説明

尿レシーバ

【課題】尿道を圧迫することなく、スムーズに排尿をすることができるとともに、排尿を検知でき、速やかに排泄された尿を外部に排出することのできる尿検知装置のための尿レシーバ提供。
【解決手段】尿レシーバ11は、前後方向Zを有し、ペニスPを前後方向Zから被覆する第1面部87と第2面部88とを有する尿排泄部24と、ペニスPを挿入するための開口部28とを含む。尿排泄部24は第2面部88に配置された集尿容器13を有し、第2面部88が装着者の身体側に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動的に尿を処理するための尿検知装置のための尿レシーバに関し、さらに詳しくは尿を検知するセンサを備え、排泄された尿を速やかに排出することのできる尿検知装置のための尿レシーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動的に尿を処理する尿検知装置のための尿レシーバは公知である。例えば、特許文献1には、尿センサを備えたおむつと、尿センサから発信された検知信号を受信する制御ユニットとを含む尿検知装置が開示されている。また、特許文献2には、ペニスを挿入、保持するための開口部を有する尿取りパッドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−41697号公報
【特許文献2】特開2000−201959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の尿検知装置によれば、おむつ内に尿が排泄されたときに、尿センサから発信された検知信号を外部機器が受信し、尿の排泄を外部に知らせることができ、おむつの交換などを速やかに行うことができる。また、排泄された尿の解析結果に基づき、尿失禁患者の体調管理、失禁治療薬の効果の確認などをすることができる。
【0005】
しかし、尿センサは、おむつのクロッチ域に配置されていることから、排尿だけではなく、軟便などの他の排泄液にも反応して外部機器に検知信号を送信してしまうおそれがあり、排尿のみを検知することは困難である。また、便が尿センサの電極上に排泄された場合には、尿センサの正確な機能が妨げられるおそれがある。
【0006】
特許文献2に開示の尿取りパッドによれば、パッド本体に形成された開口部にペニスを直接挿入することによって尿のみを吸収、保持することができ、また、開口部を囲む領域に低剛性域が形成されているので、袋本体に外圧が加えられてもその力が開口部近傍に作用せず、ペニスを安定的に装着することができる。しかし、かかる尿取りパッドを装着した場合には、排尿時において、排泄される尿の量と速度が、パッド本体に配置された吸収性コアの吸収量及び吸収速度を超えて、開口部から尿が漏れ出るおそれがある。また、かかる尿取りパッドを寝臥状態の装着者に装着した場合には、パッド本体に排泄、吸収された尿の自重が開口縁部に装着されたペニスに負荷されて尿道を締め付けたり、尿道が陰のうに押し当てられて圧迫され、不快感を与えるとともに、スムーズな排尿が妨げられるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、尿道を圧迫することなく、スムーズに排尿をすることができるとともに、排尿を検知でき、速やかに排泄された尿を外部に排出することのできる尿検知装置のための尿レシーバを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明が対象とするのは、少なくとも尿を吸引する吸引ポンプを有する外部機器と、排尿を検知する尿センサとを含む尿検知装置のための尿レシーバである。
【0009】
本発明の特徴とするところは、前後方向を有し、ペニスを前記前後方向から被覆する第1面部と第2面部とを有する尿排泄部と、前記尿排泄部の幅方向に延びるペニスを挿入するための開口部とを含み、前記尿排泄部は、前記第2面部に配置された集尿容器を有し、前記第2面部が装着者の身体側に位置することにある。
【0010】
本発明の実施態様の一つとして、前記第1及び第2面部側のうちの少なくとも一方側の開口縁部において、前記尿排泄部内に延びる弾性反発部材が配置されている。
