説明

尿素濃度測定方法および尿素濃度測定装置

【課題】人工透析装置の大掛かりな装置の改造を必要とせず、かつ高時間分解能を有する尿素濃度測定装置、および尿素濃度測定方法を提供する。
【解決手段】測定対象溶液の流路11の側面に赤外線光源12を設ける。そして、流路11を介して赤外線光源12と向かい合う位置に第1の赤外線センサ14b及び第2の赤外線センサ15bが設けられている。第1の赤外線センサ14bは、測定対象溶液中の尿素により吸収される波長帯の第1の赤外線透過量を検知し、第2の赤外線センサ15bは、尿素により吸収されない波長帯の第2の赤外線透過量を検知する。そして、第1の赤外線透過量と、第2の赤外線透過量との差に基づいて尿素濃度の測定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料溶液中の尿素濃度を定量する尿素濃度測定方法、及びそれを用いる尿素濃度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
腎臓機能に障害にきたすと体内から排出されるべき老廃物が体内に残留し続ける事になる。人工的に老廃物を排出する手段として、人工透析治療が従来から行われている。人工透析治療では、血液をダイアライザと呼ばれる内径100μm程度の半透膜でできた管状の中空糸集合体を通過させる。この時、血中に存在する尿素由来の窒素化合物等の低分子の溶質は、ダイアライザを通過する過程で透析液側に浸透することにより体外に除去される。これにより血液中の老廃物を除去する事が出来る。
【0003】
人工透析治療においてモニタするべき項目の一つとして、血中の尿素量が挙げられる。血中の尿素量は、採血することにより分析され、血中尿素窒素(Blood Urea Nitrogen、以下「BUN」と略記することがある。)値として評価されている。
【0004】
尿素を含む試料溶液中の尿素濃度を測定する方法として、尿素と反応して発色する試薬を用い、その試薬の標準色と比較することにより尿素濃度を測定する比色法、尿素に特異的に働く酵素であるウレアーゼをガラスビーズの周囲に固定化し、尿素の加水分解反応に伴う反応熱を測定することにより尿素濃度を測定する酵素サーミスタ法、尿素と反応して化学発光を生じる酸化剤、例えば、次亜ハロゲン酸塩を用い、その化学発光の強度から尿素濃度を測定する化学発光法等が知られている。
【0005】
この中でも化学発光法は、尿素濃度をリアルタイムで測定することが可能であるため、特に、人工透析医療において、透析治療の終了すべきタイミングを知る手段として用いることができる。しかし尿素と次亜ハロゲン酸イオンの発光反応において、次亜臭素酸ナトリウムのような酸化剤の安定性が良好ではなく、濃度が変化しやすいため改善が求められていた。この対策として、特許文献1に示す提案がなされている。
【0006】
特許文献1には、電気分解により系中で次亜ハロゲン酸イオンを生じさせ、さらに電気分解を行う槽として、ピストン、シリンダーを有する攪拌槽を用いることにより、均一な発光反応を行って正確に測定するリアルタイム尿素定量法が記載されている。
【0007】
また人工透析治療においてモニタすべき項目として、ダイアライザからの血液成分の漏洩が挙げられる。例えば透析医療中はダイアライザに圧力が掛かっているが、その圧力でダイアライザに亀裂が生じると、透析液中に血液成分が漏洩してしまう。このような場合に、漏洩を早急に検知する手段として特許文献2に示す案がある。
【0008】
特許文献2には、透析液の流路を挟む形でガラス板を平行に配置し、一方のガラスの外から光源を用いて光を透析液に入射し、他方のガラス板の外から受光素子で光源からの入射光を受光し、その強度をコンピュータで処理する構成となっている。透析液に血液成分が混入すると、入射光に対する血液成分の吸収があるため、透析液の光の透過度が減少する。よって受光素子の強度をモニタする事で血液成分の漏洩の有無を判断し、透析医療の制御を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−069024号公報
