説明

就寝者無呼吸矯正装置

【課題】就寝中における就寝者の無呼吸状態を軽減または解消させる無呼吸矯正装置を提供する。
【解決手段】就寝している就寝者の呼吸状態を検知する呼吸検知手段と、呼吸検知手段による検知結果に基づいて就寝者が無呼吸状態であると判定する無呼吸状態判定手段と、就寝者が無呼吸状態であると無呼吸状態判定手段が判定するとき、就寝している就寝者に刺激を与えて無呼吸状態を解消させる刺激手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、就寝者の無呼吸状態を軽減または解消する就寝者無呼吸矯正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、就寝中における就寝者の無呼吸症候群が注目を浴びている。無呼吸症候群は、就寝中において、就寝者が呼吸をできず、窒息状態または窒息状態に近くなる状態をいう。特許文献1は、就寝者の生体情報(例えば呼吸情報、体動情報、体位)を検知するセンサと、センサから出力された荷重または振動対応信号により就寝者の寝姿を直感的に視認可能に時系列で表示する表示制御手段とを備える生体情報表示装置を開示している。このものによれば、就寝している就寝者が無呼吸状態であるとき、表示制御手段は、就寝者の寝姿を直感的に視認可能に時系列で表示することができる。
【0003】
更に特許文献2は、利用者の胸位置に装着されるエアバックと、エアバック内の圧力を検知して圧力検出信号を出力する圧力センサと、圧力センサの圧力検出信号を受けてその圧力変化から利用者の呼吸の変化を求める演算制御回路とを備えるエアバック付きマットを開示している。このものによれば、就寝している利用者の胸位置に装着されるエアバックの変形により、利用者の無呼吸状態が検知される。
【特許文献1】特開2005−144042号公報
【特許文献2】特開2006−95179号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
産業界では、就寝中における就寝者の無呼吸状態を軽減または解消させる装置の開発が要望されている。
【0005】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、就寝中における就寝者の無呼吸状態を軽減または解消させる無呼吸矯正装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る無呼吸矯正装置は、就寝している就寝者の呼吸状態を検知する呼吸検知手段と、就寝者が所定時間以上呼吸していないと呼吸検知手段により検知されるとき、就寝者が無呼吸状態であると判定する無呼吸状態判定手段と、就寝者が無呼吸状態であると無呼吸状態判定手段が判定するとき、就寝している前記就寝者に刺激を与えて無呼吸状態を軽減または解消させる刺激手段とを具備していることを特徴とする。
【0007】
呼吸検知手段は、就寝している就寝者の呼吸状態を検知するものであり、例えば、就寝者の呼吸に基づく肺臓付近の圧力変動を検知するセンサが例示される。呼吸検知手段は、例えば、布団、マットレス、毛布等といった寝具、ベッド装置、室内家具等に設置することができる。
【0008】
呼吸検知手段による検知結果に基づいて就寝者が所定時間以上呼吸していないとき、無呼吸状態判定手段は、就寝者が無呼吸状態であると判定する。当該所定時間としては適宜設定されるが、一般的には、10秒以上の呼吸停止状態が例示されるが、10秒以上に限定されるものではない。
【0009】
就寝者が無呼吸状態であると無呼吸状態判定手段が判定すると、刺激手段が就寝中の就寝者に刺激を与える。これにより就寝者の無呼吸状態が軽減または解消される。刺激手段としては、嗅覚的な刺激、視覚的な刺激、接触覚的な刺激、聴覚的な刺激が例示される。刺激手段は、臭気を発生させる臭気発生手段、光を就寝者に与える光付与手段と、気流を発生させる気流発生手段と、振動を発生させる振動発生手段とのうちの少なくとも一つを備えていることが好ましい。臭気は、心地よさを誘う臭気(芳香)が好ましいが、心地よさを誘わなくても良い。一般的には、芳香等の臭気は相対的に弱い刺激といえる。ここで、芳香等の臭気は、就寝者の呼吸状態および無呼吸状態に関与する鼻腔、咽喉等に刺激を与え易いため、就寝者の無呼吸状態の軽減または解消に有効である。芳香物質等の臭気物質としては特に限定されないが、就寝者の鼻腔、咽喉等に刺激を与える物質が例示される。
