説明

少なくとも1つのタイプの殺菌性コナゾールを含有する配合剤

【課題】望ましくない分離を生ずることなく水中に分散され得るかまたは水で容易に希釈され得るコナゾール殺菌剤、特にエポキシコナゾールの配合剤を提供する。
【解決手段】α)少なくとも1個のスルホン酸基を有する少なくとも1つのタイプのモノエチレン性不飽和モノマー、β1)20℃の温度での水溶解度が30g/l未満の少なくとも1つのタイプの中性のモノエチレン性不飽和モノマー、及びβ2)20℃の温度での水溶解度が50g/l以上の少なくとも1つのタイプの中性のモノエチレン性不飽和モノマー、を含む少なくとも3つの異なるモノエチレン性不飽和モノマーからなる新規コポリマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのコナゾール殺菌剤(特に、エポキシコナゾール)及び少なくとも1つの追加活性化合物を含む配合剤、特に作物保護のための配合剤(preparation)に関する。
【背景技術】
【0002】
作物を保護したり材料を保護する際に施用するためには、施用するのに望ましい低濃度まで水で容易に希釈され得る配合剤の形態で殺菌活性化合物を製剤化することが望ましい。活性化合物を界面活性剤と一緒に通常水と混和性でない有機溶媒または油中に溶解乃至懸濁させた溶媒含有乳剤(EC)の他に、活性化合物を界面活性剤と一緒に微細懸濁液の形態で存在させたフロアブル製剤(SC)を挙げることができる。少なくとも1つの第1固体活性化合物相及び水性相に乳化/懸濁される少なくとも1つの追加液体有機相を有する水和剤(WP)及びサスポエマルション製剤(SE)も公知である。
【0003】
原則として、ECは比較的大量の有機溶媒を含み、このため製造コストが高くなり、貯蔵及び取扱い中別のリスクを伴うという欠点を有している。フロアブル製剤は、ECと対照的に非常に少量の揮発性有機化合物しか含まない。しかしながら、フロアブル製剤は貯蔵安定性が劣る、特にエポキシコナゾールのように活性化合物が結晶化しやすい場合には貯蔵安定性が劣るという欠点を有している。サスポエマルション製剤は、無視することができない揮発性引火性有機溶媒を含有していることに加えて、この複雑な多相系が熱力学的に不安定であるために貯蔵安定性が多くの場合不満足であり、水で希釈すると有機成分の沈澱がコントロールできずに凝集したり形成したり、その恐れがあるという欠点を有している。
【0004】
SC、EC及びSEのような従来の水で希釈され得る活性化合物配合剤の別の欠点は、配合剤を水で希釈後水性相中にそれぞれ懸濁及び乳化される活性化合物粒子または活性化合物液滴が通常数μmの比較的大きい粒度を有しているという事実である。しかしながら、製剤中に均一に分布し、よってより良い取扱い及び施用特性を確保するのと同時に、製剤中の活性化合物のバイオアベイラビリティーを向上させるために、製剤を施用に望ましい濃度まで水で希釈した後活性化合物が生じた水性調製物中にできるだけ微細に分布した形態で存在していることが望ましい。よって、不均質相が500nm未満の平均粒度を有している製剤を目的とする。
【0005】
コナゾール殺菌剤は、公知のようにエルゴステロール生合成の抑制に基づく殺菌作用を有し、よって子のう菌類、担子菌類及び不完全菌類に属する多数の植物に害を与える菌類に対して活性であるイミダゾールまたはトリアゾール基を有する有機活性化合物である。エポキシコナゾール(rel−1−[[(2R,3S)−3−(2−クロロフェニル)−2−(4−フルオロフェニル)オキシラニル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾールの一般名)は、例えばアゾール殺菌剤の群の中でより最近発見された活性化合物である。
【0006】
活性スペクトルを広げ且つ殺菌活性を高めるために、コナゾール殺菌剤は多くの場合他の活性化合物と一緒に製剤化されている。こうすると問題が生ずる恐れがある。他の活性化合物が低い水中溶解度しか有していないならば特にそうである。
【0007】
国際公開第03/055944号(特許文献1)は、作物保護用水性フロアブル製剤中に結晶化インヒビターとしてアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(AMPS)を主成分とするコポリマーを使用することを記載している。
【0008】
国際特許出願第EP04/011797号(特許文献2)は、少なくとも1つの活性化合物に加えて、オレフィン性不飽和スルホン酸をアクリル酸またはメタクリル酸のエステルまたはアミドとフリーラジカル重合することにより得られ得る少なくとも1つのランダムコポリマーを含む活性化合物製剤を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第03/055944号
【特許文献2】国際特許出願第EP04/011797号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、望ましくない分離を生ずることなく水中に分散され得るかまたは水で容易に希釈され得るコナゾール殺菌剤、特にエポキシコナゾールの配合剤を提供することである。配合剤は、できるだけ最少量の有機溶媒しか含有せず、希釈したとき活性化合物が水性相中に微細に分布されなければならない。高い貯蔵安定性も望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、少なくとも1つのコナゾール殺菌剤(活性化合物1)に加えて、20℃での水中溶解度が20g/l未満の少なくとも1つの追加の作物保護剤2及び少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーMから構成されるコポリマーCPを含み、前記コポリマーCPを構成するモノマーMはα)少なくとも1個のスルホン酸基を有する少なくとも1つのモノエチレン性不飽和モノマーM1及びβ)少なくとも1つの中性のモノエチレン性不飽和モノマーM2を含み、活性化合物1:少なくとも1つの追加の作物保護剤2の比が1:10〜10:1の範囲である配合剤により達成される。
【0012】
従って、本発明は、
a)コナゾールの群から選択される少なくとも1つの活性化合物(活性化合物1)及び
b)20℃での水中溶解度が20g/l未満の少なくとも1つの追加の作物保護剤(活性化合物2)
の少なくとも2つの異なる作物保護剤の混合物を含み、更に
c)α)少なくとも1個のスルホン酸基を有する少なくとも1つのモノエチレン性不飽和モノマーM1及びβ)少なくとも1つの中性のモノエチレン性不飽和モノマーM2を含むエチレン性不飽和モノマーMから構成されるコポリマーCPを少なくとも1つ含み、
活性化合物1:少なくとも1つの追加の作物保護剤2の比が1:10〜10:1の範囲である配合剤に関する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
有利な方法で、本発明の配合剤は、有機溶媒を必要とすることなく少なくとも1つのコナゾール殺菌剤(特に、エポキシコナゾール)及び活性化合物2の混合物を水性相中で安定化させるのに適している。従来技術に記載されているサスポエマルション製剤とは対照的に、本発明の配合剤を水で希釈すると、エポキシコナゾール及び少なくとも1つの追加活性化合物2が連続水性相中に非常に微細な形態または十分に分子的に分散している形態で存在している水性製剤が得られる。活性化合物が水性相中でコポリマーCPと凝集物を形成していると仮定される。この凝集物は通常500nm未満、特に400nm未満、好ましくは300nm未満、特に好ましくは200nm未満の平均粒度を有している。本発明の配合剤を希釈したとき、凝結、結晶化、凝集または沈降の結果としての異質及び不安定性はあったとしても非常に少ない。加えて、おそらく、活性化合物の凝集物の非常に小さい見かけ粒径に対応して活性化合物が水性施用形態中に非常に微細に分割されているために、アゾール殺菌剤(特に、エポキシコナゾール)の従来の製剤に比して活性化合物の活性が高まる。
【0014】
記載されている粒度は、動的光散乱により測定することができる重量平均粒度である。当業者は、これを実施するための方法を例えばH.Wiese,D.Distler,Wassrige Polymerdispersionen[Aqueous polymer dispersions],Wiley−VCH(1999年)発行,4.2.1章,p.40以降及びここに引用されている文献;H.Auweter,D.Horn,J.Colloid Interf.Sci.,105:399(1985);D.Lilge,D.Horn、Colloid Polym.Sci.,269:704(1991);またはH.Wiese,D.Horn,J.Chem.Phys.,94:6429(1991)から熟知している。
【0015】
活性化合物1として、本発明の配合剤は少なくとも1つのコナゾール殺菌剤(http://www.hclrss.demon.co.uk/class_fungicides.html参照)を含む。公知のように、コナゾール殺菌剤には特定のイミダゾール化合物、例えばクリムバゾール、クロトリマゾール、イマザリル、オキスポコナゾール、プロクロラズ及びトリフルミゾール;及び特定のトリアゾール化合物、例えばアザコナゾール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジクロブトラゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、エポキシコナゾール、エタコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、フルコナゾール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、キンコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリチコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール及びウニコナゾールが含まれる。活性化合物1は特に上記したトリアゾール化合物の1つ、とりわけシプロコナゾール、エポキシコナゾール、フルキンコナゾール、ヘキサコナゾール、メトコナゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、テブコナゾール及びトリチコナゾールである。特に好ましい実施形態において、活性化合物1はエポキシコナゾールである。別の特に好ましい実施形態において、活性化合物1はメトコナゾールである。
