説明

尿素−、グリセラート−及びヒドロキシアミド−頭部形成した炭化水素鎖のリオトロピック相形成性界面活性剤

【課題】水溶液中で逆リオトロピック相を形成し得る新規界面活性剤の提供。
【解決手段】尿素、グリセロールまたはグリセラートをベースとするヘッド基と、分岐アルキル鎖、分岐アルキルオキシ鎖またはアルケニル鎖からなる群から選択されるテールとを含有する化合物。例えば、下記のような化合物が例示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規界面活性剤、また水溶液中で逆リオトロピック相を形成し得る新規界面活性剤に関する。
【背景技術】
【0002】
界面活性剤は、帯電または帯電していない極性領域と、炭化水素またはフルオロカーボン非極性領域とを含有する両親媒性化合物である。親水性の極性領域と疎水性の非極性領域は、線形界面活性剤ではそれぞれヘッド基とテールと称されることが多い。
これらの物質の両親媒性特徴により、ヘッド基は水などの極性溶媒と結びつく傾向があり、テールは油などの疎水性物質、または他の界面活性剤分子の炭化水素テールと結びつく傾向がある。かくして水及び他の成分と界面活性剤との混合物中では、これが最もエネルギー的に好ましい環境であるため、界面活性剤は親水性ドメインと疎水性ドメインとの間の界面に存在する傾向がある。この表面活性は、界面活性化剤(surface active agent)の短縮形の界面活性剤(surfactant)として当業界で公知のそのような両親媒性化合物をもたらした。
【0003】
界面活性物質に水を添加すると、水がその構造の中に取り込まれ、その水はヘッド基と結びつく。水をニートの界面活性剤に導入すると、混合物の親水性ドメインの流動性を引き起こし、界面活性剤分子の自然の形状によって、配向性、及び界面における分子配置の空間的特徴(aspect)を決定することができる。この配置は「湾曲:curvature」と呼ばれることが多い。というのも、分子のヘッド基とテール部分の相対容積と、水と界面活性剤の相対容積とに依存して、界面が水または油の部分に向かって湾曲するからである。界面活性剤に多量の水を添加すると、系内の平均湾曲が変化し、平衡点で系内に受け入れられる種々の特別な形状となる。平衡点では、これらの特別な形状は、「中間相:mesophase」、「リオトロピック相:lyotropic phase」または単に「相:phase」と称されることが多い。
【0004】
秩序相(ordered phase)における界面活性剤の部分的な秩序と部分的な自由との組み合わせが古典的な液晶を思い出させるため、これらの相は液晶相とも称されることが多い。これらの相では、結晶質固体の秩序の殆どが失われ、固体結晶における分子とは異なり、界面活性剤分子は動くことも可能である。従ってこれらのタイプの系は、液晶と称されることが多い。両親媒性物質と溶媒(通常、水)との混合物中で形成する液晶相は、「リオトロピック液晶相:lyotropic liquid crystalline phase」としても公知である。
【0005】
さらに、界面活性剤−溶媒系の平均湾曲が油に向かっていると、中間相は、通常、「水−連続性」で且つ「正常:normal」タイプであるとみなされる。湾曲が水に向かっていると、これらは「油−連続性」と称され、「逆:reverse」または「反対:inverse」タイプであるといわれる。平均湾曲がこれら二つの間で平衡がとれていると、この系はゼロに近い平均湾曲をもち、得られた相は、積み重ねられたラメラ−型構造体または、二つの絡み合った、連続性の、親水性ドメインと疎水性ドメインとからなる「バイコンティニュアス:bicontinuous」と称されることの多い構造体であろう。
【0006】
界面活性剤−溶媒系で形成し得る特別な形状の例としては、中でも、逆ミセル(reverse micellar)、逆ヘキサゴナル(reverse hexagonal)、ラメラ、逆キュービック(reverse cubic)、両連続(バイコンティニュアス)キュービック、正常キュービック、正常ヘキサゴナル及びミセルが挙げられる。界面活性剤分子が、水と結びつくヘッド基と、他のテールと結びつくテールによって自己集合して凝集体を形成し、疎水性環境を形成するときにミセルは発生する。正常ミセルは、水に伸張しているヘッド基のシェルによって取り囲まれた疎水性テールのコアからなる。
【0007】
この系にさらに水を添加してミセルを希釈すると、水中の界面活性剤分子の溶解性に依存して、多少希釈によって凝集体が破壊されて、単量体の界面活性剤の水中の溶液が形成する。非水溶性油を添加すると、容量の限界に達するまで、ミセルの疎水性内部コア内に幾らか油が取り込まれる(または可溶化する)。さらに油を添加するとミセル溶液から除外された独立した油相を形成するので、この系は相分離したと言われる。逆ミセルは、ミセルのコアがヘッド基と結合した水を含み、テールが炭化水素−連続性ドメインに伸張している以外には、正常ミセルとまったく似ている。油を添加すると、個々の実体(entity)としてミセルを希釈し、コアの水を可溶化させる能力を超えるまで水を添加してミセルを「膨潤:swell」させると、相分離する。ミセル自体は、界面活性剤の分子の形状に依存して、球状、棒状またはディスク型であってもよいが、系が本質的に等方性であるのに十分に低い濃度では球状、棒状またはディスク型である。
【0008】
ヘキサゴナル配列に充填された、水中の非常に高濃度の長い棒様ミセルから系がなるとき、正常ヘキサゴナル相が発生する。それ故、この系は二次元の構造体をもつ。これは系の粘度を高め、異方性によって、交差偏光フィルターを通して顕微鏡で見たときに、複屈折テキスチャーを見ることができる。逆ヘキサゴナル相は、正常ヘキサゴナル相の油連続型であり、水-コアミセルは密に充填されたヘキサゴナル配列中にある。
【0009】
ラメラ相は積み重なった二層配置からなり、ここでヘッド基の向かい合う単層は水ドメインによって分けられて親水性層を形成し、同時に背中合わせの層のテールは密接に接触して疎水性層を形成する。この相は、界面活性剤の形状が、分子の疎水性領域と親水性領域の相対容積が等価近くであるようなときに好ましい。
【0010】
キュービック相は、二つの主なタイプ、バイコンティニュアス相とミセル相とからなる。正常及び逆キュービック相はミセルタイプであり、これらはキュービック配列の密接充填された球状ミセルからなり、ここで水とヘッド基、またはテールはミセルの内部を形成するという点で、ヘキサゴナル相と似ている。これらは一般的に高粘度であるが、これはこれらが球状ミセルからなるため、これらの系は等方性であり、複屈折テキスチャーは観察されない。界面活性剤分子の分子形状がよく調和していると、湾曲がゼロであるようにバイコンティニュアス相が形成する。これにより所謂、疎水性ドメインと親水性ドメインとが絡み合っているが、交差していない「無限周期性格子構造:infinite periodic lattice structure」となる。本発明の目的に関して、バイコンティニュアス相は、単数または複数の「逆リオトロピック相:reverse lyotropic phase」または「逆液晶相」なる用語のもとに含まれる。
【0011】
水対界面活性剤の比が高くなるにつれてこれらのリオトロピック相が発生する順序ははっきりしている。上記で触れたように、水の添加量が増えるに連れて界面活性剤に関して見つかった中間層の典型的な展開は、逆ミセル、逆ヘキサゴナル、ラメラ、逆キュービック、バイコンティニュアス・キュービック、正常キュービック、正常ヘキサゴナル及びミセルかもしれない。全ての相が特定の界面活性剤の希釈の際に観察できるとは限らないが、相の順序は保持されることを理解するのは重要である。
【0012】
数種の界面活性剤に関しては、形状は、正常タイプの相が全く形成しないように制約することができる。この場合、逆リオトロピック相、またはラメラ相は、ある点以下の水でしか膨潤せず、その点を超えると、もう水を含むことができず、相分離が発生する。これらの場合において、相は過剰水と平衡状態にあるといわれるが、重要なことには「希釈に対して安定である:stable to dilution」といわれる。理論上は、これらの系に関しては、水で飽和させたリオトロピック相をフラグメント化(断片化)してコロイドサイズ範囲までの物質の粒状分散液を形成することは可能である。
【0013】
過剰水中のラメラ相の場合には、系にエネルギーを付与することによって二層構造をフラグメント化し、このときフラグメントの「端部」は一緒に結合して球状二層粒子を形成して、二層球体の内部にひとまとまりの水を取り込む。これらのタイプの粒子は、「小胞:vesicle」と称されることが多い。この二層形成性材料がジアシルホスファチジルコリンなどの脂質である場合、「リポソーム」なる用語が多用される。系内に付与されたエネルギー及び製造法に依存して、マルチラメラ小胞及び/またはユニラメラ小胞が溶液中に存在する。これらのタイプの系はかなり一般的であり、その膜様構造により、多くの細胞間プロセス(intercellular process)の基礎を形成する。しかしながらこれらの構造体の形成は、内因性材料によって示されるものに限らず、適切な分子構造を持つ多くの合成界面活性剤も希釈に対して安定なラメラ相を形成できる。
【0014】
希釈に対しても安定である、真の逆相、たとえば逆ヘキサゴナル相、またはキュービック相を形成する界面活性剤はあまり一般的ではない。ジ-アシルホスファチジルコリン系と同様に、あるアシル鎖長をもつジ-アシルホスファチジルエタノールアミンは、希釈に対して安定な逆ヘキサゴナル相を形成することが公知である。二つのフィタニル(phytanyl)鎖をもつ糖脂質は、過剰水中で逆ヘキサゴナル相を形成することも報告されている。これらの場合には、水で飽和した逆相もフラグメント化して、ヘキソソーム(hexosome)と称される、過剰水中に安定なヘキサゴナル相の粒子を形成することができる。
【0015】
過剰水中に安定なバイコンティニュアス・キュービック相を形成する界面活性剤の存在もさらにあまり一般的ではない。グリセロールモノオレエートは、フィタントリオールのように、そのような界面活性剤のひとつである。エネルギーを投入して水で飽和させたバルク相の分散液を分散させて、過剰水中で安定な微粒子分散液を形成することができる。この場合の粒子は、キュボソーム(cubosome)と称される。
【0016】
リポソーム、キュボソーム及びヘキソソームなどの分散粒子は、熱力学的に安定ではなく、やがて凝集して、もとのバルク相分離した逆相と過剰水とに戻ってしまうだろうことに留意すべきである。時には、これは、凝集を防ぐためにバリヤを提供する表面安定化剤を添加することによって防ぐことができる。
【0017】
正常相を形成する界面活性剤の潜在的な利用について十分に記載してきたが、他の多くの中でも、油だらけの土壌の可溶化または、基質表面変性、潤滑、泡の生成及び安定化、エマルションの安定化、生産し易くするための粉末の湿潤化及び早い溶解速度による洗浄力が挙げられる。
【0018】
逆リオトロピック相は非常に粘稠であることが多く、特別な薬剤を固定化することが重要な用途では、これらの物質を特に有用にする特性である。系の組成物または他の変数、たとえば温度などに対する僅かな変更によって、必要により相挙動を操作して低粘度相を生成させる能力は、これらのタイプの界面活性剤から製造した組成物の有用性を例証している。過剰水中で安定な逆リオトロピック相を形成する界面活性剤の潜在的な利用は、希釈能力(dilutability)が重要な側面であるプロセスに特に関連するだろう。また、膜タンパク質の固定化に関する生物医学的な分野における逆リオトロピック相の利用は、グリセロールモノオレイン・キュービック相を使用して既に記載されている。しかしながら、グリセロールモノオレインによって形成したキュービック相の寸法的特徴に適合していない膜タンパク質の研究を可能にする系に対する需要がある。さらに、このグリセロールモノオレイン系の実用的な温度範囲は限られており、これによって系を使用し得る用途の範囲が限定されている。
【発明の概要】
【0019】
本発明は、水溶液中で逆リオトロピック相を形成する新規種類の界面活性剤の発見から生まれたものである。逆リオトロピック相は、ミセルタイプまたは、種々の液晶タイプ、たとえば逆ヘキサゴナル、若しくはバイコンティニュアス・キュービック相であってもよい。逆リオトロピック相の形成は、基本的に両親媒性化合物の構造の機能である。特に、比較的小さな極性ヘッド基と、溶液中でくさびまたは円錐形の空間を占めるテールとの組み合わせを持つ両親媒性物質は、過剰水溶液中で逆リオトロピック相を形成する傾向がある。
【0020】
従って、本発明は、構造(I)〜(V):
【0021】
【化1】

