説明

少なくとも1つの有機化合物を分離するための方法

少なくとも1つの有機化合物を前記有機化合物を含有する基質から分離するための方法であって、大気中の沸点が25℃以上の少なくとも1つのフルオロ化合物を含む抽出媒体で基質を処理して、有機化合物とフルオロ化合物を含む画分を形成することを含む、前記方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの有機化合物を分離するための方法に関する。
医薬品又は化粧品の調製中に、天然由来の有機化合物又は有機化合物の組成物が、例えば、有効成分としてしばしば使われる。一般的には、天然原料は、基質中に低濃度で所望の有機化合物を含有する。
その結果として、基質から有機化合物又は有機化合物の組成物を分離することが必要である。
特許出願の国際出願第00/64555号には、ペンタフルオロプロパンを含有する溶媒により原料から有効成分を抽出することが記載されている。この溶媒と有効成分を含有する部分の処理は難しく、抽出選択性は必ずしも十分でない。
本発明は、これらの問題を克服することを目的とする。
本発明は、その結果として、少なくとも1つの有機化合物を前記有機化合物を含有する基質から分離するための方法であって、大気中の沸点が25℃以上の少なくとも1つのフルオロ化合物を含む抽出媒体で基質を処理して、有機化合物とフルオロ化合物を含む画分を形成することを含む、前記方法に関する。
驚くべきことに、本発明の方法が、基質、特に天然由来の基質から所望の有機化合物を効率的且つ選択的に分離することを可能にすることがわかった。有機化合物は、本質的に化学修飾を受けずに回収することができる。本発明の方法は、簡単に行うことができる。
【0002】
本発明の方法において、フルオロ化合物の沸点は、101.3kPaで約25℃以上である。沸点が101.3kPaで約30℃以上のフルオロ化合物で良好な結果が得られる。一好適変形例においては、フルオロ化合物の沸点は、101.3kPaで約35℃以上である。沸点が101.3kPaで約40℃以上のフルオロ化合物が特に最も好ましい。フルオロ化合物の沸点は、一般的には101.3kPaで約200℃以下である。沸点が101.3kPaで約100℃以下のフルオロ化合物で良好な結果が得られる。一好適変形例においては、フルオロ化合物の沸点は101.3kPaで80℃以下である。
本発明の方法において、フルオロ化合物のカウリ-ブタノール値(ASTM D1133-02)は、一般的には約0以上である。カウリ-ブタノール値が約5以上のフルオロ化合物で良好な結果が得られる。一好適変形例においては、フルオロ化合物のカウリ-ブタノール値は、約9以上である。フルオロ化合物のカウリ-ブタノール値は、一般的には約50の以下である。カウリ-ブタノール値が約30以下のフルオロ化合物で良好な結果が得られる。一好適変形例においては、フルオロ化合物のカウリ-ブタノール値は、20以下である。
【0003】
本発明の方法において、フルオロ化合物はしばしばハロゲンとしてフッ素のみを含有する。好ましくはフルオロエーテル、ヒドロフルオロアルカン及びペルフルオロアルカンより選ばれる。
本発明の方法に用いることができるヒドロフルオロカーボン(HFC)やペルフルオロカーボンは直鎖、分枝鎖又は環状であってもよく、一般的には炭素原子4、5、6、7、8、9又は10個を有する。
ヒドロフルオロアルカンの典型例は、ヒドロフルオロブタン及びヒドロフルオロペンタンより選ばれる。このようなヒドロフルオロアルカンの個々の例は、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)及び1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロペンタン(HFC-43-10mee)である。1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンが特に最も好ましい。
ペルフルオロカーボンの中で、炭素原子を少なくとも5個含むものが特に適している。ペルフルオロペンタンやペルフルオロヘキサンが好ましい。ペルフルオロペンタンやペルフルオロヘキサンは、それぞれペルフルオロペンタンについてはPF5050、ペルフルオロヘキサンについてはPF5060の商品名として、例えば、3Mから販売されている、異性体の技術的な混合物の形でしばしば使われる。ペルフルオロヘキサンが特に好ましい。
【0004】
本発明の方法に用いることができるフルオロエーテルは、直鎖、分枝鎖又は環状であってもよく、一般的には炭素原子3、4、5、6、7、8、9又は10個を有する。フルオロエーテルの中で、炭素原子を少なくとも4個有するものが使用に適している。ペルフルオロブチルメチルエーテルやペルフルオロブチルエチルエーテルが好ましい。ペルフルオロブチルメチルエーテルが特に好ましい。
