尿道カテーテル
【課題】体内に留置された状態での違和感を低減することができる尿道カテーテルを提供する。
【解決手段】尿道カテーテル10は、導尿口12と、導尿口12に連通するルーメン24aとが設けられた先端部14と、蓄尿バッグ20に連通可能な基部18と、先端部14と基部18との間を連結し、導尿口12と基部18とを介して蓄尿バッグ20とを連通するメインルーメン24が形成された中間チューブ16と、先端部14の外面に配置され、中間チューブ16に形成されたサブルーメン26を介して供給される拡張用流体によって拡張するバルーン22とを備え、少なくとも当該尿道カテーテル10が生体に留置された状態では、中間チューブ16の占有断面積が先端部14の占有断面積よりも小となるように構成されている。
【解決手段】尿道カテーテル10は、導尿口12と、導尿口12に連通するルーメン24aとが設けられた先端部14と、蓄尿バッグ20に連通可能な基部18と、先端部14と基部18との間を連結し、導尿口12と基部18とを介して蓄尿バッグ20とを連通するメインルーメン24が形成された中間チューブ16と、先端部14の外面に配置され、中間チューブ16に形成されたサブルーメン26を介して供給される拡張用流体によって拡張するバルーン22とを備え、少なくとも当該尿道カテーテル10が生体に留置された状態では、中間チューブ16の占有断面積が先端部14の占有断面積よりも小となるように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体に挿入及び留置されることにより、膀胱内の尿を蓄尿容器へと導入するために用いられる尿道カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
排尿が困難な患者や手術直後の患者等に対しては、尿道カテーテルを排尿口から尿道に挿入し、その先端部を膀胱内に留置することにより、膀胱内の尿を体外の蓄尿バッグ等に排出する処置が行われることがある。
【0003】
このような尿道カテーテルに関し、本出願人は、例えば、特許文献1、2において、蓄尿バッグやシリンジ等、複数種類の器具を接続可能な尿道カテーテルや、尿道カテーテルの材質にSEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン)にエチレン−プロピレンランダム共重合体を配合する構成を提案している。
【0004】
さらに、本出願人は、カテーテル本体の外面に被覆したバルーン用チューブの外周部に熱収縮チューブを被覆・収縮させることにより、バルーン用チューブをカテーテル本体に融着する方法(特許文献3参照)や、カテーテル本体の体内に挿入される部分に被せたチューブの前後部分を融着することでバルーンを構成するバルーンカテーテル(特許文献4参照)等も提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−276005号公報
【特許文献2】特開平8−299431号公報
【特許文献3】特許第2909993号公報
【特許文献4】特開2004−209104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
手術直後の患者等、ベッドから起き上がることが困難な患者は、尿道カテーテルを体内に留置しておくことにより、トイレに移動する負担をなくすことができる。ところが、尿道カテーテルは、排尿口から尿道を経て、膀胱までの間に挿入された状態で体内に留置されるため、患者が異物感や違和感を生じることがある。
【0007】
本発明は、このような従来技術に関連してなされたものであり、体内に留置された状態での違和感を低減することができる尿道カテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る尿道カテーテルは、膀胱内の尿を流入させる導尿口と、該導尿口に連通する尿路とが設けられた先端部と、蓄尿容器に連通可能な基部と、前記先端部と前記基部との間を連結し、前記導尿口と前記基部を介して前記蓄尿容器とを連通するメインルーメンが形成された中間チューブと、前記先端部の外面に配置され、前記中間チューブに形成されたサブルーメンを介して供給される拡張用流体によって拡張可能なバルーンとを備え、前記導尿口が膀胱内に留置され、前記中間チューブが尿道に留置される尿道カテーテルであって、少なくとも当該尿道カテーテルが生体に留置された状態では、前記中間チューブの占有断面積が前記先端部の占有断面積よりも小となることを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、当該尿道カテーテルが生体に留置された状態において、膀胱やその近傍の前立腺等に留置される先端部に対し、大部分が尿道に留置される中間チューブの方がその占有断面積が小となるように構成されている。従って、膀胱や前立腺よりも感覚が鋭い尿道には、より占有断面積の小さい中間チューブが留置されることから、使用者の受ける違和感を低減することができる。
【0010】
ここで、占有断面積とは、前記中間チューブ或いは尿路を有する前記先端部を徒手的に圧迫した状態における軸方向に直交する断面の前記中間チューブ又は前記先端部の外面により画成される領域の面積を言う。
【0011】
この場合、軸方向に直交する断面視で、前記先端部よりも前記中間チューブの方が形成材料の材料占有率が低く、空隙が多く構成すると、中間チューブを体内で潰れ易く構成することができるため、使用者の受ける違和感を一層低減することができる。一方、当該尿道カテーテルの挿入時の先頭となる先端部は、材料占有率が中間チューブよりも高く設定され、その剛性が確保されるため、挿入時に潰れや屈曲を生じることが防止され、円滑な挿入が可能となる。
【0012】
また、少なくとも当該尿道カテーテルが生体に留置された状態では、前記中間チューブの外径が前記先端部の外径よりも小径となることで、使用者の違和感を低減することができる。
【0013】
前記サブルーメンは、前記メインルーメン内に2重管として配置されているか、又は、前記メインルーメンを形成する管壁を内側に突出させた膨出部内に形成されているとよい。そうすると、生体内に留置された状態で中間チューブが潰れた場合であっても、メインルーメンは、その内側に2重管として配置されているか又は膨出部内に形成されているサブルーメンの管壁により、完全に閉塞されることが回避される。
【0014】
前記中間チューブの内面に、前記メインルーメン内に突出する突起が設けられていても、メインルーメンの閉塞防止効果を得ることができる。この場合、前記突起は軸方向に沿って旋回するらせん形状であってもよい。
【0015】
前記中間チューブには、メッシュ状の補強部材が埋設されていてもよい。そうすると、中間チューブを薄肉に構成した場合であっても、その強度を十分に確保することができる。この場合、前記補強部材の一部が前記メインルーメン内に突出していると、該突出した補強部材によってメインルーメンの閉塞防止効果を得ることができるという利点がある。
【0016】
また、前記先端部に一端が固定され、該先端部から前記中間チューブを経て前記基部へと延在する牽引部材を設けると、当該尿道カテーテルの生体からの引き抜き時、前記牽引部材が引張荷重を負担するため、前記先端部よりも占有断面積が小さい中間チューブに過大な負荷がかかることを防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、当該尿道カテーテルが生体に留置された状態において、膀胱やその近傍の前立腺等に留置される先端部に対し、大部分が尿道に留置される中間チューブの方がその占有断面積が小となるように構成されている。従って、膀胱や前立腺よりも感覚が鋭い尿道には、より占有断面積の小さい中間チューブが留置されるため、使用者の受ける違和感を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る尿道カテーテルの全体構成図である。
【図2】図1に示す尿道カテーテルの一部省略側面断面図である。
【図3】図3Aは、図2中のIIIA−IIIA線に沿う断面図であり、図3Bは、図2中のIIIB−IIIB線に沿う断面図である。
【図4】図2に示す尿道カテーテルの生体への適用例を示す説明図である。
【図5】図2に示す尿道カテーテルが生体に留置されたことにより、中間チューブが潰れた状態を示す一部断面側面図である。
【図6】図2に示す尿道カテーテルが生体に留置されたことにより、中間チューブが潰れた状態を示す断面図である。
【図7】図7Aは、中間チューブを構成する外管の内面に突起を設けた構成例を示す断面図であり、図7Bは、図7Aに示す突起をらせん状に形成した構成例を示す断面側面図である。
【図8】図8Aは、中間チューブを構成する外管にメッシュチューブを埋設した構成例を示す断面図であり、図8Bは、図8Aに示すメッシュチューブの側面図である。
【図9】図2に示す尿道カテーテルの第1変形例に係る尿道カテーテルの一部断面側面図である。
【図10】図2に示す尿道カテーテルの第2変形例に係る尿道カテーテルの先端側の側面断面図である。
【図11】図2に示す尿道カテーテルの第3変形例に係る尿道カテーテルの先端側の側面断面図である。
【図12】図12Aは、図11中のXIIA−XIIA線に沿う断面図であり、図12Bは、図11中のXIIB−XIIB線に沿う断面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る尿道カテーテルの一部省略側面断面図である。
【図14】図14Aは、図13中のXIVA−XIVA線に沿う断面図であり、図14Bは、図13中のXIVB−XIVB線に沿う断面図である。
【図15】図13に示す尿道カテーテルをダブルバルーン構造に構成した場合の中間チューブの断面図である。
【図16】図2に示す尿道カテーテルへの牽引部材の適用例を示す一部省略側面断面図である。
