説明

就寝用衛生マスク

【課題】就寝中に外れにくくかつ耳や頬等が痛くならない使用性に勝れた就寝用衛生マスクを提供する。
【解決手段】鼻及び口を覆うための覆い部2と、後頭部に回して掛止させるための帯状の掛止帯3とからなり、上記覆い部2と掛止帯3とは、柔軟で通気性のあるシートにより全体として輪状をなすように形成され、上記掛止帯3の右半部3Aと左半部3Bとにそれぞれ耳を露出させるための耳出し孔10が複数形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、就寝時に使用する衛生マスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に衛生マスクは、病菌や塵埃あるいは花粉等の吸入を防止したり飛沫の飛散を防止するために使用されるもので、鼻及び口を覆う部分(覆い部)と、耳に掛けるための掛紐とからなっている。上記覆い部は、ガーゼや不織布等によって形成され、また掛紐は、細い紐材を輪状に折り曲げることにより形成されていて、上記覆い部の左右両端部にそれぞれ取り付けられている。
【0003】
一方、就寝時に鼻や喉を保湿したり飛沫を防止する目的で使用される衛生マスクも市販されている。この就寝用の衛生マスクも、上記一般の衛生マスクと同様に、覆い部が薄地のガーゼや不織布等によって形成され、この覆い部に耳掛け用の掛紐が連結された構成を有しているものが殆どである。
【0004】
しかし、就寝用の衛生マスクを耳掛けタイプにすると、寝返りを打った場合や蒲団に掛紐が引っ掛かった場合などに該掛紐が耳から外れ易く、また、掛紐による不規則な力が耳に作用して耳が痛くなったり、横向きに寝た場合に掛紐が頬に押し付けられて頬が痛いなどの欠点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、就寝中に外れにくくかつ耳や頬等が痛くならない使用性に勝れた就寝用衛生マスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の就寝用衛生マスクは、鼻及び口を覆うための覆い部と、後頭部に回して掛止させるための一つに連なった帯状の掛止帯とからなり、上記覆い部と掛止帯とは、柔軟で通気性のあるシートにより全体として輪状をなすように形成され、上記掛止帯の右半部と左半部とにそれぞれ耳を露出させるための耳出し孔が形成されていることを特徴とするものである。
【0007】
上記耳出し孔は、上記掛止帯の右半部と左半部とにそれぞれ複数形成されていることが望ましい。
また、上記耳出し孔は、上下方向に細長い孔形状を有していて、上端部をマスクの後方側に向けて傾斜していることが望ましい。
【0008】
本発明において好ましくは、上記覆い部の右半部と上記掛止帯の右半部とが第1シートで一連に形成されると共に、上記覆い部の左半部と上記掛止帯の左半部とが第2シートで一連に形成されていて、これら第1シートと第2シートとの両端の接合部は縫製されていることである。
また、本発明によれば、上記シートが、編み生地で形成されることによって縦横両方向に伸縮自在であり、該シートの伸縮性と上記耳出し孔の変形とによって装着時のサイズが調整可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の衛生マスクは、掛止帯を後頭部に回して掛止させるようにしたので、耳掛けタイプと違って就寝時に外れることがなく、また、上記掛止帯に形成された複数の耳出し孔のうち、使用者の顔サイズに合った位置にある耳出し孔から耳を出せるようにしたので、顔に良くフィットして装着感が良く、位置ずれしたり耳が痛くなったりすることもなく、さらに、掛止帯が頬に圧接されて頬が痛くなったり頬に圧接痕が付くなどの不都合も生じない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る衛生マスクを扁平に畳んだ状態を示す側面図である。
【図2】本発明に係る衛生マスクを少し広げた状態を示す斜視図である。
【図3】図1のA−A拡大断面図である
