説明

少なくとも1つの揮発性直鎖アルカン、少なくとも1つのシリコーンおよび少なくとも1つの脂肪物質を特定の脂肪物質/シリコーン比で含む化粧料組成物

【課題】リンスアウトヘアケア製品としての化粧料記組成物を提供する。
【解決手段】水性媒体において:-0.1質量%〜20質量%の1つ以上の揮発性直鎖アルカン、-0.5質量%〜25質量%の20 000mm/s以上の粘度を有する1つ以上のシリコーン、-1つ以上の非シリコーン脂肪物質、を非シリコーン脂肪物質/20 000mm/s以上の粘度を有する1つ以上のシリコーンの質量比が5以下で含む化粧料組成物。また、ケラチン物質、好ましくはケラチン繊維、例えば毛髪のコスメティックトリートメントのためのその使用、および前記組成物を用いるケラチン物質のコスメティックトリートメントのための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性媒体において、少なくとも1つの揮発性直鎖アルカン、少なくとも1つの高粘度シリコーン、および少なくとも1つの非シリコーン脂肪物質を特定の割合で含む化粧料組成物、ケラチン物質、好ましくはケラチン繊維、例えば毛髪のコスメティックトリートメントのためのその使用、および前記組成物を用いるケラチン物質のコスメティックトリートメントのための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアトリートメントの領域において、揮発性溶媒の使用は、リーブインあるいはリンスアウトヘアケア製品において既知である。これは、一般的にはさまざまな理由で用いられている。これは、特に、手に軽くべたつかない手触りを与えることによって毛髪製品の感覚効果を変えることを可能にする。これは、また、毛髪に、特に乾いた髪に製品の広がりを容易にする滑り性を与えることができる。
多少ゲル化されたクリームの形であり得る水中油型水性エマルジョンにおいて、揮発性溶媒を添加すると、その固有粘度によって、組成物への配合が難しいシリコーンガムを溶解することも可能であり得る。
一般に液体脂肪エステル、イソドデカンまたはイソヘキサデカンタイプの炭化水素ベースの油、および/またはシリコーン油であるこれらの揮発性溶媒は、特に、べたついた感触、つやがないこと、また、剛く硬い毛髪の問題が生じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
それ故、上述の欠点を避けるためにこれらの揮発性溶媒を置き換えることが依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ここで、出願人は、予想外に且つ驚くべきことに、1つ以上の揮発性直鎖アルカン、1つ以上の高粘度シリコーンおよび1つ以上の非シリコーン脂肪物質を水性組成物中で特定の割合で混合すると、上述の欠点を避けるとともにコスメティック特性、例えば、なめらかさ、扱いやすさ、もつれがほどける、ボリューム(特に根元を立ち上げる)、毛髪頭部の張性を改善することを可能にすることを発見した。
特に、本発明の組成物は、よりなめらかで、均質で且つ/またはリンス時により扱いやすい毛髪を得ることを可能にする。ぬれた毛髪について、もつれがほどけやすくまたはよりトニック効果があり更に/またはより立ち上げられる根元をもつ(根元で、毛髪は頭皮に張りつけられず、角度をなし、これがボリュームを与える)毛髪が得られる。更に、乾いた毛髪について、手ざわりがより扱いやすく且つ/またはよりなめらかである毛髪が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0005】
従って、本発明の主題は、水性媒体において:
-0.1質量%〜20質量%の1つ以上の揮発性直鎖アルカン、
-0.5質量%〜25質量%の25℃において20 000mm2/s以上の粘度を有する1つ以上のシリコーン、
-揮発性直鎖アルカンと異なる1つ以上の非シリコーン脂肪物質、
を含み、揮発性直鎖アルカンと異なる前記非シリコーン脂肪物質の量と前記シリコーンの量との質量比が5以下である化粧料組成物である。
本発明の主題は、また、ケラチン物質、好ましくはケラチン繊維、例えば毛髪のコスメティックトリートメントのための、特にリンスアウトヘアケア製品としての前記組成物の使用である。
本発明の他の主題は、前記組成物を用いる、ケラチン物質、好ましくはケラチン繊維、例えば毛髪のコスメティックトリートメントのための方法である。
本発明の化粧料組成物は、水性媒体において:
-0.1質量%〜20質量%の1つ以上の揮発性直鎖アルカン、
-0.5質量%〜25質量%の20 000mm2/s以上の粘度を有する1つ以上のシリコーン、
-揮発性直鎖アルカンと異なる1つ以上の非シリコーン脂肪物質、
を含み、揮発性直鎖アルカンと異なる前記非シリコーン脂肪物質の量と前記シリコーンの量との質量比が5以下、好ましくは3以下である。
前記比は、好ましくは0.01〜50、より好ましくは0.1〜5、更により好ましくは0.1〜3の範囲にある。
【0006】
表現「1つ以上の揮発性直鎖アルカン」は、「1つ以上の揮発性直鎖アルカン油」を区別せずに意味すると理解される。
本発明に適している揮発性直鎖アルカンは、周囲温度(約25℃)および大気圧(101 325Paまたは760mmHg)で液体である。
本発明に適している用語「揮発性直鎖アルカン」は、皮膚と接触する際に周囲温度(25℃)および大気圧(101 325Pa)で1時間未満に蒸発することができ、周囲温度で液体であり、且つ特に、周囲温度(25℃)および大気圧(101 325Pa)で0.01〜15mg/cm2/分の範囲にある蒸発速度を有する直鎖アルカンを意味すると理解される。
好ましくは、本発明に適している揮発性直鎖アルカンは、周囲温度(25℃)および大気圧(101 325Pa)で、0.01〜3.5mg/cm2/分、より好ましくは0.01〜1.5mg/cm2/分の範囲にある蒸発速度を示す。
より好ましくは、本発明に適している揮発性直鎖アルカンは、周囲温度(25℃)および大気圧(101 325Pa)で、0.01〜0.8mg/cm2/分、好ましくは0.01〜0.3mg/cm2/分、より好ましくは0.01〜0.12mg/cm2/分の範囲にある蒸発速度を示す。
【0007】
本発明の揮発性アルカン(より一般的には揮発性溶媒)の蒸発速度は、特にWO 06/013413に記載されるプロトコールによって、より詳しくは以下に記載されるプロトコールによって評価され得る。
15gの揮発性炭化水素ベースの溶媒を、温度(25℃)および湿度計(相対湿度50%)が調整された約0.3m3のチャンバ内に位置するはかりに載せた結晶皿(直径:7cm)に入れる。
揮発性炭化水素ベースの溶媒は、撹拌されずに、自由に蒸発させ、換気は、揮発性炭化水素溶媒を含有する結晶皿の上に垂直の位置に配置される送風機(Papst-Motoren、参照番号8550N、2700回転/分で回転する)が備えられ、ブレードは、結晶皿の底に対して20cmの距離に結晶皿の方に向いている。
結晶皿に残っている揮発性炭化水素溶媒の質量は、一定の時間間隔で測定される。
