少なくとも一つの電極を有する基板を用いる電気化学センサーシステム及び同システムの形成方法
【課題】
【解決手段】流体の分析物質の濃度の測定を助けるよう構成された電気化学センサーシステムであって、該システムは、基板と、導電材と、ヒドロゲルあるいは液体とを備える。基板は、それを貫通して多孔性であり、導電材は少なくとも一つの電極を含む。少なくとも一つの電極は基板と結合している。該少なくとも一つの電極は第一の面とこれに対向する第二の面とを有する。ヒドロゲルあるいは液体は、少なくとも一つの電極の第一の面と第二の面とに流体の分析物質を搬送するのを助けるよう構成される。
【解決手段】流体の分析物質の濃度の測定を助けるよう構成された電気化学センサーシステムであって、該システムは、基板と、導電材と、ヒドロゲルあるいは液体とを備える。基板は、それを貫通して多孔性であり、導電材は少なくとも一つの電極を含む。少なくとも一つの電極は基板と結合している。該少なくとも一つの電極は第一の面とこれに対向する第二の面とを有する。ヒドロゲルあるいは液体は、少なくとも一つの電極の第一の面と第二の面とに流体の分析物質を搬送するのを助けるよう構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には電気化学センサーシステム及び同システムの形成方法に関する。より詳細には、本発明は、その内部を貫通して多孔性を有する基板を用いる電気化学センサーシステム及び同システムの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体内流体の分析物質の定量的測定は、ある種の生理学的な異常の診断及びその保持性の観点から極めて重要である。例えば、乳酸、コレステロール及びビリルビンなどはある個人においては監視されるべきものである。特に、糖尿病の個人患者が体内流体をぶどう糖の含有レベルを頻繁にチェックし食事でのぶどう糖の摂取量を制限することは重要である。これらの試験結果を、仮にあるとすれば、どの種のインシュリンもしくは他の薬剤の管理が必要なのかを決定する際に活用できるものである。一種の血糖試験システムでは、センサーが血液試料の試験に用いられている。
【0003】
試験センサーには、血糖に反応する生体感知剤あるいは試薬剤が含まれる。センサーの試験端部は、被試験流体中、例えば、検査対象者の指に刺し傷をつくりそこに蓄積された血液中に配置するよう構成される。流体は毛細経路内に引き込まれるわけであるが、この際センサー内の試験端部から試薬剤まで延在する毛細経路の毛細管作用により十分な量の被試験流体がセンサー内に引き込まれる。流体は化学的にセンサー内の試薬剤と反応し、その結果被試験流体のぶどう糖含有レベルを示す電気信号が発生する。この信号はセンサー後部若しくは接触端部近傍に位置する接触領域を介して計測器に供給され、測定出力となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気化学センサーを構成する一つの従来プロセスとして、基板上に導電金属を蒸着させ、蒸着した導電金属の選定部位を取り除く減法手法が用いられる。他の従来プロセスでは、添加プロセスとして、導電インクを用いて電極を印刷する。導電インクには、炭素粒子を含む搬送体を有する白金化炭素、白金あるいは他の貴金属が含まれる。これら従来プロセスの双方において、電極として使用可能な導電金属の面積は単一の2次元フット印刷に限られている。導電金属は高価なことから、製造者としては可能なかぎり少量の導電金属の使用で所望の機能を維持することが望まれる。
【0005】
必要とされる導電金属量を減少させる電気化学センサーシステムが望まれており、これにより、延いてはコストの削減、また同時に所望の機能が維持される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの実施の形態によれば、電気化学センサーシステムは流体の分析物質の濃度の測定を助けるよう構成される。電気化学センサーシステムは基板と、導電材と、ヒドロゲルあるいは液体とを備えて成る。基板はその内部を貫通して多孔性を有する。導電材は少なくとも一つの電極を含む。少なくとも一つの電極は基板と結合される。少なくとも一つの電極は第一の面と対向する第二の面を有する。ヒドロゲルあるいは液体は流体の分析物質を少なくとも一つの電極の第一と第二の面に流体の分析物質を搬送する補助となるよう構成される。
【0007】
一つの方法によれば、分析物質の濃度の測定を助けるよう構成される電気化学センサーシステムが形成される。その内部に多孔性を有する基板が設けられる。導電材が基板に付加される。導電材は第一の側と第二の側を有する。導電材は少なくとも一つの電極を形成する。ヒドロゲルあるいは液体が設けられる。基板及び少なくとも一つの付加された電極はヒドロゲルに接触されるものであって、この際分析物質は少なくとも一つの電極の第一の側と第二の側に接触するよう構成される。
【0008】
他の方法によれば、流体の分析物質の濃度が測定される。基板と、導電材と、ヒドロゲルあるいは液体とを備える電気化学センサーシステムが設けられる。基板はその内部に多孔性を有する。導電材は基板に結合される。導電材は第一の側と第二の側を有する。導電材は少なくとも一つの電極を形成する。基板及び少なくとも一つの付加された電極はヒドロゲルに接触されるものであって、この際分析物質は少なくとも一つの電極の第一の側と第二の側に接触するよう構成される。電気化学センサーシステムは皮膚上に配置される。流体の分析物質の濃度が測定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は電気化学センサーシステム及び少なくとも一つの電極を形成する際に使用される導電材料の量を同システムに減じさせるプロセスに関する. 導電材料の量の減少は、少なくとも一つの電極を形成する導電材料の両端を用いることで達成されうる。必要とされる導電材料の量を減少する際には、電気化学センサーシステムのサイズを減少させてもよい。導電材料を減少させることで、電気化学センサーシステム製造コストもまた減少される。電気化学センサーシステムは、分析物質の濃度を測定するする器具若しく計量器と共に使用するよう適合されている。
【0010】
本発明は望ましくは導電材料のコストの観点から経皮性分析物質システムに使用される。加えて、経皮性分析物質システムでは、比較的大きなサイズの作用電極を減少させる能力に利点を有する。比較的大きなサイズの作用電極は、極めて低濃度の分析物質について測定可能な信号を与える上で、経皮性分析物質システムで必要となる。極めて低い分析物質の濃度は、例えば、ヒドロゲルあるいは液体を介在させた間質液から抽出されてもよい。
【0011】
電気化学センサーシステムは分析物質の濃度を測定する上で補助機能を有する。 測定される分析物質は、ぶどう糖、脂質成分(例えば、コレステロール、中性脂肪、LDL及びHDL)、ミクロアルブミン、果糖、乳酸若しくはビリルビンなどを含む。他の分析物質の濃度を測定する構成も意図され得る。分析物質は、例えば、細胞内部及び・若しくは細胞内液に存する。細胞内液は間質液、血漿試料、血清試料及び浸出液を含む。この適用内で用いられように、用語“濃度”は
分析物質の濃度、活量 (例えば、酵素及び電解質)、滴定濃度(例えば、抗体)、若しくは所望分析物質の測定に用いられるその他測定農奴などの向けられたものである。
【0012】
電気化学センサーシステムは、所望分析物質若しくは検査対象の分析物質に反応する適切に選定された酵素を含んでもよい。例えば、ぶどう糖と反応するよう用いられる酵素はぶどう糖酸化酵素である。酵素をぶどう糖脱水素酵素のようなぶどう糖と反応するような構成も意図され得る。
【0013】
電気化学センサーシステムは分析物質の濃度を測定する上で助けるよう適合されており、基板、導電材、及びヒドロゲル若しくは液体から構成される。導電材は少なくとも一つの電極を形成するために用いられる。ヒドロゲル若しくは液体は分析物質を導電材を搬送するに供する。
【0014】
図1に電気化学センサーの連続シートの非限定例を示す。図1は電気化学センサーの連続シート10を示しており、該センサー10は複数の離散的導電材領域14を有する連続基板12を備え、該領域14は連続基板12に付加される。図1に示される連続基板12はスクリム、スクリーン、編み材、あるいはそれらの組み合わせから成る。電気化学センサーの連続シートは各電気化学センサー用に提供されるよう切断されてもよい。
【0015】
図2a−2cに電気化学センサーシステム100の非限定例を示す。電気化学センサーシステム100は基板112、導電体114、及びヒドロゲルもしくは液体116を含む。導電体114は基板112と結合される。より詳細には、図2bに示すように、導電体114は基板112に装着される。ヒドロゲル116は、図2bに示すように、導電体114と基板112の上下の双方に位置する。
【0016】
電気化学センサーシステム100に用いられる基板112は多孔質であり、導電体114を支持するに十分な長さを有す。基板はスクリム、スクリーン、編み材、あるいはそれらの組み合わせから成る。基板は、その意図する構成として、ヒドロゲルあるいは液体の通過を許容するに足る多孔質、また導電体114の両端114a, 114bと接触するような他の形状であってもよい。例えば、固体で非多孔質材では一以上、望ましくは複数の開口が形成され、これにより導電体の両端がヒドロゲルあるいは液体にアクセス可能となる。導電体の両端がヒドロゲルあるいは液体にアクセス可能となることにより、分析物質が導電体に到達するに要する時間が軽減される。
【0017】
一つの実施の形態では、基板112は複数の開口126(図12a参照)を形成する。開口は多種多様の大きさと形状を有してよいが、ヒドロゲルあるいは液体が導電体114の両端114a, 114bと接触するよう形成される。開口は望ましくは、該開口126を貫通する分析物質に対応する大きさと形状に形成される。これには、所望の分析物質の流量が含まれる。
【0018】
導電体114の両端114a, 114bを活用することにより、少なくとも一つの電極を形成するに必要な導電体量と全フット印刷が減少される。かくして、導電体の両端にヒドロゲルもしくは液体を接触させることで、電極はより小型化となり、ひいてはより電気化学センサーもより小型化される。しかし、基板は一つの開口を貫通形成してもよく、これにより導電体の両面にヒドロゲルもしくは液体を接触させる構成も意図するところである。
【0019】
基板は多種多様の材料で形成してよい。例えば、基板は高分子材料から形成してもよい。基板を形成する高分子材料の非限定例として、ポリエチレン、ポリプロプレン、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエーテル、ポリカーボネート、もしくはこれらの組み合わせが挙げられる。高分子材料にあらかじめ開口を形成してもよく、あるいは後の加工で開口を貫通形成してもよい。
【0020】
また、意図する構成として、セルロース材料や多孔質セラミックなど他の高分子材料を基板の形成に用いてもよい。仮に固体非多孔質材料が用いられた場合、開口を事前に貫通形成することで、多孔質としてもよい。あるいは択一てきには、その後の加工で開口を貫通形成する方法にてセラミック材料を形成してもよい。基板は金属材料で形成してもよいが、この種の基板は絶縁性誘電層を含む可能性があるため金属材料は時として好ましくない。
【0021】
基板は電界パターンの生成に用いてもよく、電界パターンにより干渉材料が分析物質域に到達するのを防止もしくは禁止する。干渉材料の減少されることで、分析物質の濃度の測定が改善されうる。本実施の形態では、基板は正もしくは負の帯電面を生成し、これにより干渉材料が分析物質域に到達するのを防止もしくは禁止するのを補助している。ぶどう糖の分析物質の濃度を測定する場合、この種の電界がぶどう糖の及ぼす影響は、ぶどう糖は帯電性を有しないことからほとんど皆無である。電界パターンが測定中の分析物質の濃度にほとんど影響を有しないことは極めて望ましい。
【0022】
