説明

尾輪式ラジコン飛行機の直進滑走装置

【課題】尾輪式ラジコン飛行機の直進滑走性を向上さすための装置を提供する。
【解決手段】ラダーサーボ(25)に取り付けたサーボホーン(26)の右端と左端にロッドアジャスター(13)を連結する。前記ロッドアジャスターに一体型の作動ロッド(21)と連結作動管(20)を連結し、下部ギア断続ロッド(15)等の各構成部品を介して同軸ギア(9)までを連動(連結)させ、前記同軸ギアと主輪ギア(8)を断続させるものである。前記同軸ギア(9)と主輪ギア(8)が、送信機のラダーステックをコントロールしないか、コントロールをすることによって断続し、左右の主輪(2)が同一回転するか、独自に回転する装置である。同軸ギア(9)と主輪ギア(8)とが連結(圧着)すれば、本機が直進滑走し、前記両ギアを離せば、地上走行時に本機の左右方向転換が容易に出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尾輪式ラジコン飛行機の離着陸滑走中(特に低速時の地上滑走)に直進滑走性が大変悪い尾輪式ラジコン飛行機の前記難点(課題)を解決した尾輪式ラジコン飛行機の直進滑走装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飛行機の地上滑走用の着陸脚の配置には、主輪が設けられている主脚以外の支持輪を設ける1脚の位置によって前輪式と尾輪式の2つに大別されており、主脚(主輪)以外の1脚(支持輪)を前方の機首下部に置くものを「前輪式」、機体後部に置くものを「尾輪式」と呼ばれている。一般的に前輪式に比べて尾輪式のものは離着陸時における地上滑走時の操縦が困難で習熟した技術がより必要とされている。
ただし、尾輪式には前輪式と比較して以下のような利点があるものである。
・機首にプロペラを配置している場合、プロペラの地上高が高くなるため、滑走路上の異
物の巻き上げに強くなり、またプロペラ直径を大きくできる。
・地上滑走用の着陸脚は荷重を支えるため頑丈でなければならず、軽量化を阻害して飛行
機設計の大きな課題となっているが、前輪式に比べて尾輪式は簡単・小型にすることが
でき、その分軽くなる。
・引き込み式でなく固定式にする場合、前輪式の主脚よりも尾輪式の方が小型にでき抵抗
が少ない。
【0003】
これらの利点を勘案して、ラジコン飛行機では尾輪式のタイプを採用される例があるが、該尾輪式ラジコン飛行機は、前記のとおり本機の特性でもある直進滑走性が大変悪く、特に離陸滑走中の操縦が大変難しい問題を有していた。
しかし、従来から前記難点を解決した尾輪式ラジコン飛行機は、製造販売されていない。
この難点解決の一例として実機に関しては(一部ラジコン飛行機含む)、本特許出願人が提案した下記の特許公報(特許文献1)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3310870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
尾輪式ラジコン飛行機は、前記技術分野等で述べたように本機の特性でもある直進滑走性が大変悪く、特に離陸滑走の操縦が大変難しい。
時には、飛行機全体が水平にくるりと廻されてしまうスピン現象を誘起するグランドループ等を起こすこともあり危険である。
上記の特許文献1は、これらを解決した構造例で、本特許出願人が特許文献1の
イ)ラジコン飛行機の応用実施例:6頁(図21〜図24)
ロ)特許請求の範囲(請求項4)のラジコン飛行機:5〜6頁(図17〜図20)
に示す構造のもので、種々テストを重ねた結果では特許文献1に記載される効果を奏することを確認したが、機体を支える主輪のサスペンション機構がないために、主輪緩衝装置(4)の下端部分が、着地の際に激しく衝撃を受ける傾向や、地上滑走中での機体振動が大きい傾向が見られ、機体への衝撃を緩和する緩衝装置を装着してクッション性を高めることの必要性も課題とされた。
本発明は、尾輪式ラジコン飛行機の前記課題(問題点)を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、課題を解決するための手段を説明する。
イ)尾輪式ラジコン飛行機(以下「ラジコン機」又は「機体」という)は、前述したように直進滑走性が大変悪く、離陸滑走中の操縦が大変難しい。