次に、蒸発した製品の量(mg/cm2)の曲線を時間(分)の関数としてプロットすることによって溶媒の蒸発プロファイルが得られる。
次に、得られた曲線の原点で正接に対応する蒸発速度が算出される。蒸発速度は、表面積の単位(cm2)および時間の単位(分)当たりの蒸発した揮発性溶媒のmgで表される。
【0008】
好ましい実施態様によれば、本発明に適している揮発性直鎖アルカンは、周囲温度で非ゼロ蒸気圧(飽和蒸気圧として知られる)、特に、0.3Pa〜6000Paの範囲にある蒸気圧を有する。
好ましくは、本発明に適している揮発性直鎖アルカンは、周囲温度(25℃)で、0.3〜2000Pa、より好ましくは0.3〜1000Paの範囲にある蒸気圧を有する。
より好ましくは、本発明に適している揮発性直鎖アルカンは、周囲温度(25℃)で、0.4〜600Pa、好ましくは1〜200Pa、より好ましくは3〜60Paの範囲にある蒸気圧を有する。
【0009】
一実施態様によれば、本発明に適している揮発性直鎖アルカンは、30〜120℃、より詳しくは40〜100℃に変動する範囲にある引火点を示し得る。引火点は、特に、規格ISO 3679に従って測定される。
一実施態様によれば、本発明に適している揮発性直鎖アルカンは、炭素原子7〜15個、好ましくは炭素8〜14個、より好ましくは炭素原子9〜14個を含み得る。
より好ましくは、本発明に適している揮発性直鎖アルカンは、炭素原子10〜14個、より好ましくは炭素原子11〜14個を含む。
本発明に適している揮発性直鎖アルカンは、有利には植物由来であり得る。
【0010】
好ましくは、本発明の組成物に存在する揮発性直鎖アルカンの混合物は、少なくとも14C炭素同位体(炭素-14)を含む。特に、14C同位体は、14C/12C同位体比(同位体数)が1×10-16以上、好ましくは1×10-15以上、より好ましくは7.5×10-14、更により好ましくは1.5×10-13で存在し得る。好ましくは、14C/12C比は、6×10-13〜1.2×10-12の範囲にある。
揮発性直鎖アルカンの混合物中の14C同位体の量は、当業者に既知の方法、例えば、リビー計数法、液体シンチレーション分光法または加速器質量分析によって決定され得る。
このようなアルカンは、植物出発材料、例えば、油、バター、ワックス等から直接または数段階で得ることができる。
本発明に適しているアルカンの例として、特許出願WO 2007/068371およびWO2008/155059に記載されるアルカンを挙げることができる。これらのアルカンは、ココナツまたはパーム油から得られる脂肪アルコールから得られる。
【0011】
本発明に適している直鎖アルカンの例として、n-ヘプタン(C7)、n-オクタン(C8)、n-ノナン(C9)、n-デカン(C10)、n-ウンデカン(C11)、n-ドデカン(C12)、n-トリデカン(C13)、n-テトラデカン(C14)およびn-ペンタデカン(C15)が挙げられる。個々の実施態様によれば、揮発性直鎖アルカンは、n-ノナン、n-ウンデカン、n-ドデカン、n-トリデカンおよびn-テトラデカンより選ばれる。
好ましい実施態様によれば、出願WO2008/155059の実施例1および実施例2で得られるn-ウンデカン(C11)とn-トリデカン(C13)の混合物を挙げることができる。
また、参照番号Parafol 12-97およびParafol 14-97としてSasolから販売されているそれぞれn-ドデカン(C12)およびn-テトラデカン(C14)、およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0012】
一実施態様は、単一の揮発性直鎖アルカンを用いることからなる。
あるいは、炭素数nが少なくとも1つ相互に異なる、特に、炭素数が相互に1つまたは2つ異なる少なくとも2つの異なった揮発性直鎖アルカンの混合物を使用することができる。
一実施態様によれば、炭素原子10〜14個を含み且つ炭素数が相互に少なくとも1つ異なる少なくとも2つの異なる揮発性直鎖アルカンの混合物が使用される。例として、特に、揮発性直鎖アルカンのC10/C11、C11/C12またはC12/C13混合物を挙げることができる。
他の実施態様によれば、炭素原子10〜14個を含み且つ炭素数が相互に少なくとも2つ異なる少なくとも2つの異なった揮発性直鎖アルカンの混合物が使用される。例として、特に、偶数炭素数nにおいては、揮発性直鎖アルカンのC10/C12またはC12/C14混合物、奇数炭素数nにおいては、C11/C13混合物を挙げることができる。
【0013】
好ましい実施態様によれば、炭素数が相互に少なくとも2つ異なる炭素原子10〜14個を含有する少なくとも2つの異なった揮発性直鎖アルカンの混合物、特に、C11/C13揮発性直鎖アルカン混合物またはC12/C14揮発性直鎖アルカン混合物が使用される。
本発明の2つを超える揮発性直鎖アルカンを組み合わせる他の混合物、例えば、炭素数が相互に少なくとも1つ異なる炭素原子7〜15個を含む少なくとも3つの異なった揮発性直鎖アルカンの混合物が本発明に使用し得る。
2つの揮発性直鎖アルカンの混合物の場合、前記2つの揮発性直鎖アルカンは、好ましくは95質量%を超え、より好ましくは99質量%を超える混合物である。
【0014】
本発明の具体的な一実施態様によれば、揮発性直鎖アルカンの混合物において、最小の炭素数を有する揮発性直鎖アルカンが混合物において支配的である。
本発明の他の実施態様によれば、最大の炭素数を有する揮発性直鎖アルカンが混合物において支配的である揮発性直鎖アルカンの混合物が使用される。
特に、本発明に適している混合物の例として、前記混合物中のアルカンの全質量に対して以下の混合物:
・50〜90質量%、好ましくは55〜80質量%、より好ましくは、60〜75質量%の揮発性直鎖Cnアルカン、ここで、nは7〜15の範囲にある、
・10〜50質量%、好ましくは20〜45質量%、好ましくは24〜40質量%の揮発性直鎖Cn+zアルカン、ここで、xは1以上、好ましくはx=1またはx=2、ここで、n+xは8〜14である
を使用することができる。
【0015】
特に、揮発性直鎖アルカンの前記混合物は、更に:
・2質量%未満、好ましくは1質量%未満の分枝鎖炭化水素、および/または
・2質量%未満、好ましくは1質量%未満の芳香族炭化水素、および/または
・2質量%未満、好ましくは1質量%未満、優先的には0.1質量%の不飽和炭化水素
を含むことができ、前記%は混合物の全質量に対して表されている。
より詳しくは、本発明に適している揮発性直鎖アルカンは、n-ウンデカン/n-トリデカン混合物の形で使うことができる。
特に、前記混合物中のアルカンの全質量に対して:
・55〜80質量%、好ましくは60〜75質量%の揮発性直鎖C11アルカン(n-ウンデカン)および
・20〜45質量%、好ましくは24〜40質量%の揮発性直鎖C13アルカン(n-トリデカン)
を含む揮発性直鎖アルカンの混合物が使用される。
【0016】
一実施態様によれば、アルカンの混合物は、n-ウンデカン/n-トリデカン混合物である。特に、このような混合物は、出願WO 2008/155059の実施例1または実施例2に従って得ることができる。
