説明

尺八用着脱自在吹き補助具と風量調節具

【課題】吹奏が難しい尺八を誰でも簡単に吹けるように、吹き補助具を提供する。尺八奏者の喉への負担を軽減するために、その吹き補助具に連結して送風機に吹かせることを可能にする風量調節具を提供する。
【解決手段】尺八のアゴ当て部に吹き補助具を装着して、吹き口7の位置、前後・高さ・角度、を調整して口で吹けば誰でも簡単に音が出せる。擬似口唇18aを設けることにより、直接吹いた場合と同等の音質が得られる。当該吹き補助具の吹き口7に風量調節具を連結すれば、口で吹く代わりにコンプレッサー等の送風機による吹き風を使うことが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は市中に存在する一般的な尺八に着脱可能な吹き補助具と、当該吹き補助具に連結して送風機による吹き風を使うことを可能にする風量調節具に関するものである。
【技術背景】
【0002】
木製や合成樹脂製尺八で、着脱構造があらかじめ加工されてある尺八にのみ着脱できるマウスピース(吹き補助具)はあるが、市中に存在する一般的な尺八に、材質や太さを問わず、かつ尺八本体をなんら加工することなく着脱できる吹き補助具はない。
また、口で吹く代わりに送風機による吹き風を使うことを可能にする技術はない。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−219523
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
尺八の吹奏は難しく熟練に長期間を有するため、練習を途中で放棄する者も少なくない。また、尺八の吹奏は喉(声帯等)への負担がかかり、疲れる。
熱心な練習や演奏会で長時間吹奏する機会が多いなどの場合は特別である。
だんだんと高音の歌が歌えなくなることもある。
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
図1に示すように尺八のアゴ当て部(2b)に吹き補助具(1)を装着して、吹き口(7)の位置(前後・高さ・角度)を調節して口で吹けば誰でも簡単に音が出せる。
擬似口唇(18a)を設けることにより、直接吹いた場合と同等の音質が得られる。
さらに、図2に示すように、本発明吹き補助具の吹き口(7)に風量調節具(3)を連結すれば、口で吹く代わりにコンプレッサー等の送風機による吹き風を使うことが可能になる。
本発明は以上の構成からなる吹き補助具と風量調節具である。
【発明の効果】
【0006】
高価な尺八を手に入れても吹奏の難しさから放置してしまうことがなくなる。
音を簡単に出せると運指の上達が早く、多くの曲を短時間に習得できる。
本発明の吹き補助具(1)を初心者や途中放棄した方に導入すれば、尺八吹奏への興味が持続または再起し、これから習おうとする方に導入すれば、「尺八は難しいので続けられるか」という不安を解消できる。
この結果尺八の普及が増進し、ひいては伝統芸能の発展が図られる。
本発明の吹き補助具(1)は、これだけでも直接吹く場合に比べ喉(声帯等)への負担を軽減する。
本発明の風量調節具(3)を使って送風機に吹かせれば喉(声帯等)への負担は皆無である。
このことは長時間練習や民謡発表会などの長時間演奏でも疲れず身体にやさしいと言える。
さらには呼吸器官に障害のある方でも演奏可能である。
喉(声帯等)への負担を軽減することにより「尺八奏者は民謡などの高い音程の声が出しにくくなる」という事態がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明を口で吹く場合の構成を示した説明図である。
【図2】本発明を送風機に吹かせる場合の構成を示した説明図である。
【図3】本発明の吹き補助具(1)の斜視図である。
【図4】本発明の吹き口(7)の詳細図である。
【図5】本発明の吹き口位置調整具(8)の斜視図である。
【図6】本発明の台座および尺八への装着具(9)の斜視図である。
【図7】本発明の台座(17)周りの断面図である。
【図8】本発明の風量調節具(3)の斜視図である。
【図9】本発明の風量調節開閉フタ(22)を閉じた状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(イ)本発明のうち吹き補助具(1)を実施するための形態を説明する。
尺八を直接吹いても初心者には音が出ないので、尺八のアゴ当て部(2b)に台座(17)を介して新たに吹き口(7)を載せ、そこを吹けば音が出るようにする。
吹き口(7)と尺八の唄口(2a)の位置関係が悪いと音が出ないので、吹き口位置調整具(8)で前後・高さ・角度とも最適な位置に置けるようにする。
最適な位置は吹き口を軽く吹いたとき、その尺八の筒音(ロ音)が出る位置である。
吹き口(7)の先端部分の溝の巾は0.5〜1mmが適当である。
台座(17)と尺八のアゴ当て部(2b)が密着してないと音が出ないので、台座(17)と尺八のアゴ当て部(2b)の間に軟質ゴム状シート(18)を挿入する(図7参照)。