【特許文献2】実公平05−22180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1に記載の尿素濃度測定方法を人工透析治療に応用する場合、尿素濃度測定の為にピストン、シリンダーからなる攪拌層及び次亜ハロゲン酸イオンを生じさせるための電気分解電極、反応財溶液が必要となり、人工透析装置の大掛かりな改造が必要となる。さらに化学反応を必要とするため、少なくとも反応時間分の測定タイムラグが生じる。また特許文献2に記載の方法では、透析液への血液成分の漏洩をモニタするのみであり、漏洩成分の定量及び同定を行えない。本発明は、これらのような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、人工透析装置の大掛かりな装置の改造を必要とせず、かつ高時間分解能を有する尿素濃度測定方法および尿素濃度測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、このような目的を達成するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、測定対象溶液の流路の側面に赤外線光源を配置し、前記流路の、前記赤外線光源と相対する側面に第1の赤外線センサ及び第2の赤外線センサを配置し、前記第1の赤外線センサによって、尿素により吸収される波長帯の第1の赤外線透過量を検知し、前記第2の赤外線センサによって、尿素により吸収されない波長帯の第2の赤外線透過量を検知し、前記第1の赤外線透過量と、前記第2の赤外線透過量との差に基づいて尿素濃度の測定を行うことを特徴とする尿素濃度測定方法である。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記第1の赤外線センサは、尿素により吸収される波長帯の赤外線を選択的に透過する第1の光学フィルタ及び第1の量子型赤外線センサにより構成され、前記第2の赤外線センサは、尿素により吸収されない波長帯の赤外線を選択的に透過する第2の光学フィルタ及び第2の量子型赤外線センサにより構成されることを特徴とする尿素濃度測定方法である。
【0013】
請求項3に記載の発明は、測定対象溶液の流路の側面に赤外線光源を備え、前記流路の、前記赤外線光源と相対する側面に第1の赤外線センサ及び第2の赤外線センサを備え、前記第1の赤外線センサによって、尿素により吸収される波長帯の第1の赤外線透過量を検知し、前記第2の赤外線センサによって、尿素により吸収されない波長帯の第2の赤外線透過量を検知し、前記第1の赤外線透過量と、前記第2の赤外線透過量との差に基づいて尿素濃度の測定を行うことを特徴とする尿素濃度測定装置である。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記第1の赤外線センサは、尿素により吸収される波長帯の赤外線を選択的に透過する第1の光学フィルタ及び第1の量子型赤外線センサにより構成され、前記第2の赤外線センサは、尿素により吸収されない波長帯の赤外線を選択的に透過する第2の光学フィルタ及び第2の量子型赤外線センサにより構成されることを特徴とする尿素濃度測定装置である。
【0015】
請求項5に記載の発明は、前記量子型赤外線センサはセンサ素子部を有し、該センサ素子部は、基板上に設けられた第1のコンタクト層と、該第1のコンタクト層上に設けられた吸収層と、該吸収層上に設けられたバリア層と、該バリア層上に設けられた第2のコンタクト層と、該第2のコンタクト層上に設けられた第2の電極と、前記第1のコンタクト層と前記吸収層と前記バリア層と前記第2のコンタクト層に隣接して設けられたパッシベーション層と、該パッシベーション層を介して前記基板上に設けられた第1の電極と、を備えたことを特徴とする請求項3又は4に記載の尿素濃度測定装置である。
【0016】
請求項6に記載の発明は、前記第1のコンタクト層はn型のInSbからなり、前記吸収層はπ型のInSbからなり、前記バリア層はp型のAlInSbからなり、前記第2のコンタクト層はp型のInSbからなることを特徴とする請求項5に記載の尿素濃度測定装置である。
【0017】
請求項7に記載の発明は、前記量子井戸型赤外線センサは、複数のセンサ素子部を直列に接続させたものであることを特徴とする請求項3から6に記載の尿素濃度測定装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数の量子型赤外線センサ素子と、この量子型赤外線センサ素子に対して赤外線光源側に設けられ、各々異なる特定の波長帯域の赤外光を選択的に透過する複数の光学フィルタとを測定対象溶液の流路を挟む形状で備えることで、小型でかつ簡便な素子形状を有し、測定対象溶液中の高時間分解能尿素濃度定量を行う事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明における量子型赤外線センサの構成図である。
【図2】本発明における複数のセンサ素子からなる量子型赤外線センサの断面図である。
【図3】H2Oの赤外線領域での透過率を示す図である。
【図4】尿素の赤外線領域での透過率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
【0021】
