説明

尿中成分測定器、尿中成分測定方法、プログラムおよび記録媒体

【課題】衛生的に利用することができ、また、尿検査結果を個別に管理してセキュリティを確保することができる、尿中成分測定システムを提供すること。
【解決手段】尿センサチップ140を装着するための尿センサチップ装着部128と、尿中の成分を測定する尿中成分測定手段111と、尿中成分測定手段111の測定結果を記録する記録媒体130を装着するための記録媒体装着部112とを備えた、人の尿中の成分を計測する尿中成分測定器110を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿中に存在する特定成分を測定する、尿中成分測定器および尿中成分測定方法に関する。例えば、トイレ外に携帯して持ち出すのに適した尿中成分測定器および尿中成分測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の、尿中に存在する特定成分を測定する尿中成分測定器としては、トイレ装置に個人認証機能を備えさせ、検尿結果等の人体情報をICカードに記録させることができるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、家庭で手軽に尿検査が行える装置として、携帯可能な尿中成分測定器が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第3033420号公報
【特許文献2】特開平8−248026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、トイレ内において、検尿結果等の人体情報をICカードに記録可能とするトイレ装置が提案されているが、これは尿成分の測定部分がトイレ装置に備え付けであるため、トイレの便器や便座への設置工事が必要であり、携帯等できず手軽に使用することができなかった。
【0005】
また、上記特許文献2記載の携帯型の尿中成分測定器では、測定結果の記録容量が限られていると共に、家族内の各個人の測定結果を個別に管理することができなかったために、プライバシーやセキュリティの確保が十分にできていなかった。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を考慮し、トイレ装置等への設置工事が不要で、測定結果の記録容量が大きい、尿中成分測定器および尿中成分測定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、第1の本発明は、
尿センサチップを装着するための尿センサチップ装着部と、
尿中の成分を測定する尿中成分測定手段と、
前記尿中成分測定手段の測定結果を記録する記録媒体を装着するための記録媒体装着部とを備えた、人の尿中の成分を計測する尿中成分測定器である。
【0008】
第2の本発明は、
さらに、記録媒体が挿入できるように前記記録媒体装着部の開閉口を開放させる記録媒体受入手段を備え、
前記記録媒体受入手段は、前記尿センサチップが排出された場合に、前記記録媒体を挿入できるように前記記録媒体装着部の前記開閉口を開放させる、第1の本発明の尿中成分測定器である。
【0009】
第3の本発明は、
さらに、前記記録媒体が装着されたことを検知する記録媒体検知手段と、
前記測定結果を表示する結果表示手段とを備え、
前記結果表示手段は、前記記録媒体検知手段により前記記録媒体の装着が検知された場合に、前記測定結果を表示する、第1または第2の本発明の尿中成分測定器である。
【0010】
第4の本発明は、
さらに、前記尿中成分測定手段により尿中成分の測定を完了したことを検知する測定完了検知手段と、
前記測定完了検知手段により測定の完了が検知された際に、測定完了を報知する測定完了報知手段とを備えた、第1〜第3のいずれかの本発明の尿中成分測定器である。
【0011】
第5の本発明は、
前記記録媒体は、個人識別情報記憶部を有しており、
さらに、前記個人識別情報記憶部から個人識別をおこなう情報を読み取って個人識別をおこなう個人識別手段を備えた、第1〜第4のいずれかの本発明の尿中成分測定器である。
【0012】
第6の本発明は、
さらに、前記測定結果を一時的に記憶する尿中成分情報一時記憶手段を備え、
前記尿中成分情報一時記憶手段に記憶された前記測定結果を前記記録媒体に転送すると、前記尿中成分情報一時記憶手段に記憶された前記測定結果が削除される、第1〜第5のいずれかの本発明の尿中成分測定器である。
