説明

少なくとも1種の熱可塑性材料を含有する繊維状構造エーロゲル複合材料、その製造法、およびその使用

【課題】熱伝導性が低く、機械的に安定しており、マットまたはパネルの形態で簡単に製造できる、エーロゲル顆粒を基材とする複合材料を製造、提供すること。
【解決手段】少なくとも1個の繊維およびエーロゲル粒子を含んでなる構造を有する複合材料であって、繊維状構造が少なくとも1種の熱可塑性繊維材料を含み、その熱可塑性繊維材料にエーロゲル粒子が結合し、その熱可塑性繊維材料により構造中の繊維が一つに結合されてなる複合材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1個の繊維状材料の構造およびエーロゲル粒子を含有する複合材料、その製造法、およびその使用に関する。
【0002】
エーロゲル、特に気孔率が60%を超え、密度が0.4 g/cm3未満であるエーロゲルは、その密度が非常に小さく、気孔率が高く、細孔直径が小さいために、熱伝導性が極めて低く、EP−A−O171722号明細書に記載されている様に、断熱材として使用できる。
【0003】
しかし、気孔率が高いために、乾燥させてエーロゲルを形成させるゲル、ならびに乾燥したエーロゲル自体の機械的な安定性が低い。
【0004】
エーロゲルは、最も広い意味で、すなわち「分散した物質として空気を含むゲル」の意味であり、エーロゲルは好適なゲルの硬化により製造される。この意味における「エーロゲル」の用語には、より狭い意味のエーロゲル、つまりキセロゲルおよびクリオゲルが入る。ゲルから液体が臨界温度より高い温度で、臨界圧より高い圧力から出発して除去された場合、ゲルは狭い意味のエーロゲルと呼ばれる。これに対して、ゲルから液体が、臨界未満の状態で、例えば液体−蒸気−境界相を形成させて除去される場合、生じるゲルは、多くの場合、キセロゲルと呼ばれる。本発明のゲルは、分散した物質として空気を含むゲルの意味におけるエーロゲルであることに注意すべき。
【0005】
エーロゲルの成形工程は、ゾル−ゲル−移行の間に完了する。堅いゲル構造を形成させた後、外形は粉砕、例えば粉末化、によってしか変えることはできない。他の形態の加工に対しては、この材料は脆過ぎる。
【0006】
しかし、多くの用途には、エーロゲルを特定の形状で使用することが必要である。原理的には、形状部品の製造はゲル製造の間でも可能である。しかし、製造の間に一般的に必要とされ、拡散により支配される溶剤の交換(エーロゲルに関しては、例えばUS−A−4,610,863号明細書およびEP−A 0396076号明細書参照。エーロゲル複合材料に関しては例えばWO93/06044号明細書参照)、およびやはり拡散により支配される乾燥のために、製造時間が不経済になる。この理由から、エーロゲルの製造後、したがって乾燥の後、成形工程を行ない、これを、特定の用途に対してエーロゲルの内部構造を実質的に変化させずに行なうことが適切である。
【0007】
多くの用途にとって、例えば湾曲した、または不規則な形状を有する表面を絶縁する場合、絶縁材料のたわみ性パネルまたはマットを使用する必要がある。
【0008】
DE−A 3346180号明細書は、燃焼熱分解により得られるケイ酸エーロゲルを鉱物性の長繊維により補強した成形物体から得た硬質パネルを記載している。しかし、この燃焼熱分解から抽出されるケイ酸エーロゲルは、ゲルの硬化により製造されるのではなく、この理由からまったく異なった細孔構造を有しているので、上記の意味のエーロゲルではない。機械的には、この材料ははるかに安定しており、そのため、微小構造を壊さずにプレスできるが、上記の意味における代表的なエーロゲルよりも高い熱伝導性を有する。その様な成形物体の表面は非常に敏感なので、結合剤を使用するか、またはフィルムで被覆することにより、硬化させなければならない。さらに、得られた成形物体は圧縮することができない。
【0009】
DE−A−4418843号明細書では、繊維補強エーロゲルのマットを記載している。これらのマットは、エーロゲルの比率が非常に高いために、確かに熱伝導性は非常に低いが、上記の拡散問題のために、比較的長い製造時間が必要である。特に、多くの薄いマットを組み合わせて初めて厚いマットを製造できる一方、そのために経費がさらに掛かる。
【0010】
