説明

局所用医薬組成物

本発明は、デスフルオロキノロン化合物を0.2から5%含む安定した半固形の局所用医薬組成物、及び軟膏剤又はクリーム剤を製造するための適切な担体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデスフルオロキノロン化合物を含む局所用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
過去20年にわたる抗菌治療の進歩にかかわらず、合併症がない原発性皮膚及び皮膚組織感染症(膿痂疹、毛包炎、せつ腫症、ざ瘡、二次感染性外傷性病変、過感染皮膚病、及び二次感染性火傷)における主たる病原体である多剤耐性グラム陽性菌により引き起こされる感染症の発生率は増加している。最近、市中感染のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)感染症の増加及びMRSAにおけるプラスミド介在性ムピロシン耐性の発生が報告されている。オゼノキサシンは新規のフッ素処理されていないキノロン化合物であり、多くみられるキノロン耐性菌を含むグラム陽性菌に対して高度の活性を示す。オゼノキサシンは2段階ターゲットの作用機序であることから、いくつかの耐性の突然変異菌に対して活性である。このように、オゼノキサシンは、耐性グラム陽性菌に対して高い活性を有することから現在の抗生物質に対する耐性機序を回避するのに優れた抗菌剤の候補である。
【0003】
オゼノキサシンは、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)、シプロフロキサシン耐性菌株を含むメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、メチシリン感受性表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)(MSSE)、メチシリン耐性表皮ブドウ球菌(MRSE)、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、G群連鎖球菌(Streptococci)、ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、ベータラクタマーゼ陽性ヘモフィルス・インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、ヘモフィルス・インフルエンザ菌の分類不能型菌株、ベータラクタマーゼ陽性モラクセラ・カタラリス(Moraxella catarrhalis)、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)、レジオネラ肺炎菌(Legionella pneumophila)、マイコプラズマ肺炎菌(Mycoplasma pneumoniae)、レジオネラ肺炎菌(Legionella pneumophila)、マイコバクテリウム結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、B群ストレプトコックス・アガラクティアエ(Streptococcus agalactiae)、ナイセリア淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、トラコーマ・クラミジア(Chlamydia trachomatis)、マイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma hominis)、ウレアプラズマ・ウレアリティカム(Ureaplasma urealyticum)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、バクテロイデス・フラギリス(Bacteroides fragilis)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、大腸菌(Escherichia coli)、キノロン耐性大腸菌、サルモネラ属菌(Salmonella spp.)、シゲラ属菌(Shigella spp.)、シプロフロキサシン感受性緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、クロストリジウム・ディフィシレ(Clostridium difficile)及びリステリア菌(Listeria monocytogenes)などの多数の病原体に対して活性である。
【0004】
オゼノキサシン(I)は、最初に、US6335447及び同等の特許に開示された。その化学名は、1−シクロプロピル−8−メチル−7−[5−メチル−6−(メチルアミノ)−3−ピリジニル]−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−3−キノリンカルボン酸である。その化学式は、
【化1】