(図1)本発明に係る量子型赤外線センサは、複数の量子型赤外線センサ14b,15bと、この量子型赤外線センサ14b,15bに隣接して設けられ、各々異なる特定の波長帯域の赤外線を選択的に透過する複数の光学フィルタ14a,15aと、少なくともこれらの量子型赤外線センサ素子14b,15b及び光学フィルタ14a,15aを保持する保持部材17と、を備える。光学フィルタ14a,15aは窓材13を介して測定対象溶液流路端に面しており、他方の測定対象溶液流路端にも窓材13及びその外側に赤外線光源12を備えている。また量子型赤外線センサ素子14b,15bの出力は、増幅器及びノイズを除去するフィルタを介して入力信号を処理する演算装置16に入力される。
【0022】
図1に示すように、一対の光学フィルタ14a,15aは、赤外線光源からの参照光透過用光学フィルタと、参照光と異なる波長帯域透過用光学フィルタとの一対からなっている。本発明に使用する特定の波長帯域の赤外光を選択的に透過する光学フィルタとは、赤外線等の電磁波を透過する光学部材を使用して、特定の波長帯域の赤外光を選択的に透過するようにしたものである。光学部材は、特定の波長帯域の赤外光を選択的に透過する機能を有するものであれば、光学部材単体でも使用することができる。また、光学部材上に異なる屈折率を有する誘電体を層状に蒸着した誘電体多層膜フィルタも用いられる。
【0023】
以下に、この光学フィルタの一例を示すが、本実施例における光学フィルタは、この例に限定されるものではなく、赤外光を選択的に透過する機能を有するものであれば、この例に限定されることなく使用することができる。光学フィルタの例としては、光学部材と、この光学部材上に多層で形成される薄膜とにより、長波長又は短波長、又はその両方の波長の赤外線を透過させない機能を有するものである。これらの透過機能を組み合わせることにより、この光学フィルタは、結果的に、特定の波長の赤外線のみを透過させる。
【0024】
この光学フィルタは、特定の波長の赤外線のみを透過させる機能を1枚で行っても良いし、場合によっては複数枚を使用することもできる。また、この光学部材の材料としては、シリコン(Si),硝子(SiO2),サファイヤ(Al23),Ge,ZnS,ZnSe,CaF2,BaF2など、所定の赤外線が透過する材料を用いることができる。また、これに蒸着される薄膜材料としては、シリコン(Si),硝子(SiO2),サファイヤ(Al23),Ge,ZnS,TiO2,MgF2,SiO2,ZrO2,Ta25などである。また、光学部材上に異なる屈折率を有する誘電体を層状に積層した誘電体多層膜フィルタは、表面、裏面において異なる所定の厚みの構成により両面に作られていてもよいし、また、片面のみに形成されていてもよい。また、不要な反射を防止する目的で反射防止膜が表面、及び裏面の両面、又は片面の最表層にのみ形成されていてもよい。
【0025】
また本発明で使用する窓材に関しては、測定対象溶液に溶解しない性質であり、かつ参照光波長及び波長帯域透過用光波長の吸収が充分小さい素材であればよい。具体的にはアルミナ(Al2O3)、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化バリウム(BaF2)、セレン化亜鉛(ZnSe)フッ化マグネシウム(MgF2)、臭沃化タリウム(TlBr+TlI)、フッ化リチウム(LiF)、光学用石英(SiO2)等が挙げられる。
【0026】
また、赤外線の光路にあたる部位については、非測定溶液の停滞が無く、かつ、赤外線の光路長が充分に取れる形態が望ましい。具体的には、図1(a)、(b)に示すように、測定対象溶液流路11が赤外線光路付近でテーパ部18、もしくはカーブ部19を取る事で、赤外線光路中の非測定溶液の対流を起こし、赤外線光路中の非測定溶液の停滞を無くした構造が望ましい。また、図1(c)に示す構造とすることで非測定溶液の停滞を無くし、かつ赤外線の光路長を充分に取る事も出来る。すなわち、測定対象溶液流路11の一部をクランク形状にし、クランク部20を赤外線の光路とすることにより、非測定溶液の停滞を引き起こす測定対象溶液流路11の幅の変化を無くすことが出来るため、非測定溶液の停滞を最小限に抑える事ができる。またクランク部20の長さを充分に長くする事で所望の赤外線の光路長を得ることができる。
【0027】
(図2)本発明の常温で動作する量子型赤外線センサは、赤外線によって光起電力効果を生じるフォトダイオード構造を有する受光部を基板上に形成したものである。この基板には、単結晶のSi基板、ガラス基板、又はGaAs基板などを使用することが可能であるが、ここでは一例として半絶縁性のGaAs基板を使用する。
【0028】
