説明

局所用製剤

【課題】治療用化合物を、皮膚に局所的に投与する、あるいは皮膚を通過させて体循環に効率的に投与することができる、安定なエアゾール型医薬製剤の提供。
【解決手段】局所投与時に皮膜を形成することが可能な医薬製剤であって、医薬、溶媒、皮膜形成剤、および噴射剤の調合物を含み、単相であり、かつ、使用条件下において前記薬品がその中に実質的に飽和量で存在する、エアゾール型医薬製剤。該医薬としては、副腎皮質ステロイド等であることが好ましい。該皮膜形成剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アクリルポリマー、アクリルコポリマー、メタクリレートポリマー、メタクリレートコポリマー、ポリ(酢酸ビニル)、セルロース系コポリマーであることが好ましい。該溶媒としては、エタノール、イソプロピルアルコール等であることが好ましい。該噴射剤としては、ハイドロフルオロアルカン(HFA)であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局所への薬物送達のための製剤、ならびにその使用および製造のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
治療用化合物を、皮膚に局所的に投与する、あるいは皮膚を通過させて体循環に投与することによって、経口的または非経口的な薬物送達よりも多くの潜在的な利点がもたらされる。これには、肝臓の初回通過代謝の回避、患者の服薬遵守の向上、および吸収する膜(すなわち皮膚)への接近しやすさが含まれる。さらに、病的部位に薬物を直接的に投与することによる局所的な送達(すなわち皮膚の表面層への送達)の場合、全身的毒性を伴う任意の副作用を最小限にすることができる。しかし、皮膚への、また皮膚を介する薬物の有効な送達は、簡単なことではない。
【0003】
分子は、受動拡散により、皮膚の中におよび/または皮膚を通って、通過することができる。受動拡散は、フィックの第1法則によって熱力学的に説明することができる:
【数1】


上式において、(J)は単位面積あたりの定常状態流束を示し、(K)は皮膚と製剤との間の薬物の分配であり、(D)は拡散経路長(h)を通じた拡散係数である。通常、適用される量での透過物の濃度(capp)が、受容段階での濃度(crec)よりもかなり高いので、この式は、次のように単純化することができる:
【数2】


上式において、kpは、透過係数であり、KD/hと等しい(Hadgraft、2004)。フィックの法則によると、皮膚を横切る流束に影響を与える最も重要な因子は、皮膚内における薬物の濃度勾配、透過物の分配係数、および拡散係数である(ThomasおよびFinnin(2004);Hadgraft(2004))。さらに、膜を横切る分子の流束(J)は、cappが飽和点、すなわち溶解度限界(すなわち、熱力学的活性(TA)は1)に到達するまで、濃度に伴って直線的に増大するはずである。薬物と送達媒体との間に相互作用が存在しないと仮定すると、1)薬物が飽和した製剤中の媒体の性質、および2)膜に適用される薬物が飽和した製剤のTA=1における量に関係なく、薬物の流束/放出は、一定であることを意味する。したがって、フィックの法則によれば、飽和薬物製剤が皮膚に適用される時、薬物は、最も高い熱力学的活性にあることとなる。場合によっては、過飽和系が形成される場合、TAは1を超える可能性がある。しかし、こうした製剤は、本質的に不安定であり、それ自体では生体内での使用に適していない。
【0004】
ヒト皮膚は、3つの組織層、すなわち、1)層状の無血管の細胞性表皮;2)結合組織の基礎をなす真皮;および3)真皮の下の皮下脂肪、を含む。角質層(皮膚の最も外部の死んだ層)の生理的機能は、体の防護壁として働くことである。角質層の細胞間脂質は、セラミド、コレステロール、コレステロールエステル、および遊離脂肪酸を含み、その組織と特有の化学組成によって、高度な水不浸透性を生み出しいる。水や他の透過物に対する表皮透過バリアに大いに寄与しているのは、こうした脂質ラメラである(Tingら、2004)。
【0005】
治療量の薬物が皮膚に浸透するためには、角質層のバリア特性を乗り越えなければならない。角質層は、選択的な透過性を示し、分子量が400ダルトン未満の、比較的親油性である化合物のみ通過することができる。しかし、薬物が非常に親油性である場合、角質層を通過することはできるが、より水性の表皮の下部領域(そこでは可溶性が不十分となる)に入るにつれて、拡散が急激に遅くなる。したがって、非常に疎水性の透過物の拡散は、皮膚のより深い層に進行するにつれて、減速し、(角質層から生存組織までの)濃度勾配は下降する。したがって、このように拡散する種の律速段階は、バリア浸透ではなくて、バリアクリアランスになる。
【0006】
水難溶性の分子はまた、表皮の深層に浸透する能力に欠けることに加えて、多くの局所用媒体に対して溶解度が低いことが多いので、調製が困難である点でも評判が悪い。皮膚への薬物の適切な放出を達成するために、製剤と皮膚との間に適切な濃度勾配を確実に作るために、十分な濃度の局所適用治療薬が、媒体に含有されなければならない。高濃度の疎水性活性剤を可溶化することができる局所用製剤(軟膏など)は、「重く」、「ベタベタする」ので、外観上許容されない。しかし、疎水性化合物は、クリームやゲルなどの、より外観上許容される局所用媒体に対する溶解性が低いので、これらは大抵使用できない。
【0007】
角質層のバリア特性を解決する方法は、化学的方法(例えば、吸蔵、浸透促進剤、および過飽和系などの使用)と、物理的方法(例えば、イオン導入、皮膚電気穿孔法、超音波、および粉末注射法など)に分類することができる。小さな有機分子については、化学的促進法は、物理的な方法と比較して、その低コスト、刺激性がないこと、および簡単さという点で、いくつかの利点を有する。
【0008】
その作用の方式に関係なく、浸透促進剤は通常、皮膚のバリア特性を変化させる。構造的変更が可逆的であるかどうかにかかわらず、有効な反応を誘発するのに必要とされる濃度の浸透促進剤は、大抵、皮膚刺激、望ましくない副作用、および/または薬物の不安定性を引き起こす。したがって、多くの浸透促進剤は、確かに有効であるが、これらは、調製が困難であり、使用が実際的でない可能性がある。
【0009】
角質層は、乾燥させると、わずか約10μmの厚さとなるが、水が存在する場合には著しく膨張する。角質層の水和は、脂質の充填をゆるめることによって皮膚を軟化させ、これによって、脂質様の浸透物による浸透が、より容易になる。吸蔵は、皮膚を水和させるポピュラーかつ簡単な方法であり、一般に、パッチまたは非常に疎水性の媒体を適用して、経表皮水分損失を防ぐことによって達成される。しかし、前述のように、疎水性の媒体は、外観上許容されず、また、溶解度の問題のため、大抵のパッチは、総量の約10%を送達するだけであり、その後捨てられるパッチの中に、90%の薬物が残っている。
【0010】
フィックの第1の法則によると、(媒体との相互作用がないと仮定すると)薬物の流束は、製剤中のその熱力学的活性(これは、飽和の程度に関連する)と正比例する。局所用媒体が薬物によって過飽和である場合、すなわち、好適な賦形剤を使用して、および/またはpH、温度、または製剤媒体を変えて、媒体中に溶解することが可能な薬物の最大濃度を増大させる場合、熱力学的活性の増加の直接的な結果として、流束は増大する(Moserら、2001a)。しかし、過飽和系は、熱力学的により活性であるが、一般的に、熱力学的に不安定であり、経時的に、医薬品内には許容されない薬物の結晶がしばしば出現する。
【0011】
過飽和系内の熱力学的不安定性という問題を解決するための1つの方法は、局所適用の前か間に、亜飽和溶液から直ちに過飽和をもたらすことである。これは、皮膚からの水の取り込み、揮発性溶媒の蒸発によって、あるいは混合共溶媒系を使用して達成することができる(ここでは、媒体の変化は、製剤の投与の前にもたらされる)(Moserら、2001b)。
【0012】
揮発性溶媒を使用して過飽和系をもたらすことは、熱力学的活性を増大させる非常に有効な方法である。しかし、揮発性溶媒は、理想的には、非毒性であり、不燃でなければならず、多様な薬物に対して優れた溶解度特性を有し、かつ不活性でなければならない。さらに、最終の過飽和系は、結晶の進行を遅くして、最適な熱力学的活性を保持するために、核形成防止剤(anti−nucleating agent)を含有しなければならない。再結晶の進行を遅らせるために、ポリマー/可塑剤の添加を使用できることが示されている。以下のポリマーは、過飽和状態の溶液における数多くの薬物の再結晶を効率的に防止するために、従来使用されている:Eudragit R/S 100L、HPMCフタレート、エチルセルロース、メチルセルロース、シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、およびカルボキシメチルセルロース。より多価であるものの方が、不安定化効果を有する可能性があるので、過飽和状態の製剤は、一般に、薬物自体と類似の溶解度パラメータを有するポリマーによって、最もよく安定する。しかし、溶解度パラメータを適合させることは、まだ、最適な過飽和製剤を予測するための確実な方法ではない(Moserら、2001c)。
【0013】
現在、大部分の揮発性の局所用スプレーは、送達媒体として、短鎖炭化水素(ブタン、プロパン、n−ブタン、またはそれらの混合物など)を用いている。これらの溶媒は、局所使用について、米国食品医薬品局(FDA)によって承認されており、一般に、安全であると認められている(FDAによって挙げられたGRAS)。しかし、炭化水素のエアロゾル噴射剤は、比較的廉価であり、非毒性であり、(オゾン層を破壊しない、また温室効果ガスではないので)環境にやさしい反面、その引火性によって、使用が限られる。ブタンは特に爆発物であり、適切な安全警告装置と防爆装置を備えた防爆室でのみ取り扱われなければならない。
【0014】
ハイドロフルオロアルカン(HFA)溶媒は、1990年代中頃から、加圧定量吸入器(pMDI)におけるヒト使用について承認されている(VervaetおよびByron、1999)。この溶媒は、炭化水素のように高度に揮発性であるが、不燃性である。HFAは、特に、オゾン層に対する破壊効果を有することが発見されたクロロフルオロカーボン溶媒(CFC)の代替のために開発された。しかし、HFA噴射剤とCFC噴射剤の沸点、カウリ−ブタノール価、誘電率、双極子モーメント、分極率および溶解度パラメータは、著しく異なる(表1参照)。

