説明

少なくとも1つの非末端アルコキシシリル基を有する変性アルコキシル化生成物、および、貯蔵安定性及び伸展性が増した硬化性材料におけるその使用

【課題】ポリイソシアネートとの反応により、ポリウレタンを製造するための出発化合物として、貯蔵寿命等が改善された少なくとも1つの非末端アルコキシシリル基を有するアルコキシル化生成物、ならびにその製造方法およびその使用を提供する。
【解決手段】1つ以上のエポキシ官能性アルコキシシランを、またエポキシド化合物もしくはコモノマーとの混合物で、ブロックまたはランダムで形成されたアルコキシシリル基を有するポリエーテルアルコールのOH基の反応性を低下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例えば、アルコキシシリル基を有し、少なくとも1つのアルコキシシリル基がポリエーテル鎖の非末端にブロック状にまたはランダムに分布しており、ポリエーテル鎖が少なくとも1つの末端OH基を有する、ポリエーテルなどのアルコキシル化生成物は、シーリング材または接着剤配合物中において十分な安定性を有していなければならない。
【0002】
本発明は、大部分が、ヒドロキシル官能基の反応性が低下していることを特徴とする(ポリ)エーテルアルコールまたはポリエーテルブロックを含有する共重合体の形態である、アルコキシシリル基を有する新規なアルコキシル化生成物、ならびにその製造方法およびその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
従来のポリエーテルアルコール(単にポリエーテルと称されることも多く、主にプロピレンオキシドとエチレンオキシドから構成される)は長い間知られており、工業的に多量に製造されている。それらは、特にポリイソシアネートとの反応により、ポリウレタンを製造するための、または界面活性剤を製造するための出発化合物としても使用される。
例えば、DYNASYLAN(登録商標)GLYMOまたはDYNASYLAN(登録商標)GLYEO(Evonik Degussa GmbHの商標)の商標名で入手可能な3−グリシジルオキシ−プロピルトリメトキシ−または−トリエトキシシランなどの有機アルコキシシラン化合物は、硬度、耐引掻性および耐磨耗性、耐熱性、ならびに、耐溶媒性および耐酸性に関して改善された特性をコーティング系に付与するナノコンポジットの製造に重要なプロセスとなるゾルゲル法における有機変性された網目構造の形成に使用されている。さらに、アルコキシシラン化合物は、シーリング材および接着剤に、ならびに、一般に、金属、ガラス、および、繊維強化複合材料用のガラス繊維/ガラスクロスなどの様々な基材用の反応性接着促進剤および下塗剤として、ならびに、例えば、塗料中の顔料および充填剤の表面処理などに様々に使用されている。
【0004】
この重要な種類の生成物の用途をさらに多く開発するために、化学変性によるアルコキシシラン化合物の特性プロファイルを改善するための努力が絶えず行われてきた。例えば、アルコキシル化生成物(ポリエーテル)の特性プロファイルを架橋性化合物、特にアルコキシシリル基を有するものの特性と組み合わせることが、文献から知られている。例えば、欧州特許第0918062号は、特に、例えば、ウレタン化架橋によりイソシアネート基を有するアルコキシシランでポリエーテルアルコールを変性することに関する。さらに、予めオレフィン性不飽和末端基で変性されたポリエーテルオールにアルコキシモノヒドリドシランをヒドロシリル化結合させることも、アルコキシシリル変性に選択される。
特開平9−12863号、特開平9−12861号、および特開平7−62222号の文献は、末端だけに加水分解性トリアルコキシシリル官能基が付与されたポリエーテルオール、例えば、グリセロールポリエーテルオールの製造方法を請求しており、それは、まず、DMC触媒作用により生成され、その後、アルカリアルコラートおよび塩化アリルを添加して対応するアリルエーテルに変換し、その後、白金−金属触媒ヒドロシリル化によりアルコキシシリル末端標的生成物に変換される。
従って、従来技術に記載の方法は全て、末端だけがトリアルコキシシリル基で変性されたポリオキシアルキレン化合物の製造にしか適しておらず、オキシアルキレン単位の配列内もトリアルコキシ官能基でポリエーテル鎖を一変性および/または多変性させることには全く適していない。
【0005】
欧州特許第2093244号により、既知の従来技術とは対照的に、アルコキシシリル基がポリエーテル鎖に沿ってブロック状にまたはランダムに分布しており、かつ、鎖末端以外にも位置することを特徴とするアルコキシシリル基を有するアルコキシル化生成物の製造が初めて可能となった。さらに、これらの化合物は、反応による末端OH基を特徴とする。
化合物の固有の反応性および三次元高分子網目構造を形成する易架橋性は、分子中にOH基および加水分解され易いアルコキシシリル基が存在することによって生じる。しかし、試験から、OH基の反応性が高すぎることも示されている。
得られる配合物は貯蔵安定性が不十分である。それらは、湿気硬化性配合物に通常使用される金属および/またはアミン触媒の存在下では、僅かに高い温度(60℃以下)でも数日以内に架橋する。
【0006】
配合物中の残留湿分が架橋を促進すると思われる場合でさえ、配合物は、加速貯蔵試験で、非常に乾燥した条件でも数日以内に架橋し始めることが分かった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明が直面する問題は、末端以外にもアルコキシシリル基を有するヒドロキシル基末端アルコキシル化生成物のOH基の反応性を低下させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
意外なことに、OH基の反応性を低下させることによって、貯蔵安定性、および、意外なことに、硬化/重合したアルコキシシリル化したアルコキシル化生成物の極限も大幅に改善できることが分かった。
【0009】
問題は、空間充填する(space-filling)ヒドロキシル化官能基をプレポリマーの鎖末端に導入することによって解決される。このようにして変性されたこれらの構造は単独で存在しても、もしくは未変性の構造と混合して存在してもよく、または、異なる性質を有する他の硬化性化合物と一緒に使用されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0010】
従って、本発明は、一般式(I)のアルコキシル化生成物に関する:
【化1】


(式中、
=炭素鎖が酸素原子によって中断されていてもよく、かつ、アルコキシシリル側鎖基を含有する置換基を有してもよく、または、アルコキシシリル基で直接置換されている、アルコキシ基、アリールアルコキシ基またはアルカリールアルコキシ基のタイプの1価〜6価の官能性の飽和または不飽和かつ直鎖または分枝状有機残基であるか、あるいは、ポリオキシアルキレン残基、ポリエーテル残基、ポリエーテルアルコキシ残基、または単縮環もしくは多縮環(singly or multiply annulated)フェノール基に対応するか、あるいは、アルコール、ポリエーテルオール、ポリエステルオール、シロキサン、過フッ素化ポリエーテルオール、(ポリ)ウレタンまたは糖を含む群から選択される一ヒドロキシル化もしくは多ヒドロキシル化または多置換化合物から誘導されてもよく、以下のもの:ポリオール、EO−ポリエーテルオール、PO−ポリエーテルオールまたはEO/PO−ポリエーテルオール、ポリエステルオール、グリセロール、ポリグリセロール、ポリTHF、フェノール、アルキルフェノールおよびアリールフェノール、ビスフェノールA、ノボラック、ヒドロキシカルボン酸、シロキサノール、シロキサンジオール、アルコキシシリル基で変性されたポリエーテルオール、ヒマシ油、リシノール酸、糖、ラクトン、セルロース、メタノール、エタノール、n−、i−プロパノール、n−、i−またはt−ブタノール、2−ブタノール、オクタノール、アリルアルコール、ドデカノール、ステアリルアルコール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジ−、トリ−およびポリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジ−およびポリプロピレングリコール、OH−官能性ポリオレフィン(OH−官能性ポリブタジエンなど)、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブチンジオール、テトラメチルデシンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、セルロース糖(cellulose sugars)、リグニン、もしくは天然物質に基づいたヒドロキシル基を有する他の化合物、または、それ自体アルコキシシリル基を有してもよいし、またはアルコキシシリル基で置換されている置換基を有してもよい他のヒドロキシ化合物が好ましく、
=炭素数1〜8のアルキル基、特に、メチルまたはエチルであり、
=炭素数1〜8のアルキル基、特に、メチル、エチル、プロピル、i−プロピルであり、
=水素基または炭素数1〜8のアルキル基、好ましくは、メチルまたはエチルであり、
=互いに独立して、水素基、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基またはアルカリール基、好ましくは、水素、メチル、エチル、オクチル、デシル、ドデシル、フェニル、ベンジル、特に好ましくは、水素、メチルまたはエチルであり、
11=鎖が酸素によって中断されていてもよく、かつ、カルボキシル基またはエステル基などの他の官能基を有してもよい炭素数1〜8の飽和または不飽和アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアルカリール基、好ましくはメチル基、エチル基、フェニル基もしくはベンジル基であるか、またはアリル基もしくはポリアクリル酸エステルであり、
およびR=互いに独立してRであり、
およびR=互いに独立してRであり、
10=Rであり、但し、
=Hの場合、R10は炭素数2〜8のアルキル基であり、R=メチルの場合、R10は炭素数1〜8のアルキル基であり、いずれの場合も水素ではなく、
a=0〜1000、好ましくは0〜50、特に好ましくは0〜10であるが、但し、Rがアルコキシシリル基を有する置換基を有していない場合またはそれ自体が直接アルコキシシリル基で置換されていない場合、「a」は1以上でなければならず、
b=0〜1000、好ましくは1〜800、特に好ましくは30〜500、特に80〜300であり、
c=互いに独立してbであり、
d=互いに独立してbであり、
但し、指数a、b、cおよびdを有する基は、分子鎖上で自由に交換されてもよく、1つまたは複数存在してもよく、分子鎖上で続けてブロックとして、またはランダムに分布していてもよく、