【図17】図17Aは、図11に示す尿道カテーテルへの牽引部材の適用例を示す断面図であり、図17Bは、図15に示す尿道カテーテルへの牽引部材の適用例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る尿道カテーテルについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る尿道カテーテル10の全体構成図であり、図2は、図1に示す尿道カテーテル10の一部省略側面断面図である。本実施形態に係る尿道カテーテル10は、導尿口12が設けられた先端部14を生体の排尿口から尿道へと挿入し、膀胱内に留置された先端部14の導尿口12から流入する尿を、先端部14及び中間チューブ16を経て、体外の基部18に接続した蓄尿バッグ(蓄尿容器)20(図4参照)へと排尿する処置に適用可能な器具である。なお、図1及び図2において、尿道カテーテル10の右側(基部18側)を「基端(後端)」側、尿道カテーテル10の左側(先端部14側)を「先端」側と呼び、他の各図についても同様とする。
【0021】
図1及び図2に示すように、尿道カテーテル10は、先端近傍の側面に左右一対の導尿口12が開口形成された先端部14と、蓄尿バッグ20を接続可能な基部(ハブ)18と、先端部14と基部18との間を接続する長尺な中間チューブ(本体チューブ)16と、先端部14の外面に配置されたバルーン22とを有し、全体として細径且つ長尺なチューブ状に構成されている。
【0022】
図2に示すように、尿道カテーテル10には、その軸方向に延在する2本の内腔として、先端部14の導尿口12から中間チューブ16を経由して基部18で開口するメインルーメン(尿路)24と、メインルーメン24に並列し、バルーン22の内側から中間チューブ16を経由して基部18で開口するサブルーメン(拡張用流路)26とが設けられている。
【0023】
メインルーメン24は、先端部14に形成されたルーメン24aと、中間チューブ16に形成されたルーメン24bと、基部18に形成されたルーメン24cとが液密に接合されることにより、尿道カテーテル10の軸方向に形成されている。同様に、サブルーメン26は、先端部14に形成されたルーメン26aと、中間チューブ16に形成されたルーメン26bと、基部18に形成されたルーメン26cとが液密に接合されることにより、メインルーメン24と並列して設けられている。
【0024】
先端部14は、外周面に開口した導尿口12と、基端のテーパ開口部28から先端側に延びて導尿口12に連通する尿路であるルーメン24aと、ルーメン24aを形成する管壁内に形成された細いルーメン26aとから構成され、最先端が半球状に形成された短尺なチューブである。
【0025】
中間チューブ16は、先端部14や基部18に比べて管壁が薄肉に形成された長尺なチューブであり、その先端側が先端部14の外周面に外嵌されて液密に接合される。図2から諒解されるように、中間チューブ16は、ルーメン24bを形成する外管30の内側(ルーメン24b内)に、ルーメン26bを形成する内管32が挿通配置された2重管である。
【0026】
外管30は、その先端側が先端部14の外周面に対し、例えば、テーパ開口部28近傍の接合部Aと、該接合部Aより先端側の接合部B及び接合部Cとで液密に接合されている。接合部B、C間に設けられる外管30の内面と先端部14の外面との間には、サブルーメン26を構成するルーメン26aの開口34が連通しており、これにより、該接合部B、C間の外管30がバルーン22として機能する。外管30の基端側は、基部18の接続部36に外嵌されて液密に接合される。各接合部A〜Cは液密に接合されていればよく、例えば、接着や熱融着による接合方法が挙げられ、当該尿道カテーテル10の他の箇所での接合方法についても同様である。
【0027】
内管32は、その先端側が先端部14のルーメン26aに嵌挿された状態で液密に接合され、その基端側が基部18の接続部36のルーメン26cに嵌挿された状態で液密に接合される。
【0028】
バルーン22は、上記のように外管30の一部によって形成され、サブルーメン26からの拡張用流体(例えば、造影剤や生理食塩液)による内圧の変化によって折り畳み及び拡張が可能となっている。
【0029】
基部18は、当該尿道カテーテル10に対し、蓄尿バッグ20等を接続するためのポートを構成するものであり、所定のルアーテーパー等によって構成される第1ポート38及び第2ポート40を有する。第1ポート38は、ルーメン24cが連通形成されたメインルーメン24に対する接続ポートである。第1ポート38に対して傾斜して設けられた第2ポート40は、ルーメン26cが連通形成されたサブルーメン26に対する接続ポートである。
【0030】
本実施形態の場合、第1ポート38には、図示しない所定の接続チューブ等を介して蓄尿バッグ20が接続され、該蓄尿バッグ20はメインルーメン24を介して導尿口12に連通する。一方、第2ポート40には、バルーン22の拡張用流体を圧送可能な図示しないインデフレーター等の圧力印加装置が接続され、該圧力印加装置はサブルーメン26を介して開口34からバルーン22の内部に連通する。
【0031】
以上の構成において、先端部14は、例えば、外径が2.0mm〜10.0mm程度、好ましくは2.5mm〜9.0mm程度であり、肉厚が0.7mm〜4.0mm程度、好ましくは0.8mm〜3.0mm程度であり、長さが25mm〜100mm程度、好ましくは30mm〜60mm程度で先端が半球状に閉塞された可撓性を有するチューブである。
【0032】
一方、中間チューブ16を構成する外管30は、例えば、外径が2.0mm〜10.0mm程度、好ましくは2.5mm〜9.5mm程度であり、肉厚が0.005mm〜0.5mm程度、好ましくは0.01mm〜0.2mm程度であり、長さが60mm〜350mm程度、好ましくは100mm〜300mm程度の可撓性を有するチューブであり、内管32は、例えば、外径が0.4mm〜1.0mm程度、好ましくは0.5mm〜0.8mm程度であり、肉厚が0.05mm〜0.2mm程度、好ましくは0.08mm〜0.15mm程度であり、長さが80mm〜400mm程度、好ましくは120mm〜350mm程度の可撓性を有するチューブである。
【0033】
また、後述の牽引部材80を有する場合、中間チューブ16の肉厚は、0.005mm〜0.1mm程度、好ましくは0.01mm〜0.08mm程度である。
【0034】
バルーン22の拡張時の大きさは、例えば、外径が7mm〜40mm程度、好ましくは10mm〜30mm程度であり、軸方向長さ(幅)が5mm〜20mm程度、好ましくは7mm〜15mm程度である。
【0035】
このように、尿道カテーテル10では、薄肉の中間チューブ16に対して、先端部14が厚肉に形成されている(図3A、図3B及び図6参照)。すなわち、尿道カテーテル10を軸方向に直交する断面で見た場合に、図3Aに示すように中間チューブ16のみで形成された部分は、図3Bに示すように先端部14(及び中間チューブ16)の部分よりも、形成材料の材料占有率が低く、空隙(メインルーメン24やサブルーメン26を形成する空間)が多くなっている。つまり、先端部14と基部18を連結し、生体(例えば、尿道)に挿入留置される部分である中間チューブ16は、先端部14よりも断面での材料(管壁)の材料占有率が低くなっており、より柔軟に構成されている。
【0036】
例えば、先端部14(図3B参照)での前記形成材料の材料占有率は、その断面積の40%〜70%程度であり、中間チューブ16(図3A参照)での前記形成材料の材料占有率は、その断面積の0.5%〜30%程度、好ましくは1%〜15%程度である。
【0037】
また、図6に示すように、中間チューブ16を徒手的に圧迫した場合に、該中間チューブ16の外面33で画成される内部の面積(占有断面積)は、先端部14のそれよりも小となり、尿道での刺激が低減される。例えば、先端部14の占有断面積に対する中間チューブ16の占有断面積の比率は、5%〜70%程度、好ましくは8%〜40%、さらに好ましくは10%〜25%であるとよい。なお、先端部14の外面により画成される領域とは、先端部14単体で画成される領域(図3Bから外管30を省略した領域)であっても、先端部14に中間チューブ16を外嵌した状態での領域(図3B参照)であってもよい。
【0038】
さらに、先端部14の外径に対する中間チューブ16の外径の比率が0.2〜0.6であってもよい。このように中間チューブ16が細いと、尿道での刺激を低減することができる。
【0039】
当該尿道カテーテル10は、先端部14、中間チューブ16及びバルーン22の材質として、例えば、次の(A)〜(D)の群によって規定される熱可塑性エラストマーを選択して使用することができる。
【0040】
(A)ポリスチレン系熱可塑性エラストマー
例えば、SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン)、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン)
なお、本発明の実施において好適なSEBSとしては、三菱油化株式会社のラバロン(RABALON)(商品名)が挙げられる。
(B)ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー
例えば、EPBM、EPDM等の部分架橋型ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー
(C)ポリウレタン系熱可塑性エラストマー
例えば、ポリウレタン−ポリエステル、ポリウレタン−ポリオール
(D)ビニル系熱可塑性エラストマー
例えばエチレン−酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー
なお、本発明の実施において、先端部14、中間チューブ16及びバルーン22の材質としては、上記の熱可塑性エラストマーに限らず、ラテックスゴム、或いはシリコーンゴム等を採用することもできる。
