説明

局所投与のためのデリバリーシステム

本発明は、パッドと、不溶性の皮膚科学的に活性な成分を含有する液体組成物とを含んでなるデリバリーシステムであって、ここで該液体組成物は、パッドへの該組成物の実質的に均一な吸収を可能にする粘度を有するものであり、その後前記パッドは密閉容器内に収容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドラッグデリバリーシステムに関する。詳細には、本発明は、パッド、密閉容器および液体組成物を含んでなるドラッグデリバリーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの皮膚に局所投与される皮膚科学的に活性な成分は、多くの場合、皮膚への適用に許容される媒体中には不溶性の固形物(粒状物ともいう)であり、その例としては、限定するものではないが、過酸化ベンゾイル(「BPO」)および不溶性の抗真菌薬などが挙げられる。こうした局所投与製品を調製するために、皮膚科学的に活性な成分は、例えばゲル、クリーム、またはローションなど(これらに限らない)のビヒクル中に懸濁されることが多い。
【0003】
また、この種の皮膚科学的に活性な成分をパッド上に配置させて、皮膚にパッドをこすり付けることによって送達することも望ましい。パッドはさらに、利便性および衛生上の理由から、使い捨てとすることができる。しかしながら、この方法を、不溶性であるか、難溶性であるか、またはごくわずかにしか溶けない皮膚科学的に活性な成分に適用する場合には、いくつかの問題が存在する。
【0004】
第一に、皮膚科学的に活性な成分の組成物、例えば限定するものではないが、BPO組成物などは、パッド上に均一に付着されない。第二に、皮膚科学的に活性な成分の組成物は、皮膚にパッドをこすり付けている間、皮膚上に均一に付着されない。均一でなければ、皮膚科学的に活性な成分がどれだけ送達されたのか、あるいはそもそも送達されたかどうかさえも予測することができず、このことからこの送達法は効果的ではない。ほとんどのドラッグデリバリーシステムでは所定の均一性が好ましいとされる。
【0005】
こうした問題に関連する要因としては、液体組成物の一部がパッドの繊維を通って優先的に押し出されてしまい、これによりパッドの表面に粒状の皮膚科学的に活性な成分が高濃度で残されてしまうことが挙げられる。一方、皮膚科学的に活性な成分の粒子は繊維の間を通って優先的に押し出されて、容器の壁面に残存したり、パッドや容器のある部分に残って他の部分には残らなかったりすることがある。
【0006】
さらに、一例としてBPOパッド用の容器は、こうした問題の一因となりうる。容器がアルカリ接着剤で密閉されている場合、強力な酸化剤であるBPOは、わずか1ヶ月間BPOと接触した後の接着剤を溶解する。粘着シールは劣化し、パウチの両半分が離れてしまう。このことから、漏れ止め容器も必要となる。
【0007】
皮膚科学的に活性な成分の単一相の溶液を適用するために、ジャーまたは大型容器に収容したパッドを用いることは、長い間有効な手法として知られてきた。皮膚科学的に活性な成分は溶解状態で存在するため、溶媒ビヒクル全体に許容できる程度に分配されたままでとどまり、パッドによる濾過または吸着によって溶液から分離されにくい。
【0008】
皮膚科学的に活性な成分の単一相の懸濁液を適用するためにパッドを使用することは、これまで成功していない。懸濁された皮膚科学的に活性な成分は、容器の底に沈んでしまう傾向があり、結果的に皮膚科学的に活性な成分の濃度は許容できないほど偏ってしまう。この問題は、パッドが懸濁された皮膚科学的に活性な成分を濾過または吸着してしまう傾向により、さらに悪化する。こうして、たとえ皮膚科学的に活性な成分が懸濁液から沈降しなかったとしても、パッド上に不均一に集合することがある。その上悪いことに、パッドが皮膚科学的に活性な成分を懸濁液から濾過または吸着すると、こうしたパッドはその皮膚科学的に活性な成分を保持してしまい皮膚へと放出しない傾向がある。
【0009】
水中油型および油中水型エマルジョン(例えば限定するものではないが、クリームやローションなど)は、皮膚科学的に活性な成分の懸濁液のデリバリービヒクルとして用いられており(例えばアリゾナ州のMedics Pharmaceutical Corp.製のTRIAZ(登録商標))、デリバリービヒクルとして単独で用いた場合にはよく機能する。これらのクリームやローションは皮膚科学的に活性な成分を懸濁状態にかなり良く保持し、ビヒクル全体への、したがって皮膚への、皮膚科学的に活性な成分の均一な分布をもたらす。
【0010】
