説明

局所コエンザイムQ10製剤、及び疼痛、疲労、並びに創傷の治療

CoQ10は、線維芽細胞及びケラチン生成細胞の促進効果を有し、ATP産生を増大させ、疼痛を軽減する。製剤は、急性創傷治癒、疲労並びに急性及び慢性疼痛の治療の促進に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コエンザイムQ10(CoQ10)を含む医薬組成物、及び、疼痛、筋肉疲労、創傷治癒、関節炎などの治療においてCoQ10を用いる方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
継続中の研究領域は、経皮鎮痛剤を用いて疼痛を軽減又は取り除くためのより安全で、有効な方法の開発である。現在市販されている鎮痛剤の多くは疼痛をある程度軽減するが、短期間で疼痛寛解が持続する新規製剤の特定に対する関心が続いている。
【0003】
従って、本発明の目的は、十分短期間で有効な疼痛寛解を提供し、かつ、疲労を治療し、創傷治癒を促進させる安全な局所組成物を提供することである。本発明の別の目的は、本明細書の説明から明らかになるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、CoQ10及びリン脂質リポソームを含む組成物を提供する。本発明は、疼痛、疲労、創傷治癒、及び低下したATP産生を治療する方法にも関する。
【0005】
好適な実施形態では、疼痛、疲労、及び創傷治癒の治療用の局所組成物は、CoQ10、リポソーム、及び薬学的に許容される担体を含む。組成物は約0.001%〜約60%(w/w)の間のコエンザイムQ10を含むのが好ましい。
【0006】
別の好適な実施形態では、組成物はゲル剤、軟膏剤、クリーム剤、塗擦剤、ローション剤、ムース剤、泡剤、噴霧剤、及び/又はエアロゾル剤の形態である。
【0007】
別の好適な実施形態では、癌に伴う疼痛を治療する方法は、必要とする患者の疼痛領域に、治療に有効な量のCoQ10、リポソーム、及び薬学的に許容される担体の組成物を含む局所組成物を局所投与することを含む。組成物は約0.001%〜約60%(w/w)の間のコエンザイムQ10を含むのが好ましい。
【0008】
別の好適な実施形態では、筋肉痛に伴う疼痛を治療する方法は、必要とする患者の疼痛領域に、治療に有効な量のCoQ10、リポソーム、及び薬学的に許容される担体の組成物を含む局所組成物を局所投与することを含む。組成物は約0.001%〜約60%(w/w)の間のコエンザイムQ10を含むのが好ましい。
【0009】
別の好適な実施形態では、関節痛に伴う疼痛を治療する方法は、必要とする患者の疼痛領域に、治療に有効な量のCoQ10、リポソーム、及び薬学的に許容される担体の組成物を含む局所組成物を局所投与することを含む。組成物は約0.001%〜約60%(w/w)の間のコエンザイムQ10を含むのが好ましい。
【0010】
別の好適な実施形態では、疼痛、疲労、及び創傷治癒を治療する方法は、必要とする患者の疼痛領域に、治療に有効な量のCoQ10、リポソーム、及び薬学的に許容される担体の組成物を含む局所組成物を局所投与することを含む。組成物は約0.001%〜約60%(w/w)の間のコエンザイムQ10を含むのが好ましい。疼痛は、例えば、物理的損傷、切り傷、火傷、手術、関節、筋肉、頭、首、癌、疾患、加齢に伴うなどのいずれの苦痛の結果であり得る。
【0011】
別の好適な実施形態では、筋肉疲労を治療する方法は、必要とする患者の筋肉に治療に、有効な量のCoQ10、リポソーム、及び薬学的に許容される担体の組成物を含む局所組成物を局所投与することを含む。組成物は約0.001%〜約60%(w/w)の間のコエンザイムQ10を含むのが好ましい。
【0012】
別の好適な実施形態では、筋肉内のATP産生を増加させる方法は、必要とする患者の筋肉に、治療に有効な量のコエンザイムQ10、リポソーム、及び薬学的に許容される担体の組成物を含む局所組成物を投与することを含む。しかしながら、ATP産生の増加はどの細胞でもあり得る。
【0013】
別の好適な実施形態では、創傷治癒を促進させる方法は、必要とする患者の筋肉に、治療に有効な量のコエンザイムQ10、リポソーム、及び薬学的に許容される担体の組成物を含む局所組成物を投与することを含む。
【0014】
別の好適な実施形態では、疼痛及び創傷治癒の治療用の組成物は、CoQ10、リポソーム、及び薬学的に許容される担体を含む。組成物は約0.001%〜約60%(w/w)の間のコエンザイムQ10を含むのが好ましい。
【0015】
別の好適な実施形態では、組成物は、サイトカイン、成長因子、分化因子、ホルモン、鎮痛剤、及び疼痛止めをさらに含む。サイトカインの例としては、成長因子、遊走因子、モノカイン、リンホカインがあり、限定されないが、上皮成長因子(EGF);血小板由来成長因子(PDGF);繊維芽細胞成長因子(FGFs);形質転換成長因子−β(TGFs−β);形質転換成長因子−α(TGF−α);エリスロポエチン(Epo);インシュリン様成長因子−I(IGF−I):インシュリン様成長因子−II(IGF−II):インターロイキン−1(IL−1):インターロイキン−2(IL−2);インターロイキン−6(IL−6);インターロイキン−8(IL−8);腫瘍壊死因子−α(TNF−α);腫瘍壊死因子−β(TNF−β);インターフェロン−γ(INF−γ);コロニー刺激因子(CSFs)などが挙げられる。
【0016】
本発明の他の態様を以下に示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は添付請求項に特に指摘されている。本発明の上記及びさらなる利点は、添付図面と併せて以下の説明を参照することによってより深く理解されるであろう。
【0018】
(詳細な説明)
本発明は、CoQ10及びリン脂質リポソームを含む組成物を提供する。本発明は、疼痛、疲労、創傷治癒、及び低下したATP産生を治療する方法にも関する。
【0019】
(定義)
本発明に従い、かつ、本明細書で使用するように、下記の用語は、明示的に指示がない限り、下記の意味に定義する。
【0020】
本明細書で使用する単数形は、文中に明確に指摘されていない限り、複数の対象物を含む。
【0021】
本明細書で使用する「薬学的に許容される」成分とは、妥当な利益/リスク比に相応して過度の副作用(毒性、刺激、及びアレルギー反応など)を起こすことなく、ヒト及び/又は動物への使用に適しているものである。
【0022】
本明細書で使用する「安全かつ治療に有効な量」という用語は、本発明の方法を用いた場合、妥当な利益/リスク比に相応した過度の副作用(毒性、刺激、又はアレルギー反応など)を起こすことなく、所望の治療反応を生じるのに十分な成分量のことを言う。「治療に有効な量」とは、所望の治療反応を生じるのに有効な本発明の化合物の量を意味する。治療反応とは、例えば、創傷治癒、疼痛及び疲労寛解の促進である。特定の安全かつ有効量又は治療に有効な量は、治療対象の特定の状態、患者の健康状態、治療対象の哺乳類又は動物の種類、治療期間、併用療法(もしあれば)の性質、用いる特定の製剤、及び化合物又はその誘導体の構造などの要因により変わるであろう。
【0023】
本明細書で使用する「医薬用塩」とは、アミンなどの塩基性残基の無機又は有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリ又は有機塩が挙げられるが、これらに限定されない。塩は有機又は無機酸を用いて作られるのが好ましい。これらの好適な酸性塩は、塩化物、臭化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩、ギ酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン酸塩などである。最も好適な塩は塩酸塩である。
【0024】
「診断」又は「診断される」とは、病態の存在又は性質を識別することを意味する。診断方法は、感度及び特異度で異なる。診断アッセイの「感度」とは、陽性反応を示す疾患個体の割合(「真陽性」のパーセント)である。アッセイによって検出されない疾患個体は「偽陰性」である。疾患しておらず、アッセイで陰性反応を示す対象は「真陰性」と呼ばれる。診断アッセイの「特異度」は1から偽陽性率を引いた値である。「偽陽性」率とは、疾患ではないものが陽性反応を示す割合と定義する。特定の診断方法は状態の確定的診断を提供しない場合があるが、その方法が診断を助ける陽性指標を提供すれば十分である。
【0025】
「患者」又は「個体」という用語は、本明細書では区別なく使用され、治療される対象哺乳類のことを言い、ヒト患者であることが好ましい。場合によっては、本発明の方法は、限定されないが、マウス、ラット、及びハムスターを含む齧歯類;及び霊長類を含む、実験動物、獣医用途、及び疾患に対する動物モデルの開発での使用がある。
【0026】
「試料」とは、本明細書で最も広い意味で使用している。ポリヌクレオチド、ポリペプチド、ペプチド、抗体などを含む試料は、体液;細胞が増殖した細胞調製物又は培地の可溶性分画;細胞から単離又は抽出した染色体、細胞小器官、又は細胞膜;溶液中又は基質に結合したゲノムDNA、RNA、又はcDNA、ポリペプチド、若しくはペプチド;細胞;組織;tissue print;指紋、皮膚、又は毛髪などを含む場合がある。
【0027】
「治療」とは、疾患の進行を予防するか又は疾患の病状又は症状を変化させる意図で行う診療である。従って、「治療」とは、治療療法(therapeutic treatment)及び予防対策又は予防措置の両方のことを言う。治療を必要とするものは、疾患をすでに有するもののみならず、疾患を予防するものも含む。本明細書で使用する「改善される」又は「治療」とは、症状が正常値(例えば、健康な患者又は個体で得られた値)に近づくことを言う。例えば、正常値との差が50%未満、正常値と差が約25%未満であるのが好ましく、正常値との差が10%未満であるのがより好ましく、所定の統計的検定を用いて求めた際に正常値と有意差がないのが、さらにより好ましい。
【0028】
本明細書で使用する「改善された症状」又は「治療された症状」とは、症状が正常値に近づくことを言う。例えば、正常値との差が50%未満、正常値との差が約25%未満であるのが好ましく、正常値との差が10%未満であるのがより好ましく、所定の統計的検定を用いて求めた際に、正常値と有意に異ならないのがさらにより好ましい。
【0029】
「運動選手」という用語は、任意のレベルでスポーツに参加し、かつ、筋肉疲労、疼痛、創傷治癒などを改善しようとする個体のことを言う。しかしながら、競輪選手、長距離走者、短距離走者である運動選手も、本発明の効果から恩恵が得られるであろう。運動選手はハードトレーニング、すなわち、週3日以上又は試合のために激しいスポーツ活動を行うことである。運動選手は週に約1〜3回、約1〜2時間運動するフィットネス愛好家であってもよい。
【0030】
「創傷治癒」及び「改善された創傷治癒」という用語は、本発明の組成物を用いた創傷の治癒のことを言う。用語は、すなわち、1)患者が治療(処置)されない対照、及び2)公知の創傷治癒薬剤による治療と比べて、創傷治癒が促進されることを包含するだけではない。用語は、治癒の質及び量の向上に関するその他のパラメータも包含する。この創傷治癒としては、より速い治癒、より強力な治癒、疼痛の軽減、瘢痕組織の低減、整容性の向上、及び創傷治癒に伴うその他の過程の促進が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
(対象)