別の具体的な実施態様によれば、Sasolから参照番号Parafol 12-97として販売されているn-ドデカンが使用される。
また別の具体的な実施態様によれば、Sasolから参照番号Parafol 14-97として販売されているn-テトラデカンが使用される。
更に別の実施態様によれば、n-ドデカンとn-テトラデカンの混合物、好ましくは85/15の比で、例えば、Biosynthis社から名称Vegelight 1214として販売されている混合物が用いられる。
本発明の組成物は、好ましくは、組成物の全質量に対して、1質量%〜20質量%の揮発性直鎖アルカン、特に1質量%〜15質量%、より詳しくは3質量%〜15質量%の揮発性直鎖アルカンを含む。
【0017】
簡単にするために、化合物の動粘度を「粘度」と示す。
本発明に従って使用し得るシリコーンは、20 000mm2/s以上、好ましくは50 000mm2/s以上、より好ましくは100 000mm2/s以上の粘度を有する。一般に、これは、200 000 000mm2/s未満の粘度を有する。
より好ましくは、シリコーンは、100 000〜150 000 000mm2/s、好ましくは1 000 000〜50 000 000mm2/sの粘度を有するシリコーンより選ばれる。
シリコーンの粘度は、好ましくは、規格ASTM-D445-97に準じて25℃の温度でポアズイユレオメータを用いて測定される。「落球」法も使用し得る。シリコーンが溶媒中の混合物としてまたはエマルジョンの形で用いられる場合、混合物溶媒から独立してシリコーンのみの粘度が測定される。
本発明の組成物に使用し得るシリコーンは、特に、水溶液、即ち、可溶化された形であり得るか、または必要により、分散液または微粒分散液、もしくは水性エマルジョンの形であってもよいポリオルガノシロキサンである。ポリオルガノシロキサンは、また、油、ワックス、樹脂またはゴムの形でもあり得る。
【0018】
オルガノポリシロキサンは、Walter Noll「Chemistry and Technology of Silicones」(1968)Academic Pressによる文献により詳細に定義されている。本発明に関連して、表現「20 000mm2/s以上の粘度を有するシリコーン」は、以下を意味することを意図する:
(i)ポリアルキルシロキサン;ポリアルキルシロキサンの中で、主に、例えば、トリメチルシリル末端基を有する直鎖ポリジメチルシロキサン、およびヒドロキシジメチルシリル末端基を有するポリジメチルシロキサンを挙げることができる;
(ii)ポリアリールシロキサン;
(iii)ポリアルキルアリールシロキサン;直鎖および分枝鎖ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジメチルメチルフェニルシロキサンおよびポリジメチルジフェニルシロキサンを挙げることができる、
特に、
(iv)シリコーンガム、例えば、シリコーン(i)、(ii)および(iii)のゴム;これらは、揮発性シリコーン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)油、ポリフェニルメチルシロキサン(PPMS)油、イソパラフィン、塩化メチレン、ペンタンまたはこれらの混合物より選ばれる溶媒中単独でまたは混合物として用いられる200 000〜5 000 000の分子量を有するポリジオルガノシロキサンである;これらは、例えば、以下の構造の1つを有し得る:
-ポリジメチルシロキサン、
-ポリ[(ジメチルシロキサン)/(メチルビニルシロキサン)]
-ポリ[(ジメチルシロキサン)/(ビニルヒドロゲノシロキサン)]、
-ポリ[(ジヒドロゲノジメチルシロキサン)/(ジビニルシロキサン)]、
-ポリ[(ジメチルシロキサン)/(ジフェニルシロキサン)]
-ポリ[(ジメチルシロキサン)/(フェニルメチルシロキサン)]
-ポリ[(ジメチルシロキサン)/(ジフェニルシロキサン)/(メチルビニルシロキサン)];
【0019】
例えば、これらに限定されずに、次の混合物もまた挙げることができる:
1) 鎖で末端がヒドロキシル化されたポリジメチルシロキサン(CTFA命名法によればジメチコノール)と、環状ポリジメチルシロキサン(CTFA命名法によればシクロメチコーン)から形成される混合物、例えばDow Corning社から販売されている製品Q2 1401;
2) ポリジメチルシロキサンガムと環状シリコーンから形成される混合物、例えば、General Electricの製品SF 1214シリコーン液で、これは、SF 1202シリコーン液(デカメチルシクロペンタシロキサン)に溶解した分子量50 0000のSE 30ガムである;
3) 異なる粘度を有する2つのPDMS、特に、PDMSガムとPDMS油の混合物、例えばGeneral Electric社の製品SF 1236とCF 1241;
(v)シリコーン樹脂は、好ましくはR2SiO2/2、RSiO3/2およびSiO4/2単位を含有する架橋シロキサン系、ここで、Rは炭素原子1〜6個を有する炭化水素ベースの基またはフェニル基を示す。これらの樹脂の中では、名称Dow Corning 593として販売されている製品を挙げることができる;または
(vi)これらの混合物。
【0020】
これらのシリコーンは、このまま、または有機溶媒中の溶液あるいはエマルジョンまたはマイクロエマルジョンの形の形で使用し得る。
好ましくは、シリコーンは、水性エマルジョンの形である。
用語「水性エマルジョン」は、シリコーンコポリマーがエマルジョンの連続相を形成している水相の粒子または小滴の形で分散している水中油型のエマルジョンを意味することを意図する。
これは、エマルジョンは、通例の乳化系で安定化され得る。
このシリコーンエマルジョンは、10nm〜50μm、好ましくは0.3μm〜20μmの範囲にあるシリコーン小滴または粒径をもち得る。
粒径は、レーザ粒子サイジングによって測定される。
乳化系は、シリコーンエマルジョンに通常用いられる界面活性剤を含む。これらの界面活性剤は、非イオン性、カチオン、アニオンまたは両性の界面活性剤またはこれらの混合物であり得る。
乳化系は、好ましくは、エマルジョンの全質量に対して、0.5質量%〜10質量%を示す。
【0021】
本発明に使用し得る好ましいポリオルガノシロキサンは、特に、分類(i)、特に下位分類(iv)に属する製品である。
好ましい一実施形態において、本発明に使用し得るシリコーンは、上記のシリコーンゴム、より好ましくはポリ[(ジヒドロゲノジメチルシロキサン)/(ジビニルシロキサン)]構造を有するものより選ばれる。
このようなエマルジョンは、特に、Dow Corning社から名称DC2-1997カチオンエマルジョンとして販売されている。このエマルジョンは、約20×106cSt(センチストーク)の動粘度を有するα,ω-ビニルジメチコン/α、ω-ハイドロジェンジメチコンコポリマー、カチオン乳化剤、例えばセチルトリメチルアンモニウムクロライド、ヒドロキシエチルセルロース型安定剤、および水を含む。
【0022】
