説明

局所的に効果的な誘導プラズマ結合を備えたプラズマ処理システム

本発明による誘導結合プラズマ源は、半導体ウェハのコーティングやエッチングを行い得るよう、真空チャンバ(32)内に高密度プラズマを生成するための周縁電離源(39)を具備している。ICP源は、複数の高放射セグメントと複数の低放射セグメントとを有してなるセグメント化構成を具備しており、チャンバの周囲まわりにおいて、プラズマに、リング形状アレイをなすエネルギー分布を付与する。エネルギーは、セグメント化された低インダクタンスアンテナ(40)から、誘電性ウィンドウ(25)またはウィンドウアレイ(25a)を介して、さらに、セグメント化されたシールドまたはバッフル(50)を介して、結合される。アンテナ(40)は、稠密化して配置された複数の導体セグメント(45)と、交互的に配置されかつ疎化して配置された複数の導体セグメント(46)と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に半導体ウェハの製造に関連したような、高密度プラズマを生成するための装置やシステムやプロセスに関するものである。特に、本発明は、そのようなシステムおよびプロセスのために、高密度誘導結合プラズマ(ICP)を生成するためのアンテナおよびシールド構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスプラズマ生成は、例えばプラズマエッチングやプラズマ増強化学気相蒸着法(PECVD)やプラズマスパッタ成膜応用も含めたような、様々な集積回路(IC)製造プロセスにおいて、幅広く使用されている。一般に、プラズマは、真空圧力とされたチャンバ内へとプロセスガスを導入しその次にチャンバ内において電気エネルギーを結合させることによりプロセスガス中にプラズマを生成して維持することによって、プロセスチャンバ内において生成される。プラズマは、10−6という電離度のプラズマから完全にイオン化されたプラズマまでといったように、様々な電離度でもって存在することができる。
【0003】
プラズマは、一般に、動作ガスからなる正に帯電したイオンを含有している。これら正イオンを使用することにより、基板表面をエッチングしたり、ターゲットから材料をスパッタリングして基板上へと材料層を成膜したり、することができる。また、プラズマ内における蒸発したコーティング材料イオンを使用することにより、イオン化物理的気相蒸着法(iPVD)によって、基板上への材料の成膜を制御することができる。プラズマは、典型的には、プラズマ内に、正に帯電したものと同じ数だけの電子を含有している。これにより、プラズマは、マクロ的には、準中性を維持している。
【0004】
プロセスチャンバ内におけるプラズマ生成に際しては、様々な方法が使用される。チャンバ内において互いに対向した態様で対向電極を配置することができ、これにより、プラズマに対してエネルギーを容量的に結合させることができる。また、マイクロ波エネルギーを使用したり、電子サイクロトロン共鳴(ECR)装置を使用したり、することができる。プラズマに対してのエネルギーの誘導結合は、高密度プラズマを生成するに際して、とりわけ、比較的小さな電子エネルギーでもってあるいは比較的小さなプラズマ電位でもって大きな電離度を有したプラズマを生成するに際して、特に望ましい。誘導結合プラズマ(ICP)においては、複数の場合、コイルまたはアンテナを使用する。コイルまたはアンテナは、所定形状のものとされて処理チャンバに対して配置され、処理チャンバ内へとエネルギーを誘導的に結合させ、これにより、処理チャンバ内にプラズマを生成して維持する。
【0005】
いくつかのICPシステムにおいては、誘導コイルまたはアンテナが、チャンバの頂部の周辺にあるいはチャンバの頂部の近傍にあるいはチャンバの他端に周辺にあるいはチャンバの他端の近傍に配置され、これにより、チャンバ内にプラズマを生成する。そのようなアンテナは、処理チャンバの壁の誘電性プレートまたはウィンドウの一方の側面上に配置され、これにより、アンテナからの電磁エネルギーが、誘電性ウィンドウを介して、プラズマ内へと結合される。ウィンドウまたはチャンバ側壁として好適な誘電性材料の一例は、石英である。
【0006】
ICPシステムの幾何形状は、プラズマ密度とプラズマの一様性との双方を決定する要因である。プラズマ密度およびプラズマの一様性は、基板領域上における処理の一様性に影響を与え得る。複数の場合、かなり大きな面積にわたって一様な高密度プラズマを生成することが望ましい。それにより、大きなサイズの基板を処理することができる。例えば、超大規模集積(ULSI)回路は、現在では、200mmや300mmといったような直径を有したウェハ基板上に形成される。
【0007】
従来技術におけるスパッタリングコーティングシステムにおいては、スパッタリングターゲットの幾何形状が、ウェハ上のコーティングの一様性に影響することが認識されている。例えば、特許文献1においては、環状リングからターゲットの外周縁に向けて供給される材料を増加することによって、ウェハ上におけるコーティングの一様性が改良され、また、ステップカバレージが改良されることが、決定された。特許文献1においては、スパッタリングされた材料がターゲットからウェハに向けて一直線状に飛行するような圧力範囲におけるプロセスについて議論している。
【0008】
イオン化物理的気相蒸着システム(iPVD)が開発された際に、例えば特許文献2のように、リング形状のターゲットが有利であることが、見出された。ターゲットの中心に配置されたRF電源は、チャンバ内において二次的プラズマを形成するようにして、エネルギーを結合させる。二次的プラズマは、ターゲットからスパッタリングされた材料を、イオン化する。イオン化されたコーティング材料は、ウェハ上における特徴物のコーティングに際し、そのような特徴物を、より小さなものとすることを補助する。さらに、例えば特許文献3におけるように、チャンバ内においてより大きな圧力を使用することが有利であることが見出された。そのようなより大きな圧力は、チャンバ内におけるスパッタリング材料を加熱する傾向があり、これにより、コーティングの一様性に関し、ターゲット形状の影響を覆い隠す。
【0009】
エッチングシステムおよびエッチングプロセスにおいては、圧力は、通常、上述した高圧iPVDシステムほども大きくはないけれども、ターゲットの幾何形状が無関係であることのために、ICPを使用するエッチングシステムは、コーティング一様性を提供するに際して、プラズマ形状に依存しなければならない。コーティングやエッチングやプラズマクリーニングや他のプラズマ処理を行うシステムにおいては、なおも、ウェハ処理に際しての一様性を改良することが要望されている。
【0010】
最も一般的な誘導結合源は、平面形状や円筒形状やあるいはドーム形状といったような幾何形状を有したコイルの形態とされたアンテナを備えている。他のコイル構造には、より複雑な形状があり、組合せ型の(ハイブリッド型の)あるいは2重型のコイル構成や、複数の小さなソレノイドや、複数の螺旋や、複数領域ICP増強PVDや、トロイダル形状や、伝送ラインや、埋込コイルや、平面ヘリコン(蛇行した)アンテナや、平行導体アンテナ、を有している。3次元コイルや、成膜バッフルや、ファラデーシールド、といったものの使用は、本出願人による特許文献4〜7において提案されている。
【0011】
300mmウェハ用の半導体製造ツールに関する需要が高まっている。このようなツールは、典型的には、直径が450mm以上といったような、大型の処理チャンバを必要とする。そのようなチャンバの拡大化に際しては、バルクプラズマに対するチャンバ壁の影響を低減することによって処理領域内におけるプラズマ損失を低減することが必要とされるとともに、ますます必要とされるようになってきている例えばシールドやランプや診断デバイスや観測器具や制御器具といったようなハードウェアをチャンバ内部に収容することが必要とされる。そのようなチャンバにおいては、誘導部材もまた大型化され、300mmウェハの処理のためにチャンバ内へとエネルギーを誘導結合させるものとしては、円筒形状コイルまたはソレノイドコイルの場合には、直径が400〜500mmとされ、螺旋形状アンテナの場合には、最大で350mmとされる。
【0012】
コイルサイズを増大させた場合には、プラズマ内へと効率的にRFエネルギーを透過させ得るよう、なおかつ、大気圧に耐え得るよう、より大きな誘電性ウィンドウが必要とされる。従来の誘導結合放電に関しての大面積プラズマのための外部アンテナの拡大化は、そのような困難さをもたらす。すなわち、エッチングまたは成膜に関する同一のプラズマ条件を提供するに際し、誘電性ウィンドウの厚さを厚くする必要があり、アンテナのインダクタンスを大きくする必要があり、パワーを増大させる必要がある。例えば、アンテナのインダクタンスは、ターン数の2乗に比例し、アンテナを通しての電圧降下は、ターン数とともに増大する。そのような大規模アンテナの端部における電圧は、13.56MHzという産業周波数における典型的なコイル電流において、容易に、約10kVへと到達することができる。そのような高電圧は、危険であるとともに、アンテナとプラズマとの間にわたっての大きな容量結合を引き起こし、スパークやアークの発生といったリスクを増大させる。