【0010】
一般的には、光および気流は臭気よりも相対的に強い刺激といえる。臭気、光および気流は就寝者に物理的に大きく影響させるものではないため、就寝者を積極的に覚醒させることを抑制できる。覚醒とは、就寝者が睡眠から目覚めることを意味する。
【0011】
上記した刺激は、就寝者に連続的に与えても良いし、間欠的に与えても良い。刺激手段は、就寝者を目覚めさせることなく就寝者に刺激を与えることが好ましい。この場合、就寝者を不用意に覚醒させることが抑えられ、就寝者に不快感を与えることが抑制される。刺激手段は、無呼吸状態が解消されない限り、刺激の度合を増加させていく形態が例示される。従って、刺激手段は、就寝者を目覚めさせることなく就寝者に弱刺激を与える弱刺激手段と、就寝者を目覚めさせることなく又は就寝者を目覚めさせるために、弱刺激手段よりも相対的に強い強刺激を就寝者に与える強刺激手段とを備えていることが好ましい。このように刺激を次第に強めるため、就寝者の無呼吸状態が軽減または解消され易い。本明細書では、目覚めとは、使用者の脳を1分間以上連続的に覚醒させていることをいう。
【0012】
就寝者の無呼吸状態が解消されたら、刺激手段による刺激を解消させることが好ましい。本発明に係る無呼吸矯正装置は、家具や室壁などに組み付けても良いし、車両の搭載部品として車両の車室の内部に組み付けても良く、更に、ベッド装置に組み付けても良いし、ベッド装置に対して分離させてもよい。ベッド装置はシングルベッドでも、ダブルベッドでも、ツインベッドでも良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、就寝中における就寝者の無呼吸状態を軽減または解消させる無呼吸矯正装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(実施形態1)
図1〜図4は実施形態1を示す。ベッド装置1は、ベッド本体2と、ベッド本体2に載せられたクッション力を有するマットレス3(寝具,敷寝具)とをもつ。ベッド本体2は、就寝者の頭側に位置するヘッドボードとも呼ばれるヘッド部21をもつ。マットレス3の内部には、生体情報検知体として機能する複数個のセンサユニット5が埋設されている。センサユニット5は就寝者の呼吸による圧力変動、鼓動による圧力変動を検知するものであり、呼吸検知手段および鼓動検知手段として機能できるものである。センサユニット5は、マットレス3の上面側に配置されていても良く、あるいは、ベッド本体2とマットレス3との間に配置されていても良い。センサユニット5は、就寝者から受ける圧力(荷重)の変動を検知する検知部としての感圧センサ50を備えている。感圧センサ50は、受圧した圧力の変動を電気信号として出力するものであり、面状シートの形状をなしており、圧電センサ、静電容量センサ、歪みゲージ、磁気センサ等を例示できる。圧電センサとしては圧電体を例示でき、殊に圧電ポリマーを例示できる。具体的にはポリビニリデンフロライド(PVDF)のフィルムまたはシートとされて。ここで、圧電ポリマーは広い周波数特性を有しており、更に、圧電セラミックスに比較して、柔軟性、耐衝撃性、耐高電圧性、耐水性、化学的安定性を備えている。
【0015】
センサユニット5は、就寝者の身体による圧力(荷重)の変動を受圧できるように、就寝者の身体に対向する領域に配置されており、就寝者の生体情報のうち、主として呼吸情報(例えば、単位時間あたりの呼吸数)および心拍情報を検出することができる。センサユニット5が就寝者の胸部に対向する領域に配置されている場合には、就寝者の生体情報のうち、主として心臓の心拍情報(例えば、単位時間あたりの心拍数等)を良好に検出することができる。
【0016】
図1に示すように、刺激手段として機能する刺激発生装置8が設けられている。刺激発生装置8(刺激発生手段)は、就寝している就寝者に刺激を与えて無呼吸状態を解消させる。刺激発生装置8は、基部80と、基部80に設けられた芳香(臭気)を発生させる芳香発生部81a(臭気発生手段)と、ベッド装置1のうち就寝者の頭部側に対向するように基部80に設けられた芳香放出口83とをもつ。制御装置6は、入力処理回路60と、出力処理回路61と、CPU62と、記憶要素63(RAM,ROM)とをもつ。各センサユニット5の感圧センサ50の検知信号はフィルタ回路67で選別され、相対的に低い周波数の信号SLと、相対的に高い周波数の信号SHとに選別された後、制御装置6の入力処理回路60を介してCPU62に入力される。