しかしながら、クリームやローションを局所適用するためにパッドやガーゼを用いると、いくつかの問題が生ずる。クリームはパッドにほとんど付着せず、パッドの容器には付着しすぎることが知られている。パッドをデリバリービヒクルとして用いる試みは、結果的に、皮膚に適用できるように容器の壁面からクリームまたはローションを拭い去ったり、こすり落としたりするためにパッドを使用することになってしまい、多くの場合クリームはパッドから不十分にしか放出されず、皮膚科学的に活性な成分の過少適用をもたらす。このことは、パッドが局所適用に非常に望ましい手法であることから、ドラッグデリバリー技術分野において大きな失望のもととなっている。例えば、ニキビ治療の分野においては、パッドがサリチル酸の溶液を適用するために何十年と使われてきた(例えば、イリノイ州のBlistex Inc.製のStri-Dex(登録商標))。これに対して、ニキビ用の優れた治療剤として数十年も認知されてきた過酸化ベンゾイルは、可溶性でないため、パッドデリバリーシステムとして成功裏に販売されたことがなく、クリームまたはローション中の懸濁物として配給されている。こうしたことから、パッドを用いることにより、皮膚科学的に活性な成分の粒子懸濁物を局所的に送達する方法は、長年に渡る課題とされてきた。
【発明の開示】
【0011】
発明の概要
本発明は、当技術分野が直面する多くの問題を克服する。本発明において、皮膚科学的に活性な成分とは、ヒトまたは動物に使用するのに適当な不溶性の薬物であり、組成物とは1種以上の皮膚科学的に活性な成分を含んでなる液体である。この組成物は、容器よりもパッドに優先的に保持される。皮膚科学的に活性な成分、例えば限定するものではないが、BPOや不溶性の抗真菌薬などは、組成物(例えば限定するものではないが、エマルジョン)からパッドの上または内部に優先的に移動したり吸着されたりすることがないため、組成物中でもパッド中でも皮膚科学的に活性な成分が不均一な濃度となることはない。さらに、パッドは容器に収められ、各容器にはパッドを1個以上収納してもよい。
【0012】
本発明において、パッドとしては、限定するものではないが、パッド、ガーゼ、タオル、小さなペーパータオル、布およびスポンジなどが挙げられ、これらのパッドは織布または不織布でありうる。本発明における皮膚科学的に活性な成分は、粒状または不溶性の薬物であってよく、例えば限定するものではないが、ビヒクル中に懸濁および/または分散される、ヒトへの局所使用に適した薬剤、プロドラッグ、治療用化粧品(cosmeceuticals)、漢方薬、伝統薬、および活性な化粧品成分などが挙げられる。本明細書における不溶性とは、不溶性または難溶性であるか、ごくわずかにしか溶けないことを意味する。不溶性の皮膚科学的に活性な成分は多くの場合、粒状物質である。
【0013】
本発明によれば、不溶性の皮膚科学的に活性な成分をエマルジョン組成物中で混合するが、エマルジョン組成物の例としては、限定するものではないが、水中油型エマルジョンまたは油中水型エマルジョン、好ましくは水中油型エマルジョンが挙げられる。この組成物は、処方中に通常の混合を行なうことにより、皮膚科学的に活性な成分を組成物全体に実質的に均一に分配させ、製品の保存期間中もそのような状態に維持するのに適している。粒径は好ましくは最大で約300ミクロンであり、より好ましくは約10〜約150ミクロンである。BPOについては、最も好ましい粒径は約50ミクロン以下である。さらに、この組成物の粘度は、毛管作用により組成物がパッドの繊維のマトリックスに浸透してパッド上に保持される程度に十分低くなるよう、注意深く調整する。一方で粘度は、組成物がさらさらしすぎていて早い段階でパッドから排出されてしまうほど低くてはいけない。他方、粘度が高すぎると、組成物はパッドの繊維のマトリックスに取り込まれないばかりでなく、パッドの表面から容器の壁面に放出されて、そこに残ってしまい、患者の皮膚に適用できなくなる。
【0014】
パッドを皮膚にこすり付けることによる本発明の使用は、結果として皮膚科学的に活性な成分を皮膚に移行させ、これはすなわち該成分が皮膚に実質的に均一に投与されることを意味する。こすり付けるときに、十分な治療量の皮膚科学的に活性な成分が皮膚へと送達される。本発明の効果の1つとしては、類似の組成物をパッド無しで適用した場合と比較して、皮膚への刺激が少ないことが挙げられる。
【0015】
この組成物は1種以上の皮膚科学的に活性な成分を含んでもよい。皮膚科学的に活性な成分は、組成物中で不溶性であって粒状物質である、皮膚科学的予防または治療に有効な任意の薬物であってよい。皮膚科学的に活性な成分の有効量とは、パッドを皮膚にこすり付けることにより皮膚に送達される、十分な治療量を意味する。
【0016】
