説明

少なくとも1種の有機ケイ素原子−含有化合物を含む化粧料組成物を、ケラチン繊維をケアし及び/又は洗浄するための組成物と組合せた使用

【課題】毛髪等のケラチン繊維をケアし及び/又は洗浄するための組成物を、化粧学的に許容される媒体中に、1又はそれ以上の有機ケイ素原子-含有化合物を含む化粧料組成物と組合せた使用を提供する。
【解決手段】本発明は、化粧学的に許容される媒体中に、1又はそれ以上の有機ケイ素原子-含有化合物を、ケラチン繊維、特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪をケアし及び/又は洗浄するための組成物と組合せた使用に関し、さらに、本発明は、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維、例えば毛髪を化粧処置する方法であって、該方法が、化粧学的に許容される媒体中に、1又はそれ以上の有機ケイ素原子-含有化合物を、ケアし及び/又は洗浄するための組成物と組合せて含む化粧組成物を適用することからなる、前記方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維、例えば毛髪をケアし及び/又は洗浄するための組成物を、化粧学的に許容される媒体中に、1又はそれ以上の有機ケイ素原子-含有化合物を含む化粧料組成物と組合せた使用に関する。本発明は、またケラチン繊維の処置方法にも係り、該方法は化粧学的に許容される媒体中に、1又はそれ以上の有機ケイ素原子-含有化合物を含む化粧料組成物を、ケア及び/又は洗浄用組成物と組合せて適用することからなる。
【背景技術】
【0002】
毛髪は、一般的に外的な大気中の因子、例えば光及び悪天候の作用により、また機械的又は化学的な処置、例えばブラシ掛け、梳り、染色、漂白、パーマ掛け及び/又は直毛化によって、損傷を受けまた脆弱化される。
従って、これらの諸欠点を解消するために、最近では、ヘアケアトリートメントの助けを借りることが一般的であり、該トリートメントは、特に柔軟性、光沢、及び自然な感触を該毛髪に付与することによって、該毛髪をコンディショニングし、またスタイリング効果を得ることを可能とする、ケア製品の使用を含む。
これらヘアケア組成物は、特にゲル、ヘアローション又は多少とも濃厚なクリームの形状で提供することのできる、コンディショニングシャンプー又はコンディショナーであり得る。
その上、消費者は、益々、毛髪を適切にコンディショニングするばかりでなく、満足なスタイリング効果を与えることをも可能とする、ケア組成物に注目していることが分かっている。
特に、繊細な又はカールした毛髪を持つ人々は、該毛髪に対する質量感、ボディ及びボリュームに寄与するスタイリング効果を与え、さらにカールした毛髪に規定の形状を与える、ケア製品に注目している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のケア組成物は、特にカールの施された形状及びボリューム関して、比較的弱くまた不均一なスタイリング効果をもたらした。
これは、化粧学的に活性な有機化合物、例えばシリコーン及びカチオン性ポリマーの、ケア組成物、例えばコンディショナーへの配合が、毛髪に、櫛通り性、しなやかさ及び軽快性を付与することを可能とすることが知られているからである。しかし、毛髪に寄与する該スタイリング特性は、疑いもなく、依然として不十分なままである。
従って、上記の如き一群の諸欠点を示さない、即ち特に満足なスタイリング効果を与える、毛髪処置法の利用に対する実際上の要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願人会社は、驚いたことに、該所望の特性を得るために、ケラチン繊維に対して、1又はそれ以上の、以下において定義されるような有機ケイ素原子-含有化合物を含む化粧料組成物と、ケラチン繊維をケアし及び/又は洗浄するための組成物とを組合せて使用することが可能であることを見出した。
該用語「組合せ」とは、本発明の意味においては、1又はそれ以上の、以下において定義されるような有機ケイ素原子-含有化合物を含む該化粧料組成物及び該ケア及び/又は洗浄用組成物が、該ケラチン繊維に対して、順次適用できることを意味するものと理解される。
このことは、このような有機ケイ素原子-含有化合物を含む化粧料組成物を、ケア及び/又は洗浄用組成物、例えばシャンプー又はコンディショナーと組合せた使用が、個々の毛髪の満足な被覆、即ち満足なスタイリング効果の達成を可能とすることを見出したことによる。
【0005】
特に、ケア及び/又は洗浄用組成物との組合せで使用される、本発明の該組成物は、毛髪のスタイル、特に繊細な毛髪のスタイルに、ボリューム、ボディ及び形態維持特性を付与し、かつカールに生彩さを与え、かくして形状において良好に規定されたカールの施された毛髪を得ることを可能とする。
このようにして得られる該スタイリング効果は、単独で使用されたケア及び/又は洗浄用組成物によって付与された効果よりも、さらに一層顕著である。
その上、該ケア及び/又は洗浄用組成物を補充するのに使用された該組成物は、該スタイリング効果を改善するのみならず、単独で使用された該ケア及び/又は洗浄用組成物によって付与された化粧学的諸特性の改善をも可能とする。
これは、本発明の該化粧料組成物がケア及び/又は洗浄用組成物を補う目的で使用され他場合には、さらに、該ケア及び/又は洗浄用組成物が単独で使用された場合と比較して、毛髪の光沢、しなやかさ及び滑らかさを改善できることを見出したことによるものである。
【0006】
さらに、有機ケイ素原子-含有化合物を含む組成物を、ケア及び/又は洗浄用組成物に対する前-処理として適用する場合、この組成物によって付与される該スタイリング効果は、シャンプー又はコンディショナーの適用に耐え得ることも観測されている。これは、ユーザーがシャンプー又はコンディショナーを使用した際に、該前-処理によって獲得した該効果を失わないことから、有利なことである。
また、ケア及び/又は洗浄用組成物との組合せで使用される、本発明の化粧料組成物によって、個々の毛髪が良好な分離性を維持し、またより一層容易に櫛で梳くことができることをも見出した。
上記用語「ケア組成物」とは、本発明の意味において、好ましくはケラチン繊維の色及び/又はその保全性に対して有意な様式で、有害な影響を与えず、しかも該繊維の外観及び/又はコンディショニング特性を改善する、非-洗浄型の組成物を意味するものと理解される。このケア組成物は、乾燥、パーマ掛け、より詳しくは還元及び定着組成物(酸化性組成物)、及び直毛化組成物を除外する。
【0007】
本発明によれば、該ケア組成物は、該組成物の全質量を基準として、4質量%未満のアニオン性界面活性剤、好ましくは2質量%未満のアニオン性界面活性剤及びより好ましくは1質量%未満のアニオン性界面活性剤を含む。
本発明は、特に、化粧学的に許容される媒体中に、ケイ素原子1個を含むシラン及び2又は3個のケイ素原子を含むシロキサンから選択される、1又はそれ以上の有機ケイ素原子-含有化合物を含む化粧料組成物を、ケラチン繊維、特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪をケアし及び/又は洗浄するための組成物と組合せた使用に係り、ここで該有機ケイ素原子-含有化合物は、付随的に、1分子当たり、1又はそれ以上の塩基性化学官能基及び1又はそれ以上のヒドロキシル又は加水分解性の基を含み、該シランは、以下に定義するような一般式(I)で示される化合物から選択され、また該化粧料組成物及び該ケア及び/又は洗浄用組成物は、該ケラチン繊維に順次適用される。
換言すれば、化粧学的に許容される媒体中に、1又はそれ以上の上で定義したような有機ケイ素原子-含有化合物を含む該化粧料組成物は、ケラチン繊維をケアし及び/又は洗浄するための組成物を補うのに使用される。
【0008】
本発明のもう一つの課題は、ケラチン繊維を化粧学的に処置するための方法を提供することにあり、該方法は、化粧学的に許容される媒体中に、1又はそれ以上の、上記のような有機ケイ素原子-含有化合物を含む該化粧料組成物及びケア及び/又は洗浄用組成物を、該ケラチン繊維に、順次適用する工程と、場合により放置期間の経過後にあるいは実際に乾燥した後に、リンスするか又はリンスしないで放置する工程を含む。
本発明のその他の課題及び特徴並びに局面及び利点は、以下に与えられる説明並びに例を読むことにより、より一層明確に理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の化粧料組成物において使用する上記有機ケイ素原子-含有化合物は、1個のケイ素原子を含むオルガノシラン、及び2又は3個のケイ素原子、好ましくは2個のケイ素原子を含むオルガノシロキサンから選択される。これらは、さらに1又はそれ以上の塩基性化学官能基を含む必要があり、また恐らくは、さらに1個だけの塩基性化学官能基を含むべきである。該塩基性化学官能基は、水に対する溶解度を損なうことなしに、該ケイ素原子-含有化合物に塩基性の特性を付与する、任意の官能基に相当するものであり得、また好ましくはアミン官能基、例えば第一、第二又は第三アミン官能基である。本発明の該ケイ素原子-含有化合物に係る該塩基性化学官能基は、場合により他の官能基、例えば他のアミン官能基、酸官能基又はハロゲン官能基を含むこともできる。
本発明による化粧料組成物において使用する上記1又は複数の有機ケイ素原子-含有化合物は、付随的に、1分子当たり2又はそれ以上の加水分解性の基又はヒドロキシル基を含む。該加水分解性の基は、好ましくはアルコキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子である。これらは、また場合により他の化学官能基、例えば酸官能基を含むこともできる。
本発明による化粧料組成物において使用する1又は複数の上記オルガノシランは、以下の一般式(I)で表される化合物から選択される:
【0010】
【化1】