表1。CFC噴射剤とHFA噴射剤の物理的特性。BP:沸点 ℃;KB:カウリ−ブタノール価;δ:溶解度パラメータ cal/ml;μ:双極子移動;ε:誘電率;α:分極率(出典 VervaetおよびByron、1999)
【表1】

【0015】
これらの違いは、部分的には、HFAの電気陰性度の増大によって引き起こされる(フッ素は、塩素よりも電気陰性度が高い)。フッ素原子の電位をもたらす強い電子が、これらの噴射剤中の分子間引力を最小にし、これによって、構造的に同等なCFC噴射剤と比較して沸点が低くなる。さらに、HFAの構造内の非対称的に配置された水素原子によって、いずれのHFA噴射剤においても、水素−炭素結合上に異なる双極子がもたらされる。HFA噴射剤の極性の増大は、CFCと比較した場合、そのより大きな双極子モーメントおよび誘電率に反映される。
【0016】
したがって、HFA噴射剤は、局所用スプレーに使用するための安全性および揮発性に関して理想的である反面、その疎水特性と電気陰性特性の特有のブレンドによって、炭化水素またはCFCと異なり、多様な親水性および疎水性の治療薬を可溶化できないことになる。多くの治療用化合物に対する溶解度が不足すると、局所用スプレー用の揮発性媒体として単独で使用することはできない。
【0017】
HFA噴射剤の溶解度プロファイルを向上させるために、共溶媒を使用することができる。しかし、また、共溶媒系は、優れた局所的耐性を示さなければならず、揮発性であるべきであり、医薬品用の添加剤として許容できるものでなくてはならず、多様な治療薬を可溶化することができなければならない。過去の研究では、溶液MDIの調査において、共溶媒としてエタノールが使用された(Brambilla、1999)。エタノールは、多様な治療薬を可溶化し、治療用製剤中での使用にも許容できる。
【0018】
US−A−6123924には、吸入型薬物送達のための治療剤の懸濁を助ける懸濁剤として、PVPが開示されている。
【0019】
WO95/15151には、保護コロイド(これには、PVAおよびHFAが含まれ得る)と組み合わせた治療薬を含む、エアロゾル送達のための医薬製剤が開示されている。
【0020】
US−A−5776432には、ステロイドを可溶化するHFAおよびエタノールの使用が開示されている。
【0021】
US2003/0224053は、剥がすことが可能であり、有用な量の薬物または化粧品を送達するパッチを提供するために、皮膚と接触すると膜を形成することができるポリマー、活性成分、および溶媒を含む組成物を開示している。組成物が単相である必要もないし、活性成分が飽和状態である必要もない。
【0022】
US2003/0152611は、セルロースポリマー母材、NSAID、吸収促進剤、水、および母材形成溶媒を含む、経皮投与のための医薬組成物を開示している。単相の飽和溶液は必要とされない。
【0023】
US−A−6432415は、非水溶性の薬学的に許容されるアルキルセルロース、揮発性の溶媒および水を含む溶媒系、可溶化剤、ならびに医薬品を含む、生体付着性のゲルおよびエアロゾルを開示している。噴射剤を組み込むことも可能である。この調合物が単相である、あるいは飽和状態であるということは記載されていない。
【0024】
US−A−6325990は、水の非存在下、かつ粘着性のポリシロキサン、吸収促進剤、およびエアゾール缶から噴射可能な揮発性溶媒の存在下における親油性ビタミンなどを提供している。この組成物が単相であるべきである、あるいは飽和状態であるべきであるということは記載されていない。
【0025】
WO0/045795は、揮発性媒体と、1種または複数の膜形成ポリマーとの中に医薬品を含む医薬用スプレー組成物を提供する。この組成物が単相であるべきである、あるいは飽和状態であるべきであるということは記載されていない。
【0026】
WO0/38658は、乾燥させた後にソフトフィルムを形成する基材を含む、経皮投与のための痩身用組成物を開示している。この組成物が単相であるべきである、あるいは飽和状態であるべきであるということは開示されていない。
【0027】
JP08291050は、起泡活性を有するエアロゾル組成物を開示している。この組成物は、アクリルポリマー、可塑剤、低級アルコール、水、界面活性剤、噴射剤、および多価アルコールを含む。この組成物が単相であるべきである、あるいは飽和状態であるべきであるということは示されていない。
【0028】
JP01230514は、皮膜形成ポリマー、溶媒、噴射剤、および薬物を含む、エアロゾルタイプのパッチを提供する。この組成物が単相であるべきである、あるいは飽和状態であるべきであるということは示されていない。
【0029】
WO88/09185は、活性成分、硬化時にフレキシブルフィルムを形成する液体ポリマー基材、およびその基材のための溶媒と共に、活性成分の放出を制御する溶媒、ならびに噴射剤を含有する、皮膜形成ポリマー含有包帯を開示している。この組成物は、単相ではなく、濃度も重要な因子ではない。
【0030】
AU198664695は、皮膜形成ポリマー、溶媒、および活性物質を含む農薬組成物を提供する。エアロゾルとしての使用のためには、澄明な溶液が望ましいと記載されているが、飽和は示唆されない、あるいは必要とされない。
【0031】
GB2188844は、抗乾癬化合物と共に皮膜形成ポリマーの液体製剤を含む抗乾癬組成物を開示している。この組成物が単相であるべきである、あるいは飽和状態であるべきであるということは開示されていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0032】
驚いたことに、本発明者らは、皮膜形成剤を共に含む、溶媒と噴射剤の混合物中に薬物が飽和した単相の溶液が、フィックの法則によって予測されるよりも大きな受動拡散流束を示すことを見出した。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】10%EtOHを用いたときのBDPについての溶解度データを示す。
【図2】20%EtOHからなるBDP溶液を示す。
【図3】10%EtOH中のBMVについての溶解度の結果を示す。
【図4】飽和した10%EtOH BDP MDAスプレーの複数のショットを適用した後の、合成膜を介するBDPの拡散を示す。
【図5】10%EtOHスプレーと市販のBDPクリームからの、合成膜を通して放出されるBDPの直接比較を示す。
【図6】エタノールの量を変化させた2つのMDAからの、合成膜を通したBDP放出の比較である(平均±標準偏差、n=5)。
【図7】合成膜を使用した、10%EtOHBMVスプレーと、市販されたBMVクリームからのBMV放出の比較を示す。
【図8】10%EtOH BMVスプレーと市販のBMVムース製品の比較である。
【図9】PVA:PVP MDA 10%EtOHスプレーと薬物飽和のPEG溶液の比較である。
【図10】亜飽和状態と、飽和状態と、過飽和状態の、BDP局所用製剤の比較である。
【図11】様々な割合のPVAおよびPVPを含有する飽和したBDP局所用MDAスプレーの不揮発性飽和PEG系と、PEGを含まない10%EtOH系との比較である。
【図12】様々な添加物組成でのBMV製剤の三元プロットである。
【図13】単位面積あたりに放出されるBMVの平均累積量を示す。
【図13a】図13に表される初期の放出と、最初の0.8時間で達成される勾配を示す。
【図14】様々な添加物組成における2%サリチル酸の三元プロットである。
【図15】市販の比較物diprosoneと比較した、ポリビニルピロリドン、コポビドン、ならびにEudragitおよびPVPを含有する3つの新規のスプレー製剤からt=0.25〜5時間にわたって単位面積(μg/cm)あたりに放出されるBDPの平均累積量を示す。
【図16】様々な添加物組成における過酸化ベンゾイルの三元プロットである。
【図17】濾紙からの製剤の距離を変化させることによる、皮膜の面積に対する影響を示す。
【図18】製剤の噴射数の増加に伴う、皮膜の面積に対する影響を示す。
【図19】ハイドロフルオロアルカン噴射剤の包含以外は同様の添加物を含むゲル(BMVゲル)と比較した、新規のスプレー製剤(MDA)からt=0.25〜7時間の間に単位面積(μg/cm)あたりに角質層を通して浸透するBMVの平均累積量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
したがって、第1の態様では、本発明は、薬品、その溶媒、皮膜形成剤、および噴射剤の調合物を含む、局所投与時に皮膜を形成することが可能な医薬製剤を提供する。ここでは、前記製剤は単相であり、前記薬品は、使用条件下で、製剤中に飽和量で存在する。
【0035】
用語「単相の」は、製剤が、未溶解の薬物を含有せず、また、例えば、コロイドまたはマイクロコロイドでない、1つの液相のみが存在することを示すために使用される。1相のみが存在し、その相は、液体である。
【0036】
前記薬物は、製剤中に飽和量で存在しなければならない。この点において、大抵の溶媒では、高温に保持される製剤は、飽和するために、より大量の薬物を必要とする。この点に関し、単相であるという要件は重要なままであるが、飽和については、製剤が添付の実施例に開示されるような試験膜に適用される時に、フィックの法則を超越するのか、フィックの法則によって予測される流束以下の流束を提供するに過ぎないのかによって決定してもよい。
【0037】
したがって、「飽和した」には、飽和を達成するために必要な薬物の少なくとも80%の量の薬物が存在する「実質的に飽和した」が含まれる。この量は、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは95%である。使用時の温度において、製剤が、単相のままでありながら、可能な限り飽和に近いことが好ましい。過飽和状態の溶液も含まれるが、これは、一般に安定ではなく、単相でなくなるまでの保存寿命が短いので、概してそれほど好ましくはない。
【0038】
存在する薬物の量が、可能な限り完全な飽和に近いことが好ましいが、多くの単相溶液は、こうした高濃度では安定でない。そのような場合、本発明において飽和量とする80%まで、わずかに飽和を下げることができるのと同時に、以下で述べるような核形成防止剤を加えることが好ましいこともある。
【0039】
本発明の利点は、高い飽和レベルと噴射剤の使用の組み合わせにある。噴射剤は一般的に、ディスペンサーから製剤を押し出すことが可能な、CFCやHFAなどの沸点が低く、高度に揮発性の液体、特にHFA(ハイドロフルオロアルカン)、である。蒸発は、ほぼ瞬間的に起こり、ディスペンサーから投与部位への移動中の沸騰により、かなりの量の溶媒(これは、以下で定義するが、一般的には、エタノールまたはイソプロピルアルコールである)を蒸発させる。したがって、溶媒は、好ましくは揮発性の溶媒であり、好ましくは水よりも揮発性が高く、しばしば有機溶媒であることとなり、噴射剤の爆発に近い解凍によって、蒸発による溶媒の崩壊および喪失が引き起こされる。この喪失は、最高50%になる可能性があり、さらに高い可能性がある。
【0040】
溶媒の喪失の効果は、残留する溶液を過飽和の方へ駆動することである。少なくとも80%の飽和レベルが必要であることは、(これよりもかなり下のレベルだと、過飽和溶液ではなく飽和溶液が得られる傾向があり、ほとんど利点がみられないので)この理由による。80%以上であると、最高2.5倍飽和の過飽和レベルが達成され、それに伴って、角質層を透過することができるようになる可能性がある。飽和のレベルが低いと、過飽和が達成されるまでに、より大量の溶媒の喪失が必要となる。
【0041】
前記薬品は、皮膚の中へ、および/または皮膚を通っての透過を達成することが所望される任意の物質であってよく、こうした物質はまた、本明細書では全般的に「薬物」と称する。本発明による使用に適した薬物としては、これらに限定されないが、以下の表中の個々のもの、あるいはその組み合わせが挙げられる:
【表2】


