説明

少なくとも一つのラテックスまたは擬ラテックスを含有する容易に除去できる耐水性化粧用ケア及び/またはメイクアップ組成物

【課題】
容易に除去出来る「ウォータープルーフ」タイプのケラチン物質をメイクアップ及び/又はケアする組成物の提供。
【解決手段】
水性連続相を有し、かつジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸、及びスルホイソフタル酸の縮合により得られるコポリマー以外のポリマーの粒子の少なくとも1の水性分散物、少なくとも1のワックス、少なくとも1のポリ電解質、及び少なくとも1の塩を含み、該ポリマーは、組成物の総重量に対して5重量%以上の固形分で存在する組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン物質、特に皮膚、口唇及び/又はケラチン繊維をメイクアップする及び/又はケアするための化粧料組成物に関し、該組成物は、少なくとも1のラテックス又は擬ラテックスの存在により水に耐えることができるが、それにもかかわらず容易に除去され得る。
【0002】
より特に、本発明に従う組成物は、顔、身体、及び/又は口唇のため、及びケラチン繊維、例えば睫、眉毛、及び毛髪のためのメイクアップ製品、より特に睫メイクアップ製品を構成し得る。
【0003】
それは特にメイクアップ組成物であり得、それぞれ「トップコート」又は「ベースコート」としてもまた知られる、メイクアップの上又は下に施与されるべき透明又は着色された組成物であり、又は睫を処理するための組成物であり得る。
【0004】
本発明に従う組成物は睫のための製品、即ちマスカラ、眉毛のための製品、又は毛髪メイクアップ製品の形であり得る。本発明は特にマスカラに関する。
【0005】
実際には、基本的に2つのタイプのマスカラ配合物があり、「エマルジョンマスカラ」として公知である、水性連続相を有する第一のマスカラは、水中におけるワックスのエマルジョンの形態をとっている。第二の、溶媒又はオイル連続相を有するマスカラは、無水であるか、又は低い水の含有量及び/又は水溶性溶媒の含有量を有し、「ウォータープルーフマスカラ」として公知であり、非水性溶媒中のワックスの分散物の形態をとっている。水中におけるワックスのエマルジョンの形態をとるマスカラもまたあり、それもまた「ウォータープルーフ」と呼ばれる。後者の組成物は少なくとも1のラテックス又は擬ラテックスの存在、即ち耐水性を与えるフィルム形成性ポリマーのコロイド状懸濁物を特徴とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、少なくとも1のラテックス又は擬ラテックスを含む「ウォータープルーフ」タイプの組成物、又はマスカラにより特に関する。
【0007】
少なくとも1のラテックス又は擬ラテックスを含む「ウォータープルーフ」マスカラは、ある種のメイクアップ除去剤、主として、特に水をベースとする、又は水溶性、特に水性溶液であるメイクアップリムーバーでは困難なメイクアップ除去をもたらす。即ち一般的に、メイクアップ除去は、オイル又は有機溶媒をベースとする特別のメイクアップ除去剤を使用して行われる。しかし、これらのメイクアップリムーバーは、目に刺激があったり、特に、刺すような痛みを与えたり、目の上にベールを残したり、あるいは目の周りの皮膚(瞼)に不快な脂肪性の残渣フィルムを残したりする。
【0008】
即ち、通常のメイクアップ除去剤と一緒に含む、良好な耐水性及び改善された除去される能力の両方を示すことのできる化粧料メイクアップ組成物に対するニーズがある。
【0009】
フランス国特許出願公開第2 785 801号,欧州特許出願公開第1 152 022号、フランス国特許出願公開第2 774 996号、国際特許出願国際公開第95/35089号及び国際特許出願国際公開第99/26445号は、「増粘させるラテックス」「増粘剤」又は「逆ラテックス」として公知である増粘刺せる組成物について記載する。
【0010】
フランス国特許出願公開第2 785 801及びフランス国特許出願公開第2 774 996号は、特に水性相、オイル相、O/W(水中オイル)タイプの乳化剤及びW/O(オイル中水)タイプの乳化剤、及び強い酸性の官能基を含むモノマーに基づく分岐状又は架橋されたアニオン性ポリ電解質(polyelectrolyte)を含む組成物を開示する。
【0011】
国際特許出願国際公開第99/52499号は、ボリュームを増す効果を生み出す目的のために、ポリアクリレートナトリウムを含む口紅について主として記載する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
少なくとも1のラテックス、又は擬ラテックスを含み、良好な耐水性及びメイクアップ除去剤のタイプに関わらず、改善されたメイクアップ除去を併せ持つことができる、ケラチン物質をメイクアップする及び/又はケアするための化粧料組成物を得ることが可能であることが今見出された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
第一の側面に従うと、本発明は、ケラチン物質をメイクアップする及び/又はケアする組成物に関し、該組成物は水性連続相を有し、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸、及びスルホイソフタル酸を縮合させることにより得られるコポリマー以外のポリマーの粒子の水性分散物の少なくとも1つ、少なくとも1つのワックス、少なくとも1つのポリ電解質、及び少なくとも1つの塩を含み、該ポリマーは、組成物の総重量に対して5重量%以上の固形分で存在する。
【0014】
第二の側面に従うと、本発明は、ケラチン物質をメイクアップする及び/又はケアするための組成物に関し、該組成物は、水性連続相を有し、ポリマーの粒子の水性分散物の少なくとも1、組成物の総重量に対して1重量%以上の固形分における少なくとも1のポリ電解質、但し、該ポリ電解質は、アラビアゴム以外である、及び6以上のHLBを有する少なくとも1の界面活性剤を含み、該ポリマーは組成物の総重量に対して5重量%以上の固形分で存在する。
【0015】
第三の側面に従うと、本発明は、ケラチン物質をメイクアップする及び/又はケアするための組成物に関し、該組成物は水性連続相を有し、イオン化可能なモノマーを含まないポリマーの粒子の水性分散物の少なくとも1、少なくとも1のポリ電解質、及び6以上のHLBを有する少なくとも1の界面活性剤を含み、該ポリマーは、組成物の総重量に対して5%以上の固形分で存在する。
【0016】
第四の側面に従うと、本発明は、ケラチン物質をメイクアップする及び/又はケアするための組成物に関し、該組成物は、水性連続相を有し、ポリマー粒子水性分散物の少なくとも1、少なくとも1のワックス、及び組成物の総重量に対して0.4重量%以上の固形分の少なくとも1のポリ電解質を含み、但し該ポリ電解質はアラビアゴム以外であり、該ポリマーが組成物の総重量に対して2重量%以上の固形分で存在するとき、該組成物は少なくとも1の塩を含み、かつ該組成物は以下の組成物とは異なる:

【0017】
ワックスミクロ分散物は以下の組成を有する:

【0018】
第五の側面に従うと、本発明はケラチン物質に上で定義された任意の組成物を施与する少なくとも1の工程を含む、ケラチン物質をメイクアップする及び/又はケアするための化粧方法に関する。
【0019】
第六の面に従うと、本発明は、上で定義された方法に従って得られうるメイクアップを含む、メイクアップされた土台(support)に関する。
【0020】
第七の側面に従うと本発明は、ポリマーの粒子の少なくとも1の水性分散物を含む水性連続相を有する化粧料組成物に良好な耐水性及び除去容易性を一緒に与える添加剤として、少なくとも1のポリ電解質、及び25℃において6以上のHLBを有する少なくとも1の界面活性剤の組み合わせを使用する方法に関する。
【0021】
下の実施例から分かるように、本発明に従う組成物は、上に概略を述べられた技術的な利点を示す。
【0022】
用語「水性連続相を有する化粧料組成物」とは、水と接触すると希釈される、又は分散されることができる系を意味する。
【0023】
用語「揮発性の有機オイル又は溶媒」とは、室温及び大気圧において皮膚と接触したとき1時間未満内に蒸発することのできる任意の有機オイル又は溶媒(又は非水性の媒体)を意味する。揮発性オイルは揮発性の化粧料オイルであり、それは室温において液状であり、室温及び大気圧においてゼロではない蒸気圧、特に0.13Pa〜40000Pa(10−3〜300mmHg) の範囲、好ましくは1.3Pa〜8000Pa(0.01〜60mmHg)の範囲の蒸気圧を有する。
【0024】
本発明の文脈において、用語「ケラチン物質」は、皮膚、口唇、爪、毛髪、睫、及び眉毛を含む。
【0025】
本発明の文脈において、用語「ケラチン繊維」は、特に毛髪、睫、及び眉毛を意味する。さらに、皮膚をメイクアップすることは、身体、手、首又は顔をメイクアップすることを特に含む。
【0026】
本発明に従う組成物は、生理学的に許容できる媒体、特に化粧料的に許容できる媒体、即ち特にケラチン物質、及び特にケラチン繊維、例えば毛髪、睫、及び眉毛と相溶性である媒体を含む。
【0027】
本発明の文脈において、用語「化粧料的に許容できる」とは、その使用がケラチン物質への施与と両立する化合物であることを意味する。
【0028】
一般的に簡単のため、そして別に述べられない限り、含有物は固体として示される。
【0029】
ポリ電解質
用語「ポリ電解質」は、水又は任意の他のイオン化媒体に溶解されたとき、解離して、少なくとも1のイオンを与える能力を有する巨大分子物質を意味する。言い換えると、ポリ電解質は、少なくとも1のイオン化可能なモノマーを含むポリマーである。
【0030】
特に、ポリ電解質は、水に溶解されたとき、ポリイオン、例えばポリアニオンを与え得る。ポリ電解質は、ポリ酸、ポリ塩基、ポリ塩、ポリ両性電解質であり得る。本発明の文脈において、ポリ電解質は、好ましくはポリ酸、及び好ましくは強いポリ酸である。
【0031】
好ましくは、本発明に従う化粧料組成物中に含まれるポリ電解質は、分岐及び/又は架橋されたアニオン性ポリマーである。
【0032】
好ましくは、ポリ電解質は、(固体の)0.5重量%において、溶液中でゲルを形成することもまたできる。
【0033】
有利に、それは水性分散物中におけるポリマーとはまた異なる。
【0034】
解離の間に形成されるポリイオンの対イオンは、鉱物性又は有機性、又は任意の性質であり得る。
【0035】
特に、ポリ電解質が分岐状、又は架橋されたアニオン性ポリマーであるとき、カチオンは、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属カチオン、例えばナトリウム、又はカリウム、又はアンモニウムイオンであり得る。
【0036】
ナトリウム陽イオンNaが好ましく、このことはそれが、以下のポリ電解質のリストに主に記載されている理由であるが、これは、この特定の対イオンになんら制限を構成しない。
【0037】
挙げられ得るポリ電解質は以下を含む:
・アクリルアミド/Na AMPSコポリマー、例えばSEPPIC社により販売されている、ポリソルベート80を界面活性剤として含み、イソヘキサデカンをオイル相として含むエマルジョン形態におけるSimulgel 600(商標)、又は同社により販売されているSimulgel EG(商標),Simulgel A(商標)及びSimulgel 501(商標)
Simulgel 600(商標)は、特にフランス国特許出願公開第2 785 801号に記載されている。それは実際には、逆ラテックスである。AMPSポリ電解質は、部分的、又は全体的に特にナトリウム塩又はアンモニウム塩の形で、AMPS及びアクリルアミド、該アクリルアミド自身は50〜70%の割合で存在する、をもまた含む混合物中で30モル%〜50モル%の割合まで塩化された2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸である。
・粉末状の、架橋された澱粉グリコレートナトリウム、