である。
【0005】
抗菌剤の局所塗布は、皮膚及び皮膚組織感染症、性感染症及び生殖管感染症、並びに局所処置に感受性のあるいくつかの全身性感染症の治療に有用な手段である。抗菌剤局所治療は、全身治療に比べていくつかの潜在的な利点がある。第一に、耐性の選択をする恐れがある腸管内の不必要な曝露を回避できること。第二に、局所塗布における局所用薬剤の濃度が高く全身吸収がごくわずかであり多くの突然変異耐性に打ち勝つことが期待されること。第三に、局所塗布は全身治療に比べて副作用を引き起こす可能性が低いことである。このために、オゼノキサシンを含むいくつかの局所用組成物が当技術分野において報告されている。
【0006】
JP2002356426Aは、皮膚用の軟膏剤及びゲル剤が開示している。オゼノキサシン1%、N−メチル−2−ピロリドン8%、プロピレングリコール14.9%、オレイン酸0.9%、ジイソプロパノールアミン2.3%、ポリエチレングリコール400 20.2%、ポリエチレングリコール4000 50.2%及び水3.2%を含む軟膏剤が実施例2において報告されている。
【0007】
JP2003226643Aは、オゼノキサシン、シクロデキストリン及び粘性剤を含む水溶液を開示している。
【0008】
EP1731138A1は、医薬組成物の製造に使用されるオゼノキサシンを含む微粒子分散液を開示している。
【0009】
WO2007015453A1は、オゼノキサシンを含むローション剤を開示している。
【0010】
JP2007119456Aは、医薬組成物の製造に使用されるオゼノキサシンのナノ粒子及び溶液顆粒を含有する水性懸濁液を開示している。点眼液が好ましく記載されている。
【0011】
特に眼科用にオゼノキサシン、マグネシウムイオン及びヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを組み合わせた使用が、Yamakawa,TらのJournal of controlled Release(2003)、86(1)、101〜103に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
半固形の局所用組成物は、取り扱い易く、そのため患者に好まれることから、液体組成物に代わるものとして有用である。しかしながら、当技術分野において開示されている半固形組成物に存在する成分が非常に多様であるにもかかわらず、これらに対する定量的な安定性の試験結果を入手することはできない。したがって、耐久性があり長期にわたる薬学的な安定性が実証されることで微生物活性及び治療活性が保証される、オゼノキサシンを有効成分として含む、立証された安定な半固形の局所用組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明の目的は、オゼノキサシン組成物を0.2から5%含む薬学的に安定な半固形の局所用組成物、及び軟膏剤又はクリーム剤を製造するのに適した担体に関する。好ましくは、オゼノキサシンの量は0.5%から2%であり、より好ましくは1%である。本発明において、パーセンテージはすべて別段の指定がない限り重量パーセントで示される。
【0014】
本発明によると、その適切な担体が白ワックス、白色軟パラフィン及びこれらの混合物から選択される、軟膏剤が提供される。好ましくは白色軟パラフィンである。
【0015】
本発明によると、その適切な担体が乳化剤、界面活性剤、油成分、低融点ワックス、水、水分散性成分及びノンホルムアルデヒド放散保存剤の混合物を含む、クリーム剤が提供される。
【0016】
したがって、本発明は、
a)オゼノキサシンを0.2〜5%、並びに
b)b.1)1種又は複数の乳化剤を15〜25%、
b.2)1種又は複数の界面活性剤を10〜20%、
b.3)油成分を5〜15%、
b.4)8から30個の炭素原子を有する脂肪酸、8から30個の炭素原子を有する脂肪アルコール、8から30個の炭素原子を有する脂肪酸エステル、8から30個の炭素原子を有する脂肪酸アミド、シリコーンワックス、及びこれらの混合物から選択される1種又は複数の低融点ワックスを1〜10%、
b.5)水、
b.6)ポリエチレングリコール400、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール−10メチルグルコースエーテル、エトキシジグリコール、ポリエチレングリコール−6カプリル酸/カプリン酸グリセリド、エチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコール−8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ジメチルイソソルビド、及びこれらの混合物から選択される1種又は複数の水分散性成分を10〜20%、並びに
b.7)1種又は複数のノンホルムアルデヒド放散保存剤を0.01〜1%
を含む適切な担体
を含むクリーム剤であって、
b.5の成分の量が該組成物の100重量パーセントの残りの割合を満たす量であり、パーセンテージがすべて重量パーセントであり組成物の総重量に対するものである、該クリーム剤を提供する。
【0017】
一実施形態によると、本発明は、担体が、
b.1の成分を18〜22%、
b.2の成分を13〜15%、
b.3の成分を7〜9%、
b.4の成分を3〜5%、
b.5の成分、
b.6の成分を13〜17%、
b.7の成分を0.05〜0.15%
を含むクリーム剤であって、
b.5の成分の量が該組成物の100重量パーセントの残りの割合を満たす量である、該クリーム剤を提供する。
【0018】
さらなる実施形態によると、本発明は、担体が、
b.1の成分を20%、
b.2の成分を14%、
b.3の成分を8%、
b.4の成分を4%、
b.5の成分、
b.6の成分を15%、
b.7の成分を0.1%、
を含むクリーム剤であって、
b.5の成分の量が該組成物の100重量パーセントの残りの割合を満たす量である、該クリーム剤を提供する。
【0019】
さらなる実施形態によると、担体内の水の量は30〜45重量パーセントである。
【0020】
本発明において、乳化剤はエチレングリコールモノステアレート、ソルビタントリステアレート;PEG6ステアレート、グリコールステアレート及びPEG32ステアレートの混合物、及び水素化レシチン、並びにこれらの混合物から選択され、好ましくはPEG6ステアレート、グリコールステアレート及びPEG32ステアレートの混合物である。
【0021】
本発明において、界面活性剤はソルビタンオレエートモノオレイン/プロピレングリコール、ココナッツ油からのC/C10脂肪酸モノ及びジグリセリド、大豆レチシン、卵リン脂質、モノグリセリドのクエン酸エステル、モノグリセリドの乳酸エステル、モノグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、モノグリセリドのコハク酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、オレイン酸のポリグリコール化グリセリド、リノール酸のポリグリコール化グリセリド、長鎖及び中鎖脂肪酸の両方を含む脂肪酸のポリグリセロール化エステル、及び混合脂肪酸のポリグリセリルエステル、並びにこれらの混合物から選択される。好ましくは、界面活性剤はオレイン酸のポリグリコール化グリセリドである。
【0022】
本発明において、油成分は8から10個の炭素原子を含有する脂肪アルコールを主成分とするゲルベ(Guerbet)アルコール、直鎖C6〜22脂肪酸と直鎖又は分岐鎖C6〜22脂肪アルコールとのエステル、分岐鎖C6〜13カルボン酸と直鎖又は分岐鎖C6〜22脂肪アルコールとのエステル、直鎖C6〜22脂肪酸と2−エチルヘキサノールとのエステル、C3〜38アルキルヒドロキシカルボン酸と直鎖又は分岐鎖C6〜22脂肪アルコールとのエステル、直鎖又は分岐鎖脂肪酸と多価アルコール又はゲルベアルコールとのエステル、C6〜10脂肪酸を主成分とするトリグリセリド、C6〜18脂肪酸を主成分とする液体モノ、ジ及びトリグリセリド混合物、C6〜22脂肪アルコール又はゲルベアルコールと安息香酸とのエステル、C2〜12ジカルボン酸と1から22個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖アルコール又は2から10個の炭素原子及び2から6個の水酸基を含有するポリオールとのエステル、植物油、分岐鎖第一級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖及び分岐鎖C6〜22脂肪アルコールカルボネート、8から10個の炭素原子を含有する脂肪アルコールを主成分とするゲルベカルボネート、安息香酸と直鎖又は分岐鎖C6〜22アルコールとのエステル、1アルキル基当たり6から22個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖、対称若しくは非対称ジアルキルエーテル、エポキシ化脂肪酸エステルとポリオール、シリコーン油、及び脂肪族又はナフテン系炭化水素との開環生成物、及びこれらの混合物から選択される。好ましくは、油成分は8から10個の炭素原子を含有する脂肪アルコールを主成分とする2−オクチルドデカノール(Eutanol(登録商標)G PH)などのゲルベアルコールである。
【0023】
ゲルベアルコールは、第一級で分岐鎖でありまた高分子量であるため、刺激性が低く極低温にも液体であり揮発度が低く過脂肪剤として有用で優れた潤滑剤である。
【0024】