20 000mm2/s以上の粘度を有するシリコーンは、好ましくは組成物の全質量に対して0.1質量%〜10質量%、より好ましくは組成物の全質量に対して0.5質量%〜5質量%の割合で存在する。
すでに説明したように、本発明の組成物は、また、1つ以上の非シリコーン脂肪物質を含む。本発明で用いられる非シリコーン脂肪物質は、すでに定義した揮発性直鎖アルカンと異なる。
用語「脂肪物質」は、常温(25℃)および大気圧(760mmHg)で水に不溶である、即ち、溶解度が5%未満、好ましくは1%未満、より好ましくは0.1%である有機化合物を意味することを意図する。非シリコーン脂肪物質は、その構造において、炭素原子を少なくとも6個含有し且つシロキサン基を含まない炭化水素ベースの鎖を有する。更に、脂肪物質は、一般的には、同一温度および圧力条件下で有機溶媒、例えば、クロロホルム、エタノール、ベンゼン、流動ワセリンゼリーまたはデカメチルシクロペンタシロキサンに可溶である。
【0023】
好ましくは、非シリコーン脂肪物質は、上で定義した揮発性直鎖アルカンと異なる、C8-C40脂肪アルコール、C8-C40脂肪酸および/またはC8-C40脂肪アルコールのエステル、ワックス、植物油、動物油、鉱物油および合成油より選ばれる。
8-C40脂肪族アルコールは、式R'OH(式中、R'は、炭素原子8〜40個、好ましくは炭素原子8〜30個を含有する直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和基を示す)のアルコールより選ぶことができる。R'は、好ましくはC12-C24アルキル基またはC12-C24アルケニル基を示す。R'は、1つ以上のヒドロキシル基によって置換され得る。
脂肪アルコールは、特に、ラウリルアルコール、ヘキシルデカノール、2-オクチルドデカノール、セチルアルコール、ドデシルアルコール、デシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、リノレイルアルコール、ウンデシレニルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、ミリスチルアルコールおよびエルシルアルコールより選ぶことができる。脂肪アルコールの混合物も用いることができ、脂肪アルコールのいくつかの種類は、混合物の形で市販の製品において同時に存在することができる。脂肪アルコールの混合物として、セチルステアリルアルコールまたはセテアリルアルコールを挙げることができる。
【0024】
より好ましくは、脂肪族アルコールは、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セチルステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキシルデカノール、2-オクチルドデカノール、およびこれらの混合物より選ばれる。
8-C40脂肪酸および/またはC8-C40脂肪アルコールのエステルは、特に、C8-C40脂肪酸および/またはC8-C40脂肪アルコールのモノ-、ジ-またはポリエステルであり得る。これらの中で、好ましくは上で定義されたC8-C40脂肪アルコールおよび/または下で定義されるC8-C40脂肪酸のモノエステルが用いられる。C8-C40脂肪酸は、式RCOOH(式中、Rは、炭素原子7〜39個を含有する直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和基である)の酸より選ぶことができる。好ましくは、Rは、C7-C29アルキルまたはC7-C29アルケニル基、より好ましくはC12-C24アルキルまたはC12-C24アルケニル基である。Rは、1つ以上のヒドロキシル基および/または1つ以上のカルボキシル基によって置換され得る。脂肪酸は、特に、ラウリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、ミリスチン酸およびステアリン酸より選ぶことができる。
【0025】
ワックスは、周囲温度(20°-25℃)の固体である天然物質(動物または植物)または合成物質である。これは、水に不溶、油に可溶性であり、撥水膜を形成することができる。
ワックスの定義に関しては、記載は、例えば、P.D. Dorgan, Drug and Cosmetic Industry, December 1983, pp. 30-33を挙げることができる。
ワックスは、必要により、本発明の組成物に存在してもよく、特に、カルナウバワックス、キャンデリラロウ、エスパルトグラスワックス、パラフィンワックス、オゾケライト、植物ワックス、例えば、オリーブワックス、ライスワックス、水素添加ホホバ油ワックスまたはフラワーのアブソリュートワックス、例えば、クロフサスグリブロッサムのエッセンシャルワックス、動物ワックス、例えばミツロウまたは変性ミツロウ(セラベリナ)より選ぶことができる;本発明に使用し得る他のワックスまたはワックス様出発材料は、特に、マリーンワックス、例えば参照番号M82としてSophim社によって販売されている製品、およびポリエチレンワックスまたはポリオレフィンワックスである。
【0026】
本発明の組成物に使用し得る且つ揮発性直鎖アルカンと異なる油として、例えば:
-動物由来の分枝鎖炭化水素ベースの油、例えばペルヒドロスクアレン;
-植物由来の炭化水素ベースの油、例えば、炭素原子4〜10個を含有する液体脂肪酸トリグリセリド、例えば、ヘプタン酸またはオクタン酸トリグリセリド、あるいは、例えば、ホホバ油、アボカド油、ナタネ油、オリーブ油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、大豆油、マロー油、グレープシード油、ゴマ油、ヘイゼルナッツ油、アンズ油、マカダミア油、アララオイル、ヒマシ油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えば、Stearineries Dubois社から販売されているものまたはDynamit Nobel社から名称Miglyol(登録商標)810、812および818として販売されているもの、ホホバ油およびシアバター油;
-鉱物あるいは合成由来の分枝鎖炭化水素、
例えば、揮発性または不揮発性流動パラフィン、およびその誘導体、ワセリン、水素添加ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標);およびイソパラフィン、例えば、イソヘキサデカンやイソデカン;
【0027】
-部分的炭化水素変性を有するフルオロ油;フッ化油として、BNFL Fluorochemicals社から名称Flutec(登録商標)PC1およびFlutec(登録商標)PC3として販売されている、ペルフルオロメチルシクロペンタンおよびペルフルオロ-1,3ジメチルシクロヘキサンも挙げることができる;ペルフルオロ1,2-ジメチルシクロブタン;ペルフルオロアルカン、例えば、3M社から名称PF 5050(登録商標)およびPF 5060(登録商標)として販売されているドデカフルオロペンタンおよびテトラデカフルオロヘキサン、あるいはAtochem社から名称Foralkyl(登録商標)として販売されているブロモペルフルオロオクチル;ノナフルオロメトキシブタンおよびノナフルオロエトキシイソブタン;ペルフルオロモルホリン誘導体、例えば、3M社から名称PF 5052(登録商標)として販売されている4-トリフルオロメチルペルフルオロモルフィンを挙げることができる。