【表3】


【表4】


【表5】

【0042】
他の適切な薬物としては、非ステロイド性の抗炎症剤(NSAID)、光線性角化症治療薬、およびカプサイシン、ならびに他の物質(メントールなど)が挙げられる。薬品は、局所適用または全身適用のいずれかに適していてもよい。
【0043】
局所投与には、一般に、本発明の製剤を投与するのに適した身体の任意の露出した位置を含む。噴射剤が高度に揮発性であることは、通常、こうした投与を、打撲傷および挫傷を含めた傷の無い皮膚に制限することとなるが、本発明は、それほど好ましくない態様ではあるが、任意の局所膜への、また、障害または創傷への製剤の投与も想定する。
【0044】
本発明の製剤は、一般に皮膚への局所投与時に皮膜を形成することができる。特に、製剤の大部分の噴射剤成分は通常、ほとんどすぐに蒸発し、それによって、残りの製剤が濃縮する。皮膜形成成分は、例えば、噴射剤の非存在下で、あるいは、より好ましくは、溶媒の一部の蒸発の後に、実質的に皮膜を形成することができる。
【0045】
皮膜形成成分としては、適切には、局所投与について承認されるポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)またはポリビニルアルコール(PVA)などが挙げられる。
【0046】
理論には拘泥されないが、皮膜の形成は、皮膚をふさぎ、皮膚中への水の保持を助ける役割を果たすと考えられる。これは、皮膚中の水が、溶媒の蒸発後にも、薬物と相互作用し続け、それによって、薬物の浸透性が継続することができるという利点を有する。したがって、ヒドロゲルの形成が可能な皮膜形成剤が好ましい。この点において、PVPおよびPVAが好ましい。他の適切な皮膜形成剤としては、アクリル系ポリマーまたはコポリマー、メタクリレートポリマーおよびコポリマー、ポリ(酢酸ビニル)、およびセルロースベースのポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0047】
皮膜形成剤はまた、一般的に、一旦それが施されると、製剤が濃縮されるにつれて、核形成防止剤の役割も果たす。しかし、薬物の核形成を、さらに阻害することが所望される場合には、この目的のために、製剤が使用条件の下で単相であり、薬物で飽和されているという条件で、製剤にさらなる成分を加えることができる。適切な核形成防止剤は、当分野で公知であり、PVPが皮膜形成剤として使用される場合には、PVAを挙げることができる。他の適切な核形成防止剤としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースなど)、グリコールエステル、ポリアクリル酸、ならびにそれらの誘導体が挙げられる。
【0048】
得られる皮膜が、所望するよりも柔軟性がない場合、前記製剤に、可塑剤も、有用に加えることができる。可塑剤は、当分野で公知であり、水、グリセロール、オレイン酸、クエン酸、リン酸エステル、脂肪酸エステル、グリコール誘導体、炭化水素および炭化水素誘導体、アジピン酸/ブタンジオール・ポリエステル、エポキシ化大豆油、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、クエン酸エステル(クエン酸トリエチルなど)、ヒマシ油、トリアセチン、および塩素化パラフィンが挙げられる。
【0049】
薬物、溶媒、噴射剤、および皮膜形成剤以外の成分もまた、本明細書では添加物と称する。
【0050】
製剤は、使用条件下で、薬物で飽和され、かつ単相である。この点について、これらの要件は、例えば、エアロゾル容器中の場合、分配の直前の製剤ついてあてはまる。
【0051】
本発明者らによれば、薬物が、使用時に、製剤中に飽和濃度で存在することと、製剤が単相であることが極めて重要であることが判明した。異なる量の同じ成分をすべて含有する、薬物の濃度が高いが飽和濃度ではない製剤が、低濃度であるが飽和濃度であるものよりもかなり悪い結果となることは、特に驚くことである。
【0052】
噴射剤は、上で例示したように、HFAでもよい。HFAは、通常、単に中性で不活性な希釈剤の役割しか果たさず、ほとんどの場合、一般には、共溶媒(貧溶媒の方ではあるが)として働くこととなる。便宜的に、噴射剤は通常、最後に加えられる。したがって、例えば、エタノールが第1の溶媒として使用される場合には、エタノールの最終濃度は、最終組成に対して10%であり、添付の実施例で示すように、二プロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)などの薬物が使用される場合、皮膜形成剤としてのPVPは、多くとも約2%の最終濃度で加えることができる。こうした製剤において、HFAは、製剤の約87〜88%である。
【0053】
しかし、まったく同じプレミックスに対して添加されるHFAの量が、エタノールの最終量が10%ではなく20%となるような量である場合、得られる製剤は、BDPについて飽和しないこととなる。
【0054】
本明細書においてHFAに言及する場合、別段の指示がない限り、任意の適切な噴射剤についての言及を含む。HFAは、場合によっては、反溶媒(anti−solvent)として作用することがあり、その結果、例えば、薬物が飽和したエタノール溶液に加えられると、沈殿を起こす可能性があり、最終の飽和溶液を調製する場合には、HFAのこうした特性を考慮することが有用である。
【0055】
投与されるBDPの量が同じとなるように、10%および20%の量の製剤を投与しても、驚くほど異なる吸収曲線をもたらす。亜飽和の20%エタノール製剤は、急速に水平領域に達するよりも前に、フィックの法則と近い関係を示す。HFAは、ほとんどすぐに蒸発し、エタノールは、少なくとも溶液が飽和するまでには蒸発し、その後、流束は、完全にフィックの法則によって予測されるものとなると考えられる。エタノールは、蒸発し続けることとなるが、おそらく、ある程度、PVPによって妨げられ、いくらかのエタノールが残り、その中でBDPが飽和するが、一旦エタノールが蒸発すると、溶液中にはまったく存在しないこととなり、その場合、流束は、添付の図の水平領域に達し、膜のさらなる吸着/浸透が起こらない。
【0056】
飽和した10%エタノール製剤は、フィックの法則によって予測される(すなわち、熱力学的活性が1であり、不揮発性の不活性溶媒、例えば、ポリ(エチレングリコール)、に溶解された、同じ薬物によって示される)ものを超える結果を示し、、これは、亜飽和調合物の場合をかなり上回る期間、放出を示し続ける。唯一の差異は、加えられるHFAの最終の量にあり、他のすべてのパラメータは同じであるので、これは、最初の調合物(この場合、エタノールとPVP中のBDP)によって説明することはできない。
【0057】
必要なことは、製剤中の薬物の量が、噴射剤を含む製剤のすべての成分を加えた後に、飽和量であるということである。最終製剤の薬物が飽和しており、製剤が単相であれば、プレミックス(ここでは、噴射剤を除いた本発明の製剤を指す)が、飽和、亜飽和であるか、噴射剤を加える前に存在する未溶解の薬物を含むかどうかは問題ではない。
【0058】
適切な溶媒は一般に、当業者によって選択可能であり、選択される薬物に応じて選択される。適切な溶媒としては、一般に、水、シクロメチコン、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレンカーボネート、エタノール、ジメチルスルホキシド、グリセリン、イソプロピルアルコール、ミリスチン酸イソプロピル、およびオレイン酸が挙げられる。エタノールは、局所投与に適した治療的に有用な量の大抵の薬物を溶解することが可能であるので特に好ましく、任意の所与の薬物に使用するのに必要なエタノールの量が、かなり少量であることは、従来技術と比較して本発明の特別な利点である。これは、例えば、刺激の低下という利点を有する。製剤の溶媒の総量は、本発明にとっては重要でない。しかし、HFAが噴射剤として使用される場合、ベンジルアルコールが最高約2.5%に制限される一方、エタノールおよびIPAは、約40%までの量で存在することができる。
【0059】
例えば薬物の安定性を助けるために、製剤のpHを、所望により調節することができる。この点については、エタノールが溶媒として使用される場合には、BMV(吉草酸ベタメタゾン)を用いてpHを4以下に低下させることが好都合であることが判明しているが、IPAが使用される場合には、pH調整は必要でない。
【0060】
本発明の製剤はまた、薬物の放出を遅らせるために、可塑剤を含有することもできる。特に、この目的のためには、PEGを含むポリマーなどの容易に蒸発しない可塑剤が有用である。薬物放出を制御するためには、EudragitとPVPの組み合わせが有用であることが示されている。
【0061】
驚いたことに、可塑剤は、飽和薬物溶液に対するフィックの法則による予測を上回る拡散速度を可能にしつつ、皮膜からの薬物の放出を遅らせることもできる。。この効果はまた、膜を通った総放出が、フィックの法則下の飽和溶液と最終的に等しくなるまでの時間を、より長くすることができる。
【0062】
本発明の製剤は、例えばエアロゾル、あるいは溶液としての投与に適している。噴射剤の揮発性が高いので、一般に、使用されるまで、例えば、手動で操作可能な簡単な弁によって、製剤が圧力密閉されたままであることが必要である。特に有用な薬物送達装置は、エアロゾル容器であり、前記製剤は、例えば、噴霧されても管によって送達されてもよい。前記製剤は、送達の後、皮膜を形成する傾向があり、皮膜形成剤および他の添加物の量を調節することにより、得られる皮膜が緩いか堅いか、また、皮膜が固まる前に流れるか、直ちに固まるかどうかを決定することができる。必要に応じて、あるいは所望の場合、その中間を採用することもできる。
【0063】
例えば、製剤の特性を調整することによって、噴射された投薬を、厚いパッチを形成する溶液の単一のアリコートから、より大きな表面積をカバーする細かいエアロゾル化された霧まで変化させることができる。
【0064】
本発明の製剤は、可燃成分を使用せずに安全に製造することができ、これにより、特別の装置に伴う費用を減少できることは、本発明のさらなる利点である。
【0065】
他の利点としては、皮膚中に共投与される浸透促進剤の濃度を増大させ、これにより、刺激/炎症の可能性を低下させること、また、薬物の放出の速度を制御することが挙げられる。
【0066】
本発明を、以下の非限定的な実施例に関して、次からさらに例示する。
【実施例】
【0067】
材料および方法:
以下の材料および方法を、以下の実施例で使用した。
材料:
【表6】