本発明において、低融点ワックスは、8から30個の炭素原子を有する脂肪酸、8から30個の炭素原子を有する脂肪アルコール、8から30個の炭素原子を有する脂肪酸エステル、8から30個の炭素原子を有する脂肪酸アミド、シリコーンワックス及びこれらの混合物から選択される。好ましくは、低融点ワックスは、8から30個の炭素原子を有する脂肪アルコールである。ステアリルアルコールは脂肪アルコールから選択されることがより好ましい。
【0025】
ステアリルアルコールは、その粘稠度を与える特徴があるため、便利な粘性調節剤としての働きがある。
【0026】
本発明において、水分散性成分は、ポリエチレングリコール400、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール−10メチルグルコースエーテル、エトキシジグリコール、ポリエチレングリコール−6カプリル酸/カプリン酸グリセリド、エチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコール−8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ジメチルイソソルビド、及びこれらの混合物から選択される。好ましくは、水分散性成分はプロピレングリコールである。
【0027】
本発明において、ノンホルムアルデヒド放散保存剤は、安息香酸アンモニウム、プロピオン酸アンモニウム、ベンゾイソチアゾリノン、安息香酸、ベンゾトリアゾール、ベンジルアルコール、ベンジルパラベン、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、安息香酸ブチル、ブチルパラベン、安息香酸カルシウム、カルシウムパラベン、カルシウムプロピオネート、カルシウムサリチレート、カルシウムソルベート、クロルヘキシジンジアセテート、クロルヘキシジンジグルコネート、クロルヘキシジンジヒドロクロリド、クロロアセトアミド、クロロブタノール、p−クロロ−m−クレゾール、クロロフェン、p−クロロフェノール、クロロフェネシン、クロロチモール、クロロキシレノール、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾール、デヒドロ酢酸、ジブロモプロパミジンジイセチオネート、ジメチルオキサゾリジン、ジチオメチルベンズアミド、ドミフェン、エチルフェルレート、エチルパラベン、フェルラ酸、グリオキサール、ヘキサミジン、ヘキサミジンジパラベン、ヘキサミジンパラベン、4−ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシメチルジオキソアザビシクロオクタン、ヨードプロピニルブチルカルバメート、イソブチルパラベン、イソデシルパラベン、イソプロピルクレゾール、イソプロピルパラベン、イソプロピルソルベート、ラウリルジエチレンジアミノグリシンHCl、安息香酸マグネシウム、マグネシウムプロピオネート、メチル−クロロイソチアゾリノン、メチルパラベン、オクチルイソチアゾリノン、安息香酸パンテニルエチルエーテル、フェネチルアルコール、フェノール、フェノキシエタノール、フェノキシエチルパラベン、フェノキシイソプロパノール、安息香酸フェニル、フェニルパラベン、0−フェニルフェノール、ポリメトキシ二環式オキサゾリジン、安息香酸カリウム、ポタシウムブチルパラベン、ポタシウムエチルパラベン、ポタシウムメチルパラベン、ポタシウムパラベン、ポタシウムフェノキシド、ポタシウムプロピオネート、ポタシウムプロピルパラベン、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、安息香酸プロピル、プロピルパラベン、quaternium−8(硫酸ジメチルで四級化したメチル及びステアリルジメチルアミノエチルメタクリレート)、quaternium−14(エタンアミニウム、N,N,N−トリメチル−2−[(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル)オキシ],−メチルスルフェート、ホモポリマー)、quaternium−15(エタンアミニウム、N,N,N−トリメチル−2−[(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]−クロリド、2−プロペンアミドを有するポリマー)、安息香酸ナトリウム、ナトリウムブチルパラベン、ナトリウムp−クロロ−m−クレゾール、デヒドロ酢酸ナトリウム、ナトリウムエチルパラベン、ギ酸ナトリウム、ナトリウムヒドロキシメタンスルホネート、ナトリウムヒドロキシメチルグリシネート、ナトリウムイソブチルパラベン、ナトリウムイソプロピルパラベン、ナトリウムラウリルジエチレンジアミノグリシネート、ナトリウムメチルパラベン、ナトリウムパラベン、ナトリウムフェニルスルホネート、ナトリウムフェノキシド、ナトリウム0−フェニルフェネート、ナトリウムプロピオネート、ナトリウムプロピルパラベン、ナトリウムソルベート、ソルビン酸、TEA−ソルベート(トリエタノールアミンソルベート)、チアントール(2,7−ジメチル−チアントレン)、トリクロカルバン、トリクロサン、及びウンデシレノイルPEG5パラベン(ウンデシレン酸及びPEG5パラベンのエステル)、並びにこれらの混合物から選択される。好ましくは、ノンホルムアルデヒド放散保存剤は安息香酸である。
【0028】
本発明の別の目的は、本発明の組成物をヒト又は動物における皮膚及び皮膚組織感染症の処置又は予防に使用することである。したがって、本発明は、本発明の軟膏剤及びクリーム剤の皮膚及び皮膚組織感染症の処置又は予防での使用を提供し、感染症の例としては、皮膚及び皮膚組織感染症である膿痂疹、毛包炎、せつ腫症、ざ瘡、二次感染性外傷性病変、過感染皮膚病及び二次感染性火傷、並びにメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)、シプロフロキサシン耐性菌を含むメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、メチシリン感受性表皮ブドウ球菌(MSSE)、メチシリン耐性表皮ブドウ球菌(MRSE)、化膿連鎖球菌、及びG群連鎖球菌により引き起こされる、これら皮膚及び皮膚組織感染症があるが、これらに限定されない。
【0029】
本発明の別の目的は、新規の組成物をヒト又は動物における性感染症及び生殖管感染症の処置又は予防に使用することである。したがって、本発明は、本発明の軟膏剤及びクリーム剤を、B群ストレプトコックス・アガラクティアエ、ナイセリア淋菌、トラコーマ・クラミジア、マイコプラズマ・ホミニス、及びウレアプラズマ・ウレアリティカムにより引き起こされる感染症などの性感染症及び生殖管感染症の処置又は予防での使用を提供することである。
【0030】
本発明の別の目的は、新規の組成物をヒト又は動物における無症候性の鼻腔内感染者の鼻咽頭感染症を根絶するのに使用することである。したがって、本発明は、本発明の軟膏剤及びクリーム剤を無症候性の鼻腔内感染者の鼻咽頭感染症を根絶するのに使用することであり、これらの感染症は、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)、シプロフロキサシン耐性菌を含むメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌、ベータラクタマーゼ陽性ヘモフィルス・インフルエンザ菌、ヘモフィルス・インフルエンザ菌の分類不能型菌株、ベータラクタマーゼ陽性モラクセラ・カタラリス、髄膜炎菌、レジオネラ肺炎菌、マイコプラズマ肺炎菌、レジオネラ肺炎菌、マイコバクテリウム結核菌によって引き起こされる。
【0031】
本発明の組成物は、感染部位への直接塗布により使用することができ、或いは皮膚又は生殖器部位を保護するために使用することができる。該組成物は、鼻腔、好ましくは鼻咽頭、特に前部鼻咽頭への投与によっても使用することができる。
【0032】
さらに、本発明の組成物は、皮膚及び皮膚組織感染症、性感染症及び生殖管感染症の処置に使用することができ、またこのような感染症が一般的な局所用抗生物質である、ムピロシン、フシジン酸、レタパムリン、及びキノロン化合物(すなわちナジフロキサシン)に耐性がある場合、無症候性の鼻腔内感染者における鼻咽頭の感染症の根絶に使用することができる。
【0033】
本発明の別の目的は、本発明の組成物を投与することにより、必要とするヒト又は動物における皮膚及び皮膚組織感染症を処置又は予防するための新規の方法を提供することである。
【0034】
本発明の別の目的は、本発明の組成物を投与することにより、必要とするヒト又は動物における性感染症及び生殖管感染症を処置又は予防するための新規の方法を提供することである。
【0035】
本発明の別の目的は、本発明の組成物を投与することにより、必要とするヒト又は動物における無症候性の鼻腔内感染者の鼻咽頭感染症を根絶するための新規の方法を提供することである。
【0036】
本発明による組成物は、オゼノキサシンの皮膚吸収がごく少量であるため、臨床的に著しい皮膚科又は全身の関連有害事象なしに効果的且つ安全に使用することができる。
【0037】
本明細書及び特許請求の範囲を通じて、用語「comprise」及び「comprising」など用語が変化したものは、他の技術的特徴、付加、成分、又はステップを除外するものではない。本発明の追加された目的、利点及び特徴は、本明細書を調べると当業者には明らかになるものであり、或いは本発明を実行することにより習得することができる。以下の実施例は、例示して提供するが、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0038】
(例1)オゼノキサシンを1%含有する軟膏剤
a)100g組成物
【表1】

