尿沈渣システム
【課題】尿サンプルの棄却比を下げ、検出精度を向上させ、またこれにより、システムの構成要素の簡略化を実現した尿沈渣システムを提供する。
【解決手段】所定速度以上でサンプル尿を流すフローセル状流路105と、流路105上の測定点に光を照射するランプ107と、散乱光である尿沈渣成分を撮像するカメラ部117とを備える尿沈渣システムにおいて、ランプ107は連続発光又はパルス発光し、カメラ部117は、連続撮像又は光源107に同期した撮像による連続撮像を行う。カメラ部117は、複数のエリアカメラを有し、各エリアカメラは、他のエリアカメラとはずれたタイミングでの撮像を行う。カメラ部117は、流路105上の測定点の撮像を、時間的、かつ、画像的に連続に行うラインカメラを有する。
【解決手段】所定速度以上でサンプル尿を流すフローセル状流路105と、流路105上の測定点に光を照射するランプ107と、散乱光である尿沈渣成分を撮像するカメラ部117とを備える尿沈渣システムにおいて、ランプ107は連続発光又はパルス発光し、カメラ部117は、連続撮像又は光源107に同期した撮像による連続撮像を行う。カメラ部117は、複数のエリアカメラを有し、各エリアカメラは、他のエリアカメラとはずれたタイミングでの撮像を行う。カメラ部117は、流路105上の測定点の撮像を、時間的、かつ、画像的に連続に行うラインカメラを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿沈渣システムに関し、特に尿沈渣成分の撮像方式、および、そのシステム構成、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、尿沈渣システムの尿沈渣成分の撮像については、該沈渣成分をレーザ光等を用いて粒子の散乱光を検出し、その検出信号によって、同期信号を生成し、その信号を撮像装置に送出することにより、尿沈渣成分を含んだ1フレームの画像を取得する方式が知られている。この従来の方式を以下説明する。
従来の尿沈渣システムの構成例を図2に示す。図2において、検体となる尿である測定サンプル101を、染色部102によって染色し、サンプリング部103に送る。サンプリング部103では、誘導用のシース液と共にサンプル104を流し、フローセル105と呼ぶ薄い直方体状の空間に流し込む。このとき、フローセル105の通過前のサンプル104に対し、レーザ201からレーザ光を照射し、細胞の散乱光をとらえることにより、サンプル104中の細胞の有無を検出する(フローサイトメトリ法)。サンプル104を透過したレーザ光は、反射鏡202及び絞り203を介して、検出器204に到達する。検出器204では、サンプル104中の細胞を検出すると、その情報を粒子検出処理部206に送る。粒子検出処理部206では、検出器204の検出情報を受け、レーザ検出から実際のカメラ撮像エリアへの遅れ時間後にランプ点灯制御部205,および,同期制御部118にそれぞれ検出情報を送出する。ランプ点灯制御部205では、検出に応じ一定のパルス幅を発生して、ランプ駆動部106に対して送り、ランプ駆動部106がそのパルス幅の時間に合わせランプ107を点灯させる。ランプ107から出た光はフィールドレンズ108,視野絞り109,開口絞り112,コンデンサレンズ113を介して、フローセル105上の撮像エリアにて集束する。その後、対物レンズ114を介して、結像位置115,投影レンズ116を介してカメラ117に画像が到達する。このとき、ランプ107が点灯するタイミングに同期して、同期制御部118からカメラ117に対し、トリガ信号,シャッター制御信号を送出し、カメラ117は該トリガ信号,シャッター制御信号に同期して、1フレームの撮像を行う。このようにランプ107の点灯とカメラ117の撮像を同期することにより、尿の測定サンプル101中の細胞がフローセル105中のカメラ撮像エリアを通過した瞬間にカメラ117が1フレームに画像として、該細胞を含んだ尿サンプル101の画像を取り込むことができる。
中央演算装置122では、同期制御部118,および,粒子検出部の信号を受け、各部のタイミング制御,および設定を行う。
カメラ117により撮像された1フレームの画像は、カメラI/F119を通り、輝度補正、ここではシェーディング補正120を行って画像メモリ121に一旦格納する。画像メモリに格納した1フレームの画像は、特徴量抽出部123に送る。特徴量抽出部123では細胞を含む画像を画像メモリ121の格納画像より一部の任意の大きさの画像を切出して抽出する。抽出した切出し画像は、分類部124によって形状分類を行い、赤血球,白血球,円柱,および,細菌などの尿中に含まれる沈渣成分として分類したものをレビュー処理部125を介してレビュー部126、例えばパソコンなどに格納し、さらにディスプレイ上に表示する。
以上を検出器204が沈渣成分を検出する毎に繰り返すことにより、測定サンプル101の検体尿の全てに対して、各尿の沈渣成分を検出,分類して表示する。
【0003】
次に、従来の撮像方法を動作させる場合の信号動作を説明する。撮像時のタイミングチャートを図3に示す。なお、図3(a)には図2からタイミングチャートに関連する構成部分を抜粋している。抜粋したのは、前記フローセル105,レーザ201,検出部204,ランプ107,カメラ117である。図3(b)は撮像方法を動作した場合のタイミングチャートである。なお、この例ではカメラとしてTV(NTSC)カメラを用いる。TVカメラでは1画像撮像時間は33ms(1フィールド16.6ms×2)となり、図3(b)での横軸(時間軸)での1目盛は16.6msとしている。さて、検出部204によって尿沈渣成分が検出されると、タイムチャートの検出301が示すように、パルス状の信号を発生する。これに応じてランプ302が発光し、次の16.6msに同期して同期信号303をTVカメラより発生する。この例では、TVカメラなので、2フィールド,すなわち図3での(1)で示している信号が検出301,ランプ302,同期信号303,画像転送304の一連の動作の流れとなる。2回目の検出301以降も(2),(3),(4)で示すような一連の動作となる。このように検出301の度にランプ302を発光して同期信号303を発生させることにより、沈渣画像を取得する。
このときの撮像イメージを図4に示す。図4は縦側に時間401,および,サンプル104の流れをイメージしている。図中のハッチング部が撮像有効領域402である。撮像有効領域は33msあるが、カメラのブランク時間,および,サンプル104の流速により、撮像不可領域403が存在する。