【0011】
本発明の他の実施態様の一つとして、前記弾性反発部材が配置された開口縁部には、所要の厚さを有する防漏堤が設けられている。
【0012】
本発明の他の実施態様の一つとして、縦方向を有し、前記第1面部が前記第2面部よりも前記縦方向の外方へ延出している。
【0013】
本発明の他の実施態様の一つとして、前記防漏堤は、複数の繊維不織布シートを重ね合わせて形成された繊維不織布層である。
【0014】
本発明の他の実施態様の一つとして、前記尿レシーバは、少なくとも、透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、それらのシート間に介在された前記尿センサと前記集尿容器とを有する尿検知構造体と、前記尿検知構造体を被覆するカバーシートとを含み、前記尿排泄部の前記第1及び第2面部は、前記尿検知構造体を2つ折りにすることによって形成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る尿検知装置のための尿レシーバによれば、それがペニスに直接装着され、尿センサを備えていることによって、排尿のみを速やかに検知することができる。また、尿レシーバは外部機器に接続された集尿容器を備えており、排泄された尿を自動的に外部に排出することができるので、短時間に比較的に多量の尿が排泄された場合であっても、尿が尿レシーバの外部に漏れ出ることはない。また、集尿容器の位置する第2面部が装着者の身体側に位置するので、ペニスが陰のうに押し当てられて尿道が圧迫されることはなく、快適に尿を排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態における尿検知装置の全体概略図。
【図2】尿レシーバの一部破断展開平面図。
【図3】尿レシーバの分解斜視図。
【図4】尿センサの拡大平面図。
【図5】集尿容器の拡大斜視図。
【図6】(a)〜(d)尿レシーバの組立工程を示す図。
【図7】(a),(b)尿レシーバの組立工程を示す図。
【図8】図1のVIII−VIII線断面図。
【図9】図1のIX−IX線断面図。
【図10】尿レシーバの装着時の様子を示す図。
【図11】図1のXI−XI線断面図。
【図12】尿レシーバをペニスに装着したときの図11と同様の断面図。
【図13】尿レシーバをペニスに装着したときの図8と同様の断面図。
【図14】第2実施形態における図11と同様の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
図1に示すとおり、本発明の第1実施形態における尿検知装置10は、尿レシーバ11と、第1吸引管12aとジョイント12cとを介して尿レシーバ11の集尿容器13に接続された排尿タンク14と、第2吸引管12bを介して排尿タンク14に接続された吸引ポンプ15とを含む。
【0018】
吸引ポンプ15には、電気配線16を介して制御ユニット17が接続されており、制御ユニット17から延出する電気配線18a,18bの先端には、電気コネクタ20が取り付けられている。電気コネクタ20は、尿レシーバ11から外部に延出する尿センサ22の端部22aの第1及び第2電極51,52に電気的に接続されている。かかる全体構成を有する尿検知装置10においては、尿センサ22により尿レシーバ11内に尿が排泄されたことが検知されて吸引ポンプ15が作動し、排尿タンク14内の空気が吸引される。排尿タンク14内の空気が吸引されることによって、排尿が集尿容器13内へ吸引されて第1吸引管12aを介して排尿タンク14に貯留される。電気コネクタ20は、シート状の尿センサ22の端部22aを離脱可能かつ挟持可能な公知のクリップ形式を有し、その内面には、尿センサ22の第1及び第2電極51,52に電気的に接触する端子を備えている。
【0019】
なお、以下の説明において、尿検知装置10における尿レシーバ11以外の排尿タンク14,吸引ポンプ15及び制御ユニット17を外部機器と総称することもある。また、本実施形態では、尿レシーバ11が外部機器と電気的に接続されているが、尿レシーバ10を外部機器と電気的に接続しなくてもよく、例えば、電気コネクタ20が小型の発信機を備えるものであって、制御ユニット17に設置された受信機で発信機から送信された信号を受信することによって、吸引ポンプ15を作動させることもできる。
