説明

局所用組成物を適用するための使い捨てディスポーザブルストリップ

局所用組成物を保有する2つの表面を備えた支持体を含む局所処置用ストリップ。この処置用ストリップは、両方の口唇など対象の2つの表面を同時に処置するために使用できる。方法は、製造方法および使用方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
使い捨てディスポーザブル局所処置用ストリップを提供する。処置用ストリップには、口唇処置用組成物を適用するためのストリップが含まれる。
【背景技術】
【0002】
たとえばリップクリームなどの局所用組成物は、一般にスティック状に成形されてスティックから直接適用されるか、あるいはジャーまたはチューブから分配される。スティック状の場合、組成物を管から適用する度に、管からスティックの末端を周囲に露出させ、口唇に接触させて組成物を口唇に直接適用する;これは前回の使用によるコンタミネーションの機会をもたらす。ジャーおよびチューブ型のディスペンサーは組成物を適用するために通常は指を使うので、よりいっそうコンタミネーションの機会をもたらす。
【0003】
化粧品企業は、潜在顧客に製品を試供させるために“リップスティックテスター”として知られる用品を用いている。これらは一般に、不透過性の紙または厚紙である固体支持体の表面に少量のリップスティックを沈着させたものである(たとえば、US Patent 5,396,913を参照)。移行させる組成物(たとえばリップスティック)は単一の均質な物質である。これらの用品の主な目的は潜在顧客に自分の肌に対して化粧品の色を試す機会を与えることであるので、ごく少量の組成物が移行しさえすればよい。貯蔵および販売に際しての汚れやすさ(messiness)を防ぐためにもごく少量の組成物が望ましい。
【0004】
リップスティックテスターは固体支持体の面に物質が沈着しており、一般に貯蔵および販売に際して組成物が不都合に移行するのを防ぐために組成物を覆うフィルムがある。配置を容易にし、かつ使用のためにフィルムを取り除くのを容易にするために、固体支持体は不透過性の突起をもつ場合がある(たとえば、U.S. Patent 5,396,913および4,995,408を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,396,913号
【特許文献2】米国特許第4,995,408号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
リップスティックテスターは片面のみが組成物でコートされているので、組成物を両口唇に適用するためにはそれらを何らかの方法で折り曲げるかまたは畳むか、あるいは裏返さなければならない。
【0007】
局所用口唇処置剤を送達するのに適したタイプの組成物およびその量を適用できる使い捨て用品が望ましい。さらに、一般に最小の汚れ(mess)の、及びコンタミネーションの機会を最小限にする、他のタイプの局所処置剤を適用するために使用できる使い捨て用品も望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、局所用組成物を保有する2つの表面を備えた支持体を含む局所処置用ストリップを提供する。局所用組成物は支持体の2つの表面に沈着しており、したがって対象の両口唇を同時に処置するために使用できる。
【0009】
場合により、局所用組成物は少なくとも部分的に支持体に吸収されている。
支持体は、天然ポリマー、合成ポリマー、半合成ポリマー、布帛、紙、織布、不織布およびその組合わせからなる群から選択できる。場合により、ある態様において支持体は生分解性であり、および/または水分の存在下で加水分解する。
【0010】
局所処置用ストリップは種々の適応症のために設計することができ、これには口唇処置用ストリップまたは肛門−直腸処置用ストリップが含まれるが、これらに限定されない。
局所用組成物は、有益作用剤、保湿剤、湿潤剤、日焼け止め剤、および有効薬剤または療法薬剤、ならびにその組合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の成分を含むことができる。場合により、局所処置用ストリップはさらに少なくとも1種類の第2の局所用組成物を含み、その際、この第2の局所用組成物は処置用ストリップの2つの表面のうち少なくとも1つにおいて第1の局所用組成物上に層状に沈着している。
【0011】
本発明は、局所処置用ストリップの作成方法であって、局所用組成物を調製し;そして局所用組成物を支持体に沈着させることを含む方法を提供する。局所用組成物を支持体の片面または両面に付与することができる。場合により、同一または異なる局所用組成物の1以上の追加層を第1の局所用組成物上に付与することができる。
【0012】
本発明は、複数の局所処置用ストリップを収容した再シール式容器を含む、口唇処置用キットをも提供する。
口唇を処置するための局所処置用ストリップの使用方法をも提供する。この方法は、ストリップの掴み部分(grasping portion)を掴み、ストリップを利用者の口唇間に置き、そして口唇をストリップに向けてすぼめることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の上記その他の特徴は、以下の記載および本発明の例示態様の図面からより容易に明らかになるであろう;幾つかの図面全体において、同様な参照番号は類似の要素を表わす。
【図1】図1は、本発明の局所処置用ストリップ加工の例示態様の模式図を示す。
【図2】図2は、複数の局所用組成物を支持体上に積層した本発明の局所処置用ストリップ加工の例示態様の模式図を示す。
【図3】図3は、局所用組成物を支持体の片面に備えた本発明の局所処置用ストリップ加工の例示態様の模式図を示す。
【図4】図4は、局所用組成物を支持体上に沈着させるために吹付けシステムを利用した、本発明の局所処置用ストリップ加工の例示態様の模式図を示す。
【図5A】図5は、複数のストリップを同時に製造する、本発明の局所処置用ストリップ加工の例示態様の模式図を示す;5Aは断面図である;5Bは前面図である。
【図5B】図5は、複数のストリップを同時に製造する、本発明の局所処置用ストリップ加工の例示態様の模式図を示す;5Aは断面図である;5Bは前面図である。
【図6】図6は、複数のストリップを同時に形成する例示態様の図である。
【図7】図7Aおよび7Bは本発明のストリップの2つの例示態様の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、局所用組成物を適用するための使い捨てのフィルム状またはストリップ状剤形を提供する。使い捨て剤形は特に、リップクリーム、日焼け止め剤を含むリップクリーム、ならびに/あるいは有益作用剤および/または療法薬剤を含むリップクリームを含めた、局所口唇処置用組成物に適用できる。使い捨てストリップは、以前に使用したスティックから時間を経て再適用することに伴うコンタミネーションを最小限に抑えることにより、スティック状の口唇用製品に優る利点をもたらす。使い捨てストリップは、製品を口唇に塗るために指を使うことに伴うコンタミネーションおよび汚れが共に避けられるので、ポットまたはチューブから適用することに優る利点をもたらす。本発明は特に口唇用製品に利用できるが、他の局所処置、たとえば肛門−直腸処置にも利用できる。