【0013】
ウェハ上におけるエッチングの一様性は、ウェハに向けてのイオンフラックスによって与えられ、プラズマ密度分布によって決定される。典型的には、螺旋コイルを有したICP源は、その中心のところにピークを有したプラズマ分布を生成する。より大きな直径を有したソレノイドの使用は、そのようなコイルのところに高電圧が誘起されることのために、制限される。誘導結合プラズマ源の幾何形状は、より詳細には、アンテナの幾何形状は、大面積にわたってのプラズマの一様性と処理の一様性との双方を決定するに際して、重要な要因である。ICP源を使用した場合、プラズマは、アンテナによって生成されかつ誘電性ウィンドウを介して結合された誘導電磁界の振動によって、誘電性ウィンドウの真空サイドの近傍におけるプラズマ領域内の電子を加熱することにより、励起される。プラズマ電子を加熱する誘導電流は、アンテナ内のRF電流によって生成されたRF電磁界に由来する。磁界の空間的分布は、アンテナをなす導体の様々な部分によって生成された磁界の合計の関数である。誘導アンテナの幾何形状は、大きな部分においては、反応チャンバ内におけるプラズマイオン密度の空間的分布を決定することができる。
【0014】
場合によっては、電磁界の誘導成分に対して透明なものとされたシールドを使用することにより、アンテナからプラズマへの容量結合を抑制することができ、誘電性ウィンドウ上への堆積に由来する導電性層または汚染層の形成を防止することができる。そのようなシールドの形状および構造は、チャンバ内部におけるプラズマの空間的分布に対しても、影響を与え得るものである。
【特許文献1】米国特許第4,957,605号明細書
【特許文献2】米国特許第6,080,287号明細書
【特許文献3】米国特許第6,287,435号明細書
【特許文献4】米国特許第6,237,526号明細書
【特許文献5】米国特許第6,474,258号明細書
【特許文献6】米国特許出願シリアル番号第10/080,496号明細書
【特許文献7】米国特許出願シリアル番号第10/338,771号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的は、特にエッチングプロセスや高圧コーティングプロセスも含めた応用において、半導体ウェハ上におけるプラズマ処理の一様性を改良することである。
【0016】
本発明のさらなる目的は、プラズマエッチングプロセスやプラズマ成膜プロセスやプラズマクリーニングプロセスも含めて、大面積基板のプラズマ処理に関して利用可能であるようなプラズマ源を提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、インダクタンスの小さな誘導デバイスを提供することである。
【0018】
発明の追加的な目的は、非常に効率的でありかつ単純化されたプラズマ源を提供することであり、チャンバのコストを低減することである。本発明の格別の目的は、ICPプラズマ処理設備の所有に関するコストを低減することであり、特に、製造およびメンテナンスが経済的でありかつ比較的容易であるようなICP源を提供することである。
【0019】
本発明の原理によれば、プラズマ生成のために周縁電離源が使用され、これにより、特に300mmウェハといったような大きなウェハといったような半導体ウェハのために、一様なプラズマ処理を行うことができる。さらに、本発明によれば、真空プラズマ処理チャンバ内へとエネルギーを結合させ得るよう、ICP源に、コイルまたはアンテナという態様とされた低インダクタンス誘導放射部材が設けられる。
【0020】
本発明の様々な実施形態においては、ICP源は、局所的にパラメータが異なるものとされたセグメント化されたアンテナが設けられる。このようなセグメント化されたアンテナは、一般に、より小さなインピーダンスをもたらす。アンテナは、周縁における電離を増強し得るよう構成されている。典型的には、そのような電離は、全体的にリング形状のプラズマを生成し、これにより、チャンバ形状やプラズマ源の形状を補償し、これにより、ウェハの処理のためにウェハの表面のところにおいて一様な実効プラズマを生成することができる。リング形状のプラズマは、多くの実施形態において、チャンバの周縁まわりにおいて高パワー領域と低パワー領域とが交互配置されたなる環状アレイとされる。
【0021】
本発明の様々な実施形態においては、半導体ウェハ処理のための成膜やエッチングのための装置には、複数の部分を備えるとともに2重の機能を実行し得るICP源が設けられる。ICP源のある部分には、隣接したアンテナ部分からのRF磁界に対して高透過性のものとされたシールド部分が設けられる。これにより、プラズマ内へと最大のパワーが供給される。ICP源のそのような部分は、チャンバの周縁領域においてリング形状で配置され、プラズマ内へとパワーを結合させるための最大のエネルギー変換効率モードで動作する。ICP源の他の部分には、アンテナの隣接部分からのRF磁界に対して不透過性であるようなシールド部分が設けられる。これにより、低効率で動作させて、隣接したハードウェアへと伝達するパワーの量を低減させることができる。ICP源のこのような部分においては、アンテナは、不透明なシールド部分によってプラズマから保護される。これにより、誘電壁に対しては、プラズマからの汚染に対して、完全なシールドがもたらされる。
【0022】
好ましい実施形態においては、そのような装置には、空間的に分散配置された複数の誘導コイルではなく、単一の誘導部材が設けられる。
【0023】
本発明のある実施形態においては、誘電性ウィンドウのサイズおよび厚さを低減することができ、これにより、ICP効率を増大させることができる。ICP効率は、また、プラズマ内へと大きなRFパワーを供給する必要のない場所においては、局所的に低減させることができる。
【0024】
本発明の特別の実施形態においては、アンテナには、電流を導通させる横断面積が様々に相違するような複数の部分が設けられる。場所によって相違するそのような様々な横断面積部分を準備することにより、ある部分においてアンテナ電流を集中させることができ、他の部分においては、アンテナ電流を分散させることができる。これにより、場所ごとにアンテナ効率を相違させることができ、アンテナ放射効率の大きな部分と小さな部分とを形成することができる。
【0025】
ある実施形態においては、螺旋アンテナまたは環状3Dアンテナは、複数の角度部分を有した導体部材を備えている。いくつかの角度部分においては、複数の導体が空間に稠密化され、他の角度部分においては、複数の導体が空間的に疎化される。これにより、RFエネルギーの放射効率または結合効率に関して、大きな部分と小さな部分とを形成することができる。多くの実施形態においては、互いに近接させてグループ化させた複数のチューブ状導体セグメントが、空間的に稠密なセグメントを形成し、一方、互いに離間して配置された複数の導体セグメントが、すなわち、大きな表面積のセグメントが、空間的に分散したセグメントを形成する。
【0026】
いくつかの実施形態においては、アンテナは、チャンバの中心まわりの様々な角度部分において様々な横断面積のセグメントを有した1つの連続的な導体を備えている。いくつかのそのような部分においては、導体は、大きな物理的な横断面積を有している。これにより、電流が流れる面積が増大し、弱い磁界しか放射されない。これに対し、小さな物理的な横断面積を有した部分においては、電流が流れる面積が小さいため、強い磁界を放射することができる。
【0027】
横断面積が相違する複数の導体を備えた実施形態においては、また、単一の横断面積の導体を有した実施形態においては、高効率部分において大きな電流を流し、低効率部分において電流を分散させる。
【0028】
アンテナと一緒に使用される成膜バッフルまたはシールドには、アンテナの低効率部分に一致させて電磁的に不透過性の部分を設けることができる。あるいは、セグメント化されたウィンドウを、チャンバ壁内に設けることができる。
【0029】
複数の導体部分の直列接続は、様々なパターンで行うことができる。これにより、小さな導電性横断面積を有した複数の部分によって、大きな磁束チャネルを形成することができ、大きな導電性横断面積を有した複数の部分によって、小さな磁束チャネルを形成することができる。プラズマを効率的に生成して維持し得るよう、小さな導電性横断面積の部分は、真空と大気雰囲気とを隔離している誘電性ウィンドウに隣接させて配置することができる。
【0030】