本発明の課題は、熱伝導性が低く、機械的に安定しており、マットまたはパネルの形態で簡単に製造できる、エーロゲル顆粒を基材とする複合材料を製造することである。
【0011】
この課題は、少なくとも1個の繊維状材料構造およびエーロゲル粒子を含有する複合材料であって、繊維状構造中でエーロゲル粒子が接続するような少なくとも1種の熱可塑性繊維材料を含み、これによって表面にある熱可塑性繊維が融解し、冷却する時に、繊維が相互に、およびエーロゲル粒子に接合する様に、繊維状材料が相互に構造中で接続されることを特徴とする該複合材料により解決された。この熱的統合により、安定した繊維状構造が確保され、エーロゲル粒子が確実に繊維に結合する。
【0012】
ここで、繊維構造とは、表面形成技術を使用して製造できるあらゆる構造を意味する。その様な表面構造の例としては、織物布地、不規則繊維マッティング、編み上げた布地、およびフリースがあり、フリースが好ましい。
【0013】
フリースには、いわゆる安定繊維マット、すなわち長さが限定された繊維の不規則繊維マット、ならびにスパン繊維マット、すなわち連続繊維のマットがある。
【0014】
熱可塑性繊維(以下第一繊維材料と呼ぶ)は、熱可塑性の繊維、例えばポリオレフィン繊維、ポリアミド繊維、または好ましくはポリエステル繊維等の有機材料でよい。繊維は、円形、三つ葉、五つ葉、八つ葉、細片、樅の木の様な形状、ダンベル、等の形状を有することができる。中空繊維をも使用することができる。第1繊維材料は、平面または波形化することもできる。
【0015】
さらに、繊維状構造は、熱的統合工程の際に熱可塑性材料の第一繊維に結合する少なくとも1種の別の繊維材料を含むことができる。このためには、これらの繊維を製造する材料の融点は、フリースが熱的に統合される温度より低くてはならない。これらの繊維は、鉱物またはガラス繊維の様な無機繊維、ならびにポリオレフィン、ポリアミド、またはポリエステル繊維の様な有機繊維、またはそれらの混合物でよい。追加の繊維は、他の輪郭、他の直径、他の種類の波形、および/または他の伸長程度を有していても、第一繊維と同じ材料からなるのが好ましい。
【0016】
繊維は通常の添加剤、例えばカーボンブラックの様な帯電防止剤、により変性することができる。構造中に含有さる繊維は、熱伝導性に対する放射寄与の影響を少なくするために、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化鉄、または二酸化ジルコニウム、ならびにそれらの混合物、の様なIR混濁剤で変性することができる。繊維には、着色するために染料を加えることもできる。
【0017】
複合材料に使用する繊維の直径は、好ましくは大量のエーロゲルが複合材料中に結合し得る様に、エーロゲル粒子の平均直径よりも小さいものにすべきである。非常に細い繊維を選択することにより、非常にたわみ性の高いマットを製造することができるのに対し、太い繊維を使用すると、曲げに対する抵抗が大きくなるので、より堅い、かさの大きいマットが形成される。
繊維のデニールは好ましくは0.8〜40dtexである。
【0018】
異なった材料からなり、異なった輪郭および/または異なったデニールを有する繊維の混合物も使用できる。太い繊維の混合物を使用すると、曲げに対する抵抗が大きくなる。一方でフリースの良好な統合を達成し、他方、エーロゲル顆粒の良好な密着性を確保するには、第一の熱可塑性繊維材料の重量比は、繊維の総量に対して10〜100重量%、好ましくは40〜100重量%である。
【0019】
スパンフリースの中で、合成重合体の繊維からなる、いわゆるスパンボンドが好ましく、これらは不規則に配置された、新たに溶融紡糸されたフィラメントから製造される。これらの材料は、溶融紡糸可能な重合体材料である連続した合成繊維からなる。好適な重合体材料は、例えばポリヘキサメチレンジアジパミド、ポリカプロラクタム、芳香族または部分的に芳香族のポリアミド(アラミド)、ナイロンの様な脂肪族ポリアミド、部分的に芳香族または完全に芳香族のポリエステル、ポリフェニルスルフィド(PPS)、エーテルまたはケト基を有する重合体、例えばポリエーテルケトン(PEK)およびポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、またはポリベンズイミダゾールである。
【0020】