皮膚科学的に活性な成分は以下のものでありうる:組成物中で不溶性の1種以上の皮膚科学的薬物、例えば限定するものではないが、ニキビ、真菌感染症、酵母感染症、しゅさ、光損傷を受けた皮膚、色素過剰症の皮膚、湿疹、アレルギー性皮膚炎もしくは接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎、紅斑、または乾癬を治療または予防するための薬物;塩類またはキレート類、例えば限定するものではないが、酸化亜鉛、鉄EDTA、過酸化マグネシウム、リノール酸アルコルビル;表皮剥離剤;活性な酸;活性な塩基、例えば限定するものではないが、ミノサイクリン;中性の活性物質、例えば限定するものではないが、ヒドロコルチゾン;BPO;抗真菌薬;抗菌剤;コルチコステロイド;角質溶解剤;硫黄;硫黄含有成分;またはこれらの組合せ。
【0017】
ある実施形態においては、組成物に、可溶性の皮膚科学的に活性な成分をさらに加えてもよい。
【0018】
具体的な実施形態の詳細な説明
医薬組成物
一つの実施形態は、皮膚科学的に活性な成分としてのBPOを、単独でまたは他の皮膚科学的に活性な成分と共に、水中油型エマルジョン中に含有する組成物である。ある実施形態において、BPOの粒径は約50ミクロン以下であるが、この粒径は顔面の実質的に均一な被覆をもたらし、パッド(例えば不織布パッドであるが、これに限定されない)中に粒子が閉じ込められるのを減少させる。組成物中のBPOが過敏な皮膚を刺激しうることから、組成物は場合によりジメチコーンを含んでもよく、これは過敏な皮膚に対して組成物をより受け入れやすくすることができる。
【0019】
本組成物は、別の実施形態において、皮膚科学的に活性な成分として1種以上の硫黄含有成分を、単独でまたは他の皮膚科学的に活性な成分と共に、水中油型エマルジョン中に含有してもよい。硫黄含有成分としては、限定するものではないが、硫黄やスルファセタミドなどが挙げられる。
【0020】
一つの実施形態は、皮膚科学的に活性な成分として不溶性の抗真菌薬を、単独でまたは他の皮膚科学的に活性な成分と共に、水中油型エマルジョン中に含有する組成物である。
【0021】
ある実施形態においては、皮膚科学的に活性な成分または最終製品を粉砕することにより、該皮膚科学的に活性な成分の粒径をさらに小さくすることができ、かつ/また、本組成物は、物理的および/または化学的反応により粒子表面を実質的に滑らかにする追加の物質を含むことができる。これは皮膚への実質的に滑らかな適用を促進する。
【0022】
本発明の組成物は、約500cps〜約7000cps、より好ましくは約2000cps〜約3000cps、最も好ましくは約2200cpsの粘度を有する水中油型エマルジョンでありうる。この粘度はブルックフィールド粘度計LVTモデルを用いて約27℃で60秒間測定した値である。ほとんどの測定は、スピンドルを30rpmにセットして行い、いくつかは12rpmにセットして行い(30rpmでの測定には組成物の粘度が高すぎる場合)、次いでそれぞれをcpsに変換した。特に断らない限り、本明細書における全ての粘度測定値および範囲は同様に計算される。
【0023】
パッド
本発明のパッドは、合成または天然の織布または不織布で作ることができ、例えば、限定するものではないが、BBA Nonwoven Division Bethune(South Carolina)により製造されている、76gsy(gsyは平方ヤード当たりのグラム数を意味する)の46%レーヨン/54%ポリプロピレン複合材料(7ドットパターン)の熱接着不織布であるBBA Nonwovens社の製品番号149-273が挙げられる。パッド用材料は2層以上で構成されていてもよい。
【0024】
ある実施形態において、パッドは直径2.5インチの円形の不織布である。この実施形態における組成物は、水中油型エマルジョン中のBPOであってよい。
【0025】
好ましい実施形態において、組成物は、それをパッドに添加したときの乳化破壊を回避するように最適化されたエマルジョンである。
【0026】
容器
パッドの包装には、さらに考慮せねばならないことがいくつかある。容器は1個以上のパッドを収容することができ、組成物を漏出させず、また一度密閉されたら、時間が経過しても過度に組成物を劣化させないものである。本発明では、例えば、限定するものではないが、次のような容器を使用することができる:内側にプラスチックの層を有するホイル材料、例えばワニス/インク/紙/LDPE/アルミホイル/Surlyn(登録商標)(E.I. DuPont DeNemours & Co.)からなるフランスのPechiney Corporationの包装材料、あるいは、BLMG/LD/285F/MCMTからなるIndiana州のBomarko, Inc.の包装材料、で構成された容器。LDPEは低密度ポリエチレンを意味する。本発明のある実施形態においては、プラスチックライニングホイル材料の容器は、長方形の4つの辺を250°F〜350°Fで数秒間ヒートシールしてプラスチックを溶かし、強い結合を形成させたが、この結合は促進条件(約40℃で相対湿度75%)(この条件は典型的には室温(約25℃)で約18〜24ヶ月に対応する)下でも少なくとも3ヶ月間は損なわれなかった。