制御装置6のCPU62は、出力処理回路61を介して刺激発生装置8およびカウンタ表示部68を制御する。カウンタ表示部68は、使用者の就寝中において無呼吸状態が発生した回数をカウントして表示するものであり、記憶要素63(RAM,ROM)の所定のエリアに格納される。使用者は就寝中における無呼吸状態が発生した回数をカウンタ表示部68により正確に知見することができる。次回の就寝に伴い、カウンタ表示部68はリセットされる。カウンタ表示部68は、就寝中において就寝者が無呼吸状態となった総数をカウントして表示するカウント手段として機能することができる。
【0017】
複数個のセンサユニット5の感圧センサ50の各信号は、フイルタ回路67および入力処理回路60を介してCPU62に入力される。刺激発生装置8が発生する刺激度合を使用者の好みに応じて設定する刺激設定部69が設けられている。刺激設定部69は、刺激発生装置8が発生する弱刺激の刺激度合と、刺激発生装置8が発生する強刺激の刺激度合とを個別に設定することができる。
【0018】
図2(A)は、一つのセンサユニット5で計測された計測波を表す波形図を示し、呼吸情報信号P1と心拍情報信号P2とが混合されている。フィルタ回路67は、遮断周波数よりも低い周波数の信号SLを透過させるローパスフィルタ機能と、遮断周波数よりも高い周波数の信号SHを透過させるハイパスフィルタとをもつ。図2(B)は、フィルタ回路67により計測波から選別した呼吸情報信号P1の波形を模式的に示す波形図を示す。図2(C)は、フィルタ回路67により計測波から選別した心拍情報信号P2の波形を模式的に示す波形図を示す。なお、呼吸情報信号P1の周波数は、心拍情報信号P2の周波数よりも相対的に低い。呼吸情報信号P1の振幅は、心拍情報信号P2の振幅よりも相対的に大きい。このため呼吸情報信号P1と心拍情報信号P2との双方が発生しても、フィルタ回路67により両者の識別は容易である。
【0019】
図4は制御装置6が実行するフローチャートの一例を示す。図4に示すように、センサユニット5の検知信号を読み込む(ステップS102)。次に、無呼吸状態であるか否か判定する(ステップS104)。具体的には、所定時間(例えば10秒間)内に就寝者の心拍(または血流振動)が検知されており、且つ、所定時間内に就寝者の呼吸が検知されないときには、就寝者が無呼吸状態であると判定する。また、所定時間内に就寝者の心拍(または血流振動)が検知されており、且つ、就寝者の呼吸が検知されているとき、就寝者が無呼吸状態ではないと判定する。あるいは、単純に、所定時間(例えば10秒間)内に就寝者の呼吸が検知されないとき、就寝者が無呼吸状態ではないと判定しても良い。ステップS104は、就寝者に対する無呼吸状態判定手段として機能する。
【0020】
無呼吸状態ではないと判定されるとき(ステップS104のNO)、センサユニット5の検知信号の読み込みを継続する(ステップS102)。無呼吸状態であると判定されるとき(ステップS104のYES)、カウント数をインクリメントする(ステップS106)。更に就寝者に弱刺激(第1刺激)を所定時間与える(ステップS108)。弱刺激は、刺激発生装置8を作動させて弱い芳香を所定時間発生させることをいう。
【0021】
上記したように弱刺激を与えた後、センサユニット5の検知信号を再び読み込む(ステップS110)。次に、まだ無呼吸状態が継続しているか否か再び判定する(ステップS112)。無呼吸状態が解消され、無呼吸状態ではないと判定されるとき(ステップS112のNO)、刺激発生装置8の作動を停止させ、メインルーチンにリターンする。
【0022】
まだ無呼吸状態であると判定されるとき(ステップS112のYES)、就寝者に強刺激(第2刺激)を所定時間与える(ステップS114)。強刺激は、刺激発生装置8を作動させて弱い芳香を、弱刺激に係る所定時間よりも長い時間発生させることをいう。あるいは、強刺激は、刺激発生装置8を作動させて強い芳香(弱い芳香よりも芳香臭が相対的に強い)を発生させることをいう。ここで、弱い芳香はもちろんのこと、強い芳香といえども、就寝者を覚醒(目覚め)させないことが好ましい。但し、場合によっては、無呼吸状態を確実に解消させるべく、強い芳香のときには就寝者を覚醒させても良い。
【0023】