【0011】
該一般式(I)において、
R4は、ハロゲン原子又はOR'又はR'1基を表し;
R5は、ハロゲン原子又はOR”又はR'2基を表し;
R6は、ハロゲン原子又はOR'''又はR'3基を表し;
R1、R2、R3、R'、R”、 R'''、R'1、R'2及びR'3は、夫々独立に、飽和又は不飽和の、及び直鎖又は分岐鎖の、場合により付随的な化学基を持つ炭化水素基を表し、R1、R2、R'、R”及びR'''は、さらに水素原子を表すことができ、及びR4、R5及びR6の少なくとも2つは、夫々OR'、OR”及びOR'''を表し、R'、R”及びR'''の少なくとも2つは、水素原子以外の基である。
好ましくは、該基R1、R2、R'、R'1、R'2、R'3、R”及びR'''は、C1-C12アルキル基、C6-C14アリール基、(C1-C8)アルキル(C6-C14)アリール基及び(C6-C14)アリール(C1-C8)アルキル基から選択される。
もう一つの特定の態様によれば、1又は複数の該オルガノシロキサンは、以下の一般式(II)で表される化合物から選択される:
【0012】
【化2】

【0013】
ここで、R1、R2、R3、R5及びR6は、上記定義通りであり、
R'4は、ハロゲン原子又はOR11基を表し、
R7は、ハロゲン原子又はOR10基又はR”1基を表し、
R9は、ハロゲン原子又はOR8、R”2又はR3NR1R2基を表し、
R”1、R”2、R8、R10及びR11は、飽和又は不飽和の、及び直鎖又は分岐鎖の、場合により付随的な化学基を持つ炭化水素基を表し、該基R8、R10及びR11は、さらに水素原子を表すことができ、該基R6、R7及びR9の少なくとも1つは、ハロゲン原子又はOR'''、OR10又はOR8基を表す。
好ましくは、R”1、R”2、R8又はR10及びR11は、C1-C12アルキル基、C6-C14アリール基、(C1-C8)アルキル(C6-C14)アリール基及び(C6-C14)アリール(C1-C8)アルキル基から選択される。
特に、該ハロゲン原子は、塩素原子である。
本発明による化粧料組成物において使用する1又は複数の上記ケイ素原子-含有化合物は、好ましくは以下の一般式(III)で表される化合物から選択されるオルガノシランである:
【0014】
【化3】