e=1〜10、好ましくは1〜5であり、
g+f=3であり、gは少なくとも1であり、
h=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。)
【0011】
好ましくは、式(I)のアルコキシル化生成物は、アルコキシル化されたブチレンオキシド−(CO)H(n=1〜100、好ましくは2〜50、特に5〜20)の末端ブロックを有する。
【0012】
このようにして製造された式(I)の化合物の平均分子量Mは、8000〜40000g/mol、好ましくは10000〜20000g/molである。好ましくは、式(I)の化合物は室温で液体である。
【0013】
式(I)の生成物は、単独で使用されても、または、本発明による末端基官能化を行っていないアルコキシル化生成物と一緒に使用されてもよい。混合物を使用する場合、両方の種を含有する組成物中で、式(I)の末端基変性化合物とそれらの未変性の前駆体とのパーセンテージ重量比は、100:0〜10:90、好ましくは95:5〜15:85、特に80:20〜30:70である。
【0014】
指数a、b、cおよびdを有するフラグメントおよび置換基Rの任意選択により存在するポリオキシアルキレン鎖の両方の様々なモノマー単位は、互いにブロックとして構成されていてもよく、あるいはランダムに分布していてもよく、さらに、互いに自由に交換される。得られる分子中のモノマー単位の順序は、計量供給順(meterting)および基になる分子の反応性にもっぱら依存する。
【0015】
従って、本明細書に記載の式中に示されている指数の数値および示されている指数の値の範囲は、存在する実際の構造および/またはその混合物の可能な統計学的分布の平均値であると理解されたい。これは、そのようなものとしてそれ自体正確に示されている構造式、例えば、式(I)にも当てはまる。
【0016】
本発明は、さらに、水または湿分の作用で硬化し得る材料(compounds)の構成成分としての配合物の形態の硬化性組成物に関し、該組成物は、本発明による生成物の少なくとも1つを単独でまたは任意選択により同じ他の硬化性物質と混合して含有する。
配合物は、溶液、乳濁液、分散体または懸濁液の形態であってもよい。さらに、例えば、水性乳濁液または懸濁液中に、部分加水分解物があってもよく、したがって、式(I)の化合物に由来する架橋が開始された部分重合した種があってもよい。懸濁液または乳濁液中のこれらの部分加水分解物は、例えば建築物の保存時における、平坦基材の疎水化に適している。
【0017】
さらに、欧州特許第2093244号に記載の生成物は、本明細書に示される構造との任意の混合物として使用されてもよく、前記混合物中における本発明の構造の割合は、有利には、少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも50重量%である。このようにして得ることができる配合物は、さらに、希釈剤(diluents)、触媒、可塑剤、充填剤、溶媒、接着促進剤、流動性を調整するための添加剤、いわゆるレオロジー添加剤、化学的乾燥用添加剤、および/または、熱ストレスおよび/または化学的ストレスおよび/または紫外線および可視光線によるストレスに対する安定化剤、チキソトロープ剤、難燃剤、発泡剤または消泡剤、脱泡剤(deaerator)、膜形成ポリマー、抗微生物剤および防腐剤、抗酸化剤、着色剤、染料および顔料、不凍剤、殺真菌剤、反応性希釈剤(reactive thinners)、キレート化剤、湿潤剤、共架橋剤(co-crosslinking agents)、噴霧助剤、ビタミン、成長促進物質、ホルモン、薬理活性物質、臭気剤、ラジカルインターセプター、および/または他の添加剤を含有してもよい。
【0018】
エポキシ官能基を有するアルコキシシランを、有利には既知の二重金属シアン化物触媒の存在下で選択的にアルコキシル化できることが欧州特許第2093244号に記載されている。そこで請求されている方法により、末端だけでなくオキシアルキレン単位の配列内でも、ポリオキシアルキレン化合物の再現性のある一または多アルコキシシリル基変性の可能性がもたらされる。従って、欧州特許第2093244号の段落[0007]〜[00043]の開示内容全体を本明細書の構成部分と見なすことができる。
しかし、そこに記載されているアルコキシシリル化生成物の欠点は、硬化性材料に使用されるとき、貯蔵安定性が低いことである。
式(I)を有する本明細書に記載の構造物によって、不十分な貯蔵安定性の問題が解決される。
【0019】
好ましくは、本発明の生成物は、二重金属シアン化物触媒(DMC触媒)を使用してアルコキシル化法により得ることができる。これらの触媒は、1960年代から、その製造およびアルコキシル化触媒としての使用が知られており、例えば、米国特許第3,427,256号、米国特許第3,427,334号、米国特許第3,427,335号、米国特許第3,278,457号、米国特許第3,278,458号、または米国特許第3,278,459号に記載されている。さらに後年に開発され、例えば、米国特許第5,470,813号および米国特許第5,482,908号に記載されている、より有効なタイプのDMC触媒には、特殊な亜鉛−コバルト−ヘキサシアノ錯体が含まれる。活性が非常に高いため、ポリエーテルオールの製造に要する触媒濃度が低くて済み、そのため、アルコキシル化法の終わりに、従来のアルカリ触媒には必要な最終段階(触媒の中和、沈殿、およびろ過からなる)なしで済ますことが可能である。例えば、プロピレンオキシドをベースにしたポリエーテルは不飽和副生成物を非常に少ない割合でしか含有しないが、これはDMC触媒アルコキシル化の高い選択性によるものと考えることができる。
例えば、欧州特許出願公開第A1−1017738号、米国特許第5,777,177号、欧州特許出願公開第A1−0981407号、国際公開第2006/002807号、および欧州特許出願公開第A1−1474464号を参照することもできる。
【0020】
従って、本発明の別の対象は、ヒドロキシル基を有する出発化合物R−HからDMC触媒を使用して式(I)のアルコキシシリル基を有するアルコキシル化生成物を製造する方法であり、アルコキシル化反応において、まず、任意選択により、アルキレンオキシド、エポキシ官能性アルコキシシラン、グリシジル化合物および/またはラクトンを任意の順番で付加し、最終アルコキシル化工程において、式(Ia)のエポキシドの少なくとも1つのモノマー単位を
【化2】


(式中、
およびR=水素基または炭素数1〜8のアルキル基、好ましくは、メチルまたはエチルであり、
10=水素基または炭素数1〜8のアルキル基、好ましくは、メチルまたはエチルであり、
但し、R=Hの場合、R10は炭素数2〜8のアルキルであり、R=メチルの場合、R10は炭素数2〜8のアルキルであり、いずれの場合も水素ではない)
ポリマー鎖のOH官能基に付加させる。
【0021】
好ましくは、少なくとも1つの置換エポキシドは、単独で、または、置換基R、RまたはR10として炭素数2〜30の直鎖または分枝状アルキル基を有する同じ構造を有する他のエポキシドとの任意の混合物として使用される。
特に好ましくは、最後のアルコキシル化工程でブチレンオキシドまたはイソブチレンオキシドを使用する。
このようにして製造されるプレポリマーの、好ましくは重合して分子になったブチレンオキシドからなる、得られる比較的長鎖の末端ブロックは、おそらく、これらの分子の末端OH官能基の立体障害(steric shielding)に寄与している。
【0022】
使用されるエポキシ官能性アルコキシシランおよび使用される他の任意のモノマーに応じて、変性されたアルコキシル化生成物(I)、ならびに、任意に構成された混合物を製造することができる。
単独で、または互いに混合して、または本発明の範囲に入るエポキシ化合物と組み合わせて使用することができる、エポキシ基で置換されたアルコキシシランの非網羅的な列挙には、例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリプロポキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、ビス(3−グリシジルオキシプロピル)ジメトキシシラン、ビス(3−グリシジルオキシプロピル)ジエトキシシラン、3−グリシジルオキシヘキシルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシヘキシルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルエチルジエトキシシランが含まれる。
式(I)の残基R1を供給する化合物は、本発明の範囲内では、製造されるアルコキシル化生成物の始まり(出発)となる物質であり、これはエポキシ官能性モノマー、コモノマーおよび場合によっては他のコモノマーを本発明に従って付加することによって得られるものと理解されたい。本発明の方法に使用される出発化合物は、好ましくは、アルコール、ポリエーテルオールまたはフェノールを含む群から選択される。1価または多価のポリエーテルアルコールまたはアルコールR1−H(Hは、アルコールまたはフェノールのOH基に属する)が、好ましくは、出発化合物として使用される。
分子量31〜10000g/mol、特に50〜2000g/molで、1〜8個、好ましくは1〜4個のヒドロキシル基を有する化合物が、OH官能性出発化合物R−Hとして使用されることが好ましい。出発化合物は、互いの任意の混合物として使用されても、または純粋な物質として使用されてもよい。アルコキシシリル基を含有する置換基または直接にアルコキシシリル基で側鎖が置換されているヒドロキシ化合物(欧州特許第2093244号に記載のシリルポリエーテルなど)を出発化合物として使用することができる。
有利には、DMC触媒によるアルコキシル化によって予め製造された、1〜8個のヒドロキシル基を有しかつ分子量が50〜2000g/molの低分子量ポリエーテルオールが、出発化合物として使用される。
【0023】
脂肪族および脂環式OH基を有する化合物の他に、1〜20個のフェノール性OH官能基を有する任意の化合物が適している。これらには、例えば、フェノール、アルキルフェノールおよびアリールフェノール、ビスフェノールAおよびノボラックが含まれる。
【0024】
本発明の方法により、構造および分子量ならびに再現性に関して的確に製造することができ、貯蔵安定性があり、湿分の作用下で、好ましくは弾性特性を有する接着剤および/またはシーリング材に極めて良好に加工できることを特徴とする変性アルコキシル化生成物が調製される。出発物質の反応成分、有機ヒドロキシ化合物、および様々なエポキシド(混合物として使用されてもよく、その少なくとも一定の割合がアルコキシシリル基を有する)の開環を伴うアルコキシル化反応により得られる変性ポリマー鎖に挿入されるフラグメントは、その配列が互いに自由に交換可能である。