一変形例においては、フルオロエーテルはペルフルオロポリエーテルである。本発明のための“ペルフルオロポリエーテル”という用語は、本質的に炭素、フッ素、酸素原子からなり、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのエーテル結合C-O-C、又はこの定義に対応するいくつかの化合物の混合物を含む、化合物を意味するものである。しばしば、ペルフルオロポリエーテルにおける酸素原子は、エーテル結合C-O-Cでのみ存在する。
用いることができるペルフルオロポリエーテルは、例えば、一般式CF3-[(OCF(CF3)-CF2)a-(O-CF2)b]O-CF3 (I)及びCF3-[(OCF2-CF2)c-(O-CF2)d]O-CF3 (II)(式中、a、b、c、dは、独立して0より大きい整数である。)に対応するものである。用いることができるペルフルオロポリエーテルは、例えば、商品名Galden(登録商標)としてSolvay Solexisから販売されているものである。
【0005】
他の変形例においては、フルオロエーテルはヒドロフルオロポリエーテルである。本発明のための“ヒドロフルオロポリエーテル”という用語は、本質的に炭素、フッ素、酸素、水素原子からなり、少なくとも1つのC-H結合を有し、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つのエーテル結合C-O-C、又はこの定義に対応するいくつかの化合物の混合物を含む、化合物を意味するものである。しばしば、ペルフルオロポリエーテルにおける酸素原子は、エーテル結合C-O-Cにのみ存在する。一般的には、ヒドロフルオロポリエーテルは複数のC-H結合を有する。ヒドロフルオロポリエーテルの個々の例としては、少なくとも1つの基-CF2Hを含んでいる。用いることができるヒドロフルオロポリエーテルは、例えば、商品名H-Galden(登録商標)としてSolvay Solexisから販売されているものである。
【0006】
本発明の方法において、抽出媒体は、非フルオロ共溶媒もしばしば含んでいる。
使用に適している非フルオロ有機溶媒の例としては、炭化水素、塩素化炭化水素、アルコール、エステル、ケトン、エーテルが挙げられる。
本発明の方法に用いることができる炭化水素は、直鎖、分枝鎖又は環状であってもよく、一般的には炭素原子3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12個を有する。炭素原子を少なくとも5個有する炭化水素が使用に適している。好ましくは、炭化水素は炭素原子を少なくとも6個有する。アルカン又はアルケンの中で、炭素原子5〜12個を有する化合物が好ましい。ペンタン、ヘキサン、ヘプタン又はオクタンが使用に適切している。n-ヘキサンが特に好ましい。
n-ヘキサンは、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンと共沸又は擬似共沸混合物を形成することができる特性を有し、ある種の適用に利点を示すことができる。共沸又は擬似共沸混合物は、出願人の名義で米国特許第6 303 668号に記載されている。
【0007】
芳香族炭化水素の中では、ベンゼン環に少なくとも1つのアルキル置換基を含むものが好ましい。トルエン、1,2-キシレン、1,3-キシレン、1,4-キシレン又はその混合物が特に最も好ましい。
本発明の方法に用いることができる塩素化炭化水素は、直鎖、分枝鎖又は環状であってもよく、一般的には炭素原子1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個を有する。炭素原子1、2、3又は4個を有する塩素化炭化水素が使用に適している。好ましくは、塩素化炭化水素は炭素原子1又は2個を有する。クロロアルカンの中で、ジクロロメタン、トリクロロメタン、1,2-ジクロロエタンが好ましい。クロロアルケンの中で、ペルクロルエチレン、1,2-ジクロロエチレンが好ましい。trans-1,2-ジクロロエチレンが特に最も好ましい。
1,2-ジクロロエタンは、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンと共沸又は擬似共沸混合物を形成する特性を有し、ある種の適用に利点を示すことができる。共沸又は擬似共沸混合物、アルコールも含む三元共沸又は擬似共沸混合物が、出願人の名義で米国特許第5 478 492号に記載されている。
【0008】