多くの異なる種からの対象を本発明の組成物で治療することができる。そのような動物の限定的な例示リストとしては、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ウシ、イヌ、ネコなどの哺乳類、サル、類人猿、及びヒトなどの霊長類が挙げられる。筋肉疲労、疼痛、創傷を患うことが知られているこれらの動物対象を本発明で使用するのが好ましい。特に、損傷、手術、関節炎、筋肉疲労などを患っているヒト患者は、本発明に使用する適切な動物対象である。本明細書に教示されている方法を医薬又は獣医学で知られているその他の方法に適用することで(例:対象動物の重量に従って投与物質の用量を調整すること)、本発明で利用する組成物をその他の動物への使用に容易に最適化することができる。
【0032】
(医薬組成物及び対象への投与)
好適な実施形態では、本発明は、創傷、疼痛、疲労などの治療用のCoQ10組成物を提供する。2,3−ジメトキシ−5−メチル−6−デカプレニル−l,4−ベンゾキノン(コエンザイムQ‐10)の経皮、経口、及び静脈内投与製剤は、特に、助剤、有効量の肺表面活性剤、及び/又は、リポソームとの組み合わせを含む。
【0033】
好適な実施形態では、本発明は、疼痛、疲労、及び創傷治癒のCoQ10組成物を提供する。組成物は、少なくとも約0.001%〜約60%(w/w)のコエンザイムQ10を含むのが好ましい。
【0034】
CoQ10を含有する組成物を送達するために、任意の適切な担体を用いることができる。例えば、リポソームを担体として用いることができる。例示のリポソーム製剤としては、Phospholipon 90G(American Lechitin、Stanford、CT)、Phospholipon 90H(American Lechitin、Stanford、CT)、グリセロール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エタノール、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)、ラベンダー(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)、及びコエンザイムQ10(Pure Prescriptions、San Diego、CA)から成っている。この製剤を調製するプロトコルの例としては、まず初めに、10gのPhospholipon 90H、5gのPhospholipon 90Gを75℃で1.5gのMCT、0.3gのBHT、及び9mlのエタノールに溶解することを伴う。次に、1.1gのコエンザイムQ10をこの混合物中に溶解する。窒素飽和水で調製した65mlの1mMリン酸緩衝液(pH8.2)、13.3gのグリセロール、及び50μLのラベンダーを加える。上記の混合物を高速ブレンダーで12,000RPMで混和し、クリーム状にする。このクリームを使用するまで4℃で保存する。
【0035】
好適な実施形態では、CoQ10組成物は、CoQ10、リポソーム、及び薬学的に許容される担体をさらに含むことができる。組成物は約0.001%〜約60%(w/w)の間のコエンザイムQ10を含むのが好ましい。例えば、Q−sootheは、1%w/wのコエンザイムQ10を含む。
【0036】
別の好適な実施形態では、組成物は、サイトカイン、成長因子、分化因子、ホルモン、疼痛止め、及び/又は鎮痛剤をさらに含む。サイトカインの例は、成長因子、遊走因子、モノカイン、リンホカインである。
【0037】
適切な成長因子の例は、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、上皮成長因子(EGF)、形質転換成長因子(TGFα及びTGFβ)、血小板由来成長因子(PDGFs)、肝細胞成長因子(HGF)、インシュリン様成長因子(IGF)、インシュリン、エリスロポエチン(EPO)、及びコロニー刺激因子(CSF)である。適切なホルモン培地添加物の例は、エストロゲン、プロゲステロン、テストステロン、又はデキサメタゾンなどのグルココルチコイドである。サイトカインの例は、インターフェロン、インターロイキン、又は腫瘍壊死因子−α(TNFα)である。
【0038】
インターロイキンのいくつかの例としては、IL−I、−2、−3、−4、−5、−6、−7、−8、−9、−10、−11、−12、−13、−14、−15、−16、−17、−18、−19、−20、及び−21が挙げられる。
【0039】
疼痛を緩和する鎮痛剤又は抗炎症剤の例としては、例えば、NSAIDS及びCox−2阻害剤が挙げられる。そのように用いた場合、例えば、本明細書の組成物は、増強された及び/又はさらなる疼痛寛解効果を提供することができる。
【0040】
組成物に含めることができるその他の疼痛止めは、例えば、コデイン、アヘン剤、オキシコンチン、パーコセット、デメロール、及びバイコディンなどのモルヒネ様薬剤がある。そのように用いた場合、例えば、モルヒネ様薬剤は、本発明の任意の製剤と併用して、そうでなければ、オピオイドの投与量をより多くする必要がある鎮痛効果をより少ない副作用で達成することができる。
【0041】
一好適実施形態では、CoQ10を含む組成物を局所に投与する。医薬製剤として、有効成分、すなわち、CoQ10が存在するのが好ましい。コエンザイムQ10は市販されている。例示組成物を以下の実施例で詳細に説明する。局所投与用の有効成分は、最終生成物において製剤の重量で0.001%〜約60%w/wを含むことができるが、製剤の80%w/w程度、好ましくは約0.001%〜約60%w/wを含むことができる。本発明の局所製剤は、1つ以上の許容される担体(単数又は複数)とともに有効成分と、任意にその他の治療成分(単数又は複数)とを含む。担体(単数又は複数)は、製剤のその他の成分と相溶性があり、かつ、受容体に有害でない意味において「許容可能」でなければならない。
【0042】
本発明の組成物は患者自身によるか又は適切な担体若しくは賦形剤(単数又は複数)と混合される医薬組成物で患者に投与することができる。注目する疾患を発現している患者の治療では、このような薬剤(単数又は複数)を治療に有効な量で投与する。治療に有効な用量とは、患者における症状の改善又は延命をもたらす化合物の量のことを言う。
【0043】
そのような化合物の毒性及び治療効果は、細胞培養又は実験動物において、例えば、LD50(集団の50%において致死的な用量)及びED50(集団の50%において治療に有効な用量)を決定する標準的な薬学的手順によって判断することができる。毒性効果と治療効果との間の用量比は治療指数であり、比率LD50/ED50として表すことができる。大きな治療指数を示す化合物が好ましい。これらの細胞培養アッセイ及び動物実験から得られたデータは、ヒトに使用する投与量の調剤時に用いることができる。そのような化合物の投与量は、ほとんど又は全く毒性がないED50を含む循環濃度の範囲内であることが好ましい。用いる剤形及び利用する投与経路に応じて、投与量はこの範囲内で変わる場合がある。
【0044】
本発明の方法で使用するいずれの化合物において、治療に有効な用量は、最初に、細胞培養アッセイから推定することができる。例えば、用量は、細胞培養で求めたIC50を含む循環血漿中濃度範囲を達成するように動物モデルで調合することができる。そのような情報を用いて、ヒトに有用な用量をより正確に求めることができる。血漿中のレベルは、例えば、HPLCにより測定することができる。
【0045】
正確な製剤、投与経路、及び投与量は、患者の状態に鑑み個々の医師によって選択することができる(例えば、Finglら、in The Pharmacological Basis of Therapeutics、1975、Ch.1 p.1を参照)。毒性又は臓器機能不全により、投与をどのように、かつ、いつ打ち切る、中断する、又は調整するかは担当医であれば分かるであろうことに注意すべきである。逆に、臨床反応が充分でない場合(毒性を排除すること)に、治療をより高いレベルに調整することも担当医であれば分かるであろう。注目する発癌疾患の管理における投与用量の規模は、治療される状態の重症度及び投与経路によって変化するであろう。状態の重症度は、例えば、標準的な予後評価法によってある程度評価することができる。さらに、用量及び、恐らく、投薬回数も、年齢、体重、及び患者個々の反応に従って変わるであろう。前述のものに相当するプログラムは獣医学で用いることができる。
【0046】
本発明の組成物は、損傷の種類、損傷の重症度、損傷部位など、患者ごとに調整する治療法(treatment modalities)によって患者に適用することができる。例えば、活性組成物の割合は、重症度、損傷の種類などに応じて治療経過中に調整することができる。有効成分であるCoQ10は、最終生成物において製剤の重量の0.001%〜約60%w/wを含むことができ、製剤の80%w/w程度まで含むことができるが、好ましくは約0.001%〜約60%w/wを含むことができる。
【0047】
組成物は、患者に少なくとも1日1回塗布することができる。他の実施形態では、医薬組成物は、1日2回、1日3回、又はそれ以上に塗布することができる。回数及び有効成分を含有する組成物は、臨床医によって容易に判断することができる。
【0048】
治療される特定の状態に応じて、そのような薬剤を調合し、全身又は局所に投与することができる。製剤及び投与技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th ed.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.(1990)に見いだすことができる。適切な経路としては、いくつか例を挙げると、経口、直腸、経皮、膣内、経粘膜、又は腸内投与;筋肉内、皮下、髄内注射を含む非経口投与のみならず、髄腔内、直接脳室内、静脈内、腹腔内、鼻腔内、又は眼内注射を挙げることができる。
【0049】
上述の組成物は、任意の適切な製剤で対象に投与することができる。CoQ10の局所製剤による癌の治療に加えて、本発明の他の態様では、CoQ10はその他の方法によって送達することができる。例えば、CoQ10は、非経口送達(例:皮下、静脈内、筋肉内、又は腫瘍内注射)用に調合することができる。その他の送達方法、例えば、組成物を含浸させた器具からのリポソーム送達又は拡散を用いることができる。組成物は、単回ボーラス、頻回注射、又は、持続注入(例えば、静脈内、又は腹膜透析)によって投与することができる。非経口投与において、組成物は滅菌されたピロゲンを含まない形態で調合するのが好ましい。本発明の組成物は、細胞が含まれている液体に組成物を単に加えることにより、細胞(例えば、細胞内のATP産生に、又はin vitro培養で)にin vitroで投与することもできる。
【0050】
治療される特定の状態に応じて、そのような薬剤を調合し、全身又は局所に投与することができる。製剤及び投与技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th ed.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.(1990)に見いだすことができる。適切な経路としては、いくつか例を挙げると、経口、直腸、経皮、膣内、経粘膜、又は腸内投与;筋肉内、皮下、髄内注射を含む非経口投与のみならず、髄腔内、直接脳室内、静脈内、腹腔内、鼻腔内、又は眼内注射を挙げることができる。
【0051】
注射用に、本発明の薬剤は、水溶液、好ましくは、ハンクス溶液、リンゲル溶液、又は生理食塩緩衝液などの生理学的に相溶性である緩衝液中に調合することができる。そのような経粘膜投与において、障壁を透過させるのに適切な浸透剤を製剤中に用いる。そのような浸透剤は、一般に、当該技術分野で周知である。
【0052】