【特許文献1】特開平11−94727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の尿沈渣システムでは背景技術で記述した構成により、システムの動作が行われる。しかしながら、図2,図4で説明したように、フローセル105に流れる測定サンプル101は、カメラ117が連続的(33ms毎)に撮像したとしても、あるフレームの撮像から、次のフレームの撮像までは、図4に示したように、必ず撮像不可領域,すなわちフローセル105中の尿サンプルの流速に依存する時間が存在し、尿サンプルの量,および,流速に対し、実際にカメラ117により撮像される画像比率は小さく、ほとんどの尿サンプルは撮像対象とならないまま、棄却されることになっていた。これは尿サンプルの大部分が撮像対象ではなく、棄却されるため、一定の検出量を得るには、無効な尿サンプルを用意しなければならないという問題があった。
また、尿サンプルに対し、全細胞を撮像できないことから、検出精度が上がらないことと、尿サンプル中の細胞を検出してから撮像するシステムであり、すなわちレーザ201,検出部204,粒子検出処理部206,ランプ点灯制御部205などの機器および構成要素が必要となる,というそれぞれの問題があった。
【0005】
本発明の目的は、尿サンプルの棄却比を下げ、検出精度を向上させ,システムの構成要素の簡略化を実現した尿沈渣システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、カメラの撮像条件を、エリア連続撮像,マルチエリア連続撮像,またはライン連続撮像とし、撮像後の画像の扱いをこれらの条件と適合した制御を採用し,撮像を高速化することを提案する。
【0007】
すなわち、本発明は、所定速度以上でサンプル尿を流すフローセル状流路と、該流路上の測定点に光を照射するランプと、その散乱光である尿沈渣成分を撮像するカメラ部とを備える尿沈渣システムにおいて、前記ランプは連続発光又はパルス発光し、前記カメラ部は、連続撮像又は前記光源に同期した撮像による連続撮像を行う尿沈渣システムである。
【0008】
また、本発明は、前記カメラ部は、複数のエリアカメラを有し、各エリアカメラは、他のエリアカメラとはずれたタイミングでの撮像を行う尿沈渣システムである。
【0009】
そして、本発明は、所定速度以上でサンプル尿を流すフローセル状流路と、該流路上の測定点に光を照射するランプと、その散乱光である尿沈渣成分を撮像するカメラ部とを備える尿沈渣システムにおいて、前記カメラ部は、前記流路上の測定点の撮像を、時間的、かつ、画像的に連続に行うラインカメラを有する尿沈渣システムである。
【0010】
更に、本発明は、前記カメラ部は、エリアカメラ及びラインラメラを有し、複数の撮像方式の併用または切替を可能とする制御方式で撮像を行うことができる尿沈渣システムである。
【0011】
また、本発明は、撮像した画像を蓄積する手段を備えており、全撮像画像を撮像と同期して、もしくは準リアルタイムに保存する機能を有する尿沈渣システムである。
【0012】
そして、本発明は、撮像画像の特徴量を抽出する特徴量抽出部と、抽出した撮像画像の特徴量を分類する分類部を備える尿沈渣システムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、尿サンプルの検出精度の向上,サンプル量低減,および,検出系,撮像機器制御の削除が可能となり、装置のスループット向上,検出精度の向上,装置構成の簡略化が可能となる尿沈渣システムを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明の尿沈渣システムの実施例について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0015】
実施例1を説明する。本発明の第一の実施例の尿沈渣システムについて、図1を用いて説明する。
図1において、検体となる尿である測定サンプル101を染色部102によって染色し、サンプリング部103に送る。サンプリング部103では、誘導用のシース液と共にサンプル104を流し、フローセル105に流し込む。ランプ107から出た光はフィールドレンズ108,視野絞り109,開口絞り112,コンデンサレンズ113を介して、フローセル105上の撮像エリアにて集束する。その後、対物レンズ114を介して、結像位置115,投影レンズ116を介してカメラ117に画像が到達する。
このとき、フローセル105に尿サンプルが流れ出すと同時に、ランプ駆動部106からランプ107に対して点灯信号を送り、ランプ107が発光する。このとき、場合に応じてランプ107は尿サンプルの一検体分の間発光し続けるか、あるいは、カメラ117の同期信号に応じて同期制御部118より、カメラ117の同期に応じてパルス発光する。
この場合、カメラ117は、従来のように、フローセル105に内に流れるサンプル104の細胞検出等は行わず、常にカメラの最速撮像スピードで連続的に撮像をする。本撮像は、尿サンプルの1検体が終了するまで続ける。
カメラ117により撮像された1フレームの画像は、カメラI/F119を通り、輝度補正、ここではシェーディング補正120を行って画像メモリ121に一旦格納する。画像メモリに格納した1フレームの画像は、特徴量抽出部123に送る。特徴量抽出部123では細胞を含む画像を画像メモリ121の格納画像より一部の任意の画像を切出して抽出する。抽出した切出し画像は、分類部124によって形状分類を行い、赤血球,白血球,円柱,および,細菌などの尿中に含まれる沈渣成分として分類したものをレビュー処理部125を介してレビュー部126、例えばパソコンなどに格納し、さらにディスプレイ上に表示する。
以上を、カメラのフレーム同期毎に繰り返すことにより、測定サンプル101の検体尿の全てに対して各尿の沈渣成分を検出,分類して表示することが可能である。
【0016】
このように本実施例の尿沈渣システムでは、細胞検出部としてのレーザ201,反射板202,検出器204,粒子検出処理部206,ランプ点灯制御部205等の構成要素とその制御が不要となり、また、高フレームレートで全画像を保存可能であるため、検出率,分類比の向上が期待できる。
【0017】