このような電界パターンは基板(例えば、皮膚に最近接する基板の下部)に印加してもよく、これは干渉化合物が帯電性に基づいて通過するのを防止もしくは禁止している。本実施の形態では、典型的な分析が行われるのは、基板の対向面(例えば、皮膚からもっとも離れた基板の上部)である。一つの実施の形態における電界パターンは基板に形成される開口に位置してもよい。
【0023】
電界パターンは、例えば、印刷法もしくはコート法により基板に印加してもよい。一つの実施の形態によれば、正確には基板の一端は干渉材を結合する結合材で印刷もしくは皮膜される。 意図する構成として、基板の両端部はこのような結合材を含んでもよい。
【0024】
他の実施の形態では、基板は分析物質の濃度の測定の補助に用いられる酵素を含んでもよい。本実施の形態では、酵素は基板の一端部の皮膜され、他方導電材は対向側に位置する。本実施の形態では、分析処理に於いて仲介物が、分析処理の次の過程が起きる部位に近接して生成される。これにより、変換効率が上昇し、かくしてセンサーで観察される信号の増加をもたらす。例えば、測定対象の分析物質が酵素ぶどう糖酸化酵素を用いるぶどう糖である場合、ぶどう糖酸化酵素を有する基板表面に過酸化物が生成されうる。基板が多孔質状態のまま、皮膜が基板を覆うのが望ましい。例えば、基板がスクリムあるいはスクリーンであるとき、皮膜が形成されるものであって、スクリムあるいはスクリーンに形成された複数の開口が部分的に開口したままとなり、これによってヒドロゲルあるいは液体が導電材の両端に接触する補助となっている。
【0025】
また、意図する構成として、基板は媒介物を含んでもよく、該媒介物は電子受容体であって、分析物質の濃度に対応する電流の生成の補助となる。更にまた、意図する構成として、他の添加物を、選定分析物質の測定を容易にする補助として基板に添加してもよい。
【0026】
導電体114は基板112に付加され、少なくとも一つの電極を形成する。典型的には、導電体114は複数の電極を形成する。例えば、図2cでは、導電体114は複数の電極を形成しており、これには作用電極118と反対電極120が含まれる。作用電極118と反対電極120は電気化学電流を生成し、該電流はこれら電極が電気接続される時に流れることができ、電位がこれら電極間に生成される。複数の電極には反対電極、作用電極、基準電極など3以上の電極が含まれる。図3に3つの電極を含む電気化学センサーの例が示される。詳細には、図3の電気化学センサーシステム200は基板112、導電材214及びヒドロゲル216を含む。導電材214は作用電極218、反対電極220、基準電極222を含む。意図する構成として、電極は多かれ少なかれ導電材を用いて形成可能である。
【0027】
酵素反応で生成される電子は作用電極を介し電流の流れの大きさを測定する計器あるいは器具の部位まで流れる。反対電極は固定電位を提供し、該固定電位に関し、作用電極が制御される。反対電極は電気回路を完成するよう活用されてもよい。
【0028】
一つの実施の形態では、導電材を基板の表面に付加してもよい。意図する構成として、付加導電材は、例えば、印刷される場合、基板の表面に付加してもよく、また基板の表面を貫通してもよい。基板の表面に付加する導電材の例としては、図2c、図3、図4に示されるものがある。図4では、電気化学センサー300は、基板112、導電材314、及びヒドロゲル316を含むセンサーとして示される。導電材314は作用電極318、反対電極320を含み、該作用電極318、反対電極320は基板112のそれぞれ対向側に位置する。
【0029】
他の実施の形態では、導電材は基板内の少なくとも部分的に位置してもよい。図5を参照するに、基板112、導電材414、ヒドロゲル416を含む電気化学センサー400が示される。導電材414は基板112内の少なくとも部分的に位置する。より詳細には、作用電極418、反対電極420を含む導電材414は、基板112内に位置する。
【0030】
意図する構成として、導電材は基板上及び基板内の双方に位置してもよい。例えば、図6では、基板112、導電材514、ヒドロゲル516を含む電気化学センサー500が示される。導電材514は作用電極518と反対電極520を含む。作用電極518は基板112内に位置し、反対電極520は基板112上に位置する。
【0031】
更にその他の実施の形態では、図7の電気化学センサー600は基板112、導電材614、ヒドロゲル616を含む。導電材614は作用電極618、反対電極620、基準電極622を含む。作用電極618及び基準電極622は基板112内に位置し、反対電極620は基板112上に位置する。
【0032】
導電材は白金炭素等の金属材もしくはその他導電材であてもよい。導電金属材の非限定例として、銅、ニッケル、金、白金、パラジウム、ロジウム、もしくはそれら組み合わせが挙げられる。導電金属材の厚さは一般的に概ね10オングストロームから約10,000オングストロームである。導電金属材の厚さはより典型的には概ね100オングストロームから約1,000オングストロームである。
【0033】
導電材の厚さは基板の厚さより大きくてもよい。例えば、導電材が白金炭素の場合、導電材の厚さは典型的には基板の厚さより大きい。また、意図する構成として、導電材の厚さは基板の厚さより小さくてもよい。例えば、白金皮膜が基板にあてられた場合、皮膜厚さは典型的には基板の厚さより小さい。
【0034】
導電材の大きさと形状を図2aに示すが、該導電材は概ね円形部114cと該円形部114cから延在する延在部114dを含む。導電材の大きさと形状は図1、図2aに示す状態から変更できうる。導電材の大きさと形状は、導電材の製造コスト削減もさることながら、分析物質の濃度の測定を容易にする観点から選定される。導電材の大きさと形状はまたその他の理由から選定してもよい。例えば、ヒドロゲルあるいは液体の補給に貯蔵器を用いる場合、貯蔵器から皮膚接触位置までヒドロゲルあるいは液体を搬送する際、導電材を所望の多孔性を与えるに最適な配置とする。ヒドロゲルの特徴が試験期間に渡り変化する傾向のとき、貯蔵器を用いてもよく、これは典型的にヒドロゲルの溶媒率が時間を超過して減少することを含む。
【0035】
一つの実施の形態では、皮膚を水化する際、また対象分析物質を導電材で形成される少なくとも一つの電極まで搬送する際に、その補助としてヒドロゲルが用いられる。ヒドロゲルの溶媒(例えば、水)の含有量は変更可能である。ヒドロゲル116の力学的強度を増加するため、ヒドロゲル116を導電材114を有する基板112で支持する。かくして、追加的な基板材の必要性は排除される。
【0036】
ヒドロゲルの構成は、ここでは、架橋重合体ゲルを含むものとして定義される。ヒドロゲルの構成は一般的には、少なくとも一つの単量体と溶媒から成る。溶媒は典型的に且つ実質的には、皮膚に対し生体適合性を有する。ヒドロゲルの構成において用いられる溶媒の非限定例として、水及び水混合物が挙げられる。ヒドロゲルの溶媒量は一般的には概ね10重量パーセントから95重量パーセントであり、単量体量、架橋結合、及び・もしくは所望のゲル構成に依存して変化してもよい。
【0037】
選定されるヒドロゲル量は、水化皮膚の提供の必要性及び、ヒドロゲルを皮膚と緊密接触を維持する必要性に基づいている。電気化学センサーシステムにおいて、大容量のヒドロゲルを用いる不利点として、少なくとも一つの電極の到達する分析物質の遅延時間に対し潜在的な影響を与える事があげられ、延いては分析時間にも影響を与えることとなる。ヒドロゲルが少なくとも一つの電極の両端部と接触可能な電気化学センサーシステムでは、分析物質が電極に到達する遅延時間への影響度が軽減される。利点として、ヒドロゲルが少なくとも一つの電極の両端部と接触可能な点が挙げられる。少なくとも一つの電極、望ましくは複数の電極の両端部と接触可能な電気化学センサーシステムを有する本発明はヒドロゲルにおいてより大量の水分を使用することが可能である。
【0038】
意図する構成として、皮膚の水化の補助及び対象分析物質を導電材により形成される少なくとも一つの電極までの搬送補助に液体を使用してもよい。また、意図する構成として、液体あるいはヒドロゲルをマトリックス状材料に配置してもよい。このような、実施の形態では、マトリックス状材料は、液体あるいはヒドロゲルを少なくとも一つの電極まで移動可能とするはずである。
【0039】
更なる、意図する構成として、媒介物をヒドロゲルあるいは液体に配置してもよい。効率を最大化するよう、媒介物の配分を構成してもよい。更なる、意図する構成として、他の構成要素をヒドロゲルあるいは液体内に配置してもよい。
【0040】
図8から図10を参照するに、他の実施の形態において、基板の一部に単一電極を配置したものを示す。まず、図8a−8dを参照するに、複数の開口652が形成された基板650を示す。図8bに示すように、基板650は単一の電極656を有し、該電極656は基板650の表面650a上に配置される。ヒドロゲルあるいは液体658は、図8c及び8dに示すとおり、基板650と電極656の全面に添加される。ヒドロゲルあるいは液体658は複数の開口652を貫通して延在する。本実施の形態では、電極656は複数の開口652を貫通延在していない。しかし、意図する構成として、電極を複数の開口部内に延在させてもよい。
【0041】
図9a−9dを参照するに、複数の開口652が形成された基板650が示される。図9bに示されるとおり、基板650は単一の電極を有し、該電極は基板650の面650a、650bに配置される。より詳細には、電極666は基板650の対向面650a、650bに配置され、複数の開口部652内に延在する。電極666は実質的に開口部652内に充填される。意図する構成として、電極は複数の開口部に部分的に充填され、この際電気接続はその内部で確立維持される。ヒドロゲルあるいは液体668は、図9c, 9dに示すように、基板および電極666の全面に添加される。また、意図する構成として、ヒドロゲルあるいは液体は、電極666が実質的に複数の開口部652に充填されないのであれば、複数の開口部内を貫通延在してもよい。
【0042】
図10a−10dを参照するに、複数の開口652が形成された基板650が示される。図10bに示されるとおり、基板650は単一の電極676を有し、該電極は第一の電極676aと第二の電極676bを含む。第一の電極676aは面650aに配置され、第二の電極676bは基板650の面650bに配置される。かくして、第一の電極676aと第二の電極676bは複数の開口部652内を貫通延在しない。意図する構成として、電極断面は複数の開口部内を部分的に貫通延在してもよい。ヒドロゲルあるいは液体678は図10c, 10dに示されるとおり、基板および電極断面676a、676bの全面添加される。ヒドロゲルあるいは液体680は複数の開口部652内を貫通延在する。
【0043】
図8−10に示す実施の形態では、単一の電極(例えば、作用電極)のみが描かれている。意図する構成として、作用電極、反対電極 あるいは他のいかなる電極も基板の両端側に存してもよく、あるいは基板の一端側のみでも、もしくは基板の対向側に存してもよい。
【0044】
一つの方法によれば、電気化学センサーシステムは、分析物質の濃度の測定補助に適合するよう構成される。一つの実施の形態では、多孔性をその内部に有する基板(例えば、基板112)はスクリム、スクリーン、編み材、あるいはそれらの組み合わせから成る。上述したとおり、基板112は開口をその内部に形成する。導電材(例えば、導電材114)が基板に付加される。導電材は第一の側と第二の側を有し、少なくとも一つの電極を形成する。ヒドロゲル(例えば、ヒドロゲル116)あるいは液体が備えられる。複数の電極を有する基板はヒドロゲルに接触し、この際分析物質は、少なくとも一つの電極の第一の側と第二の側に接触するよう成される。例えば、図3に示される導電材はヒドロゲルの略中央に配置される。
【0045】
導電材を異なる手法にて基板に添加してもよい。一つの方法では、導電材をスパッタリングで添加する。スパッタリング処理では、白金、銅、ニッケル、金、パラジウム、ロジウム、もしくはそれら組み合わせなどの金属が蒸着される。意図する構成として、他の導電材が基板にスパッタリングされる。スパッタリング処理では、導電材が基板の一つの表面に配置され、また導電材はある程度基板に貫通してもよい。意図する構成として、スパッタリング処理は、基板の両端部に導電材を配置するよう活用されてもよい。