【図4】本発明に係る衛生マスクを使用している状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1〜図3は、本発明に係る就寝用衛生マスクの一実施形態を示すものである。この衛生マスク1は、図4からも分かるように、鼻及び口を覆うための覆い部2と、後頭部に回して掛止させるための一つに連なった帯状の掛止帯3とからなるもので、上記覆い部2と掛止帯3とは、柔軟で通気性のあるシートにより全体として輪状をなすように形成されている。
【0012】
具体的に、上記衛生マスク1は、同形かつ同大に形成された2枚のシート4,5を互いに重ね合わせ、それらの前端部同士及び後端部同士をそれぞれ縫製で相互に接合することにより形成されており、該衛生マスク1の右半部を形成する第1シート4によって、上記覆い部2の右半部2Aと上記掛止帯3の右半部3Aとが一連に形成され、該衛生マスク1の左半部を形成する第2シート5によって、上記覆い部2の左半部2Bと上記掛止帯3の左半部3Bとが一連に形成されている。
【0013】
上記縫製にはウーリーナイロン糸が用いられ、このウーリーナイロン糸で前後の接合部6,7がそれぞれロック縫製されることにより、該接合部6,7の外面に縫い目が表れると共に、該接合部6,7の端縁がほつれないように仕上げられている。
【0014】
図1に示すように、上記第1シート4及び第2シート5は、覆い部2を形成する前端側の上下幅が広く、掛止帯3となる後端側に向けて次第に上下幅が狭くなっている。
また、両シート4,5の上縁8は、上記覆い部2の部分で下向きに窪んだ形に湾曲し、両シート4,5の下縁9は、上記覆い部2の部分で下方に突き出した形に湾曲している。これらの上縁8及び下縁9は、後述する耳出し孔10の内周縁と共に、切断状態のまま、縢りなどの縁処理は行われていない。したがってマスクの縁に縁処理による凹凸がないため、顔面に凹凸が圧接されることによる不快感がないだけでなく、圧接痕も付かない。
【0015】
上記両シート4,5の前端縁即ち前方の接合部6は、全体として前方に突出する形に湾曲している。しかし、その湾曲の度合いは一律ではなく、鼻を覆う上端部分6aが鼻筋の傾斜に合わせて大きく後方に傾斜し、中間部分6bは緩やかに傾斜し、下端部分6cは、顎に適合するよう中間部分6bよりやや大きく傾斜している。
上記接合部6をこのような形に形成することにより、図4に示すように、衛生マスク1の使用時に、覆い部2が顔面の鼻及び口の部分に良好にフィットすると共に、鼻の下に傾斜の緩い上記中間部分6bによって保湿のための空間Gが形成されることになる。
【0016】
一方、上記両シート4,5の後端縁即ち後方の接合部7は、使用者の後頭部に沿うように直線的な形状を成していて、その上下幅は上記前方の接合部6の上下幅L2の約1/2程度である。
【0017】
上記掛止帯3には、その右半部3Aと左半部3Bとの相対する位置に、左右の耳を露出させるための耳出し孔10がそれぞれ形成されている。図1に示すように、上記耳出し孔10は、上下方向に細長い孔形状を有していて、孔の上端部をマスクの後方側に向けて傾斜した状態に形成されている。また、上記耳出し孔10は、掛止帯3の右半部3Aと左半部3Bとにそれぞれ複数(図示の実施例では2つ)形成され、これら複数の耳出し孔10が掛止帯3の前方側と後方側とに並んでほぼ平行に配置されており、マスク使用者の顔サイズに合わせて何れか一つを選択的に使用できるようになっている。
【0018】
このような耳出し孔10を形成することにより、上記掛止帯3を後頭部に回して掛止させたときにこの耳出し孔10から耳を外部に露出させることができ、該掛止帯3の内側で耳が側頭部に押し付けられて痛くなるようなことがない。また、該掛止帯3が耳に掛止するため、該掛止帯3の上下へのずれ動きが抑止される。
さらに、使用者の顔サイズに合わせて何れかの耳出し孔10を選択することにより、マスク装着時の締め付け感を調整してフィット性を高めることも可能である。マスク装着時の締め付け感は、上記耳出し孔10を形成する位置や、耳出し孔相互の間隔等を適宜設定することにより、調整することができる。
【0019】
上記シート4,5は、編み生地で形成することによって縦横両方向に伸縮自在であることが望ましい。このように伸縮自在のシート4,5を用いて衛生マスク1を形成することにより、その伸縮性と上記耳出し孔10の変形とによってマスク装着時のサイズ及び締め付け感が自動的かつ良好に調整される。また、上記シート4,5が顔面形状に応じて縦横方向に自在に変形することにより、様々な顔面形状に対して衛生マスク1をソフトに軽くしかもしっかりとフィットさせることができる。このため、従来の綿や不織布製の伸縮性に乏しいマスクに比べて使用性が格段に勝れる。