次に、前記撮像方法を動作させる場合の同期信号動作を説明する。撮像時のタイミングチャートを図5に示す。図5は、前記撮像方法を動作した場合の各構成要素のタイミングチャートである。この例ではカメラとしてTVカメラを例とするが、さらに高速のプログレッシブ撮像可能なアナログ,および,デジタルカメラでも応用可能である。
この例のTVカメラでは、1画像撮像時間33ms(1フィールド16.6ms×2)となり、図5での横軸(時間軸)での1目盛は16.6msとしている。さて、この場合、尿サンプルの細胞検出は不要であるので、図5のタイムチャート中の検出501は全く動作しない。あるいは、無効となる。よってランプ502は検出部に無関係に、点灯し続けるか、カメラの同期信号に合わせてパルス状に発光することになる。これが図5のタイミングチャートのランプ502部分である。ここでは、連続撮像であるため、カメラ同期の場合では、図5中のランプ502の(1),(2),(3),(4)で示すように、一検体が終了するまで、同周期にて途切れることなく続ける。同期信号503,画像転送504も一旦動作を開始すると、一検体が終了するまでカメラ117のカメラ同期信号に連動して同周期にて途切れることなく続ける。このようにカメラ117の連続したカメラ同期信号に依存した構成とし、尿沈渣成分の画像を取得する。
このときの撮像イメージを図6に示す。図6は縦に時間601,および,サンプル104の流れをイメージしている。図中のハッチング部が撮像有効領域602である。図中の撮像不可時間603は,使用するカメラのブランク時間であるが、従来に比べ画像有効領域の比率が大きくなり、尿サンプル中の細胞を高い確率で検出できる。
【実施例2】
【0018】
次に、図1で説明した構成に対して、カメラを複数台撮像に使用した場合の実施例を図7に示す。
前記図1,3,5,および,6でそれぞれ説明した、撮像方式は、尿サンプル中の細胞の検出率を上げるのに有効である。ただし、さらに検出率を上げるために、撮像方法として、カメラのブランキング時間による撮像不可領域をなくした方式を提案する。このときの構成を図7に示す。この場合は、カメラを4台使用した例と示す。
検体となる尿である測定サンプリング101を、染色部102によって染色し、サンプリング部103に送る。サンプリング部103では、誘導用のシース液と共にサンプル104を流し、フローセル105に流し込む。この場合フローセル105上の撮像点に対して、4台のカメラが撮像可能な構成をとる。カメラ(1)701,カメラ(2)702,カメラ(3)703,および,カメラ(4)704に入った画像はそれぞれカメラI/F(1)705,カメラ(2)I/F706,カメラI/F(3)707,および,カメラI/F(4)708をそれぞれ通り、必要に応じ輝度補正,ここではシェーディング補正(1)709,シェーディング補正(2)710,シェーディング補正(3)711,および,シェーディング補正(4)712にてシェーディング補正をそれぞれ行って、画像メモリ120にそれぞれの画像を一旦格納する。
このとき各カメラの同期信号は同期制御部118により制御をする。同期制御部118では、1フレーム撮像時間毎に、各カメラのうち1カメラのみに1フレームの有効信号を出すように指示をする。例えば、このときの有効撮像カメラはカメラ(1)701とする。また、この場合カメラ(2)702,カメラ(3)703,および,カメラ(4)704には同期信号を発生しない。そして該撮像が完了した次のフレームでは、カメラ(2)702に対して1フレームの有効信号を出すように指示をする。ただし、この場合のフレーム間のブランク時間は1つのカメラでは撮像している場合のそれではなく、本例でいえば、カメラ(1)701のフレームの最終有効ライン撮像後、垂直ブランク期間を設けずに、カメラ(2)702の第1有効ライン撮像が開始できるタイミングを同期制御部118により生成する。以下同様にカメラ(2)702からカメラ(3)703,カメラ(3)703からカメラ(4)704,および,カメラ(4)704からカメラ(1)701の1フレームの同期信号が遷移する方式をとる。
画像メモリ121に格納した、各カメラの1フレーム画像は時系列に特徴量抽出部123に送る。特徴量抽出部123では、細胞を含む画像を切出して抽出する。抽出した切出し画像は、分類部124によって形状分類を行い、赤血球,白血球,円柱,および,細菌などの尿中に含まれる沈渣成分として分類したものをレビュー処理部を介してレビュー部126、例えばパソコンなどに格納し、さらにディスプレイ上に表示する。
【0019】
以上の動作を尿サンプルの1検体が終了するまで繰返すことにより、カメラのブランキング期間による撮像不可領域をなくし、尿サンプルに対し、完全に連続的な画像を撮像取得することが可能となる。
このときの撮像イメージを図8に示す。図8は横軸に時間,および,サンプル104の流れをイメージしている。また、横軸は図7で説明したカメラを4台使用した場合の各カメラ(カメラ(1)701,カメラ(2)702,カメラ(3)703,カメラ(4)704)の撮像タイミングを表している。図中のハッチング部が撮像有効領域802である。カメラ(1)701の撮像有効領域803の次にブランキング時間を待たずに、カメラ(2)702の撮像有効領域804が始まり、以下同様に撮像有効領域が、1フレーム毎にカメラ(3)703の撮像有効領域805,カメラ(4)704の撮像有効領域806,カメラ(1)701の撮像有効領域807,カメラ(2)702の撮像有効領域808と遷移していく。
以上のようにカメラによるブランキング時間の撮像不可領域をなくすことにより、尿沈渣システムの検出率,分類精度の向上を図ることができる。
【実施例3】
【0020】
次に、前記カメラ複数台による撮像方式と同様の効果を狙った構成方式として、ライン撮像方式を用いた撮像方式の実施例を記述する。構成は、図1で示したTVカメラ,および,その他のエリアカメラを用いた構成方式と同様であるが、使用するカメラをラインカメラに変更したものである。
このときのラインカメラによる撮像イメージを図9に示す。図9では、縦軸に時間,および,サンプル104の流れをイメージしている。図9中のハッチング部が撮像有効領域であり、図中で示す1つのハッチング単位が1ラインの撮像有効領域902を示している。このようにラインカメラを用いて、尿サンプルのフローセル上の流れを撮像できれば、前記TV(エリア)カメラの動作と同様に連続した有効領域を確保した撮像を行うことが可能となり、前記TV(エリア)カメラと動作と同様の効果を得ることが可能となる。
