説明

局所医薬組成物

本発明は、新規局所医薬組成物に関する。特に、本発明は、ヘルペスの治療用の夜間局所組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規局所医薬組成物に関する。特に、本発明は、ヘルペスの治療用の夜間局所組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
単純ヘルペスウイルス(HSV−1およびHSV−2)(一般に、「ヘルペスウイルス」または「ヘルペスとも称される)は、American Social Health Association(ASHA)により報告されているように、全国的に、推定感染者数が米国人口の70%−80%であり、毎年500,000人以上増えている危険な域に達した感染性疾患である。ヘルペスには2つの通常型:単純ヘルペスウイルス1(HSV−1)および単純ヘルペスウイルス2(HSV−2)がある。
【0003】
HSV−1ウイルスは、典型的にはヘルペスを生じさせる。主なHSV−1感染は、高頻度で、幼児および小児の時期に生じる。感染は、感染した人との密接な接触に起因する。ウイルスは、密接な体の接触、個人用品の共有、または器具により感染し得る。結果として生じる痛みは、通常、唇、口、鼻、顎または頬に生じ、曝露からすぐに生じる。HSV−2ウイルスは、典型的には、生殖器の痛みを生じさせる。ほとんどの人が、感染者との性的接触後、HSV−2感染症となる。米国の1〜4千万人(米国のすべての性交経験のある人の25%以下)および世界では4億人がHSV−2ウイルスに感染しているとの推定が多くある。
【0004】
ヘルペスは、通常、感染宿主との接触により、表皮組織の極めて小さな傷を介してヒトの体内に侵入し、約2〜10日の潜伏期間後、1以上、通常は群の小水疱の発疹により明らかとなる単純ヘルペスウイルスのいずれのタイプにおいても、新たな病変は、ヘルペス病変に触れた後、単に体の未感染の部分に触れることにより広がり得る。
【0005】
ヘルペスウイルスの発生は、一般的に、段階的な過程をたどる。段階は容易に同定され、前駆症状、紅斑/丘疹、水膨れ/小水疱、潰瘍、かさぶたおよび治癒を含む。いくつかの段階は、24時間未満である。前駆症状は、一般的に、発生の明らかな兆候なしに、短い期間のチクチク感、そう痒、しびれまたはヒリヒリ感を含む。紅斑/丘疹は、隆起し赤くなった部分により特徴付けられる。小水疱は、1以上の液体で満たされた水膨れの形態であり、通常クラスター状であり、一般に、痛く赤い皮膚に囲まれる。潰瘍段階は、水膨れが潰れて痛みのある潰瘍または皮膚潰瘍が形成される。潰瘍の終わりに、柔らかいまたは硬い黄色のかさぶたが出現し始める。潰瘍および痛みのある潰瘍、赤い皮膚は、この段階の後も持続する。かさぶた段階は、潰瘍の浸出部分が完全にかさぶたにより覆われる。皮膚潰瘍または水膨れは、この段階では存在しない。治癒段階は、かさぶた、腫れ、痛みおよびそう痒の消失により示される。ウイルス感染、特にヘルペスウイルスによる皮膚発疹は、一般的に、感染症の正確な原因種および解剖学的部位に応じて、10〜60日持続する通常の感染単位を有する。小水疱は、皮膚または粘膜を含む上皮組織のいずれにも生じ、典型的にはヘルペスとして唇に、分泌腺、口粘膜、結膜および角膜に、ならびに生殖器、肛門粘膜および肛門周囲粘膜に生殖器ヘルペスとして生じる。
【0006】
ヘルペス兆候は:鼠径の腫れ、痛み、熱、倦怠感、頭痛、筋肉痛および腺の腫れを含む。口腔ヘルペスは、三叉神経に影響し、これにより、ある個体は、顔面痛、嚥下および接触困難および顔の腫れに酷く苦しめられる。ヘルペスそれ自体は、痛みがあり、目障りである。
【0007】
ヘルペスウイルス感染症は慢性的である。一旦体内にウイルスが侵入すると、神経細胞に潜伏し、定期的に再活性化する。再発性ヘルペス感染の原因は知られていないが、種々のトリガーが起因していると考えられている。これらのトリガーは:日光への曝露;栄養欠乏;ストレス;生理;免疫抑制;特定の食品;薬物;熱性疾患等を含む。ウイルスが再活性化する場合、これは特徴的に、最初に体内に侵入した場所でヘルペスを生じる。今日まで、ヘルペス水痘帯状疱疹(水疱瘡)以外は、ヘルペス感染を予防するウイルス、または体内からのウイルスの排除方法は存在しない。一旦感染すると、患者は一生ウイルスを保持する。
【0008】