誘導結合の局所化は、プラズマ源の構成とプラズマ源の性能とに関して、価値のある利点をもたらす。小さな導電性横断面積部分からの誘導結合によってプラズマに対して効率的に結合されている部分は、所望に応じて、プラズマ処理の一様性を要求された場所や、局所的なプラズマの維持または局所的なプラズマの点火を要求された場所や、パワー分布を要求された場所、などに配置することができる。いくつかの領域内へと、RFパワーを効率的に供給することができ、これと同時に、他の領域においては、パワー供給量を低減させたりあるいはゼロとしたりすることができる。誘導結合効率が供給に増大されていることにより、RF透過性の誘電性ウィンドウは、誘電性部材の全面にわたって延在する必要がない。RF透過性の誘電性ウィンドウは、効率的な結合を引き起こす必要のある場所だけに限って、延在させることができる。よって、より小さな誘電性ウィンドウを使用することができる。誘電性ウィンドウは、かなり薄いものとすることができる。なぜなら、単一の大きなサイズのウィンドウの場合と比較して、著しく小さな力に耐えるだけで良いからである。より薄い材料から、大きな誘電性ウィンドウを形成することさえ可能である。なぜなら、そのようなウィンドウを、誘導部材とプラズマとの間の誘導結合が非常に小さい場所において、シールドの剛直な構造によって支持し得るからである。セグメント化されたアンテナのインダクタンスの合計値は、セグメント化されていないコイルと比較して、より小さなものである。インダクタンスの値は、様々な部分の幾何形状や比率を適切に選択することにより、特別の値に調節することができる。
【0031】
本発明のある実施形態における利点は、多数の既存のプラズマ処理システムにおける既存のRF源ハードウェアに関し、そのサイズやパワーレベルを低減し得ることである、あるいは、ホルダ上に配置されたウェハを処理するためのプラズマを提供するのに十分であるようにして、基板ホルダ内に組み込まれているプラズマ源を単一のアンテナへと低減し得ることである。ウェハ上のプラズマ分布に直接的に影響するところにおいてウェハの近傍にプラズマを生成することにより、効率を向上させることができる。それは、RFパワーを過度なサイズで供給しなくて済むからである。
【0032】
本発明の一実施形態は、チャンバの誘電性壁あるいはウィンドウの寿命を、ウィンドウを回転させることによってあるいは堆積が発生する供給領域をシフトさせることによって、例えば2倍といったように、大幅に増大させ得るという利点を有している。例えばベルジャーのある部分だけしか、プラズマおよび汚染源に対して露出させておらず、シールドの汚れ具合は、場所によって相違している。
【0033】
本発明においては、成膜シールドは、典型的には、オーミック損失を低減させる。アンテナは、信頼性を有したプラズマ点火を提供する。アンテナは、誘導結合を低減させていることに基づいて、パワーの損失をもたらすことなく、部分的に不透明な(あるいは、不透過性の)成膜シールドの使用を可能とする。プラズマ内へのRFパワー結合の増大化は、予め選択された場所で行われる。このような増大化は、誘導部材の構成に基づいて、選択的に行うことができる。例えば、成膜シールドの低透過領域と高透過領域との間のピッチまたは比率を最適化するといったようにして、選択的に行うことができる。強力なRF磁界は、局所的に生成され、成膜シールド内の短いスロットを通して、プラズマ内へのパワー結合を増大させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明の上記のおよび他の目的や利点は、以下の詳細な説明により、明瞭となるであろう。
【0035】
本発明によるICP源は、例えばスパッタエッチングプロセスや成膜プロセスやプラズマ増強CVD(PECVD)プロセスやイオン化PVD(iPVD)プロセスや反応性イオンエッチングプロセス(RIE)といったような様々なプラズマ処理システムにおいて、使用することができる。図1は、半導体ウェハを製造するようなタイプのiPVD装置10を図示している。この装置に関連して、本発明のいくつかの実施形態について後述する。iPVDタイプの半導体ウェハ処理機械の例は、特許文献2,3に開示されている。これら文献の記載内容は、参考のため、ここに組み込まれる。
【0036】
iPVD装置10は、チャンバ壁11と、このチャンバ壁11によって囲まれた真空処理チャンバ12と、を備えている。チャンバ壁11の頂部には、開口13が形成されている。この開口13のところには、イオン化スパッタリング材料源20が、取り付けられている。イオン化スパッタリング材料源20は、開口13をシールしており、これにより、外部の大気雰囲気からチャンバ12内の真空を隔離している。チャンバ12内には、ウェハ支持体14が設けられている。ウェハ支持体14は、このウェハ支持体14の両面のうちの、開口13に対向していて処理が行われる方の面上に、半導体ウェハ15を保持する。イオン化材料源20は、マグネトロンカソードアセンブリ21を備えている。このアセンブリ21は、環状のターゲット22を備えている。環状ターゲット22は、コーティング材料源であって、典型的には、金属である。ただし、必ずしも金属に限定されるものではない。カソードアセンブリは、さらに、ターゲット22に対して負のDCスパッタリング電位を印加するための電源(図示せず)と、ターゲット22の背面側に配置された永久磁石アセンブリ23と、を備えている。永久磁石アセンブリ23は、ターゲット22の表面上においてDC電位によって励起された電子をトラップし、これにより、一次的プラズマを形成する。一次的プラズマは、チャンバ内のガスをイオン化させ、ターゲット22からの材料をスパッタリングする。
【0037】
イオン化材料源20においては、ターゲット22は環状であって、典型的には石英あるいはアルミナから形成された誘電性ウィンドウ25を囲んでいる。ウィンドウ25とターゲット22とは、シールされている。ターゲット22とウィンドウ25とは、チャンバ壁11と一緒に、チャンバ12のための真空容器の一部を形成する。RFのICP源24は、ウィンドウ25のところに配置されており、チャンバ12内へとRFエネルギーを結合させる。これにより、チャンバ12内において、二次的高密度誘導結合プラズマを励起する。RFのICP源24は、ウィンドウ25の大気雰囲気側に配置されたアンテナまたはコイル26と、チャンバ12の内部においてウィンドウ25をカバーする成膜バッフルまたはシールド27と、を備えている。RF電源(図示せず)が、適切なマッチングネットワークを介して、アンテナ26のリードに対して接続される。典型的には、RF電源は、13.56MHzという産業周波数で動作する。iPVDにおいては、チャンバ12内の圧力は、通常、10mTorr〜150mTorrという範囲である。
【0038】
アンテナ26およびシールド27は、プラズマに電圧を印加してしまいかねないようなアンテナ26からチャンバ12内への容量結合を小さなものに維持しつつ、ウィンドウ25およびシールドの27を介してチャンバ12内へとアンテナ26からのRFエネルギーを最大効率でもって誘導結合させ得るように、構成されている。シールド27は、さらに、堆積物がウィンドウ25上に集積しないようウィンドウ25を保護し得るように構成されている。なぜなら、コーティング材料が特に金属である場合には、ウィンドウ25が、アンテナからの放射に対して不透明なものとなってしまって、プラズマ内へのエネルギー結合を妨害してしまうからである。アンテナと、付随するシールドと、に関する詳細は、特許文献4〜7に記載されている。これら文献の記載内容は、参考のため、ここに組み込まれる。
【0039】
図1Aは、本発明の原理を適用し得るような、エッチングモジュールを図示しており、特に、ICPスパッタクリーニングプロセスモジュール30を図示している。モジュール30は、石英製ベルジャーとして図示されているようなチャンバ壁31と、このチャンバ壁31内に封入された真空処理チャンバ32と、を備えている。エッチングという目的からすれば、部分的に限定された誘電性ウィンドウを備えつつ金属壁チャンバから形成されているようなエッチングモジュールを使用することもできる。この場合でも、本発明による利点を享受することができる。そのようなモジュールは、例えば、米国特許出願シリアル番号第09/875,339号明細書に記載されている。この文献の記載内容は、参考のため、その全体がここに組み込まれる。チャンバ32の内部において、処理されるべきウェハ15は、RFバイアスされた基板ホルダ33上に支持体される。ウェハは、基板ホルダに対して、機械的クランプや静電チャックや他のクランプ構造(図示せず)によって、保持することができる。RFパワーは、典型的には、RF電源34から、マッチングネットワーク35を介して、さらに典型的にはキャパシタ36を介して、基板ホルダ33に対して、容量的に印加される。
【0040】
RFパワーが印加された際には、真空チャンバ32内において、プラズマが生成される。真空チャンバ32は、典型的には、例えばアルゴンといったような不活性ガスで充填され、通常、0.1〜10mTorrの圧力に維持される。基板支持体33は、通常は負にバイアスされる。これにより、正イオンを、ウェハ15の表面からエッチング材料をスパッタリングし得るに十分なエネルギーでもって、基板15に向けて加速させることができる。スパッタエッチングの速度は、エネルギーと、イオンフラックス密度と、に依存する。エネルギーは、プラズマと、基板ホルダ33上の基板15と、の間の電位差によって決定される。イオンフラックスは、バルクプラズマ密度によって決定される。基板15の表面に向けてのイオンフラックスを増大させ得るよう、RFエネルギーを、アンテナまたはコイル38によってチャンバ32内へと結合させることができる。これにより、チャンバ32内に高密度ICPを形成することができる。
