説明

尿道カテーテル

【課題】身体に入れられた尿道カテーテルを身体から抜去する時の疼痛を和らげること。
【解決手段】患者の意思では尿が排泄されないときに患者の体内に留置することで排泄用具として使用され、前方セクションと後方セクションとを長手方向に備える医療用の管である尿道カテーテル100であって、尿道カテーテル100を膀胱に固定するため、尿道カテーテル100のうち膀胱内に位置しかつ膀胱内において膨張するバルーン部20と、このバルーン部20を膨張させるため液体をバルーン部20内に導入する液体導入用ルーメン1と、膀胱に貯留された尿を体外に導くための尿排出用ルーメン3と、薬剤を尿道内に投与するための薬剤注入用ルーメン2とを有し、前記前方セクション11は後方セクション13に比べて径大であることを特徴とする、尿道カテーテル100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿道カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
尿道カテーテルは、前立腺肥大あるいは脊髄や末梢神経の障害、麻酔や薬剤の影響などで排尿が困難な患者の導尿、手術や絶対安静が必要な患者の導尿、残尿量の測定検査を行う必要のある患者の導尿を行うにあたり使われる管である。つまり、尿道カテーテルは、患者の意思では尿が排泄でき難いとき、または、排泄が困難であるときに使用される医療用の排泄用具である。
【0003】
尿道カテーテルは、尿が、膀胱から体外へ排泄されるときに通る人体の管である外尿道口から膀胱に至るまでの区間に外尿道口から入れられる。そして、当該区間に尿道カテーテルを挿入することで尿の排出を行うためのものである。また、尿道カテーテルは、術後、患者が自力で排尿できるようになるまで、又は患者にとっての厳密な水分管理が不要になるまで、体内に装入しておくものである。
【0004】
つまり、尿道カテーテルは、入院、麻酔、手術、回復といった術中だけでなく、術前・術後の期間を含めた一連の期間である周術期の管理(以下、周術期管理)のため汎用される。周術期管理は、外科医、麻酔科医などにより協同して行われる。
【0005】
ところで、尿道カテーテルを患者の尿道に装入する場合、患者は全身麻酔が掛かっている状態である。したがって、患者は尿道カテーテルを尿道に挿入しても痛みを感じない。但し、周術期における尿道カテーテルの管理の際、抜去時までのいずれの時にも患者は、疼痛、違和感、残尿感の苦痛を伴う。特に、麻酔からの半覚醒時から覚醒した後にあっては、尿道カテーテルが体内に留置されたことによる尿道粘膜に対する刺激的な違和感、残尿感、疼痛など極端な不快感を伴う。
【0006】
このため、患者の精神的及び肉体的なストレスを増加させる。特に、身体に留置されていた尿道カテーテルを抜去する時の痛みは相当なものである。よって、このような痛みを和らげることは、患者の医療満足度を高めるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−273988号公報
【特許文献2】特開2001−218833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑みて発明されたものであって、その解決しようとする課題は、特に、患者の尿道に差し込まれた尿道カテーテルを尿道から抜去する時に患者が感じる痛みを和らげることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのため、本発明は次の手段を採用した。
すなわち、本発明の尿道カテーテルは、患者の意思では尿が排泄されないときに患者の体内に留置することで排泄用具として使用され、前方セクションと後方セクションとを長手方向に備える医療用の管である尿道カテーテルであって、尿道カテーテルを膀胱に固定
するため、尿道カテーテルのうち膀胱内に位置しかつ膀胱内において膨張するバルーン部と、このバルーン部を膨張させるため液体をバルーン部内に導入する液体導入用ルーメンと、膀胱に貯留された尿を体外に導くための尿排出用ルーメンと、薬剤を尿道内に投与するための薬剤注入用ルーメンとを有し、前記前方セクションは後方セクションに比べて径大であることを特徴とする。
【0010】
前記前方セクション及び前記後方セクションの間には、後方に行くほど径が小さくなるよう径小側が後方を向いた切頭円錐形状をした中間セクションを有することが好ましい。