本発明の方法に用いることができるアルコールは、直鎖、分枝鎖又は環状であってもよく、一般的には炭素原子1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個を有する。炭素原子1、2、3、4又は5個を有するアルコールが使用に適している。好ましくは、アルコールは、炭素原子1、2、3又は4個を有する。アルカノールの中で、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノールが好ましい。メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノールが良好な結果を示す。イソブタノールが特に最も好ましい。
メタノールは1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンと共沸又は擬似共沸混合物を形成する特性を有し、ある種の適用に利点を示すことができる。共沸又は擬似共沸混合物は、93%〜99質量%の1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンと1%〜7%のメタノールを含有する。真共沸混合物は、約96.2質量%の1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンと約3.8質量%のメタノールを含有する。
エタノールは1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンと共沸又は擬似共沸混合物を形成する特性を有し、ある種の適用に利点を示すことができる。共沸又は擬似共沸混合物は、出願人の名義で米国特許第5 445 757号に記載されている。
【0009】
本発明の方法に用いることができるエステルは、直鎖、分枝鎖又は環状であってもよく、一般的には炭素原子2、3、4、5、6、7、8、9又は10個を有する。炭素原子4、5、6、7、8又は9個を有するエステルが使用に適している。好ましくは、エステルは、炭素原子を少なくとも2個有するカルボン酸の誘導体である。好ましくは、エステルは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール及びtert-ブタノールからなる群より選ばれたアルカノールの誘導体である。酢酸エチル、酪酸エチル、カプロン酸エチルが使用に適している。
【0010】
本発明の方法に用いることができるケトンは、直鎖、分枝鎖又は環状であってもよく、一般的には炭素原子3、4、5、6、7、8、9又は、10個を有する。炭素原子3、4、5、6、7又は8個を有するケトンが使用に適している。ケトンの中で、アセトン、2-ブタノン、2-又は3‐ペンタノン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノンが好ましい。メチルイソブチルケトンが特に好ましい。
本発明の方法に用いることができるエーテルは、直鎖、分枝鎖又は環状であってもよく、一般的には炭素原子2、3、4、5、6、7、8、9又は10個を有する。炭素原子4、5、6、7、8又は9個を有するエーテルが使用に適している。脂肪族又は脂環式エーテルの中で、ジエチルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサンが好ましい。
適切な場合には、抽出媒体における非フルオロ有機溶媒の含量は、組成物の所望の極性の関数として選ぶことができる。一般的には、この含量は20質量%以下である。好ましくは、10質量%以下である。非フルオロ有機溶媒が存在する場合、その含量は一般的には少なくとも1質量%である。好ましくは、少なくとも2質量%である。
【0011】
抽出媒体の第1具体例は、上述したフルオロ化合物とエタノールを、好ましくは上述した量で含有する。
抽出媒体の第2具体例は、上述したフルオロ化合物とn‐ペンタンを、好ましくは上述した量で含有する。
抽出媒体の第3具体例は、上述したフルオロ化合物とn‐ヘキサンを、好ましくは上述した量で含有する。
抽出媒体の第4具体例は、本質的に1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンからなる。
抽出媒体の第5具体例は、フルオロ化合物、特に1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンと非フルオロ共溶媒を、例えば、上記のように、共沸又は擬似共沸混合物を形成する割合で含んでいる。この具体的な抽出媒体が特に有機化合物の効率的な分離を、例えば、抽出媒体の蒸発によって可能にすることがわかった。抽出媒体は、容易に再循環させることができる。有機化合物は、抽出媒体の残留含量が最少限で又は存在しないでさえも回収することができる。
【0012】
抽出媒体は、任意に界面活性剤を含有する。それ自体周知であり抽出媒体と適合できるあらゆる界面活性剤を用いることができる。界面活性剤は、例えば、固形基質の湿潤性を改善することができる。