【0041】
高密度誘導結合プラズマは、ウェハエッジと比較してウェハ15の中心のところにおいてより大きな処理効果を生成した。本出願人は、米国特許第6,534,493号明細書において、リング形状プラズマを使用することによって一様性を改良することを提案した。この文献の記載内容は、参考のため、その全体がここに組み込まれる。その文献においては、プラズマを成形するための永久磁石の使用を、提案した。本発明においては、プラズマの形状は、局所的に効率的なRFのICP源の使用によって、提供される。そのようなICP源においては、例えば、真空処理チャンバ内においてプラズマエネルギーをリング形状でもって集中して生成することにより、一連をなすような局所的に効率的なプラズマを生成する。説明する実施形態においては、この局所的な結合効果は、局所的に効率的なアンテナ構造に関しての、また、局所的に透明なシールド構造に関しての、また、このようなアンテナ構造およびシールド構造の組合せに関しての、様々な実施形態によって達成される。成形されたプラズマは、ある種の実施形態においては、半導体ウェハに関してエッチングやコーティングを行うプロセスおよびシステムにおいて周縁電離源にそのような局所的に効率的な構造を提供することによって達成される。
【0042】
図2は、本発明の原理を具現化した周縁電離源39の一実施形態を図示している。周縁電離源39は、セグメント化されたアンテナ40を備えている。周縁電離源39は、さらに、そして好ましくは、成膜バッフルすなわちシールド50を備えている。バッフル50は、ICP処理機械内において、装置の真空チャンバ壁の誘電性部分すなわちウィンドウ25の対向面と互いに位置合わせしつつ、設置することができる。アンテナ40は、ウィンドウ25の大気雰囲気圧力とされた外面のところに配置される。一方、バッフル50は、ウィンドウ25の内面側において、真空チャンバの内部に配置される。アンテナ40は、導体43からなる1つまたは複数の巻線から形成され、高効率の高インダクタンス部分41と、交互配置された低効率の低インダクタンス部分42と、を備えている。バッフル50は、使用された時には、比較的透明な領域51と、交互配置された比較的不透明な領域52と、から形成される。処理装置内に設置される際には、アンテナ40の高効率部分41が、バッフル50の透明部分51に対して位置合わせされ、一方、アンテナ40の低効率部分42が、バッフル50の不透明部分52に対して位置合わせされる。
【0043】
図2Aは、図1に図示されかつ特許文献3に開示されたタイプのiPVD装置で使用するための、特許文献5に開示されたタイプの3次元的コイル26aの一態様を示す平面図である。同じ特許文献に開示された成膜バッフルの一態様27aも、また、図示されている。介在するウィンドウ25の図示は、省略されている。図2Bは、成膜バッフル27aの直下において、チャンバ12内へとアンテナ26aから供給されたパワー密度29を示すグラフである。パワー密度は、チャンバ12の中心線に向かうほど、また、ウェハ15の中心線に向かうほど、より大きくなる傾向がある。これは、従来技術の一例を示している。
【0044】
本発明の一見地によれば、セグメント化された周縁電離源39aは、図2Cに示すように、セグメント化されたから成膜バッフル50aと螺旋コイル26bとを組み合わせることによって、形成されている。バッフル50aは、6個の比較的RF透明な部分51aと、6個の比較的RF不透明な部分52aと、を備えており、これらは、チャンバおよびコイル26bの中心線回りにおいて円形をなして互いに交互的に配置されている。その結果、プラズマ密度分布60aは、図2Dのグラフに示すように、コイル26bから透明部分51aを介して形成された高密度プラズマからなる6個の局所領域61を備えている。それら局所領域においては、結合が、局所的に効率的なものとされている。6個の領域61aどうしの間に位置した領域62aは、不透明部分52aに隣接したものであって、バッフル50aを通しての結合が非効率的なものとされている。
【0045】
本発明の他の見地によれば、セグメント化されたアンテナ40aは、図2Eに示すように、図2に示す実施形態と同様の周縁電離源39bを形成し得るよう、セグメント化されたバッフル50aを備えて構成されている。セグメント化されたアンテナ40aは、コイル26bを有した実施形態39aと比較した場合、インピーダンスが低減されていることにより有利である。アンテナ40aは、電磁放射を効率的に行い得る6個の高インダクタンス部分41aと、電磁放射を効率的に行い得ない6個の低インダクタンス部分42aと、を備えており、これらは、チャンバ12の中心線回りにおいて円形をなして互いに交互的に配置されている。セグメント化されたアンテナ40aは、例えばバッフル50aといったようなバッフルと組み合わせて使用することができる。その際、バッフル50aの透明部分51aが、アンテナ40aの高インダクタンス部分41aと位置合わせされ、バッフル50aの不透明部分52aが、アンテナ40aの低インダクタンス部分42aと位置合わせされる。その結果、プラズマ密度分布60bは、図2Fのグラフに示すように、アンテナ部分41aから透明部分51aを介して形成された高密度プラズマからなる6個の局所領域61を備えている。それら局所領域においては、電磁界の形成および結合が、局所的に効率的なものとされている。6個の領域61aどうしの間に位置した領域62aは、アンテナ部分42aおよび不透明部分52aに隣接したものであって、バッフル50aを通しての結合が非効率的なものとされている。
【0046】
本発明の好ましい実施形態においては、図4に明瞭に示すように、半導体のコーティングやエッチングを行うシステムおよびプロセスのための高密度誘導結合プラズマ(ICP)は、ICP効率を局所的に増強した態様でもってプラズマ内においてRFパワーを空間的的に分布させ得るような所定形状の周縁誘導部材により、生成され維持される。周縁誘導要素は、アンテナ40およびシールド構造50の一方または双方を備えている。説明の目的のために、アンテナ40は、様々な実施態様でもって図示され説明され、例えばアンテナ40a(図2E)として説明される。また、シールド構造50についても、様々な実施態様でもって図示され説明され、例えばバッフル50a(図2C)として説明される。同様の参照は、構造の部分41,42,51,52についても、また、プラズマ分布60a,60bについても、また、特徴物61a,61b,62a,62bについても、行われる。
【0047】
セグメント化されたアンテナ部材50の特徴は、合計のインダクタンスが、例えばアンテナ26aあるいは26bといったような非セグメント化アンテナ(すなわち、セグメント化されていないアンテナ)と比較して、より小さいことである。このため、より小さなサイズのICP源に典型的な単純さを維持しつつ、例えば300mmウェハ15といったような大面積プラズマ処理システムに関して技術的により適切なものである。セグメント化されたアンテナ40は、方位角に調整されたピッチが設けられており、これが、プラズマ内へと供給されるRFパワーに空間的分布をもたらし、さらに、成膜シールド50のオーミック損失を低減させ、さらに、小さなインダクタンスをもたらし、さらに、プラズマ内へと局所的に増強されたRFパワー密度分布60a,60bを形成する。空間的RFパワー密度分布60a,60bにより、成膜シールド50によるシールド性能を増強することができる。
【0048】
セグメント化されたアンテナ40をなす導体の構成は、図3を参照して理解することができる。アンテナ40は、一体的な導体43から形成することができる。この導体43を通しては、矢印44で示す向きに、瞬時に流れ得るものと考えることができる。導体43は、互いに異なるサイズとされた2つの導体部分45,46から構成されている。各導体部分45,46は、電流矢印44に対して直交する向きに、それぞれ、互いに異なる横断面積S ,S を有している。各導体部分45,46は、電流矢印44に対して平行な向きにおいては、それぞれ、L ,L という長さを有している。したがって、導体43は、導体の長さの全体 L+L (横断面積が小さい方の部分45の長さと、横断面積が大きい方の部分46の長さと、の合計)に対しての、横断面積が大きい方の部分46に関連した導体長さL の比として定義されるような『充填係数』Φを有しているものと見なすことができる。例えば、Φ=L/(L+L) である。導体は、また、部分的には、横断面積が小さい方のセグメント45の横断面積S に対しての、横断面積が大きい方のセグメント46の断面積S の比として定義されるような『横断面積比』Θによって規定することができる。すなわち、Θ=S/S である。
【0049】