【0015】
ここで、同一又は異なっている基Rは、C1-C6、好ましくはC1-C2アルキル基から選択され、nは1〜6なる範囲、好ましくは2〜4なる範囲内の整数である。
好ましくは、該シラン又はシロキサンは、25±5℃なる温度にて、かつ大気圧下において、水に対して溶解性であり、またより好ましくは2質量%なる濃度において依然として溶解性であり、さらに好ましくは5質量%なる濃度において依然溶解性であり、またより一層好ましくは10質量%なる濃度において依然として水に溶解性である。該用語「溶解性」とは、単一の巨視的な相を形成することを意味するものと理解される。
特に好ましくは、本発明による化粧料組成物中に存在する該有機ケイ素原子-含有化合物は、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランである。
【0016】
1又は複数の該有機ケイ素原子-含有化合物は、本発明による化粧料組成物中に、該化粧料組成物の全質量を基準として、0.1〜20質量%なる範囲の含有率、好ましくは1〜15質量%なる範囲の含有率、及びより好ましくは2.5〜12質量%なる範囲の含有率で存在し得る。
本発明による化粧料組成物は、1又はそれ以上の有機酸を含むことができる。
該用語「有機酸」とは、カルボン酸、スルホン酸又はリン酸官能基から選択される1又はそれ以上の酸官能基を含む、任意の非-ポリマー型の有機化合物を意味するものと理解される。
好ましくは、該有機酸は、界面活性剤ではない。
より好ましくは、さらに該有機酸の分子量は、250未満、より一層好ましくは200未満である。
【0017】
該有機酸は、アミノ酸であり得る。
1又は複数の該有機酸は、好ましくは酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、乳酸、リンゴ酸、グリコール酸、アスコルビン酸、マレイン酸、フタール酸、コハク酸、タウリン、酒石酸、アルギニン、グリシン、グルクロン酸、グルコン酸及びクエン酸から選択される。
さらに一層好ましくは、本発明による該有機酸は、カルボン酸である。
より一層好ましくは、本発明の組成物において使用する該有機酸は、酢酸、クエン酸、及び好ましくは乳酸である。
本発明の組成物において、該有機酸は、遊離酸又は塩の形態であり得る。
本発明の組成物において使用する、1又は複数の該有機酸は、該組成物中に、その全質量を基準として、0.1〜10質量%なる範囲の、遊離酸として表した含有率、好ましくは0.5〜8質量%なる範囲の含有率、さらに一層好ましくは1〜5質量%なる範囲内の含有率で存在し得る。
該用語「化粧学的に許容される媒体」とは、ケラチン繊維、例えば毛髪と相溶性の媒体を意味するものと理解される。
【0018】
該化粧学的に許容される媒体は、水又は水と1又はそれ以上の、低級C1-C4アルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、tert-ブタノール又はn-ブタノール;ポリオール、例えばグリセロール、プロピレングリコール及びポリエチレングリコール;及びこれらの混合物から選択される化粧学的に許容される溶媒との混合物で構成される。
本発明による化粧料組成物は、3〜11なる範囲及び好ましくは7〜10なる範囲のpHを呈する。
本発明による化粧料組成物は、さらに1又はそれ以上の、当分野において周知の従来の添加剤、例えば天然又は合成増粘剤又は粘度調節剤;C12-C30脂肪アルコール;セラミド、脂肪エステル、例えばイソプロピルミリステート、ミリスチルミリステート、セチルパルミテート及びステアリルステアレート;鉱物、植物又は合成オイル、例えばα-オレフィン又はパーム油;ビタミン又はプロビタミン;カチオン性又は両性ポリマー;本発明による上記有機ケイ素原子-含有化合物以外のシリコーン;pH-安定化剤;保存剤;及び着色剤を含むことができる。
【0019】
好ましくは、本発明による化粧料組成物は、1又はそれ以上の増粘剤を含む。
該1又はそれ以上の増粘剤は、セルロース系増粘剤、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びカルボキシメチルセルロース、グアーガム及びその誘導体、例えばジャガー(Jaguar) HP105としてロディア(Rhodia)社により市販されているヒドロキシプロピルグアー、微生物起源のガム、例えばザンタンガム及びスクレログルカンガム、合成増粘剤、例えばアクリル酸又はアクリルアミドプロパンスルホン酸の架橋されたホモポリマー、例えばカーボマー(Carbomer)、又はノニオン性、アニオン性、カチオン性、又は両性会合性ポリマー、例えばグッドリッチ(Goodrich)社によりペムレン(Pemulen) TR1又はTR2、チバ(Ciba)社によりサルケア(Salcare) SC90、ローム&ハース(Rohm & Haas)社によりアクリン(Aculyn) 22、28、33、44又は46及びアクゾ(Akzo)社によりエルファコス(Elfacos) T210及びT212なる名称の下で市販されているポリマーから選択することができる。
当業者は、該随意の添加剤及びその量を選択する上で、本発明による組成物の上記諸特性を害することのないように、注意するであろう。
【0020】
これら添加剤は、一般に、本発明の上記シラン及び/又はシロキサンを含む該組成物の全質量に対して、0〜20質量%なる範囲内の量にて、本発明の組成物中に存在する。
本発明による化粧料組成物は、様々な形態、例えばゲル、ローション又はクリームとして提供することができる。
本発明による化粧料組成物及び該ケア及び/又は洗浄用組成物は、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維、例えば毛髪に、順次適用される。
特に、本発明による化粧料組成物は、ケラチン繊維をケアし及び/又は洗浄するための組成物に対する前-又は後-処理剤として適用される。
この場合、ケラチン繊維をケアし及び/又は洗浄するための組成物に対する前-又は後-処理剤として使用される該化粧料組成物は、洗流しモード又は放置モードで適用でき、即ちその適用は、リンス操作を伴うか、あるいはこれを伴わない。
より一層好ましくは、本発明による化粧料組成物は、ケラチン繊維をケアし及び/又は洗浄するための組成物に対する前-処理剤として使用される。
該ケア及び/又は洗浄用組成物は、1又はそれ以上のカチオン性界面活性剤を含むことができる。
【0021】
特に、カチオン性界面活性剤の例としては、場合によりポリオキシアルキレン化された第一、第二又は第三脂肪アミンの塩、及び場合によりポリオキシアルキレン化された四級アンモニウム塩を挙げることができる。
好ましくは、該カチオン性界面活性剤は、場合によりポリオキシアルキレン化された四級アンモニウム塩から選択される。
特に、四級アンモニウム塩の例としては、以下に列挙するものを挙げることができる:
・以下の一般式(IV)で示されるもの:
【0022】
【化4】

【0023】
ここで、同一又は異なっている、基R8〜R11は、1〜30個なる範囲の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖脂肪族基又は芳香族基、例えばアリール又はアルキルアリール基を表す。該脂肪族基は、ヘテロ原子、例えば特に酸素、窒素、硫黄及びハロゲン原子を含むことができる。
該脂肪族基は、例えばアルキル基、アルコキシ基、ポリオキシ(C2-C6)アルキレン基、アルキルアミド基、(C12-C22)アルキルアミド(C2-C6)アルキル基、(C12-C22)アルキルアセテート基又は約1〜30個なる範囲の炭素原子を含むヒドロキシアルキル基から選択され;Xは、ハライド、ホスフェート、アセテート、ラクテート、(C2-C6)アルキルサルフェート、又はアルキル-又はアルキルアリール-スルホネートからなる群から選択されるアニオンである;
・イミダゾリン四級アンモニウム塩、例えば以下の式(V)で表されるもの:
【0024】
【化5】