【0011】
前記第二のルーメンの前方部分には、膀胱頸部から尿道部にかけての尿道膜壁に局所麻酔を注入するための射出口が複数形成され、当該射出口には、尿道カテーテルを膀胱に差し込んだときに膀胱頸部から1〜3cmの位置にくるように形成された前方射出口と、膀胱頸部から4〜6cmの位置にくるように形成された後方射出口とを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、尿道カテーテルを抜去する時の疼痛を和らげることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明尿道カテーテルを人体に使用し、バルーン部が萎んだ状態を示す図である。
【図2】本発明尿道カテーテルを人体に使用し、バルーン部が膨張した状態を示す図である。
【図3】本発明尿道カテーテルの全体斜視図である。
【図4】本発明尿道カテーテルの全体平面図である。
【図5】本発明尿道カテーテルの全体側面図である。
【図6】本発明尿道カテーテルの要部拡大概念図である。
【図7】図5のVII−VII線断面図である。
【図8】図5のVIII−VIII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明を実施するための形態(以下、実施形態)を実施例に基づいて例示的に説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状その相対配置などは、特に特定的に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらに限定する趣旨ではない。
【0015】
本発明に係る尿道カテーテル100は、棒形状をしたカテーテル本体10と、カテーテル本体10の一端部に形成されたバルーン部20と、カテーテル本体10の他端部に形成された操作部30とを有する(図1〜図3参照)。
【0016】
カテーテル本体10は、その内部においてカテーテル本体10の軸中心と平行な3つのルーメンが形成されている。すなわちカテーテル本体10の内部には、第一のルーメン1と、第二のルーメン2と、第三のルーメン3とが独立して形成され、この実施例では、上から下へ順に第一のルーメン1と、第二のルーメン2と、第三のルーメン3とが形成されている(図3、図6〜図8参照)。ここで上・下とは、それぞれ図3、図6〜図8に正対して上側及び下側をいうものとする。なお、この実施例では既述のように、第一のルーメン1〜第三のルーメン3を、図3、図6〜図8に示すように、上から下に配列したものを開示したが、これに限定されるものではない。つまり3つのルーメンの配列の順番は問わない。
【0017】
またカテーテル本体は、ラテックスゴムの表面にシリコンや親水性素材をコーティングしてなるものである(以下、親水性コーティングという。)。親水性コーティング以外に天然ゴム100%の天然ラテックスゴム、天然ラテックスにシリコンをコーティングしたシリコンコーティング、天然ラテックスに銀をコーティングし、さらに親水性素材をコーティングした銀コーティング、プラスチック製の熱可塑性エラストマー、シリコンゴム100%のオールシリコンなどが挙げられる。
【0018】
親水性コーティングをすることにより、尿道カテーテル100を尿道内に挿入したときに尿道内における尿道膜壁(図示せず)と尿道カテーテル100との間で生じる摩擦を小さくし易くなる。このため、尿道粘膜への刺激が少なくなり、尿道カテーテルを抜去する際に患者が感じる痛みを軽減し易くなる。
【0019】
また尿道カテーテル100は、その軸方向において3つのセクションからなる。つまり、前方セクションに位置する前方セクション11と、後方に位置する後方セクション13と、両セクションの間に位置する中間セクション12である。
【0020】
図4及び図5に示すように、前方セクション11と後方セクション13との違いは直径の大きさと形状にある。前方セクション11の方が、後方セクション13に比べて径大であり、前方セクション11(尿道括約筋に相当する部分)は、後方セクション13のおよそ二倍から三倍の大きさを有する。また、図5及び図6からわかるように、前方セクション11は円形状であるのに対し、後方セクション13は長軸が上下に延びる楕円形状である。そして両者の間に位置する中間セクション12は、尿道カテーテル100を患者の尿道から引き抜く時に3つのセクションで一番径大な前方セクション11を尿道からスムースに引き抜けるように後方に行くほど径が小さくなるよう径小側が後方を向いた切頭円錐形状をしている。ここで、前・後とは、尿道カテーテル100を尿道内に差し込む側を前といい、尿道カテーテル100を尿道内から抜去する側を後という。