【0046】
その他の方法として、導電材を印刷で基板に添加してもよい。印刷は白金あるいは白金化炭素インクを用いて行われる。意図する構成として、他の導電材を基板に印刷してもよい。典型的な印刷処理では、導電材を少なくとも一つの表面に配置し、また導電材をある程度基板内に貫通してもよい。意図する構成として、印刷処理で、導電材を基板の両端部に付加してもよい。
【0047】
意図する構成として、基板に導電材を付加する際、他の方法を用いてもよい。例えば、導電材を電気メッキもしくは粉末被覆を用いて基板に付加してもよい。
一つの実施の形態では、電極の全てを基板に付加する。意図する構成として、全電極のより少ない数の電極を基板に付加する。例えば、単一の電極を基板に付加し、もう一方の電極を分析領域の近傍に配置する。
【0048】
本発明は分析物質を継続的に監視する経皮的アプローチに活用されてもよい。図11に示すとおり、図3に示す電気化学センサーシステム200は、経皮的適用にあてられたものとして示してある。詳細には、電気化学センサーシステム200は、図11に示す表皮250の角質層252の上に配置される。角質層252は複数の経路252a−dをその内部に形成している。経路の大きさと深さは検査対象の分析物質と皮膚の分析物質位置に依存して異なってもよい。
【0049】
複数の経路252は異なる方法で形成されてよく、例えば、レーザ発動型切開法、切開法(ランス)、若しくは皮膚に裂け口を形成する準備として、圧力を印加して皮膚を延伸させる圧力部材等が挙げられる。意図する構成として、その他の方法も用いてよい、例えば、ピューマあるいはゲルを用いる、テープストリップ、もしくは各種皮膚剥脱法などである。対象分析物質は表皮250あるいは真皮層254に配置してもよい。例えば、一つの分析物質(例えば、ぶどう糖)を真皮層に配置する。ぶどう糖は、例えば、表皮250に形成される複数の経路252に確立される流体路に拡散する。一般的に高い水分含有量を有するヒドロゲルは対象分析物質の拡散に対し流体路を維持する。
【0050】
電気化学センサーシステムはまた、ISFでの分析物質を継続的に監視するために用いられてもよい。この種の分析物質は典型的には皮膚に配置される。分析物質は典型的に皮膚の経皮性領域(表皮、真皮層若しくは皮下組織)に配置される。分析物質は拡散経路を介して皮膚表面のもたらされる。幾つかの分析物質技法を用いて、分析が皮膚表面で行われる。
【0051】
意図する構成として、本発明の電気化学センサーシステムでは、電量分析手法を用いてよい。電量分析手法では、生成信号の増加から検定法の感度が上がるであろう。この電量分析手法を活用する電気化学センサーシステムの一つの例が図12に示される。図12の電気化学センサーシステム700は導電材714を有する基板712、ヒドロゲル716及び作用電極718を含む。電気化学センサーシステム700は皮膚740上に配置される。導電材714は、反対電極720を含む。本実施の形態では、作用電極718は裏材730上に印刷される。裏材730は高分子裏材から形成してもよい。電量分析が基板712上の反対電極720と作用電極718の間で行われる。電量分析は画定体積の全分析物質の変換に基づく。図12の画定領域は、基板712/反対電極720と作用電極718の間に存する領域732である。この領域732はヒドロゲル716に圧倒的に占有されるが、拡散分析物質(例えば、ぶどう糖)あるいはぶどう糖の変換物を含む。分析はある期間に生成される電流の積分に基づく。
【0052】
皮膚から隔離する基板の側部で、水などの液体を収容するチャンバーの一部を形成してもよく、該チャンバーはスクリムの下方であり皮膚と接触するヒドロゲルの貯蔵器を形成する。この構成はより長時間ヒドロゲルの水化の補助となるであろう。基板上のセンサー位置に関し、設計上の有意な自由度が与えられ、且つ、基板対向面で使用可能な材料が提供される。高水化・高濃度ヒドロゲルを用いてよく、この際皮膚と接触するヒドロゲル用の貯蔵器が提供される。増加した厚さによる遅延時間への影響はほぼ無いであろう。
実施の形態A:
流体の分析物質(analyte)の濃度の測定を助けるよう構成された電気化学センサーシステムであって、該システムは、
その内部を貫通して多孔性を有する基板と、
少なくとも一つの電極を含む導電材であって、該少なくとも一つの電極は基板と結合しており、該少なくとも一つの電極は第一の面とこれに対向する第二の面とを有する前記導電材と、
該少なくとも一つの電極の第一の面及び第二の面に流体の分析物質の搬送を助けるよう構成されたヒドロゲル(hydrogel)あるいは液体とを備える電気化学センサーシステム。
実施の形態B:
実施の形態Aのシステムにおいて、基板はスクリーン、スクリム、編み材、あるいは開口を有する固体材である。
実施の形態C:
実施の形態Bのシステムにおいて、基板はスクリーンである。
実施の形態D:
実施の形態Bのシステムにおいて、基板はスクリムである。
実施の形態E:
実施の形態Bのシステムにおいて、基板は電界パターンを有する。
実施の形態F:
実施の形態Bのシステムにおいて、基板は高分子材、セルロース材、もしくは多孔質セラミックを備えて成る。
実施の形態G:
実施の形態Aのシステムにおいて、基板の多孔性はその内部に形成された複数の開口を含む。
実施の形態H:
実施の形態Aのシステムにおいて、少なくとも単一複数の電極とは複数の電極であって、複数の電極は作用電極と反対電極を含む。
実施の形態I:
実施の形態Aのシステムにおいて、少なくとも一つの電極は基板の表面上に配置される。
実施の形態J:
実施の形態Aのシステムにおいて、少なくとも一つの電極の一部は基板内部に配置される。
実施の形態K:
実施の形態Aのシステムにおいて、導電材は金属である。
実施の形態L:
実施の形態Aのシステムにおいて、少なくとも一つの電極は第一の断面と第二の断面を有し、第一の断面は第一の面を有し、第二の断面は対向する第二の面を有する。
実施の形態M:
実施の形態Aのシステムにおいて、基板の多孔性は、その内部を貫通して形成された少なくとも一つの開口と、少なくとも一つの開口を実質的に充填する導電材とを含む。
実施の形態N:
実施の形態Aのシステムにおいて、電気化学センサーシステムはヒドロゲルを用いる。
実施の形態O:
実施の形態Nのシステムにおいて、 ヒドロゲルは架橋重合体である。
実施の形態P:
実施の形態Aのシステムにおいて、電気化学センサーシステムは液体を用いる。
実施の形態Q:
実施の形態Aのシステムにおいて、ヒドロゲルあるいは液体はマトリックス状材料に存する。
実施の形態R:
実施の形態Aのシステムにおいて、電気化学センサーシステムは電量分析システムである。
実施の形態S:
実施の形態Aのシステムにおいて、電気化学センサーシステムは電流測定システムである。
実施の形態T:
実施の形態Aのシステムにおいて、電気化学センサーシステムは更に酵素、ぶどう糖酸化酵素、若しくはぶどう糖脱水素酵素を含む。
工程U:
分析物質の濃度の測定を助けるよう構成された電気化学センサーシステムを形成する方法であって、該方法は、
その内部に多孔性を有する基板を設けるステップと、
該基板に導電材を付加するステップであって、該導電材は第一の側と第二の側とを有し、該導電材は少なくとも一つの電極を形成する前記付加するステップと、
ヒドロゲルあるいは液体を設けるステップと、
基板と少なくとも一つの付加された電極とをヒドロゲルと接触せしめ、分析物質を少なくとも一つの電極の第一の側及び第二の側と接触するようにしたステップと、
を備えてなる電気化学センサーシステムを形成する方法。
工程V:
工程Uの方法において、導電材をヒドロゲルあるいは液体の略中央に配置される。
工程W:
工程Uの方法において、導電材はスパッタリングにより基板に付加される。
工程X:
工程Uの方法において、導電材は印刷により基板に付加される。
工程Y:
工程Uの方法において、分析物質はぶどう糖である。
工程Z:
工程Uの方法において、基板はスクリーン、スクリム、編み材、あるいは開口を有する固体材である。
工程AA:
工程Zの方法において、基板はスクリムである。
工程BB:
工程Uの方法において、基板は高分子材、セルロース材、もしくは多孔質セラミックを備えて成る。
工程CC:
工程Uの方法において、基板の多孔性はその内部に形成された複数の開口を含む。
工程DD:
工程Uの方法において、少なくとも単一複数の電極とは複数の電極であって、複数の電極は作用電極と反対電極を含む。
工程EE:
工程Uの方法において、少なくとも一つの電極は基板の表面上に配置される。
工程FF:
工程Uの方法において、少なくとも一つの電極の一部は基板内部に配置される。
工程GG:
工程Uの方法において、少なくとも一つの電極は第一の断面と第二の断面を有し、第一の断面は第一の面を有し、第二の断面は対向する第二の面を有する。
工程HH:
工程Uの方法において、基板の多孔性は、その内部に形成された少なくとも一つの開口と、少なくとも一つの開口を実質的に充填する導電材とを含む。
工程II:
工程Uの方法において、電気化学センサーシステムはヒドロゲルを用いる。
工程JJ:
工程IIの方法において、ヒドロゲルは架橋重合体である。
工程KK:
工程Uの方法において、電気化学センサーシステムは液体を用いる。
工程LL:
工程Uの方法において、電気化学センサーシステムは電量分析システムである。
工程MM:
工程Uの方法において、電気化学センサーシステムは電流測定システムである。
工程NN:
流体の分析物質の濃度を測定する方法であって、該方法は、
電気化学センサーシステムを設けるステップであって、該システムは基板と、導電材と、ヒドロゲルあるいは液体とを備えてなり、該基板はその内部を貫通して多孔性を有し、導電材は基板に結合され、導電材は第一の側と第二の側を有し、導電材は少なくとも一つの電極を形成し、該基板及び少なくとも一つの付加された電極は、分析物質が少なくとも一つの電極の第一の側と第二の側に接触するようヒドロゲルに接触する前記電気化学センサーシステムを設けるステップと、
電気化学センサーシステムを皮膚上に配置するステップと、
流体の分析物質の濃度を測定するステップと、
を備えて成る流体の分析物質の濃度を測定する方法。
工程OO:
工程NNの方法において、分析物質はぶどう糖である。
工程PP:
工程NNの方法において、基板はスクリーン、スクリム、編み材、あるいは開口を有する固体材である。
工程OO:
工程NNの方法において、基板の多孔性はその内部に形成された複数の開口を含む。
工程RR:
工程NNの方法において、少なくとも単一複数の電極とは複数の電極であって、複数の電極は作用電極と反対電極を含む。
工程SS:
工程NNの方法において、電気化学センサーシステムはヒドロゲルを用いる。
工程TT:
工程NNの方法において、電気化学センサーシステムは液体を用いる。
工程UU:
工程NNの方法において、該流体は細胞間の流体である。
工程W:
工程UUの方法において、該流体は間質性の流体である。
【0053】
本発明を一以上の特定な実施の形態を参照して述べてきたが、本発明の趣旨と範囲を逸脱せずに実施の形態に多種の変更を加えてよいことは当業者にとって認識できるであろう。これら各実施の形態及びその明瞭な変更は添付の特許請求の範囲に記載されるごとく、発明の趣旨と範囲内で意図されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】一つの実施の形態の基づく導電材を有する連続基板を含む連続シート状の電気化学センサーを示す図。
【図2a】一つの実施の形態の基づくヒドロゲルを有する電気化学センサーの上面透視図。
【図2b】図2aのヒドロゲルを有する電気化学センサーの拡大側面図。
【図2c】図2aの2c−2c線から略見た拡大横断面図。
【図3】一つの実施の形態の基づく3つの電極を有する電気化学センサーシステムの横断面図。