本発明の実施用に開示した本明細書の化合物を全身投与に適切な投与量に調合するのに薬学的に許容される担体を使用することは、本発明の範囲内である。担体を正しく選択し、かつ、適切な製造規範により、本発明の組成物、特に、溶液として調合された本発明の組成物は、非経口、例えば、静脈内注射によって投与することができる。当該技術分野で周知の薬学的に許容される担体を用いて、化合物は経口投与に適切な投与量に容易に調合することができる。そのような担体により、治療される患者が経口摂取するための錠剤、ピル、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー、懸濁剤などに本発明の化合物を調合することができる。
【0053】
細胞内に投与する薬剤は、当業者に周知の技術を用いて投与することができる。例えば、そのような薬剤をリポソームでカプセル化し、その後、上述のように投与することができる。リポソームは、水性の内部を有する球形の脂質二分子膜である。リポソーム生成時に、水溶液中に存在する全ての分子は水性の内部に組み込まれる。リポソームは細胞膜と融合するため、リポソーム内容物は外部の微小環境から保護されるとともに、細胞質中に効率良く送達される。さらに、疎水性により、有機小分子を細胞内に直接投与することができる。
【0054】
本発明での使用に適切な医薬組成物としては、その意図する目的を達成するため有効成分を有効量で含む組成物が挙げられる。有効量を決めることは、特に、本明細書に提供した詳細な開示に照らせば、当業者の能力の内である。有効成分に加えて、これらの医薬組成物は、活性化合物を薬学的に用いることができる製剤への工程を容易にする賦形剤及び助剤を含む適切な薬学的に許容される担体を含むことができる。経口投与用に調合された製剤は、錠剤、糖衣錠、カプセル剤、又は溶液の形態とすることができる。本発明の医薬組成物は、それ自身が公知の方法、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠形成(dragee−making)、浮揚(levitating)、乳化、カプセル化、封入、又は凍結乾燥工程によって製造することができる。
【0055】
局所投与に適切な製剤としては、皮膚を介して治療が必要な部位への浸透に適切な液体又は半液体製剤が挙げられ、例えば、リニメント剤、ローション剤、クリーム剤、軟膏剤、又はペースト剤、及び、目、耳、又は鼻への投与に適切な点滴剤などである。本発明による点滴剤は、滅菌した水性又は油性の溶液剤若しくは懸濁剤を含むことができ、好ましくは界面活性剤を含む、殺菌及び/又は殺真菌剤、及び/又は、任意のその他の適切な防腐剤の適切な水溶液中に有効成分を溶解させることにより調製することができる。その後、得られた溶液を浄化し、濾過により滅菌し、無菌技術によって容器に移すことができる。点滴剤に含めるのに適切な殺菌及び殺真菌剤の例としては、硝酸フェニル水銀又は酢酸フェニル水銀(0.002%)、塩化ベンザルコニウム(0.01%)、及び酢酸クロルヘキシジン(0.01%)である。油性溶液剤の調製に適切な溶媒としては、グリセロール、希釈アルコール、及びプロピレングリコールが挙げられる。
【0056】
本発明によるローション剤としては、皮膚又は目への適用に適切なものが挙げられる。点眼剤は、殺菌剤を任意に含む滅菌水溶液を含み、点滴剤の調製法と同様の方法で調製することができる。皮膚に塗布するローション剤又はリニメント剤は、乾燥を早めて皮膚を冷やすための薬剤、例えば、アルコール又はアセトン、及び/又はグリセロールなどの保湿剤、或いはヒマシ油若しくはラッカセイ油などの油も挙げることができる。
【0057】
本発明によるクリーム剤、軟膏剤、又はペースト剤は、外用塗布有効成分の半固体製剤である。これらは、微粉又は粉末形態の有効成分を、単独、又は水性若しくは非水性の液体中の溶液或いは懸濁液中で適切な機械を用いて脂肪性若しくは非脂肪性基剤とともに混合することで作ることができる。基剤は、固形パラフィン、軟パラフィン、又は流動パラフィン、グリセロール、蜜蝋、金属石鹸などの炭化水素;粘液;アーモンド油、トウモロコシ油、ラッカセイ油、ヒマシ油、又はオリーブ油などの天然由来の油;羊毛脂又はその誘導体、若しくはプロピレングリコール又はマクロゲルなどのアルコールと一緒にしたステアリン酸又はオレイン酸などの脂肪酸を含むことができる。製剤には、陰イオン界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、又は、ソルビタンエステル又はそのポリオキシエチレン誘導体などの非イオン界面活性剤などの任意の適切な界面活性剤を組み込むことができる。天然ゴムなどの懸濁剤、セルロース誘導体、又は珪質シリカ(silicaceous silicas)などの無機材料、及びラノリンなどのその他の成分も含むことができる。
【0058】
非経口投与用の医薬製剤としては、水溶性形態の活性化合物の水溶液が挙げられる。さらに、活性化合物の懸濁剤は、適切な油性注射懸濁剤として調製することができる。適切な親油性溶媒又は賦形剤としては、ゴマ油などの脂肪油、又は、オレイン酸エチル又はトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、若しくはリポソームが挙げられる。水性注射懸濁剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストランなどの、懸濁剤の粘度を増加させる物質を含むことができる。任意で、懸濁液は、高濃度の溶液を調製するために、化合物の溶解度を増す適切な安定剤又は薬剤を含むこともできる。
【0059】
経口使用用の医薬製剤は、錠剤又は糖衣錠の核を得るために、所望であれば、適切な助剤の添加後、得られた混合物を任意に粉砕し、顆粒の混合物を加工して、活性化合物を固形賦形剤と組み合わせて得ることができる。適切な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、又はソルビトールを含む糖類などの増量剤;例えば、トウモロコシでんぷん、小麦でんぷん、米でんぷん、ジャガイモでんぷん、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース調製物、及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)がある。所望であれば、崩壊剤を加えることができる。例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又は、アルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸若しくはその塩などである。
【0060】
糖衣錠の核には適切なコーティングが形成される。このため、濃縮糖液を用いることができる。これは、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポルゲル(carbopol gel)、ポリエチレングリコール、及び/又は、二酸化チタン、ラッカー溶液、及び適切な有機溶媒、又は溶媒混合物を任意に含むことができる。識別用又はさまざまな組み合わせの活性化合物用量を明らかにするために、染料又は顔料を錠剤又は糖衣錠のコーティングに加えることができる。
【0061】
経口に用いることができる医薬製剤としては、ゼラチンからできている押し込み式カプセル剤のみならず、ゼラチン、及びグリセロール又はソルビトールなどの可塑剤からできている密閉されたソフトカプセル剤が挙げられる。押し込み式カプセル剤は、ラクトースなどの増量剤、でんぷんなどの結合剤、及び/又は、タルク又はステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、及び任意に安定剤との混合物として有効成分を含むことができる。ソフトカプセル剤において、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールなどの適切な液剤中に溶解又は懸濁させてもよい。さらに、安定剤を加えてもよい。
【0062】
組成物は、所望であれば、緩衝系を含むことができる。緩衝系は、組成物のpHを所望の範囲内に維持又は緩衝するように選択される。本明細書で使用する「緩衝系」又は「緩衝剤」という用語は、水溶液中で、酸又は塩基が加えられた場合に、pHの大きな変化(又は水素イオン濃度若しくは活性)に対して、かかる溶液を安定化させる溶質剤(単数又は複数)のことを言う。上記で示した範囲で開始緩衝pH値からpHを変化させにくくすることを担う溶質剤(単数又は複数)は周知である。無数の適切な緩衝剤があるが、リン酸カリウム一水和物が好ましい緩衝剤である。
【0063】
医薬組成物の最終pH値は、生理学的に相溶性である範囲内で変えることができる。必然的に、最終pH値はヒトの皮膚を刺激するものではなく、活性化合物、すなわち、CoQ10の経皮輸送を容易化する値が好ましい。この制約に反することなく、pHは、CoQ10化合物の安定性を向上させ、かつ、必要時に均質性を調整するように選択することができる。一実施形態では、好ましいpH値は約3.0〜約7.4であり、より好ましくは約3.0〜約6.5であり、最も好ましくは約3.5〜約6.0である。
【0064】
好ましい局所送達賦形剤では、組成物の残留成分は水であり、例えば、脱イオン水のように必ず精製されている。そのような送達賦形剤組成物は、組成物の総重量に基づいて約50以上〜約95パーセントの範囲の水を含有する。存在する水の特定量は重要ではないが、その他の成分の所望の粘度(一般に、約50cps〜約10,000cps)及び/又は濃度を得るように調整可能である。局所送達賦形剤は少なくとも約30センチポアズの粘度が好ましい。
【0065】
その他の公知の経皮用皮膚浸透促進剤もCoQ10の送達を容易化するために使用することができる。例としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド類;1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン(Azone(商標)、Nelson Researh,Inc.の登録商標)などの環状アミド類;N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N−ジエチルトルアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルオクタミド、N,N−ジメチルデカミドなどのアミド類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、2−ピロリドン−5−カルボン酸、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン又はその脂肪酸エステル、1−ラウリル−4−メトキシカルボニル−2−ピロリドン、N−タロウアルキルピロリドンなどのピロリドン誘導体;プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、ヘキサントリオールなどのポリオール類;オレイン酸、リノール酸、ラウリン酸、吉草酸、ヘプタン酸、カプロン酸、ミリスチン酸、イソ吉草酸、ネオペンタン酸、トリメチルヘキサン酸、イソステアリン酸などの直鎖状又は分枝状の脂肪酸;エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール、オレイル、ステアリル、リノレイルなどのアルコール類;ラウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどの陰イオン界面活性剤;塩化ベンザルコニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウムなどの陽イオン界面活性剤;プロポキシル化ポリオキシエチレンエーテル類(例、ポロクサマー231、ポロクサマー182、ポロクサマー184など)、エトキシ化脂肪酸(例、Tween20、Myrj45など)、ソルビタン誘導体(例、Tween40、Tween60、Tween80、Span60など)、エトキシ化アルコール類(例、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル(Brij30)、ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル(Brij93)など)、レシチン及びレシチン誘導体などの非イオン界面活性剤;D−リモネン、α−ピネン、β−カレン、α−テルピネオール、カルボール、カルボン、メントン、リモネン酸化物、α−ピネン酸化物、ユーカリ油などのテルペン類がある。
