説明

尿素およびアミド成分を含有する塗料調製物

本発明は、i) 0.1〜9.0質量%の尿素成分(A)、ii) 0.1〜5.0質量%のアミド成分(B)、iii) 10.0〜90.0質量%のそれぞれ尿素成分(A)およびアミド成分(B)とは異なる結合剤成分(C)、並びに、iv) 0〜85.0質量%の溶剤成分(D)を含有する塗料調製物であって、尿素成分(A)とアミド成分(B)との割合の合計は、0.3〜10.0質量%であり、且つ、結合剤成分(C)と溶剤成分(D)との割合の合計が、80.0〜99.7質量%である塗料調製物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、塗料調製物並びに塗装基材に関する。
【0002】
コーティング剤の流動性を調整するために、種々の化学物質に基づく流動調整剤が使用される。公知の流動調整剤は、有機変性されたベントナイト、ケイ酸、水素化ヒマシ油またはポリアミドワックスである。これらの物質は、多くの場合、乾燥した固体であり、それらは溶剤および剪断力を用いて溶かされて半製品にされるか、もしくは目標温度制御によって液体のコーティング系にもたらされなければならない。相応の温度が維持されない場合、完成したコーティング系中で微結晶が生じ、それらはコーティングにおける欠陥をみちびきかねない。例えば、EP−A1832573号内には、溶解された形態でコーティング剤用の液体流動調整剤として使用される、ビウレット含有ポリアミドが記載されている。ポリアミドまたはオリゴアミドが流動調整剤としてコーティング剤中で使用される場合、この配合物は種々の応用技術上の欠点を示す:温度の上昇に伴いますます悪くなる影響が観察される。従って、塗料調製物が貯蔵の際に高温にさらされる場合、例えば、完成した塗料調製物中での顔料の沈殿を回避できない。同様に、塗料調製物がより高い周囲温度で、または暖かい下地に塗布される場合、塗料調製物の流出を避けることができない。その上、塗料調製物が熱硬化されるか、もしくは強制的に乾燥される場合、コーティング材料の流出、ひいてはたれの形成が観察される。
【0003】
従って、本発明は、上記で言及された欠点を有さない塗料調製物を提供するという課題に基づいている。
【0004】
この課題の解決策が
i) 0.1〜9.0質量%の尿素成分(A)、
ii) 0.1〜5.0質量%のアミド成分(B)、
iii) 10.0〜90.0質量%のそれぞれ尿素成分(A)およびアミド成分(B)とは異なる結合剤成分(C)、並びに
iv) 0〜85.0質量%の溶剤成分(D)
を含有する塗料調製物であって、尿素成分(A)とアミド成分(B)との割合の合計が0.3〜10.0質量%であり、且つ、結合剤成分(C)と溶剤成分(D)との割合の合計が80.0〜99.7質量%である塗料調製物である。
【0005】
尿素成分(A)は、それぞれ少なくとも1つの尿素基と、窒素原子にそれぞれ少なくとも1つの水素原子が結合しているそれぞれ2つより少ないアミド結合とを含有する化合物からなる。
【0006】
アミド成分(B)は、窒素原子にそれぞれ少なくとも1つの水素原子が結合しているそれぞれ少なくとも2つのアミド結合を有する化合物から構成される。従って、本発明によれば、1分子あたりそれぞれ1つだけのアミド結合を有するアミド成分(B)に分類される化合物種はない。ついでながら、かかる化合物は通例、(それぞれ少なくとも2つのアミド結合を有する化合物と比較して)明らかにあまり良好な効果がないと言うことができる。
【0007】
結合剤成分(C)は、それぞれ塗料用の結合剤として適した、それぞれ不揮発性の無機化合物および/または好ましくは有機化合物から構成される。尿素成分(A)またはアミド成分(B)に分類される化合物は、定義によれば、結合剤成分(C)の化合物としてはみなされないものとする。
【0008】
溶剤成分(D)は、それぞれ塗料用の溶剤として適した、塗料のための乾燥および硬化条件化で揮発性の溶剤からなる。尿素成分(A)またはアミド成分(B)または結合剤成分(C)に属する化合物は、それぞれ、溶剤成分(D)には分類され得ない。
【0009】
本発明による塗料調製物は、既に知られた塗料調製物に対して、明らかな応用技術上での利点を示し、それは殊により高い温度でも記録されている。これと関連して、クリア塗料中に含有される流動調整剤(A)と(B)との両方の特に良好な相容性、塗装の間の塗料調製物の流出挙動の改善、得られる塗料の光沢もしくはつや出しに関する良い結果、並びに、殊に顔料および固形物が含有されている場合に認められる塗料調製物の貯蔵安定性の改善を強調することができる。明らかに、これらの良い効果は、殊に成分(A)と(B)との適した組み合わせによってもたらされる。
【0010】
本発明の好ましい実施態様において、尿素成分(A)とアミド成分(B)との割合の合計は、0.4〜6質量%、好ましくは0.5〜2.0質量%であり、且つ、結合剤成分(C)と溶剤成分(D)との割合の合計は、85.0〜99.5質量%、好ましくは90.0〜99.5質量%である。
【0011】
多くの場合、アミド成分(B)は、それぞれ分子量300〜50000およびそれぞれ2〜300のアミド基を有する化合物(B’)の形態で存在し、ただし、該アミド基に含有されるヘテロ原子の質量割合のそれぞれは、それぞれ化合物(B’)の分子量に対して0.2〜25.0%であり(分子量に対する、関連するヘテロ原子の原子量の合計)、且つ、アミド基の窒素原子にそれぞれ少なくとも1つの水素原子が結合している。
