説明

尿素含有水の処理のための設備、トイレ、家畜小屋及び方法

本発明は、尿素含有水を処理するための装置に関する。本発明はまたそのような装置を備えた家庭用トイレに関する。本発明はまたそのような装置を備えた動物収容設備に関する。さらに、本発明は尿素含有水を処理するための方法を含む。装置は、尿素を酸化してニトレートと二酸化炭素にするのに適した硝化ユニットを備え、硝化装置はまた、酸素供給部、ガス放出部及び硝化ユニットに接続された濾過ユニットへ硝化ユニットにより硝化される廃液の供給のためのスルー供給部が備えられる。硝化ユニットは好ましくは硝化バクテリアを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿素含有水を処理するための装置に関する。本発明はまたそのような装置を備えた家庭用トイレに関する。本発明はまたそのような装置を備えた動物収容設備に関する。さらに、本発明は尿素含有水を処理するための方法を含む。
【背景技術】
【0002】
人口密集地域及び農場において、家庭用排水又は動物の排泄物の浄化は、並外れて費用がかかり、時間を浪費する処理である。排水の成分で取り除くのが難しいのは尿素(NH2CONH2)であり、それは、排水の中に、人間及び/又は動物の尿及び排泄物を経由して、尿素又は尿素の塩の形態で、入っている。酸性雨のような環境問題のために、尿素量を顕著に減少させることが望ましい。さらに、尿素は、強い、望ましくない臭気を、アンモニア(NH3)の形態で、発生させる。別の問題は、尿素が望ましくない藻の成長を促進させることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、排水中の尿素量の減少を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、この目的のために、尿素含有水を処理するための装置であって、尿素を酸化して窒素及び二酸化炭素にするのに適した硝化ユニットに接続された尿素含有水用の入口を備え、ここで、硝化ユニットはまた、酸素供給部、ガス放出部、及び硝化ユニットに接続された濾過ユニットへ硝化ユニットにより硝化される廃液の供給のためのスルー供給部が備えられ、並びに濾過ユニットは少なくとも硝化ユニット及び濾過ユニットにより浄化された水のための外供給部を備える。そのような装置を使用することで、単純な方法で、水中の尿素量を減少させるか、さらには完全に除去することができる。異なる成分の間の液体の輸送のために、輸送手段は、例えば入口、スルー供給部及び/又は外供給部に接続されるべき1以上のポンプのような、装置に配置されることができる。尿素のカーボネート及びニトレートへの酸化は、硝化として知られ、及び以下の一般反応を有する。
NH2CONH2+4O2>>HCO3-+2NO3-+3H+・・・・・・・
【0005】
この反応は好ましくは硝化微生物により実行されるが、化学的な方法を経由して実行することもできる。同じ反応を尿素の水溶性塩を使用して実行することができる。酸素は、酸素供給部を経由して、好ましくはガスの形態で、例えば、ポンプを使用して排水に空気注入の手段により、供給される。このように硝化ユニットに注入される酸素は、好ましくは、測定と制御装置により制御され、液体の酸素の平均溶解量は、5〜10mg/Lの間で保持される。カーボネートは、二酸化炭素(CO2)の形態でガス放出部を経由して逃げることができる。
【0006】
反応は、以下の反応ステップに分割されることができ、水の存在で尿素(NH2CONH2)はアンモニウムカーボネート(NH42CO3に変えられる。

NH2CONH2+2H2O>>(NH4)2CO3・・・・・・・(1)

カーボネートはその共役酸で平衡になる。

CO32-+H2O>>HCO3-+OH+・・・・・・・(2)

酸素の存在でアンモニアはニトライトに酸化することができる。

2NH4++3O2>>2NO2-+2H2O+4H+・・・・・・・(3)

ニトライトは続いてニトレートに酸化される。

2NO2-+O2>>2NO3-・・・・・・・(4)
【0007】
さらなる利点は、硝化ユニットの酸化条件下で、他の有機物質はまたカーボネート/二酸化炭素に酸化される。外供給部からの水は、硝化及び濾過の後の高いグレードの応用のために有効であることがわかった。使用されるフィルターの種類に応じて、人間の消費さえも味を最適化するさらなる幾つかの工程で可能になる。濾過された残渣は、フィルターから周期的に又は連続的に除去されることができる。フィルターは、汚染(fouling)又は閉塞(blockage)を防ぐために一定期間後に掃除されるか又は置き換えられることができる。