【図4】一つの実施の形態の基づく2つの電極を有する電気化学センサーシステムの横断面図。
【図5】他の実施の形態の基づく2つの電極を有する電気化学センサーシステムの横断面図。
【図6】更に他の実施の形態の基づく2つの電極を有する電気化学センサーシステムの横断面図。
【図7】更に他の実施の形態の基づく3つの電極を有する電気化学センサーシステムの横断面図。
【図8a】一つの実施の形態の基づく基板の一部を示す上面透視図。
【図8b】一つの実施の形態の基づく一の側に付加された電極を有する図8aの基板の上面透視図。
【図8c】一つの実施の形態の基づく付加されたヒドロゲルあるいは液体を有する図8bの上面透視図。
【図8d】図8cの側面図。
【図9a】一つの実施の形態の基づく基板の一部を示す上面透視図。
【図9b】一つの実施の形態の基づく両側に付加された電極を有する図9aの基板の上面透視図。
【図9c】一つの実施の形態の基づく付加されたヒドロゲルあるいは液体を有する図9bの上面透視図。
【図9d】図9cの側面図。
【図10a】一つの実施の形態の基づく基板の一部を示す上面透視図。
【図10b】他の実施の形態の基づく両側に付加された電極を有する図10aの基板の上面透視図。
【図10c】他の実施の形態の基づく付加されたヒドロゲルあるいは液体を有する図10bの上面透視図。
【図10d】図10cの側面図。
【図11】一つの実施の形態の基づく図3の電気化学センサーシステムが皮膚表面に配置された図。
【図12】一つの実施の形態の基づく電量分析手法に用いられる電気化学センサーシステムを示す図。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には電気化学センサーシステム及び同システムの形成方法に関する。より詳細には、本発明は、その内部を貫通して多孔性を有する基板を用いる電気化学センサーシステム及び同システムの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体内流体の分析物質の定量的測定は、ある種の生理学的な異常の診断及びその保持性の観点から極めて重要である。例えば、乳酸、コレステロール及びビリルビンなどはある個人においては監視されるべきものである。特に、糖尿病の個人患者が体内流体をぶどう糖の含有レベルを頻繁にチェックし食事でのぶどう糖の摂取量を制限することは重要である。これらの試験結果を、仮にあるとすれば、どの種のインシュリンもしくは他の薬剤の管理が必要なのかを決定する際に活用できるものである。一種の血糖試験システムでは、センサーが血液試料の試験に用いられている。
【0003】
試験センサーには、血糖に反応する生体感知剤あるいは試薬剤が含まれる。センサーの試験端部は、被試験流体中、例えば、検査対象者の指に刺し傷をつくりそこに蓄積された血液中に配置するよう構成される。流体は毛細経路内に引き込まれるわけであるが、この際センサー内の試験端部から試薬剤まで延在する毛細経路の毛細管作用により十分な量の被試験流体がセンサー内に引き込まれる。流体は化学的にセンサー内の試薬剤と反応し、その結果被試験流体のぶどう糖含有レベルを示す電気信号が発生する。この信号はセンサー後部若しくは接触端部近傍に位置する接触領域を介して計測器に供給され、測定出力となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気化学センサーを構成する一つの従来プロセスとして、基板上に導電金属を蒸着させ、蒸着した導電金属の選定部位を取り除く減法手法が用いられる。他の従来プロセスでは、添加プロセスとして、導電インクを用いて電極を印刷する。導電インクには、炭素粒子を含む搬送体を有する白金化炭素、白金あるいは他の貴金属が含まれる。これら従来プロセスの双方において、電極として使用可能な導電金属の面積は単一の2次元フット印刷に限られている。導電金属は高価なことから、製造者としては可能なかぎり少量の導電金属の使用で所望の機能を維持することが望まれる。
【0005】
必要とされる導電金属量を減少させる電気化学センサーシステムが望まれており、これにより、延いてはコストの削減、また同時に所望の機能が維持される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの実施の形態によれば、電気化学センサーシステムは流体の分析物質の濃度の測定を助けるよう構成される。電気化学センサーシステムは基板と、導電材と、ヒドロゲルあるいは液体とを備えて成る。基板はその内部を貫通して多孔性を有する。導電材は少なくとも一つの電極を含む。少なくとも一つの電極は基板と結合される。少なくとも一つの電極は第一の面と対向する第二の面を有する。ヒドロゲルあるいは液体は流体の分析物質を少なくとも一つの電極の第一と第二の面に流体の分析物質を搬送する補助となるよう構成される。
【0007】
一つの方法によれば、分析物質の濃度の測定を助けるよう構成される電気化学センサーシステムが形成される。その内部に多孔性を有する基板が設けられる。導電材が基板に付加される。導電材は第一の側と第二の側を有する。導電材は少なくとも一つの電極を形成する。ヒドロゲルあるいは液体が設けられる。基板及び少なくとも一つの付加された電極はヒドロゲルに接触されるものであって、この際分析物質は少なくとも一つの電極の第一の側と第二の側に接触するよう構成される。
【0008】
他の方法によれば、流体の分析物質の濃度が測定される。基板と、導電材と、ヒドロゲルあるいは液体とを備える電気化学センサーシステムが設けられる。基板はその内部に多孔性を有する。導電材は基板に結合される。導電材は第一の側と第二の側を有する。導電材は少なくとも一つの電極を形成する。基板及び少なくとも一つの付加された電極はヒドロゲルに接触されるものであって、この際分析物質は少なくとも一つの電極の第一の側と第二の側に接触するよう構成される。電気化学センサーシステムは皮膚上に配置される。流体の分析物質の濃度が測定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は電気化学センサーシステム及び少なくとも一つの電極を形成する際に使用される導電材料の量を同システムに減じさせるプロセスに関する. 導電材料の量の減少は、少なくとも一つの電極を形成する導電材料の両端を用いることで達成されうる。必要とされる導電材料の量を減少する際には、電気化学センサーシステムのサイズを減少させてもよい。導電材料を減少させることで、電気化学センサーシステム製造コストもまた減少される。電気化学センサーシステムは、分析物質の濃度を測定するする器具若しく計量器と共に使用するよう適合されている。
【0010】
本発明は望ましくは導電材料のコストの観点から経皮性分析物質システムに使用される。加えて、経皮性分析物質システムでは、比較的大きなサイズの作用電極を減少させる能力に利点を有する。比較的大きなサイズの作用電極は、極めて低濃度の分析物質について測定可能な信号を与える上で、経皮性分析物質システムで必要となる。極めて低い分析物質の濃度は、例えば、ヒドロゲルあるいは液体を介在させた間質液から抽出されてもよい。
【0011】
電気化学センサーシステムは分析物質の濃度を測定する上で補助機能を有する。 測定される分析物質は、ぶどう糖、脂質成分(例えば、コレステロール、中性脂肪、LDL及びHDL)、ミクロアルブミン、果糖、乳酸若しくはビリルビンなどを含む。他の分析物質の濃度を測定する構成も意図され得る。分析物質は、例えば、細胞内部及び・若しくは細胞内液に存する。細胞内液は間質液、血漿試料、血清試料及び浸出液を含む。この適用内で用いられように、用語“濃度”は
分析物質の濃度、活量 (例えば、酵素及び電解質)、滴定濃度(例えば、抗体)、若しくは所望分析物質の測定に用いられるその他測定農奴などの向けられたものである。
【0012】
電気化学センサーシステムは、所望分析物質若しくは検査対象の分析物質に反応する適切に選定された酵素を含んでもよい。例えば、ぶどう糖と反応するよう用いられる酵素はぶどう糖酸化酵素である。酵素をぶどう糖脱水素酵素のようなぶどう糖と反応するような構成も意図され得る。
【0013】
電気化学センサーシステムは分析物質の濃度を測定する上で助けるよう適合されており、基板、導電材、及びヒドロゲル若しくは液体から構成される。導電材は少なくとも一つの電極を形成するために用いられる。ヒドロゲル若しくは液体は分析物質を導電材を搬送するに供する。
【0014】
図1に電気化学センサーの連続シートの非限定例を示す。図1は電気化学センサーの連続シート10を示しており、該センサー10は複数の離散的導電材領域14を有する連続基板12を備え、該領域14は連続基板12に付加される。図1に示される連続基板12はスクリム、スクリーン、編み材、あるいはそれらの組み合わせから成る。電気化学センサーの連続シートは各電気化学センサー用に提供されるよう切断されてもよい。
【0015】
図2a−2cに電気化学センサーシステム100の非限定例を示す。電気化学センサーシステム100は基板112、導電体114、及びヒドロゲルもしくは液体116を含む。導電体114は基板112と結合される。より詳細には、図2bに示すように、導電体114は基板112に装着される。ヒドロゲル116は、図2bに示すように、導電体114と基板112の上下の双方に位置する。
【0016】
電気化学センサーシステム100に用いられる基板112は多孔質であり、導電体114を支持するに十分な長さを有す。基板はスクリム、スクリーン、編み材、あるいはそれらの組み合わせから成る。基板は、その意図する構成として、ヒドロゲルあるいは液体の通過を許容するに足る多孔質、また導電体114の両端114a, 114bと接触するような他の形状であってもよい。例えば、固体で非多孔質材では一以上、望ましくは複数の開口が形成され、これにより導電体の両端がヒドロゲルあるいは液体にアクセス可能となる。導電体の両端がヒドロゲルあるいは液体にアクセス可能となることにより、分析物質が導電体に到達するに要する時間が軽減される。
【0017】
一つの実施の形態では、基板112は複数の開口126(図12a参照)を形成する。開口は多種多様の大きさと形状を有してよいが、ヒドロゲルあるいは液体が導電体114の両端114a, 114bと接触するよう形成される。開口は望ましくは、該開口126を貫通する分析物質に対応する大きさと形状に形成される。これには、所望の分析物質の流量が含まれる。
【0018】
導電体114の両端114a, 114bを活用することにより、少なくとも一つの電極を形成するに必要な導電体量と全フット印刷が減少される。かくして、導電体の両端にヒドロゲルもしくは液体を接触させることで、電極はより小型化となり、ひいてはより電気化学センサーもより小型化される。しかし、基板は一つの開口を貫通形成してもよく、これにより導電体の両面にヒドロゲルもしくは液体を接触させる構成も意図するところである。
【0019】
基板は多種多様の材料で形成してよい。例えば、基板は高分子材料から形成してもよい。基板を形成する高分子材料の非限定例として、ポリエチレン、ポリプロプレン、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエーテル、ポリカーボネート、もしくはこれらの組み合わせが挙げられる。高分子材料にあらかじめ開口を形成してもよく、あるいは後の加工で開口を貫通形成してもよい。
【0020】
また、意図する構成として、セルロース材料や多孔質セラミックなど他の高分子材料を基板の形成に用いてもよい。仮に固体非多孔質材料が用いられた場合、開口を事前に貫通形成することで、多孔質としてもよい。あるいは択一てきには、その後の加工で開口を貫通形成する方法にてセラミック材料を形成してもよい。基板は金属材料で形成してもよいが、この種の基板は絶縁性誘電層を含む可能性があるため金属材料は時として好ましくない。
【0021】