【0013】
第7の本発明は、
さらに、前記尿センサチップが挿入されたことを検知するセンサ検知手段と、
前記尿センサチップが装着されている状態にある時に、前記記録媒体を挿入しようとすると報知する報知手段とを備えた、第1〜第6のいずれかの本発明の尿中成分測定器である。
【0014】
第8の本発明は、
前記尿中成分測定器の、少なくともその一部に、抗菌処理および/または撥水加工処理がほどこされている、第1〜第7のいずれかの本発明の尿中成分測定器である。
【0015】
第9の本発明は、
尿センサチップを装着するための尿センサチップ装着部、尿中の成分を測定する尿中成分測定手段、および前記尿中成分測定手段の測定結果を記録する記録媒体を装着するための記録媒体装着部を有する、人の尿中の成分を計測する尿中成分測定器に、前記尿センサチップを装着するステップと、
前記尿センサチップが前記尿中成分測定器から排出された場合に、前記記録媒体を挿入できるように前記記録媒体装着部の前記開閉口を開放するステップとを備えた、尿中成分測定方法である。
【0016】
第10の本発明は、
第5の本発明の尿中成分測定器の、
前記記録媒体の前記個人識別情報記憶部から個人識別をおこなう情報を読み取って個人識別をおこなう前記個人識別手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0017】
第11の本発明は、
第10の本発明のプログラムを担持した記録媒体であって、コンピュータで利用可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、トイレ装置等への設置工事が不要で、測定結果の記録容量が大きい、尿中成分測定器および尿中成分測定方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における尿中成分測定システムの構成を示すブロック図である。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態1における尿中成分測定システム100は、尿中成分測定器110と、取り外し自在な尿センサチップ140と、取り外し自在な記録媒体130とから構成されている。
【0022】
記録媒体130は、尿中成分測定器110で測定された尿中成分の測定結果が記録される情報記憶部131を備えている。
【0023】
尿中成分測定器110は、尿センサチップ140が挿入される尿センサチップ装着部128と、尿中の成分を測定する尿中成分測定手段111と、尿中成分測定手段111により尿中成分の測定を完了したことを検知する測定完了検知手段116と、測定が完了したことを利用者に知らせる測定完了報知手段117と、記録媒体130が挿入される記録媒体装着部112と、尿中成分の測定結果を表示する結果表示手段115とを備えている。
【0024】
また、記録媒体装着部112は、尿センサチップ140が排出されると、記録媒体130を挿入できるように記録媒体装着部112の開閉口を開放する記録媒体受入手段114と、記録媒体130が装着されたことを検知する記録媒体検知手段113とを有している。
【0025】
本実施の形態1の尿中成分測定システム100で測定される尿中成分は、尿中塩分、尿たんぱく、尿糖、アルブミン、ウロビリノーゲン等とする。
【0026】
尿中成分を検出する方法には、試験紙による測定方法や、蛍光反応を生じる化学物質を用いた液体クロマトグラフィーによる測定方法、および、抗原に対して特異的に結合する抗体を用いた免疫学的測定方法などがある。免疫学的測定方法の代表的なものには、化学発光免疫測定法、蛍光免疫測定法、酵素免疫測定法(EIA)、抗体を結合させた微粒子を用いた免疫凝集法、およびイムノクロマトグラフィー法などがある。これらの中でも、化学発光免疫測定法、蛍光免疫測定法が、高感度測定が可能であるため、望ましい。本実施の形態1の尿中成分測定システム100では、これらのいずれの検出方法を用いてもよい。
【0027】
図2は、本発明の実施の形態1における尿中成分測定システム100の外観図である。図1のブロック図と同じ構成部分については、同じ符号を用いている。
【0028】
図2に示すように、尿中成分測定器110本体は、表示部160として液晶の表示画面と、操作キー161と、尿センサチップ装着部128と、記録媒体装着部112を備えた、持ち運びが簡単にできるハンディな装置として提案するものである。表示部160は、図1に示す結果表示手段115の機能を有している。