【0027】
本発明のある実施形態において、容器は、組成物を含んだパッドを収容し、かつ十分な期間、例えば本発明の製品の保存期間中、該組成物を劣化させたり漏出させたりしない、どのような材料であってもよい。好ましくは、容器は、プラスチックライニングホイル材料のシートを1枚以上含んでなる。容器は1個以上のパッドを保持するようにシートから形成させる。ある実施形態においては、パッドよりも大きいかまたはパッドを折りたたんだ時の寸法よりも大きい2枚のシートを、下部シート、パッド、パッドの上側の上部シートの順で層状に配置する。パッドがシートよりも小さく、かつシートの中央に配置されるので、シートの縁同士は接触する。シートの縁に、熱と圧力(好ましくは約15psi〜約40psi)を加えて、両方のシートのプラスチックライニングを融解させて一緒にシールすることによりパッドを内封する。当業者ならば、用いる材料および/または方法の種類によって時間、熱および圧力が変わることを理解するであろう。
【0028】
さらなる実施形態およびその一部
本発明のある実施形態において、デリバリーシステムは、パッド、密閉容器および組成物を含んでなるが、この組成物は、毛管作用によりパッドに実質的に吸収されるエマルジョンであってよく、また該組成物は容器中のパッドに実質的に残存し、該パッドを皮膚にこすり付けたとき、該組成物中の治療的な量の薬剤が皮膚上に放出される。
【0029】
BPOは好ましくは75重量%のものであり、Atofinaから商標名Luperox A75FP/Lupersol 75FPまたはLucidol 75として販売されている。
【実施例】
【0030】
表1は、本発明において用いる組成物の3つの具体例(I、II、III)を示す。
【表1】

【0031】
当技術分野において周知の通り、以下の定義を本発明に適用する。EDTAはエチレンジアミン四酢酸を意味する。PEGはポリエチレングリコールを意味する。BHTはブチル化ヒドロキシトルエンを意味する。
【0032】
試験1
BPOがパッドから容器の内側へと過剰に移行しなかったかを調べるために行った試験の結果を図1に示す。例I(IA、IB、およびICの3回)、例II(IIA、IIBおよびIICの3回)、および例III(IIIAおよびIIIBの2回)の組成物を含んだパッドを容器に入れて密封した。密封した容器を計量し(「Total Weight」)、開封後、パッドを計量した(「Med Pad Wt」)。次に「C」または「Wet Empty Pouch」を計算した。
【0033】
次に、エマルジョンとBPOを除去するためにパッドにアセトニトリルを浸透させた。これを2回繰り返し、次いでパッドを一定の重量になるまで乾燥させた(「Dry Pad Wt」)。「Med on Pad」つまりパッドから皮膚への移行に利用可能な組成物を計算した。次に、容器を洗浄し、一定の重量になるまで乾燥させた(「Dry, Empty Pouch」)。そして、容器に残っており、そのため皮膚への移行に利用できない組成物の重量を計算した(「Med on Pouch Walls & Voids」)。(Med on Pad)と(Med on Pouch Walls & Voids)の比は5以上であることが好ましい。
【0034】
試験2
別の試験においては、フルオレセイン・ナトリウム0.15%(特に断らない限り、本明細書における全ての百分率は重量%を意味する)を例Iの組成物にマーカーとして加え、組成物がパッドから皮膚へと均一に送達されるかを試験した。被験者に組成物のみを与え、比較のために顔と額に塗布するように依頼した。
【0035】
別の方法においては、被験者はパッドを顔と額にこすり付けた。被験者には、他のフェイシャルクレンジング製品または薬用製品を用いるときと同様に、これらのパッドを用いるように依頼した。被験者が皮膚にどのようにこすり付けるべきかを左右するような他の試みは行わなかった。
【0036】
それぞれの適用(組成物のみ、およびパッドからの組成物)の30分後、被験者の顔と額の紫外線写真を撮影した。写真は、パッドからの薬物が実質的に滑らかにかつ均一に付着されたことを示した。図2は組成物を直接塗布した後の被験者Aを示し、図3は組成物をパッドから適用した後の被験者Aを示す。図2は、大部分の皮膚面に組成物がわずかにしか送達されないか、または全く送達されず、また過剰な送達を受けた箇所が点在したことを示す。図3は、パッドを使用した被験者の全ての皮膚面に十分な組成物が行き渡ったことを示す。
【0037】