【0021】
第一のルーメン1は、前記バルーン部20のインフレーション(膨張)用のルーメンである。注射器から注射針を外してなるいわゆるシリンジ(注射筒)を用いて、5〜10cc程度の滅菌水を第一のルーメン1に注入することにより、バルーン部20を膨らませる(図2、図4〜図6参照)。よって、第一のルーメン1は液体導入用ルーメンともいえる。液体導入用ルーメンである第一のルーメン1は、バルーン部20をインフレーションするためだけに使用される。
【0022】
第二のルーメン2は、局所麻酔(薬剤)注入用ルーメンである。第二のルーメン2は、尿道カテーテルの両側縁から尿道内の尿道膜壁(尿道括約筋)に向けて、局所麻酔薬であるキシロカイン4%液を投与するためのものである。但し、当該投与を行うにあたり、局所麻酔薬は、キシロカイン4%液に限られない。リドカイン、メピバカイン、ロピバカイン、レボブピバカインの各液であってもよい。
【0023】
なお、第二のルーメン2は、当該ルーメン2に対して着脱自在なかつ横断面で台形状をしたガイド棒(図示せず)を挿入するようになっている。ガイド棒を押し込むことが目的であるので、断面が台形である必要はなく、例えば円形のガイド棒であってもよい。しかし、ガイド棒の横断面が台形の方が、ガイド棒の挿入時に上下の二方向に限定して曲がり易くなり、それ故、尿道内にガイド棒を挿入し易くなる。また、当該ガイド棒の挿入により尿道カテーテルを身体内に挿入する時の尿道カテーテルの硬度を維持することが可能になる。なお、尿道カテーテル100の挿入後はガイド棒を抜き、尿道カテーテル100の硬度を低下させる。
【0024】
第三のルーメン3は、膀胱内に留水した尿を患者の膀胱の外(体外)に排出するための
ルーメンである。このルーメンのみが、膀胱内に位置する。第三のルーメン3の先端部には、尿を膀胱から排出するのに使用する開口部41が形成されている(図6参照)。よって第三のルーメン3のことを尿排出用ルーメンという。
【0025】
図7及び図8は、それぞれ図2におけるVII−VII線断面図及びVIII−VIII線断面図を示す。これらの図からも、カテーテル本体10の前方セクション11と後方セクション13とでは、形状及び大きさが相違することがわかる。
【0026】
つまり、カテーテル本体10の前方セクション11では、横断面が円形で、当該横断面の上方から下方にかけて、既述のように、第一のルーメン1、第二のルーメン2、第三のルーメン3の順で配置されている。
【0027】
また、後方セクション13にあっては横断面が楕円形であるが、第一のルーメン1、第二のルーメン2、第三のルーメン3が、その順で当該横断面の上方から下方にかけて、配置されていることがわかる。なお、後方セクション13の横断面は楕円形に限らない。液体がしずくとなって落ちる如き滴下形状であってもよい。
【0028】
また、図示を省略するが、中間セクション12でも、第一のルーメン1、第二のルーメン2、第三のルーメン3の順で、それらが当該横断面の上方から下方にかけて、配置されている。また、外形状で横断面が円形であったり(図7参照)、楕円形であったり(図8参照)することで、これらの形状には、引っ掛かり部分ができない。このため、前記各ルーメンが尿道膜壁に掛止しづらくなる。よって、尿道カテーテル100を抜去するにあたり、尿道粘膜に対する刺激的な違和感、残尿感、疼痛などの不快感を患者から軽減し易くなる。
【0029】
さらに、図5に符号22がついたものは、第二のルーメン2の前方部分で分岐して膀胱頸部から尿道部にかけての尿道膜壁に局所麻酔を注入するための射出口である。射出口22は、カテーテル本体10の前方セクション11の左右側壁においてその前後方向に間をおいて一対ずつかつ左右方向に貫通した状態で合計4つの射出口が形成されている。なお、ここでいう左・右とは、尿道カテーテル100の軸方向に正対して後方から前方を見た場合における左側及び右側をいう(図7参照)。
【0030】
