説明

尿量測定大便器

【課題】 一般に排泄を行うトイレで、便器の形状に合わせた自動校正機能をもつ高精度
の尿量測定機能を有する尿量測定大便器を得ようとするものである。
【解決手段】 本発明では、使用者の排尿を受けると共に溜水が形成されたボール面と、前記ボール面の溜水水位を測定する溜水水位測定手段と、排尿に伴う前記溜水水位測定手段からの水位変化を尿量に変換する尿量算出手段を有する尿量測定大便器において、検量水供給手段または検量水除去手段によって溜水量を変化させたときの溜水水位を、前記溜水水位測定手段で測定して得られる、溜水量と溜水水位との関係から尿量を算出するための検量線を求める検量線作成手段と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器で尿量を測定するという使用者の使い勝手を配慮すると共に、大便器という本来は計測機器ではない設備機器を、高精度・高信頼性の計測器として使用することに好適な尿量測定機能付き尿量測定大便器に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来の尿量測定機能を有する便器装置は、便器のトラップ部に採水口を設け、採水口には採水配管を介して、レベルセンサが設置されたタンクが接続され、タンクでの水位変化を測定することにより尿量を測定するというものがある。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
この場合、便器とは別に設けたタンクに汚物混じりの水を移送することから、便器洗浄の他にタンクの洗浄が必要であり、また長期の使用のためにタンク周りの配管に設置される開閉弁などの詰りや腐食などの防止にも配慮しなければならないという問題があった。
【0004】
また、別体タンクは使用せず、便器内のトラップの溜水を利用して、排尿による溜水量の変化を水位の変化で測定して尿量変化を測定するという方法がある。(例えば、特許文献2参照)
【0005】
この場合、トラップを移動させるための装置が便器内に必要となり、そのメンテナンスにも特別な配慮が必要となる。
【0006】
ここで、このように排泄された尿の量を溜水水位の変化によって測定するためには、溜水量と水位との関係を求めた検量線が必要であるが、便器は一般的に寸法バラツキの大きな陶器製であり、また、施工現場特有の床傾きなどのバラツキが存在するため、前記検量線は製品毎・現場毎で設定されなければならない。さらには、建物への施工状態を含めた便器形状には季節変動や経時変化があり、溜水水位測定手段についても経時変化があるため、より高精度な尿量測定を行なうためには定期的にその出力を校正する必要がある。
【0007】
その方法として、装置の施工時に容量が既知のボトルを複数本用意して、空水位からボトル内の水を作業者が便器ボール内に注入することによって、溜水水量と溜水水位との関係を求めて検量線を作成する方法も考えられるが、人が手動で行わなければならず、メンテナンスコストが高くなるという問題がある。また、人が行うことにより、作業の個人差が装置の測定精度に影響する問題もある。
【特許文献1】特開平10−082783号公報
【特許文献2】特開平 8−299348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明の課題は、一般に排泄を行うトイレに設置される便器で高精度の尿量測定を行なえるようにするために、便器の設置現場でも装置の測定精度の校正を装置自身で自動的に行なえる尿量測定大便器を得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明によれば、使用者の排尿を受けると共に溜水が形成されたボール面と、水を供給することにより前記ボール面を洗浄するとともに前記溜水を下水配管に排水する洗浄水供給手段と、前記溜水の水位を測定する溜水水位測定手段と、前記溜水水位測定手段で得られる水位の排尿に伴う変化量から尿量を求める尿量算出手段を有する尿量測定大便器において、
前記溜水水位測定手段は前記溜水に接する前記ボール面に開口端を有した測定管路を有し、また前記検量線作成手段は前記溜水の水位を変化させる検量水位形成手段と、前記検量水位形成手段によって溜水量を変化させたときの溜水水位を前記溜水水位測定手段で測定して得られる、溜水量と溜水水位との関係から尿量を算出するための検量線を作成する検量線作成手段と、を備えたことを特徴とすることにより、
溜水水位に対する断面積が一定でなく、さらには便器製造工程に起因する形状ばらつきもある便器のボール面を水位測定容器として使用した測定が可能となり、水位の測定値から高精度に尿量を換算することを可能とした。また、装置施工時の水平だしのばらつき等の、設置後に形成される溜水水位に対するばらつき要因があっても、設置施工後に溜水水位測定手段の出力の補正や検量線の再作成を行なって溜水水位測定手段の測定精度の校正を行なうことにより、水位の測定値から高精度に尿量を求めることを可能とした。
【0010】
また、請求項2記載の発明によれば、前記検量水位形成手段は、ボール面の前記溜水を全量除去した後に溜水の水位を変化させるための水を前記ボール面に供給する検量水供給手段を備えたことを特徴とすることにより、
排尿時の尿量測定と同じ条件で、溜水量と水位の検量関係を高精度に知ることが出来る。
【0011】
また、請求項3記載の発明によれば、前記検量水供給手段は、水を貯留する複数の容器からなる検量水貯溜手段と、前記検量水貯溜手段に水を供給するための給水手段と、前記検量水貯留手段の前記各容器に貯溜された水を時間的供給間隔をあけて順次にボール面へ供給する検量水供給制御手段と、を備えたことを特徴とすることにより、検量水貯留手段の容器に貯留される検量水量が既知であり、それを、時間的間隔をあけて順次供給するものであるため、規定された水量を供給した時の水位が安定する結果、検量線作成に必要な溜水量と水位測定値との関係を高精度に知ることが出来る。
【0012】
また、請求項4記載の発明によれば、前記検量水供給手段は、水を貯留する単一の容器からなる検量水貯留手段と、前記検量水貯留手段に水を供給するための給水手段と、前記検量水貯留手段の前記容器に貯留された水をボール面に供給する検量水供給制御手段とを備え、前記給水手段による前記検量水貯留手段への給水完了後に前記検量水供給制御手段による前記ボール面への検量水供給を行なうことを複数回繰り返すことを特徴とすることにより、
検量水の段階的な水量変化を単一の容器で構成された検量水貯留手段で実現することが可能となるため、検量水の供給精度を高精度にすることが可能であり、装置がコンパクトに構成できる。
【0013】
また、請求項5記載の発明によれば、前記検量水供給手段は、あらかじめ規定された容量の水を貯留する検量水貯溜手段と、前記検量水貯溜手段からボール面に供給するために流出させる前記検量水の供給速度を制限する検量水供給量制限手段と、前記検量水貯溜手段からのボール面に供給するための水路を開閉する検量水供給水路開閉手段と、前記検量水の流出する流出経過時間を計測する検量水流出時間計測手段と、前記流出経過時間と供給速度から任意の経過時間における検量水供給量を算出する検量水量演算手段と、を備えたことを特徴とすることにより、
検量水の流出経過時間からその時間での検量水供給量を算出できるため、検量水供給量と水位との関係づけを検量水流出時間を測定するだけで連続的に行うことを可能とした。
