説明

少なくとも1つのヒアルロン酸エステルを含んでなる表面層を含む多層不織組織

【課題】良好な機械的および液体吸収特性を有し、柔軟かつ軟質であって、皮膚に非接着性である多層不織材料を提供する。
【解決手段】皮膚と接触する表面層、および皮膚と接触しない1つまたはそれ以上の他の層からなる多層不織材料であって、皮膚と接触する該表面層が、少なくとも1つのヒアルロン酸誘導体を含んでなる表面層、少なくとも1つの該ヒアルロン酸誘導体と少なくとも1つの天然ポリマー、半合成ポリマー、または合成ポリマーとの混合物を含んでなる表面層、およびその表面上での細胞成長と両立可能な天然、合成、または半合成の生体適合性多孔膜からなる表面層よりなる群から選択される多層不織材料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規材料、すなわち層の1つがヒアルロン酸誘導体を含んでなる多層不織組織に関する。
【背景技術】
【0002】
それ自体で、または他のポリマーとの混合物で使用するヒアルロン酸エステルからなり、良好な皮膚被覆を提供する生体材料を得ることを目的とした研究から、様々な種類の製品が作り出されてきた。米国特許第4,851,521号および同第4,965,353号に記載されているガーゼおよびフィルムといったような組織が提案されてきた。そのような製品の皮膚被覆物としての使用に対する制限は、どのようにして製造するかによって変わることのあるそれらの剛性度によるものであり、また組織修復の間に傷口から滲出する体液のような、それらの乏しい液体吸収によるものである。不織組織製造技術を利用することにより、柔軟性を、強力に液体を吸収する能力と組み合わせた製品を得ることが可能である。これらの特性は、米国第5,041,104号のような様々な特許に記載されている。
【0003】
現在既知の技術を利用して得られるヒアルロン酸誘導体および/またはそれらの混合物からなる製品の使用に対する制限は、大部分が次のことに起因すると考えられる:
(1)生理学的体液のような水性液体と接触するとゲルを形成する傾向が原因となる、湿った場合の材料の劣悪な機械的特性;
(2)適用部位に直接接触する層にのみポリマーが必要であるという事実にもかかわらず、結果的に高いコストの最終製品となる、ヒアルロン酸誘導体または他の生体適合性および生体吸収性ポリマーとのそれらの混合物といったような高価な物質の過剰使用;および
(3)過度に高い水蒸気透過値。
これらの欠点は、滲出物の産生が乏しい場合において特に重要となる。
【特許文献1】米国特許第4,851,521号
【特許文献2】米国特許第4,965,353号
【特許文献3】米国特許第5,041,104号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明の目的は、皮膚と接触する表面層、および皮膚と接触しない1つまたはそれ以上の他の層からなる多層不織材料を提供することであり、該不織材料においては、皮膚と接触する該表面層が、少なくとも1つのヒアルロン酸誘導体を含んでなる表面層、少なくとも1つの該ヒアルロン酸誘導体と少なくとも1つの天然ポリマー、半合成ポリマー、または合成ポリマーとの混合物を含んでなる表面層、およびその表面上での細胞成長と両立可能な天然、合成、または半合成の生体適合性多孔膜からなる表面層よりなる群から選択される。好ましい態様において、皮膚が接触する層は、ヒアルロン酸誘導体、すなわちヒアルロン酸部分を含む化合物、特にヒアルロン酸エステルまたはそれらの混合物を含んでなる。
【0005】
そのような製品は、良好な機械的および液体吸収特性を有し、柔軟かつ軟質であって、手頃な価格がつけられており、それらの水蒸気に対する透過性に関しては変えることができる。
【0006】
本発明の別の目的は、皮膚と接触しない1つまたはそれ以上の他の該層が、多層不織材料に対する強化剤および/または液体吸収システムとして作用する天然、合成、または半合成物質を含んでなる多層不織材料を提供することであり、そのため、生体適合性および生体吸収性ポリマーの量を最小限まで減少させて、それを必要とする領域におけるそれらの作用を集中させる。