【0028】
好ましくは、脂肪物質は、オキシアルキル化単位もグリセロール化単位も含まない。
本発明に使用し得る脂肪物質すべての中で、脂肪物質は、好ましくは上述した脂肪アルコールおよび上で定義されたワックスより選ばれる。
揮発性直鎖アルカンと異なる非シリコーン脂肪物質は、組成物の全質量の0.5質量%〜25質量%、好ましくは1質量%〜10質量%を示す。
【0029】
本発明の組成物は、また、1つ以上のカチオンポリマーを含むことができる。
本発明のために、用語「カチオンポリマー」は、カチオン基にイオン化され得るカチオン基を含む任意のポリマーを意味することを意図する。
本発明の化粧料組成物に使用し得るカチオンポリマーは、好ましくは、ポリマー鎖の一部であるかあるいはそれに直接接続される第一、第二、第三および/または第四アミン基を含み、且つ数平均分子量が500〜約5 000 000、好ましくは1000〜3 000 000であるポリマーより選ばれる。
これらのポリマーの中で、より詳しくは以下のカチオンポリマーを挙げることができる:
【0030】
(1) アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミドまたはメタクリルアミドから誘導され、次の式の単位の少なくとも1つを含むホモポリマーまたはコポリマー:
【化1】

(式中、R1およびR2は、同じでも異なってもよく、各々水素原子または炭素原子1〜6個を有するアルキル基を示し;
3は、水素原子またはCH3基を示し;
記号Aは、同じかまたは異なり、炭素原子1〜6個を含有する直鎖または分枝鎖アルキル基、または炭素原子1〜4個を含有するヒドロキシアルキル基を示し;
4、R5およびR6は、同じかまたは異なり、炭素原子1〜18個を有するアルキル基またはベンジル基を示し;
-は、メトスルフェートアニオンまたはハライド、例えば、クロライドまたはブロマイドを示す)。
【0031】
ファミリー(1)のコポリマーは、更に、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、低級(C1-4)アルキル基、アクリル酸またはメタアクリル酸またはこれらのエステルから誘導される基によって窒素原子に置換されたアクリルアミドおよびメタクリルアミドのファミリー、ビニルラクタム、例えば、ビニルピロリドンまたはビニルカプロラクタム、またはビニルエステルより選ばれ得るコモノマーから誘導する1つ以上の単位を含むことができる。
【0032】
従って、ファミリー(1)のこれらのコポリマーの中では、以下を挙げることができる:
-アクリルアミドとジメチルスルフェートまたはメチルハライドで四級化されるジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー、例えば、Hercules社から名称Hercofloc(登録商標)によって販売されている製品、
-アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドのコポリマー、例えば、特許出願EP A 080 976に記載され、Ciba Geigy社から名称Bina Quat P 100として販売されている、
-アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェートのコポリマー、例えば、Hercules社から名称Retenとして販売されている製品、
-四級化された又は四級化されていないビニルピロリドン/ジアルキルアミノアルキルアクリレートまたはメタクリレート。例えば、ISP社から商品名Gafquat(登録商標)として、例えば、Gafquat(登録商標)734又はGafquat(登録商標)755販売されている製品、あるいはCopolymer(登録商標)845、958及び937として知られている製品。これらのポリマーは、フランス特許第2 077 143号および同第2 393 573号に詳述されている、
-ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドンターポリマー、例えば、ISP社から名称Gaffix(登録商標)VC 713として販売されている製品、及び
-四級化ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドコポリマー、例えば、特にISP社から名称Gafquat(登録商標)HS 100として販売されている製品;
【0033】
-メタクリロイルオキシ(C1-C4)アルキルトリ(C1-C4)アルキルアンモニウム塩の架橋ポリマー、例えば、メチルクロライドによって四級化されるジメチルアミノエチルメタクリレートの単独重合またはアクリルアミドとメチルクロライドによって四級化されるジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合によって得られるポリマー、単独重合または共重合は、続いて、オレフィン系不飽和化合物、特にメチレンビスアクリルアミドによって架橋される。より詳しくは、架橋アクリルアミド/メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドコポリマー(20/80質量比)を鉱油中50質量%の前記コポリマーを含有する分散液として使用することができる。この分散液は、Ciba社から名称Salcare(登録商標)SC 92として販売されている。鉱油中又は液体エステル中約50質量%のホモポリマーを含有する架橋メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドホモポリマーも使用することができる。これらの分散液は、Ciba社から名称Salcare(登録商標)SC 95およびSalcare(登録商標)SC 96として販売されている;
【0034】
(2) カチオン性多糖類、特に以下より選ばれるもの:
a)フランス特許第1 492 597号に記載される四級アンモニウム基を含むセルロースエーテル誘導体。これらのポリマーは、また、トリメチルアンモニウム基によって置換されたエポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースの四級アンモニウムとしてCTFA辞書に定義されている;
b)水溶性四級アンモニウムモノマーでグラフトされ、特に米国特許第4 131 576号に記載されているセルロース誘導体、例えば、ヒドロキシアルキルセルロース、例えば、特に、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムまたはジメチルジアリルアンモニウム塩でグラフトされた、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロース。