【0014】
また、請求項6記載の発明によれば、前記検量水供給手段は、検量水の供給を制御する検量水供給制御手段と、検量水供給量を測定する積算流量測定手段と、少なくとも異なる2つ以上の水位をボール面に形成するために必要な検量水量である検量水供給量目標値を記憶した検量水目標値記憶手段と、積算流量測定手段での供給水量と前記検量水供給量目標値を比較し、検量水供給制御手段に検量水供給の断続指令を出力する供給水量比較手段と、を備えたことを特徴とすることにより、
供給する検量水を貯留する必要がないことにより、検量水を貯留するための時間が不要となるため、検量線作成所要時間が短縮できる。
【0015】
また、請求項7記載の発明によれば、前記検量水位形成手段は、前記洗浄水供給手段によって前記ボール面の溢流水位まで水を供給した後に、前記溜水を所定量ずつ前記ボール外に排出する検量水排出手段を備え、たことを特徴とすることにより、検量線作成のための検量水供給手段を専用に設けることなく、検量線作成が可能となる。
【0016】
また、請求項8記載の発明によれば、前記検量水排出手段は、前記溜水を前記測定管路を経由して前記ボール外に排出することを特徴とすることにより、
水を排出するために特別な配管路を用意する必要が無く、機能実現のためのコスト低減と信頼性低下の防止を両立することを可能とした。
【0017】
また、請求項9記載の発明によれば、前記溜水水位測定手段は、その出力値を校正するための基準となる校正基準水位を創生する校正基準水位作成手段を有し、前記校正基準水位における前記溜水水位測定手段の出力を計測することによって、前記溜水水位測定手段の出力を校正することを特徴とすることにより、
溜水水位を絶対値として検知できるため、測定開始スタート水位の正確性・再現性が低くても、排尿前後の溜水量を正確に認識することを可能とした。
【0018】
また、請求項10記載の発明によれば、前記校正基準水位作成手段は校正管路によってボール面の前記溜水に接続され、上端が大気に対して開放された校正管と、前記校正管に水を供給する校正水補給手段を有することを特徴とすることにより、
溜水水位測定手段の出力の校正動作を稼働部のない簡便な構成で実現でき、結果として再現性の高い溜水水位測定手段に対する出力校正の実現を可能とした。また、校正動作と溜水水位測定とが時間差なく実現できることから、溜水水位測定手段が持つ経時的な出力ドリフトの影響を受けず、より高精度の溜水水位測定の実現を可能とした。
【0019】
また、請求項11記載の発明によれば、前記溜水水位測定手段手段の出力の校正を行なう前、または/及び、前記溜水水位測定手段手段の検量線を作成する前に、便器洗浄を実施することを特徴とすることにより、
便器溜水中に存在する可能性のある異物を排出できるため、校正動作時に測定管路を経由して異物を吸引することによって測定系に詰まりなどのトラブル発生を防止することを可能とした。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、一般に排泄を行うトイレで、尿量測定精度の自動校正機能をもつ高精度な尿量測定を実現できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は、本発明の尿量測定大便器の構成を示すシステム図である。排尿前水位に対して検量線設定のための水を供給することによって、溜水量と溜水水位の関係が創生されることを示す。
便器1は、使用者の排泄物を受けるために使用され、便器1の内側には、使用者の排泄物を受ける溜水4を貯えるボール2が構成される。溜水4はトラップ部5を介して下水管9と連通している。ボール2上部にはリム3が構成され、リム3にリム吐水ノズル7が設置されている。ボール2底部には、トラップ部5に吐水方向を向けているゼット吐水ノズル8が構成されている。リム吐水ノズル7は、検量水供給手段13からの供給水、および洗浄水供給手段6からの供給水を合流して吐水することが出来る。ゼット吐水ノズル8は、洗浄水供給手段6から供給される洗浄水を吐水することが出来る。洗浄水供給手段6では、吐水の開閉のほかに、リム吐水ノズル7とゼット吐水ノズル8との水の供給先の切換を行うことが出来る。ゼット吐水ノズル8からの吐水はトラップ部5に対して負圧を発生させ、発生したサイホン現象によって、排泄物を下水管9に送出するとともに溜水4を十分低い水位にする。そして、リム吐水ノズル7から吐水を行い、溜水を補給する。本図ではサイホン現象によって溜水を排出する方法を示したが、溜水4と下水管9の間に排出管路を設けたり、簡易水洗便器のようにボール2の底部近傍にフラップ弁状の排出手段が設けられるものであってもよい。
【0022】
また、洗浄水供給手段6とゼット吐水ノズル8とを接続する配管から測定管路として導圧管11を分岐させ、ボール2の溜水および/または尿混じりの溜水の水位ヘッドを測定すべく、導圧路11の先に溜水水位測定手段14が取付けられている。溜水水位測定手段14で測定された水位は尿量算出手段18にて、あらかじめ作成された水位と尿量との検量線から尿量に換算され、測定値出力手段19に出力される。溜水水位測定手段14を構成する圧力検出手段の具体例としては、半導体素子で形成されたダイヤフラムで水圧を受け、その歪をダイオードブリッジで検出するような圧力センサーを想定している。シリコーンを半導体素子として利用した場合、水と接した場合でも安定性が高いことから、長期間の高い動作信頼性が期待できる。なお半導体素子は通電に伴う発熱や、環境温度に伴う放熱で出力にドリフトを生じることから、測定時にその出力の校正を行うことが溜水水位測定の高精度化のためには必要である。
【0023】
次に、本発明における溜水水位測定の原理について以下に説明する。
本発明のように便器のボール面を測定容器として利用する測定においては、水を溜めるボール2の形状が単純でないことから、測定された水位から尿量を換算するための検量線が必要となる。
【0024】
測定された水位から尿量算出手段18で尿量を算出するための検量線は、尿量測定前の装置の校正動作により求める。尿量測定前の校正動作は、シーケンス管理部16の指令に従い、まず洗浄水供給手段6からリム吐水ノズル7に水を供給した後、洗浄水供給手段6からゼット吐水ノズル8から水を供給しすることにより、トラップ部5に対して負圧を発生させ、発生したサイホン現象により溜水のすべてを下水管9に送出する。
【0025】
この場合、実際にはサイホン現象の戻り水などで、こ便器内に残存する水量は、東陶機器株式会社製品番CES9571のサンプルで発明者が測定調査した結果、中心値170mL、誤差は上下10mLで尿量測定に要求される精度に悪影響を及ぼさない程度のバラツキであり、一定とみなせる量であった。
【0026】
このときの水位(以下これを空水位とする)では、下水配管9とトイレ室内とが封水されていないため、下水臭気がトイレ室内に侵入しやすい状態となる。そこで、この空水位の状態で検量水供給手段13から1〜1.5Lの範囲であらかじめ定められた量の定量水を供給することにより、検量線作成の原点となる検量開始水位を創生する。このときトラップ部5はこの定量水によって封水され、下水配管9とトイレ室内が連通されなくなる。なお、実際の封水水量は、1Lよりも少ない水量であるが、下水内の圧力変動を考慮して、余裕をみて1〜1.5L程度と設定している。