【0041】
次に、以上のように構成される本実施形態に係る尿道カテーテル10の作用について説明する。
【0042】
上記のように、先端部14は十分に厚肉であって所定の剛性を有するが、当該尿道カテーテル10の軸方向長さの大部分を占める中間チューブ16は薄肉であって柔軟である。
【0043】
そこで、尿道カテーテル10を生体に挿入し留置する際には、先ず、第1ポート38からメインルーメン24に対し、所定の剛性を持つ細い針金状のスタイレット42(図2中に破線で示す)を挿入し、中間チューブ16に十分な剛性を付与した状態とする。
【0044】
次に、図4に示すように、先端部14を先頭にして、患者の排尿口44から尿道46へと尿道カテーテル10を挿入し、導尿口12及びバルーン22が膀胱48内に配置された状態とする。なお、図4中の参照符号50は、恥骨であり、参照符号52は、前立腺であり、参照符号54は、外尿道括約筋である。
【0045】
導尿口12及びバルーン22が膀胱48内に配置されると、続いて、スタイレット42を抜去した後、第2ポート40からサブルーメン26へと図示しない圧力印加装置から拡張用流体を圧送し、バルーン22を拡張させる。すなわち、バルーン22を膀胱48の入口付近で拡張させることで、当該尿道カテーテル10の体内からの抜け止めがなされ、導尿口12が形成された先端部14(又はその一部)が膀胱48内に確実に留置される。
【0046】
従って、第1ポート38に蓄尿バッグ20を接続することにより、導尿口12からメインルーメン24を介して該蓄尿バッグ20へと、膀胱48内の尿を排尿させることができる。
【0047】
この場合、本実施形態に係る尿道カテーテル10では、先端部14から中間チューブ16の基端側までの生体内に留置される部位のうち、尿道46に留置される中間チューブ16の占有断面積が、膀胱48内に留置される先端部14の占有断面積よりも小となるように構成されている(図3A、図3B及び図6参照)。換言すれば、尿道カテーテル10では、中間チューブ16の断面における材料占有率が先端部14の断面における材料占有率よりも低くなるように、つまり空隙が多くなるように設定されている(図3A及び図3B参照)。すなわち、例えば、先端部14と中間チューブ16の外径が同径の場合には、中間チューブ16が先端部14よりも薄肉に形成される。
【0048】
従って、図4に示すように、尿道カテーテル10が体内に留置された状態では、尿道46に留置された薄肉で柔軟な中間チューブ16を構成する外管30が、図5に示すように、尿道46の内壁による圧迫を受けて適切に収縮し、潰れるため、患者が違和感や異物感を受けることを有効に低減することができる。特に、尿道46の屈曲部46a(図4中の破線囲み参照)等では、一般的に尿道カテーテルによる違和感が大きくなる傾向にあるが、当該尿道カテーテル10では、中間チューブ16(外管30)が屈曲部46aの形状に合わせて適切に潰れるため、その違和感を一層低減することができる。
【0049】
この際、図3Aに示すように、外管30の内側には、内管32が配置されている。このため、中間チューブ16を構成する外管30が潰れた場合であっても、図6に示すように外管30の管壁が内管32の管壁に接触するため、外管30の内壁面同士が密着してメインルーメン24(ルーメン24b)が閉塞されることが回避され、排尿に不都合が生じることはない。
【0050】
なお、図7Aに示すように、外管30の内面に中間チューブ16の軸方向に延びた1以上(図7Aでは2本)の突起49を設けてもよい。そうすると、生体内で外管30が潰れた場合であっても、メインルーメン24(ルーメン24b)が閉塞されることを一層確実に防止することができる。また、突起49は、図7Bに示すように、外管30の内壁面に沿ってらせん状に延在する形状等にすれば、メインルーメン24の閉塞防止効果を一層向上させることができる。
【0051】
図8A及び図8Bに示すように、外管30の内面側に一部が埋設成形されたメッシュチューブ(補強部材)51を設けてもよい。メッシュチューブ51は、例えばカーボンファイバーやアラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ステンレスをはじめとする金属極細繊維等で構成されて適度な剛性及び弾性を有することにより、上記のように薄肉で形成される中間チューブ16(外管30)の強度を確保することができる。しかも、メッシュチューブ51がルーメン24b内に多少突出していると、上記した突起49と同様な閉塞防止効果を得ることができる。
【0052】
一方、当該尿道カテーテル10の挿入時の先頭となる先端部14は、断面占有率が適度に高く設定され、その剛性が確保されているため、挿入時に潰れや屈曲を生じることが防止され、円滑な挿入が可能となる。この先端部14は、尿道カテーテル10が体内に留置された状態では、少なくとも導尿口12周辺が膀胱48内に留置され、その基端側も前立腺52や恥骨50、外尿道括約筋54の付近に配置される(図4参照)。膀胱48、前立腺52、恥骨50及び外尿道括約筋54は、尿道46に比べて患者の感度が鈍い傾向にあるため、先端部14の剛性によって患者が違和感を受けることが抑制される。
【0053】
以上のように、尿道カテーテル10は、生体に留置された状態で薄肉に形成された外管30が容易に潰れる。つまり、尿道46に留置された中間チューブ16の外径が、膀胱48内に配置された先端部14の外径よりも小径となるように構成されることにより、患者の違和感を低減することができるが、例えば、図9に示すように、中間チューブ16の外径が予め先端部14よりも細径に構成された外管55を備えた尿道カテーテル10aとして構成してもよい。なお、図9中、図1〜図8に示される参照符号と同一の参照符号は、同一又は同様な構成を示し、このため同一又は同様な機能及び効果を奏するものとして詳細な説明を省略し、以下の変形例等についても同様である。
【0054】
図9から諒解されるように、尿道カテーテル10aでは、尿道46に留置される中間チューブ16の大部分が予め細径に構成されているため、上記した尿道カテーテル10の場合と略同様に、留置された患者の違和感を低減することができる。勿論、外管55が上記外管30と同様に薄肉に形成されていることにより、留置された患者の違和感を一層低減することが可能である。
【0055】
図10は、図2に示す尿道カテーテル10の第2変形例に係る尿道カテーテル10bの先端側の側面断面図である。
【0056】
上記した尿道カテーテル10(10a)では、バルーン22が中間チューブ16を構成する外管30(55)を用いて形成されている構成を例示したが、図10に示すように、尿道カテーテル10bでは、バルーン22を外管30とは別体に構成した点が相違している。これにより、バルーン22の材質や拡張量等を容易に設定変更することが可能となり、生産効率が向上する。
【0057】
図11は、図2に示す尿道カテーテル10の第3変形例に係る尿道カテーテル10cの先端側の側面断面図である。
【0058】
図11に示すように、尿道カテーテル10cは、尿道カテーテル10(10a、10b)の先端部14、中間チューブ16及び基部18に代えて、先端部14a、中間チューブ16a及び基部18aを備える。尿道カテーテル10cは、バルーン22の基端側にバルーン56を並べたダブルバルーン構造であり、バルーン22に拡張用流体を供給するためのサブルーメン26と共に、バルーン56に拡張用流体を供給するためのサブルーメン58が設けられている。
【0059】
サブルーメン58は、サブルーメン26と略同様であり、先端部14に形成されたルーメン58aと、中間チューブ16に形成されたルーメン58bと、基部18に形成されたルーメン58cとが液密に接合されることにより、メインルーメン24を中心としてサブルーメン26と線対称に設けられている。
【0060】
先端部14aは、ルーメン24aを形成する管壁内に、ルーメン26aと共に、ルーメン58aを有する(図12B参照)。中間チューブ16aは、ルーメン24bを形成する外管30の内側(ルーメン24b)に、ルーメン26bを形成する内管32と共に、ルーメン58bを形成する内管60が挿通配置された構成である(図12A参照)。
【0061】
尿道カテーテル10cでは、外管30が前記接合部B、Cによって先端部14の外周面に液密に接合されることでバルーン22が形成されると共に、接合部B、Cより基端側の接合部D、Eによって先端部14の外周面に液密に接合されることでバルーン56が形成されている。すなわち、接合部D、E間に設けられる外管30の内面と先端部14の外面との間には、サブルーメン58を構成するルーメン58aの開口62が連通しており、これにより、該接合部D、E間の外管30がバルーン56として機能する。
【0062】
内管60は、内管32と略同様であり、その先端側が先端部14aのルーメン58aに嵌挿された状態で液密に接合され、その基端側が基部18aの接続部36のルーメン58cに嵌挿された状態で液密に接合される。
【0063】
基部18は、第1ポート38及び第2ポート40と共に、サブルーメン58に連通する接続ポートである第3ポート64を備え、これにより、第2ポート40及び第3ポート64を使用して、各バルーン22、56を個別に拡張及び折り畳むことができる。なお、図11では、図面の簡単のため、第2ポート40及び第3ポート64の基端側の一部を省略して図示している。
【0064】
従って、尿道カテーテル10cによれば、2つのバルーン22、56をそれぞれ拡張及び折り畳むことができることから、例えば、先端側のバルーン22を膀胱48内の入口付近で拡張させ、基端側のバルーン56を恥骨50(外尿道括約筋54)の外側で拡張させることにより、当該尿道カテーテル10cの生体内での位置決め及び抜け止めを一層確実に行うことができる。
【0065】
図13は、本発明の第2の実施形態に係る尿道カテーテル70の一部省略側面断面図である。