【0016】
更に、本発明の活性化合物配合剤は、少なくとも1つ(例えば、1または2つ)の20℃での水中溶解度が20g/l未満、特に10g/l未満、とりわけ5g/l未満の追加活性化合物2を含む。活性化合物2は特に殺菌活性化合物である。しかしながら、原則として、活性化合物2は殺菌剤とは異なる活性化合物、例えば殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤、殺線虫剤または生長調節剤であってもよい。活性化合物1及び活性化合物2が異なっていること、活性化合物の少なくとも1つがコナゾール殺菌剤であること、追加活性化合物が20g/l未満の20℃での水中溶解度を有していることが必須要件である。適当な活性化合物2は当業者に公知である。例えば、http://www.hclrss.demon.co.uk/index.htmlを参照されたい。
【0017】
本発明の好ましい実施形態において、活性化合物2は(大気圧下で)70℃未満の融点を有する。
【0018】
本発明に従って好ましい殺菌活性化合物2の例は、例えば、
−ストロビルリン殺菌剤、例えばアゾキシストロビン、ジモキシストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシムメチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン及びトリフロキシストロビン、特にピラクロストロビン;
−モルホリン殺菌剤、例えばアルダモルフ、ベンズモルフ、カルバモルフ、ドデモルフ、ジメトモルフ、フェンプロピモルフ、フェンプロピジン、フルモルフ及びトリデモルフ;
−クロロタロニル;
−ボスカリド;
−スピロキサミン及びメトラフェノンからなる群から選択される非分類殺菌剤;
−組成物中に存在する活性化合物1とは異なる上記したコナゾール殺菌剤、特にプロクロラズ、シプロコナゾール、フルキンコナゾール、ヘキサコナゾール、メトコナゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、テブコナゾール及びトリチコナゾール、とりわけメトコナゾール、フルキンコナゾール及びプロチオコナゾール;
である。
【0019】
特に好ましい実施形態において、活性化合物2はピラクロストロビンである。更に特に好ましい実施形態において、活性化合物2は上記したコナゾール殺菌剤の1つ、特にプロクロラズ、シプロコナゾール、フルキンコナゾール、ヘキサコナゾール、メトコナゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、テブコナゾール及びトリチコナゾール、とりわけメトコナゾール、フルキンコナゾール及びプロチオコナゾールである。
【0020】
好ましくは、活性化合物1及び2は、活性化合物1としてのエポキシコナゾールと活性化合物2としての少なくとも1つのストロビルリン、特にピラクロストロビン及び適当ならば1つの追加活性化合物(例えば、フェンプロピジン)の組合せ;または活性化合物1としてのエポキシコナゾールと活性化合物2としての少なくとも1つのエポキシコナゾールとは異なる追加コナゾール殺菌剤、特にプロクロラズ、シプロコナゾール、フルキンコナゾール、ヘキサコナゾール、メトコナゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、テブコナゾール及びトリチコナゾールからなる群から選択されるコナゾール殺菌剤、とりわけメトコナゾール、フルキンコナゾール及びプロチオコナゾールの組合せである。
【0021】
更に好ましい実施形態は、活性化合物1としてメトコナゾール及び活性化合物2としてストロビルリン、特にピラクロストロビンを含む配合剤に関する。
【0022】
本発明の配合剤において、コナゾール殺菌剤:少なくとも1つの追加活性化合物2の比は好ましくは1:8〜8:1、特に5:1〜1:5、とりわけ1:3〜3:1の範囲である。
【0023】
本発明によれば、配合剤は活性化合物を水性相中で安定化させる少なくとも1つのコポリマーCPを含む。通常、本発明の配合剤は活性化合物の全量(すなわち、活性化合物1及び活性化合物2の全量)の1重量部に基づいて0.1〜10重量部、特に0.5〜8重量部、とりわけ1〜5重量部(活性化合物1及び活性化合物2の全量に基づいて10〜1000重量%に相当)の量のコポリマーCPを含む。
【0024】
コポリマーCPは、通常モノマーM1及びM2がポリマー鎖に沿ってランダムに分布している所謂ランダムコポリマーである。原則として、交互コポリマーCP及びブロックコポリマーCPも適当である。
【0025】
本発明によれば、コポリマーCPを構成するモノマーMは少なくとも1個のスルホン酸基を有するモノエチレン性不飽和モノマーM1を少なくとも1つ含む。モノマーM中のモノマーM1の割合は、モノマーMの全量に基づいて通常1〜90重量%、多くの場合1〜80重量%、特に2〜70重量%、とりわけ5〜60重量%である。
【0026】
適当なモノマーM1は、原則として少なくとも1個のスルホン酸基を有するあらゆるモノエチレン性不飽和モノマーである。モノマーM1はその酸形態及び塩形態で存在し得る。記載されている重量部は酸形態に関係している。
【0027】
モノマーM1の例は、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、及び下記式I:
【化1】

【0028】
(式中、
nは0、1、2または3、特に1または2であり;
XはOまたはNRであり;
は水素またはメチルであり;
、Rは相互に独立して水素またはC1−4アルキル、特に水素またはメチルであり;
は水素またはC1−4アルキル、特に水素である)
により定義されるモノマー、並びに上記モノマー1の塩である。
【0029】
式Iで表されるモノマーM1の例は、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドエタンスルホン酸、2−メタクリルアミドエタンスルホン酸、2−アクリルオキシエタンスルホン酸、2−メタクリルオキシエタンスルホン酸、3−アクリルオキシプロパンスルホン酸及び2−メタクリルオキシプロパンスルホン酸である。
【0030】
モノマーM1が塩形態で存在する場合、対カチオンとして対応のカチオンを有している。適当なカチオンの例は、アルカリ金属カチオン(例えば、NaまたはK)、アルカリ土類金属イオン(例えば、Ca2+及びMg2+)、アンモニウムイオン(例えば、NH)、テトラアルキルアンモニウムカチオン(例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム及びテトラブチルアンモニウム)、プロトン化第1級、第2級及び第3級アミン、特にC1−20アルキル基及びヒドロキシエチル基からなる群から選択される1〜3個の基を有しているもの、例えばモノ−、ジ−及びトリブチルアミン、プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ヘキシルアミン、ドデシルアミン、オレイルアミン、ステアリルアミン、エトキシル化オレイルアミン、エトキシル化ステアリルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンのプロトン化形態、またはN,N−ジメチルエタノールアミンのプロトン化形態である。
【0031】
モノマーM1に加えて、コポリマーCPを構成するモノマーMは中性のモノエチレン性不飽和モノマーM2を少なくとも1つ含む。中性とは、モノマーM2がイオン形態で存在する官能基、或いは水性媒体中で酸または塩基と反応する官能基を有していないことを意味する。モノマーM2の全量は、モノマーMの全重量に基づいて通常10〜99重量%、多くの場合20〜99重量%、特に30〜98重量%、とりわけ40〜95重量%である。
【0032】
モノマーM2の例は、限定された水中溶解度、例えば(20℃及び1013ミリバールで)50g/l未満、特に30g/l未満の水中溶解度を有するもの;及び高い水中溶解度、例えば(20℃及び1013ミリバールで)≧50g/l、特に≧80g/lの水中溶解度を有するものである。限定された水中溶解度を有するモノマーを以下モノマーM2aと称する。高い水中溶解度を有するモノマーを以下モノマーM2bと称する。
【0033】
モノマーM2aの例は、ビニル芳香族モノマー、例えばスチレン及びスチレン誘導体(例えば、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、オルト−、メタ−及びパラ−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ビニルキシレン)及び対応するハロゲン化ビニル芳香族モノマー;2〜12個の炭素原子を有するα−オレフィン、例えばエテン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、イソブテン、ジイソブテン等;ジエン、例えばブタジエン及びイソプレン;脂肪族C1−18カルボン酸のビニルエステル、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル及びステアリン酸ビニル;ビニルハライド、例えばビニルクロリド、ビニルフロリド、ビニリデンクロリド、ビニリデンフロリド;モノエチレン性不飽和モノ−及びジカルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸またはイタコン酸)のモノ−及びジ−C1−24アルキルエステル;上記モノエチレン性不飽和モノ−及びジカルボン酸のモノ−及びジ−C5−12シクロアルキルエステル;上記モノエチレン性不飽和モノ−及びジカルボン酸とフェニル−C1−4アルカノールまたはフェノキシ−C1−4アルカノールのモノ−及びジエステル;モノエチレン性不飽和エーテル、特にC1−20アルキルビニルエーテル(例えば、エチルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、トリエチレングリコールビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニル2−エチルヘキシルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルイソプロピルエーテル、ビニルドデシルエーテル、ビニルtert−ブチルエーテル)である。
【0034】