【0039】
b)製造
白色軟パラフィン(99重量部)を、低速の撹拌(アンカー撹拌)及び高速の撹拌、並びに加熱及び冷却システムを装備したバッチ製造に十分な容量の反応器内で70〜75℃で均一に溶解した。このパラフィンを50〜55℃で冷却した。オゼノキサシン(1重量部)を加え、撹拌下、パラフィンに分散した。最終の分散液を25〜30℃に冷却した。均一で黄淡色の油状のベースとなる軟膏を得た。最終の軟膏剤を、自動システムを使用して20mLアルミニウム管に詰めた。
【0040】
c)安定性
軟パラフィン担体の不活性な性質は、この軟膏剤が少なくとも18カ月間安定して貯蔵できることを保証するものである。
【0041】
(例2)オゼノキサシンを1%含有するクリーム剤
a)100g組成物
【表2】

【0042】
b)製造
1.プロピレングリコール(15重量部)及び水(37.9重量部)を十分な容量の半固形反応器に加えた。
2.混合物を低速の撹拌下、70〜75℃で加熱した。
3.Tefose(登録商標)63(20重量部)、Labrafil(登録商標)M1944CS(14重量部)、Lanette(登録商標)18(4重量部)及び安息香酸(0.1重量部)を低速の撹拌下、十分な容量のガラス/アルミニウムビーカー内で70〜75℃で溶解した。
4.ステップ3の最終混合物(有機相)を半固形の反応器に加えた。該混合物を、5分間アンカー撹拌で低速度で撹拌し、高剪断ミキサーを用いて高速度で撹拌した。
5.Eutanol(登録商標)G PH(8重量部)及びオゼノキサシン(1重量部)の混合物を適切な撹拌機を備えた十分な容量のガラスビーカーに加えた。該混合物を撹拌しながら50〜55℃で加熱した。
6.ステップ5の懸濁液をステップ4の乳濁液に加え、20分間、アンカー撹拌で低速度で撹拌し、高剪断ミキサーを用いて高速度で撹拌した。
7.生成されたクリーム剤の温度をその加熱を止めて25〜30℃に冷却した。バルクの均一性を調べた。
8.最終のクリーム剤を、自動システムを使用して高密度のポリエチレンキャップ付き20mLアルミニウム管に詰め込んだ。
【0043】
c)安定性
表1から表12はいくつかの開発バッチに関して実施した安定性の調査結果の要約である。
【表3】


【表4】


【表5】


【表6】


【表7】


【表8】


【表9】


【表10】


【表11】


【表12】


【表13】


【表14】

【0044】
(例3)オゼノキサシンを1%含有する軟膏剤の抗菌活性
a)実験手順
例1の軟膏剤を局所投与した後、マウスにおいて黄色ブドウ球菌(ATCC6538)に感染した皮膚創傷からなる感染症モデルにおいて抗菌活性を評価した。
処置開始時の体重22〜27gのCD−1雄マウス(45匹)を標準の実験室条件(温度22±1℃及び相対湿度65±10%、12時間照明(午前7時から午後7時まで)/12時間消灯サイクル)に収容した。
縫合糸を感染させるため、30分間、事前に分光測光法で調節した濃度10CFU/mLの黄色ブドウ球菌の一夜ブロスに入れた。
縫合糸を取り出し濾紙で乾燥した。それぞれの縫合糸から1cm長さのものを2本切り取り、これらをそれぞれ1mLの0.2%酵母抽出物が入った管の中でボルテックスした。これらのブロスの希釈液を作り、縫合糸の濃度を調べるため、2つに並べてシスチンラクトース電解質欠乏(CLED)寒天に移した。残りの縫合糸は使用するまで冷蔵庫に保存した。
実験開始の前日に、マウスの毛を剃り、市販の脱毛クリームで除毛した。
マウスを無作為にそれぞれ15匹の3つの群に割り当てた。3つの群は、表13に記載のように盲検による処置ができるようにコードを付けた。
【表15】