また、受光部は、赤外線の光量子(フォトン)によって受光面が励起され、この励起によって受光面の電気的性質が変化する量子型の受光部である。受光部では、その受光面での光電変換によって赤外線エネルギーが電気エネルギーに変換される。量子型であるため、受光部の赤外線検出感度は、当該受光部及びその周辺の熱容量にほとんど影響されない。
【0029】
また、受光部の受光面は、例えば、InAsxSb1−x(0≦x≦1)で構成されており、波長1〜11μm程度までの赤外線を効率良く光電変換することができるようになっている。受光部は、例えば、半絶縁性GaAs基板上に形成されたInSb系の量子型PINフォトダイオードで構成されている。
【0030】
また、このInSb系の量子型PINフォトダイオードは、基板と、この基板上に形成されたn型のInSb層(コンタクト層)と、このn型のInSb層上に形成されたp型ドープされたInSb層(吸収層)と、このp型ドープされたInSb層上に形成されたp型のAlInSb層(バリア層)と、このp型のAlInSb層上に形成されたp型のInSb層(コンタクト層)とを備えてもよい。
【0031】
センサ素子(受光部)において、各PINフォトダイオードは、接続配線によって直列に接続されている。基板の裏面(すなわち、PINフォトダイオードが形成されている面の反対)側から赤外線が入射すると、その赤外線輻射量に応じた光起電力がPINフォトダイオードで発生し、接続配線を通って受光部の外へ出力されるようになっている。
【0032】
常温で動作する量子型赤外線センサは、従来一般に用いられるサーモパイルなどの熱起電力型の素子よりも高い感度であり、シグナルあたりのノイズ量、すなわち、SN比もまた、それらより良好である。また、この量子型赤外線センサは、その組み立て成型時に表面実装可能な形状とすることも可能である。
【0033】
さらに、センサ素子29をより詳細に説明する。例えば、半絶縁性GaAs基板21上にn型のInSbコンタクト層22と、π型のInSb吸収層23と、p型のAlInSbバリア層24と、p型のInSbコンタクト層25が形成され、n型のInSbコンタクト層22は、第1の素子部電極26aと電気的に接続され、さらに、p型のInSbコンタクト層25は、第2の素子部電極27aと電気的に接続されている。
【0034】
センサ素子29を構成する半導体薄膜の材料は、上述した例に限定されるものではない。第1の素子部電極26a,第2の素子部電極27aが、半導体層とコンタクトしないように所定の位置にSiNなどのパッシベーション層28が形成されている。さらに、半絶縁性GaAs基板の裏面は、赤外線を取り込む窓となるため、保護層30が形成されている。この保護膜30は、入射する赤外線の反射防止やセンサ部の保護のために設けられ、測定したい波長の赤外線をできるだけ多く透過させる材質が好ましく選択される。例えば、酸化シリコンや窒化シリコンなどが好ましく用いられる。
【0035】
このような構成により、光学フィルタ14a,15aを透過してきた赤外線は、第1、第2の量子型赤外線センサ14b,15bの保護層30から半絶縁性GaAs基板21へ入射する。光学フィルタ14a,15aを透過してきた赤外線は、5.0μmや5.7μmなどの波長であり、半絶縁性GaAs基板21はエネルギーバンドギャップが広く、光学フィルタ14a,15aを透過してきた赤外線は、GaAs基板21で吸収されることなく透過する。GaAs基板21を透過した赤外線は、第1、第2の量子型赤外線センサのπ型のInSb吸収層23で吸収され、π型のInSb吸収層23内では光励起された電子により光電流が発生する。この光電流の発生量により、第1、第2の素子部電極26a、27a及び第1、第2のパッド電極26b、27bから出力電圧を取り出すことができる。
【0036】
図2に示すように、量子型赤外線センサ素子は直列に接続することが可能である。これにより、大きな出力信号を得ることができる。センサ素子29の個数は、同一面積の基板上に多く直列接続させる方が、量子型赤外線センサの感度が向上するため、微細加工技術を駆使してできるかぎり多くのセンサ素子29を形成することが好ましい。
【0037】
実際の人工透析における本発明の実施においては、透析液の流路が図1に示す測定対象溶液流路11となる。透析液中に含まれる尿素濃度の測定に際しては、図3に示すように、H2O及び尿素の透過率が高い波長5.0μmのバンドパスフィルターを光学フィルタ14aに用い、一方、図4に示すようにH2Oの透過率は高く、尿素の透過率が低い波長5.7μmのバンドパスフィルターを光学フィルタ15aに使用する。赤外光源12から、測定対象溶液(透析液)流路11に対して赤外線を入射すると、第1、第2の量子型赤外線センサ14b、15bにそれぞれ出力電圧が生じ、これらを比較する事で尿素濃度測定が実施可能となる。例えば、測定対象溶液中の尿素濃度が増加した際には、尿素の透過率が高い波長5.0μmの光強度は変化しないが、尿素の透過率が低い波長5.7μmの光強度は尿素濃度に依存して光強度が減少する。光強度に依存して第1、第2の量子型赤外線センサ14b,15bの出力電圧が増減するので、センサ14b,15bからの出力に基づいて尿素の濃度変化が算出できて、測定対象溶液中の尿素濃度測定が可能となる。