モノマーM2aは、好ましくはビニル芳香族モノマー;アクリル酸とC2−20アルカノール(特に、C2−10アルカノール)のエステル、例えばエチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート及びステアリルアクリレート;アクリル酸とC4−10シクロアルカノールのエステル、例えばシクロヘキシルアクリレート;アクリル酸とフェニル−C1−4アルカノールのエステル、例えばベンジルアクリレート、2−フェニルエチルアクリレート及び1−フェニルエチルアクリレート;アクリル酸とフェノキシ−C1−4アルカノールのエステル、例えば2−フェノキシエチルアクリレート;メタクリル酸とC1−20アルカノール(好ましくはC1−10アルカノール、特にC1−6アルカノール)のエステル、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート及びステアリルメタクリレート;メタクリル酸とC4−10シクロアルカノールのエステル、例えばシクロヘキシルメタクリレート;メタクリル酸とフェニル−C1−4アルカノールのエステル、例えばベンジルメタクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート及び1−フェニルエチルメタクリレート;及びメタクリル酸とフェノキシ−C1−4アルカノールのエステル、例えば2−フェノキシエチルメタクリレートからなる群から選択される。特に好ましい実施形態において、モノマーM2aはモノマーM2aの全量に基づいて少なくとも80%、特に専らアクリル酸及び/またはメタクリル酸とC1−6アルカノールのエステルである。
【0035】
高い水中溶解度または水混和性さえ有する中性のモノエチレン性不飽和モノマーは、例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、“Polyacrylates”,CD−ROMで第5版,ワインハイムに所在のWiley−VCH(1997年)発行から当業者に公知である。典型的なモノマーM2bは、モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(特に、アクリル酸及びメタクリル酸)のヒドロキシ−C2−4アルキルエステル、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート;モノエチレン性不飽和モノカルボン酸のアミド、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド;アクリロニトリル及びメタクリロニトリル;N−ビニルラクタム、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム;脂肪族C1−4モノカルボン酸のN−ビニルアミド、例えばN−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド;尿素基を有するモノエチレン性不飽和モノマー、例えばN−ビニル−及びN−アリル尿素;及びイミダゾリジン−2−オンの誘導体、例えばN−ビニル−及びN−アリルイミダゾリジン−2−オン、N−ビニルオキシエチルイミダゾリジン−2−オン、N−アリルオキシエチルイミダゾリジン−2−オン、N−(2−アクリルアミドエチル)イミダゾリジン−2−オン、N−(2−アクリルオキシエチル)イミダゾリジン−2−オン、N−(2−メタクリルアミドエチル)イミダゾリジン−2−オン、N−(2−メタクリルオキシエチル)イミダゾリジン−2−オン(=ウレイドメタクリレート)、N−[2−(アクリルオキシアセトアミド)エチル]イミダゾリジン−2−オン、N−[2−(2−アクリルオキシアセトアミド)エチル]イミダゾリジン−2−オン、N−[2−(2−メタクリルオキシアセトアミド)エチル]イミダゾリジン−2−オンである。モノマーM2bは、好ましくはアクリル酸及びメタクリル酸のヒドロキシ−C1−4アルキルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、N−ビニルラクタムから選択され、特にアクリル酸及びメタクリル酸のヒドロキシ−C2−4アルキルエステルが好ましい。特に、モノマーM2bはモノマーM2bの全量に基づいて少なくとも80重量%の少なくとも1つのアクリル酸及び/またはメタクリル酸のヒドロキシ−C2−4アルキルエステルを含む。
【0036】
モノマーM2は、好ましくは20℃での水中溶解度が50g/l未満、特に30g/l未満の上記モノマーM2aを少なくとも1つ含む。コポリマーCPを構成するモノマーM中のモノマーM2aの割合は、モノマーMの全重量に基づいて典型的には10〜99重量%、多くの場合20〜99重量%、特に30〜98重量%、とりわけ40〜95重量%の範囲である。
【0037】
更に好ましい実施形態において、モノマーM2はメチルアクリレート及びメチルアクリレートと上記モノマーM2a及び/またはM2bの混合物からなる群から選択される。ここで、メチルアクリレートまたはメチルメタクリレートとモノマーM2bの混合物の量は典型的にはモノマーの全量の10〜99重量%、特に20〜98重量%、とりわけ40〜95重量%である。
【0038】
本発明の第1の好ましい実施形態において、モノマーM2aは唯一またはほぼ唯一のモノマーM2であり、モノマーM2の少なくとも95重量%、特に少なくとも99重量%を占めている。
【0039】
第1実施形態の具体的態様は、コポリマーCPがモノマーM2aとして少なくとも1つの第1モノエチレン性不飽和モノマーM2a(1)及びM2a(1)と異なる少なくとも1つのモノマーM2a(2)を含む配合剤に関する。モノマーM2a(1)は、20℃及び1013ミリバールでの水中溶解度が1〜<50g/l、特に5〜30g/lのモノマーである。好ましいモノマーM2a(1)はC2−4アルキルアクリレート及びC1−4アルキルメタクリレート、特にメチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、とりわけメチルメタクリレートである。モノマーM2a(2)は、20℃及び1013ミリバールでの水中溶解度が1g/l未満、特に0.5g/l未満のモノエチレン性不飽和モノマーである。好ましいモノマーM2a(2)はアクリル酸及びメタクリル酸とC6−20アルカノール(特に、C8−18アルカノール)のエステル、例えばn−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ミリスチルアクリレート、ミリスチルメタクリレート、セチルアクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルアクリレート及びステアリルメタクリレートである。モノマーM2a(1)の量は、モノマーMの全量に基づいて通常10〜98重量%、特に20〜90重量%である。モノマーM2a(2)の量は、モノマーMの全量に基づいて通常1〜89重量%、特に5〜60重量%である。この実施形態において、モノマーM1の量はモノマーMの全量に基づいて通常1〜89重量%、特に5〜60重量%である。
【0040】
本発明の第2の好ましい実施形態において、モノマーM2は、モノマーM2aに加えて、20℃での水中溶解度が少なくとも50g/l、特に少なくとも80g/lのモノマーM2bを少なくとも1つ含む。従って、コポリマーCPを構成するモノマーMは、モノマーM1に加えて、少なくとも1つの上記モノマーM2a(特に、少なくとも1つの上記モノマーM2aが好ましい)及び少なくとも1つの上記モノマーM2b(特に、少なくとも1つの上記モノマーM2bが好ましい)を含む。前記コポリマーは新規であり、本発明の主題の一部を構成する。
【0041】
更に、モノマーM1+M2bの全量はモノマーMの全量に基づいて90重量%、特に80重量%、とりわけ70重量%を超えず、具体的にはモノマーMの全量に基づいて10〜90重量%、特に20〜80重量%、とりわけ30〜70重量%の範囲である。従って、モノマーM2aは、モノマーMの全量に基づいて多くの場合少なくとも10重量%、特に少なくとも20重量%、とりわけ少なくとも30重量%、例えば10〜90重量%、特に20〜80重量%、とりわけ30〜70重量%を占める。
【0042】
この第2の特に好ましい実施形態において、モノマーMの全量に基づいて、モノマーM1は好ましくは1〜80重量%、特に2〜70重量%、特に好ましくは5〜60重量%を占め、モノマーM2aは好ましくは10〜90重量%、特に20〜80重量%、特に好ましくは30〜70重量%を占め、モノマーM2bは好ましくは5〜89重量%、特に10〜78重量%、特に好ましくは20〜65重量%を占める。この中で、モノマーM1として少なくとも1つの式Iで表されるモノマー、モノマーM2aとして少なくとも1つのアクリル酸とC2−10アルカノールのエステル及びメタクリル酸とC1−10アルカノールのエステルからなる群から選択されるモノマー、モノマーM2bとして少なくとも1つのアクリル酸及びメタクリル酸のヒドロキシ−C2−4アルキルエステルからなる群から選択されるモノマーを含むモノマーMから構成されるコポリマーCPが特に好ましい。
【0043】
本発明の第3の好ましい実施形態において、コポリマーCPを構成するモノマーは、モノマーM2としてメチルアクリレートまたはメチルアクリレートと少なくとも1つの上記モノマーM2bの混合物を含む。モノマーの全量に基づくモノマーM1の量は上記した範囲内であり、通常1〜90重量%、特に2〜80重量%、とりわけ5〜60重量%である。メチルアクリレート及び使用されるモノマーM2bの全量は、モノマーMの全量に基づいて通常10〜99重量%、特に20〜98重量%、とりわけ40〜95重量%である。好ましいモノマーM2bに関して上記説明が当てはまる。メチルアクリレートとモノマーM2bの混合物中、メチルアクリレート:モノマーM2bの重量比は典型的には10:1〜1:1、特に5:1〜1.2:1の範囲である。
【0044】
加えて、コポリマーを構成するモノマーMは更にモノマーM1及びM2とは異なるモノマーM3を含んでもよい。モノマーMの全量中のモノマーM3の割合は、好ましくは40重量%以下、特に20重量%以下である。好ましい実施形態において、モノマーはモノマーM1及びM2とは異なるモノマーM3を全く含んでいないか、または3重量%以下、特に1重量%以下しか含んでいない。
【0045】
モノマーM3には少なくとも1個のカルボン酸基を有するモノエチレン性不飽和モノマー、特に3〜6個の炭素原子を有するモノエチレン性不飽和モノ−及びジカルボン酸(モノマーM3a)、例えばアクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等、及び上記したモノエチレン性不飽和ジカルボン酸の無水物が含まれ、モノマーM3aの割合はモノマーMの全量に基づいて通常20重量%を超えず、特に10重量%を超えない。