1日目、実験の開始時に、マウスをisofluraneで麻酔した。決定した濃度の黄色ブドウ球菌の接種材料を事前に感染させたシルク縫合糸を通した注射針で感染症を誘発した。順番に、前肢帯の高さの皮膚から刺し通し、ほぼ1cm下に抜け出るだけの穿刺を行った。
縫合糸の両端で結び目を結び、確実に皮下部位から動かないようにした。次に、外科用メスを用いて皮筋層に達しないように両方の結び目の間の表面の切開を行った。
感染から1時間後及び8時間後に異なる処置剤を塗布した。これらの処置剤を感染部位に局所塗布した。感染部位を30秒以上マッサージしてすべての塗布を行った。さらに4日間処置を続け12時間ごとに塗布を行った。
塗布の量は0.1mL/1匹であった。プラセボ群には軟膏剤として試験品目の調剤で使用されるビヒクルを塗布した。これらの処置剤には塗布する前にコードを付ける。
マウスの体重を測り、試験に関する任意の臨床的徴候に毎日注目した。
6日目に、塗布からほぼ16時間後に、すべてのマウスを頚部脱臼により致死させた。創傷部を含む約1×2cmの皮膚の一部を切除し重量を測った。この試料を5mLの生理食塩水内で均一化した。この溶液(0.1mL)及び最初の5mL溶液の3つの1:10段階希釈液を並べてCLED寒天+50mM MgClのプレートに載せた。ムピロシン群では、50mM MgClに代えて2%活性炭とした。プラセボ群には2種類の寒天プレートを用いた。
プレートへの抗生物質の活性を抑えるために、MgClをCLED寒天に添加してキノロンキレート剤として作用させ、一方で活性炭(2%)を用いて2%ムピロシン軟膏剤で処理したマウスの皮膚試料にムピロシンがキャリーオーバーしないようにした。
均一化した試料は、測定を再度行う必要がある場合に備えて、最終の測定が済むまで冷蔵庫に保管した。
【0045】
b)結果
CLED寒天+2%活性炭における数値
プラセボ投与群では、測定において6.53±0.218(平均±SEM)のLog(CFU/g皮膚)の数値が得られた。すべてのプレートで増殖が観察された。
2%ムピロシン軟膏剤群では、Log(CFU/g皮膚)の数値は4.92±0.236であった。すべてのプレートで増殖が観察された。ムピロシンとプラセボとの間で統計学的有意差(スチューデントのt検定、p<0.01)が観察された。
2%ムピロシン軟膏剤の治癒率はプラセボ群と比較して24%であった。
【0046】
CLED寒天+50mM MgClにおける数値
プラセボ投与群では、測定において6.32±0.264(平均±SEM)のLog(CFU/g皮膚)の数値が得られた。すべてのプレートで増殖が観察された。
1%オゼノキサシン軟膏剤群では、Log(CFU/g皮膚)の数値は3.56±0.248であった。15個のプレートのうち13個で増殖が観察された。オゼノキサシンとプラセボとの間で統計学的有意差(スチューデントのt検定、p<0.01)が観察された。
1%オゼノキサシン軟膏剤の治癒率はプラセボ群と比較して44%であった。
【0047】
c)結論
オゼノキサシン1%を含有する軟膏剤の5日間投与により、マウスにおける黄色ブドウ球菌の感染実験モデルにおいて、ムピロシン2%含有の軟膏剤の場合に得られたより細菌増殖の統計学的に有意な高い減少が誘発された。この処置剤を塗布した後に、局所の有害影響は見られなかった。
【0048】
(例4)オゼノキサシンを1%含有するクリーム剤の抗菌活性
a)実験手順
例2のクリーム剤の抗菌活性を例3aと同じように評価した。唯一の相違点は薬剤の形状であり、これらを表14に示す。
【表16】

【0049】
b)結果
CLED寒天+2%活性炭における数値
プラセボ群では、測定において6.80±0.145(平均±SEM)のLog(CFU/g皮膚)の数値が得られた。すべてのプレートで増殖が観察された。
2%ムピロシン軟膏剤群では、Log(CFU/g皮膚)の数値は5.01±0.218であった。すべてのプレートで増殖が観察された。ムピロシンとプラセボとの間で統計学的有意差(スチューデントのt検定、p<0.01)が観察された。
2%ムピロシン軟膏剤の治癒率はプラセボ群と比較して26%であった。
【0050】
CLED寒天+50mM MgClにおける数値
プラセボ投与群では、測定において6.67±0.171(平均±SEM)のLog(CFU/g皮膚)の数値が得られた。すべてのプレートで増殖が観察された。
1%オゼノキサシンクリーム剤群では、Log(CFU/g皮膚)の数値は3.10±0.154であった。プレート15個のうち13個で増殖が観察された。オゼノキサシンとプラセボとの間で統計学的有意差(スチューデントのt検定、p<0.01)が観察された。
1%オゼノキサシンクリーム剤の治癒率はプラセボ群と比較して54%であった。
【0051】
c)結論
オゼノキサシン1%を含有するクリーム剤の5日間の投与により、マウスにおける黄色ブドウ球菌の感染実験モデルにおいて、ムピロシン2%含有の軟膏剤の場合に得られたより細菌増殖の統計学的に有意な高い減少が誘発された。この処置剤を塗布した後に、局所の有害影響はみられなかった。
【0052】
(例5)オゼノキサシンを2%含有するクリーム剤
100g組成
【表17】