【0027】
ここで、前記検量開始水位における溜水水位測定手段14の出力値を測定のスタート水位の出力値として記憶させる。そして、後述するように、尿量測定時には一旦ボール面の溜水を同様にして空に(空水位)した後、検量線作成開始時に供給する量と同量の水を供給した状態から尿量測定を開始することによって溜水水位測定手段14の出力の校正も同時に行うように構成している。
【0028】
すなわち、本実施例では、空水位から尿量測定時の測定スタート水位と検量線設定時の設定スタート水位とを同一の水位として測定することが特徴の一つである。
【0029】
次に、検量水供給手段13からあらかじめ水量がわかっている水を供給し、供給後のスタート水位からの水位上昇分を測定し、供給水量と水位上昇値を検量線作成手段17に記録する。同様に、検量水供給手段13から既知水量の水の供給を繰り返し、それぞれの供給水量と水位上昇分との関係を検量線作成手段17に記録する。このようにして、前記した前記検量開始水位を基点とした検量線作成を行なう。
【0030】
図2は本発明の尿量測定大便器の検量線作成時の溜水量と水位との関係を示すグラフであり、これを用いて以下に検量線作成の方法を詳細に説明する。
【0031】
スタート水位h0から水量Q1投入した水位が水位h1であり、水量Q2投入した水位が水位h2である。水位と溜水量との関係について、東陶機器株式会社製品番CES9571のサンプルで発明者が測定調査した結果、スタート水位から水量1.5L投入した範囲では、水位と溜水量との関係は2次関数で近似されることがわかった。従って、検量開始点とその他の少なくとも2点以上の水位と溜水量との関係を示す実測値が得ることができれば、ラグランジェ補間法やニュートン補間法などを利用して検量線を作成出来る。そして、このようにして得られた検量線を用いて溜水水位測定手段14の任意の出力値を尿量に換算することができる。例えば、ラグランジェ補間法を使用した場合、溜水水位測定手段14の出力がhのときの溜水量Qは、数1により計算することが出来る。
【0032】
【数1】

【0033】
本実施例では、ラグランジェ補間法を用いたが、曲線として補間する方法には、その他ニュートン補間法やスプライン補間法などがあり、便器の形状によりこれらを使い分けてもよい。また、曲線として補間せずに、少なくとも2本以上の直線で少なくとも2つ以上の水位の区間において直線の組み合わせとしてみなし、それぞれの区間で直線補間するという方法もとることが出来る。
【0034】
なお、水位と溜水量との関数関係は便器部の製造バラツキを含むものである。また尿量測定機能部とのマッチングや、施工現場ごとの床の傾きや、経時変化などを配慮して、全てが組み合わされた状態で検量線として認識されなければならない。従って、検量線の作成は施工時に必ず必要で、その後も定期的に検量線を再作成する必要がある。
【0035】
図3は本発明の検量水供給手段の第1の実施例を示す模式図である。
検量水供給手段13は、3つの壁に仕切られた4つの槽から構成される。
給水用開閉弁25が開くと、給水管24から供給される水は、まずスタート溜水量用貯水槽20に貯水される。次に、スタート溜水量用貯水槽20が満水になると第1検量水供給用貯水槽21に水の供給が移る。ここでスタート溜水量用貯水槽20の満水時高さは第1検量水供給用貯水槽21の満水時高さよりも高いか、または両者は等しい関係にある。同様に、第1検量水供給用貯水槽21が満水になると第2検量水供給用貯水槽22に水の供給が移り、第2検量水供給用貯水槽22が満水になると、あふれ水排水槽23に水の供給が移る。ここで第1検量水供給用貯水槽21の満水時高さは第2検量水供給用貯水槽22の満水時高さよりも高いか、または両者は等しい関係にある。あふれ水排水槽23に水が供給されると、あふれ水排水槽23内の水はあふれ水排水管29により下水配管などに排水されるので、給水用開閉弁25を閉じる。
【0036】
こうして、スタート溜水量用貯水槽20、第1貯水量投入用貯水槽21、および第2貯水量投入用貯水槽22にはあらかじめ決められた一定量の水を貯水することが出来る。なお、貯水槽への給水は2系統以上あってもよい。また貯水槽の数は4個以上でもよい。さらに、貯水槽1個とあふれ水排水槽23の組み合わせで、1個の貯水槽の排水と給水を複数回繰り返してもよい。
【0037】
検量線作成のための校正では、最低水位からスタート溜水量用貯水槽20から水を供給して溜水をスタート水位に設定するとともに、そのときの水位を測定する。その後、第1検量水供給用貯水槽21の水を供給し水位を測定する。さらに、第2検量水供給用貯水槽22の水を供給し水位を測定する。この3点の水量と水位との関係から検量線作成手段17で検量線を作成する。
【0038】
図4は本発明の検量水供給手段の第2の実施例を示す模式図であり、検量水を計量する容器を用いることなく、検量線設定のための給水を実施する方法を示す。
シーケンス管理部16からの指令により、検量水目標記憶手段33から次の目標値を供給水量比較手段32に送る。供給水量比較手段32は、検量水供給制御手段30を動作させ、給水を開始させるとともに、積算流量測定手段31の検量水の積算流量を監視し、目標値と比較する。そして、検量水の積算流量が目標値に達したら、供給水量比較手段32は、検量水供給制御手段30により給水を停止する。同様に、検量水目標記憶手段33から給水量比較手段32に送る目標値を段階的に変化させ、検量線作成に必要な水量変化を得ることができる。
【0039】
ここで、本実施例の検量水供給手段の構成では連続して検量水供給が可能であるが、検量水供給の目標値を定めて断続的に供給及び水位測定を繰り返しているのは、時間短縮のため検量水供給を高速で行なおうとすると供給された溜水の水位が安定するまでに多少の時間を必要とするため、より高精度の較正を目指すためである。
【0040】
図5は本発明の検量水供給手段の第3の実施例を示すシステム図、および、図6は第3の実施例において検量水供給手段から供給される水の経過時間−流速関係例を示すグラフであり、単一の容器からの給水で溜水量と溜水水位の検量関係を知るシステムの構成を示す。
断面積が一様な検量水貯留手段40には、給水配管41から給水開閉弁41を介して給水が行われ、あふれ水配水管45を利用して一定容量の水が貯えられる。検量水貯留手段40の底辺には、検量水供給量制御手段44があり、検量水供給配管12に接続される。検量水供給量制御手段44は一般的にはオリフィス穴であり、検量水貯留手段40が満水状態で検量水供給制御手段43により検量水の供給が開始してからの経過時間により、供給される検量水の流速が推定できるようになっている。
【0041】
図6は、本発明の検量水供給手段の第3の実施例において検量水供給手段から供給される水の経過時間−流速関係例を示すグラフである。
図6のように、検量水供給量制御手段44を通過する供給検量水の流速は、検量水貯留手段40での水位の減少に従い、1次関数的に減少する。検量水供給量制御手段44に対しては重力だけしか働いていないため、流速の再現性は高く、検量水流出時間計測手段46で経過時間を計測することによって、検量水量演算手段47で、各経過時間ごとの検量水の供給量を連続的に計算することができ、経過時間を介在させることによって、検量水の供給量と溜水水位測定手段14の水位測定値とを関係づけ、検量線作成手段18で検量線を作成することができる。