そこで、本ラジコン機の離陸時等に直進滑走させるための前記難点(課題)を解決する
ためには、左右の主輪(2)を同一回転させる必要がある。
【0007】
本発明は、左右の主輪(2)を同一回転させる方法としてラジコン機の下部にある両端を同軸ギア(9)で固定した同軸(11)を設ける。
前記同軸ギア(9)は、同軸(11)を介して左右が同一回転する。
同軸ギア(9)と左右の主輪(2)の内側に固定した主輪ギア(8)をそれぞれ噛み合い連結させて同軸(11)、同軸ギア(9)、主輪ギア(8)等を介して左右の主輪(2)を同一回転させ、機体を直進滑走させる方法である。
一方、地上走行時には、左右の主輪(2)が同一回転すれば機体の左右方向転換をすることが出来ない。
この場合は、同軸ギア(9)と連結(圧着噛み合い)している主輪ギア(8)を離して左右の主輪を自由にして、独自に回転させれば機体の左右方向転換が容易に出来る。
本発明で、前記同軸ギアと主輪ギアを断続させる方法は、下記の通りである。
前記両ギアをラダーサーボ(25)から作動ロッド(21)・連結作動管(20)・作動レバー(18)・下部ギア断続ロッド(15)等の各構成部品を介して連動(連結)させ、両ギア(9)、(8)を断続させる構造である。
同軸ギア(9)と主輪ギア(8)を連結すれば機体が直進滑走し、両ギアを離せば地上走行時に機体の左右方向転換が容易に出来る。
これには、尾輪(30)と一体型になっているラダー(28)を直進姿勢のままでコントロールしなければ、同軸ギア(9)と主輪ギア(8)が連結していて直進滑走する。
【0008】
一方、ラダー(28)を機体の後方から見て、右か又は左に姿勢切り替えをコントロールすると両ギアが離れ地上走行時の左右方向転換が容易に出来る。
本装置の作用等については、前述したが、本発明の基本的な構造は、下記のようになっ
ている。
【0009】
ラジコン機を上面から見て胴体の中央(中心線)に、ラジコンの操縦操作で正逆回転に駆動制御される支軸を有するラダーサーボ(25)を取り付ける。
前記ラダーサーボの支軸にセットしたシーソー状に作動する天秤形態のサーボホーン(26)の右端と左端にロッドアジャスター(13)をそれぞれ取り付け、これに湾曲形態にカーブしている作動ロッド(21)を接合する(作動ロッド(21)は、前記ロッドアジャスター(13)に緩めに螺子込み係合されることによって回転することが出来る)。
【0010】
また、前記作動ロッド(21)に代えてカーブしていない直線状形態の前記作動ロッド(21)を使用する時には、作動ロッドと接合する(後述する)連結作動管(20)の材料は、左右の幅が撓み変形して伸縮することが出来る真鍮、アルミ等を用いたほうが良い。
作動ロッド(21)に押されて前進する筒状の連結作動管(20)を設ける。
前記連結作動管(20)は、先端からカタカナのコの字形等をしたパイプとロッドによって左右が連結している。
前記パイプの部分に左右の作動ロッド(21)が入り、どちらかが前進又は後退する。
連結作動管(20)の先端と左右の作動レバー(18)の上端を連結する。
前記作動レバー(18)の上端部分に前進作動された連結作動管(20)を原位置に後退復帰させる働きをする機内スプリング(19)の上端を、機内下部に下端を取り付ける。
作動レバー(18)の下端と上部ギア断続ロッド(16)を連結し、これに上下方向の緩衝作用を誘起させるスプリング効果があり、途中を横V又はU字形等に曲げることによってクッションと程良い圧着効果がある下部ギア断続ロッド(15)を取り付ける。
左右の下部ギア断続ロッド(15)の下端をロッドアジャスター(13)を介して左右のギア断続金具(12)の先端を連結する。
【0011】
ロ)主輪のクッション作用を許容する機外スプリング(14)を取り付け、先端が上下に伸縮する左右の主輪緩衝装置(4)の下側前方に主輪受け(10)の両先端を固定する。
以上の構成よりなる尾輪式ラジコン飛行機の直進滑走装置。
【発明の効果】
【0012】
本装置を装備したラジコン機は、直進滑走及び地上走行時のラダー(28)コントロー
ルが易しく出来るので特に初心者の(高翼)練習機に適している。
また、本装置を装備するのに適した機種は、高翼機、肩翼機及び複葉機など低翼機以外の機種が好都合である。