【0012】
ヘテロ原子とは、炭素または水素としては存在しない原子であると理解されるべきである。
【0013】
(殊に化合物(B’)並びに下記で言及される化合物(A’)の)分子量について用いられる測定法に関して、以下に定義する:分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて、DIN 55672 第2部に準拠して測定する(溶離液として、ジメチルアセトアミド中の臭化リチウム溶液(含有率5g/L)を使用)。較正のために、分子量1000000〜102を有する、狭く分布した直線構造のポリメチルメタクリレート標準を使用する。GPCシステム全体(インジェクタ、試料プレート、検出器およびカラム)の温度は、80℃である。
【0014】
しばしば、化合物(B’)は、それぞれ分子量300〜30000およびそれぞれ2〜150個のアミド基を有し、ただし、アミド基に含有されるヘテロ原子のそれぞれの質量割合が、それぞれ化合物(B’)の分子量に対して2〜20%であり(分子量に対する、関連するヘテロ原子の原子量の合計)、且つ、アミド基の窒素原子にそれぞれ少なくとも1つの水素原子が結合している。
【0015】
化合物B’のアミド基は、例えば、カルボン酸、好ましくはモノカルボン酸またはジカルボン酸および/またはジカルボン酸無水物を、アミン、好ましくはモノアミンまたはジアミンと、通常の(当業者に公知の)方法により、1分子あたり少なくとも2つのアミド基が形成されるように縮合することによって得られる。アミンは、有利には脂肪族、芳香族および芳香脂肪族の一級アミン、例えばエチレンジアミン、ネオペンタンジアミン、1,2−および1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン、シクロヘキシルジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、4,7−ジオキサデカン−1,10−ジアミン、4,7,10−トリオキサデカン−1,12−ジアミン、ポリオキシアルキレンジアミン(前記はエチレンオキシド基および/またはプロピレンオキシド基をランダムまたはブロック状の配置で含有し(例えば、Huntsmanの商品名Jeffamin D230、D400、D2000、D4000およびJeffamin ED600、ED900、ED2003およびDER148の下で公知である)、質量平均分子量148〜4000g/mol(製造元のデータ)を有する)、ポリテトラヒドロフランジアミン、例えば、ビス(3−アミノプロピル)ポリテトラヒドロフラン350、750、1100および2100 (前記の数はおおよその分子量を示す)、パラ−およびメタ−キシリレンジアミン; 4,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3−ジメチル−4,4−ジアミノ−ジフェニルメタン、異性体のフェニレンジアミンまたは異性体のキシリレンジアミンである。同様に、H2N−R−NR−R−NH2型のアミン(前記Rは独立して(C1〜C18)−アルキルまたは(C1〜C4)−アルコキシを示す)を使用できる。これについての例は、N,N’−ビス−(3−アミノプロピル)メチルアミンである。該ジアミンは、ポリカルボン酸との縮合反応の際に水の分離下、且つCO2の除去下で反応してアミド基になる(Amidgruppierung)、カーボネート化合物としても使用され得る。上記の化合物を、個々で、または混合して使用できる。
【0016】
相応して使用されるカルボン酸の場合、それは有利には脂肪族、脂環式または芳香族の、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、少なくとも2つ、特に好ましくは3〜40個の炭素原子を有するカルボン酸である。かかるポリカルボン酸の例は、アジピン酸、蓚酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、ドデカン二酸、ヘキサンジカルボン酸、ドコサン二酸、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸またはイソフタル酸である。該酸を、単独または混合して使用できる。その上、酸無水物、例えばマレイン酸無水物、グルタル酸無水物、フタル酸無水物、およびコハク酸無水物を使用することが可能であり、前記は随意にアルキル基またはアルキレン基で変性されており、例えばドデセニルコハク酸無水物である。ポリマーのポリカルボン酸、例えばポリブタジエンのジカルボン酸を、例えばヒドロキシ官能性ポリカルボン酸、例えば酒石酸、クエン酸およびヒドロキシフタル酸と同様に使用できる。オキシカルボン酸、例えば3,6,9−トリオキシウンデカン酸およびポリグリコール二酸を同様に使用できる。36個の炭素原子の炭素鎖長を有する二量化脂肪酸(当業者には二量体酸として公知)がとりわけ特に好ましい。この二量体酸は、少ないモノマー含有率(通常、<8質量パーセント)と同様に、25質量パーセント以下の割合の三量体酸を有することがある。