【0029】
尿中成分の測定結果を表示部160で確認することができ、操作キー161を使って簡単に操作ができるので、初めて装置を使用する者や高齢者でも簡単に使用することができる。
【0030】
取り外し自在な記録媒体130として、ここではSDメモリーカードを用いているが、メモリースティックやマルチメディアカード、スマートメディアなどの他のメディアを使用してもよい。
【0031】
以上のように構成された本実施の形態1の尿中成分測定システム100について、図2〜図4を用いて、以下にその動作、作用を説明する。
【0032】
図3(a)、(b)は、本実施の形態1の尿センサチップ140の外観図を示している。
【0033】
図3(a)は、尿を採取する際の尿センサチップ140の状態を示している。尿センサチップ140は把持部162および尿センサ部163が設けられた構造になっており、尿センサ部163で尿を採取する。
【0034】
まず、利用者が把持部162を手で持って、尿センサ部163に尿をかけるか、利用者が尿を紙コップ等に少量採取し、尿の入った紙コップに尿センサ部163を浸す。
【0035】
図3(b)は、尿を採取した後の尿センサチップ140の状態を示している。把持部162はキャップ式になっているので、尿センサ部163に尿がかかった後、図3(a)の状態から把持部162を取り外し、図3(b)のように、尿がかかった尿センサ部163に把持部162をかぶせてフタをしてから、図2に示す尿中成分測定器110の尿センサチップ装着部128に尿センサチップ140を挿入する。
【0036】
図4は、本実施の形態1の尿中成分測定システム100の、尿中成分測定時の動作を示すフローチャートである。
【0037】
尿中成分測定器110は、尿センサチップ140が挿入されたことを検知する(S1)と、尿中成分測定器110の電源が作動し、尿中成分の測定を開始する(S2)。
【0038】
例えば、蛍光反応を生じる化学物質を用いた液体クロマトグラフィーによる測定方法を用いた場合、尿センサチップ140は、尿中の特定成分に反応して色が変化する。尿センサチップ140で反応して生じた色の濃度を尿中成分測定手段111の読み取り部分で読み取り、尿中成分測定手段111は、演算をおこなって尿中に含まれる塩分濃度等を計算し、測定を終了する(S3)。
【0039】
測定完了検知手段116が測定を完了したことを検知すると、測定完了報知手段117は、測定完了を報知する。それと同時に、尿中成分測定手段111は、尿センサチップ140排出の指示を、尿中成分測定器110本体の表示部160に、たとえば、「測定が終了しました。ボタンを押してセンサチップを本体から外してください。」のように表示する(S4)。
【0040】
尿センサチップ装着部128にイジェクター機能を設けておいてもよい。この場合、ボタンを押すだけで尿センサチップ140が尿中成分測定器110本体から外れるので、尿センサチップ140を手で外す必要がなく、手に触れずにそのまま汚物入れに入れることができる。なお、測定完了の報知方法は、表示部160への表示ではなく、報知音やメロディで報知するようにしてもよい。
【0041】
次に、尿センサチップ140の排出が検知される(S5)と、記録媒体受入手段114が作動し、記録媒体130を挿入できるように記録媒体装着部112の開閉口を開放すると共に、尿中成分測定手段111の電源が自動的に切れる(S6)。
【0042】
利用者は、ここまでの動作をトイレ内で行うが、以降の動作はトイレ外に出て、例えば、リビングや寝室等でおこなうこともできる。
【0043】
次に、利用者が記録媒体130を尿中成分測定器110に挿入し、記録媒体検知手段113が記録媒体130の挿入を検知すると(S7)、自動的に表示部160の電源が作動し、表示可能な状態となり、表示部160に測定結果等の情報を表示する(S8)。
【0044】
記録媒体130の挿入後、測定結果のデータが記録媒体130の情報記憶部131に書き込まれ、所定時間が経過した場合、特に表示の継続の要望およびその他の表示の要望がないかを確認して、記録媒体130を排出できるスタンバイ状態になる。そして、記録媒体検知手段113が記録媒体130の排出を検知すると、自動的に表示部160の電源が切れる(S9)。
【0045】