・ポリアクリレートナトリウム、例えばAtofina社により販売されているNorsocryl S35(商標)、又はCognis社により販売されているCosmedia SP(商標)
・イオン化可能な多糖類誘導体、例えばセルロース塩、及びアルギン酸ナトリウム塩
澱粉に基づくグラフト化されたコポリマー、例えばGrain Processing Corporation社製のWaterlock(商標)製品(例えばA−180及びG−400)、
・Synthalen K(商標)タイプのポリアクリル酸、
・Pemulenタイプのポリアクリル酸アルキルアクリレートコポリマー
・Clariant社により販売されているAMPS(アンモニアで部分的に中和され、かつ高度に架橋されたポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、
・ポリオキシエチレン化されたAMPS/アルキルメタクリレートコポリマー(架橋された又は架橋化されていない)、
・カルボキシメチルセルロースナトリウム、および任意のイオン化可能なセルロース誘導体、
・及びそれらの混合物。
【0038】
ポリアクリレートナトリウム、及びアクリルアミド/AMPSコポリマー及びそれらのコポリマーは、本発明における使用に最も適する。
【0039】
除去性が効果的に改善され、同時に化粧料組成物の耐水性に対して不利益ではないように、ポリ電解質の含有量が明らかに調節される。
【0040】
ポリ電解質の量は、ポリ電解質の性質に依存して有意に変動し得ることが理解される。一般的に、この量は、上記組成物によりよい除去性を与えるのに必要であり、十分である量に少なくとも等しい量である。それは効果的な量ともまた呼ばれる。
【0041】
この除去性は、下の実施例において与えられる試験により特に評価され得る。
【0042】
これは本発明になんら制限を構成することなく、本発明者らは、ポリ電解質は「水のポンプ」として作用するという理論を提唱した。すなわち、組成物がメイクアップ除去のときに水性相と接触におかれるとき、この「水のポンプ」の役割は、より明らかに見られる。メイクアップ除去の間、本発明に従う化粧料組成物のフィルムは、表面がもろくなり、その機械的破壊をもたらす;次にフィルムの破砕が起きる。
【0043】
ポリ電解質は、組成物の総重量に対して表されて、0.05重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、特に0.4重量%の重量含有量において存在し得る。
【0044】
特に、ポリ電解質は、組成物の総重量に対して0.1〜15重量%、特に0.2重量%〜10重量%、より特に0.3重量%〜5重量%の範囲の含有量で化粧料組成物中に存在し得る。
【0045】
ポリ電解質は、組成物の総重量に対して1重量%〜15重量%、特に1.5重量%〜10重量%、特に2重量%〜7重量%の範囲の含有量で化粧料組成物中に存在し得る。
【0046】
さらに別の本発明に従う実施態様に従うと、ポリ電解質は、組成物の総重量に対して 0.4重量%〜15重量%,特に1重量%〜10重量%、特に1.5重量%〜7重量%の範囲の含有量で、組成物中に存在し得る。
【0047】
界面活性剤
【0048】
本発明に従う組成物は、25℃において6以上のHLBを有する少なくとも1の界面活性剤を含み得る。
【0049】
1つの特定の実施態様に従うと、組成物の総重量に対して0.1重量%以上の界面活性剤の重量含有量を含み得る。界面活性剤は、特に、組成物の総重量に対して0.1〜30重量%、1重量%〜15重量%、よりさらに2重量%〜10重量%の範囲の割合で存在し得る。
【0050】
ポリ電解質が本発明の組成物中へ、25℃において6以上のHLBを有する界面活性剤を既に配合されている組成物の形で取り込まれるとき、上で定義された界面活性剤の量は、ポリ電解質配合物に含まれる上記界面活性剤の量を考慮に入れることが理解される。
【0051】
用語「6以上のHLB」は、Griffinの意味において、6以上の、25℃におけるHLB(親水性−親油性のバランス)を有する界面活性剤を意味する。
【0052】
Griffinに従うHLB値は、J.Soc.Cosm.Chem.1954年 (第5巻),249〜256ページにおいて定義されている。
【0053】
界面活性剤の性質及び機能(乳化)の定義については、書類「化学技術の百科事典、Kirk−Othmer」、第22巻、333〜432ページ、第3版、1979年、ワイリーを参照されたい、特にノニオン界面活性剤については、この参考文献の347〜377ページを参照されたい。
【0054】
本発明に従う化粧料組成物に含まれる、25℃において6以上のHLBを有する界面活性剤は、イオン性、ノニオン性、又は混合されたイオン性及びノニオン性であり得る。
【0055】
25℃において6以上のHLBを有する界面活性剤がノニオン性である化粧料組成物は、本発明における使用に最も特に適する
【0056】
単独で又は混合物として使用される、本発明に従う組成物中に存在し得る、25℃において6以上のHLBを有するノニオン性界面活性剤の中では、以下のものが特に挙げられ得る:
・グリセロールのオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化されたエーテル(1〜150のオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基を含み得る);
・脂肪族アルコール(特にC〜C24,好ましくはC12〜C18アルコール)のオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化されたエーテル(1〜150のオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基を含み得る)、例えば30のオキシエチレン基を含むオキシエチレン化セタリールアルコール(CTFA名「Ceteareth−30」)、及びShell Chemicals社により「Neodol 25−7(商標)」の名前で販売されている7のオキシエチレン基を含むC12〜C15の脂肪族アルコールの混合物のオキシエチレン化されたエーテル(CTFA名「C12〜C15Pareth−7」);
・ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル(特にC〜C24,好ましくはC16
22の酸)(1〜150のエチレングリコール単位を含み得る)、例えば及びICI Uniqema社により販売されているMyrj 52P(商標)の名前の下で販売されているPEG−50ステアレート及びPEG−40モノステアレート;
オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化されたグリセリルエーテルの脂肪酸エステル(1〜150のオキシエチレンオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基を有し得る)(特にC〜C24好ましくはC16〜C22)、例えばSEPPIC 社により「Simulsol 220 (商標)」の名前で販売されているPEG−200グリセリルモノステアレート;30のエチレンオキシド基を有するポリエトキシレート化されたグリセリルステアレート、例えばGoldschmidt社により販売されている製品Tagat S(商標)、30のエチレンオキシド基を有するポリエトキシレート化されたグリセリルオレエート、例えばGoldschmidt社により販売されている製品Tagat O(商標)、30のエチレンオキシド基を有するポリエトキシレート化されたグリセリルココエート、例えばSherex社により販売されている製品Varionic LI 13(商標)、30のエチレンオキシド基を有するポリエトキシレート化されたグリセリルイソステアレート、例えばGoldschmidt社により販売されている製品Tagat L(商標)、及び30のエチレンオキシド基を有するポリエトキシレート化されたグリセリルラウレート、例えばGoldschmidt社により販売されている製品Tagat I(商標);
・オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化されたソルビトールエーテル(1〜150のオキシエチレンオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化されたオキシプロピレン基を有し得る)脂肪酸エステル(特にC〜C24、及び好ましくはC16〜C22酸)、例えばUniquema社により「Tween 60(商標)」の名前で販売されているポリソルベート60、及びポリソルベート80、ポリソルベート40、及びポリソルベート20;
・ジメチコンコポリオール、例えばダウコーニング社により「Q2−5220(商標)」の名前で販売されている製品、
・ジメチコンコポリオールベンゾエート(Finetex社によるFinsolv SLB 101(商標)及び201(商標));
・プロピレンオキサイド及びエチレンオキサイドのコポリマー、EO/PO重縮合体としてもまた公知である;
及びそれらの混合物。
【0057】
EO/PO重縮合体は、より特に、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールブロックからなるコポリマーであり、例えばポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールのトリブロック重縮合体である。これらのトリブロック重縮合体は、例えば以下の化学構造を有する:
【0058】
【化1】

ここでaは2〜120であり、bは1〜100である。
【0059】
EO/PO重縮合体は好ましくは1000〜15 000、さらによりよく2000〜13 000の範囲の重量平均分子量を有する。有利には、該EO/PO重縮合体は、20℃以上、好ましくは、60℃以上の、10g/蒸留水1Lにおける曇り点を有する。曇り点は、ISO標準1065に従って測定される。本発明に従って使用され得るEO/PO重縮合体としてICI社によりSynperonic(商標)、例えばSynperonic PE/L44(商標)及びSynperonic PE/E127(商標)の名前で販売されているポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールトリブロック重縮合体が挙げられ得る。
【0060】
単独で又は混合物として使用され、本発明に従う組成物中に存在してもよい、25℃において6以上のHLBを有する、アニオン性又はカチオン性であってもよい、イオン性界面活性剤の中で、特に以下のものが挙げられ得る:
・シリコーン界面活性剤、例えばジメチコンコポリオールホスフェート、例えばPhoenix Chemical社によりPecosil PS 100(商標)の名前で販売されている製品、
・アミノ酸誘導体、例えばラウリルサルコシネート、及びラウリルタウレート、
・C16〜C30脂肪酸の塩、特にアミンから誘導されるもの、例えばトリエタノールアミンステアレート;
・ポリオキシエチレン化された脂肪酸の塩、特にアミン又はアルカリ金属塩から誘導されたもの、及びそれらの混合物;
・リン酸エステル及びそれらの塩、例えば「DEA oleth−10 ホスフェート」(Croda社製のCrodafos N 10N);
・スルホサクシネート、例えば「PEG−5サイトレートラウリルスルホサクシネート二ナトリウム」及び「リシノールアミドMEAスルホサクシネート二ナトリウム」;
・アルキルエーテルサルフェート、例えばラウリルエーテルサルフェートナトリウム塩;
・イセチオネート;
・アシルグルタメート例えば「水素化牛脂グルタメート二ナトリウム」(味の素社により販売されているアミソフトHS−21R)、及びそれらの混合物。
【0061】
トリエタノールアミンステアレートは、本発明に最も特に適する。この界面活性剤は、一般的にステアリン酸及びトリエタノールアミンを単に混合することにより得られる。
【0062】
特に挙げられ得る代表的なカチオン性界面活性剤は、
アルキルイミダゾリジニウム、例えばイソステアリルエチルイミドニウムエトサルフェート、
アンモニウム塩、例えばN,N,N−トリメチル−1−ドコサアナミニウム クロライド(ベヘントリモニウムクロライド)
を含む。