【0008】
好ましい形態において、硝化ユニットは硝化バクテリアを備える。硝化バクテリアは、上記反応ステップを特に効率的な方法で実行することができ、それにより、装置を相対的に小型の形態にすることができる。硝化ユニットはこの目的のためのバイオリアクターを備える。硝化バクテリアに加え、硝化ユニットはまた他の微生物及び任意選択的に化学物質、電気及び/又は機械の助けを備えることができる。この明細書中で参照されている適した硝化バクテリアは、数ある中でも、LGC Promochem Standards, Queens Road, Teddington, Middlesex TW11, 0LY, UKを経由して商業的に利用できる。
【0009】
硝化バクテリアが、ニトライト生成バクテリア及びニトレート生成バクテリアを備え、ニトライト生成バクテリアがアンモニアをニトライトに酸化し、そしてニトレート生成バクテリアがニトライトをニトレートに酸化することは有利である。酸素が、上述の酸化反応(3)及び(4)のために追加されなければならない。
【0010】
好ましい実施形態において、ニトライト生成バクテリアは、ニトロソモナス(Nitrosomonas)、ニトロソスピラ(Nitrosospira)及びニトロソコカス(Nitrosococcus)からなる群から選ばれる少なくとも1つの属を含む。これらの属は特にバイオリアクターで良好に使用することができ、商業的に利用可能である。利点は、これらのニトライト生成バクテリアは大きな能力を有しており、装置を顕著に小型な形態にすることができることである。これらのバクテリアは、酵素ウレアーゼによって、上述したように尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解する。バクテリアの混合が好ましく使用される。
【0011】
好ましい実施形態において、ニトレート生成バクテリアは、ニトロバクター(Nitrobacter)、ニトロスピラ(Nitrospira)及びニトロコカス(Nitrococcus)からなる群から選ばれる少なくとも1つの属を含む。これらの属はバイオリアクター中で優れた安定性及び耐性によって特に良好に使用されることができる。それらは、相対的に大きな転換能力を有し、それにより装置は相対的に小型な形態にすることができる。上述のニトレート生成バクテリアは商業的に利用可能である。
【0012】
バイオリアクターは好ましくは上述のニトライト生成バクテリア及びニトレート生成バクテリアの組み合わせを備える。バクテリアは、リアクター中で適した成長媒体上の相乗的な個体群として培養することができる。バクテリアのそのような混合物の使用はさらに、リアクターが増加した浄化作用を有し、プロテイン及びホルモンの多様な種類を含む広い範囲の望ましくない有機汚染物を水から除去することができる、という利点を有している。
【0013】
少なくとも幾つかの硝化バクテリアが固定されたキャリアに取り付けられるのが有利である。このように設備にバクテリアを固定することは容易であり、またバクテリアを交換することを容易にする。固定されたキャリアは、固定ベッドバイオリアクターの一部を形成することができる。固定キャリアは例えば、セラミック、ガラス若しくはプラスチックビーズ、又はグリッドを含むことができる。
【0014】
好ましい実施形態において、濾過ユニットは少なくとも1つの浸透フィルターを備える。浸透フィルターは、硝化された水から塩の大部分を取り除く。浸透フィルターは閉塞される危険は非常にわずかである。別の利点は、分離された塩は、濃縮された溶液として放出されることができ、これは固体を取り除くよりも簡単である。
【0015】
濾過ユニットの外供給部は好ましくは浄化された水の少なくとも一部を硝化ユニット及び/又は濾過ユニットにフィードバックさせるためのフィードバック部を備える。浄化された水と硝化ユニットに供給された尿素含有水の比率は、硝化が最適に進行するように、調節手段によって調節されることができる。フィードバックされた浄化水は、濾過ユニットの閉塞の機会を減少させる。
【0016】
もしスルー供給部がまた尿素を含まない水を供給するための第2供給部を備えると有利である。これは、従来技術で知られたこの目的のために適した測定及び制御装置を使用して水の量及び尿素の濃度及び他の成分を制御して維持することを簡単にして、より効率的にする。加えて、硝化ユニットの後の尿素を含まない水の供給部は、濾過ユニットのよりよい利用を可能にする。
【0017】