このときのタイムチャートを図10に示す。図10では検出1001は不用,ランプ1002は点灯し続けることを示しており、さらに同期信号1003はラインカメラであるので、ライン毎の動作となる。このライン毎の同期信号1003により、順次,画像メモリに画像が蓄積され、任意のライン数に達した時に、1フレームの画像として、画像転送1004を行う。
このように、ライン撮像を行うメリットとして、1フレームという画像の概念を任意のライン時間により、設計することが可能であり、適用システムに合わせた画像管理が可能である。
【実施例4】
【0021】
次に、前記図1と図2の発明と従来例を組合せ、その動作選択を可能とした撮像方式の構成図を図11に示す。
図11の動作原理は、図1,図2の説明と同等であるが、これらの切替は中央演算装置122を通じて、同期制御部118により行い、同期制御部118から、粒子検出処理部206と各カメラ(1)701,カメラ(2)702,カメラ(3)703,カメラ(4)704の制御を発明と従来方式で切替えることにより実施する。
これにより、尿サンプルのフローセル上の流速が極端に遅い場合は、選択式撮像(従来方式),該流速が一定より速い場合が発明方式と選択することにより、使用方法に応じた最適画像を取得することが可能となる。ここで発明として、図1の発明を示したが、前述した他の発明にも適用可能である。
このときのタイミングチャート例を図12に示す。図12の選択信号1201は本例では、信号がLOW側にて従来の撮像方式を選択,HIGH側にて発明撮像方式を選択する。選択信号がLOWの場合には、図3で説明したものと同様の動作となり、選択的な撮像方式となる。選択信号がHIGH側では、図5で説明したものと同様の動作となり、連続的な撮像方式をなる。これにより、尿サンプルのフローセル105上での流速や尿沈渣成分の濃度等の条件により、最適な撮像方法を選択することができる。
【0022】
本発明は、尿沈渣システムと類似の,被測定検体をフローサイトメトリ法などで撮像する他の応用装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1の尿沈渣システムの構成の説明図。
【図2】従来の尿沈渣システムの構成の説明図。
【図3】従来の尿沈渣システムの撮像タイミングの説明図。
【図4】従来の尿沈渣システムの撮像イメージの説明図。
【図5】実施例1の尿沈渣システムの撮像タイミングの説明図。
【図6】実施例1の沈渣システムの撮像イメージの説明図。
【図7】実施例2における複数台カメラ撮像の構成例の説明図。
【図8】実施例2における複数台カメラ撮像の撮像イメージの説明図。
【図9】実施例3におけるラインカメラ撮像の撮像イメージの説明図。
【図10】実施例3におけるラインカメラ撮像の撮像タイミングの説明図。
【図11】実施例4における選択撮像方式を適用した構成例の説明図。
【図12】実施例4における選択撮像方式を適用した構成例の撮像タイミングの説明図。
【符号の説明】
【0024】
101・・測定サンプル、102・・染色部、103・・サンプリング部、104・・サンプル、105・・フローセル、106・・ランプ駆動部、107・・ランプ、108・・フィールドレンズ、109・・視野絞り、112・・開口絞り、113・・コンデンサレンズ、114・・対物レンズ、115・・結像位置、116・・投影レンズ、117・・カメラ、118・・同期制御部、119・・カメラI/F、120・・シェーディング補正、121・・画像メモリ、122・・中央演算装置、123・・特徴量抽出部、124・・分類部、125・・レビュー処理部、126・・レビュー部、201・・レーザ、202・・反射鏡、203・・絞り、204・・検出器、205・・ランプ点灯制御部、206・・粒子検出処理部、301・・検出、302・・ランプ、303・・同期信号、304・・画像転送、401・・時間、402・・撮像有効領域、403・・撮像不可領域、501・・検出、502・・ランプ、503・・同期信号、504・・画像転送、601・・時間、602・・撮像有効領域、603・・撮像不可領域、701・・カメラ(1)、702・・カメラ(2)、703・・カメラ(3)、704・・カメラ(4)、705・・カメラI/F(1)、706・・カメラI/F(2)、707・・カメラI/F(3)、708・・カメラI/F(4)、709・・シェーディング補正(1)、710・・シェーディング補正(2)、711・・シェーディング補正(3)、712・・シェーディング補正(4)、801・・時間、802・・撮像有効領域、803・・カメラ(1)撮像有効領域、804・・カメラ(2)撮像有効領域、805・・カメラ(3)撮像有効領域、806・・カメラ(4)撮像有効領域、807・・カメラ(1)撮像有効領域、808・・カメラ(2)撮像有効領域、901・・時間、902・・1ラインの撮像有効領域、1001・・検出、1002・・ランプ、1003・・同期信号、1004・・画像転送、1201・・選択信号
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿沈渣システムに関し、特に尿沈渣成分の撮像方式、および、そのシステム構成、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、尿沈渣システムの尿沈渣成分の撮像については、該沈渣成分をレーザ光等を用いて粒子の散乱光を検出し、その検出信号によって、同期信号を生成し、その信号を撮像装置に送出することにより、尿沈渣成分を含んだ1フレームの画像を取得する方式が知られている。この従来の方式を以下説明する。