現時点では、経口抗ウイルス剤、例えばアシクロビル、ファムシクロビル、またはバラシクロビル、および局所抗ウイルス剤、例えばアシクロビルおよびペンシクロビルが、ヘルペス感染症の治療用に利用可能である。これらの医薬は、発生後の治療、またはヘルペス再発の抑制に用いることができる。より少ない投与量が、頻発する患者におけるヘルペス発症の数を減少するのに役に立ちうる。
【0009】
発症の前および発症中に接触感染する疾患の予防が重要である。熱性水膨れを有する人とのキス、または生殖器ヘルペスを発症している人との性交渉は、ウイルスの感染を引き起こし得ることが知られている。しかしながら、ヘルペスは、病変がない場合または前駆症状においても感染する(無症候性ウイルス排出)。
【0010】
ほとんどの抗ウイルス治療化合物は、感染した標的細胞内の種々の特定ウイルス遺伝子複製メカニズムをブロックする。これらのアプローチは、宿主細胞への毒性、薬物抵抗性ウイルス亜株の誘発および宿主細胞の突然変異原および/または催奇形物質として作用する可能性を含む欠点を有する。したがって、宿主にこのような有害な影響を与えることなく有効な治療を提供する新規抗ウイルス化合物が、非常に重要である。
【0011】
1974年には、n−ドコサノール(1−ドコサノールおよびベヘニルアルコールとも称される)が全身性治療価値を有することが報告されている。例えば、米国特許第4,186,211号は、経口投与した場合に、1−ドコサノールが、前立腺の肥大の治療に治療的に有効であることを報告している。さらに、米国特許第4,874,794号に開示された研究は、局所抗ウイルス剤としてのn−ドコサノールの使用を教示している。加えて、米国特許第5,534,554号は、シュークロースココエート、シュークロースステアレートまたはシュークロースジステアレートまたはその混合物と、治療活性剤として、C−20〜C−28脂肪族アルコール、例えばn−ドコサノールを含有する安定かつ効果的なクリームを教示している。
【0012】
n−ドコサノールは、22個の炭素の直鎖飽和アルコールであり、天然に生じ、細胞培養において、ヘルペスのような脂質エンベロープウイルスに対して広く活性を有することが報告されている。n−ドコサノールは、細胞膜により代謝され、細胞壁内に取り込まれ、そこでエンベロープウイルスのウイルスエンベロープと細胞膜とを融合する能力を阻害する。この融合は、ウイルスDNAが細胞に侵入するのに重要である。ウイルスDNAが侵入しないと、複製のための細胞メカニズムを利用することができる。一旦、ウイルスが細胞に侵入すると、n−ドコサノールは、ウイルス複製に対して効果を期待できない。Pope LEら、Antiviral Research 1998:40:85−94
【0013】
n−ドコサノールは、水に不溶性の結晶性ワックス状固体であり、今日まで、典型的には、非イオン性界面活性剤および皮膚への浸透および標的細胞レベルでの相互作用を促進するための担体と組成物にする必要がある(例えば、米国特許第5,534,554号;鉱油担体中の糖をベースとするエステル界面活性剤を有するn−ドコサノールの局所組成物を教示する)。非イオン性界面活性剤および担体を含有する水系中に懸濁した10%n−ドコサノールを用いる研究において、唇ヘルペス(HSV−1)に感染したヒトの病変の平均治癒時間が短くなっている(Habbemaら、ActaDerm.Venereol.,76:479−481,1996)(SacksSLら、Clinical Efficacy of Topical Docosanol 10% Cream for Herpes Simplex Labialis:AMulticenter,Randomized,Placebo−controlled Trial.J Am Acad Dermatol 2001;45:222−230)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
この分野における研究者の医学研究は、HSVに感染した組織の治療に用いられる組成物の発展に焦点が当てられていたが、これらの疾患を迅速に和らげる組成物は未だ必要とされている。したがって、従来の問題点を解消する、組織障害、例えばHSVに付随する疾患、特に、HSV−1の感染に関連するヘルペスを治療する組成物、システムおよび方法を提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
一の態様において、本発明は、0.1〜25重量パーセントのC20−C28脂肪族アルコール、特に、n−ドコサノール、可塑剤、フィルム形成ポリマーおよび糖をベースとするエステル界面活性剤を含む、皮膚および膜に使用する治療組成物に関する。