【0046】
モノマーM3には更にポリエチレン性不飽和モノマー(M3b)が含まれる。モノマーM3の割合はモノマーMの全量に基づいて通常2重量%以下、特に0.5重量%以下である。これらの例はモノエチレン性不飽和カルボン酸のビニル及びアリルエステル、例えばアリルアクリレート及びアリルメタクリレート;ジ−またはポリオールのジ−及びポリアクリレート、例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールトリメタクリレート、トリス(ヒドロキシメチル)エタントリアクリレート、トリス(ヒドロキシメチル)エタントリメタクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート及びペンタエリトリトールトリメタクリレート;多価カルボン酸のアリル及びメタリルエステル、例えばマレイン酸ジアリル、フマル酸ジアリル、フタル酸ジアリルである。典型的なモノマーM3bにはジビニルベンゼン、ジビニル尿素、ジアリル尿素、トリアリルシアヌレート、N,N’−ジビニル−及びN,N’−ジアリルイミダゾリジン−2−オンのような化合物、並びにメチレンビスアクリルアミド及びメチレンビスメタクリルアミドも含まれる。
【0047】
本発明の配合剤に関して、更にコポリマーCPが1000〜500000ダルトン、多くの場合1500〜100000ダルトン、特に2000〜50000ダルトン、とりわけ5000〜20000ダルトンの数平均分子量Mを有していることが好ましい。しばしば、重量平均分子量は2000〜1000000ダルトン、多くの場合3000〜200000ダルトン、特に4000〜100000ダルトン、とりわけ10000〜50000ダルトンの範囲である。M/M比は多くの場合1.1:1〜10:1、特に1.2:1〜5:1の範囲である。モル質量M及びM、ポリマーの不均一性はサイズ排除クロマトグラフィー(=ゲル透過クロマトグラフィーまたは短GPC)により測定され得る。市販のポリメチルメタクリレート(PMMA)検定セットが検定材料として使用され得る。
【0048】
通常、本発明の配合剤中に含まれるコポリマーは−80〜160℃、多くの場合−40〜+100℃のガラス転移温度Tを有する。ここで、ガラス転移温度Tは、ASTM D 3418−82に従って示差熱分析(DSC)(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,第5版,A21巻,p.169,ワインハイムに所在のVCH(1992年)発行;Zosel,Farbe und Lack,82:125−134(1976);DIN 53765参照)により測定される「中点温度」を意味すると理解される。
【0049】
これに関連して、コポリマーCPのガラス転移温度Tをポリマーを構成するモノマーMの各ホモポリマーのガラス転移温度を用いてFoxの式(T.G.Fox、Bull.Am.Phys.Soc.(Ser.II),1:123(1956)及びUllmanns Enzyklopadie der technischen Chemie[Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry],p.17−18,ワインハイム(1980年)発行)により推定することが有用であることを見出した。各ホモポリマーのガラス転移温度は、例えばUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,A21巻,p.169,ワインハイムに所在のVCH(1992年)発行;またはJ.Brandrup,E.H.Immergut,Polymer Handbook,第3版,ニューヨークに所在のJ.Wiley(1989年)発行から公知である。
【0050】
本発明の配合剤中に含まれるコポリマーCPの幾つかはPCT/EP04/011797号から公知であるか、またはモノマーMのラジカル重合により一般的方法で製造され得る。重合はフリーラジカル重合または制御ラジカル重合法により製造され得る。重合は1つ以上の開始剤を用いて実施され得、溶液重合、乳化重合、懸濁重合または沈降重合として、またはそれ以外の重合で実施され得る。重合はバッチ反応として、或いは半連続または連続操作で実施され得る。
【0051】
反応時間は通常1〜12時間の範囲である。反応を実施し得る温度範囲は通常20〜200℃、好ましくは40〜120℃である。重合圧力は余り重要でなく、大気圧〜僅かな減圧(例えば、>800ミリバール)、または過圧(例えば、最高10バール)の範囲であり得、より高いまたはより低い圧力を使用することも可能である。
【0052】
ラジカル重合のために適した開始剤は慣用のラジカル形成物質である。アゾ化合物、過酸化物化合物またはヒドロペルオキシド化合物の群から選択される開始剤が好ましい。例として、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、tert−ブチルペルオキシイソブチレート、過酸化カプロイル、クメンヒドロペルオキシド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)を挙げることができる。アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)が特に好ましい。開始剤は通常モノマーMの量に基づいて0.02〜5重量%、特に0.05〜3重量%の量で使用される。開始剤の最適量は勿論使用する開始剤系に依存し、当業者により標準の実験で決定され得る。開始剤の一部または全部を最初に反応容器に充填してもよい。重合過程で開始剤の大部分、特に少なくとも80%(例えば、80〜100%)を重合反応器に添加することが好ましい。
【0053】
勿論、コポリマーCPの分子量は重合しようとするモノマーMに基づいて少量(例えば、0.01〜5重量%)の調節剤を添加することにより調節され得る。適当な調節剤は、特に有機チオ化合物、例えばメルカプトアルコール(例:メルカプトエタノール)、メルカプトカルボン酸(例:チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸)、アルキルメルカプタン(例:ドデシルメルカプタン);アリルアルコール及びアルデヒドである。
【0054】
コポリマーCPは、特に溶媒中でのラジカル溶液重合により製造される。溶媒の例は水;アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール及びイソプロパノール;双極性非プロトン性溶媒、例えばN−アルキルラクタム(例:N−メチルピロリドン(NMP)、N−エチルピロリドン)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、脂肪族カルボン酸のN,N−ジアルキルアミド(例:N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド)、ハロゲン化されていてもよい芳香族、脂肪族及び環状脂肪族炭化水素(例:ヘキサン、クロロベンゼン、トルエンまたはベンゼン)である。好ましい溶媒はイソプロパノール、メタノール、トルエン、DMF、NMP、DMSO及びヘキサンであり、DMFが特に好ましい。
【0055】
本発明の配合剤は固体形態または液体形態で製剤化され得る。実施形態に応じて、本発明の配合剤は作物保護組成物または材料保護用組成物中に慣用されている助剤及び/または担体をも含み得る。助剤には特に作物保護及び材料保護において慣用されている一般的な界面活性物質並びに他の添加剤及び担体が含まれ、前記化合物は固体であっても液体であってもよい。界面活性物質には特に界面活性剤、とりわけ湿潤剤特性を有するものが含まれる。他の助剤(添加剤)には特に増粘剤、消泡剤、保存剤、凍結防止剤、安定化剤、固化防止剤または粉末流動助剤、及びバッファーが含まれる。
【0056】
原則として好適な一般的な界面活性物質は高分子界面活性剤を含めたアニオン性、ノニオン性及び両性界面活性剤であり、界面活性剤の(数平均)分子量は典型的には2000ダルトン、特に1000ダルトンを超えない。
【0057】
アニオン性界面活性剤の例には、カルボキシレート、特に通常せっけんとも称される脂肪酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属及びアンモニウム塩、例えばステアリン酸カリウム;アシルグルタメート;サルコシネート、例えばラウロイルサルコシン酸ナトリウム;タウレート;メチルセルロース;アルキルホスフェート、特にモノ−及びジ−リン酸のアルキルエステル;スルフェート、特にアルキルスルフェート及びアルキルエーテルスルフェート;スルホネート、更にアルキルスルホネート及びアルキルアリールスルホネート、特にアリールスルホン酸及びアルキル置換アリールスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属及びアンモニウム塩、例えばリガノール及びフェノールスルホン酸、ナフタレン−及びジブチルナフタレンスルホン酸、またはドデシルベンゼンスルホネート、アルキルナフタレンスルホネート、アルキルメチルエステルスルホネート、スルホン化ナフタレン及びその誘導体とホルムアルデヒドの縮合物、ナフタレンスルホン酸、フェノール−及び/またはフェノールスルホン酸とホルムアルドヒドまたはホルムアルデヒド+尿素の縮合物、モノ−またはジアルキルスルホスクシネート;及びタンパク質加水分解物及びリグノ亜硫酸塩廃液が含まれる。上記したスルホン酸は中性塩の形態または適当ならば塩基性塩の形態で使用することが便利である。
【0058】
ノニオン性界面活性剤の例には、
脂肪アルコールアルコキシレート及びオキソアルコールアルコキシレート、特に通常2〜100、特に3〜50のアルコキシル化度を有するエトキシレート及びプロポキシレート、例えばC8−30アルカノールまたはアルカ(アジ)エノール(例えば、イソトリデシルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコールまたはステアリルアルコール)、並びにそのC1−4アルキルエーテル及びC1−4アルキルエステル(例えば、酢酸エステル)のアルコキシレート;
アルコキシル化動物及び/または植物脂及び/または油、例えばコーン油エトキシレート、ヒマシ油エトキシレート、獣脂エトキシレート;