この装置を装備した機体のラダーコントロールは、前述の通り一般のラジコン機と何ら変わらないので大変好都合である。
前記コントロールの方法が、一般のラジコン機と異なると混乱して危険なことがある。
本機(当該装置付きラジコン機)が離着陸滑走中にグランドループ等を起こすことがなく、又、地面に不安定に着地しても機体が安定し、安全に停止出来る。
前記効果は、実機に関しても同様な効果がある。
また、本装置にブレーキを装備した機体(実機含む)では、ブレーキを掛けても左右の
主輪(2)が同一回転するので片効きが起こりにくく、グランドループ等を起こすこともなく、安全に停止出来る。
また、下部ギア断続ロッド(15)や機外スプリング(14)のクッション作用により機体にクッション効果を持たせることができて、主輪緩衝装置(4)の下端部分が、着地の際に衝撃を受けた時に上下して緩和し、また、地上滑走時の機体振動を少なく効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のラジコン機の直進滑走時の状態を示した図面で、機体を後方から見て、機体中心線から右側にある各部品の左側面図である。但し、ラダー、尾輪等は機体後方から見て左側面図である。
【図2】本発明の前記の状態と作動状態(点線の部分)を示した平面図である。
【図3】本発明の前記の状態と作動状態(点線の部分)を示した正面図である。
【図4】本発明の主輪、主脚等の状態を示した平面図である。
【図5】本発明の胴体下面(下板)の主脚固定部品の取付け状態を示した下面図である。
【図6】本発明の前記主脚固定ネジ部分の断面図である。
【図7】本発明の主脚固定部品(図5、左上)を示した拡大図である。
【図8】本発明の主輪の緩衝装置を示した左側面図の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
ラジコン機のラダーサーボ(25)(ラジコンの操縦操作で正逆回転に駆動制御される支軸を有する)の支軸に取り付けたシーソー状に作動する天秤形態のサーボホーン(26)の右端と左端にロッドアジャスター(13)を取り付け、これに湾曲状形態にカーブしていて回転する作動ロッド(21)を連結する。そして、作動ロッド(21)の基部に雄ネジが設けられ、ロッドアジャスター(13)の先端に雌ネジが設けられており、作動ロッド(21)はロッドアジャスター(13)に緩めに螺子込み係合されることによって、作動ロット(21)が前後移動するに連れて回転することが出来、後述する筒状の連結作動管(20)との嵌合、前後移動をスムースに行うことができる。
上記の湾曲状形態の作動ロッド(21)に代えてカーブしていない直線状形態の作動ロッドを使用する場合は、連結作動管(20)の材料は、左右の幅が撓み変形して伸縮することが出来る真鍮管、アルミパイプ等を用いたほうが良い。
このように、作動ロッド(21)は、湾曲状形態にカーブしているタイプと、カーブしていない直線状形態のタイプのものを択一的に選択して取り付けることができる。
【0015】
作動ロッド(21)の先端でガタツキなく押されて前進し、これと一体化(一体型)している枠組み構成を特徴とする前記連結作動管(20)を設ける。
前記一体化は、特に回転する作動ロッド(21)が連結作動管(20)を前方に回転しながらガタツキなく確実に押すことが出来る。
連結作動管(20)は、先端からコの字形をしたパイプとロッドによって左右が連結している。
前記パイプの部分に左右の作動ロッド(21)が入り、どちらかが前進又は後退する。
前記一体化は、実機と異なりラジコン機だからできる独特の構成であり、特徴的なものである。
また、作動ロッド(21)の先端は、常時左右又は片方が連結作動管(20)にガタツキなく接離自在に接当する形態で接合していなければならない。
前記接合箇所に隙間があると同軸ギア(9)と主輪ギア(8)の断続にズレを生じ、前記両ギアが同時に確実に断続しなくなり、地上走行時に左右方向転換がスムースに出来なくなる。
【0016】
連結作動管(20)の先端と作動レバー(18)の上端を連結する。
前記作動レバー(18)の上端部分に前進作動された連結作動管(20)を原位置に後退復帰させる働きをする機内スプリング(19)の上端を、機内下部に下端を取り付ける。
作動レバー(18)下端と、これに連結する上部ギア断続ロッド(16)を設ける。