【0016】
別の態様において、本発明は、0.1〜25重量パーセントのC20−C28脂肪族アルコール、特に、n−ドコサノール、可塑剤、フィルム形成ポリマーおよび糖をベースとするエステル界面活性剤を含み、除去されるまでその場所に治療活性物質を保持する患部上のフィルムを形成する、皮膚および膜に使用する治療組成物に関する。
【0017】
さらに別の態様において、本発明は、ヒトの再発性ヘルペスエピソードの治療方法であって、0.1〜25重量パーセントのC20−C28脂肪族アルコール、特に、n−ドコサノール、可塑剤、フィルム形成ポリマーおよび糖をベースとするエステル界面活性剤を含む、治療上有効な量の皮膚および膜に使用する組成物を、該治療を必要とするヒトに適用することを含む方法に関する。
【0018】
さらに別の態様において、本発明は、皮膚または膜の表面の炎症の減少方法であって、皮膚または膜の炎症表面に、0.1〜25重量パーセントのC20−C28脂肪族アルコール、特に、n−ドコサノール、可塑剤、フィルム形成ポリマーおよび糖をベースとするエステル界面活性剤を含む治療上有効な量の組成物を適用することを含む方法に関する。
【0019】
さらなる態様において、本発明は、哺乳動物のHSV−1の治療方法であって、0.1〜25重量パーセントのC20−C28脂肪族アルコール、特に、n−ドコサノール、可塑剤、フィルム形成ポリマーおよび糖をベースとするエステル界面活性剤を含む治療上有効な量の皮膚および膜に適用するための組成物を、該治療を必要とする哺乳動物に適用し、患部またはHSV−1により感染していると考えられる部分に保護フィルムを形成することを含む方法に関する。
【0020】
さらなる態様において、本発明は、本発明の治療組成物を用いる、種々の治療計画、治癒時間の減少計画、および再発性ヘルペスエピソードに付随する痛みの減少計画に関する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、局所組成物、およびHSV−1を含むヘルペスウイルス感染症に付随する病変の治療方法を提供する。ヘルペスウイルス感染症の発生は、一般的に、以下の段階:前駆症状、紅斑/丘疹、小水疱、潰瘍、かさぶたおよび治癒を経る。病変は、一般的には、ヘルペスと称される。
【0022】
本明細書で用いられる場合、「病変」なる用語は、すべての場合において、ウイルス疾患の発生のいずれもの段階を意味する。
本明細書で用いられる場合、「除去」または「除去された」なる用語は、すべての場合において、本発明の組成物の意図的な洗浄または拭き取りを意味する。
本明細書で用いられる場合、「治療する」または「治療」なる用語は、すべての場合において、治療を意味する。
【0023】
本発明の組成物の適用により、HSV−1病態の治癒時間が減少し、ならびに、最初に適用した段階からのHSV−1の正常な進行が停止する。本発明の組成物は、一般的に、HSV−1発生の治癒時間を、約10日〜約4〜5日に減少させる。本発明の一の具体例において、HSV−1発生の治癒時間は4日である。
【0024】
本発明の組成物は、局所使用に適しており、限定するものではないが、クリーム、ゲル、軟膏またはペースト等を含む。本発明の組成物は、0.1〜25重量パーセントのC20−C28脂肪族アルコール、特に、n−ドコサノール、可塑剤、フィルム形成ポリマーおよび糖をベースとするエステル界面活性剤を含む。
【0025】
これらの成分の各々を注意深く選択することにより、期待以上の高い結果をもたらす最適な抗ウイルス効果が得られる。治療効果を有することに加え、本発明の組成物は、組成物の夜間の使用に特に適している。組成物は、適用後5〜15分以内に乾燥する。本発明の一の具体例において、組成物は、適用後10分以内に乾燥する。加えて、組成物は、治療活性成分を、組成物が除去されるまでの長期間にわたって病変に接触させることができる。他の局所組成物とは異なり、睡眠中に剥がれ落ちることはなく、治療期間中に再び適用する必要がない。一の具体例において、本発明の組成物は、一晩の睡眠の通常の治療単位の間、および確実に8時間までの間、適用部位に保持される。さらなる具体例において、本発明の組成物は、約6〜10時間、夜間に保持される。他の具体例に置いて、組成物は、妨害されない限り、一日中保持される。本発明の組成物は、妨害されない場合、1または2日間適用部位に保持される。
【0026】