従来の尿沈渣システムの構成例を図2に示す。図2において、検体となる尿である測定サンプル101を、染色部102によって染色し、サンプリング部103に送る。サンプリング部103では、誘導用のシース液と共にサンプル104を流し、フローセル105と呼ぶ薄い直方体状の空間に流し込む。このとき、フローセル105の通過前のサンプル104に対し、レーザ201からレーザ光を照射し、細胞の散乱光をとらえることにより、サンプル104中の細胞の有無を検出する(フローサイトメトリ法)。サンプル104を透過したレーザ光は、反射鏡202及び絞り203を介して、検出器204に到達する。検出器204では、サンプル104中の細胞を検出すると、その情報を粒子検出処理部206に送る。粒子検出処理部206では、検出器204の検出情報を受け、レーザ検出から実際のカメラ撮像エリアへの遅れ時間後にランプ点灯制御部205,および,同期制御部118にそれぞれ検出情報を送出する。ランプ点灯制御部205では、検出に応じ一定のパルス幅を発生して、ランプ駆動部106に対して送り、ランプ駆動部106がそのパルス幅の時間に合わせランプ107を点灯させる。ランプ107から出た光はフィールドレンズ108,視野絞り109,開口絞り112,コンデンサレンズ113を介して、フローセル105上の撮像エリアにて集束する。その後、対物レンズ114を介して、結像位置115,投影レンズ116を介してカメラ117に画像が到達する。このとき、ランプ107が点灯するタイミングに同期して、同期制御部118からカメラ117に対し、トリガ信号,シャッター制御信号を送出し、カメラ117は該トリガ信号,シャッター制御信号に同期して、1フレームの撮像を行う。このようにランプ107の点灯とカメラ117の撮像を同期することにより、尿の測定サンプル101中の細胞がフローセル105中のカメラ撮像エリアを通過した瞬間にカメラ117が1フレームに画像として、該細胞を含んだ尿サンプル101の画像を取り込むことができる。
中央演算装置122では、同期制御部118,および,粒子検出部の信号を受け、各部のタイミング制御,および設定を行う。
カメラ117により撮像された1フレームの画像は、カメラI/F119を通り、輝度補正、ここではシェーディング補正120を行って画像メモリ121に一旦格納する。画像メモリに格納した1フレームの画像は、特徴量抽出部123に送る。特徴量抽出部123では細胞を含む画像を画像メモリ121の格納画像より一部の任意の大きさの画像を切出して抽出する。抽出した切出し画像は、分類部124によって形状分類を行い、赤血球,白血球,円柱,および,細菌などの尿中に含まれる沈渣成分として分類したものをレビュー処理部125を介してレビュー部126、例えばパソコンなどに格納し、さらにディスプレイ上に表示する。
以上を検出器204が沈渣成分を検出する毎に繰り返すことにより、測定サンプル101の検体尿の全てに対して、各尿の沈渣成分を検出,分類して表示する。
【0003】
次に、従来の撮像方法を動作させる場合の信号動作を説明する。撮像時のタイミングチャートを図3に示す。なお、図3(a)には図2からタイミングチャートに関連する構成部分を抜粋している。抜粋したのは、前記フローセル105,レーザ201,検出部204,ランプ107,カメラ117である。図3(b)は撮像方法を動作した場合のタイミングチャートである。なお、この例ではカメラとしてTV(NTSC)カメラを用いる。TVカメラでは1画像撮像時間は33ms(1フィールド16.6ms×2)となり、図3(b)での横軸(時間軸)での1目盛は16.6msとしている。さて、検出部204によって尿沈渣成分が検出されると、タイムチャートの検出301が示すように、パルス状の信号を発生する。これに応じてランプ302が発光し、次の16.6msに同期して同期信号303をTVカメラより発生する。この例では、TVカメラなので、2フィールド,すなわち図3での(1)で示している信号が検出301,ランプ302,同期信号303,画像転送304の一連の動作の流れとなる。2回目の検出301以降も(2),(3),(4)で示すような一連の動作となる。このように検出301の度にランプ302を発光して同期信号303を発生させることにより、沈渣画像を取得する。
このときの撮像イメージを図4に示す。図4は縦側に時間401,および,サンプル104の流れをイメージしている。図中のハッチング部が撮像有効領域402である。撮像有効領域は33msあるが、カメラのブランク時間,および,サンプル104の流速により、撮像不可領域403が存在する。
【特許文献1】特開平11−94727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の尿沈渣システムでは背景技術で記述した構成により、システムの動作が行われる。しかしながら、図2,図4で説明したように、フローセル105に流れる測定サンプル101は、カメラ117が連続的(33ms毎)に撮像したとしても、あるフレームの撮像から、次のフレームの撮像までは、図4に示したように、必ず撮像不可領域,すなわちフローセル105中の尿サンプルの流速に依存する時間が存在し、尿サンプルの量,および,流速に対し、実際にカメラ117により撮像される画像比率は小さく、ほとんどの尿サンプルは撮像対象とならないまま、棄却されることになっていた。これは尿サンプルの大部分が撮像対象ではなく、棄却されるため、一定の検出量を得るには、無効な尿サンプルを用意しなければならないという問題があった。
また、尿サンプルに対し、全細胞を撮像できないことから、検出精度が上がらないことと、尿サンプル中の細胞を検出してから撮像するシステムであり、すなわちレーザ201,検出部204,粒子検出処理部206,ランプ点灯制御部205などの機器および構成要素が必要となる,というそれぞれの問題があった。
【0005】
本発明の目的は、尿サンプルの棄却比を下げ、検出精度を向上させ,システムの構成要素の簡略化を実現した尿沈渣システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、カメラの撮像条件を、エリア連続撮像,マルチエリア連続撮像,またはライン連続撮像とし、撮像後の画像の扱いをこれらの条件と適合した制御を採用し,撮像を高速化することを提案する。
【0007】
すなわち、本発明は、所定速度以上でサンプル尿を流すフローセル状流路と、該流路上の測定点に光を照射するランプと、その散乱光である尿沈渣成分を撮像するカメラ部とを備える尿沈渣システムにおいて、前記ランプは連続発光又はパルス発光し、前記カメラ部は、連続撮像又は前記光源に同期した撮像による連続撮像を行う尿沈渣システムである。
【0008】
また、本発明は、前記カメラ部は、複数のエリアカメラを有し、各エリアカメラは、他のエリアカメラとはずれたタイミングでの撮像を行う尿沈渣システムである。
【0009】
そして、本発明は、所定速度以上でサンプル尿を流すフローセル状流路と、該流路上の測定点に光を照射するランプと、その散乱光である尿沈渣成分を撮像するカメラ部とを備える尿沈渣システムにおいて、前記カメラ部は、前記流路上の測定点の撮像を、時間的、かつ、画像的に連続に行うラインカメラを有する尿沈渣システムである。
【0010】