【0025】
本明細書に記載される本発明の方法により、末端以外にもアルコキシシリル基を有し、任意選択によりコーティングに、または平坦なもしくは粒子状の基材および物体の表面処理に使用することもできるアルコキシル化生成物から、商業的に使用可能で、貯蔵安定性のある接着剤およびシーリング材を製造する方法を初めて提供するものである。
従って、本発明の方法により新規なプレポリマー系を構成することが可能になるが、該プレポリマー系は、従来技術からは得ることができず、その架橋によって新規な構造を反映するポリマーが得られる。したがって、アルコキシシリル基を有していないポリマーフラグメントを、本発明により得られる鎖官能基および/または末端官能基ならびに特定されずに長い間知られているポリマー基の間に単に挿入することによって、本発明の対象のプレポリマーを得ることはできないであろう。
【0026】
反応は60℃〜150℃の温度で行われ、75℃〜150℃の温度が好ましく、80℃〜140℃の温度が特に好ましく、アルコキシシリル基を有するモノマーの混合まで最初は115℃〜140℃の反応温度が特に好まく、次いで、アルコキシシリル基を有するモノマーを混合した後および残りの反応時間は、80℃〜110℃の温度が特に好ましい。
湿分の作用で硬化することができ、好ましくは式(I)の少なくとも1つの成分を含有する本発明の組成物および混合物は、例えば、平坦な、粒子状の、繊維状の基材表面または織布をコーティングおよび改質するために、接着剤および/またはシーリング材として使用することができる。コーティングは、例えば、接着性コーティング、任意選択により発泡接着性コーティングであってもよい。硬化性組成物は、乳濁液、分散体、懸濁液または溶液、好ましくは水性乳濁液の形態で使用されてもよい。この水性乳濁液は、式(I)の化合物の加水分解反応もしくは硬化反応の、部分加水分解され、部分架橋されたオリゴマー、またはその後の(部分的)ポリマー生成物を含有してもよい。
【0027】
従って、本発明の別の対象は、本発明の式(I)の生成物を、接着剤もしくはシーリング材としての配合物または基材をコーティングするための配合物の構成成分として、組成物において使用することである。
本発明のこれらの新規な反応性の変性アルコキシル化生成物は、加水分解を受け易くかつ架橋される傾向があるアルコキシシリル基を有するため、変性された硬化性ポリマーまたはオリゴマーである。固体熱硬化性の最終生成物、または架橋密度もしくは特定の添加剤の選択に応じてエラストマーもしくは熱可塑性の最終生成物が得られる架橋は、水の存在下で、任意選択により酸または塩基を促進剤として添加して簡単に起こる。硬化プロセス中に温度を変化させること、例えば、上昇させることにより、ポットライフを調整すること、例えば、短くすることができる。従って、例えば、変性ポリマー鎖中のアルコキシシラン単位の割合を変化させることにより、架橋密度、および、変性され硬化されたポリマーの機械的特性および物理化学的特性のプロファイルに広範囲にわたって影響を及ぼすことができる。
【0028】
この硬化性組成物は、前述の仕様に従って製造された式(I)のアルコキシル化生成物、ならびに、可塑剤、充填剤、溶媒、乳化剤、接着促進剤、流動性を調整するための添加剤、いわゆるレオロジー添加剤、および少なくとも1種の硬化触媒を含む群から選択されるさらなる添加剤からなる。さらに、必要に応じて、化学的乾燥用添加剤、および/または、熱ストレスおよび/または化学的ストレスおよび/または紫外線および可視光線によるストレスに対する安定化剤も配合物中に含むことができる。
【0029】
さらに、吸水剤、チキソトロープ剤、難燃剤、発泡剤または消泡剤、脱泡剤、膜形成ポリマー、抗微生物剤および防腐剤、抗酸化剤、着色剤、染料および顔料、不凍剤、殺真菌剤、接着促進剤および/または反応性希釈剤および可塑剤およびキレート化剤、噴霧助剤、湿潤剤、ビタミン、成長促進物質、ホルモン、薬理活性物質、着臭剤、光安定化剤、ラジカル捕捉剤、紫外線吸収剤、および他の安定化剤などの、それ自体公知の機能性物質を組成物に添加してもよい。
【0030】
本発明の方法により製造されるアルコキシル化生成物は、単独で使用されても、または、欧州特許第2093244号に従って調製されたアルコキシル化生成物と混合して使用されてもよく、この文献に記載の方法により調製されたアルコキシル化生成物の割合は、20重量%超、好ましくは50重量%超、特に好ましくは75重量%超とすべきである。
可塑剤は、フタレート、ポリエステル、フェノールアルキルスルホネート、シクロヘキサン−ジカルボン酸エステルまたはポリエーテルを含む群から選択され、配合物中のそれらの割合は0重量%〜90重量%、好ましくは2重量%〜70重量%、特に好ましくは5重量%〜35重量%とすることができる。沈降または粉砕チョーク(chalk)、沈降または粉砕シリケート、沈降シリカまたは熱分解法シリカ(pyrogenic silicas)、粉末状ガラス、ガラスビーズ、中空ガラスビーズ(気泡体(bubbles)と称される)、金属酸化物、例えば、TiO2、Al2O3、金属水酸化物、例えば、水酸化アルミニウム、木粉、天然または沈降硫酸バリウム、強化用繊維、例えば、ガラス繊維または炭素繊維、長繊維または短繊維ウォラストナイト、コルク、カーボンブラックまたはグラファイトを充填剤として使用することができる。充填剤は、好ましくは、完成した混合物に対して0〜90重量%の濃度で使用され、5〜70重量%の濃度が特に好ましい。また、疎水化された充填剤を使用することも有利であるが、それは、これらの生成物がほとんど水を吸収せず、配合物の貯蔵安定性を向上させるからである。前述の充填剤の多くは後で疎水化されてもよく、または好適な工程管理により疎水化された形態に製造されてもよく、または本発明のアルコキシル化生成物により疎水化されてもよい。疎水化の方法は様々であり、当業者に知られている。
【0031】
混合物は、有機物質、好ましくは液体および溶媒を含有してもよい。溶媒は、例えば、非架橋混合物の粘度を低下させる役割を果たし、それらは粒子表面への塗布を容易にする。基本的に全ての溶媒および溶媒混合物を溶媒として考慮することができる。前記溶媒の好ましい例としては、エーテル(例えば、t−ブチルメチルエーテル)、エステル(例えば、酢酸エチルまたは酢酸ブチルまたは炭酸ジエチル)、およびアルコール(例えば、メタノール、エタノール、および、プロパノールとブタノールの様々な位置異性体、または特定の用途に選択される種類のグリコール)である。さらに、芳香族および/または脂肪族溶媒ならびにハロゲン化溶媒、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、およびフッ化炭化水素(FREON)等を使用することも可能であるが、また、無機溶媒、例えば、水、CS、および超臨界CO等を使用することも可能である。
レオロジー添加剤は、例えば、Cray ValleyからCrayvallac(登録商標)の商標名で入手可能なアミドワックス、硬化植物油脂、焼成シリカ(pyrogenic silica)、例えば、Aerosil(登録商標)R202またはR805(共にEvonikから入手可能)またはCab-O-Sil(登録商標)TS720またはTS620またはTS630(Cabotにより市販されている)を含む群から選択することができる。これらの添加剤は、所望の流動性に応じて、全配合物の0重量%〜10重量%の割合で、好ましくは2重量%〜5重量%の割合で使用される。化学的乾燥剤として、ビニルトリメトキシシラン(Dynasylan(登録商標)VTMO、Evonik、または、Geniosil(登録商標)XL10、Wacker AG)、ビニルトリエトキシシラン(Dynasylan(登録商標)VTEO、Evonik、または、Geniosil(登録商標)GF56、Wacker)、ビニルトリアセトキシシラン(Geniosil(登録商標)GF62、Wacker)、N−トリメトキシシリルメチル−O−メチルカルバメート(Geniosil(登録商標)XL63、Wacker)、N−ジメトキシ(メチル)−シリルメチル−O−メチルカルバメート、N−メチル[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]カルバメート(Geniosil(登録商標)GF60、Wacker)、ビニルジメトキシメチルシラン(Geniosil(登録商標)XL12、Wacker)、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン(Geniosil(登録商標)GF58、Wacker)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン(Dynasylan(登録商標)1122、Evonik)、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン(Dynasylan(登録商標)1124)、N−ジメトキシ(メチル)シリルメチル−O−メチルカルバメート(Geniosil(登録商標)XL65、Wacker)、または、オリゴマーのビニルシラン、例えば、Dynasylan(登録商標)6490およびDynasylan(登録商標)6498(共にEvonikから入手可能)を単独で、または混合して使用することも可能である。使用濃度は、安定化の程度および乾燥剤の効果に基づき、好ましくは、全配合物中における割合が0〜5重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%である。さらに、物理的乾燥剤、例えば、ゼオライト、モレキュラーシーブ、無水硫酸ナトリウムまたは無水硫酸マグネシウムを、化学的乾燥剤に加えて、または化学的乾燥剤の代替として使用することもできる。当業者に既知の物質が接着促進剤として使用され、主に、アルコキシシリル基を有し、さらに第1級または第2級アミン基、ビニル基、チオール基、アリール基、あるいはオキシラン基を有する化合物、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan(登録商標)AMMO(Evonik))、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan(登録商標)DAMO(Evonik))、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan(登録商標)MTMO、Evonik)、3−グリシジルプロピルトリエトキシシラン(Dynasylan(登録商標)GLYEO、Evonik)、グリシジルプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan(登録商標)GLYMO、Evonik)、フェニルトリメトキシシラン(Dynasylan(登録商標)9165またはDynasylan(登録商標)9265、Evonik)、またはオリゴマーのアミノ/アルキル−アルコキシシラン、例えば、Dynasylan(登録商標)1146(Evonik)などであり、それぞれ単独でまたは混合して使用される。例えば、Tinuvin(登録商標)安定化剤(Ciba)製の、例えば、Tinuvin(登録商標)1130、Tinuvin(登録商標)292またはTinuvin(登録商標)400などの当業者に既知の製品、または、製品の組み合わせを、有利には組み合わせを、安定化剤として使用することができる。使用される量は、必要とされる安定化度に基づく。さらに、機械的硬度を向上させ、流動傾向を低下させるための共架橋剤を配合物に添加してもよい。共架橋剤は、通常、3つ、4つまたはそれより多くの架橋性基を使用に供することができる物質である。本発明の文脈における例としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランがある。