前記上部ギア断続ロッド(16)に取り付けて、これを横V又はU字形等に曲げることによって上下方向の緩衝作用を誘起させるクッションと復元力で程良い圧着効果がある下部ギア断続ロッド(15)を設ける。
左右の下部ギア断続ロッドの下端をロッドアジャスター(13)を介して左右のギア断続金具(12)の先端部分に連結する。
前記ギア断続金具の先端の穴に同軸(11)を入れ、この両端に同軸ギア(9)を固定する。
前記同軸(11)の下部に主輪受け(10)を設ける。
前記主輪受けの左右の両端部分には、各主輪(2)の内側に主輪ギア(8)を固定した主輪(2)を装備する。
前記同軸ギア(9)と主輪ギア(8)は平ギア同士の噛み合い組み合わせで断続する。
主輪のクッション作用を許容する機外スプリング(14)を取り付けて先端が上下に伸縮する左右の主輪緩衝装置(4)を設け、前記主輪緩衝装置の下側前方に主輪受け(10)の両先端を固定する。
【0017】
主輪緩衝装置(4)は、図1に示すように、上下にロッドを通して安定させ、主脚(7)に固定する(この装置の先端には、上下に穴を開け、この中にロッドを入れる)。
該主輪緩衝装置(4)は、機外スプリング(14)のバネ弾性力を受けて閉塞するタイプの洗濯挟みに類似する形態に構成されたものを使用している。
尚、前記機外スプリング(14)が弱い時には、前記上下の中に位置するロッドにコイルスプリングを入れて強さを調整することもできる。
また、主輪緩衝装置(4)の下端部分が、着地の際に衝撃を受けた時に上下する。
主輪緩衝装置の本体の材質は、ポリプロピレン、ポリカーポーネード又はステンレススチール等が、又、機外スプリング(14)の材質では、銅線等が適していると思われる。
主輪緩衝装置の上部を3ミリ位のピアノ線等で予め機体下板の主脚取り付け板(3)に取り付けた前記主脚(7)に固定する。
【0018】
イ)離陸滑走時
以下、本発明の実施例、作用(使用方法、使用状態)につき図面について説明する。
これは、図1から図3に示した。
本図には、主翼、胴体後部、水平尾翼など特許装置と直接関係がないので省略した。
本装置は、1個のラダーサーボ(25)でラダー(28)と主輪(2)の直進滑走及び地上走行をコントロールすることが出来る。
離陸滑走時には、本機を離陸滑走の方向に向け、送信機のラダーステックをそのままにしてコントロールをしない。
前記ラダーステックをコントロールしなければ、左右の作動レバー(18)上端部分と機内下部に連結して取り付けてある左右の機内スプリング(19)等の作用により常時前記作動レバー(18)が前記機内スプリング(19)に引っ張られている。
この作用と共に程良い圧着効果がある下部ギア断続ロッド(15)等の一連の共同作用により常時左右の同軸ギア(9)と主輪ギア(8)が圧着している。
前記作用から離陸滑走時に前記両ギアが外れるというトラブルは起こらない。
前記一連の作用から、本機が地上滑走すれば、前記同軸ギアと主輪ギアとが連結していて同軸(11)を介して左右の主輪(2)が同一回転し、当然左右の主輪の回転数が同じになるため、機体(以下「本機」という)が直進滑走する。
この場合、一般のラジコン機では、この機体の直進滑走を容易にするために通常はエンジンのサイドスラストを右に2°〜3°偏向して取り付けてあるが、本機もまた一般のラジコン機と同様にサイドスラストを右に2°〜3°取り付けたが良い。
【0019】
また、本機が直進しなくて右又は左に方向を転ずる場合には、図5から図7に示すように、胴体下板の主脚取り付け板(3)に直進調整溝(こう)を8カ所設けてこれを調整することによって機体を直進さすことが出来る。
左右のギア断続金具(12)は、左右の主輪緩衝装置(4)の後端に取り付けられて左右が繋がっているロッドに連結している。
【0020】
尚、図1と図3では、左右のギア断続金具(12)の後端両側に取り付けてあるストッパー(23)は省略してある(図4のストッパー参照)。
前記ストッパーは、前記ギア断続金具(12)の横揺れ(横ブレ)を防止する。
また、図1では、主輪受け(10)の位置が見えず判明しにくいので省略してある。
図2に記載すべき主脚(7)等は、図4に記載してあるのでここでは省略した。
図3では、作動ロッド(21)とサーボホーン(26)等は、連結作動管(20)の後方に位置するため分かりにくいので省略した。