一定のRF電流が、導体43を通して流れる。使用されているRF周波数においては、この電流は、中実導体体積を囲んでいるワイヤケージを通って電流が流れるのと同様に、導体43の表面の近傍を流れる。横断面積が小さい方のセグメント45の場合には、表面電流密度は、横断面積が大きい方のセグメント46の場合と比較して、かなり大きなものとなる。したがって、導体セグメント45の表面近傍において誘起されるRF磁界H は、導体セグメント46の表面近傍において誘起されるRF磁界H と比較して、より大きなものとなる。よって、誘導結合が大きなものとなり、セグメント45に隣接するプラズマ内においては、セグメント46に隣接するプラズマ内において誘起される電流I と比較して、より大きな電流I が誘起される。セグメント45に隣接するプラズマ内へと結合するRFパワー61b,61aは、セグメント45に隣接するプラズマ内へと結合するRFパワー62a,62bよりも、大きなものとなる(図2Dおよび図2F)。
【0050】
プラズマに対する誘導結合が、容量結合だけが起こり得る場合と比較して、RFパワーに関し、より小さなしきい値を有していることにより、横断面積が大きい方の導体部分46の領域における小さなRFパワー62は、ICPモードでの結合が不可能なものとすることができる。これに対し、横断面積が小さい方の導体部分45に隣接した領域におけるRFパワーは、ICPしきい値レベルを超えたものに維持される。その結果、パワーの結合は、領域61a,61bへと集中し、領域62a,62bには実質的に存在しない。
【0051】
セグメント化された導体43に関する様々な構成43a〜43eが、図3A〜3Eに図示されている。これらは、様々な横断面積構成を示しており、他のものと比較して利点を有している。一般に、例えば43a,43bといったような3次元配置は、また、43cといったような配置は、ウィンドウ25に対して平行であるような43dまたは43eと比較して、ウィンドウ25に対して垂直に延在する部分すなわちウィンドウ25から離れる向きに延出された部分を有していることにより、より有効である。横断面積が互いに異なる複数のセグメントを使用することに代えて、詳細に後述するように、導体束を形成して、収束や発散を行うことができる。
【0052】
図4は、本発明の一実施形態に基づいてICPを生成するための周縁誘導部材を備えた図1の材料源20を示す斜視図である。周縁誘導部材は、平面状ウィンドウ25の外部に配置された3次元的セグメント化アンテナ40と、ウィンドウ25の内部を保護するための、対応してセグメント化された成膜バッフルまたはシールド50と、を備えている。そのような周縁誘導部材は、例えば図2Dに示すようなものとすることができ、より詳細には、図4Aに示すようなものとすることができ、図2Eに示すようなプラズマパワー分布を生成することができる。
【0053】
図4Aにおいては、アンテナ40aは、誘電性ウィンドウ25に隣接して図示されている。バッフル50aは、アンテナ40aが配置されている方とは反対側においてウィンドウ25に隣接して配置されている。アンテナ40aは、4個の同心状ループ47aを有した連続的な導体43aから形成されているとともに、平面視においては、このような導体(セグメント)を6個備えている。例えばテフロン(登録商標)といったような絶縁材料からなる螺旋バンドあるいは一連をなす複数のリング(図示せず)が、隣接した巻線43aどうしの間に、あるいは、他の実施形態中の巻線43との間に、介装することができる。各巻線47aは、横断面積の小さな6個の導体45aと、横断面積の大きな6個の導体46aと、を備えており、これらセグメント45a,46aは、交互に配置されている。セグメント45a,46aは、隣接する巻線47aの同様の各セグメントに対して径方向に位置合わせされている。径方向に位置合わせされた小さな横断面積の巻線45aは、アンテナ40aの径方向に楔形状の高放射能効率部分41aを形成しており、径方向に位置合わせされた大きな横断面積の巻線は、アンテナ40aの径方向に楔形状の低放射能効率部分41aを形成している。
【0054】
バッフル50aは、円形の金属部材として示されており、6グループをなす山形形状のスロット57aを備えている。これらスロット57aは、直線的な見通しを塞ぐものである。このため、粒子は、プラズマからバッフルを介してウィンドウ25にまで一直線的には移動することができない。複数のスロット57aがなす各グループは、シールド50aのRF高透過部分51aを形成する。スロット57aは、バッフル50a上において径方向に配向されており、アンテナ40aの高効率導体セグメント45aに対して垂直とされている。これにより、バッフル50aの高透過部分51aを形成している。6個の領域51aどうしの間の領域は、中実金属であって、バッフル50aの不透過部分52aを形成している。このような不透過部分52aは、導体43aの低効率部分46aと位置合わせされている。
【0055】
周縁部分におけるプラズマの一様性を向上させ得るよう、充填係数Φと断面積比Θとが、各巻線47の周縁回りにおける各部分にわたって一定のものとされる。しかしながら、巻線ごとに異なるものとすることもできる。
【0056】
図4Bは、図4Aの場合と同様に、周縁誘導部材を図示している。しかしながら、アンテナ40bは、導体43bを備えており、この導体43bは、アンテナ40aの場合の湾曲したセグメント45a,46aではなく、互いに平行な直線状のセグメントとして形成された小さな横断面積のセグメント45bと大きな横断面積のセグメント46bとを有している。加えて、アンテナ40は、大きな横断面積のセグメント46a,46bの表面内にアーチまたはノッチ48を有することができる。これにより、アンテナ40の導体43a,43bのこれらの部分に関し、インダクタンスをさらに低減することができる。図4C、図4Dおよび図4Eは、それぞれ、代替可能なアンテナ40c、40dおよび40eを示している。各アンテナは、各々が径方向に離間して交互に配置されかつ互いに異なる構成のものとされた8個の高効率部分45と8個の低効率部分46とを有している。アンテナ40cおよび40dは、それぞれ、ただ1本の巻線を有している。しかしながら、アンテナ40eは、3本の巻線を有している。
【0057】
図4〜図4Bの実施形態においては、ウィンドウ25は、位置合わせされた6個のセグメント化アンテナ40a〜40bおよびバッフル50aに対して、30°だけ回転することができる。これにより、ウィンドウ25に関し、あるクリーニングから次なるクリーニングまでの平均時間を2倍に延ばすことができる。同様に、ウィンドウ25は、位置合わせされた8個のセグメントアンテナ40c〜40eおよび対応する8個のセグメントバッフル(図示せず)に対して、22.5°だけ回転することができる。300mmという大きなウェハ15の場合、そのようなウィンドウ25は、大気圧による圧力に耐え得るよう、かなり厚いものでなければならない。そのような厚いウィンドウ25は、図4Fに示すように、複数の小さなウィンドウセグメント25aからなるアレイを使用することができる。そのようなウィンドウセグメント25aは、楔形状のものとして形成することができ、アンテナ45aの高効率部分に対して、および、シールド50aの高透過部分51aに対して、位置合わせされる。ウィンドウセグメント25aの間に位置した中実壁セグメント54は、アンテナ40の低効率セグメント46およびシールド50aの低透過セグメント52aに対して、位置合わせすることができる。
【0058】
図5は、例えば図1Aのエッチング装置30といったようなICPエッチングモジュールに関して適切に使用し得るタイプの周縁誘導部材を図示している。そのような装置においては、石英チャンバベルジャー形状壁31を、複数の小さな誘電性ウィンドウ25cからなるアレイを内部に有した金属壁31aによって代替することができる。誘電性ウィンドウ25cの各々は、対応するサイズのバッファ50cによってカバーされる。螺旋アンテナ40fが、壁31aの外側を囲んでいる。その際、高効率の小さな導体部分45fが、ウィンドウ25cに対して位置合わせされ、なおかつ、低効率部分45fが、ウィンドウ部分25cどうしの間において、金属壁31aをなす中実部分に対して位置合わせされる。図5Aおよび図5Bは、アンテナ40fの代替可能な実施形態をなす、それぞれ、アンテナ40g,40hを示している。図5、図5Aおよび図5Bに示すように、そのようなアンテナ40f,40g,40hは、連続的な導体43f,43g,43hから形成することができる。各導体は、高効率部分と低効率部分とを交互的に有しており、高効率の高インダクタンス部分45f,45g,45hは、小さな横断面積の導体から形成されており、低効率の低インダクタンス部分46f,46g,46hは、大きな横断面積の導体から形成されている。図4Aおよび図5Bに示す装置は、図1のように、中実ベルジャー形状のウィンドウ31を備えたものとして図示されている。この場合、図5の個別シールド50cではなく、円筒形状のシールド(図示せず)に、アンテナ40の高効率部分45と位置合わせしつつ複数の高透過部分が設けられ、アンテナ40の低効率部分46と位置合わせしつつ複数の低透過部分が設けられている。