基板は電界パターンの生成に用いてもよく、電界パターンにより干渉材料が分析物質域に到達するのを防止もしくは禁止する。干渉材料の減少されることで、分析物質の濃度の測定が改善されうる。本実施の形態では、基板は正もしくは負の帯電面を生成し、これにより干渉材料が分析物質域に到達するのを防止もしくは禁止するのを補助している。ぶどう糖の分析物質の濃度を測定する場合、この種の電界がぶどう糖の及ぼす影響は、ぶどう糖は帯電性を有しないことからほとんど皆無である。電界パターンが測定中の分析物質の濃度にほとんど影響を有しないことは極めて望ましい。
【0022】
このような電界パターンは基板(例えば、皮膚に最近接する基板の下部)に印加してもよく、これは干渉化合物が帯電性に基づいて通過するのを防止もしくは禁止している。本実施の形態では、典型的な分析が行われるのは、基板の対向面(例えば、皮膚からもっとも離れた基板の上部)である。一つの実施の形態における電界パターンは基板に形成される開口に位置してもよい。
【0023】
電界パターンは、例えば、印刷法もしくはコート法により基板に印加してもよい。一つの実施の形態によれば、正確には基板の一端は干渉材を結合する結合材で印刷もしくは皮膜される。 意図する構成として、基板の両端部はこのような結合材を含んでもよい。
【0024】
他の実施の形態では、基板は分析物質の濃度の測定の補助に用いられる酵素を含んでもよい。本実施の形態では、酵素は基板の一端部の皮膜され、他方導電材は対向側に位置する。本実施の形態では、分析処理に於いて仲介物が、分析処理の次の過程が起きる部位に近接して生成される。これにより、変換効率が上昇し、かくしてセンサーで観察される信号の増加をもたらす。例えば、測定対象の分析物質が酵素ぶどう糖酸化酵素を用いるぶどう糖である場合、ぶどう糖酸化酵素を有する基板表面に過酸化物が生成されうる。基板が多孔質状態のまま、皮膜が基板を覆うのが望ましい。例えば、基板がスクリムあるいはスクリーンであるとき、皮膜が形成されるものであって、スクリムあるいはスクリーンに形成された複数の開口が部分的に開口したままとなり、これによってヒドロゲルあるいは液体が導電材の両端に接触する補助となっている。
【0025】
また、意図する構成として、基板は媒介物を含んでもよく、該媒介物は電子受容体であって、分析物質の濃度に対応する電流の生成の補助となる。更にまた、意図する構成として、他の添加物を、選定分析物質の測定を容易にする補助として基板に添加してもよい。
【0026】
導電体114は基板112に付加され、少なくとも一つの電極を形成する。典型的には、導電体114は複数の電極を形成する。例えば、図2cでは、導電体114は複数の電極を形成しており、これには作用電極118と反対電極120が含まれる。作用電極118と反対電極120は電気化学電流を生成し、該電流はこれら電極が電気接続される時に流れることができ、電位がこれら電極間に生成される。複数の電極には反対電極、作用電極、基準電極など3以上の電極が含まれる。図3に3つの電極を含む電気化学センサーの例が示される。詳細には、図3の電気化学センサーシステム200は基板112、導電材214及びヒドロゲル216を含む。導電材214は作用電極218、反対電極220、基準電極222を含む。意図する構成として、電極は多かれ少なかれ導電材を用いて形成可能である。
【0027】
酵素反応で生成される電子は作用電極を介し電流の流れの大きさを測定する計器あるいは器具の部位まで流れる。反対電極は固定電位を提供し、該固定電位に関し、作用電極が制御される。反対電極は電気回路を完成するよう活用されてもよい。
【0028】
一つの実施の形態では、導電材を基板の表面に付加してもよい。意図する構成として、付加導電材は、例えば、印刷される場合、基板の表面に付加してもよく、また基板の表面を貫通してもよい。基板の表面に付加する導電材の例としては、図2c、図3、図4に示されるものがある。図4では、電気化学センサー300は、基板112、導電材314、及びヒドロゲル316を含むセンサーとして示される。導電材314は作用電極318、反対電極320を含み、該作用電極318、反対電極320は基板112のそれぞれ対向側に位置する。
【0029】
他の実施の形態では、導電材は基板内の少なくとも部分的に位置してもよい。図5を参照するに、基板112、導電材414、ヒドロゲル416を含む電気化学センサー400が示される。導電材414は基板112内の少なくとも部分的に位置する。より詳細には、作用電極418、反対電極420を含む導電材414は、基板112内に位置する。
【0030】
意図する構成として、導電材は基板上及び基板内の双方に位置してもよい。例えば、図6では、基板112、導電材514、ヒドロゲル516を含む電気化学センサー500が示される。導電材514は作用電極518と反対電極520を含む。作用電極518は基板112内に位置し、反対電極520は基板112上に位置する。
【0031】
更にその他の実施の形態では、図7の電気化学センサー600は基板112、導電材614、ヒドロゲル616を含む。導電材614は作用電極618、反対電極620、基準電極622を含む。作用電極618及び基準電極622は基板112内に位置し、反対電極620は基板112上に位置する。
【0032】
導電材は白金炭素等の金属材もしくはその他導電材であてもよい。導電金属材の非限定例として、銅、ニッケル、金、白金、パラジウム、ロジウム、もしくはそれら組み合わせが挙げられる。導電金属材の厚さは一般的に概ね10オングストロームから約10,000オングストロームである。導電金属材の厚さはより典型的には概ね100オングストロームから約1,000オングストロームである。
【0033】
導電材の厚さは基板の厚さより大きくてもよい。例えば、導電材が白金炭素の場合、導電材の厚さは典型的には基板の厚さより大きい。また、意図する構成として、導電材の厚さは基板の厚さより小さくてもよい。例えば、白金皮膜が基板にあてられた場合、皮膜厚さは典型的には基板の厚さより小さい。
【0034】
導電材の大きさと形状を図2aに示すが、該導電材は概ね円形部114cと該円形部114cから延在する延在部114dを含む。導電材の大きさと形状は図1、図2aに示す状態から変更できうる。導電材の大きさと形状は、導電材の製造コスト削減もさることながら、分析物質の濃度の測定を容易にする観点から選定される。導電材の大きさと形状はまたその他の理由から選定してもよい。例えば、ヒドロゲルあるいは液体の補給に貯蔵器を用いる場合、貯蔵器から皮膚接触位置までヒドロゲルあるいは液体を搬送する際、導電材を所望の多孔性を与えるに最適な配置とする。ヒドロゲルの特徴が試験期間に渡り変化する傾向のとき、貯蔵器を用いてもよく、これは典型的にヒドロゲルの溶媒率が時間を超過して減少することを含む。
【0035】
一つの実施の形態では、皮膚を水化する際、また対象分析物質を導電材で形成される少なくとも一つの電極まで搬送する際に、その補助としてヒドロゲルが用いられる。ヒドロゲルの溶媒(例えば、水)の含有量は変更可能である。ヒドロゲル116の力学的強度を増加するため、ヒドロゲル116を導電材114を有する基板112で支持する。かくして、追加的な基板材の必要性は排除される。
【0036】
ヒドロゲルの構成は、ここでは、架橋重合体ゲルを含むものとして定義される。ヒドロゲルの構成は一般的には、少なくとも一つの単量体と溶媒から成る。溶媒は典型的に且つ実質的には、皮膚に対し生体適合性を有する。ヒドロゲルの構成において用いられる溶媒の非限定例として、水及び水混合物が挙げられる。ヒドロゲルの溶媒量は一般的には概ね10重量パーセントから95重量パーセントであり、単量体量、架橋結合、及び・もしくは所望のゲル構成に依存して変化してもよい。
【0037】
選定されるヒドロゲル量は、水化皮膚の提供の必要性及び、ヒドロゲルを皮膚と緊密接触を維持する必要性に基づいている。電気化学センサーシステムにおいて、大容量のヒドロゲルを用いる不利点として、少なくとも一つの電極の到達する分析物質の遅延時間に対し潜在的な影響を与える事があげられ、延いては分析時間にも影響を与えることとなる。ヒドロゲルが少なくとも一つの電極の両端部と接触可能な電気化学センサーシステムでは、分析物質が電極に到達する遅延時間への影響度が軽減される。利点として、ヒドロゲルが少なくとも一つの電極の両端部と接触可能な点が挙げられる。少なくとも一つの電極、望ましくは複数の電極の両端部と接触可能な電気化学センサーシステムを有する本発明はヒドロゲルにおいてより大量の水分を使用することが可能である。
【0038】
意図する構成として、皮膚の水化の補助及び対象分析物質を導電材により形成される少なくとも一つの電極までの搬送補助に液体を使用してもよい。また、意図する構成として、液体あるいはヒドロゲルをマトリックス状材料に配置してもよい。このような、実施の形態では、マトリックス状材料は、液体あるいはヒドロゲルを少なくとも一つの電極まで移動可能とするはずである。
【0039】
更なる、意図する構成として、媒介物をヒドロゲルあるいは液体に配置してもよい。効率を最大化するよう、媒介物の配分を構成してもよい。更なる、意図する構成として、他の構成要素をヒドロゲルあるいは液体内に配置してもよい。
【0040】
図8から図10を参照するに、他の実施の形態において、基板の一部に単一電極を配置したものを示す。まず、図8a−8dを参照するに、複数の開口652が形成された基板650を示す。図8bに示すように、基板650は単一の電極656を有し、該電極656は基板650の表面650a上に配置される。ヒドロゲルあるいは液体658は、図8c及び8dに示すとおり、基板650と電極656の全面に添加される。ヒドロゲルあるいは液体658は複数の開口652を貫通して延在する。本実施の形態では、電極656は複数の開口652を貫通延在していない。しかし、意図する構成として、電極を複数の開口部内に延在させてもよい。
【0041】
図9a−9dを参照するに、複数の開口652が形成された基板650が示される。図9bに示されるとおり、基板650は単一の電極を有し、該電極は基板650の面650a、650bに配置される。より詳細には、電極666は基板650の対向面650a、650bに配置され、複数の開口部652内に延在する。電極666は実質的に開口部652内に充填される。意図する構成として、電極は複数の開口部に部分的に充填され、この際電気接続はその内部で確立維持される。ヒドロゲルあるいは液体668は、図9c, 9dに示すように、基板および電極666の全面に添加される。また、意図する構成として、ヒドロゲルあるいは液体は、電極666が実質的に複数の開口部652に充填されないのであれば、複数の開口部内を貫通延在してもよい。
【0042】
図10a−10dを参照するに、複数の開口652が形成された基板650が示される。図10bに示されるとおり、基板650は単一の電極676を有し、該電極は第一の電極676aと第二の電極676bを含む。第一の電極676aは面650aに配置され、第二の電極676bは基板650の面650bに配置される。かくして、第一の電極676aと第二の電極676bは複数の開口部652内を貫通延在しない。意図する構成として、電極断面は複数の開口部内を部分的に貫通延在してもよい。ヒドロゲルあるいは液体678は図10c, 10dに示されるとおり、基板および電極断面676a、676bの全面添加される。ヒドロゲルあるいは液体680は複数の開口部652内を貫通延在する。
【0043】
図8−10に示す実施の形態では、単一の電極(例えば、作用電極)のみが描かれている。意図する構成として、作用電極、反対電極 あるいは他のいかなる電極も基板の両端側に存してもよく、あるいは基板の一端側のみでも、もしくは基板の対向側に存してもよい。
【0044】
一つの方法によれば、電気化学センサーシステムは、分析物質の濃度の測定補助に適合するよう構成される。一つの実施の形態では、多孔性をその内部に有する基板(例えば、基板112)はスクリム、スクリーン、編み材、あるいはそれらの組み合わせから成る。上述したとおり、基板112は開口をその内部に形成する。導電材(例えば、導電材114)が基板に付加される。導電材は第一の側と第二の側を有し、少なくとも一つの電極を形成する。ヒドロゲル(例えば、ヒドロゲル116)あるいは液体が備えられる。複数の電極を有する基板はヒドロゲルに接触し、この際分析物質は、少なくとも一つの電極の第一の側と第二の側に接触するよう成される。例えば、図3に示される導電材はヒドロゲルの略中央に配置される。