そして、前記4つの射出口22のうち、前方に位置する射出口を前方射出口ということにし、符号22fで示す。また後方に位置する射出口を符号22rで示し、後方射出口ということにする。また、符号22は、それらの総称である。そして、前方射出口22fは、尿道カテーテルを膀胱に差し込んだときに膀胱頸部(バルーン部20の端)から1〜3cmの位置になるように形成され、後方射出口22rは、膀胱頸部(バルーン部20の端)から4〜6cmの位置になるように形成されている。なお、これらの形成位置のうち特に好ましくは、前方射出口22fにあっては、膀胱頸部から2cmの位置に形成されていることであり、後方射出口22rにあっては、膀胱頸部から5cmの位置に形成されていることである。
【0031】
これは、前方射出口22fは、尿道括約筋に向けて設けられ、後方射出口22rはペニスの尿道、つまり、尿道海綿体から外尿口の尿道粘膜に向けて設けられることで、局所麻酔薬の浸潤効果を期待できるからである。
【0032】
次にバルーン部20について述べる。バルーン部20は、これをインフレーションすることにより、カテーテルが尿道から抜け出てしまうのを抑制するためのものである。
【0033】
そして、バルーン部20は、第一のルーメン1と連通し(図6参照)、カテーテル本体
10の前方セクション11に形成されている。またバルーン部20は、シリンジにより滅菌水が注入されていないときは、萎んでカテーテル本体10の一部となっているが(図1参照)、滅菌水が注入されることで膨張する(図2〜図6参照)。
【0034】
また、バルーン部20は、その膨張時に、生体組織の外部から生体組織に対するカテーテル本体10の位置を規定する。つまりバルーン部20は、これが膨張した時に、生体組織に接することが好ましい。また、バルーン部20は、カテーテル本体10と同様、例えばシリコンゴムやラテックスで形成されている。
【0035】
なお、バルーン部20は、膨張時に射出口22を覆わない態様であればよい。よって、膨張し終えた時に射出口22を覆わないのであれば、射出口22側に設けられていてもよいし、非膨張時又は膨張過程時においては射出口22を覆っていてもよい。要は、バルーン部20の膨張しきった時に射出口22が塞がっていなければよい。
【0036】
操作部30は、第一のルーメン1、第二のルーメン2及び第三のルーメン3の各後端部をいう(図1〜図3参照)。第一のルーメン1の操作部31は、既述したように、バルーン20のインフレーション(膨張)用に第一のルーメン1経由で、5〜10cc程度の滅菌水をシリンジで注入することにより、バルーン20を膨らませるための部位である。
【0037】
第二のルーメン2の操作部32は、既述したように、尿道カテーテル100を抜去するに当たり、それに先だって尿道カテーテル100の両側部から尿道内の尿道膜壁に向けて、局所麻酔薬であるキシロカイン4%液を尿道内で投与するための箇所である。
【0038】
第三のルーメン3の操作部33は、膀胱内に留水した尿を患者の膀胱の外に直接排出するための排尿口になっている。膀胱内に留水した尿は、第三のルーメン3の先端部に形成された尿排出用の開口部41−第三のルーメン3−第三のルーメン3の操作部33を経由して躯体の外に排尿される。このような尿道カテーテルは、一つ一つ包装されており、使用時に開封して用いる。
【0039】
次に尿道カテーテル100の使用方法について述べる。
(1)ポビドンヨード等の消毒液を浸した綿球等でペニスの外尿道口周辺を消毒する。
(2)尿道カテーテルの包装を開封し、尿道カテーテルに水溶性潤滑剤を塗布する。
(3)尿道カテーテルを外尿道口より注意深く挿入する。このとき患者は、全身麻酔により昏睡状態にあるものとする。よって、尿道カテーテルをペニスに挿入しても痛みを感じない。バルーン部が膀胱内に達した後、シリンジを第二のルーメン2の操作部32に装着して、規定容量の滅菌水をゆっくりと注入する。滅菌水は、第二のルーメン2の操作部32を起点にそこから萎んだ状態のバルーン部20に至り、その後、バルーン部20を拡張させる。
(4)バルーン部20が膀胱頸部に接触するまで尿道カテーテルを少し引いて留置する。この留置の間、第三のルーメン3の操作部33である排尿口からは、膀胱内に留水した尿が自然に排出される。
(5)次に尿道カテーテルをペニスから抜去する場合について述べる。このとき患者は、麻酔からの半覚醒時から覚醒した後であるものとする。そして、尿道カテーテルを抜去する際は、シリンジによる吸引を行わない。シリンジを装着して滅菌水の自然排出を促し、バルーン部20を収縮させる。バルーン部20が収縮した後、異常な抵抗がないことを確認しつつ、ゆっくりと尿道カテーテル100をペニスから抜去する。