本発明の方法において、抽出媒体による処理は、一般的には0℃以上の温度で行われる。しばしば、この温度は20℃以上である。好ましくは、30℃以上である。本発明の方法において、抽出媒体による処理は、一般的には200℃以下の温度で行われる。しばしば、この温度は100℃以下である。好ましくは、80℃以下である。特に好ましくは70℃以下である。
本発明の方法において、抽出媒体による処理は、好ましくは約101.3kPa(1 bar)以上の圧力で行われる。しばしば、圧力は20bar以下である。好ましくは、10bar以下である。
本発明の方法において、有機化合物は、例えば、酸素含有炭化水素、窒素含有炭化水素又は不飽和炭化水素より選ばれてもよい。
【0013】
しばしば、有機化合物は、例えば、テルペン、ステロイド、トリグリセリド、飽和又は不飽和脂肪酸、プロスタグランジン、アルカロイド及びビタミン、また、これらの天然産物の誘導体、特に酸素含有誘導体より選ばれた天然産物である。
挙げることができるテルペンの例としては、モノ、セスキ、ジ、トリ-及びテトラテルペン及びその誘導体、特に酸素含有誘導体、例えば、アルコール又はエステル、特に酢酸エステルが含まれる。
例えば、特にペルフルオロヘキサンにより分離させることができるこのようなテルペンの個々の例は、β-ピネン、リモネン、リナロール、オイゲノール、メントール、チモール及び酢酸リナリルより選ばれる。前記テルペンは、また、特に1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンにより分離させることもできる。
【0014】
本発明の方法は、特にテルペン炭化水素、例えば、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、シメン、カンフェン、サビネン、3‐カレン、テルピネン、リルセン、ミルセン、t‐カリオフィレン、スクアレン及びスクアランの分離に適している。
本発明の方法は、また、酸素含有テルペン炭化水素、例えば、シネオール、カルボン、リナロール、オイゲノール、メントール、チモール、酢酸リナリル、カルバクロール、シトラール、アネトール、テルピネオール、ボルネオール、カンファー、ユーカリプトール、ベルベノン、カリオフィレンオキシド及び酢酸ボルニルの分離に適している。
ステロイドの個々の例は、例えば、任意にアルキル及び/又は酸素含有置換基、また、任意に、二重結合を含むシクロペンタフェナントレン骨格を含む誘導体より選ばれる。挙げることができる個々のステロイドとしては、β-シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、5-アベナステロール、クレロステロール、クロステロール、24-メチレンコレステロール、Δ5,23-スチグマスタジエノール、Δ5,24-スチグマスタジエノール、ブラシカステロール、エストラジオール、エストロゲン及びテストステロンが含まれる。
【0015】
挙げることができる脂肪酸の例としては、炭素原子を少なくとも6個、好ましくは少なくとも8個有する脂肪酸が含まれる。一般的には、脂肪酸は、炭素原子30個以下、好ましくは20個以下を有する。
個々の例は、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸より選ばれる。
【0016】
本発明の方法において、基質はしばしば天然由来である。
この場合、本発明の方法は、例えば、以下の方法で行うことができる。
(a) 天然由来の基質を、例えば、細断又は細砕することにより調製する;
(b) 調製された基質を本発明の方法に従って処理する;
(c) 有機化合物とフルオロ化合物を含む画分の少なくとも一部を回収する;
(d) 回収された部分を、少なくとも1つの精製操作に供する。
精製操作は、例えば、フルオロ化合物の少なくとも一部の蒸発、結晶化又はクロマトグラフィ操作であってもよい。
上記フルオロ化合物、特に1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンが、凝固物を脱ろうするための溶媒、即ち、ワックスを天然エキス、例えば、精油から特に効率的に沈殿させるための溶媒として用いることができることがわかった。
例えば、精油を含有する植物を上記の非フルオロ溶媒、特に炭化水素で抽出することによって、凝固物を得ることができる。脱ろうのために、前もって任意に濃縮された、フッ素化有機化合物が凝固物に添加される。
脱ろう温度は、一般的には30℃以下である。好ましくは、約25℃以下である。脱ろう温度は、一般的には10℃以上である。好ましくは、約0℃以上である。
脱ろうは、2段階、例えば、まず20〜30℃の温度で、次に0〜10℃の温度で行うことができる。
【0017】
第一実施態様においては、天然由来の基質は、植物を処理することによって得られる。基質は、例えば、植物葉、針状葉又は樹皮を含むことができる。