【0059】
大きな横断面部分と小さな横断面積部分とを有している上記導体43の利点は、アンテナ50の冷却を、内部を通して冷却用流体を流通させるためのチューブ状中空導体を使用する必要がないということである。それに代えて、導体の大きな横断面積部分の大きな表面積が、実質的に大きな熱伝導性をもたらし、周囲媒体に対する熱交換によって、導体の十分な冷却をもたらす。
【0060】
図6は、図5〜図5Bのモジュールと同様のエッチングモジュール30aを、一部を破断して図示している。このモジュール30aは、単純なICP源製造技術を使用して製造し得るような、特にコスト的に有利な周縁誘導部材である。図6においては、エッチングモジュール30aの誘電性壁31は、修正された螺旋アンテナ40iによって囲まれている。このアンテナ40iは、長さ全体にわたって細いチューブから形成された複数の導体巻線43iを使用している。導体43iは、上述したような横断面積が変動するセグメント化アンテナ導体43の利点を提供し得るよう構成されている。成膜シールド50dは、ベルジャー形状の誘電体壁31の内部に設けられている。シールド50dは、高透過部分55dと低透過部分56dとを備えている。高透過部分55dは、アンテナ40iのうちの複数の巻線が密に配置されてなる高効率部分45iに対応しているとともに、そのような高効率部分45iに対して径方向において位置合わせされている。低透過部分56dは、アンテナ40iのうちの複数の巻線が互いに離間して配置されてなる低効率部分46iに対応しているとともに、そのような低効率部分46iに対して径方向において位置合わせされている。複数の導体が互いに近接して配置されて束状とされた導体部分45iは、高インダクタンスを有しているとともに、放射効率が大きい。複数の導体が互いに離間して配置された導体部分46iは、低インダクタンスを有しているとともに、放射効率が小さい。なぜなら、導体どうしが離間している場合には、疎部分46i内の個々の導体巻線間に存在する磁界が互いに逆向きとなるからである。これに対し、導体どうしが密であると、磁界どうしが互いに増強され、導体部分45iがなす束全体を囲むようになる。
【0061】
図6においては、誘導部材43iは、周方向において例えば8個の部分といったような複数の部分へと分割されたチューブ状導体43iによって形成される。その際、高効率部分45iと低効率部分46iとの各々は、22.5°という角度範囲にわたって延在している。個々のループ間のピッチは、高効率の束状をなす導体部分45iにおいては、小さい。これにより、プラズマ内において、局所的により強いRF磁界を生成することができる。個々のループ間のピッチは、低効率の疎状とされた導体部分46iにおいては、大きい。これにより、誘電性壁を通過するRF磁界が低減される。
【0062】
図6の実施形態におけるバッフル50dは、全体的に円筒形状で、アンテナ40iとは反対側においてベルジャー形状の誘電体31の側壁の内部を直接的に囲んでおり、さらに、一般に、円筒形状周縁側壁上への堆積からウィンドウを保護している。誘電体31の頂部は、バッフル50dによって保護されていない。しかしながら、この部分に関してはアンテナからの結合が存在しないので、この部分への成膜は、プラズマ生成効率を妨害しない。アンテナ40iの高効率部分45iと位置合わせされている高透過部分55dは、どれ、、誘電体31上へのすべての成膜を防止し成膜量を最小とする。一方、不透過部分56dは、隣接した誘電体部分上への成膜をほぼ完全に防止している。それでもなお、高透過部分55dに対して隣接した誘電体部分上への金属の成膜は、実質的に、そのような部分での誘電体50dを介してのRF結合を低減させ始める。この状況に到達した際には、アンテナ40iを、22.5°だけ回転させることができる。これにより、ウィンドウ31上の成膜領域を移動させることができ、ウィンドウに関するクリーニング間平均時間(mean-time-before-cleaning,MTBC)(すなわち、あるクリーニングから次回のクリーニングまでの平均時間)を2倍にすることができる。
【0063】
アンテナ50dは、さらに、アンテナ40iの疎部分46iに、特に巻線47aといったような、バッフル50dの範囲を超えて、誘電性ウィンドウ31の頂部にまで部分的に延在するような巻線部分を有している。そのような拡張巻線47aは、プラズマに対して小さな容量結合を有しており、その結果、プラズマ点火時におけるプラズマに対するエネルギー結合において有効である。
【0064】
図6A、図6Dおよび図6Gは、図6のアンテナ40iの変形例をなすような、それぞれ、アンテナ40j,40kおよび40lを図示している。巻線は、各々が30°という角度範囲にわたって延在する互いに交互配置された6個の部分から構成されている。アンテナ40jは、図5、図5Aおよび図5Bと同様のシールドと一緒にあるいは図6Bのシールド50eと一緒に、アンテナ40f,40gおよび40hに代えて、使用することができる。その場合、図6Cに示すようなエネルギー分布60cを生成することができる。ピークパワー密度は、誘導部材40jを通して10アンペアという電流を流した時に、図6Fの領域61cのところにおいて、最大で約0.48W/cm である。その場合、領域62cにおける成膜パワーは、ほとんどない。プラズマ内への成膜パワーの合計は、このような条件下において、約316ワットである。
【0065】
アンテナ40kおよび40lは、ハニカム巣構造として形成され、図6Eおよび図6Hにそれぞれ示すシールド50fおよび50gも含めた適切なシールドと一緒に使用することができ、これにより、図6Fおよび図6Gに示すようなエネルギー分布60dおよび60eを生成することができる。シールド50eは、一列状でもって高さ全体にわたって延在するとともに互いに交互配置された高透過部分55eと不透過部分56eとを備えている。これら部分は、アンテナ40jの、それぞれ、高効率部分45jおよび低効率部分46jに対して位置合わせされる。シールド50fは、ジグザグをなす二列状でもって互いに交互配置された高透過部分55fと不透過部分56fとを備えている。これら部分は、アンテナ40kの、それぞれ、高効率部分45kおよび低効率部分46kに対して位置合わせされる。シールド50gは、ジグザグをなす三列状でもって互いに交互配置された高透過部分55gと不透過部分56gとを備えている。これら部分は、アンテナ40lの、それぞれ、高効率部分45lおよび低効率部分46lに対して位置合わせされる。
【0066】
アンテナ40kにおいては、導体がハニカム構造であることにより、ピークパワー密度は、図6Fの領域61dのところにおいて、約0.19W/cm である。その場合、領域62dにおける成膜パワーは、ほとんどない。プラズマ内への成膜パワーの合計は、約220ワットである。アンテナ40kのインダクタンスは、アンテナ40jのインダクタンスよりも小さい。例えば、アンテナ40lにおいては、8.34mHであり、アンテナ40jにおいては、10.73mHである。アンテナ40lに関しては、ピークパワー密度は、図6Jの領域61eのところにおいて、約0.30W/cm である。その場合、領域62eにおける成膜パワーは、ほとんどない。合計パワーは、10アンペアかつ450kHzかつ8.59mHというインダクタンスという条件下において、235ワットである。
【0067】
図6B、図6Eおよび図6Hにおける成膜シールド50e,50fおよび50gは、アンテナ40j,40kおよび40lのピッチ稠密化領域に隣接したところに、高透過部分55e,55fおよび55gを備えている。
【0068】
図7Aおよび図7Bは、図4に示すようなiPVD適用に関して好適であるような、コスト的に有利なアンテナの実施形態40mおよび40nを示している。アンテナ40mおよび40nの各々は、それぞれが一定横断面形状のチューブ状導体から構成されかつ調整されたピッチ構造を有しているような、高効率部分45m,45nと低効率部分46m,46nとを備えている。成膜バッフル50fおよび50gは、それぞれ対応するアンテナ45mおよび45nと一緒に使用するものとされ、上述したようにしてアンテナのそれぞれ対応する部分に対して位置合わせされるような、高透過部分55f,55gと不透過部分56f,56gとを備えている。
【0069】
図7Cのアンテナ40oは、バッフル50f(図7A)と一緒に効果的に使用し得るような、アンテナの好ましい3次元的実施形態である。このアンテナは、それぞれが30°という角度範囲にわたって延在しなおかつ導体どうしが緊密に配置されてなる6個の部分45oと、交互配置されているとともにそれぞれが30°という角度範囲にわたって延在しなおかつ導体どうしが疎に配置されてなりさらにシールド50fがなす面から離間して延在する6個の部分46oと、を備えている。アンテナ40oの高効率部分45oは、シールド50fの高透過部分55fに対して位置合わせされ、一方、アンテナ40oの低効率部分46oは、シールド50fの不透過部分56fに対して位置合わせされる。
