説明

局所的なエストロゲン欠損から生じる状態の予防又は治療のための方法

本発明は、局所的なエストロゲン欠損から生じる状態、例えば性交疼痛症、外陰萎縮症、膣萎縮症、膣の乾燥、外陰のかゆみ、膣のかゆみ、外陰灼熱感、膣灼熱感、外陰ジストロフィー、萎縮性膣炎又は閉経期性機能障害の予防及び治療のための方法に関する。一部の実施形態では、本発明の方法は、エストロゲン、例えば結合型エストロゲン、及びプロゲスタゲン、例えばMPAの全身投与、例えば経口投与、及び同時にエストロゲン、例えば結合型エストロゲンの局所投与を含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、結合型エストロゲン及びMPAの経口投与、及び、例えばクリーム中での、結合型エストロゲンの外陰投与、膣投与又は外陰及び膣投与を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、局所的なエストロゲン欠損から生じる状態の予防又は治療のための方法に関する。一部の実施形態では、本発明の方法は、エストロゲン、例えば結合型エストロゲン、及びプロゲスタゲン、例えば酢酸メドロキシプロゲステロン(medroxyprogesterone acetate)(MPA)の全身投与、及び同時にエストロゲンの局所投与を含む。一部の実施形態では、本発明の方法は、結合型エストロゲン及び酢酸メドロキシプロゲステロンの経口投与、及び、例えばクリーム中での、結合型エストロゲンの外陰投与、膣投与又は外陰及び膣投与を含む。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
女性は閉経期の様々な症状を経験し、実際に閉経移行期に症状を経験しない女性は25%に満たない。閉経の症状は、この時期の女性の生活の質(QoL)に実質的な影響を及ぼし、しばしば膣及び外陰の解剖学的及び生理的変化、膣潤滑の低下、血管運動活性の上昇、認知変化、睡眠障害及び心理社会的機能の変化を伴う。
【0003】
閉経後の女性における萎縮性膣炎は、内因性エストロゲンレベルの低下を原因として起こる。生じる症状は、膣の乾燥、かゆみ、過敏及び性交疼痛を含み、これらの女性の40%もが罹患し得る。これらの症状の軽減のための膣エストロゲン製剤の使用は有効であることが証明されているが、全身吸収及び生じる子宮内膜作用に関する情報はほとんどない。現在のFDA及び医師会のガイドラインは、症状緩和のために最小有効用量のホルモン療法の使用を推奨しているので、それらの安全性プロフィールを同時に分析しながら、局所緩和を与える低用量膣製剤の能力を理解することが重要である。試験は、膣成熟指数(VMI)に直接影響を及ぼすことによる、萎縮性膣炎への膣エストロゲンクリームの有効性を明らかにし、結合型エストロゲン0.3mgという低用量でVMIの改善の証拠を示した。女性の健康イニシアチブ(Women's Health Initiative)(WHI)からの結果が公表されて以来 (Rossouw JE, Anderson GL, Prentice RL, LaCroix AZ, Kooperberg C, Stefanick ML, Jackson RD, Beresford SA, Howard BV, Johnson KC, Kotchen JM, Ockene J. Risks and benefits of estrogen plus progestin in healthy postmenopausal women: Principal results from the Women's Health Initiative randomized controlled trial. JAMA 2002; 288: 321- 333.)、膣ホルモン製品は、閉経に関連する膣症状の局所治療に関してまだそれらに信頼を置く、閉経期女性による使用の増大を経験した。
【0004】
性機能の変化も、しばしば閉経期女性とそのパートナーにとっての懸案事項である。この懸案事項はしばしば、女性とその医師、他の医療提供者、さらには女性の同僚又は配偶者であっても自発的に共有されない。多数の文献が、しかしながら、性行為及び自己認識される性欲の閉経前パターンが更年期以降では変化するという主張を支持している。閉経は性機能不全の重大な危険因子であり、リビドー、性行為の頻度及び膣性交疼痛への有害作用に関連し得る。加えて、閉経移行は、時として女性のパートナーとの関係、及び性的関係を享受する能力におけるマイナスの変化に結びつく。
【0005】
性機能不全は、一部の女性にとって閉経期のQoLの低下に重要な役割を果たすことがあり、また健康な性欲は、閉経後の女性の全体的QoLを維持する上で重要な役割を果たし得る。性的機能は、女性の人生のこの時期に起こる生理的変化及びホルモンの変化によって影響される身体的及び感情的因子の複雑な相互作用を含む。循環エストロゲンレベルは性機能(欲求、活動、感情/経験及び問題)の重要な予測因子であることが示された。
【0006】
閉経後女性における骨量減少予防のためのホルモン補充療法の使用は十分な先例がある。通常のプロトコールは、エストロン、エストリオール、エチニルエストラジオール又は天然ソースから単離された結合型エストロゲン(すなわちWyethからのPremarin(登録商標)結合型エストロゲン)を含有するそのような製剤を使用したエストロゲン補充を必要とする。一部の患者では、治療は、子宮組織への単独(unopposed)エストロゲン(プロゲスチンと併用して投与されないエストロゲン)の増殖作用のために禁忌であり得る。この増殖は子宮内膜症及び/又は子宮内膜癌の危険性の増加に関係している。単独エストロゲンの乳房組織への作用はそれほど明らかではないが、ある程度の懸念がある。子宮及び乳房における増殖作用を最小限に抑えながら、骨保存作用を維持することができるエストロゲンの必要性は明白である。
【0007】
ホルモン療法は、泌尿生殖器症状及び泌尿生殖器の健康の様々な基準、例えば膣細胞学及び子宮内膜の厚さに有益な作用を生じさせることが示された。しかし、閉経期における性交疼痛症、性機能及び他のQoL関連パラメータに対するより新しい低用量ホルモン療法の役割を検討する、上記で引用した試験以外の情報はほとんどない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
女性の生活の質(QoL)に実質的な影響を及ぼす閉経症状を軽減する、閉経後女性のための有効な薬剤治療の必要性が存在する。本発明は、これら並びに他の重要な目的を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
一部の実施形態では、本発明は、
(a)エストロゲン;及び
(b)プロゲスタゲン;
をその必要のある患者に全身投与すること、及び同時に、
(c)エストロゲン
を患者に局所投与すること
を含む、局所的なエストロゲン欠損から生じる状態を予防する又は治療するための方法を提供する。
【0010】
一部の実施形態では、全身投与されるエストロゲン(a)、全身投与されるプロゲスタゲン(b)、及び局所投与されるエストロゲン(c)は、連続的、間欠的又は断続的投与レジームで各々独立して投与され、
全身投与エストロゲンの1日量は、結合型エストロゲン約0.15mg〜約2.5mgの用量に相当し;
全身投与プロゲスタゲンの1日量は、酢酸メドロキシプロゲステロン約0.25mg〜約10mg、又はプロゲステロン約5mg〜約500mgの用量に相当し;及び
局所投与エストロゲンの1日量は、結合型エストロゲン約0.05mg〜約2.5mgの用量に相当する。
【0011】
一部のさらなる実施形態では、エストロゲン(a)及びプロゲスタゲン(b)は経口的に投与される。
【0012】
一部の実施形態では、本発明は、その必要のある患者に経口投与成分と局所投与成分を投与することを含み、経口投与成分が、
(i)結合型エストロゲン;及び
(ii)酢酸メドロキシプロゲステロン
を含み、及び局所投与成分が、
(iii)結合型エストロゲン
を含み、経口投与成分と局所投与成分が、連続的、間欠的又は断続的投与レジームで各々独立して投与され、
経口投与結合型エストロゲンが、約0.15mg〜約2.5mgの用量で投与され;
経口投与酢酸メドロキシプロゲステロンが、約0.25mg〜約10mgの用量で投与され;及び
局所投与結合型エストロゲンが、結合型エストロゲン約0.05mg〜約2.5mgの用量で投与される、
局所的なエストロゲン欠損から生じる状態を予防する又は治療するための方法を提供する。
【0013】
一部の実施形態では、全身投与されるエストロゲンは、結合型エストロゲンを含む又は結合型エストロゲンからなる。一部のさらなる実施形態では、全身投与されるプロゲスタゲンは、プロゲスチンを含む又はプロゲスチンからなる。一部のさらなる実施形態では、全身投与されるプロゲスタゲンは、酢酸メドロキシプロゲステロンを含む又は酢酸メドロキシプロゲステロンからなる。一部のさらなる実施形態では、全身投与されるプロゲスタゲンは、プロゲステロンを含む又はプロゲステロンからなる。一部のさらなる実施形態では、局所投与されるエストロゲンは、結合型エストロゲンを含む又は結合型エストロゲンからなる。一部のさらなる実施形態では、全身投与されるエストロゲンは、結合型エストロゲンを含む又は結合型エストロゲンからなり、全身投与されるプロゲスタゲンは、酢酸メドロキシプロゲステロンを含む又は酢酸メドロキシプロゲステロンからなり、及び局所投与されるエストロゲンは、結合型エストロゲンを含む又は結合型エストロゲンからなる。