以上説明したように本実施形態によれば、上記したように就寝者が無呼吸状態であると判定されるとき、芳香の弱刺激(弱臭気)を与えて就寝者の無呼吸状態の解消を促し、それでも就寝者の無呼吸状態が解消されないときには芳香の強刺激(強臭気)を与えて無呼吸状態の解消を促す。なお、微弱刺激、弱刺激、中刺激、強刺激等のように二段階以上の複数段階の刺激を与えることにしても良い。
【0024】
(実施形態2)
図5は実施形態2を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果をもつ。以下、相違する部分を中心として説明する。刺激手段としての刺激発生装置8Bが設けられている。就寝者が無呼吸状態であると制御装置6(無呼吸状態判定手段)が判定するとき、刺激発生装置8B(刺激発生手段)は、就寝している就寝者に刺激を与えて無呼吸状態を解消させる。刺激発生装置8は、基部80と、基部80に設けられた光を照射する光発生部81b(光発生手段)とをもつ。光発生部81bは内部において間接光を生成することが好ましい。光発生部81bから光は、ベッド装置1のうち就寝者の頭部側に照射される。就寝者を覚醒させないように就寝者側に照射される光としては、間接光が好ましい。眩しく無いため、就寝者に与える刺激が大きくないためである。但し、場合によっては直接光でも良い。光としては自然太陽光に近いものが好ましい。
【0025】
本実施形態においても、制御装置はセンサユニット5の感圧センサ50の検知信号を読み込む。次に、就寝者が無呼吸状態であるか否か判定する。無呼吸状態であると判定されるとき、就寝者に弱刺激(第1刺激)を所定時間与える。弱刺激は、刺激発生装置8Bを作動させ、強い光よりも相対的に弱い光(相対的に低照度の光)を使用者(殊に使用者の頭部付近)に向けて照射することをいう。上記したように弱刺激を与えた後、制御装置6はセンサユニット5の検知信号を読み込む。次に、まだ無呼吸状態であるか否か再び判定する。まだ無呼吸状態であると判定されるとき、制御装置6は就寝者に強刺激(第2刺激)を所定時間与える。強刺激は、刺激発生装置8Bを作動させて弱い光を、弱刺激に係る所定時間よりも長い時間、使用者(殊に使用者の頭部付近)に向けて照射させることをいう。あるいは、強刺激は、刺激発生装置8Bを作動させて強い光(弱刺激よりも強い光)を使用者(殊に使用者の頭部付近)に向けて照射させることをいう。弱い光はもちろんのこと、強い光といえども、就寝者を覚醒させないことが好ましい。但し、場合によっては、無呼吸状態を確実に解消させるべく、相対的に強い光の場合には就寝者を覚醒させても良い。本実施形態によれば、上記したように就寝者が無呼吸状態であると判定されるとき、光の弱刺激を与えて無呼吸状態の解消を促し、それでも無呼吸状態が解消されないときには光の強刺激を与えて無呼吸状態の解消を促す。なお、微弱刺激、弱刺激、中刺激、強刺激等のように二段階以上の刺激を与えることにしても良い。
【0026】
(実施形態3)
図6は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果をもつ。以下、相違する部分を中心として説明する。刺激手段としての刺激発生装置8Cが設けられている。就寝者が無呼吸状態であると制御装置6(無呼吸状態判定手段)が判定するとき、刺激発生装置8C(刺激発生手段)は、就寝している就寝者に刺激を与えて無呼吸状態を解消させる。刺激発生装置8Cは、基部80と、基部80に設けられた気流(風)を発生させる気流発生部81c(風発生)と、気流吹出口81dとをもつ。気流発生部81cで発生される気流は、気流吹出口81dからベッド装置1のうち就寝者の頭部側に向けて吹き出される。本実施形態においても、制御装置6はセンサユニット5の検知信号を読み込む。次に、無呼吸状態であるか否か判定する。無呼吸状態であると判定されるとき、就寝者に弱刺激(第1刺激)を所定時間与える。弱刺激は、刺激発生装置8Cを作動させて弱い気流を使用者(殊に使用者の頭部付近)に向けて吹き出すことをいう。上記したように弱刺激を与えた後、まだ無呼吸状態であると判定されるとき、制御装置6は就寝者に強刺激(第2刺激)を与える。強刺激は、刺激発生装置8Cを作動させて弱い気流を、弱刺激に係る所定時間よりも長い時間、使用者(殊に使用者の頭部付近)に向けて吹き出すことをいう。あるいは、強刺激は、刺激発生装置8Cを作動させ、弱刺激における気流ときよりも強い(単位時間あたりの流量が大きい)気流を使用者(殊に使用者の頭部付近)に向けて吹き出すことをいう。弱い気流はもちろんのこと、強い気流といえども、就寝者を覚醒させないことが好ましい。但し、場合によっては、無呼吸状態を確実に解消させるべく、相対的に強い気流の場合には就寝者を覚醒させても良い。以上説明したように本実施形態によれば、上記したように就寝者が無呼吸状態であると判定されるとき、気流の弱刺激を与えて無呼吸状態の解消を促し、それでも無呼吸状態が解消されないときには気流の強刺激を与えて無呼吸状態の解消を促す。なお、微弱刺激、弱刺激、中刺激、強刺激等のように二段階以上の刺激を与えることにしても良い。なお、気流と芳香とを混合させて複合的な刺激を、無呼吸状態の就寝者に与えても良い。