【0020】
尿レシーバ11は、縦方向Y及びそれに交差する横方向Xと、縦方向Y及び横方向Xとに交差する前後方向(厚さ方向)Zとを有し、縦方向Yにおいて離間対向する第1及び第2端縁部11a,11bと、横方向Xにおいて離間対向する両側縁部11c,11dとを含む。また、尿レシーバ11は、集尿容器13が内部に収容されたパッド状の尿排泄部24と、尿排泄部24と連なって縦方向Yへ延びる延出フラップ部25とを有し、尿排泄部24と延出フラップ部25とは、ほぼ同じ縦方向Yの長さ寸法を有している。また、尿排泄部24は、延出フラップ部25の両側縁部に固定された封止部26,27を有しており、封止部26,27間には横方向Xへ延びる開口部28が形成されている。
【0021】
図2に示すとおり、尿レシーバ11は、縦長状の尿検知構造体29とその外面に位置するカバーシート30とを含む。尿検知構造体29は、横方向Xに延びる第1端縁29a(尿レシーバ11の第1端縁11a)と第2端縁29b、それらの間において縦方向Yへ延びる両側縁29c,29dとを有する。カバーシート30は、縦方向Yへ直状に延びる第1及び第2端縁30a,30bと、それらに間において横方向Xへ延びる、その中央部が外方へ凸となる形状を有する両側縁30c,30dとを有する。また、カバーシート30は、その内面に配置された尿検知構造体29の両側縁29c,29dに沿って縦方向Yへ延びる一対の縦折曲ライン32と、側縁30d側の中央部において縦折曲ライン32間を横方向Xへ延びる横折曲ライン33とを有する。一対の縦折曲ライン32の横方向Xの外方には、両側部34が形成されており、横折曲ライン33の縦方向Yの外方には端部フラップ35が形成されている。両側部34の側縁30d側には、内方へ凹曲状に延びる切欠36が形成されている。
【0022】
図3に示すとおり、尿検知構造体29は、その展開された状態において、図の上方から順に、透液性のトップシート40、セカンドシート41、弾性反発性を有する弾性反発部材42、尿センサ22、クッションシート44、拡散シート45、トレー状の集尿容器13、難通気性シート46、不透液性のバックシート47を含む。バックシート47の両端縁部の上面には、複数の繊維不織布シートを重ね合わせることによって接合された略短冊片状の防漏シート48が取り付けられている。
【0023】
カバーシート30は、単位面積当たりの質量が約10〜30g/mの不透液性のSMS繊維不織布またはスパンボンド繊維不織布、若しくは、ポリエチレン製のプラスチックシートやそれらのラミネートシートから形成されている。
【0024】
トップシート40は、透液性を有する各種の繊維不織布シート、例えば、単位面積当たりの質量が約20〜40g/mのエアスルー不織布から形成されている。また、セカンドシート41は、トップシート40と同様に、透液性を有する各種の繊維不織布シート、例えば、単位面積当たりの質量が約15〜25g/mのエアスルー不織布から形成されている。また、バックシート47は、単位面積当たりの質量が約10〜30g/mの不透液性のSMS繊維不織布またはスパンボンド繊維不織布、若しくは、ポリエチレン製のプラスチックシートやそれらのラミネートシートから形成されている。
【0025】
弾性反発部材42は、弾性反発性を有し、厚さ約0.5〜1.0mmのエチレン酢酸ビニル等の柔軟な合成樹脂などで形成されたネット状の透液性を有するシート部材である。弾性反発部材42は、その弾性反発力によって尿排泄部22の開口部28からその内部に挿入されたペニスPを締め付けることができ、ペニスPの位置ずれ及び開口部28から尿が漏れ出るのを防止することができる。また、尿の吸引後においても尿の一部がセカンドシート41に吸収されたままの湿潤状態となり、かかる湿潤状態にあるセカンドシート41が体圧等の作用を受けて尿センサ22に直接的または間接的に接触した場合には、それを誤検知させるおそれがあるところ、セカンドシート41と尿センサ22との間に弾性反発部材42が介在されていることによって、かかる誤作動を防止することができる。なお、弾性反発部材42は、クッションシート44に対して、その透液性を阻害しないように間欠的に塗布された接着剤を介して固定されていることが好ましい。