【0007】
本発明のさらなる目的は、上記のような多層不織材料であり、皮膚と接触する該表面層および皮膚と接触しない1つまたはそれ以上の他の該層が化学凝固剤、接着剤、および機械的縫合よりなる群から選択される少なくとも1つのもので一緒に固定される多層不織材料を提供することである。
【0008】
そのような多層不織材料は、例えば、外科学、皮膚治療のような皮膚科学、歯科口腔病学、整形外科学、神経外科学、および耳または鼻治療における非付着性の衛生または手術用品として使用することができる。
【0009】
本発明のさらなる適用可能範囲は、以下に示す詳細な説明から明らかとなるであろう。しかし、本発明の精神および範囲内の様々な変化および変更がこの詳細な説明から当業者に明らかとなるであろうことから、詳細な説明および具体的な実施例は、本発明の好ましい態様を示唆するが、例として示すにすぎないことを理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を実施する際に当業者の助けとなるよう、以下の本発明の詳細な説明を提供する。しかし、本明細書中で論じる態様の変更および変化は、本発明の発見の精神または範囲から逸脱することなく一般当業者によりなされ得るので、以下の詳細な説明は、本発明を過度に制限するよう解釈されるべきではない。
本明細書中で引用する各々の文献内容は、その全体が本明細書中の一部を構成する。
【0011】
前述および他の目的は、基本重量が20g/mq〜500g/mq、厚さが0.5mm〜20mm、最小限2〜4層で、それらの重量と比較した水吸収パーセンテージが60%〜150%、また水蒸気透過性が24時間で100〜4500g/mqである、本発明による多層不織組織により達成される。
【0012】
多層不織組織は、化学凝固剤および/または接着剤で、もしくは機械的縫合法で一緒に固定された幾つかの層からなる材料として記述することができる。各々の層は、8〜60マイクロメーターの間で変えられる直径および5mm〜100mmの長さを有する繊維からなり、化学凝固剤または接着剤で、もしくは機械的縫合法で一緒につなぎ合わされる。
【0013】
皮膚と接触するべき層は、欧州特許公開第0216453号および米国特許第4,851,521号、同第4,965,353号、および同第5,202,431号に記載されているようなヒアルロン酸エステルを含んでなり、単独で、または様々なパーセンテージの混合物で使用する。さらに、この層はまた、コラーゲンもしくはコラーゲンとグリコサミノグリカンとの共沈物、セルロース、キチン、キトサン、ペクチン、もしくはペクチン酸、寒天、アガロース、キサンテンゴム、ゲラン(gellan)、アルギン酸、様々なアルギネート、アルギン酸エステル、ポリマンナンもしくはポリグリカン、デンプンのようなゲル状の多糖類、天然ゴムといったような天然ポリマーから得られる繊維、またはアルデヒドもしくはその前駆体、ジカルボン酸もしくはそのハロゲン化物、ジアミンといったような橋かけ剤で橋かけされたコラーゲン、セルロース、アルギン酸、デンプン、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、ゲラン、キサンテン、ペクチン、ペクチン酸、ポリグリカン、ポリマンナン、寒天、アガロース、天然ゴム、グリコサミノグリカン誘導体といったような天然ポリマーの半合成誘導体から得られる繊維、またはポリ乳酸、ポリグリコール酸あるいはそれもしくはそれら誘導体のコポリマー、ポリジオキサン、ポリホスファゼン、ポリスルホン、およびポリウレタンといったような合成ポリマーから得られる繊維とのヒアルロン酸エステル繊維の混合物を含んでなり得る。
【0014】
本明細書中で使用する「誘導体」という用語は、指示された部分を含む化合物を示す。例えば、「セルロース誘導体」という用語は、セルロース部分を含む化合物を示す。
【0015】