【0035】
この定義に対応する市販の製品は、より詳しくは、National Starchから名称Celquat(登録商標)L 200およびCelquat(登録商標)H 100として販売されている製品である;
c)米国特許第3 589 578号および同第4 031 307号に記載されているカチオン多糖類、例えば、トリアルキルアンモニウムカチオン基を含むグアーガム。このような製品は、特に、Meyhall社から商品名Jaguar C13 S、Jaguar C15、Jaguar C17として販売されている;
【0036】
(3)ビニルピロリドンとビニルイミダゾールの四級コポリマー;
(4)キトサンまたはその塩;使用し得る塩は、特に、キトサン酢酸塩、乳酸塩、グルタミン酸塩、グルコン酸塩またはピロリドンカルボン酸塩である。
これらの化合物の中で、Aber Technologies社から名称Kytan Brut Standardとして販売されている脱アセチル化度が90.5質量%であるキトサン、およびAmerchol社から名称Kytamer(登録商標)PCとして販売されているキトサンピロリドンカルボン酸塩を挙げることができる。
本発明の組成物に存在することができるカチオンポリマーすべての中で、カチオンポリマーは、好ましくは、メタクリロイルオキシ(C1-C4)アルキルトリ(C1-C4)アルキルアンモニウム塩、およびカチオン多糖類の架橋ポリマーより選ばれる。
組成物が少なくとも1つのカチオンポリマーを含む場合、このまたはこれらのポリマーは、組成物の全質量に対して、好ましくは0.01質量%〜10質量%の濃度で存在する。
【0037】
本発明の組成物は、また、アニオン、カチオン、非イオン性または両性の界面活性剤より選ばれる1つ以上の界面活性剤を含むことができる。
好ましくは、界面活性剤は、カチオンである。
用語「カチオン界面活性剤」は、これが本発明の組成物に含有される場合、正に荷電する界面活性剤を意味することを意図する。この界面活性剤は、永続的に正である1つ以上の電荷をもちあるいは本発明の組成物にカチオン化できる1つ以上の官能基を含有する。化粧料組成物に使用し得るカチオン界面活性剤の一例として、特に、必要によりポリオキシアルキレン化されていてもよい、第一、第二または第三脂肪アミン、またはその塩、四級アンモニウム塩、およびこれらの混合物を挙げることができる。
脂肪アミンは、一般的には、少なくとも1つのC8-C30炭化水素ベースの鎖を含む。本発明に使用し得る脂肪アミンの中で、例えば、ステアリルアミドプロピルジメチルアミンを挙げることができる。
脂肪アミンは、一般に少なくとも一つのC8-C30炭化水素ベースの鎖を含む。本発明に従って使用し得る脂肪アミンの中で、例えば、ステアリルアミドプロピルジメチルアミンおよびジステアリルアミンを挙げることができる。
【0038】
四級アンモニウム塩として、特に、例えば、以下を挙げることができる:
-以下の一般式(I)を有するもの:
【化2】

(式中、基R8〜R11は、同じでも異なってもよく、炭素原子1〜30個を含有する直鎖または分枝鎖脂肪族基、または芳香族基、例えば、アリール基またはアルキルアリール基を示し、基R8〜R11の少なくとも1つは、炭素原子8〜30個、好ましくは炭素原子12〜24個を含有する)。
脂肪族基は、ヘテロ原子、例えば、特に、酸素、窒素、硫黄、ハロゲンを含むことができる。
脂肪族基は、例えば、炭素原子約1〜30個を含有する、アルキル基、アルコキシ基、ポリオキシ(C2-C6)アルキレン基、アルキルアミド基、(C12-C22)アルキルアミド(C2-C6)アルキル基、(C12-C22)アルキルアセテート基およびヒドロキシアルキル基より選ばれる;X−は、ハライド、ホスフェート、アセテート、ラクテート、(C2-C6)アルキルスルフェート、アルキルスルホネートまたはアルキルアリールスルホネートの基より選ばれるアニオンである;
【0039】
-イミダゾリンの四級アンモニウム塩、例えば、以下の式(II)のもの:
【化3】

(式中、R12は、炭素原子8〜30個、例えば獣脂の脂肪酸誘導体を含有するアルケニル基またはアルキル基を示し、R13は、水素原子、C1-C4アルキル基、または炭素原子8〜30個を含有するアルケニル基またはアルキル基を示し、R14は、C1-C4アルキル基を示し、R15は、水素原子またはC1-C4アルキル基を示し、X-は、ハライド基、ホスフェート基、アセテート基、ラクテート基、アルキルスルフェート基、アルキルスルホネート基またはアルキルアリールスルホネート基より選ばれるアニオンである)。
好ましくは、R12およびR13は、炭素原子12〜21個を含有するアルケニル基またはアルキル基の混合物、例えば獣脂の脂肪酸誘導体を示し、R14は、メチル基を示し、R15は、水素原子を示す。このような製品は、例えば、Rewo社から名称Rewoquat(登録商標)W 75として販売されている;
【0040】
-式(III)の四級二アンモニウム塩:
【化4】

(式中、R16は、炭素原子約16〜30個を含有する脂肪族基を示し、R17、R18、R19、R20およびR21は、同じであっても異なってもよく、水素または炭素原子1〜4個を含有するアルキル基より選ばれ、X-は、ハロゲン基、アセテート基、ホスフェート、ニトレート基およびメチルスルフェート基より選ばれるアニオンである)。
特に、このような四級二アンモニウム塩は、プロパンタロウアンモニウムジクロライドを含む;
【0041】
-少なくとも1つのエステル官能基を含有する四級アンモニウム塩、例えば、以下の式(IV)のもの:
【化5】

(式中、R22は、C1-C6アルキル基およびC1-C6ヒドロキシアルキル基またはジヒドロキシアルキル基より選ばれ;
23は:
-基
【化6】

-直鎖または分枝鎖、飽和されたまたは不飽和C1-C22炭化水素ベースの基R27
-水素原子
より選ばれ、
25は:
-基
【化7】

-直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和C1-C6炭化水素ベースの基R29
-水素原子
より選ばれ、
24、R26およびR28は、同じであっても異なってもよく、直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和C7-C21炭化水素ベースの基より選ばれ;
r、sおよびtは、同じであっても異なってもよく、2〜6の整数であり;
yは、1〜10の整数であり;
xおよびzは、同じでも異なってもよく、0〜10の整数であり;
-は、単純なまたは複雑な有機アニオンまたは無機アニオンである;
但し、x+y+zの和が1〜15であり、xが0である場合には、R23はR27を示し、zが0である場合には、R25はR29を示す)。
【0042】
アルキル基R22は、直鎖または分枝鎖、より詳しくは直鎖であり得る。
好ましくは、R22は、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基またはジヒドロキシプロピル基、より詳しくはメチル基またはエチル基を示す。
有利には、x+y+zの和は、1〜10である。