スパンマットは溶融紡糸可能なポリエステルからなるのが好ましい。原則的に、繊維の製造に好適なすべての公知のポリエステル材料を使用することができる。この種のポリエステルは、主として、芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジオールに由来する構築ブロックからなる。一般的な芳香族ジカルボン酸構築ブロックはベンゼンジカルボン酸、特にテレフタル酸およびイソフタル酸、の2価基である。一般的なジオールは炭素数が2〜4であり、エチレングリコールが特に好適である。少なくとも85モル%のポリエチレンテレフタレートからなるスパンフリースが特に有利である。その際、残りの15モル%は、ジカルボン酸単位およびいわゆる変性剤として作用し、それによって当業者は製造されるフィラメントの物理的および化学的特性を変化させることができるグリコール単位で構築される。その様なジカルボン酸単位の例は、イソフタル酸または脂肪族ジカルボン酸、例えばグルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、の基であり、変性ジオール基の例は、プロパンジオールまたはブタンジオールの様な長鎖ジオールの、ジ−またはトリエチレングリコールの、あるいは少量で存在する程度に、分子量約500〜2000のポリグリコールの基である。特に、少なくとも95モル%のポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、特に未変性PETのポリエステルが好ましい。
【0021】
本発明の複合材料が難燃性効果を有する必要がある場合、その材料は、難燃性を付与したポリエステルから紡糸してあるのが有利である。その様な難燃性を付与したポリエステルは公知である。それらのポリエステルは、ハロゲン化合物、特に臭素化合物、の添加剤を含むか、またはポリエステル鎖中に縮合させたホスホン酸化合物を含む。
【0022】
スパンマットは、下記式(I)で示される鎖成分基の中に縮合された、難燃性を付与したポリエステルを含有するが特に好ましい。
【化1】

(式中、Rは炭素数が2〜6であるアルキレンまたはポリメチレンまたはフェニルであり、R1 は炭素数が1〜6であるアルキル、アリール、フェニルまたはアラルキルを意味し、これらが縮合される)
式(I)中で、Rがエチレンを表し、R1 がメチル、エチル、またはo−、m−、またはp−メチルフェニル、特にメチルを表すのが好ましい。この種のスパンマットは、例えばDE−A−3940713号明細書に記載されている。
【0023】
スパンフリース中に含まれるポリエステルは、重合体1gをジクロロ酢酸100mlに入れた溶液中、25℃で測定して、0.6〜1.4の固有粘度(IV)に相当する分子量を有するのが有利である。
【0024】
スパンマット中のポリエステルフィラメントの個々のデニールは、1〜16dtex、好ましくは2〜8dtexである。
【0025】
本発明の別の実施態様では、スパンフリースは、キャリヤー繊維の様な別の繊維材料を含むことができる。この種のスパンフリースはEP−A−0,446,822号明細書、EP−A−0,530,769号明細書、およびEP−A−0,590,629号明細書に記載されている。
【0026】
キャリヤー繊維を引き出すことができる重合体の例は、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンの様なポリオレフィン、ナイロン6.6の様な実質的に脂肪族のポリアミド、実質的に芳香族のポリアミド(アラミド)、例えばポリ−(p−フェニレンテレフタレート)または溶解性を改良する比率の芳香族m−ジアミン単位を含む共重合体、またはポリ−(m−フェニレンイソフタレート)、ポリ(p−ヒドロキシベンゾエート)の様な実質的に芳香族のポリエステルまたは好ましくはポリエチレンテレフタレートの様な実質的に脂肪族のポリエステルである。
【0027】
2種類の繊維の相対的な比率は、非常に広い範囲内から選択できるが、キャリヤー繊維が熱可塑性繊維に密着してフリース材料が意図する用途に十分な強度を有する様に、熱可塑性繊維の比率は十分に大きくなければならないことに注意する必要がある。そこで、熱可塑性繊維の比率は一般的にマット材料の重量の50重量%未満になる。
【0028】