【0015】
例示態様において、局所用組成物を平坦な支持体上にコートする。この処理によって平坦な支持体の片面または両面をコートすることができる。コーティングは支持体の全面を覆ってもよく、あるいは支持体にコートされないままの領域があってもよい。コートされていない領域はパッケージからのストリップの取出しおよび/または配置のために処置用ストリップを指で掴むための掴み部分として使用でき、指に触れる局所用組成物を少なくとも最小限にして、好ましくは触れることなく、処置が施される。
【0016】
処置用ストリップは、好ましくは処置すべき領域に好都合なサイズとなるようなサイズである。たとえば1態様において、口唇用の処置用ストリップは、局所用組成物が支持体上のほぼヒトの口唇の長さおよび幅の領域を覆い、処置用ストリップを指で掴むことができるのに十分なコートされていない領域が支持体の表面にある。口唇上に使用するための1態様において、ストリップは約1cm〜約10cm、または約2cm〜約8cm、または約2cm〜約6cmの長さ;および約1cm〜約5cm、または約1cm〜約4cm、または約1cm〜約3cmの幅をもつ。ストリップの少なくとも片面、好ましくはストリップの両面の表面積の約50%〜約95%、または約50%〜約80%を、処置用組成物でコートする。コートされていない残りの表面は掴み部分を形成する。好ましくは、そのストリップの両面を、ストリップのそれぞれの面のほぼ同じ部分および位置にわたってコ
ートする。
【0017】
ある態様において、たとえば1回の処置に十分な量の局所用組成物が支持体に装填されるのを促進するために、および/または処置用組成物を処置すべき領域へ簡便に移行させるために、および/または柔らかい局所用組成物の汚れやすさを最小限に抑えるために、処置用物質が支持体に浸透することが望ましい。
【0018】
ある態様において、多層の処置用物質を支持体の片面または両面に付与することができる。多層が望ましい可能性のある状況の若干例には下記が含まれるが、これらに限定されない:希望する処置が多数の成分を含み、それらのうち2以上がある程度の非適合性をもつ場合には多層が望ましい可能性がある。非適合性成分は別個の層に装入することができる。疎水性成分および親水性成分の使用を希望する処置については、親水性成分と疎水性成分を別個の層に入れることができる。希望する有効成分が水および/または空気の存在下で感受性または不安定であれば、多層が望ましい可能性がある。感受性物質を層に入れ、バリヤー層でコートすることができる。支持体の表面にある層の数は一般に1、2または3であるが、原則として付与できる層数に制限はない。さらに、支持体の両面をコートする場合、それぞれの面に同数の層を配置する必要はなく、および/または層を形成する物質が両面について同一である必要はない。
【0019】
使い捨てのフィルム状またはストリップ状剤形上に沈着した局所用組成物は、たとえば医薬有効成分および/またはパーソナルケア成分および/または化粧用成分および/または有益作用剤を含むことができる。具体的な化合物タイプの例には口唇ヘルペス(cold sore)療法有効成分、ビタミン、老化防止用成分、UV日焼け止め、保湿剤、湿潤剤、創傷ケア組成物、抗微生物性物質、抗ウイルス性物質などが含まれるが、これらに限定されない。局所用組成物に一般に含有されるタイプの他の成分および/または添加剤を局所用組成物に含有させることができる。具体的なタイプの化合物の例にはろう、増粘剤、油、保存剤、緩衝剤、着香剤、着色剤などが含まれるが、これらに限定されない。組成物は多数の成分を含むことができる。1態様において、局所用組成物は、成分のブレンディングまたは他のいずれか適切な混合法により調製した後、支持体にそれらをコートすることができる。1種類より多い局所用組成物を支持体に付与する場合、各組成物を別個に調製し、次いで個別に支持体に積層することができる。好ましくは、局所用組成物は目的とする処置または効果を与えるように、かつ支持体から処置すべき領域へ容易に移行する形態であるように配合される。
【0020】
フィルム状またはストリップ状の支持体は、たとえば圧縮してフィルムまたはストリップにすることができるいずれかの天然、合成および/または半合成のポリマー、布帛、紙、織布または不織布で作成できる。ある態様において、支持体はコーティングの少なくとも一部を吸収/吸着できることが望ましい。1態様において、支持体は好ましくは局所用組成物と反応しない。さらに支持体は、局所処置剤の存在下で構造統合性を維持し、処置すべき領域へ局所用組成物を移行させることができるのに十分な物理的支持を提供することが望ましい。
【0021】
局所処置用ストリップは個別に形成することができる。あるいは、局所用組成物をシート状またはリボン状の支持体上に沈着させ、次いで局所用組成物が支持体上に沈着した後、それを切断して個々の処置用ストリップにすることができる。個々の処置用ストリップのサイズおよび形状は、使用部位へその局所用組成物を移行させるのに最適化した大きさをもつストリップが得られるように注文に合わせることができる。
【0022】
貯蔵または販売に際しての局所用組成物のコンタミネーションおよび/または移行を防ぐために、形成した時点で局所処置用ストリップを包装することができる。たとえば、各ストリップを個別に包装することができる。あるいは、複数のストリップを一緒にディスペンサー内に包装することができる。ディスペンサーの例は、他のストリップを乱すことなく個々のストリップを取り出しやすいディスペンサーである。さらに、ディスペンサーはストリップの取出し間での環境コンタミネーションを防ぐために再シール式クロージャーを備えていることが望ましい。場合により、複数の処置用ストリップを含むコーティングした支持体リボンを切断器具付き密閉式容器内に包装することができ、これにより使用時にリボンを切断して処置用ストリップにすることができる。
【0023】
局所処置用ストリップを使用するためには、ストリップを指で掴み、そして処置すべき領域に適用することができる。掴み部分(たとえば、局所用組成物が無いストリップ表面領域)をもつ態様において、ストリップは好ましくは掴み部分を掴まれる。口唇処置用ストリップの例示態様において、ストリップは、ストリップの掴み部分を掴み、ストリップを利用者の口唇間に置き、そして口唇をストリップに向けてすぼめることにより使用される。
【0024】
本明細書中で用いる“使い捨て形態(single use form)”は、処置用ストリップ、処置用フィルムを含むものと解釈すべきであり、別途明示しない限り、用語“フィルム”と“ストリップ”は互換性をもち、物体の長さと幅の両方が厚さより少なくとも5倍大きい平坦な物体を表わすと考えるべきである。ストリップの表面は、ストリップの長さと幅により規定される2つの表面のうちの1つを表わす。好ましくは、処置用ストリップは1回および/または1回量による単回処置に十分な処置用物質を含む。
【0025】