23が炭化水素ベースの基R27である場合、それは、長くてもよく、炭素原子12〜24個を含有し、または短くてもよく、炭素原子1〜3個を含有する。
25が炭化水素ベースの基R29である場合、それは、好ましくは炭素原子1〜3個を含有する。
有利には、R24、R26およびR28は、同じでも異なってもよく、直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和C11-C21炭化水素ベースの基、より詳しくは直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和C11-C21アルキル基およびアルケニル基より選ばれる。
【0043】
好ましくは、xおよびzは、同じでも異なってもよく、0または1である。
有利には、yは、1である。
好ましくは、r、sおよびtは、同じでも異なってもよく、2または3であり、より詳しくは2である。
アニオンX-は、好ましくはハライド(クロライド、ブロマイドまたはヨーダイド)またはアルキルスルフェート、より詳しくはメチルスルフェートである。
しかしながら、メタンスルホネート、ホスフェート、ニトレート、トシレート、有機酸から誘導されるアニオン、例えば、アセテートまたはラクテート、またはエステル官能基を含有するアンモニウムと適合できる他のいかなるアニオンも用いることができる。
アニオンX-は、より詳しくはクロライドまたはメチルスルフェートである。
【0044】
より詳しくは、本発明の組成物において、式(IV)のアンモニウム塩が使用される、ここで:
-R22は、メチル基またはエチル基を示し;
-xおよびyは、1であり;
-zは、0または1であり;
-r、sおよびtは、2であり;
-R23は:
-基
【化8】

-メチル基、エチル基またはC14-C22炭化水素ベースの基、
-水素原子
より選ばれ;
-R25は:
-基
【化9】

-水素原子
より選ばれ;
-R24、R26およびR28は、同じでも異なってもよく、直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和C13-C17炭化水素ベースの基、好ましくは直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和C13-C17アルキル基およびアルケニル基より選ばれる。
有利には、炭化水素ベースの基は、直鎖である。
【0045】
例えば、式(IV)の化合物、例えば、ジアシルオキシエチルジメチルアンモニウム塩、ジアシルオキシエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウム塩、モノアシルオキシエチルジヒドロキシエチルメチルアンモニウム塩、トリアシルオキシエチルメチルアンモニウム塩およびモノアシルオキシエチルヒドロキシエチルジメチルアンモニウム塩(特に塩化物またはメチル硫酸塩)、およびこれらの混合物を挙げることができる。アシル基は、好ましくは、炭素原子14〜18個を含有し、より詳しくは、植物油、例えば、パーム油またはヒマワリ油から得られる。化合物がいくつかのアシル基を含有する場合、これらの基は同じであっても異なってもよい。
【0046】
これらの製品は、例えば、必要によりオキシアルキル化されていてもよい、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アルキルジエタノールアミンまたはアルキルジイソプロパノールアミンの、脂肪酸または植物または動物由来の脂肪酸の混合物による直接エステル化によって、またはそのメチルエステルのエステル交換反応によって得られる。このエステル化に続いて、アルキル化剤、例えばアルキルハライド(好ましくはメチルハライドまたはエチルハライド)、ジアルキルスルフェート(好ましくは、ジメチルスルフェートまたはジエチルスルフェート)、メチルメタンスルホネート、メチルパラトルエンスルホネート、およびグリコールクロロヒドリンまたはグリセロールクロルヒドリンを用いて四級化される。
【0047】
このような化合物は、例えば、Henkel社から名称Dehyquart(登録商標)、Stepan社からStepanquat(登録商標)、CECA社からNoxamium(登録商標)、Rewo-Witco社からRewoquat(登録商標)WE 18として販売されている。
本発明の組成物は、好ましくは、ジエステル塩の大部分の質量については、四級アンモニウムモノ-、ジ-およびトリエステル塩の混合物を含有する。
アンモニウム塩の混合物として、例えば、15質量%〜30重量%のアシルオキシエチルジヒドロキシエチルメチルアンモニウムメチルスルフェート、45%〜60%のジアシルオキシエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウムメチルスルフェートおよび15%〜30%のトリアシルオキシエチルメチルアンモニウムメチルスルフェートを含有する混合物を使用することができ、アシル基は炭素原子14〜18個を含有し、必要により、部分的に水素添加されていてもよい、パーム油から得られる。
特許US-A-4874554およびUS-A-4137180に記載される少なくとも1つのエステル官能基を含有するアンモニウム塩を用いることも可能である。
【0048】
式(I)の四級アンモニウム塩の中で好ましくは用いられるものは、一方では、テトラアルキルアンモニウムクロライド、例えば、アルキル基が炭素原子約12〜22個を含有するジアルキルジメチルアンモニウムクロライドまたはアルキルトリメチルアンモニウムクロライド、特にべヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、またはベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド、あるいはもう一方では、ジステアロイルエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウムメトスルフェート、ジパルミトイルエチルヒドロキシエチルアンモニウムメトスルフェートまたはジセチルアロイルエチルヒドロキシエチルアンモニウムメトスルフェート、あるいは、最後に、Van Dyk社から名称Ceraphyl(登録商標)70として販売されているパルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドまたはステアラミドプロピルジメチル(ミリスチルアセテート)アンモニウムクロライドである。
【0049】
本発明の組成物に存在し得るすべてのカチオン界面活性剤の中で、カチオン界面活性剤は、好ましくは、セチルトリメチルアンモニウム(INCI:セトリモニウム-)、ベヘニルトリメチルアンモニウム(INCI:ベヘントリモニウム-)、ジパルミトイルエチルヒドロキシエチルアンモニウム、ジステアロイルエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウム、メチル(C9-C19)アルキル(C10-C20)アルキルアミドエチルイミダゾリウムおよびステアラミドプロピルジメチルアミン塩(クロライドまたはメトスルフェート)、およびステアラミドプロピルジメチルアンモニウム塩、およびこれらの混合物より選ばれる。