グリセロールエステル、例えばグリセロールモノステアレート;
アルキルフェノールアルコキシレート、例えばエトキシル化イソオクチルフェノール、オクチルフェノールまたはノニルフェノール、トリブチルフェノールポリオキシエチレンエーテル;
脂肪アミンアルコキシレート、脂肪酸アミドアルコキシレート及び脂肪酸ジエタノールアミドアルコキシレート、特にそのエトキシレート;
糖界面活性剤、ソルビトールエステル、例えばソルビタン脂肪酸エステル(ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリステアレート)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、N−アルキルグルコンアミド;
アルキルメチルスルホキシド;
アルキルジメチルホスフィンオキシド、例えばテトラデシルジメチルホスフィンオキシド;
が含まれる。
【0059】
両性界面活性剤の例には、スルホベタイン、カルボキシベタイン及びアルキルジメチルアミンオキシド(例:テトラデシルジメチルアミンオキシド)が含まれる。
【0060】
例示され得る他の界面活性剤は、ペルフルオロ界面活性剤、シリコーン界面活性剤、リン脂質(例:レシチンまたは化学変性させたレシチン)、アミノ酸界面活性剤(例:N−ラウロイルグルタメート)である。
【0061】
別段の記載がない限り、上にリストした界面活性剤のアルキル鎖は通常6〜30個、特に8〜20個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状基である。
【0062】
1実施形態で、本発明の水性配合剤は、いずれも活性化合物及びコポリマーCPの全量に基づいて10重量%以下、好ましくは5重量%以下、特に3重量%以下(例えば、0.01〜5重量%または0.1〜3重量%)しか一般的な界面活性物質を含まない。
【0063】
しかしながら、用途に応じて、本発明の活性化合物配合剤に界面活性物質を配合することが有利であり得る。この場合、一般的な界面活性物質の量は多くの場合活性化合物及びコポリマーCPの全量に基づいて0.1〜60重量%、特に0.5〜50重量%の範囲、或いは処方配合剤の全重量に基づいて0.1〜60重量%、特に0.5〜50重量%、とりわけ0.5〜30重量%の範囲である。
【0064】
揮発性有機化合物の含量が少ないことが本発明の配合剤の作用効果の1つであるという事実があるが、幾つかの用途のために本発明の配合剤に有機溶媒または油脂、好ましくは環境に対してやさしいかまたは生適合性である溶媒または油脂、例えば上記した水混和性溶媒、水と殆どまたは全く混和しない溶媒または油脂を混合することが望ましいことがある。これらの例には、
パラフィン油、芳香族炭化水素、及び芳香族炭化水素の混合物、例えばキシレン、ソルベッソ100、150または200等;
フェノール及びアルキルフェノール、例えばフェノール、ヒドロキノン、ノニルフェノール等;
4個以上の炭素原子を有するケトン、例えばシクロヘキサノン、イソホロン、イソフェロン、アセトフェノン、アセトナフトン;
4個以上の炭素原子を有するアルコール、例えばアセチル化ラノリンアルコール、セチルアルコール、1−デカノール、1−ヘプタノール、1−ヘキサノール、イソオクタデカノール、イソプロピルアルコール、オレイルアルコール、ベンジルアルコール;
カルボン酸エステル、例えばアジピン酸ジアルキル(例:アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル))、フタル酸ジアルキル(例:フタル酸ビス(2−エチルヘキシル))、分岐状アルキル基でもよい酢酸アルキル(例:酢酸エチル及びアセト酢酸エチル)、ステアリン酸エステル(例:ステアリン酸ブチル、モノステアリン酸グリセロール)、クエン酸エステル(例:クエン酸アセチルトリブチル)、更にオクタン酸セチル、オレイン酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、テトラデカン酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、安息香酸メチル、乳酸エステル(例:乳酸イソプロピル、乳酸ブチル及び乳酸2−エチルヘキシル);
植物油、例えばパーム油、なたね油、ヒマシ油及びその誘導体(例:酸化ヤシ油、たら肝油、コーン油、大豆油、アマニ油、オリーブ油、落花生油、サフラワー油、ゴマ種子油、グレープフルーツ油、バジル油、アプリコット油、ショウガ油、ゼラニウム油、オレンジ油、ローズマリー油、マカデミア油、オニオン油、マンダリン油、マツ油、サンフラワー油);
水素化植物油、例えば水素化パーム油、水素化なたね油または水素化大豆油;
動物油、例えば豚脂油、魚油;
中鎖〜長鎖脂肪酸のジアルキルアミド、例えばハロコミド;及び
植物油エステル、例えばなたね油メチルエステル;
が含まれる。
【0065】
適当な増粘剤は、水性配合物に対して擬似塑性流動挙動、すなわち静止時には高い粘度、撹拌状態では低い粘度を付与する化合物である。これに関連して、多糖類、例えばキサンタン(Kelco製Kelzan(登録商標);Rhone Poulenc製Rhodopol(登録商標)23;R.T.Vanderbilt製Veegum(登録商標))及び無機板状鉱物(例えば、Engelhardt製Attaclay(登録商標))を挙げることができ、キサンタンが好ましい。
【0066】
本発明の分散液にとって適当な消泡剤の例は、シリコーンエマルション(例えば、Wacker製Silikon(登録商標)またはRhodia製Rhodorsil(登録商標))、長鎖アルコール、脂肪酸、有機フルオレン化合物及びその混合物である。
【0067】
殺菌剤は、本発明の配合剤を微生物による攻撃に対して安定化させるために添加され得る。殺菌剤は典型的にはイソチアゾロン化合物、例えば1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチルイソチアゾル−3−オン、2−メチル−イソチアゾル−3−オンまたは2−オクチルイソチアゾル−3−オンであり、これらは例えばArch Chemical Inc.製Proxel(登録商標)、Thor Chemie製Acticide(登録商標)RS及びRohm & Haas製Kathon(登録商標)MKの商品名で市販されている。
【0068】
適当な凍結防止剤は有機ポリオール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコールまたはグリセロールである。凍結防止剤は、水性製剤中に通常水性活性化合物配合剤の全重量に基づいて20重量%以下、例えば1〜20重量%、特に2〜10重量%の量で使用される。
【0069】
適当ならば、本発明の活性化合物配合剤は、配合剤及び希釈施用形態のpHを調節するために製造される配合剤の全量に基づいて1〜5重量%のバッファーを含み得、バッファーの量及びタイプは活性化合物及びポリマーCPの化学的特性及び量に応じて使用される。バッファーの例は、弱い無機または有機酸(例えば、リン酸、ホウ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、フマル酸、酒石酸、シュウ酸及びコハク酸)のアルカリ金属塩である。
【0070】
粉末流動助剤の例は、具体的にはケイ酸(特に、ヒュームドケイ酸及び沈降ケイ酸)、炭酸カルシウム及びステアリン酸マグネシウムである。任意に存在する粉末流動助剤の量は、典型的には組成物の全重量に基づいて最高5重量%、特に最高2重量%、例えば0.1〜5重量%または0.2〜2重量%である。
【0071】
適当な担体は、原則として作物保護または材料保護のための製剤、特に殺菌剤製剤中に通常使用されており、典型的には化学的に不活性なすべての液体及び固体物質である。液体担体は具体的には水及び水と水混和性有機の溶媒との混合物である。固体担体の例は、ボール、レス、クレー及びアルミナを含めたシリケート及びアルミノシリケート、例えばフィロシリケート及びテクトシリケート(例:モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、バイデライト、サウコナイト、ベントナイト、タルカム、カオリン、アタパルジャイト);非晶質シリケート及びケイ酸、例えばシリカゲル、多孔質ケイソウ土(けい藻土形態)、沈降ケイ酸;合成シリケート及びアルミノシリケート、例えばゼオライト;ライムストン、石灰、チョーク、ドロマイト、硫酸カルシウム及び硫酸マグネシウム;粉砕合成材料、肥料、例えば硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素、及び植物起源の生成物(例えば、穀粉、樹皮粉、木粉及びナッツ殻粉);セルロース粉末及び他の固体担体である。固体担体が水溶性または水分散性であることが好ましい。
【0072】
本発明の更に好ましい実施形態は固体形態の配合剤に関する。活性化合物(活性化合物1+活性化合物2)の全量は、配合剤の全重量に基づいて通常5〜90重量%、特に10〜70重量%、とりわけ15〜60重量%の範囲である。コポリマーCPの量は、配合剤の全重量に基づいて通常5〜95重量%、特に10〜90重量%、とりわけ20〜85重量%の範囲である。助剤及び固体担体は、本発明の固体配合剤の最高90重量%、特に最高80重量%、とりわけ最高65重量%を占め得る。固体製剤中の活性化合物1及び2とは異なる液体成分、特に液体溶媒成分の割合は、通常製剤の20重量%以下、特に10重量%以下、とりわけ1重量%以下である。
【0073】
固体配合剤は各種巨視的形態で存在し得る。巨視的形態の例として、例えば液体処方物を噴霧乾燥または凍結乾燥することにより得られる粉末、粉砕された材料、顆粒、凝集物またはフィルムが挙げられ得る。粉末が好ましい。
【0074】
固体配合剤の第1実施形態は、固体担体を実質的に含まず且つ実質的に(すなわち、少なくとも95%まで、特に少なくとも99%まで)活性化合物1及び2、ポリマーCP及び適当ならば固体(好ましくは、水溶性の)助剤から構成されるものである。前記製剤中の活性化合物(活性化合物1+活性化合物2)の全量は、配合剤の全重量に基づいて通常5〜90重量%、特に10〜70重量%、とりわけ15〜60重量%である。コポリマーCPの割合は、固体担体非含有配合剤の全重量に基づいて通常5〜95重量%、特に10〜90重量%、とりわけ20〜85重量%である。助剤は、本発明の固体配合剤の最高60重量%、特に最高80重量%、とりわけ最高65重量%を占める。固体配合剤が粉末として存在する場合には、上記した量の粉末流動助剤を含めてもよい。固体不活性担体の割合は、好ましくは5重量%以下、特に1重量%以下である。