本明細書中で用いる“局所処置剤(topical treatment)”は、哺乳動物の身体表面に適用するための半固体または液体組成物であって、それを適用する身体領域に保護特性および/または湿潤特性、ならびに/あるいは有益作用剤および/または日焼け止め剤および/または医薬有効成分を供給できるものである。本明細書中で用いる“局所処置剤”と“局所用組成物(topical composition)”は、別途明示しない限り互換性をもつと解釈すべきである。
【0026】
“有益作用剤(beneficial agent)”は、口唇その他の組織に有益性をもたらすことが化粧品業界で知られているけれども米国食品医薬品庁(Food and Drug Administration)により医薬有効成分であるとは認められていない成分である。
【0027】
本明細書中で用いる用語“有効成分(active)”、“有効薬剤(active agent)”、“医薬有効成分(pharmaceutical active)”、“有効医薬(active pharmaceutical agent)”、または“薬物(drug)”は、同じ意味をもち、ヒトに投与した際に医薬効果をもつことが知られている物質を表わすと考えるべきである。
【0028】
本明細書中で用いる、有効薬剤または有益作用剤の“有効量”または“療法有効量”という用語は、少なくとも希望する療法効果または処置効果をもたらすのに十分な作用剤量であると定義される。
【0029】
本明細書中で用いる“口唇処置剤(lip treatment)”および“リップクリーム(lip balm)”は、同じ意味をもち、口唇に適用するための半固体組成物であって、口唇に保護特性および/または湿潤特性、ならびに/あるいは有益作用剤および/または日焼け止め剤および/または医薬有効成分を供給できるものを表わすと考えるべきである。
【0030】
用語“約”または“ほぼ”は、特定した具体的パラメーターにつき当業者が判定して許容できる範囲内を意味し、それは一部はその数値を測定または決定する方法、たとえば測定システムの限界に依存するであろう。たとえば、“約”は示された数値の最高10%の範囲を意味することができる。
【0031】
本明細書中で用いる“パーセント”または“%”は、別途明記しない限り、組成物全体に対する重量百分率を表わす。
用語“w/w”は、別途指示しない限り、組成物の全重量に対する示された成分または特定した組合わせの成分の重量を百分率で表示したものを意味する。
【0032】
ある物質が半固体であるという表記は、約20℃〜約40℃の温度範囲における物質の物理的状態を意味すると解釈すべきである。
本明細書中で用いる“バター(butter)”または“植物性バター(botanical butter)”は、植物の果実および/または種子の脂肪および/または油性抽出物であって皮膚軟化特性およびヒトの体温に近い融点をもつことを特徴とするものである。バターには、植物の果実もしくは種子からの純粋な抽出物、ならびに/あるいは植物の果実または種子からの抽出物を融点特性および/または潤滑性の達成のために追加の脂質材料と組み合わせたものの両方が含まれる。好ましくは、脂質材料は植物源に由来する。バターの例にはマンゴー種子バター、ラズベリーバター、アボカドバター、シアバター(shea butter)、オリーブバター、ククバター(kuku butter)、モノイバター(monoi butter)、ピーチバター、ピスタチオバター、ヤシバター、カカオバター、ザクロバター(pomegranate butter)、ローズヒップバター(rose hip butter)、ヒマワリバター、麦芽バター、アンズバター、ババス(babassu butter)、クプアクバター(cupuacu butter)、コクムバター(kokum butter)、ヘーゼルナッツバター、ホホババター(jojoba butter)、ゴマバター、ダイズバター、アーモンドバター、メドーフォーム種子バター(meadowfoam seed butter)、クロフサスグリ種子バター(black current seed butter)、およびクランベリーバターが含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書中で用いる“感覚増強剤(sensate)”は、たとえば皮膚および/または口唇と接触した際に加熱または冷却などの感知を開始する組成物である。感覚増強剤は一般に高い力価をもち、したがって低いレベルで著しい影響を与える可能性がある。感覚増強剤
は天然源から得ることができ、あるいは合成により製造できる。
【0034】
“血管収縮剤”は、血管の収縮を促進する物質または薬剤を意味する。
“麻酔剤”は、完全または部分的な感覚喪失を生じることができる物質を意味する。
用語“ワセリン”は、黄色ワセリンを表わし、これはパラフィンまたはメタン系列の炭化水素の軟質構成員子の混合物であり、石油から蒸留の中間産物として得られる。ワセリンは一般に、ヒトの皮膚に適用した際に鎮静作用として感知される。
【0035】
本明細書中で用いる用語“肛門−直腸状態”は、痔疾に関連する1以上の症状、ならびに/あるいは肛門−直腸領域の発疹および/または痒みおよび/または不快感および/または痛みおよび他の皮膚疾患を意味する。
【0036】
1態様において、処置用ストリップは口唇ケアのためのものである。口唇処置用ストリップについては、少なくとも1種類の口唇処置用組成物を支持体に沈着させる。口唇処置用組成物の例は、ろうまたは他の医薬的に許容できるビヒクル、ならびに場合により1種類以上の医薬および/または他の有効薬剤、ならびに/あるいは1種類以上の有益作用剤を含む。適切なろうおよび医薬用ビヒクルには下記のものが含まれるが、これらに限定されない:ワセリンろう;カルナウバろう;パラフィンろう;白ろう;カンデリラろう;密ろう;油、たとえばプロピオン酸アラキジル、セチルアルコール、イソプロピルラノレート(isopropyl lanolate)、ミリスチン酸イソプロピル、ラノリン、鉱油、軽油、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、エチルマカダミエート(ethyl macadamiate)、ヒマシ油、ホホバエステル(jojoba ester)、水素化ヒマシ油、水素化植物油、リシノール酸セチル、プロピレングリコール、パルミチン酸イソプロピル、ステアリルアルコール、ならびに揮発性および不揮発性シリコーン油;ならびに以上のいずれかの組合わせ。適切なシリコーン油にはポリフェニルメチルシロキサン、ジメチコン(dimethicon)(ジメチルポリシロキサン)、シクロメチコン(cyclomethicon)、および以上のいずれかの組合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