製品を強化する、および/または液体を吸収する、並びに水蒸気に対する透過性を調節する機能を有する上層が、不織組織または未整理織構造(loom-woven structures)の形態となり得る。それらは、綿のような天然繊維、ビスコースレーヨンのような再生繊維、またはポリエステル、ポリアミド、ポリアルキレン、もしくはそれらの混合物といったような合成ポリマー繊維より構成し得る。さらに、その層は、ポリウレタンのような軟質フォーム、または弾性シリコンもしくは弾性ポリウレタンといったようなエラストマー系合成膜からなり得る。
【0016】
不織組織技術に典型的な方法より、様々な層を一緒に固定する。これらには、例えば、ノンウーベン・テクノロジーズ・フォー・サナテリー・アブソーバント・プロダクツ(Nonwoven Technologies for Sanitary Absorbent Products),185−190頁に記載されているような、繊維層を圧縮するのに、または様々な種類の層をつなぎ合わせるのに適当な、機械的縫合法、または凝固剤もしくは接着剤を使用する化学的方法が包含される。例として挙げられる接着剤は、アクリル酸エステル結合剤であるアクロナール(Acronal)DS 2331 Xである。
【0017】
従って、本発明は、皮膚を被覆するための医療/製薬の分野において、また外科学において使用するための、新規製品である多層不織組織に関する。皮膚と接触する表面は、それ自体で、または他の天然もしくは合成ポリマーとの混合物で使用する、少なくとも1つのヒアルロン酸エステルを含んでなる。合成または半合成物質を含んでなる他の層は、材料の強化剤および/または液体吸収システムとして作用する。
【0018】
皮膚と接触する表面層はまた、その表面上での細胞成長と両立可能な天然、合成、または半合成の生体適合性多孔膜からもなり得る。そのような天然および半合成の生体適合性多孔膜の例は、欧州特許出願第0462426号に記載されている。そのような膜に有用な天然物質には、金属塩、ポリカチオン、またはポリアニオンといったような適当な沈殿剤もしくはゲル化剤の存在下、コラーゲンまたはコラーゲンとグリコサミノグリカンとの共沈物、セルロース、キチン、キトサン、ペクチン、ペクチン酸、寒天、アガロース、
キサンテンゴム、ゲラン、アルギン酸、アルギネート、ポリマンナン、ポリグリカン、デンプンといったようなゲル化多糖類、または天然ゴムが単独で、またはそれぞれとの混合物で、もしくは合成または半合成起源ポリマーとの混合物で包含される。本発明の多層不織組織に有用な合成の生体適合性多孔膜の例には、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、それらのコポリマーもしくはそれらの誘導体、ポリジオキサン、ポリホスファゼン、ポリスルホン、ポリウレタン、ジアルデヒドまたはそれらの前駆体、ジカルボン酸またはそれらのハロゲン化物、ジアミンといったような橋かけ剤で橋かけされたコラーゲン、またはセルロース、アルギン酸、デンプン、キチン、キトサン、ゲラン、キサンテンゴム、ペクチン、ペクチン酸、ポリグリカン、ポリマンナン、寒天、アガロース、天然ゴム、またはグリコサミノグリカン誘導体といったような天然ポリマーの半合成誘導体が包含される。そのような合成膜はまた、シリコン、シラン、またはシロキサンゴム、ポリフルオロエチレン、ポリフルオロプロピレン、ポリフルオロエーテルといったようなフルオロポリマー、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリレートまたはそれらの誘導体、ポリヒドロキシアクリレート、ポリヒドロキシメタクリレート、カルボキシビニルポリマーおよびそれらの誘導体、無水マレイン酸ポリマーおよびそれらの誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリエチレン、およびポリプロピレンといったような非生分解性の合成ポリマーをも含んでなり得る。
【0019】