【0075】
固体配合剤の第2実施形態は、活性化合物1及び2、ポリマーCP及び適当ならば固体(好ましくは、水溶性の)助剤に加えて少なくとも1つの固体担体を含むものである。前記製剤中の活性化合物(活性化合物1+活性化合物2)の全量は、配合剤の全重量に基づいて通常5〜80重量%、特に10〜60重量%、とりわけ15〜50重量%の範囲である。コポリマーCPの割合は、固体担体非含有配合剤全重量に基づいて通常5〜85重量%、特に10〜70重量%、とりわけ20〜65重量%である。担体材料の割合は、組成物の全重量に基づいて典型的には10〜90重量%、20〜80重量%、特に30〜65重量%である。助剤は、本発明の固体配合剤の最高80重量%、特に最高70重量%、とりわけ最高55重量%を占め得る。固体配合剤が粉末として存在するならば、上記した量の粉末流動助剤を含めてもよい。好ましい担体材料はシリケート、例えばクレー(例:モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、バイデライト、サウコナイト、ベントナイト、タルカム)を含めたフィロシリケート;非晶質シリケート及びケイ酸(例:シリカゲル、多孔質ケイソウ土(けい藻土形態)、沈降ケイ酸、合成シリケート(例:ゼオライト)である。
【0076】
別の実施形態では、本発明の配合剤は液体、特に水性配合剤である。前記配合剤は、活性化合物1、活性化合物2及びコポリマーCPの成分に加えて、液体担体、特に水または水と水混和性有機溶媒の混合物(ここで、有機溶媒の割合は組成物の全重量に基づいて20重量%を超えないことが好ましい)をも含む。
【0077】
水混和性有機溶媒の例は、C3−4ケトン、例えばアセトン及びメチルエチルケトン;環状エーテル、例えばジオキサン及びテトラヒドロフラン;C1−4アルカノール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール;ポリオール及びそのモノ−及びジメチルエーテル、例えばグリコール、プロパンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、グリセロール;C2−3ニトリル、例えばアセトニトリル及びプロピオニトリル;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルアセトアミド、ブチロラクトン、2−ピロリドン及びN−メチルピロリドンである。
【0078】
液体、特に水性濃厚物(液体製剤)中に存在する活性化合物(活性化合物1+活性化合物2)の全量は、配合剤の全重量に基づいて通常1〜50重量%、特に5〜40重量%、とりわけ7〜35重量%の範囲である。コポリマーCPの量は、配合剤の全重量に基づいて通常3〜50重量%、特に5〜45重量%、とりわけ10〜40重量%である。助剤は本発明の液体配合剤の最高30重量%、特に最高20重量%、とりわけ最高10重量%を占め得る。液体配合剤の典型的な助剤の例は増粘剤、消泡剤、保存剤、凍結防止剤、殺生物剤、pH調節剤及び界面活性物質である。固体含量は典型的には5〜70重量%、特に10〜60重量%、とりわけ20〜55重量%の範囲である。水非混和性揮発性成分の割合は、有利には水性液体製剤の全重量に基づいて5重量%以下、特に1重量%以下である。
【0079】
水性配合剤において、活性化合物1及び2並びにコポリマーCPは水性相中に細かく分布した形態で存在している。光散乱により測定した濃厚物中の平均粒度は典型的には1μm未満、特に500nm未満、とりわけ300nm未満である。
【0080】
水性相は、純水、または添加剤、例えばバッファー系、塩または追加添加剤(例えば、水混和性溶媒)を溶解状態で含む水であると理解される。水性相のpHは通常2〜13、好ましくは3〜12、特に好ましくは4〜10の範囲である。
【0081】
典型的には、水性製剤は少なくとも1つの上記した凍結防止剤、適当ならば1つ以上の上記した殺生物剤、適当ならば1つ以上の上記した増粘剤、適当ならば1つ以上の上記したpH調節剤(バッファー)、適当ならば1つ以上の上記した消泡剤、及び適当ならば1つ以上の上記した界面活性物質を含む。
【0082】
本発明は、更に上記した配合剤の製造方法(以下、方法1とも称される)に関する。典型的には、この方法は本発明の配合剤中に存在する成分を慣用方法を用いて均質混合することを含む。
【0083】
好ましい実施形態において、均質混合は、
i)活性化合物1、コポリマーCP及び少なくとも1つの追加活性化合物2を有機溶媒中に含む溶液を調製し、その後
ii)有機溶媒を実質的または完全に除去する
ことを含む方法により達成される。
【0084】
製造の結果としてコポリマーCPが有機溶媒中に既に存在するならば、この溶液を活性化合物または活性化合物溶液と混合するために使用することが好ましい。
【0085】
方法1の第1ステップにおいて、コポリマー及び少なくとも1つの追加活性化合物を適当な有機溶媒中に含む溶液を調製する。このために、コポリマーCPを第1有機溶媒中に含む第1溶液を通常活性化合物1及び2を有機溶媒中に含む1つまたは2つの別々の溶液と混合する。前記溶液に助剤及び添加剤を予め存在させてもよい。後で助剤及び添加剤を添加することも可能である。溶液を調製するために使用される溶媒は同一でも異なっていてもよい。典型的には、相互に混和性の溶媒が選択される。コポリマーCPの合成を本発明の製剤を製造するための方法において使用するのに適した溶媒中で実施したならば、コポリマーCPの溶液を調製する必要はない。
【0086】
この目的に適した有機溶媒の例はC1−6アルキルアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール;脂肪族C1−4カルボン酸とC1−4アルカノールのエステル、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル;好ましくは3〜6個の炭素原子を有するケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、アセタール;ジ−C1−4アルキルエーテル、例えばジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル;環状エーテル、例えばテトラヒドロフラン;脂肪族C1−4カルボン酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸;N−置換またはN,N−ジ置換C1−4カルボキサミド、例えばアセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)及びジメチルプロピオンアミド;ラクタム、例えばN−メチルピロリドン;ラクトン、例えばブチロラクトン;脂肪族及び芳香族塩素化炭化水素、例えばジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンまたはクロロベンゼン;並びに上記した溶媒の混合物である。好ましい有機溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、並びにこれらの溶媒の混合物である。特に好ましい溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド及びテトラヒドロフラン、並びにその混合物である。
【0087】
第2ステップにおいて、溶媒は適当な方法を用いて慣用方法で十分に実質的に除去される。溶媒を除去するための慣用方法の例は、噴霧乾燥、減圧下での蒸発、凍結乾燥、大気圧下、適当ならば高温での蒸発である。好適な乾燥方法には凍結乾燥または流動床乾燥機を用いる乾燥が含まれる。こうすると、本発明の活性化合物製剤が固体形態で生ずる。
【0088】
このようにして、固体、粘性またはゲル様組成物が通常得られる。溶媒を除去後固体が得られるならば、それ自体公知の方法で、乾燥条件に応じて、問題なく且つ粒度を有意に増大させることなく水に分散または溶解され得る細かく粉砕した粉末または粗く粉砕した顆粒を製造することができる。粗く粉砕した固体を作成し、これを所望の粒度に粉砕することも可能である。
【0089】
担体を含む固体製剤を製造するためには、例えば
i)活性化合物1、コポリマーCP、少なくとも1つの追加活性化合物2及び適当ならば助剤を1つ以上の別々の有機溶媒中に含む1つ以上の別々の溶液を調製し、
ii)これらの溶液を担体と混合するかまたは担体に適用し、
iii)有機溶媒を実質的にまたは完全に除去する
方法を採用することもできる。
【0090】
以下方法2とも称する方法は、担体を使用しないときに粘性またはゲル様生成物が得られるならば特に適当である。
【0091】
方法2において、溶液を噴霧方法により、例えば噴霧乾燥または噴霧造粒方法により担体に適用することが有利である。この場合、溶媒は同時に蒸発する。助剤をこの方法で担体に適用してもよく、または後で添加してもよい。
【0092】
活性化合物1及び2の溶液、コポリマーCP及び助剤に関して、原則として方法1についての上記説明が同様に当てはまる。
【0093】
典型的には、本発明の水性配合剤の製造は、活性化合物1及び2、コポリマーCP及び助剤を水性分散媒体中に配合して含む。この方法は、例えば
i)活性化合物1及び2、コポリマーCP及び適当ならば助剤の一部または全部を(好ましくは、水と混和性の)有機溶媒中に含む溶液、上記した成分の溶融物、または上記した成分の粉末を調製するステップ;
ii)上記した溶液、溶融物または粉末を水性分散媒体に配合するステップ;及び
iii)存在するならば、有機溶媒を実質的または完全に除去するステップ;
を含み得る。
【0094】
本発明の水性配合剤を製造するためには、ステップi)で得た溶液、溶融物または粉末を水または水性媒体中に分散させる。水性媒体は、水、界面活性物質の水溶液及び水と水混和性有機溶媒の混合物(溶媒の割合は典型的には水及び溶媒の全量に基づいて20容量%以下である)を意味すると理解される。
【0095】
分散は通常剪断力を適用して、例えば高振動数及び高振幅での振とう、高振動数での撹拌、タービン撹拌または混合チャンバの使用により実施される。分散は連続的またはバッチ式に実施され得る。連続分散が好ましい。適当ならば、分散は高温及び/または高圧下で実施され得る。
【0096】
溶液を調製するために使用される有機溶媒は水混和性であることが好ましい。これに関連して、水混和性は、混合条件下で有機溶媒が相分離することなく水と少なくとも10重量%、好ましくは15重量%、特に好ましくは20重量%ほど混和することを意味する。水混和性有機溶媒の例は上記したもの、特に環状エーテル(例えば、テトラヒドロフラン)である。