好適な熱可塑性繊維は、特に、フリース材料に使用する原料の融点より10〜50℃、好ましくは30〜50℃低い融点を有する変性ポリエステルである。その様な繊維材料の例は、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、または長鎖ジオールおよび/またはイソフタル酸または脂肪族ジカルボン酸を縮合することにより変性したポリエチレンテレフタレートである。
【0029】
キャリヤー繊維および熱可塑性繊維は、好ましくは1種類の重合体から構築する。無論、使用するすべての繊維を、フリースがその耐用寿命に達した時、まったく問題なく循環使用できる様な種類の物質から選択しておく。
【0030】
キャリヤー繊維および熱可塑性繊維の個々の繊維デニールは、非常に広い範囲内で選択することができる。例えば、そのようなデニール範囲は1〜16dtex、好ましくは2〜6dtexである。
【0031】
一実施態様では、スパンフリースは、機械的な統合の後、所望により化学的結合剤、例えばポリアクリレート系の結合剤、を使用し、ニードリングにより、および/または流体噴射により、最終的に統合することができる。
【0032】
スパンフリースの重量対面積比は、20〜500g/cm2、好ましくは30〜250 g/m2である。
【0033】
複合材料中のエーロゲルの体積%は、できるだけ高くすべきあり、少なくとも40%、好ましくは60%を超えているべきである。しかし、複合材料の機械的安定性を達成するために、この百分率は95%を超えるべきではなく、好ましくは90%を超えるべきではない。
【0034】
本発明の化合物に好適なエーロゲルは、ゾル−ゲル法に適した金属酸化物を基材とするエーロゲル(C.J. Brinker, G.W. Scherer, Sol-Gel-Science, 1990, 2および3章)、例えばSiまたはAl化合物、またはゾル−ゲル法に適した有機物質を基材とするエーロゲル、例えばメラミンホルムアルデヒド縮合物(US−A−5086085号明細書)またはレゾルシノール−ホルムアルデヒド縮合物(US−A−4,873,218号明細書)である。エーロゲルは、上記の物質の混合物を基材とすることもできる。Si化合物含有エーロゲル、特に
SiO2 エーロゲル、特にSiO2 エーロゲルを使用するのが好ましい。熱伝導性に対する放射寄与の影響を低減させるために、エーロゲルはIR混濁剤、例えばカーボンブラック、二酸化チタン、酸化鉄または二酸化ジルコニウムならびにそれらの混合物を含むことができる。
【0035】
その上、エーロゲルの熱伝導性は、気孔率の増加および密度の低下と共に低下する。この理由から、気孔率が60%を超え、密度が0.4 g/cm3未満のエーロゲルが特に好ましい。
【0036】
エーロゲル顆粒の熱伝導性は、好ましくは40mW/mk未満、特に好ましくは25mW/mk未満にすべきである。
【0037】
好ましい実施態様では、エーロゲル粒子は、疎水性表面基を備えている。細孔内での水の凝縮によりエーロゲルが潰れるのを防止するために、水の作用により分離しない疎水性の基が共有結合によりエーロゲルの内側表面上に存在するのが有利である。永久的な疎水化に好適な基は、例えば一般式−Si(R)3 の三置換シリル基であり、トリアルキルおよび/またはトリアリールシリル基が好ましく、その際、各Rは独立してC1 〜C18アルキルまたはC6 〜C14アリール、好ましくはC1〜C6アルキルまたはフェニル、特にメチル、エチル、シクロヘキシル、またはフェニルの様な非反応性の有機基であり、これらはさらにより多くの官能基により置換されていてもよい。エーロゲルの永久的な疎水化には、トリメチルシリル基を使用するのが特に有利である。これらの基の導入は、WO94/25149号明細書に記載されている様にして行なうか、またはエーロゲルおよび活性化したトリアルキルシラン誘導体、例えばクロロトリアルキルシランまたはヘキサアルキルシラザン(R. Iler, The Chemistry of Silica, Wiley & Sons, 1979 参照)、の間の気相反応により行なうことができる。
【0038】
粒子の大きさは、材料の用途により異なる。しかし、大部分のエーロゲル顆粒を結合し得るためには、粒子は繊維の直径よりも大きく、好ましくは30μmを超えているべきである。高度の安定性を達成するには、顆粒は粗過ぎず、粒子が2cm未満であるべきである。