図4は組成物を直接塗布した後の被験者Bを示し、図5は組成物をパッドから適用した後の被験者Bを示す。図4は、大部分の皮膚面に組成物がほとんど送達されないか、または全く送達されず、また数箇所には塊があり、つまり過剰な送達を受けたことを示す。図5は、パッドを使用した被験者の全ての皮膚面に組成物が十分に行き渡ったことを示す。
【0038】
試験3
これとは別に、パッドから皮膚へと許容可能なレベルの薬剤が送達されるかを試験するためにパッドを用いた。規制委員会および当業者は、皮膚に適用される局所薬剤の許容されるレベルを、皮膚の1平方センチメートルを被覆する全薬剤(ビヒクルを含む)が少なくとも2mgの範囲であると記載している。この試験では、被験者は、例IおよびIIIの組成物を含んだパッドを、彼らがそのような薬剤含有パッドを通常用いるのと同様に、所定の顔面に適用した。この皮膚面(80〜100平方センチメートル)に適用された組成物の量を測定するために、パッドを使用前と使用後に計量した。使用された薬剤の重量を計算し、次に皮膚の面積で割った。
【0039】
例Iのパッドについては、送達された総組成物の平均用量は2.9〜3.875mg/cm2であった。例IIIについては、送達された総組成物の平均用量は2.10〜2.625 mg/cm2であった。
【0040】
試験4
本発明のいくつかのサンプル例については、粘度を求めるための試験も行った。各例について、段落21に記載したように試験した。これらの試験結果は以下の通りである。例Iの組成物の粘度は2000〜2800cpsであり、例IIの組成物の粘度は2000〜2400cpsであり、例IIIの組成物の粘度は2000〜2500cpsであり、他の組成物は以下の粘度であった。
【表2】

【0041】
さらに、本発明の組成物は、以下の方法に従って粘度を試験することができる。スピンドル#4を備えたブルックフィールド粘度計モデル番号RVTを20rpmで60秒間、25℃+/-1℃にて用いる。この試験では、組成物は好ましくは約500cps〜約10000cps、より好ましくは約1900cps〜約7000cps、最も好ましくは4500〜約6500cpsである。
【0042】
本発明について、発明の詳細な説明に関連して記載してきたが、前記記載は、特許請求の範囲により定められる本発明の範囲を説明するためのもので、その範囲を制限するものではないことを理解すべきである。他の構成、効果および改変は特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】パッドに含まれる組成物の量と、容器の壁面および空間に存在する組成物の量を示す。
【図2】試験2においてパッドを用いることなく、組成物を直接適用した後の被験者Aの紫外線写真を示す。
【図3】試験2においてパッドから組成物を適用した後の被験者Aの紫外線写真を示す。
【図4】試験2においてパッドを用いることなく、組成物を直接適用した後の被験者Bの紫外線写真を示す。
【図5】試験2においてパッドから組成物を適用した後の被験者Bの紫外線写真を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッド、容器、および液体組成物を含んでなるドラッグデリバリーシステムであって、該組成物はエマルジョン中に有効量の1種以上の不溶性の皮膚科学的に活性な成分を含み、かつ該組成物は、該組成物が毛管作用によりパッドに実質的に均一に吸収されるように十分低い粘度を有し、しかも容器ではなくパッド上に実質的に保持されていることを特徴とする、上記システム。
【請求項2】
前記粘度が、パッドを皮膚にこすり付けたとき、該組成物を皮膚に実質的に均一に送達するのに効果的な粘度である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
活性成分が過酸化ベンゾイルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
過酸化ベンゾイルが約50ミクロン以下の粒子から成る、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
活性成分が約10〜約150ミクロンの粒子から成る、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記組成物が水中油型エマルジョンである、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記組成物が油中水型エマルジョンである、請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記組成物が、ブルックフィールド粘度計LVTモデルを使って約27℃で60秒間、スピンドルを30rpmにセットして測定して、約500〜約9000cpsの粘度を有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