製造工程は例2の場合と同じである。安定性の結果は例2で得られたものと同様であった。
【0053】
(例6)オゼノキサシン2%のクリーム製剤の第I相臨床試験
目的
主要な目的は、血漿中オゼノキサシン濃度から導出される薬物動態学的パラメーターを解析することによって、オゼノキサシン2%のクリーム剤を繰り返して局所塗布した後の全身吸収を評価することであった。
副次的な目的は、オゼノキサシン2%のクリーム剤を繰り返して局所塗布した後の安全性及び忍容性を評価することであった。
【0054】
方法論
方法は、多剤の二重盲検無作為割付けのプラセボ対照二方向クロスオーバー臨床試験である。ボランティアは18から60歳の20人の健常な白人男性が含まれた。投与量は0.5gの2%オゼノキサシンクリーム剤/90cmであった。それぞれの被験者は、各期間の無作為化コードに従い、6日間、1日0.5gのオゼノキサシン2%クリーム剤を3回塗布し、7日目に0.5gのオゼノキサシン2%クリーム剤を1回のみ塗布する、或いは、6日間プラセボクリーム剤を3回塗布し、7日目にプラセボクリーム剤を1回塗布するとした。
血漿中オゼノキサシン濃度を測定するための血液試料を、1日目の1回目及び2回目の塗布の前、2日目の2回目の塗布の前、3日目及び4日目の1回目及び3回目の塗布の前、5日目及び6日目の3回の塗布の前、7日目の塗布の前、並びに7日目の塗布の0.5、1、2、4、8、12、24、48及び72時間後に採取した。
【0055】
結果
10mgのオゼノキサシン(2%クリーム剤)を7日間、毎日3回、繰り返して局所塗布した後、血漿中オゼノキサシン濃度もすべて定量限界を下回った。したがって、全身吸収は観察されなかった。
オゼノキサシン2%のクリーム剤を繰り返して局所塗布した後の予備段階の結果は良好な忍容性プロフィールであった。最も多く記録された有害事象は塗布部位の痒み及び紅斑であった。重大な有害事象は報告されなかった。すべての有害事象はその程度において軽度又は中等度であった。
オゼノキサシン2%のクリーム剤は忍容性が十分であり皮膚吸収はごく少量であると結論することができる。
【0056】
(本発明の実施形態)
1.0.2〜5%のオゼノキサシン組成、及び軟膏剤又はクリーム剤を製造するための適切な担体を含む半固形の安定した局所用医薬組成物。
【0057】
2.オゼノキサシンの量が0.5%〜2%である実施形態1又は2に記載の組成。
【0058】
3.オゼノキサシンの量が1%である実施形態2に記載の組成。
【0059】
4.適切な担体が白色ワックス、白色軟パラフィン及びこれらの混合物から選択され、実施形態1から3のいずれか1つに記載の組成を含み、オゼノキサシンを0.2〜5%含む軟膏剤。
【0060】
5.適切な担体が白色軟パラフィンである実施形態4に記載の軟膏剤。
【0061】
6.適切な担体が乳化剤、界面活性剤、油成分、低融点ワックス、水、水分散性成分、及びノンホルムアルデヒド放散保存剤の混合物を含む、実施形態1から3のいずれか1つに記載の組成を含むクリーム剤。
【0062】
7.担体が、
乳化剤を15〜25%、
界面活性剤を10〜20%、
油成分を5〜15%、
低融点ワックスを1〜10%、
水を30〜45%、
水分散性成分を10〜20%、及び
ノンホルムアルデヒド放散保存剤を0.01〜1%
のクリーム剤中の割合で含む、実施形態6に記載のクリーム剤。
【0063】
8.担体が、
乳化剤を18〜22%、
界面活性剤を13〜15%、
油成分を7〜9%、
低融点ワックスを3〜5%、
水を35〜40%、
水分散性成分を13〜17%、及び
ノンホルムアルデヒド放散保存剤を0.05〜0.15%
のクリーム剤中の割合で含む、請求項7に記載のクリーム剤。
【0064】
9.担体が、
乳化剤を20%、
界面活性剤を14%、
油成分を8%、
低融点ワックスを4%、
水を37.9%、
水分散性成分を15%、及び
ノンホルムアルデヒド放散保存剤を0.1%
のクリーム剤中の割合で含む、実施形態8に記載のクリーム剤。
【0065】
10.乳化剤がエチレングリコールモノステアレート、ソルビタントリステアレート;PEG6ステアレート、グリコールステアレート及びPEG32ステアレートの混合物、及び水素化レシチン、並びにこれらの混合物から選択される、実施形態6から9のいずれか1つに記載のクリーム剤。
【0066】
11.乳化剤がPEG6ステアレート、グリコールステアレート及びPEG32ステアレートの混合物である、実施形態10に記載のクリーム剤。
【0067】
12.界面活性剤がソルビタンオレエートモノオレイン/プロピレングリコール、ココナッツ油からのC/C10脂肪酸モノ及びジグリセリド、大豆レチシン、卵リン脂質、モノグリセリドのクエン酸エステル、モノグリセリドの乳酸エステル、モノグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、モノグリセリドのコハク酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、オレイン酸のポリグリコール化グリセリド、リノール酸のポリグリコール化グリセリド、長鎖及び中鎖脂肪酸の両方を含む脂肪酸のポリグリセロールエステル、及び混合脂肪酸のポリグリセリルエステル、並びにこれらの混合物から選択される、実施形態6から11のいずれか1つに記載のクリーム剤。
【0068】
13.界面活性剤がオレイン酸のポリグリコール化グリセリドである実施形態12に記載のクリーム剤。
【0069】
14.油成分が8から10個の炭素原子を含有する脂肪アルコールを主成分とするゲルベアルコール、直鎖C6〜22脂肪酸と直鎖又は分岐鎖C6〜22脂肪アルコールとのエステル、分岐鎖C6〜13カルボン酸と直鎖又は分岐鎖C6〜22脂肪アルコールとのエステル、直鎖C6〜22脂肪酸と2−エチルヘキサノールとのエステル、C3〜38アルキルヒドロキシカルボン酸と直鎖又は分岐鎖C6〜22脂肪アルコールとのエステル、直鎖又は分岐鎖脂肪酸と多価アルコール又はゲルベアルコールとのエステル、C6〜10脂肪酸を主成分とするトリグリセリド、C6〜18脂肪酸を主成分とする液体モノ、ジ及びトリグリセリド混合物、C6〜22脂肪アルコール又はゲルベアルコールと安息香酸とのエステル、C2〜12ジカルボン酸と1から22個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖のアルコール又は2から10個の炭素原子及び2から6個の水酸基を含有するポリオールとのエステル、植物油、分岐鎖第一級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖及び分岐鎖C6〜22脂肪アルコールカルボネート、8から10個の炭素原子を含有する脂肪アルコールを主成分とするゲルベカルボネート、安息香酸と直鎖又は分岐鎖C6〜22アルコールとのエステル、1アルキル基当たり6から22個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖の、対称若しくは非対称ジアルキルエーテル、エポキシ化脂肪酸エステルとポリオール、シリコーン油及び脂肪族又はナフテン系炭化水素との開環生成物、並びにこれらの混合物から選択される、実施形態6から13のいずれか1つに記載のクリーム剤。
【0070】
15.油成分がゲルベアルコール2−オクチルドデカノールである実施形態14に記載のクリーム剤。
【0071】
16.低融点ワックスが8から30個の炭素原子を有する脂肪酸、8から30個の炭素原子を有する脂肪アルコール、8から30個の炭素原子を有する脂肪酸エステル、8から30個の炭素原子を有する脂肪酸アミド、シリコーンワックス、及びこれらの混合物から選択される、実施形態6から15のいずれか1つに記載のクリーム剤。