【0014】
一部の実施形態では、局所投与されるエストロゲンは、1又はそれ以上のクリーム、溶液、スラリー、坐薬、ペッサリー、又は機械的担体中で投与される。一部の実施形態では、局所投与エストロゲンはクリーム中で投与される。
【0015】
一部の実施形態では、全身投与されるエストロゲン及び全身投与されるプロゲスタゲンは、単一剤形で、例えば錠剤又はカプセルで投与される。一部の実施形態では、単一剤形は、結合型エストロゲン約0.45mg及び酢酸メドロキシプロゲステロン約1.5mgを含有する又はそれらからなる。
【0016】
一部の好ましい実施形態では、経口投与される結合型エストロゲンは約0.45mgの用量で投与され、及び経口投与される酢酸メドロキシプロゲステロンは約1.5mgの用量で投与される。一部のそのような実施形態では、局所投与される結合型エストロゲンは、約0.3mgの用量で又は約0.45mgの用量で投与される。
【0017】
一部のさらなる好ましい実施形態では、経口投与される結合型エストロゲンは約0.3mgの用量で投与され、及び経口投与される酢酸メドロキシプロゲステロンは約1.5mgの用量で投与される。一部のそのような実施形態では、局所投与される結合型エストロゲンは、約0.3mgの用量で又は約0.45mgの用量で投与される。
【0018】
一部のさらなる好ましい実施形態では、経口投与される結合型エストロゲンは約0.625mgの用量で投与され、及び経口投与される酢酸メドロキシプロゲステロンは約2.5mgの用量で投与される。一部のそのような実施形態では、局所投与される結合型エストロゲンは、約0.3mgの用量で又は約0.45mgの用量で投与される。
【0019】
一部の実施形態では、局所投与エストロゲン、又は局所投与プロゲスタゲン、又は局所投与エストロゲンと局所投与プロゲスタゲンの両方は、膣に、もしくは外陰に、又は膣と外陰の両方に適用される。一部の実施形態では、局所投与エストロゲンはクリームの形態で適用される。
【0020】
一部の実施形態では、投与レジームは、全身投与エストロゲン及び全身投与プロゲスタゲンの毎日の投与、ならびに局所投与エストロゲンの毎日の投与を含む又はそれらからなる。
【0021】
一部の実施形態では、投与レジームは、全身投与エストロゲン及び全身投与プロゲスタゲンの毎日の投与、ならびに局所投与エストロゲンの間欠的又は断続的投与を含む又はそれらからなる。
【0022】
一部のさらなる実施形態では、投与レジームは、全身投与エストロゲン及び全身投与プロゲスタゲンの間欠的又は断続的投与、ならびに局所投与エストロゲンの毎日の投与を含む又はそれらからなる。
【0023】
一部のさらなる実施形態では、投与レジームは、全身投与エストロゲン及び全身投与プロゲスタゲンの間欠的又は断続的投与、ならびに局所投与エストロゲンの間欠的又は断続的投与を含む又はそれらからなる。
【0024】
一部の実施形態では、全身投与エストロゲン、全身投与プロゲスタゲン、及び局所投与エストロゲンの間欠的投与は、隔日に、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと又は週に1回、各々独立して実施される。
【0025】
一部の実施形態では、本発明の方法は、性交疼痛症、外陰萎縮症、膣萎縮症、膣の乾燥、外陰のかゆみ、膣のかゆみ、外陰灼熱感(burning)、膣灼熱感、外陰ジストロフィー、萎縮性膣炎、閉経期性機能障害、及び膣、外陰、膀胱、腸又は他の骨盤器官の萎縮性変化から選択される、局所的なエストロゲン欠損から生じる状態を予防する又は治療するために使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
詳細な説明
本発明は、局所的なエストロゲン欠損から生じる状態、特に女性の生活の質(QoL)に実質的な影響を及ぼす状態を予防する又は治療するための方法を提供する。本発明の方法に適する例示的な状態は、性交疼痛症、外陰萎縮症、膣萎縮症、膣の乾燥、外陰のかゆみ、膣のかゆみ、外陰灼熱感、膣灼熱感、外陰ジストロフィー、萎縮性膣炎、閉経期性機能障害、及び膣、外陰、膀胱、腸又は他の骨盤器官の萎縮性変化を含むが、これらに限定されない。
【0027】
一部の実施形態では、本発明の方法は、
(a)エストロゲン;及び
(b)プロゲスタゲン;
をその必要のある患者に全身投与すること、及び同時に、
(c)エストロゲン
を患者に局所投与すること
を含む。
【0028】
一部の実施形態では、本発明の方法は1又はそれ以上のエストロゲンを使用する。本明細書では、「エストロゲン」という用語は、エストロゲン受容体において活性である調節剤を包含し、天然及び合成ステロイド性エストロゲン、ならびに天然及び合成非ステロイド性エストロゲンを含むが、これらに限定されないことが意図されている。全身及び局所投与の両方のために本発明の方法において有用なエストロゲンの非限定的な例は、エストロン、エストリオール、エキリン(equilin)、エストラジエン、エキレニン(equilenin)、エチニルエストラジオール、微粉化エストラジオール及び17β−エストラジオールを含むがこれらに限定されないエストラジオール、17α−ジヒドロエキレニン、17β−ジヒドロエキレニン(米国特許第2,834,712号参照)、17α−ジヒドロエキリン、17β−ジヒドロエキリン、メンストラノール及び結合型卵胞ホルモン、例えばWyethのPremarin(登録商標)(結合型エストロゲン)製品中のものを含む。フィトエストロゲン(phytoestrogen)、例えばエコール(equol)又はエンテロラクトン(enterolactone)も、本発明の方法において使用できる。一部の実施形態では、本発明において使用されるエストロゲンは、天然(例えばウマの)及び合成結合型卵胞ホルモン(結合型エストロゲン)を含む又はそれらからなる。結合型エストロゲンの1つの好ましい例は、WyethのPremarin(登録商標)製品である。エステル化エストロゲン、例えばEstratab(登録商標)の商標名でSolvay Pharmaceuticals, Inc.によって販売されているものも、本発明の方法と共に使用し得る。また、適用されるエストロゲンの塩、最も好ましくはナトリウム塩も、本発明の方法に関して有用である。これらの好ましい塩の例は、硫酸エトスロンナトリウム、硫酸エキリンナトリウム、硫酸17α−ジヒドロエキリンナトリウム、硫酸17α−エストラジオールナトリウム、硫酸δ8,9−デヒドロエストロンナトリウム、硫酸エキレニンナトリウム、硫酸17β−ジヒドロエキリンナトリウム、硫酸17α−ジヒドロエキレニンナトリウム、硫酸17β−エストラジオールナトリウム、硫酸17β−ジヒドロエキレニンナトリウム、エストロン3−硫酸ナトリウム、エキリン3−硫酸ナトリウム、17α−ジヒドロエキリン3−硫酸ナトリウム、3β−ヒドロキシ−エストラ−5(10),7−ジエン−17−オン3−硫酸ナトリウム、5−α−プレグナン−3−β−20Rージオール20ー硫酸ナトリウム、5α−プレグナン−3β,16−α−ジオール−20−オン3−硫酸ナトリウム、δ(8,9)−デヒドロエストロン3−硫酸ナトリウム、エストラ−3β、17αジオール3−硫酸ナトリウム、3β−ヒドロキシ−エストラ−5(10)−エン−17−オン3−硫酸ナトリウム又は5α−プレグナン−3β,16α,20R−トリオール3−硫酸ナトリウム、又はエストロピペート(estrapipate)である。参照によりここに組み込まれる、米国特許第5,210,081号に述べられているような、8,9−デヒドロエストロンのアルカリ金属塩及び8,9−デヒドロエストロン硫酸エステルのアルカリ金属塩も使用し得る。エストロンの好ましい塩は、ナトリウム塩及びピペレート塩を含むが、これらに限定されない。
【0029】
一部の実施形態では、全身投与及び局所投与されるエストロゲンは、何らかの組合せでの、1又はそれ以上の適切なエストロゲン、例えば上述したものの組合せ、例えば、限定ではなく、エストラジオール、エストロン及びエストリオールの1又はそれ以上の組合せを含む。
【0030】
本明細書では「結合型エストロゲン」(CE)は、天然及び合成結合型エストロゲンの両方、例えば米国薬局方(USP23)に述べられている化合物、並びに当業者によってそのようにみなされる他のエストロゲンを含む。CEは、典型的にはエストロゲン様成分、例えばエストロン及びエキリンの混合物であるが、本発明のエストロゲンは、そのような混合物を使用することができ、あるいは選択された又は個々のエストロゲン様成分だけを含む。これらのCEは合成又は天然起源であり得る。さらに、「結合型エストロゲン」は、そのような化合物のエステル、例えば硫酸エステル、そのような化合物の塩、例えばナトリウム塩、及びそのような化合物の塩のエステル、例えば硫酸エステルのナトリウム塩、並びに当分野で公知の他の誘導体を指す。一部の具体例は、17−α及びβ−ジヒドロエキリン、エキレニン、17−α及びβ−ジヒドロエキレニン、エストロン、17−β−エストラジオール、及びそれらの硫酸エステルナトリウムを含む。
【0031】