本発明の不織組織はまた、抗生物質、防腐剤、抗有糸分裂薬(antimicotics)、ポリペプチド、タンパク質、または他の種類の製薬的に活性な化合物の溶液で含浸することもできる。
【0020】
本発明の新規材料の特性は、耳科学的および耳神経学的顕微外科、外傷後および内視鏡検査の機能性鼻洞顕微外科、形成および再健外科、およびそれらの抗付着性を含め、本発明で請求する特性をもつ材料の使用を必要とする他の外科的指示といったような、外科学の分野における使用に関してそれらを特に価値あるものとする。
【0021】
単に説明することを目的として、本発明による多層不織組織の幾つかの例を以下に報告する。
【実施例】
【0022】
実施例1
以下の手順により、ヒアルロン酸ベンジルエステル、HYAFF 11の層、および不織ビスコース層(ORSA社製のジェテックス(Jettex)2005)からなり、基本重量が80g/mq、厚さが2mm、また水吸収パーセンテージが560重量%である多層不織組織を得た。
皮膚と接触する層は、湿式紡糸技術により製造されて30g/mqのシート状にした、HYAFF 11の繊維からなる。WO 93/11803号に記載されているようにして、繊維をシートにした。
基本重量が30g/mqである第2層の不織ビスコース組織に縫合することにより、この層をつなぎ合わせる。
従って、最終不織製品は、全基本重量が80g/mq、厚さが2mm、また水吸収パーセンテージが560重量%である、2つの完全に接着された層からなる。
【0023】
実施例2
以下の手順により、ヒアルロン酸エチルエステル、HYAFF 7の層、および不織ポリエステル層(FNT社製のベスト・ボンド(BEST BOND)20 PS)からなり、基本重量が50g/mq、厚さが1mm、また水吸収が400重量%である多層不織組織を得る。
皮膚と接触する層は、湿式紡糸技術により製造されて30g/mqのシートにした、HYAFF 7の繊維からなり、基本重量が20g/mqである第2層の不織ポリエステルに縫合することにより、これをつなぎ合わせる。
従って、最終不織製品は、全基本重量が50g/mq、厚さが1mm、また水吸収パーセンテージが400重量%である、2つの完全に接着された層からなる。
【0024】
実施例 3
以下の手順により、ヒアルロン酸ベンジルエステル、HYAFF 11の層、およびアルギン酸カルシウムの比率 1:1の混合層、およびポリプロピレンの不織組織(NEUBERGER社製の不織基材、50g/mq)からなり、基本重量が70g/mq、厚さが1.5mm、また水吸収パーセンテージが450重量%である多層不織組織を得た。
従来の湿式紡糸技術により得られた、長さ40mmであるHYAFF 11およびアルギン酸カルシウムの繊維を混合し、20g/mqのシートにして、基本重量が50g/mqである不織組織に縫合することにより、つなぎ合わせた。
結果的に得られる材料は、全基本重量が70g/mq、厚さが1.5mm、また水吸収パーセンテージが450重量%である、2層の不織組織からなる。
【0025】
実施例4
以下の手順により、ヒアルロン酸の75% 部分ベンジルエステルであるHYAFF 11p75の層、およびライオベンド(LYOBEND)(DELCON社製)のようなポリウレタンフォーム層からなり、基本重量が100g/mq、厚さが5mm、また水吸収パーセンテージが950重量%である多層不織組織を得た。
皮膚と接触する層は、湿式紡糸技術により45g/mqのシートに製造され、第2層のポリウレタンフォームに縫合することによりつなぎ合わされた、HYAFF 11p75の繊維からなる。
結果的に得られる不織製品は、全基本重量が100g/mq、厚さが4mm、また水吸収パーセンテージが950重量%である、完全に一緒につなぎ合わされた2層からなる。
【0026】
実施例5
以下の手順により、ヒアルロン酸ベンジルエステルであるHYAFF 11の層、およびライオベンド(DELCON社製)のようなポリウレタンフォーム層からなり、基本重量が100g/mq、厚さが6mm、また水吸収パーセンテージが860重量%である多層不織組織を得た。