【0063】
本発明に従う組成物は、1以上の両性界面活性剤、例えばN−アシルアミノ酸、例えばN−アルキルアミノアセテート及びココアンホジアセテート二ナトリウム、及びアミンオキサイド、例えばステアラミンオキサイド、又はシリコーン界面活性剤、例えばジメチコンポリオールホスフェート例えばPhoenix Chemical社により「Pecosil PS 100」の名前で販売されている製品をもまた含む。
【0064】
25℃において6以上のHLBを有するノニオン性及びイオン性界面活性剤もまた組み合わせて存在し得る。
【0065】
さらに、本発明に従う化粧料組成物は、25℃において8以上、特に10以上、特別に12以上のHLBを有する1以上の界面活性剤を好ましくは含む。
【0066】
本発明における使用に最も適する、25℃において6以上のHLBを有するノニオン性界面活性剤は、オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化された(おそらく1〜150のオキシエチレン基を含む)ソルビトールエーテルの脂肪酸エステル、例えば16.7のHLBを有するポリソルベート20、15.6のHLBを有するポリソルベート40、14.9のHLBを有するポリソルベート60、及び15.0のHLBを有するポリソルベート80である。
【0067】
本発明に従う組成物は、他の界面活性剤を含み得、例えば該組成物中へのポリマーの粒子の水性分散物の導入により導入され、これらの界面活性剤は慣用的にそれらを安定化させるために使用されている。
【0068】
ポリマー粒子/ラテックス及び擬ラテックスの水性分散物
ラテックス及び擬ラテックスは、水性脂質相中のポリマー粒子のコロイド状分散物である。用語「ポリマー粒子の水性分散物」及び「ラテックス及び擬ラテックス」は、本発明の記載の文脈において区別することなく使用される。
【0069】
ラテックスは、当業者に周知である方法に従ってモノマーの懸濁重合化又はエマルジョン重合化又は共重合化により一般的に得られる。そのようなモノマーは、特にスチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、クロロプレン、ビニルアセテート、ウレタン、イソプレン、イソブチレン、及びアクリル酸又はメタクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、又はイタコン酸又はそれらのエステル又はアミドから選択され得る。
【0070】
用語「擬ラテックス」は、ポリマーの一般的に球形粒子からなる分散物を意味し、これらの粒子はポリマーを適切な水性相に分散することにより得られる。
【0071】
用語「擬ラテックス」は、上述されたように、適切な水性相における1以上のモノマーの重合化により直接得られるポリマー粒子からなる分散物を意味する「ラテックス」及び「合成ラテックス」と混同されるべきではない。
【0072】
これらのラテックス又は擬ラテックスは、本発明の対象である化粧料組成物に耐水性を与えるのに有利であるフィルム形成性を有する。これらのラテックス又は擬ラテックスに含まれるポリマーは即ちフィルム形成性ポリマーともまた呼ばれる。
【0073】
より具体的には、本発明において、用語「フィルム形成性ポリマー」は、自分自身で、又はフィルム形成助剤の存在下、ケラチン物質に接着する肉眼的に連続するフィルム、好ましくは粘着性フィルムを形成できるポリマー、よりよくは、フィルムの粘着性及び機械的特性が、例えば上記フィルムが非粘着性の表面、例えばテフロン(商標)で被覆された、又はシリコーンで被覆された表面の上にキャスチングすることにより製造されるとき、単離され得、分離して操作され得るようなものであるフィルムを形成できるポリマーを意味する。
【0074】
本発明に従う組成物に含まれるラテックス又は擬ラテックスに含まれ得るフィルム形成性ポリマーの中で挙げられ得るのは、重縮合タイプ又はフリーラジカルタイプの合成ポリマーであり得る。
【0075】
これらのフィルム形成性ポリマーは、前に定義されたポリ電解質とは好ましくは異なる。
【0076】
合成ポリマー
重縮合体の中では、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、又は両性ポリウレタン、ポリウレタン−アクリル、ポリウレタン−ポリビニル−ピロリドン、ポリエステル−ポリウレタン、ポリエーテル−ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレア/ポリウレタン、及びそれらの混合物が挙げられ得る。
【0077】
ポリウレタンは、単独で又は混合物として以下:
・直線又は分岐状脂肪族及び/又は環状脂肪族及び/又は芳香族ポリエステル起源の少なくとも1のブロック、及び/又は
・脂肪族及び/又は環状脂肪族及び/又は芳香族ポリエーテル起源の少なくとも1のブロック、及び/又は
・置換されている又は置換されていない分岐状又は分岐状でない、少なくとも1のシリコーンブロック、例えばポリジメチルシロキサン又はポリメチルフェニルシロキサン、及び/又は
・弗素基を含む少なくとも1のブロック
を含む、例えば、脂肪族、環状脂肪族、又は芳香族ポリウレタン、ポリウレア/ポリウレタン又はポリウレア共重合体である。
【0078】
本発明において定義されるポリウレタンは、分岐状又は非分岐状のポリエステル又は不安定な水素を含むアルキドからもまた得られ得、それらは、カルボン酸又はカルボキシレート基、又はスルホン酸又はスルホネート基、又は中和化可能な3級アミン基、又は4級アンモニウム基のいずれかをもまた含むジイソシアネート及び2官能性有機性の共反応性化合物(例えばジヒドロ、ジアミノ、又はヒドロキシアミノ)との多重付加により変性される。
【0079】
ポリエステル、ポリエステルアミド、脂肪鎖ポリエステル、ポリアミド及びエポキシエステル樹脂もまた挙げられ得る。
【0080】
ポリエステルは、公知の様式、脂肪族又は芳香族二酸の脂肪族又は芳香族ジオール又はポリオールとの重縮合により得られ得る。コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、又はセバシン酸が脂肪族二酸として使用され得る。テレフタル酸、又はイソフタル酸、又は誘導体、例えばフタル酸無水物が芳香族二酸として使用され得る。エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、及び4,4−N−(1−メチル−プロピリデン)ビスフェノールが脂肪族ジオールとして使用され得る。グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、及びトリメチロールプロパンがポリオールとして使用され得る。
【0081】
ポリエステルアミドは、ポリエステルと同様の様式で、二酸とジアミン又はアミノアルコールとの重縮合により得られ得る。エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、又はメタ−又はパラ−フェニレンジアミンが、ジアミンとして使用され得る。モノエタノールアミンは、アミノアルコールとして使用され得る。
【0082】
重縮合の間に使用され得るアニオン性の基を有するモノマーとして、例えばジメチロールプロピオン酸、トリメリット酸、又は誘導体、例えばトリメリット酸無水物、ペンタンジオール−3−スルホン酸のナトリウム塩、及び5−スルホ−1,3−ベンゼンジカルボン酸のナトリウム塩が挙げられ得る。脂肪鎖ポリエステルは、重縮合の間に脂肪鎖ジオールを用いて得られ得る。エポキシエステル樹脂は、脂肪酸とα,ω−ジエポキシ末端を有する縮合体との重縮合により得られ得る。
【0083】
フリーラジカルポリマーは、特にアクリル及び/又はビニルポリマー又はコポリマーであり得る。
【0084】
アクリルポリマーは、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル及び/又はアミドから選択されたモノマーの共重合化から生じ得る。エステルタイプのモノマーの例として、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、及びラウリルメタクリレートが挙げられ得る。アミドタイプのモノマーの例として、N−t−ブチルアクリルアミド及びN−t−オクチルアクリルアミドが挙げられ得る。
【0085】
親水性基、好ましくはノニオン性、を含むエチレン性不飽和モノマー、例えばヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、及び2−ヒドロオキシプロピルメタクリレートの共重合化により得られたアクリルポリマーが好ましく使用される。
【0086】
ビニルポリマーは、ビニルエステル、スチレン、又はブタジエンから選択されたモノマーのホモ重合化、又は共重合化から得られ得る。ビニルエステルの例として、ビニルアセテート、ビニルネオデカノエート、ビニルピバレート、ビニルベンゾエート、及びビニルt−ブチルベンゾエートが挙げられ得る。
【0087】
アクリル/シリコーン共重合体又はニトロセルロース/アクリル共重合体もまた使用され得る。
【0088】
ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリエステルアミド、及び/又はアルキドからなる群から選択される少なくとも1のポリマーの以前から存在するポリマーの粒子の内部で、及び/又は部分的に表面において1以上のフリーラジカルモノマーのフリーラジカル重合化から生じるポリマーも又挙げられ得る。これらのポリマーは一般的に、「ハイブリッドポリマー」と呼ばれる。
【0089】
使用され得るフィルム形成性ポリマーの水性分散物は、Avecia−Neoresins社による「Neocryl XK−90(商標)」、「Neocryl A−1070(商標)」,「Neocryl A−1090(商標)」,「Neocryl BT−62(商標)」,「Neocryl A−1079(商標)」,及び「Neocryl A−523(商標)」の名前で販売されるアクリル分散物、Dow Chemical社による「Dow Latex 432(商標)」、Daito Kasey Kogyo社による「Daitosol 5000 AD(商標)」及び「Daitosol 5000 SJ(商標)」;Interpolymer社による「Syntran 5760(商標)」、ロームアンドハース社による「Allianz Opt(商標)」、あるいはAvecia−Neoresins社による「Neorez R−981 (商標)」、及び「Neorez R−974(商標)」、Goodrich社による「Avalure UR−405(商標)」、「Avalure UR−410(商標)」、「Avalure UR−425(商標)」、「Avalure UR−450(商標)」、「Sancure 875(商標)」、「Sancure 861(商標)」、「Sancure 878(商標)」、及び「Sancure 2060(商標)」、Bayer社による「Impranil 85(商標)」、Hydromer社による「Aquamere H−1511(商標)」の名前で販売されるポリウレタンの水性分散物;Eastman Chemical Products社による商品名「EastmanAQ(商標)」で販売されているスルホポリエステル、ビニルの分散物、例えば「Mexomere PAM」、ポリビニルアセテートの水性分散物、例えば日進化学社製の「Vinybran(商標)」、又はUnion Carbide社から販売されているもの、ビニルピロリドン、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、及び塩化ラウリルジメチルプロピルメタクリルアミドアンモニウムのターポリマーの水性分散物、例えばISP製の「Styleze W(商標)」、ポリウレタン/ポリアクリルハイブリッドポリマーの水性分散物、例えばAir Productsにより製品名「Hybridur(商標)」で、又はNational Starch社により「Duromer(商標)」で販売されているもの、コア/シェルタイプの分散物:例えばAtofina社により製品名「Kynar」(コア:フルオロ、シェル:アクリル)で販売されているもの、又は米国特許第5 188 899号に記載されているもの(コア:シリカ、シェル:シリコーン)、及びそれらの混合物を含む。