【0042】
表1は本発明の検量水供給手段の第3の実施例において水位から尿量を換算するための検量線作成時の測定例を示す表である。
【0043】
【表1】

【0044】
投入時間により、投入される溜水量は推測される。各経過時間での溜水量と溜水水位測定手段14のスタート水位からのAD変換値増分を記憶していく。この表から溜水水位測定手段14から尿流換算値への変換テーブルを作成する。
【0045】
表2は本発明の尿量測定大便器の水位から尿量を換算するためのテーブル例を示す表である。
【0046】
【表2】

【0047】
溜水水位測定手段14の水位測定値をこのテーブルに照らし合わせることにより尿量に換算することが出来る。
【0048】
図7は図1から図6で示した検量水供給手段を利用した検量線創生方法を示すフローチャートであり、検量線創生時の動作の流れを示す。
S101で検量線創生が指示される。検量線の創生は施工時に必須であり、以降は所定期間を設定して経時的に実施して、全体システムの測定精度が一定範囲に収まるように実施される。S102はボール内の溜水を下水に対して排出するステップであり、図1から図6の構成であれば、ゼット吐水によってトラップ部に負圧を発生させ、サイホン現象で溜水を全て排出する。次いで、S103でボールに対して所定量の水が供給されスタート水位が形成される。溜水水位測定手段の経時的なドリフト変動を配慮し、例えば容器で量り取られたり、給水量が制御される構成で水が供給される。S104は、その位置を原点として認識するステップであり、例えばスタート水位時の溜水量は1.3L、水位が原点として認識される。S105は前記スタート水位に対して所定量の水を供給し、その水位変化量を測定するステップである。例えば1回目の定量給水量を0.4Lとすると、溜水量が1.7Lとなったときの溜水水位変化量を測定する。S106は所定回数分の定量給水を制御するステップである。例えば、2回目の定量給水量を0.4Lとすると、溜水量が2.1Lとなったときの溜水水位変化量が測定されることになる。繰り返し数は便器の製造ばらつきの程度や、目標とする精度によって適宜変更すればよい。S107は検量線を演算するステップであり、前述の事例では、溜水水位1.3Lと1.7Lと2.1L時の測定された水位変化量によって、補間関数が演算され、溜水水位と溜水量の関係が認知され、S108で検量線の設定動作が終了する。
【0049】
図8は本発明の検量水排出手段を組み込んだ第4の実施例における尿量測定大便器全体を示す斜視図であり、図9は本発明の検量線作成手段を組み込んだ第4の実施例における尿量測定大便器の側面断面図である。図8と図9を使用して、各機能手段の配置と、使用者の使い方について述べる。
【0050】
本実施形態による尿量測定大便器101は、洋風大便器102と、尿量測定大便器101を作動きせる種々の機能部を収納したキャビネット104と、を有する。洋風大便器102は、使用者の尿、便等を受けるボール106と、このボール106のリム部分から洗浄水を吐水させるリム吐水ノズル107と、ボール106の底部と連通し、ボール106を水封するトラップ部108と、を有する。また、洋風大便器102は、ボール106の底部に配置され、トラップ部108に向けて洗浄水を噴出するゼット吐水ノズル109と、ボール106の上部に配置された便座110と、便ふた112と、ボール106のリム部分に設けられた採尿装置114を有する。また、ボール106の上方には、便座110と当接するリム面106aが形成されている。採尿装置114は尿中の特定成分濃度等を尿量と同時に測定する時に必要なものである。尿量測定に対しては必需のものでなく、図9では省略している。
【0051】
また、キャビネット104には、市水から供給きれた洗浄水をリム吐水ノズル107及びゼット吐水ノズル109から吐出させる給水バルブである水路切替手段116と、ボール106底部の静水圧を測定する溜水水位測定手段である圧力センサ118と、水路切替手段116を制御し、使用者の尿量を計算する制御手段120が収納されている。また、制御手段120を操作する信号を送る操作・表示部122が壁面に取り付けられている。
【0052】
洋風大便器102は、陶器製であり、その上部には、樹脂製の便座110及び便ふた112が回動自在に取り付けられている。トラップ部108の出口側端部は、排水ソケット124を介して下水管126に接続されている。ボール106には、最大で、トラップ部108の頂部108aの高さの溢流水位まで溜水を保持することができる。また、ボール106内の水位がトラップ部入口108bの高さよりも低くなると、トラップ部108がボール106内の溜水によって封鎖きれなくなるので、封水切れが起きる。
【0053】
リム吐水ノズル107は、ボール106の上部から、リムの接線方向に洗浄水を吐出させ、ボール106の壁面を洗浄するように構成されている。ゼット吐水ノズル109は、ボール106の底部からトラップ部108に向けて洗浄水を噴出させ、トラップ部108内にサイホン現象を誘発するように構成されている。
【0054】
採尿装置114は使用者の尿を採取する採尿器114a、ボール106内部を回動させる採尿アーム114b、および、駆動動作を行う採尿ユニット114cで構成されている。採尿装置114は、排泄された尿をキャビネット104に収納された尿成分測定部114dに送出し、この尿成分測定部114dで尿中に含まれる特定成分の定性・定量測定を行うように構成されている。また、採尿装置114には、廃液をボール106内に戻すための配管部材(図示せず)、機構部を動作させるための制御配線(図示せず)が内蔵きれている。本実施例では、尿成分測定部114dはキャビネット104外に設置されているが、尿成分測定の測定項目の一部は採尿器114a中で実施しても良く、尿温度のような項目は採尿器114a中で測定するのが良い。また、尿成分測定部114dは、キャビネット104の内部、又はキャビネット104の外の尿量測定大便器101が設置されているトイレ室内、或いはトイレ室とは別の室内に配置することができる。尿成分測定部114dには、バイオセンサや電気化学センサや物理量計測センサをはじめとする各種センサが組み込まれても良いし、他の大型臨床検査装置で測定すべく検体を採取して容器に所定量だけ備蓄するように構成されていても良い。好ましくは、採尿装置114の外郭は、排泄物や水との接触を配慮して、抗菌性のある材質で形成し、表面に換水性のある処理を施しておく。これにより、採尿装置114の清掃性がより向上する。前述の採尿装置114が必需でないのと同じく、尿成分測定装置114dも必需のものではない。
【0055】
採尿装置114の外郭は、洋風大便器102の一部に切り欠きを設けて配置されている。採尿装置114の上面には便座112が当接し、採尿装置114の内側はボール106と接するように構成されている。また、採尿装置114の便座当接面は、中央に向けて3°程度傾斜しており、当接面を換水処理することにより飛沫がボール106に戻りやすくなり、トイレ床を汚しにくくなる。洋風大便器102と採尿装置114の間には、シール剤であるゴムパッキン(図示せず)が配置され、排泄物飛沫の侵入を防止している。外郭サイズは洋風大便器102の外形シルエットと略同様の形状であり、使用者の下肢裏側と干渉しない。このため、採尿機能が組付けられた便器であっても用便行為自体を行う限りにいて、一般便器と同様に使用することができる。また配管・配線部材は洋風大便器102の中空部に配置されているため、すっきりした外観が得られている。また、尿成分測定部114dをキャビネット104内に配置することにより、尿成分測定部114dがトイレの床面を占有していないため、清掃の度ごとに尿成分測定部114dを移動させる必要もない。このため、尿成分測定部114dによってトイレのスペースを狭めることがなく、トイレを衛生に保つためにも有効である。