【0020】
このように形成された衛生マスク1は、図4に示すように、上記覆い部2で鼻及び口を覆い、上下幅の広い帯状の掛止帯3を後頭部に回して掛止させることにより使用する。このため、細い輪状の紐を両耳に掛ける耳掛けタイプと違い、就寝時に外れることがなく、上記掛止帯3が頬に圧接されて頬が痛くなったり、頬に圧接痕が付くなどの不都合も生じない。
また、上記掛止帯3に形成された複数の耳出し孔10のうち、使用者の顔サイズに合った位置にある耳出し孔から耳を出せるので、顔に良くフィットして装着感が良く、耳が痛くなることもない。
【0021】
なお、上記衛生マスク1のサイズは、使用者の顔の大きさや形状等によって異なるが、大人用マスクでは、通常、図1のように折り畳んだ状態で前後方向長さL1が約230mm前後、上下幅L2が約130mm前後、耳出し孔10の長さL3が約60mm前後に形成され、子供用マスクでは、前後方向長さL1が約195mm前後、上下幅L2が約105mm前後、耳出し孔10の長さL3が約50mm前後に形成される。
【0022】
また、上記耳出し孔10は、必ずしも各シート4,5に2つずつ形成されている必要はなく、1つであっても良く、あるいは、覆い部2の被覆性や掛止帯3の強度等に支障をきたさない範囲であれば、3つ以上形成されていても良い。
【0023】
さらに、本実施形態では、上記第1シート4と第2シート5とを個別に形成して一体に接合しているが、両シート4及び5は一連のものであっても良い。例えば、一枚のシート材によって両シート4及び5が後方の接合部7で一体に連なった形のものを形成し、それを該後方の接合部7で2つに折り曲げた状態に重ね合わせ、該後方の接合部7と前方の接合部6とを縫製しても良い。
【符号の説明】
【0024】
1 衛生マスク
2 覆い部
2A 右半部
2B 左半部
3 掛止帯
3A 右半部
3B 左半部
4 第1シート
5 第2シート
6,7 接合部
10 耳出し孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼻及び口を覆うための覆い部と、後頭部に回して掛止させるための一つに連なった帯状の掛止帯とからなり、
上記覆い部と掛止帯とは、柔軟で通気性のあるシートにより全体として輪状をなすように形成され、上記掛止帯の右半部と左半部とにそれぞれ耳を露出させるための耳出し孔が形成されていることを特徴とする就寝用衛生マスク。
【請求項2】
上記耳出し孔は、上記掛止帯の右半部と左半部とにそれぞれ複数形成されていることを特徴とする請求項1に記載の就寝用衛生マスク。
【請求項3】
上記耳出し孔は、上下方向に細長い孔形状を有していて、上端部をマスクの後方側に向けて傾斜していることを特徴とする請求項1又は2に記載の就寝用衛生マスク。
【請求項4】
上記覆い部の右半部と上記掛止帯の右半部とが第1シートで一連に形成されると共に、上記覆い部の左半部と上記掛止帯の左半部とが第2シートで一連に形成されていて、これら第1シートと第2シートとの両端の接合部は縫製されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の就寝用衛生マスク。
【請求項5】
上記シートは、編み生地で形成されることによって縦横両方向に伸縮自在であり、該シートの伸縮性と上記耳出し孔の変形とによって装着時のサイズが調整可能であることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の就寝用衛生マスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−115463(P2011−115463A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276779(P2009−276779)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000101363)アズマ工業株式会社 (33)
【Fターム(参考)】