【0066】
図13に示すように、尿道カテーテル70は、図2に示す尿道カテーテル10の先端部14、中間チューブ16及びバルーン22に代えて、先端部14b、中間チューブ16b及びバルーン71を備える。
【0067】
中間チューブ16bは、ルーメン24b(メインルーメン24)を形成する外管72の管壁を内側に突出させた膨出部に、ルーメン26b(サブルーメン26)を形成する内管74を設けて構成されている(図13及び図14A参照)。なお、中間チューブ16bの基端は、基部18の接続部36に対して嵌挿及び接合されることにより、ルーメン24b、26bがルーメン24c、26cに対して連通される。
【0068】
先端部14bは、その外周面に、中間チューブ16bの外管72及び内管74が外嵌される凹部76が設けられている(図13及び図14B参照)。すなわち、凹部76に対して外嵌された外管72が、先端部14bの外周面に対し、例えば、テーパ開口部28近傍の接合部Fと、先端側の接合部Gで液密に接合され、これにより、ルーメン24aとルーメン24bとが連通されている。なお、先端部14bは、ルーメン26aが省略されており、先端部14bに接合されたルーメン26bが開口34を介してバルーン71内に連通する。
【0069】
バルーン71は、先端部14bに外嵌接合した外管72の外周面に対し、短尺なチューブが接合部H、Iによって接合されることで形成されている。
【0070】
従って、尿道カテーテル70によれば、その製造時、中間チューブ16bと先端部14bとの接合工程では、外管72を先端部14bの凹部76に外嵌させて各接合部を接合するだけで両者を容易に接合することができ、上記尿道カテーテル10等のように、ルーメン26bをルーメン26aに対して嵌挿する工程等を省略することができるという利点がある。
【0071】
勿論、当該尿道カテーテル70においても、図14Aに示すように外管72の内側に膨出部として形成された内管74が設けられているため、生体に留置した際に中間チューブ16bを構成する外管72が潰れた場合であっても、外管72の内壁面同士が密着してメインルーメン24(ルーメン24b)が閉塞されることを防止することができる。
【0072】
また、当該第2の実施形態に係る尿道カテーテル70についても、上記尿道カテーテル10cと略同様に、バルーン71に図示しない別のバルーンを並設したダブルバルーン構造とすることもできる。この場合には、例えば、図15に示すように、中間チューブ16bについて、ルーメン24b(メインルーメン24)を形成する外管72の管壁を内側に突出させた膨出部を一対設け、各膨出部にそれぞれ内管74を設けて2本のサブルーメンを構成すればよい。また、先端部12bについては、図11に示す尿道カテーテル10cの場合と略同様に、図13に示す先端部14bについて、凹部76を2本の内管74に対応可能な形状とし、図示しない別のバルーンにも拡張性流体を供給可能に構成すればよい。
【0073】
ところで、以上のような尿道カテーテル10(10a〜10c、70)を体内から体外へと引き抜く際には、例えば、図2に示す尿道カテーテル10の場合には、基部18を把持して十分な力で引っ張る必要がある。この際、尿道カテーテル10では、上記のように中間チューブ16を先端部14や基部18よりも薄肉で柔軟に構成しているため、基部18と先端部14との間を連結する中間チューブ16に対し、ある程度の引張荷重が生じるため中間チューブ16に負荷がかかることになる。この引張荷重は、例えば先端部14が体内にきつく挿入されている状態等では一層高くなり、中間チューブ16が受ける負荷も大きくなる。
【0074】
そこで、図16に示すように、例えば、図2に示される尿道カテーテル10について、図11に示される尿道カテーテル10cと略同様な内管60を設け、そこに形成されるサブルーメン58をバルーン拡張用の流路ではなく、例えば細径のワイヤやロープ又はチェーンからなる牽引部材80の挿通用の通路として使用する尿道カテーテル10dとして構成してもよい。
【0075】
図16に示すように、尿道カテーテル10dでは、内管60の先端及び基端が、それぞれ先端部14に形成した内腔82及び基端18に形成した内腔84に嵌挿接合され、サブルーメン58を挿通した牽引部材80の先端及び基端が、それぞれ内腔82及び内腔84を介して先端部14及び基部18に対して固着されている。
【0076】
従って、尿道カテーテル10dによれば、体外への引き抜き時、牽引部材80が基部18と先端部14との間を実質的に連結して引き抜き時の荷重を負担するため、中間チューブ16に過大な負荷がかかることを回避することができる。勿論、図2中に破線で示すように、牽引部材80をメインルーメン24内に直接的に挿通配置し、その先端及び基端を先端部14及び基部18に固定した構成とすることも可能である。なお、牽引部材80は、主に先端部14を引き寄せる際の中間チューブ16の負担を低減するためのものであることから、その先端は先端部14に固定しておく必要があるが、その基端は必ずしも基部18に固定しておく必要はなく、適用されるカテーテルの仕様等によっては、基部18から外部に露出して、例えば人手によって直接的に把持する形態等であってもよい。
【0077】
そこで、このような牽引部材80を構成するワイヤやロープ又はチェーンとしては、尿道カテーテル10を体外へと引き抜く際の引張荷重に十分耐え得る強度を有することが望ましく、その材質は、例えば、ステンレスやチタン等の金属極細繊維、カーボンファイバーやアラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の高強度繊維等にするとよい。また、牽引部材80の長さは、引き抜き時の引張負荷が中間チューブ16に及ばないように、且つ中間チューブ16に十分な屈曲性や可撓性を確保しておくために、中間ルーメン16の先端部14と基部18と連結する部位と略同一又は多少余裕を持った長さに設定するとよい。
【0078】
牽引部材80は、尿道カテーテル10以外の各構成例に係る尿道カテーテル10a〜10c、70にも勿論適用可能であり、例えば、図13に示される尿道カテーテル70に適用する場合には、図17Aに示すように、図15に示される構成と略同様、外管72の内側に別の内管74を膨出形成し、一方の内管74内のルーメン26bを牽引部材80の挿通用の通路として用い、該牽引部材80の先端及び基端については、図16に示す構成例と略同様に先端部14b及び基部18に固着しておけばよい。
【0079】
また、図15に示されるダブルバルーン構造からなる尿道カテーテル70に、牽引部材80を適用する場合には、例えば、図17Bに示すように、外管72の内側に内管74を等間隔(等位相)で3つ設け、そのうち1つを牽引部材80の通路として用いればよく、図11に示される尿道カテーテル10cについても同様に構成可能である。
【0080】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成乃至工程を採り得ることは勿論である。
【0081】
上記では、尿道カテーテル10等は、膀胱48と蓄尿バッグ20との間を連通させるものとして説明したが、例えば、蓄尿バッグ20に代えて、他の蓄尿容器、例えば便器等に第1ポート38を接続するように構成することも可能である。
【0082】
上記各実施形態において、導尿口12は先端部14等の側面に左右一対設けるものとしたが、導尿口としては1又は3以上の孔部を設けて構成してもよい。
【符号の説明】
【0083】
10、10a〜10d、70…尿道カテーテル 12…導尿口
14、14a、14b…先端部 16、16a、16b…中間チューブ
18、18a…基部 20…蓄尿バッグ
22、56、71…バルーン 24…メインルーメン
26、58…サブルーメン 34、62…開口
49…突起 51…メッシュチューブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体に挿入及び留置されることにより、膀胱内の尿を蓄尿容器へと導入するために用いられる尿道カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
排尿が困難な患者や手術直後の患者等に対しては、尿道カテーテルを排尿口から尿道に挿入し、その先端部を膀胱内に留置することにより、膀胱内の尿を体外の蓄尿バッグ等に排出する処置が行われることがある。
【0003】
このような尿道カテーテルに関し、本出願人は、例えば、特許文献1、2において、蓄尿バッグやシリンジ等、複数種類の器具を接続可能な尿道カテーテルや、尿道カテーテルの材質にSEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン)にエチレン−プロピレンランダム共重合体を配合する構成を提案している。
【0004】
さらに、本出願人は、カテーテル本体の外面に被覆したバルーン用チューブの外周部に熱収縮チューブを被覆・収縮させることにより、バルーン用チューブをカテーテル本体に融着する方法(特許文献3参照)や、カテーテル本体の体内に挿入される部分に被せたチューブの前後部分を融着することでバルーンを構成するバルーンカテーテル(特許文献4参照)等も提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−276005号公報
【特許文献2】特開平8−299431号公報
【特許文献3】特許第2909993号公報
【特許文献4】特開2004−209104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
手術直後の患者等、ベッドから起き上がることが困難な患者は、尿道カテーテルを体内に留置しておくことにより、トイレに移動する負担をなくすことができる。ところが、尿道カテーテルは、排尿口から尿道を経て、膀胱までの間に挿入された状態で体内に留置されるため、患者が異物感や違和感を生じることがある。
【0007】