組成物が少なくとも1つのカチオン界面活性剤を含む場合、このまたはこれらの界面活性剤は、組成物の全質量に対して、好ましくは0.1質量%〜10質量%の濃度で存在する。
【0050】
本発明の組成物は、水性媒体を含む。
水性媒体は、水または水と少なくとも1つの化粧料的に許容され得る溶媒、好ましくは、C1-C4低級アルコール、例えば、エタノール、イソプロパノール、tert-ブタノールまたはn-ブタノール;ポリオール、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール;およびこれらの混合物より選ばれるものの混合物から構成される。媒体が少なくとも一つの溶媒を含む場合、それは主に水、即ち、水性媒体の全質量に対して少なくとも50重量%の水を含む。
本発明の組成物は、また、上で定義された化合物と異なる、当該技術において周知である1つ以上の慣用の添加剤を含むことができる。本発明に従って使用し得る添加剤の例として、イオン性あるいは非イオン性の会合性あるいは非会合性ポリマー、スクリーン、シラン、20 000mm2/sの粘度を有するシリコーン、ポリオール、タンパク質、ビタミン、還元剤、可塑剤、軟化剤、消泡剤、保湿剤、顔料、クレー、無機充填剤、UVスクリーニング剤、無機コロイド、素練促進剤、可溶化剤、芳香剤、防腐剤、真珠光沢物質、噴射剤、無機増粘剤、有機増粘剤を挙げることができる;これらの添加剤は上で定義された化合物と異なる。
【0051】
当業者は、本発明の組成物の特性を損なわないように、選択できる添加剤およびその量を選ぶために注意する。
添加剤は、一般的には、組成物の全質量に対して、0〜20質量%の範囲にある量で本発明の組成物中に存在する。
本発明の組成物は、リンスアウトあるいはリーブインケア組成物の形で提供され、これらは多少粘稠なローション、クリーム、ゲルまたはエマルジョンの形で提供され得る。
本発明の他の内容は、ケラチン物質のコスメティックトリートメント、好ましくはケラチン繊維、例えば毛髪における上記化粧料組成物の使用である。
本発明は、また、ケラチン物質、好ましくはケラチン繊維、例えば毛髪のコスメティックトリートメントのための方法であって、前記物質に上記化粧料組成物の有効量を適用する段階、および必要により、選択できる洗い流さない時間の後に洗い流してもよい段階からなる、前記方法に関する。
本発明の組成物がローションあるいはクリームの形で適用される場合、必要により、約0.5分〜5分間の毛髪になじませてもよく、次に、必要により、水によるすすぎが行われてもよい。
【0052】
以下の実施例は、本発明の例示として示されるものである。
以下の実施例において、特にことわらない限り、量はすべて、組成物の全質量に対して、このままの製品の質量パーセントとして示される。
【実施例】
【0053】
以下のリンスアウトケア組成物A、BおよびCを、以下表に示される成分から調製した。

本発明の組成物A、BおよびCは、すすぎの間および乾いた毛髪で毛髪繊維をなめらかにする点で良好な特性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性媒体において:
-0.1質量%〜20質量%の1つ以上の揮発性直鎖アルカン、
-0.5質量%〜25質量%の25℃において20 000mm2/s以上の粘度を有する1つ以上のシリコーン、
-揮発性直鎖アルカンと異なる1つ以上の非シリコーン脂肪物質、
を含み、前記非シリコーン脂肪物質の量と前記シリコーンの量との質量比が5以下である、化粧料組成物。
【請求項2】
揮発性直鎖アルカンが、炭素原子7〜15個を含有する直鎖アルカンであることを特徴とする、請求項1記載の化粧料組成物。
【請求項3】
揮発性直鎖アルカンが、n-ノナン、n-ウンデカン、n-ドデカン、n-トリデカン、およびn-テトラデカン、およびこれらの混合物より選ばれる、請求項1または2に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
揮発性直鎖アルカンが、組成物の全質量に対して1質量%〜20質量%の含量で存在することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
シリコーンが:
-ポリアルキルシロキサン、
-ポリアリールシロキサン、
-ポリアルキルアリールシロキサン、
およびこれらの混合物
のシリコーンゴムより選ばれることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項6】
シリコーンゴムが、以下の構造:
-ポリジメチルシロキサン、
-ポリ[(ジメチルシロキサン)/(メチルビニルシロキサン)]
-ポリ[(ジメチルシロキサン)/(ビニルヒドロゲノシロキサン)]、
-ポリ[(ジヒドロゲノジメチルシロキサン)/(ジビニルシロキサン)]、
-ポリ[(ジメチルシロキサン)/(ジフェニルシロキサン)]、
-ポリ[(ジメチルシロキサン)/(フェニルメチルシロキサン)]、
-ポリ[(ジメチルシロキサン)/(ジフェニルシロキサン)/(メチルビニルシロキサン)];
およびこれらの混合物
の1つを有するゴムより選ばれることを特徴とする、請求項5に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
シリコーンが、組成物の全質量に対して0.1質量%〜10質量%の含量で存在する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
揮発性直鎖アルカンと異なる非シリコーン脂肪物質が、式R'OH(式中、R'は、炭素原子8〜40個を含有する直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和基を示す)のC8-C40脂肪アルコール、C7-C39脂肪酸および/またはC8-C40脂肪アルコールのエステル、ワックス、植物油、動物油、鉱油、および合成油より選ばれることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
揮発性直鎖アルカンと異なる脂肪物質が、組成物の全質量に対して0.5質量%〜25質量%の含量で存在することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項10】
ケラチン材料、好ましくはケラチン繊維、より好ましくは毛髪のコスメティックトリートメントのための方法であって、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化粧料組成物を適用することを含む、前記方法。

【公開番号】特開2011−132236(P2011−132236A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−294800(P2010−294800)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】