【0022】
のいずれかひとつからなる群から選択されるヘッド基と、分岐アルキル鎖、分岐アルキルオキシ鎖またはアルケニル鎖からなる群から選択されるテールとを含有する化合物であって、ここで、
構造(I)において、R2は−H、−CH2CH2OHまたはもう一つのテール基であり、R3及びR4は独立して、−H、−C(O)NH2、−CH2CH2OH、−CH2CH(OH)CH2OHの一種以上から選択され;
構造(II)において、XはO、SまたはNであり、t及びuは独立して0または1であり、R5は−C(CH2OH)2アルキル、−CH(OH)CH2OH(但しテール基はオレイルではない)、−CH2COOH、−C(OH)2CH2OH、−CH(CH2OH)2、−CH2(CHOH)2CH2OH、−CH2C(O)NHC(O)NH2であり、
構造(III)において、R6は−Hまたは−OHであり、R7は−CH2OHまたは−CH2NHC(O)NH2であり、
構造(IV)において、R8は−Hまたは−アルキルであり、R9は−Hまたは−アルキルである、前記化合物を提供する。
【0023】
好ましくは、テールは、
【0024】
【化2】

【0025】
{式中、nは2〜6の整数であり、aは1〜12の整数であり、bは0〜10の整数であり、
dは0〜3の整数であり、eは1〜12の整数であり、wは2〜10の整数であり、yは1〜10の整数であり、及びzは2〜10の整数である}から選択される。
【0026】
また本発明は、過剰水溶液中で逆リオトロピック相を形成し得る界面活性剤も提供し、前記界面活性剤は、構造(I)〜(V):
【0027】
【化3】

【0028】
のいずれかひとつからなる群から選択されるヘッド基と、分岐アルキル鎖、分岐アルキルオキシ鎖またはアルケニル鎖からなる群から選択されるテールとを含有し、ここで、
構造(I)において、R2は−H、−CH2CH2OHまたはもう一つのテール基であり、R3及びR4は独立して、−H、−C(O)NH2、−CH2CH2OH、−CH2CH(OH)CH2OHの一種以上から選択され;
構造(II)において、XはO、SまたはNであり、t及びuは独立して0または1であり、R5は−C(CH2OH)2アルキル、−CH(OH)CH2OH(但しテール基はオレイルではない)、−CH2COOH、−C(OH)2CH2OH、−CH(CH2OH)2、−CH2(CHOH)2CH2OH、−CH2C(O)NHC(O)NH2であり、
構造(III)において、R6は−Hまたは−OHであり、R7は−CH2OHまたは−CH2NHC(O)NH2であり、
構造(IV)において、R8は−Hまたは−アルキルであり、R9は−Hまたは−アルキルである。
【0029】
好ましくは、テールは、
【0030】
【化4】