【0066】
適切な皮膚浸透促進剤としては、サリチル酸(salicyclic acid)、サリチル酸メチル、クエン酸、コハク酸などの有機酸及びエステルがある。
【0067】
(有効量)
上述の組成物は、有効量で対象に投与するのが好ましい。有効量とは、処理動物又は細胞に望ましい結果を得ることができる量のことである。当該医学及び獣医学分野で周知のように、任意の動物に対する投与量は、特定の動物の大きさ、体表面積、年齢、投与する特定の組成物、投与回数及び経路、健康状態、及び同時に投与するその他の薬剤を含む多くの要因に依存している。本発明の組成物の局所投与に適切な投与量は、体重1kg当たり約0.1〜2.50mgの範囲のCoQ10(例、110〜300lbsの範囲の対象に対して10〜500mg)であると考えられる。培養中の細胞に使用する有効量は変わるが、経験的(例えば、細胞に異なる濃度を加え、最良の所望の結果を生む濃度を選択することにより)に容易に決めることができる。適切な濃度は約1〜250μMの範囲であると考えられる。
【0068】
(状態/疾患)
好適な実施形態では、有効成分として、すなわち、コエンザイムQ10を含む本発明の組成物は、筋肉及び骨格筋疲労を治癒し、創傷治癒を促進させ、創傷治癒、関節痛、全身疲労などの疼痛を改善する。理論と結びつけようとしなくとも、組成物は細胞内でATPを増やすと考えられる。
【0069】
ATPは、アデノシンのリボースの5−ヒドロキシル基に結合した3つのリン酸塩分子を有するヌクレオチド分子であり、アデノシン5’−三リン酸の正式名を持つ。ATPは、動物の筋肉又は酵母細胞を含む任意の生体細胞又は有機体内に広く存在する化合物である。
【0070】
ATPは、1分子当たり2つの高エネルギーリン酸結合を有していることにより、中性pH値付近で加水分解し、ATPがアデノシン二リン酸に変換する際に約7.3kcal/molの自由エネルギーを生成する。従って、ATPの加水分解から生成されたエネルギーにより、核酸合成のみならず、タンパク質代謝、炭水化物代謝、及び/又は脂質代謝を含む種々の代謝が可能になる。ATPから提供されたリン酸エステル結合を有する化合物は、「活性化状態」となり、種々の合成反応に寄与する。
【0071】
ATPは、体内の全ての細胞に必須のエネルギー産生分子である。同様のリン酸リッチ化合物も、全細胞エネルギーを供給するATP関連化合物とともに全ての有機体内で見られる。1982年に、Yale Medical SchoolのChaudry氏は、ATPが細胞内液及び間質液に存在しており、ATPの生物学的重要性が大きく拡張されたことを示唆する結果を公表した。
【0072】
ATP及びその分解生成物であるアデノシンは、上述のような筋収縮過程のように多くの細胞外過程にも本質的に関わっている。例えば、これらの細胞外過程のいくつかとしては、神経伝達、心機能、血小板機能、血管拡張、及び肝臓グリコーゲン代謝が挙げられる。理解されるように、これらの付加的な生物学的役割は、ATP及びアデノシンの種々の臨床応用を生み出している。例えば、臨床応用としては、神経外傷性及び虚血性の麻酔剤、肺高血圧などの高血圧を誘発した外傷又は疾患の血圧降下剤、II型糖尿病の穏やかな血糖降下剤としてATP及びアデノシンの応用、及び放射線癌治療の補助療法としてATPが有用であり得るという少なくとも予備的証拠が挙げられる。
【0073】
ATP及び関連化合物は、可能な薬物使用のために広範囲に研究されている(Daly,J.Med.Chem.,25:197,(1982)を参照)。これらの応用で最も普及しているものは、心虚血又は発作後の再灌流外傷の予防を含む種々の心臓の治療、高血圧治療(Jacobsonら、J.Med.Chem.,35,407−422(1992)を参照)のみならず、発作性上室性頻拍の治療(Pantelyら、Circulation,82,1854(1990)を参照)がある。
【0074】
特にヒトでの性能に関して、ATPが分解してアデノシン二リン酸(ADP)を形成することは、通常の筋収縮を容易化するためにミオシン及びアクチンにエネルギーを直接供給する反応であるため、筋肉の機能に極めて重要である。多くの場合、筋肉内に非常に大量のATPを蓄えるのではなく、使用する際にATPを実際に再構築することで、この要件は満たされている。しかしながら、ピークの運動能力、又は栄養不良若しくは種々の疾患によって誘発された特定の欠乏状態などの非常に過酷な条件下では、ATPの利用可能度によりピークの筋肉出力の作動が制限されることが判明している。
【0075】
本発明の組成物の重要さは、そのような組成物の幅広い応用から分かる。
【0076】
創傷治癒:本発明の方法によれば、本明細書に開示されている組成物(単数又は複数)は、組織の治癒率を増すのに十分な量で創傷組織に塗布する。これらの化合物は、in vivoにおいてナノモルレベルで治癒率を有意に促進することができる。任意の活性薬剤において、所与の製剤における最適濃度は、所定の実験を用いるだけで経験的に容易に決めることができる。一般に、本発明で使用するのに適切な活性薬剤の量は、体重1キログラム当たり約0.001μg〜約10mgの範囲である。
【0077】
本発明の組成物は、リポソーム成分とともに塗布されるのが好ましい。
【0078】
別の好適な実施形態では、本発明の医薬組成物は、医薬組成物及びヒドロゲル中に有効成分であるコエンザイムQ10を含むのが好ましい。当業者は理解するように、ヒドロゲルは、水を吸収し、膨潤するが、水に溶解しない高分子ネットワークである。このため、ヒドロゲルは吸水をもたらす親水性官能基を含有するが、ヒドロゲルは水不溶性を生じる架橋ポリマーを含む。一般に、ヒドロゲルは、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリオキシエチレン、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタクリル酸ヒドロキシエチル)(ポリ(HEMA))、又はその共重合体若しくは混合物などの架橋親水性ポリマーを含む。
【0079】
組成物を液体として塗布する場合、一定期間にわたって活性薬剤を組織に流入することができるいずれの種類の塗布手段を使用することができる。例えば、ガーゼ包帯又は細片を通して創傷組織に水溶液を塗布することができ、或いはそのような溶液を調合し、持続灌流を(例:リポソーム、軟膏剤、ミセルなどを用いて)得ることができる。本発明の化合物を有するこれらの製剤の製造方法は、当業者には明らかである。組成物を液体形態で送達する場合、1ng/ml〜5,000μg/ml、10〜500μg/ml、又は30〜500μg/mlの濃度範囲で存在する活性薬剤とともに基質又はミセル溶液を使用するのが好ましい。便利な好ましい濃度範囲としては少なくとも30μg/mlである。特定の基質溶液は、Hydro Med Sciences、New Brunswick、NJによって登録商標HYDRONとして販売されている半固体ポリエチレングリコールポリマーである。別の好ましい溶液は、BASF、Ludwigshafen、Germanyによって商品名PLURONICS F108として販売されているミセル溶液である。室温状態で、この溶液は液体であるが、暖かい組織に塗布すると、数日にわたって活性薬剤を創傷組織に流入することができるゲルをこの溶液は形成する。その他の好ましい製剤としては、カルボキシメチルセルロース製剤、晶質製剤(例:生理食塩水、乳酸リンゲル液、リン酸緩衝生理食塩水など)、粘弾性材料、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及び創傷包帯(例:帯具など)が挙げられる。
【0080】
本発明の化合物の治癒効果は種々の例で提供することができる。ローション剤、クリーム剤、軟膏剤などは、潰瘍、病変、損傷、糖尿病性潰瘍、火傷、外傷、鬱血性潰瘍、歯周疾患、裂傷、及びその他の症状の治療で表面創傷組織に局所的に塗布することができる。さらに、侵襲手術の結果生じるなどの腹腔内創傷組織は、治癒を促進するように本発明による組成物で治療することができる。例えば、結腸部分又はその他の組織を外科的に切除した後、毛細管内への灌流及び治癒を促進するために、手術部位を閉じる前に活性薬剤の溶液で手術面を被覆することができる。さらに、注射又は別の方法により活性薬剤を皮下投与することで、局所的な治癒率を増すことができる。
【0081】
筋肉疼痛、疼痛、及び関節疼痛:筋肉痛及び関節痛は、身体運動又は老齢の結果として同時に起こることが多い。さらに、関節痛は関節炎又はその他の変性関節疾患の結果として起こることがあり、間接的に筋肉痛を引き起こす場合もある。筋肉痛及び関節痛はほとんどの哺乳類に起こり、特に、ヒト、ウマ、イヌ、及びネコに起こる。痛みは、哺乳類の通常の活動を困難にし、かつ、痛みを伴うなどの多くの問題を生じる。これらの活動としては、歩行、蹲踞、走行、把握などが挙げられる。この不快さを緩和するため、例えば、筋肉痛に対処するためにある鎮痛剤を、そして、関節痛に対処するために別の鎮痛剤を服用するなど、複数の鎮痛剤を服用する必要がある。複数の鎮痛剤、例えば、ピル又は錠剤をウマ、イヌ、及びネコなどのいくつかの哺乳類に投与するのは困難な場合がある。さらに、複数の鎮痛剤を購入することに伴って大きなコストがかかる。
【0082】
本発明の組成物は、疼痛管理に安価かつ有効な方法を提供する。以下の実施例を参照されたい。
【0083】
組成物は、必要に応じて投与するのが好ましい。組成物は、組織深部への浸透を可能にする浸透剤を含むことができる。しかしながら、組成物は、筋肉痛及び関節痛を軽減するのに有効な任意の投与量及び経路を用いて投与することができる。従って、本明細書で使用する「筋肉痛及び関節痛を軽減するのに有効な量」とは、毒性はないが、筋肉痛及び関節痛において所望の軽減をもたらす組成物の十分な量のことを言う。必要となる正確な量は、個体宿主の種、年齢、大きさ、重量、及び全身の状態、痛みの重症度、特定の化学製剤及びその投与モードなどに応じて宿主間ごとに変わるであろう。
【0084】
本発明の組成物は、疼痛領域に組成物を局所的に塗布することにより多くの状態に伴う疼痛の治療に用いることができる。具体的には、本明細書に記載の組成物は、限定されないが、関節炎、癌に伴う痛み、首痛、肩痛、背痛、手術による疼痛、術前及び術後疼痛、顎関節症候群、手根管症候群、及び骨損傷の痛みを含む疼痛の治療に用いることができる。
【0085】
本明細書に記載の組成物は、変形性関節症、関節リウマチ及び乾癬性関節炎などの自己免疫疾患;痛風、偽性痛風、強直性脊椎炎、若年性関節炎、全身性エリテマトーデス;感染、強皮症、及び線維筋痛症に伴う関節炎に伴う疼痛の治療に用いることもできる。
【0086】
さらに、本明細書に記載の組成物は、筋肉痛、筋肉の緊張、疲労、脊柱湾曲、大小の脊椎椎間プレートの圧迫、神経痛(pinched nerves)、筋肉のはり又は捻挫、及び神経緊張に伴う疼痛の治療に用いることができる.