モノカルボン酸は、不飽和、1〜複数箇所で不飽和の、直鎖または分枝鎖のカルボン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸(Perlargonsaeure)、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸(Nonandecansaeure)、エイコサン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、ラウロレイン酸、ミリストレイン酸、パルミトオレイン酸、ペトロセリン酸(Petrosilinsaeure)、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、クルパノドン酸(Clupanodensaeure)、リシネン脂肪酸(Ricinensaeure)、アルファ−エレオステアリン酸、アルファ−パリン酸(Parinsaeure)、ヤシ油脂肪酸 パーム核油脂肪酸、ヤシ油/パーム核油脂肪酸、パーム油脂肪酸、綿実油脂肪酸、落花生油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ひまわり油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸および獣脂脂肪酸である。同様に、ケトカルボン酸、例えばリカン酸、および芳香族モノカルボン酸、例えば安息香酸が相応して使用されることが判明している。ヒドロキシカルボン酸の代表として、例えばグリコール酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、リシノール脂肪酸、12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシデカン酸または4−ヒドロキシデカン酸が挙げられる。全ての上記のカルボン酸および無水物を、個々で、または混合して使用できる。
【0017】
しばしば、化合物(B’)は、それぞれ少なくとも1つの直鎖または分枝鎖のC11〜C36−アルキレン基を含有する。
【0018】
通常、尿素成分(A)は、化合物(A’)の形態で存在し、前記化合物(A’)は、それぞれ分子量500〜300000およびそれぞれ1〜400個の尿素基を有し、ただし、それぞれ尿素基内に含有されるヘテロ原子の質量割合はそれぞれ化合物(A’)の分子量に対して0.2〜25.0%である(分子量に対する、関連するヘテロ原子の原子量の合計)。
【0019】
多くの場合、化合物(A’)は、それぞれ分子量500〜60000およびそれぞれ2〜150の尿素基を有し、ただし、それぞれ尿素基内に含有されるヘテロ原子の質量割合はそれぞれ化合物(A’)の分子量に対して2〜25%である(分子量に対する、関連するヘテロ原子の原子量の合計)。
【0020】
化合物A’の尿素基は、例えば、脂肪族、脂環式、芳香族、または芳香脂肪族の、モノイソシアネート、ジイソシアネートまたはポリイソシアネートを、単独で、または適したモノアミンまたはジアミンと混合して、1分子あたり少なくとも2つの尿素基が形成されるように反応させることによって得られる。
【0021】
かかるジイソシアネートの特別な例は、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートおよびそれらの混合物、p−およびm−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビスフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタンと4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタンとの異性体混合物、およびC36−二量体ジイソシアネートである。好ましいイソシアネートは、ビウレット二量体および前記のジイソシアネートのイソシアヌレート三量体である。特に好ましいイソシアネートは、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、もしくは2,4−トルエンジイソシアネート、およびその混合物、そのビウレット二量体および/またはイソシアヌレート三量体である。さらなる実施態様においては、ポリイソシアネートは、ポリオールと、化学量論的に過剰な前記のポリイソシアネートとの反応により得られる、ウレタン構造単位を有するポリイソシアネートプレポリマーである。適したポリオールは、例えば単純なジオール、トリオール、ポリアルキレンオキシドまたはポリエステルポリオールである。単純なジオールおよびトリオールの例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ジプロピレングリコールまたはトリメチロールプロパンである。適したポリアルキレンオキシドは、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラヒドロフランジオール、並びに混合されたアルキレンオキシドからのポリマー、例えばポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールであり、その際、該アルキレンオキシドはランダムまたはブロック状に存在してよい。ポリエーテルジオールの他に、ラクトン、例えばe−カプロラクトンおよび/またはd−バレロラクトンの開環重合によって製造されるポリエステルジオールも使用できる。
【0022】