【0068】
方法:
溶解度調査:
溶解度調査は、透明なPET容器中で行った。撹拌子を容器に加え、化学天秤で容器の風袋を計った。二プロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)または吉草酸ベクロメタゾン(BMV)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、および可塑剤(必要な場合、例えばポリ(エチレングリコール)(PEG))を、バイアルに加えた。重量で10%または20%のエタノール(EtOH)を、Gilsonピペットで加えた。容器に蓋を乗せ、圧着した。この溶液を、終夜撹拌した。その翌日にHFAを加えると、溶液の透明性が観察された。この溶液を、撹拌する、あるいは必要に応じて数日間放置し、透明度の向上または沈殿についてチェックした。結果を三元相プロットにプロットして、飽和溶液の境界線を求めた。以降の実験では、飽和溶液のみを利用した。割合はすべて、重量/重量計算に基づく。
【0069】
放出調査:
放出実験は、平均体積が10.8cmの垂直型フランツセル中で実施した。70℃で最高1時間まで脱イオン水に浸し、その後、脱イオン水ですすいで、いかなる不純物も除去した再生酢酸セルロース透析管を、合成膜のモデルとするために使用した。次いで、膜をフランツセルに合うするようにハサミで切り、下半分にマグネチックフレア(magnetic flea)を有するフランツセルの中に置いた。セルの上部を膜の上方に置き、2つの部分の周囲をパラフィルムで包むことによって、セルを完全に合体し、確実に漏れが生じないようにした。次いで、セルをひっくり返し、直ちに70:30のアセトニトリル(ACN):HOで充填し、撹拌プレートを沈めた37℃に予備加熱したウォーターバスに入れた。この系を平衡になるまで30分間静置した。セルのコンタミネーションがないことを確実にするために、いずれの製剤の適用に先立って、ゼロ時点を取った。残りの時点は、15分、30分、45分、60分、90分、2時間、3時間、および4時間であった。セルのサンプリングアームから1mlのサンプルを取り出し、ウォーターバス内で同じ温度に保たれた1mlの受容液で置き換えた。
【0070】
製剤は、アルミニウム容器(canister)内で仕上げ、溶解度調査のところで記述した定量蓋(ディップチューブを含む)で圧着した。正確に吐出するためのめのノズルの準備をするために、容器から10ショットを噴霧して廃棄した。次いで、容器を秤量した。適切な数のショットをセルに吐出し、放出された製剤の量をチェックするために、容器を再秤量した。各製剤を試験するために、5つのフランツセルを使用した。すべてのフランツセルは、実験中は密閉しなかった。市販のクリームについては、5mlのプラスチック注射器を分解してクリームで充填した。各セルに1mLのクリームを適用し、次いで、この1mLのクリームを秤量して、適用されたBDPの割合を算出した。BMVムースについては、フランツセルに適用する前後に容器を秤量し、ノズルを約1秒間押して、セルにムースを放出した。
【0071】
薬物回収:
フランツセルから取り出したサンプルを、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析した。BDPに対するHPLC条件は、以下の通りであった:
カラム Novapak(登録商標) C18 150mm×4μm HPLCカラム
カラム温度 周囲温度
移動相 70:30 ACN:H
流速 1.0mL/分
注入体積 100μL
UV波長 254nm
実行時間 6分
【0072】
BMVに対するHPLC条件は、以下の通りであった:
カラム Ace5 C18 150mm×4μm HPLCカラム
カラム温度 周囲温度
移動相 70:30 ACN:H
流速 1.0mL/分
注入 体積 10μL
UV波長 239nm
実行時間 6分
【0073】
両方法は安定性および正確性において有効である。結果は、サンプル・ピーク面積(BDPについて)またはサンプル・ピーク高さ(BMVについて)を、一連の5つの標準試料からのy=mx+b検量線と比較することによって算出した。受容室から取り出された1mLのサンプルをについて計算するために、補正係数を利用した。受容室中の薬物の累積量を、時間に対してプロットし、その曲線の傾きから流束(J)を算出した。
【0074】
〔実施例1〕
BDP、10%EtOH、HFA溶液製剤の製造:
図1は、10%EtOHを含有するBDP定量エアロゾル(MDA)溶液製剤の相挙動を示す三元図である。
【0075】
溶解するBDPの最大量は、決して約1%以上を超えることがなく、2%以上のPVPが加えられると、その量は急激に低下する。
【0076】
〔実施例2〕
BDP、20%EtOH、HFA溶液製剤の製造:
図2は、20%EtOHを含有するBDP定量エアロゾル(MDA)溶液製剤の相挙動を示す三元図である
【0077】
この系についての最高溶解度は、PVP 18%までずっとBDP 約2.2%である。大量にポリマーを添加すると、製剤が効率的に投薬できない程度にまで粘性が増大したので、これより多い量のPVPの量については調べられなかった。この系において、エタノールの割合を2倍にすることによって、BDPの溶解度は2倍以上になり、これは、製剤の成分間の複雑な関係を示している。
【0078】
〔実施例3〕
BMV、10%EtOH、HFA溶液製剤の製造:
図3は、20%EtOHを含有するBDP定量エアロゾル(MDA)溶液製剤の相挙動を示す三元図である。
【0079】
この結果は、10%EtOH中のBDPと同様であり、薬物は約3%のPVPで不溶性になる。また、どちらの系も、薬物の最高溶解度は1〜1.2%であると考えられる。
【0080】
〔実施例4〕
可塑剤として添加された水を含む、10%EtOH、PVP、HFA溶液中のBVDの溶解度:
BDP、エタノール、PVP、HFA溶液の、水との適合性を試験し、結果を表2に示した。すべての成分(すなわちEtOHを含む)についてのすべての数は、%w/wである。