図5は、胴体下部の主脚(7)の固定部分の取り付け状態を示した下面図である。
8個の斜めになっている太い実線(若干湾曲している)は、前述した直進調整溝であり(長さは1cm弱)、この8個の溝の向きは、全体が円を描くようになっている。
前記のようなっていないと主脚の向きを調整することが出来ない。
本機を地上滑走させて見て、曲がる方向と反対の方向に主脚固定ネジ(6)の溝(直進調整溝)をスライドさせ主脚の向きを調整し、直進させるようにしてからその後ネジを確実に締めてから直進滑走させる。
【0021】
また、図5では、ギア断続金具(12)と、上部ギア断続ロッド(16)は、下部ギア断続ロッド(15)と連結していて判明しにくいので省略した。
図6は、前記の取り付け状態を示した断面図である。
また、図7は、主脚固定部品等の図5の左上、拡大図である。
図7の斜めの長円が直進調整溝である。
前記直線調整溝の長さは、実際より短く記載している。
尚、図5と図7では、ネジの頭部は省略してある。
図8の主輪緩衝装置(4)の後端は、着地の際の衝撃で矢印の示す範囲で約1cm開き衝撃を緩和する。
この図の(a)が主輪受け(10)の先端であり、主輪緩衝装置(4)の下側前方に固定する。
また、図8では、ギア断続金具(12)は省略してある。
一般的には、尾輪式飛行機に対して前輪式(3車輪式)飛行機(一般のラジコン機含む)が主流を占めているのは直進滑走性が良いからであるが、本機が前輪式飛行機よりも直進滑走性に優れている。
これが本機の利点でもある。
【0022】
ロ)地上走行時
これも、図1から図3に示した
地上走行時に本機を右(又は左)に方向転換をする時には、送信機(トランスミッター)のラダーステックを右(又は左)にコントロールする。
ラダー(28)の矢印がラダー舵角を最大で約30°切った場合の作動範囲である。
ラダーサーボ(25)に取り付けてあるサーボホーン(26)が図2に示すように右(又は左)上方に作動、前進する。
前記サーボホーンの作動状態は、図2に示す矢印の位置まで前進する(ラダーを約30°切った場合)。
この時のサーボホーン(26)は、上に約30°作動する。
前記作用に連動してサーボホーンに連結している右(又は左)のロッドアジャスター(13)も前進する。
前記ロッドアジャスターに連結し、湾曲状形態にカーブしていて回転しながら前進する右(又は左)の作動ロッド(21)が連結していて共同で前進作用をする。
更に、作動ロッドと一体型の連結作動管(20)(カタカナのコの字形等をしたパイプ)も前進する。
前記作動ロッド(21)は、連結作動管の中に入っていて前進又は後退する。
一方、反対側のサーボホーン(26)の左下方は後退し、これに連結していて左(又は右)の作動ロッド(21)は後退する。
ここまでの一連の作用は、サーボホーン(26)の作動に合わせてロッドアジャスター(13)に連結している作動ロッド(21)が回転しながら連結作動管を前進させる。
この時は、前記連結作動管(20)は、前進したままである。
次回の作用は、後述する〔0011〕以降になる。
ここで作動ロッド(21)と一体型になっている連結作動管(20)は、特に実機と異なる構造である。
【0023】
実機にこの方法を応用すれば、実機のラダーペダル(フットバー)の前方にコの字形の金具を設けて接合する必要がある。
前記構造では、ラダーペダルを踏んだ時に、ラダーペダルとコの字形金具が本機の一体型に比べてぐらつく可能性があり、それ相応の対策をしなければならない。
従って、それだけ機体(実機)の重量がかさむことになり不利になる。
この点作動ロッド(21)と連結作動管(20)の一体型は特にラジコン機だから出来る独特な構成であり、特徴的なものである。
更に、この一体型は、左右の同軸ギア(9)と主輪ギア(8)が前記作用により同時に確実に断続する構造であり、優れていて大きな利点(効果)がある。
しかし、これが左右の作動管が連結していないと、右か又は左の両ギアだけは離れる。
前記構造になっていると、反対側の両ギアが離れるのが中途半端になりやすく、左右の両ギアが同時に確実に断続出来ず地上走行時に左右方向転換をするのに支障を来たす。
また、ギアが片チビリ(摩耗)するようになり故障の原因になりやすい。
【0024】