前記組成物が、ブルックフィールド粘度計LVTモデルを使って約27℃で60秒間、スピンドルを30rpmにセットして測定して、約2000〜約3000cpsの粘度を有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項10】
前記組成物が、ブルックフィールド粘度計RVTモデルを使って25±1℃で60秒間、20rpmにてスピンドル#4で測定して、約500〜約10,000cpsの粘度を有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項11】
前記組成物が、ブルックフィールド粘度計RVTモデルを使って25±1℃で60秒間、20rpmにてスピンドル#4で測定して、約1900〜約7,000cpsの粘度を有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項12】
前記組成物が、ブルックフィールド粘度計RVTモデルを使って25±1℃で60秒間、20rpmにてスピンドル#4で測定して、約4500〜約6,500cpsの粘度を有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項13】
パッドが1以上の織布で構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
パッドが1以上の不織布で構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
容器が、少なくとも一方の表面を1種以上のプラスチックで実質的にコーティングされた金属からなる材料で構成されており、1枚の該材料がもう1枚の該材料にヒートシールされており、ヒートシールされた材料がパッドと前記組成物を漏出なしに保持している、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
活性成分が1種以上の抗真菌薬を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
活性成分がプロドラッグ、治療用化粧品、漢方薬、伝統薬、および皮膚に有効な化粧品成分からなる群より選択される1種以上を含んでなる、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
さらに1種以上の可溶性の皮膚科学的に活性な成分を含んでなる、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
不織布パッド、液体組成物、および密閉容器を含んでなるドラッグデリバリーシステムであって、該組成物が過酸化ベンゾイル、デンプン、カルボマー、EDTA二ナトリウム、水、グリセリン、水酸化ナトリウム、乳酸亜鉛、グリコール酸、C12〜C15アルキルベンゾエート、セテアリルアルコール、ジメチコーン、ステアリン酸グリセリルおよびステアリン酸PEG100、ステアレス2、ステアレス20、およびポリソルベート20を含んでなり、該容器が、少なくとも一方の表面を1種以上のプラスチックで実質的にコーティングされた金属からなる材料で構成されており、1枚の該材料がもう1枚の該材料にヒートシールされており、ヒートシールされた材料がパッドと前記組成物を漏出なしに保持していることを特徴とする、上記システム。
【請求項20】
前記組成物が、約2000〜3000cpsの粘度であり、かつ、約1%のデンプン、約4%の過酸化ベンゾイル、約0.3%のカルボマー、約0.5%のEDTA二ナトリウム、約71%の水、約6%のグリセリン、約0.3%の水酸化ナトリウム、約0.2%の乳酸亜鉛、約0.5%のグリコール酸、約7%のC12〜C15アルキルベンゾエート、約2%のセテアリルアルコール、約1%のジメチコーン、約1%のステアリン酸グリセリルおよびステアリン酸PEG100、約1.5%のステアレス2、約1%のステアレス20、ならびに約1%のポリソルベート20を含有する、請求項19に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−520436(P2007−520436A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517309(P2006−517309)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/019159
【国際公開番号】WO2005/009322
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(502105258)メディシス・ファーマシューティカル・コーポレーション (4)
【Fターム(参考)】