表2:定量エアロゾル(MDA)製剤中の10%EtOH、BDP、HFA、PVP、および水の適合性。
【表7】

【0081】
エタノール/HFA混合物における成分の溶解度を、視覚によって決定した。表2に詳述した通り、MDA組成物に、最高0.9%の水が可溶であったが、1.3%の水を含有する組成物は、単一相系を生じなかった。
【0082】
〔実施例5〕
10%エタノール、PVP、HFA溶液からのBDPの拡散:
10%エタノール、BDP、HFA、PVP MDA製剤の組成を、表3に示す:

表3:10%エタノール、BDP、HFA、PVP製剤の組成
【表8】


表中、「配合」は、容器中の添加物の実際の割合であり、「説明」は、図1に例示した飽和レベルを求めるために利用される。この配合を使用して、図4に示す実験結果を得た。
【0083】
図4は、飽和した10%EtOH BDP MDAスプレーの複数のショット適用後の、合成膜を介したBDPの拡散を示す(平均±標準偏差、n=5)。
【0084】
スプレー製剤から放出される1cmあたりの薬物の4時間後の総累積質量は、ショット数にほぼ比例している:5、10、20、および30ショットは、それぞれ55.7、95.7、195.6、および364.3μg/cmの平均累積質量をもたらした。図4に示される薬物濃度はすべて、各60分後の時点で、互いに著しく異なる。これらの結果は、製剤から放出されるBDPの総量は、ショットの数、すなわち膜に適用される製剤の量に依存することを示している。しかし、20および30スプレーの場合の流束は、放出プロファイルにおける最初の数時間の間、非常に類似しており、これは、放出の速度が、適用される製剤の量には依存しないことを示す。より大量のスプレーを適用することは、単に定常状態の拡散が起こる時間を延長し、平衡における拡散速度の測定が、より容易になる。
【0085】
〔実施例6〕
10%EtOH、HFA溶液からのBDP拡散の、同等の市販のBDPクリームに対する比較:
10%EtOH、BDP、HFA、PVP製剤の組成を、表4に示す:
表4:10%EtOH、BDP、HFA、PVP製剤の組成:
【表9】


ここでは、「配合」は、容器中の添加物の実際の割合であり、「説明」は、図1に例示した飽和レベルを求めるために利用される。
【0086】
図5は、合成膜を使用した、10%EtOH BDP MDAスプレーと、市販のクリームからのBDP放出の比較である(平均±標準偏差、n=5)。
【0087】
フランツセルにおいて1mLのBDPクリームと同様の濃度とするために、5ショットのスプレーが必要であった。供与セル中のBDPの平均量は、スプレーについては210μg、クリームについては222μgであった。測定された各々の時点で、スプレーによって膜全体に放出される薬物の量は、クリームと比較すると有意に大きかった(p<0.05、ANOVA)。さらに、BDPクリームの流束は1.7μg/cm/hであり、BDPスプレーの流束は33.8μg/cm/hであった。スプレーがクリームよりも20倍以上速い速度で膜を通してBDPを放出したので、このスプレーは、市販の調合物と比較して、皮膚へのBDPの送達において、はるかに効率的であろうことが示される。
【0088】
〔実施例7〕
BDP、HFA、EtOH、PVP溶液におけるEtOH濃度の影響:
表5および6は、BDPの放出に対するエタノールの影響を比較するために使用した製剤を詳述する。ここでは、「配合」は、容器中の添加物の実際の割合であり、「説明」は、それぞれ図1および図2に例示した飽和レベルを求めるために利用される:

表5:10%EtOH、BDP、HFA、PVP製剤の組成:
【表10】


表6:20%EtOH BDP、HFA、PVP製剤の組成
【表11】

【0089】
図6は、エタノールの量の異なる2つのMDAからの、合成膜を通したBDP放出の比較である(平均±標準偏差、n=5)。フランツセルに適用された20%EtOH製剤の平均量は、4735.2μgであった。適用された10%EtOH製剤の平均量は、4045.0μgであった。しかし、図6に示される通り、20%EtOHを含有する製剤と比較した、10%EtOHを含有する製剤から放出されたBDPの濃度に、有意な差(p>0.05、ANOVA)はなかった。これは、このタイプの製剤からの流束に対しては、媒体中の薬物の飽和溶解度が明白な影響を与えないことを示す。
【0090】
〔実施例8〕
2つの市販の製品と比較した、HFA、エタノール、PVP溶液からのBMVの放出:
10%EtOH BMVスプレー(表7)を、BMVを含有する2つの市販の製品(クリームおよびムース)と比較した。これらの2つの異なる市販の製剤と比較するために、同じスプレーの異なる数のショットが必要であった。両方の比較のために使用される製剤を、表7に示す。ここでは、「配合」は、容器中の添加物の実際の割合であり、「説明」は、図3に例示した飽和レベルを求めるために利用される。

表7:10%EtOH、BMV、HFA、PVP製剤の組成:
【表12】

【0091】
市販のBMVクリームとの比較のためには、20ショットのスプレーが必要であり、市販のBMVムースと比較するためには、5ショットが必要であった。
【0092】
図7は、合成膜を使用した、10%EtOH BMVスプレーと市販のBMVクリームからのBMV放出の比較を示す(平均±標準偏差、n=5)。
【0093】
フランツセルに適用されたスプレー中のBMVの平均量は965μgであり、クリーム中のBMVの平均量は938μgであった。図7に示されたすべての時点で、HFAスプレーは、合成膜を通して、市販のクリームと比較して有意に高い濃度の(p<0.05、ANOVA)BMVを放出した。市販のBMVクリームの流束が8.4μg/cm/hであったのに対し、BMVスプレーの流束は、158.4μg/cm/hであった。このように、HFA製剤は、市販のクリームと比較して、合成膜を通したBMVの放出において、15倍以上効率的であった。
【0094】
図8は、10%EtOH BMVスプレーと市販のBMVムース製品の比較である(平均±標準偏差、n=5)。
【0095】
5ショットのBMVスプレーにより、フランツセルに250μgが適用された。ムース投与放出弁を「1秒」押し下げることによって、平均で240μgのBMVが放出された。図9に示されたすべての時点で、HFAスプレーは、市販のクリームと比較すると、合成膜を通して、有意に高い濃度の(p<0.05)BMVを放出した。
【0096】
BMVスプレーの流束は44.2μg/cm/hであり、BMVムースの流束は14.8μg/cm/hであった。このように、BMVスプレーは、20%EtOH含有量でなければ、ムースの二倍の速度で膜を通してBMVを放出していた。
【0097】
〔実施例9〕
BDP、HFA、EtOH、PVP溶液に可塑剤PVAを加えることの影響:
薬物飽和のPEG溶液(表8)からのBDPの放出を、PVP、PVA 40%、および飽和したBDP(加水分解されたもの)を含有する10%EtOH、HFA MDA(表9)と比較した。

表8:薬物飽和の製剤の組成:
【表13】


表9:10%EtOH、BDP、HFA、PVP、およびPVA(40%加水分解)製剤の組成:
【表14】

【0098】
図9は、PVA:PVP MDA 10%EtOHスプレーと、薬物飽和のPEG溶液の比較である(平均±標準偏差、n=5)。
【0099】
どちらの場合においても、拡散セル中に保持された膜に対して、「無限の」投与が適用され、飽和のPEG溶液からの拡散の速度は、503.10μg/cm/h(最初の4つのデータ・ポイントから測定)に対して、89.11μg/cm/h(最初の5つのデータポイントから測定)であった。
【0100】
〔実施例10〕
不揮発性飽和系および亜飽和系に対する、揮発性薬物飽和スプレーの流束:
この実験に使用される製剤の組成を、表10および11に詳述する。ここでは、「配合」は、容器中の添加物の実際の割合であり、「説明」は、図2および3に例示した飽和レベルを求めるために利用される。