【0025】
ここで、R12は、8〜30個なる範囲内の炭素原子を含むアルケニル又はアルキル基、例えばタロウ脂肪酸の誘導体を表し、R13は、水素原子、C1-C4アルキル基又は8〜30個なる範囲内の炭素原子を含むアルケニル又はアルキル基を表し、R14は、C1-C4アルキル基を表し、R15は、水素原子又はC1-C4アルキル基を表し、またX-は、ハライド、ホスフェート、アセテート、ラクテート、アルキルサルフェート、又はアルキル-又はアルキルアリール-スルホネートからなる群から選択されるアニオンである。好ましくは、R12及びR13は、12〜21個なる範囲内の炭素原子を含むアルケニル又はアルキル基の組合せ、例えばタロウ脂肪酸の誘導体を表し、R14は、メチル基を表し、またR15は、水素原子を表す。このような製品は、例えばレボ(Rewo)社によりレボカット(RewoquatTM) W75なる名称の下で市販されている;
・以下の式(VI)で表されるジ-四級アンモニウム塩:
【0026】
【化6】

【0027】
ここで、R16は、約16〜30個なる範囲の炭素原子を含む脂肪族基を表し、同一又は異なっているR17、R18、R19、R20及びR21は、水素原子又は1〜4個なる範囲の炭素原子を含むアルキル基から選択され、またXは、ハライド、アセテート、ホスフェート、ニトレート及びメチルサルフェートからなる群から選択されるアニオンである。このようなジ-四級アンモニウム塩は、特にプロパンタロウジアンモニウムジクロリドを含む;
・少なくとも一つのエステル官能基を含む四級アンモニウム塩、例えば以下の一般式(VII)で表されるもの:
【0028】
【化7】

【0029】
ここで、
R22は、(C1-C6)アルキル基及びC1-C6ヒドロキシアルキル基又はジヒドロキシアルキル基から選択され;R23は、以下に列挙する基から選択され:
・以下の式で表される基:
【0030】
【化8】

【0031】
・飽和又は不飽和の、かつ直鎖又は分岐鎖のC1-C22炭化水素基R27
・水素原子;
R25は、以下に列挙する基から選択され:
・以下の式で表される基:
【0032】
【化9】

【0033】
・飽和又は不飽和の、かつ直鎖又は分岐鎖のC1-C6炭化水素基R29
・水素原子;
同一又は異なる、R24、R26及びR28は、飽和又は不飽和の、かつ直鎖又は分岐鎖のC7-C21炭化水素基から選択され;
同一又は異なるr、s及びtは、2〜6なる範囲の整数であり;
yは、1〜10なる範囲内の整数であり;
同一又は異なるx及びzは、0〜10なる範囲内の整数であり;
X-は、有機又は無機の、かつ単純又は複合アニオンであり;
但し、和:x+y+zは、1〜15なる範囲の数であり、xが0なる値を持つ場合、R23は、R27を表し、またzが0なる値を持つ場合、R25は、R29を表す。
該R22アルキル基は、直鎖又は分岐鎖アルキル基であり得、またより具体的には直鎖アルキル基であり得る。
好ましくは、該R22アルキル基は、メチル、エチル、ヒドロキシエチル又はジ-ヒドロキシプロピル基であり、またより具体的にはメチル又はエチル基を表す。
【0034】
有利には、該和:x+y+zは、1〜10なる範囲内の値を持つ。
R23が、R27炭化水素基である場合、これは長鎖炭化水素基であり得、また12〜22個の炭素原子を持つことができ、あるいは短鎖炭化水素基であり得、また1〜3個の炭素原子を持つことができる。
R25が、R29炭化水素基である場合、これは、好ましくは1〜3個の炭素原子を持つ。
有利には、同一又は異なる、R24、R26及びR28は、飽和又は不飽和の、かつ直鎖又は分岐鎖のC11-C21炭化水素基から選択され、またより特定的には、飽和又は不飽和の、かつ直鎖又は分岐鎖のC11-C21アルキル及びアルケニル基から選択される。
好ましくは、同一又は異なる、x及びzは、0又は1なる値を持つ。
有利には、yは、1に等しい。
好ましくは、同一又は異なるr、s及びtは、2又は3なる値を持ち、及びより一層特定的には2に等しい。
【0035】
該アニオンは、好ましくはハライド(クロライド、ブロマイド又はアイオダイド)又はアルキルサルフェート、より特定的には、メチルサルフェートである。しかし、メタンスルホネート、ホスフェート、ニトレート、トシレート、有機酸から誘導されるアニオン、例えばアセテート又はラクテート、又はエステル官能基を含む、該アンモニウムと相溶性の、任意の他のアニオンを使用することができる。
該アニオンX-は、さらに一層特定的には、クロライド又はメチルサルフェートである。
より特定的には、本発明の組成物においては、上記式(VII)で示されるアンモニウム塩を使用し、この場合:
R22は、メチル基又はエチル基を表し;
x及びyは、1に等しく;
zは、0又は1に等しく;
r、s及びtは、2に等しく;
R23は、以下に列挙するものから選択され:
・以下の式で表される基:
【0036】
【化10】

【0037】
・メチル、エチル又はC14-C22炭化水素基;
・水素原子;
R25は、以下に列挙するものから選択され:
・以下の式で表される基:
【0038】
【化11】