浄化された水のフィードバックに加えて、追加の水、例えばシャワー及び洗面台のような、いわゆる家庭雑排水(greywater)として呼ばれる他の家庭源からの排水を供給することを想定することも可能である。第2供給部は、好ましくは、尿素を含まない水から、少なくとも石鹸残渣を除去するために適したフィルター、特にナノフィルターを備える。そのようなフィルター、好ましくはウルトラフィルターは、おそらく装置中の他のフィルターを詰まらせる石鹸残渣を除去することを可能にする。そのような前濾過の使用は、装置のよりよい動作をもたらすことがわかり、装置の他のフィルターの詰まりの機会が減少される。装置は、また、尿含有排水の処理されたユニットに対してより少ないエネルギーを使用することがわかる。石鹸残渣の除去はまた硝化ユニットの機能によい効果がある。
【0018】
濾過ユニットは好ましくは少なくとも1つの濾過膜を備える。膜はよい濾過を可能にする。膜の付着又は詰まりの程度は、膜を通じた流れ抵抗から測定される。濾過ユニットは、好ましくは、濾過膜により分離されている排水の不溶部分を放出するための放出手段を備える。適した種類のフィルターは商業的に利用可能であり、そのなかでも、ウルトラ濾過膜、ナノ濾過膜及び逆浸透膜が挙げられる。ウルトラ濾過膜は、孔寸法が0.02〜0.2ミクロンであり、1−10気圧の膜貫通圧下で作動することができる。ナノ濾過膜は、0.002ミクロンよりも小さい孔寸法を有し、5−35気圧の圧力下で作動することができる。濾過膜は、スパイラル又は管形状とされることができ、管モデルが早く詰まらないことから好ましい。フィルターは、プラスチック材料(例えば、PDVF、ポリアミド、ポリビニル及び/又はポリスルホン)又はセラミック材料から製造され、ここでセラミックがより強いロバスト性があるため推奨される。残渣の層が、一定期間後、フィルター上で形成されることがあり、それにより濾過効率が減少される。逆浸透膜は、0.002ミクロンよりも小さい孔寸法を有し、8−50気圧の圧力下で作動する。これらの逆浸透膜は、液体から固体残渣の95−99%及びバクテリアの99%を除去する。逆浸透膜は通常プラスチックから製造される。浄化された水は結果としてすぐに再使用されることができる。
【0019】
濾過ユニットはより好ましくは連続して配置される少なくとも2つの膜を備える。連続した接続は、改善された浄化を可能にする。連続した2つを超える濾過膜はさらによい浄化を可能にするが、さらに流れ抵抗を増加させる。同じ流れ率での流れ抵抗は、複数の濾過ユニットの並行接続により減少されることができる。
【0020】
濾過ユニットが、少なくとも1つの逆浸透膜を備え、浸透活性物質、特に二価塩、を除去するのに適した少なくとも1つのフィルターの近くに、逆浸透膜が目的の流れ方向に先行していることが特に有利である。逆浸透膜に先行するフィルターは、逆浸透膜がより効果的に作用することを確実にする。二価塩を除去するために適したフィルターは、例えばナノフィルターである。少なくとも2つの連続した逆浸透フィルターがナノフィルターの後に連続して配置されているとき最も有利である。少なくとも二価塩の一部の除去は、顕著に、硝化工程の機能を改善することがわかる。濾過された塩は、放出されることができ、通常の下水処理プラントに適合する。
【0021】
硝化ユニットの入り口が尿素含有水から固体を分離するための分離手段を備えることは有利である。これらの分離手段、例えば沈殿タンク又は適したフィルターは、硝化ユニットの動作が固体により妨げられることを防止する。
【0022】
本発明はさらに本発明による装置を備えた家庭用トイレに関する。このように、家庭用トイレからの排水を効率的な方法で局地的に清浄にすることが可能になる。浄化された水は直ちに局地的に再使用されることができ、顕著な水節約が実現されることができる。これは、水が少ない場所では特に重要である。本発明による装置は、好ましくは、トイレに統合される。トイレは、好ましくは本発明による装置での処理に最も適している尿素含有液体相を、処理にあまり適していない且つ固定されたベッドリアクター及びフィルターでの問題を引き起こしうる固体相から、分離する目的のための分離手段が設けられる。その固体相は次に分離して放出されることができる。液体排泄物のためのトイレ、特に尿瓶、での使用では、そのような分離する手段は通常必要ない。
【0023】