(6)尿道カテーテル100をペニスから抜去するにあたり、第二のルーメン2の射出口22からは、尿道膜壁に局所麻酔が予め注入されてある。このため、尿道カテーテル100が尿道膜壁に接触しても、患者は痛みを感じ難くなる。
【0040】
次に、このような尿道カテーテル100の作用効果について述べる。
尿道カテーテル100は、尿道カテーテルを膀胱に固定するため、尿道カテーテルのうち膀胱内に位置しかつ膀胱内において膨張するバルーン部20と、バルーン部20を膨張させるため、滅菌水をバルーン部内に導入する液体導入用ルーメンである第1のルーメン1と、膀胱に貯留された尿を体外に導くための尿排出用ルーメンである第3のルーメンと、尿道カテーテル100を抜去する際に、薬剤であるキシロカイン4%液を尿道内に投与するための薬剤注入用ルーメンである第2のルーメン2とを有する。
したがって、尿道カテーテル100をペニスから抜去するにあたり、第二のルーメン2の射出口22から尿道膜壁に予め局所麻酔が注入された状態になる。この結果、尿道カテーテル100が尿道膜壁と接触しても、患者は尿道への直接刺激を感じ難くなる。
また、周術期における尿道カテーテルの管理の際、抜去をするまでのいずれの時にも尿道粘膜に局所麻酔薬投与することにより、患者は、排泄でき難いとき、または、排泄が困難なときでも、疼痛、違和感、残尿感の苦痛が和らぐようになる。
【0041】
また、前方セクション11と後方セクション13との間に切頭円錐形状をした中間セクション12が形成されている。よって、尿道カテーテル100を後方へ引くことでこれを抜去するにあたり、尿道カテーテル100が尿道膜壁と接触する箇所が、後方セクション13から中間セクション12に変位する場合も、中間セクション12から前方セクション11に変位する場合も、尿道粘膜と尿道カテーテル100との接触がスムースに行われる。このため、これによっても患者は尿道への直接刺激を感じ難くなる。
【符号の説明】
【0042】
1 第一のルーメン(液体導入用ルーメン)
2 第二のルーメン(薬剤注入用ルーメン)
3 第三のルーメン(尿排出用ルーメン)
10 カテーテル本体
11 前方セクション
12 中間セクション
13 後方セクション
20 バルーン部
22 射出口
22f 前方射出口
22r 後方射出口
30 操作部
31 第一のルーメンの操作部
32 第二のルーメンの操作部
33 第三のルーメンの操作部
41 第三のルーメンの先端部に形成された尿排出用の開口部
100 尿道カテーテル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の意思では尿が排泄されないときに患者の体内に留置することで排泄用具として使用され、前方セクションと後方セクションとを長手方向に備える医療用の管である尿道カテーテルであって、
尿道カテーテルを膀胱に固定するため、尿道カテーテルのうち膀胱内に位置しかつ膀胱内において膨張するバルーン部と、
このバルーン部を膨張させるため液体をバルーン部内に導入する液体導入用ルーメンと、
膀胱に貯留された尿を体外に導くための尿排出用ルーメンと、
薬剤を尿道内に投与するための薬剤注入用ルーメンとを有し、前記前方セクションは後方セクションに比べて径大であることを特徴とする、尿道カテーテル。
【請求項2】
前記前方セクション及び前記後方セクションの間には、後方に行くほど径が小さくなるよう径小側が後方を向いた切頭円錐形状をした中間セクションを有することを特徴とする請求項1に記載の尿道カテーテル。
【請求項3】
前記第二のルーメンの前方部分には、膀胱頸部から尿道部にかけての尿道膜壁に局所麻酔を注入するための射出口が複数形成され、
当該射出口には、尿道カテーテルを膀胱に差し込んだときに膀胱頸部から1〜3cmの位置にくるように形成された前方射出口と、
膀胱頸部から4〜6cmの位置にくるように形成された後方射出口とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の尿道カテーテル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−43010(P2013−43010A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183916(P2011−183916)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(511167755)
【Fターム(参考)】