【0032】
このようにして得られた硬化性組成物は、粒子状または平坦な基材の接着および/または封止および/または発泡および/またはコーティングに非常に適している。従って、本発明の別の対象は、建築業または車両構造に、建築要素(construction components)および部品を封止および接着するために、および、多孔質または非多孔質の粒子状または平坦な基材をコーティングするために使用される本発明の式(I)の化合物およびそれらを含有する組成物の使用である。本発明に記載のアルコキシル化生成物は、表面、粒子および繊維をコーティングおよび改質するための硬化性組成物の優れたベースとして適している。基礎となる化学に基づいて、主に、極性表面を有する基材が好ましい。例えば、金属、特に、鉄、鋼、特殊鋼および鋳鉄などの建材、セラミック材料、主に、固体金属酸化物または非金属酸化物または炭化物、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムまたは酸化カルシウムをベースにするもの、および無機基材または有機基材、コルクおよび/または木材への塗布を挙げることができる。組成物は、平坦でない、多孔質または脆性の基材、例えば、無機基材、木材またはコルクから製造されたチップボードおよび繊維板、MDF(中質繊維板)、WPC物品(木材プラスチック複合材料)、チップボード、コルク物品などの木材複合材料などの複合材料、積層物品、セラミック、ならびに天然繊維および合成繊維の結合および平坦化にも使用することができる。
【0033】
本発明のプレポリマー混合物を架橋もしくは重合するためまたはそれを粒子表面もしくは巨視的表面に化学的に固定するための硬化触媒としては、既知のポリウレタン化触媒、アロファネート化触媒またはビウレット化触媒(biuretization catalyst)(これらはそれ自体当業者に知られている)、または、文献から知られており、アルコキシシランの加水分解および縮合に通常使用される触媒を使用することが可能である。これらには、例えば、通常使用される有機スズ化合物、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセチルアセトナート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、またはジオクチルスズジアセチルアセトナートなどの化合物が含まれる。さらに、オクタン酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトナート、および亜鉛−2−エチルカプロエートなどの亜鉛塩、または、N,N,N−トリメチル−N−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム水酸化物、N,N,N−トリメチル−N−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム−2−エチルヘキサノエートまたはコリン−2−エチルヘキサノエートなどのテトラアルキルアンモニウム化合物を使用することも可能である。オクタン酸亜鉛(亜鉛−2−エチルヘキサノエート)およびテトラアルキルアンモニウム化合物を使用することが好ましく、オクタン酸亜鉛を使用することが特に好ましい。さらに、ビスマス触媒、例えば、Borchi(登録商標)触媒、メタンスルホン酸ビスマス、硝酸ビスマス、塩化ビスマス、トリフェニルビスマス、硫化ビスマス、およびこれらの触媒を用いた調製物−チタネート、例えば、チタン(IV)イソプロピレート、鉄(III)化合物、例えば、鉄(III)−アセチルアセトナート、アルミニウム化合物、例えば、アルミニウムトリイソプロピレート、アルミニウムトリ−sec−ブチレート、他のアルコキシドおよびアルミニウムアセチルアセトナート、カルシウム化合物、例えば、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム、またはカルシウムジアセチルアセトナート、またはアミン、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、N,N−ビス(N,N−ジメチル−2−アミノエチル)−メチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルフェニルアミン、N−エチルモルホリンなど、または、アミン、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、N,N−ビス(N,N−ジメチル−2−アミノエチル)−メチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルフェニルアミン、N−エチルモルホリンなどを使用することが好ましい。有機または無機ブレンステッド酸、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸または塩化ベンゾイル、塩酸、リン酸、これらのモノエステルおよび/またはジエステル、例えば、リン酸ブチル、リン酸(イソ)プロピル、リン酸ジブチルなどが触媒として適している。勿論、いくつかの触媒を組み合わせて使用してもよい。
本発明の硬化性組成物は、国際公開第2005/100482号に記載のいわゆる光潜在性塩基(photolatent bases)を触媒として含有してもよい。光潜在性塩基は、好ましくは、最初は遮断された形態であり、紫外線、可視光線または赤外線を照射して初めて、分子の切断の結果として塩基の形態を遊離する、1つ以上の塩基性窒素原子を有する有機塩基であると理解されたい。国際公開第2005/100482号の明細書および特許請求の範囲の内容は、これにより本開示の構成部分として含まれる。
【0034】
触媒または光潜在性塩基は、本方法の生成物の固形分に対して0.001〜5.0重量%、好ましくは0.01〜1.0重量%、特に好ましくは0.05〜0.9重量%の量で使用される。触媒または光潜在性塩基は、一度に、または複数回に分けて、または、さらには連続的に添加してもよい。全量を一度に添加することが好ましい。
混合物は、好ましくは、他の通常はモノマーのシラン、ヒドロキシル基を有するシロキサン、または溶媒を他の成分として含有してもよい。
【0035】
他のシランとして、原則的に、全てのシラン、好ましくは加水分解性アルコキシ基を有するもの、特にアミン基またはビニル基を有するシラン、および独国特許第102006054155号または国際公開第2005/003201号に記載のものを使用することが可能である。
【0036】
式(I)のアルコキシシリル基を有する化合物の本発明による別の用途は、水性乳濁液および分散体に関する。当該乳濁液のための乳化剤として、原則的に、全ての陰イオン性、非イオン性、陽イオン性および両性の乳化剤および乳化剤混合物を考慮することが可能である。
【0037】
アルコキシル化生成物との相溶性がある側鎖と親水性部分とを有する乳化剤が適しており、特に、疎水性部分にプロポキシル化された側鎖を有するもの、例えば、EO/POブロック共重合体(例えば、Synperonic(登録商標)(Croda)またはPluronic(登録商標)(BASF)として入手可能)が適しており、これらはイオン性または非イオン性乳化剤と混合して使用することもできる。
前記乳化剤の他の好ましい例としては、アルコールエトキシレート、脂肪酸エトキシレート、エトキシ化エステル、および(エトキシ化)ソルビタンエステルがある。添加および添加剤、例えば、水不溶性可塑剤により、乳濁液の特性をその適用分野に合わせて調整してもよい。硬化性混合物の組成に応じて、乳化相、より正確には、アルコキシル化生成物の硬化は水性乳濁液中で行ってもよい。このことは、特に、硬化性組成物は、水の存在下でもゆっくりとしか硬化せず、従ってアルコキシル化生成物が乳化する時間があるように配合されるときの場合である。得られる分散体、および、例えば、接着剤またはシーリング材のベースとしてのその使用が本出願の一部を形成することは明らかである。
【0038】
環境に関する意識が高まりにつれ、表面改質に使用される配合物の粘度を低下させるために有機溶媒を添加することについて、近年、批判が高まっている。代わりの選択肢は、乳濁液(有利には水性乳濁液)の形態での本発明のプレポリマーの使用である。シリル官能化プレポリマーを含有する乳濁液が文献に記載されている。独国特許第2558653号は、シリル基を有する自己乳化ポリウレタンからの乳濁液、および表面をコーティングするためのその使用を記載している。米国特許第4,376,149号は、鎖末端がシリル化されたポリエーテルおよびOH−シロキサンの乳化混合物、およびテキスタイルをコーティングするためのその使用を記載している。DE4215648号は、陽イオンで変性されたアルコキシシラン末端ポリウレタンの溶液および/または乳濁液をベースとした貯蔵安定性のある接触型接着剤を記載している。米国特許第6713558号および米国特許第6831128号は、シリル化エラストマーの水希釈性乳濁液およびその製造を記載しており、国際公開第2007/072189号および国際公開第2008/090458号は、シリル基を有するポリマーの乳濁液を記載している。
従って、水性乳濁液は、式(I)のアルコキシシリル基を有する化合物の別の用途である。