更に、本発明は、前記カメラ部は、エリアカメラ及びラインラメラを有し、複数の撮像方式の併用または切替を可能とする制御方式で撮像を行うことができる尿沈渣システムである。
【0011】
また、本発明は、撮像した画像を蓄積する手段を備えており、全撮像画像を撮像と同期して、もしくは準リアルタイムに保存する機能を有する尿沈渣システムである。
【0012】
そして、本発明は、撮像画像の特徴量を抽出する特徴量抽出部と、抽出した撮像画像の特徴量を分類する分類部を備える尿沈渣システムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、尿サンプルの検出精度の向上,サンプル量低減,および,検出系,撮像機器制御の削除が可能となり、装置のスループット向上,検出精度の向上,装置構成の簡略化が可能となる尿沈渣システムを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明の尿沈渣システムの実施例について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0015】
実施例1を説明する。本発明の第一の実施例の尿沈渣システムについて、図1を用いて説明する。
図1において、検体となる尿である測定サンプル101を染色部102によって染色し、サンプリング部103に送る。サンプリング部103では、誘導用のシース液と共にサンプル104を流し、フローセル105に流し込む。ランプ107から出た光はフィールドレンズ108,視野絞り109,開口絞り112,コンデンサレンズ113を介して、フローセル105上の撮像エリアにて集束する。その後、対物レンズ114を介して、結像位置115,投影レンズ116を介してカメラ117に画像が到達する。
このとき、フローセル105に尿サンプルが流れ出すと同時に、ランプ駆動部106からランプ107に対して点灯信号を送り、ランプ107が発光する。このとき、場合に応じてランプ107は尿サンプルの一検体分の間発光し続けるか、あるいは、カメラ117の同期信号に応じて同期制御部118より、カメラ117の同期に応じてパルス発光する。
この場合、カメラ117は、従来のように、フローセル105に内に流れるサンプル104の細胞検出等は行わず、常にカメラの最速撮像スピードで連続的に撮像をする。本撮像は、尿サンプルの1検体が終了するまで続ける。
カメラ117により撮像された1フレームの画像は、カメラI/F119を通り、輝度補正、ここではシェーディング補正120を行って画像メモリ121に一旦格納する。画像メモリに格納した1フレームの画像は、特徴量抽出部123に送る。特徴量抽出部123では細胞を含む画像を画像メモリ121の格納画像より一部の任意の画像を切出して抽出する。抽出した切出し画像は、分類部124によって形状分類を行い、赤血球,白血球,円柱,および,細菌などの尿中に含まれる沈渣成分として分類したものをレビュー処理部125を介してレビュー部126、例えばパソコンなどに格納し、さらにディスプレイ上に表示する。
以上を、カメラのフレーム同期毎に繰り返すことにより、測定サンプル101の検体尿の全てに対して各尿の沈渣成分を検出,分類して表示することが可能である。
【0016】
このように本実施例の尿沈渣システムでは、細胞検出部としてのレーザ201,反射板202,検出器204,粒子検出処理部206,ランプ点灯制御部205等の構成要素とその制御が不要となり、また、高フレームレートで全画像を保存可能であるため、検出率,分類比の向上が期待できる。
【0017】
次に、前記撮像方法を動作させる場合の同期信号動作を説明する。撮像時のタイミングチャートを図5に示す。図5は、前記撮像方法を動作した場合の各構成要素のタイミングチャートである。この例ではカメラとしてTVカメラを例とするが、さらに高速のプログレッシブ撮像可能なアナログ,および,デジタルカメラでも応用可能である。
この例のTVカメラでは、1画像撮像時間33ms(1フィールド16.6ms×2)となり、図5での横軸(時間軸)での1目盛は16.6msとしている。さて、この場合、尿サンプルの細胞検出は不要であるので、図5のタイムチャート中の検出501は全く動作しない。あるいは、無効となる。よってランプ502は検出部に無関係に、点灯し続けるか、カメラの同期信号に合わせてパルス状に発光することになる。これが図5のタイミングチャートのランプ502部分である。ここでは、連続撮像であるため、カメラ同期の場合では、図5中のランプ502の(1),(2),(3),(4)で示すように、一検体が終了するまで、同周期にて途切れることなく続ける。同期信号503,画像転送504も一旦動作を開始すると、一検体が終了するまでカメラ117のカメラ同期信号に連動して同周期にて途切れることなく続ける。このようにカメラ117の連続したカメラ同期信号に依存した構成とし、尿沈渣成分の画像を取得する。
このときの撮像イメージを図6に示す。図6は縦に時間601,および,サンプル104の流れをイメージしている。図中のハッチング部が撮像有効領域602である。図中の撮像不可時間603は,使用するカメラのブランク時間であるが、従来に比べ画像有効領域の比率が大きくなり、尿サンプル中の細胞を高い確率で検出できる。
【実施例2】
【0018】
次に、図1で説明した構成に対して、カメラを複数台撮像に使用した場合の実施例を図7に示す。
前記図1,3,5,および,6でそれぞれ説明した、撮像方式は、尿サンプル中の細胞の検出率を上げるのに有効である。ただし、さらに検出率を上げるために、撮像方法として、カメラのブランキング時間による撮像不可領域をなくした方式を提案する。このときの構成を図7に示す。この場合は、カメラを4台使用した例と示す。
検体となる尿である測定サンプリング101を、染色部102によって染色し、サンプリング部103に送る。サンプリング部103では、誘導用のシース液と共にサンプル104を流し、フローセル105に流し込む。この場合フローセル105上の撮像点に対して、4台のカメラが撮像可能な構成をとる。カメラ(1)701,カメラ(2)702,カメラ(3)703,および,カメラ(4)704に入った画像はそれぞれカメラI/F(1)705,カメラ(2)I/F706,カメラI/F(3)707,および,カメラI/F(4)708をそれぞれ通り、必要に応じ輝度補正,ここではシェーディング補正(1)709,シェーディング補正(2)710,シェーディング補正(3)711,および,シェーディング補正(4)712にてシェーディング補正をそれぞれ行って、画像メモリ120にそれぞれの画像を一旦格納する。