【0039】
・水素原子;
同一又は異なる、R24、R26及びR28は、飽和又は不飽和の、かつ直鎖又は分岐鎖のC13-C17炭化水素基から選択され、また好ましくは、飽和又は不飽和の、かつ直鎖又は分岐鎖のC13-C17アルキル及びアルケニル基から選択される。
有利には、該炭化水素基は、直鎖炭化水素基である。
例えば、上記式(VII)の化合物、例えばジアシルオキシエチルジメチルアンモニウム、ジアシルオキシエチル(ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム、モノアシルオキシエチルジ(ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム、トリアシルオキシエチルメチルアンモニウム又はモノアシルオキシエチル(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウム塩(特に、クロライド又はメチルサルフェート)、及びこれらの混合物を挙げることができる。該アシル基は、好ましくは14〜18個の炭素原子を持ち、またより特定的には、植物油、例えばパーム油又はヒマワリ油を起源とするものである。該化合物が、幾つかのアシル基を持つ場合、該アシル基は、同一又は異なるものであり得る。
【0040】
これらの製品は、例えば場合によりオキシアルキレン化された、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アルキルジエタノールアミン又はアルキルジイソプロパノールアミンの、脂肪酸又は植物又は動物起源の脂肪酸の混合物で、直接エステル化することにより、あるいはこれらのメチルエステルのエステル交換反応によって得られる。このエステル化の後、アルキル化剤、例えばアルキルハライド(好ましくはメチル又はエチルハライド)、ジアルキルサルフェート(好ましくはジメチル又はジエチルサルフェート)、メチルメタンスルホネート、メチルp-トルエンスルホネート、グリコールクロロヒドリン又はグリセロールクロロヒドリンを使用した四級化を行う。
このような化合物は、例えばヘンケル(Henkel)社によりデハイカート(DehyquartTM)なる名称、ステパン(Stepan)社によりステパンカット(StepanquatTM)なる名称、セカ(Ceca)社によりノキサミウム(NoxamiumTM)なる名称又はレボ-ウイトコ(Rewo-Witco)社によりレボカット(RewoquatTM) WE18なる名称の下で市販されている。
【0041】
該ケア及び/又は洗浄用組成物は、好ましくは四級アンモニウムモノ-、ジ-及びトリ-エステル塩の、重量基準でジエステル塩を支配的に含む、混合物を含むことができる。
アンモニウム塩の混合物としては、例えば15〜30質量%のアシルオキシエチルジ(ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルサルフェート、45〜60質量%のジアシルオキシエチル(ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルサルフェート及び15〜30質量%のトリアシルオキシエチルメチルアンモニウムメチルサルフェートを含む混合物を挙げることができ、該アシル基は、14〜18個の炭素原子を持ち、しかも場合により部分的に水添されている、パーム油を起源とするものを使用することができる。
また、特許US-A-4,874,554及びUS-A-4,137,180に記載されている1又はそれ以上のエステル官能基を含むアンモニウム塩を使用することができる。
【0042】
上記式(IV)で表される四級アンモニウム塩として好ましいものは、一方においては、テトラアルキルアンモニウムクロライド、例えばジアルキルジメチルアンモニウム又はアルキルトリメチルアンモニウム又はアルキルアラルキル-ジメチルアンモニウムクロライドであり、ここで該アルキル基は、約12〜22個の炭素原子を含み、特にベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド又はベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド、あるいはまた他方においては、パルミタミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド又はバンダイク(Van Dyk)社によりセラフィル(CeraphylTM) 70なる名称の下で市販されている、ステアラミドプロピルジメチル(ミリスチルアセテート)アンモニウムクロライドが挙げられる。
【0043】
好ましくは、該ケア及び/又は洗浄用組成物において使用する該カチオン性界面活性剤は、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド及びセチルトリメチルアンモニウムクロライド及びこれらの混合物から選択される。
1又はそれ以上の該カチオン性界面活性剤は、該ケア及び/又は洗浄用組成物の全質量に対して、及び好ましくは該ケア組成物の全質量に対して、0.1〜6質量%なる範囲の量で、好ましくは0.5〜3質量%なる範囲の量で存在する。
該ケア及び/又は洗浄用組成物は、またアニオン性、両性及びノニオン性界面活性剤から選択される、1又はそれ以上の界面活性剤を含むことができる。
好ましくは、該洗浄用組成物は、1又はそれ以上のアニオン性界面活性剤を含む。
【0044】
本発明の組成物において使用できるアニオン性界面活性剤は、特に、以下のような型:即ちアルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルアミドエーテルサルフェート、アルキルアリールポリエーテルサルフェート、モノグリセライドサルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアミドスルホネート、アルキルアリールスルホネート、α-オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート、アルキルスルホサクシネート、アルキルエーテルスルホサクシネート、アルキルアミドスルホサクシネート、アルキルスルホアセテート、アシルザルコシネート及びアシルグルタメート型の塩、特にアルカリ金属塩、例えばナトリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、アミノアルコール塩又はアルカリ土類金属塩、例えばマグネシウム塩から選択され、これら化合物全てのアルキル基及びアシル基は、6〜24個の炭素原子を持ち、また該アリール基は、好ましくはフェニル基又はベンジル基を表す。
【0045】
また、ポリグリコシドジカルボン酸のC6-24アルキルモノエステル、例えばアルキルグルコシドシトレート、アルキルポリグリコシドタルタレート及びアルキルポリグリコシドスルホサクシネート、アルキルスルホサクシナメート、アシルイセチオネート及びN-アシルタウレートを使用することも可能であり、これら化合物全てのアルキル基及びアシル基は、12〜20個の炭素原子を含む。
本発明の組成物において使用できる、もう一つのアニオン性界面活性剤群は、アシルラクチレート群であり、ここで該アシル基は、8〜20個の炭素原子を含む。
さらに、アルキル-D-ガラクトシドウロン酸及びその塩、並びにポリオキシアルキレン化(C6-24)アルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化(C6-24)アルキル(C6-24)アリールエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化(C6-24)アルキルアミドエーテルカルボン酸及びこれらの塩、特に2〜50個のエチレンオキサイド単位を含むもの、及びこれらの混合物を挙げることもできる。
【0046】
好ましくは、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート及びこれらの混合物、特にアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アミン又はアミノアルコール塩の形状にあるものを使用する。
1又はそれ以上の該アニオン性界面活性剤は、該洗浄用組成物の全質量に対して、少なくとも4質量%なる含有率で存在し得る。
1又はそれ以上の該アニオン性界面活性剤は、特に、該ケア及び/又は洗浄用組成物の全質量に対して、0.01〜50質量%なる範囲及び好ましくは0.1〜20質量%なる範囲の含有率で存在し得る。
好ましくは、該ケア用組成物は、アニオン性界面活性剤を含まないものである。
【0047】
本発明の組成物において使用できる、追加のノニオン性界面活性剤の例は、例えばM.R.ポーター(Porter)による「界面活性剤ハンドブック(Handbook of Surfactants)」, 1991, pp. 116-178, ブラッキー&サン(Blackie & Son)社(グラスゴウ及びロンドン)刊に記載されている。これらは、特にポリエトキシレート化、ポリプロポキシレート化又はポリグリセロレート化脂肪アルコール、α-ジオール、(C1-20)アルキルフェノール及び例えば8〜18個の炭素原子を含む脂肪鎖を有する酸から選択される。ここでエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド基の数は、特に2〜50なる範囲とすることができ、またグリセロール基の数は、特に2〜30なる範囲とすることができる。
また、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドと脂肪アルコールとの縮合物;好ましくは2〜30個のエチレンオキサイド単位を持つポリエトキシレート化脂肪アミド、平均して1〜5個及び特に1.5〜4個のグリセロール基を含む、ポリグリセロレート化脂肪アミド、2〜30個のエチレンオキサイド単位を持つエトキシレート化ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、(C6-24アルキル)ポリグリコシド、N-(C6-24アルキル)グルカミン誘導体又はアミンオキサイド、例えば(C10-14アルキル)アミンオキサイド又はN-(C10-14アシル)アミノプロピルモルホリンオキサイドを挙げることができる。
【0048】
該追加のノニオン性界面活性剤が存在する場合、1又はそれ以上の該界面活性剤の量は、該ケア及び/又は洗浄用組成物の全質量に対して、好ましくは0.01〜20質量%なる範囲、より一層良好には、0.1〜10質量%なる範囲内にある。
該ケア及び/又は洗浄用組成物において使用できる、該両性又は双性イオン性界面活性剤は、特に脂肪族基が炭素原子数8〜22で、また少なくとも一つのアニオン性基、例えばカルボキシレート、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネート基を含む、直鎖又は分岐鎖である、脂肪族第二又は第三アミン誘導体であり得る。とりわけ、(C8-20)アルキルベタイン、スルホベタイン、(C8-20アルキル)アミド(C6-8アルキル)ベタイン又は(C8-20アルキル)アミド(C6-8アルキル)スルホベタインを挙げることができる。
アミン誘導体としては、ミラノール(MiranolTM)なる名称の下に市販されている製品、例えば特許US 2,528,378及びUS 2,781,354に記載され、CTFA辞典、第3版、1982に、夫々以下のような各構造(A)及び(B)を持つ、アンホカルボキシグリシネート(Amphocarboxyglycinate)及びアンホカルボキシプロピオネート(Amphocarboxypropionate)なる名称の下に分類されているものを挙げることができる:
【0049】
Ra-CONHCH2CH2-N(Rb)(Rc)(CH2COO-) (A)
ここで、
Raは、加水分解されたココナッツオイル中に存在する酸:Ra-COOH由来のアルキル基、又はヘプチル、ノニル又はウンデシル基を表し;
Rbは、β-ヒドロキシエチル基を表し;及び
Rcは、カルボキシメチル基を表す;及び
Ra'-CONHCH2CH2-N(B)(B') (B)
ここで、
Bは-CH2CH2OX'を表し;
B'は-(CH2)z-Y'を表し、ここでzは、1又は2であり;
X'は、-CH2CH2-COOH基、又は水素原子を表し;
Y'は、-COOH又は-CH2-CHOH-SO3H基を表し;
Ra'は、加水分解されたココナッツオイル又は加水分解された亜麻仁油中に存在する酸:Ra'-COOHのアルキル基、アルキル基、特にC17アルキル基及びそのイソ-型又は不飽和C17基を表す。
【0050】
これらの化合物は、CTFA辞典、第5版、1993に、二ナトリウムココアンホジアセテート、二ナトリウムラウロアンホジアセテート、二ナトリウムカプリルアンホジアセテート、二ナトリウムカプリロアンホジアセテート、二ナトリウムココアンホジプロピオネート、二ナトリウムラウロアンホジプロピオネート、二ナトリウムカプリルアンホジプロピオネート、二ナトリウムカプリロアンホジプロピオネート、ラウロアンホジプロピオン酸及びココアンホジプロピオン酸なる名称の下で分類されている。
例として、ロディア(Rhodia)社により、ミラノール(MiranolTM) C2Mコンセントレート(Concentrate)なる商品名の下に市販されている、ココアンホジアセテートを挙げることができる。
上記した両性又は双性イオン性界面活性剤としては、好ましくは(C8-20アルキル)ベタイン、(C8-20アルキル)アミド(C6-8アルキル)ベタイン及びこれらの混合物を使用する。
【0051】
これらが存在する場合、1種又はそれ以上の該両性又は双性イオン性界面活性剤の量は、該ケア及び/又は洗浄用組成物の全質量に対して、好ましくは0.01〜20質量%なる範囲、より一層良好には0.1〜10質量%なる範囲内にある。
該ケア及び/又は洗浄用組成物は、ケラチン繊維、特に毛髪を洗浄するために、例えばシャンプー、好ましくはコンディショニングシャンプーとして、又はさらにケラチン繊維のコンディショニングのために、例えばコンディショナーとして使用することができる。
好ましくは、該ケア組成物は、ビフォーコンディショナー及びコンディショナーとして使用することができる。
コンディショニングシャンプーの場合、該組成物は、1種又はそれ以上のアニオン性界面活性剤を含む。
好ましくは、該ケア及び/又は洗浄用組成物は、1種又はそれ以上のカチオン性界面活性剤を含むことが好ましい、洗流し又は放置型のコンディショナーである。
【0052】
該ケア及び/又は洗浄用組成物は、さらに1種又はそれ以上の当分野において周知の、従来の添加物、例えば天然又は合成増粘剤又は粘度調節剤;セラミド;上記前-又は後-処理用組成物において使用される、上記有機ケイ素原子-含有化合物以外のシリコーン;油状脂肪エステル、例えばイソプロピルミリステート;無機、植物又は合成オイル、例えばα-オレフィン;ビタミン又はプロビタミン;カチオン性又は両性ポリマー;pH-安定化剤;保存剤;及び着色剤を含むことができる。
本発明のもう一つの課題は、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維、例えば毛髪を化粧学的に処理するための方法であり、該方法は、化粧学的に許容される媒体中に、1種又はそれ以上の、上で定義した如き有機ケイ素原子-含有化合物を含有する化粧料組成物及びケア及び/又は洗浄用組成物を、該ケラチン繊維に、順次適用する工程;これら組成物を、随意の放置期間の経過後又は随意の乾燥処理後に、リンスするか又はリンスしないで放置する工程からなる。
【0053】
この処置方法は、化粧学的処置、例えばパーマ掛け、染髪、漂泊又は直毛処理に付されている天然のケラチン繊維について使用できる。
特に、本発明の処置方法は、該ケラチン繊維に、化粧学的に許容される媒体中に、1種又はそれ以上の、上で定義した如き有機ケイ素原子-含有化合物を含有する、前-処理用化粧料組成物を適用する工程;該化粧料組成物を、随意の放置期間の経過後又は随意の乾燥処理後に、リンスするか又はリンスしないで放置する工程;次いでケア及び/又は洗浄用組成物を適用する工程;及び該組成物を、随意の放置期間の経過後又は随意の乾燥処理後に、リンスするか又はリンスしないで放置する工程からなる。
この態様の場合、該ケア及び/又は洗浄用組成物は、好ましくはリンス型の組成物である。
【0054】
もう一つの他の形態によれば、該処置方法は、該ケラチン繊維に、ケア及び/又は洗浄用組成物を適用する工程;随意の放置期間の経過後又は随意の乾燥処理後に、該組成物をリンスするか又はリンスしないで放置する工程;次いで化粧学的に許容される媒体中に、1種又はそれ以上の、上で定義した如き有機ケイ素原子-含有化合物を含有する、後-処理用化粧料組成物を適用する工程;及び随意の放置期間の経過後又は随意の乾燥処理後に、該化粧料組成物をリンスするか又はリンスしないで放置する工程からなる。
好ましくは、該前-処理用組成物は、リンス型の組成物ではなく、即ちその適用が、リンス操作を伴わないような組成物である。
上に示したように、1種又はそれ以上の該有機ケイ素原子-含有化合物を含有する組成物による該前-処理が好ましい。
【0055】
該前-又は後-処理用組成物及び該ケア及び/又は洗浄用組成物の該放置時間は、数秒〜60分なる範囲及び好ましくは30秒〜15分間なる範囲内であり得る。
また、該前-又は後-処理用組成物及び該ケア及び/又は洗浄用組成物を、数回に渡り適用することも可能である。
ケラチン繊維上での該混合物の該放置期間は、数秒〜60分なる範囲及び好ましくは30秒〜15分間なる範囲内であり得る。
全ての場合において、場合により実施される該乾燥段階は、フード式ドライヤー、手持ち式ヘアドライヤー及び/又はアイロン(コテ)によって実施することができる。
【0056】
以下の例は、本発明を何ら限定することなしに、本発明を例示するのに役立つ。
例1
以下の例においては、繊細な毛髪及びカールした毛髪について得られるスタイリング効果を、コンディショナーに対する前-処理として使用される、本発明による組成物について評価した。
1. テストした組成物
組成物Aを、以下の表に示された成分から調製した。その量は、該組成物の全質量に対する、質量%単位で表されている。
【0057】
【表1】