皮膚の傷を治癒する体の能力は、高度に発達したプロセスである。創傷ができると、体は、創傷の周囲または内部の状況に応じて多くの活性を刺激し、正確に調節する。理想的な環境のもと、治癒プロセスは最適に行われる;しかしながら、皮膚創傷が治療されない、または少ししか治療されない場合、状況は理想的ではなく、皮膚の治癒は弱まる。多くの因子が、外部環境からの保護および湿度および組織が得ることができる栄養レベルを含む創傷治癒環境に影響を与える。
【0027】
閉塞フィルムは、創傷の乾燥を妨げる治癒プロセスを活性化および維持するための理想的な環境を体に提供すると考えられる;これは細胞移動を容易にし、成長因子およびマトリックス物質をより容易に入手可能にし、創傷の温度および電気的勾配を保持する。Miller MCら、Biodrugs 2005:19(6)、363−381;Martin Pら、Inflammatory Cells during wound repair:the good,the bad and the ugly;Trends Cell Biol.2005:15(11),599−607。本発明の組成物は、有利な創傷治癒特性を有する、創傷を塞ぎ、または防御するフィルム形成剤を含有する。加えて、閉塞フィルムは、上皮形成を促進し、痛みを和らげ、感染を予防する。フィルムは、病変に閉塞バリアを形成し、痛み、ヒリヒリ感、そう痒、およびチクチク感の兆候を軽減する。
【0028】
理論に縛られることなく、組成物のフィルム形成特性は、除去されるまで感染部位と接触しているので、活性成分の治療効果を増強すると考えられる。したがって、活性は、病変部位で作用するのにより有意な条件を有する。組成物は、使用者が洗い流すことを望むと、容易に除去される。再発性ヘルペスエピソードの治療計画は、組成物を、最初の病変形成部位での感染部位(典型的にはチクチク感があるといわれる)に適用すること、ついで、特定の症状の治癒の速さに応じて、少なくとも4日〜10日の治療単位にわたることを含む。組成物は、睡眠前に感染部位に適用され、乾燥し、ついで、起床後に除去される。
【0029】
これらの組成物に有用な活性治療剤は、C20−C28脂肪族アルコールである。一の具体例において、n−ドコサノールが活性剤である。局所投与での治療効果に必要な本発明の組成物の量は、もちろん、治療すべき症状の性質および重症度により変化し、最終的には主治医の判断による。本発明の活性成分の適当な投与量は、活性剤が、組成物全体の0.1〜25重量パーセントで組成物中に存在するものである。一の具体例において、活性剤は、組成物全体の10重量パーセントである。適当には、組成物の担体は鉱油である。
【0030】
本発明に適当なフィルム形成ポリマーは、限定するものではないが、ポリビニルピロリドン(ISPから入手可能、New Jersey)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびポリビニルアセテートを含む。フィルム形成ポリマーは、組成物全体の2〜10重量パーセントの量で存在する。一の具体例において、フィルム形成ポリマーは、組成物全体の5.0重量パーセントの量で存在する。本発明の一の具体例において、フィルム形成ポリマーはポリビニルピロリドンであり、組成物全体の3.0〜6.0重量パーセントの量で存在する。本発明の別の具体例において、フィルム形成ポリマーはポリビニルピロリドンであり、組成物全体の2.0〜5.0重量パーセントの量で存在する。
【0031】
組成物中に存在する可塑剤は、限定するものではないが、グリセリン(グリセロールとしても知られている)を含む。適当には、可塑剤は、組成物全体の0.5〜5重量パーセントの量で存在する。一の具体例において、可塑剤は、組成物全体の0.9重量パーセントの量で存在する。
【0032】
適当には、乳化剤が含有され、米国特許第5,534,554号(出典明示により本明細書に組み入れる)に記載されているようなエステル化した糖をベースとする界面活性剤から選択される。本発明の一の具体例において、エステル化した糖をベースとする界面活性剤は、シュークロースステアレート/ジステアレート(Crodaから、Crodesta F110の商標名で入手可能)である。一の具体例において、乳化剤は、組成物全体の5.0重量パーセントの量で存在する。
【0033】
加えて、1つまたはそれ以上の賦形剤が、適当には、本発明の組成物に加えることができる。かかる賦形剤は、限定するものではないが、保存剤、乳白剤、第二の治療剤、および保湿剤を含む。
【0034】