このとき各カメラの同期信号は同期制御部118により制御をする。同期制御部118では、1フレーム撮像時間毎に、各カメラのうち1カメラのみに1フレームの有効信号を出すように指示をする。例えば、このときの有効撮像カメラはカメラ(1)701とする。また、この場合カメラ(2)702,カメラ(3)703,および,カメラ(4)704には同期信号を発生しない。そして該撮像が完了した次のフレームでは、カメラ(2)702に対して1フレームの有効信号を出すように指示をする。ただし、この場合のフレーム間のブランク時間は1つのカメラでは撮像している場合のそれではなく、本例でいえば、カメラ(1)701のフレームの最終有効ライン撮像後、垂直ブランク期間を設けずに、カメラ(2)702の第1有効ライン撮像が開始できるタイミングを同期制御部118により生成する。以下同様にカメラ(2)702からカメラ(3)703,カメラ(3)703からカメラ(4)704,および,カメラ(4)704からカメラ(1)701の1フレームの同期信号が遷移する方式をとる。
画像メモリ121に格納した、各カメラの1フレーム画像は時系列に特徴量抽出部123に送る。特徴量抽出部123では、細胞を含む画像を切出して抽出する。抽出した切出し画像は、分類部124によって形状分類を行い、赤血球,白血球,円柱,および,細菌などの尿中に含まれる沈渣成分として分類したものをレビュー処理部を介してレビュー部126、例えばパソコンなどに格納し、さらにディスプレイ上に表示する。
【0019】
以上の動作を尿サンプルの1検体が終了するまで繰返すことにより、カメラのブランキング期間による撮像不可領域をなくし、尿サンプルに対し、完全に連続的な画像を撮像取得することが可能となる。
このときの撮像イメージを図8に示す。図8は横軸に時間,および,サンプル104の流れをイメージしている。また、横軸は図7で説明したカメラを4台使用した場合の各カメラ(カメラ(1)701,カメラ(2)702,カメラ(3)703,カメラ(4)704)の撮像タイミングを表している。図中のハッチング部が撮像有効領域802である。カメラ(1)701の撮像有効領域803の次にブランキング時間を待たずに、カメラ(2)702の撮像有効領域804が始まり、以下同様に撮像有効領域が、1フレーム毎にカメラ(3)703の撮像有効領域805,カメラ(4)704の撮像有効領域806,カメラ(1)701の撮像有効領域807,カメラ(2)702の撮像有効領域808と遷移していく。
以上のようにカメラによるブランキング時間の撮像不可領域をなくすことにより、尿沈渣システムの検出率,分類精度の向上を図ることができる。
【実施例3】
【0020】
次に、前記カメラ複数台による撮像方式と同様の効果を狙った構成方式として、ライン撮像方式を用いた撮像方式の実施例を記述する。構成は、図1で示したTVカメラ,および,その他のエリアカメラを用いた構成方式と同様であるが、使用するカメラをラインカメラに変更したものである。
このときのラインカメラによる撮像イメージを図9に示す。図9では、縦軸に時間,および,サンプル104の流れをイメージしている。図9中のハッチング部が撮像有効領域であり、図中で示す1つのハッチング単位が1ラインの撮像有効領域902を示している。このようにラインカメラを用いて、尿サンプルのフローセル上の流れを撮像できれば、前記TV(エリア)カメラの動作と同様に連続した有効領域を確保した撮像を行うことが可能となり、前記TV(エリア)カメラと動作と同様の効果を得ることが可能となる。
このときのタイムチャートを図10に示す。図10では検出1001は不用,ランプ1002は点灯し続けることを示しており、さらに同期信号1003はラインカメラであるので、ライン毎の動作となる。このライン毎の同期信号1003により、順次,画像メモリに画像が蓄積され、任意のライン数に達した時に、1フレームの画像として、画像転送1004を行う。
このように、ライン撮像を行うメリットとして、1フレームという画像の概念を任意のライン時間により、設計することが可能であり、適用システムに合わせた画像管理が可能である。
【実施例4】
【0021】
次に、前記図1と図2の発明と従来例を組合せ、その動作選択を可能とした撮像方式の構成図を図11に示す。
図11の動作原理は、図1,図2の説明と同等であるが、これらの切替は中央演算装置122を通じて、同期制御部118により行い、同期制御部118から、粒子検出処理部206と各カメラ(1)701,カメラ(2)702,カメラ(3)703,カメラ(4)704の制御を発明と従来方式で切替えることにより実施する。
これにより、尿サンプルのフローセル上の流速が極端に遅い場合は、選択式撮像(従来方式),該流速が一定より速い場合が発明方式と選択することにより、使用方法に応じた最適画像を取得することが可能となる。ここで発明として、図1の発明を示したが、前述した他の発明にも適用可能である。
このときのタイミングチャート例を図12に示す。図12の選択信号1201は本例では、信号がLOW側にて従来の撮像方式を選択,HIGH側にて発明撮像方式を選択する。選択信号がLOWの場合には、図3で説明したものと同様の動作となり、選択的な撮像方式となる。選択信号がHIGH側では、図5で説明したものと同様の動作となり、連続的な撮像方式をなる。これにより、尿サンプルのフローセル105上での流速や尿沈渣成分の濃度等の条件により、最適な撮像方法を選択することができる。
【0022】
本発明は、尿沈渣システムと類似の,被測定検体をフローサイトメトリ法などで撮像する他の応用装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1の尿沈渣システムの構成の説明図。
【図2】従来の尿沈渣システムの構成の説明図。
【図3】従来の尿沈渣システムの撮像タイミングの説明図。
【図4】従来の尿沈渣システムの撮像イメージの説明図。
【図5】実施例1の尿沈渣システムの撮像タイミングの説明図。
【図6】実施例1の沈渣システムの撮像イメージの説明図。
【図7】実施例2における複数台カメラ撮像の構成例の説明図。
【図8】実施例2における複数台カメラ撮像の撮像イメージの説明図。
【図9】実施例3におけるラインカメラ撮像の撮像イメージの説明図。
【図10】実施例3におけるラインカメラ撮像の撮像タイミングの説明図。