モノイソシアネートは、有利には脂肪族、脂環式、芳香族または芳香脂肪族の、飽和または不飽和であり得るモノイソシアネートから選択される。有利には、モノイソシアネートはエチレン性不飽和の二重結合を含有しない。例えば、シクロヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、n−プロピルイソシアネート、n−ヘキシルイソシアネート、ステアリルイソシアネート、2−イソシアナトプロパン、m−トリルイソシアネート、p−トリルイソシアネート、ベンジルイソシアネート、2−エチルフェニルイソシアネート、1−ナフチルイソシアネートまたは2−ナフチルイソシアネートが使用される。とりわけ特に好ましいのは、C5〜C12−アリーレンウレタンモノイソシアネート、殊にトルイレンウレタンモノイソシアネート、例えばEP−A1188779号内に記載されるものである。全てのそれらのイソシアネート含有化合物を、個々で、または混合して使用できる。
【0023】
しばしば、化合物(A’)はそれぞれ少なくとも1つのエステル基および/またはエーテル基を有する。
【0024】
塗料用に適した結合剤として、塗料調製物の不揮発性の部分が(場合により既存の顔料/充填剤を用いずに)使用されるべきである。結合剤成分(C)として、例えばアクリレート樹脂、メタクリレート樹脂、(飽和および不飽和の)ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシド樹脂、アルキド樹脂、並びにポリイソシアネートが適している。水硬性の無機結合剤、例えばコンクリートは、塗料分野のためには適しておらず、それ故、結合剤成分(C)としてはみなされない。
【0025】
しばしば、結合剤成分(C)はそれぞれ不揮発性の有機オリゴマー(C’)および/または有機ポリマー(C’’)の形態で存在する。
【0026】
通常、有機オリゴマー(C’)および有機ポリマー(C’’)は、焼付け塗料用の結合剤として適している。焼付け塗料は、熱の作用下で乾燥もしくは焼き付けられる、即ち、熱架橋される結合剤を含有する。熱架橋反応が行われ得るために、多くの場合、80〜200℃の温度が不可欠である。「焼き付け」とは、硬化過程と理解され、その際、結合剤の架橋(ひいては硬化)は、系によって決まる最低温度および最短時間を必要とする。
【0027】
本発明の好ましい実施態様において、塗料調製物は、0.1〜80.0質量%の溶剤成分(D)を含有する。
【0028】
溶剤成分(D)のために選択された塗料用溶剤は、一方では結合剤もしくは結合剤の成分を溶かし、且つ、乾燥条件/硬化条件下で気化する。目的に合わせて、特に好ましくは、塗料調製物中で成分(A)、(B)および(C)に対して少なくとも充分に(またはより良好には完全に)化学的に不活性であり、且つ有利には塗料調製物の硬化の際に少なくとも充分に(またはより良好には完全に)前記の成分と反応しない溶剤種が選択される。当業者には、相応して考慮に入れられる溶剤種が容易にわかる。溶剤成分(D)として、典型的には、当業者にとって公知の物質群もしくは溶剤種/溶剤混合物、例えばエステル(例えば酢酸エチル)、ケトン(例えばアセトン)、芳香族化合物(例えばトルエン)、脂肪族化合物(例えばヘキサン)、アルコール(例えばイソプロパノール)、および/またはグリコールエーテルが、単独または混合物として使用される。
【0029】
従って、溶剤成分(D)は通例、揮発性の無機分子および/または有機分子(D’)の形態で存在する。
【0030】
塗料調製物は、水素化ヒマシ油および/またはリチウム塩、殊にLiClおよび/またはイオン性液体を含有できる。塗料調製物は、なおもさらなる(典型的な)塗料添加剤、例えばUV吸収剤および/または消泡剤を含有できる。
【0031】
塗料調製物は、0.1〜75質量%の顔料/充填剤成分(E)を含有できる。顔料成分/充填剤成分(E)は、塗料用の顔料および/または充填剤として適している、不揮発性の無機化合物および/または有機化合物から構成される。
【0032】
顔料は、塗料調製物の液相中で不溶性であり且つその光学的、保護および/または装飾的特性に基づき使用される微細な粒子からなる着色剤である。それに対して、充填剤は、粒または粉末形状の材料であり、それは同様に塗料調製物の液相中で不溶性であり且つ特定の物理的特性を達成するためにまたは改善するために用いられる。しばしば使用される顔料は、例えば二酸化チタン、すす、酸化鉄、ウルトラマリン顔料、フタロシアニン顔料、金属効果顔料およびパール光沢顔料である。充填剤は、多くの場合、技術的な使用可能性もしくは品質を改善するために、例えば塗料調製物に混合される、比較的安価な物質である。塗料調製物のために典型的な充填剤は、例えば硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルカム、雲母、水酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、並びに二酸化ケイ素、酸化アルミニウムまたは酸化ジルコニウムに基づくナノ粒子である。
【0033】
ただし、しばしば塗料調製物は顔料および充填剤を含まず、且つ、クリア塗料の製造のために使用される。クリア塗料は、基材に施与されるコーティング剤であり、保護、装飾または特定の技術的特性を有する透明なコーティングを形成する。
【0034】