口唇処置用組成物に適切な有効薬剤および/または有益作用剤には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:日焼け止め剤、たとえばメトキシケイ皮酸オクチル、p−アミノ安息香酸オクチルジメチル、アクチノキノール(actinoquinol)、p−アミノ安息香酸、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ベータ−カロテン、4−ジメチルアミノ安息香酸、ジオキシベンゾン(dioxybenzone)、ドロメトリゾール(drometrizole)、ローソン(lawsone)、スリソベンゼン(sulisobenzene)、二酸化チタン、および酸化亜鉛;皮膚コンディショニング剤:前記のろうおよび油、植物油および植物性バター、ワセリン、ジメチコン、ポリメチルシロキサンが含まれるが、これらに限定されない;皮膚軟化剤および湿潤剤。湿潤油の例には、ヒマワリ油、ヤシ油、ヒマシ油、植物油、トウモロコシ油、アロエベラ油(aloe vera oil)、カノーラ油(canola oil)、ダイズ油、ホホバ油(jojoba oil)、オリーブ油、ババス油(babassu oil)、アボカド油、アンズ油、メドーフォーム種子油(meadowfoam seed oil)、マカダミア種子油、エンバク穀粒油、パーム種子油、サフラワー油、ビャクダン油(sandalwood oil)、ゴマ油、アーモンド油、麦芽油、クランベリー油、およびその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。油を組成物中に約5%〜約65%の量で含有させることができる。
【0038】
場合により、医薬有効成分、たとえば麻酔剤、抗ウイルス剤、抗生物質および鎮痛剤を、たとえば口唇処置用組成物中に使用できる。処置用ストリップは、特に口唇ヘルペスの処置に適用できる;手もしくは指を口唇もしくは患部に直接触れずに、ならびに/あるいは創傷を擦らずに、また口唇の他の部分への塗抹コンタミネーションなしに、ならびに/あるいはスティックの再使用および/またはポットもしくはチューブの内容物を手で触れることによる交差コンタミネーションのきっかけなしに、処置を施すことができるからである。
【0039】
場合により、口唇処置用組成物は天然医薬を含有することができ、これにはメントール、ショウノウ、ユーカリ、サリチル酸およびサリチル酸誘導体が含まれるが、これらに限定されない。一般に、天然医薬は約.001%〜約10%、好ましくは約3%未満の量で添加される。量はその医薬の力価および医薬を供給するマトリックスに応じて変動する可能性がある。
【0040】
口唇処置用組成物のある態様において、石油由来の物質などの合成成分および/または哺乳動物由来の物質を避けて、大部分の物質(たとえば80%より多く)が植物源に由来する組成をもつことが望ましい。そのような植物性組成物は、たとえばヤシ油、ホホバエステル、およびヒマワリ種子油、植物源に由来するろう、および/または植物バターなどの湿潤剤を含むことができる。
【0041】
一般に、植物性バターは皮膚軟化および湿潤化の皮膚コンディショニング特性を組成物に付与する。ある態様において、複数のバターを用いるのが望ましい;これらの天然物は、そのバターの植物源に応じて多様な他の属性をもつからである。たとえば、バターはそれらの感触が異なる場合があり、および/または希望する機能性をもつ特定の成分、たとえば口唇バリヤー機能を高め、透過性を高め、もしくは抗酸化特性をもつ成分を含む場合がある。
【0042】
原則として、植物由来の物質、特に植物油および植物性バターを含有する口唇処置用組成物は、一般にきわめて柔らかい。したがって、高いパーセントの植物油および植物性バターを含む強靭なスティック製品を形成するのは困難であり、またポットまたはチューブ形態は口唇に適用する際に著しく汚れやすい。処置用ストリップは柔らかい植物ベースの口唇処置用組成物を分配するのに好適である。処置用組成物を支持体に付与して処置用ストリップを形成するので、かなりの量の油およびバターを支持体に付与することができる。使用に際して、支持体は処置用組成物を適所に保持し、かつ利用者の手との接触を少なくとも最小限にして、また掴み部分を備えたある態様においては利用者の手と接触せずに、処置用組成物を口唇に移行させる手段を提供する。
【0043】
場合により、口唇処置用組成物は抗酸化剤、保存剤、着香剤、香料、着色剤、洗浄剤、pH調整剤、および感覚増強剤のうち1種類以上を含むことができる。抗酸化剤は組成物が酸化される(たとえば酸敗する)のを防ぎ、および/または口唇に適用した際に口唇コンディショニング効果をもたらすことができる。トコフェロール類、酢酸トコフェリル、ある種の植物性バターおよび緑茶抽出物は、口唇処置用組成物に用いるのに適した抗酸化剤の例である。保存剤の例にはメチルパラベン、イソプロピルパラベン、およびイソブチルパラベンが含まれるが、これらに限定されない。感覚増強剤の例にはミント抽出物、ニッケイ抽出物、およびカプサイシンが含まれるが、これらに限定されない。
【0044】
当業者に知られている他の有益作用剤も場合により口唇処置用組成物に含有させることができる。アロエ抽出物および天然有機酸は他の有益作用剤の例である。α−ヒドロキシ酸を含めた天然有機酸は、たとえば表皮剥脱剤として作用することができる。乳酸はα−ヒドロキシ酸の例である。肛門−直腸状態を処置するために処置用ストリップに使用するのに適した肛門−直腸処置用組成物の例には、たとえば水中油型乳剤、油中水型乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ペースト剤、およびゲル剤が含まれる。例示態様において、肛門−直腸処置用組成物は、1種類以上の医薬有効成分および/または1種類以上の有益作用剤をキャリヤー系中に含む。肛門−直腸処置用組成物を支持体に沈着させて処置用ストリップを形成することにより、そのような組成物の適用に伴う汚れやすさの軽減が容易になり、適量の処置用組成物を1回の処置で適用するのが容易になり、および/または手と処置すべき領域との接触が最小限になるであろう。
【0045】
肛門−直腸処置用組成物中に使用できる医薬有効成分の例には、麻酔剤および血管収縮剤が含まれる。本発明の実施に適切な麻酔剤、およびそれらの量の適切な各範囲には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:ベンゾカイン(benzocaine)(約5%〜約20%、重量)、ベンジルアルコール(約1%〜約4%、重量)、ジブカイン(dibucaine)および塩酸ジブカイン(約0.25%〜約1%、重量);リドカイン(lidocaine)および塩酸リドカイン(約0.5%〜約5%、重量);塩酸プラモキシン(pramoxine hydrochloride)(約0.5〜約1%、重量)、テトラカイン(tetracaine)および塩酸テトラカイン(約0.5%〜約1%、重量)ならびにジクロニン(dyclonine)および塩酸ジクロニン(約0.5%〜約1.0%、重量)またはその混合物。麻酔剤としての塩酸プラモキシンの使用には幾つかの利点がある。それは接触感覚を失うことなく(たとえば麻痺なしに)痛みの軽減を促進する持効性表面麻酔剤である。さらに、塩酸プラモキシンは水溶性であり、低い毒性プロフィールをもつ。本発明に用いるのに適切な血管収縮剤には塩酸フェニレフリン、硫酸エフェドリン、エピネフリン、塩酸エピネフリンおよび塩酸テトラヒドロゾリン(tetrahydrozoline hydrochloride)、またはその混合物が含まれるが、これらに限定されない。塩酸フェニレフリンが血管収縮剤である態様において、塩酸フェニレフリンは最高で組成物全体の約0.35% w/w、より好ましくは約0.1〜約0.3%、最も好ましくは約0.25%の量で用いられる。