【0031】
{式中、nは2〜6の整数であり、aは1〜12の整数であり、bは0〜10の整数であり、
dは0〜3の整数であり、eは1〜12の整数であり、wは2〜10の整数であり、yは1〜10の整数であり、及びzは2〜10の整数である}から選択される。
【0032】
適切な条件下では、本発明の界面活性剤は過剰水中で、熱力学的に安定な逆リオトロピック相を形成する。好ましくは、形成されるリオトロピック相は、逆ミセル相、バイコンティニュアス・キュービック相、逆中間液晶相及び逆ヘキサゴナル液晶相からなる群から選択される。最も好ましくは、形成される逆リオトロピック相は、バイコンティニュアス・キュービック液晶相または逆ヘキサゴナル液晶相である。これらの相は、界面活性剤のメソモルフィズム(mesomorphism)の分野では全て十分にキャラクタリゼーションされ、及び十分に確立されている。
【0033】
本発明は、本発明の界面活性剤から形成される逆リオトロピック相を含有する組成物も提供する。本発明の逆リオトロピック相はコロイド分散液の状態であってもよく、従って本発明は、本発明の界面活性剤から形成した、ミセルまたは液晶タイプの逆リオトロピック相からなるコロイド粒子も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、高温で過剰水中に逆リオトロピックヘキサゴナル相を形成するために示された新規種類の尿素-ベースの化合物の発見に由来する。本発明は、この発見、及び低温でこれらの相を形成するであろう界面活性剤を開発するためのさらなる研究にも起因する。低温における逆ラメラ、逆ヘキサゴナルまたはキュービック相の開発により、周囲温度で安定且つ商業的に有用なそのような逆相を含む製剤の形成が可能になった。
【0035】
尿素、グリセロールまたはグリセラートを頭部にもつ界面活性剤をベースとして、多くの化合物が合成され、水溶液中におけるそれらの挙動が研究された。相挙動に関して新規化合物をスクリーニングする際に、ニート(neat)の化合物の融点と、逆リオトロピック相が水中で形成される温度範囲との間には、粗な相関関係が知見された。特に、純粋な化合物の融点が低ければ低いほど、逆リオトロピック相が形成した温度は低かった。上記の如く、約150℃未満の温度における水中で逆リオトロピック相を形成する市販のこれら界面活性剤が最も適していると考えられたが、本発明は、この好ましい温度範囲内のみで形成する界面活性剤及び逆リオトロピック相に限定されないと理解される。
【0036】
表1に示されるヘッド基のいずれかひとつをもつ本発明の界面活性剤は、現在まで合成されてきた界面活性剤から得られたデータを基にして合成され、及び過剰水中で逆相リオトロピック相を特別に形成することが示されてきたか、これを形成するものと予測される。
【0037】
【化5】