【0039】
好ましい2モード粒子径分布を有する顆粒を使用してエーロゲルの体積%を高くすることができる。他の分布も使用できる。
【0040】
複合材料の燃焼クラスは、エーロゲルおよび繊維の燃焼クラスにより決定される。複合材料に最も好ましい燃焼クラスを得るには、不燃性繊維、例えばガラスまたは鉱物繊維、またはTREVIRA CS(商品名)の様な難燃性繊維を使用すべきである。
【0041】
複合材料が、エーロゲル粒子を含有する繊維状構造のみからなる場合、複合材料が機械的な負荷にさらされた場合、エーロゲル顆粒は壊れるか、または繊維から分離し、構造から脱落することがある。
【0042】
この理由から、特殊な用途には、繊維フリースの片側または両側を、それぞれの場合、少なくとも1個の被覆層で覆うのが有利であり、その被覆層は同一でも異なっていてもよい。一例として、熱的統合の際に別の接着剤を使用し、例えば、好ましくは金属ホイルまたは金属被覆したプラスチックフィルムである被覆層を熱可塑性繊維の上に固着させることができる。さらに、特定の被覆層自体が複数の層からなることもできる。
【0043】
中間層としてエーロゲルを含み、その両側に被覆層を有し、これらの被覆層の少なくとも一方が細い熱可塑性繊維の層を含み、個々の繊維層が、それ自体で、および相互に熱的に統合されている繊維状構造を有するマットまたはパネルの形態の繊維−エーロゲル複合材料が好ましい。被覆層は2成分繊維も含むことができる。2成分繊維は、異なった化学的および物理的構造を有する2種類の堅く接続した重合体からなる化学繊維であり、融点が異なった区域、すなわち低融点区域および高融点区域を有する。典型的にはこれらの繊維は、低融点成分が被覆を形成させる、コアおよび被覆層の構造形態にあるか、または隣合った構造を有する。
【0044】
被覆層用の繊維の選択は、エーロゲル粒子が結合している繊維構造用の繊維の選択を支配するファクターと同じファクターにより支配される。しかし、可能な最も緻密な被覆層を得るには、繊維は30μm未満、好ましくは15μm未満にすべきである
表面層の最も大きな安定性または密度に到達するために、被覆層中の層をニードル加工することができる。
【0045】
本発明の別の目的は、本発明の複合材料の製造法を開示することである。
本発明の複合材料の製造を以下に好ましい繊維マットに関連して詳細に説明するが、これに限定するものではない。
【0046】
繊維フリースの製造には、市販されているカーディングの形態にあるステープルファイバーまたは連続繊維のカードを使用する。当業者には良く知られている手順を使用してフリースを構築できるのに対し、エーロゲル顆粒は散布する。エーロゲル顆粒を繊維複合材料中に導入する時、顆粒ができる限り一様に配分される様に注意しなければならない。これは市販の散布装置を使用して行なうことができる。
【0047】
被覆層を使用する場合、エーロゲルを散布している間に繊維フリースを被覆層の上に構築することができ、この工程が終わってから、上側の被覆層を適切な所に配置する。
【0048】
より細い繊維材料の被覆層を使用する場合、細い繊維および/または2成分繊維の被覆層を、公知の製法を使用して構築し、所望により上記の様にニードル加工し、この上にエーロゲル含有繊維複合材料を配置する。その後の、上側被覆層に関しては、下側被覆層と同様に、細い繊維および/または2成分繊維を使用して層を構築し、次いで所望によりニードル加工することができる。
【0049】
得られた繊維複合材料は、所望により圧力下で、最も低い融点を有する繊維材料の融点より高い温度で熱的に結合させる。加える圧力は通常圧と使用するエーロゲルの圧縮力との間である。熱が材料に作用する時間の長さは、確実に繊維の表面だけが融解する様に選択する。
【0050】
所望により、当業者には良く知られている設備を使用して加工手順全体を行なうことができる。
【0051】
本発明のパネルおよびマットは、熱伝導性が低いために、断熱材として使用するのに好適である。
【0052】