【0087】
さらに、本発明の組成物は、外傷性損傷、血腫、筋炎、腰痛症候群(lower back syndromes)、脊髄管狭窄症、関節痛、胸癌や肺癌などの転移性の癌或いは癌による疲弊が原因の骨痛及び骨折に伴う疼痛の治療に用いることができる。そのような疼痛の原因となり得るその他の癌としては、肉腫及び骨肉腫が挙げられる。本発明の組成物は、一般に、癌に伴う筋肉痛、骨痛、及び関節痛の治療に用いることもできる。
【0088】
本発明の組成物は、腰椎及びその他の部位の骨粗鬆症性骨折、及び骨盤骨折を含む外傷性骨折に伴う疼痛の治療に用いることができる。関節痛に関して、本明細書に記載の組成物は、全体の関節硬直を低下させ、かつ、関節可動性を増大させるのに用いることができる。
【0089】
本発明の組成物は、手術前及び手術後の整形外科的処置に伴う疼痛の治療に用いることもできる。例えば、本発明の組成物は、特に肩又は膝の関節鏡検査の前後におけるそのような疼痛を治療するのに塗布することができる。
【0090】
さらに、本発明の組成物は、腱、筋肉、及び骨修復のみならず、人工股関節又は人工膝置換を含む関節置換などの整形回復の手術後に伴う疼痛の治療に用いることができる。例えば、骨折では、骨を結合するためのプレート、ネジ、又はその他の取付手段の使用を必要とする。これらの器具の設置には手術が必要であり、設置による術後疼痛は本発明の組成物で治療することができる。
【0091】
さらに、本明細書に記載の組成物は、髄核ヘルニア(ぎっくり腰)、筋骨格痛、関節脱臼、椎間板ヘルニア、脱出した椎間板(腰椎及び頚部を含む)、椎間板破裂、むち打ち損傷、線維筋炎、肋間の肋骨痛、筋断裂、腱炎、滑液包炎、半月板断裂、腱断裂、及び骨棘による疼痛の治療に用いることができる。本明細書に記載の組成物は、頚部筋肉の活動亢進(痙攣)などの疼痛、緊張、炎症関節又は亜脱臼関節への反応、関節変形、悪い姿勢又は仕事の習慣、外傷、全身性疾患、及び直前の病状を含む多くの原因による極めて一般的な症状の治療にも用いることができる。
【0092】
本発明の組成物は、スポーツ関連の傷害による疼痛の治療に用いることができる。そのようなスポーツ関連の傷害としては、血腫、打撲、捻挫(例:足首の捻挫)、筋痙攣(例:肉離れ)、腱部分断裂、腱炎、滑液包炎、筋炎、外傷性関節炎、及び関節脱臼の嵌め込み後が挙げられるが、これらに限定されない。スポーツ関連の傷害に伴う疼痛の治療において、本発明の組成物は、本明細書に記載されているように疼痛領域に塗布される。本発明の組成物は、とりわけ、理学療法、鍼治療、ウエイトトレーニング、バイオフィードバック技法などのスポーツ傷害治療技術と組み合わせて用いることができる。
【0093】
本発明の組成物は、高齢者に特有の疼痛治療にも用いることができる。高齢者が受ける骨痛、関節痛、又は筋肉痛の多くは、様々な原因が組み合わさって生じる。これらの原因のいくつかは公知であるが、他は公知ではない。場合によって、そのような疼痛は老化現象の結果として生じる疾患の当然の帰結であり、これは、とりわけ、運動機能の減退、委縮、食習慣の変化に伴う疼痛が挙げられる。従って、高齢者における疼痛管理は困難である。多くの場合、高齢者は疼痛を効果的に管理するために毎日複数の薬物治療を行う必要がある。これは、薬物治療による副作用、薬物治療が混ざることの薬害反応のみならず、必要な薬物投与計画を毎日維持するための過剰なコスト及び努力など、高齢者に著しい欠点を提起している。
【0094】
従って、高齢者における骨痛、関節痛、又は筋肉痛の治療に本発明の組成物を用いることで、高齢者がすでに服用しているか又は将来服用が必要となる鎮痛薬の量を効率的に最小限にすることができる。高齢者における疼痛は、この年齢層においては鬱状態、不活動性、及び不動性にも寄与する。本発明の組成物の使用によって疼痛を減少させることで、高齢患者の自活、活動の増加、社会化、食欲、及び全体的な幸福感をより増すことになる。
【0095】
さらに、本発明の組成物は理学療法の補助として利用することができる。一般に、理学療法は、筋肉、腱、骨、及び関節を強化及び/又は治癒するための消極的及び積極的治療又は手法を含む。理学療法の欠点は患者に疼痛及び不快を伴うことである。本発明の製剤はそのような疼痛の治療に用いることができる。例えば、本製剤は、各理学療法による治療前、治療中、及び/又は治療後に疼痛領域(本明細書に記載されているように)に塗布することができる。
【0096】
本発明の組成物は、組織を固定化することに伴う疼痛の治療にも用いることができる。損傷した筋肉、骨、腱、及び関節の治療は、長期間にわたって組織を固定化することが必要である場合が多い。このような場合には、限定されないが、固定器、三角布、ギプス、帯具、及び副子を含む種々の器具により組織を固定化したままにする。器具を取り外すと、その後継続的に、患者は固定化した領域内又は周囲に筋肉痛、骨痛、腱痛、及び/又は関節痛を受けることが多い。本製剤は、本明細書に記載されているように製剤を疼痛領域に塗布することで、そのような疼痛の治療に用いることができる。
【0097】
TENS、すなわち、経皮電気神経刺激は高圧の感覚電流を特徴とし、疼痛を阻止するのに用いられる。本発明の組成物は、疼痛治療の有効性を増すように神経筋電気刺激と併用することができる。例えば、神経筋電気刺激による治療前又は治療後に、本明細書に記載されているように本発明の組成物を患部に塗布することができる。
【0098】
本発明の組成物は、リドカイン(ステロイド有、又はステロイド無)などの麻酔剤を局所注射又はその他の注射と組み合わせて用いることもできる。例えば、リドカイン(ステロイド有、又はステロイド無)を含む針を疼痛領域を覆っている皮膚中に注入することができる。皮膚のこの領域には、注射前又は注射後の注射部位に、又は注射部位のまわりに本発明の組成物を塗布することで、さらに麻酔をかけることができる。
【0099】
さらに、本発明の組成物は、疼痛を緩和するように経口鎮痛剤又は抗炎症剤(例:NSAIDS、及びCox−2−阻害剤)と組み合わせて用いることができる。そのように用いた場合、例えば、本明細書の組成物は、疼痛寛解効果の強化及び/又はさらなる疼痛寛解効果を提供することができる。
【0100】
本発明の組成物は、限定されないが、湿布又は蒸しタオルなどの温パックを含む熱治療用器具と組み合わせて用いることもできる。そのような器具は、深部組織の熱治療であるジアテルミーも含むことができ、ここで、傷害組織の温度は、高周波電流、超音波、又はマイクロ波放射によって上昇する。ジアテルミーは、疼痛の軽減、筋痙攣の緩和、軟組織拘縮の軽減、炎症の消散、及び治癒の促進に用いる。本発明の組成物は、寛解効果の強化及び/又はさらなる寛解効果を提供するように温パック又はジアテルミーと組み合わせて用いることができる。
【0101】
さらに、本発明の組成物は、コデイン、アヘン剤、オキシコンチン、パーコセット、デメロール、及びバイコディンなどのモルヒネ様物質と組み合わせて用いることができる。そのように用いた場合、例えば、モルヒネ様物質は、本発明のいずれの製剤と併用で、そうでなければオピオイドのより多くの投与量が必要となる鎮痛効果をより小さな副作用で達成することができる。
【0102】
さらに、本発明の組成物は、バイオフィードバック技法と組み合わせて用いることができる。バイオフィードバックは、特定の生理学的過程を監視及び制御することによって、ストレス解消を達成し、不安を軽減し、かつ、精神的症候群を緩和するのに有用な技術である。本明細書に記載の組成物と組み合わせてバイオフィードバック技法を用いることで、患者は自身の生理学的過程を著しく制御し、かつ、そのような技術のみを用いるよりも疼痛を著しく軽減することができる。
【0103】
本発明の組成物は、鍼療法と組み合わせて用いることもできる。鍼療法は、一般に、体表面の特定の位置に、ごく小さな針を挿入することを含む。鍼治療は、疼痛の緩和に有効であることが立証されている。鍼治療は、変形性関節症、腰痛、手根管症候群、線維筋痛症、及び慢性疼痛の原因となるその他の症状の治療にも有用であり得る。本明細書に記載の組成物は、鍼治療と組み合わせて用いると、寛解効果の強化及び/又はさらなる寛解効果を提供することができる。
【0104】
癌に伴う疼痛は、疼痛の最も深刻な形態の1つである。そのような疼痛は、放射線治療及び化学療法を含む癌治療によってさらに悪化し得る。本発明の組成物は、筋肉、骨、及び関節の癌に伴う疼痛を治療するのに用いることができる。本発明の組成物は、そのような疼痛に現在利用可能な治療と組み合わせて用いて、寛解効果の強化及び/又はさらなる寛解効果を提供することができる。
【0105】
癌患者の疼痛の軽減に本発明の組成物を利用することで、例えば、患者の気分及び意欲の改善のみならず、癌そのもの及び患者の継続的な癌治療による疼痛からの疼痛寛解をもたらす。また、そのように治療する場合、患者は運動性の改善を得ることができ、従って、患者が日常活動をうまく行う機会を増し、かつ、患者の全体的な幸福感を増すこととなる。本明細書に記載の組成物を用いることで、患者は癌治療セッションへの往来に対する柔軟性を著しく高めることもできる。
【0106】
(キット)
好適な実施形態では、本発明は、創傷、疼痛、疲労などの治療用のCoQ10組成物を含むキットを提供する。2,3−ジメトキシ−5−メチル−6−デカプレニル−1,4−ベンゾキノン(コエンザイムQ−10)の経皮、経口、及び静脈内投与製剤は、特に、助剤、有効量の肺表面活性剤を含み、及び/又は、リポソームと組み合わせる。
【0107】
好適な実施形態では、CoQ10組成物は、CoQ10、リポソーム、及び薬学的に許容される担体をさらに含むことができる。組成物は約0.001%〜約60%(w/w)の間のコエンザイムQ10を含むのが好ましい。
【0108】