【0038】
本発明の界面活性剤は公知である出発物質から公知方法により製造することができるか、それ自体市販されているか、または文献に対応する化合物を製造するために使用される有機化学の標準方法によって製造することができる。
【0039】
たとえば、尿素ベースとする界面活性剤は、アミンと選択されたテール基とをカップリングさせ、次いで前記アルキルアミンをさらに反応させることにより尿素誘導体を形成することによって製造することができる。グリセロール誘導体は、適切な有機酸と、アルコールとしてグリセロールとの反応により製造することができ;種々のアルコール基の保護/脱保護を使用して、部位-特異的カップリングを実施して、界面活性剤を形成することができる。グリセラート誘導体は、活性グリセリン酸誘導体を、所定のテール基を含有するアルコールで処理することによって製造することができる。
【0040】
上記反応は、たとえば使用した溶媒、任意の反応体の溶解性及び中間体に依存して、種々の温度で実施することができる。しかしながら、上記反応を使用するとき、約0℃〜約100℃の温度、好ましくは大体、室温で実施するのが好ましい。上記反応に必要な時間も、殆ど同じ因子に依存して、広範囲を変動し得る。しかしながら通常、反応は約5分〜約24時間実施される。
【0041】
生成物は、反応混合物から慣用法、たとえば沈殿形成、適切なpH条件下での非混和性溶媒による抽出、蒸発、濾過、結晶化、またはシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーなどにより単離する。しかしながら、通常、生成物は、結晶化またはシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより取り出し、続いて必要により逆相HPLCで精製する。
【0042】
前駆体化合物は当業界で公知の方法により製造することができる。上記合成経路を使用する本発明の変形及び変更は、当業者には明らかである。
比較的小さな極性ヘッド基とくさび型の分子形状を提供するテールとの組合せにより、過剰水中でキュービックまたは逆ヘキサゴナル相を形成する本発明の界面活性剤となると考えられる。(3,7,11-トリメチル)ドデカン(ヘキサヒドロファルネソール:hexahydrofarnesol)及び(3,7,11,15-テトラメチル)ヘキサデカン(フィタノール)をベースとするもののような分岐アルキル鎖は、本発明の目的に関し特に有用なテール基である。オレイルまたはリノレイル鎖をベースとするもののような一つ以上のシス-二重結合を含む脂肪鎖も、有用なテール基であることが知見された。
【0043】
選択された化合物の相挙動の初期評価を、「溢水:flooding」法を使用して実施した。この溢水法は、カバースリップと顕微鏡スライドとの間に該化合物を設置し、このサンプルに水を導入して、サンプルによる水の濃度勾配を確立することを含む。この方法は、水の存在下で界面活性剤が形成するリオトロピック相、及び水分量を増加させてどの順序で相が現れるかを識別する目的に関しては、従来より十分に記載されているが、相間の境界における水分量に関しては詳細を提供しない。この実験をホットステージ上で実施すれば、特定のリオトロピック相が存在する温度範囲も測定できる。この相挙動は、光学顕微鏡を使用して通常光または交差偏光のもとで観察することができる。相の識別は、交差偏光のもとで観察された特徴的なテキスチャー、及びサンプルにより観察された配列により当業者に明らかになる。本発明の目的に関しては、過剰水との境界にどの相が存在するかを識別するために特に有用であった。
【0044】
この初期スクリーニング法に加えて、二つの方法を使用して組成物に関する相境界を定量化した。第一の方法は、アンプルに封入された、公知の割合の界面活性剤と水との混合物の製造と、平衡時に形成される単数または複数の相の測定とを含む。第二の方法は、相タイプと関連し得る、濃度勾配に沿った種々の点における、水分量の近赤外線測定と組み合わせた溢水実験とを同時に利用することを含む。
【0045】
小角X-線散乱(Small Angle X-ray Scattering:SAXS)研究、光学顕微鏡及び電子顕微鏡による分散構造体の視覚化、たとえば極低温透過電子顕微鏡(cryo-TEM)、核磁気共鳴分光法(NMR)、粒径分布測定用の光散乱研究、示差走査熱量計(DSC)または上記方法の任意の二種以上の組み合わせを使用して実施することができる。殆どの場合、構造的な評価は、リオトロピック相の両方のバルクサンプルと、バルクリオトロピック相のコロイド分散液とで実施することができる。
【0046】
本発明は、主に界面活性剤を二元系の場合で水などの極性液体と混合する二元系及び擬似-二元系(pseudo-binary system)に関し、擬似-二元系では、他の水溶性または油溶性成分を配合することができる。非極性溶媒を界面活性剤-水混合物に添加することにより、三元系もこれらの界面活性剤を使用して製造することができる。本発明は、一部の例では、現在公知の界面活性剤を使用した三元系によってのみ現在まで利用が可能であった、二元系としての特定のリオトロピック逆相の利用を提供する。
【0047】
本発明の界面活性剤から形成した逆リオトロピック相を含有する組成物は、親水性液体成分として水を使用して製造することができる。この組成物は、添加剤、たとえば安定剤、防腐剤、着色剤、緩衝剤、凍結防止剤、粘度調節剤、本発明の他の界面活性剤及び他の機能性添加剤も含むことができるが、これらに限定されない。
【0048】
好都合には、過剰水溶液での希釈に対する逆相の熱力学的安定性は、これらが分散して逆リオトロピック相のコロイド粒子を形成できることを意味する。キュービック相またはヘキサゴナル相を含有するコロイド粒子は、それぞれキュボソームまたはヘキソソームと称されることがある。これらの相のそれぞれにおいては、界面活性剤の非極性テールは逆リオトロピック相の内部疎水性ドメインを含み、同時に水和ヘッド基は、疎水性ドメインと、内部と外部の水性ドメインとの間の界面を占める。
【0049】
本発明の組成物は、任意の適切なプロセスを使用して形成することができる。しかしながら、最も好ましくは、このプロセスは必要により界面活性剤の溶融段階と、水性媒体中での溶融した界面活性剤の均質化段階とを含む。あるいは、本組成物は、他の溶質を任意に含み得る、溶融した液体または液化界面活性剤に水性成分を添加することにより、いかなる方法によっても形成することができる。
【0050】
逆リオトロピック相は、逆リオトロピック相内に含まれる溶質化合物を含むことができる。この場合の溶質は、疎水性ドメイン、親水性ドメイン若しくは逆相の界面領域に存在することができるか、または溶質はデザインにより若しくは自然分割プロセス(natural partitioning process)の結果として種々のドメインの間に分散させることができる。溶質が両親媒性である場合、これらのドメインの一つまたはかなり多数に同時に存在することができる。重要なことには、種々の領域に溶質を取り込ませる能力は、本発明の界面活性剤の使用において特に好都合である。
【0051】
可能性のある溶質としては、中でも、診断用薬、重合モノマー、重合開始剤並びに他のポリペプチド、オリゴヌクレオチド、変性及び非変性DNA、放射線治療薬、日焼け止め活性成分、皮膚浸透促進剤、皮膚病治療薬、経皮活性化合物、経粘膜活性化合物、スキンリペア剤、創傷治癒化合物、スキンクレンジング剤、脱脂剤、粘度調節性ポリマー、ヘアケア活性剤、農薬、たとえば殺菌剤及び殺虫剤、肥料及び栄養物、ビタミン及びミネラル、爆発物または爆発性物質及びその成分、採鉱及び選鉱物質、紙、厚紙用の表面コーティング物質などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
逆リオトロピック相を含む組成物を商業的に利用するためには、相またはコロイド粒子が、貯蔵温度で長期間安定であるのが好ましい。本発明の目的に関しては、「安定な」なる用語は、貯蔵条件または化学劣化により、逆リオトロピック相が不利な相変化を受けないことを意味する。あるいは、これらは、取り囲んでいる媒体の固化若しくはゲル化、凍結、凍結乾燥または噴霧乾燥などの安定性を高めるための他のプロセスにかけることができなければならない。さらに、水性相に、界面活性剤と他の成分、たとえばヒドロトロープとを含有する前駆体溶液を添加することによって逆相を形成することは、安定性の問題を回避するための方法とも考えられる。相の安定性に関するもう一つの考察は、操作温度でこれらが安定でなければならないということである。勿論、操作温度はその逆相リオトロピック相を使用する用途に依存する。貯蔵し易くするためには、逆リオトロピック相は室温で安定であるのが好ましい。
【0053】
安定性に関しては、逆リオトロピック相の形成温度より下に温度を下げて固化させると、固体マトリックス中に水性ドメインと水溶性溶質とをトラップできるので、高い遷移温度を示す界面活性剤を使用すると特に有効である。固体マトリックスは一つの系でさらなる安定性を付与することができる。遷移温度に加熱すると、逆リオトロピック相は改質(reform)され、それによって本出願の目的の通り、逆相の機能、または逆リオトロピック相の分散が可能になる。
【0054】
本発明の逆リオトロピック相は、約−100℃〜約150℃の温度範囲内で形成するのが好ましい。
本発明の界面活性剤により形成した相では、バイコンティニュアス・キュービック相は、界面活性剤の二分子層が外部容積から内部水性容積を分離する構造を持つ。この二分子層膜(bilayer membrane)は幾重にも折り畳まれ、且つ相互に連絡している。ヘキサゴナル相は、界面活性剤マトリックスに、ヘキサゴナル配列で充填された棒状ミセルからなる。これらの構造は公知であり、界面活性剤相挙動の文献に詳細が記載されている。
【0055】
親水性ドメインと疎水性ドメインの間で分子がとる配列のタイプ及び続いて生成する熱力学的に安定な相を決定するのは、本発明の界面活性剤の特定の形状である。ラメラ相とバイコンティニュアス・キュービック相の形成の間には強い関連性があり、後者のバイコンティニュアス・キュービック相は、通常、水分量が増加するにつれて、前者のラメラ相とより親水性の高い水-リッチ相(water-rich phase)との間の中間層として観察される。しかしながら、本発明の界面活性剤は水には容易に溶けないので、水分量が増加してもより親水性相に遷移しない。そのかわり、過剰水は全く含まれないが、相分離ドメインとして存在する。逆ヘキサゴナル相と同様に、ヘキサゴナル相では水による膨潤が限られていることにより、より親水性相への遷移は明確ではなく、水中での界面活性剤の溶解性が低いことは、より親水性の均質系への相変化ではなく過剰水相が生成することを決定する。これによって逆リオトロピック相、またはバイコンティニュアス・キュービック相が過剰水中に存在し、希釈時に相変化を受けないという本発明の界面活性剤の特性を提供する。
【0056】
本発明の界面活性剤の多くは、室温で水と接触すると、自然に逆リオトロピック相を形成する。通常、温度が上昇するにつれて、キュービック相または逆ヘキサゴナル相はゆっくりと融解して、相内で流動性が観察されることが多い。サンプルを継続的に加熱して、最終的に全ての液晶構造が破壊される温度に到達すると、等方性の界面活性剤-リッチ相が残り、過剰水が存在する。冷却すると、キュービック相または逆ヘキサゴナル相が通常、再び現れて、再発現温度では相のかなりの過冷却が明らかである。
【0057】
数種の液晶相に関する問題は、溶液の希釈時に相が変化するということと理解されよう。使用される多くの用途に関しては、溶媒による希釈時に変化しない安定な相をもつのが好ましい。本発明の界面活性剤から形成した液晶相は、溶媒による希釈時に相を変化させないことが知見された。
【0058】
使用するための本発明の調製物は、以下の二つの主な形態であるが、用途により他の形態が必要とされる。
第一の形態はバルク逆相(bulk reverse phase)であり、ここでは全水性成分が逆リオトロピック相内に取り込まれていても取り込まれていなくてもよい。バルク相の調製は、任意の必要な溶質を含有する界面活性剤と、水性成分とを、ブレンダー、ミキサー、ジェット-ミキサー、ホモジェナイザーなどの中で単に混合することを含む。続いて自然蒸発により若しくは真空、または加熱若しくは他の手段によって一部または完全に除去される共溶媒(co-solvent)を使用することによって、バルク逆相サンプルを得るための処理がより容易にできる。あるいは、必要により、溶媒は系の一部として残ってもよい。温度制御を利用して、混合物の相挙動を変動させることによって混合プロセス、そしてそのレオロジー特性を助長させることもできる。
【0059】
第二の形態は、過剰水溶液を混合物に添加する場合である。バルク逆相は過剰水中での希釈に対して安定であるので、水溶液中の逆相の粒子の分散液が得られる。逆リオトロピック相の水性分散液は、二つの主な方法、均質なバルク逆相をフラグメント化することにより、または界面活性剤の分散液から水の中へ液晶を現場で形成させることによって得られるが、これらの例に限定されない。このフラグメント化手順は、過剰水を存在させることなく、主なリオトロピック相を形成させるのに十分な水性相の存在下でのバルク逆相の調製を含む。
【0060】
場合により、液晶相内に保持すべき任意の溶質を、疎水性界面活性剤成分または親水性水性成分に添加して溶解させることができる。次いでバルク逆リオトロピック相を第二の水溶液に添加し、これは最初のリオトロピック相を形成させるのに使用した水性相と同一でも同一でなくてもよく、次いで混合物を高エネルギーミキサーによって均質化する。得られた粗な分散液をさらに処理して、高圧ホモジェナイザーの中に粗な分散液を通すことによって分散粒子のサイズを小さくすることができる。均質化条件は、目的とする用途に必要な平均粒径を得られるように調節する。このプロセスにより、サブミクロンサイズ領域、頻繁には直径200ナノメートル未満の平均粒径を達成することが可能である。本プロセスの温度は、時には重要であり、熱ジャケット化装置(thermally jacketed equipment)を使用することにより制御することができる。
【0061】
あるいは、逆リオトロピック相の粒子は、適切なヒドロトロープに溶解させた界面活性剤を、高剪断混合下で水溶液に添加して粗な分散液を得ることにより、現場で製造することができる。ヒドロトロープの選択によって、場合により、安定な粗分散液を製造するのに必要なエネルギーを減少させることができる。粒径を小さくするための続くプロセスは、上記の如く適用することができる。この分散液の品質及びコロイド安定性は、初期及び所定の条件下での経時貯蔵後での不安定性を粒径分析及び視覚観察によってモニターする。
【0062】
高融点を示す本発明の界面活性剤の分散液を、上記と同一方法で実施するが、温度制御には留意する。これらは、穏和な温度において粒子の内部水性ドメインの保護が必要な分野で使用されるが、高温におけるその内容物の放出はこれらの界面活性剤の分散液に関しては特に重要である。
【0063】
本発明の組成物をさらなる処理プロセスにかけて、特定の用途での使用にこれらを適合させることができる。たとえば、組成物をオートクレーブ、滅菌濾過、または放射線法により滅菌することができる。
【0064】
これらを含むコロイド粒子または組成物は、滅菌剤を使用してさらに滅菌することができる。この目的に適切な種々の薬剤が他のコロイド系で広く使用されており、本目的に関しても適切である。たとえば、ポロキサマー(poloxamer)、アルギン酸塩、アミロペクチン及びデキストランを使用して安定性を高めることができる。安定化剤の添加は、粒子または組成物の最終構造または物理的特性に影響しないのが好ましい。より重要なことには、安定化剤の添加は、過剰水性相と接触したときに逆リオトロピック相を変化させない。
【0065】
本発明の組成物は、粒子の主構造を変化させることなく、適切な濃度の添加剤、これらに限定されないが、たとえばグリセロール、蔗糖、リン酸塩緩衝液及び塩水を水性媒体に添加することによっても変性させることができる。
【0066】
バイコンティニュアス相を含む逆リオトロピック相の分散液は、バルク材料が工業的プロセスで幾らかくみ上げられるか若しくは取り扱う必要があるとき、またはたとえば界面重合プロセスなど非常に広い表面積が望ましい場合、または反応抑制剤(reacting quencher)として有用性が知見されると予想される。
【0067】
風化(weathering)及び/または水性環境に対する耐性または材料の機能に関して寿命を延ばすのに必要な場合、本発明の界面活性剤により形成された相の耐水性により、耐水性コーティング及び潤滑剤としての材料の使用が提供される。紙及び厚紙用のコーティングとしての用途により、現在使用されている脂肪ベース及びワックスベースのコーティングよりも利点を提供するか、逆相は、より恒久的なコーティング成分用のキャリヤとして機能するだろう。本発明の分散液の噴霧可能性により、これらのタイプの用途に関して加工の利点を提供するだろう。
【0068】
爆発物の配合では有機溶液(燃料として)と水性溶液(水溶性酸化剤を含有する)との緊密な接触を要求されるので、鉱業用の爆発物の配合は、これらの材料のもう一つの可能性のある用途である。本発明における接触は、現在使用されているエマルション配合の場合よりもかなり緊密である。爆発物の分野への本発明の特別な用途は、鉱業での爆発物の用途は非常に湿った、湿潤条件下であることが多いという理解から認識することができる。
【0069】
逆リオトロピック相の内部環境は、溶質の変性または劣化を最小化するように制御できるので、逆リオトロピック相構造体内に酵素とタンパク質とを固定化することは有用である。
【0070】
逆相及びその分散液は、バイオセンサーとしても使用することができ、ターゲット分子または抗原の結合におけるリオトロピック相の変化は検出用のトランスダクション・メカニズム(transduction mechanism)として使用することができる。
【0071】
これらの材料の分散液の粒径は小さく、且つ表面積が大きいので、重合、反応制御及び制御結晶化の分野における本発明の用途は特に重要である。本発明の種々の区画(compartment)に非常に異なる物理学的特性を持つ試薬を充填する能力は、これらの用途にとって非常に重要である。従って、本発明は、本発明の種々の区画に二種以上の試薬を分散させること、及び過剰水溶液に触媒または開始剤を導入することに特に適しているだろう。あるいは、触媒を区画の一つに導入し、反応体は外部水溶液によって後で導入することができる。いずれにせよ、制御反応または重合のサイトとしての潜在性は、これらの両親媒性物質から製造したバルク逆リオトロピック相及びその分散液の重要な潜在的有用性である。本発明によって形成された相の区画内における材料での制御結晶化により、生成した新規粒子のサイズ及び粒子の鋳型形成(templating)または制限が可能になる。
【0072】
化粧品、毛髪及びスキンケアの分野は、本発明の材料の有用性に関するターゲットでもある。異なる特性をもつ薬剤を充填し得る能力は、これらの有用性において重要である。これらの材料を使用してクリーム、ゲル、フォーム、ムース、オイル、軟膏等を製造する能力は、これらの耐水性、及び可能な低い皮膚被刺激性のため、従来の材料よりも潜在的な利点を有する。従って、ヘアケア用途、抗菌性または抗真菌性感染、乾癬などの局所処置用製品は、本発明の用途である。
【0073】
本材料は非常に低い経口毒性をもつ分解産物を生成すると予想されるので、エマルション、分散液、ゼリー、ジャム、アイスクリーム及びヨーグルトなどの乳製品などの食品におけるこれらの材料の用途も可能であると考えられる。水に添加した時にこれらの両親媒性物質の特別なレオロジー特性は、これらのタイプの系にとってレオロジー及び相変性剤としてこれらを使用するのに特に重要である。同様に、本材料は、ビタミン及びミネラルサプリメントなどの配合に使用することができる。
【実施例】
【0074】
本発明の好ましい態様を、以下の非限定的実施例により記載する。
実施例1:1-(3,7,11,15-テトラメチル-ヘキサデシル)-1-(2-ヒドロキシエチル)ウレア
【0075】
【化6】