本実施の形態1の尿中成分測定システム100の構成によれば、尿中成分測定器110に取り外し自在な記録媒体130を備えたことにより、尿中成分測定器110を家に置いたままで記録媒体130のみを携帯して持ち歩くことが可能なので可搬性にすぐれている。したがって、測定結果や過去の履歴等を別の部屋やひいては医療機関に持参して医師に提示して見せることができる。また、別個の記録媒体130ごとに、利用者個人ごとの結果を記録することができるので、尿中成分測定器110本体を家族で共有することができ、コストの低減にもつながる。
【0046】
また、尿センサチップ140が排出されないと記録媒体130が挿入できないので、記録媒体130が尿により汚染されることがない。また、尿中成分測定器110本体が携帯型であるので、記録媒体130をトイレ内に持ち込む必要がなく、トイレ以外の部屋で管理することができ、衛生的であり、尿で汚染された尿センサチップ140がはずされた状態で尿中成分測定器110本体をトイレ外に持ち出し、トイレ以外の部屋でゆっくりと結果を見ることができる。
【0047】
本実施の形態1の尿中成分測定器110は、少なくとも一部が抗菌、撥水加工処理がほどこされた外装構成がされているので、尿中成分測定器110本体が尿に汚染されることがなく、衛生的に保つことができる。例えば、尿中成分測定器110の全体に抗菌、撥水加工処理をほどこしてもよいし、特に尿に汚染され易い尿センサチップ装着部128周辺のみに抗菌、撥水加工処理をほどこすようにしてもよい。
【0048】
また、尿中成分測定器110から尿センサチップ140をはずした時に尿中成分測定手段111の電源がいったん切れ、記録媒体130が装着されてから、表示部160の電源が作動し測定結果情報を表示するので、測定終了後、トイレ外に尿中成分測定器110本体を持ち出し、結果を確認するまでのタイムラグが生じても、その間電源が作動していないので、尿中成分測定器110の電池の消耗を防ぎ、電池の節約が可能になると共に、利用者は長期間に渡り電池交換をせずにすむので手間が省ける。
【0049】
また、測定完了を検知し、利用者に測定完了の報知と同時に尿センサチップ140排出の指示をするので、利用者は測定が完了したことを知ることができると同時に、尿センサチップ140をはずすタイミングを容易に知ることができるので、次の行動に早く移れる。
【0050】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2における尿中成分測定システム101の構成を示すブロック図である。
【0051】
本実施の形態2の尿中成分測定システム101の尿中成分測定器150は、図5に示すように、実施の形態1の尿中成分測定器110に加えて、個人識別手段123、計時手段120、尿中成分情報一時記憶手段121、および一時記憶情報削除手段122を備えたことを特徴としている。また、記録媒体135に、個人識別情報記憶部132を備えたことを特徴としている。なお、図5において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0052】
計時手段120は、尿中成分を測定した日時をカウントする。尿中成分情報一時記憶手段121は、測定結果を一時的に記憶する。一時記憶情報削除手段122は、記録媒体135を装着して測定結果と時間情報を記録媒体135に転送後、尿中成分情報一時記憶手段121に一時記憶させた測定結果情報を削除する。そして、個人識別手段123は、記録媒体135の装着時に、個人識別情報記憶部132に記録された個人情報を読み出して個人認識をおこなう。
【0053】
以上のように構成された本実施の形態2の尿中成分測定システム101について、図2、図5、図6を用いて、以下にその動作、作用を説明する。
【0054】
なお、尿中成分測定器150の外観図は、実施の形態1の尿中成分測定器110と同じであり、図2に示す通りである。
【0055】
図6は、本実施の形態2の尿中成分測定システム101の、尿中成分測定時の動作を示すフローチャートである。図6において、図4と同じ処理内容については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0056】
尿中成分測定手段111により尿中成分の測定がされ(S2)、測定が終了する(S3)と、測定結果情報を測定日時とともにいったん一時記憶手段に記憶しておく(S11)。
【0057】
次に、記録媒体135が記録媒体装着部112に装着されたことを記録媒体検知手段113が検知する(S7)と、個人識別手段123は、記録媒体135の個人識別情報記憶部132より個人識別情報を読み取り、表示部160に利用者の名前等の個人識別情報を表示し(S12)、暗証番号入力の指示をおこなう。