乳濁液の水相は、本発明のコーティングの機械的特性を調整するために親水性無機充填剤を含有してもよいが、但し、これらの親水性充填剤は、既に安定化された乳濁液に後で添加される。乳濁液の乾燥および/または破壊後に式(I)のアルコキシル化生成物の反応性官能基と充填剤の表面の反応性官能基との間で化学反応が起こるように、使用される充填剤の表面が少なくとも1つの官能基を有することが有利であり得る。前記充填剤の例としては、焼成シリカおよび沈降シリカ、無機酸化物(酸化アルミニウム、二酸化チタン、および二酸化ジルコニウムなど)、ガラスおよび石英、水酸化物(水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムなど)、ケイ酸塩(ウォラストナイト、マイカ、カオリン、およびタルクなど)、炭酸カルシウムおよび他の炭酸塩、金属(銅、亜鉛、およびニッケルなど)および金属合金、ならびに、グラファイトおよびカーボンブラックがある。
さらに、乳濁液は、前述のような、低モル質量で有機官能性かつ水不溶性のシランを含有してもよい。乳濁液は、表面にアルコキシル化生成物を固定化させるために前述の触媒を含有してもよい。
【0039】
本発明の別の対象は、式Iのアルコキシル化生成物を含有する難燃性の熱可塑性ポリマーコンパウンド(thermoplastic polymer compounds)または熱硬化性成形コンパウンド(thermosetting moulding compounds)の製造であり、それは、さらに、例えば、ATH(アルミニウム三水和物=水酸化アルミニウム=三水酸化アルミニウム)、MDH(二水酸化マグネシウム)、ハイドロマグネサイトまたはメラミンシアヌレートなどの防炎性および/または難燃性物質を含有してもよい。この種のポリマーコンパウンドは、例えば、ケーブルおよびケーブルシース用にポリプロピレン、ポリエチレン、もしくはエチルビニルアセテートをベースにするケーブル絶縁材料の製造に使用されるか、または、例えばポリプロピレンをベースにして、体育館などの公共建築物における特に厳格な要件の対象である、防炎性隔壁が製造される。
得られる難燃性混合物およびコンパウンドまたは電気ケーブルは、任意選択により、機械的安定性が向上しており、他の添加剤の分散性が向上しており、粒子状添加物(例えば、タルク、炭酸カルシウムなど)の充填度が高くても押出性が良好であり、難燃性が向上しており、任意選択により、苛酷な加熱時に発煙が比較的少ない。特に、シロキサン基を有するアルコキシル化生成物を使用する場合、ケイ素の含有により、さらに耐火安定性を付与することができるが、その理由は、燃焼後に、ある割合のSiOが依然として残り、それがさらなる安定化および難燃作用を有するからである。さらに、燃焼時でも、比較的早い時点でいわゆる皮膜が形成し、混合物の温度のさらなる上昇を低減し、このようにして延焼を抑制するが、これは、例えば、ケーブルを部屋から部屋に引く場合、特に重要である。
【0040】
本発明のこれらの組成物が発泡性となる場合、それらは、任意選択により化学的または物理的作用を有する1種以上の発泡剤を含有する。
被覆面は、スプレー、塗装(painting)、浸漬などの既知の手段でコーティングすることができる。被着面は、好ましくは、この方法でプレスして合わせられる。任意選択により発泡性の接着用混合物は好ましくは加圧缶から塗布され、任意選択により化学反応によって放出される混合物中に含有される発泡剤のため、発泡体の形成が起こる。接着発泡体の製造および使用は、独国特許第102008043218号により詳細に記載されている。
【0041】
従って、本発明の別の対象は、式(I)の少なくとも1種の化合物および少なくとも1種の化学的または物理的発泡剤を含有する発泡性硬化性組成物であり、当該組成物は被着面間で膨張して発泡体になるか、あるいは混合物から膨張後に生じ得る発泡体が被着面の一方に、もしくは被着面間に塗布された後、発泡体は被着面間で圧縮される。
【0042】
好適な発泡剤は、吹き付け可能な組立発泡体(sprayable assembly foams)の製造にも使用される、比較的低圧で容易に凝縮可能な気体である。一般的な発泡剤としては、例えば、それぞれ炭素数1〜5、特に炭素数3〜5の炭化水素、特にプロパン−ブタン混合物またはイソブタン、炭素数1〜5のフッ化炭化水素、例えば、1,1,1,2−テトラフルオロエタンまたは1,1−ジフルオロエタン、またはジメチルエーテルおよび対応する混合物がある。発泡剤の含有率は、全混合物に対して好ましくは10重量%未満、特に好ましくは7重量未満%、または5重量%未満である。
好ましくは、全混合物に対する発泡剤の含有率は、最大10重量%、特に好ましくは最大7重量%である。
発泡体の形成は、純粋な化学に基づく発泡剤の添加なしで行われてもよいが、温硬化または熱硬化の場合が好ましい。接着剤混合物を加熱すると、低揮発性の発泡剤が生成するが、それは、例えば、アルコキシシリル基の加水分解から生じるメタノール、エタノールなどのアルコールを含む。水または不活性溶媒は、高温で発泡剤の役割も果たすこともできる。
【0043】
基材のコーティングが必要な場合、単に発泡剤を省いてもよく、任意選択により、溶媒または他の添加剤および助剤を添加することによってコーティングに必要な材料特性を付与することができる。従って、本発明は、表面をコーティングまたは改質する方法にも関し、本方法では、アルコキシル化生成物を他の少なくとも1種のアミノシラン化合物またはビニルシラン化合物と共に含有する組成物が被処理面に塗布され、硬化させる。
【0044】
中実のまたは多孔質の粒子の表面を本発明に従って、従来技術から既知の方法で表面コーティングすることができる。これは、例えば、任意選択により好適な架橋触媒の存在下で、混合、混練および/または加熱中に、粒子にアルコキシル化生成物をスプレーすることを含む。本発明のアルコキシル化生成物は、純粋な形態で塗布されても、または好適な有機および/または無機溶媒から粒子表面に塗布されてもよく、その後、それらは反応して共有結合を形成することができる。本発明の式(I)のアルコキシル化生成物を、任意選択により助剤、他の改質剤および乳化剤および/または湿潤剤と共に、好適な媒体中に乳濁させた乳濁液を粒子表面に塗布することもできる。アルコキシル化生成物を対応する系に添加し、任意選択により加熱しておよび/または好適な触媒を添加して十分混合することにより、(予め)分散される粒子、例えば、ポリマーまたは塗料中に(予め)分散される粒子状充填剤または機能性粒子のマトリックス中で粒子表面を改質することもできる。各場合、他の成分、例えば、反応性シリル基を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーのシランまたは他の成分、および硬化するまたは他の何らかの機構により結合する材料、例えば、アクリレート、エポキシド、イソシアネート、カルボキシレート、ヒドロキシド、ラクトン、およびラクタム等も、アルコキシル化生成物に添加してもよい。また、アルコキシル化生成物の幾つかを一緒に混合して使用してもよい。
様々な起源、異なる粒度または粒度分布、および異なる形態(球状、層状(異なるアスペクト比を有する)、繊維状、立方体または直方体の形状のフラクタルとして凝集した形態など)であって様々な集塊状態を有する改質される粒子としては、例えば、焼成シリカ(例えば、EVONIK Degussa GmbH製のAEROSIL(登録商標))、沈降シリカ(例えば、EVONIK Degussa GmbH製のSIPERNAT(登録商標))、石英粒子および他の無機酸化物粒子(ガラス粒子など)、二酸化チタン(例えば、EVONIK Degussa GmbH製のAEROXIDE(登録商標)TiO2 P25およびAEROXIDE(登録商標)TiO2 P90)、酸化アルミニウム(例えば、EVONIK Degussa GmbH製のAEROXIDE(登録商標)AluC)、二酸化ジルコニウムおよび/または二酸化セリウム、酸化鉄、および酸化銅等の酸化物粒子、ケイ酸塩粒子(例えば、カオリン、ウォラストナイト、タルク、マイカ、および長石等)、水酸化物(三水酸化アルミニウムおよび/または二水酸化マグネシウム)、ベーマイト、ハイドロタルサイト、および、例えば、FeO(OH)などの水酸化物タイプの鉄顔料など、炭酸塩(例えば、炭酸カルシウムおよび/またはドロマイト)、金属(鉄、銅、亜鉛、ニッケル、アルミニウム、およびマグネシウム等)、金属合金および/または炭素含有材料(例えば、グラファイトおよび/またはカーボンブラック等)が含まれる。
例えば、シリコーン樹脂、有機変性シリコーン、有機ポリマーおよび/または生体高分子、有機高分子電解質、およびメラミンシアヌレート等の粒子を有機粒子状基材として使用することができる。
様々な粒子を混合物中で表面改質することもできる。
粒子質量と表面改質剤との比は、到達可能な粒子表面、所望の改質度、および改質剤の分子量によって決まる。改質される粒子の質量に対して、本発明の改質剤は、粒子質量対改質剤質量の質量比が1:10〜1000000:1の範囲、好ましくは1:1〜10000:1、特に好ましくは2:1〜1000:1の範囲とすることができる。
【0045】
1種または複数種類のアルコキシル化生成物、任意選択により触媒、溶媒、他のシラン化合物、および他の添加剤を含有する組成物からなる、表面改質に使用される全混合物に対する粒子重量を考慮する場合、粒子重量:改質混合物の重量比は1:1000〜100000:1の範囲、好ましくは1:100〜1000:1の範囲、特に好ましくは2:1〜1000:1の範囲とすることができる。
【0046】
従来技術から既知の方法により、アルコキシル化生成物で巨視的表面をコーティングすることもできる。この場合、表面改質のために、アルコキシル化生成物を純粋な形態で使用してもよいし、または、他の成分、例えば、無機および/または有機溶媒、反応性成分(モノマー、オリゴマーまたはポリマーのシラン、アクリレート、エポキシド、ヒドロキシ化合物、およびアミン等)、ならびに他のコーティング成分または助剤と混合して使用してもよい。
アルコキシル化生成物は、純粋な形態で、有機もしくは無機溶媒中で、水性乳濁液として、または、他の方法で官能化された改質剤、例えば、エポキシド、アクリレート、アミン、イソシアネート、ウレタンおよび/または他のポリマーと組み合わせて(アルコキシル化生成物とモノマーのシラン、例えば、アミノシランおよびビニルシランおよび/またはシリル基を有する他のポリマーとの混合物などとして)塗布されてもよい。
【0047】
前述の材料による巨視的表面の改質は、従来技術から既知の方法、例えば、ディップコート、スプレーコート、またはスピンコート、フローコート、噴霧、刷毛塗り、ローラー塗り、印刷、スクリーン印刷、スタンピングなど−表面改質に使用される本発明の配合が好適な稠度を有する場合−また粉体コーティング技術によっても行うこともできる。さらに、アルコキシル化生成物を好適な有機および/または無機溶媒中に、任意選択により他の物質、例えば、コーティング成分、助剤(例えば、湿潤剤、乳化剤および/またはレオロジー添加剤)、および充填剤および/または機能性粒子を添加して乳濁させた乳濁液を、表面の改質に使用することも可能である。