【図11】実施例4における選択撮像方式を適用した構成例の説明図。
【図12】実施例4における選択撮像方式を適用した構成例の撮像タイミングの説明図。
【符号の説明】
【0024】
101・・測定サンプル、102・・染色部、103・・サンプリング部、104・・サンプル、105・・フローセル、106・・ランプ駆動部、107・・ランプ、108・・フィールドレンズ、109・・視野絞り、112・・開口絞り、113・・コンデンサレンズ、114・・対物レンズ、115・・結像位置、116・・投影レンズ、117・・カメラ、118・・同期制御部、119・・カメラI/F、120・・シェーディング補正、121・・画像メモリ、122・・中央演算装置、123・・特徴量抽出部、124・・分類部、125・・レビュー処理部、126・・レビュー部、201・・レーザ、202・・反射鏡、203・・絞り、204・・検出器、205・・ランプ点灯制御部、206・・粒子検出処理部、301・・検出、302・・ランプ、303・・同期信号、304・・画像転送、401・・時間、402・・撮像有効領域、403・・撮像不可領域、501・・検出、502・・ランプ、503・・同期信号、504・・画像転送、601・・時間、602・・撮像有効領域、603・・撮像不可領域、701・・カメラ(1)、702・・カメラ(2)、703・・カメラ(3)、704・・カメラ(4)、705・・カメラI/F(1)、706・・カメラI/F(2)、707・・カメラI/F(3)、708・・カメラI/F(4)、709・・シェーディング補正(1)、710・・シェーディング補正(2)、711・・シェーディング補正(3)、712・・シェーディング補正(4)、801・・時間、802・・撮像有効領域、803・・カメラ(1)撮像有効領域、804・・カメラ(2)撮像有効領域、805・・カメラ(3)撮像有効領域、806・・カメラ(4)撮像有効領域、807・・カメラ(1)撮像有効領域、808・・カメラ(2)撮像有効領域、901・・時間、902・・1ラインの撮像有効領域、1001・・検出、1002・・ランプ、1003・・同期信号、1004・・画像転送、1201・・選択信号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定速度以上でサンプル尿を流すフローセル状流路と、該流路上の測定点に光を照射するランプと、その散乱光である尿沈渣成分を撮像するカメラ部とを備える尿沈渣システムにおいて、
前記ランプは連続発光又はパルス発光し、前記カメラ部は、連続撮像又は前記光源に同期した撮像による連続撮像を行うことを特徴とする尿沈渣システム。
【請求項2】
請求項1記載の尿沈渣システムにおいて、
前記カメラ部は、複数のエリアカメラを有し、各エリアカメラは、他のエリアカメラとはずれたタイミングでの撮像を行うことを特徴とする尿沈渣システム。
【請求項3】
所定速度以上でサンプル尿を流すフローセル状流路と、該流路上の測定点に光を照射するランプと、その散乱光である尿沈渣成分を撮像するカメラ部とを備える尿沈渣システムにおいて、
前記カメラ部は、前記流路上の測定点の撮像を、時間的、かつ、画像的に連続に行うラインカメラを有することを特徴とする尿沈渣システム。
【請求項4】
請求項3記載の尿沈渣システムにおいて、
前記カメラ部は、エリアカメラ及びラインラメラを有し、複数の撮像方式の併用または切替を可能とする制御方式で撮像を行うことができることを特徴とする尿沈渣システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の尿沈渣システムにおいて、
撮像した画像を蓄積する手段を備えており、全撮像画像を撮像と同期して、もしくは準リアルタイムに保存する機能を有することを特徴とする尿沈渣システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の尿沈渣システムにおいて、
撮像画像の特徴量を抽出する特徴量抽出部と、抽出した撮像画像の特徴量を分類する分類部を備えることを特徴とする尿沈渣システム。
【請求項1】
所定速度以上でサンプル尿を流すフローセル状流路と、該流路上の測定点に光を照射するランプと、その散乱光である尿沈渣成分を撮像するカメラ部とを備える尿沈渣システムにおいて、
前記ランプは連続発光又はパルス発光し、前記カメラ部は、連続撮像又は前記光源に同期した撮像による連続撮像を行うことを特徴とする尿沈渣システム。
【請求項2】
請求項1記載の尿沈渣システムにおいて、
前記カメラ部は、複数のエリアカメラを有し、各エリアカメラは、他のエリアカメラとはずれたタイミングでの撮像を行うことを特徴とする尿沈渣システム。
【請求項3】
所定速度以上でサンプル尿を流すフローセル状流路と、該流路上の測定点に光を照射するランプと、その散乱光である尿沈渣成分を撮像するカメラ部とを備える尿沈渣システムにおいて、
前記カメラ部は、前記流路上の測定点の撮像を、時間的、かつ、画像的に連続に行うラインカメラを有することを特徴とする尿沈渣システム。
【請求項4】
請求項3記載の尿沈渣システムにおいて、
前記カメラ部は、エリアカメラ及びラインラメラを有し、複数の撮像方式の併用または切替を可能とする制御方式で撮像を行うことができることを特徴とする尿沈渣システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の尿沈渣システムにおいて、
撮像した画像を蓄積する手段を備えており、全撮像画像を撮像と同期して、もしくは準リアルタイムに保存する機能を有することを特徴とする尿沈渣システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の尿沈渣システムにおいて、
撮像画像の特徴量を抽出する特徴量抽出部と、抽出した撮像画像の特徴量を分類する分類部を備えることを特徴とする尿沈渣システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−174896(P2009−174896A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11360(P2008−11360)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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