【0046】
場合により、水和のための成分を肛門直腸処置用組成物に含有させることができる。たとえば、1態様において、約10% w/w〜約45% w/wの量のグリセリン(グリセロール)を水と組み合わせて、グリセリン含量と含水量の和が処置用組成物の少なくとも50% w/wでありかつグリセリン含量と全含水量の和に対するグリセリン含量の比率が約20%から約45となる量にすることにより、刺激された上皮組織が水和される。
【0047】
場合により、肛門−直腸処置用組成物は1種類以上の抗酸化剤、好ましくはフリーラジカル酸素種を封鎖する抗酸化剤を含有することができる。抗酸化剤の例には、約0.2% w/wのTenox-2(商標)(すなわち、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)および没食子酸プロピルをプロピレングリコールに溶解した混合物)、および約0.5% w/wの混合トコフェロール類が含まれる。たとえば塩酸プラモキシンおよび塩酸フェニレフリンなど多くの有効薬剤がフリーラジカル種による酸化を受けやすいので、ある態様においては、広範な酸化作用物に対する保護を増強するために少なくとも2種類の抗酸化剤を用いることが望ましい。使用できる他の抗酸化剤にはBHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、植物抽出物である抗酸化剤、フラボノイド系抗酸化剤、アスコルビン酸ナトリウムメタ重亜硫酸ナトリウムが含まれる。
【0048】
場合により、有機酸を用いて肛門−直腸処置用組成物のpHを調整することができる。約0.1% w/w〜約0.3%のレベルのクエン酸が適切な酸の例である。他の適切な有機酸の例にはマレイン酸、コハク酸、および他の弱い有機酸が含まれるが、これらに限定されない。リン酸も、pHを調整しかつ緩衝能をもたらすために用いるのに適切である。
【0049】
ある態様において、処置用組成物の有効成分に最適な、および/または組成物をアルカリ攻撃から緩衝化するためのpH範囲を維持することが好ましい。
たとえば水中油型乳剤、油中水型乳剤、クリーム剤、または軟膏剤など油相を含む例示態様において、油または半固体油性保護剤を肛門−直腸処置用組成物に含有させることができる。肛門−直腸処置用組成物中に用いるのに適切な油性保護剤には、ワセリン、鉱油、パラフィン、白ろう、コカバター、シアバターが含まれるが、これらに限定されない。ワセリンを含む例示組成物のひとつにおいて、約12% w/w〜約18% w/wのワセリンを用いる。半固体油性保護剤は、単一タイプの油もしくは半固体油性製品またはその混合物を含むことができる。さらに、特定の油もしくは半固体油性製品は、化学的に類似する化学種の混合物を含むことができる。
【0050】
場合により、乳化剤を肛門−直腸処置用組成物に含有させることができる。低pH(たとえば酸性)態様の組成物に適切な乳化剤は、低いpHに耐容できる非イオン性乳化剤である。適切な乳化剤には、脂肪酸のエステル類およびエーテル類、ならびに脂肪アルコールのエステル類およびエーテル類、ならびにエトキシレートおよび非エトキシレートを含めたソルビタンエステル、ならびにその混合物が含まれるが、これらに限定されない。陰イオン性乳化剤として用いられる一般的な化合物は低いpHでは乳化剤として機能せず、ある陽イオン性乳化剤は上皮組織上に長期間置かれた場合に刺激を与える可能性がある。エトキシル化乳化剤と非エトキシル化乳化剤の混合物を使用できる。たとえば、10%より多い油性半固体、たとえばワセリン、を含有する乳剤組成物の例示態様においては、室温で固体であるエトキシル化脂肪アルコール、および粘度構築属性をもつ少なくとも1種類またはそれ以上の追加の乳化剤、たとえばセチルアルコールおよび/またはステアリルアルコールを含有することが望ましい。固体状のエトキシル化脂肪アルコールは約40℃の温度で安定性を促進すると考えられる(たとえば、40℃で貯蔵した際にチーズ状外観になるのを防ぐことができる)。
【0051】
肛門−直腸処置用組成物は1種類以上の保存剤を含有することができ、これにはメチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、ヒドロキシベンゾエート、イミダゾール、尿素、およびベンジルアルコール、および/またはキレート化剤、たとえばエデト酸二ナトリウムが含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
肛門−直腸処置用組成物は、さらに皮膚軟化剤および抗刺激剤を含有することができ、これにはたとえばアロエベラ油、酢酸ビタミンE、D−パンテノール、緑茶抽出物、熱ショックタンパク質およびフィトステロールが含まれるが、これらに限定されない。
【0053】
1態様において、カルボキシメチルセルロースおよび/またはキサンタンガムを本発明の組成物に含有させて、テキスチャーを改変し、長期間にわたって貯蔵条件下での滑らかなコンシステンシーを増進し、ざらざらした状態を軽減し、および/または滑らかで光沢のある外観を増進することができる。Aqualon 7MF(商標)は本発明の実施に際して用いるのに適切なカルボキシメチルセルロースの例である。R. T. VanderbildtからのRodigel 80(商標)は、適切なキサンタンガムの例である。
【0054】
場合により、組成物の利用者に即時鎮痒(たとえば、痒み止め)効果および明瞭な冷感をもたらすための感覚効果刺激剤として、メントールを本発明の肛門−直腸処置用組成物に含有させることができる。一般に約0.01%〜約1.0% w/wのメントールを含有させることができる。
【0055】
場合により、1種類以上の天然または合成ポリマーを本発明の肛門−直腸処置用組成物に含有させることができる。使用できるポリマーには下記のものが含まれるが、これらに限定されない:カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、またはヒドロキシプロピルセルロース、デンプンおよび化工デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、寒天、アルギン、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、天然ゴム、たとえば、キサンタンガム、トラガント、グアーおよびグアー誘導体、アカシアゴム、アラビアゴム、ローカストビーンガム、ゲランガム、ペクチン、カラギーナン、ポリアクリレート、たとえばポリアクリル酸、メタクリル酸メチルコポリマー、カルボキシビニルコポリマー、オキシエチレンのモノ−およびコポリマー、またはオキシプロピレンモノマー、ならびにその混合物。
【0056】
局所処置用ストリップの製造