【0072】
17.低融点ワックスが8から30個の炭素原子を有する脂肪アルコールである実施形態16に記載のクリーム剤。
【0073】
18.ステアリルアルコールが脂肪アルコールから選択される実施形態17に記載のクリーム剤。
【0074】
19.水分散性成分がポリエチレングリコール400、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール−10メチルグルコースエーテル、エトキシジグリコール、ポリエチレングリコール−6カプリル酸/カプリン酸グリセリド、エチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコール−8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ジメチルイソソルビド、及びこれらの混合物から選択される、実施形態6から18のいずれか1つに記載のクリーム剤。
【0075】
20.水分散性成分がプロピレングリコールである実施形態19に記載のクリーム剤。
【0076】
21.ノンホルムアルデヒド放散保存剤が安息香酸アンモニウム、プロピオン酸アンモニウム、ベンゾイソチアゾリノン、安息香酸、ベンゾトリアゾール、ベンジルアルコール、ベンジルパラベン、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、安息香酸ブチル、ブチルパラベン、安息香酸カルシウム、カルシウムパラベン、カルシウムプロピオネート、カルシウムサリチレート、カルシウムソルベート、クロルヘキシジンジアセテート、クロルヘキシジンジグルコネート、クロルヘキシジンジヒドロクロリド、クロロアセトアミド、クロロブタノール、p−クロロ−m−クレゾール、クロロフェン、p−クロロフェノール、クロロフェネシン、クロロチモール、クロロキシレノール、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾール、デヒドロ酢酸、ジブロモプロパミジンジイセチオネート、ジメチルオキサゾリジン、ジチオメチルベンズアミド、ドミフェン、エチルフェルレート、エチルパラベン、フェルラ酸、グリオキサール、ヘキサミジン、ヘキサミジンジパラベン、ヘキサミジンパラベン、4−ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシメチルジオキソアザビシクロオクタン、ヨードプロピニルブチルカルバメート、イソブチルパラベン、イソデシルパラベン、イソプロピルクレゾール、イソプロピルパラベン、イソプロピルソルベート、ラウリルジエチレンジアミノグリシンHCl、安息香酸マグネシウム、マグネシウムプロピオネート、メチル−クロロイソチアゾリノン、メチルパラベン、オクチルイソチアゾリノン、安息香酸パンテニルエチルエーテル、フェネチルアルコール、フェノール、フェノキシエタノール、フェノキシエチルパラベン、フェノキシイソプロパノール、安息香酸フェニル、フェニルパラベン、0−フェニルフェノール、ポリメトキシ二環式オキサゾリジン、安息香酸カリウム、ポタシウムブチルパラベン、ポタシウムエチルパラベン、ポタシウムメチルパラベン、ポタシウムパラベン、ポタシウムフェノキシド、ポタシウムプロピオネート、ポタシウムプロピルパラベン、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、安息香酸プロピル、プロピルパラベン、quaternium−8(硫酸ジメチルで四級化したメチル及びステアリルジメチルアミノエチルメタクリレート)、quaternium−14(エタンアミニウム、N,N,N−トリメチル−2−[(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]−,メチルスルフェート、ホモポリマー)、quaternium−15(エタンアミニウム、N,N,N−トリメチル−2−[(2−メチル−1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]−クロリド、2−プロペンアミドを持つポリマー)、安息香酸ナトリウム、ナトリウムブチルパラベン、ナトリウムp−クロロ−m−クレゾール、デヒドロ酢酸ナトリウム、ナトリウムエチルパラベン、ギ酸ナトリウム、ナトリウムヒドロキシメタンスルホネート、ナトリウムヒドロキシメチルグリシネート、ナトリウムイソブチルパラベン、ナトリウムイソプロピルパラベン、ナトリウムラウリルジエチレンジアミノグリシネート、ナトリウムメチルパラベン、ナトリウムパラベン、ナトリウムフェニルスルホネート、ナトリウムフェノキシド、ナトリウム0−フェニルフェネート、ナトリウムプロピオネート、ナトリウムプロピルパラベン、ナトリウムソルベート、ソルビン酸、TEA−ソルベート(トリエタノールアミンソルベート)、チアントール(2,7−ジメチル−チアントレン)、トリクロカルバン、トリクロサン、及びウンデシレノイルPEG5パラベン(ウンデシレン酸及びPEG5パラベンのエステル)、並びにこれらの混合物から選択される、実施形態6から20のいずれか1つに記載のクリーム剤。
【0077】
22.ノンホルムアルデヒド放散保存剤が安息香酸である実施形態21に記載のクリーム剤。
【0078】
23.実施形態1から3のいずれか1つに記載の組成物のヒト又は動物における皮膚及び皮膚組織感染症の処置又は予防での使用。
【0079】
24.実施形態4及び5のいずれか1つに記載の軟膏剤のヒト又は動物における皮膚及び皮膚組織感染症の処置又は予防での使用。
【0080】
25.実施形態6から22のいずれか1つに記載のクリーム剤のヒト又は動物における皮膚及び皮膚組織感染症の処置又は予防での使用。
【0081】
26.皮膚及び皮膚組織感染症が膿痂疹、毛包炎、せつ腫症、ざ瘡、二次感染した外傷性病変、過感染皮膚病、及び二次感染した火傷、並びにメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)、シプロフロキサシン耐性菌を含むメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、メチシリン感受性表皮ブドウ球菌(MSSE)、メチシリン耐性表皮ブドウ球菌(MRSE)、化膿連鎖球菌、及びG群連鎖球菌により引き起こされる皮膚及び皮膚組織感染症である、実施形態23から25のいずれか1つの使用。
【0082】
27.実施形態1から3のいずれか1つに記載の組成物のヒト又は動物における性感染症及び生殖管感染症の処置又は予防での使用。
【0083】
28.実施形態4及び5のいずれか1つに記載の軟膏剤のヒト又は動物における性感染症及び生殖管感染症の処置又は予防での使用。
【0084】
29.実施形態6から22のいずれか1つに記載のクリーム剤のヒト又は動物における性感染症及び生殖管感染症の処置又は予防での使用。
【0085】
30.性感染症及び生殖管感染症がB群ストレプトコックス・アガラクティアエ、ナイセリア淋菌、トラコーマ・クラミジア、マイコプラズマ・ホミニス、及びウレアプラズマ・ウレアリティカムにより引き起こされる、実施形態27から29のいずれか1つの使用。
【0086】
31.実施形態1から3のいずれか1つに記載の組成物のヒト又は動物における無症候性の鼻腔内感染者の鼻咽頭感染症の根絶での使用。
【0087】
32.実施形態4及び5のいずれか1つに記載の軟膏剤のヒト又は動物における無症候性の鼻腔内感染者の鼻咽頭感染症の根絶での使用。
【0088】
33.実施形態6から22のいずれか1つに記載のクリーム剤のヒト又は動物における無症候性の鼻腔内感染者の鼻咽頭感染症の根絶での使用。
【0089】