【0090】
ポリマーの粒子の水性分散物の固形分は、組成物の総重量に対して2重量%以上、特に5重量%、特に7重量%、特に10重量%、及び特に50重量%未満、より特に30重量%未満である。
【0091】
本発明のある実施態様に従うと、水性分散物の粒子を構成するポリマーは、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸、及びスルホイソフタル酸の縮合により得られるコポリマーとは異なる。ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸、及びスルホイソフタル酸の縮合により得られた、この特定のコポリマーは、スルホポリエステルのカテゴリーに含まれる。それはEastman Chemical Products社により、特に商標名「Eastman AQ(商標)」、例えば製品番号「Eastman AQ 55−S (商標)」又は「Eastman AQ 38−S(商標)」で販売されている。
【0092】
水性分散物の粒子を構成するポリマーがイオン化可能なモノマーを含まないようにすることが可能である。上述されたスルホポリエステルは特にそのようなイオン化可能なモノマーを含み、水に対するある程度の親和性を与える。しかし、フィルム形成性ポリマーが水に対してそのような親和性を有しない組成物が好ましい。
【0093】
本発明の1つの実施態様に従って、組成物は、フィルム形成性ポリマーによるフィルムの形成を促進する可塑剤を含み得る。そのような可塑剤は、所望される機能を遂行することがきると当業者に公知である任意の化合物から選択され得る。
【0094】
水及び/又は水溶性溶媒
本発明に従う組成物は、水及び/又は少なくとも水溶性溶媒を含む水性相を含む。
【0095】
本発明において、用語「水溶性溶媒」は、室温において液状であり、水と混和性がある(25℃、及び大気圧において50重量%超の水における混和性)である化合物を意味する。
【0096】
本発明に従う組成物中で使用され得る水溶性溶媒は、揮発性であってもよい。
【0097】
本発明に従う組成物において使用され得る水溶性溶媒の中で、1〜5の炭素原子を有する低級モノアルコール、例えばエタノール又はイソプロパノール、2〜8の炭素原子を有するグリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、及びジプロピレングリコール、C〜Cのケトン、及びC〜Cのアルデヒドが挙げられ得る。
【0098】
水性相(水及び/又は水溶性溶媒)は、本発明に従う組成物中へ、変性されていない形で導入され得るか、又は該組成物を構成する1以上の成分によりそこに取り込まれる。すなわち、水は特に組成物中にラテックス又は擬ラテックスを導入することにより導入され得る。
【0099】
本発明に従う組成物中の水及び/又は水溶性溶媒の含有量は、組成物の総重量に対して、好ましくは20〜90重量%、より好ましくは25〜70重量%、より特に30〜65重量%である。
【0100】
化粧料組成物は、溶解された塩をもまた含み得る。この塩は、任意の化粧料的に許容できる鉱物塩又は有機塩であり得る。この点に関して、特にEDTA,デヒドロ酢酸二ナトリウム、NaCl,KCl,CuSO、MgCl,NaOH及びNaSOが挙げられ得る。好ましくは、この塩は、5000g/モル、特に800g/モル以下のモル質量を有する。本発明の意味内で塩は、好ましくは上述された界面活性剤とは異なる。
【0101】
本発明の特に好ましい、1つの変形に従うと、ラテックス又は擬ラテックスは、組成物の総重量に対して5重量%以上、より特に10重量%以上の濃度で存在し得、その場合は、組成物は少なくとも1の塩を含む。
【0102】
構造化剤(structuring agent)
本発明に従う組成物は、ワックス、半液晶ポリマー及び親油性ゲル化剤、及びそれらの混合物から選択される、オイル相又は有機溶媒を構造化するための剤を少なくとも1含み得る。
【0103】
構造化剤は 組成物の総重量に対して0.1〜80重量%、好ましくは0.5〜50重量%、さらにより好ましくは1〜40重量%に相当し得る。油性の構造化剤の量は、該剤の構造化の特性の関数として当業者により調節され得る。
【0104】
ワックス
ワックスは一般的に室温(25℃)において固体であり、状態の固体/液体の可逆変化を有し、30℃以上、200℃まで、特に120℃までであり得る融点を有する親油性の化合物である。
【0105】
ワックスを液状の(溶融している)形態に至らせることにより、オイルと混和性にし、微視的に均一な混合物を形成することが可能であるが、該混合物を室温に冷却すると、混合物のオイル中でのワックスの再結晶化が得られる。
【0106】
特に、本発明に適するワックスは、45℃以上、特に55℃以上の融点を有し得る。
【0107】
本発明の目的のために、融点は、ISO標準11357−3;1999に記載される熱分析(DSC)により観察される最も発熱的なピークの温度に対応する。ワックスの融点は示差走査熱量計(DSC)、例えばTA Instruments社により「MDSC 2920」の名前で販売されている熱量計を用いて測定されうる。
【0108】
測定プロトコルは以下のようである:
【0109】
ルツボに入れられた5mgのワックスの試料は、加熱速度10℃/分において−20℃から100℃の範囲の第一昇温に付され、次に10℃/分の冷却速度で10℃から−20℃に冷却され、最終的に5℃/分の加熱速度において−20℃から100℃の範囲の第2昇温に付される。第2昇温の間に、空のルツボ及び試料のワックスを含むルツボにより吸収されるエネルギーの差の変化が温度の関数として測定される。化合物の融点は、温度の関数としての吸収されたエネルギーの差の変化を表す曲線のピークの頂上に対応する温度値である。
【0110】
本発明の組成物において使用され得るワックスは、室温において固体である動物、植物、鉱物、又は合成起源のワックス、及びそれらの混合物から選択される。
【0111】
本発明の組成物において使用され得るワックスは、一般的に0.01MPa〜15MPaの範囲の、特に0.05MPaより高い、特に0.1MPaより高い硬度を有する。
【0112】
硬度は、Rheo社によりTA−XT2i(商標)の商品名の下に販売されるテクスチュロメーター(直径2mmのステンレススチールのシリンダースピンドルが装備されている)を用いて、以下の操作の間に、時間の関数としての力(圧縮力又は延伸力)(F)の変化を測定することにより、20℃において測定された圧縮力を測定することにより決定される。
【0113】
スピンドルは0.1mm/分の速度で移動され、次にワックスに0.3mmの浸透深さまで浸透する。スピンドルが0.3mmの深さまで浸透したとき、スピンドルは1秒間(緩和時間に相当する)静かに保たれ、次に0.1mm/秒の速度で引き抜かれる。緩和時間の間、力(圧縮力)はそれがゼロになるまで大きく減少し、そして次にスピンドルの引き抜きの間に力(延伸力)が負になり、次に0の値に向かって再び上昇する。硬度はスピンドルの表面とワックスが接触するようになる瞬間におけるスピンドルの表面とワックスとの間で測定される最大圧縮力に対応する。この力の値はMPaで表される。
【0114】
硬度を測定するために、ワックスはワックスの融点+20℃の温度において溶融される。溶融されたワックスは直径30mm、深さ20mmの容器に注がれる。ワックスは室温(25℃)において24時間再結晶化され、次に、硬度の測定を行う前に20℃において少なくとも1時間貯蔵される。
【0115】
本発明に適するワックスの例として、特に炭化水素をベースとするワックス、例えば蜜蝋、ラノリンワックス、イボタ蝋、ハゼ蝋、パラフィン、ある種のポリエチレンワックス及びワックス状のコポリマー、及びそれらのエステルが挙げられ得る。
【0116】
直鎖又は分岐のC〜C32の脂肪鎖を含む動物又は植物オイルの触媒的水素化により得られたワックスもまた挙げられ得る。これらの中で特に挙げられ得るワックスは、異性化されたホホバオイル、例えばDesert Whale社により「Iso−Jojoba−50(商標)」の商品番号で製造又は販売されているtrans異性化された部分的に水素化ホホバオイル、水素化ヒマワリ油、水素化ひまし油、水素化ココナッツ油、水素化ラノリン、及びHeterene社により「Hest 2T−4S(商標)」の名前で販売されているビス(1,1,1−トリメチロールプロパン)テトラステアレートである。
【0117】
シリコーンワックス及びフルオロワックスもまた挙げられ得る。
【0118】
Sophim社により「Phytowax ricin 16L64(商標)」及び「22L73(商標)」の名前で販売されているセチルアルコールでエステル化されたひまし油の水素化により得られるワックスもまた使用され得る。そのようなワックスは、フランス国特許出願公開第2792190号に記載されている。
【0119】
1つの特定な実施態様に従って、本発明の組成物は少なくとも1の「粘着性のある」ワックス、すなわち0.7N.s以上の粘着性及び3.5Mpa以下の硬度を有するワックスを含み得る。
【0120】
粘着性のあるワックスを使用することは、ケラチン繊維に容易に塗布し、ケラチン繊維によくつき、滑らかで均一で濃くするメイクアップの生成をもたらす化粧料組成物の製造を可能にする。
【0121】
使用される粘着性のあるワックスは、0.7N.s〜30N.sの範囲、特に1N.s以上、とりわけ1N.s〜20N.sの範囲、特に2N.s以上、とりわけ2N.s〜10N.sの範囲、特に2N.s〜5N.sの範囲の粘着性を有する。
【0122】
ワックスの粘着性は、Rheo社によりTA−TX2i(商標)の商品名の下に販売されるテクスチュロメーター(45度の角度を形成する円錐形のアクリルポリマーのスピンドルが装備されている)を用いて、時間の関数としての力(圧縮力又は延伸力)の変化を20℃において測定することにより決定される。
【0123】
測定プロトコルは以下のとおりである:
【0124】
ワックスはワックスの融点+10℃に等しい温度において溶融される。溶融されたワックスは直径25mm、深さ20mmの容器に注がれる。ワックスの表面が平らでかつ滑らかになるように、ワックスは室温(25℃)において24時間再結晶化され、次に粘着度の測定の前に20℃において少なくとも1時間貯蔵される。
【0125】
テクスチュロメーターのスピンドルは0.5mm/秒の速度で移動され、次に2mmの浸透深さまでワックスに浸透する。スピンドルが2mmの深さまで浸透したとき、スピンドルは1秒間(緩和時間に相当する)静かに保たれ、次に0.5mm/秒の速度で引き抜かれる。
【0126】
緩和時間の間、力(圧縮力)はそれがゼロになるまで大きく減少し、そして次にスピンドルの引き抜きの間に力(延伸力)が負になり、次に0の値に再び上昇する。粘着度は、力の負の値(延伸力)に対応する曲線の部分に対する時間の関数としての力の曲線の積分に相当する。粘着度の値はN.sで表される。
【0127】
使用され得る粘着性ワックスは、一般的に3.5MPa以下、特に0.01MPa〜3.5MPaの範囲、とりわけ0.05MPa〜3Mpa、あるいは0.1MPa〜2.5MPa の範囲さえ、の硬度を有する。
【0128】
硬度は前に記載されたプロトコルに従って測定される。
【0129】
使用され得る粘着性ワックスは、C20〜C40のアルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)−ステアレート(20〜40の炭素原子を含むアルキル基)を単独で又は混合物として含み、特に式(II)のC20〜C40のアルキル12−(12’−ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート
【0130】
【化2】

ここで、mは18〜38の範囲の整数である、又は式(I)の化合物の混合物を含む。
【0131】
そのようなワックスは特にKoster Keunen社により Kester Wax K82P(商標)」及び「Kester Wax K80P(商標)」の名前で特に販売されている。