【0027】
(実施形態4)
図7は実施形態4を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果をもつ。以下、相違する部分を中心として説明する。刺激手段としての刺激発生装置8Dが設けられている。就寝者が無呼吸状態であると制御装置6(無呼吸状態判定手段)が判定するとき、刺激発生装置8D(刺激発生手段)は、就寝している就寝者に刺激を与えて無呼吸状態を軽減または解消させる。刺激発生装置8Dは、ベッド装置1に設置されている枕100に埋設されており、振動子51dをもつ。本実施形態においても、制御装置6はセンサユニット5の検知信号を読み込み、就寝者が無呼吸状態であるか否か判定する。無呼吸状態であると判定されるとき、就寝者に弱刺激(第1刺激)を所定時間与える。弱刺激は、刺激発生装置8Dを作動させて弱い振動を使用者に与えることをいう。上記したように弱刺激を与えた後、まだ無呼吸状態であると判定されるとき、就寝者に強刺激(第2刺激)を与える。強刺激は、刺激発生装置8Dの振動子51dを作動させて弱い振動を、弱刺激に係る所定時間よりも長い時間発生させることをいう。あるいは、強刺激は、刺激発生装置8Dの振動子51dを作動させて弱刺激のときよりも、相対的に強い振動(振幅および/または振動数が相対的に高い振動)を発生させることをいう。弱い振動はもちろんのこと、強い振動といえども、就寝者を覚醒させないことが好ましい。但し、場合によっては、無呼吸状態を確実に解消させるべく、相対的に強い振動の場合には就寝者を覚醒させても良い。以上説明したように本実施形態によれば、上記したように就寝者が無呼吸状態であると判定されるとき、振動の弱刺激を与えて無呼吸状態の解消を促し、それでも無呼吸状態が解消されないときには振動の強刺激を与えて無呼吸状態の解消を促す。なお、微弱刺激、弱刺激、中刺激、強刺激等のように二段階以上の刺激を順に与えて無呼吸状態の解消を促すことにしても良い。
【0028】
(実施形態5)
図8は実施形態5を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果をもつ。以下、相違する部分を中心として説明する。刺激手段としての刺激発生装置8Eが設けられている。就寝者が無呼吸状態であると制御装置6(無呼吸状態判定手段)が判定するとき、刺激発生装置8E(刺激発生手段)は、就寝している就寝者に刺激を与えて無呼吸状態を解消させる。刺激発生装置8Eは、基部80と、基部80に設けられた芳香(臭気)を発生させる芳香発生部81a(臭気発生器,臭気発生手段)と、ベッド装置1のうち就寝者の頭部側に対向するように基部80に設けられた芳香放出口83と、光を照射する光発生部81b(光発生手段)と、気流を発生させる気流発生部81c(気流発生手段)と、ベッド装置1に設置されている枕100に埋設されている振動子51dとをもつ。本実施例においても、制御装置6はセンサユニット5の検知信号を読み込む。無呼吸状態であると判定されるとき、カウント数をインクリメントする。更に就寝者に微弱刺激(第1刺激)を所定時間与える。弱刺激は、刺激発生装置8を作動させて弱い芳香を発生させることをいう。上記したように微弱刺激を与えた後、センサユニット5の検知信号を読み込む。次に、就寝者がまだ無呼吸状態であるか否か再び判定する。まだ無呼吸状態であると判定されるとき、就寝者に弱刺激(第2刺激)を所定時間与える。弱刺激は、刺激発生装置8Eを作動させて弱い光およびまたは弱い気流を所定時間発生させることをいう。弱い刺激といえども、就寝者を覚醒させないことが好ましい。無呼吸状態が解消されていると判定されるとき、刺激発生装置8Eを停止させる。次に、まだ無呼吸状態であるか否か再び判定する。まだ無呼吸状態であると判定されるとき、就寝者に中刺激(第3刺激)を所定時間与える。中刺激といえども、就寝者を覚醒させないことが好ましい。