【0026】
図4に示すとおり、尿センサ22は、略短冊状のプラスチックフィルムから形成された絶縁性ベースシート50と、その上面に導電性インクや導電性塗料からなる導電性材料で印刷された第1及び第2電極51,52とから構成されたものであって、例えば、厚さが約50〜100μmのポリエステルフィルムに対して、約3〜7重量%のカーボンブラック、約10〜30重量%のカーボングラファイト等の人造黒鉛などで印刷したものを用いることができる。また、絶縁性ベースシート50の中央部には縦長矩形状の開孔53が形成されている。第1及び第2電極51,52は、開孔53を介して互いに離間対向しかつ縦方向Yへ延びており、絶縁性ベースシート50から露出する複数の尿検知部54を有する。また、第1及び第2電極51,52は、開孔53の周縁に沿って延びる高抵抗部55によって連結されている。かかる構成を有する尿センサ22において、尿が排泄されたときには、拡散シート45を尿が拡散して互いに対向する尿検知部54間に高抵抗部55に通常流れている電流よりも高い電流が流れて、尿が排泄されたことを検知することができる。
【0027】
クッションシート44は、単位面積当たりの質量が約20〜30g/mのサーマルボンド不織布、SMS不織布等の透液性の不織布シートから形成されており、下方に位置する拡散シート45および難通気性シート46に存在する尿が電極側に向かって逆流するのを防止している。
【0028】
拡散シート45は、レーヨン繊維を一例とする親水性繊維を含む不織布等の透液性シートで形成され、尿が排泄されたときに尿を難通気性シート46の上方において速やかに拡散させて難通気性シート46を広い面積に亘って湿潤状態にするために使用されるものである。難通気性シート46が湿潤状態となることによって、集尿容器13の内部が負圧となり、尿がその内部に吸引され易くなる。
【0029】
難通気性シート46は、透液性であって、かつ、空気を殆ど又は全く通さないものであって、例えば、SMS不織布またはそれを界面活性剤で親水化処理したものを使用することができる。難通気性シート46の通気性は、例えば、湿潤状態では0〜100cc/cm/秒であって、乾燥状態では20〜200cc/cm/秒であることが好ましい。また、難通気性シート46の中央部には、集尿容器13の頂部開口62の外形形状に沿う開孔57が形成されている。
【0030】
図5に示すように、集尿容器13は、可撓性のもので、例えば、軟質ポリエチレンやシリコンゴム等の軟質弾性で不透液性の材料を使用することができる。集尿容器13は、縦方向及Y及び横方向Xにおいて湾曲可能な可撓性を有しているが、吸引ポンプ15で尿を吸引するときに作用する負圧による変形に耐えられる程度の剛性を有している。また、集尿容器13は、底部60と、底部60から起立する周壁部61と、頂部開口62と、周壁部61の頂縁から外側に広がる周縁フランジ部63とを含む。周縁フランジ部63には、接着剤を介して難通気性シート46が水密状態で接合されており、集尿容器13内には内部空間64が形成されている。
【0031】
また、集尿容器13には、管状であって、その横方向Xの略中央部において縦方向Yへ延びる、内部空間64に流入した尿を集めて外部に排出するための吸引部65が形成されている。吸引部65は、集尿容器13内に開口する第1開口65aと、集尿容器13の外側へ開口する第2開口65bとを有し、第2開口65bには、ジョイント12cを介して第1吸引管12aが取り付けられている(図1参照)。吸引部65の横方向X両側には、底部60から起立する複数の凸部66が形成されている。さらに、吸引部65の第1開口65aと対向する周壁部61には、第1開口65aに向かって延びる複数の突起67が形成されている。
【0032】
