨張剤を素早く混合し、撹拌した卵とラム酒を混合する。(第二工程)
実施例1と同様の方法で焼成工程を行って、しっとりとした口当たりのケーキを得る。
【0019】
(実施例4)バナナ入りタイプ米糠ケーキの材料配合(長さ20cm、幅8cm、深さ6cm焼き型サイズを一ヶ分)
1 バナナ 188g(35.6重量%)
2 卵 100g(18.9重量%)
3 米糠 90g(17.0重量%)
4 食用油脂 88g(16.6重量%)
たとえば、マーガリン
5 砂糖 60g(11.3重量%)
6 膨張剤 3g(0.6重量%)
たとえば、ベーキングパウダー
なお、米糠は篩に3回かけると、元の米糠に対して、14%〜18%目減りするため、米糠は107g準備する。
【0020】
生地の作成
実施例3と同様の方法で第一工程を行う。
この米糠と食用油脂・砂糖・膨張剤・ペースト状にしたバナナを素早く混合し、撹拌した卵を混合する。(第二工程)
実施例1と同様の方法で焼成工程を行って、プレーンタイプより、口当たりが滑らかなバナナ風味のケーキを得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
米糠を篩にかけて、澱粉を含む米糠粉を作成する第一工程と、前記第一工程で作成した米糠粉に卵・食用油脂・砂糖・膨張剤を混合、撹拌してケーキ生地作成の第二工程と、前記第二工程で作成したケーキ生地を焼く焼成工程を有し、前記焼成工程はオーブン温度175度〜190度の範囲で20分〜30分間焼成を行うことで、小麦粉を使わないで米糠を代替えとする、ことを特徴とするケーキの製造方法。
【請求項2】
前記第一工程および第二工程におけるケーキ生地作成において、小麦粉を使用せず米糠を代替えとすることを特徴とする請求項1記載の小麦粉を使用せず米糠を代替えとするケーキの製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の小麦粉を使用せず米糠を代替えとするケーキの製造方法により製造された、小麦粉を使わない米糠を代替えとするケーキ。