本発明による塗料調製物の塗布は、通常の塗布法、たとえば吹付、ナイフ塗布、刷毛塗り、流し塗り、浸漬、含浸、滴下またはローラー塗布によって行うことができる。有利には、吹付塗布法、例えば空気式吹付塗布、静電吹付塗布(ESTA)が用いられ、場合により熱間吹付塗布(例えば熱風−熱間吹付)が併用される。
【0035】
塗布された塗料調製物の硬化を、一定の静止時間(空気にさらす)後に行うことができる。静止時間は、例えば塗料層の流展および脱気のために、または揮発性成分、たとえば溶剤の蒸発のために役立つ。静止時間は、塗料層の損傷または変化が生じない限り(例えば全く時期尚早な架橋)、高められた温度の使用によって、および/または空気湿度を下げることによって、促進され、且つ/または短縮することができる。
【0036】
本発明の好ましい実施態様において、塗料調製物は熱硬化性である。コーティング剤の熱硬化は、方法的な特殊性があるわけではなく、通常且つ公知の方法、例えば空気循環炉内での加熱または赤外線ランプを用いた照射によって行われる。この際、熱硬化を段階的に行うこともできる。有利には、熱硬化を温度30〜200℃、特に好ましくは40〜190℃、および殊に50〜180℃で、1分〜10時間の時間の間、行い、その際、自動車修理塗装のために用いられる温度、好ましくは30〜90℃である温度、また、より長い硬化時間を用いることができる。
【0037】
従って、本発明は、基材に施与される上述の塗料調製物の熱処理によって塗装された基材にも関する。熱処理は、実際には80℃未満の温度で強制的に乾燥され、且つ/または80〜200℃の温度範囲内で焼き付けられることによって行われることが多い。
【0038】
しばしば、基材は、(好ましくは金属の)機械要素の形態で存在する。該機械要素は、移動手段(殊に自動車、例えばオートバイ、乗用車、トラック、バス)のボディまたはその部品のことであってよい。本発明による塗料調製物は、典型的には一般的な産業用コーティングもしくは腐食防止コーティングの分野において(機械用塗料、路面電車、建設機械、農業機械、船、コンテナ等)、並びに、光学部品、電気部品および機械部品の、並びに日用必需品のパッケージ、コイル、白物、シートのために用いられる。
【0039】
以下で、本発明をさらに、実施例を用いて詳細に説明する。
【0040】
既に公知の(本発明によらない)塗料調製物に対する、種々の本発明による塗料調製物の応用技術上の利点が、具体的に示される。これに関して、本質的な観点は下記である: 適用の際の流出挙動、クリア塗料における濁りへの影響、塗料の光沢およびつや出しへの影響、並びに着色コーティングの貯蔵安定性への影響。
【0041】
試験系:
試験系として、アクリレートメラミン、ポリエステルメラミン、並びに2成分のポリウレタンベースに基づく、4つの異なる塗料系を使用し、それらが塗料として用いられ且つさらに塗料として称される。
【0042】
配合物1
ベース: アクリレート/メラミン焼付け塗料
【表1】

【0043】
塗料の製造:
個々の成分を、歯付ディスクを備えたディスパーマットCVを用いて、室温にて2m/秒で攪拌しながら、順々に添加し、引き続き、均質化のためにさらに10分間、攪拌する。
【0044】
原料:
Setal(登録商標)1756 VV−65: Solvesso100中で65%のアクリレート結合剤、Nuplex Resins B.V.
Setamine(登録商標) US 138 BB 70: 1−ブタノール中で70%のメラミン結合剤、Nuplex Resins B.V.
Shellsol A: 芳香族炭化水素C9〜C10、Overlack AG
BYK(登録商標)−310: ポリエステル変性ポリジメチルシロキサンの25%溶液、BYK Chemie GmbH。
【0045】
処理:
粘度の調整: 23℃で30秒、DIN4 フローカップ
希釈: Shellsol A/キシレン 1:1
塗布: 空気式吹付塗装
乾燥: 23℃で15分間、140℃で25分間。
【0046】
配合物2:
ベース: ポリエステル/メラミン焼付け塗料
【表2】

【0047】
塗料の製造:
個々の成分を、歯付ディスクを備えたディスパーマットCVを用いて、室温にて2m/秒で攪拌しながら、順々に添加し、引き続き、均質化のためにさらに10分間、攪拌する。
【0048】
原料:
Setal(登録商標)1715 VX−74: Solvesso100/キシレン75:25中で72%のアクリレート結合剤、Nuplex Resins B.V.
Setamine(登録商標) US 138 BB 70: 1−ブタノール中で70%のメラミン結合剤、Nuplex Resins B.V.
Shellsol A: 芳香族炭化水素C9〜C10、Overlack AG
Solvesso 150: 芳香族炭化水素C10〜C11、Overlack AG。
【0049】
処理:
粘度の調整: 23℃で30秒、DIN4 フローカップ
希釈: Shellsol A
塗布: 静電吹付塗装
乾燥: 23℃で15分間、140℃で20分間。
【0050】
配合物3:
ベース: 2成分ポリウレタン塗料
【表3】

【0051】
塗料の製造:
個々の成分を、歯付ディスクを備えたディスパーマットCVを用いて、室温にて2m/秒で攪拌しながら、順々に添加し、引き続き、均質化のためにさらに10分間、攪拌する。
【0052】
原料:
Setalux(登録商標)1756 VV−65: Solvesso100中で65%のアクリレート結合剤、Nuplex Resins B.V.