本発明はまた、本発明による装置が備えられた動物収容施設、特に家畜収容施設に関する。水が節約されるだけではなく、肥料からの排泄物の放出に関する環境規制を越えないように簡単な方法で防げる。これは、例えば牛、豚及び/又は家禽の集中的な畜産場で特に重要である。複数の動物収容設備は、本発明による単一の装置を使用することができ、ここで、動物収容設備からの糞放出は、装置の入り口に接続される。動物収容設備は好ましくは尿素含有液体相を、集められた排泄物の固体成分から分離された本発明による装置に供給するために適合された分離する装置を備える。
【0024】
本発明はまた、尿素含有水を浄化するための方法であって、尿素を硝化する処理ステップ、及び硝化された水を濾過する処理ステップを備え、その処理ステップは、本発明による装置で実行されるものを提供する。そのような方法は、上述の利点を備える。
【0025】
本発明は、以下の実施例を基に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による装置を概略的に示す図である。
【図2】トイレでの本発明による装置のアセンブリを示す図である。
【図3】動物収容設備での本発明による装置のアセンブリを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明による装置1は、尿素含有水のための入口部2を有する。尿素は、例えば、沈殿タンク(示されていない)及び/又はマイクロフィルターにより、処理のための排泄物のありうる固体成分から前もって分離される。尿素含有水は、混合容器3を経由した装置に入り、ここで濃度がさらなる処理のため、任意選択的に水を混ぜることにより最適化される。このように前処理水は、硝化ユニット5に運ばれる。酸素6はまた硝化ユニット5に供給される。硝化ユニットは、固定されたベッドバイオリアクターであり、硝化バクテリア、例えば、ニトライト生成バクテリア、ニトロソモナス、ニトロソスピラ及び/又はニトロソコカス、を例えばニトロバクター、ニトロスピラ及び/又はニトロコカスのようなニトレート生成バクテリアと組み合わせて配置される。この実施例において、ニトロスピラ及びニトロソマスの組み合わせが適用される。単一のトイレでの使用のため、約70リットルの体積の硝化ユニット5は通常十分である。十分な微生物で満たされるとすると、そのようなユニット5は1日に約20リットルの尿を処理することができる。これらの硝化バクテリアは、尿素をニトライトを経由してニトレートと二酸化炭素に酸化的に変化させ、二酸化炭素はガス放出部7によりバイオリアクター5から除去される。バイオリアクターは、測定及び制御装置を備え、酸素及び排水4の入り供給部は制限される。バイオリアクター5の体積は、スルー供給流率で尿素の内容物は元の内容物の5%よりも少なく減少し、それにより尿素の典型的な臭いはほとんど消滅するように選ばれる。
【0028】
硝化された水8は、連続して配置された2つの浸透フィルター10、11を備える濾過ユニット9に運ばれる。ニトレート(NO3-)に加えて、排流中の他の塩はまた、第1浸透フィルター10及び第2浸透フィルター11により大部分、例えばNa+,Cl-,SO42-,PO43-,K+及びCa2+のような特にイオンに分離される。これらの分離された濃縮された塩溶液12は放出される。約98%のリン酸塩は、排流から除去される。尿素を含まない排水14(例えばシャワー又は洗面台からの)は、任意選択的に、濾過ユニット9に供給された硝化された水8に混ぜられることができる。そのような水14は、家庭雑排水(greywater)として呼ばれており、通常硝化を要求されず、濾過は家庭雑排水を再利用に適するのに十分である。この実施例中のユニットは、一日に約80リットルの家庭雑排水を処理することができ、装置は相対的に小型である。家庭雑排水供給部は、任意選択的に、ウルトラ濾過又はナノ濾過を備え、それは装置に作られることができるが外部に配置されることもできる。この実施例において、しかしながら、ナノ濾過15は、すでに濾過ユニット9に統合されている。そのようなフィルターは、数ある物質の中でも、石鹸残渣の除去に適しており、フィルターユニット9中の他のフィルター10、11は閉塞の危険を減少させる。混ぜられた家庭雑排水の濾過は、また、低いエネルギー消費に向けて寄与する。
【0029】
濾過ユニット中の膜10、11は、一定期間後に汚染されることになりえ、直ちに掃除又は交換が必要である。複数の膜10,11は任意選択的に並行に配置されることができ、濾過ユニットは運転可能なままにでき、一方膜の一つをメンテナンスのために停止させられる。この実施例において3つの濾過ステップが使用され:1つはナノ濾過フィルター15及び2つの逆浸透フィルター10,11である。ナノ濾過フィルター15は、カルシウム塩及び硫酸塩を含む二価塩の大部分を除去し、それにより後の逆浸透障害の浸透圧を減少させ、逆浸透は、続くフィルター10,11中でよりエネルギー効率的な方法で進行する。20リットル以下の尿生成がある単一のトイレでの使用のため、ナノ濾過フィルターは、0.24m2の表面積を有し、第1逆浸透フィルターは2.6m2の表面積を有し、第2逆浸透フィルターは1.3m2の表面積を有すれば十分である。