【0058】
次に、操作キー161により暗証番号が入力されると、個人識別手段123は、暗証番号の照合をおこない(S13)、正しい暗証番号が入力されていることを確認すると、測定結果を表示する(S8)。個人識別情報と入力された暗証番号が合致しない場合は、暗証番号不一致であることを報知する(S16)。例えば、記録媒体135が本人のものであるかどうかの確認をするよう注意をうながす内容を表示部160に表示してもよいし、エラー音をならして報知してもよい。
【0059】
測定結果を表示すると同時に、あわせて尿中成分情報一時記憶手段121に記憶されている測定日時と測定結果を、自動的に記録媒体135に転送して、記録媒体135に記録する(S14)。そして、記録媒体135の情報記憶部131への記録が完了したことを検知すると、一時記憶情報削除手段122は尿中成分情報一時記憶手段121に記憶されている情報を削除する(S15)。
【0060】
そして、記録媒体検知手段113が、記録媒体135の排出を検知すると、自動的に表示部160の電源が切れる(S9)。
【0061】
本実施の形態2の尿中成分測定システム101の構成によれば、取り外し自在な記録媒体135ごとに、利用者個人ごとの測定結果を記録することができるので、個人の尿検査結果を家族や他人に見られることがなく、プライバシーの保護やセキュリティの確保ができる。
【0062】
また、記録媒体135を装着し、測定結果情報を記録媒体135に転送した後に、尿中成分測定器150内に一時記憶させた測定結果情報を削除するため、尿中成分測定器150本体にはその情報が残らず、尿中成分測定器150を共有している家族や他の人に測定結果を見られることがなく、プライバシーの保護が可能である。
【0063】
また、記録媒体135が装着されていることを検知した場合にのみ、測定結果情報を表示し、自動的に記録媒体135に結果を記録するので、結果の記録忘れを防止することができる。また、何度も測定した上でよい結果のみに限定して結果を記録するというような結果データに対する故意の操作を防ぐこともでき、測定した全ての結果を記録しておくことができる。
【0064】
また、記録媒体135が尿中成分測定器150に装着された際、記録媒体135に記録された個人情報の確認をおこない、暗証番号による照合をおこなうので、記録媒体135が本人のものであるかどうかを確認することができ、間違って他人の記録媒体135を使用した場合、記録媒体135に記名がされていなくても利用者が容易に気づくことができると同時に、他人に結果を見られる心配もなくセキュリティの確保が可能である。
【0065】
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態3における尿中成分測定システム102の構成を示すブロック図である。
【0066】
本実施の形態3の尿中成分測定システム102の尿中成分測定器151は、図7に示すように、実施の形態1の記録媒体受入手段114の代わりに、センサ検知手段125および報知手段126を備えたことを特徴としている。なお、図7において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0067】
本実施の形態3の尿中成分測定器151のセンサ検知手段125は、尿センサチップ140が排出されたことを検知する。また、報知手段126は、尿センサチップ140が尿中成分測定器151に装着されたままの状態で、記録媒体130を挿入しようとすると、報知して警告する。
【0068】
以上のように構成された尿中成分測定システムについて、以下に図8を用いて、その動作、作用を説明する。図8は、本実施の形態3の尿中成分測定システム102の、尿中成分測定時の動作を示すフローチャートである。図8において、図4と同じ処理内容については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0069】
尿中成分の測定を完了し、測定完了を報知する(S4)までの処理内容は、図4のフローチャートに示す実施の形態1と同様であるので、それ以降の動作について説明する。
【0070】
記録媒体検知手段113が記録媒体装着部127の開閉口で、記録媒体130を挿入しようとしていることを検知する(S20)と、センサ検知手段125は、尿センサチップ140が装着状態にあるかどうかを確認する(S21)。