天然に生じるCEは、通常は妊馬尿から得られ、次にそれらを処理して、安定化し得る。そのような処理の例は、各々が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第2,565,115号及び同第2,720,483号に述べられている。
【0032】
多くのCE製品が市販されている。これらの中で好ましいのは、Premarin(登録商標)(Wyeth, Madison, NJ)として公知の天然に生じるCE製品である。合成エストロゲンから製造されたもう1つの市販のCE製品はCenestin(登録商標)(Duramed Pharmaceuticals, Inc., Cincinnati, Ohio)である。
【0033】
一部の実施形態では、本発明の方法は1又はそれ以上のプロゲスタゲンを使用し、プロゲスタゲンはプロゲステロン又はプロゲスチンであり得る。プロゲスチンはプロゲステロンに類似の作用を生じさせる、又はプロゲステロン、アンドロゲン受容体又はプロゲステロンとアンドロゲン受容体の両方に調節作用を及ぼす合成ホルモンとして公知である。全身及び局所投与の両方のために本発明の方法に従って有用なプロゲスタゲンの例は、ステロイド性及び非ステロイド性プロゲスチン及びプロゲステロンを含むが、これらに限定されない。有用なプロゲスタゲンの具体的な非限定的例は、酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)、酢酸ノルエチンドロン(norethindrone)(NETA)、ノルエチンドロン、プロゲステロン及び微粉化プロゲステロン、レボノルゲストレル、ゲストデン、デソゲストレル及びノルゲスチメートを含む。
【0034】
一部の実施形態では、局所投与されるプロゲスタゲンは、何らかの組合せでの、1又はそれ以上の適切なプロゲスタゲン、例えば上述したものの組合せを含む。
【0035】
一部の実施形態では、好ましい全身投与エストロゲンは、好ましくは経口投与される、結合型エストロゲン(ウマ又は合成)、エストラジオール(微粉化又は17b−エストラジオール)、エストロピペート、エストラジオール、エストロン、エストリオール、エチニルエストラジオール、及びそれらの組合せを含む。
【0036】
一部の実施形態では、好ましい全身投与プロゲスタゲンは、好ましくは経口投与される、より好ましくは全身投与エストロゲン又は複数のエストロゲンと同時に投与される、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸ノルエチンドロン(NETA)、ノルエチンドロン、プロゲステロン(微粉化)、ノルゲスチメート、及びそれらの組合せを含む。
【0037】
一部の実施形態では、好ましい局所投与エストロゲンは、好ましくはクリーム中で投与される、結合型エストロゲン(ウマ又は合成)、エストラジオール(微粉化又は17b−エストラジオール)、エストロピペート、エストラジオール、エストロン、エストリオール、エチニルエストラジオール、及びそれらの組合せを含む。一部のより好ましい実施形態では、局所投与エストロゲン又は複数のエストロゲンは、好ましくはクリーム中の、結合型エストロゲン(ウマ又は合成)、エストロピペート、又はエストラジオールを含み、例えばWyethのPREMARIN(登録商標)(結合型エストロゲン)膣クリームである。
【0038】
局所及び/又は全身エストロゲン/プロゲスタゲンの一部の好ましい組合せは、エストラジオール/レボノルゲストレル;17−βエストラジオール/レボノルゲストレル;結合型ウマエストロゲン/レボノルゲストレル;エストラジオール/dl−ノルゲストレル;17−βエストラジオール/dl−ノルゲストレル;吉草酸エストラジオール/レボノルゲストレル;吉草酸エストラジオール/dl−ノルゲストレル;結合型ウマエストロゲン/dl−ノルゲストレル;エストラジオール/ノルエチンドロン(ノルエチステロン);17−βエストラジオール/ノルエチンドロン(ノルエチステロン):吉草酸エストラジオール/ノルエチンドロン(ノルエチステロン);結合型ウマエストロゲン/ノルエチンドロン(ノルエチステロン);エストラジオール/酢酸ノルエチンドロン(ノルエチステロン);17−βエストラジオール/酢酸ノルエチンドロン(ノルエチステロン);吉草酸エストラジオール/酢酸ノルエチンドロン(ノルエチステロン);結合型ウマエストロゲン/酢酸ノルエチンドロン(ノルエチステロン);エストラジオール/酢酸メドロキシプロゲステロン;17−βエストラジオール/酢酸メドロキシプロゲステロン;吉草酸エストラジオール/酢酸メドロキシプロゲステロン;及び結合型エストロゲン(ウマ又は合成)/酢酸メドロキシプロゲステロンを含むが、これらに限定されない。
【0039】
本発明の方法によれば、全身投与エストロゲン、全身投与プロゲスタゲン、及び局所投与エストロゲンは、連続的、間欠的又は断続的投与レジームで各々独立して投与され得る。前記全身投与又は局所投与成分のいずれか又は全部のレジームの期間は、各々独立して、単回投与から慢性治療レジームまで、任意の長さであり得る。
【0040】
一部の実施形態では、投与レジームは、全身投与エストロゲン及び前記全身投与プロゲスタゲンの毎日の投与;ならびに局所投与エストロゲンの毎日の投与を含む又はそれらからなる。
【0041】
一部の実施形態では、投与レジームは、全身投与エストロゲン及び全身投与プロゲスタゲンの毎日の投与;ならびに局所投与エストロゲンの間欠的又は断続的投与を含む又はそれらからなる。
【0042】
一部のさらなる実施形態では、投与レジームは、全身投与エストロゲン及び全身投与プロゲスタゲンの間欠的又は断続的投与;ならびに局所投与エストロゲンの毎日の投与を含む又はそれらからなる。
【0043】
一部のさらなる実施形態では、投与レジームは、全身投与エストロゲン及び全身投与プロゲスタゲンの間欠的又は断続的投与;ならびに局所投与エストロゲンの間欠的又は断続的投与を含む又はそれらからなる。
【0044】
本明細書では、本発明の投与レジームに関して使用する「連続的」という用語は、用量が、毎日の投与まで及び毎日の投与を含む、均一な間隔で投与されるレジームを意味することが意図されている。
【0045】
本明細書では、本発明の投与レジームに関して使用する「間欠的」という用語は、用量が、毎日よりも少ない頻度の均一な間隔で投与されるレジームを意味することが意図されている。間欠的投与レジームの例は、隔日、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと又は週に1回、2週間に1回等を含む。
【0046】
本明細書では、本発明の投与レジームに関して使用する「断続的」という用語は、用量が、非連続的又は不均一な間隔で投与されるレジームを意味することが意図されている。断続的投与レジームの非限定的な例は、連続投与(例えば毎日)の期間とそれに続く不連続もしくは間欠的投与の期間または投与なしの期間と場合によりそれに続く連続又は間欠的投与の付加的な期間、又はレジメンの様々な成分が連続的又は間欠的に交互に投与される期間を含む。
【0047】
上述したように、全身投与エストロゲン、全身投与プロゲスタゲン、及び局所投与エストロゲンは、連続的、間欠的又は断続的レジームで各々独立して投与され得ることが考慮される。そこで、WyethのPremphase(登録商標)製品におけるような投与レジーム(すなわち21日間の結合型エストロゲンと7日間のプロゲスチン)は、本発明の方法に適合しやすい。
【0048】
一般に、特定の投与レジームに関わりなく、全身(例えば経口)投与エストロゲンの1日量は、一般に結合型エストロゲン約0.15mg〜約2.5mgの用量に相当し;全身(例えば経口)投与プロゲスタゲンの1日量は、酢酸メドロキシプロゲステロン約0.25mg〜約10mg、又はプロゲステロン約5mg〜約500mgの用量に相当し;及び局所投与エストロゲンの1日量は、結合型エストロゲン約0.05mg〜約2.5mgの用量に相当する。一部の好ましい実施形態では、全身投与エストロゲンの1日量は、結合型エストロゲン約0.45mgを含有する又はそれからなり、及び全身投与プロゲスタゲンの1日量は、酢酸メドロキシプロゲステロン約1.5mgを含有する又はそれからなる。
【0049】
本明細書では、「結合型エストロゲン約0.15mg〜約2.5mgの用量に相当する」又は「結合型エストロゲン約0.05mg〜約2.5mgの用量に相当する」エストロゲンの用量は、標準バイオアッセイ、免疫測定法、もしくは他の分析検定手法、インビボもしくはインビトロ活性検定法、又は臨床的変化、例えば応答性組織における組織学的変化、応答性組織の画像化(例えば骨ミネラル密度、乳腺密度)、もしくはエストロゲン活性の生物学的マーカーの変化等の任意の測定によって決定したとき、指示量の結合型エストロゲンの用量に匹敵する、膣もしくは他の骨盤組織、又は他のエストロゲン応答性組織もしくは器官への作用を及ぼすようなエストロゲンの用量を意味することが意図されている。結合型エストロゲン約0.15mg〜約2.5mgの用量に相当するエストロゲンの用量の非限定的な例を以下に示しており、また、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、1999年7月6日再発行の米国特許第36,247号に示されている。