再び、図3を参照すると、バックシート47は、他のシート部材に比して縦長であって、第1及び第2端縁47a,47bと、それらの間において縦方向Yへ延びる両側縁47c,47dと、尿センサ11の延出フラップ部25を形成する第1部位70と、第1部位70と連続して延びる第2部位71とを有する。第2部位71には、第1及び第2横折曲ライン72,73と、横方向Xへ延びる中央折曲ライン75とが形成されており、また、第2部位71から第1部位70にかけて両側縁47c,47dに沿って縦方向Yへ延びる一対の縦折曲ライン74が形成されている。縦折曲ライン74の横方向Xの外方には側部フラップ76、第2横折曲ライン73の縦方向Yの外方には、端部フラップ77が形成されており、端部フラップ77の内面には、防漏シート48がホットメルト接着剤(図示せず)を介して固定されている。第1部位70の第2部位71側には、横方向Xへ延びるスリット78が形成されており、第2部位71の中央折曲ライン75の近傍には、略半円形状の露出孔79が形成されている。
【0033】
かかる構成を有する尿レシーバ11において、その組立工程を説明すると、
まず、肌対向面側から順に、透液性シート40、セカンドシート41、弾性反発部材42、尿センサ22、クッションシート44、拡散シート45を積層して、それら積層されたシートどうしをその当接面に間欠的に塗布されたホットメルト接着剤(図示せず)を介して互いに固定する。尿センサ22は、他のシート部材よりも縦方向Yの長さ寸法が大きいものであるので、これらシートの積層体から縦方向Yの外方へ延出する。なお、尿センサ22については、その尿検知回路の作用が阻害されないように、ホットメルト接着剤を間欠的に塗布することが好ましい。また、拡散シート45の内面の所要位置に、難通気性シート46をホットメルト接着剤(図示せず)を介して固定する。難通気性シート46と集積容器13とは、その開孔57と集尿容器13の頂部開口62とが連通するように周縁フランジ部63を難通気性シート46の内面にホットメルト接着剤(図示せず)を介して固定する。
【0034】
次に、前記のように積層した積層体をバックシート47の内面における所要の位置に、具体的には、第2部位71の内面において、排尿タンク14から延びる第1吸引管12aと集尿容器13の吸引部65の第2開口65bとをジョイント12cで連結するために第2開口65bが露出孔79に臨むように配置する。また、尿センサ22の端部22aを第1部位70のスリット78に挿通させて外部に露出させる。
【0035】
次に、図6(a)及び(b)に示すとおり、第1部位70において横方向Xへ延びる折曲ライン80に沿って第1部位70の第2端縁47b側の部位を内方へ折り曲げて、対向する第1部位70の内面に重ねあわせるとともに、防漏シート48をトップシート40の内面に配置してホットメルト接着剤(図示せず)を介して固定する。また、バックシート47の端部フラップ77を折曲ライン73に沿って内方へ折り返し、その内面に位置する防漏シート48をトップシート40の内面にホットメルト接着剤(図示せず)を介して固定する。その後、バックシート47の側部フラップ76を縦折曲ライン74に沿って内方へ折り返し、その内面に塗布されたホットメルト接着剤81を介してそれに対向する防漏シート48、トップシート40、バックシート47の第1部位70に固定する。
【0036】
図6(c)に示すとおり、これにより、側部フラップ76間には、バックシート47の第1部位70の端部70aと防漏シート48とから構成された第1防漏堤85と、それと縦方向Yにおいて離間対向して位置する、バックシート47の端部フラップ77と防漏シート48とから構成された第2防漏堤86とが形成される。なお、第1及び第2防漏堤85,86は、トップシート40の内面に固定された防漏シート48のみから形成されていてもよい。
【0037】
次に、バックシート47の第2部位71の縦方向Yの中央部において横方向Xへ延びる中央折曲ライン75に沿って第1部位70側の部位を対向する側の部位に向かって折り曲げて、側部フラップ76の肌対向面に塗布されたホットメルト接着剤84を介して側部フラップ76どうしを重ね合わせて固定する。それにより、図6(d)に示すとおり、尿検知構造体29が2つ折りにされた状態で保持される。尿検知構造体29の尿排泄部24は、互いに折り重ねられた第1面部87と第2面部88とを有し、第2面部87と連続して延びる第1部位70によって、尿レシーバ11の延出フラップ部25が形成される。