【0097】
活性化合物1及び2及びコポリマーCPの溶液が水に分散しているならば、有機溶媒は実質的または完全に除去される。これは典型的には蒸留により実施され、留去された水は通常その後置換される。
【0098】
別の好ましい方法では、本発明の水性配合剤の製造は、
i)コポリマーCPを含む水溶液を調製するステップ;
ii)活性化合物1及び少なくとも1つの追加活性化合物2を1つ以上の水混和性有機溶媒中に含む1つまたは2つの別々の溶液を調製するステップ;
iii)コポリマーCPの水溶液を活性化合物1及び2の1つ以上の溶液と混合するステップ;及び
iv)有機溶媒を実質的または完全に除去するステップ;
を含む。
【0099】
第1ステップにおいて、コポリマーCP及び適当ならば追加の添加剤を水性溶媒系に溶解させる。既にコポリマーの水溶液が調製されているならば、この水溶液を活性化合物溶液と混合するために使用することが好ましい。更に、活性化合物1及び活性化合物2を、適当ならば追加助剤が添加されている水混和性溶媒中に溶解させる。その後、コポリマーCPの水溶液をエポキシコナゾール及び活性化合物2の溶液と混合する。
【0100】
混合をエネルギーを入力しながら、例えば剪断力を加えることにより、高振動数及び高振幅で振とうすることにより、高振動数で撹拌することにより、タービン撹拌により、または混合チャンバを使用することにより実施することが有利である。混合は連続またはバッチ式に実施され得る。連続混合が好ましい。こうして得た分散液の溶媒は上記したように通常通り除去され得る。
【0101】
本発明の配合剤は、まず上記した範囲内の平均粒度を有する分散活性化合物相の非常に細かい分割が水で希釈しても確保されるという事実により区別される。長期間保存及び/または高温で保存しても、本発明の活性化合物配合剤はその特性を失わない。この目的で更に界面活性化合物を使用する必要はない。更に、本発明の配合剤は低溶媒配合剤(<5重量%の溶媒含量)または無溶媒配合剤(<1重量%、特に<0.5重量%の溶媒含量)として製剤化され得る。本発明の配合剤は、たとえ高温でも及び/または温度の変動が大きくても分離を生ずることなく数ヶ月の比較的長期間保存され得る。また、幾つかのコナゾール殺菌剤の製剤、特にエポキシコナゾール製剤で時々起こるおそれがあるような結晶化現象が起こらない。
【0102】
本発明の配合剤は植物病原菌を防除するために特に適しており、これに関連して活性化合物1及び2の従来の製剤と少なくとも同等であるか、多くの場合活性化合物1及び2の従来の製剤よりも優れている。本発明の配合剤は広スペクトルの植物病原菌、特に子のう菌類、不完全菌類及び担子菌類の綱の植物病原菌に対して非常に有効である。
【0103】
本発明の配合剤は各種栽培植物、例えば小麦、ライ麦、大麦、オート麦、米、トウモロコシ、牧草、バナナ、綿、大豆、コーヒー、サトウキビ、つるもの、果実、観賞植物及び野菜(例えば、キュウリ、豆、トマト、ジャガイモ及びカボチャ)、並びに前記植物の種子上の多くの菌を防除するために特に重要である。
【0104】
本発明の配合剤は下記する植物の病気を防除するために特に適している:
植物及び果実上のアルテルナリア属の種(Alternaria species);
穀物、コメ及び芝生上のビポラリス(Bipolaris)及びドレクスレラ属の種(Drechslera species);
穀物上のブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis)(うどんこ粉病);
イチゴ、野菜、観賞植物及びブドウ上のボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)(灰色かび病);
カボチャ上のエリシフェ・シコラセアラム(Erysiphe cichoracearum)及びスファエロセカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea);
各種植物上のフザリウム(Fusarium)及びヴァーチシリウム属の種(Verticillium species);
穀類、バナナ及び落花生上のミコスフェレラ属の種(Mycosphaerella species);
ジャガイモ及びトマト上のフィトフィトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans);
ブドウ上のプラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola);
リンゴ上のポドスファエラ・レウコトリカ(Podosphaera leucotricha);
小麦及び大麦上のシュードセロスポレラ・ヘルポトリコイデス(Pseudocercosporella herpotrichoides);
ホップ及びキュウリ上のシュードペロノスポラ属の種(Pseudoperonospora species);
穀物上のプクキニア属の種(Puccinia species);
コメ上のピリクラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae);
綿、コメ及び芝生上のリゾクトニア属の種(Rhizoctonia species);
小麦上のセプトリア・トリチシ(Septoria tritici)及びスタゴノスポラ・ノドルム(Stagonospora nodorum);
ブドウ上のウンシヌラ・ネカトル(Uncinula necator);
穀類及びサトウキビ上のウスティラゴ属の種(Ustilago species);及び
リンゴ及びセイヨウナシ上のベンチュリア属の種(Ventuia species)(赤かび病)。
【0105】
本発明の配合剤は、材料(例えば、木材、紙、塗料分散液、繊維またはファブリック)の保護及び貯蔵品の保護において有害菌、例えばパエシロマイセス・バリオティ(Paecilomyces variotti)を防除するためにも適している。
【0106】
配合剤は、典型的には菌、或いは菌攻撃から保護しようとする植物、種子、材料または土壌を殺菌有効量の活性化合物1及び2を含む本発明の配合剤の希釈水性調製物で処理することにより施用される。施用は、材料、植物または種子に菌が感染する前または感染した後に実施され得る。
【0107】
水性配合剤中の活性化合物濃度は比較的広範囲で変更可能である。一般的に、活性化合物濃度は0.0001〜1%、好ましくは0.0005〜0.1%の範囲である。
【0108】
作物保護に使用する場合、施用量は所望効果の種類に応じて1ヘクタールあたり0.01〜2.0kgの活性化合物の範囲である。
【0109】
種子処理の場合、種子100kgあたり1〜1000g、好ましくは1〜200g、特に5〜100gの活性化合物の量が通常使用される。
【0110】
材料または貯蔵品の保護に使用する場合、活性化合物の施用量は施用域の種類及び所望効果に依存する。材料の保護において一般的に施用されている量は、例えば処理すべき材料1mあたり0.001g〜2kg、好ましくは0.005g〜1kgである。
【0111】
下記実施例は本発明を説明するのに役立ち、本発明を限定するものと理解されない。
【実施例】
【0112】
分析:
ガラス転移温度は、Mettler製DSC装置DSC30を用いて10K/分の加熱速度で測定した。
【0113】
分子量は、RIデテクター及びPL製5μ混合−Dカラムを用いて30℃(カラム温度)でゲル透過クロマトグラフィー(計器:Agilent製“Series 1100”)により測定した。使用した移動相は0.5% 臭化リチウムを含むジメチルホルムアミドであった。流速は1ml/分であった。検定はポリメチルメタクリレート検定セットを用いて実施した。
【0114】
コポリマーCPの製造
製造例1:コポリマーCP1
まず、DMF(250g)を反応容器に充填し、90℃に加熱した。3時間かけて、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(49.5g)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(96.1g)、n−ブチルアクリレート(145.6g)及びDMF(148.5g)からなる供給物1、AIBN(8.74g)及びDMF(301.5g)からなる供給物2を同一温度で平行して添加した。供給が済んだら、混合物を95℃で更に2時間重合した。
【0115】
製造例2:コポリマーCP2
まず、DMF(300g)を反応容器に充填し、90℃に加熱した。3時間かけて、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(36.0g)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(184.0g)、n−ブチルアクリレート(180.0g)及びDMF(148.5g)からなる供給物1、AIBN(12.0g)及びDMF(120g)からなる供給物2を同一温度で平行して添加した。供給が済んだら、混合物を95℃で更に2時間重合した。
【0116】
製造例3:コポリマーCP3
まず、DMF(300g)を不活性ガス下で反応容器に充填し、90℃に加熱した。3時間かけて、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(36.0g)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(192.0g)、n−ブチルアクリレート(172.0g)及びDMF(148.5g)からなる供給物1、AIBN(12.0g)及びDMF(120g)からなる供給物2を同一温度で平行して添加した。供給が済んだら、混合物を95℃で更に2時間重合した。
【0117】
製造例4〜6
一般的製造手順
まず、合成反応器Chemspeed(登録商標)製Auto PlantA100に1反応器あたり15mlのDMFを充填し、95℃に加熱した。撹拌し、温度を維持しながら、供給物1、供給物1と同時に始めて供給物2をそれぞれ180分及び195分かけて平行して添加した。供給が済んだら、混合物を95℃で更に60分間後重合した。
【0118】
製造例4:コポリマーCP4
(供給物1) メチルメタクリレート(10.5g)、ラウリルアクリレート(3.5g)及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(7.0g)の混合物をDMF中に溶解させて49mlとした。