【0132】
上に記載されたワックスは、一般的に45℃未満の溶融開始温度を有する。
【0133】
本発明において、約0.5〜30ミクロメートル、特に1〜20ミクロメートル、より特に5〜10ミクロメートルの平均「有効」体積直径D[4.3]として表される寸法を有する小さい粒子の形で供給されるワックスもまた使用され得、該ワックスは以降ミクロワックスと呼ばれる。区別のため、より大きいサイズのフラグメントの形で本発明に従って使用されるワックスは、以降「慣用のワックスと呼ばれる。
【0134】
粒子サイズは、種々の技術により測定され得る;特に光散乱技術(動的及び静的)、Coulterカウンター法、沈殿速度測定(ストークスの法則によるサイズに関連する)、及び顕微鏡が挙げられ得る。これらの技術は、粒子の直径、それらの内のいくつかについては、粒子サイズ分布を測定することを可能にする。
【0135】
本発明に従う組成物中の粒子のサイズ及びサイズ分布は、市販の粒度分析装置、例えばMALVERN社製の「Master Sizer 2000」を用いて静的光分散により好ましくは測定される。データは、Mie分散理論に基づいて処理される。この理論は、等方性のある粒子に対しては正確であるが、非球形の粒子の場合、「有効」粒子直径を決定することを可能にする。この理論は、特に、Van de Hulst, H.C.著の刊行物「小粒子による光分散」(Light Scattering by Small Particles)」第9及び10章,Wiley,ニューヨーク,1957年に記載されている。
【0136】
本発明の組成物において使用され得るミクロワックスとして、カルナウバミクロワックス、例えばMicro Powders社により「MicroCare 350(商標)」の名前で販売される製品、合成ミクロワックス、例えばMicro Powders社により「MicroEase 114S」の名前で販売される製品、カルナウバ蝋及びポリエチレンワックスの混合物からなるミクロワックス、例えばMicro Powders社により「Micro Care 300(商標)」及び「310(商標)」の名前で販売される製品、カルナウバ蝋及び合成ワックスの混合物からなるミクロワックス例えばMicro Powders社により「Micro Care 325(商標)」の名前で販売される製品、ポリエチレンミクロワックス、例えばMicro Powders社により「Micropoly 200(商標)」及び「220(商標)」、「220L(商標)」及び「250S(商標)」の名前で販売される製品、及びポリテトラフルオロエチレンミクロパウダー例えばMicro Powders社により「Microslip 519(商標)」及び「519L(商標)」の名前で販売される製品が挙げられ得る。
【0137】
本発明の組成物において、ワックスの混合物を使用すること、及び特に1以上の慣用のワックス、例えば特に粘着性ワックス及び/又は45℃以上の溶融開始温度を有するワックス及び/又はミクロワックスとして知られる1以上のワックスを使用することが明らかに可能である。本発明の組成物は一般的に、組成物の総重量に対して0〜70重量%の含有量のワックスを含み得る。特に、それの0.5〜50重量%、より特に1〜30重量%のワックスを含み得る。例えば
【0138】
半結晶性ポリマー
用語「ポリマー」は、少なくとも2の繰り返し単位、好ましくは少なくとも3の繰り返し単位、及びより特に少なくとも10の繰り返し単位を含む化合物を意味する。用語「半結晶性ポリマー」は、結晶化可能な部分、結晶化可能な側鎖、又は骨格中の結晶化可能なブロック、及び骨格中の非晶質部分を含み、かつ第一次の可逆相変化、特に溶融(固体−液体遷移)の温度、を有するポリマーを意味する。結晶化可能な部分がポリマー骨格の結晶可能なブロックの形であるとき、該ポリマーの非晶質部分は、非晶質ブロックの形である;この場合半結晶性ポリマーはブロックコポリマーであり、例えばジブロック、トリブロック、又は多ブロックタイプであり、少なくとも1の結晶化可能なブロック及び少なくとも1の非晶質ブロックを含む。用語「ブロック」は、一般的に少なくとも5の同一の繰り返し単位を意味する。結晶化可能なブロックは、非晶質ブロックの化学的性質とは異なる化学的性質を有する。
【0139】
半結晶性ポリマーは、30℃以上(特に30℃〜80℃)、好ましくは30℃〜60℃の範囲の融点を有する。この融点は、一次の状態変化の温度である。
【0140】
この融点は、任意の公知の方法により測定され得、特に示差走査熱量計(DSC)を用いて測定され得る。
【0141】
有利に、半結晶性ポリマーは、1000以上の数平均分子量、特に2000〜800000、好ましくは3000〜500000、よりよくは4000〜150000、特に100000未満、よりよくは4000〜99000の範囲の数平均分子量を有する。本発明の目的のため、用語「結晶化可能な差又はブロック」は、もし単独であれば、系が融点より上であるか、又は下であるかに依存して、可逆的に非晶質状態から結晶化状態に変化するであろう鎖又はブロックを意味する。本発明の目的のために、鎖は原子の群であり、それはポリマー骨格に対してペンダント状又は横方向(pendent or lateral)の鎖である。ブロックは、骨格に属する原子の群であり、この群は、ポリマーの繰り返しユニットの一部を構成する。有利に、「結晶化可能な側鎖」は、少なくとも6の炭素原子を含む鎖であり得る。
【0142】
半結晶性ポリマーは、少なくとも1の結晶化可能なブロック及び少なくとも1の非晶質ブロックを含むブロックコポリマー、及び繰り返し単位当たり少なくとも1の結晶化可能な側鎖を有するホモポリマー及びコポリマー、及びそれらの混合物から選択され得る。
【0143】
そのようなポリマーは、例えば欧州特許出願公開第 1 396 259号に記載されている。
【0144】
A.結晶化可能な側鎖を含む半結晶性ポリマー
米国特許第5 156 911号及び国際特許出願国際公開第01/19333号に定義されているものが特に挙げられ得る。それらは、結晶化可能な疎水性側鎖を有する1以上のモノマーの重合化から得られる単位を50重量%〜100重量%含むホモポリマー又はコポリマーである。
【0145】
これらのホモポリマー又はコポリマーは、前に述べられた条件を満たすならば任意の性質であり得る。
【0146】
B.少なくとも1の結晶化可能なブロックを骨格に有するポリマー
これらのポリマーは特に、異なる化学的性質の少なくとも2つのブロック、該2つのブロックの内の1つは結晶性である、から構成されるブロックコポリマーである。
【0147】
米国特許第5 156 911号に定義されているブロックコポリマーが使用され得る;
【0148】
結晶化可能な鎖を含むオレフィン又はシクロオレフィンのブロックコポリー、例えば
・シクロブテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ノルボルネン(すなわちビシクロ−(2,2,1)2−ヘプテン)、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5,6−ジメチルノルボルネン、5,5,6−トリメチルノルボルネン、5−エチリデンノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8a−オクタヒドロナフタレン又はジシクロペンタジエン、又はそれらの混合物と、
・エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、又は1−エイコセン、又はそれらの混合物とのブロック重合化から誘導されるもの、
・及び特に、コポリ(エチレン/ノルボルネン)ブロック及び(エチレン/プロピレン/エチリデン−ノルボルネン)ブロックターポリマー。少なくとも2のC〜C16、よりよくC〜C12,さらによりよくC〜C12のαオレフィンのブロックコポリマー、例えば上述されたもの、特にエチレン及び1−オクテンのブロックバイポリマーもまた使用され得る。
【0149】
・コポリマーは、少なくとも1の結晶化可能なブロックを含み、コポリマーの残りは(室温において)非晶質であるコポリマーであり得る。これらコポリマーは、異なる化学的性質の、2つの結晶化可能なブロックをもまた含んでいてもよい。好ましいコポリマーは、共に疎水性であり、かつ親油性であって、連続的に分布されている、室温において結晶化可能なブロック及び非晶質ブロックを同時に含む物である;例えば1の結晶化可能なブロック及び下に示す非晶質ブロックの1を含むポリマーが挙げられ得る:
【0150】
・本来、結晶化可能なブロック:a)ポリエステルタイプのブロック、例えばポリ(アルキレンテレフタレート)、b)ポリオレフィンタイプ、例えばポリエチレン又はポリプロピレン。
【0151】
・非晶質かつ親油性であるブロック、例えば非晶質のポリオレフィン又はコポリ(オレフィン)、例えばポリ(イソブチレン)、水素化ポリブタジエン又は水素化ポリ(イソプレン)。
【0152】
異なる結晶化可能な及び非晶質のブロックを含むそのようなコポリマーの例として、以下のものが挙げられ得る:
α) ポリ(ε−カプロラクトン)−b−ポリ(ブタジエン)ブロックコポリマー、好ましくは水素化されて使用される、例えばノジマ著、マクロモレキュール第32巻、3727〜3734ページ(1999年)からの論文「ポリ(ε−カプロラクトン)−ブロック−ポリブタジエンコポリマーの挙動」
β) Polymer Bulletin,第34巻、117〜123ページ(1995年)に記載された、B.Boutevinらによる論文「PP/PBTの形態学的及び機械的性質の研究」における水素化ブロック又はマルチブロックのポリ(ブチレンテレフタレート)−b−ポリ(イソプレン)ブロックコポリマー、
γ) P.Rangarajanらによる論文、「エチレン−(エチレン−alt−プロピレン)の半結晶性ブロック共重合体の形態学」、Macromolecules、第26巻、4640〜4645ページ(1993年)及びP.Richterらによる「結晶コアを有するポリマー集合体:系ポリ(エチレン)−ポリ(エチレン−プロピレン)」、Macromolecules、第30巻、1053〜1068ページ(1997年)に記載されているポリ(エチレン)−b−コポリ(エチレン/プロピレン)ブロックコポリマー、
δ) I.W.Hamleyによる一般論文D10「ブロックコポリマーにおける結晶化」、Advances in Polymer Science第148巻、113〜137ページ(1999年)に記載されているポリ(エチレン)−b−ポリ(エチルエチレン)ブロックコポリマー。
【0153】
好ましくは、本発明に従う組成物に適する半結晶性ポリマーは架橋されていない。
【0154】
このポリマーは、C14〜C24の飽和アルキル(メタ)アクリレート、C11〜C15パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート、弗素原子あり又はなしのC14〜C24であるN−アルキル(メタ)アクリアミド、C14〜C24のアルキル又はパーフルオロアルキル鎖を含むビニルエステル、C14〜C24のアルキル又はパーフルオロアルキル鎖を含むビニルエーテル、C14〜C24のアルファ−オレフィン、12〜24の炭素原子を含むアルキル基を有するパラ−アルキルスチレンから選択された結晶化可能な鎖を含む少なくとも1のモノマーと少なくとも1の場合によりフッ素化されていてもよいC〜C10のモノカルボン酸エステル又はアミド、それらは以下の式により表され得る、との重合化から生じるコポリマーから選択され、
【0155】
【化3】

ここでRはH又はCHであり、Rは場合によりフッ素化されていてもよいC〜C10のアルキル基を表し、XはO,NH又はNRを表し、ここでRは場合によりフッ素化されていてもよいC〜C10のアルキル基である。
【0156】
本発明のより詳細な実施態様に従うと、ポリマーは、飽和C14−C22アルキル(メタ)アクリレートから選択される結晶化可能な鎖を含むモノマーから誘導される。
【0157】