適当には、保存剤が組成物中に存在し、該保存剤は、限定するものではないが、ベンジルアルコール、安息香酸、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、安息香酸ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンおよびソルビン酸を含む。適当には、保存剤は、組成物全体の0.05〜5重量パーセントの量で存在する。一の具体例において、保存剤は、ベンジルアルコールであり、組成物全体の2.7重量パーセントの量で存在する。
【0035】
適当には、乳白剤が、本発明の組成物中に存在する。この物質の目的は、適用部位にフィルムが残っていることを目視により確認できるようにするためである。適当な乳白剤は、限定するものではないが、二酸化チタン、酸化亜鉛、ステアレン/アクリレートおよびタルクを含む。適当には、乳白剤は、組成物全体の0.2〜5重量パーセントの量で存在する。一の具体例において、乳白剤は二酸化チタンであり、組成物全体の1重量パーセントの量で存在する。
【0036】
適当には、さらなる治療剤が組成物中に含まれる。これらの組成物に有用な治療剤は、限定するものではないが、抗ウイルス剤、例えばアシクロビル、ファムシクロビル、ペンシクロビル、シドフォビル、ホスカルネット、ガンシクロビル、バラシクロビル、およびバルガンシクロビルを含む。適当には、さらなる治療剤は、組成物全体の1〜5重量パーセントの量で存在する。治療のある形態において、同じデリバリーシステムにおけるこれらの薬剤の組み合わせは、最適な治療効果を得るために有用であり得ることが認められている。
【0037】
適当には、保湿剤が組成物中に存在し、該保湿剤は、限定するものではないが、プロピレングリコール、ソルビトール、およびグリセロールトリアセテート(トリアセチン)を含む。適当には、保湿剤は、組成物全体の3〜15重量パーセントの量で存在する。一の具体例において、保湿剤はプロピレングリコールである。
【実施例】
【0038】
実施例1
本発明の範囲に含まれる組成物を、以下の表に記載する。
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
【表3】

【0041】
【表4】

【0042】
【表5】

【0043】
【表6】

【0044】
【表7】

【0045】
【表8】

【0046】
実施例2:表9に示す成分を有する組成物の調製:
【表9】

【0047】
水相:
水(55.62%w/w;299.7mg)を容器に加え、幅広の刃(容器の大きさに調節した)を備えたインペラー混合機を用いて、シュークロースステアレート/ジステアレート(5%w/w;20.00mg)を約30℃で分散した。この分散液をゆっくりと撹拌し(10%のスピード)、75〜85℃に加熱した。分散液の温度が高くなるまでの間、分散液が55〜70℃に達したときに、プロピレングリコール(5.00%w/w;30.1mg)を加えた。スクレーパーブレードをスピード10に設定した。この内容物を、20%ホモジナイザースピードで2分間均質化した。
【0048】
ベンジルアルコール(2.70%w/w;16.2mg)を、温度が75〜85℃の間に、上記混合物に加えた。この段階で、スクレーパーブレードのスピードを、1分間30%に速めた。内容物は、見かけの粘度が減少し、透明になり始めた。容器を熱源から除去し、ポリビニルピロリドン(5.00%w/w;30.0mg)、グリセロール(1.00%w/w;6.00mg)および二酸化チタン(1.50%w/w;9.1mg)を、インペラー混合機を用いて分散液に加えた。
【0049】
油相:
別の容器において、n−ドコサノール(10.00%w/w;60.1mg)および鉱油(8.00%w/w;48.0mg)を合し、75〜85℃に加熱した。これらの内容物が必要な温度になると、油相を水相に加え、同じ温度の残りの水(6.18%w/w;33.3mg)で油相容器を洗浄した。
【0050】
均質化:
油相を水相に加える間、スクレーパーブレードを30%に設定し、ホモジナイザーを20スピードに3分間設定した。この後、容器を25℃に冷却し、この間も均質化をさらに3分間続けた。この時点で、ホモジナイザーを除去し、スクレーパーブレードで、10%スピードで混合を続けた。内容物は約150分間で25℃に完全に冷却された。
【0051】
実施例3:
本発明の組成物は、以下の方法に従って製造することができる。