【0038】
図7(a),(b)に示すとおり、尿検知構造体29をカバーシート30の内面に配置し、ホットメルト接着剤90を介して固定する。また、横折曲ライン33に沿って端部フラップ35を内方へ向かって折り曲げて尿検知構造体29の第2面部88に固定するととともに、縦折曲ライン32を介して一方の側部34を内方へ向かって折り返してホットメルト接着剤90を介して第2面部88に固定して、他方の側部34を縦折曲ライン32を介してさらに折り返して第2面部88に固定された一方の側部34にホットメルト接着剤90を介して固定する。なお、折り返して固定した端部フラップ35と両側部34とは互いに重なっておらず、また、カバーシート30の両側部34は、尿検知構造体29の第1面部87及び第2面部88の横方向Xの長さ寸法よりも小さいので、カバーシート30の第1端縁30aが尿レシーバ11の側縁部11dよりも内方に位置している。
【0039】
図8及び9に示すとおり、かかる構成を有する尿レシーバ11及びそれを用いた尿検知装置10の排尿時の作用を説明すると、まず、尿レシーバ11の尿排泄部24内に排泄された尿は、その内部に形成されたペニス収容部Sに一時的に収容される。ペニス収容部Sに一時的に収容された尿は、尿排泄部24の第1面87及び又は第2面部88においてトップシート40に浸透して、セカンドシート41と弾性反発部材42とを通過して速やかに尿センサ22に接触する。尿センサ22を形成する第1及び第2電極51,52間に尿が連続して接触すると、第1及び第2電極51,52の尿検知部54間に検知回路に常時流れている電流値よりも大きな電流が流れ、その電流値が制御ユニット17に設定され所定の閾値を越えたときに、排尿が検知される。
【0040】
制御ユニット17では、排尿を検知するとそれを知らせる信号を吸引ポンプ15の電動モータに送信してこれを駆動させ、吸引ポンプ15を作動させる。吸引ポンプ15が作動すると、排尿タンク14が真空状態となり、集尿容器13の内部空間64内に溜まった尿が第1吸引管12aを介して排尿タンク14内に吸引され、尿レシーバ29外に排出される。尿が排出されて、第1及び第2電極51,52の尿検知部54に尿が接触していない状態になると電流値が下がり、制御ユニット17からの吸引ポンプ15の電動モータへの信号の送信が止められて吸引ポンプ15は停止する。このように、本発明の尿検知装置10によれば、排尿を検知して外部に知らせることができるとともに、排泄された尿を集尿容器13に集めて速やかに吸引ポンプ15によって排尿タンク14内へ貯留させ、尿レシーバ11の外部に排出することができる。
【0041】
尿排泄部24の内部に画成されたペニス収容部Sは、バックシート47の側部フラップ76による封止と、カバーシート30の両側部34による封止とによる、いわば2重に封止された領域であるので、たとえ、ペニス収容部Sに排泄された尿が側部フラップ76から滲出したとしても、それが尿レシーバ11の外部に漏れ出るおそれはない。
【0042】
なお、尿レシーバ11は、前記のような組立工程以外の組立工程によって形成されていてもよく、例えば、第1面部87及び第2面部88が一体に成形されたものであってもよい。
【0043】
図10は、尿レシーバ11の装着時の様子を示す図、図11は、図1のXI−XI線断面図、図12は、尿レシーバ11をペニスPに装着したときの図11と同様の断面図、図13は、尿レシーバ11をペニスPに装着したときの図8と同様の断面図である。
【0044】
図10に示すとおり、尿レシーバ11を装着するときには、尿レシーバ11の両側を手で押さえて内方へ向かって力を加えることによって開口縁部28aを変形させてペニスPの両側に隙間93が形成される程度の大きさに開口部28を開き、ペニスPをペニス収容部Sに挿入する。次に、ペニスPをペニス収容部Sに挿入した状態のまま尿レシーバ11の上下を反転させて延出フラップ部25が着用者の下腹部に当接した状態(図12参照)とした後に、尿レシーバ11から手を離す。弾性反発部材42は、EVA(エチレン酢酸ビニル樹脂)などの弾性反発力を有する部材から形成されているので、通常、この種の体液処理物品に使用されるような、弾性伸縮性を有する天然又は合成のゴム弾性部材などを使用する場合に比して高い弾性反発性および弾性復元性を有するものである。