【0056】
水路切替手段116は、制御手段120の制御信号に従って、市水から供給された洗浄水を、リム吐水ノズル107及びゼット吐水ノズル109から交互に吐水させるように構成されている。
【0057】
圧力センサ118は、ゼット吐水ノズル109と連通した測定管路としての圧力導管118aによって導かれ、ボール106底部の静水圧を測定するように構成されている。また後述の方法によって、ボール106内部の溜水は測定管路としての圧力導管118aを介して、排出動作が実施されるようになっている。
【0058】
制御手段120は、使用者の操作及び内蔵しているプログラムに従って、水路切替手段116を制御するように構成されている。また、制御手段120は、尿量算出手段128を内蔵しており、この尿量算出手段128は、圧力センサ118によって測定された圧力に基づいて、ボール106内の水位を求め、使用者が排泄した尿量を計算するように構成されている。さらに、制御手段120は、尿量算出手段128に水位と溜水量の検量関係を組み込む検量手段130を有している。
【0059】
また、壁に設けられた操作・表示部122は、操作性を良好にするため、洋風大便器102の先端位置に合わせて取付けられている。操作・表示部122は、使用者の局部を衛生的に洗浄にする機能を操作するための衛生洗浄装置リモコン132、使用者の尿成分測定に関する機能を操作するための尿成分測定部リモコン134、及び尿成分測定結果考出力し、使用者がデータを確認したり、医療スタッフが医療行為に使用するためのプリンター136を有する。
【0060】
図10は本発明の検量線作成手段を組み込んだ第4の実施例における尿量測定大便器101の尿量測定時の動作を時系列で表すグラフであり、図11は本発明の検量線作成手段を組み込んだ第4の実施例における尿量測定大便器101の各部分の関係を表すブロック図であり、図12は本発明の検量線作成手段を組み込んだ第4の実施例における圧力センサーの校正機構の側面断面図である。前述の図8と図9、および、図10から図12を使用して、本発明の検量線作成手段を組み込んだ第4の実施例における各部のシステム構成と、圧力センサーによる尿量測定メカニズムについて詳説する。
【0061】
上水配管で供給される市水は、概ね0.07〜0.75MPaの給水圧力で止水栓103に供給され、洋風大便器102に対して所定のタイミングで水を開閉すべく水路切替手段116に供給される。水路切替手段116に供給された水は、リム吐水ノズル107とゼット吐水ノズル109に分岐される。
【0062】
ボール106の静水圧は測定管路としての圧力導管118aを介して圧力センサー118を含む溜水量測定ユニット119に接続され、溜水量測定ユニット119の排水は排水導管118bを介して排水ソケット124に接続されている。ゼット吐水ノズル109と連通した圧力導管118aは、異物除去手段119jと開閉弁B119bと開閉弁A119aを介して圧力センサー118に接続され、排尿前はボール106内部に蓄えられた水、および、排尿後は水と尿の混合物の水位がもたらす静水圧を測定するようになっている。異物除去手段119jは圧力導管118aよりも十分に大きな流路断面積を有するように構成されている。このため、万一、溜水中の汚物がゼット吐水ノズル109と連通した圧力導管118aを通って圧力センサ118の方へ流れた場合にも、異物除去手段119jで流速が低下するので、汚物は水路拡大部で沈殿し、圧力センサ118に到達することはない。合わせて、この異物除去手段119jにはストレーナを設け、定期的な清掃作業が可能なように構成としている。また、異物除去手段119jと圧力センサ118の間に接続された開閉弁A119aと開閉弁B119bは、制御手段120によって、圧力センサ118による水位測定を行う際には連通され、水位測定を行わない時には閉鎖されるように構成されている。
【0063】
図9に示すように、待機時においては、尿量測定大便器101のボール106内の溜水の水位は、Hで示す溢流水位になっており、頂部108aの位置にある。また、操作・表示部122には「待機中」と表示されている。使用者が着座前に準備スイッチ(図示せず)を操作、又はIDカードやタグなどの個人認証手段(図示せず)を操作すると、制御手段120は、水路切替手段116に制御信号を送り、ゼット吐水ノズル109から吐水させる。また、操作・表示部122の表示は「測定準備中」になる。ゼット吐水ノズル109から吐水されると、トラップ部108においてサイホン現象が発生してボール106内の溜水が吸引され、ボール106内の水位が、図9のXで示す空水位まで低下する。これと同時に、制御手段120は開閉弁B119bと開閉弁C119cを開放する。圧力損失の対比から、水路切替手段116から供給される水の大部分はゼット吐水ノズル109に導かれるが、若干量は圧力導管118a、開閉弁B119b、および、開閉弁C119cを経て、先端が開放されている校正管119fに充当される。校正管119fに導かれた水は溢れ、物理的に一定水位ヘッドが確保されることになる。溢れた水は校正貯水部119kに所定量貯まる。また校正貯水部119kにはフロートスイッチ119gが設けられており、何らかの不具合で水の溢れがおきなかった時には校正が上手くいかなくなっていることを検出できるようになっている。また溢れた水は、下水配管からの臭気や衛生害虫の侵入を防止すべく設けられたトラップ119iを経て排水導管118bに導かれ、排水ソケット124で合流して下水配管126に排出される。
【0064】
次いで、制御手段120は開閉弁Bを閉じて、校正管への給水を止める。合わせて、開閉弁A119aと開閉弁119cを開放し、校正管119fの水位ヘッドによる一定圧力を圧力センサー118で測定する。なお開閉弁E119eは弁開閉動作による圧力のこもりを逃がすためのものである。圧力のこもりを防止する構成としては、本実施例で示した圧抜き管路を開放する構造の他に、弁体の開閉動作が圧力変動を生じることのないボール弁やスライド弁などの構成を採用することや、圧力導管の管路に絞りのためのオリフィスを設けて圧力の伝達を抑制するものなどがあり、実施例の構造に限定されるものではない。圧力センサー118は半導体圧力センサーを想定しているが、組み込まれた半導体ダイアフラムは通電や環境温度によって出力が変化するドリフト現象を発生することがあるが、測定直前に常に一定圧力のものと比較して校正を行うことで、圧力センサー118は水位を絶対位置として測定できるようになる。圧力センサーの校正動作は、本シーケンスで説明したように準備動作中に完了するため、校正動作の時間が使用者の排尿を待たせる時間にはならない。
【0065】
なお、校正管119fの開放部には表面張力などによる自由水面のメニスカスが誤差とならないよう、適宜、V字型の溝などを設けて水を逃がすことで、校正水位位置の繰り返し再現性の向上を図っても良い。