【0076】
合成
【0077】
【化7】

【0078】
化学的キャラクタリゼーション−元素分析
計算値:C 71.82,H 12.58,N 7.28,O 8.32;実測値:C 71.48,H 12.44,N 6.81,O 9.27。
【0079】
化学的キャラクタリゼーション−NMR
1H-NMR m,δ0.78-0.93,15HヘキサデシルCH3;m,δ0.96-1.65,24HヘキサデシルCH2+ヘキサデシルCH;m,δ3.15-3.27,2H,CO2-CH2;t,δ3.39,J 4.85Hz,NHCH2CH2OH;t,δ3.76,J4.85Hz,NHCH2CH2OH;v br s,δ4.66 2H,N-H;v br s,δ5.35 1H,N-H。
【0080】
物理的特性
本化合物は室温で薄黄色オイルである。
リオトロピック挙動
20℃において、水は内側へ指状に広がり、逆ヘキサゴナル相は瞬時に界面に成長し、20分間にわたって放置するとゆっくりと広がる。加熱すると、50.9℃でこのヘキサゴナル相は融解し始め、移動性の等方性相に転換し、サンプルは58.1℃までに完全に等方性になる。この移動性の等方性相は、100℃まで残る。急激に冷却すると、このヘキサゴナル相は51.1℃で再び成長する。
【0081】
実施例2:1-(3,7,11,15-テトラメチル-ヘキサデシル)-3-(2-ヒドロキシエチル)ウレア
【0082】
【化8】