本発明の局所処置用ストリップは、局所用組成物を支持体に付与することにより製造される。例示態様において、局所用組成物を製造し、そして組成物が著しいドリッピングまたは無駄なしに支持体上に分配されて少なくとも支持体の一部を覆うことができる流動性または液状であるように、温度および/または組成物粘度を調整する。
【0057】
局所用組成物の粘度は温度を高めて添加成分を融解または部分融解することにより低下させることができ、あるいはたとえば組成物に溶剤を含有させて製造を容易にすることができる。あるいは、たとえば混合物の粘度が低すぎて希望する量を支持体に展延させることができないかまたはドリップする場合、粘度改質剤、たとえばカルボキシメチルセルロースおよび/またはキサンタンガムを用いて組成物を適切な粘度にまで増粘することができる。好ましい態様において、1以上の掴み部分を処置用ストリップの片側または複数側に設ける。掴み部分を備えた態様においては、掴み部分上に局所用組成物を配置するのを避けることが好ましい。
【0058】
局所用組成物を支持体の1以上の表面に制御分布させることができる製造方法はいずれも局所処置用ストリップの加工に適切な可能性がある。そのような方法には、たとえばコーティング、吹付け、浸漬、積層またはその組合わせを含めることができる。
【0059】
例示態様のひとつにおいては、コーティング法を用いる。局所用組成物は、混合容器に撹拌しながら全成分を一度に添加するか、あるいは成分を逐次添加することにより調製できる。場合により、混合を促進するために、たとえば混合物を加熱および/または粘度調整することができる。図1を参照すると、混合が終了した時点で局所用組成物をディスペンサー13へ移し、ここで支持体14をコートさせる。支持体14は方向15へ移動する。
【0060】
支持体14は、局所用組成物2と接触した状態でコーター17内を方向15にロール送りされる。図1に示した態様において、局所用組成物材料2は支持体14の両面に沈着する。支持体14に沈着する組成物2の厚さおよび幅は、たとえばコーター17のローラー16の幅、および/またはコーター17のローラー16にかける圧力、および/または組成物2の粘度、および/またはローラー16の速度などのパラメーターを制御することにより制御される。1態様において、局所用組成物2の一部が支持体14内へ埋め込まれるのに十分な圧力をコーター17のローラー16にかけることが望ましい。コーター16から出るコートされた支持体18は、コートされた支持体18の両面に局所用組成物をもつ。
【0061】
1態様において、支持体の幅はコーター17のロールの幅を超え、したがって支持体の一部はコートされないままであり、コートされたストリップの端に掴み部分(単数または複数)を提供する。片側に沿った単一の掴み部分を採用でき、あるいは処置用ストリップの複数側に沿って掴み部分を残すことができる。形成されると、コートされた支持体18を切断して個々の使い捨ての処置用ストリップ部分にすることができる。あるいは、コートされた支持体をロール(単数または複数)状にし、使用時に切断し、または引き裂いて、使い捨ての処置用ストリップにすることができる。
【0062】
例示態様のひとつにおいて、複数の局所用組成物を支持体に付与することができる。2層コーティングシステム20の図である図2を参照すると、第1の局所用組成物2をディスペンサー23に移し、ここで支持体24の両面に接触させる。支持体24を方向35に移動させる。支持体24は局所用組成物と接触した状態でコーター26内を方向35にロール送りされる。支持体24に沈着する組成物2の厚さおよび幅は、たとえばコーター26のローラー27の幅、および/またはコーター26のローラー27にかける圧力、および/または組成物2の粘度、および/またはローラー27の速度などのパラメーターを制御することにより制御される。1態様において、局所用組成物2の一部が支持体24内へ埋め込まれるのに十分な圧力をコーター26のローラーにかけることが望ましい。コーター26から出るコートされた支持体28は、支持体24の両面に局所用組成物2をもつ。第2の局所用組成物32をディスペンサー33に装入し、コートされた支持体28を方向35に前進させる。コートされた支持体28は、局所用組成物32と接触した状態でコーター36内を方向35にロール送りされる。局所用組成物32はコートされた支持体28の両面に沈着する。コートされた支持体28に沈着する組成物32の厚さおよび幅は、たとえばコーター36のローラーの幅、および/またはコーター36のローラー37にかける圧力、および/または組成物32の粘度、および/またはローラー37の速度などのパラメーターを制御することにより制御される。コーター36から出るコートされた支持体38は、コートされた支持体38の両面それぞれに2層の局所用組成物をもつ。形成されると、コートされた支持体を切断して個々の使い捨て部分にするか、あるいはロール状にすることができる。
【0063】
ある態様において、支持体の幅はコーター26、36のローラー27、37の幅を超える。したがって支持体の一部はコートされないままであり、コートされたストリップの端に掴み部分(単数または複数)を提供する。片側に沿った単一の掴み部分を採用でき、あるいは処置用ストリップの複数側に沿って掴み部分を残すことができる。
【0064】
当業者に認識されるように、ディスペンサーおよびコーターステーションの数を増やすことにより、局所用組成物の追加層を付与することができる。さらに、それらの組成物は同一でも異なってもよい。たとえば、適合性が無いかまたは限られている有効成分および/または有益作用剤を用いる場合、多層が望ましい可能性がある。たとえば、異なる有効成分を異なる層に装入することができる。あるいは、たとえば不適合性成分を含む層間にバリヤー層を挿入した多層を採用できる。あるいは多層系は、たとえばより反応性である成分を含む内部層への空気および/または水の到達に対する最上バリヤー層を含むことができる。あるいは、たとえば多層は3層を含み、その際、第1と第3が同一であり、中間層が異なってもよい。
【0065】
図3を参照すると、1態様において、局所用組成物2を支持体44の片面に付与することができる。局所用組成物2をディスペンサー43へ移し、ここで支持体44の片面に接触させる。支持体44は方向45に移動する。支持体44は、局所用組成物と接触した状態でコーター46内を方向45にロール送りされる。支持体44に沈着する組成物2の厚さおよび幅は、たとえばコーター46のローラー47の幅、および/またはコーター46のローラー47にかける圧力、および/または組成物2の粘度、および/またはローラー47の速度などのパラメーターを制御することにより制御される。1態様において、局所用組成物2の一部が支持体44内へ埋め込まれるのに十分な圧力をコーター46のローラーにかけることが望ましい可能性がある。コーター46から出るコートされた支持体48は、コートされた支持体44の片面に局所用組成物をもつ。
【0066】
ある態様において、支持体の幅はコーター46のローラー47の幅を超え、したがって支持体の一部はコートされないままであり、コートされたストリップの端に掴み部分(単数または複数)を提供する。片側に沿った単一の掴み部分を採用でき、あるいは処置用ストリップの複数側に沿って掴み部分を残すことができる。形成されると、コートされた支持体を切断して個々の使い捨ての処置用ストリップ部分にするか、あるいはロール状にする。