【0066】
次いで、制御手段120は、水路切替手段116に制御信号を送り、リム吐水ノズル107から所定時間吐水させた後、水路切替手段116に制御信号を送り、リム吐水ノズル107からの吐水を止める。水路切替手段116の開閉機構としては、パイロットブリード方式のダイヤフラムを利用したものが一般的であるが、原理的に給水圧やダイヤフラム剛性の環境温度変動などによって、その経時的な閉止特性にはバラツキが発生する。この給水動作によって創生される水位がスタート水位Yであり、絶対水位を測定可能となった圧力センサー118によって絶対位置として測定され、後述の方法でスタート時点の溜水量が演算される。下水配管内の圧力変動によって波立つことが考えられるが、平均値をスタート水位として認知すればよい。スタート水位Yの測定が終了すると、操作・表示部122の表示は「測定可」になる。スタート水位Yとしては、下水配管内で発生する圧大規模の圧力変動±50mmAqaでも溜水が切れないことを配慮し、トラップ部入口108bの上方25mm程度が狙いの位置ということになる。なお、前述の吐水させる所定時間は、狙いの水位に近づけるために動作時間と結果としての水位位置の関係を学習して調節を実施してもよい。
【0067】
表示が「測定可」に変化した後、使用者はボール106に排尿する。使用者が排尿すると、図10に示すように、ボール106内の水位は上昇し、水位Zとなる。排尿が終わった後、使用者が、操作・表示部122の排尿終了スイッチ(図示せず)を操作し、または溜水水位変化がなくなることにより排尿終了が検知されると、制御手段120は、圧力センサによって排尿後水位Zにおける圧力が測定され、同じく後述の方法で排尿終了時点の溜水量が演算される。排尿後の水位も、下水配管内の圧力変動によって波立つことが考えられるが、平均値を排尿後水位Zとして認知すればよい。排尿前後の溜水量差が尿量であり、制御手段120に内蔵された尿量算出手段128で演算された尿量は、操作・表示部122に表示される。出力形態としては、プリンター136から紙面でプリントアウトされたり、電子記憶媒体や施設内LANなどに電子情報として出力されるものであってもよい。なお病院で本技術の大便器ユニットを使用する場合、医療行為として測定される尿量測定値が使用者としての患者に対して精神的な圧迫を与えると判断される時には、測定結果の表示機能を省略することも考えられる。出力形態については、使用者としての患者ではなく、そのデータを活用する医療関係者の意志を十分配慮した上で、適宜、出力仕様を見直すべきである。
【0068】
測定が終了すると、操作・表示部122の表示が「測定準備中」に変化する。使用者が便器洗浄操作をする、または、所定時間以上離座すると便器洗浄動作を開始する。制御手段120は、リム吐水ノズル107から所定時間吐水させ、図10に示すように、ボール106内の水位がトラップ部108の満水水位Wまで上昇すると共に、旋回流で汚物が中央に集められる。次いで、制御手段120は、リム吐水ノズル107からの吐水を停止し、ゼット吐水ノズル109から吐水させる。ゼット吐水ノズル109からの吐水により、トラッブ部108にサイホン現象が発生し、ボール106内の洗浄水及び尿がトラップ部108に吸い込まれ、ボール106内の水位が低下する。サイホン現象終了役、制御手段120は、再びリム吐水ノズル107から所定時間吐水させ、ボール106内の水位を溢流水位Hまで上昇させて、待機状態に戻る。その後、操作・表示部122の表示が「待機中」に変化する。
【0069】
洋風大便器102は陶器製であり個体差が大きく、かつ、スタート水位Y自体も測定都度毎にバラツキを持つため、尿量算出手段128に内蔵された検量手段130は、ボール106内の溜水量と水位の関係である検量線を予め記憶している。この検量線は、ボール106内内の溜水を所定毎、圧力導管118aと開閉弁D119d経由でポンプ119hが吸引、排水導管118b経由で下水配管126に排出しながら、そのときの水位を測定することとよって求められる。なお、検量線設定に先立って、溜水中の異物を排出するための洗浄動作を実施することで異物の吸引を防止するとともに、その設定動作は大便器ユニットを使用する可能性が小さな夜中などに実施される。検量線設定のための手間が無く、施工作業者や性能・機能の維持管理者の手間を煩わすことがない。なお検量線設定の頻度としては、圧力センサーのドリフト特性を配慮して設定されればよい。ドリフトの小さな圧力センサーを採用している場合は、開閉弁D119d経由でポンプ119hの部分を後付け可能として、定期的な特性チェックの時に実施すれば大便器ユニットのコストを抑制することも可能である。圧力センサーの持つドリフト特性と、医療関係者が求める精度仕様の両者を勘案して、検量手段130は内蔵しようとするか、別体とするかを選択すればよい。
【0070】
図13は本発明の検量水排出手段を組み込んだ第4の実施例における尿量測定大便器101の便器洗浄時の動作を時系列で表すグラフである。尿量測定機能ではなく、通常の大便器として使用する場合の動作を述べる。
【0071】
待機時においては、尿量測定大便器101のボール106内の溜水の水位は、Hで示す溢流水位になっており、頂部108aの位置にある。また、操作・表示部122には「待機中」と表示されている。使用者が準備スイッチ(図示せず)を操作、又はIDカードやタグなどの個人認証手段(図示せず)を操作せずに着座した場合、尿量測定大便器101は大便器としての動作のみを実施する。制御手段120は、操作・表示部122の表示は「測定不可」に変え、尿量測定ができないことを使用者に開示する。同時に制御手段120は水路切替手段116に対して、リム吐水の準備を実施する。使用者が便器洗浄操作をする、または、所定時間以上離座すると便器洗浄動作を開始する。制御手段120は、リム吐水ノズル107から所定時間吐水させ、図13に示すように、ボール106内の水位がトラップ部108の満水水位Wまで上昇すると共に、旋回流で汚物が中央に集められる。次いで、制御手段120は、リム吐水ノズル107からの吐水を停止し、ゼット吐水ノズル109から吐水させる。ゼット吐水ノズル109からの吐水により、トラッブ部108にサイホン現象が発生し、ボール106内の洗浄水及び尿がトラップ部108に吸い込まれ、ボール106内の水位が低下する。サイホン現象終了役、制御手段120は、再びリム吐水ノズル107から所定時間吐水させ、ボール106内の水位を溢流水位Hまで上昇させて、待機状態に戻る。その後、操作・表示部122の表示が「待機中」に変化する。前述のように、尿量測定をしない時には一般の便器とまったく同じ使い方ができるようになっている。
【0072】
図14は本発明の検量線作成手段を組み込んだ第4の実施例における溜水水位測定手段の出力の校正原理と検量線設定原理を示す模式図である。
【0073】
圧力センサーは圧力を代替する水位によって単調変化の出力特性を持っている。本出願人が使用した圧力センサーは、水位に対してほぼ比例増加する出力電圧を発生する特性を持っている。溢流水位Hの近傍に校正管119fの溢れ面は設定されている。その位置を原点として、校正基準水位(本実施例では58mm)が認識される。校正圧力は不変のため、校正直後に実施される排尿前後の水位は絶対位置として測定できることになる。
【0074】