本発明は、このような従来技術に関連してなされたものであり、体内に留置された状態での違和感を低減することができる尿道カテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る尿道カテーテルは、膀胱内の尿を流入させる導尿口と、該導尿口に連通する尿路とが設けられた先端部と、蓄尿容器に連通可能な基部と、前記先端部と前記基部との間を連結し、前記導尿口と前記基部を介して前記蓄尿容器とを連通するメインルーメンが形成された中間チューブと、前記先端部の外面に配置され、前記中間チューブに形成されたサブルーメンを介して供給される拡張用流体によって拡張可能なバルーンとを備え、前記導尿口が膀胱内に留置され、前記中間チューブが尿道に留置される尿道カテーテルであって、少なくとも当該尿道カテーテルが生体に留置された状態では、前記中間チューブの占有断面積が前記先端部の占有断面積よりも小となることを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、当該尿道カテーテルが生体に留置された状態において、膀胱やその近傍の前立腺等に留置される先端部に対し、大部分が尿道に留置される中間チューブの方がその占有断面積が小となるように構成されている。従って、膀胱や前立腺よりも感覚が鋭い尿道には、より占有断面積の小さい中間チューブが留置されることから、使用者の受ける違和感を低減することができる。
【0010】
ここで、占有断面積とは、前記中間チューブ或いは尿路を有する前記先端部を徒手的に圧迫した状態における軸方向に直交する断面の前記中間チューブ又は前記先端部の外面により画成される領域の面積を言う。
【0011】
この場合、軸方向に直交する断面視で、前記先端部よりも前記中間チューブの方が形成材料の材料占有率が低く、空隙が多く構成すると、中間チューブを体内で潰れ易く構成することができるため、使用者の受ける違和感を一層低減することができる。一方、当該尿道カテーテルの挿入時の先頭となる先端部は、材料占有率が中間チューブよりも高く設定され、その剛性が確保されるため、挿入時に潰れや屈曲を生じることが防止され、円滑な挿入が可能となる。
【0012】
また、少なくとも当該尿道カテーテルが生体に留置された状態では、前記中間チューブの外径が前記先端部の外径よりも小径となることで、使用者の違和感を低減することができる。
【0013】
前記サブルーメンは、前記メインルーメン内に2重管として配置されているか、又は、前記メインルーメンを形成する管壁を内側に突出させた膨出部内に形成されているとよい。そうすると、生体内に留置された状態で中間チューブが潰れた場合であっても、メインルーメンは、その内側に2重管として配置されているか又は膨出部内に形成されているサブルーメンの管壁により、完全に閉塞されることが回避される。
【0014】
前記中間チューブの内面に、前記メインルーメン内に突出する突起が設けられていても、メインルーメンの閉塞防止効果を得ることができる。この場合、前記突起は軸方向に沿って旋回するらせん形状であってもよい。
【0015】
前記中間チューブには、メッシュ状の補強部材が埋設されていてもよい。そうすると、中間チューブを薄肉に構成した場合であっても、その強度を十分に確保することができる。この場合、前記補強部材の一部が前記メインルーメン内に突出していると、該突出した補強部材によってメインルーメンの閉塞防止効果を得ることができるという利点がある。
【0016】
また、前記先端部に一端が固定され、該先端部から前記中間チューブを経て前記基部へと延在する牽引部材を設けると、当該尿道カテーテルの生体からの引き抜き時、前記牽引部材が引張荷重を負担するため、前記先端部よりも占有断面積が小さい中間チューブに過大な負荷がかかることを防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、当該尿道カテーテルが生体に留置された状態において、膀胱やその近傍の前立腺等に留置される先端部に対し、大部分が尿道に留置される中間チューブの方がその占有断面積が小となるように構成されている。従って、膀胱や前立腺よりも感覚が鋭い尿道には、より占有断面積の小さい中間チューブが留置されるため、使用者の受ける違和感を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る尿道カテーテルの全体構成図である。
【図2】図1に示す尿道カテーテルの一部省略側面断面図である。
【図3】図3Aは、図2中のIIIA−IIIA線に沿う断面図であり、図3Bは、図2中のIIIB−IIIB線に沿う断面図である。
【図4】図2に示す尿道カテーテルの生体への適用例を示す説明図である。
【図5】図2に示す尿道カテーテルが生体に留置されたことにより、中間チューブが潰れた状態を示す一部断面側面図である。
【図6】図2に示す尿道カテーテルが生体に留置されたことにより、中間チューブが潰れた状態を示す断面図である。
【図7】図7Aは、中間チューブを構成する外管の内面に突起を設けた構成例を示す断面図であり、図7Bは、図7Aに示す突起をらせん状に形成した構成例を示す断面側面図である。
【図8】図8Aは、中間チューブを構成する外管にメッシュチューブを埋設した構成例を示す断面図であり、図8Bは、図8Aに示すメッシュチューブの側面図である。
【図9】図2に示す尿道カテーテルの第1変形例に係る尿道カテーテルの一部断面側面図である。
【図10】図2に示す尿道カテーテルの第2変形例に係る尿道カテーテルの先端側の側面断面図である。
【図11】図2に示す尿道カテーテルの第3変形例に係る尿道カテーテルの先端側の側面断面図である。
【図12】図12Aは、図11中のXIIA−XIIA線に沿う断面図であり、図12Bは、図11中のXIIB−XIIB線に沿う断面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る尿道カテーテルの一部省略側面断面図である。
【図14】図14Aは、図13中のXIVA−XIVA線に沿う断面図であり、図14Bは、図13中のXIVB−XIVB線に沿う断面図である。
【図15】図13に示す尿道カテーテルをダブルバルーン構造に構成した場合の中間チューブの断面図である。
【図16】図2に示す尿道カテーテルへの牽引部材の適用例を示す一部省略側面断面図である。
【図17】図17Aは、図11に示す尿道カテーテルへの牽引部材の適用例を示す断面図であり、図17Bは、図15に示す尿道カテーテルへの牽引部材の適用例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る尿道カテーテルについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る尿道カテーテル10の全体構成図であり、図2は、図1に示す尿道カテーテル10の一部省略側面断面図である。本実施形態に係る尿道カテーテル10は、導尿口12が設けられた先端部14を生体の排尿口から尿道へと挿入し、膀胱内に留置された先端部14の導尿口12から流入する尿を、先端部14及び中間チューブ16を経て、体外の基部18に接続した蓄尿バッグ(蓄尿容器)20(図4参照)へと排尿する処置に適用可能な器具である。なお、図1及び図2において、尿道カテーテル10の右側(基部18側)を「基端(後端)」側、尿道カテーテル10の左側(先端部14側)を「先端」側と呼び、他の各図についても同様とする。
【0021】
図1及び図2に示すように、尿道カテーテル10は、先端近傍の側面に左右一対の導尿口12が開口形成された先端部14と、蓄尿バッグ20を接続可能な基部(ハブ)18と、先端部14と基部18との間を接続する長尺な中間チューブ(本体チューブ)16と、先端部14の外面に配置されたバルーン22とを有し、全体として細径且つ長尺なチューブ状に構成されている。
【0022】
図2に示すように、尿道カテーテル10には、その軸方向に延在する2本の内腔として、先端部14の導尿口12から中間チューブ16を経由して基部18で開口するメインルーメン(尿路)24と、メインルーメン24に並列し、バルーン22の内側から中間チューブ16を経由して基部18で開口するサブルーメン(拡張用流路)26とが設けられている。
【0023】
メインルーメン24は、先端部14に形成されたルーメン24aと、中間チューブ16に形成されたルーメン24bと、基部18に形成されたルーメン24cとが液密に接合されることにより、尿道カテーテル10の軸方向に形成されている。同様に、サブルーメン26は、先端部14に形成されたルーメン26aと、中間チューブ16に形成されたルーメン26bと、基部18に形成されたルーメン26cとが液密に接合されることにより、メインルーメン24と並列して設けられている。
【0024】
先端部14は、外周面に開口した導尿口12と、基端のテーパ開口部28から先端側に延びて導尿口12に連通する尿路であるルーメン24aと、ルーメン24aを形成する管壁内に形成された細いルーメン26aとから構成され、最先端が半球状に形成された短尺なチューブである。
【0025】
中間チューブ16は、先端部14や基部18に比べて管壁が薄肉に形成された長尺なチューブであり、その先端側が先端部14の外周面に外嵌されて液密に接合される。図2から諒解されるように、中間チューブ16は、ルーメン24bを形成する外管30の内側(ルーメン24b内)に、ルーメン26bを形成する内管32が挿通配置された2重管である。
【0026】
外管30は、その先端側が先端部14の外周面に対し、例えば、テーパ開口部28近傍の接合部Aと、該接合部Aより先端側の接合部B及び接合部Cとで液密に接合されている。接合部B、C間に設けられる外管30の内面と先端部14の外面との間には、サブルーメン26を構成するルーメン26aの開口34が連通しており、これにより、該接合部B、C間の外管30がバルーン22として機能する。外管30の基端側は、基部18の接続部36に外嵌されて液密に接合される。各接合部A〜Cは液密に接合されていればよく、例えば、接着や熱融着による接合方法が挙げられ、当該尿道カテーテル10の他の箇所での接合方法についても同様である。