【0067】
前記に述べたように、さらにディスペンサーおよびコーターステーションを追加することによって多層を支持体に付与できることは当業者に認識されるであろう。支持体の両面が同数の局所用組成物層をもつ必要はない;たとえば、片面をコートするためのコーターおよび両面をコートするためのコーターを多様に含む組合わせコーターを用いるコーティングプロセスを採用できる。それらの多層は組成が同一でも異なってもよい。
【0068】
図4を参照すると、1態様において、局所用組成物52を支持体54に吹きつけることにより局所用組成物52を支持体54に付与することができる。支持体をローラー51および56により方向59に移動させる。吹付けステーション50をローラー51と56の間に配置する。吹付けステーション50は吹付けノズルを備えた溜め60をもち、これは局所用組成物52をスプレーの形で支持体54上に分配することができる。これらの溜め60は同一または異なる組成物を収容することができる。場合により、異なる組成物を支持体のそれぞれの面に同時に付与することができる。局所用組成物52を支持体に付与した時点で、コートされた支持体58をローラー56に前進させる。ローラー56は処置用ストリップを移動させる機能をもち、場合により支持体54上に沈着する組成物52の厚さおよび幅を調整することができる;これは、たとえばローラー56の幅、および/またはローラー56にかける圧力、および/または組成物52の粘度、および/またはローラー51、56の速度などのパラメーターを制御することにより達成できる。1態様において、局所用組成物52の一部が支持体54内へ埋め込まれるのに十分な圧力をコーター56のローラーにかけることが望ましい。図4に示すように、ローラー56から出る処置用ストリップ58は、支持体54の両面に局所用組成物52をもつ。形成されると、コートされた支持体を切断して個々の使い捨ての処置用ストリップ部分にするか、あるいはロール状にすることができる。
【0069】
吹付けノズルを備えた単一の溜めを用いて支持体の片面にのみ局所用組成物を沈着させることができることも当業者に認識されるであろう。あるいは、複数の吹付けステーションを用いて多層の局所用組成物を支持体に付与することができる。それらの多層は同一または異なる成分を含むことができる。
【0070】
例示態様のひとつにおいて、多数のストリップを同時に形成できる。多数のストリップを同時に形成するためのシステムの例を図5Aおよび5Bに示す。図5Aは、システムを断面で表わし、複数の溜め73をもつコーター70内を通過する支持体74を示す。5Bに示す前面図を参照すると、局所用組成物72をそれぞれの溜め73から支持体74の一部に付与する。複数の溜め73は同一または異なる局所用組成物を収容することができる。一対のローラー77は支持体74を移動させる機能をもち、場合により支持体74上に沈着する組成物72の厚さおよび幅を調整することができる;これは、たとえばコーターのローラー77の幅、および/またはローラー77にかける圧力、および/または組成物72の粘度、および/またはローラー77の速度などのパラメーターを制御することにより達成できる。支持体74の一部はコートされた78であり、支持体の一部はコートされていない79のままであってもよい。図5は1つのコーターを用いるシステムを示し、その際、局所用組成物72の1層が支持体74の両面または場合により片面に沈着する。当業者に認識されるように、たとえば連続して組み立てた複数のコーターを用いることにより、局所用組成物の追加層を沈着させることができる。
【0071】
図6は、図5に示すコーター70で製造した加工支持体80のシートの例を示す。加工支持体80は、コートされた領域82およびコートされていない領域84をもつ。加工支持体80のシートをたとえば点線85、86で示すように切断して、個々の使い捨て部分または個々の処置用ストリップにすることができる。あるいは点線85または86の一方のみに沿って切断を行なって複数の個々の処置用ストリップのストリップを形成し、これらを包装および利用者への販売のためにロール状にすることができる。場合により、個々の処置用ストリップを利用者が分配するのを容易にするために、点線85または86のうち1以上に沿って穿孔を形成することができる。
【0072】
図6に示すストリップの長方形の形状は例示である。他の形状またはデザインが適切な場合もある。口唇処置用ストリップの例示態様において、コートされた部分82、すなわち使い捨て部分のコートされた部分82の長さおよび幅は、ほぼヒトの口唇の長さおよび幅である。
【0073】
図7は、2種類の口唇処置用の処置用ストリップ88、96を示す。図7の処置用ストリップは、コートされた82領域および2つのコートされていない領域84をもつ。2つのコートされていない領域84は、ディスペンサーから取り出す際および/またはストリップ88を利用者の口唇間に置く際に、処置用ストリップを指で持つための掴み領域である。図7Bに示す態様は、1つのコートされた部分92および1つのコートされていない領域94をもつ処置用ストリップ96を示す。コートされていない領域94は、ディスペンサーから取り出す際および/またはストリップ96を利用者の口唇間に置く際に処置用ストリップを指で掴むための掴み領域を形成する。好ましくは、掴み領域84、94は、指とコートされた領域82、92のコーティングとの接触を最小限にして処置用ストリップ88、96を掴むことができるのに十分なサイズのものである;より好ましくは、掴み領域84、94は、指とコートされた領域82、92のコーティングとの接触なしに処置用ストリップ88、96を掴むことができるのに十分なサイズのものである。
【実施例】
【0074】
以下の実施例により本発明の範囲に含まれる例示態様をさらに記載および証明する。実施例は本発明の説明のために示すにすぎない;本発明の精神および範囲から逸脱することなくその多数の変更が可能だからである。別途明記しない限り、例示した量はすべて重量/重量パーセントである。
【0075】
実施例1
口唇局所処置用ストリップのための局所用組成物として使用するのに適切な組成物を表1に示す。
【0076】
【表1】

【0077】
表1の組成物は下記により調製できる;カルナウバろう、カンデリラろう、密ろうおよびヤシ油を175〜190°Fの範囲で混合および加熱して混和する。融解混合物が形成された時点で温度を155〜170°Fに低下させ、混合しながらホホバエステル類を添加することができる。混合が終了した時点で温度を120〜139°Fに低下させ、混合しながらヒマワリ油を添加することができる。次いで温度を140〜160°Fに調整し、混合しながらバター類を添加することができる。バター類の添加が終了した時点で、混合しながらトコフェロール、酢酸トコフェリルおよび着香剤を添加することができる。
【0078】
表1の組成物をディスペンサーに装入し、本明細書に記載するローラーコーティング装置を用いて支持体上にコートすることができる。セルロース系材料、たとえば紙または織布もしくは不織布が支持体として使用できる材料の例である。表1の組成物はコーティングのために液体または半液体状態でなければならない。