【0030】
ユニット1による処理の後、浄化された水は、表Iで示されているように以下の特性が得られることができる。
【0031】
【表1】

【0032】
示された値は平均値であり、pHでは測定された値の変動が示されている。生成された水は、消費のために適している。これらの値は、商業的に利用可能なDr.Lange kitsで測定され、ISO認証された測定方法がpH測定、電気伝導度、有機炭素の量(TOC=総有機炭素)及び様々なイオンの濃度のために使用される。
【0033】
硝化及び濾過により浄化された水13は、例えば、飲料水の生成中で洗浄水として、続いて再使用されることができ、そこでは得られる所望の味にミネラルが通常添加されなければならない。浄化された水13の一部は任意選択的に浮揚タンク3にフィードバックされる。前浄化水4中の尿素の濃度はこのように調節手段により、それがバイオリアクター5中に硝化のため適した範囲にあるように、制御される。浄化された水13の一部はまた、濾過ユニット9にフィードバックされる。
【0034】
本発明による装置1は、要求に応じて、異なるスケールで、例えば、家庭又は家畜収容設備の平均的な毎日の尿素排出の処理のために、具体化されることができる。装置1内の液体の輸送は、通常の方法により、好ましくは自動化された電気ポンプにより提供される。スケール及び自動化の程度及び排出流の源に応じて、尿素含有水(特に尿)の1立方メートルを清浄するのに必要な電力の平均量が変化する。例えば、人から出てくる尿含有水用には、必要なエネルギーは、汚物を清浄するために、平均で10kWh/m3に達する。豚から来る排流には、エネルギー消費は顕著に高く、平均は30kWh/m3である。比較のため、豚用に、同様の排流で通常の技術(化学/機械)を使用すると、35kWh/m3の平均エネルギー消費が測定され、これは、明らかに本発明による浄化はよりエネルギー効率のよい方法で作動することを示している。
【0035】
図2は、本発明による装置1のアセンブリを示し、図1で記載されているものの、トイレ20を備えている。このトイレ20は、液体及び固体部分に分離するための分離手段21、22を備えている。多様な適した分離手段が、この目的のために、商業的に利用可能である。この実施例においては、分離は、トイレポット上の人間の座る位置23に適合された、実質的に固体部分(実質的には糞便)用である第1放出部21、尿用である第2放出部22の配置及び寸法を基にして行われる。尿含有液体24は、本発明による装置1に、関連する放出部を経由して案内される。本発明による装置1をトイレに統合することを想定することが可能であり、それにより特に小型のアセンブリが可能である。
【0036】
図3は、本発明による装置1のアセンブリを示し、動物収容設備に統合されている。動物33、例えば牛、からの糞31及び尿32の混合物は、動物収容設備30で集められ、分離装置34に運ばれる。様々な種類の分離装置が商業的に利用可能である。この実施例において分離装置34は、入口部35を備え、糞31及び尿32の混合物がプレス空間36に運ばれる。尿含有液体32はそして、プランジャー37を使用して固体物質(実質的には糞)から押し出される。固体物質は相対的に乾燥したケーキ38として放出され、尿含有液体相32は、出口部により、本発明による装置に放出される。この実施例に示されているのは、牛小屋であるが、例えば豚、鶏、七面鳥のような他の動物用に、同様な建築物を考えることができる。浄化された水は例えば、動物収容設備30の動物のための飲料水として再使用されることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 装置
2 入口部
3 混合容器
4 排水
5 硝化ユニット
6 酸素
7 ガス放出部
8 硝化された水
9 濾過ユニット
10、11 浸透フィルター
12 濃縮された塩溶液
13 浄化された水
14 排水
15 ナノ濾過フィルター
20 トイレ
21、22 分離手段
23 人間の座る位置
24 尿含有液体
30 動物収容設備
31 糞
32 尿
33 動物
34 分離装置
37 プランジャー