【0070】
開示された構成の利点は、誘電体の回転によって、図6の誘電性ベルジャーあるいは図4のウィンドウ25の寿命を2倍とし得ることである。これは、ウィンドウの一部だけしか、プラズマに対しておよび汚染源に対して直接的に露出されていないからである。上述した実施形態および他の実施形態においては、成膜シールド500に関するオーミック損失が、従来技術の場合と比較して、より小さなものである。特に図6の構成においては、アンテナ40iの巻線47aをシールド50dを超えて拡張しておりこれによりプラズマ点火時にウィンドウを貫通してのエネルギーの容量結合を可能としていることにより、プラズマ点火を信頼性高く行うことができる。部分的に不透過性の成膜シールドを使用することにより、誘導結合を低減させ得ることのために、パワーの損失をもたらすことがない。プラズマ内へのRFパワー供給は、予め選択した位置において、増大させることができる。そのような位置の選択は、アンテナピッチの変更に基づきまた成膜シールドの『高透過』領域と『不透過』領域との間の比の変更に基づき、誘導部材の構成によって、行うことができる。強力なRF磁界を、局所的に生成することができ、これにより、成膜シールドの比較的短いスロットを通過させた場合であってさえ、プラズマ内へと供給し得るパワーを増大させることができる。不透過性のシールド領域においては、RFパワーの損失は、ほとんどない。
【0071】
本発明に関し、例示としての様々な実施形態を参照して説明した。当業者であれば、上述した様々な特徴点に関し、本発明の原理を逸脱することなく、追加や削除や変形を行い得ることは、理解されるであろう。したがって、本発明は、特許請求の範囲によって規定されている。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】従来技術によるイオン化物理的気相蒸着装置を単純化して示す図であって、本発明のある種の実施形態を適用し得るタイプの装置を示している。
【図1A】従来技術によるプラズマエッチング装置またはプラズマクリーニング装置を単純化して示す図であって、本発明の他の実施形態を適用し得るタイプの装置を示している。
【図2】本発明のある種の実施形態による周縁イオン化ICP源を示す分解斜視図である。
【図2A】図1に示すタイプのiPVD装置のための、従来技術によるICP源を概略的に示す平面図である。
【図2B】図2Aの源を使用した場合に生成されるプラズマパワー分布を示す3次元的グラフである。
【図2C】図1に示すタイプのiPVD装置のための、本発明の一実施形態によるICP源を概略的に示す平面図である。
【図2D】図2Cの源を使用した場合に生成されるプラズマパワー分布を示す3次元的グラフである。
【図2E】図1に示すタイプのiPVD装置のための、本発明の他の実施形態によるICP源を概略的に示す平面図である。
【図2F】図2Eの源を使用した場合に生成されるプラズマパワー分布を示す3次元的グラフである。
【図3】図2EのICP源のためのアンテナ導体の一部を示す斜視図である。
【図3A】図3に示すアンテナ導体の代替可能な実施形態を示す斜視図である。
【図3B】図3に示すアンテナ導体の代替可能な実施形態を示す斜視図である。
【図3C】図3に示すアンテナ導体の代替可能な実施形態を示す斜視図である。
【図3D】図3に示すアンテナ導体の代替可能な実施形態を示す斜視図である。
【図3E】図3に示すアンテナ導体の代替可能な実施形態を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態によるICP源を備えたiPVD装置のためのカソードアセンブリを示す斜視断面図である。
【図4A】図4に示すICP源の代替可能な実施形態を示す斜視図である。
【図4B】図4に示すICP源の代替可能な実施形態を示す斜視図である。
【図4C】図4に示すICP源の代替可能な実施形態を示す斜視図である。
【図4D】図4に示すICP源の代替可能な実施形態を示す斜視図である。
【図4E】図4に示すICP源の代替可能な実施形態を示す斜視図である。
【図4F】図4に示すICP源の代替可能な実施形態を示す斜視図である。
【図5】エッチング装置のための、本発明の一実施形態によるICP源を概略的に示す斜視図である。
【図5A】図5に示すICP源における代替可能なアンテナを示す図である。
【図5B】図5に示すICP源における代替可能なアンテナを示す図である。
【図6】図5と同様のエッチング装置のための、本発明の他の実施形態によるICP源を概略的に示す斜視図である。
【図6A】図5および図6に示すICP源における代替可能なアンテナを示す図である。
【図6B】図6Aのアンテナのための成膜バッフルを示す図である。
【図6C】図6Aのアンテナと図6Bのバッフルとを備えたICP源を使用した場合のパワー分布を示す図である。
【図6D】図5および図6のICP源のための代替可能なアンテナを示す図である。
【図6E】図6Dのアンテナのための成膜バッフルを示す図である。
【図6F】図6Dのアンテナと図6Eのバッフルとを備えたICP源を使用した場合のパワー分布を示す図である。
【図6G】図5および図6のICP源のための代替可能なアンテナを示す図である。
【図6H】図6Gのアンテナのための成膜バッフルを示す図である。
【図6J】図6Gのアンテナと図6Hのバッフルとを備えたICP源を使用した場合のパワー分布を示す図である。
【図7A】iPVD装置のための代替可能なICP源における図4のカソードアセンブリを示す斜視図である。
【図7B】iPVD装置のための代替可能なICP源における図4のカソードアセンブリを示す斜視図である。
【図7C】iPVD装置のための代替可能なICP源における図4のカソードアセンブリを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0073】
10 iPVD装置
11 チャンバ壁
12 真空処理チャンバ
24 RFのICP源
25 ウィンドウ
26 アンテナ
27 成膜バッフル、保護シールド
39 周縁電離源
40 セグメント化されたアンテナ
41 高効率の高インダクタンス部分
42 低効率の低インダクタンス部分
50 成膜バッフル、保護シールド
51 比較的透明な領域(高透過部分)
52 比較的不透明な領域(低透過部分)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェハを処理し得るよう真空チャンバ内に高密度誘導結合プラズマを生成するためのICP源であって、
真空側の面と大気雰囲気側の面とを有している少なくとも1つの誘電性材料部分を備えて形成された誘電性チャンバ壁と;
周縁電離源であるとともに、前記誘電性チャンバ壁の前記大気雰囲気側に配置されたRFアンテナと、前記誘電性チャンバ壁の前記真空側に配置された保護シールドと、を備えてなり、前記シールドが、このシールドを貫通して延在するスロットを有し、かつ、前記誘電性チャンバ壁の前記真空側に対しての材料成膜を禁止する機能と、前記アンテナから前記シールドを介しての前記チャンバ内へのRFエネルギーの誘導結合を容易なものとする機能と、を有しているような、周縁電離源と;
を具備し、
前記周縁電離源が、前記誘電性チャンバ壁を介して前記チャンバ内へとパワーを結合させた際に高パワー部分と低パワー部分とが互いに交互に位置した環状分布が得られるよう、セグメント化された構成を備え、
このセグメント化構成が、リング形状の中において互いに交互に配置された高放射部分と低放射部分とを備えていることを特徴とするICP源。
【請求項2】
請求項1記載のICP源において、
前記シールドが、前記誘電性チャンバ壁を介して前記チャンバ内へとパワーを結合させた際に高パワー部分と低パワー部分とが互いに交互に位置した環状分布が得られるよう、セグメント化された構成を備え、
このセグメント化構成が、リング形状の中において互いに交互に配置された高透過部分と低透過部分とを備え、
前記周縁電離源の前記高放射部分が、前記シールドの前記高透過部分を備え、
前記周縁電離源の前記低放射部分が、前記シールドの前記低透過部分を備えていることを特徴とするICP源。
【請求項3】
請求項2記載のICP源において、
前記シールドの前記高透過部分が、前記シールドを貫通して延在する複数のスロットを有し、
前記シールドの前記低透過部分が、中実とされた電気導体部分とされていることを特徴とするICP源。
【請求項4】
請求項3記載のICP源において、
前記シールドが、フラットなものかつ円形のものとされ、
前記シールドの前記高透過部分が、前記シールドを貫通して径方向に延在する複数のスロットを有していることを特徴とするICP源。
【請求項5】
請求項4記載のICP源において、
前記アンテナが、セグメント化された構成を備えているとともに、
前記誘電性チャンバ壁に対して平行とされ、さらに、前記スロットに対して垂直とされ、さらに、前記シールドの前記高透過部分と位置合わせされた、空間的に稠密化された複数の導体セグメントと、