油性成分を適当な容器に移し、75〜85℃に加熱して、適当な速さで混合する。溶解したら、この溶解混合物をさらに使用するまで保持する。別の適当な容器に、純粋を入れ、ついで、適当な速さで撹拌し、水を35〜85℃に加熱する。水が必要な温度になると、ホモジナイザーを適当な速さにし、減圧する。乳化剤をこのバッチに加える。加えた後、減圧を止め、乳化剤が完全に分散するまでバッチを混合する。可塑剤(および、用いる場合、保存剤および/または保湿剤)を減圧下で加える。十分な時間、成分をこのバッチと混合する。フィルム形成ポリマーおよび乳白剤を減圧下で加える。減圧を止め、適当な撹拌機およびホモジナイザースピードで、これらがバッチ中に完全に均質に混合されるまで混ぜ続ける。混合の間、バッチの温度は上昇し、最終温度は75〜85℃である。
【0052】
容器中の油性および水性バッチの温度を、混合前に、確実に他方の温度の5℃以内にする。油性成分のバッチを水性バッチに加える。必要であれば減圧する。合したバッチを適当なホモジナイザーおよび撹拌スピードで、生成物が均質になるまで撹拌する。合したバッチをゆっくりと室温に冷却し始める。生成物を適当な保存容器に移し、さらに使用するまで貯蔵場所に保持する。
【0053】
上記記載は、好ましい具体例を含む本願発明を完全に開示する。本発明に具体的に開示した具体例の修飾および改良は、特許請求の範囲内に含まれる。さらなる労力なしに、先の記載から、当業者は本発明を最大限に利用することができる。したがって、いずれもの実施例は、単に本願発明を説明するためのものであって、如何なる点においても本発明の範囲を限定するものではない。独占的権利を請求する本発明の具体例は、特許請求の範囲に記載する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.1〜25重量パーセントのC20−C28脂肪族アルコール、可塑剤、フィルム形成ポリマーおよび糖をベースとするエステル界面活性剤を含む、皮膚および膜への局所使用用治療組成物。
【請求項2】
C20−C28脂肪族アルコールがn−ドコサノールである、請求項1記載の治療組成物。
【請求項3】
さらに乳白剤を含む、請求項1記載の治療組成物。
【請求項4】
乳白剤が、二酸化チタン、酸化亜鉛、ステアレン/アクリレートおよびタルクから選択される、請求項3記載の治療組成物。
【請求項5】
乳白剤が、二酸化チタンである、請求項4記載の治療組成物。
【請求項6】
二酸化チタンが、組成物全体の0.2〜5重量パーセントの量で存在する、請求項5記載の治療組成物。
【請求項7】
フィルム形成ポリマーがポリビニルピロリドンである、請求項1記載の治療組成物。
【請求項8】
ポリビニルピロリドンが、組成物全体の2.0〜10.0重量パーセントで存在する、請求項7記載の治療組成物。
【請求項9】
さらに、アシクロビル、ファムシクロビル、ペンシクロビル、シドフォビル、ホスカルネット、ガンシクロビル、バラシクロビル、およびバルガンシクロビルから選択される第二の治療剤を含む、請求項1記載の治療組成物。
【請求項10】
可塑剤がグリセリンである、請求項1記載の治療組成物。
【請求項11】
ヒトの再発性ヘルペスエピソードの治療方法であって、0.1〜25重量パーセントのC20−C28脂肪族アルコール、可塑剤、フィルム形成ポリマーおよび糖をベースとするエステル界面活性剤を含む治療上有効な量の組成物を、該治療を必要とするヒトに局所投与することを含む方法。
【請求項12】
C20−C28脂肪族アルコールがn−ドコサノールである、請求項11記載の方法。
【請求項13】
ヘルペス病変に付随する兆候の治療方法であって、0.1〜25重量パーセントのC20−C28脂肪族アルコール、可塑剤、フィルム形成ポリマーおよび糖をベースとするエステル界面活性剤を含む治療上有効な量の組成物を、該治療を必要とするヒトに局所投与することを含む方法。
【請求項14】
C20−C28脂肪族アルコールがn−ドコサノールである、請求項13記載の方法。
【請求項15】
0.1〜25重量パーセントのC20−C28脂肪族アルコール、可塑剤、フィルム形成ポリマーおよび糖をベースとするエステル界面活性剤を含む、ヘルペスウイルス病変への局所使用用治療組成物であって、除去されるまで病変上に組成物を保持する病変上のフィルムを形成する組成物。
【請求項16】
C20−C28脂肪族アルコールがn−ドコサノールである、請求項15記載の方法。
【請求項17】
皮膚または膜の表面の炎症に付随する痛みの減少方法であって、0.1〜25重量パーセントのC20−C28脂肪族アルコール、可塑剤、フィルム形成ポリマーおよび糖をベースとするエステル界面活性剤を含む治療上有効な量の組成物を、皮膚または膜の炎症表面に局所投与することを含む方法。