皮膚と接触する層は、湿式紡糸技術により製造されて、45g/mqのシートにされた、HYAFF 11の繊維からなり、第2層のポリウレタンフォームに縫合することにより、これをつなぎ合わせる。
結果的に得られる不織製品は、全基本重量が100g/mq、厚さが6mm、また水吸収パーセンテージが860重量%である、2つの完全に接着された層からなる。
【0027】
実施例6
以下の手順により、皮膚と接触する層はヒアルロン酸の部分ベンジルエステルであるHYAFF 11p75およびアルギン酸のベンジルエステルであるALAFF 11の同じ割合の混合物からなり、第2層は密度が55/69 Kg/cc(UNI規定 6349)であるDS 50 フォーム(FOAM)(ORSA社製)のようなポリウレタンフォームのクッションからなり、また第3層は水蒸気透過性が24時間で426g/mqであるポリウレタン膜からなるという、3層からなり、基本重量が200g/mq、厚さが3mmである多層不織組織を得た。ALAFF 11および他のアルギン酸の全並びに部分エステルの製造は、欧州特許公開第0251905号および米国特許第5,264,422号に記載されている。
湿式紡糸製法により得られた、長さ40mmであるHYAFF 11およびALAFF 11の繊維をポリウレタンフォームクッションの表面に縫合する一方で、他の表面をデュロ−タック(DURO−TAK)380−1054接着剤でポリウレタン膜に付着させた。最終材料は、最終基本重量が200g/mq、厚さが8mm、水吸収パーセンテージが1100重量%、また水蒸気透過性値が24時間で450g/mqである、3層からなっていた。
【0028】
実施例7
以下の手順により、ヒアルロン酸ベンジルエステルであるHYAFF 11の層、および不織ビスコース層(ORSA社製のジェテックス 2005)からなり、基本重量が80g/mq、また厚さが2mmであり、欧州特許出願第0462426号に記載されているようにして製造された0.5mmの孔を有するHYAFF 11膜につなぎ合わされた多層不織組織を得た。
実施例1に記載されているようにして得られた不織組織であるHYAFF 11の表面にHYAFF 11/DMSO溶液を60mg/mlの濃度で噴霧した後、これに0.5mmの孔を有する多孔膜を貼り付ける。次いで、その膜および不織組織を一緒にプレスし、エタノール浴中に浸漬し、洗浄して、乾燥する。
このようにして得られた不織組織は、基本重量が80g/mq、厚さが2mmであり、また3層からなっており、このうちの1層は0.5mmの孔を有する多孔膜を形成する。
このように記載した本発明を様々な方法で変更することができるのは明白である。そのような変更は、本発明の精神および目的から逸脱したものとして見なされるべきではなく、また当業者にとって明白であろう全ての変更が以下の請求の範囲内に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚と接触する表面層、および皮膚と接触しない1つまたはそれ以上の他の層を含む非付着性の多層不織材料であって、
皮膚と接触する該表面層が、皮膚に非接着性であり、かつ
少なくとも1つのヒアルロン酸誘導体を含んでなる表面層、
少なくとも1つの該ヒアルロン酸誘導体と少なくとも1つの天然ポリマー、半合成ポリマー、または合成ポリマーとの混合物を含んでなる表面層、および
その表面上での細胞成長と適合性のある天然、合成、または半合成の生体適合性多孔膜を含んでなる表面層
よりなる群から選択され;
皮膚と接触する該表面層が天然の合成の、または半合成の生体適合性の多孔性膜を含んでなる場合には皮膚と接触しない該1またはそれ以上の層の少なくとも1つは液体吸収性である多層不織材料。
【請求項2】
少なくとも1つの該ヒアルロン酸誘導体がヒアルロン酸エステルである、請求項1に記載の多層不織材料。
【請求項3】