【0071】
尿センサチップ140が排出されていることを確認できた場合には、記録媒体装着部127の開閉口を開放して記録媒体130の挿入を可能にし、記録媒体130が挿入されれば、測定結果を表示する(S22)。一方、尿センサチップ140が排出されておらず、装着されたままである場合は警告を発し、尿センサチップ140の排出をうながす(S23)。
【0072】
本実施の形態3の尿中成分測定システム102の構成によれば、尿のついた尿センサチップ140により、記録媒体130が汚染されることを防ぐことができる。
【0073】
なお、本発明のプログラムは、上述した本発明の尿中成分測定器の個人識別手段の機能をコンピュータにより実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0074】
また、本発明の記録媒体は、上述した本発明の尿中成分測定器の個人識別手段の機能をコンピュータにより実行させるためのプログラムを担持した記録媒体であり、コンピュータにより読み取り可能かつ、読み取られた前記プログラムが前記コンピュータと協働して利用される記録媒体である。
【0075】
また、本発明のプログラムの一利用形態は、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータと協働して動作する態様であっても良い。
【0076】
また、記録媒体としては、ROM等が含まれる。
【0077】
また、上述した本発明のコンピュータは、CPU等の純然たるハードウェアに限らず、ファームウェアや、OS、更に周辺機器を含むものであっても良い。
【0078】
なお、以上説明した様に、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現しても良いし、ハードウェア的に実現しても良い。
【0079】
以上に説明したように、本発明の尿中成分測定システムは、尿中成分測定器と取り外し自在な尿センサチップおよび記録媒体とから構成され、尿中成分測定器は、尿中の成分を測定する尿中成分測定手段と、記録媒体装着部と、尿センサチップが排出されると、記録媒体を挿入できるように記録媒体装着部の開閉口を開放する記録媒体受入手段と、記録媒体が装着されたことを検知する記録媒体検知手段と、記録媒体検知手段により記録媒体の装着が検知された場合に検出結果を表示する結果表示手段とから構成されているので、記録媒体が尿に汚染されることなく衛生的に保てる。
【0080】
また、本発明の尿中成分測定システムは、家庭内の各個人の尿検査結果を個別に管理し、かつこれらの結果を他人に見られることがないようプライバシーやセキュリティの確保ができ、衛生的で使い勝手がよい。
【0081】
また、本発明の尿中成分測定システムは、尿中成分測定器が携帯型であるので、結果をゆっくりトイレ以外の部屋で見ることができ、また、尿センサチップが排出されないと記録媒体が挿入できないので、記録媒体が尿により汚染されることがなく、衛生的に保つことができる。また、記録媒体が装着されていることを検知した場合にのみ、測定結果を表示し、自動的に記録媒体に結果を記録するので、結果の記録忘れを防止することができる。また、取り外し自在な記録媒体に、利用者個人ごとに記録媒体に結果を記録することができるので、結果情報を記録媒体に転送した後、測定結果情報を削除するため、尿中成分測定器本体には情報が残らず、測定器を家族と共有している場合においても、健康情報を他人に見られることがなく、プライバシーの保護やセキュリティの確保ができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明にかかる尿中成分測定器と記録媒体は、携帯型の尿中成分測定器や尿中成分測定システムとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施の形態1における尿中成分測定システムのブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における尿中成分測定システムの外観図
【図3】本発明の実施の形態1における尿中成分測定システムの、(a)尿を採取する際の状態を示す尿センサチップの外観図、(b)尿を採取した後の状態を示す尿センサチップの外観図
【図4】本発明の実施の形態1における尿中成分測定方法のフローチャート
【図5】本発明の実施の形態2における尿中成分測定システムのブロック図
【図6】本発明の実施の形態2における尿中成分測定方法のフローチャート