【0083】
合成
【0084】
【化9】

【0085】
化学的キャラクタリゼーション−元素分析
計算値:C 71.82,H 12.58,N 7.28,O 8.32;実測値:C 71.84,H 12.77,N 7.38,O 8.01。
【0086】
化学的キャラクタリゼーション−NMR
1H-NMR m,δ0.76-0.94,15HヘキサデシルCH3;m,δ0.94-1.60,24HヘキサデシルCH2+ヘキサデシルCH;m,δ3.03-3.23,2H,CO2-CH2;t,δ3.30,J 4.7Hz,NHCH2CH2OH;t,δ3.66,J4.7Hz,NHCH2CH2OH;v br s,δ4.68 3H。
【0087】
物理的特性
室温で無色オイル。
リオトロピック挙動
この界面活性剤は、広範囲の温度レジメに関して水との界面に逆ヘキサゴナル相を形成し、8℃未満で開始し、58℃で完全に融解する。40.4℃で開始し、逆相はゆっくりと融解し、界面に隣接して等方性相を形成し、これは非常に移動性であり外側へ伸張する。サンプルは57.3℃までに完全に等方性になる。この逆ヘキサゴナル相は、冷却時、44.1℃で再結晶化する。
【0088】
実施例3:3,7,11,15-テトラメチル-ヘキサデシルウレア
【0089】
【化10】

【0090】
合成
【0091】
【化11】

【0092】
化学的キャラクタリゼーション−元素分析
計算値:C 74.06,H 13.02,N 8.22,O 4.70;実測値:C 73.79,H 12.83,N 8.11,O 5.97。
【0093】
化学的キャラクタリゼーション−NMR
1H-NMR m,δ0.78-0.93,12HヘキサデシルCH3;m,δ0.93-1.60,24HヘキサデシルCH2+ヘキサデシルCH;m,δ3.00-3.23,2H,CO2-CH2;v br s,δ4.66,2H;v br s,δ5.35,1H。
【0094】
物理的特性
本化合物は室温で放置するとサーモトロピック液晶を形成し、これは60.6〜65.6℃で融解する。
【0095】
リオトロピック挙動
25℃において、逆ヘキサゴナル相が界面活性剤と水との界面に沿って形成し、等方性バンドはこれと変化していない界面活性剤との間にある。水と相との界面の配置は、25℃に保持したときには移動しない。等方性バンドでは流動性が観察され、両方の中間相に小さな球状気泡が認められた。49.6℃で等方性バンドは結晶と置き換わり始め、温度上昇に連れて急速に成長する。界面活性剤のコアは54.9℃まで等方性である。72.6℃で、水との界面で逆ヘキサゴナル相の等方性液体への融解が開始し、82.1℃までに完了する。
【0096】
実施例4:3,7,11-トリメチル-ドデシルウレア
【0097】
【化12】

【0098】
合成
【0099】
【化13】

【0100】
化学的キャラクタリゼーション−元素分析
計算値:C 71.06,H 12.67,N 10.36,O 5.92;実測値:C 71.41,H 12.38,N 10.37,O 5.84。
【0101】
化学的キャラクタリゼーション−NMR
1H-NMR m,δ0.77-0.92,12HドデシルCH3;m,δ0.92-1.65,17HドデシルCH2+ドデシルCH;m,δ3.15-3.27,2H,CO2-CH2;v br s,δ4.66,2H,N-H;v br s,δ5.35 1H,N-H。
【0102】
物理的特性
室温で透明で粘稠なメソメリー液体(mesomeric liquid)。液晶融点:61〜62.5℃。
リオトロピック挙動
30℃において水とこの粘稠な油状界面活性剤とを接触させると、水が急激に油の中に入り込み、油の界面に逆ヘキサゴナル相テキスチャーが急速に現れて、さらに水が進入するのが停止する。この逆ヘキサゴナル相は30℃〜50℃の間ではっきりしている。水との界面における幾つかの動的効果は55℃に発生し、これは明らかにヘキサゴナル相の融解と再成長とによってキャラクタリゼーションされる。60℃で顕著な融解と再成長が発生し、逆ヘキサゴナル相の完全融解は>70℃でおきる。
【0103】
実施例5:2,3-ジヒドロキシプロピオン酸オクタデク-9-エニルエステル
【0104】
【化14】

【0105】
合成
【0106】
【化15】

【0107】
化学的キャラクタリゼーション−元素分析
計算値:C 71.35,H 10.55,O 18.10;実測値:C 70.39,H 10.92,O 18.69。
化学的キャラクタリゼーション−NMR
1H-NMR m,δ(CDCl3)sl br t,δ0.88,3H,分裂6.3Hz,オレイルCH3;m,δ1.2-1.45,22HオレイルCH2;m,δ1.55-1.75,2H,CH2CH2CO2;m,δ1.9-2.1,4H,CH2CH=CHCH2;v br s*,δ2.05-2.45,1H,OH;v br s*,δ3.05-3.40,1H,OH;dd,δ3.83,1H,J−11.7Hz 3.7Hz,グリセリルC3-H;dd,δ3.90,1H,J−11.7Hz3.3Hz,グリセリルC3-H;t,δ4.22,2H,J6.7Hz,オレイルCH2O;dd,δ4.26,1H,J3.7Hz3.3Hz,グリセリルC2-H;m,2H,δ5.3-5.4,CH=CH。*2.2及び3.2における共鳴は、D2O処理時に消滅。
【0108】
物理的特性
23℃において部分的に結晶質ワックス。粘度は30℃で低下する。結晶は30〜35℃で融解する。
【0109】
リオトロピック挙動
30℃において水を添加すると、水が大きく界面活性剤内部に進入し、最初は水との界面で逆ヘキサゴナル相を形成するが、30℃に保持すると、等方性の粘稠なキュービック相が水との界面に出現する。このヘキサゴナル相とのキュービック相境界は、温度が30℃〜55℃に上昇するに連れて純粋な界面活性剤領域へ移動する。55〜60℃において、等方性のキュービック相はやや狭くなり、65℃においてヘキサゴナルテキスチャーは融解し始める。70℃で等方性相は消失し、さらなるヘキサゴナル相の融解は顕著になる;このプロセスは、単一の等方性の粘稠でない液体が80℃で形成するまで継続する。このプロセスは可逆的である。温度を77℃に下げるとヘキサゴナル相が再び出現し、さらに40℃に下げると、等方性相が再形成する。
【0110】
実施例6:2,3-ジヒドロキシプロピオン酸3,7,11,15-テトラメチル-ヘキサデシルエステル
【0111】
【化16】

【0112】
合成
【0113】
【化17】

【0114】
化学的キャラクタリゼーション−元素分析
計算値:C 71.45,H 11.99,O 16.55;実測値:C 70.78,H 12.24,O 16.98。
化学的キャラクタリゼーション−NMR
1H-NMR m,δ0.78-0.93,15HヘキサデシルCH3;m,δ0.93-1.80,24HヘキサデシルCH2+ヘキサデシルCH;dd,δ2.13,1H,J8.5Hz4.6Hz,グリセリルC3-OH;d,δ3.16,1H,J 4.6Hz,グリセリルC2-OH;ddd,δ3.83,1H,J-11.4Hz4.1Hz8.5Hz,グリセリルC3-H;ddd,1H,δ3.90,J−11.4Hz3.4Hz4.8Hz,グリセリルC3-H;ddd,δ4.27,1H,J4.6Hz4.1Hz3.4Hz,グリセリルC2-H;t,δ4.22,2H,J6.7Hz,CO2-CH2
【0115】
D2Oとの処理後;m,δ0.78-0.93,15HヘキサデシルCH3;m,δ0.93-1.80,24HヘキサデシルCH2+ヘキサデシルCH;dd,δ3.83,1H,J11.4Hz4.1,グリセリルC3-H;dd,1H,δ3.90,J-11.4Hz3.4Hz;グリセリルC3-H;dd,δ4.27,1H,J4.1Hz3.4Hz,グリセリルC2-H;t,δ4.22,2H,J6.7Hz,CO2-CH2。2.13及び3.16における共鳴は消失した。
【0116】
物理的特性
室温で薄黄色オイルである。
リオトロピック挙動
逆ヘキサゴナル相は、室温において界面活性剤と過剰水との間の境界で自然に形成する。加熱すると、逆ヘキサゴナル相の融解が〜40℃においてゆっくりと始まり、水が逆ヘキサゴナル相構造に指状に広がるのが知見された。48℃に到達すると、全サンプルは等方性のように見える。
【0117】
実施例7:3,7,11,15-テトラメチル-ヘキサデカン酸(1,1-ビス-ヒドロキシメチル-エチル)-アミド
【0118】
【化18】