Tin Stab BL 277: ジブチルスズジラウレート、Overlack AG
BYK(登録商標)−331: 100%のポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、BYK Chemie GmbH
BYK(登録商標)−306: キシレン/モノフェニルグリコール 7/2中の、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの12.5%溶液、BYK−Chemie GmbH
Shellsol A: 芳香族炭化水素C9〜C10、Overlack AG
Desmodur(登録商標) N3390 BA/SN: 酢酸ブチル/Solvesso100 1:1中で90%の脂肪族ポリイソシアネート、Bayer Material Science AG
Vestanat(登録商標) T1890−E: 酢酸ブチル/Solvesso100 1:2中で70%の脂環式ポリイソシアネート、Evonik Industries AG
Dowanol MPA: 1−メトキシプロピルアセテート、Overlack AG。
【0053】
処理:
粘度の調整: 23℃で30秒、DIN4 フローカップ
希釈: Shellsol A
塗布: 静電吹付塗装
乾燥: 23℃で10分、80℃で60分。
【0054】
配合物4:
アルミニウム着色ポリエステルメラミンベース塗料
【表4】

【0055】
CAB溶液*
【表5】

【0056】
酢酸ブチル中で25%のCAB粉末の溶解(Anloesung)を、歯付ディスクを備えたディスパーマットCVを用いて、室温にて30分間、5m/秒で攪拌しながら、装入された酢酸ブチルにCABを添加することによって行う。
【0057】
アルミニウムスラリー**
【表6】

【0058】
アルミニウムスラリーを、原料1〜3を、歯付ディスクを備えたディスパーマットCVを用いて、室温にて2m/秒で予め混合し、引き続き、原料2および5を計量供給することによって製造する。アルミニウム顔料を完全に濡らすために、該スラリーをさらに10分間攪拌する。
【0059】
塗料の製造:
塗料の製造のために、個々の成分を順々に、歯付ディスクを備えたディスパーマットCVを用いて、室温にて2m/秒で攪拌しながら、順々に添加し、引き続き、均質化のためにさらに10分間、攪拌する。
【0060】
原料:
Setal(登録商標)189 XX−65: キシレン中で65%のポリエステル結合剤、Nuplex Resins B.V.
Setamine(登録商標) US 138 BB 70: 1−ブタノール中で70%のメラミン結合剤、Nuplex Resins B.V.
CAB 381.05: 100%の酢酸酪酸セルロース、Eastman Chemical B.V.
BYK(登録商標)−315: メトキシプロピルアセテート/フェノキシエタノール 1/1中の、ポリエステル変性ポリメチルアルキルシロキサンの25%溶液、BYK Chemie GmbH
STAPA(登録商標) METALLUX 2152: ミネラルスピリット/ソルベントナフサ 1:1中で75%のアルミニウムペースト、Eckart GmbH
DIS(登録商標)−110: メトキシプロピルアセテート/アルキルベンゼン 1/1中の、酸基を有するコポリマーの52%溶液、BYK Chemie GmbH。
【0061】
既に公知の流動調整剤(本発明によらない):
BYK−(登録商標)405: キシレン/アルキルベンゼン/イソブタノール 5/4/1中の、ポリヒドロキシカルボン酸アミドの52%溶液、BYK Chemie GmbH
BYK−(登録商標)410: N−メチルピロリドン中の変性尿素の52%溶液、BYK Chemie GmbH
BYK(登録商標)−430: イソブタノール/ソルベントナフサ 1/9中の、高分子変性ポリアミドの30%溶液、BYK Chemie GmbH
ポリマーの尿素: ジメチルスルホキシド中の変性ポリ尿素の30%の溶液、BYK Chemie GmbH
Aerosil(登録商標) R972: 100%の疎水性熱分解シリカ、Evonik Industries AG。
【0062】
ポリマーの尿素(製造方法):
まず、モノアダクト、例えばEP−A1188779号内に説明されるものを、2,4−トルイレンジイソシアネートと2,6−トルイレンジイソシアネートとの混合物(Desmodur T80、Bayer AG)およびブトキシポリアルキレングリコール(ポリグリコール B11/50、Clariant)から製造する。反応容器内で、攪拌しながら3.8g(0.09mol)のLiClを146.3gのジメチルスルホキシド中で溶解する。その後、10.3g(0.075mol)のメタ−キシリレンジアミンを添加し、且つ、その澄んだ混合物を60℃へと温める。引き続き、10.4g(0.06mol)のDesmodur T65(2,4−トルイレンジイソシアネートと2,6−トルイレンジイソシアネートとの混合物、Bayer AG)と、Desmodur T80およびブトキシポリアルキレングリコールからのモノアダクト38.2g (0.03mol)とからの混合物を、攪拌しながら1時間以内で、温度が65℃より上に上がらないように滴下する。反応を完全にするために、反応混合物を3時間、60℃で攪拌する。澄んだ、無色の、且つ液体の生成物が得られる。
【0063】
流出限界についての試験:
塗料の流出挙動に及ぼす影響を調査するために、Aerosil(登録商標) R972を除く流動調整剤を、歯付ディスクを備えたディスパーマットCVを用い、室温にて2m/秒で攪拌しながら、2分間、試験系に添加する。粉末状のAerosil(登録商標) R972の添加を、30分間、テフロンディスクおよび1mmのガラスビーズ(塗料:ビーズ 1:1)を備えたディスパーマットCVを用いて18m/秒で、二重壁のディスパーマットのポット内で20℃にて行う。添加後1日たってから、該塗料を、DIN4ビーカーを用いて流出時間が30秒になるように希釈する(DIN EN ISO 2431)。引き続き、配合物について上述した通り、静電吹付塗布もしくは空気式吹付塗布を用いて、鉛直に吊り下がってくさび止めされた、プライマー処理された多孔プレート(鋼、30×50cm)への塗料の塗布を、乾燥層厚10〜50μmになるように行う。引き続き、塗料ブレンドを空気にさらすこと、並びに焼き付けによる乾燥もしくは空気循環炉内での強制的な乾燥を、同様に、鉛直のプレートについて行う。流出挙動の調査を、塗料の完全乾燥後に、視覚的な評価により実施する。流出限界が高いほど、流動調整剤の流動効果はいっそう低い、即ち、鉛直にされた面に塗布され得る塗料の層厚がいっそう厚い。乾燥層厚の測定を、BYK−Gardner社のByko Test 1500を用いて、DIN EN ISO 2178に準拠して行う。この結果を表1に要約する。
【0064】
表1:
【表7】

【0065】
相容性についての試験:
このために、Aerosil(登録商標) R972を除く流動調整剤を、3つの異なるクリア塗料に、歯付ディスクを備えたディスパーマットCVを用いて、室温にて2m/秒で攪拌しながら2分間、添加する。粉末状のAerosil(登録商標) R972の添加を、30分間、テフロンディスクおよび1mmのガラスビーズ(塗料:ビーズ 1:1)を備えたディスパーマットCVを用いて18m/秒で、二重壁のディスパーマットのポット内で20℃にて行う。流動調整剤が、湿った塗料の濁りに及ぼす影響の判定を、添加後1日たってから行う。濁りに及ぼす影響が小さいほど、塗料系中での流動調整剤の相容性はいっそう良好である。判定を視覚的に行い、その際、1〜5の段階(1=透明〜5=非常に濁っている)を用い、且つ、表2に示す。
【0066】
表2:
【表8】

【0067】
光沢もしくはつや出しの影響についての試験:
流動調整剤が塗料調製物の光沢およびつや出しに及ぼす影響を調査するために、Aerosil(登録商標) R972を除く流動調整剤を、歯付ディスクを備えたディスパーマットCVを用い、室温にて2m/秒で攪拌しながら、2分間、試験系に添加する。粉末状のAerosil(登録商標) R972の添加を、30分間、テフロンディスクおよび1mmのガラスビーズ(塗料:ビーズ 1:1)を備えたディスパーマットCVを用いて18m/秒で、二重壁のディスパーマットのポット内で20℃にて行う。添加後1日たってから、該塗料を、DIN4ビーカーを用いて流出時間が30秒になるように希釈する(DIN EN ISO 2431)。静電吹付塗布もしくは空気式吹付塗布に際して配合物について上述した通り、塗布を行う。プライマー処理された鋼板(30×50cm)に、乾燥層厚35μmになるように塗布する。鉛直にされた板に塗布を行い、それを空気にさらし、且つ引き続き、基材を横たえて焼き付けもしくは強制乾燥させる。光沢もしくはつや出しの測定を、塗布後1日たってからBYK−GardnerのHaze−Glossを用い、DIN 67530に準拠して行う。光沢およびつや出しについての値が高いほど、流動調整剤の相容性はいっそう良好である。この結果を表3および4に要約する。
【0068】
表3:
配合物2 ポリエステル/メラミン焼き付け塗料
【表9】

【0069】
表4:
配合物1 アクリレート/メラミン焼き付け塗料
【表10】

【0070】
貯蔵安定性の影響についての試験:
流動調整剤が貯蔵安定性に及ぼす影響の調査を、アルミニウム着色された自動車用ベース塗料において行う。完成した配合塗料に、製造直後、歯付ディスクを備えたディスパーマットCVを用いて、室温で2分間、2m/秒で攪拌しながら、種々の流動調整剤を添加する。貯蔵安定性の調査を、空気循環炉内、室温(23℃)および50℃で、4日の期間にわたり、50mlのガラス瓶中で貯蔵することによって行う。貯蔵実施後、該試料を、沈殿物および離液傾向について視覚的に試験する。沈殿物を、スパチュラを用いて官能的に評価する。離液傾向を、定規を用いて測り、且つ、全体の試料の高さに対する%で示す。流動調整剤による良好な貯蔵安定性は、顔料が貯蔵温度とは関係なく可能な限り均質に分布したままである、即ち、離液傾向が最小化される際に達成される。この結果を表5に要約する。
【0071】
表5:
配合物4: アルミニウム着色された自動車用ベース塗料
【表11】

【0072】
全ての試料は、固形の沈殿物を示さず、空試料は柔らかくかき立てることが可能である。
【0073】
上記の実施例の試験の結果は、既に公知の(本発明によらない)塗料調製物に対する本発明による塗料調製物の応用技術上の利点を裏付け、なぜなら、相応する(本発明により予定される)組み合わせの尿素/ポリアミドは、一方では安定性について良い結果をもたらし、且つ他方では、クリア塗料中で極めて小さい濁りの傾向しか引き起こさないからである。コーティングの光学的特性、例えば光沢およびつや出しは、相応する組み合わせの尿素/ポリアミドによって、同様に極めてわずかにしか影響されず、このことは、クリア塗料中の濁りに及ぼす影響以外に、格別に良好な相応性についてさらに示唆している。着色塗料の貯蔵安定性は、同様に、相応の組み合わせの尿素/ポリアミド(50℃での貯蔵)によって、極めて大幅に改善された。これは、焼き付け塗料の安定性に関する良好な結果の他に、相応する組み合わせの尿素/ポリアミドの、温度に敏感ではない作用の仕方についてさらに示唆している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i) 0.1〜9.0質量%の尿素成分(A)、