【符号の説明】
【0038】
11 測定対象溶液流路
12 赤外光源
13 窓材
14a 第1の光学フィルタ
14b 第1の量子型赤外線センサ
15a 第2の光学フィルタ
15b 第2の量子型赤外線センサ
16 演算装置
17 保持部材
18 テーパ部
19 カーブ部
20 クランク部
21 基板
22 第1のコンタクト層
23 吸収層
24 バリア層
25 第2のコンタクト層
26a 第1の素子部電極
26b 第1のパッド電極
27a 第2の素子部電極
27a 第2のパッド電極
28 パシベーション層
29 量子型赤外線センサ素子
30 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象溶液の流路の側面に赤外線光源を配置し、
前記流路の、前記赤外線光源と相対する側面に第1の赤外線センサ及び第2の赤外線センサを配置し、
前記第1の赤外線センサによって、尿素により吸収される波長帯の第1の赤外線透過量を検知し、
前記第2の赤外線センサによって、尿素により吸収されない波長帯の第2の赤外線透過量を検知し、
前記第1の赤外線透過量と、前記第2の赤外線透過量との差に基づいて尿素濃度の測定を行う
ことを特徴とする尿素濃度測定方法。
【請求項2】
前記第1の赤外線センサは、尿素により吸収される波長帯の赤外線を選択的に透過する第1の光学フィルタ及び第1の量子型赤外線センサにより構成され、前記第2の赤外線センサは、尿素により吸収されない波長帯の赤外線を選択的に透過する第2の光学フィルタ及び第2の量子型赤外線センサにより構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の尿素濃度測定方法。
【請求項3】
測定対象溶液の流路の側面に赤外線光源を備え、
前記流路の、前記赤外線光源と相対する側面に第1の赤外線センサ及び第2の赤外線センサを備え、
前記第1の赤外線センサによって、尿素により吸収される波長帯の第1の赤外線透過量を検知し、前記第2の赤外線センサによって、尿素により吸収されない波長帯の第2の赤外線透過量を検知し、前記第1の赤外線透過量と、前記第2の赤外線透過量との差に基づいて尿素濃度の測定を行う
ことを特徴とする尿素濃度測定装置。
【請求項4】
前記第1の赤外線センサは、尿素により吸収される波長帯の赤外線を選択的に透過する第1の光学フィルタ及び第1の量子型赤外線センサにより構成され、前記第2の赤外線センサは、尿素により吸収されない波長帯の赤外線を選択的に透過する第2の光学フィルタ及び第2の量子型赤外線センサにより構成される
ことを特徴とする請求項3に記載の尿素濃度測定装置。
【請求項5】
前記量子型赤外線センサはセンサ素子部を有し、該センサ素子部は、
基板上に設けられた第1のコンタクト層と、該第1のコンタクト層上に設けられた吸収層と、該吸収層上に設けられたバリア層と、該バリア層上に設けられた第2のコンタクト層と、該第2のコンタクト層上に設けられた第2の電極と、前記第1のコンタクト層と前記吸収層と前記バリア層と前記第2のコンタクト層に隣接して設けられたパッシベーション層と、該パッシベーション層を介して前記基板上に設けられた第1の電極と
を備えることを特徴とする請求項3又は4に記載の尿素濃度測定装置。
【請求項6】
前記第1のコンタクト層はn型のInSbからなり、前記吸収層はπ型のInSbからなり、前記バリア層はp型のAlInSbからなり、前記第2のコンタクト層はp型のInSbからなる
ことを特徴とする請求項5に記載の尿素濃度測定装置。
【請求項7】
前記量子井戸型赤外線センサは、複数のセンサ素子部を直列に接続させたものであることを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載の尿素濃度測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−47767(P2011−47767A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195786(P2009−195786)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(303046277)旭化成エレクトロニクス株式会社 (840)
【Fターム(参考)】