連結作動管(20)が前進すれば、この先端にエンジンマウント(1)に取り付けた左右の作動レバー(18)の上端が連結し、この作用により前記作動レバーが前傾する。
この時の作動レバーの上端は、図1の(A)に示した位置まで傾く(ラダーを約30°切った場合)。
前記作用から作動レバー下端と連結している上部ギア断続ロッド(16)が上がる。
前記上部ギア断続ロッドに連結して途中を横V又はU字形等に曲げることによってクッションと程良い圧着効果のある下部ギア断続ロッド(15)も上がる。
前記下部ギア断続ロッドの下端にロッドアジャスター(13)を介してギア断続金具(12)の先端部分が連結している。
前記作用から前記ギア断続金具(12)も上方に引っ張られる。
ギア断続金具の先端には、両端を同軸ギア(9)で固定した同軸(11)が装着してある。
作動レバー(18)が前傾すると、前記の各構成部品の作用により下部ギア断続ロッド(15)が上方に引っ張られてギア断続金具(12)を介して前記同軸(11)が上がる(離れる)。
前記一連の作用で同軸に固定してある同軸ギア(9)と圧着している左右の主輪ギア(8)が離れる。
前記主輪ギアは、主輪(2)の内側に固定してある。
この時の同軸(11)は、図3に示した点線の同軸の位置まで離れる(ラダーを約30°切った場合)。
前記一連の作用で両ギアが離れ左右の主輪(2)が独自に回転するため地上走行時に機体の方向転換が容易に出来る。
この時の両ギアの断続とラダー(28)の作動は、連動して作用する。
【0025】
前述したことから、離陸滑走時には、送信機のラダーステックをコントロールしない。
この時は、機内スプリング(19)、下部ギア断続ロッド(15)などの共同作用により、同軸ギア(9)と主輪ギア(8)が圧着していて同軸(11)を介して左右の主輪(2)が同一回転して機体は直進滑走する。
一方、地上走行時には、ラダーステックを右(又は左)にコントロールして機体を右(又は左)に方向転換する時には、各構成部品の作動は、下記のようになる。
一体型の左右の作動ロッド(21)と連結作動管(20)及び下部ギア断続ロッド(15)等を介して左右の同軸ギア(9)と主輪ギア(8)が同時に確実に離れる。
前記一連の作用から左右の主輪(2)が独自に回転するため地上走行時に左右の方向転換が容易に出来る。
最重要なことは、ラダー(28)を少し切っても両ギアが同時に確実に離れることである。
前記作動は、ラダーを少し切っただけで機体が速やかに向きを変えるので少しのカーブでも方向転換が出来、自動車並みに地上走行することが出来る(テスト走行で確認した結果である)。
これがラダー(28)を少し切っても両ギアが同時に確実に離れないと、機体の向きが大きく変わってから方向が変わるので地上走行がしにくい。
この様に、ラダーを少し切っても両ギアが同時に確実に離れるのは、作動ロッド(21)と連結作動管(20)が一体型になっているからである。
これは、後述する〔特許文献1〕の左右が連結していない作動管とは大きく異なる改良点である。
【0026】
前述したとおり、本発明は、ラダー(28)をコントロールしないか、ラダーを右か左にコントロールすることによって左右の同軸ギア(9)と主輪ギア(8)がそれぞれ断続する構造である。
しかも、本機の離着陸又は地上走行時のラダー(28)コントロールは、一般のラジコン機と同様であり、何ら変わらないので大変好都合である。
前記コントロールの方法が、一般のラジコン機と異なると混乱して危険なことがある。
前述したラダーをコントロールするラダーサーボ(25)は、特許装置を作動させるのに負荷が掛かるので出来たら強力サーボを用いたが良い。
尚、普通サーボでは、小型機の作動は可能である。
【0027】
また、本機が着陸(着地)する時には、主輪(2)に緩衝装置を取り付けて機体と特許装置を保護する主輪緩衝装置(4)を設けた。
前記主輪緩衝装置の拡大図を図8に示した。
前記図面で左右の主輪(2)を支える中心のロッド(a)は、図8に示すように主輪緩衝装置(4)の下側前方に固定する。
主輪緩衝装置は、左右の主輪(2)に独立して取り付けてあるため片車輪で着地した時の衝撃を緩和し大変好都合である。
また、地面が凹凸していても左右の主輪(2)が独自に地面のクッションを吸収するのでそれだけ機体が受ける振動が少なくてすむ。
尚、本機は、自動車並みに8の字走行も可能であり、地上走行を楽しむことが出来る。