【0029】
中刺激により無呼吸状態が解消されていると判定されるとき、刺激発生装置8Eを停止させる。中刺激が就寝者に与えられても、就寝者がまだ無呼吸状態であると判定されるとき、就寝者に強刺激(第4刺激)を所定時間与える。強刺激といえども、就寝者を覚醒させないことが好ましい。本実施形態によれば、上記したように就寝者が無呼吸状態であると判定されるとき、微弱刺激、弱刺激、中刺激、強刺激を順に与えて無呼吸状態の解消を促す。
【0030】
(実施形態6)
図9は実施形態6を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成および作用効果をもつ。共通の機能を有する部位には共通の符号を付する。以下、相違する部分を中心として説明する。刺激手段としての刺激発生装置8M,8Nがベッド装置1のヘッド部21に設けられている。ベッド装置1には複数の就寝者A,Bが同時に就寝できる。刺激発生装置8Mは就寝者Aに刺激を与える。刺激発生装置8Nは就寝者B1に刺激を与える。このように複数の者が就寝するベッド装置1にも適用できる。その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。ある実施形態に特有の機能または構造は他の実施形態にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】ベッド装置の斜視図である。
【図2】(A)は呼吸情報信号と心拍情報信号とが合わさった波形を模式的に示す波形図であり、(B)は節別した呼吸情報信号の波形を模式的に示す波形図であり、(C)は選別した心拍情報信号の波形を模式的に示す波形図である。
【図3】ブロック図である。
【図4】制御装置が実行するフローチャートである。
【図5】実施形態2に係り、ベッド装置の斜視図である。
【図6】実施形態3に係り、ベッド装置の斜視図である。
【図7】実施形態4に係り、ベッド装置の斜視図である。
【図8】実施形態5に係り、ベッド装置の斜視図である。
【図9】実施形態6に係り、ベッド装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1はベッド装置、2はベッド本体、3はマットレス、4はセンサユニット(呼吸検知手段、生体情報検知体)、50は感圧センサ、6は制御装置、8は刺激発生装置を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
就寝している就寝者の呼吸状態を検知する呼吸検知手段と、
前記就寝者が所定時間以上呼吸していないと前記呼吸検知手段により検知されるとき、前記就寝者が無呼吸状態であると判定する無呼吸状態判定手段と、
前記就寝者が無呼吸状態であると前記無呼吸状態判定手段が判定するとき、就寝している前記就寝者に刺激を与えて前記無呼吸状態を軽減または解消させる刺激手段とを具備していることを特徴とする就寝者無呼吸矯正装置。
【請求項2】
請求項1において、前記刺激手段は、前記就寝者を目覚めさせることなく前記就寝者に刺激を与えることを特徴とする就寝者無呼吸矯正装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記刺激手段は、臭気を発生させる臭気発生手段、光を就寝者に与える光付与手段と、気流を発生させる気流発生手段、振動を発生させる振動発生手段とのうちの少なくとも一つを具備していることを特徴とする就寝者無呼吸矯正装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちの一項において、前記刺激手段は、前記就寝者を目覚めさせることなく前記就寝者に弱刺激を与える弱刺激手段と、前記就寝者を目覚めさせることなく又は就寝者を目覚めさせるために、前記弱刺激手段よりも相対的に強い強刺激を前記就寝者に与える強刺激手段とを備えていることを特徴とする就寝者無呼吸矯正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−302133(P2008−302133A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154245(P2007−154245)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】