表10:薬物が過飽和状態および亜飽和状態である新規のスプレー製剤の組成:
【表15】


表11:薬物飽和の溶液製剤の組成:
【表16】

【0101】
図10は、亜飽和状態と、飽和状態と、過飽和状態のBDP局所用製剤の比較である(平均±標準偏差、n=5)。
【0102】
15分後、3つの各々の製剤では、膜を介して、ほぼ同じ量の薬物が拡散する。しかし、60分後、揮発性飽和系では、他の2つの製剤と比較すると、膜を通過したBDPの量が2倍以上となる。
【0103】
亜飽和系からのBDPの流束が63.62μg/cm/h、不揮発性飽和系からの流束が89.10μg/cm/h、揮発性飽和系からの流束が206.08μg/cm/hであると算出された。したがって、揮発性飽和製剤からの薬物拡散の速度は、不揮発性飽和および亜飽和状態の局所用製剤よりも、はるかに優れていた。これは、投薬に先立って、MDAを飽和系として調製することの重要性を示す。
【0104】
〔実施例11〕
BDP、HFA、EtOH、PVP溶液に可塑剤PEG 400を加えることの影響
この実験に使用される製剤の組成を、表12および13に示す。ここでは(適切な場合は)、「配合」は、容器中の添加物の実際の割合であり、「説明」は、図1に例示した飽和レベルを求めるために利用される。

表12:揮発性薬物飽和の製剤の組成:
【表17】


表13:不揮発性薬物飽和の製剤および揮発性薬物飽和の製剤の組成:
【表18】

【0105】
図11は、様々な割合のPVAおよびPVPを含有する、飽和したBDP局所用MDAスプレーの、不揮発性飽和のPEG系、およびPEGを含まない10%EtOH系との比較である(平均±標準偏差、n=5)。
【0106】
15分後、3つの各々の製剤では、膜を介して、ほぼ同じ量の薬物が拡散する。しかし、60分後、可塑剤を含まない揮発性飽和系は、薬物飽和のPEG系と比較すると、膜を通過するBDPの量が2倍以上となる。エタノール、PVP、BDP、HFA揮発性系に加えるPEGの量を増大させると、BDPが膜を介して拡散する速度が低下したが、この系における「薬量枯渇」までの時間は増大した。すなわち、薬物流束は、より長い間、(グラフが水平領域に達せず)一定のままであった。
【0107】
不揮発性飽和系からのBDPの流束は、89.10μg/cm/hであり、10%PEG製剤からの流束は、82.57μg/cm/hであり、5%PEG製剤では155.17μg/cm/hであり、揮発性飽和系では、230.44μg/cm/hであった。したがって、揮発性飽和の製剤からの薬物拡散の速度を、可塑剤を使用して調整することが可能であった。「薬量枯渇」までの時間は、不揮発性飽和系について>4時間、10%PEG系について4時間、5%PEG系について3時間、可塑剤を含まないMDAについてはわずか2時間であった(図11)。
【0108】
[実施例12〜20]
材料および方法
実施例12〜20では、以下を使用した。
材料:
【表19】

【0109】
方法
過飽和系の定義
ポリマーと薬物の比を一定に維持して、これにより薬物飽和の影響だけを分離するために、コポビドン(co―povidone)(核形成防止剤)とBMVの割合を2:1の比で固定し、HFAの割合を変化させた。図12に示される連結線に従う一連の3種の製剤(表14)を製造し、沈殿を評価し、単相であることが判明した場合には、放出調査用に用いた。
【0110】
添付の図12は、様々な添加物組成のBMV製剤の三元プロットである。相の境界線は、「可溶」と「沈殿」との間に示される。(より傾きが急な、左下から開始する)連結線は、前記製剤が、コポビドン:BMV濃度は一定だが、飽和状態が異なるであろう領域を示す。

表14。放出調査に使用されるBMV製剤の組成。「実際」は、前記製剤中に秤量される成分の重量を示し、「理論上」は、意図された、三元相プロット上にプロットされる理論的な比を示す。
【表20】

【0111】
BMVの飽和エタノール溶液はまた、100%エタノールに過剰なBMVを加えることによって調製された。いずれの過剰な薬物も、0.2μmシリンジフィルターを介して濾過し、得られた濾液を、飽和したBMVのエタノール溶液として使用した。
【0112】
放出調査は、平均の受容区画体積が約11mlの垂直型フランツセル中で実施した。70℃で最高1時間脱イオン水に浸し、次いで、すべての不純物を取り除くために、脱イオン水ですすいだ再生酢酸セルロース透析管を、合成膜のモデルとして使用した。この膜を、フランツセルに合うようにハサミで切断し、セルの供与区画と受容区画との間に置いた。その際、受容区画部分にPTFEマグネチックスターラーバーを入れた。2つの部分の周囲にパラフィルムを用いて、セルを固定し、確実に漏れが生じないようにした。次いで、セルをひっくり返し、直ちに20%エタノール、2% Brij 98(リン酸緩衝食塩水(PBS)中)で充填し、32℃で予備加熱したウォーターバスの水に沈めた撹拌プレート上に置いた。この系を、30分間平衡化させた。セルのコンタミネーションがないことを確実にするために、製剤のいずれの適用の前にも、t=0時点を取った。セルのサンプリングアームから0.5mlのサンプルを取り出し、HPLCで直接的に分析し、あらかじめ同じ温度に維持された0.5mlの受容液で置き換えた。
【0113】
定量エアロゾル製剤を、PETコートされたガラス容器中で調製し、定量弁(ディップチューブを含有する)で圧着した。正確に適用するためのノズルの準備をするために、各容器から噴射を10回行い、廃棄した。次いで、容器を秤量した。各セルの供与区画に対して、50回の噴射を行い、噴射された製剤の量を決定するために、容器を再秤量した。飽和したエタノール溶液を用意し、1mlをフランツセルの供与区画に入れた。すべてのフランツセルは、調査中は密閉しなかった。
【0114】
薬物安定性調査
約3.5のpHに達するまで塩酸(HCl、1M)を滴下することによって、エタノールを酸性化させた。各容器にBMV、それに続いて添加物およびエタノールを連続して秤量することによって製剤を調製した。この容器を16時間振盪し、その後、HFAを加えた(表15)。この製剤を、25℃で保管し、インハウスの装置を使用して、t=0週およびt=4週においてサンプルを取り出した。各々の調合物中の薬物濃度を、エタノールへの抽出によって評価し、その後、HPLCによって分析した。薬物の濃度を、同種の製剤によって提供される理論的な濃度と比較し、製剤中の薬物の相対比(%)を算出した。

表15−定量エアロゾル製剤の安定性を評価するための製剤の組成。BMV−吉草酸ベタメタゾン、IPA−イソプロピルアルコール、HFA。
【表21】

【0115】
BMV相図の作成
薬物、続いて残りの添加物の順で、PETガラスでコートされた10mlの容器に連続的に計りとることによってこの製剤を調製した。マグネチックスターラーバーを入れ、製剤を、100μL弁で圧着した。この製剤を、室温で約16時間振盪させた後にHFAを加え、次いで、さらに8時間振盪させた後に視覚による溶解度評価を行った。
【0116】
ジプロピオン酸ベタメタゾンの放出速度に対するポリマーの影響
10mlのPETでコートされたガラス容器に、ジプロピオン酸ベタメタゾン(BMDP)添加物(1種または複数)およびエタノールを連続的に計りとることによって、製剤を調製した。各容器にPTFEでコートされた磁気従動子(follower)を入れ、圧着上部弁(crimp top valve)で密閉した。室温で約12時間、卓上振盪機上で激しく振盪させながら、BMDPおよび添加物を、エタノール中に水和させた。これに続いて、必要量のHFAを加え、この製剤を、さらに1時間振盪させた(表16)。