この場合、主翼を取り外してもよいが、その部分に蓋をして廃油対策を施し、安全には、十分に注意(特に回転中のプロペラ)して地上走行する。
【0028】
イ)ラジコン機の応用実施例の改良について:(特許文献1)
特許文献1で例示する特許第3310870号公報第6頁の応用実施例を改良した。
これは、前記特許文献1の特許公報の図21から図24に示してある。
特許文献1の特許(応用実施例)の構造の作動管では、これが左右連結していない。
このことが左右の主輪ギアと同軸ギアをそれぞれ同時に確実に断続するのに大変支障を来たしていることが判明した。
(注)前記両ギアと本発明の両ギアは、分かり易くするために黒色にしてある。
【0029】
そこで、本発明では、これを左右が連結する連結作動管(20)と、これと一体型になっている作動ロッド(21)を設けた。
前記のように改良すれば、左右の両ギアを同時に確実に断続することが出来、地上走行時に左右方向転換が容易に出来る。
【0030】
また、本発明では、両ギアを圧着させるために、前記特許には無いピアノ線等を横V又はU字形等に曲げることによって上下方向の緩衝作用を誘起させるクッションと両ギアの程良い圧着効果を出した下部ギア断続ロッド(15)を設けた。
前記特許文献1の特許では、圧着金具を取り付けていないので両ギアが圧着出来ない。
本発明では、圧着金具が不要でそれだけ軽量に作ることが出来る。
前記特許文献1の特許では、主輪の緩衝装置が取り付けられていなかったが、本発明では、前述したように主輪緩衝装置(4)を取り付けた。
本機が激しく着地した時、地上滑走時などに前記装置の作動で機体が受ける衝撃を緩和することが出来る。
更に、本発明では、直進調整溝を設け、離陸滑走時に本機が直進出来るようにした。
本発明では、以上のことについて改良を施した。
【0031】
ロ)特許文献1(特許第3310870号公報)の特許請求の範囲(請求項4)のラジコン機と本発明のラジコン機について
特許文献1の特許公報5〜6頁、図17から図20に示してある。
前記特許文献1の特許(以下「旧特許」という)では、同軸が機体内に取り付けられている。
これが本発明とは大きく異なる点である。
従って、旧特許では、主輪ギアと機体内の連結ギアとを連結するのにチェーン連結ギア等が余分に必要となる。
【0032】
この点、本発明では、構成部品を極力少なくした大変シンプルな構造になっている。
旧特許では、構造が大変複雑であり、トラブルの発生のおそれがあるが、本発明では、トラブルが起こりにくい構造になっている。
また、旧特許の構造では、構成部品が多く生産コストが高くなりやすいので不利である。
更に、旧特許には、主輪の緩衝装置が取り付けられていない。
以上のことから、本発明の装置を装備したラジコン機が旧特許の装置(機構)を装備したラジコン機より改良されていると思われる。
【0033】
図面の補足説明
エンジン、燃料タンク、バッテリー、レシーバー、エンコンサーボ及びエレベーター等は、本装置とは直接関係がないので図示を省略した。
図1のラダー(28)の実際の面積は、これより広く、図面の関係で狭くしてある。
図2の平面図では、機内スプリング(19)が連結作動管(20)の下に位置するため、記入しても分かりにくいので省略した(尾輪も省略)。
また、図3の正面図でも、この前記機内スプリング(19)は、作動レバー(18)の後方に位置し、ここでも記入しても分かりにくいので省略してある。
【0034】
本機製作上の補助説明
主輪受け(10)の中には、ロッド(3ミリ位)が入り、このロッドの両先端部分に主輪ギア(8)付きの主輪(2)を装着する(このロッドは回転しない)。
また、前記ロッドの両先端を主輪緩衝装置(4)に固定する。
尚、両ギアを砂などから保護するためのカバーは、プロペラの風でギアに当たった砂などが飛ばされ付着しにくいので特に必要は無いと思われる。
しかし、主輪緩衝装置には、カバーを取り付け、泥等の侵入によるトラブルを防ぐと共に、このカバーにより有害抵抗を少なくしたが良い。
【0035】
また、主輪(2)、両ギア等の回転部分などには、ミシン油等を差し回転を円滑にする。ギア断続金具(12)の先端には、同軸(11)が入る穴を設ける。
前記同軸の両端には、同軸ギア(9)を固定する。