【0045】
導電材を異なる手法にて基板に添加してもよい。一つの方法では、導電材をスパッタリングで添加する。スパッタリング処理では、白金、銅、ニッケル、金、パラジウム、ロジウム、もしくはそれら組み合わせなどの金属が蒸着される。意図する構成として、他の導電材が基板にスパッタリングされる。スパッタリング処理では、導電材が基板の一つの表面に配置され、また導電材はある程度基板に貫通してもよい。意図する構成として、スパッタリング処理は、基板の両端部に導電材を配置するよう活用されてもよい。
【0046】
その他の方法として、導電材を印刷で基板に添加してもよい。印刷は白金あるいは白金化炭素インクを用いて行われる。意図する構成として、他の導電材を基板に印刷してもよい。典型的な印刷処理では、導電材を少なくとも一つの表面に配置し、また導電材をある程度基板内に貫通してもよい。意図する構成として、印刷処理で、導電材を基板の両端部に付加してもよい。
【0047】
意図する構成として、基板に導電材を付加する際、他の方法を用いてもよい。例えば、導電材を電気メッキもしくは粉末被覆を用いて基板に付加してもよい。
一つの実施の形態では、電極の全てを基板に付加する。意図する構成として、全電極のより少ない数の電極を基板に付加する。例えば、単一の電極を基板に付加し、もう一方の電極を分析領域の近傍に配置する。
【0048】
本発明は分析物質を継続的に監視する経皮的アプローチに活用されてもよい。図11に示すとおり、図3に示す電気化学センサーシステム200は、経皮的適用にあてられたものとして示してある。詳細には、電気化学センサーシステム200は、図11に示す表皮250の角質層252の上に配置される。角質層252は複数の経路252a−dをその内部に形成している。経路の大きさと深さは検査対象の分析物質と皮膚の分析物質位置に依存して異なってもよい。
【0049】
複数の経路252は異なる方法で形成されてよく、例えば、レーザ発動型切開法、切開法(ランス)、若しくは皮膚に裂け口を形成する準備として、圧力を印加して皮膚を延伸させる圧力部材等が挙げられる。意図する構成として、その他の方法も用いてよい、例えば、ピューマあるいはゲルを用いる、テープストリップ、もしくは各種皮膚剥脱法などである。対象分析物質は表皮250あるいは真皮層254に配置してもよい。例えば、一つの分析物質(例えば、ぶどう糖)を真皮層に配置する。ぶどう糖は、例えば、表皮250に形成される複数の経路252に確立される流体路に拡散する。一般的に高い水分含有量を有するヒドロゲルは対象分析物質の拡散に対し流体路を維持する。
【0050】
電気化学センサーシステムはまた、ISFでの分析物質を継続的に監視するために用いられてもよい。この種の分析物質は典型的には皮膚に配置される。分析物質は典型的に皮膚の経皮性領域(表皮、真皮層若しくは皮下組織)に配置される。分析物質は拡散経路を介して皮膚表面のもたらされる。幾つかの分析物質技法を用いて、分析が皮膚表面で行われる。
【0051】
意図する構成として、本発明の電気化学センサーシステムでは、電量分析手法を用いてよい。電量分析手法では、生成信号の増加から検定法の感度が上がるであろう。この電量分析手法を活用する電気化学センサーシステムの一つの例が図12に示される。図12の電気化学センサーシステム700は導電材714を有する基板712、ヒドロゲル716及び作用電極718を含む。電気化学センサーシステム700は皮膚740上に配置される。導電材714は、反対電極720を含む。本実施の形態では、作用電極718は裏材730上に印刷される。裏材730は高分子裏材から形成してもよい。電量分析が基板712上の反対電極720と作用電極718の間で行われる。電量分析は画定体積の全分析物質の変換に基づく。図12の画定領域は、基板712/反対電極720と作用電極718の間に存する領域732である。この領域732はヒドロゲル716に圧倒的に占有されるが、拡散分析物質(例えば、ぶどう糖)あるいはぶどう糖の変換物を含む。分析はある期間に生成される電流の積分に基づく。
【0052】
皮膚から隔離する基板の側部で、水などの液体を収容するチャンバーの一部を形成してもよく、該チャンバーはスクリムの下方であり皮膚と接触するヒドロゲルの貯蔵器を形成する。この構成はより長時間ヒドロゲルの水化の補助となるであろう。基板上のセンサー位置に関し、設計上の有意な自由度が与えられ、且つ、基板対向面で使用可能な材料が提供される。高水化・高濃度ヒドロゲルを用いてよく、この際皮膚と接触するヒドロゲル用の貯蔵器が提供される。増加した厚さによる遅延時間への影響はほぼ無いであろう。
実施の形態A:
流体の分析物質(analyte)の濃度の測定を助けるよう構成された電気化学センサーシステムであって、該システムは、
その内部を貫通して多孔性を有する基板と、
少なくとも一つの電極を含む導電材であって、該少なくとも一つの電極は基板と結合しており、該少なくとも一つの電極は第一の面とこれに対向する第二の面とを有する前記導電材と、
該少なくとも一つの電極の第一の面及び第二の面に流体の分析物質の搬送を助けるよう構成されたヒドロゲル(hydrogel)あるいは液体とを備える電気化学センサーシステム。
実施の形態B:
実施の形態Aのシステムにおいて、基板はスクリーン、スクリム、編み材、あるいは開口を有する固体材である。
実施の形態C:
実施の形態Bのシステムにおいて、基板はスクリーンである。
実施の形態D:
実施の形態Bのシステムにおいて、基板はスクリムである。
実施の形態E:
実施の形態Bのシステムにおいて、基板は電界パターンを有する。
実施の形態F:
実施の形態Bのシステムにおいて、基板は高分子材、セルロース材、もしくは多孔質セラミックを備えて成る。
実施の形態G:
実施の形態Aのシステムにおいて、基板の多孔性はその内部に形成された複数の開口を含む。
実施の形態H:
実施の形態Aのシステムにおいて、少なくとも単一複数の電極とは複数の電極であって、複数の電極は作用電極と反対電極を含む。
実施の形態I:
実施の形態Aのシステムにおいて、少なくとも一つの電極は基板の表面上に配置される。
実施の形態J:
実施の形態Aのシステムにおいて、少なくとも一つの電極の一部は基板内部に配置される。
実施の形態K:
実施の形態Aのシステムにおいて、導電材は金属である。
実施の形態L:
実施の形態Aのシステムにおいて、少なくとも一つの電極は第一の断面と第二の断面を有し、第一の断面は第一の面を有し、第二の断面は対向する第二の面を有する。
実施の形態M:
実施の形態Aのシステムにおいて、基板の多孔性は、その内部を貫通して形成された少なくとも一つの開口と、少なくとも一つの開口を実質的に充填する導電材とを含む。
実施の形態N:
実施の形態Aのシステムにおいて、電気化学センサーシステムはヒドロゲルを用いる。
実施の形態O:
実施の形態Nのシステムにおいて、 ヒドロゲルは架橋重合体である。
実施の形態P:
実施の形態Aのシステムにおいて、電気化学センサーシステムは液体を用いる。
実施の形態Q:
実施の形態Aのシステムにおいて、ヒドロゲルあるいは液体はマトリックス状材料に存する。
実施の形態R:
実施の形態Aのシステムにおいて、電気化学センサーシステムは電量分析システムである。
実施の形態S:
実施の形態Aのシステムにおいて、電気化学センサーシステムは電流測定システムである。
実施の形態T:
実施の形態Aのシステムにおいて、電気化学センサーシステムは更に酵素、ぶどう糖酸化酵素、若しくはぶどう糖脱水素酵素を含む。
工程U:
分析物質の濃度の測定を助けるよう構成された電気化学センサーシステムを形成する方法であって、該方法は、
その内部に多孔性を有する基板を設けるステップと、
該基板に導電材を付加するステップであって、該導電材は第一の側と第二の側とを有し、該導電材は少なくとも一つの電極を形成する前記付加するステップと、
ヒドロゲルあるいは液体を設けるステップと、
基板と少なくとも一つの付加された電極とをヒドロゲルと接触せしめ、分析物質を少なくとも一つの電極の第一の側及び第二の側と接触するようにしたステップと、
を備えてなる電気化学センサーシステムを形成する方法。
工程V:
工程Uの方法において、導電材をヒドロゲルあるいは液体の略中央に配置される。
工程W:
工程Uの方法において、導電材はスパッタリングにより基板に付加される。
工程X:
工程Uの方法において、導電材は印刷により基板に付加される。
工程Y:
工程Uの方法において、分析物質はぶどう糖である。
工程Z:
工程Uの方法において、基板はスクリーン、スクリム、編み材、あるいは開口を有する固体材である。
工程AA:
工程Zの方法において、基板はスクリムである。
工程BB:
工程Uの方法において、基板は高分子材、セルロース材、もしくは多孔質セラミックを備えて成る。
工程CC:
工程Uの方法において、基板の多孔性はその内部に形成された複数の開口を含む。
工程DD:
工程Uの方法において、少なくとも単一複数の電極とは複数の電極であって、複数の電極は作用電極と反対電極を含む。
工程EE:
工程Uの方法において、少なくとも一つの電極は基板の表面上に配置される。
工程FF:
工程Uの方法において、少なくとも一つの電極の一部は基板内部に配置される。
工程GG:
工程Uの方法において、少なくとも一つの電極は第一の断面と第二の断面を有し、第一の断面は第一の面を有し、第二の断面は対向する第二の面を有する。
工程HH:
工程Uの方法において、基板の多孔性は、その内部に形成された少なくとも一つの開口と、少なくとも一つの開口を実質的に充填する導電材とを含む。
工程II:
工程Uの方法において、電気化学センサーシステムはヒドロゲルを用いる。
工程JJ:
工程IIの方法において、ヒドロゲルは架橋重合体である。
工程KK:
工程Uの方法において、電気化学センサーシステムは液体を用いる。
工程LL:
工程Uの方法において、電気化学センサーシステムは電量分析システムである。
工程MM:
工程Uの方法において、電気化学センサーシステムは電流測定システムである。
工程NN:
流体の分析物質の濃度を測定する方法であって、該方法は、
電気化学センサーシステムを設けるステップであって、該システムは基板と、導電材と、ヒドロゲルあるいは液体とを備えてなり、該基板はその内部を貫通して多孔性を有し、導電材は基板に結合され、導電材は第一の側と第二の側を有し、導電材は少なくとも一つの電極を形成し、該基板及び少なくとも一つの付加された電極は、分析物質が少なくとも一つの電極の第一の側と第二の側に接触するようヒドロゲルに接触する前記電気化学センサーシステムを設けるステップと、
電気化学センサーシステムを皮膚上に配置するステップと、
流体の分析物質の濃度を測定するステップと、
を備えて成る流体の分析物質の濃度を測定する方法。
工程OO:
工程NNの方法において、分析物質はぶどう糖である。
工程PP:
工程NNの方法において、基板はスクリーン、スクリム、編み材、あるいは開口を有する固体材である。
工程OO:
工程NNの方法において、基板の多孔性はその内部に形成された複数の開口を含む。
工程RR:
工程NNの方法において、少なくとも単一複数の電極とは複数の電極であって、複数の電極は作用電極と反対電極を含む。
工程SS:
工程NNの方法において、電気化学センサーシステムはヒドロゲルを用いる。
工程TT:
工程NNの方法において、電気化学センサーシステムは液体を用いる。
工程UU:
工程NNの方法において、該流体は細胞間の流体である。
工程W:
工程UUの方法において、該流体は間質性の流体である。
【0053】
本発明を一以上の特定な実施の形態を参照して述べてきたが、本発明の趣旨と範囲を逸脱せずに実施の形態に多種の変更を加えてよいことは当業者にとって認識できるであろう。これら各実施の形態及びその明瞭な変更は添付の特許請求の範囲に記載されるごとく、発明の趣旨と範囲内で意図されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】一つの実施の形態の基づく導電材を有する連続基板を含む連続シート状の電気化学センサーを示す図。