これに加えて、本発明のパネルおよびマットは、音響速度が低く、一体化エーロゲルと比較して、音響減衰効果が大きいので、直接または共鳴吸収材の形態で消音材として使用することができる。エーロゲル材料の消音効果に加えて、繊維フリースの透過性に応じて、繊維構造中の細孔間の空気摩擦によりさらに消音される。繊維フリースの透過性は、繊維の直径、フリースの密度、およびエーロゲル粒子の粒子径を変えることにより調節できる。繊維状構造が被覆層をも含む場合、これらの被覆層は音波を繊維状構造中に透過させ、音波をあまり反射しない。 上記のことに加えて、本発明のパネルおよびマットは、繊維状構造の気孔率および特に、エーロゲルの気孔率および表面対体積の比が大きいため、液体、蒸気、およびガスの吸着材料としても好適である。特異的な吸着効果は、エーロゲルの表面を変性することにより達成できる。
【0053】
以下に、本発明を実施態様に関して詳細に説明するが、これらの実施態様に限定するものではない。
【0054】
例1
表面対重量の比が100 g/m2 である繊維マットを、50重量%のTREVIRA 2900.8dtex/38mm hm および50重量%のTREVIRA 溶融接着剤繊維3.3dtex/60mm hm (試験繊維)から構築した。構築工程の際、これに、オルトケイ酸テトラエチル系のエーロゲル顆粒、密度150 kg/m3、および熱伝導性23 mW/mk、粒子径1〜2mmを散布した。
得られた繊維複合材料を温度160℃で5分間熱的に結合させ、厚さ1.4cmに圧縮した。
得られたパネルは容易に曲げられた。その熱伝導性は、DIN 52612 1部によるパネル法により、27 mW/mkと測定された。
【0055】
例2
下側層として使用するマットを50重量%のTREVIRA 120 ステープルファイバー、デニール1.7dtex、長さ35mm、スパンブラック、およびTREVIRA 溶融接着剤繊維3.3dtex/60mm hm (試験繊維)から構築した。この被覆層は、表面対重量の比が100 g/m2 であった。この上に、表面対重量の比が100g/m2である、50重量%のTREVIRA 292 40dtex/60mm hm および50重量%のTREVIRA 溶融接着剤繊維3.3dtex/60mm hm (試験繊維)の繊維マットを配置した。構築工程の際、これに、オルトケイ酸テトラエチル系のエーロゲル顆粒、密度150 kg/m3、および熱伝導性23 mW/mk、粒子径2〜4mmを散布した。次いで、このエーロゲル含有繊維マット上に、下側被覆層と同様の構造を有する被覆層を配置した。
得られた繊維複合材料を温度160℃で5分間熱的に結合させ、厚さ1.5cmに圧縮した。統合されたマット中のエーロゲルの百分率は51%であった。その熱伝導性は、DIN 52612 1部によるパネル法により、29 mW/mkと測定された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維構造を含んでなる複合材料であって、
前記繊維構造が、繊維状材料を含んでなり、該繊維状材料が、高い融点を有する第1の熱可塑性材料と、接着剤として、低い融点を有する第2の熱可塑性材料とを含んでなる少なくとも二種の熱可塑性繊維材料と、エーロゲル粒子とを含んでなり、
第2の熱可塑性材料中の繊維が、唯一の接着剤であり、かつ、熱可塑性繊維を相互に、及びエールゲル粒子に、接着しるものである、複合材料。
【請求項2】
請求項1に記載の複合材料の製造法であって、
高い融点を有する第1の熱可塑性材料と、低い融点を有する第2の熱可塑性材料とを含んでなる少なくとも二種の熱可塑性繊維材料を含む繊維構造の中に、エーロゲル粒子を散布し、
得られた繊維複合体を、前記低い融点を有する第2の熱可塑性材料の融点より高い温度で、所望により加圧下で、熱的に統合することを含んでなる、製造方法。

【公開番号】特開2006−77386(P2006−77386A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−267530(P2005−267530)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【分割の表示】特願平9−523316の分割
【原出願日】平成8年12月20日(1996.12.20)
【出願人】(398027757)サノフィ−アベンティス、ドイチュラント、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング  (1)
【氏名又は名称原語表記】SANOFI−AVENTIS DEUTSCHLAND GMBH
【Fターム(参考)】