34.鼻咽頭感染症がメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)、シプロフロキサシン耐性菌を含むメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌、ベータラクタマーゼ陽性ヘモフィルス・インフルエンザ菌、ヘモフィルス・インフルエンザ菌の分類不能型菌株、ベータラクタマーゼ陽性モラクセラ・カタラリス、髄膜炎菌、レジオネラ肺炎菌、マイコプラズマ肺炎菌、レジオネラ肺炎菌、マイコバクテリウム結核菌によって引き起こされる、実施形態31から33のいずれか1つの使用。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)オゼノキサシンを0.2〜5%、並びに
b)b.1)1種又は複数の乳化剤を15〜25%、
b.2)1種又は複数の界面活性剤を10〜20%、
b.3)油成分を5〜15%、
b.4)8から30個の炭素原子を有する脂肪酸、8から30個の炭素原子を有する脂肪アルコール、8から30個の炭素原子を有する脂肪酸エステル、8から30個の炭素原子を有する脂肪酸アミド、シリコーンワックス、及びこれらの混合物から選択される1種又は複数の低融点ワックスを1〜10%、
b.5)水、
b.6)ポリエチレングリコール400、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール−10メチルグルコースエーテル、エトキシジグリコール、ポリエチレングリコール−6カプリル酸/カプリン酸グリセリド、エチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコール−8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ジメチルイソソルビド及びこれらの混合物から選択される1種又は複数の水分散性成分を10〜20%、及び
b.7)1種又は複数のノンホルムアルデヒド放散保存剤を0.01〜1%
を含む適切な担体
を含む安定した局所用クリーム組成物であって、
b.5の成分の量が100重量パーセントの残りの割合を満たす量であり、またパーセンテージがすべて重量パーセントであり且つ組成物の総重量に対するものである、上記安定した局所用クリーム組成物。
【請求項2】
乳化剤がPEG6ステアレート、グリコールステアレート及びPEG32ステアレートの混合物である、請求項1に記載の安定した局所用クリーム組成物。
【請求項3】
界面活性剤がオレイン酸のポリグリコール化グリセリドである、請求項1又は2に記載の安定した局所用クリーム組成物。
【請求項4】
油成分がゲルベアルコール2−オクチルドデカノールである、請求項1から3までのいずれか一項に記載の安定した局所用クリーム組成物。
【請求項5】
前記低融点ワックスが8から30個の炭素原子を有する脂肪アルコール、特にステアリルアルコールである、請求項1から4までのいずれか一項に記載の安定した局所用クリーム組成物。
【請求項6】
水分散性成分がプロピレングリコールである、請求項1から5までのいずれか一項に記載の安定した局所用クリーム組成物。
【請求項7】
ノンホルムアルデヒド放散保存剤が安息香酸である、請求項1から6までのいずれか一項に記載の安定した局所用クリーム組成物。
【請求項8】
担体が、
b.1の成分を18〜22%、
b.2の成分を13〜15%、
b.3の成分を7〜9%、
b.4の成分を3〜5%、
b.5の成分、
b.6の成分を13〜17%、
b.7の成分を0.05〜0.15%
を含む安定した局所用クリーム組成物であって、
b.5の成分の量が100重量パーセントの残りの割合を満たす量である、請求項1から7までのいずれか一項に記載の上記安定した局所用クリーム組成物。
【請求項9】
担体が、
b.1の成分を20%、
b.2の成分を14%、
b.3の成分を8%、
b.4の成分を4%、
b.5の成分、
b.6の成分を15%、
b.7の成分を0.1%
を含む安定した局所用クリーム組成物であって、
b.5の成分の量が100重量パーセントの残りの割合を満たす量である、請求項8に記載の上記安定した局所用クリーム組成物。
【請求項10】
ヒト又は動物における皮膚及び皮膚組織感染症の処置又は予防に使用するための請求項1から9までのいずれか一項に記載の安定した局所用クリーム組成物。
【請求項11】
ヒト又は動物における性感染症及び生殖管感染症の処置又は予防に使用するための請求項1から9までのいずれか一項に記載の安定した局所用クリーム組成物。
【請求項12】
ヒト又は動物における無症候性の鼻腔内感染者の鼻咽頭感染症の根絶に使用するための請求項1から9までのいずれか一項に記載の安定した局所用クリーム組成物。
【請求項13】
請求項1から9までのいずれか一項に記載の安定した局所用クリーム組成物を、それを必要とする対象者に投与することを含む、皮膚及び皮膚組織感染症の処置又は予防の方法。
【請求項14】
請求項1から9までのいずれか一項に記載の安定した局所用クリーム組成物を、それを必要とする対象者に投与することを含む、性感染症及び生殖管感染症の処置又は予防の方法。ヒト又は動物における請求項1に記載の安定した局所用クリーム組成物の使用。
【請求項15】
請求項1から9までのいずれか一項に記載の安定した局所用クリーム組成物を、それを必要とする対象者に投与することを含む、無症候性の鼻腔内感染者の鼻咽頭感染症を根絶する方法。
【請求項16】
a)0.2〜5重量%(組成物の全重量に対して)のオゼノキサシン並びに
b)白色ワックス、白色軟パラフィン、及びこれらの混合物から選択される適切な担体
からなる安定した局所用軟膏組成物。
【請求項17】
適切な担体が白色軟パラフィンである請求項16に記載の安定した局所用軟膏組成物。
【請求項18】
0.5〜2重量%のオゼノキサシンを含有する請求項16又は17に記載の安定した局所用軟膏組成物。
【請求項19】
1重量%のオゼノキサシンを含有する請求項18に記載の安定した局所用軟膏組成物。
【請求項20】
皮膚及び皮膚組織感染症の処置又は予防に使用するための請求項16から19のいずれか一項に記載の安定した局所用軟膏組成物。
【請求項21】
性感染症及び生殖管感染症の処置又は予防に使用するための請求項16から19のいずれか一項に記載の安定した局所用軟膏組成物。
【請求項22】
無症候性の鼻腔内感染者の鼻咽頭感染症の根絶に使用するための請求項16から19のいずれか一項に記載の安定した局所用軟膏組成物。
【請求項23】
請求項16から19のいずれか一項に記載の組成物を、それを必要とする対象者に投与することを含む、皮膚及び皮膚組織感染症を処置又は予防するための方法。
【請求項24】
請求項16から19のいずれか一項に記載の組成物を、それを必要とする対象者に投与することを含む、性感染症及び生殖管感染症を処置又は予防するための方法。
【請求項25】
請求項16から19のいずれか一項に記載の組成物を、それを必要とする対象者に投与することを含む、無症候性の鼻腔内感染者の鼻咽頭感染症を根絶するための方法。

【公表番号】特表2012−505867(P2012−505867A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531512(P2011−531512)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063625
【国際公開番号】WO2010/043717
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(501108452)フエルレル インターナショナル,ソシエダッド アノニマ (39)
【Fターム(参考)】