【図7】本発明の実施の形態3における尿中成分測定システムのブロック図
【図8】本発明の実施の形態3における尿中成分測定方法のフローチャート
【符号の説明】
【0084】
100、101、102 尿中成分測定システム
110、150、151 尿中成分測定器
111 尿中成分測定手段
112、127 記録媒体装着部
113 記録媒体検知手段
114 記録媒体受入手段
115 結果表示手段
116 測定完了検知手段
117 測定完了報知手段
120 計時手段
121 尿中成分情報一時記憶手段
122 一時記憶情報削除手段
123 個人識別手段
125 センサ検知手段
126 報知手段
128 尿センサチップ装着部
130、135 記録媒体
140 尿センサチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿センサチップを装着するための尿センサチップ装着部と、
尿中の成分を測定する尿中成分測定手段と、
前記尿中成分測定手段の測定結果を記録する記録媒体を装着するための記録媒体装着部とを備えた、人の尿中の成分を計測する尿中成分測定器。
【請求項2】
さらに、記録媒体が挿入できるように前記記録媒体装着部の開閉口を開放させる記録媒体受入手段を備え、
前記記録媒体受入手段は、前記尿センサチップが排出された場合に、前記記録媒体を挿入できるように前記記録媒体装着部の前記開閉口を開放させる、請求項1に記載の尿中成分測定器。
【請求項3】
さらに、前記記録媒体が装着されたことを検知する記録媒体検知手段と、
前記測定結果を表示する結果表示手段とを備え、
前記結果表示手段は、前記記録媒体検知手段により前記記録媒体の装着が検知された場合に、前記測定結果を表示する、請求項1または2に記載の尿中成分測定器。
【請求項4】
さらに、前記尿中成分測定手段により尿中成分の測定を完了したことを検知する測定完了検知手段と、
前記測定完了検知手段により測定の完了が検知された際に、測定完了を報知する測定完了報知手段とを備えた、請求項1〜3のいずれかに記載の尿中成分測定器。
【請求項5】
前記記録媒体は、個人識別情報記憶部を有しており、
さらに、前記個人識別情報記憶部から個人識別をおこなう情報を読み取って個人識別をおこなう個人識別手段を備えた、請求項1〜4のいずれかに記載の尿中成分測定器。
【請求項6】
さらに、前記測定結果を一時的に記憶する尿中成分情報一時記憶手段を備え、
前記尿中成分情報一時記憶手段に記憶された前記測定結果を前記記録媒体に転送すると、前記尿中成分情報一時記憶手段に記憶された前記測定結果が削除される、請求項1〜5のいずれかに記載の尿中成分測定器。
【請求項7】
さらに、前記尿センサチップが挿入されたことを検知するセンサ検知手段と、
前記尿センサチップが装着されている状態にある時に、前記記録媒体を挿入しようとすると報知する報知手段とを備えた、請求項1〜6のいずれかに記載の尿中成分測定器。
【請求項8】
前記尿中成分測定器の、少なくともその一部に、抗菌処理および/または撥水加工処理がほどこされている、請求項1〜7のいずれかに記載の尿中成分測定器。
【請求項9】
尿センサチップを装着するための尿センサチップ装着部、尿中の成分を測定する尿中成分測定手段、および前記尿中成分測定手段の測定結果を記録する記録媒体を装着するための記録媒体装着部を有する、人の尿中の成分を計測する尿中成分測定器に、前記尿センサチップを装着するステップと、
前記尿センサチップが前記尿中成分測定器から排出された場合に、前記記録媒体を挿入できるように前記記録媒体装着部の前記開閉口を開放するステップとを備えた、尿中成分測定方法。
【請求項10】
請求項5に記載の尿中成分測定器の、
前記記録媒体の前記個人識別情報記憶部から個人識別をおこなう情報を読み取って個人識別をおこなう前記個人識別手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを担持した記録媒体であって、コンピュータで利用可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−52951(P2006−52951A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−232661(P2004−232661)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】