表16。過飽和状態の製剤からのジプロピオン酸ベタメタゾンの放出速度に対するポリマーの種類の影響を評価するために調製される製剤の組成。
【表22】

【0117】
放出調査のための比較(対照)試料として選択された市販の生成物は、Diprosone(登録商標)クリーム(0.064%w/w;0.05%w/wベタメタゾンと同等)であった。
【0118】
受容液は、既知の量のBrij 98をPBSに溶解し、次いでエタノールを加えることによって調製した。受容液の最終組成は、2% Brij 98、78% PBS、および20%エタノールであった。合成膜(分子量カットオフ値が12〜14,000Daである再生酢酸セルロース膜)を供与区画とフランツセルの受容区画との間に載せた。個々に調整したフランツセル(各セルはそれぞれ、平均表面積が約2cmであり、体積が11mlである)を使用した。使用の前に、この膜を1時間、脱イオン水中で60℃に加熱し、脱イオン水ですすいだ後にフランツセルに載せた。フランツセルを、受容液で充填し、水中で作動可能なマグネチックスターラープレートによって駆動されるPTFEコートされた磁気従動子を使用して連続的に撹拌し、32℃に維持した。前述のようにして、必要量の製剤(定量エアロゾルまたは対照試料)を、供与区画に適用した。製剤の適用後、受容液(500μL)を、各々のサンプリング時点で、サンプリングアームから取り出し、HPLCによって分析した。各サンプルを取り出し後で、あらかじめ暖められた(32℃)等体積の受容液を置き換えた。測定される時点は、0.25、0.5、0.75、1、1.25、1.5、1.75、2、3、4、および5hであった。製剤それぞれについて、4〜5回繰り返した。
【0119】
フランツセルの各供与室に、各々の定量エアロゾル製剤からの合計50噴射分を加えた。加えられるDiprosone(登録商標)クリームの重量は、加えられるBMDPの量が、スプレー製剤の50噴射分によるBMDPの量と同一であるような量であった。
【0120】
皮膜の特性評価
PETでコートされたガラス容器中に、必要量のエタノール(20%w/w)、活性剤(BDP 1.76%)、および核形成防止/可塑剤(PVP K90 1.76%w/w)を加えることによって、製剤を調製した。この容器にマグネチックスターラーを入れ、容器/弁を圧着した。核形成防止/可塑剤が確実に水和するように、容器の内容物を、室温で終夜撹拌した。これに続いて、この圧着された容器にHFA 134aを加え(76.48%w/w)、8時間にわたって混合した。
【0121】
一片の濾紙を、垂直に固定した。濾紙の平坦な面に対して垂直に定規を置き、濾紙を0mmとした。製剤を、濾紙からの所定距離に紙と向かい合う噴射装置に入れてセットした。片方の手は、作業台にしっかりと製剤容器を保持するために使用し、もう片方の手で投薬量を噴射した。所定の数の噴射を吹き付けた後、濾紙を直ちに取り除き、作業台に置き、皮膜の濡れたスポットを、蒸発が起こる前に、インクペンでなぞった。次いで、これをラベリングし、乾燥させた。直径の測定のために画像をコピーし、濾紙上の本来の像は別に保管した。各試験のために新たな噴射装置を利用し、噴射の前後に秤量した。この重量の差異を使用して、容器から噴射された後に噴射装置に付着した製剤を計算した。
【0122】
皮膜の形状を評価するために、3つの指数を使用した。最も短い直径(Dmin)と最も長い直径(Dmax)を、mm単位で手で測定した。これらの2つの測定の平均(Dmean)を使用して、完全な丸と仮定して面積を算出した(式1)。
【数3】

【0123】
ヒト皮膚への浸透
PETでコートされた透明なガラス容器に、必要量のエタノール、活性剤、および核形成防止/可塑剤を加えることによって、製剤を調製した(表17)。この容器にマグネチックスターラーを入れ、容器/弁を圧着した。核形成防止/可塑剤が確実に水和するように、容器の内容物を、室温で終夜撹拌した。これに続いて、適切な場合には、この圧着された容器にHFA 134aを加え、内容物を8時間にわたって混合した。

表17。皮膚浸透研究に適用するために調製される製剤の組成
【表23】

【0124】
凍結されたヒト皮膚サンプルから、標準のプロトコルを使用して、角質層を単離した。調製した皮膚をフィルター支持台(filter support)に載せ、垂直型フランツセルの受容部分に置いた。続いて、供与区画を受容区画の上に固定し、パラフィルムを使用して固定した。マグネチックフレアおよびサーモスタットによって調節された受容液(90:10 アセテート緩衝液pH=4.5:エタノール)を、各フランツセルに加えた。これらのセルを、37℃の浴に入れ、平衡化させ、数時間後に、各セルからブランクサンプルを取り出した。反転させて各セルの完全性を確定し、適切な量の製剤を、フランツセルの供与室に適用した。適切な時点で、200μLのサンプルを、注射器(1ml)を用いて取り出した。このサンプルを、HPLC分析まで室温で保持した。BMVは、4℃および37℃で最高72時間まで、この系において安定であることが示された。
【0125】
〔実施例12〕
過飽和状態系の定義
多孔質再生セルロース膜を介する24時間にわたるBMVの放出により、製剤中の薬物の濃度が、放出されるBMVの総量およびそれが放出される速度に、顕著な影響を与えることが実証された(図13)。図13は、調査したすべての製剤からの、t=0.25〜24時間にわたって単位面積(μg/cm)あたりに放出されるBMVの平均累積量、平均±SE(n=3〜5)を示す。0.013%BMV、0.500%および1.00%BMV製剤からの24時間後に放出されたBMVの平均累積量は、それぞれ、35.11±8.94μg/cm、165.67±57.06μg/cm、および208.99±127.47μg/cmであることが判明した。対応する定常状態速度の放出量は、0.013%、0.500%、および1.00%BMV製剤について、それぞれ、18.49±2.68から、42.20±14.52まで、また60.10±6.15μg/cmまで増大することが判明した(表18)。
【0126】
拡散のフィックの法則によれば、化合物が単一の膜を介して、ある媒体から別の媒体に通過する速度は、濃度に直接関連するのではなく、その化合物の、それが拡散する媒体中における熱力学的活性に関連する。溶液内の化合物の熱力学的活性は、その飽和の程度に比例している。所与の溶媒中における化合物の最大の熱力学的活性は、1であり、これは、溶媒をその化合物で飽和させる、すなわち、その溶媒中に最大の量を溶解する、ことによって達成される。この実施例では、エタノール中に飽和される場合、BMVが膜を通して拡散する速度は、23.87±10.81μg cmであり、これは、飽和の場合、すなわち熱力学的活性が1である場合のBMVの拡散速度に相当する。驚いたことに、BMVが飽和濃度(1.00%BMV)で、新規のスプレー製剤を使用して膜に適用された場合、放出速度(図13a中に示される最初の勾配)は、飽和したエタノール溶液よりも2.5倍大きかった。0.500%BMVおよび0.013%BMVを使用して適用された場合、最初の放出速度は、エタノール系と比較して有意に異ならなかった(p<0.05、ANOVA)。これらの結果は、BMVが最初に飽和した製剤からの適用の後、膜上に2.5×過飽和状態系として存在することを示す。BMVが、それが完全に飽和する濃度の10〜50%で調製された場合、これは、膜に適用される際に飽和溶液を発生し、飽和したエタノール溶液と同じ速度で、薬物を放出した。
【0127】
新規の製剤からの流束の劇的な増加は、膜の表面上に高度に過飽和した製剤をもたらす瞬間蒸発するHFA溶媒と共溶媒の間の相互作用の結果と考えられる。この影響は、薬物がHFA/エタノール混合物中にその総飽和濃度の>50%で含まれる場合に生じる。この新規の製剤アプローチにより、適用前に飽和系として保管され、適用時に高度に飽和した状態をもたらすことができることは、局所的薬物送達のためにおいて非常に好都合である。

表18 等しい濃度のエタノールおよびコポビドンを含有しているが、HFAの濃度が異なり、0.013%、0.500%、1.00%BMVである製剤の定常状態流束のまとめ。対照は、エタノール溶液中に飽和させたBMVであった。
【表24】

【0128】
〔実施例13〕
過飽和状態の定量エアロゾルにおける薬物安定性
エタノール/HFA混合物中に4週間保管すると、元々含まれていたBMVの非常に多くは、おそらく化学分解により、失われる(表19)。しかし、酸性化されたエタノールが製剤中で共溶媒として使用された場合、4週後に製剤から回収されるBMVは、調査開始時のものと比較して、有意な(p<0.05、ANOVA)差がなかった。HFA/イソプロピルアルコール混合物中に薬物を包含させることによって、BMVの相対的な濃度の、小さいが、有意な(p>0.05、ANOVA)低下がもたらされた。

表19 エタノール(BMV Cont)、イソプロピルアルコール(BMVIPA)、および酸性化されたエタノール(BMVeth3.5)を使用した、室温で4週間保管した後の新規のスプレー製剤におけるBMVの相対濃度のまとめ(n=3 平均±SD)。
【表25】