第二実施態様においては、基質は、動物由来の物質を処理することによって得られる。
本発明は、また、本発明の分離方法に従って有機化合物の分離を含む、有機化合物を含有する医薬品又は化粧品を製造するための方法に関する。
本発明の製造方法は、特に好ましくは、有機化合物が医薬品又は化粧品の組成物に含まれる有効成分である場合に適用される。
【0018】
本発明は、またその結果として、医薬品又は化粧品のための賦形剤としての、上記の抽出媒体の使用に関する。
本発明は、また、
(a) 有効成分としての有機化合物
(b)大気中の沸点が25℃以上の少なくとも1つのフルオロ化合物を含む賦形剤
を含む医薬製品に関する。
本発明は、また、
(a)有効成分としての有機化合物
(b)大気中の沸点が25℃以上の少なくとも1つのフルオロ化合物を含む賦形剤
を含む化粧品に関する。
化粧品は、好ましくは芳香剤又はクリームである。化粧品が皮膚と接触して置かれた場合に、フルオロ化合物の存在によりフレッシュな心地よい感覚が生じることがわかった。
【0019】
本発明は、また、前記の有機化合物を含有する基質から少なくとも1つの有機化合物の分析を企図した試料を調製するための方法であって、基質を大気中の沸点が25℃以上の少なくとも1つのフルオロ化合物を含む抽出媒体で処理して、有機化合物とフルオロ化合物を含む一部を形成することを含む、前記方法に関する。
本発明の調製方法において処理すべき好ましい基質は、有機化合物として、微量の植物-防御製品、即ち、殺虫剤を含有する水性部分である。
フルオロ化合物に関する教示と選択、及び適切な場合、本発明の分離方法に関連して上で示された抽出媒体及びその組成物は、上記製造方法、使用、製品及び調製方法と同様にして適用することが理解される。
下記の実施例は本発明を具体的に説明するものであるが、それを制限するものではない。
【0020】
実施例1
細断した新鮮なローズマリーの葉を純粋な1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンによる処理に供した。圧力は大気圧であり、工程は1時間還流で行った。1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンとローズマリーの葉間の質量比は、4.8であった。混合物を保温しながらろ過し、ローズマリーから抽出した化合物を含有する1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの画分を回収し、以下の組成物を有する89.4%のテルペンが含まれた。
【0021】

【0022】
得られた芳香族プロファイルは、ローズマリーの天然精油の組成物に近い。
【0023】
実施例2
細断した新鮮なセレノア・レペン(Serenoa repen)果物を純粋な1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンによる3連続処理に供した。圧力は大気圧であり、工程は各処理に対して30分間還流で行った。1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンと果物間の質量比は、6.3であった。混合物をろ過し、9.38%の抽出した化合物を含有する1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンの一緒になった画分を回収し、以下の組成物を有する0.45%のステロイドが含まれた。








【0024】

【0025】
1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン画分は、以下の組成を有する脂肪酸を含有した。
【0026】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの有機化合物を前記有機化合物を含有する基質から分離するための方法であって、大気中の沸点が25℃以上の少なくとも1つのフルオロ化合物を含む抽出媒体で基質を処理して、有機化合物とフルオロ化合物を含む画分を形成することを含む、前記方法。
【請求項2】
フルオロ化合物がハロゲンとしてフッ素のみを含有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
フルオロ化合物が、フルオロエーテル、ヒドロフルオロアルカン及びペルフルオロアルカンより選ばれる、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
フルオロ化合物の大気中の沸点が30〜80℃である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