エストロゲン 相当する用量
結合型エストロゲン 約0.15mg〜約2.5mg
エストラジオール 約0.25mg〜約2mg
17−βエストラジオール 約0.25mg〜約2mg
吉草酸エストラジオール 約0.25mg〜約2mg
エストロン 約0.15mg〜約2.5mg
エストロピペート 約0.125mg〜約2.5mg
エチニルエストラジオール 約0.0025mg〜約0.020mg
メストラノール 約0.0025mg〜約0.030mg
キネストロース 約0.0025mg〜約0.020mg
【0050】
結合型エストロゲン約0.15mg〜約2.5mgの用量に相当するエストロゲンの用量の他の非限定的な例は、結合型エストロゲンの用量の下限値の変化についての調整後、米国特許第36,247号を参照することによって決定され得る。例えば、米国特許第36,247号における結合型エストロゲンの用量の下限値は0.15mgではなく0.3mgであるので、各々の等しい用量の下限値をその数値の50%に調整した。下記に列挙するエストロゲンの一部は非ステロイド性エストロゲンである。本発明において有用であるが、明確に閉経に至っていない女性又は妊娠する可能性のある女性に関しては、非ステロイド性エストロゲンは回避することが好ましい。

エストロゲン 相当する用量
硫酸ピペリジンエストロン 約0.125mg〜約2.5mg
エストリオール 約0.025mg〜約0.5mg
コハク酸エストリオール 約0.025mg〜約0.5mg
リン酸ポリエストリオール 約0.025mg〜約0.5mg
シルボエストロール(Silboestrol) 約0.01mg〜約2mg
エストロゲン 相当する用量
ジプロピオン酸スチルボエストロール 約0.01mg〜約2mg
ジエチルスチルボエストロール 約0.2mg〜約2.5mg
クロロトリアニスコス 約0.5mg〜約2.5mg
ベンゾエストロール 約0.25mg〜約2.5mg
ジエノエストロール 約0.1mg〜約2.5mg
ヘキソエストロール 約0.1mg〜約2.5mg
メタレノストリル 約0.25mg〜約2.5mg
【0051】
当業者は、結合型エストロゲン約0.05mg〜約2.5mgの用量に相当する前記エストロゲンの用量が、表示されている「相当する用量」の下限を上記表示値の3分の1に低下させることによって確認できることを認識するだろう。
【0052】
本明細書では、「酢酸メドロキシプロゲステロン約0.25mg〜約10mgの用量に相当する」又は「プロゲステロン約5mg〜約500mgの用量に相当する」プロゲスタゲンの用量は、標準バイオアッセイ、免疫測定法、もしくは他の分析検定手法、インビボもしくはインビトロ活性検定法、又は臨床的変化、例えば応答性組織における組織学的変化、応答性組織の画像化(例えば子宮内膜の厚さ、乳腺密度)、もしくはプロゲステロンもしくはプロゲスチン活性の生物学的マーカーの変化等の任意の測定によって決定したとき、指示量の酢酸メドロキシプロゲステロン又はプロゲステロンの用量に匹敵する、膣もしくは他の骨盤組織、又は他のプロゲステロンもしくはプロゲスチン応答性組織もしくは器官への作用を及ぼすようなプロゲスタゲンの用量を意味することが意図されている。酢酸メドロキシプロゲステロン約0.25mg〜約10mg(又はプロゲステロン約5mg〜約500mg)の用量に相当するプロゲスタゲンの用量の非限定的な例を以下に示す。

プロゲスチン 相当する用量
酢酸メドロキシプロゲステロン 約0.25mg〜約10mg
レボノルゲストレル(Laeve-norgestrel) 約0.006mg〜約0.115mg
dl−ノルゲストレル 約0.125mg〜約0.225mg
ノルエチンドロン(ノルエチステロン) 約0.004mg〜約1.5mg
酢酸ノルエチンドロン(ノルエチステロン) 約0.025mg〜約1.5mg
二酢酸エチノジオール 約0.025mg〜約1.5mg
ジドロゲステロン 約1.25mg〜約45mg
ノルエチノドレル 約0.05mg〜約7.5mg
アリルエストレノール 約0.25mg〜約15mg
リネストレノール 約0.075mg〜約3mg
酢酸キンゲスタノール 約0.0125mg〜約1.5mg
メドロゲストン 約0.25mg〜約15mg
ノルゲストリエノン 約0.005mg〜約0.3mg
ジメチステロン 約0.125mg〜約23mg
エチステロン 約0.25mg〜約38mg
酢酸シプロテロン 約0.075mg〜約15mg
【0053】
「酢酸メドロキシプロゲステロン約0.25mg〜約10mgの用量に相当する」プロゲスタゲンの用量の他の非限定的な例は、例えば酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)の用量の下限値及び上限値の変化についての調整後、米国特許第36,247号における用量から推定し得る。