以下の実施例は、制限することを目的とするのではなく一例として示す。特定の実施例を記載しているが、上記説明は例示であり、これに限定されるものではない。前述の実施形態の任意の1つ以上の特徴は、本発明の任意の他の実施形態の1つ以上の特徴と任意の方法で組み合わせることができる。さらに、本願明細書を見直すことにより、当業者には、本発明の多くの変形が明らかになるであろう。
【0109】
本出願で引用した全ての刊行物及び特許文献は、関連部分で参照により実際に引用したものとし、それぞれ個々の刊行物又は特許文献は個々に記載されているものとする。本明細書で種々の参考文献を引用することで、本件出願人は、いずれの引用文献も本発明の「従来技術」であることを認めるものではない。
【0110】
(実施例)
(実施例1)
有効成分Q10の平滑筋細胞増殖及びATP産生への影響を試験するためのin vitro研究
【0111】
組成物は、細胞内エネルギー産生を行うコエンザイムQ10(Q10)をカプセル化するリン脂質リポソームを含有する局所製剤である。データは、局所製剤で用いたQ10とエネルギー産生との間の直接的な相関関係を示している。
【0112】
ヒト大動脈平滑筋細胞(HASMC)内のATP産生におけるQ10の効果を調査した。この細胞株は、ルシフェリン−ルシフェラーゼATPアッセイによって検出可能なレベルのATPを産生する能力に基づいて研究用に選択した。筋細胞増殖における約0.001%〜約60%(w/w)のコエンザイムQ10を含む組成物の効果についても研究した。データはQ10が筋細胞の増殖にATPを供給することを示している。
【0113】
ヒト大動脈平滑筋細胞(HASMC)は、クライオバイアル入りP16をAmerican Type Culture Collection(ATCC、Richmond、VA)から入手した。培地231、トリプシンEDTA、トリプシンインヒビター(Defined Trypsin Inhibitor)、DTI、PSA溶液(ペニシリン、ストレプトマイシン、及びアンフォテリシB)、及びSMGSは全て、Cascade Biologies(商標)(Portland、OR)から入手した。D−(+)−グルコース、コエンザイムQ10、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、リン酸ナトリウム、グリセロール、及びトリクロロ酢酸(TCA)は全て、Sigma−Aldrich(登録商標)(St.Louis、MO)から入手した。Phospholipon 90(95%リン脂質)はAmerican Lechitin Company(Oxford、CT)から入手した。中鎖トリグリセリド(MCT)はJohnson & Johnson(Evansville、IN)から入手した。ATPアッセイキットはCalbiochem(登録商標)(San Diego、CA)から入手し、75cm及び6ウエル培養プレートはCorning(登録商標)(Atlanta、GA)から入手した。
【0114】
HASMCの培養:バイアルは受け入れ時に液体窒素中に凍結し、培養を開始するまでそのままにした。水浴中で解凍後、バイアルの内容物を培地231及びSMGSと混合した。培養液(P16−P20)は、75cm培養フラスコ中に維持した。5%COの湿潤条件下で、炭酸塩及びHEPES緩衝培地231(pH7.4)を用いて培養液を37℃でインキュベートした。5%血清、その他の増殖補助剤、及び500X PSA溶液を含有するSMGSで培地を補充した。
【0115】
細胞調製:約80%の密集度で、トリプシンEDTAを用いて細胞を二次培養して、細胞とトリプシンインヒビターとを分離し、DTIで細胞懸濁液を中和して、2500RPMで8分間遠心分離した。上澄は吸引し、廃棄した。次に、得られた細胞ペレットを新鮮培地231に再懸濁した。血球計数器を用いて細胞計数を行い、200,000cells/wellで実験用6ウエルプレートに播種した。
【0116】
試薬調製:Q10をエタノールに溶解し、溶液を培地231で希釈し、所望の濃度にした。約0.001%〜約60%(w/w)のコエンザイムQ10を含む組成物の調製に用いた賦形剤は、MCT、BHT、グリセロール、及びpH7.2のリン酸ナトリウム緩衝液から成っており、超音波処理した後、培地231にて実験用濃度に希釈した。
【0117】
実験のセットアップ:10mMのD−(+)−グルコース(Peiroら、Brit.Jour. of Pharmacology 133:967−974(2001))をATP産生のエネルギー基質として用いた。0〜20μg/mlのCoQ10、1μg及び20μg/mlのCoQ10、又は1μg及び20μg/mlのコエンザイムQ10の賦形剤を全て培地231で、6ウエルプレートのウエルをインキュベートした。一定の実験期間にわたって、37℃及び5%COでウエルプレートをインキュベートした。培地231は、4.6mMのGluをもともと含んでいるため、追加で5.4mMだけを培地に添加した(Dr.Gary D.Shipley,Cascade Biologies,Portland,OR)。
【0118】
細胞計数:ウエルプレートをデカントして、試薬のウエルを空にし、残渣を電子ピペットで慎重に吸引した。0.5mlのトリプシンEDTAを5〜7分間かけて各ウエルに添加して、剥離を助けた。顕微鏡下で完全に剥離したことを確認した後、0.5mlの培地231を得られた細胞懸濁液に添加し、トリプシンを中和した。コールター細胞カウンターの読み取り用に、この細胞懸濁液0.5mlを採った。
【0119】
ATPアッセイ:インキュベート後、培地を除去し、溶解緩衝液として冷却した(4℃)1%w/vトリクロロ酢酸(TCA)と置換した。この緩衝液は、ATPasesの阻害をほぼ瞬時に引き起こす(Kangasら、Med Biol 62:338−343(1984))。穏やかに攪拌しながら室温で5分間、TCAでウエルをインキュベートした。次に、各ウエルから付着した細胞を掻取って除去し、細胞溶解物の懸濁液を調合した。各ウエルの溶解物をピペットで数回上下させ、均一な懸濁液を形成した。各ウエルから試料を採り、Berthold(登録商標)ルミノメーター(Bundoora、Australia)のメーカー使用説明書に従い、ATPアッセイを実施した。
【0120】
データ分析:SigmaStat(商標)ソフトウェアを用いて、分散分析により統計的有意性について結果を解析した。アルファ値を0.05に設定し、ダネット検定を用いて事後比較を行った。
【0121】
結果:HASM細胞は、0〜20μg/mlのコエンザイムQ10とともに37℃及び5%COでインキュベートした。6ウエルプレートは、培地231で24時間インキュベートした。冷却したTCA細胞溶解緩衝液により処理し、穏やかに掻取った後、ピペット操作により細胞を混合した。次に、ルシフェリン−ルシフェラーゼATPアッセイを用いてATPを定量するために試料を採った(図1;*一元配置の分散分析及びダネット検定において、P<0.05で対照と比して有意である)。
【0122】
図2において、HASM細胞は、0〜20μg/mlのコエンザイムQ10、約0.001%〜約60%(w/w)のコエンザイムQ10を含む組成物、及び、約0.001%〜約60%(w/w)のコエンザイムQ10を含む組成物中に用いた賦形剤(V)とともに37℃及び5%COでインキュベートした。6ウエルプレートは、培地231で24時間インキュベートした。トリプシンEDTAで処理し、穏やかに掻取った後、細胞を培地231で中和し、ピペット操作により混合した。次に、コールター細胞カウンターを用いて定量するために試料を採った(*一元配置の分散分析及びダネット検定において、P<0.05で対照と比して有意である)。
【0123】
【表1】

【0124】
図3:HASM細胞は、約0.001%〜約60%(w/w)のコエンザイムQ10を含む組成物0〜20μg/mlとともに、37℃及び5%COでインキュベートした。6ウエルプレートは、培地231で24〜60時間インキュベートした。トリプシンEDTAで処理し、穏やかに掻取った後、細胞を培地231で中和し、ピペット操作により混合した。次に、コールター細胞カウンターにより定量するために試料を採った(*一元配置の分散分析及びダネット検定において、P<0.05で対照と比して有意である)。
【0125】
これらの結果は、コエンザイムQ10がHASMC内でATP産生における促進効果を有することを示している。データは、Q10の濃度の上昇と、これらの細胞内の細胞ATP産生がより高いレベルとなることとの間の相関関係を示している。HASMCの増殖におけるQ10の効果についてもさらに試験した。図2に示すように、組成物とのインキュベーションにより、賦形剤又は対照と比して増殖はより高いレベルになった。
【0126】
総合すると、データは、ヒト大動脈平滑筋細胞へのQ10投与がATP産生を増すことを示唆し、外因性Q10を細胞に送達するのにリン脂質賦形剤が有効であることを意味している。上記から、Q10の局所製剤はQ10を下層の皮膚血管系に送達することを容易化し、ATP産生を促進することができる。さらに、Q10は強力な酸化防止剤であり、フリーラジカル捕捉剤としても作用し、疲労した筋肉及び関節痛に関する酸化ストレスを軽減する。
【0127】
(実施例2)
深部中間層の創傷治癒における組成物の効果の調査
本研究の目的は、ブタモデルの深部中間層の創傷治癒におけるCoQ10組成物の効果を調査することであった。
【0128】
実験動物:ブタの皮膚とヒトの皮膚との間の形態的類似により、ブタモデルを実験研究に用いた。2匹の若い雌の特定病原体を含まない(SPF:Ken−0−Kaw Farms,Windsor,IL)体重25〜30kgのブタを実験開始まで2週間小屋で飼育した。これらの動物には自由に基礎食を与え、温度(19〜21℃)及び照明(12時間/12時間 LD)を制御し、動物施設(アメリカ実験動物管理公認協会[AAALAC]の基準を遵守)内で個々に収容した。