これによって、例えば、金属酸化物、混合酸化物、窒化物、水酸化物、炭化物、炭酸塩、ケイ酸塩、顔料、カーボンブラック(blacks)、元素、または合金からなる様々な異なる表面ならびに有機材料の表面を改質することが可能になる。さらに、シリコーン樹脂、有機変性シリコーン、有機ポリマーまたは生体高分子などの有機粒子の表面は表面改質に適している。
【0048】
このような表面の例としては、ガラス、塗料、金属、半導体材料、酸化物材料(石、コンクリートまたはモルタルなど)、木材、有機および無機繊維、織布および粒子、ポリマー、および生体高分子等の巨視的および微視的表面がある。
【0049】
従って、アルコキシル化生成物は、例えば、接着剤を製造するための原料として、反応性架橋剤として、接着促進剤および下塗剤として、ならびに、金属、ガラスおよびガラス繊維/ガラスクロス、木材、木材材料、天然繊維用の結合剤として、任意選択により、天然および/または合成および鉱物原料からなるテキスタイル織布および繊維、および、例えば、コルク、皮革、紙、薄葉紙、ケイ酸塩および酸化物材料の仕上げおよび処理に使用することができる。
【0050】
これらの改質された成形品、表面または粒子表面には多くの様々な可能な用途がある。従って、このようにして処理された粒子は、例えば、ポリマーの充填剤として、またはポリマーコンパウンド、ナノコンポジット、およびマスターバッチの製造に使用することができる。ポリマー中に使用される機能性充填剤については、"Functional Fillers for Plastics", edited by Prof. Dr. Marino Xanthos, WILEY-VCH Verlag GmbH&Co. KgaA, Weinheim, 2005, ISBN 3-527-31054-1に、よく概説されている。問題の粒子を予備工程で改質した後、それをポリマー中に分散させることによって本発明のアルコキシル化生成物を使用してもよく、または、充填剤の分散中にアルコキシル化生成物を問題のポリマーに添加する、例えば、それを液体の形態で押出機に添加し、後続の効果的な分散セクションを含むことによって行うことも可能である。
意外なことに、一般に、式Iのアルコキシル化生成物は多官能性であるにもかかわらず、改質される粒子状材料の集塊または凝集が起こることなく、粒子の表面を式Iのアルコキシル化生成物で改質することが可能である。さらに、本発明の表面改質された粒子は、例えば、充填剤または機能性添加剤として塗料、ポリマーコンパウンド、ナノコンポジット、マスターバッチまたは液状ペースト、ポリマー発泡体、有機樹脂またはシリコーン樹脂(任意選択により各マトリックスへの反応結合性を含む)に、メルトフローインデックス向上剤として射出成形用途に、表面に対する物理的効果、例えば、超疎水性、温度依存の濡れ性、撥水性、建築構造物、テキスタイルまたは繊維の固体表面の汚れ特性および汚れ除去性、本発明に従ってコーティングされた表面および粒子上への凝縮物および氷の付着性を達成するために、滑剤または潤滑剤として、封止およびサイジングに、触覚効果、例えば、絹のような感触(柔軟な感触の表面)または特殊な表面感触または粗さ(把持)を達成するために、艶消し剤として、他の材料、例えば、他のコーティング材料のための付着点として、吸着剤または吸収剤として例えば、紙またはフィルタ材料または物質中に、自己分散性粒子として分散体の調製に、粒子状乳化剤(いわゆる「Pickering Emulsions」("Emulsions", Spencer Umfreville Pickering, Journal of the Chemical Society, Transactions(1907), 91, 2001-2021を参照)用)として、反応性および/または架橋性粒子として(任意選択により液体媒体中に分散して)、脱泡剤中の活性成分として、メーソンリー撥水剤に、例えば、一体の塊を疎水化するための活性成分として、表面疎水化のための構造化された疎水性成分として、または活性液体成分の担体として、(任意選択により反応性の)封入剤として、例えば、コア−シェル粒子用にまたは液体系のマイクロカプセル化のために、膜材料の改質のために、例えば、特定の調節可能な多孔性、選択性または透過性を達成するために、帯電防止剤として、例えば、親水性または吸湿性粒子表面改質の後に、流動助剤として、粒子が提供される材料または表面の耐引掻性を付与または向上させるための添加剤として、または追加の機能を有する粒子状添加剤として、例えば、殺微生物剤として、蛍光マーカーとしてまたはエフェクト顔料(effect pigment)として、剥離剤として、耐寒性ケーブルシースの構成成分として、ゴム物品および膜の製造の成分として、サイズ剤またはサイジングのための成分としてテキスタイルおよびガラス繊維産業に、紙に、トナーの添加剤として、研磨剤またはシワ隠蔽剤として化粧品に、活性物質または補助生成物を長期間にわたって放出する配合物または担体の構成成分(放出される物質として、例えば、化粧油および活性物質、着臭剤、医薬活性物質、抗微生物活性物質、例えば、銀、および銀含有化合物、着色剤および防腐剤が粒子中に存在してもよい)などとして使用することができる。
【0051】
本発明のアルコキシル化生成物は、前述の平坦な材料および繊維を処理するために単独で使用されても、または、水性系に添加剤として使用されてもよく、従って、処理された成形品、平坦な材料および繊維を衛生、医療、建築物、自動車、家庭用テキスタイル、衣料用テキスタイル、スポーツおよび農業の分野で使用することを可能にする。
【0052】
従って、得られる表面改質された粒子または平坦な材料に対して、例えば、柔軟性、滑り、水の輸送/吸収、撥水/撥油性、紫外線防護、自己清浄(ロータス効果)(例えば、天幕に)、難燃性、強度の向上と共に可能な最大の可撓性、帯電防止性、耐細菌性、耐ウイルス性、および耐薬品性に関する新規なまたは最適化された特性が付与される。
【0053】
従って、本発明は、さらに、本発明によるアルコキシル化生成物を含有する組成物を使用して製造された前述のコーティングされた物品、例えば、表面、成形品、粒子、織布、布、および類似の材料に関する。
【0054】
本発明は、さらに、本発明のアルコキシル化生成物を含有するシーリング材(sealant compounds)および/または接着剤(adhesive compounds)に関し、表面コーティングは、それ自体で、封止または接着を行うことができ、これらのシーリング材および/または接着剤は、特に、滑剤、例えば、MoSまたはPTFE粒子を含有してもよい。
【0055】
さらに、本発明のアルコキシル化生成物は、電気および/または電子部品、例えば、OLEDおよび太陽電池パネルの製造に使用することもできる。導電性粒子またはイオン性液体を添加剤として含有してもよく、導電性コーティングおよび導電性接着剤に、例えば、回路基板導体に、接触および/または帯電防止仕上げのために使用することが可能になる。
【0056】
本発明は、さらに、式(I)の化合物を使用して製造される、複合材料、例えば、木材−プラスチック複合材料(WPC)に関する。WPCは、様々な割合の木材、プラスチックおよび添加剤からなる熱可塑処理可能な複合材料であり、熱可塑形成法(例えば、押出、射出成形または加圧成形法)によって処理することができる。ポリプロピレン−無水マレイン酸グラフト共重合体と比較して、新規なシリルポリエーテル複合材料は、これらの材料の木材または繊維主構成成分に対する結合が改善されている。アルコキシル化生成物は、木材、ココナッツまたは他の天然の繊維製品をベースにする繊維に結合すると同時に表面を疎水化し、従って、木材−繊維ペレットの乾燥時間の短縮を保証する(省エネルギー!)。通常の無機充填剤と対照的に、低分子量生成物は、高速押出法で数秒以内にPP−MAAポリマーより速く均質に分散できるため、非常に良好な相溶化作用を発揮することができる。
本発明は、さらに、規定のグリシジル官能性および向上した相溶性および/または基材への接着力の向上を有し、従って、外壁の粉体コーティングにおける被膜下腐食を低減する粉体コーティング硬化剤に関する。接着力の向上は、酸化物またはケイ酸塩表面、例えば、モルタル、スクリードまたはセメントの場合、特に重要である。
【0057】
式(I)のアルコキシル化生成物が両方の物質の特性を兼ね備えているため、本発明は、さらに、本発明のアルコキシル化生成物が、一般にさらに分散剤を使用することを必要とする通常のポリエーテルポリオール(PPG1000)などの代わりに単独で使用される液状ペーストに関する。これらのペーストは、着色剤として顔料を含有するか、または任意選択により追加の着色物質および他の添加剤を含有してもよく、ポリオールをベースにする系、例えば、PUフォーム、または熱可塑性ウレタンなどの着色に使用される。
【0058】
本発明の別の対象は、アルコキシル化生成物、およびそれから調製される配合物の使用、例えば、化粧品を製造するための使用である。従って、本発明の生成物を皮膚、毛髪または皮膚付属器を永続的または非永続的処理するための配合物に、例えば、特に長続きする良い感覚効果を達成するために使用することができる。特に疎水性セグメントにより、または陽イオン性モノマーにより有機基材と相互作用し、従って、簡単にそれらの上に堆積させることができる生成物は特に有利である。アルコキシシリル官能基は、皮膚または毛髪の表面のOH基との反応により、これらの表面への永続的な結合を付与する。
本発明のアルコキシル化生成物は、ラッカーまたはマニキュア液配合物中の添加剤として使用することもできる。
最近のマニキュア液またはネイルコーティング組成物は、手指の爪および足指の爪に魅力的な形状および色合いを付与するのに使用される。さらに、爪は環境の影響から保護され、爪板または爪表面を硬化する。耐久性があり、耐亀裂性および耐破砕性があり、艶があり、魅力的な色と光沢のマニキュアコーティングを提供するために特別な努力がなされる。マニキュア液は、(従って)多数の非常に様々な成分を含有するが、特に重要なものは、膜形成剤、接着促進剤、可塑剤、溶媒および顔料である。焼成シリカは、レオロジーおよびチキソトロピー調整剤として使用される。米国特許第4,873,077号、英国特許第1177420号および独国特許第69111621号は、良好な耐摩耗性、良好なチッピング、爪破壊および引裂防止、ならびに、可撓性、接着性がある硬質の爪の被膜としてのマニキュア液の乾燥後の耐久性を確実にするための多数の添加剤を記載している。
さらに、本発明のアルコキシル化生成物により、固体基材上に、疎水性または親水性表面特性などの特殊な物理的効果を生じさせることも可能である。
さらに、前記効果は、依然として、例えば、広く用いられる温度などのさらなる刺激を受けることもできる。文献から知られているように、水中のポリエーテルは、いわゆる曇点を有するが、これは温度に依存し、温度の上昇に伴う周囲媒体との非相溶性の結果として起こる。様々な表面へのシリル変性ポリエーテル鎖の結合により、様々な液体(例えば、水)との接触角が温度依存性になり得ることが示された。