【図2a】一つの実施の形態の基づくヒドロゲルを有する電気化学センサーの上面透視図。
【図2b】図2aのヒドロゲルを有する電気化学センサーの拡大側面図。
【図2c】図2aの2c−2c線から略見た拡大横断面図。
【図3】一つの実施の形態の基づく3つの電極を有する電気化学センサーシステムの横断面図。
【図4】一つの実施の形態の基づく2つの電極を有する電気化学センサーシステムの横断面図。
【図5】他の実施の形態の基づく2つの電極を有する電気化学センサーシステムの横断面図。
【図6】更に他の実施の形態の基づく2つの電極を有する電気化学センサーシステムの横断面図。
【図7】更に他の実施の形態の基づく3つの電極を有する電気化学センサーシステムの横断面図。
【図8a】一つの実施の形態の基づく基板の一部を示す上面透視図。
【図8b】一つの実施の形態の基づく一の側に付加された電極を有する図8aの基板の上面透視図。
【図8c】一つの実施の形態の基づく付加されたヒドロゲルあるいは液体を有する図8bの上面透視図。
【図8d】図8cの側面図。
【図9a】一つの実施の形態の基づく基板の一部を示す上面透視図。
【図9b】一つの実施の形態の基づく両側に付加された電極を有する図9aの基板の上面透視図。
【図9c】一つの実施の形態の基づく付加されたヒドロゲルあるいは液体を有する図9bの上面透視図。
【図9d】図9cの側面図。
【図10a】一つの実施の形態の基づく基板の一部を示す上面透視図。
【図10b】他の実施の形態の基づく両側に付加された電極を有する図10aの基板の上面透視図。
【図10c】他の実施の形態の基づく付加されたヒドロゲルあるいは液体を有する図10bの上面透視図。
【図10d】図10cの側面図。
【図11】一つの実施の形態の基づく図3の電気化学センサーシステムが皮膚表面に配置された図。
【図12】一つの実施の形態の基づく電量分析手法に用いられる電気化学センサーシステムを示す図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の分析物質(analyte)の濃度の測定を助けるよう構成された電気化学センサーシステムであって、該システムは、
その内部を貫通して多孔性を有する基板と、
少なくとも一つの電極を含む導電材であって、該少なくとも一つの電極は基板と結合しており、該少なくとも一つの電極は第一の面とこれに対向する第二の面とを有する前記導電材と、
該少なくとも一つの電極の第一の面及び第二の面に流体の分析物質の搬送を助けるよう構成されたヒドロゲル(hydrogel)あるいは液体とを備える電気化学センサーシステム。
【請求項2】
基板はスクリーン、スクリム(scrim)、編み材、あるいは開口を有する固体材であることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
基板はスクリーンであることを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項4】
基板はスクリムであることを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項5】
基板は電界パターンを有することを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項6】
基板は高分子材、セルロース材、もしくは多孔質セラミックを備えて成ることを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項7】
基板の多孔性はその内部を貫通して形成された複数の開口を含むことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項8】
少なくとも一つの複数の電極とは複数の電極であって、該複数の電極は作用電極と反対電極とを含むことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項9】
少なくとも一つの電極は基板の表面上に配置されることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項10】
少なくとも一つの電極の一部は基板内部に配置されることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項11】
導電材は金属であることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項12】
少なくとも一つの電極は第一の断面と第二の断面とを有し、第一の断面は第一の面を有し、第二の断面は対向する第二の面を有することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項13】
基板の多孔性は、その内部を貫通して形成された少なくとも一つの開口と、少なくとも一つの開口を実質的に充填する導電材とを含むことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項14】
電気化学センサーシステムはヒドロゲルを用いることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項15】
ヒドロゲルは架橋重合体であることを特徴とする請求項14記載のシステム。
【請求項16】
電気化学センサーシステムは液体を用いることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項17】
ヒドロゲルあるいは液体はマトリックス状材料に存することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項18】
電気化学センサーシステムは電量分析システムであることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項19】
電気化学センサーシステムは電流測定システムであることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項20】
電気化学センサーシステムは更に酵素、ぶどう糖酸化酵素、若しくはぶどう糖脱水素酵素を含むことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項21】
分析物質の濃度の測定を助けるよう構成された電気化学センサーシステムを形成する方法であって、該方法は、
その内部に多孔性を有する基板を設けるステップと、
該基板に導電材を付加するステップであって、該導電材は第一の側と第二の側とを有し、該導電材は少なくとも一つの電極を形成する前記付加するステップと、
ヒドロゲルあるいは液体を設けるステップと、
基板と少なくとも一つの付加された電極とをヒドロゲルと接触せしめ、分析物質を少なくとも一つの電極の第一の側及び第二の側と接触するようにしたステップと、
を備えてなる電気化学センサーシステムを形成する方法。
【請求項22】
導電材がヒドロゲルあるいは液体の略中央に配置されることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項23】
導電材はスパッタリングにより基板に付加されることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項24】
導電材は印刷により基板に付加されることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項25】
分析物質はぶどう糖であることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項26】
基板はスクリーン、スクリム、編み材、あるいは開口を有する固体材であることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項27】
基板はスクリムであることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項28】
基板は高分子材、セルロース材、もしくは多孔質セラミックを備えて成ることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項29】
基板の多孔性はその内部を貫通して形成された複数の開口を含むことを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項30】
少なくとも一つの複数の電極とは複数の電極であって、該複数の電極は作用電極と反対電極とを含むことを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項31】
少なくとも一つの電極は基板の表面上に配置されることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項32】
少なくとも一つの電極の一部は基板内部に配置されることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項33】
少なくとも一つの電極は第一の断面と第二の断面とを有し、第一の断面は第一の面を有し、第二の断面は対向する第二の面を有することを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項34】
基板の多孔性は、その内部に貫通して形成された少なくとも一つの開口と、少なくとも一つの開口を実質的に充填する導電材とを含むことを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項35】
電気化学センサーシステムはヒドロゲルを用いることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項36】
ヒドロゲルは架橋重合体であることを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項37】
電気化学センサーシステムは液体を用いることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項38】
電気化学センサーシステムは電量分析システムであることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項39】
電気化学センサーシステムは電流測定システムであることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項40】
流体の分析物質の濃度を測定する方法であって、該方法は、
電気化学センサーシステムを設けるステップであって、該システムは基板と、導電材と、ヒドロゲルあるいは液体とを備えてなり、該基板はその内部を貫通して多孔性を有し、導電材は基板に結合され、導電材は第一の側と第二の側を有し、導電材は少なくとも一つの電極を形成し、該基板及び少なくとも一つの付加された電極は、分析物質が少なくとも一つの電極の第一の側と第二の側に接触するようヒドロゲルに接触する前記電気化学センサーシステムを設けるステップと、
電気化学センサーシステムを皮膚上に配置するステップと、
流体の分析物質の濃度を測定するステップと、
を備えて成る流体の分析物質の濃度を測定する方法。
【請求項41】
分析物質はぶどう糖であることを特徴とする請求項40記載の方法。
【請求項42】
基板はスクリーン、スクリム、編み材、あるいは開口を有する固体材であることを特徴とする請求項40記載の方法。
【請求項43】
基板の多孔性はその内部を貫通して形成された複数の開口を含むことを特徴とする請求項40記載の方法。
【請求項44】
少なくとも一つの複数の電極とは複数の電極であって、該複数の電極は作用電極と反対電極を含むことを特徴とする請求項40記載の方法。
【請求項45】
電気化学センサーシステムはヒドロゲルを用いることを特徴とする請求項40記載の方法。
【請求項46】
電気化学センサーシステムは液体を用いることを特徴とする請求項40記載の方法。
【請求項47】
該流体は細胞間の流体であることを特徴とする請求項40記載の方法。