プロゲスチン 相当する用量
酢酸クロルマジノン 約0.025mg〜約0.66mg
酢酸メゲストロール 約0.025mg〜約6.66mg
【0054】
本発明の方法に従ったエストロゲン及びプロゲスタゲンの全身投与は、当分野において標準的な様々な経路のいずれかによって投与でき、例えば経口的、経皮的に、注射によって、インプラントによって、膣内、直腸経路等を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、全身投与は、丸剤、錠剤、カプセルまたは他の経口剤形の摂取によって経口的に達成される。一部の実施形態では、全身投与エストロゲン及び全身投与プロゲスタゲンは、単一剤形で、例えば錠剤又はカプセルで投与される。一部の好ましい実施形態では、単一剤形は、結合型エストロゲン約0.45mg及び酢酸メドロキシプロゲステロン約1.5mgを含有する又はそれらからなる。
【0055】
一部の実施形態では、本方法は、上述したエストロゲン及び上述したプロゲスタゲンをその必要のある患者に経口投与すること、及び同時にエストロゲンを患者に局所投与することを含む又はそれらからなる。一部のさらなる実施形態では、全身投与エストロゲンは、結合型エストロゲンを含む又は結合型エストロゲンからなり;全身投与プロゲスタゲンは、酢酸メドロキシプロゲステロンを含む又は酢酸メドロキシプロゲステロンからなり;及び局所投与エストロゲンは、結合型エストロゲンを含む又は結合型エストロゲンからなる。
【0056】
一部のさらなる実施形態では、本発明は、その必要のある患者に経口投与成分と局所投与成分を投与することを含み、経口投与成分が、
(i)結合型エストロゲン;及び
(ii)酢酸メドロキシプロゲステロン
を含む又はそれらからなり、及び局所投与成分が、
(iii)結合型エストロゲン
を含む又はそれからなり、経口投与成分と局所投与成分が、連続的、間欠的又は断続的投与レジームで各々独立して投与され、
経口投与結合型エストロゲンが、結合型エストロゲン約0.15mg〜約2.5mg、好ましくは約0.45mgの用量で投与され;
経口投与酢酸メドロキシプロゲステロンが、酢酸メドロキシプロゲステロン約0.25mg〜約10mg、好ましくは約1.5mgの用量で投与され;及び
局所投与結合型エストロゲンが、結合型エストロゲン約0.05mg〜約2.5mgの用量で投与される、
局所的なエストロゲン欠損から生じる状態を予防する又は治療するための方法を提供する。
【0057】
一部の好ましい実施形態では、経口投与結合型エストロゲンは約0.45mgの用量で投与され;及び経口投与酢酸メドロキシプロゲステロンは約1.5mgの用量で投与される。一部のそのような実施形態では、局所投与結合型エストロゲンは約0.3mgの用量で、又は約0.45mgの用量で投与される。
【0058】
一部のさらなる好ましい実施形態では、経口投与結合型エストロゲンは約0.3mgの用量で投与され;及び経口投与酢酸メドロキシプロゲステロンは約1.5mgの用量で投与される。一部のそのような実施形態では、局所投与結合型エストロゲンは約0.3mgの用量で、又は約0.45mgの用量で投与される。
【0059】
一部のさらなる好ましい実施形態では、経口投与結合型エストロゲンは約0.625mgの用量で投与され;及び経口投与酢酸メドロキシプロゲステロンは約2.5mgの用量で投与される。一部のそのような実施形態では、局所投与結合型エストロゲンは約0.3mgの用量で、又は約0.45mgの用量で投与される。
【0060】
一部の実施形態では、局所投与エストロゲンは、膣に、もしくは外陰に、又は膣と外陰の両方に適用される。局所投与エストロゲンは、当分野において標準的な様々な経路のいずれかにより、例えば1又はそれ以上のクリーム、溶液、スラリー、坐薬、ペッサリー、又は機械的担体を含むがこれらに限定されない経路により、本発明の方法に従って投与され得る。一部の実施形態では、局所投与エストロゲンはクリーム中で投与される。そのようなクリームの一例は、WyethのPREMARIN(登録商標)(結合型エストロゲン)膣クリームである。
【0061】
本発明の方法に適合しやすい適切な全身及び局所剤形のさらなる例は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985に見出され得る。
【0062】
本明細書で提示する材料、方法及び例は、例証であることが意図されており、本発明の範囲を限定することは意図されていない。
【0063】
実施例
略語が実施例全体を通じて使用され、以下のように定義される。「Adj Mean Change」は調整済み平均変化である。「U-Lim」は上限値である。「L-Lim」は下限値である。「σ」は標準偏差である。「Std Err.」は標準誤差である。「CE」は結合型エストロゲンである。「MPA」は酢酸メドロキシプロゲステロンである。「HRT」はホルモン補充療法である。「HT」はホルモン療法である。「MFSQ」はMcCoy女性性機能質問表(McCoy Female Sexuality Questionnaire)である。「BISF-W」は女性の簡易性的機能指数である。「Group」は治療群である。「FSH」は血清卵胞刺激ホルモンである。「VMI」は膣成熟指数である。「QOL」は生活の質(クオリティー・オブ・ライフ)である。「LOCF」は、繰越直前結果(last observation carried forward)である。
【実施例1】
【0064】
PREMPRO(登録商標)(結合型エストロゲン0.3mg/酢酸メドロキシプロゲステロン1.5mg)及びPREMARIN(登録商標)膣クリームの毎日の投与による性交疼痛症の治療
膣の乾燥及び/又は性交疼痛症と診断された閉経周辺期及び閉経後の女性に、これらの閉経症状又は他の閉経症状がもはや治療の考慮対象ではなくなるまで、PREMPRO(登録商標)(結合型エストロゲン0.3mg/酢酸メドロキシプロゲステロン1.5mg)を1日1回連続的に投与する。治療の期間中、女性には、同時にPREMARIN(登録商標)(結合型エストロゲン)膣クリームも毎日又は間欠的に投与する。
【実施例2】
【0065】
PREMPRO(登録商標)(結合型エストロゲン0.45mg/酢酸メドロキシプロゲステロン1.5mg)及びPREMARIN(登録商標)膣クリームの毎日の投与による性交疼痛症の治療
膣の乾燥及び/又は性交疼痛症と診断された閉経周辺期及び閉経後の女性に、これらの閉経症状又は他の閉経症状がもはや治療の考慮対象ではなくなるまで、PREMPRO(登録商標)(結合型エストロゲン0.45mg/酢酸メドロキシプロゲステロン1.5mg)を1日1回連続的に投与する。治療の期間中、女性には、同時にPREMARIN(登録商標)(結合型エストロゲン)膣クリームも毎日又は間欠的に投与する。
【実施例3】
【0066】
PREMPRO(登録商標)(結合型エストロゲン0.625mg/酢酸メドロキシプロゲステロン2.5mg)及びPREMARIN(登録商標)膣クリームの毎日の投与による性交疼痛症の治療
膣の乾燥及び/又は性交疼痛症と診断された閉経周辺期及び閉経後の女性に、これらの閉経症状又は他の閉経症状がもはや治療の考慮対象ではなくなるまで、PREMPRO(登録商標)(結合型エストロゲン0.625mg/酢酸メドロキシプロゲステロン2.5mg)を1日1回連続的に投与する。治療の期間中、女性には、同時にPREMARIN(登録商標)(結合型エストロゲン)膣クリームも毎日又は間欠的に投与する。
【実施例4】
【0067】
PREMPHASE(登録商標)(21日間の連続的な結合型エストロゲン0.625mg/続いて7日間の酢酸メドロキシプロゲステロン2.5mg)及びPREMARIN(登録商標)膣クリームの毎日の投与による性交疼痛症の治療
膣の乾燥及び/又は性交疼痛症と診断された閉経周辺期及び閉経後の女性に、これらの閉経症状又は他の閉経症状がもはや治療の考慮対象ではなくなるまで、PREMPhase(登録商標)(結合型エストロゲン0.625mg/酢酸メドロキシプロゲステロン2.5mg)を1日1回連続的に投与する。治療の期間中、女性には、同時にPREMARIN(登録商標)(結合型エストロゲン)膣クリームも毎日又は間欠的に投与する。
【実施例5】
【0068】
性交疼痛症、萎縮性膣炎、性機能、生活の質及び生殖器血流へのPREMARIN(登録商標)膣クリーム及び低用量PREMARIN(登録商標)/MPAの作用の前向き(prospective)二重盲検無作為化試験
試験の説明
外来患者の前向き二重盲検無作為化プラセボ対照多施設試験を、性交疼痛症、萎縮性膣炎、性機能、生活の質及び生殖器血流へのPremarin(登録商標)膣クリーム(CE 0.625mg/g)及び低用量Premarin(登録商標)/MPA(CE 0.45mg/MPA 1.5mg)の作用を評価するために実施した。試験は25の異なる施設で実施された。280名の被験者の試験への登録が計画された。480名の被験者がスクリーニングされた。285名の被験者が無作為化され、215名が試験を完了し、70名の被験者が試験を完了しなかった。35名の被験者のサブセットが1つの臨床施設でのサブ試験に登録された。9名の被験者がサブ試験評価を完了できず、その結果サブ試験を完了した被験者は26名であった。
【0069】
被験者は、一般に健康な45歳から65歳まで(両端を含む)の閉経後女性であった。その他の主要選択基準は、a)性的パートナーを有している;b)少なくとも月に2回膣性交がある;c)膣成熟指数(VMI)において0%から最大10%までの表層細胞が認められる;d)無傷子宮;e)血清エストラジオール濃度≦50pg/mlによるスクリーニングの少なくとも連続12ヶ月間前に最終自然(外因性ホルモン療法なしの)月経周期を終了した。被験者の最終月経周期が、スクリーニングよりも>6か月前であるが<12か月前に生じた場合は、血清エストラジオール濃度≦50pg/ml及びFSHレベルが所与の実験室(laboratory)についての閉経後女性に関する下限値より大きいことを条件として、試験に登録した;f)子宮の経膣超音波法によって検査したとき、子宮内膜二重壁厚が5mmを超えない。子宮内膜の厚さが>5mmであった場合は、子宮内膜生検を実施する。生検結果が正常(すなわち過形成又は癌を示さない)である場合は、被験者を試験に登録した;g)試験者の見解で、患者は試験の順守と完了についての可能性が高い;及びh)署名と日付が記され、証明された書面によるインフォームドコンセントを得た、ことであった。
【0070】
被験者が以下の項目の病歴がある又は現在有している場合は、被験者を除外した。a)公知の又は疑わしいエストロゲン依存性腫瘍;b)子宮内膜過形成;c)皮膚の基底細胞癌の病歴を除く何らかの悪性腫瘍;d)エストロゲン使用に関連する血栓性静脈炎、血栓症又は血栓塞栓疾患;e)脳血管障害、発作又は一過性虚血発作;f)神経−眼疾患、例えば視神経炎、網膜血栓症、網膜血管炎;g)エストロゲン、プロゲスチン又はPremarin/MPA又はPremarin膣クリームの他の成分に対する公知の過敏症;h)心筋梗塞または虚血性心疾患;i)慢性腎又は肝疾患;j)胆嚢疾患(胆嚢切除術を受けたことがある被験者は登録し得る);k)経口又は膣治療のためのスクリーニングの前8週間以内又は経皮治療のためのスクリーニングの前4週間以内の、何らかのエストロゲン含有、プロゲスチン含有又はアンドロゲン含有薬剤の使用;l)性機能不全(すなわち原発性無オルガスム症の事前診断又は性的興奮機能障害の事前診断)。
【0071】
加えて、以下の項目が現存する場合も登録を回避した。a)スクリーニング評価時の高い座位血圧(収縮期>160mmHg又は拡張期>100mmHg)。≦2の抗高血圧薬を服用している被験者は登録し得る;b)空腹時トリグリセリド>300mg/dL(3.39mmol/L);c)コントロールされた糖尿病(すなわちHgA1c≦7%、又はHgA1c≦使用される実験室に関して良好な糖尿病コントロールとして定義される上限値)及びコントロールされた甲状腺疾患を除く内分泌疾患;d)血栓性静脈炎、血栓症又は血栓塞栓疾患;e)既知の妊娠又は妊娠の疑い;f)診断未確定の異常性器出血;g)試験前マンモグラムでの悪性又は前悪性変化の兆候;h)スクリーニング評価前3カ月以内の泌尿婦人科手術;i)試験パラメータの正確な評価を妨げる可能性がある泌尿婦人科学的異常又は疾患;j)未治療の膣感染;k)エストロゲン欠損によって引き起こされたもの以外の膣炎;l)扁平上皮内病変(SIL)又はそれ以上、1又はそれ以上の子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)の子宮頸部細胞学的スミア(例えばパパニコラウススミア[Pap])の報告、又は何らかの形成異常の報告;m)臨床的に有意の肝機能検査結果異常(すなわち>使用される研究室についての正常値の上限値の1.5倍);n)吸収不良疾患;o)スクリーニング前3カ月以内の子宮内避妊器具の使用;p)スクリーニング前2カ月以内の何らかの試験薬の使用;q)公知のアルコール又は薬物乱用;及びr)過度の喫煙(1日につき>15本のタバコ)。
【0072】
被験者を、以下の2つの盲検治療群の1つ(A群又はB群)に無作為に割り当てた。