【0079】
実施例2
肛門直腸局所処置用ストリップのための局所用組成物として使用するのに適切な組成物を表2に示す。
【0080】
【表2】

【0081】
表2の組成物は下記により調製される;油成分(すなわち、この例については白色ワセリン)を融解し、この融解した油を乳化剤、皮膚軟化剤、抗酸化剤および保存剤(すなわち、乳化剤:steareth-20、steareth-2、モノステアリン酸グリセリルおよびlaureth-23 (70/30) ステアリルアルコールおよびセチルアルコール;皮膚軟化剤:ビタミンE、アロエベラ油;抗酸化剤:Tenox 2(商標)および混合トコフェロール類:ならびに保存剤;メチルパラベンおよびプロピルパラベン)と混和する。カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびキサンタンガムをグリセリンに分散させ、次いでグリセリン分散液を水と混和することにより水和する。エデト酸二ナトリウムをこのグリセリン/水分散液に添加する。
【0082】
グリセリン/水分散液を、激しく混和しかつ約70〜75℃に加熱しながら油/乳化剤混合物と混和することができる。十分に混合した後、組成物を約50℃に冷却し、医薬有効成分、他の熱不安定成分、塩類および酸類(たとえば、安息香酸ナトリウム、パンテノール、およびクエン酸)を添加する。
【0083】
表2の組成物をディスペンサーに入れ、本明細書に記載するローラーコーティング装置を用いて支持体上にコートすることができる。セルロース系材料、たとえば紙または織布もしくは不織布が支持体として使用できる材料の例である。表2の組成物はコーティングのために液体または半液体状態でなければならない。
【0084】
理解を明瞭にする目的で以上の本発明を具体例および実施例によってある程度詳細に記載したが、特許請求の範囲の範囲内で一定の変更および改変を実施できることは明らかであろう。本発明を実施する前記様式の改変であって当業者に明らかなものは、特許請求の範囲にまれるものとする。
【符号の説明】
【0085】
2,32,52,72 局所用組成物
20 コーティングシステム
13,23,33,43 ディスペンサー
14,24,44,54,74 支持体
15,35,45,59 移動の方向
16,27,37,47,51,77 ローラー
17,26,36,46,56,70 コーター
18,28,38,48,58,80 コートされた支持体
50 吹付けステーション
60,73 溜め
78,82,92 コートされた領域
79,84,94 コートされていない領域(掴み部分)
85,86 切断のための点線
88,96 処置用ストリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの表面を含む支持体;および
局所用組成物
を含む局所処置用ストリップであって、局所用組成物が支持体の2つの表面に沈着しており;各ストリップが約1cm〜約10cmの長さおよび約1cm〜約5cmの幅を有するストリップ。
【請求項2】
局所用組成物が少なくとも部分的に支持体に吸収されている、請求項1に記載の局所処置用ストリップ。
【請求項3】
支持体が、天然ポリマー、合成ポリマー、半合成ポリマー、布帛、紙、織布、不織布およびその組合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の局所処置用ストリップ。
【請求項4】
支持体が生分解性材料である、請求項3に記載の処置用ストリップ。
【請求項5】
支持体が水分の存在下で加水分解する、請求項3に記載の処置用ストリップ。
【請求項6】
局所用組成物が口唇処置剤である、請求項1に記載の局所処置用ストリップ。
【請求項7】
口唇処置剤が、有益作用剤、保湿剤、湿潤剤、日焼け止め剤および有効薬剤ならびにその組合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の成分を含む、請求項1に記載の局所処置用ストリップ。
【請求項8】
口唇処置剤がさらに少なくとも1種類の有効薬剤を含む、請求項1に記載の局所処置用ストリップ。
【請求項9】
少なくとも1種類の第2の局所用組成物を含み、この第2の局所用組成物が2つの表面のうち少なくとも1つにおいて局所用組成物上に沈着している、請求項1に記載の局所処置用ストリップ。
【請求項10】
局所用組成物が肛門−直腸状態のための処置剤である、請求項1に記載の局所処置用ストリップ。
【請求項11】
局所処置用ストリップの製造方法であって、
局所用組成物を調製し;そして
局所用組成物を支持体に沈着させる
ことを含む方法。
【請求項12】
支持体が第1部分および第2部分を備え、その際、第1部分は沈着部分であり、第2部分は掴み部分である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
さらに、組成物と支持体を一緒にプレスすることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
局所用組成物を支持体の1つの面に付与する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
局所用組成物を支持体の2つの面に付与する、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
さらに、第2の局所用組成物の層を局所処置用ストリップ上に沈着させることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
コーティング、吹付け、浸漬、積層およびその組合わせからなる群から選択される方法を用いて局所用組成物を支持体上に沈着させることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
複数の局所処置用ストリップを収容した再シール式容器を含む、口唇処置用キット。
【請求項19】
局所処置用ストリップがロール状に形成されている、請求項18に記載のキット。
【請求項20】
口唇用組成物の局所処置用ストリップの使用方法であって、ストリップの掴み部分を掴み、ストリップを利用者の口唇間に置き、そして組成物が利用者の口唇へ移行するように口唇をストリップに向けてすぼめることを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【公表番号】特表2012−527463(P2012−527463A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511898(P2012−511898)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/034656
【国際公開番号】WO2010/135131
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(309040701)ワイス・エルエルシー (181)
【Fターム(参考)】