38 ケーキ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿素含有水を処理するための装置であって、尿素を酸化して窒素及び二酸化炭素にするのに適した硝化ユニットに接続された尿素含有水用の入口を備え、ここで、硝化ユニットはまた、酸素供給部、ガス放出部、及び、硝化ユニットに接続された濾過ユニットに硝化ユニットにより硝化された廃液を供給するためのスルー供給部が備えられ、並びに濾過ユニットは少なくとも硝化ユニット及び濾過ユニットにより浄化された水のための外供給部を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記硝化ユニットは硝化バクテリアを備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記硝化バクテリアは、ニトライト生成バクテリア及びニトレート生成バクテリアを含み、前記ニトライト生成バクテリアはアンモニアをニトライトに酸化し、前記ニトレート生成バクテリアはニトライトをニトレートに酸化することを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ニトライト生成バクテリアは、ニトロソモナス、ニトロソスピラ及びニトロソコッカスからなる群のうちから選ばれる少なくとも1つの属を備えることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ニトレート生成バクテリアは、ニトロバクター、ニトロスピラ及びニトロコッカスからなる群のうちから選ばれる少なくとも1つの属を備えることを特徴とする請求項3又は4に記載の装置。
【請求項6】
前記硝化バクテリアの少なくとも幾つかが固定キャリアに取り付けられていることを特徴とする請求項2,3,4、又は5に記載の装置。
【請求項7】
前記濾過ユニットの外供給部は、また、浄化された水の少なくとも一部を硝化ユニット及び/又は濾過ユニットにフィードバックするためのフィードバック部を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の装置。
【請求項8】
前記スルー供給部は、尿素を含有しない水を供給するための第2供給部を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の装置。
【請求項9】
前記第2供給部は、尿素を含有しない水から少なくとも石鹸残渣を除去するために適したフィルター、特にナノフィルターを備えることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記濾過ユニットは少なくとも1つの濾過膜を備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の装置。
【請求項11】
前記濾過ユニットは、少なくとも1つの逆浸透膜を備え、その浸透膜は、浸透活性物質、特に二価塩を除去するために適合された少なくとも1つのナノフィルターにより所望の流れ方向において先行することを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記硝化ユニットの入口部は、尿素含有水から固形残渣を分離するための分離手段を備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の装置。
【請求項13】
トイレ出口部が硝化ユニットの入口部に接続されたことを特徴とする請求項1〜12に記載された装置を備えた家庭用トイレ。
【請求項14】
請求項1〜12に記載された装置を備えた動物収容設備、特に家畜収容設備。
【請求項15】
尿素含有水を浄化する方法であって、尿素を硝化する処理ステップと硝化された水を濾過する処理ステップとを備え、前記処理ステップが請求項1〜11に記載された装置で実行されることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−501848(P2012−501848A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526824(P2011−526824)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際出願番号】PCT/NL2009/050544
【国際公開番号】WO2010/030181
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(506010862)ヨーロピアン・スペース・エージェンシー (3)
【Fターム(参考)】