【0073】
被験者は約7ヵ月間にわたって試験に参加し、この期間は、スクリーニング検査、それに続く4週間の前試験日程の期間、そのすぐ後に膣クリームによる6週間の治療及び28日周期を6回の経口治療を含んだ。
【0074】
この試験は、尿生殖器萎縮を治療する上でのPremarin(登録商標)膣クリームプラス低用量Premarin(登録商標)/MPA(CE 0.45mg/MPA 1.5mg)の効果、及び知覚された性体験へのその作用を評価した。サブ試験では、性器血流量への治療の影響を評価した。各々の来訪時に実施された試験手順を試験フローチャートに示す。試験効果の評価を以下に列記する。
【0075】
性交疼痛症及び性機能を以下によって判定した。
a.女性の簡易性的機能指数
b.McCoy女性性機能質問表
c.性交疼痛及び性交関連の膣/性器症状の発生を記録する毎日の自己報告日誌カード。
膣萎縮は以下によって判定した。
a.膣細胞学検査(膣成熟指数に関して)
b.膣pH
c.全体的な医師の評価
d.萎縮性膣炎の症状を記録するための毎日の自己報告日誌カード
e.サブ試験の患者に関しては、コロポスコピー画像法。
QOLは、女性の健康状態質問表によって判定した。性器血流量は、サブ試験患者においてカラーフロードップラーによって判定した。


スクリーニング検査は、被験者が、ベースライン評価の前に禁止薬剤からウォッシュアウトしなければならないとき(例えば経皮HRTについては4週間又は経口HRTについては8週間)を除き、ベースライン評価の4週間前に行われた。
異常な理学的所見の説明、座位血圧、身長及び体重を含んだ。
新たな臨床的に有意の所見の説明、座位血圧及び体重を含んだ。
過去12カ月以内に実施されていない場合(又はその報告が被験者の臨床記録にない場合)はマンモグラフィを実施した。
各々の来訪時の全体的な医師の評価及びスクリーニング時及び最後の来訪時の乳房検査を含んだ。
木製へらを用いて膣の上部3分の1の側壁から膣スミアを得た。
最終自然月経期間がスクリーニングよりも>6か月及び<12か月前であった場合は、FSHが閉経後女性についての下限値より大きいことが必要であった。
患者は、これらの試験のための採血前少なくとも12時間絶食していなければならない。
サブ試験に関してのみ、スクリーニング時、第3及び第6周期の尿細胞学検査、遊離及び総テストステロンを含んだ。
10サブ試験の患者に関してのみ。
11子宮内膜二重壁厚が>5mmであった場合は、子宮内膜生検を実施した。生検結果が正常である場合は、被験者を試験に登録した。
12最小でもまるまる3週間(すなわち21日間)の日誌データが、試験への登録のための前試験(prestudy)日誌カードに記録されねばならない;4週間の完全日誌データが好ましかった。
【0076】
有害事象の報告(インフォームドコンセントを得た後のすべての来訪時)によって、及び病歴、完全理学的検査(体重及び座位血圧を含む)によって安全性を観測した。加えて、以下の実験室安全性試験をスクリーニング時と最終来訪時に実施した。
a.血液学:ヘモグロビン、ヘマトクリット、赤血球数、白血球数及び血小板。
b.血液化学:グルコース、尿素、クレアチニン、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アルカリホスファターゼ、コレステロール及びトリグリセリド。
【0077】
血液も、スクリーニング来訪時にすべての患者においてエストラジオールレベルの定量のために採集した。最終自然月経期間がスクリーニング検査よりも>6か月及び<12か月前であった場合は、FSHも測定した。
【0078】
簡易理学的検査(新たな臨床的に有意の所見、体重及び座位血圧を含む)を2、3及び4回目の来訪時に実施した。マンモグラフィ(スクリーニング前12カ月以内に実施されていない場合又はその報告が被験者の臨床記録にない場合)、子宮頸部パパニコラウススミア(スクリーニング時)及び膣超音波法(スクリーニング時及び最終来訪時)も、被験者フローチャートに概説するように実施した。膣超音波法が子宮内膜二重壁厚>5mmを示した場合は、子宮内膜生検を実施した。
【0079】
他の実験室試験は、試験選択基準及び除外基準の順守を確実にするために必要に応じて実施した。返却された薬剤及び毎日の日誌カードの各患者の薬剤投与記録のチェックにより治療の順守を観測した。
【0080】
経皮エストロゲンのこれまでの試験では、疼痛性性交の頻度に関して平均の約3.4標準誤差の治療効果が認められた。90%検出力で同様の差を検出するには、約105名の評価可能な被験者/群が必要であった(α=0.05、両側)。使用可能なデータを有するすべての患者を効果及び効果関連データの解析に含めた。主要評価項目からのベースラインからの変化、疼痛性性交の頻度の変化、並びに副次的評価項目を、ベースラインスコアを共変量とし、施設及び治療群を因子とする共分散分析によって解析した。LOCF値に関して一次分析を実施した。ベースラインからの最小二乗平均変化を、対応する95%信頼区間と共に報告した。治療群内及び治療群間の作用を検定するために共分散の分析を使用した。5名またはそれ以下の登録患者の施設は、単一の共同施設に併合した。統計的検定は、両側α=0.05レベルで実施した。ポストホックサブグループ分析は、計画されたのと同じ統計的モデルを使用して効果データに関して実施した。
【0081】
結果
効果評価項目:
McCoy女性性機能質問表(MFSQ)
MFSQは女性の性的関心及び機能の測定であり、ベースライン時、4回目の来訪時及び5回目の来訪時に実施された。ホルモン療法(HT)群は、MFSQのLOCF分析における性交の間の疼痛の頻度に関して、プラセボに比べて統計的に有意の低下があった。最終来訪時に、性的関心、オルガスムの頻度、及びオルガスムの快感のレベルにおいて(それぞれ表1〜3)、HT群ではプラセボに比べて統計的に有意の上昇があった。プラセボと比較して、性行為の頻度、性的想像の頻度、性行為の間の興奮/性的興奮、性行為の喜び、及び不十分な膣潤滑へのHT使用の影響はなかった(MFSQについてのさらなる統計的分析に関しては表21参照)。
【表1】