【0045】
したがって、開口縁部28aは、弾性反発部材42の弾性反発力によって力を加えたときに座屈変形し易く、ペニスPの両側に隙間が形成される程度の大きさを有する開口部が形成されるので、比較的容易にペニスPに尿レシーバ11を取り付けることができる。また、ペニスPに尿レシーバ11を取り付けた後に、尿レシーバ11から手を離すことによって弾性反発部材42の弾性復元力によって開口縁部28aが閉じるので、ペニスPを手で触れることなく尿レシーバ11を装着することができ、衛生的である。
【0046】
なお、かかる効果を奏する限りにおいては、弾性反発部材42は、尿排泄部24の前第2面部87,88のうちの開口縁部28aにのみ配置されていればよいが、尿排泄部24の第1面部87及び第2面部88の全域に弾性反発部材42が配置されていることによって、ペニス収容部S内に挿入されたペニスPがその内部において安定的に固定され、尿レシーバ11は外力を受けても着用者の身体から容易に外れるおそれはない。
【0047】
図11に示すとおり、開口縁部28aには、封止部26,27間において横方向Xへ延びる、尿排泄部24の第1面部87の開口縁部28aに形成された第1防漏堤85と、それと前後方向Zにおいて離間対向する、第2面部88の開口縁部28に形成された第2防漏堤86とが形成されている。前記のとおり、第1及び第2防漏堤85,86は、その一部が複数の繊維不織布層からなる防漏シート48から形成されていることから所要の厚さを有しており、ペニス収容部Sに収容された尿が開口部28から外部に漏れ出るのを防止する働きを有する。
【0048】
図12に示すとおり、尿レシーバ11をペニスPに装着した状態において、尿排泄部24の第1面部87が第2面部88よりも縦方向Yの外方へ延出しているので、ペニスPの根本部分には、弾性反発部材42の弾性反発力によって第1及び第2防漏堤85,86が当接するとともに、第2面部88からさらに縦方向Yの外方へ延出する第1面部87の延出フラップ部25が着用者の下腹部に当接している。このように、第1面部87側において延出フラップ部25が下腹部に当接し、また、尿レシーバ11の開口縁部28aがペニスに密着するので、たとえ開口部28が下方に向く状態となっても、尿レシーバ11がペニスPから外れたり、開口部28から尿が漏れ出ることはない。また、着用者の下腹部に当接する延出フラップ25において、尿センサ22の端部22aの内側にバックシート47が位置しているので、その端部22aが直接的に着用者の身体に当接することはなく、プラスチックフィルムからなる尿センサ22が肌に当接することによる刺激を避けることができる。
【0049】
また、図13に示すとおり、開口部19からペニス収容部Sに挿入されたペニスPは、弾性反発部材42の弾性力によって開口縁部28aにおいてクッション性を有する第1及び第2防漏堤85,86に挟圧され、その周縁が第1及び第2防漏堤85,86に包まれるような状態となる。したがって、装着時においてペニスPの両側に形成されていた隙間93が小さくなり、ペニス収容部S内に収容された尿が隙間93からペニスPを伝って不容易に外部に漏れ出るおそれはない。
【0050】
すなわち、装着者が横臥状態の場合には、尿レシーバ11が床面に対して平行に配置されるところ、かかる態様であっても、第1及び第2防漏堤85,86によってペニスPにフィットされるとともに、排泄された尿が外部に排出されるので、開口部19から尿が漏れ出ることはない。また、排泄された尿が、速やかに集尿容器13に収容されることから、比較的に短時間に多量の尿が排泄された場合であっても、同様に、尿が外部に漏れ出ることはない。さらに、従来の開口部にペニスを挿入して装着する尿取りパッドの場合には、パッド本体に吸収、保持された尿の自重がペニスPに負荷されて尿道が圧迫され装着者に不快感を与えるおそれがあるが、本実施形態における尿レシーバ11では、排泄された尿が外部に速やかに吸収されるので、尿道が圧迫されることはなく、快適に排尿することができる。