検量線設定に先立ち便器洗浄を実施すると前述したが、溜水水位は溢流水位Hとなっている。この溜水量を、定量排出動作が可能なポンプ119hで所定量排出しながら、圧力センサー118の出力変化を測定し、溜水水位と溜水量Qの検量関係を取得する。なお検量線設定範囲の下限は、本技術の尿量測定大便器101の特性的に考えたスタート水位バラツキ下限の位置から、スタート水位バラツキ上限+最大尿量仕様値(例えば1000mL)の範囲で検量関係は設定される。また、この検量関係は連続である必要は無く、離散的な値をラグランジュ補間などの関数関係を利用して、検量手段として認識すればよい。本提案者の確認では、400mLピッチで3点の水位を測定してラグランジュ補間したところ、尿量測定精度としては±5%程度の誤差で収まることを確認している。実施例1から3は校正原点としてスタート水位に対する溜水量変化と水位変化の関係を検量線によって尿量換算に使用しているのに対して、実施例4では溜水水位測定手段の出力を校正する校正基準水位作成手段を有して、溜水水位測定手段は水位を絶対値を測定するように構成されている。したがって、実施例1から3は測定のスタート水位の再現性が精度的に重要なのに対して、実施例4は測定のスタート水位の再現性が測定精度に対して影響を受けないようになっている。
【0075】
図15は本発明の尿量測定大便におけるスタート水位設定状況を時系列で表す第一実施例のグラフである。ボール面内の溜水を一旦排出して空にした後、補給水によってスタート水位とする設定する方法をしめす。
【0076】
時刻T1時に溢流水位Hであった溜水は、ゼット吐水によって引き起こされたサイホン現象によって時刻T2からT3まで空水位Xであった後、リム吐水によって補水され、時刻T4時にスタート水位Yになることを示している。スタート水位Yは空水位Xと溢流水位Hの間で自由に設定でき、所定の勢い以上のゼット吐水でサイホン現象が発生するため制御が簡単である反面、サイホン現象が発生するまでの時間が必要であること、溜水排出で水が無駄に消費されるという課題がある。
【0077】
図16は本発明のに尿量測定大便におけるスタート水位設定状況を時系列で表す第二実施例のグラフである。溜水を待機水位から徐々に減少させ、スタート水位とする設定する方法をしめす。
【0078】
時刻T1時に溢流水位Hであった溜水は、ゼット吐水の勢いで溜水を吐き出し、時刻T2時にスタート水位Yになることを示している。スタート水位となるまでに無駄に消費される水が少ない反面、サイホン現象が発生しない程度の勢いでゼット吐水を制御する必要があり、細かなゼット吐水の勢い制御が必要である。なお、待機時の封水深は建築基準法施工令の基準によって50mm以上100mm以下とする必要があるが、待機時の水位を溢流水位Hとするのではなく、50mm以上で近傍の待機水位H’としておき、スタート水位セット完了時刻をT2’に短縮できるという方法もある。減少させるべき水位差が小さいため、溜水の排出に必要な時間を削減できるという特徴がある。
【0079】
図17は図8から図16で示した検量水供給手段を利用した検量線創生方法を示すフローチャートであり、検量線創生時の動作の流れを示す。
S101で検量線創生が指示される。検量線の創生は施工時に必須であり、以降は所定期間を設定して経時的に実施して、全体システムの測定精度が一定範囲に収まるように実施される。S102は校正動作に対して便器洗浄を事前準備として、ボール内の溜水を下水に対して排出するステップであり、図8から図16の構成であれば、ゼット吐水によってトラップ部に負圧を発生させ、サイホン現象で溜水を全て排出する。便器には色々なものが捨てられる恐れがあるため、校正に対しては常に溜水を排出、換水してから校正動作を実施することで、測定系への異物詰り等のトラブル発生を未然防止している。次いで、S103でボールに対してトラップ部の溢流水位Hとなるまで水が供給される。S104は、校正管に対して水を供給し、校正管の中を満水にするステップで、校正の再現性が常に一定となるように配慮されている。S105は、その位置を校正基準水位として認識するステップである。S107は検量線設定範囲の上限まで溜水を排出するステップである。以降、検量線設定範囲の下限に向けて、所定量の溜水排出が繰返される。例えば溢流水位時の溜水量を2.7L、および、検量線設定範囲の上限時の溜水量を2.1Lとすると、S107ステップの溜水排出量は0.6Lということになる。S108は所定量の排水を行い、溜水水位を測定するステップである。S109は流出排出回数を制御するステップである。例えば1回の定量給水量を0.2Lとすると、検量線設定範囲の下限溜水量を1.3Lとすると、溜水量を前述の2.1Lから、1.9L、1.7L、1.5L、1.3Lと変化させて、都度、溜水の絶対水位を測定する。繰り返し数は便器の製造ばらつきの程度や、目標とする精度によって適宜変更すればよい。S110は検量線を演算するステップであり、前述の事例では、溜水水位1.3Lと1.5Lと1.7L1.9Lと2.1L時の測定された溜水の絶対水位によって補間関数が演算され、溜水水位と溜水量の関係が認知され、S111で検量線の設定動作が終了する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の尿量測定大便器の構成を示すシステム図である。
【図2】本発明の尿量測定大便器の溜水量と水位との関係を示すグラフである。
【図3】本発明の検量水供給手段の第1の実施例を示す模式図である。
【図4】本発明の検量水供給手段の第2の実施例を示す模式図である。
【図5】本発明の検量水供給手段の第3の実施例を示すシステム図である。
【図6】本発明の検量水供給手段の第3の実施例において検量水供給手段から供給される水の経過時間−流速関係例を示すグラフである。
【図7】第1から第3の実施例の検量水供給手段を利用した検量線創生方法を示すフローチャートである。
【図8】本発明の検量水排出手段を組み込んだ第4の実施例における尿量測定大便器全体を示す斜視図である。
【図9】本発明の検量線作成手段を組み込んだ第4の実施例における尿量測定大便器の側面断面図である。
【図10】本発明の検量線作成手段を組み込んだ第4の実施例における尿量測定大便器101の尿量測定時の動作を時系列で表すグラフである。
【図11】本発明の検量線作成手段を組み込んだ第4の実施例における尿量測定大便器101の各部分の関係を表すブロック図である。
【図12】本発明の検量線作成手段を組み込んだ第4の実施例における圧力センサーの校正機構の側面断面図である。
【図13】本発明の検量水排出手段を組み込んだ第4の実施例における尿量測定大便器101の便器洗浄時の動作を時系列で表すグラフである。
【図14】本発明の検量線作成手段を組み込んだ第4の実施例における校正原理と検量線設定原理を示す模式図である。
【図15】本発明のに尿量測定大便におけるスタート水位設定状況を時系列で表す第一実施例のグラフである
【図16】本発明のに尿量測定大便におけるスタート水位設定状況を時系列で表す第二実施例のグラフである。
【図17】第4の実施例の検量水供給手段を利用した検量線創生方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0081】
1・・・・・・便器
2・・・・・・ボール
3・・・・・・リム
4・・・・・・溜水
5・・・・・・トラップ部