【0129】
本研究に用いた実験動物プロトコルは、マイアミ大学研究機関の動物管理使用委員会により承認され、全ての手順は、実験動物の管理及び使用に関する連邦政府ガイドラインに従っている(米保健福祉省、米農務省)。マイアミ大学皮膚科及び皮膚外科の標準操作手順(SOPs)に従って研究を行った。疼痛又は不快の観測可能な兆候のために動物を毎日監視した。起こり得る不快を最小限にするのを助けるために、鎮痛剤ブプレノルフィン0.03mg/kg(Buprenex injectable;Reckitt Benckiser Hull、England)を1日目と、その後3日毎に麻酔下で各動物に与え;フェンタニル経皮システム:25μg/hr(Duragesic;Alza Corp.Mountain View、CA)を全実験に用いた。
【0130】
創傷技術:実験当日に実験動物の側腹部及び背部を標準的な家畜用バリカンで刈った。各動物の両側の皮膚を非抗生物質石鹸(Neutrogena Soap Bar;Johnson and Johnson、Los Angeles、CA)及び滅菌水で洗浄し、創傷用に準備した。各動物は、チレタミンHClとゾラゼパム(1.4mg/kg)(Telazol;Laderle Parenterals Inc、Carolina、Puerto Rico)、キシラジン(2.0mg/kg)(X−jet;Phoenix Scientific Inc、St.Joseph、MO)、及びアトロピン(0.04mg/kg)(Atrojet SA;Phoenix Scientific Inc、St.Joseph、MO)で筋肉内麻酔し、続いて、イソフルラン(Isothesia;Abbott Laboratories、Chicago、IL)と酸素の組み合わせをマスク吸入させて麻酔をかけた。
【0131】
7mmの刃が取り付けられた特殊電気角膜切開刀で寸法10mm×7mm×深さ0.5mmの矩形創傷を傍脊椎及び胸部領域に約90個作った。創傷は非損傷皮膚から約15mmの間隔で互いに離隔した。
【0132】
処置:図4に示す実験計画により30個の創傷を各処置群にランダムに割り振る。それぞれの局所軟膏剤で1日1回、5日間、創傷を処置した。
【0133】
表皮移動評価:創傷(0日目)後5日目から開始し、その後5日目まで毎日、深さを0.7mmに設定した22mmの刃を備える電気角膜切開刀を用いて、各処置群から5個の創傷と周囲の正常皮膚を切除した。無傷で切除されなかった試験片は全て廃棄した。創傷部位を含む切除皮膚を0.5M臭化ナトリウム中で37℃にて24時間インキュベートし、表皮から真皮を分離した(図を参照)。分離後、表皮シートの欠損を肉眼で調べた。欠損とは、表皮シートにおける穴若しくは創傷領域における表皮の連続性が欠けているものとして定義する。欠損(単数又は複数)が存在しない場合、上皮化は完了した(治癒された)と考え;創傷領域におけるいずれの欠損も、治癒が未完了であることを示している。取り付けた試料は恒久的な記録として残した。図5は、表皮移動の評価を示す概略図である。
【0134】
結果:5日目に、図6Aに示すように、いずれの処置群においても創傷は完全に再上皮化されてなかった。6日目(図6B)に、CoQ B(偽薬)で処置したものの20パーセント(20%)、及び未処置群の創傷治癒なしと比して、CoQ A(1%w/wコエンザイムQ10)で処置した群の創傷の80パーセント(80%)が完全に再上皮化された。7日目(図6C)に、未処置群の創傷治癒0パーセントと比して、CoQ A及びCoQ Bで処置した創傷の100パーセント(100%)が完全に再上皮化された。8日目(図6D)に、未処置群の創傷治癒0パーセントと比して、CoQ A及びCoQ Bで処置した創傷の100パーセント(100%)が完全に再上皮化された。9日目(図6E)に、各処置群における全ての創傷が完全に再上皮化された。
【0135】
再上皮化の結果
【表2】

【0136】
(実施例3)
コエンザイムQ10は線維芽細胞及びケラチン生成細胞の増殖及び移動を亢進する:創傷治癒に対する影響
【0137】
ケラチン生成細胞及び線維芽細胞の増殖及び移動は、皮膚構造の回復に最も重要である。正常細胞がアポトーシス刺激(例:血清枯渇、紫外線照射など)に曝された際に、コエンザイムQ10(Q10)が正常細胞を保護することを研究は示している。Q10は、ミトコンドリア内の酸化的リン酸化を介したATPの産生に不可欠である強力な酸化防止剤であり、種々の細胞型でATP産生を増すことを示している。新生児線維芽細胞及びケラチン生成細胞におけるQ10の効果を試験するために、in vitro切開創傷モデルを用いた。培地を補充した6ウエルの組織培養プレートに細胞を播種し、実験前に90%の密集度レベルを容易化するために48時間インキュベートした。各ウエル中央の細胞の融合性単層近くの間に十字の「創傷」ギャップを作った。剥離細胞を培地で洗い落とした。Q10を有するか又はQ10が無い培地で各ウエルを補充した。細胞培養を検査し、デジタルカメラを備えるZeiss Axiovert 200倒立顕微鏡を用いて様々な時間間隔で画像を捕捉した。ギャップの位置決めに十字の中央を用いた。時間と、ギャップ領域に移動した細胞によって覆われた「創傷」ギャップの割合とによって細胞移動を定量した。ギャップ充填率(PGf)は、PGf=(1−At/A0)×100として算出し、ここで、Atは時間tにおけるギャップ領域であり、A0は時間0におけるギャップ領域である。スチューデントt検定を用いて統計的解析を行った。処置群対対照においてギャップ被膜率が統計的に有意に増加していることをデータは示している。これらのデータは、Q10が創傷治癒に支持的であり、かつ、テンプレートを設定し、さらなる調査を保証していることを示している。
【0138】
方法:ヒト新生児線維芽細胞(nFIB)及びヒト新生児ケラチン生成細胞(SC−KC)をT−75フラスコ中で〜90%の密集度に増殖させ、その時に、それらをトリプシン処理し、6ウエルの組織培養プレートに播種した。加湿及び5%CO条件下で37℃にてプレートをインキュベートした。90%の密集度レベルに到達した時点で、P−200ピペットチップを用いて切開創傷を模倣して十字ギャップを各ウエルに作った。時間0を示す十字を誘導した直後に、培地を指示した処理に変えた。細胞培養を検査し、デジタルカメラを備えるZeiss Axiovert 200倒立顕微鏡を用いて様々な時間間隔で画像を捕捉した。時間と、ギャップ領域に移動した細胞によって覆われた「創傷」ギャップの割合とによって細胞移動を定量した。ギャップ充填率(PGf)は、PGf=(1−At/A0)×100として算出し、ここで、Atは時間tにおけるギャップ領域であり、A0は時間0におけるギャップ領域である。スチューデントt検定を用いて統計的解析を行った。
【0139】
図7〜図10は得られた結果を示す。図7は、線維芽細胞遊走におけるQ10の効果を示し;図8は、ケラチン生成細胞移動におけるQ10の効果を示し;図9は、線維芽細胞の増殖におけるQ10の効果を示し;図10は、ケラチン生成細胞の増殖におけるQ10の効果を示す。これらのデータは、創傷治癒にコエンザイムQ10を用いることと、コエンザイムQ10が正常なケラチン生成細胞及び線維芽細胞の移動及び増殖を促進することを示している。
【0140】
図11はヒト大動脈平滑筋細胞でのATP産生におけるコエンザイムQ10の効果を示す。ヒト大動脈平滑筋細胞(HASMC)は、0〜20μg/mlのコエンザイムQ10とともに37℃及び5%COでインキュベートした。6ウエルプレートを培地231で24時間インキュベートした。冷却したTCA細胞溶解緩衝液で処理後、ルシフェリン−ルシフェラーゼ法を用いてATPアッセイを実施した。*P<0.05で対照と比して有意である(一元配置の分散分析及びダネット検定)。
【0141】
要約すると、創傷治癒におけるCoQ10の潜在的効果としては、細胞増殖及び移動;ATP需要の向上;酸化促進剤−酸化防止剤の平衡の変化;細胞膜及びオルガネラ膜の安定性の変化;及びアポトーシスが挙げられる。
【0142】
(実施例4)
CoQ10組成物−臨床試験
【0143】
本臨床試験は、マイアミ大学運動学部(University of Miami Athletic department)でのIRB承認の二重盲検試験である。関節痛又は筋肉疲労がある対象にCoQ10組成物を投与する。疼痛、疲労、痛み、及び全体的な幸福感の改善について各対象を評価した。図12は、CoQ或いは偽薬のいずれかで処置した後の疼痛の寛解における臨床試験から得られたデータの全体的な評価を示すグラフである。
【0144】
疼痛の寛解におけるCoQ10組成物の効果:本臨床試験は、マイアミ大学運動学部でのIRB承認の二重盲検試験である。関節痛又は筋肉疲労がある対象にCoQ10組成物を投与する。疼痛、疲労、痛み、及び全体的な幸福感の改善について各対象を評価した。図13は、CoQ10組成物或いは偽薬のいずれかで処置した後の疼痛の寛解における臨床試験からの予備データを示す。
【0145】
(他の実施形態)
詳細な説明と併せて本発明を説明してきたが、前述の説明は、本発明の範囲を限定することなく説明するものであることを理解されたい。その他の態様、利点、及び修正も以下の請求項の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】ヒト大動脈平滑筋細胞内のATP産生におけるコエンザイムQ10の効果を示すグラフである。*一元配置の分散分析及びダネット検定において、P<0.05で対照と比して有意である。