本発明に従う組成物において使用され得る構造化させる半結晶性ポリマーの特定の例として、パンフレット「Intelimer(商標)ポリマー」、Landec IP22(Rev.4〜97)に記載されている、Landec社製のIntelimer(商標)製品が挙げられ得る。これらのポリマーは、室温(25℃)において固体である。それらは、結晶化可能な側鎖をもち、上の式Xを有する。
【0158】
オイル
本発明に従う組成物は、少なくとも1の有機オイル又は溶媒を含み得る。これは有機オイル又は溶媒の混合物であり得る。
【0159】
本発明に従う組成物は、組成物の総重量に対して1重量%〜30重量%、特に8重量%〜25重量%、特に10重量%〜20重量%の範囲の合計量のオイルを含み得、それは非水性溶媒媒体ともまた呼ばれ得る。
【0160】
本発明の組成物に存在するオイルは、揮発性オイル及び/又は非揮発性オイル及び、それらの混合物から選択され得る。
【0161】
基本的に、揮発性オイルを含む化粧料組成物は、本発明の文脈において特に最も有利であることがわかる。
【0162】
用語「揮発性有機オイル又は溶媒」は、室温及び大気圧において皮膚と接触すると1時間未満内に皮膚から蒸発することのできる任意の有機オイル又は溶媒(又は非水性媒体)を意味する。
【0163】
該揮発性相は、室温において液状であり、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)において特に零でない蒸気圧を有し、特に室温及び大気圧において、0.13Pa〜40000Pa(10−3〜300mmHg)、好ましくは1.3Pa〜8000Pa(0.01〜60mmHg)の範囲の蒸気圧を有する揮発性化粧料オイルである。
【0164】
揮発性オイル(又は有機溶媒)は、炭化水素をベースとするオイル、シリコーンオイル、又はフルオロオイル、又はそれらの混合物であり得る。
【0165】
用語「炭化水素をベースとするオイル」とは、本質的に水素及び炭素原子を主として含み、酸素、窒素、硫黄、及び/又はリン原子を含むかもしれないオイルを意味する。揮発性の炭化水素をベースとするオイルは、8〜16の炭素原子を含む炭化水素をベースとするオイル、特に分岐状のC〜C16のアルカン、例えば石油起源のC〜C16のイソアルカン(イソパラフィンとしてもまた公知)、例えばイソドデカン(2,2,4,4,6−ペンタメチルヘプタンとしてもまた公知である)、イソデカン、イソヘキサデカン、例えば「商標名Isopar(商標)」又は「Permethyl(商標)」の商標名で販売されているオイル、分岐状のC〜C16エステル、イソヘキシルネオペンタノエート、及びそれらの混合物が挙げられ得る。他の揮発性炭化水素をベースとするオイルは、例えば石油留出物、特にシェル社により「Shell Solt(商標)」の名前で販売されているものから選択され得る。
【0166】
使用され得る揮発性オイルは、揮発性シリコーン、例えば揮発性の直鎖又は環状のシリコーンオイル、特に≦6センチストークス(6×10―6/s)の粘度を有するもの、及び特に3〜6の珪素原子を含むものが使用され得、これらのシリコーンは1又は2の炭素原子を含むアルキル又はアルコキシ基を任意的に含んでいてもよい。本発明において使用され得る揮発性シリコーンオイルとして、特にオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン及びドデカメチルペンタシロキサン、ヘプタメチルエチルトリシロキサン、ヘプタメチルブチルトリシロキサン及びそれらの混合物が挙げられ得る。
【0167】
揮発性有機溶媒、特にフッ素化された溶媒、例えばノナフルオロメトキシブタン、又はパーフルオロメチルシクロペンタンもまた使用され得る。
【0168】
有利に、揮発性オイルは、8〜16の炭素原子を含む揮発性の炭化水素をベースとするオイル、例えばイソドデカン、揮発性シリコーンオイル例えばドデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)又はドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、及びそれらの混合物から選択される。
【0169】
本発明に従う組成物は、水に不溶性であり室温において液状である、少なくとも1の非揮発性化合物、特に、少なくとも1の非揮発性有機溶媒又はオイルをもまた含み得、それは非揮発性の炭化水素をベースとするオイル及び/又はシリコーンオイル及び/又はフルオロオイルから特に選択され得る。
【0170】
特に挙げられ得る非揮発性の炭化水素をベースとするオイルは以下を含む:
・植物起源の炭化水素をベースとするオイル、例えばグリセロールの脂肪酸エステルからなるトリグリセリド、その脂肪酸はC〜C24の範囲の鎖の長さを有し得、これらの鎖はおそらく直鎖又は分岐状であり、そして飽和又は不飽和である;これらのオイルは特に小麦胚芽油、ヒマワリ油、グレープシード油、ゴマ種油、トウモロコシ油、アプリコット油、ひまし油、シア油、アボガド油、オリーブ油、大豆油、スイートアーモンド油、パーム油、菜種油、綿実油、ヘーゼルナッツ油、マカデミア油、ホホバ油、アルファルファ油、ケシの実油、かぼちゃ油、ゴマ種油、骨髄油、菜種油、黒スグリ油、月見草油、キビ油、大麦油、キノア油、ライ麦油、サフラワー油、ククイナッツ油、パッションフラワー油、及びジャコウバラ油;又はカプリル/カプリン酸トリグリセリド、例えばStearineries Dubois社により販売されるもの、またはDynamit Nobel社により「Miglyol810(商標)」、「812(商標)」、及び「818(商標)」の名前の下に販売されるもの、
・10〜40の炭素原子を含む合成エーテル、
・鉱物又は合成起源の直鎖又は分岐状の炭化水素、例えば石油ゼリー、ポリデセン、水素化ポリイソブテン例えばパーレアム、及びスクワラン、及びそれらの混合物、
・合成エステル、例えば式RCOORのオイル、ここでRは1〜40の炭素原子を含む直鎖又は分岐の脂肪酸残基を表し、Rは炭化水素をベースとする鎖、特に1〜40の炭素原子を含む分岐状であり、ただしR+R≧10であり、例えばプルセリンオイル(オクタン酸セトステアリル)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、安息香酸のC12〜C15のアルキルエステル、ラウリル酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、2−エチルヘキシルパルミテート、イソステアリン酸イソステアリル、オクタン酸、デカン酸、又はリシノール酸のアルコール又はポリアルコールエステル、例えばジオクタン酸プロピレングリコール;水酸化されたエステル、例えば乳酸イソステアリル又はリンゴ酸ジイソステアリル及びペンタエリスリトールエステル、
・12〜26の炭素原子を含む分岐状及び/又は不飽和の炭素に基づく鎖を有する、室温において液状であるところの脂肪族アルコール、例えばオクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2−ヘキシルデカノール、2−ブチルオクタノール又は2−ウンデシルペンタデカノール、
・高級脂肪酸例えばオレイン酸、リノール酸、又はリノレン酸;
及びそれらの混合物。
【0171】
本発明の組成物において使用され得るところの非揮発性シリコーンオイルは、非揮発性のポリジメチルシロキサン(PDMS)であり得、該ポリジメチルシロキサンはアルキル又はアルコキシ基(該基はペンダント状であるか、又はシリコーン鎖の末端にあり、これらの基はそれぞれ2〜24の炭素原子を含む)を含み、フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン及び2−フェニルエチルトリメチルシロキシシリケートである。
【0172】
本発明の組成物において使用され得るフルオロオイルは特に、欧州特許出願公開第847752号に記載されているフルオロシリコーンオイル、フルオロポリエーテル、又はフルオロシリコーンである。
【0173】
本発明に従う組成物における非揮発性の有機溶媒又はオイルの含有量は、該組成物の総重量に対して0.01〜30重量%、特に0.1〜25重量%、さらによりよく0.1〜20重量%の範囲であり得る。
【0174】
添加剤
いうまでもなく、当業者は、本発明に従う組成物の有利な性質が、想定される添加により不利な効果を受けない、あるいは実質的に受けないように、最適な追加的の添加剤及びその量を選択するように注意する。
【0175】
追加のフィルム形成性ポリマー
本発明に従う組成物は、本発明に従って要求される、粒子の形態で水性相に分散されたフィルム形成性ポリマー以外に、少なくとも1の追加的なフィルム形成性ポリマーを含み得る。
【0176】
追加のフィルム形成性ポリマーは、組成物の総重量に対して、0.1〜60重量%、好ましくは0.5〜40重量%、よりよくは1重量%〜30重量%の範囲の固形分で、本発明に従う組成物に存在し得る。
【0177】
本発明に従う組成物において使用され得るフィルム形成性ポリマーの中で、水溶性ポリマー又は脂溶性ポリマー、又は下に詳細が述べられる非水性分散物中のポリマーが挙げられ得る。
【0178】
染料
本発明に従う組成物は、少なくとも1の染料、例えば粉末の染料、脂溶性染料及び水溶性染料をもまた含み得る。
【0179】
粉末の染料は、顔料及び真珠光沢剤から選択され得る。
【0180】
顔料は、白色であっても、または着色されていてもよく、鉱物であっても及び/又は有機物であってもよく、被覆されていても、又は被覆されていなくてもよい。挙げられ得る鉱物性顔料の中に、二酸化チタン(随意的に表面処理されていてもよい)、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛又は酸化セリウム、及び、酸化鉄又は酸化クロム、マンガン紫、群青色、クロム水和物、及び第二鉄青がある。挙げられ得る有機顔料の中に、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、コチニールカーミンまたはバリウム、ストロンチウム、カルシウム又はアルミニウムベースのレーキがある。
【0181】
真珠光沢剤は、白色真珠光沢顔料、例えばオキシ塩化チタン又はビスマスで被覆されたマイカ、着色された真珠光沢顔料、例えば酸化鉄で被覆されたチタンマイカ、特に第二鉄青又は酸化クロムで被覆されたチタンマイカ、上述の有機顔料で被覆されたチタンマイカ、及びオキシ塩化ビスマスに基づく真珠光沢顔料から選ばれることができる。
【0182】
脂溶性の染料は、例えばスーダンレッド、D&Cレッド17、D&Cグリーン6、β−カロチン、大豆油、スーダンブラウン、D&Cイエロー11、D&Cバイオレット2、D&Cオレンジ5及びキノリンイエロー、及びアナートである。
【0183】
これらの染料は、組成物の総重量に対して、0.01〜30重量%の量で存在することができる。
【0184】
フィラー
本発明の組成物は少なくとも1のフィラーをもまた含み得る。
【0185】
フィラーは、当業者に周知であり、化粧料組成物において一般的に使用されるものから選択されることができる。フィラーは鉱物性又は有機性、ラメラ状又は球状であることができる。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリアミド粉末、例えばOrgasol(商標)の名前でAtochem社により販売されているナイロン(商標)、ポリ−β−アラニン粉末及びポリエチレン粉末、テトラフルオロエチレンポリマーの粉末、例えばTeflon(商標)、ラウロイルリジン、澱粉、窒化ホウ素、膨張されたポリマー状の中空微小球、例えば塩化ポリビニリデン/アクリロニトリルの微小球、例えばNobel Industries社によりExpancel(商標)の名前で販売されている製品、アクリル粉末、例えばDow Corning社によりPolytrap(商標)の名前で販売されているもの、ポリメチルメタクリレート粒子及びシリコーン樹脂ミクロビーズ(例えば東芝製のTospearls(商標))、沈殿した炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、及び炭酸水素マグネシウム、ハイドロキシアパタイト、中空シリカ微小球(Maprecos製シリカビーズ(商標))、ガラス又はセラミックのマイクロカプセル、8〜22の炭素原子、特に12〜18の炭素原子を含む有機カルボン酸から誘導される金属石鹸、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、又はステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛及びミリスチン酸マグネシウム、熱膨張可能な粒子、例えば塩化ビニリデン/アクリロニトリル/メチルメタクリレートのコポリマー又はアクリロニトリルのホモポリマーコポリマーの膨張されていない微小球、例えばAkzo Nobel社によりExpancel(商標)820 DU 40及びExpancel(商標)007WUの製品番号で販売されているものが挙げられうる。