【0058】
2. 手順
20人のモデル(10例の繊細な毛髪及び10例のカールした毛髪)が毛髪に、該組成物Aを適用した。中間のリンス無しに、30秒間の放置期間の経過後、該モデルは、活性主成分として0.8%AMのセチルトリメチルアンモニウムクロライド、1質量%のクオータニウム(quaternium) 80及び1.35質量%のジパルミトイルエチル-ヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェートを含有する、コンディショナー:ウルトラデュー(UltradouxTM)スリーズエナクル(Cerise et Nacre)を適用した。30秒後に、該毛髪をリンスし、乾燥した。
3. 結果
繊細な毛髪を有する10人の被検者は、例外なく、該前-処理の利用なしにコンディショナーを使用した場合よりも、該毛髪がより大きなボリュームを持つと考えた。
カールした毛髪を有する10人の被検者については、10人中7人が、その毛髪のカールが、その形状においてより良好に規定されたことを見出し、また10人中人名が、その毛髪のカールが、より鮮明になったことを見出した。
【0059】
例2
以下の例においては、繊細な毛髪及びカールした毛髪について得られるスタイリング効果を、シャンプーに対する前-処理として使用される、本発明による組成物について評価した。
1. テストした組成物
組成物B及び組成物Cを、以下の表に示された成分から調製した。該成分の量は、該組成物の全質量に対する、質量%単位で表されている。
【0060】
【表2】