【表2】

【表3】

【0082】
毎日の日誌カード
被験者は、性交疼痛及び性関連の膣/性器症状の発生を記録した日誌カードを保持した。日誌カードは試験全体を通じて使用された。日誌カードのLOCF分析においてHT群はプラセボと比較して、性交当たりの平均疼痛重症度の統計的に有意の改善を有していた(表4)。HT被験者はまた、プラセボと比較して性交当たりの平均膣乾燥重症度の統計的に有意の改善を有していた(表5)。プラセボと比較して、周期当たりの性交の頻度へのHT使用の影響は認められなかった。
【表4】

【表5】

【0083】
女性の簡易性的機能指数(BISF−W)
この22項目の質問表は、性的関心、行為、満足度及び嗜好の一覧表であり、ベースライン時、4回目の来訪時及び5回目の来訪時に実施された。BISF−Wに関して、LOCF分析では、HT群はプラセボと比較して、受容性/開始(表6)及び関係の満足度(表7)の有意の改善を有していた。BISF−Wの他の領域:想像/欲望、興奮、性行為の頻度、快感/オルガスム、及び性機能に影響を及ぼす問題に関してはプラセボと差がなかった(BISF−Wの分散分析については表22参照)。
【表6】

【表7】

【0084】
膣細胞学(膣成熟指数に関して)
膣萎縮のマーカーとして、スクリーニング来訪時と3回目、4回目及び5回目の来訪時に膣の上部3分の1の側壁から膣細胞学的スミアを得た。LOCF分析では、HT群は、プラセボと比較して表層及び中間細胞のパーセンテージの統計的に有意の上昇(それぞれ表10及び8)及び傍基底細胞のパーセンテージの統計的に有意の低下(表9)を有していた。
【表8】

【表9】

【表10】

【0085】
膣pH
膣pHをスクリーニング来訪時と3回目、4回目及び5回目の来訪時に収集した。HT群は、LOCF分析においてプラセボと比較して膣pHの統計的に有意の低下を有していた(表11)。
【表11】

【0086】
全体的な医師の評価
全体的な医師の評価(理学的検査)は、各々の来訪時に完了された。検査医師によって評価されたように、HT群は、プラセボと比較して粘膜の色及びしわにおいて(それぞれ表12及び13)統計的に有意の改善があった(LOCF分析において)。加えて、プラセボ群(42.1%)と比較してHT群ではより多くの女性が(56.6%)、最終来訪時に正常でもろさのない膣粘膜を有していると評価された(表14)。
【表12】

【表13】

【表14】

【0087】
女性の健康状態質問表
女性の健康状態質問表は、閉経期の生活の質の測定である。この質問表は、ベースライン時及び4回目と5回目の来訪時に再び実施された。女性の健康状態質問表の回答のLOCF分析では、HT群は、抑うつ気分、身体症状、記憶/集中力、血管運動症状、及び性行動(それぞれ表15〜19)のカテゴリーにおいてプラセボに比べて統計的に有意の改善を有していた。不安/恐れ、睡眠の問題、月経症状、又は魅力(attractiveness)へのHT使用の有意の影響は見られなかった(女性の健康状態質問表に関する分散分析については表23参照)。
【表15】

【表16】

【表17】

【表18】

【表19】

【0088】
サブ試験効果評価項目:
カラーフロードップラー
性器血流量の多くの指標を、サブ試験の一部としてカラーフロードップラー画像法によって測定した。この評価は、ベースライン来訪時、4回目及び5回目の来訪時にサブ試験被験者に関して実施された。HT群は、第6周期の拡張期陰核動脈血流量においてプラセボと統計的に有意の差があった(表20)。動脈血流量の他のすべての測定(収縮期陰核血流量、収縮期及び拡張期尿道、子宮動脈、及び膣動脈血流量)は、試験したいずれの時点でも群間で差がなかった。
【0089】
骨盤動脈拍動性
骨盤動脈拍動性も、サブ試験被験者においてベースライン来訪時、4回目及び5回目の来訪時にドップラー画像から算定した。評価した血管のいずれに関しても、いずれの時点でもHT群とプラセボ群の間で動脈拍動性に有意差はなかった。
【表20】