【0119】
合成
【0120】
【化19】

【0121】
化学的キャラクタリゼーション−NMR
1H-NMR sl br d,δ0.84,6H,分裂6.3Hz,CH3;d,δ0.86,6H,分裂6.6Hz,CH3;d,δ0.94,3H,分裂6.2Hz,CH3;m,δ0.97-1.42,21H,鎖CH2+CH;s,1.23,3H,CH3CH-N;m,δ1.40-1.63,1H,C(3)-H;m,δ01.85-20.7,1.45H,CH2-N;m,δ2.15-2.34,0.55H,CH2-N;br s,δ3.47,2H,OH;d,δ3.60,2H,J11.5Hz,CCH2OH;d,δ3.74,2H,J11.5Hz,CCH2OH;br s,δ6.02,1H,NH。
【0122】
物理的特性
室温において、薄黄色の粘稠油で、結晶質材料の小片(fleck)がある。
リオトロピック挙動
10〜15℃では、この界面活性剤は水との界面で等方性相を、水と未変化界面活性剤との間ではヘキサゴナル相を展開する。サンプルを23℃で30分間保持したが、水との界面の位置に変化はなく、二つの領域がゆっくりと内側に展開し、このことはこれらが逆リオトロピック相であることを示している。場所によっては水が油の中に指状に広がり、樹木状の形態が水の周囲に観察される。この等方性バンドは粘稠であり、相の内部では流動性は観察されなかった。取り込まれた気泡は球状ではない。
【0123】
このヘキサゴナル相は25.5℃で融解し始め、26.7℃までに完全に等方性になる。融解時、このヘキサゴナル相は、第二の等方性相を形成するように見える。境界は屈折率の変化により示される。32.9℃で、水と接触している等方性相でビーズ形成(beading)が起きる。サンプルを32.9℃に20分間保持するにつれて、以前のヘキサゴナル等方性領域は水の界面に向かって外側に伸張して、粘稠な等方性領域を消滅させる。34.4℃において、この二つの等方性相はもっと移動性の単一の等方性相に転換するようである。温度が95℃まで上昇するに連れて、等方性相の小球は隣接する水相中に離散する。
【0124】
実施例8:1-(2-ヒドロキシエチル)-3-(シス-オクタデク-9-エニル)ウレア
【0125】
【化20】

【0126】
合成
【0127】
【化21】

【0128】
化学的キャラクタリゼーション−NMR
1H-NMR sl br t,δ0.88,3H,分裂6.4Hz,オレイルCH3;m,δ1.17-1.43,22HオレイルCH2;m,δ1.43-1.63,2H,オレイルCH2CH2N;m,δ1.91-2.08,4H,CH2CH=CHCH2;t,δ3.19,2H,J7.6Hz,オレイルCH2N;t,δ3.36,2H,J4.8Hz,エチルCH2N;t,δ3.72,2H,J4.8Hz,エチルCH2OH;d,δ5.25-5.43,1.75H,CH=CH。
【0129】
物理的特性
80〜84.7℃の融点をもつ白色結晶質固体。
リオトロピック挙動
水と接触している等方性相がゆっくりと展開しているとき、温度59.5℃に到達するまで、加熱時に固体界面活性剤と水との間には相互作用は発生しない。サンプルを62℃で10分間保持するにつれて、この等方性バンドはゆっくりと界面活性剤コアの内部に広がる。界面のまさしく端部では、ゲル様のコンシステンシーが観察され、このことは、非常に粘稠なリオトロピック相であることを示している。この等方性バンドの内側(領域2)と外側(領域1)との間には少し屈折率の差がある。外部領域は徐々に内側に拡張する。これらの等方性領域のどちらの中でも流動性ははっきりしない;これらの領域の高い粘性は、非球状気泡が取り込まれていることによって示唆される。
【0130】
64.4℃では、ラメラ+等方性(領域3)ともう一つの等方性相(領域4)が残存する界面活性剤に隣接して展開し、内側へ拡張した。これは屈折率の差により示される。内部等方性相では移動性が観察されたが、このことは、非粘稠相であることを示している。〜67℃までに、サンプルは完全に等方性であり、ラメラ相は等方性相に転換し、これは界面活性剤コアを徐々にとって変わった。73℃で、最初に領域2がゆっくりと拡張し、83℃までに領域3を取って代わった。領域1と2との間の屈折率の差は、高温(>98℃)まで保持される。
【0131】
実施例9:シス-オクタデク-9-エニルビウレット
【0132】
【化22】

【0133】
合成
【0134】
【化23】

【0135】
化学的キャラクタリゼーション−NMR
1H-NMR sl br t,δ0.88,3H,分裂6.5Hz,オレイルCH3;m,δ1.17-1.43,22H,オレイルCH2;m,δ1.43-1.63,2H,CH2CH2N-;m,δ1.89-2.08,4H,CH2CH=CHCH2;sl br dt,δ3.22,2H,J5.6Hz6.9Hz,オレイルCH2N;m,δ5.23-5.44,2,CH=CH。
【0136】
物理的特性
100〜106℃の融点をもつ白色蝋状固体。
リオトロピック挙動
ヘキサゴナル相が水との界面で形成し始めたとき、85℃に到達するまで、水と一緒の加熱時に固体結晶質界面活性剤は変化しなかった。温度を87℃に上昇させると、ヘキサゴナル相と結晶との間で流体の等方性相が形成し始めた。このヘキサゴナル相は107℃で融解した。
【0137】
実施例10:シス-オクタデク-9-エニルウレア
【0138】
【化24】

【0139】
合成
【0140】
【化25】

【0141】
化学的キャラクタリゼーション−NMR
1H-NMR sl br t,δ0.88,3H,分裂6.5Hz,CH3;m,δ1.10-1.70,24H,オレイル-CH2;m,δ1.89-2.12,4H,CH2CH=CHCH2;t,δ3.14,2H,分裂7.0Hz,CH2-NHCONH2;v br s,δ3.3-4.3,3H,NHCONH2;m,δ5.23-5.44,2H,CH=CH。
【0142】
物理的特性
68〜83℃の融点をもつ白色蝋状固体。
リオトロピック挙動
水との接触時、逆ヘキサゴナル相が形成し始めたとき、61℃まで変化はなかった。65℃で、流体等方性相が、ヘキサゴナル相と固体尿素との間で形成し始めた。温度がさらに上昇するに連れて、固体尿素は最初に流体等方性相、次いでヘキサゴナル相に転換した。全ての材料は最終的にヘキサゴナル相に転換し、これは110℃で融解した。
【0143】
実施例11:シス、シス-オクタデク-9,12-ジエニルウレア
【0144】
【化26】

【0145】
合成
【0146】
【化27】

【0147】
化学的キャラクタリゼーション−NMR
1H-NMR sl br t,δ0.89,3H,分裂6.5Hz,CH3;m,δ1.15-1.63,20H,CH2;m,δ1.93-2.17,4H,CH2-CH2-C=C;sl br t,δ2.78,2H,分裂5.5Hz,C=C-CH2-C=C;sl br t,δ3.35,2H,分裂4.7Hz,オレイル-CH2-NH;v br s,δ3.3-4.4,2.5H,-NHCONH2;v br s,δ4.5-5.1,0.9H,NHCONH2;m,δ5.22-5.42,4H,CH=CH。
【0148】
物理的特性
70〜79℃の融点をもつ白色蝋状固体。
リオトロピック挙動
水との接触時、逆ヘキサゴナル相が形成し始めたとき、53℃に到達するまで変化はなかった。59℃において、ヘキサゴナル相と固体尿素との間で流体の等方性相が形成し始めた。温度がさらに上昇するに連れて、固体尿素は最初に流体等方性相、次いでヘキサゴナル相に転換した。水が指状に広がって進入して、このプロセスを促進した。80℃で固体尿素が融解し、水が迅速に指状に広がって進入して、全ての物質がヘキサゴナル相に転換した。このヘキサゴナル相は92〜93℃で融解した。
【0149】
実施例12:水の存在下での界面活性剤による粘稠なリオトロピック相の形成
有用であるべき界面活性剤には、過剰水の存在下で粘稠なリオトロピック相を形成するのが好ましい。過剰水中で界面活性剤により形成したリオトロピック相を溢水実験により測定し、ここで少量の脂質(通常5mg)を顕微鏡のガラススライドとカバースリップとの間に設置し、キャピラリー作用によりサンプルに水を導入し、サンプルをホットステージにより40℃に保持する。200倍に拡大して交差偏光下での観察により、可視複屈折テキスチャーにより形成した相またはその欠如を識別することができる。表1は、試験した界面活性剤と、過剰水に暴露した際に形成したリオトロピック相を列記する。
【0150】
リオトロピック相に含まれる水の塊は、過剰水中、300mgの界面活性剤を調製し、40℃で平衡にさせて、次いでカールフィッシャー滴定によりリオトロピック相の水分量を試験することによって決定した。試験した界面活性剤と水の組み合わせに関するこれらの値も表1に列記する。報告された値は、他に記載しない限り、三つの別個のサンプルの平均±標準偏差である。
【0151】
【表1】