6・・・・・・洗浄水供給手段
7・・・・・・リム吐水ノズル
8・・・ゼット吐水ノズル
9・・・下水管
10・・・排水ソケット
11・・・導圧管
12・・・検量水供給配管
13・・・検量水供給手段
14・・・溜水水位測定手段
15・・・制御部
16・・・シーケンス管理部
17・・・検量線作成手段
18・・・尿量算出手段
19・・・測定値出力手段
20・・・スタート溜水量用貯水槽
21・・・第1検量水供給用貯水槽
22・・・第2検量水供給用貯水槽
23・・・あふれ水排水槽
24・・・給水管
25・・・給水用開閉弁
26・・・スタート溜水量供給水開閉弁
27・・・第1検量水供給用開閉弁
28・・・第2検量水供給用開閉弁
29・・・あふれ水排水管
30・・・検量水供給制御手段
31・・・積算流量測定手段
32・・・供給水量比較手段
33・・・検量水目標値記憶手段
40・・・検量水貯留手段
41・・・給水配管
42・・・給水用開閉弁
43・・・検量水供給制御手段
44・・・検量水供給量制限手段
45・・・あふれ水排水管
46・・・検量水流出時間計測手段
47・・・検量水量演算手段
101・・・大便器ユニット
102・・・洋風大便器
103・・・止水洗
104・・・キャビネット
106・・・ボール
106a・・・リム面
107・・・リム吐水ノズル
108・・・トラップ部
108a・・・頂部
108b・・・トラップ部入口
109・・・ゼット吐水ノズル
110・・・便座
112・・・便ふた
114・・・採尿装置
114a・・・採尿器
114b・・・採尿アーム
114c・・・採尿ユニット
114d・・・尿成分測定部
116・・・水路切替手段
118・・・圧力センサー
118a・・・圧力導管
118b・・・排水導管
119・・・溜水量測定ユニット
119a・・・開閉弁A
119b・・・開閉弁B
119c・・・開閉弁C
119d・・・開閉弁D
119e・・・開閉弁E
119f・・・校正管
119g・・・フロートスイッチ
119h・・・ポンプ
119i・・・トラップ
119j・・・異物除去手段
119k・・・校正貯水部
120・・・制御手段
122・・・操作・表示部
124・・・排水ソケット
126・・・下水配管
128・・・尿量算出手段
130・・・検量線作成手段
132・・・衛生洗浄装置リモコン
134・・・尿成分測定部リモコン
136・・・プリンター
H・・・溢流水位
H’・・・待機水位
Q・・・溜水量
ΔV・・・出力電圧変化量
W・・・満水水位
X・・・空水位
Y・・・スタート水位
Z・・・排尿後水位


【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の排尿を受けると共に溜水が形成されたボール面と、水を供給することにより前記ボール面を洗浄するとともに前記溜水を下水配管に排出する洗浄水供給手段と、前記溜水の水位を測定する溜水水位測定手段と、前記溜水水位測定手段で得られる水位の排尿に伴う変化量から排泄された尿量を求める尿量算出手段を有する尿量測定大便器において、前記溜水水位測定手段は前記溜水に接する前記ボール面に開口端を有した測定管路を有し、また前記検量線作成手段は前記溜水の水位を変化させる検量水位形成手段と、前記検量水位形成手段によって溜水量を変化させたときの溜水水位を前記溜水水位測定手段で測定して得られる、溜水量と溜水水位との関係から尿量を算出するための検量線を作成する検量線作成手段と、を備えたことを特徴とする尿量測定大便器。
【請求項2】
前記検量水位形成手段は、ボール面の前記溜水を全量除去した後に溜水の水位を変化させるための水を前記ボール面に供給する検量水供給手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の尿量測定大便器。
【請求項3】
前記検量水供給手段は、水を貯留する複数の容器からなる検量水貯溜手段と、前記検量水貯溜手段に水を供給するための給水手段と、前記検量水貯留手段の前記各容器に貯溜された水を時間的供給間隔をあけて順次に、ボール面に供給する検量水供給制御手段と、を備えたことを特徴とする請求項2に記載の尿量測定大便器。
【請求項4】
前記検量水供給手段は、水を貯留する単一の容器からなる検量水貯留手段と、前記検量水貯留手段に水を供給するための給水手段と、前記検量水貯留手段の前記容器に貯留された水をボール面に供給する検量水供給制御手段とを備え、前記給水手段による前記検量水貯留手段への給水完了後に前記検量水供給制御手段による前記ボール面への検量水供給を行なうことを複数回繰り返すことを特徴とする請求項2に記載の尿量測定大便器
【請求項5】
前記検量水供給手段は、あらかじめ規定された容量の水を貯留する検量水貯溜手段と、前記検量水貯溜手段からボール面に供給するために流出させる前記検量水の供給速度を制限する検量水供給量制限手段と、前記検量水貯溜手段からボール面に供給するための水路を開閉する検量水供給水路開閉手段と、前記検量水の流出する流出経過時間を計測する検量水流出時間計測手段と、前記流出経過時間と供給速度から任意の経過時間における検量水供給量を算出する検量水量演算手段と、を備えたことを特徴とする請求項2に記載の尿量測定大便器。
【請求項6】
前記検量水供給手段は、検量水の供給を制御する検量水供給制御手段と、検量水供給量を測定する積算流量測定手段と、少なくとも異なる2つ以上の水位をボール面に形成するために必要な検量水量である検量水供給量目標値を記憶した検量水目標値記憶手段と、積算流量測定手段での供給水量と前記検量水供給量目標値を比較し、検量水供給制御手段に検量水供給の断続指令を出力する供給水量比較手段と、を備えたことを特徴とする請求項2に記載の尿量測定大便器。
【請求項7】
前記検量水位形成手段は、前記洗浄水供給手段によって前記ボール面の溢流水位まで水を供給した後に、前記溜水を所定量ずつ前記ボール外に排出する検量水排出手段を備え、たことを特徴とする請求項1に記載の尿量測定大便器。
【請求項8】
前記検量水排出手段は、前記溜水を前記測定管路を経由して前記ボール外に排出することを特徴とする請求項7に記載の尿量測定大便器。
【請求項9】
前記溜水水位測定手段は、その出力値を校正するための基準となる校正基準水位を創生する校正基準水位作成手段を有し、前記校正基準水位における前記溜水水位測定手段の出力を計測することによって、前記溜水水位測定手段の出力を校正することを特徴とする請求項7に記載の尿量測定大便器。
【請求項10】
前記校正基準水位作成手段は校正管路によってボール面の前記溜水に接続され、上端が大気に対して開放された校正管と、前記校正管に水を供給する校正水補給手段を有することを特徴とする請求項9に記載の尿量測定大便器。
【請求項11】
前記溜水水位測定手段手段の出力の校正を行なう前、または/及び、前記溜水水位測定手段手段の検量線を作成する前に、便器洗浄を実施することを特徴とする請求項7乃至請求項10のいづれかに記載の尿量測定大便器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−126165(P2006−126165A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−125464(P2005−125464)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】