少なくとも1つの該天然ポリマーが、コラーゲン、コラーゲン−グリコサミノグリカン共沈物、セルロース、キチン、キトサン、ペクチン、ペクチン酸、寒天、アガロース、キサンタンゴム、ゲラン、アルギン酸、アルギネート、ポリマンナン、ポリグリカン、デンプン、および天然ゴムよりなる群から選択され;少なくとも1つの該半合成ポリマーが、アルギン酸エステル、橋かけコラーゲン、セルロース誘導体、アルギン酸誘導体、デンプン誘導体、ヒアルロン酸誘導体、キチン誘導体、キトサン誘導体、ゲラン誘導体、キサンテン誘導体、ペクチン誘導体、ペクチン酸誘導体、ポリグリカン誘導体、ポリマンナン誘導体、寒天誘導体、アガロース誘導体、天然ゴム誘導体、およびグリコサミノグリカン誘導体よりなる群から選択され;少なくとも1つの該合成ポリマーがポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸およびポリグリコール酸のコポリマー、ポリ乳酸誘導体およびポリグリコール酸誘導体のコポリマー、ポリジオキサン、ポリホスファゼン、ポリスルホン、およびポリウレタンよりなる群から選択される、請求項1に記載の多層不織材料。
【請求項4】
皮膚と接触しない1つまたはそれ以上の他の該層が、該多層不織材料に対する強化剤および/または液体吸収システムとして作用する天然、合成、または半合成の物質を含んでなる、請求項1に記載の多層不織材料。
【請求項5】
該天然物質が綿であり、該合成物質がビスコースレーヨン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアルキレン、または前記物質の混合物、ポリウレタン、弾性シリコーン、および弾性ポリウレタンよりなる群から選択され、該半合成物質が少なくとも1つのヒアルロン酸エステルである、請求項4に記載の多層不織材料。
【請求項6】
皮膚と接触する該表面層が少なくとも1つのヒアルロン酸エステルを含んでなる、請求項1に記載の多層不織材料。
【請求項7】
少なくとも1つの該ヒアルロン酸エステルがヒアルロン酸のベンジルエステルおよびヒアルロン酸のエチルエステルよりなる群から選択される、請求項6に記載の多層不織材料。
【請求項8】
該ヒアルロン酸のベンジルエステルがヒアルロン酸の75% 部分ベンジルエステルである、請求項7に記載の多層不織材料。
【請求項9】
皮膚と接触する該表面層がヒアルロン酸ベンジルエステルとアルギン酸ベンジルエステルとの混合物を含んでなる、請求項1に記載の多層不織材料。
【請求項10】
皮膚と接触する該表面層がヒアルロン酸ベンジルエステルとアルギン酸カルシウムとの混合物を含んでなる、請求項1に記載の多層不織材料。
【請求項11】
皮膚と接触する該表面層がその表面上での細胞成長と適合性のある天然、合成、または半合成の生体適合性多孔膜を含んでなる、請求項1に記載の多層不織材料。
【請求項12】
天然、合成、または半合成の該生体適合性多孔膜が10〜500μの厚みを有し、10〜1000μの所定の均一な大きさの直径を有する、規則的な一連の孔を有し、各々の孔が隣の孔とは50〜1000μの距離離れている、請求項11に記載の多層不織材料。
【請求項13】
半合成の該生体適合性多孔膜が少なくとも1つのヒアルロン酸エステルを含んでなる、請求項11に記載の多層不織材料。
【請求項14】
少なくとも1つの該ヒアルロン酸エステルがヒアルロン酸ベンジルエステルである、請求項13に記載の多層不織材料。
【請求項15】
天然の該生体適合性多孔膜がコラーゲン、コラーゲンとグリコサミノグリカンとの共沈物、セルロース、キチン、キトサン、ペクチン、ペクチン酸、寒天、アガロース、キサンタンゴム、ゲラン、アルギン酸、アルギネート、ポリマンナン、ポリグリカン、デンプン、天然ゴム、前記物質の混合物、前記物質のいずれかと合成ポリマーとの混合物、および前記物質のいずれかと半合成ポリマーとの混合物よりなる群から選択される物質を含んでなる、請求項11に記載の多層不織材料。
【請求項16】