【0027】
内管32は、その先端側が先端部14のルーメン26aに嵌挿された状態で液密に接合され、その基端側が基部18の接続部36のルーメン26cに嵌挿された状態で液密に接合される。
【0028】
バルーン22は、上記のように外管30の一部によって形成され、サブルーメン26からの拡張用流体(例えば、造影剤や生理食塩液)による内圧の変化によって折り畳み及び拡張が可能となっている。
【0029】
基部18は、当該尿道カテーテル10に対し、蓄尿バッグ20等を接続するためのポートを構成するものであり、所定のルアーテーパー等によって構成される第1ポート38及び第2ポート40を有する。第1ポート38は、ルーメン24cが連通形成されたメインルーメン24に対する接続ポートである。第1ポート38に対して傾斜して設けられた第2ポート40は、ルーメン26cが連通形成されたサブルーメン26に対する接続ポートである。
【0030】
本実施形態の場合、第1ポート38には、図示しない所定の接続チューブ等を介して蓄尿バッグ20が接続され、該蓄尿バッグ20はメインルーメン24を介して導尿口12に連通する。一方、第2ポート40には、バルーン22の拡張用流体を圧送可能な図示しないインデフレーター等の圧力印加装置が接続され、該圧力印加装置はサブルーメン26を介して開口34からバルーン22の内部に連通する。
【0031】
以上の構成において、先端部14は、例えば、外径が2.0mm〜10.0mm程度、好ましくは2.5mm〜9.0mm程度であり、肉厚が0.7mm〜4.0mm程度、好ましくは0.8mm〜3.0mm程度であり、長さが25mm〜100mm程度、好ましくは30mm〜60mm程度で先端が半球状に閉塞された可撓性を有するチューブである。
【0032】
一方、中間チューブ16を構成する外管30は、例えば、外径が2.0mm〜10.0mm程度、好ましくは2.5mm〜9.5mm程度であり、肉厚が0.005mm〜0.5mm程度、好ましくは0.01mm〜0.2mm程度であり、長さが60mm〜350mm程度、好ましくは100mm〜300mm程度の可撓性を有するチューブであり、内管32は、例えば、外径が0.4mm〜1.0mm程度、好ましくは0.5mm〜0.8mm程度であり、肉厚が0.05mm〜0.2mm程度、好ましくは0.08mm〜0.15mm程度であり、長さが80mm〜400mm程度、好ましくは120mm〜350mm程度の可撓性を有するチューブである。
【0033】
また、後述の牽引部材80を有する場合、中間チューブ16の肉厚は、0.005mm〜0.1mm程度、好ましくは0.01mm〜0.08mm程度である。
【0034】
バルーン22の拡張時の大きさは、例えば、外径が7mm〜40mm程度、好ましくは10mm〜30mm程度であり、軸方向長さ(幅)が5mm〜20mm程度、好ましくは7mm〜15mm程度である。
【0035】
このように、尿道カテーテル10では、薄肉の中間チューブ16に対して、先端部14が厚肉に形成されている(図3A、図3B及び図6参照)。すなわち、尿道カテーテル10を軸方向に直交する断面で見た場合に、図3Aに示すように中間チューブ16のみで形成された部分は、図3Bに示すように先端部14(及び中間チューブ16)の部分よりも、形成材料の材料占有率が低く、空隙(メインルーメン24やサブルーメン26を形成する空間)が多くなっている。つまり、先端部14と基部18を連結し、生体(例えば、尿道)に挿入留置される部分である中間チューブ16は、先端部14よりも断面での材料(管壁)の材料占有率が低くなっており、より柔軟に構成されている。
【0036】
例えば、先端部14(図3B参照)での前記形成材料の材料占有率は、その断面積の40%〜70%程度であり、中間チューブ16(図3A参照)での前記形成材料の材料占有率は、その断面積の0.5%〜30%程度、好ましくは1%〜15%程度である。
【0037】
また、図6に示すように、中間チューブ16を徒手的に圧迫した場合に、該中間チューブ16の外面33で画成される内部の面積(占有断面積)は、先端部14のそれよりも小となり、尿道での刺激が低減される。例えば、先端部14の占有断面積に対する中間チューブ16の占有断面積の比率は、5%〜70%程度、好ましくは8%〜40%、さらに好ましくは10%〜25%であるとよい。なお、先端部14の外面により画成される領域とは、先端部14単体で画成される領域(図3Bから外管30を省略した領域)であっても、先端部14に中間チューブ16を外嵌した状態での領域(図3B参照)であってもよい。
【0038】
さらに、先端部14の外径に対する中間チューブ16の外径の比率が0.2〜0.6であってもよい。このように中間チューブ16が細いと、尿道での刺激を低減することができる。
【0039】
当該尿道カテーテル10は、先端部14、中間チューブ16及びバルーン22の材質として、例えば、次の(A)〜(D)の群によって規定される熱可塑性エラストマーを選択して使用することができる。
【0040】
(A)ポリスチレン系熱可塑性エラストマー
例えば、SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン)、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン)
なお、本発明の実施において好適なSEBSとしては、三菱油化株式会社のラバロン(RABALON)(商品名)が挙げられる。
(B)ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー
例えば、EPBM、EPDM等の部分架橋型ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー
(C)ポリウレタン系熱可塑性エラストマー
例えば、ポリウレタン−ポリエステル、ポリウレタン−ポリオール
(D)ビニル系熱可塑性エラストマー
例えばエチレン−酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー
なお、本発明の実施において、先端部14、中間チューブ16及びバルーン22の材質としては、上記の熱可塑性エラストマーに限らず、ラテックスゴム、或いはシリコーンゴム等を採用することもできる。
【0041】
次に、以上のように構成される本実施形態に係る尿道カテーテル10の作用について説明する。
【0042】
上記のように、先端部14は十分に厚肉であって所定の剛性を有するが、当該尿道カテーテル10の軸方向長さの大部分を占める中間チューブ16は薄肉であって柔軟である。
【0043】
そこで、尿道カテーテル10を生体に挿入し留置する際には、先ず、第1ポート38からメインルーメン24に対し、所定の剛性を持つ細い針金状のスタイレット42(図2中に破線で示す)を挿入し、中間チューブ16に十分な剛性を付与した状態とする。
【0044】
次に、図4に示すように、先端部14を先頭にして、患者の排尿口44から尿道46へと尿道カテーテル10を挿入し、導尿口12及びバルーン22が膀胱48内に配置された状態とする。なお、図4中の参照符号50は、恥骨であり、参照符号52は、前立腺であり、参照符号54は、外尿道括約筋である。
【0045】
導尿口12及びバルーン22が膀胱48内に配置されると、続いて、スタイレット42を抜去した後、第2ポート40からサブルーメン26へと図示しない圧力印加装置から拡張用流体を圧送し、バルーン22を拡張させる。すなわち、バルーン22を膀胱48の入口付近で拡張させることで、当該尿道カテーテル10の体内からの抜け止めがなされ、導尿口12が形成された先端部14(又はその一部)が膀胱48内に確実に留置される。
【0046】
従って、第1ポート38に蓄尿バッグ20を接続することにより、導尿口12からメインルーメン24を介して該蓄尿バッグ20へと、膀胱48内の尿を排尿させることができる。
【0047】
この場合、本実施形態に係る尿道カテーテル10では、先端部14から中間チューブ16の基端側までの生体内に留置される部位のうち、尿道46に留置される中間チューブ16の占有断面積が、膀胱48内に留置される先端部14の占有断面積よりも小となるように構成されている(図3A、図3B及び図6参照)。換言すれば、尿道カテーテル10では、中間チューブ16の断面における材料占有率が先端部14の断面における材料占有率よりも低くなるように、つまり空隙が多くなるように設定されている(図3A及び図3B参照)。すなわち、例えば、先端部14と中間チューブ16の外径が同径の場合には、中間チューブ16が先端部14よりも薄肉に形成される。
【0048】
従って、図4に示すように、尿道カテーテル10が体内に留置された状態では、尿道46に留置された薄肉で柔軟な中間チューブ16を構成する外管30が、図5に示すように、尿道46の内壁による圧迫を受けて適切に収縮し、潰れるため、患者が違和感や異物感を受けることを有効に低減することができる。特に、尿道46の屈曲部46a(図4中の破線囲み参照)等では、一般的に尿道カテーテルによる違和感が大きくなる傾向にあるが、当該尿道カテーテル10では、中間チューブ16(外管30)が屈曲部46aの形状に合わせて適切に潰れるため、その違和感を一層低減することができる。
【0049】
この際、図3Aに示すように、外管30の内側には、内管32が配置されている。このため、中間チューブ16を構成する外管30が潰れた場合であっても、図6に示すように外管30の管壁が内管32の管壁に接触するため、外管30の内壁面同士が密着してメインルーメン24(ルーメン24b)が閉塞されることが回避され、排尿に不都合が生じることはない。
【0050】