軟質ゴム状シート(18)は台座(17)の先端で内側に巻き込む(図7参照)ことにより、擬似口唇(18a)が生成され音質が向上する。
なお、台座(17)先端部分の上部に、上唇に相当する擬似口唇を設けることも考えられる。
台座および尺八への装着具(9)の尺八頭部押さえゴム(19)の内周形状寸法を平均的太さより少し太めの尺八頭部外周形状寸法とほぼ同じに製作し、尺八の唄口(2a)の最上部ラインと台座(17)の先端ラインを合せて、尺八クリップ(20)で尺八を挟むることで、どの尺八にも正常に装着することができる。
なお、台座(17)を軟質ゴム状シート(18)上面でローリングするような構造にすれば、メリ・カリ機能を持たせることも可能と考えられる。
また、各尺八の微妙な適正鳴り位置を無視するなら、吹き口(7)を標準的尺八で求めた適正鳴り位置に紙粘土等で固定した本発明吹き補助具も考えられる。
【0009】
(ロ)本発明のうち風量調節具(3)を実施するための形態を説明する。
風量調節具(3)は吹き補助具(1)を口で吹く代わりにコンプレッサー等の送風機で吹かせるときに使用する。
風量調節具(3)は送風機から吹き口(7)に空気を送る途中に設け、空洞筒(21)とそれを開閉する風量調節開閉フタ(22)で構成する。
吹き口(7)への送風口(25)と吹き口(7)を吹き口連結ホース(4)でつなぐ。
空洞筒(21)は尺八に装着するための装着具(27)に固定しておく。
送風機の風圧は0.2MPa程度必要で、このままだと音程によっては強すぎる場合があるので、風量調節開閉フタ(22)を開いて風を逃がす構造になっている。
風量調節開閉フタ(22)は口唇やアゴ等顔面に当て、首から上の動きと尺八の動きの連動でコントロールする。
口唇に当てると尺八を直接吹いている感覚でコントロールできる。
このコントロールの巾はわずかであるので、開き過ぎないように開きストッパー(24)を設ける。
なお、風量調節開閉フタ(22)の代わりに、空洞筒(21)に沿ってスライドする筒状フタを設け、その側面に空気逃しの溝等を設け、当該筒状フタをスライドすることによって風量を調節する構造も考えられる。
音程によっては低圧力の風を持続して尺八に送る必要があるが、空洞筒(21)の長さと太さでそれが可能となる。すなわち細く短かすぎると低圧力の風が持続しなく、太く長すぎると風圧が足らなくなる。空洞筒は内径15〜20mm、長さは20〜15cmが妥当である。
なお、空洞筒(21)は長さを調節できる構造にしても良い。
送風機に小型コンプレッサーを使う場合、騒音・振動・過熱対策が必要である。
図2に示すようにそれらを対策した箱の中に収めておくと、室内でも騒音・振動が苦にならず、コンプレッサーも過熱せず長時間運転可能である。
なお、本発明の風量調節具(3)は、尺八以外の管楽器を送風機に吹かせる場合にも応用できる。
【符号の説明】
【0010】
1 吹き補助具
2 尺八
2a 尺八の唄口
2b 尺八のアゴ当て部
3 風量調節具
4 吹き口連結ホース
5 コンプレッサー等送風機
5a 防音・防振・過熱対策箱
5b 冷却ファン
6 尺八支持具
7 吹き口
8 吹き口位置調整具
9 台座および尺八への装着具
10 吹き口の高さ調整ピニオンラック
11 吹き口の角度調整ピニオンラック
12 吹き口の前後調整ピニオンラック
13 ラック
14 吹き口ガイド
15 角度ガイド
16 前後移動ガイド板
17 台座
18 軟質ゴム状シート
18a 擬似口唇
19 尺八頭部押さえゴム
20 尺八クリップ
21 空洞筒
22 風量調節開閉フタ
23 押しバネ
24 開きストッパー
25 吹き口への送風口
26 コック
27 装着具
28 半円球スポンジゴム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
市中に存在する一般的な尺八に材質や太さを問わず着脱できる装着具(9)に、軟質ゴム状シート(18)を擬似口唇(18a)が生成しかつ尺八のアゴ当て部(2b)に密着するように取り付け、その上に台座(17)を固定またはローリングする構造で設け、台座(17)の上に位置調整可能なもしくは固定した吹き口(7)を設けた吹き補助具。
【請求項2】
長さ一定または調節可能な空洞筒(21)にコンプレッサー等の送風機と本発明の吹き補助具(1)その他管楽器に連結する連結口を設け、口唇またはアゴ等顔面に当て、首から上の動きと尺八等管楽器の動きの連動でコントロールする風量調節開閉フタ(22)、または空洞筒(21)に沿ってスライドし側面に空気抜きの溝等を有し、同様にしてコントロールする筒状フタを設け、尺八(2)に着脱するための装着具を設けた風量調節具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−150415(P2012−150415A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21147(P2011−21147)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(593045846)
【Fターム(参考)】