【0059】
本発明の組成物では、接着剤、シーリング材、結合剤、および目地材の分野で多数の様々な用途がある。さらに、それらは、多数の異なる基材、例えば、無機基材、金属、プラスチック、ガラス、セラミック、木材、木材材料、天然繊維、皮膚、毛髪、皮膚付属器、角質、またはコルクなどに適している。原則的に、組成物またはそれから製造される発泡体は、任意の物体を接着するのに適している。しかし、特に、被着面が平坦でない場合、または、例えば、微細な繊維または粒子ならびにコルクを一緒に接合して複合材料を形成する場合、それらは非常に適している。これは、例えば、材料のチッピングまたは反りのため、もはやぴったりとフィットしない破壊面の接着に、または、幅木、かぶせ板または他の装飾を平坦でない壁面に接着する場合にも当てはまる。ここで、発泡体には、それらが空洞を適切に充填するという利点もある。
【0060】
本発明の変性アルコキシル化生成物およびその対応する製造方法を例として後述するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものと見なされるべきではない。
範囲、一般式または化合物の種類を後述する場合、これらは明示的に記載されている対応する範囲または化合物の群を含むだけでなく、個々の値(範囲)または化合物を除去することにより得ることができる全ての部分範囲および化合物の部分群も含むものとする。
本明細書の範囲内で文献を引用する場合、その内容全体が本発明の開示内容に含まれる。
【0061】
本発明の他の対象は特許請求の範囲から得られ、その開示内容全体が本明細書の一部を形成する。
【実施例】
【0062】
例示的実施形態:
以下に示す実施例で本発明を説明の目的で記載するが、本発明は、その範囲が全明細書及び特許請求の範囲から得られるものであって、実施例に記載の実施形態に限定されるものではない。
【0063】
DMC触媒を使用する本発明の方法によるアルコキシシリル基を有するポリエーテルアルコールの製造。OH数は、"German Society for Fats Science"(Deutsche Gesellschaft fuer Fettswissenschaft, DGF)の分析規格C−V17A(98)に基づく低温アセチル化法により求めた。平均分子量は、OH数からまたはGPCにより求めた。最終生成物のエポキシド酸素含有率は、濃HClの存在下にて水酸化ナトリウム溶液での逆滴定原理により求めた。生成物の粘度は、レオメータ(MCR 301、Anton Paar)を使用して求めた。測定には、直径50mmのプレート/プレート形状寸法を使用した。多分散性および平均分子量を求めるためのGPC測定値は、次の測定条件で得られた:複合カラムSDV1000/10000Å(長さ65cm)、温度30℃、移動相としてTHF、流速1ml/分、サンプル濃度10g/l、RI検出器、ポリエチレングリコール標準物質に対する評価。
【0064】
実施例1:本発明ではない、ヒドロキシル基に対してα位にメチル基を有するアルコキシシリル化されたアルコキシル化生成物
欧州特許第2093244号に開示されている方法によるDMC触媒を使用するアルコキシシリル基を有するポリエーテルアルコールの製造。最終生成物のエポキシド酸素含有率は、濃HClの存在下で、水酸化ナトリウム溶液による逆滴定原理により求めた。
3リットルのオートクレーブにポリプロピレングリコール(平均分子量700g/mol)140gおよび亜鉛ヘキサシアノコバルテートDMC触媒0.22gを窒素下で仕込み、撹拌しながら130℃に加熱する。存在する揮発性成分を蒸留により除去するため、反応器を真空排気して内圧30mbarにする。DMC触媒の活性化のため、少量のプロピレンオキシドを供給し、15分および反応の開始後に、冷却しながら、プロピレンオキシド1032gを130℃で1時間以内に供給する。次いで、冷却しながら、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン(DYNASYLAN(登録商標)GLYEO)111gとプロピレンオキシド1520gを100℃で同時に、連続的に1.5時間以内に供給する。90分間、100℃でさらに反応させた後、脱気段階を行う。完成したアルコキシル化生成物を80℃未満に冷却し、反応器から排出する。
得られたアルコキシル化生成物は、1分子当たり平均2個のトリアルコキシシリル単位を含有し、14000g/molの平均分子量を有する。遊離エポキシ基は最終生成物中に検出できない。較正されたレオメータを用いて、25℃、剪断速度101/sで求められたアルコキシル化生成物の粘度は、約20〜25Pasである。
Sn触媒(c:0.3%)(ジオクチルスズジケトネート、TIB(登録商標)KAT 223(TIB Chemicals))を使用して標準的気候(T:23℃、RH:50%、7日)で硬化させた、実施例1のシリルポリエーテルを、DIN 53 504に準拠して、200mm/分の試験速度で試験した。求められた極限伸びは、55%±3%であった。
【0065】
実施例2:本発明による、ヒドロキシル基に対してα位にエチル基を有するアルコキシシリル化されたアルコキシル化生成物
3リットルのオートクレーブにポリプロピレングリコール(平均分子量2000g/mol)400gおよび亜鉛ヘキサシアノコバルテートDMC触媒0.26gを窒素下で仕込み、撹拌しながら130℃に加熱する。存在する揮発性成分を蒸留により除去するため、反応器を真空排気して内圧30mbarにする。DMC触媒の活性化のため、プロピレンオキシド45g分を供給する。20分および反応の開始後、冷却しながら、プロピレンオキシド732gを130℃で40分以内に添加する。次いで、冷却しながら、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン(DYNASYLAN(登録商標)GLYEO)111gとプロピレンオキシド1520gを110℃で同時に、連続的に1.5時間以内に供給する。30分の保持時間の後、ブチレンオキシド89gを110℃で供給する。90分間、110℃でさらに反応させた後、脱気段階を行う。完成したアルコキシル化生成物を80℃未満に冷却し、反応器から排出する。
得られたアルコキシル化生成物は、1分子当たり平均2個のトリアルコキシシリル単位を含有し、14500g/molの平均分子量を有する。遊離エポキシ基は、最終生成物中に検出できない。較正されたレオメータを用いて、25℃、剪断速度10 1/sで求められたアルコキシル化生成物の粘度は、約22〜30Pasである。Sn触媒(c:0.3%)(ジオクチルスズジケトネート、TIB(登録商標)KAT 223(TIB Chemicals))を使用して標準的気候(T:23℃、RH:50%、7日)で硬化させた、実施例2のシリルポリエーテルを、DIN 53 504に準拠して、200mm/分の試験速度で試験した。求められた極限伸びは、103%±3%であった。
【0066】
実施例3:本発明による、ヒドロキシル基に対してα位にエチル基を有するアルコキシシリル化されたアルコキシル化生成物
3リットルのオートクレーブにポリプロピレングリコール(平均分子量2000g/mol)400gおよび亜鉛ヘキサシアノコバルテートDMC触媒0.26gを窒素下で仕込み、撹拌しながら130℃に加熱する。存在する揮発性成分を蒸留により除去するため、反応器を真空排気して内圧30mbarにする。DMC触媒の活性化のため、プロピレンオキシド45g分を供給する。20分および反応の開始後、冷却しながら、プロピレンオキシド732gを130℃で40分以内に供給する。次いで、冷却しながら、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン(DYNASYLAN(登録商標)GLYEO)111gとプロピレンオキシド1520gを85℃で同時に、連続的に1.5時間以内に供給する。30分の保持時間の後、ブチレンオキシド89gを85℃で供給する。90分間、85℃でさらに反応させた後、脱気段階を行う。完成したアルコキシル化生成物を80℃未満に冷却し、反応器から排出する。
得られたアルコキシル化生成物は、1分子当たり平均2個のトリアルコキシシリル単位を含有し、14500g/molの平均分子量を有する。遊離エポキシ基は最終生成物中に検出できない。較正されたレオメータを用いて、25℃、剪断速度10 1/sで求められたアルコキシル化生成物の粘度は、約16〜25Pasである。Sn触媒(c:0.3%)(ジオクチルスズジケトネート、TIB(登録商標)KAT 223(TIB Chemicals))を使用して標準的気候(T:23℃、RH:50%、7日)で硬化させた、実施例3によるシリルポリエーテルを、DIN 53 504に準拠して、200mm/分の試験速度で試験した。求められた極限伸びは、86%±3%であった。
【0067】
貯蔵試験のため、アルコキシシリル化されたアルコキシル化生成物をジブチル−Sn−スズジケトネート(TIB(登録商標)KAT 226(TIB Chemicals)またはジオクチル−Sn−ジケトネート触媒(TIB(登録商標)KAT 223)と混合した(c(触媒):0.5重量%)。必要に応じて、ビニル−トリメトキシシラン(例えば、DYNASYLAN(登録商標)VTMO(Evonik Industries)として入手可能)も化学的乾燥剤として添加した。材料をミキサー(Speedmixer DAC 600 FVZ(Hausschild))内で60秒間(2300回転/分)混合した後、Euro−カートリッジ(Ritter)に移し、好適な栓で密封した。室温で1日貯蔵した後、カートリッジを乾燥器内で60℃に加温し、この温度で貯蔵した。異なる期間後に、カートリッジを開封し、内容物の部分架橋について試験した。これは、材料を搾り出し、その流動性を評価することによって行われる。100Pasを超える粘度の明確な増加および/または流動性の損失が見られる場合、材料は部分的に架橋していると評価される。
【0068】
【表1】

【0069】
本発明に従って末端にオキシブチレンが付与されたアルコキシル化生成物の場合、触媒の存在下での貯蔵安定性が大きく向上している。配合された場合、これらのアルコキシル化生成物は、配合物のゲル化の遅延によって特徴付けられる貯蔵性の大幅な向上も示す。本発明に従って調製されたアルコキシル化生成物を有する配合物がゲル化するまでの貯蔵時間は、7〜10日に延長した(表1を参照)。実施例3におけるように、アルコキシル化生成物を最後の反応工程で、80℃〜100℃で調製した場合、それを触媒と共に60℃で約12日間、さらに乾燥剤を添加した場合18日間、貯蔵することができる。従って、これは、従来技術の元のアルコキシル化生成物と比較して著しい改善を示し、上記の実施例で記載した配合物および用途における使用が初めて可能になる。