【0152】
最終的に、本明細書に記載の調製例及び方法に対して他の変形及び変更が可能であるが、これらは本発明の趣旨の範囲内でもある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造(I)〜(VI):
【化1】

のいずれかひとつからなる群から選択されるヘッド基と、分岐アルキル鎖、分岐アルキルオキシ鎖またはアルケニル鎖からなる群から選択されるテールとを含有する化合物であって、ここで、
構造(I)において、R2は−H、−CH2CH2OHまたはもう一つのテール基であり、R3及びR4は独立して、−H、−C(O)NH2、−CH2CH2OH、−CH2CH(OH)CH2OHの一種以上から選択され;
構造(II)において、XはO、SまたはNであり、t及びuは独立して0または1であり、R5は−C(CH2OH)2アルキル、−CH(OH)CH2OH(但しテール基はオレイルではない)、−CH2COOH、−C(OH)2CH2OH、−CH(CH2OH)2、−CH2(CHOH)2CH2OH、−CH2C(O)NHC(O)NH2であり、
構造(III)において、R6は−Hまたは−OHであり、R7は−CH2OHまたは−CH2NHC(O)NH2であり、
構造(IV)において、R8は−Hまたは−アルキルであり、R9は−Hまたは−アルキルである、前記化合物。
【請求項2】
前記テールが、
【化2】

{式中、nは2〜6の整数であり、aは1〜12の整数であり、bは0〜10の整数であり、dは0〜3の整数であり、eは1〜12の整数であり、wは2〜10の整数であり、yは1〜10の整数であり、及びzは2〜10の整数である}から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記テールが、(3,7,11-トリメチル)ドデカン、(3,7,11,15-テトラメチル)ヘキサデカン、オクタデク-9-エニル及びオクタデク-9,12-ジエニル鎖からなる群から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記ヘッド基が、
【化3】

である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
前記ヘッド基が、
【化4】

である、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
前記ヘッド基が、
【化5】

である、請求項3に記載の化合物。
【請求項7】
前記ヘッド基が、
【化6】

である、請求項3に記載の化合物。
【請求項8】
前記ヘッド基が、
【化7】

である、請求項3に記載の化合物。
【請求項9】
前記ヘッド基が、
【化8】

である、請求項3に記載の化合物。
【請求項10】
過剰極性溶液中で安定なリオトロピック相を形成する界面活性剤であって、構造(I)〜(VI):
【化9】

のいずれかひとつからなる群から選択されるヘッド基と、分岐アルキル鎖、分岐アルキルオキシ鎖またはアルケニル鎖からなる群から選択されるテールとを含有し、ここで、
構造(I)において、R2は−H、−CH2CH2OHまたはもう一つのテール基であり、R3及びR4は独立して、−H、−C(O)NH2、−CH2CH2OH、−CH2CH(OH)CH2OHの一種以上から選択され;
構造(II)において、XはO、SまたはNであり、t及びuは独立して0または1であり、R5は−C(CH2OH)2アルキル、−CH(OH)CH2OH(但しテール基はオレイルではない)、−CH2COOH、−C(OH)2CH2OH、−CH(CH2OH)2、−CH2(CHOH)2CH2OH、−CH2C(O)NHC(O)NH2であり、
構造(III)において、R6は−Hまたは−OHであり、R7は−CH2OHまたは−CH2NHC(O)NH2であり、
構造(IV)において、R8は−Hまたは−アルキルであり、R9は−Hまたは−アルキルである、前記界面活性剤。
【請求項11】
前記テールが、
【化10】

{式中、nは2〜6の整数であり、aは1〜12の整数であり、bは0〜10の整数であり、dは0〜3の整数であり、eは1〜12の整数であり、wは2〜10の整数であり、yは1〜10の整数であり、及びzは2〜10の整数である}から選択される、請求項10に記載の界面活性剤。
【請求項12】
前記テールが、(3,7,11-トリメチル)ドデカン、(3,7,11,15-テトラメチル)ヘキサデカン、オクタデク-9-エニル及びオクタデク-9,12-ジエニル鎖からなる群から選択される、請求項11に記載の界面活性剤。
【請求項13】
前記ヘッド基が、
【化11】

である、請求項12に記載の界面活性剤。
【請求項14】
前記ヘッド基が、
【化12】

である、請求項12に記載の界面活性剤。
【請求項15】
前記ヘッド基が、
【化13】

である、請求項12に記載の界面活性剤。
【請求項16】
前記ヘッド基が、
【化14】

である、請求項12に記載の界面活性剤。
【請求項17】
前記ヘッド基が、
【化15】

である、請求項12に記載の界面活性剤。
【請求項18】
前記ヘッド基が、
【化16】

である、請求項12に記載の界面活性剤。
【請求項19】
前記リオトロピック相が、約150℃未満の温度の過剰水中で形成する、請求項12に記載の界面活性剤。
【請求項20】
形成される前記リオトロピック相が、両連続キュービック液晶相である、請求項19に記載の界面活性剤。
【請求項21】
形成される前記リオトロピック相が、逆ヘキサゴナル液晶相である、請求項19に記載の界面活性剤。
【請求項22】
形成される前記リオトロピック相が、過剰水を添加する際に、より親水性相へ移行しない、請求項19に記載の界面活性剤。
【請求項23】
リオトロピック相に添加される過剰水が、相分離ドメインを形成する、請求項19に記載の界面活性剤。
【請求項24】
前記リオトロピック相が、リオトロピック相内に含まれる溶質を含有する、請求項19に記載の界面活性剤。
【請求項25】
前記溶質が、診断用薬、重合モノマー、重合開始剤、タンパク質並びに他のポリペプチド、オリゴヌクレオチド、変性及び非変性DNA、放射線治療薬、日焼け止め活性成分、皮膚浸透促進剤、皮膚病治療薬、経皮活性化合物、経粘膜活性化合物、スキンリペア剤、創傷治癒化合物、スキンクレンジング剤、脱脂剤、粘度調節性ポリマー、ヘアケア活性剤、胃リパーゼ-不安定性化合物、農薬、肥料及び栄養物、ビタミン及びミネラル、爆発物または爆発性物質及びその成分、採鉱及び選鉱物質、表面コーティング物質からなる群のリストの一種以上から選択される、請求項24に記載の界面活性剤。
【請求項26】
請求項10に記載の界面活性剤から形成されるリオトロピック相を含有する組成物。
【請求項27】
請求項10に記載の界面活性剤から形成される、ミセルまたは液晶タイプのリオトロピック相からなるコロイド粒子。


【公開番号】特開2010−209072(P2010−209072A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−67498(P2010−67498)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【分割の表示】特願2004−533054(P2004−533054)の分割
【原出願日】平成15年9月4日(2003.9.4)
【出願人】(500441895)メイン・ファ−マ・インタ−ナショナル・プロプライエタリ−・リミテッド (3)
【Fターム(参考)】