【0119】
(供給物2) 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(0.63g)をDMF中に溶解させて6mlとした。
【0120】
製造例5:コポリマーCP5
(供給物1) n−ブチルアクリレート(10.5g)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(7.0g)及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(3.5g)の混合物をDMF中に溶解させて49mlとした。
【0121】
(供給物2) 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(0.63g)をDMF中に溶解させて6mlとした。
【0122】
製造例6:コポリマーCP6
(供給物1) メチルアクリレート(17.5g)及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(3.5g)の混合物をDMF中に溶解させて49mlとした。
【0123】
(供給物2) 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(0.63g)をDMF中に溶解させて6mlとした。
【0124】
製造例7〜9
一般的製造手順
合成反応器Chemspeed(登録商標)Accelerator(商品名)SLT100において、1反応器あたり0.21mlの開始剤溶液2を6.72mlのモノマー溶液1に添加した。撹拌しながら混合物を95℃で4時間加熱した後、更に開始剤溶液2(0.07ml)を添加し、重合を95℃で2時間かけて終了させた。
【0125】
製造例7:CP7
(モノマー溶液1) メチルメタクリレート(150mg)、2−フェノキシエチルアクリレート(450mg)及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(300mg)の混合物をDMF中に溶解させて8.64mlとした。
【0126】
(開始剤溶液2) 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(100mg)をDMF中に溶解させて1.00mlとした。
【0127】
製造例8:CP8
(モノマー溶液1) ヒドロキシプロピルメタクリレート(300mg)、スチレン(300mg)及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(300mg)の混合物をDMF中に溶解させて8.64mlとした。
【0128】
(開始剤溶液2) 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(100mg)をDMF中に溶解させて1.00mlとした。
【0129】
製造例9:CP9
(モノマー溶液1) メチルアクリレート(450mg)、1−ビニル−2−ピロリドン(300mg)及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(150mg)の混合物をDMF中に溶解させて8.64mlとした。
【0130】
(開始剤溶液2) 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)(100mg)をDMF中に溶解させて1.00mlとした。
【0131】
コポリマーCP1〜CP4の分子量及びガラス転移温度を表1にリストする。
【表1】

【0132】
本発明の配合剤Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5の製造
固体製剤についての一般的製造手順:
エポキシコナゾールとピラクロストロビンの活性化合物混合物(Z1、Z2及びZ3の場合の重量比=5:7、Z5の場合の重量比=1:1)、またはエポキシコナゾールとメトコナゾールの活性化合物混合物(Z4の場合の重量比=1:1)(10g)をコポリマーCP(30g)及びDMF(70g)の溶液中に溶解させた。溶媒を減圧下80℃の温度で除去すると、結晶性成分を含まない固体均質材料が生じた。
【0133】
比較実験VZ1、VZ2、VZ3及びVZ4では、活性化合物混合物の代わりに純粋なエポキシコナゾール(10g)を上記した条件下で製剤化した。こうすると、いずれも結晶性成分を含む固体材料が生じた。
【表2】

【0134】
配合剤Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5を64ppmの活性化合物濃度まで水で希釈すると、光学的に無色透明な溶液が生じた。従って、すべてのサンプルの平均粒度は100nm未満であった。対照的に、サンプルVZ1〜VZ4を希釈すると、固体の分離が観察された。
【0135】
貯蔵安定性を調べるために、配合剤Z1、Z2、Z3、Z4及びZ5のサンプルを−10℃、室温または55℃で5ヶ月間保存した。いずれのサンプルでも、結晶性材料は形成しなかった。この後、すべてのサンプルを水で希釈すると、光学的に無色透明な溶液が生じた。
【0136】
施用試験
殺菌作用の試験:
問題の活性化合物配合剤を活性化合物濃度が64ppmのストック溶液として調製した後、表3に示す活性化合物の濃度まで水で希釈した。
【0137】
品種“Kanzler”の鉢植え小麦実生の葉にコムギ赤さび病(プクキニア・レコンディタ(Puccinia recondita))の胞子懸濁液を接種した。次いで、鉢を高い大気湿度(90〜95%)及び20〜22℃のチャンバに24時間置いた。この間に胞子が発芽し、発芽管は葉組織まで浸透した。翌日、感染した植物に以下に示す活性化合物濃度を有する水性懸濁液を流亡点まで噴霧した。懸濁液は上記したように調製した。スプレーコーティングが乾燥したら、試験植物を20〜22℃の温度及び65〜70%の相対大気湿度の温室中で7日間栽培した。その後、葉上のさび菌発生の程度を調べた。
【0138】
生物学的試験の結果を表3に要約する。これらの結果から、コポリマー安定化活性化合物混合物は低い施用量で市販品よりも高い殺菌活性を有していることが分かる。
【表3】

【0139】
1)従来のサスポエマルション製剤の製造:
水性製剤(1l)中4.7重量%のエポキシコナゾール、12.5重量%のピラクロストロビン、29.2重量%の芳香族溶媒、約12重量%の脂肪アルコールエトキシレート、約4重量%のフェノールスルホン酸/ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩、増粘剤及び殺生物剤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
α)少なくとも1個のスルホン酸基を有する少なくとも1つのモノエチレン性不飽和モノマーM1、
β1)20℃での水中溶解度が50g/l未満の少なくとも1つの中性のモノエチレン性不飽和モノマーM2a、及び
β2)20℃での水中溶解度が50g/l以上の少なくとも1つの中性のモノエチレン性不飽和モノマーM2b
を重合単位の形態で含む少なくとも3つの異なるモノエチレン性不飽和モノマーMから構成されるポリマー形態のコポリマーCP。
【請求項2】
モノマーM1がコポリマーCPを構成するモノマーMの全量の1〜80重量%を占める請求項1に記載のコポリマーCP。
【請求項3】
モノマーM2aがコポリマーCPを構成するモノマーMの全量の10〜90重量%を占める請求項1または2に記載のコポリマーCP。
【請求項4】
モノマーM2aがビニル芳香族モノマー、アクリル酸とC2−10アルカノール、C4−10シクロアルカノール、フェニル−C1−4アルカノール及びフェノキシ−C1−4アルカノールのエステル、並びにメタクリル酸とC1−10アルカノール、C4−10シクロアルカノール、フェニル−C1−4アルカノール及びフェノキシ−C1−4アルカノールのエステルからなる群から選択される請求項1〜3のいずれかに記載のコポリマーCP。
【請求項5】
モノマーM2bがコポリマーCPを構成するモノマーMの全量の5〜89重量%を占める請求項1〜4のいずれかに記載のコポリマーCP。
【請求項6】
モノマーM2bがアクリル酸及びメタクリル酸のヒドロキシ−C2−4アルキルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、N−ビニルラクタム及びメチルアクリレートからなる群から選択される請求項1〜5のいずれかに記載のコポリマーCP。
【請求項7】
1000〜100000ダルトンの範囲の数平均分子量を有する請求項1〜6のいずれかに記載のコポリマーCP。
【請求項8】
α)少なくとも1個のスルホン酸基を有する少なくとも1つのモノエチレン性不飽和モノマーM1、
β3)20℃での水中溶解度が1〜<50g/lの少なくとも1つのモノエチレン性不飽和モノマーM2a(1)、及び
β4)20℃での水中溶解度が1g/l未満の少なくとも1つの第2モノマーM2a(2)
を重合単位の形態で含む少なくとも3つの異なるモノエチレン性不飽和モノマーMから構成されるポリマー形態のコポリマーCP。
【請求項9】
モノマーM2a(1)がアクリル酸とC2−4アルカノールのエステル及びメタクリル酸とC1−4アルカノールのエステルからなる群から選択される請求項8に記載のコポリマーCP。
【請求項10】
モノマーM2a(2)がC6−20アルキルアクリレート及びC6−20アルキルメタクリレートからなる群から選択される請求項8または9に記載のコポリマーCP。
【請求項11】
コポリマーCPを構成するモノマーMの全量に基づく重量%で、1〜89重量%のモノマーM1、10〜98重量%のモノマーM2a(1)及び1〜89重量%のモノマーM2a(2)を含む請求項8〜10のいずれかに記載のコポリマーCP。
【請求項12】
1000〜100000ダルトンの範囲の数平均分子量を有する請求項8〜11のいずれかに記載のコポリマーCP。

【公開番号】特開2011−184696(P2011−184696A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103115(P2011−103115)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【分割の表示】特願2008−505819(P2008−505819)の分割
【原出願日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】