【0051】
図11に示すとおり、第1及び第2防漏堤85,86がかかる効果を奏するためには、尿レシーバ11全体の大きさにも依るが、その厚さH(前後方向Zにおける寸法)が、約3.0〜15.0mm、幅寸法W(縦方向Yの長さ寸法)が、約10.0〜40.0mmであることが好ましい。
【0052】
図14は、本発明の第2実施形態における尿検知装置10の図11と同様の断面図である。本実施形態における尿検知装置10の基本的な構成は、第1実施形態のそれとほぼ同様であるので、相違する点についてのみ以下に説明する。
【0053】
本実施形態では、尿レシーバ11の開口縁部28aにおいて、第1及び第2防漏堤85,86のうちの第2防漏堤86のみが形成されている。かかる実施形態においても、第2防漏堤86が尿の開口部28への移動を堰きとめるとともに、開口縁部28aが弾性反発部材42の弾性反発力によってペニスPに密着するので、開口部28から尿が外部に漏れ出るおそれはない。このように、かかる効果を奏する限りにおいて、第1及び第2防漏堤85,86のうちの少なくとも一方が形成されていればよく、本実施形態と異なり、第1防漏堤85のみが形成されていてもよい。
【0054】
本発明の尿検知装置10及び尿レシーバ11を構成する各構成部材には、本明細書に記載されている材料のほかに、この種の物品において通常用いられている各種の公知の材料を制限なく用いることができる、また、本発明の明細書及び特許請求の範囲において、「第1」および「第2」の用語は、同様の要素、位置などを単に区別するために用いられている。
【符号の説明】
【0055】
10 尿検知装置
11 尿レシーバ
13 集尿容器
15 吸引ポンプ
22 尿センサ
24 尿排泄部
28 開口部
28a 開口縁部
29 尿検知構造体
30 カバーシート
40 トップシート
42 弾性反発部材
47 バックシート
85 第1防漏堤
86 第2防漏堤
87 第1面部
88 第2面部
P ペニス
Y 縦方向
Z 前後方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも尿を吸引する吸引ポンプを有する外部機器と、排尿を検知する尿センサとを含む尿検知装置のための尿レシーバにおいて、
前後方向を有し、ペニスを前記前後方向から被覆する第1面部と第2面部とを有する尿排泄部と、前記尿排泄部の幅方向に延びるペニスを挿入するための開口部とを含み、
前記尿排泄部は、前記第2面部に配置された集尿容器を有し、前記第2面部が装着者の身体側に位置することを特徴とする前記尿レシーバ。
【請求項2】
前記第1及び第2面部側のうちの少なくとも一方側の開口縁部において、前記尿排泄部内に延びる弾性反発部材が配置されている請求項1記載の尿レシーバ。
【請求項3】
前記弾性反発部材が配置された開口縁部には、所要の厚さを有する防漏堤が設けられている請求項1又は2記載の尿レシーバ。
【請求項4】
縦方向を有し、前記第1面部が前記第2面部よりも前記縦方向の外方へ延出している請求項1〜3のいずれかに記載の尿レシーバ。
【請求項5】
前記防漏堤は、複数の繊維不織布シートを重ね合わせて形成された繊維不織布層である請求項1〜4のいずれかに記載の尿レシーバ。
【請求項6】
少なくとも透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、それらのシート間に介在された前記尿センサと前記集尿容器とを有する尿検知構造体と、前記尿検知構造体を被覆するカバーシートとを含み、前記尿排泄部の前記第1及び第2面部は、前記尿検知構造体を2つ折りにすることによって形成されている請求項1〜5のいずれかに記載の尿レシーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−152249(P2012−152249A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11411(P2011−11411)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】