合成の該生体適合性多孔膜がポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸およびポリグリコール酸のコポリマー、ポリ乳酸誘導体およびポリグリコール酸誘導体のコポリマー、ポリジオキサノン、ポリホスファゼン、ポリスルホン、ポリウレタン、天然ポリマーの半合成誘導体、セルロース誘導体、アルギン酸、デンプン、キチン、キトサン、ゲラン、キサンタンゴム、ペクチン、ペクチン酸、ポリグルカン、ポリマンナン、寒天、アガロース、天然ゴム、グリコサミノグリカン、シリコーン、シラン、シロキサンゴム、フルオロポリマー、ポリスチレン、ビニルポリクロライド、ポリアクリレート、ポリアクリレート誘導体、ポリヒドロキシアクリレート、ポリヒドロキシメタクリレート、カルボキシビニルポリマー、カルボキシビニルポリマー誘導体、無水マレイン酸ポリマー、無水マレイン酸ポリマー誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、ポリエチレン、およびポリプロピレンよりなる群から選択される物質を含んでなる、請求項11に記載の多層不織材料。
【請求項17】
天然ポリマーの該半合成誘導体がジアルデヒド、ジアルデヒド前駆体、ジカルボン酸、ジカルボン酸ハロゲン化物、およびジアミンよりなる群から選択される橋かけ剤で橋かけされたコラーゲンである、請求項16に記載の多層不織材料。
【請求項18】
該フルオロポリマーがポリフルオロエチレン、ポリフルオロプロピレン、およびポリフルオロエーテルよりなる群から選択される物質である、請求項16に記載の多層不織材料。
【請求項19】
皮膚と接触しない1つまたはそれ以上の他の該層がビスコースを含んでなる、請求項1に記載の多層不織材料。
【請求項20】
皮膚と接触しない1つまたはそれ以上の他の該層が不織ポリプロピレンを含んでなる、請求項1に記載の多層不織材料。
【請求項21】
皮膚と接触しない1つまたはそれ以上の他の該層がポリウレタンフォームを含んでなる、請求項1に記載の多層不織材料。
【請求項22】
基本重量が40g/mq〜500g/mq、厚さが0.5mm〜20mm、繊維直径が8μm〜60μm、長さが5mm〜100mm、2〜4層で、水吸収パーセンテージが60%〜500%、また水蒸気透過性が24時間で100〜4500g/mqの値である、請求項1に記載の多層不織材料。
【請求項23】
皮膚と接触する該表面層および皮膚と接触しない1つまたはそれ以上の他の該層を化学凝固剤、接着剤、および機械的縫合よりなる群から選択される少なくとも1つのもので一緒に固定する、請求項1に記載の多層不織材料。
【請求項24】
縫合された2つまたはそれ以上の層からなる、請求項1に記載の多層不織材料。
【請求項25】
縫合された2つの層からなり、皮膚と接触しない該層がポリウレタンフォームを含んでなる、請求項1に記載の多層不織材料。
【請求項26】
3つの層からなり、皮膚と接触する該層がヒアルロン酸の全ベンジルエステルを含んでなる生体適合性多孔膜である、請求項1に記載の多層不織材料。
【請求項27】
製薬的に活性な化合物を含む、請求項1に記載の多層不織材料。
【請求項28】
製薬的に活性な該化合物が抗生物質、防腐剤、抗有糸分裂薬、ポリペプチド、タンパク質よりなる群から選択される、請求項27に記載の多層不織材料。
【請求項29】
抗付着性材料としての請求項1〜28のいずれか1つに記載の該多層不織材料の使用。

【公開番号】特開2007−236974(P2007−236974A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−139145(P2007−139145)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【分割の表示】特願平6−517674の分割
【原出願日】平成6年2月11日(1994.2.11)
【出願人】(500047170)フィディア・アドバンスト・バイオポリマーズ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (5)
【氏名又は名称原語表記】FIDIA ADVANCED BIOPOLYMERS,S.r.L.
【Fターム(参考)】