ii) 0.1〜5.0質量%のアミド成分(B)、
iii) 10.0〜90.0質量%のそれぞれ尿素成分(A)およびアミド成分(B)とは異なる結合剤成分(C)、並びに
iv) 0〜85.0質量%の溶剤成分(D)
を含有する塗料調製物であって、尿素成分(A)とアミド成分(B)との割合の合計が0.3〜10.0質量%であり、且つ、結合剤成分(C)と溶剤成分(D)との割合の合計が80.0〜99.7質量%である塗料調製物。
【請求項2】
尿素成分(A)とアミド成分(B)との割合の合計が0.4〜6質量%、好ましくは0.5〜2.0質量%であり、且つ、結合剤成分(C)と溶剤成分(D)との割合の合計が85.0〜99.5質量%、好ましくは90.0〜99.5質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の塗料調製物。
【請求項3】
アミド成分(B)が、それぞれ300〜50000の分子量およびそれぞれ2〜300個のアミド基を有する化合物(B’)の形態で存在し、ただし、該アミド基中に含有されるヘテロ原子の質量割合のそれぞれは、それぞれ化合物(B’)の分子量に対して0.2〜25.0%であり、且つ、アミド基の窒素原子にそれぞれ少なくとも1つの水素原子が結合していることを特徴とする、請求項1または2に記載の塗料調製物。
【請求項4】
化合物(B’)が、それぞれ300〜30000の分子量およびそれぞれ2〜150個のアミド基を有し、ただし、該アミド基中に含有されるヘテロ原子の質量割合のそれぞれが、それぞれ化合物(B’)の分子量に対して2〜20.0%であり、且つ、アミド基の窒素原子にそれぞれ少なくとも1つの水素原子が結合していることを特徴とする、請求項3に記載の塗料調製物。
【請求項5】
化合物(B’)が、それぞれ少なくとも1つの直鎖または分枝鎖のC11〜C36−アルキレン基を含有することを特徴とする、請求項3または4に記載の塗料調製物。
【請求項6】
尿素成分(A)が、それぞれ分子量500〜300000およびそれぞれ1〜400個の尿素基を有する化合物(A’)の形態で存在し、ただし、該尿素基中に含有されるヘテロ原子の質量割合のそれぞれが、それぞれ化合物(A’)の分子量に対して0.2〜25.0%であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の塗料調製物。
【請求項7】
化合物(A’)がそれぞれ500〜60000の分子量およびそれぞれ2〜150個の尿素基を有し、ただし、尿素基中に含有されるヘテロ原子の質量割合のそれぞれが、それぞれ化合物(A’)の分子量に対して2〜25%であることを特徴とする、請求項6に記載の塗料調製物。
【請求項8】
化合物(A’)が、それぞれ少なくとも1つのエステル基および/またはエーテル基を有することを特徴とする、請求項6または7に記載の塗料調製物。
【請求項9】
結合剤成分(C)が、それぞれ不揮発性の有機オリゴマー(C’)および/または有機ポリマー(C’’)の形態で存在することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の塗料調製物。
【請求項10】
有機オリゴマー(C’)および有機ポリマー(C’’)が、焼き付け塗料用の結合剤として適していることを特徴とする、請求項9に記載の塗料調製物。
【請求項11】
溶剤成分(D)が、揮発性の無機分子および/または有機分子(D’)の形態で存在することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の塗料調製物。
【請求項12】
水素化ヒマシ油および/またはリチウム塩、殊にLiClおよび/またはイオン性液体を含有する、請求項1から11までのいずれか1項に記載の塗料調製物。
【請求項13】
iv) 0.1〜80質量%の溶剤成分(D)を含有する、請求項1から12までのいずれか1項に記載の塗料調製物。
【請求項14】
v) 0.1〜75質量%の顔料成分/充填剤成分(E)を含有する、請求項1から13までのいずれか1項に記載の塗料調製物。
【請求項15】
熱硬化性である、請求項1から14までのいずれか1項に記載の塗料調製物。
【請求項16】
基材上に施与された、請求項1から15までのいずれか1項に記載の塗料調製物を熱処理することによって得られる塗装基材。
【請求項17】
熱処理が、80℃未満の温度で強制的に乾燥され、且つ/または80〜200℃の温度範囲内で焼き付けられることによって行われることを特徴とする、請求項16に記載の塗装基材。
【請求項18】
基材が、機械要素の形態で存在する、請求項16または17に記載の塗装基材。

【公表番号】特表2013−518152(P2013−518152A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550321(P2012−550321)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/000505
【国際公開番号】WO2011/091812
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(510259817)ビイク−ヒエミー ゲゼルシャフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2)
【氏名又は名称原語表記】BYK−Chemie GmbH
【住所又は居所原語表記】Abelstrasse 45, D−46438 Wesel, Germany
【Fターム(参考)】