なお、図7Aに示すように、外管30の内面に中間チューブ16の軸方向に延びた1以上(図7Aでは2本)の突起49を設けてもよい。そうすると、生体内で外管30が潰れた場合であっても、メインルーメン24(ルーメン24b)が閉塞されることを一層確実に防止することができる。また、突起49は、図7Bに示すように、外管30の内壁面に沿ってらせん状に延在する形状等にすれば、メインルーメン24の閉塞防止効果を一層向上させることができる。
【0051】
図8A及び図8Bに示すように、外管30の内面側に一部が埋設成形されたメッシュチューブ(補強部材)51を設けてもよい。メッシュチューブ51は、例えばカーボンファイバーやアラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ステンレスをはじめとする金属極細繊維等で構成されて適度な剛性及び弾性を有することにより、上記のように薄肉で形成される中間チューブ16(外管30)の強度を確保することができる。しかも、メッシュチューブ51がルーメン24b内に多少突出していると、上記した突起49と同様な閉塞防止効果を得ることができる。
【0052】
一方、当該尿道カテーテル10の挿入時の先頭となる先端部14は、断面占有率が適度に高く設定され、その剛性が確保されているため、挿入時に潰れや屈曲を生じることが防止され、円滑な挿入が可能となる。この先端部14は、尿道カテーテル10が体内に留置された状態では、少なくとも導尿口12周辺が膀胱48内に留置され、その基端側も前立腺52や恥骨50、外尿道括約筋54の付近に配置される(図4参照)。膀胱48、前立腺52、恥骨50及び外尿道括約筋54は、尿道46に比べて患者の感度が鈍い傾向にあるため、先端部14の剛性によって患者が違和感を受けることが抑制される。
【0053】
以上のように、尿道カテーテル10は、生体に留置された状態で薄肉に形成された外管30が容易に潰れる。つまり、尿道46に留置された中間チューブ16の外径が、膀胱48内に配置された先端部14の外径よりも小径となるように構成されることにより、患者の違和感を低減することができるが、例えば、図9に示すように、中間チューブ16の外径が予め先端部14よりも細径に構成された外管55を備えた尿道カテーテル10aとして構成してもよい。なお、図9中、図1〜図8に示される参照符号と同一の参照符号は、同一又は同様な構成を示し、このため同一又は同様な機能及び効果を奏するものとして詳細な説明を省略し、以下の変形例等についても同様である。
【0054】
図9から諒解されるように、尿道カテーテル10aでは、尿道46に留置される中間チューブ16の大部分が予め細径に構成されているため、上記した尿道カテーテル10の場合と略同様に、留置された患者の違和感を低減することができる。勿論、外管55が上記外管30と同様に薄肉に形成されていることにより、留置された患者の違和感を一層低減することが可能である。
【0055】
図10は、図2に示す尿道カテーテル10の第2変形例に係る尿道カテーテル10bの先端側の側面断面図である。
【0056】
上記した尿道カテーテル10(10a)では、バルーン22が中間チューブ16を構成する外管30(55)を用いて形成されている構成を例示したが、図10に示すように、尿道カテーテル10bでは、バルーン22を外管30とは別体に構成した点が相違している。これにより、バルーン22の材質や拡張量等を容易に設定変更することが可能となり、生産効率が向上する。
【0057】
図11は、図2に示す尿道カテーテル10の第3変形例に係る尿道カテーテル10cの先端側の側面断面図である。
【0058】
図11に示すように、尿道カテーテル10cは、尿道カテーテル10(10a、10b)の先端部14、中間チューブ16及び基部18に代えて、先端部14a、中間チューブ16a及び基部18aを備える。尿道カテーテル10cは、バルーン22の基端側にバルーン56を並べたダブルバルーン構造であり、バルーン22に拡張用流体を供給するためのサブルーメン26と共に、バルーン56に拡張用流体を供給するためのサブルーメン58が設けられている。
【0059】
サブルーメン58は、サブルーメン26と略同様であり、先端部14に形成されたルーメン58aと、中間チューブ16に形成されたルーメン58bと、基部18に形成されたルーメン58cとが液密に接合されることにより、メインルーメン24を中心としてサブルーメン26と線対称に設けられている。
【0060】
先端部14aは、ルーメン24aを形成する管壁内に、ルーメン26aと共に、ルーメン58aを有する(図12B参照)。中間チューブ16aは、ルーメン24bを形成する外管30の内側(ルーメン24b)に、ルーメン26bを形成する内管32と共に、ルーメン58bを形成する内管60が挿通配置された構成である(図12A参照)。
【0061】
尿道カテーテル10cでは、外管30が前記接合部B、Cによって先端部14の外周面に液密に接合されることでバルーン22が形成されると共に、接合部B、Cより基端側の接合部D、Eによって先端部14の外周面に液密に接合されることでバルーン56が形成されている。すなわち、接合部D、E間に設けられる外管30の内面と先端部14の外面との間には、サブルーメン58を構成するルーメン58aの開口62が連通しており、これにより、該接合部D、E間の外管30がバルーン56として機能する。
【0062】
内管60は、内管32と略同様であり、その先端側が先端部14aのルーメン58aに嵌挿された状態で液密に接合され、その基端側が基部18aの接続部36のルーメン58cに嵌挿された状態で液密に接合される。
【0063】
基部18は、第1ポート38及び第2ポート40と共に、サブルーメン58に連通する接続ポートである第3ポート64を備え、これにより、第2ポート40及び第3ポート64を使用して、各バルーン22、56を個別に拡張及び折り畳むことができる。なお、図11では、図面の簡単のため、第2ポート40及び第3ポート64の基端側の一部を省略して図示している。
【0064】
従って、尿道カテーテル10cによれば、2つのバルーン22、56をそれぞれ拡張及び折り畳むことができることから、例えば、先端側のバルーン22を膀胱48内の入口付近で拡張させ、基端側のバルーン56を恥骨50(外尿道括約筋54)の外側で拡張させることにより、当該尿道カテーテル10cの生体内での位置決め及び抜け止めを一層確実に行うことができる。
【0065】
図13は、本発明の第2の実施形態に係る尿道カテーテル70の一部省略側面断面図である。
【0066】
図13に示すように、尿道カテーテル70は、図2に示す尿道カテーテル10の先端部14、中間チューブ16及びバルーン22に代えて、先端部14b、中間チューブ16b及びバルーン71を備える。
【0067】
中間チューブ16bは、ルーメン24b(メインルーメン24)を形成する外管72の管壁を内側に突出させた膨出部に、ルーメン26b(サブルーメン26)を形成する内管74を設けて構成されている(図13及び図14A参照)。なお、中間チューブ16bの基端は、基部18の接続部36に対して嵌挿及び接合されることにより、ルーメン24b、26bがルーメン24c、26cに対して連通される。
【0068】
先端部14bは、その外周面に、中間チューブ16bの外管72及び内管74が外嵌される凹部76が設けられている(図13及び図14B参照)。すなわち、凹部76に対して外嵌された外管72が、先端部14bの外周面に対し、例えば、テーパ開口部28近傍の接合部Fと、先端側の接合部Gで液密に接合され、これにより、ルーメン24aとルーメン24bとが連通されている。なお、先端部14bは、ルーメン26aが省略されており、先端部14bに接合されたルーメン26bが開口34を介してバルーン71内に連通する。
【0069】
バルーン71は、先端部14bに外嵌接合した外管72の外周面に対し、短尺なチューブが接合部H、Iによって接合されることで形成されている。
【0070】
従って、尿道カテーテル70によれば、その製造時、中間チューブ16bと先端部14bとの接合工程では、外管72を先端部14bの凹部76に外嵌させて各接合部を接合するだけで両者を容易に接合することができ、上記尿道カテーテル10等のように、ルーメン26bをルーメン26aに対して嵌挿する工程等を省略することができるという利点がある。
【0071】
勿論、当該尿道カテーテル70においても、図14Aに示すように外管72の内側に膨出部として形成された内管74が設けられているため、生体に留置した際に中間チューブ16bを構成する外管72が潰れた場合であっても、外管72の内壁面同士が密着してメインルーメン24(ルーメン24b)が閉塞されることを防止することができる。
【0072】
また、当該第2の実施形態に係る尿道カテーテル70についても、上記尿道カテーテル10cと略同様に、バルーン71に図示しない別のバルーンを並設したダブルバルーン構造とすることもできる。この場合には、例えば、図15に示すように、中間チューブ16bについて、ルーメン24b(メインルーメン24)を形成する外管72の管壁を内側に突出させた膨出部を一対設け、各膨出部にそれぞれ内管74を設けて2本のサブルーメンを構成すればよい。また、先端部12bについては、図11に示す尿道カテーテル10cの場合と略同様に、図13に示す先端部14bについて、凹部76を2本の内管74に対応可能な形状とし、図示しない別のバルーンにも拡張性流体を供給可能に構成すればよい。
【0073】
ところで、以上のような尿道カテーテル10(10a〜10c、70)を体内から体外へと引き抜く際には、例えば、図2に示す尿道カテーテル10の場合には、基部18を把持して十分な力で引っ張る必要がある。この際、尿道カテーテル10では、上記のように中間チューブ16を先端部14や基部18よりも薄肉で柔軟に構成しているため、基部18と先端部14との間を連結する中間チューブ16に対し、ある程度の引張荷重が生じるため中間チューブ16に負荷がかかることになる。この引張荷重は、例えば先端部14が体内にきつく挿入されている状態等では一層高くなり、中間チューブ16が受ける負荷も大きくなる。