フルオロ化合物が、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン、ペルフルオロブチルメチルエーテル、ペルフルオロブチルエチルエーテル、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロペンタン、H‐Galden(登録商標)ヒドロフルオロポリエーテル及びGalden(登録商標)ペルフルオロポリエーテル、ペルフルオロペンタン及びペルフルオロヘキサンより選ばれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
フルオロ化合物が、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
抽出媒体が、非フルオロ共溶媒も含んでいる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
抽出媒体が、共溶媒として炭化水素、ジアルキルエーテル又はアルカノールを含んでいる、請求項7記載の方法。
【請求項9】
抽出媒体が、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンとエタノールの共沸又は擬似共沸組成物を含んでいる、請求項8記載の方法。。
【請求項10】
抽出媒体が、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンとn‐ヘキサンの共沸又は擬似共沸組成物を含んでいる、請求項8記載の方法。
【請求項11】
有機化合物が、酸素含有炭化水素、窒素含有炭化水素及び不飽和炭化水素より選ばれる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
有機化合物が、テルペン、ステロイド、プロスタグランジン、アルカロイド、ビタミン及びその誘導体、特にその酸素含有誘導体より選ばれる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
基質が天然由来である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
基質が、植物を処理することによって得られたものである、請求項13記載の方法。
【請求項15】
基質が、動物由来の物質を処理することによって得られたものである、請求項13記載の方法。
【請求項16】
処理が、20〜200℃の温度で行われる、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
処理が、1〜20barの圧力で行われる、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
有機化合物を含有する医薬品又は化粧品を製造するための方法であって、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法に従って有機化合物を分離することを含む、前記方法。
【請求項19】
医薬品又は化粧品のための賦形剤としての、請求項1〜10のいずれか1項に記載の抽出媒体の使用。
【請求項20】
a) 有効成分としての有機化合物
b) 大気中の沸点が25℃以上の少なくとも1つのフルオロ化合物を含んでいる賦形剤
を含む、医薬品。
【請求項21】
a) 有効成分としての有機化合物
b) 大気中の沸点が25℃以上の少なくとも1つのフルオロ化合物を含んでいる賦形剤
を含む、化粧品。
【請求項22】
少なくとも1つの有機化合物を前記有機化合物を含有する基質から分析することを意図した試料を調製するための方法であって、大気中の沸点が20℃以上の少なくとも1つのフルオロ化合物を含む抽出媒体で基質を処理して、有機化合物とフルオロ化合物を含む画分を形成することを含む、前記方法。
【請求項23】
凝固物を脱ろうするための溶媒としての、大気中の沸点が25℃以上のフルオロ化合物の使用。
【請求項24】
フルオロ化合物が1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンである、請求項20〜23のいずれか1項に記載の使用、製品又は方法。

【公表番号】特表2007−506551(P2007−506551A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530211(P2006−530211)
【出願日】平成16年5月19日(2004.5.19)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050870
【国際公開番号】WO2004/103514
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(591001248)ソルヴェイ (252)
【Fターム(参考)】