*:組成物Bは、9に等しいpH値を示す。
【0061】
2. 手順
6gの組成物Bを、6人のモデルの頭部の一方の側に適用し、また6gの組成物Cを、比較のために、該頭部の他方の側に適用した。30秒間の放置期間の経過後、かつ中間におけるリンス処理なしに、15.5質量%のラウリルエーテル硫酸ナトリウム及び2.4質量%のココベタインを含有する、エルセブマルチビタミン(Elseve Multivitamin) 2-in-1シャンプー6gを、該頭部の両側に適用した。引続き該シャンプーをリンスし、該毛髪を乾燥させた。
3. 結果
引続き、熟練者のパネルによる比較評価を行い、1〜5なる範囲の等級を割当てた。これら等級の意味は、以下の表に併記されている:
【0062】
【表3】

【0063】
これらの結果は、湿潤した毛髪については、該毛髪が、シャンプーに対する前処理として使用した、本発明によらない組成物Cを用いた場合に比して、シャンプーに対する前処理として使用した、本発明による組成物Bを用いた場合に、より一層滑らかであり、かつより一層容易に櫛で梳くことができることを示している。
これらの結果は、また該シャンプーのリンス中に、該毛髪が、シャンプーに対する前処理として使用した、本発明によらない組成物Cを用いた場合に比して、シャンプーに対する前処理として使用した、本発明による組成物Bを用いた場合に、より一層滑らかであり、しかもより一層しなやかであることをも示す。
例3
以下の例においては、コンディショナーに対する前-処理として用いた、組成物について得られたスタイリング効果及び化粧学的諸特性を、該前-処理を、単なる水による処理に置換えた、コンディショナーにつき得られた同様な結果を比較した。
1. テストした組成物
例1に記載したものと同一の組成物Aを製造した。
2. 手順
6gの組成物Aを、洗髪されている6人のモデルの頭部の一方の側に適用し、また比較のために、6gの水を、該頭部の他方の側に適用した。30秒間の放置期間の経過後、かつ中間におけるリンス処理なしに、0.8%AMのセチルトリメチルアンモニウムクロライド、1質量%のクオータニウム(quaternium) 80及び1.35質量%のジパルミトイルエチル-ヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェートを含有する、ロレアルプロフェッショナルルミケア(L'Oreal Professionnal Lumi Care)コンディショナー6gを、上記頭部の両側に適用した。引続き、このコンディショナーをリンスし、また該毛髪を乾燥させた。この適用を、48時間間隔で、5日間の期間に渡り、順次3回に渡り繰返した。該毛髪の評価を、該3回目の適用中に実施した。
3. 結果
引続き、熟練者のパネルによる比較評価を行い、1〜5なる範囲の等級を割当てた。これら等級の意味は、以下の表に併記されている:
【0064】
【表4】

【0065】
これらの結果は、湿った毛髪については、該毛髪が、単なる水による前処理に比して、コンディショナーに対する前処理として使用した、本発明による組成物Aを用いた場合には、より一層柔軟性に富むことを示している。
これらの結果は、また乾いた毛髪について、該毛髪が、単なる水による前処理と比較して、コンディショナーに対する前処理として使用した、該組成物Aを用いた場合に、感触がより一層滑らかであり、しかも肉眼観察した際にも、より一層滑らかであることをも示している。
さらに、該毛髪は、より一層均一に被覆されていることも見出されたが、このことは、該毛髪により大きなボリュームを付与するものである。
例4
以下の例においては、本発明に従う、コンディショナーに対する後-処理として利用した組成物について得られたスタイリング効果及び化粧学的諸特性を、単なる水からなる後-処理と共に利用した、コンディショナーについて得られた効果及び特性と比較した。
1. テストした組成物
例1に記載したものと同一の組成物Aを製造した。
2. 手順
0.8%AMのセチルトリメチルアンモニウムクロライド、1質量%のクオータニウム(quaternium) 80及び1.35質量%のジパルミトイルエチル-ヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェートを含有する、ロレアルプロフェッショナルルミケア(L'Oreal Professionnal Lumi Care)コンディショナー6gを、洗髪した6名のモデルの、頭部の両側に適用した。30秒間の放置期間の経過後に、かつ中間の如何なるリンスもなしに、6gの組成物Aを、該頭部の片側に適用し、また6gの水を、比較のために該頭部の他の側に適用した。引続き、該毛髪をリンスし、次いで乾燥させた。この適用を、48時間なる間隔で、5日間の期間に渡り、順次3回に渡り繰返した。該毛髪の評価を、該3回目の適用中に実施した。
3. 結果
引続き、熟練者のパネルによる比較評価を行い、所定の基準に対して、1〜5なる範囲の等級を割当てた。これら等級の平均は、以下の表に併記されている:
【0066】
【表5】