【0074】
そこで、図16に示すように、例えば、図2に示される尿道カテーテル10について、図11に示される尿道カテーテル10cと略同様な内管60を設け、そこに形成されるサブルーメン58をバルーン拡張用の流路ではなく、例えば細径のワイヤやロープ又はチェーンからなる牽引部材80の挿通用の通路として使用する尿道カテーテル10dとして構成してもよい。
【0075】
図16に示すように、尿道カテーテル10dでは、内管60の先端及び基端が、それぞれ先端部14に形成した内腔82及び基端18に形成した内腔84に嵌挿接合され、サブルーメン58を挿通した牽引部材80の先端及び基端が、それぞれ内腔82及び内腔84を介して先端部14及び基部18に対して固着されている。
【0076】
従って、尿道カテーテル10dによれば、体外への引き抜き時、牽引部材80が基部18と先端部14との間を実質的に連結して引き抜き時の荷重を負担するため、中間チューブ16に過大な負荷がかかることを回避することができる。勿論、図2中に破線で示すように、牽引部材80をメインルーメン24内に直接的に挿通配置し、その先端及び基端を先端部14及び基部18に固定した構成とすることも可能である。なお、牽引部材80は、主に先端部14を引き寄せる際の中間チューブ16の負担を低減するためのものであることから、その先端は先端部14に固定しておく必要があるが、その基端は必ずしも基部18に固定しておく必要はなく、適用されるカテーテルの仕様等によっては、基部18から外部に露出して、例えば人手によって直接的に把持する形態等であってもよい。
【0077】
そこで、このような牽引部材80を構成するワイヤやロープ又はチェーンとしては、尿道カテーテル10を体外へと引き抜く際の引張荷重に十分耐え得る強度を有することが望ましく、その材質は、例えば、ステンレスやチタン等の金属極細繊維、カーボンファイバーやアラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の高強度繊維等にするとよい。また、牽引部材80の長さは、引き抜き時の引張負荷が中間チューブ16に及ばないように、且つ中間チューブ16に十分な屈曲性や可撓性を確保しておくために、中間ルーメン16の先端部14と基部18と連結する部位と略同一又は多少余裕を持った長さに設定するとよい。
【0078】
牽引部材80は、尿道カテーテル10以外の各構成例に係る尿道カテーテル10a〜10c、70にも勿論適用可能であり、例えば、図13に示される尿道カテーテル70に適用する場合には、図17Aに示すように、図15に示される構成と略同様、外管72の内側に別の内管74を膨出形成し、一方の内管74内のルーメン26bを牽引部材80の挿通用の通路として用い、該牽引部材80の先端及び基端については、図16に示す構成例と略同様に先端部14b及び基部18に固着しておけばよい。
【0079】
また、図15に示されるダブルバルーン構造からなる尿道カテーテル70に、牽引部材80を適用する場合には、例えば、図17Bに示すように、外管72の内側に内管74を等間隔(等位相)で3つ設け、そのうち1つを牽引部材80の通路として用いればよく、図11に示される尿道カテーテル10cについても同様に構成可能である。
【0080】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成乃至工程を採り得ることは勿論である。
【0081】
上記では、尿道カテーテル10等は、膀胱48と蓄尿バッグ20との間を連通させるものとして説明したが、例えば、蓄尿バッグ20に代えて、他の蓄尿容器、例えば便器等に第1ポート38を接続するように構成することも可能である。
【0082】
上記各実施形態において、導尿口12は先端部14等の側面に左右一対設けるものとしたが、導尿口としては1又は3以上の孔部を設けて構成してもよい。
【符号の説明】
【0083】
10、10a〜10d、70…尿道カテーテル 12…導尿口
14、14a、14b…先端部 16、16a、16b…中間チューブ
18、18a…基部 20…蓄尿バッグ
22、56、71…バルーン 24…メインルーメン
26、58…サブルーメン 34、62…開口
49…突起 51…メッシュチューブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膀胱内の尿を流入させる導尿口と、該導尿口に連通する尿路とが設けられた先端部と、
蓄尿容器に連通可能な基部と、
前記先端部と前記基部との間を連結し、前記導尿口と前記基部を介して前記蓄尿容器とを連通するメインルーメンが形成された中間チューブと、
前記先端部の外面に配置され、前記中間チューブに形成されたサブルーメンを介して供給される拡張用流体によって拡張可能なバルーンと、
を備え、前記導尿口が膀胱内に留置され、前記中間チューブが尿道に留置される尿道カテーテルであって、
少なくとも当該尿道カテーテルが生体に留置された状態では、前記中間チューブの占有断面積が前記先端部の占有断面積よりも小となることを特徴とする尿道カテーテル。
【請求項2】
請求項1記載の尿道カテーテルにおいて、
軸方向に直交する断面視で、前記先端部よりも前記中間チューブの方が形成材料の占有率が低く、空隙が多いことを特徴とする尿道カテーテル。
【請求項3】
請求項1又は2記載の尿道カテーテルにおいて、
少なくとも当該尿道カテーテルが生体に留置された状態では、前記中間チューブの外径が前記先端部の外径よりも小径となることを特徴とする尿道カテーテル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の尿道カテーテルにおいて、
前記サブルーメンは、前記メインルーメン内に2重管として配置されているか、又は、前記メインルーメンを形成する管壁を内側に突出させた膨出部内に形成されていることを特徴とする尿道カテーテル。
【請求項5】
請求項1記載の尿道カテーテルにおいて、
前記中間チューブの内面に、前記メインルーメン内に突出する突起が設けられていることを特徴とする尿道カテーテル。
【請求項6】
請求項5記載の尿道カテーテルにおいて、
前記突起は軸方向に沿って旋回するらせん形状であることを特徴とする尿道カテーテル。
【請求項7】
請求項1記載の尿道カテーテルにおいて、
前記中間チューブには、メッシュ状の補強部材が埋設されていることを特徴とする尿道カテーテル。
【請求項8】
請求項7記載の尿道カテーテルにおいて、
前記補強部材の一部が前記メインルーメン内に突出していることを特徴とする尿道カテーテル。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の尿道カテーテルにおいて、
前記先端部に一端が固定され、該先端部から前記中間チューブを経て前記基部へと延在する牽引部材が設けられたことを特徴とする尿道カテーテル。
【請求項1】
膀胱内の尿を流入させる導尿口と、該導尿口に連通する尿路とが設けられた先端部と、
蓄尿容器に連通可能な基部と、
前記先端部と前記基部との間を連結し、前記導尿口と前記基部を介して前記蓄尿容器とを連通するメインルーメンが形成された中間チューブと、
前記先端部の外面に配置され、前記中間チューブに形成されたサブルーメンを介して供給される拡張用流体によって拡張可能なバルーンと、
を備え、前記導尿口が膀胱内に留置され、前記中間チューブが尿道に留置される尿道カテーテルであって、
少なくとも当該尿道カテーテルが生体に留置された状態では、前記中間チューブの占有断面積が前記先端部の占有断面積よりも小となることを特徴とする尿道カテーテル。
【請求項2】
請求項1記載の尿道カテーテルにおいて、
軸方向に直交する断面視で、前記先端部よりも前記中間チューブの方が形成材料の占有率が低く、空隙が多いことを特徴とする尿道カテーテル。
【請求項3】
請求項1又は2記載の尿道カテーテルにおいて、
少なくとも当該尿道カテーテルが生体に留置された状態では、前記中間チューブの外径が前記先端部の外径よりも小径となることを特徴とする尿道カテーテル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の尿道カテーテルにおいて、
前記サブルーメンは、前記メインルーメン内に2重管として配置されているか、又は、前記メインルーメンを形成する管壁を内側に突出させた膨出部内に形成されていることを特徴とする尿道カテーテル。
【請求項5】
請求項1記載の尿道カテーテルにおいて、
前記中間チューブの内面に、前記メインルーメン内に突出する突起が設けられていることを特徴とする尿道カテーテル。
【請求項6】
請求項5記載の尿道カテーテルにおいて、
前記突起は軸方向に沿って旋回するらせん形状であることを特徴とする尿道カテーテル。
【請求項7】
請求項1記載の尿道カテーテルにおいて、
前記中間チューブには、メッシュ状の補強部材が埋設されていることを特徴とする尿道カテーテル。
【請求項8】
請求項7記載の尿道カテーテルにおいて、
前記補強部材の一部が前記メインルーメン内に突出していることを特徴とする尿道カテーテル。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の尿道カテーテルにおいて、
前記先端部に一端が固定され、該先端部から前記中間チューブを経て前記基部へと延在する牽引部材が設けられたことを特徴とする尿道カテーテル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−250903(P2011−250903A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125344(P2010−125344)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
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