【図2】ヒト大動脈平滑筋細胞内の細胞増殖におけるコエンザイムQ10の効果を示すグラフである。*一元配置の分散分析及びダネット検定において、P<0.05で対照と比して有意である。
【図3】ヒト大動脈平滑筋細胞増殖における約0.001%〜約60%(w/w)の間のコエンザイムQ10を含む組成物の効果を示すグラフである。*一元配置の分散分析及びダネット検定において、P<0.05で対照と比して有意である。
【図4】動物の処置用の実験計画の概略図である。
【図5】表皮移動の評価図を示す概略図である。
【図6A】創傷治癒における約0.001%〜約60%(w/w)の間のコエンザイムQ10を含む組成物の効果を示すグラフである。5日目には、図6Aに示すように、どの処置群における創傷も、完全に再上皮化されてなかった。6日目(図6B)には、CoQ10Bで処置したものの20パーセント(20%)、及び未処置群の創傷治癒なしと比して、CoQ10Aで処置した群からの創傷の80パーセント(80%)が完全に再上皮化された。7日目(図6C)には、未処置群の創傷治癒0パーセントと比して、CoQ A及びCoQ Bで処置した創傷の100パーセント(100%)が完全に再上皮化された。8日目(図6D)には、未処置群の創傷治癒0パーセントと比して、CoQ A及びCoQ Bで処置した創傷の100パーセント(100%)が完全に再上皮化された。9日目(図6E)には、各処置群における創傷全てが完全に再上皮化された。
【図6B】創傷治癒における約0.001%〜約60%(w/w)の間のコエンザイムQ10を含む組成物の効果を示すグラフである。5日目には、図6Aに示すように、どの処置群における創傷も、完全に再上皮化されてなかった。6日目(図6B)には、CoQ10Bで処置したものの20パーセント(20%)、及び未処置群の創傷治癒なしと比して、CoQ10Aで処置した群からの創傷の80パーセント(80%)が完全に再上皮化された。7日目(図6C)には、未処置群の創傷治癒0パーセントと比して、CoQ A及びCoQ Bで処置した創傷の100パーセント(100%)が完全に再上皮化された。8日目(図6D)には、未処置群の創傷治癒0パーセントと比して、CoQ A及びCoQ Bで処置した創傷の100パーセント(100%)が完全に再上皮化された。9日目(図6E)には、各処置群における創傷全てが完全に再上皮化された。
【図6C】創傷治癒における約0.001%〜約60%(w/w)の間のコエンザイムQ10を含む組成物の効果を示すグラフである。5日目には、図6Aに示すように、どの処置群における創傷も、完全に再上皮化されてなかった。6日目(図6B)には、CoQ10Bで処置したものの20パーセント(20%)、及び未処置群の創傷治癒なしと比して、CoQ10Aで処置した群からの創傷の80パーセント(80%)が完全に再上皮化された。7日目(図6C)には、未処置群の創傷治癒0パーセントと比して、CoQ A及びCoQ Bで処置した創傷の100パーセント(100%)が完全に再上皮化された。8日目(図6D)には、未処置群の創傷治癒0パーセントと比して、CoQ A及びCoQ Bで処置した創傷の100パーセント(100%)が完全に再上皮化された。9日目(図6E)には、各処置群における創傷全てが完全に再上皮化された。
【図6D】創傷治癒における約0.001%〜約60%(w/w)の間のコエンザイムQ10を含む組成物の効果を示すグラフである。5日目には、図6Aに示すように、どの処置群における創傷も、完全に再上皮化されてなかった。6日目(図6B)には、CoQ10Bで処置したものの20パーセント(20%)、及び未処置群の創傷治癒なしと比して、CoQ10Aで処置した群からの創傷の80パーセント(80%)が完全に再上皮化された。7日目(図6C)には、未処置群の創傷治癒0パーセントと比して、CoQ A及びCoQ Bで処置した創傷の100パーセント(100%)が完全に再上皮化された。8日目(図6D)には、未処置群の創傷治癒0パーセントと比して、CoQ A及びCoQ Bで処置した創傷の100パーセント(100%)が完全に再上皮化された。9日目(図6E)には、各処置群における創傷全てが完全に再上皮化された。
【図6E】創傷治癒における約0.001%〜約60%(w/w)の間のコエンザイムQ10を含む組成物の効果を示すグラフである。5日目には、図6Aに示すように、どの処置群における創傷も、完全に再上皮化されてなかった。6日目(図6B)には、CoQ10Bで処置したものの20パーセント(20%)、及び未処置群の創傷治癒なしと比して、CoQ10Aで処置した群からの創傷の80パーセント(80%)が完全に再上皮化された。7日目(図6C)には、未処置群の創傷治癒0パーセントと比して、CoQ A及びCoQ Bで処置した創傷の100パーセント(100%)が完全に再上皮化された。8日目(図6D)には、未処置群の創傷治癒0パーセントと比して、CoQ A及びCoQ Bで処置した創傷の100パーセント(100%)が完全に再上皮化された。9日目(図6E)には、各処置群における創傷全てが完全に再上皮化された。
【図7】線維芽細胞遊走におけるQ10の効果を示すグラフである。
【図8】ケラチン生成細胞移動におけるQ10の効果を示すグラフである。
【図9】線維芽細胞の増殖におけるQ10の効果を示すグラフである。
【図10】ケラチン生成細胞の増殖におけるQ10の効果を示すグラフである。
【図11】ヒト大動脈平滑筋細胞内のATP産生におけるコエンザイムQ10の効果を示すグラフである。*一元配置の分散分析及びダネット検定において、P<0.05で対照と比して有意である。
【図12】CoQ10組成物又は偽薬のいずれかで処置後の疼痛の寛解において臨床試験から得られたデータの全体評価を示すグラフである。
【図13】CoQ10組成物又は偽薬のいずれかで処置後の疼痛の寛解において臨床試験から得られたデータを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CoQ10、リポソーム、及び薬学的に許容される担体を含む、疼痛、疲労、及び創傷治癒の治療用の局所組成物。
【請求項2】
前記組成物が、約0.001%〜約60%(w/w)の間のコエンザイムQ10を含む請求項1に記載の局所組成物。
【請求項3】
前記組成物が、ゲル剤の形態である請求項1に記載の局所組成物。
【請求項4】
前記組成物が、軟膏剤の形態である請求項1に記載の局所組成物。
【請求項5】
前記組成物が、クリーム剤の形態である請求項1に記載の局所組成物。
【請求項6】
前記組成物が、塗擦剤の形態である請求項1に記載の局所組成物。
【請求項7】
前記組成物が、ローション剤の形態である請求項1に記載の局所組成物。
【請求項8】
前記組成物が、噴霧剤の形態である請求項1に記載の局所組成物。
【請求項9】
前記組成物が、エアロゾル剤の形態である請求項1に記載の局所組成物。
【請求項10】
前記組成物が、ムース剤の形態である請求項1に記載の局所組成物。
【請求項11】
前記組成物が、泡剤の形態である請求項1に記載の局所組成物。
【請求項12】
必要とする患者の疼痛領域に、治療に有効な量の請求項1に記載の組成物を含む局所組成物を局所投与することを含む、癌に伴う疼痛を治療する方法。
【請求項13】
必要とする患者の疼痛領域に、治療に有効な量の請求項1に記載の組成物を含む局所組成物を局所投与することを含む、筋肉痛に伴う疼痛を治療する方法。
【請求項14】
必要とする患者の疼痛領域に、治療に有効な量の請求項1に記載の組成物を含む局所組成物を局所投与することを含む、関節痛に伴う疼痛を治療する方法。
【請求項15】
必要とする患者の疼痛領域に、治療に有効な量の請求項1に記載の組成物を含む局所組成物を局所投与することを含む、疼痛を治療する方法。
【請求項16】
必要とする患者の筋肉に、治療に有効な量の請求項1に記載の組成物を含む局所組成物を局所投与することを含む、筋肉疲労を治療する方法。
【請求項17】
必要とする患者の細胞又は組織に、治療に有効な量の請求項1に記載の組成物を含む局所組成物を投与することを含む、細胞又は組織におけるATP産生を増加させる方法。
【請求項18】
必要とする患者の創傷に、治療に有効な量の請求項1に記載の組成物を含む局所組成物を投与することを含む、創傷治癒を促進させる方法。
【請求項19】
必要とする患者の創傷に、治療に有効な量の請求項1に記載の組成物を含む局所組成物を投与することを含む、火傷を治療する方法。
【請求項20】
CoQ10、リポソーム、及び薬学的に許容される担体を含む、疼痛、疲労、及び創傷治癒の治療用の組成物。
【請求項21】
前記組成物が約0.001%〜約60%(w/w)の間のコエンザイムQ10を含む請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物がサイトカイン、成長因子、分化因子、ホルモン、鎮痛剤、及び疼痛止めをさらに含む請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
前記サイトカインが成長因子、遊走因子、モノカイン、リンホカインである請求項22に記載の組成物。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2009−536215(P2009−536215A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510055(P2009−510055)
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/068052
【国際公開番号】WO2007/131047
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(306036668)ユニバーシティ オブ マイアミ (10)
【Fターム(参考)】