【請求項48】
該流体は間質性の(interstitial)流体であることを特徴とする請求項47記載の方法。
【請求項1】
流体の分析物質(analyte)の濃度の測定を助けるよう構成された電気化学センサーシステムであって、該システムは、
その内部を貫通して多孔性を有する基板と、
少なくとも一つの電極を含む導電材であって、該少なくとも一つの電極は基板と結合しており、該少なくとも一つの電極は第一の面とこれに対向する第二の面とを有する前記導電材と、
該少なくとも一つの電極の第一の面及び第二の面に流体の分析物質の搬送を助けるよう構成されたヒドロゲル(hydrogel)あるいは液体とを備える電気化学センサーシステム。
【請求項2】
基板はスクリーン、スクリム(scrim)、編み材、あるいは開口を有する固体材であることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
基板はスクリーンであることを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項4】
基板はスクリムであることを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項5】
基板は電界パターンを有することを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項6】
基板は高分子材、セルロース材、もしくは多孔質セラミックを備えて成ることを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項7】
基板の多孔性はその内部を貫通して形成された複数の開口を含むことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項8】
少なくとも一つの複数の電極とは複数の電極であって、該複数の電極は作用電極と反対電極とを含むことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項9】
少なくとも一つの電極は基板の表面上に配置されることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項10】
少なくとも一つの電極の一部は基板内部に配置されることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項11】
導電材は金属であることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項12】
少なくとも一つの電極は第一の断面と第二の断面とを有し、第一の断面は第一の面を有し、第二の断面は対向する第二の面を有することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項13】
基板の多孔性は、その内部を貫通して形成された少なくとも一つの開口と、少なくとも一つの開口を実質的に充填する導電材とを含むことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項14】
電気化学センサーシステムはヒドロゲルを用いることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項15】
ヒドロゲルは架橋重合体であることを特徴とする請求項14記載のシステム。
【請求項16】
電気化学センサーシステムは液体を用いることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項17】
ヒドロゲルあるいは液体はマトリックス状材料に存することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項18】
電気化学センサーシステムは電量分析システムであることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項19】
電気化学センサーシステムは電流測定システムであることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項20】
電気化学センサーシステムは更に酵素、ぶどう糖酸化酵素、若しくはぶどう糖脱水素酵素を含むことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項21】
分析物質の濃度の測定を助けるよう構成された電気化学センサーシステムを形成する方法であって、該方法は、
その内部に多孔性を有する基板を設けるステップと、
該基板に導電材を付加するステップであって、該導電材は第一の側と第二の側とを有し、該導電材は少なくとも一つの電極を形成する前記付加するステップと、
ヒドロゲルあるいは液体を設けるステップと、
基板と少なくとも一つの付加された電極とをヒドロゲルと接触せしめ、分析物質を少なくとも一つの電極の第一の側及び第二の側と接触するようにしたステップと、
を備えてなる電気化学センサーシステムを形成する方法。
【請求項22】
導電材がヒドロゲルあるいは液体の略中央に配置されることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項23】
導電材はスパッタリングにより基板に付加されることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項24】
導電材は印刷により基板に付加されることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項25】
分析物質はぶどう糖であることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項26】
基板はスクリーン、スクリム、編み材、あるいは開口を有する固体材であることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項27】
基板はスクリムであることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項28】
基板は高分子材、セルロース材、もしくは多孔質セラミックを備えて成ることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項29】
基板の多孔性はその内部を貫通して形成された複数の開口を含むことを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項30】
少なくとも一つの複数の電極とは複数の電極であって、該複数の電極は作用電極と反対電極とを含むことを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項31】
少なくとも一つの電極は基板の表面上に配置されることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項32】
少なくとも一つの電極の一部は基板内部に配置されることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項33】
少なくとも一つの電極は第一の断面と第二の断面とを有し、第一の断面は第一の面を有し、第二の断面は対向する第二の面を有することを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項34】
基板の多孔性は、その内部に貫通して形成された少なくとも一つの開口と、少なくとも一つの開口を実質的に充填する導電材とを含むことを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項35】
電気化学センサーシステムはヒドロゲルを用いることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項36】
ヒドロゲルは架橋重合体であることを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項37】
電気化学センサーシステムは液体を用いることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項38】
電気化学センサーシステムは電量分析システムであることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項39】
電気化学センサーシステムは電流測定システムであることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項40】
流体の分析物質の濃度を測定する方法であって、該方法は、
電気化学センサーシステムを設けるステップであって、該システムは基板と、導電材と、ヒドロゲルあるいは液体とを備えてなり、該基板はその内部を貫通して多孔性を有し、導電材は基板に結合され、導電材は第一の側と第二の側を有し、導電材は少なくとも一つの電極を形成し、該基板及び少なくとも一つの付加された電極は、分析物質が少なくとも一つの電極の第一の側と第二の側に接触するようヒドロゲルに接触する前記電気化学センサーシステムを設けるステップと、
電気化学センサーシステムを皮膚上に配置するステップと、
流体の分析物質の濃度を測定するステップと、
を備えて成る流体の分析物質の濃度を測定する方法。
【請求項41】
分析物質はぶどう糖であることを特徴とする請求項40記載の方法。
【請求項42】
基板はスクリーン、スクリム、編み材、あるいは開口を有する固体材であることを特徴とする請求項40記載の方法。
【請求項43】
基板の多孔性はその内部を貫通して形成された複数の開口を含むことを特徴とする請求項40記載の方法。
【請求項44】
少なくとも一つの複数の電極とは複数の電極であって、該複数の電極は作用電極と反対電極を含むことを特徴とする請求項40記載の方法。
【請求項45】
電気化学センサーシステムはヒドロゲルを用いることを特徴とする請求項40記載の方法。
【請求項46】
電気化学センサーシステムは液体を用いることを特徴とする請求項40記載の方法。
【請求項47】
該流体は細胞間の流体であることを特徴とする請求項40記載の方法。
【請求項48】
該流体は間質性の(interstitial)流体であることを特徴とする請求項47記載の方法。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図10d】
【図11】
【図12】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図10d】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2009−521705(P2009−521705A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548653(P2008−548653)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/049039
【国際公開番号】WO2007/076017
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(503106111)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (154)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/049039
【国際公開番号】WO2007/076017
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(503106111)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (154)
【Fターム(参考)】
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