また、連結作動管(20)を前後にスムースに動かすために図1に示したようにケース(24)を設け、この中にバッテリー、レシーバー等を入れると都合がよい。
また、スイッチは、図1に示すようにケースの近くで胴体側板の下部に取り付けたほうが便利である。
一般のラジコン機のスイッチは、胴体側板の中央から上部に取り付けられているものが多い。
サーボホーン(26)の左側の膨らみは、ラダー(28)を切った時、左右のラダーの舵角を合わせるためラダーロッド(27)の取り付けの穴を前記膨らみの色々な位置に変更することが出来るためである(右側の膨らみは、必要がない)。
エンコン(エンジンコントロール)サーボは、図面に記載してないが、エンコンをリンケージする時には、連結作動管(20)の下方にエンコンロッドを通すこともある。
この場合には、後方のラダーサーボ(25)をエンコンサーボより一段高くすると良い。
気になる特許装置の重量は、必ずしも取り付けなくてもよい主輪緩衝装置(4)の重量を除けば、重い部品は一切用いていないので重たくても150g以内で作ることが可能である。
従って、左程の重量増加にはならない。
【0036】
参考までに、本発明装置を製作しょうとする時の部品等の入手については、手軽な方法として模型店等でこれに必要なラジコン機やラジコンカーのパーツが総て流用、購入出来る。
また、その他の部品等もホームセンター等で何時でも入手可能なものばかりで、特殊な部品は、一切使用しなくても製作出来る。
いずれにしても、ラジコン機は、正確に軽く、丈夫に製作するのがベストである。
【符号の説明】
【0037】
1 エンジンマウント
2 主輪
3 主脚取り付け板
4 主輪緩衝装置
5 主脚止め
6 主脚固定ネジ
7 主脚
8 主輪ギア
9 同軸ギア
10 主輪受け
11 同軸
12 ギア断続金具
13 ロッドアジャスター
14 機外スプリング
15 下部ギア断続ロッド
16 上部ギア断続ロッド
17 ギア断続ロッド溝
18 作動レバー
19 機内スプリング
20 連結作動管
21 作動ロッド
22 スイッチ
23 ストッパー
24 ケース
25 ラダーサーボ
26 サーボホーン
27 ラダーロッド
28 ラダー
29 ラダーホーン
30 尾輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)ラジコンの操縦操作で正逆回転に駆動制御される支軸を有するラダーサーボ(25)の支軸にセットしたシーソー状に作動する天秤形態のサーボホーン(26)の右端と左端にロッドアジャスター(13)をそれぞれ取り付け、これに湾曲形態状にカーブしていて前記ロッドアジャスターによって回転することが出来る作動ロッド(21)、若しくは、カーブしていない直線形態状の作動ロッドのいずれかを択一選択的に接合し、前記作動ロッド(21)に押されて前進する先端からコの字形等になっていて左右が連結している連結作動管(20)を設け、該連結作動管をカーブしていない直線形態状のものを使用する時には、連結作動管の材料は、左右の幅が撓み変形して伸縮することが出来る真鍮管、アルミパイプ等を用いるように構成し、さらに、前記連結作動管の先端と左右の作動レバー(18)の上端を連結し、前記作動レバーの上端部分に前進作動された連結作動管(20)を原位置に後退復帰させる働きをする機内スプリング(19)の上端を、機内下部に下端を取り付け、作動レバー(18)の下端と、これに連結する上部ギア断続ロッド(16)に途中を横V又はU字形等に曲げて上下方向の緩衝作用を誘起させるクッションと復元力を持たせた下部ギア断続ロッド(15)を取り付け、前記下部ギア断続ロッドの下端と左右のギア断続金具(12)の先端を連結する。
(ロ)左右の主輪緩衝装置(4)の下側前方に主輪受け(10)の両先端を固定する。
以上の構成よりなる尾輪式ラジコン飛行機の直進滑走装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−25391(P2012−25391A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2011−217220(P2011−217220)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(595030778)
【Fターム(参考)】