【表21】


【表22】

【表23】

【0090】
安全性結果
安全性の概要は、2つの治療群:HT又はプラセボに無作為化された285名の被験者に基づく。有害事象(AE)を、インフォームドコンセントを得た後の試験期間全体を通じてすべての来訪時に、及び試験投薬の最終日から15日間収集するものとした。
【0091】
最も頻繁に報告された事象は以下のとおりであった。腹痛:33[プラセボ群10、HT群23]、背痛:31[プラセボ群9、HT群22]、乳房痛:29[プラセボ群6、HT群23]、モニリア性膣炎:17[プラセボ群2、HT群15]、めまい:14[プラセボ群9、HT群5]、白帯下:12[プラセボ群9、HT群3]、他の膣炎:12[プラセボ群9、HT群3]、かゆみ:11[プラセボ群2、HT群9]、及び骨痛:8[プラセボ群7、HT群1]。
【0092】
6例の重篤な有害事象[SAE]が報告された。これらの偶発事象のうち2例は無関係と評価され、4例はおそらく無関係と評価された。すべての事象が最終的には消散した。
【0093】
結論
この試験は、泌尿生殖器萎縮を治療する上でのPremarin(登録商標)膣クリーム(1g、CE 0.625/g)プラス低用量Premarin(登録商標)/MPA(CE 0.45mg/MPA 1.5mg)の効果、及び性的に活発な閉経後女性における知覚された性体験へのその作用を評価した。HTにより、プラセボに比べて性交疼痛は統計的に有意に改善した。また、膣細胞学、膣pH、及び医師の主観的な膣粘膜の評価においても統計的に有意の改善があった。HTはまた、この試験で測定された性体験及び生活の質のいくつかの領域を改善した。この試験において、HTは、プラセボ治療と比較したとき、自己報告された性的知覚、膣潤滑、及び生活の質のパラメータを改善した。女性が自己報告した受容性、性欲、及び性的快感は改善したが、これは性交の頻度上昇には結びつかなかった。サブ試験では、ドップラーカラーフロー画像法によって測定したとき、性器血流量又は骨盤動脈拍動性へのHTの臨床的に有意の作用は存在しなかった。予想外の安全性の問題は同定されなかった。
【0094】
本特許書類の中で言及される特許、特許出願、及び書籍を含む印刷出版物の各々は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれることが意図されている。
【0095】
当業者が認識するように、本発明の精神から逸脱することなく本発明の好ましい実施形態に数多くの変更及び修正を施し得る。そのような変更はすべて本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【0096】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2007年4月5日出願の米国特許仮出願第60/789,517号の優先権の利益を主張する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所的なエストロゲン欠損から生じる状態を予防する又は治療するための方法であって、その必要のある患者に
(a)エストロゲン;及び
(b)プロゲスタゲン;
を全身投与すること、及び同時に、前記患者に
(c)エストロゲン
を局所投与すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記の全身投与されるエストロゲン(a)、前記の全身投与されるプロゲスタゲン(b)、及び前記の局所投与されるエストロゲン(c)が、連続的、間欠的又は断続的投与レジームで各々独立して投与され、
前記全身投与エストロゲンの1日量が、結合型エストロゲン約0.15mg〜約2.5mgの用量に相当し;
前記全身投与プロゲスタゲンの1日量が、酢酸メドロキシプロゲステロン約0.25mg〜約10mg、又はプロゲステロン約5mg〜約500mgの用量に相当し;及び
前記局所投与エストロゲンの1日量が、結合型エストロゲン約0.05mg〜約2.5mgの用量に相当する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エストロゲン(a)及び前記プロゲスタゲン(b)が経口的に投与される、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記の全身投与されるエストロゲンが結合型エストロゲンを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記の全身投与されるプロゲスタゲンがプロゲスチンを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記の全身投与されるプロゲスタゲンが酢酸メドロキシプロゲステロンを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記の全身投与されるプロゲスタゲンがプロゲステロンを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記の局所投与されるエストロゲンが結合型エストロゲンを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記の全身投与されるエストロゲンが結合型エストロゲンを含み;
前記の全身投与されるプロゲスタゲンが酢酸メドロキシプロゲステロンを含み;及び
前記の局所投与されるエストロゲンが結合型エストロゲンを含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記の全身投与されるエストロゲン及び前記の全身投与されるプロゲスタゲンが、単一剤形で投与される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記単一剤形が、結合型エストロゲン約0.45mg及び酢酸メドロキシプロゲステロン約1.5mgを含有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記局所投与エストロゲンが、1又はそれ以上のクリーム、溶液、スラリー、坐薬、ペッサリー、又は機械的担体中で投与される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記局所投与エストロゲンがクリーム中で投与される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記局所投与エストロゲンが、膣もしくは外陰に、又は膣と外陰の両方に適用される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
投与が、
前記全身投与エストロゲン及び前記全身投与プロゲスタゲンの毎日の投与;及び
前記局所投与エストロゲンの毎日の投与
を含む投与レジームに従って実施される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
投与が、
前記全身投与エストロゲン及び前記全身投与プロゲスタゲンの毎日の投与;及び
前記局所投与エストロゲンの間欠的又は断続的投与
を含む投与レジームに従って実施される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記局所投与エストロゲンの前記間欠的投与が、隔日に、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと又は週に1回実施される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
投与が、
前記全身投与エストロゲン及び前記全身投与プロゲスタゲンの間欠的又は断続的投与;及び
前記局所投与エストロゲンの毎日の投与
を含む投与レジームに従って実施される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記全身投与エストロゲン及び前記全身投与プロゲスタゲンの前記間欠的投与が、隔日に、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと又は週に1回実施される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
投与が、
前記全身投与エストロゲン及び前記全身投与プロゲスタゲンの間欠的又は断続的投与;及び
前記局所投与エストロゲンの間欠的又は断続的投与
を含む投与レジームに従って実施される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記全身投与エストロゲン及び前記全身投与プロゲスタゲンの前記間欠的投与、並びに前記局所投与エストロゲンの前記間欠的投与が、隔日に、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと又は週に1回、各々独立して実施される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
局所的なエストロゲン欠損から生じる状態が、性交疼痛症、外陰萎縮症、膣萎縮症、膣の乾燥、外陰のかゆみ、膣のかゆみ、外陰灼熱感、膣灼熱感、外陰ジストロフィー、萎縮性膣炎、閉経期性機能障害、及び膣、外陰、膀胱、腸又は他の骨盤器官の萎縮性変化から選択される、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
その必要のある患者に経口投与成分および局所投与成分を投与することを含み、経口投与成分が、
(i)結合型エストロゲン;及び
(ii)酢酸メドロキシプロゲステロン
を含み、及び局所投与成分が、
(iii)結合型エストロゲン
を含み、前記経口投与成分と前記局所投与成分が、連続的、間欠的又は断続的投与レジームで各々独立して投与され、
前記経口投与結合型エストロゲンが、約0.15mg〜約2.5mgの用量で投与され;
前記経口投与酢酸メドロキシプロゲステロンが、約0.25mg〜約10mgの用量で投与され;及び
前記局所投与結合型エストロゲンが、結合型エストロゲン約0.05mg〜約2.5mgの用量で投与される、
局所的なエストロゲン欠損から生じる状態を予防する又は治療するための方法。
【請求項24】
前記経口投与結合型エストロゲンが約0.45mgの用量で投与され;及び
前記経口投与酢酸メドロキシプロゲステロンが約1.5mgの用量で投与される、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記経口投与結合型エストロゲンが約0.3mgの用量で投与され;及び
前記経口投与酢酸メドロキシプロゲステロンが約1.5mgの用量で投与される、
請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記経口投与結合型エストロゲンが約0.625mgの用量で投与され;及び
前記経口投与酢酸メドロキシプロゲステロンが、約2.5mgの用量で投与される、
請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記局所投与結合型エストロゲンが約0.3mgの用量で投与される、請求項23から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記局所投与結合型エストロゲンが約0.45mgの用量で投与される、請求項23から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
局所的なエストロゲン欠損から生じる状態が、性交疼痛症、外陰萎縮症、膣萎縮症、膣の乾燥、外陰のかゆみ、膣のかゆみ、外陰灼熱感、膣灼熱感、外陰ジストロフィー、萎縮性膣炎、閉経期性機能障害、及び膣、外陰、膀胱、腸又は他の骨盤器官の萎縮性変化から選択される、請求項23から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記局所投与成分が、膣もしくは外陰に、又は膣と外陰の両方に適用される、請求項23から29に記載の方法。
【請求項31】
前記局所投与成分が、クリーム中、溶液中、スラリー中、坐薬中で、ペッサリーによって、子宮内避妊器具によって、又は機械的担体中で投与される、請求項23から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記局所投与成分がクリーム中で投与される、請求項23から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記経口投与結合型エストロゲン及び前記経口投与酢酸メドロキシプロゲステロンが、単一剤形で投与される、請求項23から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記局所投与結合型エストロゲンが、膣もしくは外陰に、又は膣と外陰の両方に適用されるクリーム中で投与され;及び
前記経口投与結合型エストロゲン及び前記経口投与酢酸メドロキシプロゲステロンが単一剤形で投与される、
請求項23に記載の方法。
【請求項35】
前記経口投与成分及び前記局所投与成分が、毎日の投与レジームで各々投与される、請求項23から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記経口投与成分が毎日の投与レジームで投与され、及び前記局所投与成分が間欠的又は断続的投与レジームで投与される、請求項23から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記間欠的投与レジームが、隔日、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと又は週に1回を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記経口投与成分が間欠的又は断続的投与レジームで投与され、及び前記局所投与成分が毎日の投与レジームで投与される、請求項23から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記間欠的投与レジームが、隔日、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと又は週に1回を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記経口投与成分及び前記局所投与成分が、間欠的又は断続的投与レジームで各々投与される、請求項23から34のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
前記間欠的投与レジームの各々が、隔日、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと又は週に1回を独立して含む、請求項40に記載の方法。

【公表番号】特表2009−532505(P2009−532505A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504473(P2009−504473)
【出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/066042
【国際公開番号】WO2007/118135
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】