【0129】
〔実施例14〕
飽和したサリチル酸定量エアロゾルの生成。
図14は、様々な添加物組成の2%サリチル酸の三元プロットである。サリチル酸を、コポビドンS−630と共に、エタノール、ハイドロフルオロアルカン混合物内に可溶化させた。この三元プロットは、単に製剤中のエタノールのレベルを変化させることによって、2%サリチル酸と83%HFAで飽和系を形成することが可能であったことを示す(図14)。
【0130】
〔実施例15〕
二プロピオン酸ベクロメタゾンの放出速度に対するポリマーの影響
図15は、ポリビニルピロリドン(スプレーX、PVP K90)、コポビドン(スプレーY)、およびEudragitおよびPVP(スプレーZ)を含有する3つの新規のスプレー製剤からt=0.25〜5時間にわたって単位面積(μg/cm)あたりに放出されるBMDPの、市販の比較物diprosoneと比較した平均累積量を示す。平均±SE(n=3〜5)。飽和スプレー製剤中に、ポリビニルピロリドン(スプレーX、PVP K90)またはコポビドン(スプレーY)のどちらが使用されたかにかかわらず、これらは、5時間にわたって非常に類似の放出速度のBMDPをもたらした(図15)。しかし、スプレーZ(EudragitおよびPVP)については、5時間後の放出されたBMDPの累積量が、0.949±0.176μg/cmで、非常に低かった(p<0.05、ANOVA)。
【0131】
試験された新規のスプレー製剤はいずれも、市販のクリーム(Diprosone)と比較して、BDPの有意に(p<0.05、ANOVA)高い放出を示し、市販のクリームでは5時間後の放出されたBDPの累積量は、0.062±0.011μg/cmであることが判明した。
【0132】
〔実施例16〕
飽和したベンゾイルペルオキシド定量エアロゾルの生成。
図16は、様々な添加物組成の過酸化ベンゾイルの三元プロットである。過酸化ベンゾイル(BPO)を、PVP K90と共に、エタノール、ハイドロフルオロアルカン混合物中に可溶化させた。この三元プロットは、製剤中に10%エタノールを使用して、1%BPOと98%HFAを用いて、飽和系が形成可能であったことを示す(図16)。
【0133】
〔実施例17〕
皮膜形成に対するスプレー距離の影響
製剤と、皮膜の意図される付着部位との間の距離が、その特性に対してどのような影響を及ぼすかということを評価するために、スプレー製剤の単一のショットを、そのターゲット表面からの設定距離を変えて噴射した(図17)。
【0134】
図17は、濾紙からの製剤の距離を変化させることによる、皮膜の面積に対する影響を示す。20%EtOH 1:1 PVP K90:BDP製剤の単一の噴射から得られたデータ、平均±sd(n=4)。
【0135】
概して、製剤と濾紙との間の距離が増すと、皮膜の面積が減少することが観察された。スプレー距離の増大に伴う皮膜のばらつきの低下は、最適な距離が約>6cmであることを示唆した。
〔実施例18〕
【0136】
皮膜形成に対するスプレー数の影響
新規のスプレー製剤によってもたらされる皮膜の面積は、噴射の数が増えると増大した(図18)。また、噴射数が増すと、投薬のばらつきは低下した。
【0137】
図18は、製剤の噴射の数の増加に伴う、皮膜の面積に対する影響を示す。濾紙から製剤の距離を、4cmと一定に保ち、20%EtOH 1:1 PVP K90:BDP製剤を使用した。平均±SD(n=4)。
【0138】
噴射数の増加に伴う皮膜のばらつきの低下によって、最適な噴射数が2以上であることが示唆された。
【0139】
〔実施例19〕
ヒト皮膚を通した薬物浸透。
新規のスプレー製剤を使用して、5時間後にヒト角質層を通して浸透したBDPの量は、ゲルと比較して非常に大きかった(p<0.05、ANOVA)(図19)。ゲル製剤は、5時間後も放出し続けたが、新規の製剤は、そうではなく、受容液中の薬物濃度は一定のままであった。
【0140】
図19は、ハイドロフルオロアルカン噴射剤を含むこと以外は同じ添加物を含むゲル(BMVゲル)と比較した、新規のスプレー製剤(MDA)からのt=0.25〜7時間の単位の面積(μg/cm)あたりの角質層全体に浸透するBMVの平均累積量を示す。平均±SE(n=6〜8)。
【0141】
ゲルと、スプレー製剤からのBMVの拡散の差によって、新規のスプレー製剤にHFAを含めることが、活性剤の皮膚への浸透を増進させるために必須であることが示された。
【0142】
〔実施例20〕
実施例20−例示的な製剤
【表26】


【表27】


【表28】


【表29】

【0143】
References

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【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所投与時に皮膜を形成することが可能な医薬製剤であって、薬品、その溶媒、皮膜形成剤、および噴射剤の調合物を含み、単相であり、かつ、使用条件下において前記薬品がその中に実質的に飽和量で存在する、医薬製剤。
【請求項2】
前記薬品が、少なくとも80%飽和で存在する、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記薬品が、少なくとも90%飽和で存在する、請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
前記薬品が、少なくとも95%飽和で存在する、請求項3に記載の製剤。
【請求項5】
前記薬品が、100%飽和、あるいは100%飽和に近い量で存在する、請求項4に記載の製剤。
【請求項6】
核形成防止剤を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項7】
前記核形成防止剤が、PVA、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、グリコールエステル、ポリアクリル酸、およびそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項6に記載の製剤。
【請求項8】
前記薬品が、局所用止痒剤;局所用麻酔剤;抗ヒスタミン剤;副腎皮質ステロイド;乾癬のための局所用調剤;座瘡のための局所用調剤;座瘡のための局所用抗菌剤;皮膚科用薬物;座瘡のための局所用レチノイドおよび関連する調剤;座瘡のための他の局所用調剤;局所用抗菌剤;局所用抗真菌剤;抗ウイルス調剤;軽度の切り傷および擦過のための調剤;局所用循環調剤;ヘパリノイド発汗抑制剤;非ステロイド性の抗炎症剤;光線性角化症治療薬;カプサイシン;およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項9】
皮膚、爪、創傷、口腔粘膜、膣、直腸、肛門、鼻、および歯から選択される身体の表面に適用するための、請求項1から8のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項10】
前記皮膜形成剤が、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アクリルポリマー、アクリルコポリマー、メタクリレートポリマー、メタクリレートコポリマー、ポリ(酢酸ビニル)、セルロース系コポリマーからなる群から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項11】
前記皮膜形成成分が、PVPである、請求項10に記載の製剤。
【請求項12】
前記皮膜形成成分が、PVAである、請求項10に記載の製剤。
【請求項13】
前記皮膜形成剤が、前記製剤が皮膚上にヒドロゲルを形成することを可能にするものである、請求項1から12のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項14】
前記皮膜形成剤が、0.1%〜40%w/wの量で存在する、請求項1から13のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項15】
前記皮膜形成剤が、0.1%〜10%w/wの量で存在する、請求項14に記載の製剤。
【請求項16】
前記皮膜形成剤が、0.1%〜4%w/wの量で存在する、請求項14に記載の製剤。
【請求項17】
可塑剤を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項18】
前記可塑剤が、水、グリセロール、ポリエチレングリコール、オレイン酸、クエン酸、リン酸エステル、脂肪酸エステル、グリコール誘導体、炭化水素および炭化水素誘導体、アジピン酸/ブタンジオール・ポリエステル、エポキシ化大豆油、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、クエン酸エステル、ヒマシ油、トリアセチン、塩素化パラフィン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項17に記載の製剤。
【請求項19】
前記可塑剤が、0.1%〜40%w/wの量で存在する、請求項17または18に記載の製剤。
【請求項20】
前記可塑剤が、0.1%〜10%w/wの量で存在する、請求項17または18に記載の製剤。
【請求項21】
前記可塑剤が、0.1%〜4%w/wの量で存在する、請求項17または18に記載の製剤。
【請求項22】
前記噴射剤が、1種類または複数種類のハイドロフルオロアルカンである、請求項1から21のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項23】
前記溶媒が、水、シクロメチコン、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレンカーボネート、エタノール、ジメチルスルホキシド、グリセリン、イソプロピルアルコール、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から22のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項24】
前記溶媒が、最高40%までの量で存在する、請求項1から23のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項25】
前記溶媒が、エタノールおよびイソプロピルアルコールからなる群から選択される、請求項1から24のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項26】
前記溶媒が、15%w/wを超えない量のエタノールである、請求項25に記載の製剤。
【請求項27】
エタノールの量が、10%w/wを超えない、請求項25に記載の製剤。
【請求項28】
前記溶媒が、最高2.5%w/wまでの量のベンジルアルコールを含む、請求項23に記載の製剤。
【請求項29】
前記薬品の安定性を増強させるようにpHが調節された、請求項1から28のいずれか一項に記載の製剤、
【請求項30】
ポリエチレングリコール、ユードラジット(Eudragit)、ポリビニルピロリドン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される可塑剤を含む、請求項1から29のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項31】
1%w/wと5%w/wの間のポリエチレングリコールを含む、請求項30に記載の製剤。
【請求項32】
前記皮膜形成成分の性質および濃度が、前記噴射剤の非存在下において、前記溶媒の一部の蒸発後に、皮膜が実質的に形成されるように選択される、請求項1から30のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項33】
請求項1から32のいずれか一項に記載の製剤の貯蔵部を含むエアゾールディスペンサー。
【請求項34】
ある状態を、該状態の治療に適切な薬物を用いて治療するのための方法であって、請求項1から32のいずれか一項に記載の製剤を、患者の局所的表面に投与することによって、その必要がある患者に有効量の前記薬物を適用する工程を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図13a】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−67651(P2013−67651A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−277167(P2012−277167)
【出願日】平成24年12月19日(2012.12.19)
【分割の表示】特願2008−530613(P2008−530613)の分割
【原出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(507398187)メドファーム リミテッド (3)
【Fターム(参考)】