意外なことに、本発明の構造により、加水分解−縮合によって架橋された生成物の伸長性を大きく向上できることが認められた。従って、ポリマーの極限伸びが著しく向上する。実施例1に記載の生成物では55%の伸び率の極限伸びが認められたのに対し、実施例2で調製された生成物では103%の伸び率の極限伸びが認められた。
【0070】
本発明のアルコキシル化生成物の本発明の配合物に関して、以下の実施例を記載することができるが、本発明の用途は、これらの実施例に限定されるものではないことが明らかである。
【0071】
【表2】

【0072】
【表3】

【0073】
【表4】

【0074】
【表5】

【0075】
前述の配合物の成分は、当業者に既知の方法により、湿分が入らないように、また配合物に空気が混入しないように特に注意を払って混合される。これは、通常、減圧下で配合することによって達成される。
ここで、アルコキシル化生成物を用いて調製された配合物を比較すると、意外なことに、実施例3で、実施例2と比較して低いGlyEO付加物生成温度で調製されたアルコキシル化生成物は、配合物の硬化の改善を可能にすることが認められる。従って、表5に示す配合物では約20分後に膜形成を認めることができるが、それに対して表4に示す配合物は、同じ条件で膜形成に約35〜40分かかる。対照的に、表4の硬化した配合物の極限伸びは悪影響を受けていない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)のアルコキシル化生成物:
【化1】


(式中、
=ポリオキシアルキレン残基、ポリエーテル残基、ポリエーテルアルコキシ残基を含む群から選択される、炭素鎖が酸素原子によって中断されていてもよく、アルコキシシリル側鎖基を含有する置換基を有してもよく、またはアルコキシシリル基で直接置換されている、アルコキシ基、アリールアルコキシ基またはアルカリールアルコキシ基のタイプの1価〜6価の官能性の飽和または不飽和かつ直鎖または分枝状有機残基であるか、
あるいは、単縮環もしくは多縮環フェノール基に対応するか、
あるいは、アルコール、ポリエーテルオール、ポリエステルオール、シロキサン、過フッ素化ポリエーテルオール、(ポリ)ウレタンまたは糖を含む群から選択される一ヒドロキシル化もしくは多ヒドロキシル化または多置換化合物から誘導することができ、
=炭素数1〜8のアルキル基であり、
=炭素数1〜8のアルキル基であり、
=水素基または炭素数1〜8のアルキル基であり、
=互いに独立して、水素基、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、またはアルカリール基であり、
11=鎖が酸素によって中断されていてもよく、かつ、他の官能基、カルボキシル基またはエステル基を有してもよい炭素数1〜8の飽和または不飽和アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアルカリール基、アリル基またはポリアクリル酸エステルであり、
およびR=互いに独立してRであり、
およびR=互いに独立してRであり、
10=Rであり、但し、
=Hの場合、R10は炭素数2〜8のアルキル基であり、R=メチルの場合、R10は炭素数1〜8のアルキル基であり、いずれの場合も水素ではなく、
a=0〜1000であるが、但し、置換基Rがアルコキシシリル基を有していない場合またはそれ自体がアルコキシシリル基で直接置換されていない場合、「a」は1以上でなければならず、
b=0〜1000であり、
c=互いに独立してbであり、
d=互いに独立してbであり、
但し、指数a、b、cおよびdを有する基は、分子鎖上で自由に交換されてもよく、
e=1〜10であり、
g+f=3であり、gは少なくとも1であり、
h=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり、但し、
指数a、b、cおよびdを有するフラグメントおよび前記置換基Rのポリオキシアルキレン鎖の両方の様々なモノマー単位は、互いにブロック状に構成されていてもよく、または、ランダムに分布されており、さらに互いに自由に交換可能である)。
【請求項2】
が、ポリオール、EO−ポリエーテルオール、PO−ポリエーテルオールまたはEO/PO−ポリエーテルオール、ポリエステルオール、グリセロール、ポリグリセロール、ポリTHF、フェノール、アルキルおよびアリールフェノール、ビスフェノールA、ノボラック、ヒドロキシカルボン酸、シロキサノール、シロキサンジオール、ヒマシ油、リシノール酸、糖、ラクトン、セルロース、メタノール、エタノール、n−、i−プロパノール、n−、i−またはt−ブタノール、2−ブタノール、オクタノール、アリルアルコール、ドデカノール、ステアリルアルコール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジ−、トリ−およびポリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジ−およびポリプロピレングリコール、OH−官能性ポリオレフィン、OH−官能性ポリブタジエン、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブチンジオール、テトラメチルデシンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、セルロース糖、リグニン、または天然物質をベースとするヒドロキシル基を有する化合物から誘導される残基であって、それ自体がアルコキシシリル基を有してもよく、またはアルコキシシリル基を有する置換基を有する残基である、請求項1に記載の式(I)のアルコキシル化生成物。
【請求項3】
アルコキシル化ブチレンオキシド−(CO)H(n=1〜100)の末端ブロックが存在することを特徴とする、請求項1に記載の式(I)のアルコキシル化生成物。
【請求項4】
ヒドロキシル基を有する出発化合物R−HからDMC触媒を使用して式(I)のアルコキシル化生成物を製造する方法であって、アルコキシル化反応において、まず、任意選択により、アルキレンオキシド、エポキシ官能性アルコキシシラン、グリシジル化合物および/またはラクトンを任意の順番で付加させ、最終アルコキシル化工程において、式(Ia)のエポキシドの少なくとも1つのモノマー単位を
【化2】


(式中、
およびR=水素基または炭素数1〜8のアルキル基、好ましくは、メチルまたはエチルであり、
10=水素基または炭素数1〜8のアルキル基、好ましくは、メチルまたはエチルであり、
但し、R=Hの場合、R10は炭素数2〜8のアルキル基であり、R=メチルの場合、R10は炭素数1〜8のアルキル基であり、いずれの場合も水素ではない)
前記ポリマー鎖のOH官能基に付加させることを特徴とする方法。
【請求項5】
最後のアルコキシル化工程においてブチレンオキシドまたはイソブチレンオキシドをエポキシドとして使用することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の式(I)の少なくとも1種の化合物を含有する、硬化性組成物。
【請求項7】
少なくとも1種の硬化触媒を含有する、請求項6に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
乳化剤を含有することを特徴とする、溶液、乳濁液、分散体または懸濁液の形態の請求項6または7に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
希釈剤、触媒、可塑剤、充填剤、溶媒、乳化剤、接着促進剤、レオロジー添加剤、化学的乾燥用添加剤、および/または、熱ストレスおよび/または化学的ストレスおよび/または紫外線および可視光線によるストレスに対する安定化剤、チキソトロープ剤、難燃剤、発泡剤または消泡剤、脱泡剤、フィルム形成ポリマー、抗微生物剤および防腐剤、抗酸化剤、着色剤、染料および顔料、不凍剤、殺真菌剤、反応性希釈剤、キレート化剤、湿潤剤、共架橋剤、噴霧助剤、ビタミン、成長促進物質、ホルモン、薬理活性物質、着臭剤、ラジカル捕捉剤、および/または他の添加剤を含む群から選択される少なくとも1種の他の添加剤を含有する、請求項6〜8のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
少なくとも1種の化学的または物理的発泡剤をさらに含有する、請求項6〜9のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
請求項6〜10のいずれか1項に記載の硬化性組成物を含有する接着剤またはシーリング材またはコーティング剤。
【請求項12】
請求項6〜10のいずれか1項に記載の硬化性組成物、または請求項11に記載の接着剤およびシーリング材またはコーティング物質を使用して製造される、成形品、液状ペースト、粉体コーティング用硬化剤、粒子、織布または複合材料。
【請求項13】
難燃性熱可塑性ポリマーコンパウンド、難燃性隔壁またはケーブルシースの形態の請求項12に記載の成形品。
【請求項14】
シート状または粒子状または繊維状の基材表面の封止および/または接着および/または発泡および/またはコーティングのための請求項6〜9のいずれか1項に記載の硬化性組成物の使用。
【請求項15】
建設要素、部品、金属および建材、鉄、鋼、特殊鋼および鋳鉄、固体の金属または非金属酸化物または炭化物を含有するセラミック材料、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムまたは酸化カルシウム、および無機基材、有機基材、複合材料、木材複合材料、コルク、木材またはコルクからなるチップボードおよび繊維板、MDFボード、WPC物品、コルク物品、積層品、セラミック、天然繊維、合成繊維および/または木材を含む群から選択される、多孔質または非多孔質粒子状または平坦な基材の封止および/または接着および/または発泡および/またはコーティングのための請求項14に記載の使用。
【請求項16】
皮膚、毛髪または皮膚付属器の永続的または非永続的処理のための化粧品における、請求項6〜10のいずれか1項に記載の硬化性組成物の使用。
【請求項17】
塗料、ポリマーコンパウンド、ナノコンポジット、マスターバッチまたは液状ペースト、ポリマー発泡体、有機樹脂またはシリコーン樹脂における、請求項6〜10のいずれか1項に記載の硬化性組成物の使用。

【公開番号】特開2012−31412(P2012−31412A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−167574(P2011−167574)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】