【0067】
これらの結果は、湿った毛髪に関して、単なる水による後-処理と比較して、コンディショナーに対する後-処理として使用された該組成物Aが、個々の毛髪のより高い分離性を示し、かつ該毛髪がより良好に該組成物Aにより被覆されたことを示している。
これらの結果は、また乾いた毛髪に関して、該後-処理のない場合と比較して、コンディショナーに対する後-処理として使用された該組成物Aが、該毛髪のより高い光沢、及びより滑らかな感触を示し、かつ個々の毛髪のより高い分離性を示すことを明らかにしている。
さらに、コンディショナーに対する後-処理として使用された該組成物Aが、単なる水による後-処理と比較して、より大きなボリュームを、該毛髪に付与することをも分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧学的に許容される媒体中に、ケイ素原子1個を含むシラン及び2又は3個のケイ素原子を含むシロキサンから選択される、1又はそれ以上の有機ケイ素原子-含有化合物を含む化粧料組成物を、ケラチン繊維、特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪をケアし及び/又は洗浄するための組成物と組合せた使用であって、該有機ケイ素原子-含有化合物が、さらに1分子当たり、1又はそれ以上の塩基性化学官能基及び1又はそれ以上のヒドロキシル基又は加水分解性の基を含み、該シランが、以下の一般式(I)で表される化合物から選択され:
【化1】

ここで、
R4は、ハロゲン原子又はOR'又はR'1基を表し;
R5は、ハロゲン原子又はOR”又はR'2基を表し;
R6は、ハロゲン原子又はOR'''又はR'3基を表し;
R1、R2、R3、R'、R”、 R'''、R'1、R'2及びR'3は、夫々独立に、飽和又は不飽和の、及び直鎖又は分岐鎖の、場合により付随的な化学基を持つ炭化水素基を表し、R1、R2、R'、R”及びR'''は、さらに水素原子を表すことができ、及びR4、R5及びR6の少なくとも2つは、夫々OR'、OR”及びOR'''を表し、R'、R”及びR'''の少なくとも2つは、水素原子以外の基であり、
該化粧学的組成物及び該ケア及び/又は洗浄用組成物を、該ケラチン繊維に順次適用することを特徴とする、前記使用。
【請求項2】
前記有機ケイ素原子-含有化合物の前記塩基性化学官能基が、第一、第二又は第三アミノ基から選択される、請求項1記載の使用。
【請求項3】
前記加水分解性の基が、アルコキシ基、アリールオキシ基及びハロゲン原子から選択される、請求項1又は2記載の使用。
【請求項4】
1又は複数の前記シロキサン化合物が、以下の一般式(II):
【化2】

ここで、
R1、R2、R5及びR6は、上記定義通りであり、
R'4は、ハロゲン原子又はOR11基を表し、
R7は、ハロゲン原子又はOR10基又はR”1基を表し、
R9は、ハロゲン原子又はOR8、R”2又はR3NR1R2基を表し、
R”1、R”2、R8、R10及びR11は、飽和又は不飽和の、及び直鎖又は分岐鎖の、場合により付随的な化学基を持つ炭化水素基を表し、該基R8、R10及びR11は、さらに水素原子を表すことができ、該基R6、R7及びR9の少なくとも1つは、ハロゲン原子又はOR'''、OR10又はOR8基を表す、
で表される化合物から選択される、請求項1〜3の何れか1項に記載の使用。
【請求項5】
1又は複数の前記有機ケイ素原子-含有化合物が、以下の一般式(III):
【化3】

ここで、同一又は異なっている基Rは、C1-C6、好ましくはC1-C2アルキル基から選択され、nは1〜6なる範囲、好ましくは2〜4なる範囲内の整数である、
で表される化合物から選択される、請求項1〜4の何れか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記化粧料組成物が、さらに1又はそれ以上の有機酸をも含む、請求項1〜5の何れか1項に記載の使用。
【請求項7】
1又は複数の前記有機酸が、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、乳酸、グリコール酸、アスコルビン酸、マレイン酸、フタール酸、コハク酸、タウリン、酒石酸、アルギニン、グリシン、グルクロン酸、グルコン酸及びクエン酸から選択される、請求項1〜6の何れか1項に記載の使用。
【請求項8】
前記ケア及び/又は洗浄用組成物が、シャンプー又はコンディショナーである、請求項1〜7の何れか1項に記載の使用。
【請求項9】
前記化粧料組成物が、ケア及び/又は洗浄用組成物に対する前-処理又は後-処理として適用される、請求項1〜8の何れか1項に記載の使用。
【請求項10】
化粧学的に許容される媒体中に、請求項1〜5の何れか1項に記載した、1又はそれ以上の有機ケイ素原子-含有化合物を含む、前-処置用化粧料組成物を、ケラチン繊維に適用し、随意の放置期間後、又は随意の乾燥操作後に、リンスするか又はリンスしないで放置し、次いでケア及び/又は洗浄用組成物を、該ケラチン繊維に適用し、さらに随意の放置期間後、又は随意の乾燥操作後に、リンスするか又はリンスしないで放置することを特徴とする、ケラチン繊維の処置方法。
【請求項11】
ケア及び/又は洗浄用組成物を、ケラチン繊維に適用し、随意の放置期間後、又は随意の乾燥操作後に、リンスするか又はリンスしないで放置し、引続き化粧学的に許容される媒体中に、請求項1〜5の何れか1項に記載した、1又はそれ以上の有機ケイ素原子-含有化合物を含む、後-処置用化粧料組成物を、該ケラチン繊維に適用し、随意の放置期間後、又は随意の乾燥操作後に、リンスするか又はリンスしないで放置することを特徴とする、ケラチン繊維の処置方法。

【公開番号】特開2009−263368(P2009−263368A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−123560(P2009−123560)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】