前記シールドの前記低透過部分と位置合わせされた、空間的に疎化された複数の導体セグメントと、
を備え、
前記周縁電離源の前記高放射部分が、前記空間的に稠密化された複数の導体セグメントを備え、
前記周縁電離源の前記低放射部分が、前記シールドの前記低透過部分を備えていることを特徴とするICP源。
【請求項6】
iPVD装置であって、
請求項4に記載されたICP源を具備していることを特徴とするiPVD装置。
【請求項7】
請求項3記載のICP源において、
前記シールドが、全体的に円筒形状とされ、
前記シールドの前記高透過部分が、前記シールドを貫通して軸線方向に延在する複数のスロットを有していることを特徴とするICP源。
【請求項8】
請求項7記載のICP源において、
前記アンテナが、セグメント化された構成を備えているとともに、
前記誘電性チャンバ壁に対して平行とされ、さらに、前記スロットに対して垂直とされ、さらに、前記シールドの前記高透過部分と位置合わせされた、空間的に稠密化された複数の導体セグメントと、
前記シールドの前記低透過部分と位置合わせされた、空間的に疎化された複数の導体セグメントと、
を備えていることを特徴とするICP源。
【請求項9】
請求項8記載のICP源において、
前記空間的に疎化された複数の導体セグメントのうちの少なくともいくつかが、プラズマ点火を行い得るよう、前記シールドの周囲において前記チャンバ内へと容量的にエネルギーを結合させ得るように配置されていることを特徴とするICP源。
【請求項10】
プラズマエッチング装置であって、
請求項8に記載されたICP源を具備していることを特徴とするプラズマエッチング装置。
【請求項11】
請求項1記載のICP源において、
前記アンテナが、前記誘電性チャンバ壁を介して前記チャンバ内へとパワーを結合させた際に高パワー部分と低パワー部分とが互いに交互に位置した環状分布が得られるよう、少なくとも1つの導体から形成されたセグメント化された構成を備え、
このセグメント化構成が、リング形状の中において互いに交互に配置された高効率部分と低効率部分とを備え、
前記周縁電離源の前記高放射部分が、前記アンテナの前記高効率部分を備え、
前記周縁電離源の前記低放射部分が、前記アンテナの前記低効率部分を備えていることを特徴とするICP源。
【請求項12】
請求項11記載のICP源において、
前記アンテナの前記高効率部分が、前記誘電性チャンバ壁の近傍に位置した稠密化アンテナ電流経路を提供し、
前記アンテナの前記低効率部分が、疎化アンテナ電流経路を提供することを特徴とするICP源。
【請求項13】
請求項11記載のICP源において、
前記アンテナの前記高効率部分が、前記誘電性チャンバ壁の近傍に位置した小さな横断面積の導体から形成され、
前記アンテナの前記低効率部分が、比較的大きな横断面積の導体から形成されていることを特徴とするICP源。
【請求項14】
請求項11記載のICP源において、
前記アンテナの前記高効率部分が、稠密化された複数の導体セグメントから形成され、
前記アンテナの前記低効率部分が、前記稠密化された複数の導体セグメントと比較して実質的により大きく離間させて疎化された複数の導体セグメントから形成されていることを特徴とするICP源。
【請求項15】
請求項11記載のICP源において、
前記シールドが、前記誘電性チャンバ壁を介して前記チャンバ内へとパワーを結合させた際に高パワー部分と低パワー部分とが互いに交互に位置した環状分布が得られるよう、セグメント化された構成を備え、
このセグメント化構成が、リング形状の中において互いに交互に配置された高透過部分と低透過部分とを備え、
前記周縁電離源の前記高放射部分が、前記シールドの前記高透過部分を備え、
前記周縁電離源の前記低放射部分が、前記シールドの前記低透過部分を備え、
前記アンテナの前記高効率部分が、前記シールドの前記高透過部分と位置合わせされ、
前記アンテナの前記低効率部分が、前記シールドの前記低透過部分と位置合わせされていることを特徴とするICP源。
【請求項16】
請求項15記載のICP源において、
前記誘電性チャンバ壁が、誘電性材料からなる複数の個別部材を備え、
これら複数の個別部材の少なくとも1つが、前記周縁電離源の前記高放射部分のためのものであり、
前記複数の個別部材の他の少なくとも1つが、前記アンテナの前記高効率部分どうしの間およびこれと位置合わせされた前記シールドの前記高透過部分どうしの間のためのものであることを特徴とするICP源。
【請求項17】
半導体ウェハ処理装置であって、
請求項1に記載されたICP源を具備していることを特徴とする半導体ウェハ処理装置。
【請求項18】
半導体ウェハを処理し得るよう真空チャンバ内においてエネルギーを誘導結合させて高密度プラズマを生成するためのアンテナであって、
少なくとも1つの導体から形成されたセグメント化された構成を備え、
このセグメント化構成が、リング形状の中において互いに交互に配置された高効率部分と低効率部分とを備え、
前記高効率部分が、隣接したところに比較的大きな磁界を形成し得るよう、稠密に配置された複数の電流付帯セグメントを備え、
前記低効率部分が、隣接したところに比較的小さな磁界を形成し得るよう、疎に配置された複数の電流付帯セグメントを備えていることを特徴とするアンテナ。
【請求項19】
請求項18記載のアンテナにおいて、
前記アンテナの前記高効率部分が、小さな横断面積の導体から形成され、
前記アンテナの前記低効率部分が、大きな横断面積の導体から形成されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項20】
請求項18記載のアンテナにおいて、
前記アンテナの前記高効率部分が、稠密化された複数の導体セグメントから形成され、
前記アンテナの前記低効率部分が、前記稠密化された複数の導体セグメントと比較して実質的により大きく離間させて疎化された複数の導体セグメントから形成されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項21】
半導体ウェハを処理し得るよう真空チャンバ内に高密度誘導結合プラズマを生成するための方法であって、
誘電性チャンバ壁の大気雰囲気側に配置され、かつ、複数の高効率部分と複数の低効率部分とが互いに交互配置されてなるセグメント化構成を備えている、RFアンテナを準備し;
前記誘電性チャンバ壁の真空側に配置された保護シールドを準備し、この場合、前記誘電性チャンバ壁の前記真空側に対しての材料成膜を禁止し得るようなおかつ前記アンテナから前記チャンバ内へのRFエネルギーの誘導結合を容易なものとし得るよう、前記アンテナの前記高効率部分に対して位置合わせされたところにおいて、前記保護シールドに、スロット付き高透過部分を形成し;
前記アンテナの前記高効率部分から前記誘電性チャンバ壁を介して前記チャンバ内へとパワーを結合させ、これにより、高パワー部分と低パワー部分とが互いに交互に位置した環状プラズマ分布を生成する;
ことを特徴とする方法。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図2A】
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【図2C】
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【図2E】
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【図3】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図5】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図6H】
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【図6J】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図2B】
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【図2D】
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【図2F】
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【公表番号】特表2007−525798(P2007−525798A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541185(P2006−541185)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/035476
【国際公開番号】WO2005/052982
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【出願人】(505390680)ト−キョ−・エレクトロン・アメリカ・インコーポレーテッド (64)
【Fターム(参考)】