【請求項18】
C20−C28脂肪族アルコールがn−ドコサノールである、請求項17記載の方法。
【請求項19】
治癒の間の物理的障害からのヘルペス病変の保護方法であって、0.1〜25重量パーセントのn−ドコサノール、可塑剤、フィルム形成ポリマーおよび糖をベースとするエステル界面活性剤を含む治療上有効な量の組成物を、病変に局所投与することを含む方法。
【請求項20】
C20−C28脂肪族アルコールがn−ドコサノールである、請求項19記載の方法。
【請求項21】
さらに、治療組成物を、6〜10時間の間一晩適用することを含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
ヒトの再発性ヘルペスエピソードの治療計画であって、0.1〜25重量パーセントのC20−C28脂肪族アルコール、可塑剤、フィルム形成ポリマーおよび糖をベースとするエステル界面活性剤を含む治療上有効な量の組成物を、該治療を必要とするヒトに局所投与すること;組成物を6〜10時間の間、適用部にそのままに保持すること;組成物を除去すること;および、少なくとも4日間の治療単位にわたるプロシージャを繰り返すこと、を含む治療計画。
【請求項23】
C20−C28脂肪族アルコールがn−ドコサノールである、請求項22記載の治療計画。
【請求項24】
ヒトの再発性ヘルペスエピソードに付随する病変の治癒時間の減少計画であって、0.1〜25重量パーセントのC20−C28脂肪族アルコール、可塑剤、フィルム形成ポリマーおよび糖をベースとするエステル界面活性剤を含む治療上有効な量の組成物を、該減少を必要とするヒトに局所投与すること;組成物を6〜10時間の間、適用部にそのままに保持すること;組成物を除去すること;および、少なくとも4日間の治療単位にわたるプロシージャを繰り返すこと、を含む減少計画。
【請求項25】
C20−C28脂肪族アルコールがn−ドコサノールである、請求項24記載の計画。
【請求項26】
皮膚または膜の表面の炎症に付随する痛みの減少計画であって、0.1〜25重量パーセントのC20−C28脂肪族アルコール、可塑剤、フィルム形成ポリマーおよび糖をベースとするエステル界面活性剤を含む治療上有効な量の組成物を、該減少を必要とするヒトの、皮膚または膜の炎症表面に局所投与すること;組成物を6〜10時間の間、適用部にそのままに保持すること;組成物を除去すること;および、少なくとも4日間の治療単位にわたるプロシージャを繰り返すこと、を含む減少計画。
【請求項27】
C20−C28脂肪族アルコールがn−ドコサノールである、請求項26記載の方法。
【請求項28】
10.0重量パーセントのC20−C28脂肪族アルコール、1.0重量パーセントの可塑剤、5.0重量パーセントのフィルム形成ポリマーおよび5.0重量パーセントの糖をベースとするエステル界面活性剤を含む、皮膚および膜への局所使用用治療組成物。
【請求項29】
10.0重量パーセントのn−ドコサノール、1.0重量パーセントの可塑剤、5.0重量パーセントのフィルム形成ポリマーおよび5.0重量パーセントの糖をベースとするエステル界面活性剤を含む、皮膚および膜への局所使用用治療組成物。
【請求項30】
本質的に、8.00%w/wの鉱油、10.00%w/wのn−ドコサノール、65.10%w/wの水、5.00%w/wのシュークロースステアレート/ジステアレート、5.00%w/wのプロピレングリコール、2.70%w/wのベンジルアルコール、0.90%w/wのグリセロール、1.00%w/wの二酸化チタン、および2.30%w/wのポリビニルピロリドンを含む、皮膚および膜への局所使用用治療組成物。

【公表番号】特表2010−511723(P2010−511723A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540403(P2009−540403)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2007/086234
【国際公開番号】WO2008/070602
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(591002957)グラクソスミスクライン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (341)
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline LLC
【Fターム(参考)】