【0186】
フィラーは本発明組成物の総重量の0.1〜25重量%、特に1〜20重量%に相当し得る。
【0187】
ファイバー
本発明に従う組成物は、組成物がマスカラであるとき、長くする効果の改善を許すファイバーをもまた含み得る。
【0188】
用語「ファイバー」は、長さL及び直径Dの物体であって、ファイバーの断面が収まる円の直径をDとしたときにLがDより非常に大きくなるような物体として理解されるべきである。特に、L/Dの比(または形状因子)は、3.5〜2500、特に5〜500、及びより特に5〜150の範囲で選ばれる。
【0189】
本発明の組成物に使用することができるファイバーは、合成または天然起源の、鉱物質または有機物のファイバーであり得る。それらは、短いか又は長く、単一または組織された、例えば編まれた、及び中空又は中実のものであり得る。それらは、意図されている特定の用途に応じて、いかなる形状を有していてもよく、特に、円形又は多角形(四角形、六角形又は八角形)の断面を有していてよい。特に、それらの端部は、怪我を防止するために、鈍角にされている及び/又は研磨されている。
【0190】
特に、1μm〜10mmの長さ、好ましくは0.1mm〜5mm、及びより好ましくは1mm〜3.5mmの範囲の長さを有する。それらの断面は、2nm〜500μm、特に100nm〜100μm、及びより特に1μm〜50μmの直径の円に入いり得る。ファイバーの重量または番手は、しばしばデニールまたはデシテックスで与えられ、9kmのヤーン当たりのグラムによる重さを示す。特に、該ファイバーは、0.15〜30デニール、及び好ましくは0.18〜18デニールの範囲で選択される番手を有する。
【0191】
本発明の組成物において使用され得るファイバーは、硬いファイバー又は硬くないファイバーから選択され得、合成又は天然、鉱物又は有機源のものであり得る。
【0192】
さらに、ファイバーは、表面処理されていてもいなくてもよく、被覆されていてもいなくてもよく、着色されていてもいなくてもよい。
【0193】
本発明に従う組成物に使用され得るファイバーとして、硬くないファイバー、例えばポリアミド(ナイロン(商標))ファイバー、又は硬いファイバー、例えばポリイミドアミドファイバー、例えばRhodia社によりKermel(商標)及びKermel Tech(商標)の名前で販売されているもの、又は特にDuPont de Nemours社によりKevlar(商標)の名前で販売されているポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)(又はアラミド)ファイバーが挙げられ得る。
【0194】
ファイバーは本発明に従う組成物中に、組成物の総重量に対して0.01〜10重量%、特に0.1〜5重量%、より特に0.3〜3重量%の範囲の含有量で存在することができる。
【0195】
化粧活性剤
本発明に従う組成物は、化粧料において慣用的に使用される任意の成分をさらに含み得る。これらの成分は、特にポリマー、特に固定するポリマー;整髪剤;不透明化剤;香料;増粘剤;ゲル化剤;毛髪染料;シリコーン樹脂;シリコーンガム;保存剤;抗酸化剤;化粧活性剤;サンスクリーン;pH安定化剤;ビタミン;保湿剤;制汗剤;消臭剤;セルフタンニング化合物;及びそれらの混合物から選択され得る。これらの種々の成分の量は、考慮下の分野において慣用的に使用される量であり、例えば組成物の総重量に対して0.01重量%〜20重量%である。
【0196】
配合
本発明に従う組成物は、液状、ペースト状、固体状、ムース状、又はスプレーの形態であり得る。
【0197】
本発明に従う組成物は、人の皮膚、口唇及び/又はケラチン繊維をメイクアップするために使用され得る。すなわち、これらの組成物は、体又は顔のメイクアップ組成物、例えばファンデーション、口紅、口唇ケア製品、マニキュア液、ネイルケア製品、マスカラ又はアイライナー;ヘアケア組成物、例えば毛髪染料組成物又は抗太陽組成物;毛髪を染色する、漂白する、パーマネントをかける、又はパーマネントを伸ばす前又は後に、又はパーマをかける又はパーマを伸ばす操作の2つの段階の間に使用されるべきリンス組成物;ヘアスタイルを保持するためのヘアケア組成物、例えばスタイリングラッカー、ジェル、ムース又はスプレーとして特定の用途がある。
【0198】
本発明の1つの好ましい面に従って、該組成物は、口紅、又は特にファンデーションタイプの肌の色の製品、又はマスカラの形態をとる。
【0199】
方法
すべての場合、本発明に従う組成物は、当業者に公知の方法に従って製造され得る。
【0200】
ケラチン繊維をメイクアップする組成物の場合、本発明に従う組成物を製造する方法は、マスカラの所望されるタイプに依存する。該方法は、特におそらく使用されるワックスの性質にもまた特に依存し得る。
【0201】
本発明の別の対象は、ケラチン繊維をメイクアップする方法であり、該方法において、本発明に従う組成物がケラチン繊維、特に睫に施与される。
【0202】
本発明の組成物は、特にブラシ又は櫛を使用して特に睫に施与され得る。
【0203】
本発明の組成物を使用する、メイクアップの濃くする効果(thickening effect)は、該組成物を施与する装置を最も詳細に選択することによりさらに増強され得る。
【0204】
本件の場合において、睫をメイクアップする場合、フランス国特許第2 701 198号,フランス国特許第2 605 505号,欧州特許第 792 603号及び欧州特許第 663 161号に記載されているメイクアップブラシで該組成物を施与することが特に有利である。
【0205】
本発明に従う組成物は、該組成物を含む少なくとも1の区画の境界を画する容器に包装され得、該容器は閉じる部材により閉鎖される。
【0206】
容器は、好ましくは、特にねじられたワイヤにより保持された歯の並びを含むブラシの形態におけるアプリケーターと接続されている。そのようなねじられたブラシは、特に米国特許第4 887 622号に記載されている。それは、特に成形により得られる、複数の施与部剤を含む櫛の形態であってもよい。そのような櫛は、例えばフランス国特許第2 796 529に記載されている。アプリケーターは、例えばフランス国特許第2 761 959号に記載されているように容器にしっかりと接続されていてもよい。有利に、アプリケーターは、ステムにしっかりと接続されており、該ステムは、それ自身、閉じる部材にしっかりと接続されている。
【0207】
閉じる部材は、ねじることにより容器に接続され得る。あるいは、閉じる部材及び容器の接続は、ねじること以外特に差込ピン(bayonet)構造により、はめ込み式(click-fastening)、又は締め付けることによりにより行われる。用語「はめ込み式」は、構成要素、特に閉じる部材のリム又は突起の一部の弾性的変形による通過、続いてリム又は突起が通過された後に、該部分が弾性的に歪のない位置へ戻ることを含む任意の系を意味する。
【0208】
容器は、少なくとも部分的に熱可塑性物質でできていてもよい。挙げられ得る熱可塑性物質の例は、ポリプロピレン及びポリエチレンを含む。
【0209】
あるいは、容器は非熱可塑性物質、特にガラス又は金属(又は合金)でできている。
【0210】
容器は、好ましくはドレーナー(drainer)を備えられており、それは容器の切れ目の部分に配置されている。そのようなドレーナーは、アプリケーター及び場合によりステム、該ステムにアプリケーターがしっかりと接続されていてもよい、を吹き取ることを可能にする。そのようなドレーナーは、例えばフランス国特許第 2 792 618号に記載されている。
【0211】
前記の該特許又は特許出願の内容は、参照することにより、本特許出願に取り込まれる。
【0212】
以下の実施例は、本発明の非制限的な例示として提示される。別に示されない限り、量はグラムで与えられる。
【0213】
以下の試験は、耐水性及びメイクアップ除去を評価するために使用された。
【0214】
I―浸漬による耐水性及びメイクアップ除去を評価する試験
【0215】
試料及びメイクアップの施与
真っ直ぐな黒色のコーカソイド人の毛で、19mmの房の長さを有するつけ睫の試料が作られた。該房は、2枚の30mm×30mmのプレートの間にはめられた。
【0216】
該毛髪は、マスカラブラシを使用して、2分間の休止により分離された、10回のスイープを3回実行することによりメイクアップされた。
【0217】
組成物は室温(25℃)において1時間乾燥するにまかされた。
【0218】
試験の説明
試料は、4分間水中に浸漬された。フィルムの外観の分解(膨れ、不規則性、はがれ、等)が目視により観察され、この現象の開始に相当する時間が注目された。
【0219】
II−乾燥コットン上でのメイクアップ除去を評価する試験
上述された試験Iに使用された試料は、次に10秒間コットンに挟まれ、次に該試料からメイクアップを除去するために該コットンは取り出された。次に、コットン及び睫上のマスカラの量を評価することによりメイクアップ除去の効率が注目された。
【実施例】
【0220】
実施例I:マスカラ
高い含有量のラテックスを有する配合物が製造され試験された。結果は下の表1に照合される。
【0221】
試験4及び5は、10以上のHLBを有するノニオン性界面活性剤及びポリ電解質の両方を含む、本発明に従う組成物に関し、比較試験1〜3より良好なメイクアップ除去結果を示すことが見出される。
【0222】

【0223】
実施例2:

【0224】
実施例3


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン物質をメイクアップする及び/又はケアする組成物において、該組成物が、水性連続相を有し、かつジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸、及びスルホイソフタル酸の縮合により得られるコポリマー以外のポリマーの粒子の水性分散物の少なくとも1、少なくとも1のワックス、少なくとも1のポリ電解質、及び少なくとも1の塩を含み、該ポリマーは、組成物の総重量に対して5重量%以上の固形分で存在する組成物。
【請求項2】
ケラチン物質をメイクアップする及び/又はケアするための組成物において、該組成物が、水性連続相を有し、かつポリマーの粒子の水性分散物の少なくとも1、組成物の総重量に対して1重量%超の固形分で少なくとも1のポリ電解質、但し該ポリ電解質はアラビアゴム以外である、及び6以上のHLBを有する少なくとも1の界面活性剤を含み、該ポリマーは組成物の総重量に対して5重量%以上の固形分で存在する組成物。
【請求項3】
ケラチン物質をメイクアップする及び/又はケアするための組成物において、該組成物が、水性連続相を有し、かつイオン化可能なモノマーを含まないポリマーの粒子の水性分散物の少なくとも1、少なくとも1のポリ電解質、及び6以上のHLBを有する少なくとも1の界面活性剤を含み、該ポリマーは、組成物の総重量に対して5%超の固形分で存在する組成物。
【請求項4】
ケラチン物質をメイクアップする及び/又はケアするための組成物において、該組成物は、水性連続相を有し、かつポリマーの粒子の水性分散物の少なくとも1、少なくとも1のワックス、及び組成物の総重量に対して0.4重量%以上の固形分の少なくとも1のポリ電解質を含み、但し該ポリ電解質はアラビアゴム以外であり、該ポリマーが組成物の総重量に対して2重量%以上の固形分で存在するとき、該組成物は少なくとも1の塩を含み、かつ該組成物は以下の組成物とは異なる:

該ワックスミクロ分散物は以下の組成を有する:

【請求項5】
ポリ電解質が分岐状である及び/又は架橋されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項6】
ポリ電解質が、アクリルアミド/2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸コポリマー、粉状の架橋された澱粉グリコレート、ポリアクリレート、澱粉に基づくグラフト化されたコポリマー、イオン化可能な多糖類誘導体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸アルキルアクリレートコポリマー、AMPS(アンモニアで部分的に中和され、かつ高度に架橋されたポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、ポリオキシエチレン化されたAMPS/アルキルメタクリレートコポリマー(架橋された又は架橋化されていない)、及びそれらの混合物から、好ましくはアクリルアミド/2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸コポリマー及びポリアクリレート、及びそれらのコポリマーから選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
ポリ電解質が、組成物の総重量に対して0.05重量%以上の含有量で存在することを特徴とする、請求項1及び3のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
ポリ電解質が、組成物の総重量に対して0.1重量%〜15重量%の範囲の固形分で化粧料組成物中に存在することを特徴とする、請求項7に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
ポリ電解質が、組成物の総重量に対して0.2重量%〜10重量%の範囲の固形分で化粧料組成物中に存在することを特徴とする、請求項7に記載の化粧料組成物。
【請求項10】
ポリ電解質が、組成物の総重量に対して0.3重量%〜5重量%の範囲の固形分で化粧料組成物中に存在することを特徴とする、請求項7に記載の化粧料組成物。
【請求項11】
ポリ電解質が、組成物の総重量に対して1重量%〜15重量%の範囲の固形分で化粧料組成物中に存在することを特徴とする、請求項2に記載の化粧料組成物。
【請求項12】
ポリ電解質が、組成物の総重量に対して1.5重量%〜10重量%の範囲の固形分で化粧料組成物中に存在することを特徴とする、請求項2に記載の化粧料組成物。
【請求項13】
ポリ電解質が、組成物の総重量に対して2重量%〜7重量%の範囲の固形分で化粧料組成物中に存在することを特徴とする、請求項2に記載の化粧料組成物。
【請求項14】
ポリ電解質が、組成物の総重量に対して0.4重量%〜15重量%の範囲の含有量で化粧料組成物中に存在することを特徴とする、請求項4に記載の化粧料組成物。
【請求項15】
ポリ電解質が、組成物の総重量に対して1重量%〜10重量%の範囲の含有量で化粧料組成物中に存在することを特徴とする、請求項4に記載の化粧料組成物。
【請求項16】
ポリ電解質が、組成物の総重量に対して1.5重量%〜7重量%の範囲の含有量で化粧料組成物中に存在することを特徴とする、請求項4に記載の化粧料組成物。
【請求項17】
25℃において6以上のHLBを有する界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項1又は4のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項18】
25℃において10以上のHLBを有する界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項2、3、及び17のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項19】
25℃において12以上のHLBを有する界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項2、3、及び17のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項20】
オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化されたグリセロールエーテル、オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化された脂肪族アルコールエーテル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、グリセロールエーテルのオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化された脂肪酸エステル、ソルビトールエーテルのオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化された脂肪酸エステル、ジメチコンコポリオール、ジメチコンコポリオールベンゾエート、プロピレンオキサイド及びエチレンオキサイドのコポリマー、
シリコーン界面活性剤、アミノ酸誘導体、C16〜C30脂肪酸の塩、ポリオキシエチレン化された脂肪酸塩、リン酸エステル及びその塩、スルホスクシネート、アルキルエーテルサルフェート、イセチオネート、アシルグルタメート、アルキル−イミダゾリジニウム及びアンモニウム塩、及びそれらの混合物から界面活性剤が選択されることを特徴とする、請求項2,3,17,18、及び19のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項21】
ポリマーが、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、クロロプレン、ビニルアセテート、ウレタン、イソプレン、イソブチレン、及びアクリル酸又はメタクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、又はイタコン酸、又はそれらのエステル又はアミドから選択されたモノマーの重合化又は共重合化により、又は水性相中へのポリマーの分散化により得られることを特徴とする、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項22】
ポリマーが、重縮合体タイプ又はフリーラジカルタイプの合成ポリマー及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜21のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項23】
重縮合体タイプの合成ポリマーが、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、又は両性ポリウレタン、ポリウレタン−アクリル、ポリウレタン−ポリビニルピロリドン、ポリエステル−ポリウレタン、ポリエーテル−ポリウレタン、ポリウレア及びポリウレア/ポリウレタン、及びそれらの混合物、又はポリエステル、ポリエステルアミド、脂肪鎖ポリエステル、ポリアミド、及びエポキシエステル樹脂から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の化粧料組成物。
【請求項24】
フリーラジカルポリマーがアクリル及び/又はビニルポリマー又はコポリマー、アクリル/シリコーンコポリマー又はニトロセルロース/アクリルコポリマー、又はハイブリッドポリマーであることを特徴とする、請求項22の化粧料組成物。
【請求項25】
ポリマーの粒子の水性分散物の固形分が、組成物の総重量に対して7重量%以上かつ50重量%未満であることを特徴とする、請求項1〜24のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項26】
ポリマーの粒子の水性分散物の固形分が、組成物の総重量に対して10重量%以上であることを特徴とする、請求項25に記載の化粧料組成物。
【請求項27】
ポリマーの粒子の水性分散物の固形分が、組成物の総重量に対して30重量%未満であることを特徴とする、請求項25又は26のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項28】
塩をもまた含むことを特徴とする、請求項2又は3のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項29】
塩が5000g/モル以下の分子量を有し、かつ塩がEDTA,デヒドロ酢酸ナトリウム、NaCl,KCl,CuSO,MgCl,NaOH及びNaSOから選択されることを特徴とする、請求項1,4、及び28のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項30】
塩が500g/モル以下の分子量を有することを特徴とする、請求項29に記載の化粧料組成物。
【請求項31】
少なくとも1のオイルを含むことを特徴とする、請求項1〜30のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項32】
組成物の総重量に対して、1重量%〜30重量%の範囲の量のオイルを含むことを特徴とする、請求項31に記載の化粧料組成物。
【請求項33】
組成物の総重量に対して、8重量%〜25重量%の範囲の量のオイルを含むことを特徴とする、請求項31に記載の化粧料組成物。
【請求項34】
組成物の総重量に対して、10重量%〜20重量%の範囲の量のオイルを含むことを特徴とする、請求項31に記載の化粧料組成物。
【請求項35】
組成物中に存在するオイルが、揮発性オイル及び/又は非揮発性オイル、及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜34のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項36】
揮発性オイルが、炭化水素をベースとするオイル、シリコーンオイル、フルオロオイル、又はそれらの混合物であり得ることを特徴とする、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
ワックス及び半結晶性ポリマーから選択され得る構造化剤をもまた含むことを特徴とする、請求項1〜36のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項38】
追加のフィルム形成性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1〜37のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項39】
染料、フィラー、及び/又はファイバーをもまた含むことを特徴とする、請求項1〜38のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項40】
ケラチン物質をメイクアップする及び/又はケアするための化粧的方法において、ケラチン物質に、特に睫に、請求項1〜39のいずれか1項に記載の組成物を施与する少なくとも1の工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項40に記載された方法に従って得られうるメイクアップを含む、メイクアップされた土台。
【請求項42】
ポリマーの粒子の水性分散物の少なくとも1を含む水性連続相を有する化粧料組成物に、良好な耐水性及び除去容易性を一緒に与える添加剤として、少なくとも1のポリ電解質、及び25℃において6以上のHLBを有する少なくとも1の界面活性剤の組み合わせを含める方法。

【公開番号】特開2006−117666(P2006−117666A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−298680(P2005−298680)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
【Fターム(参考)】